ZENSHIN 2002/05/06(No2052 p10)

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週刊『前進』(2052号1面1)

「武力行使法」「新自衛隊法」「首相大権法」粉砕! 5・24−26有事立法阻止へ
 ジェニンの大虐殺 徹底弾劾!
 小泉の靖国公式参拝を許すな 朝鮮・中国への侵略戦争阻止を

 有事立法3法案(武力攻撃事態法案、自衛隊法改悪案、安全保障会議設置法改悪案)の国会審議が始まった。提出された3法案は、「日帝の武力行使法、新自衛隊法、首相大権法」と言うべき性格を持つ正真正銘の非常事態法案だ。かつての日帝のアジア侵略戦争と第2次大戦の歴史を繰り返してもいいのか! まさに慄然(りつぜん)とする事態が突きつけられている。すでに陸・海・空・港湾労働者を始めとして、多くの人民がもはや黙ってはいられないと続々と決起を開始した。同時にパレスチナでは、ジェニン難民キャンプでの大虐殺を始めとして、米帝の後押しを受けたイスラエル軍による暴虐の嵐が吹き荒れ、これに対するパレスチナ人民の徹底抗戦の決起が不撓(ふとう)不屈に続いている。闘うパレスチナ人民を始めとしたすべての被抑圧民族人民の血叫びにこたえ、日本のすべての労働者階級人民が国際主義的連帯をかけて、侵略戦争と国家総動員の有事3法案絶対阻止に総決起しよう。小泉の4・21靖国神社公式参拝強行を断じて許すな! 6千万労働者階級が根こそぎ決起すれば、翼賛国会を吹き飛ばし、3法案を阻止することは必ずできる。陸・海・空・港湾労組20団体など3団体が呼びかける5・24闘争と反戦共同行動委の5・26全国総決起闘争に総決起しよう。

 第1章 日本が武力攻撃をやろうとしている

 4月17日、国会に提出された有事立法3法案は、朝鮮・中国−アジアおよび中東の人民を虐殺する侵略戦争を発動し、すべての日本労働者人民を再び第2次大戦をも上回る世界的大戦争に総動員する大攻撃だ。日帝は一切の制約を取り払って、米帝との共同=競合関係のもと、北朝鮮や中国への略奪と破壊と虐殺の侵略戦争に全面的にのりだそうというのだ。そのために首相に明治憲法下の天皇大権の復活にも等しい絶対的権限を与えて、戦後の憲法や議会制民主主義を完全に破壊する独裁体制と国家総動員体制をつくり出そうとするものにほかならない。
 第一に、日帝が今や本気で、戦後初めて、他国・他民族に直接武力を行使する侵略戦争に突入しようとしているということだ。
 法案に言う「武力攻撃事態」とは何か。ここには「武力攻撃が発生した事態」だけでなくその「おそれのある場合」、さらには「事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」がすべて含まれるとされている。しかも日帝は、周辺事態法=日米新安保ガイドラインでいう「周辺事態」が「その一つのケース」だと公言している(4・4中谷防衛庁長官の国会答弁)。明らかに米日帝による対中国・北朝鮮の侵略戦争発動を完全に想定しているのだ。
 さらに小泉は、閣議決定時に発表した談話で「テロ」や「不審船」対策を声高に叫び、これらを含めた「国家の緊急事態」対処の全般を見直すとした。そして「武力攻撃事態以外の国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態への対処」をも「補則」として法案に盛り込んだ。この「緊急事態」という概念も、先の「おそれ」や「緊迫し……予測される事態」も、いくらでも拡張解釈できる実にでたらめなものだ。それは、あらゆる口実を設けていつ何どきでも「国家有事」を宣言し、侵略戦争に突入しようとしているからなのである。
 だから、これらの事態への「対処の基本理念」として、自衛隊による武力の行使を公然と明記している。これは、憲法が禁止してきたはずの「国権の発動たる戦争」「国の交戦権」の公々然たる復活の宣言以外の何ものでもない。同時に日米安保条約に基づく米軍との協力が規定されている。集団的自衛権の全面的な行使への踏み切りだ。これは憲法第9条の事実上の完全破棄そのものだ。
 すなわち、「日本への攻撃に備える」と称して実際には、危機に立つ日帝が憲法的制約をかなぐり捨て、米帝ブッシュがやっているような残虐きわまりない侵略戦争にどしどしのりだし参戦することこそ、この法案の目的である。米帝が北朝鮮に爆撃を加える、あるいはそうした情勢が切迫したという時点で、それを直ちに「日本有事」として日帝独自の戦闘行動に先制的に突入するということだ。
 米帝は世界大恐慌と帝国主義の世界支配の絶望的危機の深まりの中で、昨年9・11以降、「対テロ戦争」を掲げて民族解放闘争絶滅と資源略奪、世界市場の再分割をかけた侵略戦争に打って出た。そして今日その矛先をアフガニスタンからパレスチナに拡大し、さらにイラク・イラン・北朝鮮へと広げることを狙っている。その先には対中国の世界的大戦争や、帝国主義間戦争、第3次大戦さえも想定しているのだ。日帝はこの米帝の世界戦争政策に必死で食い下がり参戦し、その中で米帝のようにむきだしの軍事力で他国を侵略し支配できる力を身につける以外に、帝国主義として生き残る道はないと決断しているのだ。
 有事立法3法案に対して日本共産党のように、「アメリカの戦争に巻き込まれるから反対」などという誤った立場で臨むならば、この米日帝の反革命的必死さと凶暴さの前にはじき飛ばされてしまう。帝国主義の危機が新たな世界戦争を不可避とする時代がすでに完全に来ている。これに対して9・11や今日のパレスチナ情勢が突きつけているのは、あらゆる搾取と民族抑圧と殺りくの元凶である帝国主義を実力で打倒する闘いが、被抑圧民族人民の命がけの蜂起として始まったということだ。帝国主義国の労働者階級がこれと連帯して決起するのか否か、このことこそが今、本当に問われているのだ。
 有事立法3法案絶対阻止の決戦を、巨大な革命的反戦闘争の爆発としてやりぬこう。不屈に闘うパレスチナ人民への熱烈な連帯闘争に決起しよう。米帝・イスラエルによるジェニンでの大虐殺を徹底糾弾せよ! 闘うアフガニスタン人民、中東・イスラム諸国人民、闘う朝鮮・中国・アジア人民との国際連帯を今こそ強めよう。
 さらに在日朝鮮・中国・アジア人民、在日ムスリム人民に対する日帝の排外主義攻撃と治安弾圧の攻撃がますます激化している。彼らと連帯して有事立法3法案粉砕の決戦と一体で、4−5月入管闘争に断固として決起しよう。

 第2章 戦争に「協力義務」 新たな国家総動員

 第二に、日帝はこの新たな侵略戦争・世界戦争に突き進むうえで、戦後憲法体制を根底的に転覆し、再び戦前のような軍事独裁体制と国家総動員体制をつくり出そうとしていることだ。
 その第一は、国・地方公共団体・指定公共機関の戦争協力を「責務」とし、「国民の協力」が義務であることをも法案に明記したことだ。かつての「国防の義務」の完全な復活である。このもとで、行政・金融・通信・放送・運輸・医療・電気やガスなどあらゆる機関とそこに働く労働者が戦争に総動員される。
 その第二は、首相に一切の権限を集中し、そのもとに「武力攻撃事態対策本部」を設置して、国と地方自治体のあらゆる行政機関、公共機関、民間までもその指揮統制のもとに従わせようとしていることである。国会と議院内閣制を事実上解体し、首相と軍部首脳が実質的な権限を独裁的に握って軍隊や警察を自由に動かし、国家総動員体制を形成することを可能にするものだ。1930年代のナチス・ドイツの全権委任法やかつての明治憲法下の「天皇大権」と本質的にまったく同じものであり、憲法の全面停止である。
 その第三は、戦争協力の義務化・強制と一体で、「憲法の保障する国民の自由と権利」に「制限を加える」ことを公然と宣言したことだ。制限は「必要最小限」と言うが、戦争の泥沼化や拡大に応じてどんどん広がり、最後は無制約となるのは明白である。私権を制限するための法整備を武力行使法の施行から2年以内に行うとしているが、ここで問題となるのはずばり言論統制であり、戒厳令と軍隊の治安出動であり、労働者人民の一切の基本的人権と政治的社会的諸権利の圧殺にほかならない。
 その第四は、現行自衛隊法に課せられている憲法上・他の法律上のさまざまな制約を取り払い、自衛隊の〈侵略と内乱鎮圧の軍隊〉としての自由な戦闘行動を保障する諸規定が新たに設けられることである。社会生活のあらゆる面で自衛隊(と米軍)の作戦が一切に優先され、軍事最優先の社会に変わるのだ。
 とりわけ重大なことは、土地・家屋の強制使用や物資の保管・強制収用に関し、軍の命令に従わない者や拒否して闘う者を処罰する規定が導入されることである。物資の保管命令に従わない者は「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」、自分の土地への立入検査を拒んだ者は「20万円以下の罰金」だ。戦前型の徴発・徴用の攻撃である。
 いったんこの3法案を通せば、後は政府(首相)の一存でどのようにもエスカレートしていくことが可能になっていく。そしてこの国家総動員体制の行き着く先を典型的に示すものこそ、第2次大戦末期の沖縄戦の地獄絵だ。日帝の「本土防衛」の盾として差別的に「玉砕の島」となることを強いられた沖縄は、土地も家屋も食糧もすべて日本軍に強奪され、戦闘の最前線に動員され、果ては日本軍による虐殺や「自決」を強いられた。
 この歴史を二度と繰り返すなということを今こそ声を大にして訴え、とりわけあらゆる労働組合の中に持ち込んで、武力行使法・新自衛隊法・首相大権法という性格を持つ有事立法3法案を廃案に追い込む巨万人民の決起をつくり出そう。

