ZENSHIN 2002/04/01(No2047 p06)

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週刊『前進』(2047号1面1)

 3・30春闘総行動−新宿デモへ 春闘解体の攻撃粉砕しストライキ貫徹を

 有事立法の4月国会提出阻止

 連帯戦略と国際的内乱の爆発で排外主義・国益主義を打ち破れ

 3・30春闘総行動の大成功へ、あと1週間の渾身(こんしん)の決起を訴える。02春闘の歴史的な階級決戦性は一層明らかになっている。日帝総資本は、金属を始めとする全産業で軒並みベアゼロを回答し、さらに定期昇給の凍結、賃金カットを強行している。半世紀にわたって日本の労働者階級の闘いの軸となってきた春闘が、ここに完全に消滅するかどうかの瀬戸際に立たされているのだ。他方で日帝・小泉政権は、米帝ブッシュの激しい世界戦争戦略、帝国主義間争闘戦への共同と対抗の衝動にかられ、4月冒頭にも有事立法関連4法案を国会提出しようとしている。全日建運輸連帯関西地区生コン支部、全国金属機械港合同、動労千葉の3組合が呼びかける3・30春闘総行動の位置は、このような情勢の中で決定的にせり上がった。3組合の呼びかけにこたえ、動労千葉の72時間ストライキを先頭にした動労総連合の統一ストライキに連帯・合流し、3・30中央総決起集会(要項2面)の大結集をかちとろう。

 第1章 定昇解体・賃下げ、労組破壊に反撃を

 3・30春闘総行動は、まさに歴史的な階級決戦情勢の中で闘われる。
 第一に、今春闘において、資本攻勢が歴史的分水嶺(れい)を完全に越え、新たな段階に入った。日帝総資本はついにベアゼロから定昇解体、終身雇用制解体という階級戦争とも言うべき攻撃に全面的に踏み込んできた。これに対する猛然たる怒りを爆発させて決起しようということだ。
 3月13日の金属大手の集中回答は、自動車、電機、鉄鋼、造船重機などで軒並みベアゼロだ。史上最高の1兆円もの経常利益を上げるトヨタ自動車のベアゼロに、日帝ブルジョアジーの階級意志を見ることができる。日経連会長でもある奥田トヨタ自動車会長は、「有額回答」の情報が流れると、労務担当者を「まだそんなことを考えているのか」としかりつけたという。結局、トヨタは「国際競争力を再生させるため」とベアゼロで押し切った。トヨタ労組の幹部が「日本株式会社と交渉している感じ」と言っていることに事態の本質は明らかだ。
 個別資本を超えて、日本帝国主義のむき出しの争闘戦=「国際競争力」を動力として、総資本=「日本株式会社」の生き残りをかけて、上からの階級決戦をしかけてきたのだ。これと対決する「帝国主義を打倒する労働運動」をつくる以外にない。
 しかも、ベアゼロの妥結後に、日立(グループ33万人)が5%賃金カットを提案したのを皮切りに、松下電器、NEC、東芝、富士通が定期昇給の凍結・延期を強行しようとしている。いすゞ自動車7%、住友重機械15%など賃金カットの攻撃も相次いでいる。コマツでは労組が定昇削減を要求して妥結するという異例の事態となった。
 鉄鋼では来年のベアゼロも確定した。それと引き換えに鉄鋼労連が要求した「雇用安定協定」は単なる「確認書」にとどまった。電機でも「議事録確認」がされているが、万単位の人員削減を打ち出しながら何が「雇用安定」か。
 今春闘の最大の特徴は、ついに日帝総資本が定期昇給の解体に手をつけたということだ。毎年、年齢が上がるごとに昇給する定昇を解体することは、それを前提にした年功賃金と終身雇用制が崩壊することを意味する。日経連が95年に「新時代の『日本的経営』」で打ち出した、ほとんどの労働者を「雇用柔軟型」=不安定雇用、非正規雇用にする攻撃が本格化したのだ。賃金・雇用制度の文字どおりの「構造改革」である。NTT11万人合理化―3割賃下げのような現状破壊的な攻撃が当たり前になろうとしている。終身雇用制の解体は、すでに膨大に存在する不安定雇用労働者を含めた労働者階級総体を極限的に低賃金化するのだ。
 これはまた、ベア要求を放棄し、定昇だけは確保したいなどと全面屈服した連合系の労働組合をも根本的に否定する攻撃である。春闘の妥結直後に、その妥結内容を覆す賃金カット、定昇凍結を提案するとは、労働組合無視も甚だしい。このように、戦後的な労資関係を全面的に転覆する攻撃が始まったのだ。労働者階級人民にとって、もはや闘う以外に生きられない時代に入ったのだ。
 労働者の団結の最も基礎的な形態である労働組合が解体されるのか否かという情勢を、われわれは革命党として、労働者階級の死活のかかった重大情勢として見据えなければならない。「労働組合の防衛と再生」という課題が一段と重みを増しているのである。
 攻撃の本質は、国鉄1047人闘争に対する解体攻撃、国労・動労千葉解体攻撃、さらには石原都知事による賃金カット―都労連解体攻撃などとまったく同じである。
 敵の攻撃があまりにも激しく、連合が全面屈服している現状に、多くの労働者の怒りは極限状況にある。終身雇用・年功賃金制の解体から、それを前提とした税制、社会保障などの戦後労働者支配のあり方が転覆されるということは、これまでとはまったく違った激動情勢に入るということだ。労働者はもはや「会社のためには」と忠誠心を持ち続けることなどできない。労働者の怒りがせきを切ったように噴き出す時代が始まるのだ。資本の側もそれを恐れ、「治安維持に注力を」「警察官を増員せよ」(労問研報告)と叫んでいるではないか。
 問われているのは、本当にもう我慢できないという労働者の怒りを組織し闘いを巻き起こすことである。連合やJR総連、全労連などを打倒しのりこえる運動を実際につくり出すことである。
 今、国鉄闘争において、闘う闘争団を支持するのか否かをめぐって起きている国労内の攻防、国鉄闘争支援陣形の中で始まった分岐と流動が、もっと大きな労働運動全体を巻き込む規模で起こることは間違いない。階級的労働運動が台頭する新たな条件が生まれているのである。

 第2章 世界戦争の危機と対決し小泉打倒へ

 第二に、日帝・小泉超反動政権と対決する階級決戦がついに到来したということである。
 今春闘での日帝総資本の攻撃は、まさに小泉の「構造改革」路線そのものだ。日帝の戦後的支配の構造を転換する攻撃が最も鋭く吹き荒れているのだ。日帝経済危機が深まり、不良債権処理や財政構造改革という点で、小泉「構造改革」は大破産の危機を迎えている。加えて鈴木宗男や加藤紘一の腐敗が暴かれ、政権発足以来の最大の危機に陥っている。
 だからこそ、労働者階級への犠牲転嫁の攻撃がより強まってきているのだ。そして、排外主義と国益主義を押し出し、有事立法・改憲、戦争国家化への動きをますます強めている。資本攻勢と有事立法は一体の攻撃なのだ。
 小泉政権が狙う有事立法制定の攻撃がいよいよ具体化してきた。小泉政権は4月10日までに有事法制関連法案を「武力攻撃事態への対処に関する法制」として一括提案する方針を固めた。それは@有事対応の枠組みを示した包括法案と、個別法としてのA安全保障会議設置法改定案、B自衛隊法改定案、C米軍の行動に関する特別措置法案、の4本になると言われる。
 小泉政権は今、「武力攻撃事態」とはどのような事態を指すのか、大規模テロや「不審船」、ミサイル攻撃はどうか、あるいは国内で長期間、戦闘が継続する事態は念頭に置かないだとか、検討を行っている。政府の内部文書では「戦前の『国家総動員体制』を目指すものでないことも明示している」などと報道されている(3・16付朝日新聞)が、それは逆に、有事法制とは、まさに国家総動員体制をつくるものであることを示している。
 その核心は憲法を停止し「国家緊急権」をもって、自衛隊が実際に戦争をやるということである。有事立法が発動され、憲法が停止されるということは、労働基準法や労働組合法など問題にもならなくなるということだ。労働組合の存在すら許されない。今春闘における労働組合解体攻撃は、そういう情勢の中で起こっていることなのだ。
 重大なことは、有事立法が具体化する前にすでに戦争が始まり、一刻の猶予もなしに有事立法を通そうとしているということだ。
 米帝ブッシュは「2002年は戦争の年」「対テロ戦争の第2段階」と叫び、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、アフガニスタン侵略戦争を泥沼的に継続し、イラクへのより凶暴な侵略戦争に突入しようとしている。
 イスラエル軍がパレスチナのヨルダン川西岸ベツレヘム自治区などから撤退し、イスラエルとパレスチナ自治政府の「停戦合意」が進みつつあると言われるが、これは、イスラエル・シャロン政権が、パレスチナ人民の不屈の決起と国内での「軍務拒否」の拡大に追いつめられ、国家存立の危機に陥っていることを示すものである。そして、米帝が「イラク攻撃への地ならし」のために、パレスチナ問題の爆発に一定の制動をかけようということに過ぎない。
 米帝ブッシュは、イラク攻撃などで「(核兵器使用を含む)すべての選択肢を持たなければならない」(3・13記者会見)と述べた。米国防総省の「核戦略の見直し計画」で、中国、ロシア、北朝鮮、イラク、イラン、リビア、シリアの少なくとも7カ国を対象に核攻撃を計画していることが暴露された。米帝ブッシュは、実際に核戦争を含めた世界戦争をやろうとしているのだ。
 こうした米帝の世界戦争戦略の中で、朝鮮・中国に対する侵略戦争の切迫は、「日本有事」に直結する。小泉政権は、米帝ブッシュの戦争政策を全面的に支持し、日本を米軍の出撃基地にするとともに、日帝独自の戦争遂行能力をつくろうとしているのだ。そのための有事立法なのだ。
 日帝・小泉は、すでに米帝のアフガニスタン侵略戦争に派兵・参戦し、さらに東ティモールへのPKO派兵を強行した。その上で、一層本格的な戦争国家化を狙う有事立法を企てている。なんとしても阻止しなければならない。
 3・30春闘総行動は、小泉超反動政権打倒を掲げ、世界戦争の危機と対決し、有事立法阻止決戦の出発点を築く闘いなのである。

 国際連帯・反戦春闘の旗掲げ

 第三に、全世界の労働者階級、被抑圧民族人民の闘いと連帯し、日本の労働者階級が国際的な階級闘争の舞台に勇躍して登場する、そのことをかけた決戦に今立ということだ。
 すでに見た米帝の戦争政策は、米帝の「強さ」の現れではなく、帝国主義経済の破局的危機と中東や東アジアにおける新植民地主義支配体制の危機が深まり、戦争に訴えてそれを打開しようと絶望的に凶暴化していることを示している。だが戦争の拡大は、アフガニスタンやパレスチナの情勢が示すように、被抑圧民族人民の闘いを一層激烈化させる。9・11反米ゲリラ戦争をもって始まった国際的内乱を拡大し、全世界の労働者階級と被抑圧民族人民の団結で帝国主義を打倒する世界革命の時代を切り開かなければならない。
 イスラエル軍の撤退開始後も、20日にはパレスチナ人民がイスラエルで自爆決起を敢行し、8人が死亡した。ペテン的な「和平」策動によって、この闘いを抑え込むことはできない。00年秋以来のイスラエル軍の侵攻によって、すでに1600人近くが死亡(うちパレスチナ人が1200人以上)している。パレスチナ人民は後戻りすることのない不退転の決死の闘いに突入しているのだ。
 アフガニスタンでも、3月初めから米軍がアルカイダ掃討を狙った最大規模の作戦を強行し、「500〜800人のアルカイダ兵を殺害した」としているが、実際に地元部隊が確認した遺体は40〜50体程度で、「アルカイダをせん滅するという意味では作戦は失敗だった」(地元軍幹部)のだ。しかも米軍ヘリが撃墜され8人が死亡するなど、米帝の侵略戦争は泥沼に突入している。
 アルカイダを始め、アフガニスタン人民の不屈の抵抗闘争は不可避である。
 さらに、南朝鮮・韓国では、鉄道・発電・ガスなどの公企業の民営化阻止へのゼネストが闘われている。発電労組のストライキは1カ月近くに及んでいる。
 中国でも、大慶油田の一時帰休労働者が「仕事を返せ」と、独立労組の許可を要求し、軍と対峙して最大5万人の抗議行動に立ち上がっている。
 3・30春闘総行動こそ、こうした全世界の人民の闘いに対する日本労働者階級の血と汗の回答であり、連帯の闘いなのである。

 第3章 動労千葉・総連合のストライキ防衛を

 この時、日本の労働者階級の最先頭で動労千葉・動労総連合のストライキが闘われようとしている。
 動労千葉のスト決起は、JR資本の第2の分割・民営化攻撃、資本と一体となったJR総連カクマルのスト破壊策動を打ち破って実現されようとしている。それは資本やJR総連との力関係を考えれば、並大抵のことではない。この闘いを決断し実現しようとしている執行部と組合員の渾身の決起に心から拍手を送り、同時にその闘いを全労働者が共有し、連帯してともに立ち上がろうではないか。
 そして、この闘いは動労千葉・動労総連合だからできる闘いだということにとどめず、今こそ全労働者が実現すべき闘いである。動労千葉・動労総連合のストは、日本労働者階級の闘いに火をつけるイスクラ(火花)となるに違いない。
 動労千葉のストライキは、何よりも今春闘のベアゼロ―定昇解体・賃下げ攻撃に抗し、3万8千円の賃上げを要求して闘われる。JRではすでに西日本、東海がベアゼロ回答を出し、東日本、貨物の回答が焦点となる。これに対して動労千葉のストは、大幅賃上げを掲げた決定的な闘いとなる。松崎・JR総連カクマルのファシスト労働運動を弾劾し、その「JR春闘」路線の破綻(はたん)を暴くのだ。
 さらに、国鉄1047人闘争解体、国労・動労千葉解体攻撃に抗する起死回生の闘いだ。この闘いをとおして国労を階級的に再生させるなら、国鉄労働運動が階級的労働運動の砦(とりで)となるのである。
 この動労千葉・動労総連合のストに、心揺さぶられない労働者はいない。もっと多くの労働者に伝え、ともに闘おうと訴えよう。

 党の自己変革かけ総決起を

 今、必要なのは党の自己変革的な総決起である。この情勢に必死で立ち向かい、ほとばしるような情熱と気迫をもって労働者階級を組織することである。
 3・17革共同政治集会は、東京・豊島公会堂に780人が結集し、3・14復讐戦貫徹、カクマル完全打倒を誓うとともに、当面する3・30春闘総行動への総決起、3・31―4・14三里塚暫定滑走路開港阻止闘争、有事立法粉砕・改憲阻止決戦、国際反戦闘争の爆発、そして長期獄中同志奪還と党勢倍増に向かって、党の密集した力をつくり出した。
 春闘総行動と一体となって闘われている介護保険闘争、教育基本法改悪反対運動、有事立法反対の百万人民の決起運動の先頭に立ち、これらの勝利をかちとろう。
 3・30春闘総行動中央総決起集会へ、あと1週間の全力決起を重ねて訴える。3月30日、東京・渋谷の宮下公園に総結集し、新宿へのデモに立とう。ここから日本階級闘争の新たな一ページを開こう。4―6月決戦の突破口を切り開こう。

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週刊『前進』(2047号1面2)

