ZENSHIN 2002/04/15(No2049 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2049号1面1)

パレスチナと民族解放闘争の抹殺狙う自治区侵攻・虐殺許すな
不屈に闘うパレスチナと連帯しシャロンと米帝の侵略阻止せよ
 4−6月有事立法粉砕決戦へ
 マルクス主義学生同盟中核派

 アメリカ帝国主義ブッシュが世界戦争路線を突進し、パレスチナ人民は極限的な自爆戦闘に決起している。この革命的激動期に君はいかに生き闘うのか。人生をかけて立ち上がる時代が来た。中核派は、全国の学生諸君とりわけ新入生諸君に、広範な労働者人民の先頭に立って国際反戦闘争と有事立法粉砕決戦を闘うことを熱烈に呼びかける。

 第1章 大規模軍事侵攻で全自治区の再占領

 まずパレスチナ情勢が決定的な重大段階に突入している。米帝ブッシュに支援されたイスラエルのシャロン政権は3月29日以降、パレスチナへの全面的な大規模軍事侵略を開始し、自治区への全面侵攻、自治政府議長府突入・破壊・占拠、アラファト議長監禁を行いパレスチナの全家屋に侵入し破壊し、人民虐殺と活動家逮捕を強行している。
 これは米帝・イスラエルによるパレスチナ解放闘争の全面圧殺であり、自治政府と「パレスチナ国家」を否定・解体し、パレスチナ全体を制圧・支配する不正義の侵略戦争である。パレスチナを民族丸ごと抹殺する残虐きわまる攻撃だ。
 この重大情勢に対し、全世界の労働者人民は、今こそ米帝・イスラエルの大規模侵攻弾劾、パレスチナ連帯、国際反戦闘争の爆発のために怒りに燃えて決起しなければならない。
 イスラエルの凶暴な軍事侵攻の全面激化に対して、パレスチナ人民は、連続的波状的な自爆戦闘を蜂起的に闘っている。
 3月29日、女性として3人目の自爆戦闘に決起したアヤート・アクラスさんは、今年夏に結婚をひかえ卒業試験の準備をしていた18歳の女子高校生だった。彼女は、自爆決起の直前に「眠れるアラブ兵にかわって戦う」と壮絶な決意の言葉を述べている。
 パレスチナでは、新入生諸君と同じ18歳の女性が、自爆戦闘に立ち上がっている。彼女を自爆決起に駆り立てたものは何なのか。彼女は何を訴えているのか。
 米帝とイスラエルはパレスチナ人民に対して、圧倒的な軍事力で、家を破壊し、土地を奪い、虐殺を繰り返してきた。家族や友人を引き裂き、明日生きられるかどうかも定かでない現実を半世紀以上も強制してきたのだ。救急車さえも検問で妨害し、手当てが遅れて死亡することがしばしばなのだ。「テロリストの捜索」と称して、家の壁を一軒一軒破壊し、青年を拘束し、抵抗すれば虐殺してきたのだ。米帝は、資金と武器を与えてイスラエルを一貫して支え、中東石油支配のかなめとしてきた。こんなことが許せるのか。
 アヤート・アクラスさんもこのような現実の中で生きてきた。彼女の自爆決起は、パレスチナ人民が米帝とイスラエルによって受けてきた民族抑圧と虐殺、搾取と人権じゅうりんに対する怒りの爆発なのだ。
 同時に、アヤート・アクラスさんの自爆決起は、帝国主義国の労働者、学生に対して、「いつまで、私たちに孤立した闘いを強制し続けるのか!」という厳しい糾弾を突きつけている。この命がけの闘いに日本の学生がどうこたえるのかが問われているのだ。
 パレスチナ人民の闘いは、帝国主義打倒と世界革命に向かって後戻りのない闘いに突入している。パレスチナ人民は、米帝ブッシュの世界戦争政策と命がけで闘い、米帝の中東支配のかなめであるイスラエルを崩壊の危機にたたき込んでいる。求められているのはただ一点。帝国主義国の労働者人民・学生の国際連帯と革命的反戦闘争なのだ。
 アヤート・アクラスさんの闘いの中に、日本の学生がいかに生き闘うべきかが示されている。彼女は、自らの命をかけることによって、パレスチナの未来をつかもうという思いで自爆戦闘に決起したのではないのか。自分の自爆決起がパレスチナ全体の解放に必ず結びつくという決死の思いで立ち上がったのではないのか。闘いの中で自由と解放を必死でつかもうと決起したのではないのか。
 全世界で、パレスチナ人民の闘いに連帯しようと人民の闘いが爆発している。中東諸国やヨーロッパを始めとして学生・労働者のパレスチナ連帯デモが闘われている。
 ところが、米帝やイスラエルは、自由と解放を求めるパレスチナ人民を「テロ根絶」を叫んで虐殺し、小泉首相も「テロ根絶のために、日本も主体的に米国と協力しながら断固立ち向かう」などと公言し、有事立法をもって中国・朝鮮侵略戦争をやろうとしているのだ。絶対に許せない!
 この日本でもわれわれ学生こそが先頭に立ち、決死の決意で闘うパレスチナ人民と連帯し、軍事侵攻弾劾の革命的反戦闘争を爆発させ、有事立法阻止へ猛然と決起しようではないか。

 第2章 学生が先頭に立ち戦争国家化阻もう

 この4−6月、有事立法阻止決戦への全力の決起を訴える。米帝ブッシュの世界戦争政策に怒りを爆発させて、命がけの闘いに立ち上がろう。
 米帝は、本気で世界戦争をやろうとしている。アフガニスタン人民を殺人兵器で大虐殺した侵略戦争を、「対テロ戦争の第2段階」などと言って全世界に拡大している。米帝は、イラン、イラク、北朝鮮を「悪の枢軸」と決めつけ、侵略戦争発動の準備を進めている。ブッシュは、イラク攻撃などで「(核兵器使用を含む)すべての選択肢を持たなければならない」と言い、中国、ロシア、イラン、イラク、北朝鮮など7カ国に対する核攻撃を公言した。世界核戦争の危機が目の前にあるのだ。これを阻止するかどうかが全世界の人民に問われている。今決起しないでいつ決起するのか。
 戦後の帝国主義による世界支配は、米帝の軍事的・経済的な力で暴力的に支えられてきた。その米帝が帝国主義世界体制の危機の爆発の中で、自分から侵略戦争を始めて既存の世界秩序を破壊し、中国スターリン主義政権を転覆し、他帝国主義とりわけ日帝の台頭や独自の戦争政策を粉砕し、米帝だけが延命しようとしているのだ。
 日帝は、この米帝の世界戦争政策に必死に対応し食らいつきながら、米帝の中国・朝鮮侵略戦争への共同的・競合的参戦の戦略をかけて激しい突出を開始した。その最大の攻撃が有事立法制定攻撃だ。
 小泉政権は、4月中旬に有事法制関連法案として、@包括法と呼ばれる「武力攻撃事態平和安全確保法案」(いわゆる非常事態法)と、二つの個別法案A自衛隊法改悪案と、B安全保障会議設置法改悪案を閣議決定し、国会提出を狙っている。
 第一に、これは中国・朝鮮侵略戦争のための戦争法案だ。有事立法では、「武力攻撃が予測される事態」までをも「有事」(武力攻撃事態)と規定している。米帝による中国・朝鮮侵略戦争の発動は、当然その出撃基地である在日米軍基地などに対する反撃を不可避とする。だから日帝は、米帝が中国・朝鮮侵略戦争に突入する段階から「有事」と規定し、戦争体制に突入するのだ。
 また、小泉首相は「テロも不審船も拉致問題も有事」と主張している。日帝は米帝の中国・朝鮮侵略戦争に参戦するだけでなく、「不審船」「拉致問題」を排外主義的に扇動して中国や北朝鮮を「テロ国家」と決めつけ、12・22外国船撃沈・虐殺事件のようなやり方で、無理やり有事をつくり出し、独自の中国・朝鮮侵略戦争を行うことさえ狙っているのだ。ファシスト石原慎太郎都知事は、「不審船を夏前に引き揚げる決定をしないなら、小泉内閣を倒す」などと言い放ち、「不審船」引き揚げを対北朝鮮・対中国の軍事行動として行うべきだと公言している。有事立法で再び侵略戦争の歴史を繰り返すのか。憲法第9条とは何だったのか。今こそ戦争絶対反対で立ち上がる時だ。
 第二に、首相の独断で憲法を停止し、非常事態法(包括法)を軸とした戦争法体系に転換し、戦争に突入する攻撃だ。有事法制関連法案では、首相直属の安全保障会議が絶対的な権限を持つことになる。「武力攻撃事態」の認定、緊急事態宣言、首相を本部長とする対処会議の設置などを定める「武力攻撃事態対処の基本方針」を安全保障会議が首相の諮問を受けて作成し、首相に答申する。後は閣議決定で戦争突入となる。事前の国会承認すら不要なのだ。
 重要なことは、安全保障会議を強化するために防衛庁、警察庁、外務省などの幹部職員・幹部自衛官による専門部会が常設組織として設置されることだ。専門部会が中国・朝鮮侵略戦争の戦争計画を事前に作成し日帝にとって最も都合の良い段階で「有事」を宣言し、戦争に突入するのだ。
 第三に、自衛隊の行動が一切に優先されるということだ。自衛隊法改悪では、防衛出動命令前に自衛隊を出撃させ、武器使用まで可能となるのだ。
 第四に、首相独裁のもとでの国家総動員体制をつくる攻撃だ。有事法制関連法案では、国全体として万全の措置をとることが国の責任とされ、首相は行政各部を指揮監督するだけでなく、地方自治体への指示権を持ち、指示に従わない場合は、首相が代執行を行うことになる。「物資の保管命令に違反して物資を隠匿、搬出した者は6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金に処する」という罰則規定がもうけられ、労働者が強制動員されるのだ。
 こんな戦争法案は粉砕する以外にないではないか。日帝は、有事立法以外にも在日・滞日アジア人民、イスラム諸国人民に対する治安弾圧の強化のための入管法改悪まで狙っている。
 日帝の激しい突出は、日米矛盾を極限的に激化させ、世界戦争危機を加速する。米・日帝国主義が世界戦争に突き進むのか、それとも帝国主義国の労働者階級人民と被抑圧民族人民が団結して世界革命に勝利するかの二つに一つだ。その中で、有事立法を粉砕する闘いは、米・日帝国主義の世界戦争への突進を粉砕する重大な決戦だ。日本の学生が有事立法決戦に立ち上がることが世界史的に求められているのだ。
 動労千葉は、72時間ストライキを打ち抜き、階級的労働運動が日本労働運動を再編していく突破口を切り開いた。同時に、労働者人民に有事立法決戦への檄(げき)を飛ばした。4月中旬閣議決定―国会提出情勢と対決し有事立法反対のクラス決議、署名、集会、デモ、ビラまきなど行動に次ぐ行動で有事立法を粉砕しよう!
 日帝は、三里塚闘争や沖縄闘争など人民の戦争絶対反対の闘いを圧殺して戦争をやろうとしている。
 三里塚の農民は36年間、国家暴力による農地強奪と真っ向から対決して闘ってきた。農地の収用を拒否し、人民の最強の抵抗闘争として、有事体制づくりを根本から揺るがしている。農民殺しの暫定滑走路開港=軍事空港建設を許すな。有事立法による農地強奪を許すな。三里塚反対同盟が呼びかける4・14全国総決起集会に総結集しよう!
 4・21沖縄市長選勝利へ闘い、4・28全国統一行動−5・19「復帰30年記念式典」粉砕闘争を沖縄人民と連帯して闘おう。5・19泉佐野市議選に勝利しよう。
 4−6月、有事立法粉砕決戦の大爆発をかちとろう。反戦共同行動委員会が呼びかける5・26全国総決起集会(東京・芝公園)に全国から集まろう!

 第3章 人間的叫びと怒りを爆発させ闘おう

 さらに新入生諸君に、人間的叫びと怒りを全面的に爆発させて、ともに帝国主義を打倒するために闘うことを訴える。
 私たち学生は、学校教育で、何の将来的展望も示されず、政府や資本が求める人間像の型にはめられた教育を強いられてきた。受験のために他人を蹴落とす競争の手段として勉強が強いられてきた。社会の不正義はそのままで、「道徳」「倫理」を求められてきた。学力評価だけでなく、人格までも評価され、「あるがままの自分」を表現することを奪われ、「良い子」を強制されてきた。自分を尊重することさえ抑圧され、自己否定するような感情を持たされてきた。合理的説明のないまま管理、秩序、規則が強制され、抵抗すれば体罰も加えられた。
 この抑圧状況から自分を守ることだけで必死だった。激しい抑圧の中で、すさまじいストレスを抱えて生きてきたのだ。このような抑圧状況に対する人間的な怒りや叫びは、「我慢を知らない」「自分勝手」「甘えている」などと逆に非難され、踏みにじられ、個性をとことん圧殺されてきたのだ。しかも、大学では、国家や企業に貢献する人材育成として、高校教育以上の激しい抑圧が襲いかかろうとしている。
 学生に対する抑圧の現実は、労働者階級人民の現実そのものである。リストラされ、仕事を奪われ、労働者として人間としての誇りを否定され、家族を崩壊させられ、路頭に放り出される。ローンの返済の重圧が加えられる。高齢者からは介護と福祉を奪い、孤独死が強制されている。労働者本人の医療費負担を3割に引き上げ、最低限の医療まで奪われる。この中で、年間3万人もの労働者人民が自殺に追い込まれているのだ。
 労働者階級と学生の現実は、日本帝国主義がもたらしている現実なのだ。帝国主義は、労働者階級を搾取し収奪し抑圧して、資本を巨大化させ、あげくの果ては国家間で対立し、世界戦争にまで突き進み、労働者人民を大虐殺しようとしている。
 全世界の労働者階級と被抑圧民族人民の共通の敵は、アメリカや日本などの帝国主義なのだ。われわれ学生が、自己の抑圧された現実から人間らしく生きようと求めるならば、パレスチナ人民と連帯して、帝国主義を根本から打ち倒さなければならないのだ。
 米帝の世界戦争政策と真っ向から対決し、日帝の有事立法攻撃を粉砕して、帝国主義の世界支配を根底から打ち砕く、日本の労働者人民、学生の闘いを大爆発させよう!
 中核派は、君たちがともに闘いに立ち上がることを心から訴える。君の人間的叫びは、帝国主義を打倒する最も力強い原動力だ。全世界の労働者と被抑圧民族人民は、君の決起を必要としているのだ。中核派に結集し、自己の解放と、全世界の労働者階級と被抑圧民族人民の解放をかけた闘いに人生をかけて立ち上がろうではないか。
 反帝国主義・反スターリン主義世界革命の勝利に向かってともに闘おう!