 再び“国のために死ね”と扇動

 今や日本の政治情勢、階級情勢は一変した。
 4月21日の小泉首相の靖国神社春季例大祭への公式参拝の強行は、日帝・小泉政権が本気で朝鮮・中国への再度の侵略戦争に踏み切ろうとしているその国家意思を、内外に公然と宣言したものだ。すべての朝鮮・中国―アジア人民に対する真っ向からの反革命的挑戦であり、日本人民に再び「お国のために死ね」と居丈高に要求してきたのだ。断じて許せない。
 侵略帝国主義としての凶暴な牙(きば)をむきだしにした日帝に対し、アジア人民は激しい怒りに燃えている。日本人民の中からも、陸・海・空・港湾労働者を先頭に、戦争絶対反対を掲げた新たな決起が続々と始まっている。これと日帝との激突は不可避だ。まさに戦後最大の階級決戦が到来したことを腹の底から確認し、歴史を塗り替える巨大な闘いをつくり出そう。
 沖縄、北富士、三里塚での決戦的闘いを貫き、5・24に決起し、5・26全国から首都に総結集して闘おう。極限的な自爆決起を闘うパレスチナ人民と固く連帯し、「武力行使法・新自衛隊法・首相大権法粉砕! 朝鮮・中国侵略戦争のための有事立法3法案絶対阻止!」を高く掲げて都心を揺るがす戦闘的大デモをぶちぬこう。決戦のただ中で5・19泉佐野市議選の絶対勝利をもぎとろう。

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週刊『前進』(2052号1面2)

4・19日比谷 20労組が有事法制反対集会
 “絶対に成立阻む” 5000人の熱気が野音埋める

 4月19日、陸・海・空・港湾労組20団体、平和を実現するキリスト者ネット、日本山妙法寺が呼びかける「STOP! 有事法制 4・19大集会」が日比谷野外音楽堂で開催された。野音を満席にして通路までびっしり埋め尽くす労働者、学生、市民5千人が大結集して、有事法制絶対阻止を固く誓い合った。
 会場前列中央は陸・海・空・港湾労組20団体の労働者が陣取った。その後ろには、動労千葉の労働者がそろいの黄色いゼッケンと赤はちまきで並んだ。
 航空安全会議議長の大野則行さんが呼びかけ団体あいさつに立った。「有事法制で一番先に動員されるのがトラック、鉄道、船、航空、港で働くわれわれ輸送労働者、そして医療労働者、建築・土木労働者です。私たちは戦車を輸送するために鉄道で働いているのではありません。軍事物資を運ぶためにトラックを動かし、飛行機を飛ばしているのではありません。私たちの仲間の海員組合は、朝鮮戦争で22人の組合員を亡くしました。自らエンジンを水に浸して船を動かなくさせて抵抗したり、船に乗ることを放棄した人もいます。二度と仲間をそのような目に遭わせてはならない!」。大きく「そうだ!」の声が上がる。「私たちは、私たちが運んだ軍備や弾薬で多くの人たちが死ぬという加害者の立場に立つことも拒否します。有事法制を止めるため、来月24日にもっと大きな集会を行います。声を大きく出し、なんとしてもこの有事法制の息の根を止めたい。一緒に頑張りましょう」
 社民党、日本共産党、川田悦子さんら国会議員のあいさつ、カンパの訴えに続き、各界・各分野からの発言が行われた。女性団体からは、女性の憲法年連絡会呼びかけ人の江尻美穂子さんが発言した。全建総連全国青年部協議会の品川太さんは「私たち建設労働者は、家族の団らんの場である住宅や、市民の生活を支える建物を造ることに誇りを持ってきました。軍事施設の建設に動員され、戦争に協力などしたくありません。有事法制は、戦争に協力しない人を処罰して私たちを無理やりに戦争に協力させる、国家総動員法の再来です。廃案まで全力で闘い抜きます」と述べた。
 社会保険病院看護士の堂薗幸子さんは「医療労働者には患者の健康と命を守る義務があります。有事法制では、病院に入院している患者さんを強制的に退院させて傷病兵を受け入れることになります。また野戦病院で医療労働者も最前線に動員され、傷病兵の医療にあたって再び戦地に送ることになります。こんな法案には反対です」と訴えた。
 「有事法制反対ウェーブ」で全員が一斉に立ち上がって「有事法制NO!」の声をとどろかせ、JAS客室乗務員の木村智美さんが集会宣言案を提起した。「私たちは、戦争の『加害者』にはけっしてなりません。私たちは、戦争の『被害者』になることも、絶対に拒否します。私たちは、この法案を廃案にするまで、全国各地で同じ思いを持つ多くの人びととともに、手を携えて『有事法制反対』の声をあげ続けます」。宣言は万雷の拍手で採択された。最後にキリスト者平和ネットが「今日のこのうねりをもっともっと大きくして、5月24日に明治公園で5万人集会を行いましょう」と閉会を宣言、ただちにデモに出発した。
 デモは国会コースと銀座コースに分かれ、国会コースの先頭には制服姿の航空労働者が並び、全日本海員組合、港湾労働者、国労労働者が続いた。銀座コースの先頭には白衣姿の医療労働者と航空労働者が並び、宗教者、百万人署名運動を始め市民団体、学生が続いた。「3法案を阻止するぞ! 武力行使のための有事3法反対! 首相大権狙う3法反対!」と気合いの入ったデモを闘い抜いた。
 真っ先に戦争動員を強制される労働者たちの「有事法制を絶対阻む」という必死の思い、闘いの息吹を一気に広げるなら有事法制成立は絶対に阻める。全国で闘いを巻き起こそう。

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週刊『前進』(2052号2面1)

職場を帝国主義戦争阻む団結の拠点に
階級的労働運動の巨歩築いた動労千葉スト−3・30総行動
 02春闘総括と有事立法決戦の課題
 革共同中央労働者組織委員会

 戦後最大の階級決戦が到来した。ついに日本帝国主義は、有事立法攻撃を切っ先とする帝国主義世界戦争への破局的突進を開始した。有事立法3法案は、日帝自らが中国・朝鮮へ武力行使をするための、まぎれもない侵略戦争法案である。この有事立法3法案をもって、日帝は朝鮮・中国―アジア、中東に帝国主義軍隊を送り、再び虐殺と蹂躪(じゅうりん)の限りを尽くそうとしている。米帝ブッシュがすでにアフガニスタン侵略戦争からイラク、朝鮮への侵略戦争へと一直線に突進している中で、日帝・小泉は一刻も早く参戦しようとしているのだ。この攻撃の恐るべきテンポに満身の危機感をもって総決起しなければならない。パレスチナ人民の自爆決起は、帝国主義の侵略、暴虐、略奪に対する絶対的正義の闘いだ。米帝とイスラエルによるパレスチナ人民への言語に絶する大虐殺行為にこそ、帝国主義のありのままの姿がある。有事立法とは、こうした民族皆殺しに直ちに行き着くものなのだ。労働者は、職場を帝国主義戦争への怒りと憎しみの砦(とりで)とし、あらしのようなゼネストで反撃しなければならない。団結の旗を無数に林立させ、流血を恐れず、巨万の実力デモで街頭を埋めつくそう。今こそ労働者は、熱い国際的連帯の魂をたぎらせ、自己解放の叫びを発しよう。人生をかけ、尊厳をかけ、生命と生存をかけた渾身(こんしん)の総決起をかちとろう。

