ZENSHIN 2002/02/18(No2041 p06)

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週刊『前進』(2041号1面1)

ブッシュ訪日阻止! 羽田へ 有事立法粉砕・小泉超反動政権を打倒せよ
闘う春闘再生、国鉄決戦勝利へ 02春闘総行動に立ち上がろう
 2・12〜13アフガン第3次出兵阻止を
 全国120カ所不当捜索徹底弾劾!

 日帝国家権力は2月8日、前進社本社・支社を始め全国31都府県120カ所への大がかりな一斉家宅捜索を強行した。2・17ブッシュ訪日阻止闘争への憎むべき予防反革命弾圧だ。闘いの大爆発に恐怖する国家権力の大弾圧を粉砕し、2・12〜13自衛隊艦隊第3次出兵阻止闘争(横須賀、舞鶴、佐世保)―2・17ブッシュ訪日阻止・日米首脳会談粉砕闘争に全力で決起しよう。

 第1章 闘争団処分を策す国労本部を許すな

 02年1・1政治局アピールで武装したわれわれは、闘うイスラム諸国人民との連帯をかけて1・20〜21アフガニスタン復興会議粉砕闘争を闘い、さらに1・24狭山異議審棄却徹底弾劾の連日闘争、2・3国労拡大中央委決戦、2・3名護市長選の1月闘争を全力で闘いぬき、歴史的激闘の02年決戦に打って出た。すなわち、米帝を先頭とする国際帝国主義の侵略戦争拡大と、これと闘う国際的内乱の激化という激突情勢の中で、われわれは小泉政権打倒・自国帝国主義打倒−国際的内乱の勝利へ全力の闘いを開始したのである。
 2・3国労中央委決戦が示したものは、日帝の先兵と化した帝国主義的労働運動派との非和解性と激突性であり、闘う国労闘争団を先頭とした階級的労働運動派の正義性と勝利性である。
 国労本部・チャレンジは、4党合意が破綻(はたん)に追い込まれる中で、一方で新井・今井らが分裂を起こし、他方で本部の高嶋、寺内らは4党合意にしがみついて国労内部から帝国主義的労働運動を推進しようとしてきた。
 しかし、闘う国労の労働者は、秋田地本再建の闘いに立つとともに、国労闘争団員と遺族283人は鉄建公団を相手に解雇の無効と賃金支払いを求める新たな訴訟を起こした(1・28東京地裁)。また、JR採用差別訴訟では、最高裁への訴訟参加申立人の闘争団員を266人に拡大した。これらの決起は、4党合意を根底的に粉砕しようとする真に不屈の闘いである。
 これに対して本部・チャレンジと革同は、2・3拡大中央委開催に際してまたもや機動隊を導入し、傍聴者を排除し、裁判闘争の実質的な全面的取り下げと、闘う闘争団への査問委員会設置を強行した。二度の首切りに不屈に闘う闘争団を統制・除名処分にかけるという、戦後労働運動史上類例を見ない暴挙だ。絶対に認めるわけにはいかない。
 この採決で革同は、闘争団を切り捨てる裏切りの道を選択し、分裂と瓦解(がかい)を深めている。
 だが、階級的原則を貫いて闘う闘争団と国労の労働者は、きわめて鮮明な正義性を体現して登場した。そこに勝利の展望がある。国鉄労働運動は今や階級的労働運動の砦(とりで)として帝国主義的労働運動、ファシスト労働運動、スターリン主義反動と真正面から激突する情勢に入った。勝利する力もすでに生み出されつつある。チャレンジ・革同を打倒し、闘う国労の再生をともにかちとろう。

 沖縄闘争の新たな発展を

 闘う沖縄人民が全力で決起した2・3名護市長選は、残念ながら宮城康博氏の当選をかちとるまでには至らなかった。しかし、沖縄闘争の新たな一歩が踏み出された。ここに名護新基地建設絶対阻止の新たな闘いが始まったのだ。
 沖縄における革新共闘の弱体化と分裂化の中で、本当に多くの市民が宮城氏のがんばりに感動し、励まされ、勇気づけられて立ち上がった。闘う人民が全島全国から駆けつけ、ともに力を合わせた。そして、敗れたとはいえ11148人の名護市民が絶対反対派として立ち上がったのである。
 米帝と日帝の戦争政策に鋭く立ち向かうこの沖縄人民の決起は、日帝がどんな重圧を沖縄にかけようとも押しつぶせるものではないことが証明された。
 岸本は2万票をとって再選されたが、これで「住民投票を覆した」とはけっして言えない。逆である。住民を無視・抹殺して、着工を強行したら大変なことになることがはっきりと突きつけられたのだ。岸本の7条件(15年期限など)は完全に破綻している。
 小泉政権は、ますます露骨に暴力的強行を迫ってくるだろう。米帝にとって沖縄が、フィリピンや北朝鮮、そして中国―台湾への侵略軍事拠点であることはますます明白となっている。その最大の焦点が名護の新基地建設だ。この大きさと激しさを全面的に受けとめて02年沖縄闘争の新たな発展へ突き進んでいこう。