 動労千葉

 千葉支社に怒りの抗議 新保全体系の強行阻止へ

 動労千葉・動労総連合は、今春闘を組織の総力を挙げて闘い抜いている。動労千葉は、2月20日からの休日労働・超勤拒否の非協力闘争に続き、3月13日には幕張電車区と京葉電車区で指名ストに突入した。
 これは、動労千葉との団体交渉も拒否したまま、4月1日の「新保全体系」強行に向けての教育訓練を一方的に通告してきたJR東日本の暴挙に対する反撃だ。JR資本は、動労千葉の存在を無視し、その解体を意図して、安全運行をも破壊する大攻撃に出てきたのである。動労千葉は、組織の存亡をかけてのストライキを決断した。すでに、3月28〜31日のストライキ山場に向けての、激しい攻防が火を噴いている。
 3月18日、動労千葉は怒りに燃えてJR千葉支社抗議闘争に立ち上がった。午後5時半、千葉駅前に100人以上の組合員が結集した。「新保全体系を阻止するぞ」「JRは不当労働行為をやめろ」「シニア制度反対」などのプラカードが林立する。JRの職制が周りを取り巻くが、意気上がる組合員の行動を苦虫をかみつぶしたような表情で監視することしかできない。
 断固としたシュプレヒコールが響き渡った。退勤途中の労働者が「ストライキ?」と思わず振り返る。組合員は、駅前の各所に散開して、スト支援を訴えるビラまきに入った。「動労千葉はストライキに入ります」という元気な声に、通行する労働者が次々とビラを受け取っていく。ストライキ! 今、労働者にとってこれほど胸のすく言葉はない。ベアゼロ・定昇凍結や出向・転籍、リストラ・首切りの攻撃が労働者を襲う中で、連合はこれを率先して受け入れ屈服した。この現実への怒りは渦巻いている。連合支配下で長年抑圧されてきた、階級的団結に基づく実力抵抗の闘いこそ、労働者が心底から求めているものなのだ。
 6時半、ビラまきを貫徹した組合員は、千葉支社前に移動した。千葉支社への怒りのシュプレヒコールがたたきつけられた。「1047名を職場に戻せ。検修−構内外注化阻止、新保全体系合理化粉砕。組合差別のシニア制度粉砕、士職登用差別を許さないぞ。ベアゼロ攻撃粉砕、大幅賃上げをかちとるぞ」
 再び駅前に戻った組合員に、中村栄一書記長が、28〜31日の決戦本番へさらに団結を固めて闘い抜くことを訴えた。
 JR資本は、東日本のニューフロンティア21を始め、動労千葉・動労総連合と国労の解体を核心に据えた第2の分割・民営化攻撃をかけている。すでにJR西日本、東海がベアゼロ回答を出している。旅客会社では初めてのベアゼロだ。これらの攻撃の先兵こそ、ベア要求さえ放棄した日貨労などJR総連カクマルだ。東労組カクマルは資本の手先となってスト破壊を策している。
 動労千葉は、こうした攻撃と全力で対決し、全組合員のストを打ち抜いて3・30春闘総行動中央総決起集会に結集する。ここにこそ情勢を突き破る根底的な力がある。動労千葉にこたえ3・30に総結集しよう。春闘を最後まで闘い抜き、その中から国際的内乱の時代の一翼を担う日本労働者階級の総決起を創出しよう。

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週刊『前進』(2047号2面1)

小泉政権打倒! 怒りの春闘総行動を

メンテナンス外注化粉砕−JR東本社弾劾の大デモを
 出向者見捨てた国労本部許すな

 3・30春闘総行動中央総決起集会に向けたラストスパートの過程に入った。ストライキを敢然と掲げ、団結を固めて前進する動労千葉など3労組の呼びかけにこたえ、労働者階級の総決起を実現しよう。勝利する路線、怒りを体現する方針のもとに「労働者は必ず決起する」という確信も固く、「労働者の中へ」を実践しよう。
 動労千葉は、3月13日、幕張・京葉電車区で指名ストに突入した。「新保全体系」の4月強行実施に突き進むJR東日本への、断固とした反撃に立ったのだ。新保全体系とは、電車の検査周期を大幅に延伸する安全無視の極みである。しかも、通常なら1年〜数カ月をかけて組合との団交などを経て実施するものを、今回は動労千葉を無視して4月1日から強行するという。JRは、これを突破口に検修−構内業務の全面外注化を推し進め、検修職場から動労千葉を一掃しようとたくらんでいるのだ。
 動労千葉は、本部役員の強制配転と新保全体系の強行実施という組織破壊攻撃に、総力を挙げた反撃を開始した。ここには、外注化・合理化、人員削減、安全無視に対する、動労千葉はもとより国労組合員、JRで働く全労働者の怒りが体現されている。
 現場の怒りは爆発寸前だ。労働者は闘う方針と勝利の路線を求めている。自分たちもストに決起したいと心から望んでいる。動労千葉に学び、国鉄労働者の総決起をつくり出そう。

 出向強制でも国労を差別

 金属大手の一斉回答は、トヨタを始め軒並みベアゼロとなった。さらに、定昇凍結・賃金カットの攻撃が吹き荒れている。すさまじい危機に立つ日帝資本は、NTT11万人大合理化に示されるように、日経連路線をストレートに貫徹する大攻撃に踏み切ってきた。
 こうした攻撃は、JRでも本格的に現れている。JR西日本、東海がベアゼロ、貨物も一昨年、昨年のベアゼロに続き今年もベアゼロを狙っている。それはまた、シニア制度導入と保守3部門の外注化−転籍強要や、国鉄闘争解体の4党合意として貫かれている。権力・資本は総力を挙げて国鉄闘争解体のために襲いかかっている。まさにそれは第2の分割・民営化とも言うべき大攻撃である。
 JR東日本は、施設(保線、土木、建築、機械)と電気(電力、信号通信)の全面外注化・合理化攻撃を昨年12月から今年2月にかけて一気に強行した。残る検修−構内でも外注化が強行されている。
 昨年8月、JR東日本は施設と電気の2部門の要員を3312人削減する提案を行った。実数では3500人、東京管内でも1100人に及ぶと言われる。それは、5年間で1万人を削減する「ニューフロンティア21」の最大の柱をなす攻撃だ。
 メンテナンス外注化は、鉄道事業の根本を支える保守部門を子会社に丸投げするものであり、「鉄道始まって以来の大合理化」だ。JRは保守技術を持たない鉄道会社になってしまうのだ。言うまでもなく保守部門は安全に直結している。ただでさえJRでは事故が多発し社会問題になっている。にもかかわらず、安全を一層破壊し、作業員や運転士はもとより、乗客をも恒常的に危険な状態にさらそうとしているのだ。
 今回の出向強制においては、徹底した国労破壊の狙いが貫かれた。大量の出向そのものが組合員を分断し団結を破壊するものだ。国労組合員のうち50〜60%が出向に出された。東労組は20〜30%であり、組合差別は歴然としている。まさに不当労働行為である。しかも「国労本部の方針に反対した者、団交で頑張った者が出向に出された」というのが現場組合員の圧倒的な声なのだ。先行きの不安をあおることで、露骨な脱退強要も行われている。
 出向に出されて喜ぶ労働者は誰もいない。「自分たちの手で安全を守る仕事をしたいのに、なぜできないのだ」――こうした怒りは満ちている。
 出向に出された組合員からは、劣悪な労働条件に対する怒りの声が次々と上がっている。「ないと言われていた連続の夜勤が当たり前で、月に10日もある。日勤はほとんどない」「通勤時間が片道2時間半かかる」「体が持たない」「着替えのロッカーもない。食事をする机もない。お茶も飲めない」など、その声は切実だ。

 資本の先兵に転落した本部

 2・3国労中央委で、国労本部は闘争団への査問委員会設置を強行し、解雇された闘争団の首を切るというすさまじい暴挙に突き進んだ。それは、4党合意に屈した国労本部が、国鉄闘争解体の最先兵へと転落したことをあからさまに示したものだ。
 これと一体となって、東日本エリア本部のチャレンジと革同は、メンテナンス合理化でも資本の手先となった。昨年8月、彼らは保守部門の組合員の圧倒的な反対を踏みにじって裏切り妥結を強行した。反対の声を上げることさえ抑えつけ、10月の大衆行動も中止した。今春闘でもスト通告さえしていない。団交では会社側に立って、現場の声を圧殺する側に回った。これだけの大合理化に対して、国労本部は闘うポーズさえとらなかったのだ。
 現在も、出向に出された組合員の切実な怒りの声に対して、まったく闘う姿勢を示していない。それどころか、出向先で組合員が声を上げ、権利を主張し、団交を行うことを必死で抑え込んでいる。出向先会社との団交は、労組法上の権利である。出向者に交渉権を委譲することもできる。だが、本部は出向を強いられた組合員に何の権限も与えず、会社の言うままになれと強制しているのだ。
 国労本部は、闘争団とともに、出向者をも切り捨てて、国労組織とその団結の解体に突き進んでいる。この現状を、なんとしても覆さなければならない。

 勝利の路線と方針は3・30に

 動労千葉のスト決起の号砲は、圧倒的に国労組合員の心に響いている。国労本部の求心力は今や急速に失われている。本部の制動を離れた国労組合員は、劣悪きわまる労働条件に怒りを燃やし、「仲間を裏切らない」と人生をかけて闘ってきた道筋を振り返りながら、新たな闘いを必死に模索しつつある。
 現場組合員にはやり場のない怒りが満ちている。この怒りを階級的に組織し、勝利の路線と方針を与えるものこそ3・30だ。それは、何よりも憎きJR東日本本社に怒りをたたきつけることができる唯一の闘いなのだ。一度は首を覚悟した労働者が、15年にわたる誇りに満ちた闘いを貫き通す場を求めている。自信を持って3・30への結集を呼びかけよう。最後の1週間を全力で闘おう。

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週刊『前進』(2047号2面2)

 NTT、51歳以上の9割超に「退職」強要

 「新3ヵ年計画」弾劾し新宿デモへ

 終身雇用制解体の悪らつな攻撃

 NTTの11万人合理化攻撃=「新3カ年計画」は、終身雇用制・年功賃金制の全面的解体攻撃、労働組合解体攻撃の最も激しい攻撃であり、今後の資本攻勢の新たな原型とも言うべき攻撃である。
 それは、NTT東西地域会社などに働く51歳以上の労働者をいったん退職させ(事実上の50歳定年制)、地域別子会社(OS会社)に再雇用し、賃金を一気に15―30%も切り下げるというものだ。
 この1月には、「退職・再雇用」か「満了型」(60歳まで本体に残る)かの「選択」を強制され、51歳以上の5万5千人のうち9割以上が「退職・再雇用」を「選択」した。東日本関係では「退職・再雇用」が97%に達するという。2月には、個々の労働者に4月30日の辞職を承認するという「辞職承認通知書」が手渡された。
 「雇用形態選択」と称して、現在の職場で働き続けたければ「辞職願」を出させる。それを拒否すれば無条件に現在の職場からたたき出される。このあくどさ、悪らつさを断じて許してはならない。
 大半の労働者が怒りを胸にしながらも、労資が一体となって「満了型を選べば全国どこにでも飛ばすぞ」と恫喝するという攻撃のすさまじさの中で、「退職・再雇用」を選択せざるを得なかった。労働者としての誇りを奪い、労働組合を解体する許し難い攻撃だ。
 さらに、1月に募集された「希望退職」に東西で4400人が応募した。これで1年余りの間に2万人以上が「希望退職」という形で首を切られた。

 NTT労組指導部の協力許すな

 こうした激しい攻撃のさなかに、3月14日、NTTグループ主要8社の春闘が3年連続のベアゼロで決着した。成果手当もドコモが300円、データが500円で、あとはゼロだ。一時金は軒並み大幅削減だ。
 51歳以上のほとんどの労働者に最大3割もの賃下げを強制した上で、本体に残る労働者にも一層の賃下げを強制しようというのだ。
 今春闘において、金属大手が軒並みベアゼロ妥結し、電機ではその直後に賃金カットや定昇延期などの提案がなされるという、とんでもない事態が進行している。これはNTT型とも言うべき現状破壊的な賃金破壊の攻撃だ。NTT労組の犯罪性は明らかだ。
 NTT労組は、2月8日の第6回中央委員会で、あらかじめ「ベアゼロ」の方針を決定していた。津田委員長はあいさつで、許せないことに「新体制への移行(11万人合理化)について、皆さんの理解と協力を得て順調に推移していると報告を受けている」などと、現場労働者の苦悩など一顧だにしない居直りの発言を行った。
 さらに「年功賃金から成果賃金へ。終身雇用から有期雇用へ。典型社員から非典型社員の増加。そして、グローバル化の進展などを直視すれば、労働運動もこれらの変化に対応した組織形態と新しい運動スタイルが求められる」として、終身雇用制・年功賃金制解体、不安定雇用化を一層推し進めていくことを宣言した。断じて許してはならない。
 闘う電通労働者は、こうしたNTT労組指導部の裏切りに抗し、大合理化攻撃への反対を貫いた。そして「辞職願」を出してOS会社で仲間とともに闘うのか、拒否して本体に残って闘うのかの「意識的な選択」をして、新たな闘いへと歩を進めている。
 本体に残る労働者に対して、NTT資本は、「スキル・スペックが合わない」「特に組織的選択者の対策が必要」と言いなし、「研修」を強制し、その上で、全国どこへでも飛ばし、本体以外の業務に就かせようとしている。国鉄分割・民営化の際の人材活用センターのようなものが狙われているのだ。
 他方で、資本の予想をも超えて、ほとんどの労働者がOS会社に移行する道を選択したため、地方ではOS会社が「過員」で本体が「欠員」となる。このため、OS会社に再雇用した上で、本体に「会社間派遣」することや、地方のOS会社への移行を希望した労働者を首都圏に残すことなどが検討されているという。いずれも、退職・再雇用―賃金カットした上で本体業務をやらせるということだ。OS会社が「墓地の清掃」や「弁当宅配」などの事業をやることが計画されている地方もある。

 労働者の誇り持ち新たな闘いへ

 こうして、本体においてもOS会社においても、新たな攻撃との闘いが始まる。闘いはこれからだ。労働者としての誇りを取り戻し、自らの権利を自らの闘いで守ろう。
 動労千葉・動労総連合は全労働者の権利を守るためにストライキに立つ。ストに突入し、NTT東日本の本社もある新宿へのデモを呼びかけている。NTT労働者の怒りと悔しさをも体現した闘いだ。
 この動労千葉・動労総連合のストに合流し、ともに3・30春闘総行動中央集会に集まろう。怒りのデモに立とう。

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週刊『前進』(2047号2面3)

 ルポ・金属機械の労働現場

 倒産・事業所廃止と闘う

 “絶対あきらめない” “楽しく闘っていく”

 倒産攻撃と闘っている組合と事業所廃止攻撃と闘っている組合があると聞いて話を聞きに行った。

 倒産攻撃

 倒産攻撃と闘っている関東地方A県のB職場は、工業団地の一角をなしているが車がなければかなり不便な場所にあった。工場の建物には赤旗が何枚も張られており、争議中であることが外から見てもわかる。
 会社は自動車部品の生産会社で、第一次下請けだった。組合による工場占拠体制がとられており、封鎖された建物に入れてもらうと、工場の建物はかなり広い。機械が所狭しと数多く並んでおり、これを60人で動かしていたのかと思って聞いたら、1人で数台の機械を受け持っていたという。中には8台もの機械を動かしていた人もいるそうだ。組合が使っている部屋は団結もちつき大会や支援集会の写真が張り出されていた。家族ぐるみでもちをこね、杵(きね)を振るう顔が明るい。
 泊まり込み体制に入っていた書記長にお話を伺った。「倒産することがはっきりしたのが昨年10月末。30日に開かれるはずだった団交が開かれず、窓口折衝したところ『明日正式に組合に話がある』ということで、31日の朝礼で社長が『不渡りを出す。10月分の給料は出せない。これから金策するから、みなさんはここの職場を守ってくれ』と言った」という。「直ちに労働債権確保のため売掛債権譲渡協定や工場使用協定などの協定を結ばせた」
 会社側は12月に破産申し立てをし、2月に破産が決定した。当初10数人だった組合にすべての労働者が加盟して60人の組合員になった。「倒産攻撃との闘いという初めての経験で、一時期は電気が止められたり、年末調整のためにはどうするのかなどと戸惑いながらの闘いではあったが、社長がバリケードを破壊して突入してきた時には守っていた労働者全員の怒りの弾劾で撃退した」。労働者にだけ犠牲を押しつけた経営者に対する怒りは大きい。
 「労働債権の確保と自主再建という大きな目標に向かって、あくまで闘い抜く。職場占拠をよりどころに、力で押し切って勝利したい」と書記長は語る。
 それにしても許せないのは、労働者を犠牲にして生き残ろうとする元請けや銀行のやり方だ。「元請けはこの会社を切り捨てるつもりで仕事を他に回す準備をしていた。そもそも下請けには利益の出ないような形で仕事を回していた。銀行は融資を打ち切って破産に追い込んだ。貸し付けていた資金を回収するために、元請け会社へのこの会社の売掛金に対する『貸付債権譲渡約定』を結んだのである。しかも会社もそれを承認していた」。こうして、運転資金の融資が止められ会社が倒産したし、10月分の給料も出なかったのだ。労働者の労働債権が削り取られ、すべての犠牲が労働者に押しつけられたのだ。
 「倒産することが明らかになってみんなでハローワークへ行ったが、35歳以上はまったく求職がないので、みんながっかりして帰った」という。若い人も含めて今までに再就職できた人はほんの数人しかいない。この日の泊まり込みに入っていた他の労働者はパソコン入力の熟練のための練習をしていた。実際には50歳すぎの労働者が再就職するのはかなり厳しいのが現実だろう。工場はあり機械はある。熟練技術を持った素晴らしい労働者がいる。なのになぜ「エンプロイヤビリティ」などと理不尽なことを言われなければならないのか。これが日帝が言うところの不良債権処理の実態であり、小泉「構造改革」による労働者への「痛み」の強制なのだ。
 「当初は組合内で闘う体制をつくるのにやっとだったが、昨年12月からは背景資本の銀行へのビラまきや元請け会社への申し入れ、他組合への支援要請など、外に出て闘うことも始めている」。破産管財人も決まって、6月には債権者集会も開かれるという状況の中で、あくまでも労働債権確保・自主再建のために闘い抜いている。
 「債権者集会が開かれてからが本格的な闘いだ。異議申し立てなど、やれることはすべてやって勝利したい。いくらでも闘い方はある。絶対あきらめるわけにはいかない」と書記長が決意を語ってくれた。銀行へのビラまきや元請け会社への行動もさらに強め、行政への行動も行っていくそうだ。これから困難な闘いが続くだろうが、組合の団結を固めて勝利を目指して闘っている。