 総資本の終身雇用制解体攻撃と実力対決

 有事立法を粉砕する労働者階級の力は、帝国主義打倒の「国際的内乱」を発展させ、プロレタリア革命までやむことのない進撃路を切り開くであろう。
 この有事立法粉砕の一大階級決戦への飛躍をかけて動労千葉・動労総連合の春闘ストライキ決起があり、3・30春闘総行動が闘われた。これらの闘いを先端とする02春闘の総括をとおして、国鉄決戦を基軸とする階級的労働運動の発展の展望を明らかにしたい。
 まず02春闘は、9・11情勢のもと国際階級闘争が新たな段階に突入する中で、米帝ブッシュのアフガニスタン・パレスチナ侵略戦争、イラン・イラク・北朝鮮=「悪の枢軸」論による戦争宣言、日帝・小泉の「構造改革」と有事立法への歴史的踏み切りなどの、帝国主義の世界戦争との対決として闘われた。また、こうした戦争突入情勢と一体となった大失業攻撃との全面激突であった。
 02春闘において日帝総資本は、95年日経連プロジェクト報告路線の全面発動にのり出した。終身雇用制・年功賃金制・企業内組合という戦後日帝資本に膨大な利益を保証してきたいわゆる「三種の神器」が、日帝資本にとってもはや桎梏(しっこく)と化す中で、その根底的な解体に着手したのである。資本は、総額人件費削減を呼号しつつ、終身雇用制を解体して不安定雇用化を推し進め、定昇解体・賃金切り下げを強行し労働組合破壊攻撃を押し貫こうと企てた。それは、歴史的分水嶺(れい)を越える一大攻撃であった。
 史上空前の1兆円もの経常利益が見込まれるトヨタがベアゼロに踏み切ったことは、戦後労働者支配のあり方を根底的に転換させる意味を持った。これは、金属大手で続出した賃金カットやNTT新3カ年計画=11万人リストラ攻撃と並んで、今日の資本攻勢の頂点をなしている。
 連合、全労連、JR総連は「ワークシェアリング」を叫びながらこの攻撃に全面屈服した。連合は昨年11月、日経連と「『雇用に関する社会合意』推進宣言」を結ぶとともに、ベア要求の放棄を決定し、NTT11万人リストラと今春闘でのベアゼロ攻撃への道筋をつけたのだ。
 終身雇用制と定昇解体の攻撃は、帝国主義による戦後労資関係・戦後階級支配の一大転換である。それは、終身雇用制を前提に成り立ってきた年金、雇用保険、医療保険などの社会保障制度、税制、教育制度など、労働者の生き方、あり方を規定する諸制度を根底から転覆するすさまじい攻撃だ。またそれは、全社会を戦争に総動員する有事立法に完全に対応した大きさと激しさをもっている。
 これらは、トヨタのベアゼロに象徴される総額人件費削減攻撃によって「国際競争力」を回復し、帝国主義間争闘戦の中で延命を図る日帝総資本の危機から来るものである。戦争と大失業がひとつになって襲いかかっているのである。
 02春闘は、総資本と総労働の生死をかけた文字どおりの一大階級決戦であり、革共同にとっては21世紀革命を実現するための歴史的関門としてあった。
 こうした情勢のもとで、全日本建設運輸連帯労働組合・関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合・港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3組合が呼びかけた春闘総行動、そして動労千葉・動労総連合のストライキの意義は計り知れないものがあった。3組合の発した春闘総行動の呼びかけに対して、革共同はその決断とすばらしい決起に、心からの称賛と支持を送り、3組合の闘いに全力で学び、ともに闘いぬかなければならないと決意している。

 帝国主義打倒する労働運動

 02春闘は第一に、9・11情勢のもとで、「帝国主義を打倒する労働運動」の本格的な実践と飛躍が問われた闘いであった。
 今日、あらゆる労働組合の実践、職場におけるどんなささやかな要求や行動も、帝国主義との真っ向からの対決をはらまざるをえない情勢に突入している。
 動労千葉の72時間ストを直前にした3月27日、JR東日本はベアゼロ回答を出し、JR東労組は即座にこれを受け入れた。この情勢に対して、動労千葉は春闘要求の第一に3万8000円の大幅賃上げを真っ向から掲げた。それはもはや単なる要求にとどまらない意味を持っていた。JR資本のみならずトヨタのベアゼロ攻撃を頂点とする日帝総資本との非和解的対決、帝国主義との真っ向からの〃実力対決”となったのである。動労千葉のストライキには、帝国主義打倒のプロレタリア革命の萌芽(ほうが)が宿っていた。
 動労千葉のストライキ闘争と3・30春闘総行動−新宿デモは、帝国主義との実力対決を貫く最高の革命的大衆行動であり、最高の階級的団結を打ち固める場となったのである。それはまた、レーニンの「3つの義務」を生きた現実的実践として貫くものであった。
 こうした「帝国主義を打倒する労働運動」の実践は、アフガニスタン・パレスチナの民族解放闘争や南朝鮮・韓国における戦闘的労働運動の激発などの国際階級闘争の一翼を担うものであり、「帝国主義の侵略戦争を国際的内乱へ」のスローガンを実践に移すものだったのである。
 動労千葉・動労総連合のストライキと3・30集会によって、闘うパレスチナ・アフガニスタン人民と連帯する国際反戦闘争が日本においても決定的に開始され、小泉の有事立法攻撃を粉砕する歴史的突破口が切り開かれたのだ。
 今こそ吹き荒れる排外主義と徹底対決し、有事立法粉砕決戦と反戦闘争、国際連帯の闘いを階級的労働運動の不可欠の一環として確立しなければならない。

 先端的攻防を貫く国鉄決戦

 第二に、02春闘攻防は、国鉄決戦を戦略的推進軸とする階級的労働運動の防衛と再生の闘いの飛躍的発展を切り開いている。
 国鉄決戦は、9・11−10・7情勢を鋭く反映して、動と反動の極限的な激突を迎えている。この攻防の中で、国労内部から本格的な帝国主義的労働運動が析出され、さらに日本共産党スターリン主義=革同の反動化と分岐が進行しているのである。
 これは、国鉄決戦が全労働者階級の先端において闘われ、発展していることを示している。国労内の党派的分岐・激突の帰趨(きすう)こそが、階級的労働運動の防衛と再生の闘いの命運を握っているのである。
 とりわけ国鉄1047人闘争は、国労本部=チャレンジ・革同の闘争団切り捨て攻撃を粉砕して、4月16日、国鉄闘争共闘会議の結成をかちとった。これは、国労の再生に向けての新たな歴史的転機となるだけでなく、労働運動をめぐる全情勢を一変させ、その分岐と流動、再編を決定的に促している。この4・16集会と一体のものとして今日の情勢を切り開いたのは、動労千葉・動労総連合のストライキであり、3・30春闘総行動の闘いであった。
 春闘攻防をとおして、国労本部などの裏切りをテコとする第2の分割・民営化攻撃、すなわち国鉄労働運動絶滅、国労・動労千葉破壊攻撃と全面的に対決するJR本体からの一大反撃が開始されている。
 今春闘での最も典型的かつ先端的な資本攻勢は、NTTの11万人削減攻撃であるが、JR東日本のシニア制度・メンテナンス部門外注化攻撃も、これとまったく同じ質を持っている。
 シニア制度は、そもそも終身雇用制解体そのものである。これと表裏一体をなすメンテナンス部門の外注化は、国労職場などを徹底的に解体するものであり、出向を強いられた労働者には、ごく近い将来、転籍強要の攻撃が襲いかかろうとしている。事実上それは、JRからの首切りだ。
 さらにこの攻撃は、国労・動労千葉という階級的労働運動の砦を破壊する狙いを持っている。まさに第2の分割・民営化攻撃である。それは恐るべきものであり、動労千葉のストライキ決起は、背水の陣からの起死回生の反撃であった。
 だからこそ、その決起は、あらゆる反動を吹き飛ばし、一大攻勢に転化して、JR資本・JR総連カクマルに大打撃を与え、さらには苦闘する全国の労働者に限りない勇気と激励を与え、階級的労働運動の防衛と再生の闘いの新たな発展を押し開いたのだ。

 3組合陣形の決定的な位置

 第三に、3組合統一戦線の春闘総行動は、歴史的踏み込みを開始した資本攻勢と真っ向から対決し、階級的労働運動の防衛と再生の闘いの不屈の前進を切り開いている。
 3組合統一戦線の昨年11月労働者集会は、9・11情勢の中での「テロ反対」の大合唱を突き破り、帝国主義戦争と対決する不抜の陣形を階級的に打ち立てた。さらに3組合は、今春闘において春闘総行動−3・30東西集会を決定し、集会の成功をもって闘う労働運動の新たな潮流の本格的発展の礎を築いている。
 動労千葉・動労総連合のストライキもまた、この3組合陣形の発展が切り開いた精華であると言って過言ではない。
 02春闘情勢において強調すべきことは、資本攻勢の歴史的転換と完全に一体となって進められた連合、全労連、JR総連など既成労働組合指導部のすさまじい裏切りと反革命的転落である。特に連合=帝国主義的労働運動とJR総連=ファシスト労働運動は、完全に一線を越えたと言わなければならない。
 連合=帝国主義的労働運動において際立つのは、NTT労組、電機連合のとてつもない裏切りであるが、重要なことは金属大手のベアゼロ回答直後に強行された昇給凍結・賃金カットやNTTの11万人リストラなどの大攻撃は、単なる〃屈服”や〃労使協調”をはるかに超えた、帝国主義の利害に完全に身を移した連合の先兵化なしには絶対にありえなかったということである。また、こうした連合の裏切りに先鞭(せんべん)をつけたのは、間違いなくJR総連のファシスト労働運動であったことも明らかである。
 こうした帝国主義的労働運動、ファシスト労働運動を許しておいて労働運動の未来はありえない。労働者階級は資本攻勢と対決するとともに、既成指導部の裏切りを弾劾し踏み越えて、労働運動の再生をかちとり、階級的団結をよみがえらせなければならない。階級的労働運動の再生と防衛の闘いの最も現実的な発展の道は、帝国主義的労働運動、スターリン主義労働運動、ファシスト労働運動を打倒することにある。
 これを可能にするものこそ、3組合統一戦線の新たな潮流なのである。
 今や3組合陣形は、既成指導部の裏切りと転向のもとで苦闘し、労働組合の再生を求める巨万の労働者を吸引・糾合する決定的な位置を持っている。
 今日、大失業攻撃との闘いの主役は、ある意味では民間中小・未組織の労働者である。3組合統一戦線は、関西の2組合の営々たる実践を踏まえ、膨大な民間中小・未組織労働者の組織化と獲得の強大な結集軸となろうとしている。党は、とりわけ関西の2組合に学び、民間中小・未組織労働者の闘いを決定的な軸に据え、必死の実践に踏み込まなければならない。