 世界大恐慌へと転落深める日米経済危機

 情勢はさらに危機と激動を深めている。
 第一に、米帝経済と日帝経済の動向である。
 米経済は恐慌を深めつつある。「GDPは0・2%増。プラスに転じた」という最近の派手な宣伝とは裏腹なのが実体経済だ。
 昨年10−12月期の実質GDP伸び率をプラスに見せたのは、崩壊し始めた消費バブルを強引に、無理に無理を重ねて引っ張ったからである。特に自動車でのローン金利ゼロ販売(通常9%金利)が個人消費を増加させた。しかしこんなやり方をいつまでも続けられるはずがない。需要の先食いの反動は激しい。
 アメリカの鉱工業生産は下り坂をたどり、失業率は昨年末に5・8%に上昇。全米第7位の大企業エンロンの破産は決定的な位置をもっている。それに続いて企業倒産が増加している。
 昨年1年間で11回もの利下げが行われ、史上最大級の金融緩和策がとられたが、銀行の貸し出しは減少し続けている。米経済も、バブル崩壊下の90年代日本経済と同様に、いくら金融を緩和しても銀行の貸し出しが増えないという状況に入っている。それどころか銀行の不良債権、企業と個人の膨大な過剰債務が急増している。
 他方、日本経済の危機はより激しく、恐慌の再爆発へ歯止めの利かない土壇場の事態に突入している。完全失業率は5・6%と戦後最悪を記録した。昨年末の鉱工業生産指数は87年11月以来の低水準に落ち込んでいる。昨年一年間でも鉱工業生産は7・9%も低下した。これは75年の11%に次ぐ大幅な低下だ。
 昨年政府は金融の量的緩和策をとって大量の資金を市場に供給したが、デフレ状態は続いている。株価はTOPIX、日経平均ともバブル後安値を更新し続けて、東証1部の株式時価総額は、昨年5月の414兆円から281兆円と、実に133兆円が消滅した。
 不良債権処理の焦点だったダイエーが1月に経営再建の新計画を進め、主力3行が債権放棄を含む4200億円の金融支援を決めたが、これも問題の先送りにすぎない。ダイエーの本格的処理をすると主力行が破綻してしまうのだ。銀行は戦後の蓄財をすべて失って、今や法定準備金=自己資本を食いつぶしかねないほどの危機にある。小泉は「金融危機回避に全力」と2〜3月金融危機爆発の恐怖に脅えている。
 これに対して米帝は、日帝金融危機の爆発が国際資金循環を破壊することに恐怖し、対日圧力を強め、不良債権処理の決着を激しく求めてきている。