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号1面2)

3・31三里塚 4・14暫定開港阻止決戦へ 620人が敷地内デモ
 “敷地内農民を守れ”と熱気

 ゛なんという非人間的・殺人的空港なのか! 農家の頭上40bにジェット機を飛ばすなどという前代未聞の殺人滑走路=暫定滑走路は必ず粉砕する!″
 3月31日、暫定滑走路の開港阻止へ三里塚現地に結集した労働者や学生は、腹の底からの怒りを解き放った。集会は終始、怒りと緊張に満ち、戦闘的に貫徹された。一方で、三里塚芝山連合空港反対同盟は勝利の自信に満ちあふれた勇姿で登場し、敷地内デモではボロボロの暫定滑走路の惨状をあらためて確認した。反対同盟は4・14全国集会へ、全国からの巨万の労働者人民の大結集の号令を発した。

 “一期阻止を上回る闘いを”

 この日、反対同盟主催の「暫定滑走路阻止、有事法制粉砕/3・31三里塚現地闘争」が闘われた。成田市天神峰の市東孝雄さんの畑に620人が集まった。4日間の春闘ストを貫徹中の動労千葉の隊列が存在感を示した。
 宮本麻子さんの司会で集会が始まった。北原鉱治事務局長が基調報告、東峰神社の立ち木伐採に示されるような政府や空港公団の暴力的で無法な空港建設を弾劾した。
 さらに共有地など反対同盟の拠点によって誘導路がへの字に曲がり着陸帯が半分しかない暫定滑走路の大破産を宣告し、結局農民の暴力的な追い出しが目的だと政府・公団の狙いを弾劾した。「このような空港をつくる政治を根本から変えよう。三里塚闘争が勝利すれば政治も変わる。世の中を変えよう。正義のために闘おう」
 続いて本部役員の鈴木幸司さんが登壇した。「三里塚闘争37年を2度と侵略戦争はしてはならないという思いで闘ってきた。戦争体制づくりを許してはならない。1期滑走路阻止決戦を上まわる闘いを巨万の労働者人民を集めて闘おう。それがここにいる一人ひとりの任務だ」と熱烈な檄(げき)を飛ばした。
 顧問弁護団を代表して葉山岳夫弁護士が発言し、着陸帯にくいこむ開拓道路のことなど、反対同盟の存在とその拠点によって暫定滑走路がまったく使いものになっていないことをていねいに説明した。「こうまでして開港する理由は、農民を追い出し、米軍横田基地や沖縄の嘉手納基地なみの軍事空港をつくるためだ」と弾劾し、弁護団も徹底的に闘うと決意を述べた。

 スト貫徹中の動労千葉参加

 続いて動労千葉の田中康宏委員長が登壇した。
 3月28日から春闘ストライキに立ち、3・30春闘総行動を闘い抜いてこの日もストを貫いて現地に結集したことを報告。ひときわ大きな声援と拍手が飛んだ。「労働者を切り捨て、戦争に突き進む国家や資本に対する労働者の怒りを結集して闘おう。闘わねば生きていけない時代だ。歴史的な転換点が目の前にある。労働者には社会と歴史を変革する力があることを示したい」。核心に満ちた力強い決意表明に全参加者が鼓舞された。
 関西から駆けつけた東灘区住民の会の松原康彦事務局長が発言した。松原さんは、大阪空港騒音訴訟の経験から、頭上40bを飛ぶジェット機の騒音が言語に絶する深刻なものだと語り、「なんという国なのか!」と強く弾劾した。さらに関西空港2期工事や神戸空港は軍事空港として必要とされていると喝破。泉佐野市の国賀祥司市議の5月市議選での5選勝利を訴えた。
 北富士忍草母の会の天野美恵事務局長は、母の会が米軍の砲戦車の前に立ちはだかり「さあ撃て! 殺すなら殺せ」と命をかけて対峙してきたと語り、三里塚農民を騒音で殺そうとしていると弾劾、最後までともに闘う決意を示した。さらに「入会地無断使用と戦争の訓練をさせないため、明日から座り込みを行う」と宣言。北富士闘争への決起を呼びかけた。
 木内敦子さんのカンパアピールを挟み、各団体が決意表明した。部落解放同盟全国連、婦人民主クラブ全国協、闘う「障害者」など諸団体がそれぞれ決意表明を行った。反戦共同行動委員会を代表して結柴誠一さんが暫定滑走路粉砕へ烈々たる決意を表明し、さらに有事立法粉砕闘争を三里塚闘争を基盤に闘うことを訴えた。
 最後に法政大学の学生が闘志あふれる決意表明を行った。「三里塚農民に対する国家権力の悪逆非道な暴力に、満腔(まんこう)の怒りをたたきつける。新入生を始めすべての学生に開港実力阻止を訴えて4・14全国闘争に総力決起する」と宣言した。
 鈴木謙太郎さんの行動提起でデモに出発した。まず国際基準の半分の着陸帯を強制する東峰開拓組合道路を進む。開拓道路の先端から滑走路は石を投げれば届くような距離だ。「暫定滑走路の惨状は2年間闘争の勝利のたまものだ。反対同盟は4月から新たな闘いに入り、完全勝利へ闘う」と事務局次長の萩原進さんが訴える。デモ隊の間に勝利の高揚感が広がった。
 さらに東峰の敷地内を進んだ。デモ隊は暫定滑走路破産を突き付けている反対同盟の拠点をあらためて確認。団結街道−天神峰現闘本部−市東さんの畑までのデモを貫徹した。暫定滑走路の粉砕へ、決戦の三里塚現地に駆けつけよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号2面1)

春闘総行動 JR、NTT、都庁へ怒りの大デモ
 闘う春闘の再生へ団結の力示す
 動労千葉ストライキ先頭に 中央総決起集会に1210人

 3月30日、「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 春闘放棄を許すな! とりもどそう団結! 02春闘総行動中央総決起集会」が東京・渋谷の宮下公園で開催され、新宿のJR東日本本社、NTT東日本本社、東京都庁に向けての大デモが闘われた。02春闘総行動は、全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3組合が呼びかけた。全組合員を挙げたストに決起した動労千葉と動労総連合統一ストに立った動労水戸、動労連帯高崎を先頭に1210人の労働者が結集した。とりわけ動労千葉はJR東、貨物のベアゼロ回答を弾劾し、大幅賃上げと検修・構内外注化阻止、1047人の解雇撤回・原職復帰などを掲げて28−31日の4日間72時間にわたる、今春闘最大規模のストを打ち抜き、647本の電車をぶっ止めた。春闘総行動は、日帝総資本の春闘解体攻撃を突き破り、全労働者の怒りを体現して、日本労働運動の新たな1ページを開いた。この団結の力をさらに拡大し、歴史的分水嶺(れい)を越えた資本攻勢と闘い抜き、有事立法阻止の大闘争をつくり出そう。

 新宿を“解放区”にした大隊列

 宮下公園での集会を戦闘的に闘いとった1210人の労働者は、勢いよくデモに飛び出した。明治通りを原宿へと進む。「春闘勝利、小泉打倒」の元気なコールが響く。沿道にいっぱいの若者たちが注目する。「春闘? おれたちもやらなきゃ」。途中でデモに合流する人も現れた。
 代々木を過ぎて左折し甲州街道へ入ると、いよいよ新宿駅南口だ。前方左にJR東日本の本社ビルが見えてきた。デモの先頭は300人余の動労千葉と動労総連合の隊列だ。真紅の動輪旗を林立させ、ゼッケンで身を固めた大部隊からシュプレヒコールが上がる。
 「ベアゼロ回答弾劾」「東労組の裏切り妥結弾劾」「動労千葉はストを貫徹するぞ」「新保全体系合理化を許さないぞ」「1047名闘争に勝利するぞ」「02春闘に勝利するぞ」
 権力は怒りの決起を恐れ、二重のガードレールを設置していた。デモ隊は立ち止まり、シュプレヒコールを上げ続けた。機動隊が指揮官車から「東京都公安条例違反だ」と絶叫する。私服の公安刑事がデモ指揮者や動労千葉の執行部に襲いかかる。「不当弾圧を許さないぞ」
 第2梯(てい)団以降の部隊もひとつながりになって一帯を制圧した。沿道でカメラやビデオでデモ隊を撮影したり、わきを一緒に歩く人もいた。騒然とした中で、解放区のような空間をつくり出したのだ。
 さらにNTT東日本本社の方向へ進み、東京都庁前にさしかかった。「賃金4%削減の延長を許さないぞ」「石原都政を打倒するぞ」「都労連と連帯して闘うぞ」
 こうして都庁裏の新宿中央公園まで戦闘的デモを貫徹した。先頭で到着した動労千葉は、JR当局、東労組のスト破壊を許さず、さらに翌31日まで万全のストライキ態勢を維持して闘い抜くことを確認した。

 JR貨物本社へ抗議に立つ

 集会に先立って午前11時から飯田橋のJR貨物本社に対する抗議行動が闘われた。動労水戸の組合員が真っ先に駆けつけ、動労千葉の組合員が続々と結集。国労組合員も合流した。
 JR貨物は3年連続のベアゼロ回答を出し、来年度からは「賃金制度の白紙的見直し」=成果主義導入を狙っている。また、「ニューチャレンジ21」計画では、3年間で2千人削減し、鉄道部門を5千人体制にしようとしている。日貨労カクマルは、これに全面協力しているのだ。
 これに対して約400人が怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。

 小田原さんが百万署名訴え

 午後1時から宮下公園で総決起集会が開かれた。
 動労水戸の辻川慎一副委員長が「02春闘では、2%の昇給の後に5%、6%もの賃下げが行われている。会社や国に頼って労働者が生きていけるというのは幻想だ。総資本の攻撃に対して、日本の労働運動の展望を切り開こう」と開会を宣言した。司会を辻川副委員長と動労総連合の君塚正治委員長が務めた。
 連帯のあいさつとして、「止めよう戦争への道! 百万人署名運動」事務局次長の小田原紀雄さんが「百万人署名運動はガイドラインの時に87万の署名を集めた。画期的だった。政府は有事法制関連3法案を国会に提出しようとしている。今回こそはなんとしても百万にする。その10分の1が国会を包囲したら、まったく違う政治状況をつくることができる。反戦闘争は労働組合の任務だ。ともに闘おう」と熱烈に訴えた。
 呼びかけ組合代表があいさつした。

 関生支部と港合同から発言

 全日建運輸連帯労組関生支部の代表は、「本日、関西で関生支部と港合同が集会を行っている」と報告し、「アメリカ・ブッシュ政権の『テロ撲滅』を掲げた侵略戦争の本質は、アメリカ資本主義の市場と覇権を守るための戦争だ。9・11事件は、抑圧を受けてきた民衆の抵抗であることを確認したい。小泉政権はブッシュ政権に追随し、戦争をやる国づくりに奔走するばかりで、失業者対策は無策だ。闘う労働組合・労働者が軸になり小泉改革と闘わなければ平和と生活権、団結権を守ることができない」と訴えた。
 そして、連合への怒りを表明し、「関生支部は、団結権と生活権確保、産別機能強化を柱に階級性を堅持し、戦闘的労働運動の再生をかちとる牽引(けんいん)車の役割を果たす」と決意表明した。
 全国金属機械港合同の代表は、「終身雇用制が解体され、不安定雇用が拡大されている。企業法制、倒産法制や労基法、派遣法が改悪され、労組法が骨抜きにされ、団結権が切り捨てられる。整理解雇4要件の否定、解雇ルールの法制化の攻撃がある。この全面的な攻撃と対決することなしに生きていくことはできない」と訴え、倒産攻撃と闘い抜く港合同の闘いを紹介した。
 そして「全面的な攻撃に対しては、闘う労働組合の大同団結こそ求められている。港合同は敢然と春闘を闘い、労働組合の存在を知らしめている。連日、労働相談がある。こうした労働者と結びつきながら、闘う労働運動を再生したい」と訴えた。さらに、労働者の戦争動員に反対する決意を述べ、「3労組の陣形を堅持し、11月労働者集会を多くの労働者とともに闘いたい」と訴えた。

 “この時代だからストを打つ”

 動労千葉の田中康宏委員長は、「私たちはストライキの渦中にあるが、時代を象徴するストになった。会社は、この時代にストを打つとは許せない、と申し入れてきたが、この時代だからこそストを打つと答えた。JRの闘う労働運動を再生する起爆剤として先頭に立つ」と表明した。そして「資本と国家が生き延びるために労働者が虫けらのように切り捨てられる状況を許せるか。連合などは、こういう現実だから賃下げも首切りもしょうがないと言っている。しかし、現実とは変革するためにある。もっと腹の底からの怒りの声を上げよう」と訴えた。
 さらに今春闘ストの意義を、第2の分割・民営化攻撃との闘いであり、国労本部が闘争団を切り捨てる状況の中で、1047人の一員として、国鉄闘争の起死回生の勝利の展望を開くものだと訴えた。
 そして「国際連帯をかけた反戦春闘として、パレスチナの民衆やストを闘う韓国の労働者と連帯し、世界の歴史を動かす一翼を担いたい。日本の労働運動の現状を打開し、団結を取り戻す条件が生まれている」と訴えた。
 続いて、日本育英会労組の柳沢淳委員長(特殊法人労連議長)からの「日本の歴史の大きな転換点においてストライキという武器をもって決起した労働者の皆さんに、心からの敬意を表し、連帯のあいさつを送る」というメッセージが紹介された。育英労も3月8日に「育英会廃止反対・労働協約破棄抗議」を掲げてストに決起した。
 さらに国労闘争団からのメッセージが寄せられていることが報告された。
 カンパアピールが、この日24時間ストに決起したスタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合の労働者から行われた。