 職場的反撃を組織すべき時

 第四に、今春闘の攻防をとおしてつかんだ教訓から引き出される階級的労働運動の組織化の課題は何か。
 9・11情勢のもとで国際階級闘争が新たな段階を迎え、国際的内乱の時代に突入する中、階級的労働運動の防衛と再生の闘いは「帝国主義を打倒する労働運動」として展開している。この両者を融合・一体化させ、路線的に深め、豊かに発展させつつ、労働組合運動に具体的・実践的に適用しなければならない。
 02春闘は、こうした階級的労働運動の路線的発展に真に立脚した職場闘争を、運動的に実践していく苦闘の過程であった。すさまじい資本攻勢が全職場に例外なく吹き荒れる中で、職場に根を張り、階級的原則的な職場的反撃を組織することが、真に死活的になっている。
 動労千葉・動労総連合は、職場闘争の血みどろの死闘を貫くことで初めてストライキを戦取し、3・30集会への大結集を実現することができたのである。どんなに未経験で、どんなに困難があっても、また最初はどんなにささやかな抵抗に見えようとも、動労千葉のように、関西生コンや港合同のように不屈の闘いを貫こう。そうでなければ、今やあらゆる産別、あらゆる職場で、団結を守り抜くことはできないのだ。

 職場闘争-職場細胞-地区党建設の発展へ

(1)以上から言えることは、職場闘争を媒介とした職場細胞建設、職場拠点建設、職場細胞を基礎とした地区党建設という基本構造を、今こそ本格的全面的に確立しなければならない、ということである。
 @職場闘争、職場細胞建設と地区党建設は、不断に有機的に結合されなければならない。
 そのためには、地区党建設をプロレタリア革命・共産主義の目的意識性、普遍性、全体性を体現するものとして真に確立し、その基礎に職場細胞建設を据えきらなければならない。党中央と職場細胞が、こうした地区党建設を媒介に直結し一体化していくのである。
 Aそれでは、職場からの決起の基本任務は何か。
 それは、労働組合運動の実践をとおして、(1)職場細胞建設を基礎にして、(2)職場闘争を展開し、(3)職場拠点建設を戦取していくということである。
 Bこの(1)〜(3)を普遍的に貫くものは、政治闘争、経済闘争、理論闘争の三大闘争(エンゲルス)であり、とりわけ国際連帯の闘いを重視しなければならない。
 C重要なのは、機関紙活動こそ、これらを党として体現するものだということだ。ここに職場における機関紙拡大、配布、活用の普遍的意義がある。
 職場闘争、職場細胞、拠点建設は、すべて機関紙拡大とその配布・活用の展開こそがその成否のメルクマールをなしている。
(2)職場からの決起・職場闘争の基本は、政治闘争、経済闘争などをとおして職場の活性化、怒りを引き出し、これを階級的団結に結実させていくことだ。
 職場の団結は労働者自己解放の原点であり、労働者がマルクス主義・共産主義で武装していく萌芽の形成である。この団結強化の先頭に職場細胞が立つことである。
 職場の危機感と怒り、活性化がつくり出す労働者自己解放の闘いと階級性の獲得は、必ず党の綱領・路線・戦略に結合させていくことができる。
(3)今日の大失業攻撃の中で、民間中小・未組織労働者の組織化、合同労組の組織化は、階級的労働運動にとって不可欠の闘いとなっている。労働組合を防衛し再生する闘いとともに、労働組合をつくり出す闘いがわれわれの本格的な任務となっているのである。
(4)さらに、労働組合運動にとってマルクス主義の復権が死活的課題となっている。これは労働運動における党派闘争と一体をなすものである。
 帝国主義的労働運動、スターリン主義労働運動、ファシスト労働運動を打倒する力は、マルクス主義で武装され、労働者階級の階級的利害に完全に立脚した、強烈な党派性にある。この党派性は、したがって圧倒的な大衆性と一体である。
(5)また今春闘が実践的に突きつけた結論は、青年労働者の獲得の死活性である。そこでの歴史的飛躍へ果敢な挑戦を開始しよう。
 これらの課題を不屈に推進することで、「社共に代わる労働者党」への飛躍を何がなんでもかちとらなければならない。そのためには全党の革命的自己変革と、そのひたむきな実践が一切である。

 国労の階級的再生へ国鉄決戦の大前進を

 最後に国鉄決戦の重要性を再度強調しておきたい。
 4−6月有事立法粉砕決戦への突入は、階級的労働運動の砦としての国鉄決戦の位置をあらためて明確にさせている。国鉄決戦は、日本労働運動総体を巻き込んだ巨大な分岐・分裂、流動・再編の大決戦に突入した。国労は、今や中間的選択の余地など微塵(みじん)もない非和解的激突の中にある。いよいよ今年、分割・民営化以来、そして一昨年5月30日の4党合意以来の「決着」をつけるべき時が訪れている。それはもはや、一切の後戻りや先送りはありえない。
 この決戦は、戦後最大の階級決戦である有事立法決戦と一体であり、大失業と戦争の攻撃の中で、相互規定的な攻防となっている。
 日帝権力・JR資本、JR総連カクマルの第2の分割・民営化攻撃、さらに4党合意などの反革命攻撃は、まさにその反革命性ゆえに国鉄労働者の根底的な総決起、総反撃を必ず呼び覚ます。これらの大反動は、国鉄決戦の前進こそが引き出したものである。闘いの主導権は完全に闘う翼が握っている。国鉄決戦はついに歴史的勝利の段階を迎えていると言っていい。
 何よりも、動労千葉・動労総連合のストライキ決起は、JR東日本のベアゼロ攻撃と東労組カクマルのそれへの屈服に対するすさまじい弾劾・反撃となり、JR体制の根底的瓦解(がかい)を促進させている。
 とりわけ東労組・松崎カクマルは、ベアゼロ妥結の裏切りを直撃したストライキに大打撃を受けている。東労組東京地本は、ベアゼロ妥結直後の4月2日に緊急の地本委員会を開き、カクマル分子・石川の委員長辞任を決めた。しかも、その理由たるや、995年9月に旧鉄労系役員が大宮で「秘密会談」を開いたことを「不問に付す」とした、6年も前の大会決定が誤っていたからだというのである。東労組カクマルは、ベアゼロに対する傘下組合員の怒りを、「組織破壊攻撃を許すな」などという恫喝で抑えつけることに躍起となっているのである。JR総連解体・打倒の決定的チャンスが到来したのだ。
 国鉄決戦をめぐるこうした戦略的力関係の転換のもとで、4月16日の国鉄闘争共闘会議結成集会は大成功し、1047人の解雇撤回実現へ火柱を上げた。国労を死滅に導く国労本部=高嶋・寺内執行部、残存チャレンジ、反動革同、東京地本・酒田一派を打倒し、闘争団を先頭に国労の階級的再生をかちとる一大決戦が開始されている。
 国労本部、チャレンジ、革同、酒田ら反動どもは、4党合意が全面破産する中で、絶望的あがきにのたうち回っている。鉄建公団訴訟原告団への生活援助資金打ち切りなどの手段で闘争団・1047人闘争を一刻も早く解体しようと、見境のない攻撃にただただのめり込んでいる。彼らは4党合意の破産で一切の展望を失い、権力・資本に国労と国鉄闘争を売り渡すことにすべてをかけようとしているのだ。この極悪どもの存在を一時も認めることはできない。打倒あるのみだ。
 闘争団・家族を先頭とする闘う国労組合員は、「生きる糧(かて)を奪うなら闘いを糧にする」として、15年間の闘いで培った不抜の団結を必死に守り、反撃に立とうとしている。今こそ1047人闘争の発展を切り開き、JR本体の国労組合員の階級的組織化を推し進めなければならない。
 4党合意撤回地労委闘争は、大阪、福岡地労委で自民党・甘利明の証人採用をかちとった。この闘いは有事立法・戦時司法攻撃下の大資本攻勢そのものである労働委員会制度解体と真っ向から対決している。それは国労再生の今ひとつの決定的なテコである。
 何よりも国鉄労働者は、有事立法粉砕決戦の最先頭に立たなければならない。有事になれば、JRは真っ先に軍事輸送に動員される。陸・海・空・港湾労働者の先頭に立つべき国労の総決起を実現し、国労再生への道筋を死力を尽くして押し開こう。
 階級的労働運動の防衛と再生へ、さらに不屈の前進をかちとろうではないか。