 第2章 「悪の枢軸」と叫び戦争拡大狙う米帝

 第二に、米帝動向の激しさだ。1月29日のブッシュ大統領の一般教書演説は、米帝が世界危機の世界戦争への転化を路線化したことの宣言である。
 冒頭に「わが国は戦時下にあり、経済は不況、文明世界は前例のない危機に直面している」と述べたブッシュは、当面の目標として@対テロ戦争の勝利、A国土防衛の強化、B経済回復の3点を掲げ、「テロとの戦争は始まったばかりだ」と、戦争を世界的に展開していく方針を強調した。そして「生物・化学・核兵器を求めるテロリストや政権が、米国や世界に脅威を与えないように」封じ込めることが重要と言い、その対象は「イラク、イラン、北朝鮮の『悪の枢軸』」と名指しした。
 また、ブッシュは、この演説の中で「合衆国自由部隊」の創設を表明、翌30日には大統領令を出して自由部隊への参加を呼びかけた。この部隊は「米国民が本土防衛やイスラム諸国支援に自主的に奉仕する」とされているが、テロからの本土防衛を理由に、市民がそれぞれの地域で医療、警察、テロ情報収集、隣人監視、緊急事態対応などの活動に奉仕する「市民部隊」と、アフガニスタン再建を含むイスラム諸国への開発などに充てられる「平和部隊」に分けられ、後者は「より多くの米国人が、米国の真の価値を途上国に直接に示す」(ホワイトハウス報道官)という、侵略戦争と新たな植民地支配拡大の攻撃そのものである。
 さらに、1月31日に米国防大学で行われた講演でラムズフェルド国防長官は、極東と中東で同時発生する大規模紛争に勝利するための戦力構築を定めた「二正面戦略」について、「(テロ攻撃などの)予測不可能な脅威に対処できない。放棄することを決めた」と明言した。そして、@外国の首都進攻、体制転覆などを1カ所で行う、A2カ所で侵略勢力を短期に撃退する、Bきわめて重要性の高い4地域での紛争を抑止する――ことを同時に行える戦力再編計画を明らかにした。また、「米国が近い将来、同時多発テロより大規模な攻撃に直面するのは間違いない」「敵に対する先制攻撃も排除しない」と言い放った。
 そして2月4日、ブッシュは03会計年度(02年10月〜03年9月)の予算教書を発表し、国防費は前年度実績見込みから過去20年間で最大の伸び(15%増)となる総額3790億j(約50兆円)にもなることを明らかにした。
 ブッシュの一般教書演説以降、イラン、イラクや朝鮮民主主義人民共和国を名指しで警告する発言が相次いでいる。ブッシュ自身が連日の演説で「大量破壊兵器の開発国に警告する」「世界各国は米国と連携して国際包囲網を築け」と叫んでいる。ライス大統領補佐官は「北朝鮮は弾道ミサイルの商人」と呼んだ。ラムズフェルドは「イランはテロリストの逃亡を阻止しなかった」「北朝鮮はカネのためなら誰にも何でも売る」と非難した。世界最大の核大国・武器輸出国の米帝が何を言うのか。
 このようなむき出しの凶暴さは、侵略戦争・帝国主義間戦争・世界戦争なしに生きていけない帝国主義の絶望的危機性の現れである。闘うイスラム諸国人民、闘うアジア人民と連帯した国際的内乱で米帝と国際帝国主義こそが打倒されなければならない。

 第3章 有事立法・改憲阻止の全国的大運動を

 第三に、有事立法・改憲−戦争国家化に突進する日帝の動向である。
 2・4小泉施政方針演説の特徴の第一は、「小泉構造改革本番の年」と称して、日帝の危機を労働者階級人民に全面転嫁することをあらためて宣言していることである。
 施政方針の「むすび」の中で小泉は、「改革の痛みが現実のものとなりつつある今、…未来への希望を決して失わない強さを、改めて求めたい」と言っている。つまり、政府発表の完全失業率でさえ戦後最悪の5・6%を記録しているのに、これからいよいよ激しくなる「痛み」に人民は耐えよと言っているのだ。
 これに関連して重要なことは、施政方針演説の中で小泉が「ワークシェアリング」に言及したことである。「ワークシェアリングの実施」が初めて施政方針演説=政府基本方針に出されたのだ。これは、02年版日経連労問研報告で強く打ち出されたことに続くものだ。これは米帝の対日争闘戦の激化に対応するために、政財界あげて賃下げと大失業、労働運動圧殺の攻撃に出てきたことを意味している。
 この「ワークシェアリング」論を導いたのが、連合の全面屈服とカクマル松崎=JR総連なのだ。
 さらに小泉は、「雇用期間や労働時間に関する制度の見直し」を言っている。これは、労基法を始めとする戦後労働法制の全面解体を狙うもので、短期契約、深夜労働など、労働者を資本の思うがままに扱うことの制度化である。
 さらに、医療制度の改悪、公務員制度の改悪、税制改悪などを打ち出し、「特殊法人改革」や郵政事業公社化−民営化などをあくまでも進めようとしている。
 特徴の第二は、有事法制の推進と関連法案の今国会提出を宣言したことだ。
 これはまぎれもなく、戦後初の、有事法制化の政府提案である。小泉は「対テロ戦争に主体的に取り組む」ことを公式に第一義にすえ、そして「有事に強い国づくりを進めるため、…有事への対応に関する法制について、取りまとめを急ぎ、関連法案を今国会に提出します」と明言した。「有事に強い国づくり」とは、戦時=戦争に強い国家になることであり、実際に中国・朝鮮侵略戦争やアフガニスタン・中東侵略戦争に参戦する国家のことである。平素からの「備え」とは、つまるところ、平時から国家緊急権を有する緊急事態法を制定しておくということである。闘うイスラム諸国人民、闘うアジア人民と連帯して有事法制絶対阻止の巨大な闘いを組織していこう。
 さらに、この有事法制宣言と一体のものとして、沖縄新基地建設の推進を始めとしたSACO最終報告の貫徹を明言したこと、警察官4500人増員を始めとした治安体制強化を打ち出し、入管体制強化を宣言したことなどは断じて許しがたい。
 最後に、当面する方針を確認したい。
 第一に、米帝と日帝の世界的侵略戦争の攻撃と真正面から対決する2・112―13自衛隊艦隊第3次出兵阻止闘争、2・17ブッシュ訪日阻止・日米首脳会談粉砕の歴史的大闘争に総決起しよう。
 自衛隊の第3次艦隊派遣は、2月12日に補給艦「ときわ」が神奈川県横須賀基地から、護衛艦「はるな」が京都府舞鶴基地から、13日に護衛艦「さわかぜ」が長崎県佐世保基地から、出航する予定だ。また、千葉県館山基地の哨戒ヘリ4機も護衛艦に搭載される。闘うイスラム諸国人民への血債にかけて全国で渾身(こんしん)の阻止闘争に立とう。
 第二に、有事立法阻止の大運動を猛然とつくり出すことである。3月包括法案提出攻撃に対し、今から直ちに学習会運動、クラス討論、職場討論、街頭演説などを広げていくことだ。労働者人民の決起は必ず爆発的に拡大する。そのことに確信を持って全労働者人民に呼びかけよう。
 第三に、アフガニスタン・パレスチナ反戦闘争−有事立法・改憲阻止の反戦闘争と一体的で02春闘総行動を闘うことだ。今年の日経連労問研報告と連合の屈服を怒りをもって暴露しよう。労働者階級の先頭で怒りの行動に立とう。
 第四に、星野文昭同志、爆取デッチあげ4同志ら超長期獄中同志奪還へ闘いをさらに強化しよう。
 第五に、3月3、4日の部落解放同盟全国連合会第11回大会へ! 三里塚暫定滑走路開港阻止決戦へ突き進もう。
 これらの実践の核心は、党生活の3原則の貫徹にある。『前進』を読み拡大し、財政闘争をねばり強く計画的に推し進めよう。9・11反米ゲリラ戦争の炸裂(さくれつ)とアフガン民族解放戦争、パレスチナ人民蜂起によって切り開かれた国際的内乱の時代に勝利するレーニン主義の労働者党を建設するために、ともに闘おう。