 事業所閉鎖

 翌日、関東地方C県の事業所閉鎖攻撃と闘うD組合を訪ねた。工場敷地内に赤旗を翻した組合事務所があり、委員長に話を伺うことができた。
 この会社も自動車会社の下請けで部品を作っている。組合は10人弱の少数第一組合で、20数年前に多数派第二組合の分裂攻撃が加えられた。会社の事業所廃止の目的は「生産会社に特化」して事業所を廃止し、全機能を本社工場に統合し工場全体での大リストラで固定費を削減することだそうだ。しかも事業所を廃止し資産を売却してその資金を希望退職の原資に充てようとしている。ここでも労働者を犠牲にして資本が生き延びようとしている。
 同時に、第一組合がある事業所廃止を打ち出したこと自身が、闘う第一組合を解体する狙いであることは間違いない。
 もともとこの事業所は本社工場を他県に移転した際によそに移れない事情がある人が残って生産を続けてきた工場だから、「事業所の閉鎖は労働者への首切り強制に等しい」。「何回も呼び出されて退職せざるえないように追い込まれた」ため、希望退職の応募数はすぐにいっぱいになり、それでも廃止予定の事業所には第一組合を始め10数人の労働者が残った。
 組合は工場をあくまで残させ、組合の旗を守ろうと闘っている。「事業所を存続させ、工場の全機能を維持しろ」というのが組合の要求だ。資本がさらに直接に組合つぶしの攻撃を強めて来れば、本格的な攻防が始まることになる。委員長は「会社がそこまでやってくるんだったら、こっちもとことん闘う」と決意は固い。何より、あらゆる攻撃にさらされてきて、それとの闘いに勝利してきた自信と確信がある。また第二組合の多くの労働者が「泣き寝入り的退職」に追い込まれてきたことへの許せないという思いもある。
 「事業所を存続させる闘いは労働者の運動としてやらないと勝てない」とこれからの闘いの厳しさを見据えている。だが「闘えば何とかなる。これまでの不当労働行為との闘いで身につけたものがある。不安はない。正面からぶつかっていく。楽しく闘っていこうと思う」と委員長は明るい。
 両組合を訪ねてあらためて思うのは、労働者は闘わなければ生きられない時代になった、ということだ。そして闘えば必ず展望が開けてくるのではないか。
 (本紙・柿坂信二)

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週刊『前進』(2047号2面4)

 資本攻勢&労働日誌 2002

 3月1日〜15日

 電機で妥結直後に賃下げ攻撃

 都労連、賃金削減で都と交渉/賃金11ヵ月連続減少

●1日 総務省が発表した労働力調査によると、1月の完全失業率は5.3%で、前月よりも0.2ポイント減少した(昨年12月の完全失業率は、統計上の再計算の結果5.6%から5.5%に変更)。厚労省発表の有効求人倍率は前月と同じ0.51倍。
◇連合は第2次「全国雇用アンケート」の集計結果を発表。6カ月以上の失業者が約4割と長期化傾向(労働者の声を別掲)。
●2日 厚労省は、中高年の失業者らを採用した企業に給付する緊急雇用創出特別奨励金の支給期間を6カ月間延長する。(朝日)
●4日 厚労省は、人材派遣期間が最長3年まで認められる「専門性の高い業務」として、証券外務員や保険外務員、証券アナリストといった金融関連の販売・営業職を追加することを決めた。
◇厚労省発表の1月の毎月勤労統計調査(速報)では従業員5人以上の企業の所定内賃金は26万387円で、前年同月比で7カ月連続で減少。(1月結果確報
●6日 都労連の矢沢委員長が給与カット問題で都側と再協議を提案、カット問題をめぐる混乱の責任をとって辞任する考えを表明。
●7日 JR東日本に働く国労神奈川地本の組合員585人の昇進試験差別の件で、神奈川県地労委は救済命令を出した。
●8日 朝日新聞調査では、ワークシェアリングを行う自治体が増えており、判明しただけでも12都道府県と64市町に達している。
◇ワークシェアリングの政労使実務者協議で、実施企業に対する助成金創出、パート社員の処遇改善ルールの作成、パート社員への社会保険の適用拡大の3点に日経連は難色を示し、協議が難航。
●11日 都教委が新たな主幹職を設けたことを弾劾して都高教が早朝1時間ストライキを決行。
●13日 春闘相場をつくる自動車、電機、造船重機、鉄鋼など主要製造業4業種で、経営側の集中回答。史上空前の経常利益1兆円のトヨタを含め、日産以外は軒並みベアゼロ回答の大攻撃。(大手の回答一覧
●14日 私鉄総連の大手組合は回答を引き出した。関東では京急、京成などが30歳表示で4000円、営団と東急が定昇実施、東武がベアゼロ。表示は異なるが関東大手は1人平均で同内容を確保したもよう。阪急はベアゼロ、阪神は30歳表示で3600円、西鉄は同3000円など。関東以外は格差回答。(公益部門回答
◇富士通は3月22日から組合側と半導体部門の工場従業員4000人を対象にワークシェアリングを導入することで労使が合意した。
●15日 日立製作所、松下電器、NEC、東芝、三菱電機など電機大手各社は、妥結直後、定昇部分の支出の凍結やカットする方向で協議に入った。(提案内容
 ◇今春卒業予定の高校生の1月末の就職内定率は75.7%で、前年を4.8ポイント下回り、過去最低となったことが厚労省の調査で明らかに。

 連合「雇用アンケート」の労働者の声
 アンケートの自由記入欄には、政府への不信と怒りの声があふれている。
・「小泉首相には、ハローワークの現場に来て実際を見てほしい」(60代男性)
・「失業者対策をしてほしい。国の改革より失業率5%の問題を先に解決すべきでは」(40代男性)
・「構造改革とはリストラをやりやすくしているだけ。日本は社会が終身雇用を前提にしている。失業すれば生活基盤を失うことを理解していない」(50代男性)
・「小泉内閣になってからの方が悪くなった」(50代男性)
・「小泉政権の雇用対策は分からない。労働者の方が痛みっぱなし」(60代男性)
・「痛みを受ける人の実情を分かっているのか」(20代女性)

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週刊『前進』(2047号3面1)

 「戦争の危機を世界革命へ」

 3・17革共同政治集会開く 6回大会路線に確信固く

 動労千葉スト・春闘行動に連帯 JR総連松崎打倒の号砲

 3月17日午後、「本多延嘉書記長虐殺から27年、3・14復讐戦貫徹・カクマル完全打倒」を掲げた革共同政治集会が東京・池袋の豊島公会堂で行われ、780人が集まった。集会は、カクマルに対する報復戦貫徹、松崎・JR総連解体をあらためて宣言し、激動する階級情勢に勝利する路線を確信も固く確認した。とりわけ目前に迫った3・30春闘総行動への決意を固めた。

 多賀同志が鮮烈な基調報告

 この日の基調報告は、「国際階級闘争の新時代を開く革命勝利の党を建設しよう」と題して、多賀慎一同志によって行われた。80年代の三里塚決戦の先頭に立った若い同志が党中央を代表して提起するという画期的な基調報告であった。明快な情勢の分析、路線的な高さ、イデオロギー闘争性をもった鮮烈な方針の提起に、全参加者が身を乗り出して熱心に集中し、「異議なし!」と拍手が繰り返し起こった。昨年の革共同第6回大会路線のもと、猛然と闘う決意を固めた。
 登壇した多賀同志は、最前列に座る三里塚反対同盟に向かって4月暫定滑走路開港阻止決戦に全力で立ち上がることを誓った。
 そして冒頭、3・14復讐戦貫徹の烈々たる決意を表明した。3・14反革命に、カクマルとは何であり、革共同が何であるかが凝縮して表現されていることを明確にした。
 今日、先制的内戦戦略のPT、PU、91年5月テーゼ下の戦争と闘争がファシスト・カクマルを追い詰めていることを確認した。カクマルが中央派とJR総連派に分裂し、ついにJR総連=松崎が革命の仮面を脱ぎ捨てたむき出しの反革命としてあらためて登場してきた。日帝もまた資本攻勢の先兵としてJR総連=松崎を使うことを再び決断した。カクマル中央派もまたこのJR総連にすがりつき擁護している。
 多賀同志は、この事態を「3・14復讐戦貫徹=総反攻完遂、カクマル完全打倒に向かっての新たな局面への突入」と規定し、「カクマルが国鉄労働者を先頭に全労働者階級人民の怒りの標的となり打倒される情勢がきた」と、3頭目処刑、カクマル完全打倒、JR総連解体への圧倒的な号砲を発した。
 その上で、「世界危機の世界戦争への転化情勢と日本プロレタリアートの任務」として、「巨大な世界危機の出口は世界戦争か世界革命か、この二つしかない」ことを喝破した。
 そして、その世界危機の核心は、基軸帝国主義である米帝がもはや帝国主義世界体制を支えられないほどに没落してしまったこと、超バブル経済の崩壊と9・11反米ゲリラ戦という二つの事態にその特徴が集中的に表されていること、一方で米帝経済が本格的な恐慌過程に突入し、他方で米帝の世界支配が破綻(はたん)し新植民地主義体制が全面的に崩壊し始めたことなどについて解明した。
 このような世界危機の激しさに対応して登場した米帝ブッシュは、帝国主義世界体制の秩序を攻撃的に破壊していく政策に踏み出した。基軸帝国主義の没落とその絶望的凶暴化は、世界危機を第3次世界大戦に加速度的に転化させるものとしてある。しかしそれは、帝国主義が歴史的に限界を露呈し、帝国主義とスターリン主義の反動を突き破って新たな世界革命の時代が到来したということである。
 また、この事態の焦点に日米矛盾があり、日帝の没落帝国主義化という問題がある。戦後体制、戦後政治の打破をめざした小泉「構造改革」は危機に直面している。ここから日帝の絶望的凶暴化が不可避となる――これらのことを明らかにした。
 これに対してプロレタリアートはどうするのか。まさに9・11の19人の戦士の決起は、世界革命の一方の主体である被抑圧民族人民の側から、世界革命に行き着く以外にない国際的内乱の開始を荒々しく突き出したものだ。「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」のスローガンのもとに、日本プロレタリアート人民が歴史の主人公であるという自覚をもって登場することが重要であることを強調した。
 今年前半の闘いについて@アフガニスタン・中東、朝鮮・中国―アジア侵略戦争阻止の革命的反戦闘争、A有事立法・改憲決戦、B沖縄・三里塚・北富士の反戦反基地闘争、C3・30春闘総行動と国鉄決戦を軸とする階級的労働運動推進、D差別・抑圧との闘い、E03年統一地方選の方針を明らかにした。米帝がアフガニスタン侵略戦争を継続し、また全世界に拡大・激化させていることと対決して闘うことを訴えた。
 特に、「テロにも戦争にも反対」の大合唱を粉砕することの重要性を強調し、この主張が帝国主義のイデオロギーであることを鮮明に提起した。また、有事立法の重大性が、対米協力の形態を超えて、日帝自身の帝国主義戦争・侵略戦争を断行することにあることを突き出した。
 さらに、「拉致疑惑」の排外主義宣伝に対して、朝鮮に対して米日帝がすさまじい軍事重圧を加えていることが元凶であることを強調した。
 多賀同志は、その上で、JR総連・松崎の新たな登場と対カクマル戦争の新たな局面について鮮明に提起し、JR総連カクマルとカクマル中央派という二つの反革命に対して闘うことを訴えた。
 さらに、新たに重大な決意をもって長期獄中同志奪還のための1億円基金運動に総決起することを訴えた。5人の同志を人質として革共同に転向を強要する攻撃をかけてきていることに対し、これをはね返す闘いを呼びかけた。
 最後に、「革命勝利の党の建設」を結論的に訴えた。それは、9・11―10・7情勢に根底的に対応した党への飛躍、思想転向や解党主義との新たな次元での闘いということである。6回大会で、また02年新年号アピールで、世界革命―日本革命の道を開くのは革共同しかないと確信したわれわれ自身が、他者の獲得に大胆に踏み出さなければならないことを強く訴えた。この党勢拡大の強い決意をともに確認しあって基調報告は閉じられた。
 全参加者を深く考えさせ、確信をもたらし、奮い立たせる、きわめて鮮明な基調報告だった。会場から長い共感の拍手が続いた。

 三里塚開港実力阻止の熱気

 この日、会場の豊島公会堂には、午前中から続々と労働者学生が権力の弾圧体制を蹴って結集した。警視庁の不当な包囲と攻撃に対して弾圧監視団が抗議と追及の行動に立った。
 集会は、基調報告に先立って、ビデオ「激闘の記録01年秋〜02年春―血債かけたパレスチナ・アフガン人民との連帯の闘い」が上映され、開会宣言の後、連帯のあいさつが行われた。会場ロビーでは、最近の韓国の労働者学生のブッシュ訪韓阻止闘争、公企業民営化反対のゼネストの写真、パレスチナ人民の不屈の闘いの写真が張り巡らされ、なんとしても国際連帯の闘いとして3・30春闘総行動を闘いとろうという気運が開会前から高まった。
 ビデオは、9・11反米ゲリラの映像から始まり、アフガン、パレスチナ、韓国の人民の闘いの映像を交えて、9・11以後の革命的反戦闘争、自衛隊出兵阻止闘争、国鉄決戦、11月労働者集会、狭山闘争、三里塚闘争、名護市長選闘争、長期獄中同志奪還闘争などの激闘の歩みを描くもので、大きな感動をもたらした。
 4月暫定滑走路開港攻撃との闘いの渦中にある三里塚からは、北原鉱治事務局長、鈴木幸司本部役員、敷地内天神峰の市東孝雄さん、郡司一治さん、野平聡一さん、伊藤信晴さんが参加し、代表して北原さん、鈴木さんが発言した。
 北原さんは、「三里塚は336年間、革共同とともに闘いぬいてきた。三里塚は日本の将来を左右する闘いに発展している。暫定滑走路は無用の長物。反戦の砦(とりで)三里塚は今の時期に最も必要な地平に立っている」と強調し、戦争を止めるために闘う時が来たと三里塚闘争の勝利を訴えた。鈴木さんは、「心をひとつにして闘えば必ず勝つ。勝利は目の前にきている」と述べ、反戦の思想をもって闘うことを訴えた。
 北富士忍草(しぼくさ)母の会の天野美恵事務局長は、「富士を朝鮮、中国につなぐな」と訓練場に対して闘いぬいてきた北富士闘争の経験を語った。「頭の上を飛行機を飛ばそうが、どんなことがあろうと屈服しない」と三里塚闘争への信頼と確信を述べて、三里塚に結集して闘うことを呼びかけた。
 部落解放同盟全国連合会の小森勝重中執があいさつに立ち、3月3、4日に開かれた第11回全国大会の報告を行った。狭山異議審棄却攻撃を徹底糾弾し、これまでの延長上にはない、70年代を再現する狭山闘争を生み出す決意を述べた。また、吹き荒れる差別の洪水、同和対策事業打ち切りの攻撃に対して、解同本部派にはもはや部落解放の力も路線も方針もないことをはっきりさせ、全国連5万人建設、狭山10万人決起の闘争宣言を行ったことを報告し、有事立法反対でともに闘う決意を述べた。
 沖縄民権の会の座覇光子代表は、有事立法攻撃を前にして「沖縄戦の悲惨さが目前に迫ってきた」と感じていると述べ、差別の歴史の中で座覇さんの心に残る沖縄の女性や男性がこうむった悲惨を語って、沖縄戦を再び繰り返すなの闘いとして有事立法粉砕をともに闘うことを訴えた。