 闘争団が国労再生への決意

 決意表明の最初に、国労闘争団の労働者が立った。
 「政府が唱える『痛みを伴う改革』を先取りして、私たちはこの15年間、痛みに耐えていつかはリベンジしようと今日まで来ている。国労を階級的労働組合に再生するのか、帝国主義的労働組合になり下がって消滅するのか、激しい攻防が続けられている。国労本部は権力の手を借りながら4党合意をのんだが、ひとつでも進展したのか。そして新たな訴訟を起こして闘おうとする者を統制処分にかけるという暴挙に出た。国鉄闘争に勝利すれば、労働運動の流れは変わる。現場の労働者は動労千葉のストを羨望(せんぼう)をもって見ている。闘争団も動労千葉のように闘おうを合言葉に闘う」と訴えた。
 全金本山労組の長谷武志委員長は、「本山闘争は32年目に突入した。初心に返って一人の首切りも許さず闘い抜く。連合の労資協調路線は破綻した。いよいよわれわれの出番だ。国鉄闘争と本山闘争を軸に東北でも新しい潮流をつくる」と決意表明した。
 ストに立った動労総連合から、まず動労連帯高崎の和田山繁委員長が「カクマルの牙城(がじょう)で24時間ストを打ち抜いている。分割・民営化で裏切った連中に、ベアゼロで何もできないのかと見せつけ、組織拡大へ闘う」と訴えた。
 動労水戸の木村郁夫書記長は「17人がストに決起した。検修の外注化が4月1日実施と言っているが、訓練もできず、ずれこんだ。合理化の最先兵となっているJR総連カクマルとの決戦だ。これからが闘いだ。国鉄分割・民営化の時に動労カクマルとの決着をつけるために組合をつくった。組織の決着をかける2002年にする」と表明した。
 動労千葉の中村栄一書記長は「JR総連カクマルはスト破りの先兵として現れている。あらゆる職場にこの闘争の成果を持ち帰り、JR総連解体の声を上げ、国鉄闘争が全国の労働者の結集軸となるべく闘う。動労千葉は過激だと言われるが、普通の労働者だ。おかしいことはおかしいとはっきり言う。不当な攻撃には血を流して反撃する。これが真の労働者の姿だ。動労千葉は最先頭で闘う」と訴えた。
 いよいよ、動労千葉・動労総連合がJR総連カクマルを解体し、国鉄労働運動の分岐・流動の中に切り込み、組織拡大に打って出る時が来たのだ。
 動労千葉の滝口誠共闘部長が行動提起。君塚動労総連合委員長が、たたかう労働組合の全国ネットワークの一層の発展を訴え、団結ガンバローで締めくくり、デモに打って出た。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号2面2)

動労千葉 647本を運休に追い込む 東労組のスト破り許さず

 動労千葉のストは、29、30日の全面ストを軸に28日から31日の4日間で延べ528人の組合員が参加し、647本の電車を運休に追い込み、約17万人に影響が出る大闘争だった。30日は総武、成田線が80%、内房、外房線が60〜70%、鹿島線が20%程度の運行で、久留里線は全面運休した。
 動労千葉には、「『不満なときはストライキ』。これこそ真の労働組合の姿でしょう」などの激励のメールや電話が次々と寄せられた。NTT労組の労働者から「NHKのスト情報を聞くと震えが止まらなく感動しました。NTTに抗議してくださったことは感謝にたえません」との声もあった。

 スト貫徹集会で団結を固め

 29日には、千葉市内の千葉県労働者福祉センターでスト貫徹総決起集会を400人の結集で開いた。
 昨年国労から動労千葉に結集した組合員は、「昨春闘で皆さんが闘っているのに職場に入っていくのが恥ずかしかった。皆さんと力を合わせて頑張りたい」と発言した。被解雇者の高石正博執行委員は、中労委命令を取り消した28日の東京地裁反動判決を弾劾して「1047人の先頭で闘う」と断言。各支部や職協から東労組のベアゼロ妥結や貨物賃金格差に対する怒り、組織拡大への決意が次々と語られた。
 集会後、動労千葉は千葉支社抗議のデモに出た。
 このストは、JR東資本とJR総連カクマルが結託したスト破壊策動との息詰まるような攻防をとおしてかちとられた。資本は、なんとかストを圧殺しようと、カクマルを先兵に東労組組合員を全面的にスト破りに動員し、国労組合員も業務命令で動員した。
 スト終了後に就労する「立ち上がり」に対しては、31日午前3時から乗務する予定の組合員を午前0時まで職場に入れず、寝ずに乗務させるという暴挙をたくらんだ。東労組組合員を確保して、動労千葉が出勤してもロックアウトすることまで画策した。また、スト中には動労千葉組合員を一歩も職場に入れないという態勢をとった。スト破りに動員された東労組組合員に動労千葉の影響が及ぶのを防ぐためだ。
 この困難な状況の中で、動労千葉は一糸乱れぬ団結を維持してストを貫徹し、東労組組合員にも「ともに闘おう」と訴えた。
 実際、スト前に動労千葉が職場にオルグに行くと、東労組の「平成採」の労働者が真剣に話を聞くという状況が生まれていた。ベアゼロを丸のみし、一切の闘いを放棄する東労組カクマルに対して、東労組組合員の怒りが爆発寸前の状況にあるのだ。JR総連・東労組解体、組織拡大の圧倒的な展望を開いたのだ。
 今後、「新保全体系」合理化の4月実施強行に対する闘いが直ちに始まる。そして、ついに3月末まで千葉支社だけが提案できないところに追い込んだ検修・構内外注化との闘いが秋に向けて本格化する。
 さらに、敵のあらゆるスト圧殺体制を打ち破ったことによって、これに対する反動としての組織破壊攻撃が激化する。だが、これを打ち破る揺るぎない団結を打ち固めたのだ。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号2面3)

動労総連合、全国で決起 大幅賃上げ、合理化阻止へ

 動労総連合は3月30日、大幅賃上げ獲得、1047人闘争勝利などを掲げ、統一ストライキを貫徹した。

 水戸で東労組組合員の支持

 動労水戸は17人が運転、検修、ベンディング、売店などでストを貫徹。春闘総行動を終日闘い抜いた。東京の闘争への過去最大の動員を実現した。JR東のベアゼロ妥結に東労組組合員の怒りも高まり、「ごくろうさん」とスト支持の声がかつてなく強い。勝田電車区の検修外注化に対して、ストをとおして安全破壊の攻撃の問題点を暴き、4月1日実施強行を許さず闘争を継続している。

 動労連帯高崎が熊谷で集会

 動労連帯高崎は全組合員が24時間ストに突入した。午前10時、国労熊谷支部事務所前で決起集会を行った。和田山繁委員長がスト突入を宣言。東労組のベアゼロ妥結を弾劾し、東労組による職場支配を打ち砕く決意を述べた。国労高崎地本、同熊谷支部の代表が連帯を表明し、闘争団の労働者は「JRに復帰してともにストで闘いたい」と発言した。熊谷地区労議長が、地域連帯の力でストを支えようと訴えた。ストに突入した組合員が決意を表明。組合員と支援は熊谷駅前で宣伝活動を行った後、中央総決起集会に結集した。

 西日本で3波のストを敢行

 動労西日本は吹田機関区でストに入り、貨物ベアゼロとニューチャレンジ21への怒りをたたきつけた。
 午前11時、50人以上の支援が駆けつける中、職制の警備を突破して全組合員が構内に突入した。スト通告を行い、庁舎前でスト突入を宣言して、構内デモを敢行した。
 ストに入った小川正哉書記長が、職場の国労組合員2人に同日付で岡山・敦賀への配転発令が強行されたことを徹底弾劾し、「労働者は闘ってこそ生きていくことができる」と訴えた。
 動労西日本のストライキはこの日が第3波。
 第1波ストは3月10日、広島・三次鉄道部で闘われた。「三次鉄道部大合理化阻止・ローカル線切り捨て反対」を掲げて平岡誠委員長がストに立った。9千人削減の中期経営目標を叫ぶJR西日本は、三次鉄道部の地上勤務者と運転士を半減し、車掌を全廃する大合理化を強行した。このストは、職場を実力で守り抜く闘いとして貫かれた。
 スト突入集会には、国労組合員を始め40人が駆けつけた。スト破りを行ったJR総連・西労に激しい怒りがたたきつけられた。
 第2波ストは20日、金沢総合車両所松任本所で闘われた。JR西日本のベアゼロ回答弾劾、車両所業務の部外委託=36人削減の白紙撤回を掲げて、出口威副委員長がストに入った。
 出口副委員長は支援に送り出されて出勤し、30分間就労した後、9時にストに突入した。この新戦術は職制を翻弄(ほんろう)した。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号3面1)

全逓4・28反処分裁判 反動判決に怒りを
 被免職者守りぬき総反撃へ

 全逓の4・28反処分裁判で、東京地裁民事第19部(山口幸雄裁判長)は3月27日、被免職者の処分取り消しなどの請求を棄却する超反動判決を下した。(前号速報)
 判決公判には、原告の7人の被免職者を始め、傍聴席をあふれる全逓労働者、支援者らが全国から駆けつけた。山口裁判長が「原告らの請求をいずれも棄却する」との主文を言い渡すと、一斉に怒りの声が上がった。傍聴席に入り込んでいた東京郵政局の職制にも激しい怒りがたたきつけられた。
 被免職者は「悔しい」「処分撤回を実力でもぎりとる」「控訴審では絶対に勝つ」などと訴え、弁護団とともに控訴して新たな闘いに立ち上がる決意を表明した。4・28連絡会と赤羽局共に闘う会は、29日に東京郵政局包囲のデモに立ち上がった。

 団結権解体の意図むき出し

 78越年反マル生闘争は、郵政省当局による「マル生(生産性向上運動)」攻撃=不当労働行為に対する全逓の総反撃の闘いとして、78年末から79年1月にかけて、史上初めて年賀をぶっ飛ばす強力物(ぶつ)ダメ=業務規制闘争として闘われた。これに対し当局は79年4月28日、全国で懲戒免職58人(東京郵政局管内55人)、解雇3人を始めとする8183人の大量不当処分を強行した。
 この不当処分から23年、裁判開始から16年、そして全逓本部による反処分闘争終結から11年にわたって、処分撤回・原職奪還の闘いが不屈に闘われ、闘う全逓労働者や全国の争議団などの結集軸となってきた。
 これに対する国家権力の回答が東京地裁の超反動判決なのだ。断じて許すことはできない。
 この東京地裁判決は、JR採用差別事件での国労に対する98年5・28東京地裁判決と並び、憲法28条に保障された労働者の団結権を全面的に否定し解体する超反動判決である。戦後的労資関係を全面的に転換し、戦後労働運動の獲得地平を覆すものである。全逓の判決の翌日28日には動労千葉の採用差別事件でも東京地裁は反動判決を下した。
 それはまた、02春闘におけるベアゼロ・定昇解体―終身雇用制解体の攻撃と同時に強行されたことに示されるように、日帝権力・資本の労働組合解体の意図をむき出しにしたものだ。さらに、03年郵政公社化―民営化攻撃の中で、戦闘的全逓労働運動を一掃しようとするものである。

 当局の「裁量権の範囲内」だと

 4・28不当処分の特徴は、全逓の組織を挙げた闘いとして反マル生闘争が闘われたにもかかわらず、当局が現場の組合員を狙い撃ちにして処分したことだ。
 これまで、一般組合員が闘争に参加しただけで懲戒免職とされた例はない。しかも、組合役員らには重い処分がなされず、一般組合員が懲戒免職処分とされたのは、処分の均衡を失する。また、原告以上の怠業行為をした労働者もいるが、当局は現認と現認対象の選定を恣意(しい)的に行っている。原告は、これらの点について「懲戒権の濫用(らんよう)である」と主張した。
 だが、判決は、反マル生闘争が当局の不当労働行為に対する正当な闘いであったことについて一切の評価を行わず、争議行為を禁止した公労法(公共企業体等労働関係法)に違反し、国家公務員法にも違反していると断定し、「反社会性、反規範性が強い」から一般組合員でも懲戒免職処にできるとした。
 そして、役職者と一般組合員の「均衡が失しているといえなくもない」としながらも、役職者の「指導行為が現認されなかった」から「問責することはできない」と断じた。また、「原告らと同等ないしそれ以上の怠業を行った者がいると推認されることを考慮しても……被告(東京郵政局長)の裁量権の範囲を逸脱し、又は濫用したものとまではいえない」と言うのだ。
 裁判では、当時の全逓委員長・石井平治氏が、東京の被免職者55人について「共産党が2名、民青が4名、各セクトが34名、その他色がわからないが跳びはねているのが15名の計55名」であると郵政省の人事局長から説明されたと証言し、狙い撃ちの処分だったことを明らかにした。だが、判決はそれにはほとんど触れずに、狙い撃ち処分とする「十分な証拠もない」と決めつけた。
 要するに、「裁量権の範囲内」をふりかざして、当局に処分のフリーハンドを与えるということだ。
 こんなデタラメな判決を認めたら、一切の闘いができなくなる。組合の指令であっても、現場の組合員が闘うことは許されないということになるのだ。労働組合解体の意図に貫かれた許しがたい判決だ。この点で、歴史を画する超反動判決である。

 闘争放棄した全逓中央打倒

 さらに、こうした反動判決を導いた責任の一端が、反処分闘争を放棄した連合全逓中央にあることを徹底的に弾劾しなければならない。自らの指令で現場組合員に闘争をやらせながら、勝手に裁判闘争を放棄し、しかも被免職者を切り捨て組合員資格まで奪ったのだ(最高裁決定で、組合員資格は回復)。その責任は重大である。
 だが、この反動判決によっても、反マル生闘争の正義性と処分の不当性を覆い隠すことはできない。
 控訴審を全力で闘い、被免職者を守り抜き、4・28反処分闘争の陣形を全逓労働者の中に拡大し、連合全逓中央打倒、郵政民営化阻止へ闘う全逓労働運動の新潮流をつくり出そう。そこに勝利の道がある。4月26日(金)午後6時半、東京・南部労政会館で行われる4・28反処分総決起集会の大成功をかちとろう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号3面2)

騒音で追い出し図る国家的地上げ許すな 4・18開港阻止せよ

 4月2日、空港公団は暫定滑走路の4・18開港に先立ち、開港後に実際に運用される中型ジェット機の実機による騒音テストを行った。ジェット機は滑走路南側から進入し北側へ通過、着陸は行わず高度150bでテストした。騒音レベルは、天神峰地区の市東孝雄さん方で87 、滑走路南端400b地点の東峰地区の農家で97 を記録した。
 開港後の飛行高度は、東峰地区の上空40b(南側から着陸時)ときわめて低く、市東さん方で90 以上、東峰の農家では100
 を超えると予想される。まさに「造るべきでない所に造った」(反対同盟と弁護団の評価)滑走路だ。
 公団は暴力団の地上げと同じ考え方で、反対農家の軒先まで一方的に滑走路を造った。農家を屈服させるための「軒先工事」だ。反対派農家を追い出すために常識では考えられない騒音被害を地元農家に強制しようとしているのである。もちろんこうした暴挙は、憲法にも法律(航空法)にも反する。開港それ自体が違法行為なのだ。
 反対同盟は、北原鉱治事務局長や萩原進さん、市東孝雄さん、郡司一治さんらが支援連の部隊とともに騒音テスト飛行阻止に立った。午前10時、市東さん方南側の東峰開拓道路に集まり、北原事務局長が暫定滑走路の開港強行を怒りを込めて弾劾し、早速、東峰神社を往復するデモに出発した。
 デモが東峰神社入り口に達した11時5分、日航のボーイング767が頭上を飛行、怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。デモ終了後、市東さん宅庭に移動し実機飛行監視を続行。12時10分、今度は全日空のエアバス320が南側から飛んできた。こんな日常を強制する4・18開港を許すわけにはいかない。
 闘う反対同盟との血盟にかけて4・14全国から三里塚現地に総結集しよう。