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週刊『前進』(2041号1面2)

名護市長選挙闘争の地平から決意新たに新基地建設阻止へ
 革共同沖縄県委員会

 (一)
 2月3日投・開票の名護市長選挙は、宮城康博候補11148票、岸本建男候補(現職市長)20356票(投票率77・66%)の結果となった。われわれは名護新基地建設阻止のために宮城康博候補当選をめざし、闘う名護市民とともに全力で闘いぬいた。しかし残念ながら当選を実現することはできなかった。岸本に真っ向から対決できる候補・宮城康博氏の持つ真の力を解き放つことができなかった。勝利をめざして闘った以上、この敗北は痛苦である。
 しかし、最後まで全責任を取りきるという立場に立って、この結果とともに選挙戦の全過程、全内容をごまかすことなく見すえた時、かけがえのない「勝利の核心」をつかみ取ることができる。今次選挙戦の結果にもかかわらず、いやこの結果こそ、人民が究極的勝利を手にすることが必ずできることを示している。われわれはこの確信をもって断言する。辺野古(へのこ)への新基地建設など絶対にできない! と。
 (二)
 今次市長選挙は、いかなる闘いであったのか。この選挙戦はけっして避けて通れない闘いであった。
 9・11情勢という世界史の大転換が、日帝・小泉、稲嶺知事、岸本市長に名護新基地建設の強行突破を「決断」させた。彼らにとって、昨年12月27日第8回代替施設協議会で新基地の建設位置を名護市・辺野古沖リーフ上に決定し強行突破することと、この名護市長選での岸本再選は一体不可分であり、まさに9・11情勢下の日帝の存亡をかけた反革命の側からの決戦、全体重をかけた「上からの内乱」攻撃であった。
 日帝・小泉は昨秋から、沖縄人民の怒りを恐れてぐらつく稲嶺、岸本に対し、「振興策の全面撤収」という最大級の恫喝を加え、彼らに「強行突破」の決断を促した。田中外相(「15年期限は困難」)、森山法相(「日米地位協定の改定は必要ない」)を年末から年始にかけて沖縄・名護に送り込み、自民党、政府閣僚が次々とのり込んだ。
 日帝のこの恫喝は、岸本陣営のあらゆる物質力をとおしてストレートに下ろされた。岸本は日帝国家権力のむき出しの先兵となった。表面上はともかく、市民の生活領域である地域において恐怖政治が敷かれた。それは沖縄差別の極致であった。
 その上に、企業経営者、警察、岸本派市役所職員などがぐるになって選挙干渉、買収など違法不当の限りが行われた。岸本反動市政4年間の積み上げ、しばりに加え、9・11情勢に突き動かされた日帝の総力投入の前に、「基地建設反対」の声を上げることさえはばかられるような状態の中で選挙戦は闘われた。
 (三)
 基地反対派の市長候補決定をめぐる苦闘の上に、投票1カ月前に宮城康博氏が候補者として決定された時点では、まさしく「ゼロからの出発」であった。準備期間を引けば実質の運動期間は2週間という超短期の選挙戦であった。国家権力をバックに4年間準備した岸本陣営に対し、宮城陣営の死力を尽くした蜂起戦が闘いぬかれた。
 選挙結果をどう見るか。11148人の名護市民が人生をかけ「決断」して宮城候補に投票した。決断なしには投票できなかった。1万余の新たな「絶対反対派」が生まれたのだ。投票翌日、辺野古のある住民は「この選挙で宮城やすひろに投票したことによって、今私はどこでも(誘致派の多い地域でも)胸を張って歩いている」と語っている。これらの人びとは、宮城候補落選の現実への残念さ、悔しさは当然としても、それを埋めて余りある、自らの良心に恥じなかったという「さわやかさ」と自信にあふれている。それは1997年市民投票の魂を確固として受け継ぐとともに、それを一歩も二歩も打ち固め前進した自己解放的立ち上がりであった。ここに今次選挙戦の最大の意味と意義がある。
 岸本陣営は「不在者投票で勝つ。投票率を上げるな」と広言してはばからず、ただただ脅迫と買収で守りの選挙を行った。岸本に投票した人びとの中にも基地建設そのものに賛成して投票した人はいない。
 (四)
 われわれはこの選挙戦を、全国の同志、闘う仲間の力を結集し力の限り闘いぬいた。とりわけ全学連の多くの闘う学生が名護に結集し、市民の中に飛び込んでいった。数万枚のビラをまき、名護市民と数千の真剣な会話を交わし、大きな力を発揮した。
 この選挙闘争を必死で闘いぬいたすべての人たちの中に敗北感はない。ここから基地建設阻止の新しい闘いが始まる! 誰もがこう実感している。ものごとは鮮明になってきたのだ。
 何が課題か。「なぜ沖縄だけが、国民として当然の生活を望むのに米軍基地と引き換えでなければならないのか」――これは賛成、反対を問わず、すべての名護市民の意識の中に流れている沖縄の怒りである。ここに立ちきって、現実(日帝)と真っ向から対決する者が11148人の絶対反対派として登場したのだ。
 であるとすれば、勝利への課題はおのずと明らかだ。大田知事の敗北、既成指導部の解体的惨状をのりこえるための課題、真の労働者党建設と本土プロレタリアートの階級的決起こそが待ったなしに問われている。革共同はこの責任を取りきって、決意も新たに名護新基地建設阻止の闘いに全力を尽くすことを誓う。