 長期獄中同志の奪還を決意

 基調報告を受けて休憩後、特別アピールと決意表明が続いた。
 まず反軍戦線の同志から、1991年以来、自衛隊の恒常的派兵が10年間続いていることに注意を喚起し、戦争の時代の反戦闘争の先頭に立つ決意を表明した。『前進』2042号の反軍闘争アピールで、自衛隊の兵士を闘いの主体として措定し、直接反戦反軍闘争への合流の呼びかけを行ったことの重大さを強調した。有事立法は、沖縄戦が再びやられるということであり、兵士に憲法が適用されないことだと喝破し、ロシア革命が、巨万の兵士を獲得することで帝国主義を打倒したことを想起し、レーニンとボルシェビキの決意をわがものとして闘おうと訴えた。
 続いて北小路敏同志が、昨年12・15革共同集会を踏まえ、長期獄中同志の奪還を訴えた。北小路同志は、星野文昭同志に対する無期懲役の攻撃、爆取デッチあげの須賀、十亀、板垣、福嶋の4同志に対する長期未決勾留の攻撃が、戦争反対の革命的正義の闘いに対する報復攻撃であり、絶対に許されない権力犯罪であることを具体的に暴きだし、満身の怒りを込めて糾弾した。無実の同志を長期拘禁していること、さらに「マル特無期」の攻撃を加えていること、爆取4同志には保釈却下の攻撃を加えていることを弾劾した。そして獄中同志奪還の闘いは、いくつかの課題のひとつではなく、侵略戦争反対の頂点をなす闘いであると力説した。そして星野同志の再審貫徹の強大な闘いをかちとること、4同志の保釈奪還をかちとるための1億円基金運動を成功させることを訴えた。全参加者はこの熱烈な気迫あるアピールに奮起した。獄中同志からのメッセージがあわせて紹介された。
 さらに、革共同中央労働者組織委員会を代表して国鉄労働者が登壇し、「国鉄決戦を軸に02春闘を闘いぬこう」と訴えた。革共同6回大会が、75年3・14反革命以来の闘いを総括し、党の現在の闘いを位置付け直し、労働者の中に入り獲得し日本革命、世界革命を実現することを宣言したことを圧倒的に確認し、この大会決定のもとに団結して闘い、強大な労働者党を建設することを訴えた。
 そして3・30春闘総行動への全党員の総決起を力強く訴えた。労働者の中に入り、労働者を引き連れて決起すること、日帝の労働組合を無力化する攻撃に対して、われわれ自身が労働組合を作り、守らなければならないこと、その環が国鉄決戦であることを鮮明に提起した。JR総連松崎のファシスト労働運動か、動労千葉を先頭にする革命的労働運動かが問われている。5月テーゼ路線を体現して、労働者の戦闘性に信頼して闘おう、と強力に訴えた。
 決意表明は、民間の青年労働者と大山尚行全学連委員長が行った。
 青年労働者は、動労千葉のストを支え、3・30の力で連合を打倒しようと訴えた。マルクス主義青年労働者同盟を再建し、21世紀の労働運動の主軸になろうと確信に燃えて訴えた。
 大山委員長は、革命的反戦闘争、有事立法阻止闘争の先頭に立って闘う決意を明らかにし、アフガンで、パレスチナで、韓国で起こっている侵略戦争反対の闘いに連帯して、日本の人民の総決起をかちとらなければならないと訴えた。さらに3・31―4・14三里塚に総結集し実力で機動隊と闘い暫定開港を阻止する決意を表明した。有事立法阻止へ街頭に出ようと訴え、すでに新たな学生の決起が始まっていることを報告、排外主義キャンペーンに対して一歩も引かず対決すれば必ず巨大な決起をかちとることができるという確信を述べた。一切は3・30春闘総決起にかかっている、大結集を絶対かちとろうというアピールは、全体のまとめでもあり、結論でもあった。
 4時間の充実した集会の全内容をしっかり確認し、シュプレヒコール、インターナショナル斉唱を行った。いざ、3・30春闘総行動への総力決起と4〜6月決戦へ突き進もう。

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週刊『前進』(2047号3面2)

 有事立法と闘う三里塚現地へ

 反対同盟からのアピール(下)

 暫定は国家テロだ 

 事務局次長・東峰 萩原進さん

 成田空港は、いつも「暫定」だ。1期の時も1本だけの滑走路で暫定開港した。富里案が破産して計画を三里塚へ持ってきたのもそうだ。そもそも空港計画自体が、羽田の補助空港という形で始まった。つぎはぎ的に建設し、暴力的に住民を追い出して建設してきたのが成田空港だ。
 その典型が今度の暫定滑走路だ。最初は1990年には滑走路が完成すると言い、その後2000年完成を打ち出すが破産した。それで今度は、暫定滑走路建設計画を発表して工事着工して軒先工事をやれば反対運動はなくなると考えた。だから2180b暫定は最終的には3300bになるという思惑で、2001年11月31日完成をうち出した。それも粉砕されて、現在は2004年3月末完成と言っている。
 東峰十字路の北側にある開拓道路は、暫定滑走路の着陸帯から5bの所にある。目の前が滑走路だ。戦時中の急造空港みたいなもので、暫定滑走路の欠陥性が問題になるので開港キャンペーンもできない。ところが、完全空港になるとのウソで航空会社をだまして乗り入れを水増しして、つじつまあわせをやっている。それでも半分しか入らない。後は減るだけだ。
 暫定滑走路は国家テロそのものだ。90年完成とか2000年完成と言って揺さぶりをかけ最後に暫定滑走路計画を出してきた。軒先工事をやって追い出そうとしてきた。それでも歯を食いしばりがんばる住民に対しては、頭上にジェット機を飛ばすというやり方。住民を虫けらのごとく扱ってきたことを暫定滑走路の現状が物語っている。
 だけど一方で、三里塚闘争の正義性は傷つけられない。住民を悪者扱いして追い出すことはできない。そこに彼らの弱点があり、三里塚闘争36年の地平がある。暫定滑走路の無様なあり様を見れば、どちらが正しいか一目瞭然(りょうぜん)だ。
 三里塚闘争は反戦闘争として、ベトナム戦争の時はベトナムへ飛行機を飛ばすなと闘い、36年間軍事空港反対を掲げて闘ってきた。三里塚闘争が先取り的に情勢を反映させて、闘ってきた。三里塚では36年間、実質的な戒厳令の下で、空港建設をめぐる闘いが行われ、現場で有事立法的な攻撃を打ち破ってきた。三里塚闘争をつぶさない限り、日本は戦争ができない。

 心一つに必ず勝つ

 本部役員 鈴木幸司さん

 私たちの空港に反対する闘いを振り返ったら、36年という年月がたっている。反対同盟は当初から軍事空港は造らせないという観点から闘ってきた。それを36年前、本当のことだと思った人は少なかったと思う。でも今振り返った時、私たちの闘いは実際間違いなかったとはっきり言える。
 それと同時に、この三里塚闘争36年というものは三里塚の反対同盟だけの力でつくったものではない。三里塚農民だけの闘いではない。36年の中で、三里塚の農民が多くの人との出会いの中でつくってきた。
 本当に今、心をひとつにして闘う時がきている。私自身も、36年の毎日毎日、この闘いはなんとしても実を結ばなければならない、勝たなくちゃならない、と自分に何十回も言い聞かせて闘ってきました。
 これからの三里塚の勝利は、全人民の勝利としなければならない。それは必ず可能である。かつて、亡くなった戸村委員長が、「全国の皆さん、心をひとつにして闘えば必ず勝つ」と言っていた。その時点では、私はとんでもないことを言う人だなと思ったが、ようやくその内容が分かってきた感じです。
 3・31現地闘争、4・14全国集会は、単なる三里塚の全国集会ではない。全人民の闘いとしてなんとしてもこの集会を契機に、勝利の道をまっしぐらに進む第1段階だと思います。
 振り返ってみると、85年10・20のあの素晴らしい闘い(2期着工阻止の三里塚十字路戦闘)があったからこそ今日がある。そういう闘いをしたいと思う。
 私自身、あの侵略戦争に参加させられてきた。そしてシベリアに3年間抑留された。その時に今も忘れることができない。「おれは天皇にだまされたんだ」と。天皇制ほど恐ろしいものはない。小泉がやすやすと靖国神社に参拝する。とんでもないことです。まずその辺から、本当の反戦の思想を一人ひとりが自分の身体の中にたたき込んでいくことです。そうすればなんでもできると思う。
 そういう闘いの思想、反戦の思想を一人ひとりが確実に自分で作っていくことが「心をひとつにして闘えば必ず勝つ」ことになると思います。

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週刊『前進』(2047号3面3)

 C

 国家をうち破る力

 収用法破った三里塚闘争

 三里塚闘争は、国際空港建設という国策、土地収用法、国家暴力との闘いであり、国家そのものとの闘いだ。反対同盟は「空港絶対反対」「一切の話し合い拒否」「農地死守・実力闘争」を基本路線に不屈に闘い勝利してきた。
 成田空港は1969年、土地収用法に基づく公共事業に認定された(現在は失効)。土地収用法は、公共事業用地を確保するため、強制的に所有権を放棄させるという法律だ。地権者が任意買収に応じない場合、最後は強制代執行である。法律上は収用そのものに反対できない。もちろん法律だけの問題ではない。71年の代執行では、数千人の機動隊、ブルドーザーやユンボが三里塚農民を襲った。
 しかし三里塚農民は、これを実力闘争でうち破ってきた。土地収用法と対決して人民の側が勝利した例は少ない。これを三里塚農民は徹底抗戦で迎え撃った。
 成田空港の事業認定に基づき、政府・空港公団は70年、農地や家屋、団結小屋の強制測量を始めた。反対同盟は総力で抗戦。71年の強制代執行では地下壕や砦(とりで)にたてこもって闘った。地下壕戦は酸欠や落盤の危険の中で生命をかけた闘いだった。さらに地下壕戦や砦戦と呼応してあちこちで機動隊との激突が繰り返された。けが人や逮捕者など多大な犠牲を払いながらも闘い抜いた。
 1期工区内ですべての農民が最終的には脱落していく中で、空港公団から「日本一の貧乏人」とののしられた大木よねさんただひとりが、敷地内に残って代執行を迎えた。よねさんは家の前に次のような「闘争宣言」を掲げた。「おらの身はおらの身のようであっておらの身でねぇから、おら反対同盟に身預けてあるだから、6年間も同盟や支援の人たちと反対闘争やってきただから、誰がなんと言ってもこぎつけるまでがんばります。みなさんも一緒に最後まで闘いましょう」
 代執行当日、「延期」といつわって油断させ機動隊と執行官がよねさん宅を急襲した。完全なだまし討ちだ。脱穀機にしがみつくよねさんに暴行を加えて引きずり出し家屋を壊した。
 しかし死んでも屈服しないという大木よねさんの存在と闘いは、その後の三里塚闘争に大きな影響を与えた。これまでの多くの闘いが土地収用法の恫喝に最後は闘わずして屈してきた。しかし土地収用法と国家暴力の恫喝は、人民が不屈の徹底抗戦と実力闘争で立ち上がった時、無力化する。
 この大木よねさんの不屈の闘魂は、市東東市さんら2期工区敷地内の農民の闘いに引き継がれていった。戸村一作委員長は次のように述べている。「私は国策どころか、農民殺しの政府、否、国家そのものを認めない。三里塚農民の闘いはそこに根拠がある」
 これは、有事立法との闘いで重要な教訓だ。小泉首相は「テロの脅威」を叫び「国民の生命・財産を守るため」とか「国に逆らうのか」という恫喝で有事立法制定を狙う。これをどううち破るのか。12・22の外国船撃沈・虐殺事件のように「有事」をデッチあげ、侵略戦争を行うのは日帝なのだ。侵略戦争でしか延命できない国家は打倒するという革命的祖国敗北主義の立場に立ちきった時、有事立法は粉砕できる。
 三里塚闘争は最強の反戦の砦、内乱の砦としてますます輝きを増している。三里塚のように闘えば戦争を阻むことができる。3・31−4・14に全国から結集し反対同盟とともに4・18開港を粉砕しよう。「徹底抗戦ただひとつあるのみ。最終的に敵を倒し三里塚闘争を勝利に導くものは、革命の思想とその階級的憎悪の怒りの強弱の程度によって決まる」(戸村委員長『三里塚闘争への遺稿』)
   (本紙・水野慶太)
〔写真 【上】第2次強制代執行(1971年9月16日【下】機動隊に暴行を受けた大木よねさん(1971年9月20日〕
(おわり)

 

 

 

 

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週刊『前進』(2047号4面1)

 経済の悪化と倒産ラッシュ 大失業もたらした小泉改革

 3・30総決起で小泉政権打倒へ

 賃下げと年功賃金制度解体に進む総資本

 日帝・小泉政権はかつてない政治・経済危機に突入している。登場から1年、小泉政権打倒を闘いとる情勢がついに到来したのだ。
 小泉「構造改革」は完全に破産し、その反革命的・デマゴギー的正体が全面的にさらけ出されている。鈴木・加藤疑惑とそれを居直る小泉への怒り、「構造改革」路線と経済危機爆発への怒りが、日本階級闘争の大流動を生み出している。
 動労千葉・動労総連合のスト貫徹を先頭に、02春闘総行動―3・30中央総決起集会(新宿デモ)に全力決起し、小泉打倒、階級的労働運動の再生を切り開くこと、さらに戦争への道=有事立法・改憲攻撃粉砕の大決戦に総決起していくことが当面の最大の任務だ。
 今日、小泉政権と日帝ブルジョアジーは、春闘解体、終身雇用・年功賃金解体の一大資本攻勢に打って出ている。3月13日に行われたIMF・JC(金属労協)の自動車・電機・鉄鋼・造船重機の集中回答はいったい何か! 経常利益が史上最高の1兆円を計上したトヨタを始め、春闘全体の相場を決める4業種大手の回答が、春闘史上初めて軒並みベアゼロだった。しかも連合の全面屈服による妥結の後、電機各社は直ちにたたみ掛けるように賃下げと定昇延期を提案してきたのだ。日立は5%の賃金カット、仮に定昇が実施されても実質3%の賃下げ攻撃である。電機以外でもいすゞ自動車が7%、住友重機が15%の年収カットを打ち出してきた。 
 これはベアゼロどころか、戦後かつてない全面的な賃下げ攻撃である。日経連会長でトヨタの会長でもある奥田碩(ひろし)は、日帝総資本の立場から、来年以降もベアゼロを表明した。日帝ブルジョアジーは、29年型大恐慌・大不況とそのもとでの帝国主義間争闘戦に勝ち抜き、生き残るために、「国際競争力強化」を真っ向から振りかざして、春闘解体、終身雇用・年功賃金解体に踏み切ってきた。定昇の凍結・見直しは、戦後の「生活給」と年功賃金制の基礎を解体する攻撃そのものなのだ。
 そして新たに出してきた賃金制度が、成果主義・実績主義と「能力給」「役割給」の賃金体系である。労働者を差別・分断し、競争させ、団結を破壊し、全面的に不安定雇用化する攻撃だ。これは戦後的な労資関係、賃金体系の解体であり、「賃金破壊」すなわち賃金制度の「構造改革」攻撃そのものである。
 これに対し連合は抵抗もせず総崩れ、全面屈服し、自分自身の存立基盤も喪失するところに転落した。電機連合委員長・鈴木勝利にいたっては「国際競争力をどう確保していくか。賃金水準そのものを議論する時期にきている」と、日帝総資本の意志を代弁し、賃下げと春闘解体の先兵と化しているありさまだ。
 今や連合の帝国主義的労働運動、松崎・JR総連のファシスト労働運動か、戦闘的・階級的労働運動かの選択が、すべての労働者階級に問われている。労働者が生きかつ闘い、排外主義と侵略戦争を粉砕して進むべき道は、国際主義と帝国主義打倒の階級的労働運動の中にしかない。3・13JC集中回答への怒りを爆発させ、連合とJR総連を打倒し、日共スターリン主義・全労連をのりこえて、階級的労働運動再生の道を進もうではないか。 

 ●独占の強化

 小泉「構造改革」の大破産は、日帝・小泉が2・17ブッシュ訪日を前後して「デフレ対策」を叫び始めたことに象徴されている。「構造改革」と「デフレ対策」は二律背反、相矛盾する政策でしかないからだ。
 小泉「構造改革」とは何か。経済的に言えば、29年型世界大恐慌・大不況と帝国主義間争闘戦の激化の中で、日帝の大銀行・大企業すなわち独占的金融資本が延命するために、労働者(さらに中小企業や農業・農民)に犠牲と痛みを集中し、倒産ラッシュとリストラ・大失業を強制し、社会保障や医療制度を改悪し、特殊法人などの公的部門を「民」の論理をもって切り捨てていく攻撃である。これは同時に、労働者階級に大失業と戦闘的労働運動解体を振りかざす一方で、競争力や収益性のない企業をも整理・倒産させ、産業的、金融的独占を極限的に強化する攻撃である。
 経団連会長・今井敬は不良債権処理に関連し、「過剰設備の解消を求めるわれわれと(融資先企業を法的整理しないことで)少しでも多くの資金を回収したい銀行では、最終処理に対して考えが異なる」「過剰生産能力の解消が経済成長に必要。そのためには多すぎるプレーヤーを減らすべきだ」と述べている。また興銀頭取・西村正雄は、5年前には20行あった大手銀行が今や4大メガバンクに大再編されている中で、なおかつ「日本に4つは多すぎる」と公言し、さらなる再編(独占強化)を求めている。ここに「構造改革」にかける日帝独占ブルジョアジーの階級意志がよく示されているのだ。