 援農で学んだこと 現地行動隊M・S(広大)

 僕は全学連現地行動隊として三里塚現地に行き、反対同盟との交流・援農・三里塚講座・ビラまきなど、貴重な体験をしました。集会やデモだけではわからない三里塚闘争の姿を初めて見ました。権力の不当な重包囲の中で営農する農民と行動をともにして、生活の中に闘いがあり、闘いの中に生活があることを身をもって感じました。
 反対同盟との交流の中で、鈴木さんから「三里塚闘争は農民だけの闘いではなく、全人民の闘いなんだ」と三里塚闘争の階級的基盤の広さと深さを学び、木内さんからは「戦争反対を闘うために三里塚を闘っているんだ」と、反戦のとりでとしての三里塚を学び、北原さんから「若者を戦争に出してはいけないと闘ってきた。未来は君たちのものだ」と、全学連への期待を受け取りました。
 こんなにすばらしい闘いを日本の労働者・農民・学生はつくりあげてきたんだ。この闘いを残したまま日帝が侵略戦争をすれば内乱になるのは必至だ。だからこそ、三里塚闘争に責任を取れる勢力として全学連の隊列をもっともっと増やしたい。必ず飛躍して、敷地内農民を守りぬき、成田軍事空港を実力で廃港に追いこもう。行動隊に行ったことがない人には絶対に行ってほしいです。そして4・14全国総決起集会に新入生とともに大結集して、暫定滑走路を粉砕しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号3面3)

全金本山 団結固めて31年間 完全勝利へ攻勢宣言

 3月24、25日、全金本山全国闘争が仙台現地で闘われた。本山闘争は1971年3月25日の青柳充氏への不当解雇に反対し、青柳氏、熊谷春男氏の2人の組合員の解雇撤回、ロックアウトされている全組合員の職場復帰を求めて31年間闘ってきた。
 24日の集会では冒頭に長谷武志委員長があいさつ。
 「3月25日とは『恨みの日』、青柳さんへの解雇に対し、あたりまえのように闘いに入った。『一人の首切りも許さない』という立場で組合員みんなが支え合い、31年をのりこえてきた。会社の攻撃を思い返すと腹立たしいかぎりだが、組合員は団結し、連帯し、支えあうという労働者の生き方を貫いてきた」と31年の闘いの勝利を総括した。さらに「小泉『構造改革』攻撃や春闘をなくしてしまおうという日経連の攻撃に対して労働組合の立場が問われている。アメリカが北朝鮮への戦争を公言する中で、日本の労働者はどうするのかが問われている。総評労働運動の中から生まれた本山闘争だが、私たちは労働者の立場を守りぬき反撃に立つ」と、闘う決意を表明した。
 連帯のあいさつでは、国労闘争団と明大生協の仲間があいさつに立った。国労闘争団は「JR東日本ユニオンに走った連中は、『闘争団はジャマだ』と明言していた。分裂策動について問題にしていたにもかかわらず、それを容認してきた本部は許せない。4党合意に反対し、国労を守りぬく。その中で解雇撤回闘争に勝利する」と敵に屈服した者への怒りと国鉄闘争勝利への決意を熱烈に語った。
 基調報告に立った青柳書記長は、「31年間一瞬たりとも怒りを忘れることなく団結を固めて闘い続けてきた。会社は口では『解決したい』というが、その本音は『解雇は撤回しない、就労はさせない』ということだ。これまで、就労条件提示の時期になると団交を拒否したり労働委員会のあっせん案を拒否したりしてきた。会社の就労拒否を明確にして、仙台地裁の場で追いつめていく。銀行闘争、ユーザー闘争、大株主の本山一族の責任を追及する闘いを強化し、完全勝利をかちとろう」「さらに、国労の4党合意問題を見過ごすことはできない。私たちは『一人の首切りも許さない』を守り全国金属から除名処分を受けた。この立場から、あるいは闘う者への統制処分を許さないという点からも、4党合意は絶対に認められない。連合など労働運動の後退・屈服をのりこえ、本山はこの場に踏みとどまって闘う」と、本山闘争の完全勝利と、労働運動の再生への方針を鮮明に提起した。
 ストライキに突入している動労千葉からのメッセージをはさんで、支援、当該各行動隊が決意を表明し、32年目で完全勝利をかちとる決意を全参加者がうち固めた。
 翌25日は早朝から50人の結集で、大衡(おおひら)村本社工場の正門前を制圧。機動隊を配備した宮城県警の弾圧・介入を許さず、門前デモと就労要求集会を貫徹した。
 11時からは『みずほ』統合を4月1日にひかえた富士銀行仙台支店を包囲しての街頭宣伝。富士銀行前を赤旗、プラカード、横断幕で埋めつくしての責任追及に、道行く労働者の圧倒的注目と共感が寄せられた。
 全金本山労組は完全勝利への攻勢を強めるとともに「一人の首切りも許さない! 有事立法反対! 02春闘勝利」を掲げた東北集会をともに呼びかけ、3月10日に10労組・団体、55個人の賛同、110人の結集で集会をかちとった。宮城県内、東北各地の労組に共闘を呼びかけ、本山労組を軸とする新たな闘う労働運動の潮流が生まれつつある。もはや資本に逃げ道はない。さらなる攻勢をかける時だ。4月22日(月)「みずほホールディングス」闘争(正午/東京都中央区常磐公園)に結集しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号3面4)

韓国発電スト あくまで売却阻止闘う

 ストを続ける韓国発電労組340人が解雇され、さらに4千人余の職場未復帰労組員全員解雇のための懲戒委員会が4月3日に予定される中、民主労総と金大中政権の政労交渉は、2日昼に妥結、ゼネストは撤回された。
 その合意案は、「発電所民営化関連交渉は議論対象から除外する」「会社側は組合員への民事・刑事責任と懲戒が適正水準で解決されるよう努める」「労組はストライキを中断して現場に復帰する」というものだった。これに組合員から怒りが噴き出した。「37日間も闘ってきたのに、労政の合意案は目標とほど遠いものだ」「民営化撤回のために闘ったのに、この合意案はどういうことか!」
 合意案をめぐり、明洞聖堂でろう城中の発電労組指導部の間でも激論となり、李鎬東(イホドン)委員長から「散開闘争」を続ける全労組員に「22時から24時までに明洞聖堂に集まれ」との指令が発せられた。
 午後10時には発電労組2500人、支援労組、学生、市民団体も含め数千人が明洞聖堂入り口に殺到した。阻止線を張る警察部隊と激しく衝突、流血の事態となり、「ストライキ闘争に勝利しよう」とシュプレヒコールが波打った。
 3日午前1時、宣伝カーの上に李鎬東委員長が登場した。あたりが静まり返る中、「民主労総と政府の暫定合意案は、期待に沿えないのは事実です。私も悩んでいます。でも、ストライキに入る時に約束したように、けっして私一人で職権調印することはありません。スト開始のようにストを終わらせるのも組合員の組織決定に従う。合意案の受け入れ可否に関する組合員総投票を行う」。この瞬間満場の拍手が起こった。
 4・2ゼネストに向けては、民主労総傘下の6連盟416事業所、18万5千人がストライキを決議。発電民営化撤回・海外売却阻止の発電労組とその家族の不屈の闘いに突き動かされた歴史的な第2次連帯ゼネストは、着々と準備された。
 30日には「発電所売却反対、発電労組弾圧中断」など8大要求事項を掲げた02民衆大会が開かれ、31日には全国鉄道労組と韓国ガス公社労組が、発電労組と連帯した第2次ゼネストを闘うことを宣言した。
 アメリカ資本への発電売却を決め、凶暴な労組弾圧を続ける金大中政権を追い詰める発電労組の闘いは、激しく火を噴いている。
 発電労組は3日午後の記者会見で、6日に職場復帰した後、暫定合意案の可否投票に入ること、聖堂での指導部座り込みは続けることを明らかにした。一方、民主労総は、批判が高まった暫定合意案の廃棄を発表し執行部の責任を表明、新たな闘争体制の構築に向けて動き出した。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号3面5)

資本攻勢&労働日誌 2002

 3月17日〜29日

 ワークシェア政労使合意を発表

 イタリアで百万人デモ/失業者女性が過去最悪に

●17日 沖電気工業は9月をめどに全労働者対象に就業規則で禁じてきた兼業(副業)を認める。ワークシェア導入を労組と協議中。それを希望する労働者は1日の労働時間を8時間から5−6時間に短縮、賃金も2割ほど減るため、空き時間での副業を認める。
●19日 鳥取県が県職員の賃金を過去最大5%カット。日経新聞調べでは10都県でカットの方針。
◇コマツ労組はベア要求見送りにとどまらず、定昇相当分を3300円も下回る2900円の賃上げを要求。事実上の賃下げ要求だ。それに資本が「満額回答」(!?)した。
◇三菱電機は4月から、組合員を対象に1年間に限り7日間の特別休日を設定、年2.9%賃金をカットすることで労資が合意。
●21日 中国最大の油田、黒竜江省の大慶油田で数万人の一時帰休労働者による抗議活動が続いている。(朝日)
●22日 都職員の賃金を8月から1年間4%カットすることで都労連は都と合意した。
◇いすゞ自動車労組は、4月から1年間、組合員全員の基準内賃金を一律7%カットする資本の提案を受け入れることを決めた。
●23日 イタリアの首都ローマで、政府が進めようとしている雇用制度改革に反対する100万人規模のデモが行われた。
●26日 政府は01年度の「国民生活白書」を発表。労働制度の改革など構造改革を進めることで少子化に対応できるなどと強調。
◇日立製作所は甲府など国内3カ所の半導体工場で3月末まで実施しているワークシェアを6カ月間延長する。「副業」容認も延長。
●27日 厚労省は01年版「女性労働白書」を発表。男女が仕事と育児を両立させるためには柔軟で多様な働き方が必要などとしている。
●28日 厚労省発表の01年の賃金構造基本統計調査(速報)では一般労働者の平均賃金は30万5800円と前年比1.2%増加。ただ、労働者の構成割合が前年と同じと仮定した場合の平均賃金は前年比0.1%減で、3年連続のマイナスとなった。
◇日立金属は4月から1年間、組合員の月給を10%カットすることで労働組合と合意した。
◇NECの労資は定昇の半年先送りを合意した。
●29日 ワークシェアに関する政労使検討会議は「緊急雇用型」と「多様就業型」の2種類のワークシェア推進で合意。(要旨別掲)  政労使合意全文
◇総務省発表の労働力調査(速報)では、2月の完全失業率は5.3%で、前月から横ばい。女性の失業率は前月比で0.1ポイント上昇5.2%となり、過去最悪。完全失業者数は前年同月より38万人多い365万人で11カ月連続で増加した。厚労省発表の有効求人倍率は前月を0.01ポイント下回る0.50倍と、2カ月ぶりに悪化。
◇沖電気は、賃金6%切り下げを労資で合意した。

 ワークシェアリングに関する政労使合意(要旨)

●ワークシェアリング5原則
@「多様就業型」の環境整備に早期に取り組む。「緊急対応型」は選択肢の一つ。(基本は「多様就業型」)
A労使の自主的な判断と合意により行う。生産性の維持・向上に努める。(生産性向上のためのワークシェア!?)
B「多様就業型」の推進は働き方やライフスタイルの見直しにつながる。(「短時間正社員」制導入と一体)
C「多様就業型」の推進に際しては、公正な処遇、賃金・人事制度の検討・見直し等環境整備に努める。(検討するが、資本の抵抗で具体策決まらず)
D「緊急対応型」実施に際しては、経営者は雇用の維持に努め、労働者は、所定労働時間の短縮と収入の取り扱いについて柔軟に対応。(賃下げ容認)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号4面1)

憲法停止し首相独断で戦争突入
 有事立法阻止の大運動まき起こそう

 小泉政権の有事法案の準備が大詰めを迎えている。16日にも閣議決定−国会提出が狙われており、事態はいよいよ切迫している。有事法案の恐るべき概要が明らかになった。@全体の枠組みを示す包括法案を「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」とし、さらに個別法としてA安全保障会議設置法改悪案と、B自衛隊法改悪案の計3法案が提出されようとしている。さらに国会ではCテロ資金供与防止条約関連法案、D「心神喪失者処遇法案」、E個人情報保護法案、F入管法改悪案などの重大な戦時治安法案の成立が狙われている。「2年間をめどに有事法整備を終える」として、さらに多数の法案を次期国会以降に提出するという。有事立法は日帝が、米帝との共同的=競合的戦略のもとに中国・朝鮮侵略戦争に参戦する攻撃としてある。有事立法阻止決戦に死力を尽くして決起することを訴える。

 ナチスばりの非常大権を狙う 「武力攻撃事態」口実に開戦

有事立法でこうなる
 小泉政権が狙う有事法案とは何か。
 第一に、戦後憲法体系を根本的に覆し、中国・朝鮮侵略戦争を行うための超法規的措置をすべて合法化し、戦争遂行のために必要なあらゆる法律を制定しようとする攻撃である。
 確かに、これまでの戦争法(ガイドライン関連法など)も戦後憲法体系の転覆を図ってきた。しかし、労働者人民の戦争反対の闘いと現憲法9条の存在に制約され、限定的で中途半端なものにとどまってきた。
 それに対して有事立法の核心は、日帝が米帝主導の中国・朝鮮侵略戦争に参戦するために憲法と現行法制を停止し、超法規的な非常時権力=全権を首相(政府と自衛隊)に委任することにある。つまり有事立法とは政府と軍が、憲法と現行法のすべてを無視して無制限の措置をとることを合法化するものなのだ。これまでとはまったく次元の違う攻撃である。それは大日本帝国憲法の天皇大権やナチス・ヒトラーの全権委任法に匹敵するものである。
 そして憲法を超えた権限を政府に与えた上に、軍隊の作戦行動の自由、国家総動員体制、戦時治安弾圧−−日帝が戦争を遂行するために必要なすべての法律を制定しようとしている。
 1950年朝鮮戦争下での再軍備=自衛隊創設以来、日帝は、一貫して戦前の戦争体制を模範に有事立法の研究・準備を行ってきた。そのすべてを今日、有事立法として強行しようとしている。現在明らかになりつつある有事法案の全容は、その集大成とも言える全面的で包括的なものだ。
 有事立法(と改憲)は日帝にとって最大の反動的悲願であり、敗戦帝国主義の限界と制約を超反動的に突破し、対外侵略と世界戦争を行う帝国主義として日帝を再登場させるものだ。