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週刊『前進』(2052号2面2)

イタリアでゼネスト 1300万が決起 労働法改悪に反対

 4月16日、イタリアで1300万人による全1日8時間のゼネストが貫徹された。2300万労働者の過半数が参加した。
 このゼネストは、労働法制改悪反対を掲げ、3大ナショナルセンターの伊労働総同盟(CGIL)、伊労働組合連盟(CISL)、伊労働同盟(UIL)の労働者計1100万人が総決起、独立系労組もともに闘った。全国で300万人が集会とデモに参加し、ヨーロッパ各地でも連帯行動が取り組まれた。
 16日早朝からバス、地下鉄、航空路など交通機関が全面ストップし、官公庁、金融機関や工場、学校などが終日閉鎖され、テレビはニュースのみを短く放送し、新聞は発行されないなど、社会活動は全面ストップ。政府・ブルジョアジーに大打撃を与えた。

 解雇許さぬ闘い

 昨年5月の総選挙で右派連合「自由の家」が勝利して誕生したベルルスコーニ政権は、労働者支配の転換を狙って資本攻勢を激化させてきた。
 イタリアでは、労働運動の勝利の結果1966年に解雇規制法が成立、それが70年制定の「労働者憲章」に第18条として組み込まれた。それは、@解雇に反対の労働者は労働裁判所に解雇無効を訴えることができ、その場合企業に「解雇正当」の立証義務がある、A解雇無効の決定が出ると、企業は労働者を復職させ解雇時点にさかのぼって賃金を補償しなければならない、という徹底したものだ。この解雇規制法をも根拠に、イタリアの労働者階級は事実上「終身雇用制」ともいえる地平をかちとってきた。
 29年型世界大恐慌過程の進行に追い詰められたイタリア帝国主義は、日帝と同じように、派遣労働や短期雇用の拡大など不安定雇用化の攻撃を強めてきた。さらにベルルスコーニ政権は昨年10月、労働者憲章第18条の部分的停止の提案を行った。3大ナショナルセンターはこれを「終身雇用制」解体攻撃の突破口として受けとめ、全面対決方針を打ち出した。このゼネストは、ベルルスコーニ政権のアフガニスタン・中東侵略戦争参戦への反撃であり、パレスチナ反戦闘争としても闘われた。

 反テロに屈せず

 イタリアでは、労働法制改悪の立て役者と呼ばれた福祉労働相の政策顧問、ビアジ・モデナ大学教授への「赤い旅団」によると言われる赤色テロルを口実に、政府の「反テロ」キャンペーンが吹き荒れている。だが、労働者階級はそれにひるまず、怒りに燃えて決起した。
 日本の労働者階級もイタリアの労働者階級と連帯し終身雇用制解体攻撃に反撃しよう。72時間ストライキを打ち抜いた動労千葉を先頭とした闘う労働運動の新潮流こそが、世界の労働運動の主流派なのだ。

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週刊『前進』(2052号3面1)

敷地内天神峰 市東孝雄さんは語る この地で農業を続け闘う
 許せないジェット噴射 騒音と排気ガスの攻撃

 三里塚闘争の最前線で闘う市東孝雄さんに、暫定滑走路開港後にお話をうかがった。市東さんの宅地と畑が空港敷地内に食い込み、「へ」の字の誘導路などの欠陥空港を強制している。国家的テロというべき暫定開港に対して、市東さんの怒りと決意はいよいよ強い。(編集局)
●焼けたようなにおい
 日本の航空会社のジェット機がうるさいよ。全日空が一番うるさい。日本の航空会社のジェット機の方が大きいのを飛ばしているのかな。ジェット機の騒音はYS11とは全然違う。
 ジェット機が誘導路の信号で止まっている時と、北へ向かって離陸でエンジンをかけ直す時があるが、その時の排気ガスと騒音がすごいですね。排気口が家の方を向いているから。排気ガスはにおいますね。夏はすごいんじゃないか。焼けたようなにおいがする。
 東峰(滑走路の南端)の方は着陸時の金属音のような騒音で、こっち(市東さん宅)は重く沈んだような轟音(ごうおん)が続く。騒音の持続時間も長い。自走と離陸、着陸と3回あるから。
 市東さん宅を直撃する航空機騒音は最大値で100 を超えた。その騒音量は列車通過時のガード下並みだ。測定器のグラフを見ると、離陸時のエンジン発進音や着陸時の逆噴射音など航空機騒音独特の騒音ピークが形成される。3月18日開港日の17時間でのピークは約160回。特に騒音のピーク時の十数秒はテレビの音は聞こえず、会話もできない。
 18日の暫定滑走路の開港以来、A滑走路の離着陸が少ないような気がする。暫定滑走路使用の実績をつくるために、暫定滑走路で飛ばせる飛行機は全部持ってきているのではないか。ある程度はこっち(暫定滑走路)を使わないといけないという考えだろうけど。
 公団はかつて「猫の額ほどの土地しかないから、いつでも追い出せる」と公言してきた。ところがその「猫の額ほどの土地」のために誘導路は「へ」の字になり、家の立ち木で死角になっている。無理やりはめ込んだ滑走路だ。
 これから日数がたてばニアミスや事故がありそうだ。少し操作を誤ればどうなるのか。天気もいつも晴れではない。雨や霧の日もある。冬には凍結もある。慣れれば油断もでてくる。
●「なぜ頑張れるのか」
 マスコミは私たちに「(暫定開港で)困った」と言わせたかったようですが、まったく逆の答えにびっくりしていた。飛行機が目の前で飛んでも、なぜ頑張れるのか、なぜここまで闘うのか不思議なのかも知れない。国に何か言うことないですかと聞かれたが「何もない」と答えた。
 孝雄さんは、敷地内・天神峰の唯一の反対派だった父の東市さんが99年に亡くなってから、勤め先を辞め、天神峰に戻り、父の遺志を継いで農業を始めた。不屈の闘魂は、敵・公団に決定的な打撃を与えている。
 公団は今度は北へ300b延長してジャンボジェット機を飛ばすと脅しを言ってますが、東峰の人を残してやったら、血みどろの闘いになりますよ。もうこれ以上やったらなんかなりますよ。
 読売新聞は社説で「国民的迷惑」「法的手段」などと主張している。国会に提出された有事法制では、戦争に必要な飛行場は強制的に提供しろとなる。読売の言う「法的手段」は、今の土地収用法では、事業認定も失効し三里塚では通用しない。だから成田治安法のように新しい法律をつくれと言うことです。読売新聞がああいうことを言い出すのも、世の中が有事法制の雰囲気だからではないか。
●戦争をやるための空港
 有事法制で、自衛隊がいつでも戦争をやれるようになれば、軍事空港が必要になる。若い人が戦争に駆り立てられる。昔も「天皇陛下万歳」で死んだわけではなく、当時の日記などを読むと「死にたくない」と思いながら死んでいった。
 「戦争に反対するから土地は売らない」と言い続けた東市さんの気持ちを今、孝雄さんは共有している。
 (この闘いは)自分の生き方として決めたことだから今後も闘い続ける。ここで生活もできる。何もないわけではなく、ここには畑や家、生活の基盤がある。出て行く気はまったくない。「成田空港絶対反対」と書いた看板ができた。短時間でよくできた。飛行機から見えているでしょう。
 営農と生活を暴力で破壊する極限的な攻撃と真っ向対決して闘う市東孝雄さんを全国の労働者人民の力で支援し、ともに闘おう。

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週刊『前進』(2052号3面2)

陸自ゲリラ・コマンド部隊のパレード反対! 佐世保闘争に立つ

 3月29日に陸上自衛隊西部方面普通科連隊が相浦駐屯地(佐世保市)に新設された。全国から選抜された約660人で編成され、主にヘリコプターで出動、対戦車誘導弾や迫撃砲、小銃で武装した有事即応の機動力が特徴だ。同連隊は「ゲリラ・コマンド部隊を配する精強部隊」(陸自西部方面総幹部)であり、米軍のグリーンベレーなどに相当する侵略戦争の「殴り込み部隊」だ。同連隊新設は佐世保が米日帝の中国・朝鮮侵略戦争の出撃基地として全面強化されたことを意味する。
 この西部方面普通科連隊が小銃を携える隊員300人の市中パレードを計画した。激しい抗議の声があがり「小銃」は撤回したが、迷彩服で市中パレードを強行するという。許せない。
 パレード当日の4月21日午前、佐世保市浜田公園には国労を始め全港湾、市職労、全水道、県教組、都市交、全国一般など130人が結集し、「自衛隊の市中パレードに反対する佐世保地区集会」が開催された。九州大学の学生を始め反戦共同行動委員会も現地闘争に決起した。
 集会後ただちに四カ町アーケードのデモに出発。自衛隊の家族が「旭日旗」を配り歓迎式典を準備している。デモ隊は「陸自の市中パレード弾劾、有事立法阻止」を訴えた。