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週刊『前進』(2041号3面1)

基地絶対反対の11148票 名護市長選
 “新たな基地造らせない” 宮城やすひろ候補、大奮戦

 2・3名護市長選は、新基地建設反対を鮮明に掲げた宮城康博候補が、現職岸本に真っ向から挑戦したが、当選を果たせなかった。だが選挙戦の中であらゆる反動を突き破って、新しい闘いの展望を切り開き、11148票の基地絶対反対派を獲得した。宮城氏を先頭に全力疾走で闘った選挙戦だった。
 1月3日の出馬表明から1カ月の超短期戦だったが情勢は確実に動いた。2月2日、選挙戦最後の総決起集会が市街地のスーパー・オキマート前で開かれ、千人を超える人びとが詰めかけた。前知事の大田昌秀参院議員も応援演説に駆けつけた。
 「必勝! やすひろ!」のコールの中、宮城候補が登場した。宮城候補は、「軍民共用空港建設は認められない。基地を受け入れないという意思決定をして、しかる後に名護市の振興、未来をつくり出そう」と、世界に誇れる名護山原(ヤンバル)、ジュゴンのいる豊かな海こそが大切な資源だと指摘し、「軍民共用空港、基地を造らされて幾ばくかの振興策を得ようとしても名護の未来はありません!」「那覇と名護を結ぶ鉄道を造りましょう。どうして沖縄に鉄道がないんですか。戦後56年たって格差是正が終わってない! 在日米軍基地の75%を抱えたわが沖縄、この沖縄で軍事基地を造らないと振興策を与えない。市民の声が生きる新しい政治をつくりましょう!」と訴えた。結びは「宮城やすひろ市長誕生は市民、県民、沖縄の勝利です。勝ちましょう!」。
 万雷の拍手がこたえ、指笛、太鼓が鳴り響いた。琉球バスの運転手がクラクションで呼応、交差点には宮城カラーのオレンジののぼりが打ち振られる。絶対に勝つぞと誰もが勝利を確信した瞬間だった。
 この日午後、市民選対の「ぶりでぃの会」はヒンプンガジュマルから道ジュネー。歌手の喜納昌吉さんが先頭を歩き、「名護を変える一人になろう!」と歌声が響いた。岸本陣営の企業ぐるみ、地域ぐるみの選挙違反が告発される中、選挙戦は日一日と熱くなった。告示後の6日間で不在者投票は7700余!
 97年住民投票でかちとった基地反対の民意が踏みにじられた4年間、深まる不況と高い失業率、広がる閉塞(へいそく)感を市長選闘争は打ち破った。真っ先に女性、高齢者が、そして労働者、農民、市民へ輪が広がった。