 安保会議強化で国会無力化

 第二に、首相を議長とする安全保障会議の独断で有事認定=開戦決定を可能とする攻撃である。さらに有事立法を、一般的な将来の備えなどではなく今すぐ使うものとして出している。
 法案概要では、外部からの武力攻撃が発生するか、事態が緊迫し武力攻撃が予測される事態を「武力攻撃事態」(有事)と位置づけている。ここで二つの点が問題になる。
 @「武力攻撃事態」(有事)の認定とは開戦決定=宣戦布告そのものである。これを誰が、いつ、どのように行うのか。これが第一の問題点だ。
 法案概要では次のように「武力攻撃事態」(有事)を認定する。まず首相が「武力攻撃事態の認定」と「対処基本方針の作成」を安全保障会議に諮問する。そして安保会議で対処方針案を作成して答申する。首相はこの答申を受けて対処基本方針を閣議決定し実施に移すのである。
 先述のように安全保障会議の議長は首相で、官房長官、外相、国家公安委員長、防衛庁長官などで構成する。自衛隊制服組トップの統合幕僚会議議長も必要に応じて出席する。また常設機関として、幹部自衛官、警察や外務省の幹部職員で構成する専門部会を設置するという。安全保障会議設置法改悪案は、ずばりこの安保会議の強化が狙いだ。安保会議を国会や内閣より上の、超法規的権限をもった戦争指導機関として確立し、実質的、実体的に有事の認定と対処方針の決定を行う機関にしようとしているのだ。戦前の大本営のようなものだ。
 法案概要は「閣議決定後、直ちに国会承認を求めること」とあるが、その次の項目には「対処措置の実施前に対処基本方針の国会承認を得ることは必要としない」となっている。つまり承認を求めさえすれば、承認そのものはなくてもいいということだ。密室で少数の政治家、軍人、官僚が独断専行で開戦を決め、泥沼の侵略戦争にのめり込んでいった、戦前の歴史を再現する仕組みだ。
 A有事の範囲を、「事態が緊迫し武力攻撃が予測される事態」にまで拡大し、「テロ」や「不審船」の対策も含むものにしようとしている。これは日帝が12・22外国船撃沈・乗組員虐殺事件のように、「主体的に」自ら有事を引き起こして戦争を始めるということだ。実際、安保会議は昨年の12・22事件のような大小の軍事作戦を立案・命令する中央機関であり、この安保会議が有事をデッチあげ、有事認定をするのだ。これが第二の問題点だ。
 柳条湖事件(31年9・18満州事変)にみられるように、戦前の有事=戦争は、外部からの攻撃ではなく、ほかならぬ日帝軍部の策謀によって引き起こされ、戦争は深刻化していった。有事立法とは、小泉が言うように外からの「有事に備える」のではなく日帝自らの衝動で有事を引き起こし戦争を始めるものなのだ。戦争の元凶は帝国主義であり、米帝と日帝なのだ。
 有事立法によって日帝は、戦前のような恒常的な戦争発動体制、戦時体制に移行する。それは軍隊と警察を極限的に肥大化させ、ますます戦争国家化を深めていく。

 社会の隅々まで軍隊優先に 自衛隊の作戦に国民総動員

 第三に、国家総動員を実現するために、首相(政府と自衛隊)に絶大な権限を与えようとしている。
 対処基本方針は、自衛隊の出動や予備自衛官の招集、自衛隊の武器使用などと並んで、土地や財産などの収用、労働者の従事命令など、戦争に必要な措置を規定する。しかしその中身は基本的には白紙委任だ。首相の「武力攻撃事態」(有事)の宣言で、首相は、基本的人権を制限・停止し、土地や財産などの収用や労働者の徴用など、戦争に必要な「協力と支援」を求めることができるのだ。安全保障会議が作成した基本方針が、そのまま罰則などを含む法的強制力をもつ措置となる
 これは戦時中の国家総動員法の再来である。国家総動員法は、当時の政府に「戦時に際し国防目的達成のために必要な人的物的資源を統制運用する権限」を与え、食料、医療、交通、通信、建設、その他の必要物資や労働者の動員業務を勅令ひとつで調達した。法案概要では「太平洋戦争型の総力戦は想定しない」などと言っているが、これは現実には大うそである。
 基本方針に基づき、内閣に首相を本部長とする武力攻撃事態対策本部を設置する。この対策本部が戦前の企画院や軍需省のような国家総動員機関として機能するのだ。ベトナム戦争や湾岸戦争など米帝の行った侵略戦争に示されるように、現代帝国主義の行う戦争は総力戦的性格を持つ。有事立法の動員対象は、国の行政機関、地方自治体、公共機関だけでなく、民間業者など、日本社会と労働者人民のすべてを飲み込む。
 法案概要で、対策本部の本部長である首相は、国の関係行政機関、地方自治体、電力、ガス会社などの公共機関に対し「措置の実施を指示できる」としている。地方自治体に対しては、周辺事態法に定める「要請」ではなく法的拘束力を持つ「指示」ができるとしている(強制的な指示権の付与)。それでも地方自治体が拒否して指示に従わない場合は、国が代わって措置を実施し、所管閣僚を指揮して実施させることができるとなっている(代執行権の付与)。
 さらに地方行政を掌握するために、陸上自衛隊の五つの方面隊(札幌市、仙台市、東京・練馬区、兵庫・伊丹市、熊本市)別に、地方対策本部を置くことが検討されている。陸上自衛隊各方面隊の命令下に地方自治が置かれる。
 また民間人に対しても罰則をもって強制し協力させる。自衛隊の行動に必要な食料や燃料の確保のために民間業者に出す物資保管命令に従わなかった場合、「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」だ。立ち入り検査を拒んだり、妨げた者は20万円以下の罰金となっている。

 憲法と現行法制の適用除外

 第四に、自衛隊の作戦行動の達成ために自衛隊法を改悪し、憲法と現行法制の適用除外を規定している。
 自衛隊法の改悪案では、@土地の使用、家屋などの撤去、物資の収用などの手続きを簡素化することや、A医療従事者、土木技術者、空港・港湾の運送従事者などへの業務従事命令などが規定されている。
 それだけでなく、B食糧や燃料など物資の保管命令に従わない者などへの罰則規定、C防衛出動下令前でも、自衛隊が陣地構築などを可能にする規定、D防衛出動が予測される段階から、自衛官は「合理的に必要と判断される限度で」武器使用を可能とする規定を盛り込んでいる。
 また自衛隊による港湾や空港の独占使用、自衛隊による公立病院の使用なども想定されている。
 さらに自衛隊法による関係法の改悪案では、以下のものが重大である。
 @部隊の移動、輸送のために道路法、道路交通法に特例措置を設ける。また道路補修なども可能にする。
 A陣地構築や兵舎建設のために、海岸法、河川法、森林法、自然公園法、土地区画整理法、都市公園法に特例措置を、また建築基準法の特例措置を設ける。
 B野戦病院設置や衛生・医療活動のために、医療法に特例措置を設ける。
 C戦死者の取り扱いで、墓地・埋葬等に関する法律に特例措置を設ける。
 Dその他、火薬類取締法、航空法、労働組合法、労働基準法、船舶法、電波法など計15〜18の法律に、それぞれ適用除外の特例措置を設けようとしている。
 これらは自衛隊の存在自体を憲法と現行法制より上位に置き、自衛隊の武器使用を始めあらゆる行動の制約をなくし、自衛隊の行動に必要な人とモノを総動員する攻撃なのだ。
〔米軍の行動に関しては、在日米軍の車両や船舶が、日本国内を移動する際の日本国内法の「適用除外」が検討されてきたが、今回は運用改善や政令、省令の改悪で対応し、新たな立法はしないと報道されている〕

 人民の生活統制と治安管理

 第五に、国家総動員と並んで、労働者人民の生活統制と戦時治安体制の確立を狙っていることだ。
 この分野については「旧憲法下の戒厳令や徴兵制はあり得ないし、言論統制も検討の対象としない」(78年の防衛庁見解)とペテン的に説明する一方で、@警報の発令、避難の指示、A保健衛生の確保及び社会秩序維持に関する措置、B国民の生活の安定に関する措置などを必要な法整備の項目としてあげている。
 @の住民の避難・誘導などの「民間防衛」体制は、戦前の「隣組」制度の再来だ。自治体や警察・消防と連携した編成で、その頂点に自衛隊が立つことは明白である。
 Aの社会秩序維持も超重大だ。自衛隊の治安出動とは、労働者階級人民に対する軍事行動そのものだが、それだけではなく自衛隊法には「防衛出動時の公共の秩序の維持のための権限」という規定がある。有事の際、自衛隊が警察とともに「公共の秩序維持」のために行動するのだ。これは事実上の戒厳令的措置をとるということだ。
 1923年9・1関東大震災の時、東京には戒厳令が敷かれたが、ここで軍隊による検問や武器使用、自警団へのデマと指示などによって、在日朝鮮人と中国人(そして社会主義者や労組活動家)が6千人以上も大虐殺されたことを忘れてはならない。軍隊による「社会秩序維持」や軍部指導下の自警団がもたらすものは排外主義と大虐殺だ。有事立法阻止へ、今こそ警鐘を乱打する必要がある。
 Bの国民生活の安定なるものは、生活必需品の配給制や物価統制、国債の支払い延期など、労働者人民の生活をがんじがらめに統制する攻撃だ。
 さらに今国会には@テロ資金供与防止条約関連法案、A「心神喪失者処遇法案」、B個人情報保護法案、C入管法改悪案などの超反動的な戦時治安立法の成立が狙われている。先の臨時国会では「爆弾テロ防止条約」の国内関連法が成立している。
 また臨時国会には司法改革関連法案を、来年通常国会には国際的組織犯罪条約の批准と国内関連法を提出する予定だと小泉は言っている。言論統制や結社禁止、予防拘束などを狙った実に重大な戦時治安法だ。絶対に粉砕しなければならない。

 米帝の世界戦争路線に対応 朝鮮・中国侵略戦争許すな

 有事立法こそ、敗戦帝国主義・日帝の一貫した超反動的な宿願であり、9・11情勢と米帝ブッシュの「対テロ戦争第2段階」に対する日帝の死活をかけた対応である。
 有事立法攻撃の核心的イデオロギーとして、小泉は、北朝鮮・中国に対するすさまじい排外主義と脅威論を扇動している。「拉致事件」と「不審船」を排外主義的にあおり、ブッシュと一体となって北朝鮮を「テロ国家」だとキャンペーンし、「テロ国家根絶」の有事立法として押し出しているのだ。
 米帝ブッシュ政権は、「対テロ戦争」の名のもとに、アフガニスタン−イラク−北朝鮮−中国などへと侵略戦争を拡大し、帝国主義の危機を世界戦争へと転化する路線(QDR・NPR路線)を米帝の存亡をかけて凶暴に展開している。小泉政権はこれに必死に食らいつき、有事立法をもって、日帝としての「対テロ戦争」遂行体制を構築しようとしているのだ。それは米帝の世界戦争−中国・朝鮮侵略戦争への共同的=競合的参戦の戦略だ。その意味では、有事立法はきわめて実戦的なものであり、実際の戦争がいつ起きてもおかしくないからこそ、強引に立法しようとしているのだ。
 日本が外国から武力攻撃を受けるのではない。実際は日帝が米帝と共同した、対北朝鮮・対中国の侵略戦争を発動し、そこで起こるあらゆる事態を想定し、「武力攻撃事態」の認定から侵略戦争の突入・遂行を、首相の独断と独裁的権限で決めてしまうのだ。「国民の生命や財産を守る」ための有事立法なる論も、まったく逆転している。有事立法こそ日帝が朝鮮・中国侵略戦争に向かって労働者人民を総動員し、生活と生命を破滅させていくものなのである。
 有事立法は、憲法と現行法を停止し、政府と軍に全権委任し、超法規的な非常事態措置を合法化するものだ。しかし一切の法を無視する無制約の措置をとることを合法とするなど、形式的な合法性でしかなく、それはブルジョア法的にもおよそ法と言えない代物だ。
 それは日帝が立憲主義と法治主義を完全に投げ捨てるということだ。残るのは日帝ブルジョアジーの赤裸々な抑圧と暴力的な階級支配だけだ。日帝の延命のために、憲法9条を破壊し、民主主義と自由を圧殺し、労働者人民の基本的人権を停止し、暴力的に戦争に動員していくのだ。
 有事立法は、数千万人ものアジア人民の生命を無残に奪い、10数億のアジア人民に筆舌に尽くしがたい地獄を強制した日帝の侵略戦争を再現する。「聖戦」の名のもと、侵略の銃を握らされ、最後は自らもまた死体の山を築き犬死していったあの戦争の歴史を絶対に繰り返してはならない。
 帝国主義の世界戦争か、それとも戦争の根源=帝国主義を国際連帯で世界的に打倒するのか――道は二つに一つだ。米帝のアフガニスタン侵略戦争の激化と新たなイラク侵略戦争を許してはならない。米帝とイスラエルによるパレスチナ圧殺戦争を阻止するために決起せよ。
 革共同は4−6月、この戦後最大の階級決戦を死力を尽くして闘う。侵略戦争と大失業攻撃にしか延命の道がない日本帝国主義を打倒する展望をかけて、米日帝の中国・朝鮮侵略戦争阻止=有事立法粉砕のために、日本の労働者階級人民の総決起を訴える。
 今こそ全国であらしのような大運動をまき起こそう。4・28全国統一行動―5・26全国総結集闘争に立ち上がろう。署名、集会・デモ、国会闘争などあらゆる闘いを闘い抜こう。
〔片瀬 涼〕 

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号4面2)

陸・海・空・港湾労組20団体 国会包囲共同行動に600人

 4月3日昼、陸・海・空・港湾労組20団体が呼びかけた有事法制反対の国会包囲共同行動に600人が集まった。20労組は2月26日に有事法制反対声明を発表し、「労働者・国民が考え方や立場の違いを超えて『いのちと安全』を守るために、『有事法制』反対の一点でかたく結束して、私たちとともに共同行動に立ちあがっていただくことを、心から呼びかけます」と訴えている。集会では全日本海員組合、航空安全推進会議、全港湾などが発言した。20団体は4月16日昼休みの国会前集会、4月19日の日比谷野音集会に結集を呼びかけている。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号4面3)