 「構造改革」とデフレ対策は両立できない

 小泉「構造改革」の最大焦点である銀行の不良債権処理問題とは何か。不良債権とは日本経済のバブル崩壊とその後の長期大不況で生み出された過剰資本・過剰生産力の問題である。産業企業でこれに対応するものが過剰債務問題だ。両者は表裏の関係にある。
 不良債権は固定量ではない。絶えず変動し、むしろ増大している。実際、全銀行は92年度以降00年までに68兆円も不良債権を処理してきた。しかし「処理しても処理しても新たな不良債権が発生する」(大手銀行役員)という負の連鎖が続いてきたのだ。だから現在でも不良債権の規模は、要注意先債権を含めた最大データで170兆〜180兆円(メリルリンチ証券)から、銀行自身の自己査定による64兆円、金融庁のリスク管理債権ベースでの31・8兆円まで、さまざまの数値があるのだ。 
 企業の過剰債務のベースをなしている有利子負債が建設、不動産、流通の三業種で実に280兆円(00年3月末)もあることを考えると、不良債権が巨大な額であることは想像できる。そのうち小泉改革(骨太の方針)でこの2〜3年に処理するという額は大手行関連で11・7兆円にすぎない。しかしこれだけで約1万9千社が法的整理(倒産)に追い込まれることになるのだ。これは「景気回復」どころかデフレ圧力そのもの、独占的な大銀行・大企業が生き残るための倒産・失業と景気悪化の政策いがいの何ものでもない。
 実際、小泉政権が登場して経済的にも状況は一層悪化しただけだ。昨年10―12月のGDPは年率マイナス4・5%(3期連続のマイナス)で、個人消費、設備投資も実質低減し、昨年の消費者物価指数は戦後最大の下落幅を記録した。つまりデフレスパイラルの深刻化である。株価も昨年5・17のピーク時から急落し、9月決算期には120兆円が市場から消滅した。ゼネコン、スーパーや中小企業の倒産が激増し、失業率は5・5%前後に上昇している。 
 しかも日帝・小泉は独占的金融資本の延命のために「民」の論理を前面に出し、郵政民営化(郵便貯金・簡易保険の資金360兆円の略奪と労働運動解体)や住宅金融公庫、商工中金、日本育英会などを含む特殊法人の民営化と廃止を呼号する一方で、大銀行救済への公的資金の再投入策動や、金融機関の手持ちの資金量(日銀当座預金残高)を5兆円から15兆円に3倍化するなど極限的な量的金融緩和を強行している。「3月危機」回避のために株価維持に躍起となっており、公的年金資金の投入や強力な空売り規制などPKO(株価維持操作)発動の国家的介入を行っている。これ自身が「構造改革」破産の姿である。

 ●対日争闘戦

 今一つ日帝経済危機を規定しているものに、米帝ブッシュの対日争闘戦がある。ブッシュはバブル崩壊で恐慌に突入した米経済がさらに日本発の大恐慌にのめり込む恐怖から、小泉の不良債権処理政策に争闘戦的に介入し、「1・17親書」で゛塩漬けになっている銀行の不良債権や企業の不稼働資産を早期に市場に売却し、最も効果的に運用できる人たちの手にゆだねよ″と要求、デフレ対策の発動とともに、日本の不良債権処理を米資本のビジネスチャンスとし、日帝資本の弱体化、つぶし、乗っ取りへの思惑をむき出しにしてきている。(こうした中で、売上高28兆円の世界最大の小売業・米ウォルマートによる西友の買収問題が起きたのである)

 不良債権問題は戦争経済へと行き着く

 小泉とその「構造改革」を尻押ししてきた日帝ブルジョアジーは、戦後的な公共事業、特殊法人、郵便貯金などの公的部門を「社会主義的経済部分」とか「金融社会主義」などと決めつけ、その解体や民営化を主張し、一切の犠牲と矛盾、痛みを労働者階級人民に転嫁してきた。
 その結果、恐慌(大不況)の深刻化、倒産、リストラ・大失業、社会保障解体、労働運動圧殺攻撃を激化させ、労働者人民の怒りがついに爆発し、今や情勢は小泉の支持率急落、政治危機に転化している。今こそ小泉を絶対に打倒する時だ。
 そもそも帝国主義の膨大な過剰資本・過剰生産力問題としての不良債権・過剰債務問題は、29年型大恐慌の爆発をもっても解決不可能であり、結局は戦争と戦争経済に行きつかざるをえない問題である。小泉は、有利子負債2兆3千億円(そのうち1兆6千億円がUFJなどメガバンク3行に集中)という現実に戦慄(せんりつ)し、ダイエー救済に政権の存亡をかけた。日本道路公団問題では旧来勢力と妥協した。鈴木・加藤疑惑問題では、小泉自身が腐敗した自民党政治家でしかないことをさらけ出した。

 ●戦争国家化

 そして、小泉「構造改革」のもう一方の軸をなす政治的側面は、極悪の政治反動、有事立法・改憲、軍事大国化・戦争国家化である。小泉は就任後、反対を強引に押し切って靖国神社公式参拝を強行したばかりか、米帝ブッシュの対テロ撲滅戦争に全面協力して、自衛隊を戦時出兵し集団的自衛権発動に踏み込んだ。今また米帝の対中国(北朝鮮)侵略戦争への共同的=競合的参戦のために、〈憲法停止・首相への非常大権付与・国家総動員体制確立〉を狙う非常事態法としてある有事立法攻撃に全力を挙げてきている。また切迫する米帝ブッシュの対イラク侵略戦争にも全面協力しようとしている。
 小泉よ! 今、完全失業者は3百数十万人。求職活動をあきらめ失業者に数えられなかった人が4百万人。この労働者人民の痛みが分かるか。介護保険で福祉を奪われた高齢者の苦しみと人間的叫びが分かるか。毎日100人もの労働者や中小零細企業の経営者が自ら命を絶っている現実を直視できるか。
 破産し反人民的正体をさらけ出す小泉「構造改革」を、政治・経済危機の爆発にあえぐ小泉政権もろとも、今こそ粉砕し打倒しよう。闘うパレスチナ、アフガニスタン人民、闘う南朝鮮・韓国労働者と連帯し、3・30春闘総行動へ!

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週刊『前進』(2047号4面2)

 関西反戦共同

 反戦訴えデモ

 パレスチナ・アフガン連帯 市民の熱い共感

 3月17日、関西反戦共同行動委員会は「アフガニスタン・パレスチナ侵略戦争を許すな/小泉の参戦と有事立法攻撃を打ち砕け/全関西総決起闘争」を、大阪・中之島野外音楽堂に418人を結集して闘い、集会後、御堂筋を戦闘的にデモした。
 部落解放同盟全国連合会の女性が開会を宣言した。関西反戦共同の入江史郎代表が主催者あいさつを行い、「一見、帝国主義の都合のいいように情勢が動いているように見えるが、アフガニスタン人民やパレスチナ人民はけっして屈服しない」「今こそ日本労働者の闘いを爆発させよう」と力強く訴えた。
 百万人署名運動関西連絡会と「アジアの平和を考える若者の会・京都」の連帯のあいさつの後、全学連の倉岡靖子書記次長が基調報告を行った。
 倉岡さんは冒頭、「私たちは、実に新鮮な気持ちでこの闘争を打ち抜こうとしています。帝国主義の危機を歓迎し、これを打倒するために、世界中の被抑圧人民と連帯して内乱的な闘いに決起しよう」と呼びかけた。そして現在、アフガニスタンでタリバンやアルカイダの兵士が米軍の総攻撃に一歩もひるまず闘い抜いていること、またパレスチナ人民が死をも恐れぬ闘いに立ち上がっていることを感動を込めて訴え、「イスラム諸国人民の民族解放・革命戦争は、米帝打倒、世界革命に向かって激化・発展している」とその重要な意義を明らかにした。
 さらに、小泉政権による有事立法攻撃を怒りを込めて暴露し、「有事立法阻止の闘いは、帝国主義の虐殺と植民地支配と闘う13億イスラム諸国人民や朝鮮・中国・アジア人民と連帯する闘いであり、日帝を全世界人民とともに一個の軍勢となって打倒する闘いです。本日をもって有事立法阻止の大決戦に突入しよう」と力強い檄を発した。
 関西労組交流センターを先頭に、闘う各団体が決意表明した。解同全国連の代表は「全国連第11回大会が大成功した。全国連は2〜3年のうちに5万人組織を建設し、有事立法・改憲阻止決戦の先頭に立つ」と決意を述べた。婦人民主クラブ全国協の代表は全国キャラバンが大きな反響を呼び起こしたことを紹介し、労働者人民の反戦決起の爆発を必ず実現することを確信をこめて表明した。関西新空港反対東灘区住民の会の代表は、目前に迫った三里塚暫定滑走路開港攻撃を怒りをこめて弾劾し、4・14全国闘争への決起を訴えた。
 最後に全学連の代表は、有事立法・改憲阻止決戦の大爆発のために本日を起点に、4・28闘争から5・26中央総決起闘争に攻め上ろうと熱烈に訴えた。
 直ちにデモに出発し、大阪の中心・御堂筋を戦闘的デモで席巻した。休日の人出でごった返すなんば交差点では、機動隊の規制を跳ね返して全学連を先頭にジグザクデモを敢行し、圧倒的な注目と共感を集めた。

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週刊『前進』(2047号4面3)

 今こそ「教え子を再び戦場に送るな」を掲げて!

 第8回 奈良 林 明さん(中学校) 辻村吾郎さん(中学校)

 解放教育解体攻撃

 解同全国連と共に全廃と対決

 同推加配削減と奨学金打ち切り

――解放教育をめぐる動きを聞かせてください。

  まず法打ち切りによって解放教育が一変する情勢を迎えています。解放教育が全面解体されていくという問題です。部落の子どもたちにとっては「差別の大洪水」の中に投げ込まれるというとんでもないことが始まろうとしている。
 辻村 今制度的にやろうとしているのは、同和加配(同和教育推進教員)の廃止と、行政がお金を出してやってきた補充学級の廃止、解放奨学金の廃止の3つです。実際には定員削減や一般施策への移行として始まっていますが、やろうとしているのは廃止です。

――同推教員は何をやっているのですか?

  解放教育を中心的に担う教師で、長期欠席の子どもや、家庭の事情などで朝ご飯も十分に食べられないとか、「荒れている」と言われている生徒の家庭を訪問したり、学校外でも子どもたちと一緒になって差別と闘う教師です。
 辻村 実際、部落には長欠や低学力、「荒れている」子もすごく多い。これは全部差別がつくり出している現実です。同推教員は、そうした子どもたちに関わって「同和教育補充学級」などを行って、単に勉強を教えるだけではなく、何よりも差別に負けない、差別と闘う力をつけようとしてきました。同推教員の廃止や補充学級の廃止で、こういう学習と団結の場がなくされようとしている。

 本部派の屈服と「学力向上」運動

――解同本部派の屈服の影響はどうですか?

  解放教育とは教育行政がつくったものではなく、解放運動と教育労働運動が結合してつくり出してきたものですから、そのことはものすごく大きな意味をもっている。しかし本部派が屈服したら解放教育が簡単に崩壊するというわけではなくて、現場の教師が守り抜いて頑張っている。昨年末、同推教員の削減をめぐる組合と県教委の交渉でも、通常の賃上げ交渉なんかよりも多くの組合員が参加した。それだけ解放教育にかけた教師たちの思いは熱く強いものがある。
 辻村 一方で新たな動きも出ています。能力別編成の習熟度別学級編成などを同和教育の課題として、奈同教や市同教などで率先して発表するということが起きている。「差別問題は学力問題だ」というものです。しかも、それを一部の同推校が率先してやっている。「学力」をもって差別的に分断して、歴史的な差別ゆえに低学力が問題となってきた部落の子どもたちはその中に投げ込まれていく。「学力」ということ自体の中にすさまじい差別イデオロギーがあるんですが、解放教育が目指してきたものや思想が崩れるとそれに取り込まれていく。融和主義の恐ろしさです。
  もちろんみんなが賛成しているわけではありません。1月の日教組の教研でも、「それは選別教育と違うんか」という意見がいっぱい出ました。僕らも、社会の差別・分断の仕組みをぶっ壊していくような子どもを育てるという原点に返って、解放教育をもう一度一から再形成していかないといけないと思う。
 辻村 これはやっぱり解同本部派の屈服と狭山闘争の後退に呼応した動きです。70年代は教育労働者が狭山闘争に決起する中で解放教育がどんどん広がり、前進していった。部落解放闘争における狭山闘争と差別糾弾闘争の位置は、解放教育においても同じです。

――「日の丸・君が代」をめぐっては?

  奈良市では依然として激しい攻防が続いています。「日の丸」「君が代」ともに完全に阻止しているところが同推校を中心に数校ありますし、それ以外でも校門など「日の丸」を式場に持ち込ませない闘いがあちこちで闘われている。昨年は式場正面にあったものを職員会議決議でフロアーの三脚にまで引き下ろす闘いもやりました。今年は全国連の決起に教職員がこたえ、校門にあった「日の丸」を撤去させ、学校から「日の丸」がなくなった。

 「日の丸・君が代」闘争で勝利実感

 奈良市の日教組は全教の10分の1の圧倒的少数組合ですが、拠点職場では1人の日教組組合員が全教と非組の全部を組織して、職場の丸ごとの決起をつくって阻んでいます。全教の組合員が「先生大変だ」と言って飛んできますよ(笑)。
 1人でもやろうと思ったらいくらでも闘える。職務命令や処分と言っても、それで職場が動かなければ強制のしようがない。今年は「どつきあいをやっても揚げる」という校長が現れた。やるんだったらやってみろ、これからは4時半過ぎたら全員帰ると言ったらすごすごと引っ込んでしまいました。職場を丸ごと組織して闘ったら、今あるものも撤回させることはできる。今、すごい勝利感が生まれています。
 辻村 奈良の教育労働者には解放教育を大事にする意識が強烈にあるから、こういう闘いが始まっているんです。教育労働運動がもっと地域の解放運動と連帯すれば、「日の丸・君が代」闘争が、解放教育の解体攻撃を逆に押し返していく巨大な闘いになっていくと思います。

――今後の課題と展望についてお願いします。

  これからの時代、部落の子どもたちや親も、教育労働者も黙っていられなくなる。部落解放闘争も教育労働運動も、ここから本物の闘いが始まります。こうした中で全国連とともに闘う教育労働運動をつくり出した時に、部落完全解放の歴史的勝利をなし遂げる戦場が広がってくる。僕らは「労働者の中へ」を「1人の共産主義者」の実践としてやりきれば必ず職場の仲間と結合できると思ってきましたが、今その確かな手応えをつかんでいます。
 辻村 解放教育の再生や「日の丸・君が代」闘争の復権は、闘う日教組運動の再生の闘いと一体です。特に奈良では解放教育が何よりも教育労働者の魂を揺り動かす。連合も全教もそれを投げ捨て始めている中で、ここでしっかりと立ったものが主導権をとれる。僕らは今はまだ数は少ないが、与えている影響は間違いなく台風の目になりつつあります。大きく構えたものだけが大きなものを獲得できる。その精神でさらに展望を切り開きます。
(聞き手/本紙 大西 晶)

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週刊『前進』(2047号4面4)