 “闘いは続く”

 前日までの雨もあがり、3日の投票日は晴れた。投票箱が閉まるまで、全力の闘いが行われた。
 誰もが緊張して開票を見守る中、午後10時半すぎ、岸本当確が報じられ、選対本部で玉城義和選対本部長が落選を報告した。
 続いて宮城候補が「まだまだ闘いは続く。この結果は移設容認を市民が認めたことではない。沖縄にこれ以上米軍基地を造ることは認められないというのは、県民、市民の大きな意志だ。今後とも頑張っていく」と宣言した。渡具知裕徳後援会長も「基地は諸悪の根源。この結果は名護市の子や孫のためには不幸な選択だ。やすひろ君を中心に新しい闘いを再構築して平和のために頑張る」ときっぱりと語った。
 ぶりでぃの会では、「票では負けたけど、私たちは運動では勝った」「闘いはこれから。基地を造らせるわけにはいかない」「全国に訴えて闘おう」など、選挙後に向けて熱心な討論となった。東海岸の闘う住民が「負けられない。ここから始まるさあ」と語った。敗北は悔しいが、その場から新基地建設阻止へ、運動は新たな一歩を踏み出した。

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週刊『前進』(2041号2面1)

国労中央委 査問委設置の暴挙を徹底弾劾 本部が“除名”叫び採決強行
 解雇者の首切り断じて認めぬ 怒りの総決起で執行部打倒を

 2月3日、東京・新橋の交通ビル(国労本部)で開かれた国労第172回拡大中央委員会は、闘争団に対する査問委員会の設置を決定した。国労本部は、闘争団への統制・除名処分に突き進もうとしている。解雇撤回を闘う組合員を労働組合が除名するなどということは、前代未聞の暴挙である。心の底からの階級的怒りを、その首謀者と加担者どもにたたきつけなければならない。国鉄決戦は、この一大反動を粉砕する新たな段階に突入した。この日もまた機動隊が導入され、当事者である闘争団員は暴力的に締め出された。中央委員の発言も制限され、まともな議論は封殺された。ただただ、闘争団への査問委設置を行うためだけの、国労史上最悪の中央委員会が強行されたのだ。高嶋−寺内執行部は、闘争団の切り捨てを強要する権力・資本の意志をそのまま体現して、内部からの国労解体に手を染めた。闘争団を始めとする国労組合員は、雨の中、機動隊と対峙して闘いぬいた。査問委設置をあらゆる手段で打ち砕こう。国労の団結と闘いを守りぬく道は、今回の暴挙を徹底弾劾し、本部執行部を打倒する組合員の総決起にある。

 “闘争団支援する組合員も処分”