 3月27日〜4月2日
 有事法案の概要が明らかに 普天間代替協、次回基本計画

●ユーゴで大気に劣化ウラン粒子 国連環境計画(UNEP)が、北大西洋条約機構(NATO)軍による99年のユーゴ空爆で使用された劣化ウラン弾の環境への影響に関する報告書を発表した。調査対象はセルビア、モンテネグロの計6カ所。今回の調査では初めて大気中にも劣化ウランの粒子が残留していることが確認された。また6カ所中5カ所で広範囲にわたる土壌の放射能汚染が確認された。(27日)
●「不審船揚げねば内閣倒す」と石原 石原東京都知事が、小泉首相と会談し「今国会で不審船を引き揚げる決定をしないなら、あなたの内閣を倒しますよ」と迫った。(28日)
●タリバン、アルカイダ「無罪でも拘束続行」 ラムズフェルド米国防長官は、アフガニスタンで拘束後、キューバのグアンタナモ米海軍基地などに拘束中のタリバン兵とアルカイダのメンバーについて、軍事審問委員会(特別軍事法廷)で無罪判決が下ったとしても、釈放せずに対テロ戦争終結まで拘束を続ける方針を明らかにした。(28日)
●普天間代替協、次回に基本計画決定 米軍普天間飛行場の移設問題で政府は、沖縄県や名護市などと構成する代替施設協議会の次回会合で、基本計画の最終案を決定する方針を固めた。具体的な建設場所や規模、工法などを盛り込んだ代替施設の全容が明らかになる。開催時期は5月下旬以降が有力と見られる。(28日)
●米軍関連法、新たな法整備せず 政府は有事立法関連4法案のうち、米軍の行動に関する特別措置法案(仮称)の提出を見送る方針を固めた。在日米軍の車両や船舶が日本国内を移動する際は国内法の適用を受けるため、その「適用除外」が検討されてきたが、運用改善や政令、省令の改悪で対応し、新たな立法はしないという。(29日)
●基地返還に米韓署名、梅香里返還せず 米韓軍当局が、在韓米軍基地の50%以上を11年までに段階的に返還することなどを盛り込んだ連合土地管理計画(LPP)の協定書に署名した。しかし、返還要求が特に強かったソウルの龍山基地や被害の絶えない梅香里射爆場などは対象とならなかった上、返還地の原状回復をすべて韓国側が負うことになった。約2万4600fの在韓米軍基地のうち、約1万3600fの返還が確定。(29日)
●原発「後処理」に30兆円 原子力発電所で発電をした後の放射性廃棄物処分や発電所撤去、核燃料再処理などのいわゆるバックエンド(後処理)費用が、電気事業連合会による初の長期試算で、2045年までに全国で約30兆円に上ることが明らかになった。電力業界は政府とともに「原発の発電コストは安い」とPRしていたが、後処理に巨額のコストがかかるとの試算は、その主張と完全に矛盾する。(30日)
●盗聴法適用が初めて明らかに 警視庁が、電話などの盗聴を捜査機関に認めた盗聴法を適用し、覚醒剤を密売していたとされる暴力団員ら数人を覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕したことを明らかにした。盗聴法の適用が明らかになったのは全国で初めて。(30日)
●有事は国会承認事項、緊急時は事後承認
有事法案で、有事の認定を国会の承認事項とすることが明らかになった。自衛隊の防衛出動と同様、原則的には事前、緊急時は事後の承認とするという。(1日)
●有事立法概要明らかに 政府が今国会に提出する有事立法関連3法案の概要が明らかになった。基本的な枠組みを定める包括法案の名称は「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」。包括法案には、関連法整備の期限を明記。またテロや不審船などへの対応も検討することを明示した。(2日)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号5面1)

帝国主義の基本動向について
大恐慌−世界戦争と対決し有事立法粉砕に総決起せよ

 歴史的没落にあえぎ世界戦争に進む米帝

 今日、4―6月有事立法阻止決戦を軸とする02年決戦を闘い抜くにあたって、昨年01年が世界危機の世界戦争への転化の決定的転機であったこと、そして現在の過程は、恐るべき勢いと規模で、戦争と恐慌が大爆発していく過程であることを徹底的に踏まえなければならない。
 この時代認識はすでにきわめて鮮明である。だが、世界大恐慌の危機の接近→ブッシュ政権の登場と新たな世界戦略の樹立→9・11反米ゲリラ戦を契機とする米帝のアフガニスタン侵略戦争の開始(10・7)と、その後の戦争の激化・拡大情勢→とりわけブッシュの「2002年は戦争の年」という戦争激化方針と、一般教書における「イラク・イラン・北朝鮮=悪の枢軸」規定など、米帝の戦争政策への踏み切りのテンポ・規模・勢いの恐るべき激しさについて、もしも労働者階級人民が戦後日本帝国主義のもとでの平和意識の土壌でとらえるならば、圧倒的に立ち遅れる。このことに強く警鐘を鳴らさなければならない。
 われわれは現在、第2次世界大戦の時に〔29年大恐慌の爆発→世界経済の統一性の崩壊→ブロック経済下の帝国主義間争闘戦の激化とそのドイツ・イタリア・日本帝国主義の戦争的打開→世界大戦〕と進んだのとは異なり、〔世界恐慌過程の始まり→基軸帝国主義である米帝の世界戦争政策の推進→世界恐慌情勢の激化→戦争の拡大と深刻化・泥沼化→世界経済の崩壊→世界戦争的爆発……〕という過程をたどっていることを徹底的に重視すべきである。恐慌と戦争が相互規定的に、本質的には同時爆発的にだが、むしろ戦争が先行する形で帝国主義の基本矛盾が爆発しているのである。
 現状を規定しているのは、基軸帝国主義=アメリカ帝国主義の歴史的没落の危機、いやそれどころか、その最後的破綻(はたん)ということである。
 帝国主義とスターリン主義の戦後世界支配体制は、ソ連スターリン主義の崩壊とともにその最後的崩壊が始まった。だが、その時に米帝が直面していた事態は、日帝に対する決定的な経済的敗北であった。当時の米国内では(昨年の9・11反米ゲリラを真珠湾攻撃にたとえたように)、日帝資本の米本土上陸の現実を〃真珠湾攻撃的衝撃”をもって受けとめ、〈米帝の歴史的没落〉の現実に打ちのめされていたのである。
 これをもって米帝は、むき出しの形で帝国主義間争闘戦を原理とする世界政策に転換し、91年1・17湾岸戦争=イラク・中東侵略戦争で直接の軍事力行使による帝国主義間争闘戦を遂行し、それ以降90年代をとおして対日争闘戦を激しく展開した。この結果として、日帝は没落帝国主義として決定的にたたきのめされた。だが、たとえそれをテコに米帝がバブル的に繁栄したにしても、それはあくまでもバブルにすぎず、〈米帝の歴史的没落〉という基調は不変であり、実はますます深まってしまったのだ。
 それが今、全世界を引きずり込む米帝経済の崩壊=29年型世界大恐慌情勢として到来しており、29年型世界大恐慌の爆発下の帝国主義間争闘戦を射程に入れた世界戦略の確立(その軸は対日争闘戦を射程に入れた対中国の世界大的戦争の準備)として進行しているのである。
 このことの意味は非常に大きい。かつて29年恐慌の爆発から参戦まで10年かかった米帝自身が、現在、激しく危機に突き動かされてすでに戦争へ戦争へと突き進んでいるのだ。戦後の米帝の超軍事的本質を考えるならば、情勢は恐るべき勢いと規模で進行するであろう。
 さらに重視すべきことは、戦後新植民地主義支配体制の破綻の結果として民族解放闘争が米帝とその世界支配体制を根底から揺るがすものとして爆発し始めたことである。そしてこれに対して米帝が「テロ撲滅」(民族解放・革命戦争のせん滅・一掃)というあまりにも巨大で無謀な戦争目的をもって戦争を開始したことである。
 だが開始された国際的内乱を絶滅することなど、到底できない。したがってこの戦争は当初から、終わりようがないものとして始められたのであり、泥沼的に激化し拡大する以外にないものである。そして、この帝国主義の新たな戦争と対決する国際階級闘争の爆発の流れは、必ず巨大なものになり、連携と連帯を強めて発展することは確実である。米帝を先頭に開始された帝国主義的戦争はますます絶望的・暴力的にとことん最後の決着まで突き進まざるをえないのだ。
 そして、他の帝国主義(特に日帝)は、最初から敗戦帝国主義的危機の爆発(つまり戦後革命的危機の爆発)という形で、大激動にたたき込まれる過程に入ったのである。それは国内階級関係のレベルを超えて、米帝の争闘戦に突き動かされて否応なく階級決戦的激突を不可避のものとするのである。

 米英帝の中東支配の破綻と民族解放闘争

 以上を確認して次に、中東・イスラム諸国の新植民地主義支配と、石油・資源をめぐる帝国主義間争闘戦の問題について、重要なポイントを提起したい。
 第一次世界大戦以降の米英帝による暴力的・侵略的・民族抑圧的・人民虐殺的な血塗られた中東支配の歴史と現実の中に、戦後新植民地主義支配の凶暴な本質、正体が最も鋭く貫かれている。しかも、戦前―戦後を通じた中東をめぐる帝国主義間争闘戦は、石油・資源の確保をめぐる争闘戦が一貫してその最基軸をなしていたことをがっちりと押さえなければならない。つまり、現代帝国主義認識の核心には、中東・イスラム諸国に対する帝国主義の新植民地主義政策の暴力性・戦争性・民族抑圧性・人民虐殺性を徹底的にすえることが不可欠である。
 戦後世界体制の確立のいまひとつの柱をなした朝鮮南北分断体制、中台分断体制、南北ベトナム分断体制も、沖縄の分離軍事支配体制も、実は中国革命を先頭にして戦後ヤルタ体制を打ち破る勢いをもった民族解放闘争の世界史的爆発を軍事的に封殺することを本質とするものであった。すなわち帝国主義とスターリン主義の世界分割支配体制として、直接の経済的利益を超えた、露骨な直接的軍事支配体制としての意味しかもっておらず、文字どおりむき出しの暴力支配そのものだったのである。この点はしっかりと押さえておかなければならない。戦後帝国主義(とりわけ米帝)はそもそも、そういうものなのだ。
 しかしその後、米帝のベトナム戦争での致命的敗北と、その波及阻止のための中ソ分裂を利用した米中結託政策や、日帝の経済的発展とアジア勢力圏化政策との激しい対日争闘戦の中で、一見、その軍事的・戦争的な本質が、必ずしもむき出しの形をとって現れないということがあった。むしろ70年代中期を転換点に、米帝は日帝とのアジア経済の権益をめぐる争闘戦に力を入れ、そのための武器として軍事力をも発動して揺さぶるというやり方をとった。これは最後にはクリントン政権の「経済安保戦略」にまで高められ、安全保障の軸はあたかも経済にあり、経済的にうちかつことが安保であるかのごとき様相をとった。だが、この場合も実は、91年1・17=イラク・中東侵略戦争が歴史的前提にあっての争闘戦の展開だったのである。
 それに比べて戦後の中東支配は、帝国主義間争闘戦が民族解放闘争の高揚の圧殺のみならず、もろに石油・資源の強奪とその独占体制の確立・維持に直結していた。そのために、帝国主義の中東支配の残虐性は、パレスチナ分割・イスラエル建国を始め、戦後一貫して実にすさまじいものであり、古典的植民地主義とまったく同じ本質を終始あらわにしたものであった。その軍事的じゅうりん、侵略的抑圧・分断・圧殺・虐殺政策の軸が、イスラエルを使った第1次から第4次・第5次に至る中東戦争であった。
 91年1・17湾岸戦争は、米帝が中東戦争の直接的担い手として公然と登場した点で、中東侵略戦争としてはまったく新たな段階への突入であった。この戦争はイラン・イラク戦争で疲弊したイラクが、その打開のために、OPEC(石油輸出国機構)による価格統制体制をとおして維持されてきた石油独占体制に公然と反旗を翻したことが契機となった。米帝は直ちにOPEC体制維持の柱であるサウジアラビアに軍隊を送りその体制を支えるとともに、そこを出撃拠点にイラク・中東侵略戦争を展開したのである。
 そして同時にこのもとで、パレスチナ解放闘争のオスロ合意(93年)による圧殺策動が展開されたのである。そしてそのペテン的策動の破綻の中で、昨年の9・11反米ゲリラ戦闘が、被抑圧民族人民の積もりに積もった怒りの爆発としてたたきつけられたのだ。
 今回のアフガニスタン侵略戦争は、米帝の戦後新植民地主義支配体制の破綻の結果としてパレスチナ・中東・イスラム諸国人民の民族解放闘争が激しく爆発している中で、「テロ撲滅」をスローガンに民族解放闘争の圧殺をめざした帝国主義の侵略戦争である。同時にまた、ソ連スターリン主義崩壊後に中央アジアとカフカス地域にまで拡大した石油・資源をめぐる激しい争闘戦の展開と、世界大恐慌・大不況の到来がもたらす石油独占支配体制の瓦解(がかい)の危機に対する、米帝のむき出しの軍事的対応である。すなわち、中東・中央アジア・カフカス・アジア全域への米帝の直接の侵略戦争(軍事的進出)の拡大なのである。