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週刊『前進』(2052号3面3)

暫定開港弾劾で反対同盟が声明

 三里塚芝山連合空港反対同盟は4月18日、成田空港暫定滑走路開港に際し、以下の声明を発表した。(編集局)
 三里塚芝山連合空港反対同盟は、暫定滑走路の開港を心底からの怒りをこめて弾劾する。
 開港の今日から、民家上空40bをジェット機が飛び、50b先の誘導路からジェットブラスト(ジェット噴射)が民家を直撃する。住民の命と生活を脅かすこうした暴挙は断じて許されるものではない。
 その上に一昨日、国土交通省と空港公団の複数の関係者によって「暫定滑走路の北側延長計画」が暴露された(読売新聞)。「反対運動を続けるなら、北側に延長し、頭の上を大型ジャンボが飛ぶぞ」と脅迫している。
 すべての人々に訴える。この暴挙を直視して欲しい。誠実に生きる農家を脅迫し、移転を迫っている。北側飛行直下の住民の苦しみなど考えもしない。これこそ、36年間変わることのない農民殺しの姿である。
 だが、北側延長計画は机上の空論である。エプロンと暫定滑走路を結ぶ現行の連絡誘導路は、未買収地によって狭められジャンボ機の通行は不可能である。滑走路の東側に新たに誘導路をつくって解決するとうそぶいているが、滑走路延長先を横切る危険きわまる誘導路など世界に例がない。安全性を無視して東側に計画しても、反対同盟員の畑があるため一本だけの交互通行である。
 しかも、暫定滑走路の現状は欠陥だらけである。誘導路が「へ」の字に曲がり、本来の着陸帯には巨大な穴があるために、着陸帯は国際基準の半分になった。誘導路の三分の二が管制塔から見ることができない。南側進入表面を突き出す立木がある。
 運行上の深刻な制約と重大事故の危険がともなう暫定滑走路の、北側延長など論外なのである。
 暫定滑走路の開港と、開港直前に現れた「北側延長計画」は、反対同盟と敷地内農家を追い出すための脅迫である。いったい国は、これまで何度農家を脅迫してきたことか。そして何度、破産を繰り返したのか。これが国家のする事なのか。
 反対同盟は一切の「話し合い」を拒否する。開港による追い出し攻撃を粉砕し、これまでどおり農業を続けていく。南北両方向への延長を実力阻止し、平行滑走路を最終的に破綻させる決意である。
 東峰部落は東峰神社立木伐採の暴挙に対して原状回復を求める裁判を起こした。生活と権利、社会的正義は守られなければならない。
 空港反対同盟は全世界の航空会社に訴える。36年間一歩も引くことなく闘ってきた三里塚の農民は、さらに100年間闘い抜く。暫定滑走路は重大な欠陥を固定したまま永遠に完成しない。「平行滑走路完成」は国交省と公団のデマであり、無意味な乗り入れ申し入れは即刻取りやめることが賢明である。
 最後に、イスラエル・シャロン政権によるパレスチナ人民虐殺を徹底弾劾する。パレスチナ人民のやむにやまれぬ闘いを全面的に支持する。三里塚は反戦・反核−反権力の砦(とりで)であり、有事立法と鋭く対決する闘争拠点である。反対同盟は戦後最大の資本攻勢と闘う労働者人民とともに、小泉内閣の有事立法−改憲攻撃粉砕の闘いに総決起する。
 2002年4月18日
 三里塚芝山連合空港反対同盟

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週刊『前進』(2052号3面4)

対角線 強権発動叫ぶ読売社説

 自民党政府・資本家どもは、敷地内農民が不屈に闘い続けていることに大打撃を受け、追い詰められて反動的なキャンペーンを始めた。
 暫定開港前日の4月17日付読売新聞は「用地への居座りは国民的迷惑だ」という恥知らずな社説を掲載した。「個人の利益と公共の利益が対立したとき、個人の利益にはおのずと制限が加わる」「代替農地も用意されている以上、居座りは国民的迷惑」。そして、結論はこうだ。「そろそろ法的手段による解決を検討すべきである」と。
 朝日新聞も16日付社説で「一人でも反対者がいると空港ができないとは尋常ではない」と、農民を非難した。
 盗っ人たけだけしいとはこのことだ。読売と朝日は、国家権力の36年間にわたる、暴力と札束、暴虐の限りを尽くした農民圧殺の歴史を一言も語らないで、この国家の暴力を全面的に擁護している。そして、農地強奪と軍事空港建設に反対し、人民的正義を貫いて闘う農民の存在と闘いに打撃を受けて、暴力団まがいの脅迫を始めたのだ。
 彼らは、「地権者の合意なき滑走路建設は行わない」とした国交省の確約(94年円卓会議)を「画期的」と絶賛した連中である。それをも踏みにじって地上げ屋まがいの追い出し攻撃をかけるのが正当なのか、答えてみよ。このご都合主義ははあまりにも無節操だ。
 だが、「法的手段を」などというのは敵の手詰まりの自認だ。収用委員会は解体し、事業認定はとっくに失効している。成田治安法でも収用することはできない。いかなる脅迫にも負けない不屈の敷地内農民の存在が国策を阻んでいる。このことに権力とマスコミは打撃を受けているのだ。
 「公共の利益」を振りかざして、国策に抵抗する人民を「迷惑」と攻撃するのは、今出されている有事立法の論理そのものだ。読売社説は゛抵抗しても強制的に取り上げろ″と有事立法と同じことを言っている。
 かつて国策に沿って「聖戦」の旗を振り、帝国主義の侵略戦争に協力・加担したことへの新聞人の反省はどこに行ったのか。いま再び、同じことが問われているのではないのか。
 無反省に戦争の旗を振る読売、朝日の論説委員よ、恥を知れ。 (N)

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週刊『前進』(2052号3面5)

自衛隊占領許すな 忍草農民が国会座り込み

 北富士の忍草国有入会地守る会の天野重知会長と、忍草母の会の天野美恵事務局長、大森ふじえさんが4月22日、有事立法反対と、入会地奪還を訴えて、国会前で座り込みと街頭宣伝を闘いぬいた。(写真)
 「草こそ命/入会生涯」ののぼり、「自衛隊の入会地武力占領反対」の横幕には、自衛隊への強い怒りとともに、イスラエル軍と闘うパレスチナ人民への熱い思いが込められている。
 座り込みに、多くの人びとが注目し激励を寄せた。婦人民主クラブ全国協議会の会員がともに闘った。

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週刊『前進』(2052号3面6)

反治安法のうねりを 組対法反対2団体主催 全国集会とデモ

 4月20日、「参戦国家化=有事立法制定反対/破防法・組対法・盗聴法大改悪許すな/結社禁止法(国際的組織犯罪条約)・カンパ禁止法(テロ資金供与防止条約)新設阻止全国集会」が東京・豊島区民センターで行われた。
 主催は破防法・組対法に反対する共同行動と組対法に反対する全国ネットワークの2団体。全国各地から146人が参加した。集会は「新たな戦争を正面に据えて、改憲策動にまで一気に走ろうとする攻勢に対して、大きな戦線を共に形成すべき人々との出会いを積み重ねる」(基調報告)ことを呼びかけ、「反治安法の大きなうねりを創りだす」ことを大胆に宣言した。「傍観者」となることを拒否して闘う決意にあふれたすばらしい集会だった。
 立川テント村の大洞俊之さんが連帯のあいさつを行った。「いかなる戦争も自衛と称して行われてきた」という憲法制定時の吉田茂首相の国会答弁を紹介し、小泉政権の有事立法攻撃を批判した。千葉学校合同労組の渡壁隆志さんは、千葉の小学校での校長と警察が一体となったデッチあげ「傷害事件」弾圧での1年2カ月の実刑判決を弾劾し、冤罪を晴らして闘いぬくことを訴えた。
 基調報告に立った小田原紀雄さんは、広河隆一さんのパレスチナ現地報告を紹介し、「大地にはいつくばって生きてきた人びとの未来が、軍事力の前にはかなくも崩壊しようとしている。事態を傍観することはできない」と呼びかけた。有事立法阻止の帰すうは「広範な民衆の闘いにかかっている」と訴えた。さらに今国会に提出される「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律案」(カンパ禁止法)の問題点を明らかにして、制定阻止闘争の方向性を提示した。
 「有事立法と労働者の団結権」と題して、早稲田大学名誉教授の佐藤昭夫さんが講演した。佐藤さんは、有事立法は参戦国化・戦争動員法だと弾劾し、国民の権利がまったく無視されることを徹底的に暴露した。そして憲法無視から明文改憲へと動き始めている有事立法の制定を絶対に阻止しようと訴えた。さらに「労働基本権は労働者の犠牲を重ねた実践によって踏み固められたもの」であると、団結は労働者自らの力でつくりあげるものだと強調した。
 破防法・組対法反対闘争をともに闘ってきた鳥井電器外国人労働者解雇撤回争議の仲間への刑事弾圧を粉砕する特別アピールが行われた。続いて保安処分新設反対を闘う「障害者」と司法改革に反対する弁護士の遠藤憲一さん(憲法と人権の日弁連をめざす会)が連帯のあいさつを行った。遠藤さんは「治安立法攻撃と司法改革とはセット。司法改革絶対反対で闘いぬく」と決意を語った。
 福岡、大阪、静岡、仙台の各地での闘いが報告され、最後に主催者の決意表明、カンパ禁止法と2003年結社禁止法制定反対の広大な組織を築きあげようとの行動提起が行われた。
 集会後、参加者は警視庁の不当なデモ規制と対決して、人出でにぎわう池袋の繁華街を南池袋公園までデモ行進し、有事法制と一体となった治安法弾圧攻撃と対決して、労働者の団結と自由を守りぬく闘いの歩を確実に進めた。