 今回の中央委員会は、度を超えた国労本部の裏切りを突き出した。
 高嶋委員長は、委員長あいさつで闘争団圧殺の意志をむき出しにした。彼は、闘争団員の鉄建公団訴訟を「JRへの復帰という国鉄闘争の最大の目標を自ら放棄するもの」とののしり、「本部方針に従わず別組織、別方針、別行動、別財政のもとに、最高裁に対する参加申し立てや鉄建公団に対する雇用関係存続確認訴訟の独自行動をとる一部闘争団員の闘争破壊、団結破壊は絶対許すことはできません」「査問委員会の設置を提案せざるを得ないと判断した」と叫び立てた。
 「闘争団の首を切るのか!」傍聴席からの怒りの声が、高嶋の発言をさえぎった。
 新井・今井らの脱退・分裂問題は、闘争団に対する長々とした悪罵(あくば)の後にようやく言及された。高嶋は、「既に申し上げた査問委員会は、このJR東日本ユニオンの脱退に関する件も取り上げる」と述べた。査問委員会は、あくまでも闘争団の処分が主目的であり、分裂の首謀者への処分は付け足しでしかないということだ。いや、闘争団への統制処分を強行するための隠れみのとして、分裂問題を持ち出したに過ぎないのだ。
 寺内書記長が経過報告と運動方針案を提案した。寺内はまず、議案の一部を差し替えると発言した。闘争団への非難を一段と強めるために、わざわざ議案を書き換えたのだ。
 寺内は、闘争団による鉄建公団訴訟や最高裁への訴訟参加を「妨害活動」と言いなし、「組合員として・闘争団員としての資格も権利も自ら放棄した行為」と決めつけた。そして、「中心となっている闘争団員、申し立て闘争団員、新たな訴訟を起こした場合の原告と国労組合員支援者等について、除名を含めた統制処分等、国鉄労働組合の団結を守ると同時に方針に基づいた解決を図る上、やむをえない状況にきている」と言い放った。
 ついに本部は゛除名″を明言した。しかも、鉄建公団訴訟に踏み切った279人の闘争団員、最高裁への訴訟参加を申し立てた総計266人の闘争団員だけでなく、闘争団の正義の闘いを支持するすべての国労組合員が処分の対象だというのである。
 一般討論では、チャレンジの中央委員が、聞くに堪えない闘争団への悪罵を並べた。「一部闘争団の裁判はJR復帰を放棄するものだ。15年の闘いをすべて否定する裏切りだ」(北海道本部)、「一部闘争団の問題は残念では済まされない。厳しい対応が求められる」(東京地本)、「一票投票までして決めた方針を無視する行動は裏切りだ。身勝手な一部闘争団と、それを放置している国労の優柔さを指弾する声が組合員の大勢だ」(盛岡地本)、「査問委員会で厳正な対応を」(九州本部)。長野地本の委員に至っては、「説得を受け入れてもらえなかったので紋別・美幌闘争団への支援を凍結した」と放言するありさまだ。
 反動革同もそれに唱和した。「自分たちだけの主張による勝手な行動は許されない」(名古屋地本)、「組織原則を無視した利敵行為」(東京地本)
 一切の闘いを投げ捨て、国労の団結を根底から破壊しようとしている者たちが、解雇撤回闘争を闘う者を「裏切り者」と非難する。こうしたおぞましい光景が、中央委員会の名において展開されたのだ。
 他方、4人の中央委員が本部方針絶対反対の鋭い論陣を張った。
 高崎地本の委員は「闘争団に対する査問委員会は本末転倒だ」と本部を批判し、旭川地区本部の委員は「鉄建公団訴訟は当事者としてやむを得ない、純粋な選択だ。査問委員会には反対する」と弾劾した。さらに千葉地本と米子地本の委員が反対意見を表明した。
 議長団は、本部方針をやみくもに押し通す強権的議事運営を行った。まともな討論もさせないまま、早々と書記長集約が行われた。
 寺内書記長は、大阪・岡山採用差別裁判の上告放棄について、「4党合意に基づき解決を図る、裁判で判決を求める闘いはしないと決定してきた」、だから大会決定違反ではないと居直った。さらに、「採用差別事件の訴訟の取り扱いは、4党合意に基づく解決作業が進む中で、社民党から要請があれば直ちに手続きに入り、訴訟の取り下げを行う」と明言した。北海道・九州、本州の採用差別裁判も、本部の独断で取り下げるということだ。
 そして、鉄建公団訴訟に踏み切った闘争団について、「方針に反対し、無視し続ける原告闘争団員に対しては、国労の進める解決の救済対象者から除外せざるを得ない」「説得活動を引き続き行い、結果として応じない闘争団員については、国労規約に基づき厳正な対処を行わざるをえない」と言いつのった。
 議長団が、経過報告と運動方針の拍手承認を求めた。国労の歴史に泥を塗る無残な裏切り方針が、こうして強行採択された。

 大罪に手を染めた31人の賛成者

 続いて、寺内書記長が「査問委員会の設置について」とする議題を提案した。査問の対象は「@組合分裂の中心となった組合員、A一部闘争団員で結成した分裂組織・鉄建公団を相手に新たな訴訟等の分裂行動を起こした原告等」とする、というものだ。寺内は、闘争団に再度訴訟の取り下げを求め、その結果を見て処分案を中央執行委員会が判断し、査問委に諮問する、と説明した。
 新橋支部の委員が反対意見を表明した。「JRに法的責任がないなら誰に責任があるのか」という発言に、議長団が「査問委員会設置に限って発言を」と制約を加えた。仙台地本と旭川地区本部の委員は、まともに闘争団と話し合ったこともない本部が「闘争団を説得する」などとうそぶくペテンを弾劾した。
 議長団が、すぐさま採決を強行しようとする。しかも、分裂問題と闘争団問題を一括して採決するというのだ。反対派は分離採決を要求して抗議した。議長団は一括採決を譲らない。会場が騒然となる。寺内が再度発言し、「@項については全体で一致できるから採決の必要はない。A項についてだけ採決する」と言い出した。採決の必要がないなどということ自体、でたらめだ。結局、議長団は分離採決を認めた。
 @項の分裂の首謀者に対する査問委設置には41人の中央委員全員が賛成した。A項の闘争団への査問委設置は31人の賛成で可決された。チャレンジと反動革同は、闘争団を三たび処刑台に送り込んだのだ。傍聴席からの闘争団員の抗議が会場に響いた。賛成派は、許しがたいことに、これみよがしの拍手で応酬した。