 3月13日〜19日

 沖縄市長選に桑江氏出馬へ

 有事立法、民間人にも罰則

●有事立法、民間人の罰則規定も 政府が今国会に提出を狙う有事立法で、民間人への罰則規定が盛り込まれていることが明らかになった。自衛隊法では、自衛隊の作戦行動に必要な食料や燃料などの物資を保管するよう業者に命令できるとなっているが、従わなかった場合、6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金を科すという。(13日)
●米朝枠組み「時間切れ寸前」 米国務省のボルトン次官が、イラク攻撃について「フセイン体制を打倒するため様々な方策を検討している。法的根拠はある」と述べ、北朝鮮についても、査察の受け入れ拒否が続けば94年の「米朝枠組み合意」に基づく軽水炉型原発の提供が「時間切れになる」と述べた。さらにブッシュ政権の核政策について、生物・化学兵器の脅威を抑止するため、核兵器使用は「いつでもありうる」と語った。(13日)
●ブッシュ「すべてが選択肢」 ブッシュ米大統領はホワイトハウスで米政府の核政策について、「すべての選択肢を持たなければならない」と述べた。(13日)
●普天間基地の一部使用認定 小泉首相が、駐留米軍用地特措法に基づき、那覇防衛施設局が申請していた普天間飛行場の一部土地の継続使用を認定した。(13日)
●新型核爆弾開発で核実験再開に言及 米国防総省の機密文書「核体制の見直し」では、地中深くに造られた戦略施設破壊のために、貫通力の大きい新型核爆弾の開発を提唱、凍結中の核実験の再開が必要になると分析していることが分かった。また核攻撃の対象になりうる7カ国のうち、北朝鮮とイラクの軍事動向が最大の懸念となっていると断定している。(14日)
●個人情報保護法案を閣議決定 政府が省庁など国の機関を対象とした行政機関個人情報保護法案を閣議決定し国会に提出した。国会にはすでに、民間を対象とした個人情報保護法案が提出されている。報道機関も対象に含む個人情報保護法案は人権擁護法案、青少年社会環境対策基本法案とともに「メディア規制3点セット」と言われている。(15日)
●ゲリラ・ミサイル、有事立法の対象化検討
 有事立法の検討の中で、ゲリラやミサイルの着弾は日本に対する「武力攻撃」に当たるとして、有事立法の対象に含めていることが明らかになった。一方、太平洋戦争のような事態は念頭におかないとしている。(15日)
●川口外相「15年問題答えられない」 就任後初めて沖縄を訪問した川口外相が、米軍普天間飛行場代替施設の15年使用期限問題で、着工前の解決について「イエスかノーかと言われれば、すべての問題についてお答えできるものではない」と述べた。(16日)
●沖縄市長選に桑江氏出馬へ 4月21日投開票の沖縄市長選で、元沖縄市職労委員長の桑江テル子氏が出馬表明した。社民、共産、革新系の統一候補となる。(16日)
●米軍関連の有事立法も一括提出へ 政府は、有事立法の関連法案として「米軍の行動に関する特別措置法案」(仮称)を今国会に提出する方針を固めた。同法案は自衛隊の行動に関する法案に準拠、在日米軍への国内法令の「適用除外」を検討している。(18日)
●韓国にイージス艦 米国防総省が、同時に複数の標的を撃墜できる防空システム「イージス」搭載艦3隻を韓国に売却する提案をしたことを明らかにした。(18日)
●有事立法の骨格明らかに 政府が今国会提出を狙う有事立法の骨格が明らかになった。法案全体を「武力攻撃事態への対処に関する法制」とし、包括法案と、個別法としての安全保障会議設置法改悪案(安全保障会議の機能を強化)、自衛隊法改悪案、米軍の行動に関する特別措置法案の4本を一括して提出する方針。(19日)

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週刊『前進』(2047号5面1)

 4・18三里塚「暫定」開港阻止へ

 3・31〜4・14闘争へ総決起を

 開港粉砕・延長阻止から廃港への突撃切り開け

 江波敏之

 アフガニスタン侵略参戦と有事法制、資本攻勢をめぐる階級決戦の中で、成田空港暫定滑走路の4・18開港が目前に迫った。開港は農家追放のための凄惨(せいさん)な暴力である。三里塚闘争を解体することで階級的力関係を転覆させ、有事法制・改憲を押し通し、3700b軍用滑走路の建設に道を開こうとするものである。闘う人民の総力を結集して粉砕しなければならない。2180bの短縮・欠陥滑走路(暫定滑走路)の見切り開港は、裏を返せば平行滑走路の破綻(はたん)と暫定計画発表(1999年5月)以来の切り崩し攻撃の失敗、日帝・小泉政権の脆弱(ぜいじゃく)性と危機性を露呈するものである。三里塚闘争は開港粉砕・延長阻止の決戦をもって空港廃港に向かう新段階に突入する。4・14全国集会をその転回点としなければならない。3・31三里塚現地闘争に決起し、4・14全国総決起集会の歴史的大爆発をかちとろう。 

 戦争国家の本格的な確立に突き進む日帝

 小泉内閣は4月にも有事法制の法案審議を強行しようとしている。これは最終的には憲法停止と戒厳令発令を首相権限に定める「緊急事態基本法」や「国家機密法(スパイ防止法)」などの全面的な戦時法体系の確立にゆきつくものだ。
 米帝は「テロ撲滅」を掲げた侵略戦争を世界規模で拡大し、イラン、イラク、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び挑発している。これに呼応してアフガニスタンに出兵した日帝は、東中国海で外国船を撃沈し、乗組員を殺害して中国・北朝鮮侵略戦争情勢を緊迫させた。
 第3次世界大戦の危機をはらむ新たな帝国主義侵略戦争に備えて、言論を統制し、反戦運動と労働運動を弾圧し、役務や土地を徴発して戦争に駆りたてる法整備を今通常国会から一気に成立させようとしている。92年6月PKO協力法、96年4・17日米共同宣言、97年9月日米防衛協力ガイドライン、99年5月周辺事態法、そして昨年10月のテロ対策特別措置法の経過を経て、ついに戦争国家の確立へと本格的に動き出したのである。
 この有事法制に呼応して、資本は労働組合破壊と、終身雇用―年功賃金制を中心とする戦後日本の雇用形態を解体する攻撃に踏み込んでいる。「総額人件費の抑制」を掲げ、ベアの見送りと定昇凍結、ワークシェアを要求し、社会保障制度の改悪と厚生年金など各種年金制度の解体で労働者に犠牲を強制している。「国際競争力の強化」が今や賃下げとリストラの公然たる理由だ。この資本による春闘破壊、労働運動解体攻撃に連合は総屈服した。
 有事法制・改憲攻撃の本格的踏み込み、大失業と貧富の差の拡大――戦後日本社会の根本的な転換が進行している。
 米帝の対日争闘戦にあえぎ巨額の不良債権と財政赤字にのたうつ日帝は、政治経済構造の脆弱性を抱えながら、戦後的制約からの脱却をかけて階級圧殺に突進せざるを得ない。国策に対して絶対反対を貫き、日帝の圧制と支配を実際に突き崩してきた三里塚の攻防は、その最先端で激突しているのである。

 有事立法との先端的攻防貫く三里塚闘争

 われわれは何よりも暫定滑走路開港に見る帝国主義国家権力の暴力性について、徹底的にはっきりさせなければならない。
 民家上空40bのジェット騒音は凶器である。爆音をとどろかせ、あたかも民家に向かって突っ込んでくるかのような超低空の進入飛行は、住民にとって耐え難い脅威である。
 さらに50b先の誘導路からのジェットブラストの直撃は絶対に許せない。市東さん宅では、孝雄さんの母ときさんが病床に伏している。大騒音と排ガスの噴射を至近から直撃させることは残虐で非人間的暴挙そのものだ。
 そもそも、滑走路南端400b地点は保安区域(アプローチエリア)であり、人が住むことなど想定外。市東さん宅の離れと耕作地は誘導路の一角に位置する。これらを残して滑走路をつくるなど論外である。
 暫定滑走路の着工後、権力・公団は軒先工事で農家を脅迫し、東峰・天神峰の道路を破壊し地形を変え、村のより所として建立された東峰神社の立ち木を「進入飛行の障害になる」という理由で伐採した。権力による意識的な盗伐であり、総有物件である神社底地の名義書き換えは土地強奪だ。人を人とも思わぬ暴力がこれまで数々執行され、今また強行されようとしている。満身の怒りを込めて粉砕しなければならない。

 有事土地徴発と同一の攻撃

 「国策」の前に人民の基本的権利を顧みないこうした暴挙こそ、帝国主義国家の本質である。これは人間社会の中で国家を第一義的に考え、その権威と意志とに絶対の優位を認める国家主義そのものであり、有事法制に貫かれるイデオロギーである。
 「国策」を掲げ強権を発動して家屋を破壊し土地を収用するのは、有事法制下の土地強奪と本質的に同じである。
 三里塚闘争はこの攻撃と先端的に闘ってきた。空港建設の閣議決定(66年7月)以来、三里塚闘争は戦後人民が廃墟の中で闘い取った既得権、特に国家権力による私権の制限としての土地収用と真っ向から激突し粉砕してきたのである。
 土地収用法に基づく事業認定告示(69年12月)、2度にわたる強制収用阻止決戦(71年)、武装決起によるせん滅戦と大衆的実力闘争、その衝撃がもたらした収用審理の長期中断と事業認定の失効、そして収用審理再開策動に対する収用委解体(88年)。さらに団結小屋を封鎖・撤去した成田治安法(事実上の憲法停止だ!)と闘い粉砕してきた。三里塚の闘いは国家による土地収用と治安弾圧に対し、実力で立ち向かい阻止・粉砕した歴史だった。
 有事法制はこの人民の基本的権利を、「戦時・戒厳事態」や「テロ」「治安維持」を理由に剥奪(はくだつ)するものである。
 今国会に提出される有事法制は、有事対応の理念や枠組みを示す「基本法」的規定と、自衛隊法などの関連法の改悪を「武力攻撃事態への対処に関する法律」(仮称)として一本化し、「包括法」として提出するとされる。
 このうち関連法については、防衛庁所管の法令(第1分類)や他省庁所管の法令(第2分類)など、自衛隊の行動にかかわる法制のうち研究を終えているものから先行処理する。自衛隊が陣地構築などのために個人所有の土地や家屋、物資の収用を可能にする政令や、部隊移動や物資輸送を行う自衛隊が損傷した道路を応急補修できるように道路法などに特例措置を設けることなどが柱となる。
 97年の沖縄軍用地特措法、99年地方分権一括法、昨年の土地収用法改悪と、近年、人民の基本的権利にかかわる法改悪が強行されてきた。有事法制はこれらの上に、次元を超えてつくられる戦争法体系である。絶対阻止の闘いは、三里塚闘争の継続・発展である。
 以上を踏まえて、暫定滑走路に始まる三里塚闘争の新たな闘いは、以下の3点において日帝の朝鮮・中国、アジア侵略とそのための戦争体制づくり(有事法制・改憲と全土基地化)に対して重大な意義をもつ。
 第一に、三里塚闘争が実力で「国策」=空港建設を現に阻止・粉砕する偉大な地平を堅持していることである。三里塚で土地収用法は機能しない。千葉県収用委の不在は行政機構の一角が人民の闘いによって解体されたことを意味する。この結果、予定地には農家と耕作地、神社、墓地、開拓組合道路、一坪共有地などの各種共有地、現闘本部などが存在する。この法的、物理的制約が形になったものこそ、長さが2180bに切られ、誘導路が「へ」の字に曲がり、着陸帯が国際基準の半分に削られ、平坦であるべき保安部分に巨大なホールが存在し、管制塔に死角がある、ボロボロの暫定滑走路なのである。
 第二に、朝鮮・中国侵略のための軍事空港建設(兵たん・出撃基地化)を阻止し、全土基地化を粉砕する闘いである。
 北朝鮮の核査察に端を発して朝鮮半島が緊張状態に入った94年、在日米軍は「朝鮮戦争勃発から数日以内にアメリカ本土から部隊輸送機や数千dの補給物資を着陸させるため、成田、札幌などの主要民間空港の定期発着便を停止させるよう日本政府に要請する」と機関紙で明らかにした。
 新ガイドライン策定過程の97年5月、米帝の対日支援要求1059項目の全容が明らかになり、そこで優先的に施設使用が要求される「11民間空港・7港湾」の筆頭に成田空港が指定された。日帝は、「アジア太平洋地域の平和と安定」(朝鮮・中国侵略のことだ!)をうたった96年4・17日米共同宣言(安保再定義)から日本の全土基地化を具体化し、その最重要の環として成田の兵たん基地化を公然と推進してきた。
 闘争を解体し用地を強奪すれば、暫定滑走路は最長で3700bになる。有事法制はこの攻撃に道を開くものである。階級の力によって阻止し続ける三里塚に対しては、有事・緊急事態の発令による土地収用が最終手段である。有事法制との闘いなしに三里塚闘争の勝利はない。
 第三に、日帝のアジア侵略・勢力圏のための航空ネットワークの形成を阻止・粉砕していることである。
 現代帝国主義世界において、航空は人の移動と物流の基幹を担い、巨大空港はこれを決定づける不可欠のインフラだ。アジア諸国との巨大空港建設競争において、成田にこだわってきた日帝はすでに回復不能の立ち遅れを強制されている。
 三里塚は日帝の有事法制・改憲と侵略体制づくりと最先端で闘う闘争拠点である。暫定滑走路粉砕は、その継続・発展であり、本格的に開始された戦争攻撃を阻み内乱に転化する闘いの突破口をなすのである。

 欠陥だらけの滑走路成田陥落は始まった

 4・18開港粉砕決戦を闘うにおいて押さえるべきことの第一は、4・18をもって延長攻撃との闘いを開始することである。日帝・権力、空港公団は、暫定滑走路を南側に1120b延長し、3300b(北側移動部分を加えると最長3700b)とする衝動に絶えず突き動かされている。
 空港公団は昨年、平行滑走路の完成期限をひそかに「2004年3月31日」に修正して国土交通相に認可申請した。これは世界に対しては平行滑走路(3300bへの延長)の「完成期日」の表明以外の何ものでもない。不完全・欠陥空港がやがて完成するかのように見せかけて、成田の陥落(日帝の没落だ)を止めようと躍起になっている。
 この延長のために農家をたたき出そうと、策略的に飛行便数を増やしている。中国・韓国路線の野放図な認可による供給過多はその一例だ。また、9・11反米ゲリラの衝撃は航空需要を激減させ、航空争闘のダンピング競争で一時的に増加していた需要を適正水準に押し下げた。これによりA滑走路に空きが生じているのに、あえて暫定滑走路に振り向けている。
 農家追放のためのこの攻撃を粉砕することである。延長は絶対に不可能であること、欠陥だらけの危険な滑走路であることを全世界に明らかにし、空港廃港への転換点とするのである。
 2月26日、国土交通省は世界に暫定滑走路のオープンを告知する航空路誌(AIP)を発出した。ここで新たな事実が露呈した。それは南側進入表面を5・2bも突き出す6本の立ち木が存在することである。このため、暫定滑走路の長さは2180bからさらに短い、実質1920bの運用を強いられる。
 さらに、北側に800bずらした結果生じた管制塔の死角が、想像以上に深刻であることが露見した。市東孝雄さん宅の立ち木、3階建ての天神峰現闘本部、ホテルの建物とゴルフ場の樹木がことごとく障害になっている。驚くべきことに公団は、10数本のモニターを設置することで目視に代えるという綱渡りでのりきる方針だ。これはどう見てもまともな空港ではない。だから策略的な便数増にもかかわらず、利用率も惨たんたるありさまだ。
 国土交通省の発表によれば、開港時の発着枠の利用状況は週あたりの総枠数1232回に対して週703回(内訳は国際線555回、国内線148回)。利用率にしてなんと57%である! 国内線の新規路線は仙台だけ、国際線の新規路線はモンゴル、パプアニューギニア、ベトナムにとどまった。しかも採算が合わないことから国内線の半分近くは20〜50人乗りの小型ジェット機だ。ジャンボ機が飛べないために躍起となった充実検討委員会の国内線誘致運動は、ものの見事に破産した。
 今や成田に代わって羽田国際化が現実的だ。昨年2月に始まった深夜・早朝の国際チャーター便は定期化しつつある。2015年をめどに第4滑走路が完成する。これにより1日100便の国際定期便が就航し、現行年間27万5千回が41万回に拡大する。
 成田の陥落はすでに始まっているのであり、短縮・欠陥滑走路の固定化がこれを促進する。
 4・18開港粉砕決戦を闘うにおいて押さえるべきことの第二は、有事法制と改憲阻止の4−5月国会闘争、さらに春闘決起への出撃拠点とすることである。
 三里塚は最大最強にして不動の闘争拠点である。この三里塚の発展にこそ人民の勝利がある。戦争が現実化してきた。この日帝の足下で、現に国策を阻止し、内乱的に立ち上がる人民の存在の意義は限りなく大きい。三里塚の絶対阻止、実力闘争は沖縄を始めとする全国の反戦、反基地、軍事演習阻止闘争の勝利の道筋を示すのみならず、雇用形態の抜本的転換で非和解的に激突し始めた労働運動においても大きな意義をもっている。
 動労千葉と「労農連帯」のきずなを結ぶ三里塚反対同盟は、資本攻勢に対して労働者との共闘とスト支援を訴えている。この農民の存在は革命的だ。3・28〜31の動労千葉・総連合のスト決戦に三里塚は連帯し、労働者決起に合流する。