 石油・資源の独占が米帝中東戦略の環だ

 石油(天然ガス)問題をみる場合に押さえるべきポイントは以下の点である。
 第一に、米(英)による独占支配体制は、(石油資源の特殊性に規定されて)歴史的に一貫して石油資源の価格統制機構をとおして確立し維持されてきた。したがって一方で、直接の自国の石油資源の絶対的確保をめぐる激しい争闘戦とともに、他方で価格統制機構をテコとする独占支配体制の維持をめぐる争闘戦が激しく展開されてきたのである。
 第二に、石油危機という場合、石油の確保を断たれた場合の経済的瓦解の危機(これは米帝を含め各国経済がすべて直面している)という意味と、世界大恐慌・大不況期の到来下の生産過剰による原油価格暴落→産油国経済の崩壊(→民族解放闘争の爆発)と、原油価格暴落→価格統制機構=独占支配体制の崩壊→世界経済の崩壊、という危機に直面していることである。
 米(英)帝が直面しているのは、以上の二つ、特に価格暴落的危機の爆発の問題なのである。
 ひとつは、ソ連スターリン主義の崩壊によって中央アジア・カフカス地域の石油・天然ガスが帝国主義間の争奪戦の対象になったことである。それは、直接の争奪戦であるとともに、ここでの増産がもたらす過剰生産を米帝的に統制できなければ全独占支配体制が瓦解してしまうという問題なのである。
 今ひとつは、ロシアの資本主義化政策の破綻の中で、ロシア経済が唯一、石油・天然ガス資源に支えられているという歪んだ構造のために、ロシア経済の動向がOPECの価格統制機構を揺るがす問題になっているということである。
 今日、世界の原油生産量は日産7600万バレルであるが、OPEC10カ国(イラクを除く)の生産量は2700万バレルでシェアは35%にすぎない。これにロシアなど非OPEC5カ国の生産量を加えると57%に跳ね上がる。実際は産油国として米帝と中国が上位にいるが、国内消費で費やして輸出にはあまり回らない。つまり、輸出市場ではこの15カ国で9割近いシェアを占めるので、この協調が決定的なのである。ロシアなど非OPEC諸国が価格統制機構に協調しない限り暴落する情勢にあり、9・11―10・7情勢下の昨年末、初めてこの協調が実現されたのである。しかし、その場合もロシアは正式協定ではなく、3月いっぱいの輸出量削減を公約しているだけ(生産量は抑制しない)であり、実際に遂行されなければ下落する情勢を迎えており、厳しい問題をはらんでいる。
 米帝は世界大恐慌・大不況下の原油価格の暴落=独占支配機構の瓦解情勢に対して、軍事力を駆使した世界政治的対応とともに、金融資本の投機的操作で石油価格を維持する政策を駆使してきた。前者がアフガニスタン侵略戦争とそれをめぐる米帝の対ロシア政策や、対中央アジア・カフカスへの軍事的駐留問題としてドラスチックに展開されており、後者の腐敗の破綻した姿がエンロン倒産問題とみるべきである。
 その意味で、中東・石油資源独占体制の軍事的支柱をなすイスラエルの承認問題で、イラクはもちろん、イランをどうしても抱き込めていないことが米帝の中東支配(石油支配)の破綻点をなしているのであり、この点がきわめて重要だ。90年代をとおした中央アジア・カフカス地域をめぐる争闘戦でも、ロシア・中国と並んでイランが、絶えず米(英)帝の石油独占支配体制を揺り動かす存在としてあった。アフガニスタン侵略戦争をテコとする米英帝の軍事力発動の核心にはこれらの諸国との関係を戦争で打開することが大きな要素を占めているのだ。
 そしてブッシュ一般教書の「悪の枢軸」論の中に、イラクと並べてイランを入れて恫喝し屈服を要求したことは、直接のアフガニスタン侵略戦争に対するイランの関係のみならず、この石油・資源独占体制政策の脈略でみると、より一層鮮明になるのである。
 いずれにせよ、米帝の世界政治と世界戦略上、石油・資源争奪戦およびその独占支配体制の問題が重要な基軸をなすのである。この目的のために米(英)帝は、歴史的にも現在的にも、すさまじい暴力を平然と発動してきているのだ。

 4〜6月決戦の爆発で日帝・小泉政権打倒を

 最後に、この巨大な時代的転換点における日米争闘戦について、以下の点を見ておかなければならない。
 〈米帝の歴史的没落〉が、世界恐慌過程への突入(=米帝体制としての世界体制の崩壊)へと転ずる情勢となり、米帝がその戦争的打開に猛然と突入し始めたことは、米帝にとっての対日問題が、一方でさらに激しく経済的・軍事的対抗要因に転ずる危険性を強めるとともに、他方で、最弱の環である日帝の経済危機の爆発が全世界を29年型世界大恐慌に引きずり込むリアリズムに脅かされることになったということである。
 9・11―10・7情勢下で、昨秋以来の米帝の次の最大の関心事は、3月に至る過程での日帝の金融危機の爆発問題にあった。米帝は、〈不良債権処理の繰り延べで日帝金融資本の淘汰(とうた)・再編が遅れ、国債価格下落で自滅的に金融恐慌を爆発させることになるか、それとも荒療治的打開の結果として金融恐慌を爆発させるか〉――いずれにせよ日本発の世界大恐慌突入のリアリズムに突き動かされて、それを想定した世界政策の検討を進めざるをえなくなったのだ。
 この場合、米帝が日帝金融市場の明け渡しを含めて、荒療治的な淘汰・再編を要求してきていることは明白である。米帝がブッシュ訪日の際に、不良債権処理(金融資本の淘汰・再編)とデフレ対策(日銀の国債買い取り政策などの超インフレ政策に行き着く)を激しく求めてきたのは、そのためである。
 だが、このいずれも、日本発世界大恐慌の爆発の引き金になる可能性が高く、米帝は、それがもたらす東アジア情勢の激動化を前提に、対北朝鮮政策を強力に打ち出してきたのである。それが米帝からの情報による12・22「不審船」事件となって爆発し、ブッシュ一般教書における「北朝鮮=悪の枢軸」論となり、今回のブッシュ訪日・訪韓・訪中問題を貫くテーマになったのだ。
 これに対して日帝は、米帝の争闘戦的対日要求に対して、最後まで懸命に経済危機の繰り延べ政策に固執しつつ、逆に対北朝鮮問題では激しく対応し、12・22外国船撃沈・乗組員15人全員虐殺という戦後初の本格的戦争行為を発動したのである。そして「テロ撲滅」の大反動情勢をテコに、有事立法・改憲の上からの階級決戦へと猛然と突き進んでいるのだ。
 米帝のアフガニスタン・中東侵略戦争、イスラム諸国人民の抵抗闘争の抹殺戦争は、その重要な一環として米日帝の朝鮮・中国侵略戦争の切迫情勢を呼び起こしているのである。日帝・小泉政権は、「テロ撲滅」の逆流が全体を覆っている現実と、スターリン主義問題がらみで北朝鮮に対する排外主義をあおる中で、それをテコに一挙に有事立法による危機の戦争的打開、戦争国家化への転換をなしとげようとしているのだ。この攻撃に、革命的怒りをみなぎらせて猛然と決起していかなければならない。
 まさに21世紀冒頭の階級闘争は、日本発世界大恐慌が爆発する危機の中で、資本攻勢の激化と、それと結合した日帝・小泉政権の対北朝鮮敵視政策をテコとする有事立法・改憲攻撃との階級的激突として、激しく火ぶたを切ったのだ。
 帝国主義が戦争に突入するということは、治安弾圧のすさまじい攻撃と排外主義・愛国主義の扇動の中でさしあたっては厳しい闘いを強いられ、困難に突入することにもなる。しかし、帝国主義は戦争の中で確実に危機を深め、革命的情勢を成熟させていくのである。このことをしっかりと見据え、労働者階級人民の蜂起的決起に向かって、革命の準備を猛然と推し進めなければならない。
 02年決戦の勝利をめざし、@闘うパレスチナ(アフガニスタン)人民との国際主義的連帯の闘い、A朝鮮・中国・アジア人民とイスラム諸国人民との連帯をかけた有事立法粉砕=教育基本法改悪阻止の改憲阻止大決戦、三里塚暫定開港阻止決戦、B資本攻勢との対決、労働者の団結、階級的労働組合運動の形成・発展の闘い、C社会保障制度改悪との闘い、D1億円基金運動を突破口とする弾圧粉砕、長期獄中同志奪還の闘いを始めとする4―6月決戦を、地軸を揺るがす勢いで革命的に爆発させるために、懸命に闘っていこうではないか。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号5面2)

 第3部 植民地支配の歴史(8) 台湾F 皇民化政策
 台湾人民を侵略戦争に動員

 中国全面侵略へ

 1937年7月7日の盧溝橋事件をもって、日帝は本格的な中国侵略戦争に突進していく。中国・北京郊外に駐屯していた「支那駐屯軍」は盧溝橋付近で夜間演習を強行した。日本軍はこの戦争挑発によって、「中国側から銃弾が撃ち込まれた」と称して中国軍への攻撃に突入した。
 1900年義和団運動鎮圧のための出兵以来、日帝は04年日露戦争、10年韓国併合をとおして中国侵略を推し進めた。31年9・18柳条湖事件−ニセ「満州国」デッチあげは、その決定的踏み込みであり、日帝は中国東北部を占領した。そして、37年盧溝橋事件から全面的な中国侵略戦争に突き進んでいったのだ。中国人民は幾多の犠牲をのりこえてこれらと闘い、ついに日帝の侵略戦争を打ち負かした。だが、日本の労働者階級人民は、流された中国人民の血を贖(あがな)う責任を今なお有している。

 戦時下に突入

 こうした中国侵略戦争への突進によって、日帝対米・英・仏連合国との対決が激化し、帝国主義戦争の危機が切迫していった。それは日帝にとって国家をあげた総力戦を不可欠とした。近衛内閣は37年9月、「国民精神総動員計画実施要綱」を発表し、翌年、国家総動員法が制定された。
 この中で、日帝は台湾の植民地支配を戦時体制的に転換させ、とりわけ、南進政策の軍事拠点としての位置づけを強めた。そして、台湾人民を侵略戦争に動員し、強制連行・強制労働に駆りたてる攻撃が一挙に激化していった。
 日帝が台湾を戦時体制に転換させるためにまず行ったことが皇民化攻撃である。それは「一切の非日本的なものを排除し、帝国臣民という恩恵で台湾人を皇恩に浴せしめ……頭のテッペンから爪先まで日本に同化させ、戦争に協力させる手段以外の何ものでもなかった」(『台湾人四百年史』史明著)。
 皇民化攻撃とは、台湾人民の不屈で粘り強い闘いを圧殺しようとするものにほかならない。実際、日帝は、盧溝橋事件を前後して台湾総督を再び文官から武官に代え、暴力的に皇民化運動を進めた。36年9月、第17代台湾総督に赴任した小林躋造(予備役海軍大将)は、「皇民化、工業化、南進基地化」を台湾統治三原則に掲げ、台湾人民を侵略戦争に動員するために「皇国精神の徹底を図り、普通教育を振興し言語風俗を匡励(きょうれい)して忠良なる帝国臣民たるの素地を培養」しなければならないと主張したのだ。
 もちろん、それまでも台湾人民への同化=日本人化政策はとられてきた。だが、「皇民化」攻撃は戦時政策であり、同化政策の極限形態として文字どおり台湾人民を「天皇のために死ねる皇国臣民」「天皇の赤子(せきし)」につくりかえようとするものである。具体的には以下のようなものだった。
 @「国語」(日本語)の常用運動。37年4月1日から台湾人の母語使用が制限された。「日本語会話や読み書きをするよう義務づけ……その成果を試すために警察官が突然戸別訪問し、テストをすることもあった。このときうっかり台湾語が口から出ようものなら、殴る蹴るの暴行のあげく、罰金一〇円というわけだ」(林歳徳著『私の抗日天命』)ものである。
 A仏像や寺廟の撤廃と神道信仰の強要。「台湾人がその精神的支柱としている『廟(びょう)』にまつられた高さ二メートルもの金箔(きんぱく)の仏像を焼き、そのあとに天照大神の像を建立した。のみならず各家庭にあった仏像も焼き捨て」させた(同上)。伝統的宗教行事や祭祀(さいし)を制限・禁止した。
 Bさらに、新聞から漢文欄を廃止し、旧暦正月の行事を禁止した。
 Cそして40年には「改姓名」が布告され、台湾名を取り上げ、日本式の姓名を押しつける「創氏改名」が行われた。
 これらは日帝の侵略戦争に「皇民」に改造した台湾人を動員しようとする許しがたい攻撃だった。日本式に「改姓名」することで戦争中の物資配給などに若干の特別配慮が与えられたものの、基本的な差別された地位には変化はなかった。

 日本兵の弾よけ

 だが、こうした皇民化攻撃に対して、台湾人民は必死に抵抗し闘った。仏像を屋根裏に隠して夜中に拝み、また、「改姓名」も40年2月から8月まででわずか168人が応じたにすぎないなど、自らの民族的人間的あり方を守りぬき、日帝の植民地支配・侵略戦争の攻撃と闘いぬいた。しかも、この時期の闘いは、これまで台湾解放運動を指導してきたさまざまな勢力や活動家が徹底的に弾圧され、ほとんどが投獄されるか、亡命を余儀なくされるという状況にあった。そういう中でも、台湾人民を丸ごと「皇民化」させ、戦争への屈服と動員を図ることは無理だったのだ。
 また、このような皇民化攻撃と並行して、侵略戦争への動員のために軍人・軍属の徴用や、志願兵制度が実施された。だがそれは、「志願とは名ばかりで、実際は強制的な徴兵にほかならなかったのである」(同上)。この中で林歳徳さん自身も徴兵され、南京大虐殺が行われた直後の南京に動員されたのだ。
 戦争末期に向かう中で、戦争動員への強制的「志願」は42年には42万人、43年には60万人、44年には75万人にも達していた。これらは、当時の台湾青年の人口に匹敵する数であり、実に恐るべき動員体制であったことが分かる。このうち、実際にどれだけ戦場に駆り出されたのかは不明であるが、日本政府の統計でも軍人8万433人、軍属12万6750人、戦死者3万3千人となっている。
 太平洋戦争勃発後、先住民系の青年たちは、一転して日本人の同胞扱いとなり、南方作戦に「高砂義勇隊」として動員され、無謀な戦争を戦わされた。
 台湾人の軍人・軍属は最も激しい戦場へと連行され、しかも、日本兵の「弾よけ」として最前線に立たされ殺された。それだけではない。多くの台湾人女性が(多くは10代の少女たちだった)日本軍軍隊慰安婦として中国や南方の戦場を連れ回され、筆舌に尽くせぬ被害を受け、犠牲となった。
 まさに1895年以来の日帝の台湾植民地支配が行き着いたものこそ、台湾人民抹殺にほかならなかった。(五十嵐茂生)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号6面1)

 水嶋裁判 「水嶋さんはAではない」 正井が決定的証言
 検事のデッチあげ明白に

 3月27日、東京地裁刑事第1部(川口宰護裁判長)において、無実の水嶋秀樹同志に対する、88年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘のデッチあげ裁判が行われた。この日の第5回公判で、転向裏切り分子正井利明の口から、ついに水嶋同志の無実を示す決定的な証言を引き出した。
 正井は取り調べにおいて、9・21戦闘の責任者をAと記号で供述し、水嶋同志の写真を特定したとされている。権力は、これを唯一の「根拠」として、デッチあげ指名手配―起訴を強行したのである。
 公判は、あいまいな言い方に終始した検察側主尋問の後、弁護側の反対尋問に移った。ここで正井は、弁護側の断固たる反対尋問の前に、水嶋同志がAとは別人であることを具体的に証言するに至ったのだ。

 弁護人「(Aと)普通に並んで歩いている時、(目線)は?」
 正井証人「Aの頭の上に自分の目線がくる」
 弁護人「目の高さにくるなら168aくらいになりますね」
 正井「 はい」(正井の身長は178a)
 弁護人「水嶋さんは164aから164・5aですよ。その点は一致しませんね」
 正井「一致しませんね」
 弁護人「水嶋さんは子供の時から視力が1・5、近眼ではない。この点も違いますね」
 正井「はい、そうですね」(正井は検事の主尋問に対して「Aは風呂でもメガネをかけている。自分より強度の近眼ではなかったか」と証言している。正井の視力は裸眼で0・03)
 弁護人「あごは」
 正井「あごの形が違う」
 弁護人「Aは歯があったのか?」
 正井「はい。入れ歯はしてない。デンタルクロス、糸を通して磨いていた」
 弁護人「水嶋さんは75年以来現在の歯です。上が3本、下が5本しかない。頭はどうですか」
 正井「頭頂部がバーコード状態じゃない」
 弁護人「頭頂部もAの特徴と違いますね」
 正井「はい」
 正井はAと水嶋同志の違いをこのように具体的に証言した後、さらに次のように証言した。
 弁護人「水嶋さんと会ったことがないということでいいんでしょう」
 正井「そうですね、そういうことになると思います」
 弁護人「ということは、Aは水嶋さんではない、水嶋さんはAではない、ということですね」
 正井「そういうことになると思います」