 闘争団の正義の闘いを守れ

 闘争団への査問委設置の暴挙は、4党合意受諾が行き着いた帰結だ。本部は、闘争団の切り捨てを求める権力・資本の強圧に屈し、最悪の国労破壊に手を染めた。31人の中央委員がそれに加担した。その大罪を断じて許してはならない。心底からの怒りに燃えて本部を打倒し、闘争団の正義の闘いと国労の団結を守りぬこう。

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週刊『前進』(2041号2面2)

国労本部前 機動隊と対峙し抗議
 “分裂放置した本部許せぬ” 闘争団が渾身の訴え

 闘争団を先頭とする国労組合員と支援の労働者は、国労本部による闘争団切り捨ての暴挙を弾劾し、雨の中、機動隊と対峙して交通ビル前での闘いを貫いた。
 朝7時過ぎ、国労組合員が次々と交通ビルに詰めかけた。警備に動員された組合員が玄関前を固めている。直ちに説得行動が開始された。「解雇された仲間を見捨てる本部に、君たちは手を貸すのか」
 様子をうかがっていた私服刑事が、「暴力行為があれば検挙する」と叫んで介入した。組合員同士が議論することも認めないというのだ。「お前たちには関係ない。帰れ」と弾劾する国労組合員に、私服刑事は「おれたちは主催者から頼まれて来ているんだ」と居直った。乱闘服の機動隊が、交通ビル前の公道をバリケードで封鎖した。
 中央委員会への機動隊導入は初めての事態である。国労本部はついに、組合員の団結の砦(とりで)である国労会館前にも権力を引き入れた。こうして権力は国労中央委員会を徹底的に蹂躙(じゅうりん)し、高嶋−寺内らに闘争団の切り捨てを強いたのだ。
 鉄建公団訴訟に踏み切った闘争団員も、本部による統制処分を許さぬ決意で交通ビルに駆けつけた。機動隊が彼らの行く手を阻む。
 機動隊と対峙しながら、闘争団員が次々とマイクを握って訴えた。「闘いを途中で投げ出したくない。節を曲げない」「国家権力・機動隊の力を借りて会議を開く。どうしてこんな組合になったのか。人として恥じない、正しいことは正しいと言い、社会正義を貫く、そんな国鉄労働組合はどこにいったのか」
 闘争団の訴えにこたえ、交通ビルに駆けつけた支援の労働者約200人が、力の限りのシュプレヒコールを上げた。
 午後1時過ぎ、「警備体制がとれない」という権力の指示で、中央委は予定より大幅に早く閉会した。会場内での抗議行動を貫いた組合員が、査問委設置の事実を報告すると、直ちに抗議集会が開かれた。
 闘う闘争団の内田泰博共同代表が、「自分の人生は自分で決める。その決意は変わらない」と訴えた。
 秋田の闘争団員は、新井・今井らの分裂を放置した本部が、闘争団への統制処分に突き進んでいることを語気鋭く弾劾した。
 「私は本当に許せない。分裂行動は前々から分かっていたのに、本部は何もしなかった。分裂してから、残って闘っている組合員に対して執行権を停止した。再建集会を組織することもオルグすることもできない。財産も凍結だ。自腹を切って会場費を払い、組合員を集めて秋田地本を再建してきた。分裂の動きがつかめたら直ちに執行権を停止し、中央本部が直接執行機能を果たすのが当たり前のやり方だ。しかし、分裂は自由にさせて、残った組合員をやりにくくさせた」
 「本部は、分裂問題を放っておいて『一部闘争団が解決を妨害している』と言っている。闘争団問題を言う以前に、分裂と闘うことが労働組合の一番重要な課題だ。そんな執行部があるのか。その一点で責任を問われてしかるべきだ。その責任は問われないまま、闘争団だけが処分される。ふざけるんじゃない。解雇された者はみんな必死で、あらゆる方法で闘おうとする。訴訟を起こしたのが悪いと言うなら、ほかの方法を教えてほしい。統制処分は許せない」
 さらに、JR本体の組合員が、闘争団を支えぬき、本体の決起をつくり出す固い決意を表明した。
 結集した国労組合員と支援の労働者は、抑えきれない怒りとともに、闘争団への統制処分を粉砕し尽くす決意を固めた。

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