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週刊『前進』(2052号3面7)

沖縄市長選闘争を出発点に新たな沖縄闘争高揚へ
 革共同沖縄県委員会

 (1)

 2月名護市長選挙に引き続き、沖縄の闘いの今後を大きく左右する重大選挙であった沖縄市長選挙は4月21日に投開票が行われた。桑江テル子候補は、仲宗根・現市長に4488票及ばなかったが、22930票を獲得して大健闘した。
 われわれは沖縄市の心ある労働者人民と固く連帯し、桑江テル子氏の当選を目指し全力あげて闘い抜いた。選挙における勝敗は当落以外にはない。だがわれわれは、この選挙戦の全内容の中に貫かれる沖縄の労働者階級人民の新たな階級的胎動をはっきりと勝利感をもって見てとることができる。
 この選挙戦を必死で闘い抜いた人びとの中には、「もう少し時間があれば」「後一歩だったのに」という残念さは当然あるとしても、敗北感や落胆などはまったくない。
 21日夜、選挙結果が確定した後の選対本部には多くの市民・住民がかけつける中、桑江テル子氏の「これからも平和、共生、人権のために闘い続ける」という断固たる決意の表明を始め、多くの人が、この選挙を闘い抜いた誇りと、ここから新たな闘いを始める出発点だということを強調した。

 (2)

 このたびの沖縄市長選挙の最大の総括点は何か。それは何ものをもってしてもけっして圧殺することのできない沖縄人民の誇りと日本帝国主義に対する奥深い人間的怒り、階級的底力を示したことである。さらにここを土台として、名護の闘いを引き継ぎ、1995年の沖縄の「新たな人民反乱」へのSACO路線的大反動を食い破る沖縄の労働者階級人民の力強い胎動が確実に始まっていることを示したということである。
 今回も2月名護市長選挙同様、日帝・稲嶺体制の全面的バックアップによる現職市長の「万全」の選挙体制の前に、これと対決する既成政党による候補者選定が大混乱し、投票日一カ月前にやっと立候補者が決定するという厳しい選挙であった。既成政党の崩壊状況により候補者が立てられず、投票日がさし迫って不戦敗の危機すら現実化する中で、沖縄市民の利益、沖縄人民全体の未来のためにすべての困難、悪条件を引き受けて桑江テル子氏が立候補の決意をされた。その決意と必死の訴えは、多くの労働者、市民の心をとらえていった。
 屈服に屈服を重ね、後退と衰退の度を速める既成左翼にとって代わる闘う新たな指導部の登場を人民大衆は求めている。その渇望が桑江テル子氏という最良の候補者を実現させた。桑江氏が登場することにより、とりわけ沖縄の戦後反基地闘争、労働運動の本拠地である中部、沖縄市の労働者人民の力強い行動が巻き起こり、最後は仲宗根陣営の心胆を寒からしめるところまで追い詰めていった。

 (3)

 9・11情勢と米帝・ブッシュの世界戦争戦略の発動、日帝・小泉の有事立法攻撃、戦争と恐慌の時代の到来は、ますます沖縄人民への犠牲を集中している。沖縄の労働者人民の怒りのマグマは出口を求めて圧縮度を高めている。95年の決起をはるかに超えるような闘いの爆発は不可避であり、その時は急速に近づいている。
 「復帰30年」の沖縄の現実は、72年返還体制=5・15体制の破綻(はたん)と表現できる。こうした情勢を沖縄の労働者人民の側から主体的にとらえ返すならば、「沖縄イニシアチブ」論でいう沖縄人民の奴隷化、侵略の先兵化の道か、それとも日本帝国主義にとことん対決し抜き沖縄人民の自決=自己決定権を貫き通す道か、以外にはない。そして、沖縄の労働者人民が前者の道を唯々諾々と受け入れることなどありえない。すなわち1995年を質的にも量的にも上回るような階級的激突に必ずなるのである。
 今次選挙において仲宗根陣営は名護の市長選挙同様、選挙違反の不在者投票と投票率の低さで勝つ戦略をとり、街全体が熱くならないよう宣伝をしないというやり方をとった。あきらめと無関心を最大の基盤として選挙をやる、政治をやるというやり方が長く続くわけはない。大田知事敗北以降の沖縄の反動期とは、ソ連スターリン主義の崩壊と世界史の大転換、戦争と大恐慌の時代の到来、こうした情勢に規定された既成左翼の急激な崩壊、およびこれにとって代わる党と指導部の未形成という条件の中で起こっている状況なのである。それは必ず主客双方から打ち破られる。そして名護市長選挙、今回の沖縄市長選挙をもって、そうした新たな階級闘争のうねりが始まったのである。
 破綻した5・15体制をより屈辱的な差別支配体制でのりきるテコにしようとする日帝・稲嶺体制の「復帰30周年」式典粉砕決戦を、有事立法絶対阻止とひとつの闘いとして総決起しよう。名護新基地建設阻止、那覇軍港の浦添移設阻止へ闘い抜こう。必ず訪れる巨大な階級決戦に身構え、準備し、その勝利のカギをなす真の労働者党と大衆的指導部の建設に全力をあげよう。

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週刊『前進』(2052号4面1)

「米経済は回復」のウソ暴く 超バブルの全面崩壊と恐慌の激化は不可避だ
 世界戦争へ突き進む米帝倒せ
 秋月丈志

 アメリカ帝国主義・ブッシュ政権は、パレスチナ人民を先頭とする中東・アラブ、イスラム諸国人民の闘いに追いつめられつつも「対テロ戦争」をますますエスカレートさせ、世界戦争への道を突き進んでいる。アメリカ帝国主義を戦争へ戦争へと駆り立てているものは、90年代以来の超バブルが崩壊し、アメリカ大恐慌=世界恐慌の爆発過程が開始されているという現実にほかならない。

 恐慌対策で消費バブル引き延ばし

 01年10―12月期の米経済成長率が「予想外の」プラスとなり、今年に入ってからも消費が堅調なことなどから「米経済は急速に回復に向かっている」と宣伝され、4月20日のG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の場でも米帝はしきりにそのことを強調した。しかし実態はとてもそんなものではない。
 この間の米経済の「回復」とは、9・11直後の急激な落ち込みからの一定の反発と官民総掛かりで実施された恐慌対策としての消費バブルの引き延ばしによってつくられたものだ。
 米帝経済は2000年のハイテクバブル崩壊から急速に景気後退を深め、01年半ばには明白に恐慌過程に突入し始めた。そこに9・11の一大衝撃が加わった。まさに米帝支配階級は体制崩壊的な「死の恐怖」に直面し、なりふりかまわぬ恐慌対策を次々と発動した。
 FRB(米連邦準備制度理事会)は政策金利を実質ゼロの水準まで急低下させた。年頭からの下げ幅が4・75%にも達した金利の大幅引き下げは、住宅販売と住宅ローンの借り換え(注)をさらに促進し、株バブルの崩壊をかなりの程度まで補った。耐久財消費の4割を占める自動車販売には政府が直接介入し、ゼロ金利ローンやキャッシュバックで収益無視の販売促進策を行わせた。小売店でも大々的な値引き販売が行われた。
〔注 ホームエクイティ・ローン。要するにバブルで値上がりした持ち家の評価益を担保にして借金額を増やすこと。〕
 しかし当然のことながら、いつまでも消費拡大を引き延ばし続けることはできない。消費の伸びの勢いは確実に鈍化している。自動車・同部品は3月には前月比でマイナスに転じた。
 さらに減税や景気対策費の支出、「対テロ戦争」の戦費・軍事費の拡張で財政が急激に悪化(01年10月―02年9月の6カ月間の累計財政収支は1336億5000万jの赤字)したために長期金利が上昇してきた。長期金利上昇は、債務返済負担を増加させ、住宅金融バブル、消費バブルを最後的に崩壊させる。
 結局、消費バブルの強引な引き延ばしは、家計債務の空前の拡大と需要の先食いをもたらして、今後の恐慌過程をより激烈なものにすることになったのだ。