 弁護人の鋭い追及に正井はついに「水嶋さんはAではない」と認めたのだ。
 追いつめられた検事があわてふためいて「ここにいる被告とAは違うと断定できるのか」と正井を恫喝した。それに対して正井は「私が述べた(Aの)特徴とことごとく違うので、Aと水嶋さんが同一人と違うと判断せざるを得ない」と、水嶋同志を目の前にして真実を証言せざるをえなかったのである。
 水嶋同志の無実は法廷の場でも百パーセント明らかになった。これ以上の裁判の継続は、検察のデッチあげ弾圧への司法の加担そのものである。われわれは、水嶋同志に対するデッチあげ裁判が権力犯罪であることが完ぺきに明らかとなった今、魂の底からの怒りをもって断罪する。とりわけ、公安検事吉野道洋と滝沢佳雄を絶対に許さない。
 そもそも逮捕・捜査段階での「面通し」において、正井は実質的に水嶋同志はAとは違う人物であると供述しているのだ。にもかかわらず起訴を強行し、デッチあげ裁判を水嶋同志に強制したのだ。これが権力犯罪でなくて何なのだ。
 水嶋同志は74年1・24横国大カクマルせん滅戦闘で全国指名手配され、26年間の非公然闘争を闘い抜き、99年11月に時効をかちとった。その水嶋同志への指名手配もがデッチあげであったことは検察のメンツが丸つぶれであり、それを隠し通そうとしたのだ。そのために裁判において、正井に水嶋同志を会わせまいと遮へい措置の導入を策動した。この悪らつな策動を水嶋同志と弁護団を先頭に、傍聴者も一体となって怒りの決起で粉砕したことが、今回の勝利のかぎをなしたのだ。
 さらにこの勝利は、一審無罪判決をかちとりながら高裁で逆転有罪とされ、現在上告している神藤猛雄同志の無実をも示している。
 水嶋同志へのデッチあげは三里塚闘争解体攻撃である。断固粉砕しよう。
 裁判長は1日も早く水嶋同志を釈放せよ! 勝利確定の日まで断固闘いぬこう。次回公判は4月25日(木)午後1時半から。傍聴闘争に全力決起しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号6面2)

“弾圧粉砕の戦場だ” 爆取3同志公判を傍聴して

 3月22日、須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志に対する迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判の第162回公判を傍聴した。公判は、恒例の3被告の意見陳述によって開始された。裁判の冒頭に3被告が意見陳述する姿には、15年の死闘が開いた勝利の地平がいかに高いものであるかが凝縮されている。日帝国家権力・裁判所は、自ら犯してきた階級的大罪に対する、革命家による弾劾と戦闘宣言に黙って聞き入ることなしには、裁判の体裁を取り繕うことすらできない。この裁判は、戦争に突き進む日帝の治安弾圧の強化を実際に徹底的に粉砕し続けている戦場であり、その戦士たちが集う場だ。
 冒頭、前回の公判で弁護側証人として出廷したA証人の証言の決定的大きさが、須賀同志から明確に確認された。「橋本裁判が示したように、デッチあげには必ず作為が表れる。切削痕(こん)の大町鑑定はデッチあげのためのトリックにすぎなかった。裁判長はこの事実を見据え、直ちに公訴棄却せよ」と。
 唯一の物的「証拠」として検察立証の核心をなしてきた、「切削痕」など何の意味もなさない。大町鑑定のあまりのずさんさと、「唯一の切削痕」なる主張には何の根拠もないことがA証人の登場で誰にも明らかになったからだ。
 続いて板垣同志から、前回の法廷の退廷宣告の連発と、体調の著しい悪化とは裏腹の東拘のスローモーで不十分な医療措置に深い怒りがたたきつけられた。
 十亀同志は、身内や権力者やファシストどもにだけは温情判決を出して恥じない裁判所の腐敗した体質を暴露し、革命家への15年の未決勾留を居直る罪業の深さを徹底的に弾劾した。
 その後、岩手借家において同志たちを直接逮捕したとされる、岩手県警の千田と遠藤が証人として登場した。逮捕とは名ばかりの違法な襲撃の状況を押し隠し、3被告に対する公務執行妨害のデッチあげに加わった下手人たちだ。
 2人の証言はすべてがウソ、偽証だ。違法なデッチあげ逮捕を隠ぺいするための作り話の羅列だ。「岩手県警始まって以来」と報道された本件の、襲撃・逮捕要員として最先頭で行動したはずの2人の語るストーリーには矛盾や言い直しがあるばかりか、まるでリアリティーがなかった。
 拷問に等しい独房への勾留を15年間も強制し、革命家を予防拘禁する。その上に裁判と称して警官に平気でウソを言わせて、国家犯罪を貫きとおすことなど許されるわけがない。
 労働者階級人民は、この裁判の一コマ一コマを記録し、わが革命家に加えられた弾圧の一日一日をわが身に刻みつけ、裁判と弾圧の加担者全員に責任を取らせる。治安弾圧の強化は、日帝国家権力にとって破滅の道でしかないことを思い知らせてやる。(投稿 T)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号6面3)

反権力のカンパが「犯罪」! テロ資金規制法案の成立を絶対阻止せよ

 3月12日、小泉政権は、テロ資金供与防止国際条約の締結に伴う関連法案を国会に提出した。「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法案」(いわゆるテロ資金規制法案)である。「テロ防止」の名で、国家権力と闘う組織への資金カンパそれ自体を重罪・重刑で弾圧するものだ。
 これは、財政面からの組織と運動の破壊と解体を狙う大攻撃だ。革命運動だけでなく、労働運動や市民運動など大衆運動全体を資金面から弾圧し、恫喝し、その屈服と転向を引きだそうとする攻撃である。形を変えた破防法・団体規制法であり、これ自体が有事立法攻撃の一環だ。絶対に許してはならない。今国会での成立を絶対阻止するために、直ちに重大な決意をもって立ち上がらなければならない。
 新法案は、「テロ行為」に結びつくことを知った上で資金を提供した者や受け取った者に、最高で10年の懲役または1000万円の罰金を科すとしている。
 「テロ行為」とは「公衆等脅迫目的の犯罪行為」とされているが、この規定自体の問題性については後で述べる。資金提供罪(第2条)は、その「実行を容易にする目的」で資金を提供した者をすべて処罰する。「実行を容易にする目的」とは実にあいまいで、いくらでも拡張解釈できるものだ。資金収集罪(第3条)は、「犯罪行為を実行しようとする者が、その実行のために使用する目的で」資金提供を勧誘・要請・収集することを処罰する。金を受け取るだけでなく、カンパを訴えただけでも処罰の対象にするとしている。
 この資金提供罪と資金収集罪の「未遂」も同様に処罰する。これとあわせて組織的犯罪対策法をも改悪し、提供・収集された資金の凍結や没収もできるようにするというのである。
 カンパを要請したり、あるいはそれに応じたというだけで逮捕し、10年も獄にぶちこむこと自身がとんでもない重罪・重刑である。しかもこの法案の許しがたい点は、このカンパ罪が「テロ行為」の実行がなくても、したがって提供・収集した資金が実際にそのために使用されるものでなくても成立するとされていることだ。国家権力が「テロ集団」とみなした組織にカンパすれば、その資金がまったく別の費用に使われるものであっても、カンパしたその時点で逮捕できるというものだ。
 この法案が対象とする「テロ行為」、すなわち「公衆等脅迫目的の犯罪行為」とは何を指すのか。
 第1条によれば「公衆」には国・地方公共団体・外国政府などが含まれる。これらを「脅迫する目的をもって」、@殺人や傷害・誘拐など、Aハイジャックなど、B爆発物の使用や放火による施設破壊など、が行われる場合が列挙されている。ここでAには、航空機や船を直接乗っ取ったり墜落・沈没させたりするだけでなく、「その航行に危険を生じさせる行為」がすべて含まれる。またBには、鉄道車両や駅、道路、公園、電気や水道などのインフラ施設やエネルギー関連施設、さらには単に「建造物」一般が含まれる。
 これも「テロ行為」の際限ない拡張解釈を許すものだ。現在の政府・国家権力や体制に実力で抵抗するあらゆる闘いへの弾圧を狙っているのだ。米軍や自衛隊の侵略出兵に反対するデモ隊が基地に突入し滑走路を占拠して闘ったり、70年安保・沖縄決戦の時のように火炎瓶で機動隊と激突することを、このAやBでいう「犯罪行為」にしようとしているのだ。
 さらに第4条では、犯罪に着手する前に自首した場合は刑を減刑または免除する。露骨な転向と密告強要の脅しである。
 日帝・小泉政権は、有事立法・改憲攻撃と一体で、それに先行する形で治安弾圧の一大エスカレーションにのりだしている。テロ資金規制法案はその中でも特に重大な攻撃だ。同じく今国会に提出されている保安処分新設法案、入管法改悪、司法改革攻撃、何よりも有事立法そのものを粉砕する闘いと固く結合し、本法案の成立を絶対阻止しよう。すでに破防法・組対法に反対する共同行動などが4・20集会への結集を呼びかけている。呼びかけにこたえ、全力で闘おう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号6面4)

生きる権利を奪う医療制度大改悪 小泉よ、命の叫びを聞け! (1)
 医療費本人負担が3割に 自己負担限度額も引き上げ

 医療制度改革関連法案が3月1日に国会に提出された。小泉は「三方一両損」などと言っているが、実際には社会保障への国の財政負担を大幅に削減するために高齢者を始め労働者人民に一切の犠牲を強制しようとするものだ。今回から労働者人民に「痛み」を強制する医療制度改革の実態をシリーズで明らかにしていく。
 今回の医療制度改革の一つの柱である医療保険制度改革の主要点は、@健康保険の医療費本人負担を現在の2割から3割に引き上げる、A高額療養費の自己負担限度額の引き上げ、B被用者保険料の月収ベースからボーナスも含めた総報酬制への変更、C政管健保は年収の8・2%にして保険料を引き上げる、などだ。
 ではこれによって労働者の医療費や医療保険の保険料負担はどうなるのか、具体的にモデルケースを想定して見てみよう。
 モデルケース@ 中小企業で働く男性が虫垂炎で手術し、一週間入院した場合
 現行制度では患者負担は2割負担で5万5450円だが、3割負担に変わることで7万9220円の患者負担となる。高額療養費制度の適用を受けても、これまでは限度額が6万3600円だったのが7万2300円に引き上げられたので、いったんは7万9220円を支払い、3カ月後に6920円の払い戻しを受けることになる。払い戻しを受けてもなお1万7000円近くの負担増となる。
 モデルケースA この人が胃ガンで手術し、30日間入院した場合
 胃ガンの場合、平均的なケースでは手術前の検査入院1週間、手術後も3週間は入院で入院期間は約1カ月になる。その後も半年ないし1年おきに定期検査があり、5、6年は通院し投薬を受けなければならない。入退院が同じ月だったと仮定して(2カ月にまたがる場合には高額療養費限度額が月単位のため以下の計算よりもっと多くなる)この人の療養費負担はどうなるのか。
 患者負担額は3割負担で50万7040円になる(現行は2割負担で32万4640円)。高額療養費限度額が7万2300円で、手術後1週間の差額ベッド代などを合わせて約11万円になる。さらに手術後の5、6年は定期検査や薬代で年間約8万円(月6750円)程度の医療費がかかることになる。
 高額療養費の返還を受けても11万円という負担は大変なものであり、またいったんは50万円という高額を払わなければならないということも労働者家庭にとって大変なことである。
 医療保険制度改悪は、保険料の支払いという点でも大変な負担増になる。
 今までモデルケースとして見てきた中小企業で働く労働者が、月30万円の賃金でボーナスは夏冬とも30万円と仮定した場合に保険料負担はどうなるのか。(厚生労働省の01年統計でボーナスを含めた給与総額の月平均は35万1347円となっており、労働者の賃金の平均はほぼ30万円に近い)
 政管健保の保険料率が月収ベースの8・5%から年収ベースの8・2%に引き上げられたことにより、年間の保険料は34万4400円になる。政管健保の場合は保険料の事業主負担が50%なので、従来の15万3000円からは1万9200円も負担増になる。
 日帝経済の恐慌が深まり賃下げ、リストラ、不安定雇用化などの攻撃が強まる中で、医療保険の保険料引き上げや医療費の自己負担引き上げは、労働者人民にとって生活を破壊される大問題である。家族の誰かが手術を要する病気になったり、けがをした場合、医療費が払えないような状態に追い込まれるのである。
 もともと健康保険法が実施された時から医療費の本人負担はゼロだった。それが57年から一部負担が始まり、84年に1割負担になり、98年に2割負担になったばかりなのにさらに3割負担に引き上げられようとしているのだ。一家の中で働き手である本人が病気になった場合には医療費の負担と同時に収入が大幅に減少する(場合によっては得られなくなる)という問題が生じる。それでなくても労働者は、自分と家族がぎりぎり食いつないでいく賃金しか与えられておらず、自分や家族が病気になれば家計が崩壊させられかねない状態におかれている。しかも労働者は賃金の一部としてすでに保険料を払っており(会社負担分ももともと労働者の賃金なのだ)、だからこそ健康保険の医療費の本人負担はゼロとされていたのだ。
 医療は社会が責任を持つのが当然であり、医療費の自己負担をなくさせよう。

健保本人医療費3割負担になるとどうなるのか!
 
2割負担(これまで)
3割負担になった場合
【高血圧症】前月より継続して月2回診療所で受診
3560円
5290円(1730円増
【虫垂炎】病院に7日間入院、手術
5万5450円
7万9220円(2万3770円増
【胃ガン】病院に30日入院、手術
32万4640円
50万7040円(18万2400円増
【急性心筋こうそく】救命救急センターに運ばれ病院に25日間入院
45万3100円
67万0250円(21万7150円増
【肺炎】病院に14日入院
5万5290円
8万2250円(2万6960円増

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2049号6面5)

 訂正

前号8面の革共同の4月アピールの6段目に「国際的組織犯罪条約の批准を狙っている」とあるのは、「テロ資金供与防止条約」の誤りでした。

------------------------TOPへ---------------------------