 臨戦態勢強め現地大結集を

 闘争方針は以下のとおりだ。
 第一に、暴虐に怒りをたぎらせ、階級的意義の大きさをはっきりさせて3・31三里塚現地闘争―4・14全国総決起集会の大結集を闘いとることだ。成田には不屈の農民抵抗と人民の支援運動があり、空港は永遠に完成しないことを、大結集の力で世界に示すのだ。
 日帝権力・国土交通省は4月2日、暫定滑走路の飛行コースにおける騒音実機テストを強行する。ボーイングによる初めての上空40b進入が強行される。3・31現地闘争に関東圏を中心に決起し、4・2テスト飛行粉砕闘争、4・14全国総決起集会に総結集しよう。
 三里塚反対同盟は1万数千部のリーフレットを作成し全国に配送した。暫定滑走路の飛行直下を中心とする空港周辺地域に配布する計画である。この決起に全力でこたえよう。
 第二に、三里塚現地攻防体制の圧倒的強化である。全学連は決戦行動隊を現地に派遣し、日常的な宣伝活動と援農、成田駅頭街宣などフルに活動を開始した。
 開港に向かうこの過程と開港後3カ月が現地攻防の正念場である。開港後の世論操作(反対派がいるから空港が完成しない)や地域反動を使った追い出し攻撃が必至である。臨戦態勢を継続しつつ、騒音調査など生活防衛にかかわる闘いを推進しなければならない。
 第三に、暫定滑走路粉砕―延長阻止の実力闘争の武装的発展を断固推進することである。ファシスト・カクマルの破壊策動を粉砕し、日帝権力の暴力発動に対して人民の力を断固として示さなければならない。
 第四に、この闘いと一体のものとして、有事法制・改憲阻止の4―5月国会行動、街頭闘争に打って出ることである。全党・全人民は総決起しよう。

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週刊『前進』(2047号5面2)

 佐世保

 侵略艦の帰還を弾劾 150人の怒りで迎え撃つ

 3月16日午後1時、佐世保市の立神桟橋にアフガニスタン侵略戦争に参戦・従事していた自衛艦3隻が次々と着岸した。護衛艦「くらま」「きりさめ」、補給艦「はまな」の3隻だ。
 正午、佐世保地区労主催の「NO!有事法制、憲法改悪 STOP!有事法制、自衛隊の海外派兵に反対する佐世保地区集会」が前畑ふ頭で開催された。150人の労働者、学生、市民の怒りが岸壁を埋めた。地区労に結集する国労、全港湾、市職労、全逓、都市交、全国一般などの旗が林立する。「19日佐世保市民の会」などの市民団体も横断幕を手にして参加した。
 反戦共同行動・福岡に結集する労働者・学生は、地区労傘下の労働者にビラを配り、決起を訴えた。「アフガン人民虐殺を繰り返すな! 自衛隊員は出兵を拒否せよ!」の横断幕がひときわ高く広がった。
 抗議集会の途中で「くらま」が佐世保湾内に姿を見せた。アフガニスタン人民の血で染まった侵略軍艦がゆっくりと前畑ふ頭の目前を通過する。後ろに「はまな」「きりさめ」が続く。「アフガン人民を殺すな。戦争協力をやめろ。有事立法反対」と声も限りのシュプレヒコールが自衛隊艦隊を迎え撃った。
 地区労の集会終了後、反戦共同行動・福岡は独自集会を開き、地区労傘下の労働者に「アフガニスタン侵略戦争反対。アフガニスタン、パレスチナ人民の決死の闘い断固支持。有事立法国会提出実力阻止」を訴えた。その後、佐世保市街地の四ケ町商店街で夕方まで街頭宣伝を行った。

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週刊『前進』(2047号5面3)

 米核使用宣言を糾弾 広島 被爆者先頭に抗議集会

 3月16日、広島反戦共同行動委員会は広島市中央公民館で「有事立法制定阻止 小泉政権打倒 3・16広島集会」を開催した。
 集会の冒頭、全国被爆者青年同盟の友野幽委員長が「ブッシュの核兵器の先制使用宣言を徹底的に糾弾する。世界戦争路線のもとで核兵器使用の敷居は完全に取り払われている。闘うイスラム諸国人民と連帯し、このヒロシマの地から、国際的反戦闘争の火柱をあげよう」と熱烈に訴えた。
 反戦被爆者の会の下田禮子さんは、「被爆者として再び核兵器が使われようとしていることに黙っていられない。ヒロシマの役割が本当に求められています。有事立法や憲法改悪に絶対反対していきましょう」と訴えた。
 集会の基調を全学連の井上亮副委員長が提起した。「世界核戦争情勢と対決し、有事立法・改憲阻止決戦に直ちに決起しよう。小泉政権は有事立法を即戦争発動するものとして構えている。米帝の朝鮮侵略戦争計画『5027』でも、不審船への海上警備行動の発動が戦争開始の第一段階として位置づけられている。石原都知事が『拉致問題も
不審船も、これは侵略戦争ですよ』と朝鮮・中国への侵略戦争をあおっていることを許すな。『再び繰り返すな』の思いを解き放って闘おう」と提起した。さらに、民主労総や南朝鮮・韓国の詩人のアピールを紹介して、「闘うイスラム諸国人民、朝鮮・中国・アジア人民と連帯して闘おう」と訴えた。
 「日の丸・君が代」強制と対決する教育労働者を始め、各団体が力強く決意を表明した。有事立法阻止、教育基本法改悪阻止−改憲阻止の大決戦へ、熱烈な戦闘宣言が発せられた。

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週刊『前進』(2047号5面4)

 「しもきた」の配備許さぬ 呉基地へ抗議

 3月15日、広島反戦共同行動委員会は、呉基地への自衛艦「しもきた」配備強行に対する抗議闘争に決起した。(写真)
 「しもきた」は「おおすみ」に続く強襲揚陸艦の2番艦であり、90式戦車10両を搭載できる巨大な格納庫を持つ戦車揚陸艦だ。甲板には大型ヘリコプター2機を搭載する。搭載されるホバークラフト型揚陸艦(LCAC)は、戦車を搭載できる巨大なもので、どんな地形の海岸でも部隊と武器・弾薬を上陸させることができる。まさに侵略上陸のための戦艦だ。
 「しもきた」の配備で、呉基地には「第1輸送隊」が自衛隊として初めて創設された。これにより旅団規模の軍隊を一挙に侵略上陸させることができるのだ。朝鮮・中国侵略戦争の出撃基地として呉基地が全面的に強化されている。
 朝9時、労働者・学生は呉地方総監部前で配備中止を求める申し入れを行い、「しもきた」が配備されようとしているEバースにほど近い「アレイからすこじま公園」に結集した。10時に「しもきた」の巨体が近づくと直ちにシュプレヒコールをたたきつけた。

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週刊『前進』(2047号5面5)

 機関紙活動 実践の中から

 “絶対拡大できる” 確信に立ち大成果

 マル学同A大学支部

 マル学同A大学支部は、1月末から2月末にかけて、きわめて強力な組織的討議と一致をかちとり、組織を挙げて集中的な機関紙拡大闘争に突進した。その結果、10%を超える拡大を実現した。その総括と教訓について明らかにしたい。
 その第一は、激動する主客の情勢に対する組織的確信、「絶対に拡大できる」という確信に立ちきったことによって、前進を実現したことである。
 われわれは、02年新年号政治局アピール(9・11反米ゲリラ戦論の深化)を主体化する中で、「国際階級闘争は新しい段階に入った」「新たな世界大的な内乱の開始」「世界革命−プロレタリア社会主義革命の新しい時代の到来」と主客の情勢をとらえきった。
 それは、パレスチナやアフガニスタン−イスラム諸国だけの話ではない。また名護や国鉄や三里塚だけのことでもない。ほかならぬわれわれの目の前で、新たな内乱の時代が始まっていることへの確信である。打てば響くような、待ちに待った情勢が到来している。既成の政治勢力と政治的枠組み(制動)を打ち破り、反スターリン主義・革命的共産主義が労働者階級と結合し、根底的な反帝大衆決起を切り開く革命的な激動が到来しているのだ。
 その立場に立ち、「絶対に拡大するし、できる」と確信して拡大闘争をやりぬいたことが重要だった。
 第二に、それを重層的な任務の中で、具体的に実現する執念に燃えて方針を煮詰め、実践プランと担当者をはっきりさせ、実践した。これなしに拡大への結実はなかった。「世界史的激動期が来た」と語りながら実践に踏み込まないならば、それは自分を局外においた客観主義なのだ。
 機関紙拡大は、それ自身の独自の意義と総括軸をもって推進しなければ、自然発生的には実現できない。だから「具体的方針として実現する執念」が問題になる。そこまでギリギリと組織的議論を進めたことが重要だった。
 第三に、9・11情勢の激動性を、弾圧との闘いや新歓闘争の中で組織的につかみとり、激動的に闘う中で前進をかちとったことである。
 今期の拡大闘争は、誰も経験したことがないような激しい攻撃のまっただ中にあった。さらにデッチあげ逮捕、激しいガサ攻撃、重畳する任務の中での財政決戦の死活的貫徹……。日帝の激しい参戦攻撃の中で、問題はまさに、党と階級闘争の根絶攻撃と対決し、革命に勝利する党建設を貫徹するのかどうかとして問われていた。
 こうした中で、第一で述べた激動情勢を、弾圧との闘いと大衆的反撃を必死でかちとる中で、あるいは激しい党派闘争の中で、実感と展望をもってつかみとったことが重要だった。それは、日帝の激しい攻撃との攻防の中に勝利の展望を見るのか、それとも絶望してしまうのか、という普遍的な問題でもある。さらに、新歓闘争にこうした精神で突進した結果、激動を実感的につかんだことも重要だった。
 第四に、学生戦線における飛躍的な党勢拡大に向かって計画を打ち立て、組織全体が突撃することによって実現したということである。ここ数年の前進を踏まえ、学生戦線は全国方針として全力で党勢拡大の闘いに突入している。新たな世界史的内乱の開始の中で、学生戦線における党勢拡大は待ったなしであり、時代の要請だ。機関紙拡大闘争こそ、その最基軸をなす。
 この方針−拠点化政策と結合し、メンバー自身がこの方針で燃え立って拡大闘争に決起した。また、拡大闘争への突撃の中から勝利の展望と確信をつかみとったことが、なお一層重要であった。飛躍的な党勢拡大に向かう実践の第一歩として新歓過程に突撃し、その中で拡大を実現したことはきわめて大きい。
 党勢拡大という時、機関紙の数こそリアルなメルクマールだというのが実感だ。
 第五に、内容的に言えば9・11論、イスラム諸国人民との連帯論で武装し、宣伝・扇動する中で前進をかちとっていることである。
 日々、この瞬間にも命をかけて戦いぬいているパレスチナの青年たちやアフガニスタン人民との国際主義的連帯、そして世界革命の現実性が荒々しく開示されていることに支部のメンバー全員が燃え立って決起した。そして02年新年号路線こそ、学生をとらえて離さないものであることに確信を深める中で、拡大を実現した。
 米・日帝の「テロ根絶論」を根底から打ち破る度合いに応じて、機関紙と党勢の一層爆発的な拡大をかちとることが可能となる。そのことを、実践の中で全メンバーが確信している。これからも、さらに組織全体で機関紙拡大闘争を担い、゛党勢拡大はまず機関紙の飛躍的拡大から″ということを明確にして、積極的に拡大闘争に取り組んでいきたい。

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週刊『前進』(2047号6面1)

 泉佐野市議選の必勝へ

 人民とともに行動する革命的議員と党の変革かけて闘おう

 国賀祥司市議の当選かちとれ

 革共同大阪府委員会

 国賀祥司市議の5選をめざす5月19日投開票の泉佐野市議選が目前に迫った。戦争と恐慌の時代に突入し、未曽有(みぞう)の資本攻勢が吹き荒れる中で、労働者階級は塗炭の苦しみの中から闘いを求めている。今こそ革共同第6回大会路線の真価をかけ、革命的議会主義の真の実現をかけて泉佐野市議選に絶対勝利し、労働者階級の総反撃をかちとろう。闘うイスラム諸国人民と連帯し、小泉戦争政権を打倒せよ。革共同大阪府委員会は、泉州地区党を最先頭に一丸となってこの闘いに責任をとり泉佐野の労働者人民と固く結束して勝利の血路を切り開く決意である。全国の同志、支持者の皆さんがこの闘いに圧倒的に注目し、支援に立ち上がることを訴える。

 闘うイスラム諸国人民との連帯貫き

 アフガニスタン人民、パレスチナ人民の生命をかけた偉大な民族解放闘争は、米帝ブッシュとイスラエル・シオニストを決定的に追いつめ、21世紀の世界革命に向けた歴史的勝利の展望をこじ開けつつある。
 「9・11」とは何か。13億イスラム諸国人民の怒りに根ざした巨大なゲリラ戦闘であり、米帝の世界支配、とりわけ新植民地主義諸国への暴力的収奪と民族抑圧・支配を根底からうち破る闘いだった。半世紀以上にわたって民族的尊厳を踏みにじってきた帝国主義の植民地支配の現実が衝撃的に暴き出されたのだ。踏みにじられた民族が、民族の尊厳と解放を求めて立ち上がる崇高な闘いにわれわれは心から連帯していかなければならない。
 米帝ブッシュは残虐きわまる大規模空爆と地上軍の投入で、民族皆殺し戦争を仕掛けながら、政治的にも軍事的にも惨めな敗北を強制されつつある。アフガニスタン侵略の全面戦争に踏み込んでおきながら、首都カブールですら完全な支配下におけていないのだ。カルザイの暫定行政機構はかいらい政権以下の存在でしかない。
 タリバンとアルカイダはその戦闘主力を依然として確保しており、英雄的な反撃戦に立ち上がっている。後背地を断たれ、ベトナムのようなジャングルのない山岳地帯で衛星と無人偵察機に昼夜監視されながら、すさまじい規模の空爆に耐え抜き、再び反撃と徹底抗戦に決起しているのだ。タリバンとアルカイダが広範なアフガニスタン人民の力に支えられていることは疑いない。この闘いに心からの感動を覚えないものがいるだろうか。
 パレスチナ人民の闘いは、帝国主義によるパレスチナ圧殺=「中東和平」策動を根底から粉砕して、民族解放闘争の永続的発展の道を指し示している。
 1978年キャンプデービット合意から93年オスロ合意に至る過程は、ソ連スターリン主義の崩壊のもとで、PLO指導部に屈服を強制し、パレスチナ人民を国家ならざる国家に閉じこめ、パレスチナ解放闘争を根絶やしにしようとする過程であった。これに対して、パレスチナ人民は徒手空拳でインティファーダに立ち上がり、さらにはわが身を武器とする自爆戦闘を連続的にたたきつけ、オスロ合意を真っ向から破綻(はたん)にたたき込む闘いに立ち上がってきた。
 そしていま、追いつめられたイスラエル・シャロン政権による自治区住民皆殺し戦争への突入に対して、パレスチナ解放勢力はテロル戦・ゲリラ戦による全面戦争を宣言し、イスラエル軍とシオニストを相互せん滅戦に引きずり込んでいる。この闘いこそ、自らの解放を自らの命をかけて闘いとろうとする民族解放闘争の原点をわれわれに突きつけるものである。
 今こそ、日本の労働者階級人民の国際連帯闘争が求められているのだ。
 5月泉佐野市議選は「米帝の侵略戦争阻止、イスラム諸国人民との連帯」を断固として掲げて闘う。帝国主義とその先兵どもによる「テロ弾劾」の大合唱にもかかわらず、人民大衆の戦争反対の意志は頑強に堅持されている。泉佐野におけるメッセージ運動の中にも、「戦争は絶対にやめて下さい」「アメリカはなぜ問題の背景を考えようとしないのか」などの声が満ちている。重要なのは、アフガニスタン、パレスチナ人民の不屈の闘いを受け止めることによって、このような声が噴き上がっていることである。
 われわれは、5月市議選を「戦争反対・国際連帯」を貫く選挙闘争として闘う。そして必ず勝利する決意である。この選挙戦の勝利こそ、泉佐野の労働者人民自身のイスラム諸国人民への連帯行動なのだ。

 日帝・小泉政権打倒かけた重大な決戦

 日帝・小泉は、アフガニスタン侵略に自衛艦を派遣して参戦し、有事立法制定を策動して戦争への道を突進している。そして同時に、「変革者」を装ってきた小泉が腐敗にまみれた存在でしかないことも暴露されている。今こそ小泉戦争政権打倒へ突き進まなければならない。
 世界戦争の危機、世界恐慌過程への突入は労働者階級に何をもたらしているのか。
 泥沼のデフレは労働者人民の生活を直撃し、いたるところで首切りの嵐が吹き荒れ、賃下げと極限的労働強化、無権利状態が襲いかかっている。加えて社会保障が切り捨てられ、失業と疾病が直ちに命の問題に直結する状態に追い込まれている。失業率は戦後最悪を更新し続け、わけても近畿は沖縄に次いで失業率が高く、さらに泉州−泉佐野地域は大阪府下でも最悪の失業地獄だ。
 日帝・小泉政権のもとで進行しているこの事態は、労働者人民への殺人攻撃なのだ。小泉はこれを「痛みをともなう改革」とほざいている。
 こうした現実を前に、労働運動の現状はどうか。今春闘におけるトヨタのベアゼロがすべてを物語っている。日帝小泉は、労働貴族を先兵に、「構造改革」で人民の権利を最後的に剥奪(はくだつ)し、労働者人民を「国家あっての労働者」に転落させ、戦争に動員しようとしているのだ。
 われわれの「労働者の中へ」の実践は、労働運動からも見放され、資本のやりたい放題と国家行政の人民殺しにさらされている労働者階級の中へ、階級の魂をもって分け入り、「階級の要求をつかみ取り、その要求を階級としての権利に高め、労働者階級は資本に対して団結しなければならないことを示し、階級的大衆行動に導いていく」ことでなければならない。
 さらに、職場生産点の組織化の闘いに全力をあげると同時に、地域の全住民を対象化し、すべての労働者人民の利害を代表する党へと飛躍していかなければならない。すなわち帝国主義に対する全面的批判のできる党への飛躍である。現状の地区党がいかに小さなものであったとしても、地域丸ごと組織する展望と計画を持って自力自闘の実践を重ねていかなければ、われわれの存在意義はないと言っても過言ではない。情勢は待ったなしにその闘いを要求しているのだ。
 この闘いにとって、選挙闘争・革命的議会主義の闘いは絶対不可欠の水路をなす。
 日帝・小泉の攻撃に呻吟(しんぎん)する幾百千万の労働者人民と、怒りをともにし、行動をともにすることができるか否か。ここに今次泉佐野市議選の帰趨(きすう)がかかっている。そしてここにおいてこそ、第6回大会路線に立った党の革命的自己変革が問われるのだ。

 泉佐野は日帝危機の矛盾の集中点だ

 泉佐野市の町と市民生活は現在どのような状況か。
 泉佐野はタオルとワイヤーロープに代表される繊維と零細金属産業の町であった。今やそのほとんどの工場が倒産・廃業、ないしはその寸前の状態にある。失業は府下最悪である。アーケードの商店街もあちこちが更地となり固定資産税対策の駐車場となって、商店街の体をなしていない。市内の工場移転跡地が更地のまま放置され、駅前再開発や区画整理のとん挫でこれまた更地が放置されている。
 要するに工場がなくなり、人々は働く場所がなく、町も穴だらけの荒涼とした風景が広がっている。これほどの町の荒廃は、かつての閉山後の炭坑町以来ではないか。
 ビルが林立するはずだったりんくうタウンは、まったく売却が進まず、広大な荒れ野が広がっている。建っているのは「東洋一の高さ」というゲートタワービル(赤字第3セクター)と関空警察、そして「空港病院」と言われる市民病院ぐらいである。
 そして泉佐野市は779億円もの空港関連借金を抱え、赤字再建団体転落寸前の財政状況となっている。
 この惨状は何によってもたらされたのか。軍事空港の建設によってである。
 関西新空港が泉州沖に決定され、バラ色の未来が空港推進派によって語られたのは、70年代中期から80年代にかけてである。「泉佐野は国際都市に」などと、現在なら失笑を買うような話を、行政・財界・御用文化人などが大まじめに宣伝していたのである。
 そして80年代後期、時代はいわゆるバブルに突入する。泉佐野−泉州一帯の土地は大阪府下でも飛び抜けて高騰した。空港がらみの土地投機である。農地ですら1反(10e)2億円にまではね上がった。市内の地価は天井知らずとなり、市内の工場は固定資産税に耐えきれず和歌山などに移転していった。地価の一層の高騰を見込んで行政主導で再開発や区画整理が強行され、住民が追い出されていった。
 そこへバブル崩壊が襲いかかった。工場跡地も再開発・区画整理後の土地もまったく売れず、山の中に工場や大学を誘致して新しい街をつくるつもりの「コスモポリス計画」も多額の負債を残してあえなく倒産した。そうした中で94年関空開港は強行された。
 泉佐野市民に残ったのは、軍事空港とばく大な空港関連借金だけである。開港後も長期不況の中で、りんくうタウンはまったく売れず、市内の工場も倒産が相次ぎ、市財政は急激に悪化していった。市民は、住居を奪われ、仕事を奪われ、その上に財政難を理由に福祉の大幅切り捨てを強要されている。その一切合切の原因は関空なのだ。
 日帝は泉佐野の労働者人民に塗炭の苦しみを強制しながら、関空2期工事だけは絶対にやめない。2期工費の1兆5600億円はどこから出るのか。負債という形を取ろうが、出資という形を取ろうが人民から搾り取った金であることに違いはない。国が出そうが大阪府が出そうが同じことである。
 「毎月3万円の国保料を払うのはしんどい」「医療費に年13万円もかかる。なんとかして下さい」「仕事がない。子どもがまだ小学生。どうしたらよいか」「自殺が増えている。身につまされる」などなど、国賀事務所には悲痛なメッセージが次から次に送られてきている。
 この泉佐野市民の苦難と、軍事空港建設の対比を見よ。ここには人民を虫けらのように扱う帝国主義の腐敗と堕落が集中している。この帝国主義の危機は戦争へと行き着く。それはもう開始されているのだ。
 5月市議選で空港優先市政に断を下し、日帝・小泉政権を打倒せよ。

 革命的議会主義の飛躍かけ総決起を

 泉佐野市議の国賀祥司氏は、86年、空港反対住民運動の代表バッターとして初当選した。以来4期16年、軍事空港反対の議員、反戦闘争の先頭に立つ議員として圧倒的な認知と支持を固めてきた。権力の度はずれた過激派キャンペーンと住民に対する異常とも言える監視の中で、一歩も引かず戦争反対・軍事空港反対の闘いを貫いてきた国賀議員と党の闘いが今日の地歩を築いたのである。
 そして同時に、国賀議員はあらゆる市民の生活苦に対して、市民の手となり足となって縦横無尽の活動をうず高く積み重ねてきた。これこそが泉佐野の住民大衆が心から国賀議員に支持を寄せる最大の根拠となっている。
 われわれはこの4期16年の地平に圧倒的な確信を持っている。しかし同時に、今われわれは、真の革命的議員として、革命的議会主義の党として、決定的な飛躍と転換を今次市議選で実現しようと決意している。
 先にも述べたように、国賀事務所には戦争への怒り、政治の腐敗への怒りとともに、生活の困窮を訴えるメッセージが膨大に寄せられている。この生活にかかわる問題こそ、最も人民大衆が苦しんでいる問題なのだ。人民大衆には、自らの生活苦が実は帝国主義の政治の結果にほかならないことがおおい隠され、貧困は自らの責任であるかのように、貧困が恥であるかのように思いこまされている。貧しさが惨めで苦しいのはそのためなのだ。
 この生活苦を、議員と党が代行して「解決」しても本当に解決したことにはならない。責任は帝国主義にあり、自らは堂々と生きる権利を主張できるのだということを、人民大衆は自らの主体的行動をとおして確認していく。そして仲間とともに団結して現状を突破する自らの力に目覚めていくのである。革命的議員とはそういう人民とともに行動し、人民の権利意識を取り戻し、組織していく革命的扇動者であり、組織者でなければならない。
 政治闘争の領域におけると同様に、人民の生活と生存の領域でも帝国主義に対する根底的批判の闘士とならなければならないのである。
 議会の壇上は革命的議員にとって帝国主義批判の重要な戦場である。しかし同時に、革命的議員は労働者人民を帝国主義打倒の戦士に打ちきたえていく任務を負っているのである。これがレーニン主義における革命的議員像である。
 昨秋以来、われわれはこうした議員像の形成と党のスタンスの確立のために闘い抜いてきた。そしてそれは今、確実に実現されつつある。この道の先に必ず勝利がある。圧倒的に豊かな未来がある。このことを確信して、死力を尽くして勝利に向かって闘い抜く決意である。
 全国の同志の皆さん、闘う労働者人民の皆さん。国賀市議の必勝のために、支援・激励・連帯の行動に立つことを心から訴える。

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週刊『前進』(2047号6面2)

 牛海綿状脳症 BSE問題を考える(下)

 木崎 隆生

 BSE大発生の「犯人は政府だ」

 BSE(牛海綿状脳症)を発生させ、ここまで深刻な事態にいたらしめた直接の責任は、まず何よりもイギリス政府にある。そしてその後、日本でも発生させるにいたった全責任は、日帝政府・農水省にある。
 89年に英政府は対策特別委員会の報告でBSE拡大の原因を「動物性飼料が感染源」と認めながら、「牛から他の動物に感染することはない」、つまり「ヒトにはうつらない」と結論づけた。これが直接その後の爆発的拡大の引き金となった。「犯人はイギリス政府」(英医学研究協議会フレイザー博士)なのだ。
 同時に日本では、全事態を掌握しBSEの危険性を知り、対策を立てるべき立場にあるのは、政府・農水省であった。しかし彼らは90年代前半をとおして、イギリスとEUでBSEが猛威を振るっている時に「あれは英国の牛がかかる奇病」という驚くべき認識で何の対策も講じなかった。

 豚や鶏には食べさせていいのか

 イギリスで85年に最初のBSE発生が確認されて以降、88年には2500頭の発病が見られた。そしてこの年の7月にイギリス国内での肉骨粉の使用が禁止された。しかしそれは牛や羊などの反芻(はんすう)動物に与えることを禁止しただけで、豚や鶏の飼料としての肉骨粉の生産は続けられた。これは、飼料工場や農場で、肉骨粉が牛用の飼料と混ざる可能性、牛にも引き続き食べさせる危険性を多分に残した。
 しかも、肉骨粉を食べる豚や鶏の体内にも、大量のBSEプリオンが取り込まれ、それをとおしてヒトの体内にも入る可能性があることは考慮されなかった。その上、牛や羊への肉骨粉の禁止後も、外国にはそれを大量に輸出し続けた。
 実際に英政府は、89年7月、88年以前に生まれた英国産牛の輸出を禁止した。90年6月には生後6カ月以上の牛の輸出を禁止した。禁止に踏み切ったということは、それまではBSEの可能性のある牛を輸出していたということである。
 結局、英政府が肉骨粉の使用と輸出を完全に禁止したのは、やっと96年3月になってからだ。この96年3月とは、英健康保健相ドレルが議会下院で、BSEの人間への感染を公式に認めた時なのである。
 すでに90年には、肉骨粉を使ったキャットフードによって、猫にBSEが感染した可能性が指摘され、また英国内の動物園などで、やはり肉骨粉を使った飼料によって鹿やミンクなど多くの動物が感染していた。「種の壁」を越えて感染することが指摘されていた。しかし英政府は96年3月まで「人間には感染しない」と言い続けてきたのだ。
 なおここで、BSEは確かに「種の壁」を越えてヒトにうつるが、異常型プリオンが体内に入れば全員が必ず発症するものではないことは確認しておきたい。ヒトへの発生率はかなり低いと考えられる。しかしイギリスでは一地域での「集団発生」の例もあり、潜伏期間も長く、まだわからないことが多いのが現状だ。
 さらに、異常型プリオンは脳とせき髄に集中している。牛乳や肉が安全だというのはイギリスでの発症の経験から見てもインチキではあるが、危険性はかなり低いと考えていい。
 それともう一つ、世界最大の畜産・肉骨粉大国であるアメリカでBSEがまったく発症していないと言われている問題はどうなのか。これは情報操作の可能性がきわめて強い。なぜならヒトBSEと類似したアルツハイマー病が世界でダントツの4百万人も発生し、牛の「恐水症」やミンクのプリオン病であるTME(感染性ミンク脳症)の爆発的流行という問題も存在しているからである。
 戦争でも何でも平気でやる米帝だ。BSEと変異型ヤコブ病がこれらの問題として処理されている疑いが強いと言われている。
 歴代の日帝政府と農林水産省、厚生省→厚生労働省の官僚は、このようなイギリスでの、さらにEU諸国でのBSE発生と爆発的拡大を前に、「対岸の火事」と見くびり、無責任な対応しか取らなかった。

 「危険度3」撤回させた日本政府

 肉骨粉が感染源ということは、早くから指摘されていた。直ちに輸入と使用を禁止する以外になかった。しかし農水省は肉骨粉の外国からの輸入問題に何の対策も講じなかったのだ。
 ようやくイギリスからの肉骨粉の輸入を止め、牛の飼料として肉骨粉を使うことを禁止したのは96年。EU諸国からの輸入が禁止されたのは、さらに遅れて01年1月からだった。
 また農水省は、牛の飼料として肉骨粉は使用しないよう行政指導していたというが、まったく不徹底な行政指導・自粛要請でしかなく、実際に「そんなことは聞いていない」という畜産農家も多かったのだ。
 昨年7月、EUは自分のところへ入ってくる牛肉の安全性確認のために、各国のBSE発生の危険度を調査し、暫定報告書をまとめた。そこで日本は4段階のうち3番目の危険度とされた(すでに発生しているかこれから発生する危険性があり)。これに日本の農水省が猛然とかみつき、撤回を迫った。結局、EUはこれの公表を断念した。
 その直後に、日本でもBSEが確認されたのだ。

 政府の責任を追及し小泉打倒へ

 国内でのBSE発生後も、農林水産相の武部勤は「感染源解明は、酪農家にとって、そんなに大きな問題なのか」とうそぶき、「5年も10年も前の責任を私がとらないといけないわけではない」と辞任も拒否し完全に開き直った。
 だがBSEを発生させた全責任は、飼料会社に肉骨粉の輸入を許可し、畜産農家にその使用を指導し奨励してきた責任も含めて、すべて政府・農水省にある。政府と政治家・官僚が資本と癒着し、その利益を最優先してきた結果が、BSEであり、さらには水俣病、薬害エイズ、薬害ヤコブ病などの問題であった。
 政府と農水省は、日本国内でのBSEの発覚により全畜産農家と食肉関係者に牛肉消費の激減やリストラ攻撃を始めとして、塗炭の困苦を強いた。しかし今にいたるもこれに対して何も責任を取っていない。
 BSE問題への根本的な対応とは何か。それはすべての肉骨粉の製造と輸入、牛だけでなく豚や鶏やウナギなどを含めた使用の禁止、政府による牛の全頭買い上げ、損害の全額補償が行われなければならないような大問題である。そのためには行政の責任を徹底追及しなければならない。
 しかしそれを本当に実現することは、本質的に政府を打倒し、現代資本主義=帝国主義を打倒することなしにはありえない。農水相・武部、厚労相・坂口力はもとより、小泉もかつて厚生大臣を務めており、BSE発生の責任がある。
 今こそ政府の責任を追及し、小泉打倒へ闘おう。
 (おわり)

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週刊『前進』(2047号6面3)

 読者からの手紙

 イスラエルの進攻許せない

 宮城 春野 和歌

 連日のパレスチナヘのイスラエル軍の侵攻の報道には目を覆うばかりです。
 2月28日のNHK・ETV2002「憎しみの壁パレスチナ…続く自爆テロ」という番組を見た方はいらっしゃるでしょうか。自爆攻撃に立ち上がったパレスチナの青年と難民キャンプの人たちの様子が映されていました。
 イスラエル軍の発砲に脅かされている日常生活。がれきの山、理不尽な検問の様子も土ぼこりの中。一方、イスラエルの児童生徒たちはパレスチナから守るために重装備の車で登校。ワファという自爆攻撃に立ち上がった女性がどんな思いで自らを怒りの炎として燃やしたのかずっと考えていましたが、映像の中で昨日まで負傷者の手当てや世話をしていた彼女の腕の中で赤ちゃんがイスラエル兵に虐殺されたことや、青年が息を引き取ったことも語られていました。
 暴力の応酬というが、誰が見ても素手のパレスチナ人民と完全装備のイスラエル軍の対立は公平ではない。イスラエルの建国以来のパレスチナヘの虐殺の歴史は知らないことだらけだが知る程にひどいと思っていました。
 さて、『前進』の改憲阻止決戦シリーズ(13)の「15年戦争の末路」の中で中国残留日本人孤児の文章をふと見て、あっと思いました。昭和恐慌と29年世界大恐慌から満蒙開拓の歴史的経過について、「満州国」をデッチあげ中国人民の土地に入植し、既耕地を取り上げて虐殺し…何と!イスラエルと同じではないか。日本の侵略と虐殺の歴史を知っているつもりで全然身についていない私。
 コンパクトながら闘う側の歴史観形成に重要な文章だと思います。『週刊三里塚』もいい。仕事と家庭と子育てを言い訳にいつも長文をあとまわしにする私にも、目をとめさせるようにまず写真などをふんだんに使って下さい。

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