 空前の過剰設備・過剰債務

 消費の「堅調」は、結局は消費財輸入の拡大=貿易赤字の拡大をもたらしているだけで、米国内の生産・投資の拡大にほとんどつながっていない。設備投資、設備稼働率は大きく落ち込んだままである。01年10―12月期の設備投資は13・8%減、製造業の設備稼働率は70%台(80年代初めの水準)での低迷がすでに1年以上続いており、回復する兆しはない。1―3月期の企業決算も下方修正が相次いだ。こうした中で企業は引き続き大規模なリストラを継続しており、3月の失業率は5・7%と前月比で0・2ポイント上昇した。
 バブル期に米国内の設備投資拡大を主導したのは半導体、通信部門を中心とするハイテク関連であった。ここでの過剰設備・過剰債務の積み上がり=過剰資本・過剰生産能力こそが、いま米帝経済を万力のように締め上げているのだ。
 米通信業界は、株価の高騰を背景に膨大な投資資金をかき集め、97―00年の3年間に実施した設備投資額は2700億j(30数兆円)にも達した。その多くが光ファイバー網の敷設に使われた。米国中に張りめぐらされた光ファイバー網の総延長は地球1600周分の6400万`メートルにもなったが、稼働率はいまだわずか5%、地球1520周分が遊んでいる状態だ。2700億jも投資して収益はほとんどゼロ、株は大暴落し(ナスダック通信関連株指数は00年3月の高値から85%も暴落)、資金は高い利子を払わなければ集まらない。しかも通信などハイテク関連部門の需要の過半を占めてきた企業のIT投資がいっこうに回復しない。これでは債務が雪だるま式に増えるのは当然で、昨年までの4年間でアメリカの通信業界は5100億j(約66兆円)も負債を膨らませている。
 さらに通信業界を始めとするハイテク関連企業には、空前の過剰設備・過剰債務の上に、バブル期に展開したM&A(企業合併・買収)を通じてのつけが回ってきている。ハイテク関連企業は、バブルで高騰した自社株を買収資金の代わりに使って高値で企業の買収を繰り広げ、業務規模を拡大することでさらに株価を上げた。しかしバブル崩壊で買収した企業の価値も激減、膨大な評価損を出すことになったのだ。米通信大手のクエスト・コミュニケーションズやワールド・コムはM&Aがらみでそれぞれ2〜4兆円もの巨額の評価損を計上している。
 このように米帝の超バブル経済を「演出」してきた通信・ハイテク関連部門は惨たんたる状況にある。そしてハイテクバブルで一定程度隠ぺいされてきた自動車、鉄鋼などの基幹産業部分の過剰資本・過剰生産力状態もあらわになり、保護主義が高まっている。こうした全産業的な過剰資本状態を「解消」することなどまったく不可能である。

 エンロン社が示す米大企業の総腐敗

 現在の米帝経済において決定的な事態は、エンロン破綻(はたん)を機にバブル期の様々な不正・腐敗が露呈し、米帝経済の虚像が引きはがされてきていることだ。(別掲参照)

 全て粉飾会計

 1985年設立の新興企業・エンロンは、政権中枢と結託し、規制緩和・民営化の流れにのって急成長した。94年に電力が自由化されると真っ先に電力卸売市場に乗り込み、エンロン・オンラインという企業間のインターネット取引市場を開設した。エンロンは、電力・原油・天然ガスなどの「エネルギー商品」だけでなく、紙パルプ、鉄鋼、化学などの原料、タンカー運賃、光ファイバーケーブル利用権、果ては「地球温暖化問題」にからんだ二酸化硫黄の排出権など千品目以上もの「商品」の売買を、様々な金融技術を使って無数にくり返し、ばく大な値ざやを稼いできた。要するに政権と結託して公共部門を民営化させて食い荒らし、インターネットをとおして社会の富を吸い上げる「寄生虫」のような企業として肥え太ってきたのだ。
 一方、エンロンは全世界で電力・石油・ガスなどのエネルギー開発・生産・輸送・販売の事業拡大を大々的に推し進めた。それは米帝のエネルギー政策・世界支配戦略と一体化したものであり、中央アジアの天然ガス・石油を送り出すアフガン経由のパイプライン事業にもかんでいた。南米では住民運動を徹底弾圧して熱帯雨林破壊のパイプライン建設を強行している。
 こうした世界的な事業拡大はばく大な設備投資資金を必要としたが、エンロンはこの資金をバブルで高騰し続けていた自社株を担保に借り入れようとした。しかしエンロン本体の借入が増えると財務体質の悪化を懸念されて株価が下落する。そこでエンロン本体には連結しない多数の「特別目的会社」をつくり、その簿外金融取引で資金を調達したのだ。こうしてエンロン本体は「事業は好調で、借金も少なく財務は健全」と評価され(「コーポレート・ガバナンス優良企業」として表彰!)株価はさらに上がり、資金もますます集まる状況がつくられた。
 しかしすべては見せかけだった。バブル崩壊で担保の株が下がり始めるといくつもの特別目的会社の資金繰りはみるみる悪化、ついにその巨額損失は隠せなくなった。こうしてエンロンは一気に信用を喪失し、1000億j以上という空前の負債を抱えて破綻したのである。
 このエンロンの不正会計操作には巨大会計事務所アンダーセンが関与していたことも明らかになり、企業会計への不信が一気に広がっている。エンロンから膨大な賄賂(わいろ)をつかまされてきた米政権中枢もそうした不正や水増しを合法化することに手を貸してきた。例えばエネルギー関連会社に将来入ってくる「はず」の利益を現在に算入する会計操作を認めた米国財務会計基準第133号は、エンロンの関与によって制定された。ブッシュ政権は「エンロン漬け」と呼ばれるほどで最後までエンロンを擁護してきた。
 エンロン事件に端を発した米企業の会計不信はIBM、ゼロックス、GEといった巨大企業に次々波及している。また証券会社アナリストたちの企業分析のでたらめさも明白となり、今や市場は疑心暗鬼が渦巻いている。「世界一の公正さ」を誇ってきた米企業会計に対する信用は根底的に崩壊した。このことは今後、バブルの最後的崩壊を加速していくものとなる。

 不良債権問題

 エンロンのような企業を支え、バブルをあおりたててきた最大の張本人は、米帝金融資本の中枢をなす巨大銀行である。そしてこの米帝金融資本の中枢部においてこそ、恐慌過程が最も深く鋭く進行している。
 米大手銀行はバブル期に通信・ハイテク関連企業に膨大な貸付を行ってきた。しかも00年春のネットバブル崩壊後も、通信・ハイテク関連企業への融資を大幅に増やした。日本の銀行が「濡れ手であわ」のぼろもうけの味を忘れられず、不動産・ゼネコン関連に膨大な貸出を続け、不良債権の山に埋もれたのとまったく同じ構図である。不良債権を増大させた各銀行は、融資先を絞り込まざるをえなくなり、貸出は急速に減り続けた。そのため短期金利が1・75%という実質ゼロの水準まで引き下げられたにもかかわらず、企業の資金調達は困難になっている。多くの企業が金利が割高の長期の社債市場での資金調達を余儀なくされているのだ。この「金融緩和下での金融逼迫(ひっぱく)」という状況も、バブル崩壊後の日本と同じである。米経済もすでに信用収縮の入り口に入っているのだ。
 こうした中で過剰設備・過剰債務にあえぐ通信業界が息切れし、倒産が続出するようになると、米銀の不良債権問題が一気に噴出し、必ず金融危機が発生する。しかも問題は企業の過剰債務だけではない。アルゼンチン危機の爆発もある。だが、さらに重大なのは、株式と並ぶ今ひとつの巨大なバブル=住宅バブルの膨張の中で増大してきた個人向けの貸出である。
 米銀はハイテクバブル崩壊で企業向けの収益が落ち込む中、今度は金利低下を背景に先に述べたような住宅不動産バブルをあおり、住宅ローンとその借り換えやクレジットカードなどの個人取引部門でもうけを拡大してきた。つまりハイテクバブルのつけを住宅不動産バブルという新たなバブルで補おうとしたのだ。こうした中でクレジット、住宅ローンをあわせた米家計債務残高は史上最大の7〜8兆jにも達している。
 この結果がどうなるかはあまりにも明らかである。今の米銀は自らの傷口に塩を塗りたくっているようなものだ。やがて住宅バブルが崩壊し、膨大な個人破産が発生してくる時(その兆候は現れ始めている)、米銀は壊滅的打撃を受け、米経済は激甚な金融恐慌の爆発に見舞われるであろう。

 海外資金に依存した経済が限界に

 以上のように、米帝の恐慌過程は奥深く確実に進行しているが、何よりも根本的な問題は、海外からの大量の資金流入に依存してきた米帝経済のあり方がもはや完全な限界に達しているということだ。
 図1は、90年代以降のバブルの膨張と対外債務の増大が完全に一体であったことを示している。株価の上昇と経常赤字・対外純債務の増大は見事な対称をなしている。米帝バブル経済は、海外からの資金流入=対外借金の持続的拡大の上に初めて成り立ち得た。そして00年にはなんと世界の資本輸出の64%を米が吸収するという事態になった。
 しかしいかなる国でも永久に借金を拡大し続けることはできない。年間の経常赤字が4000億j超、対外純債務が3兆jにも達しようとしている巨額の借金は、限度を超えている。
 アメリカに向かってばく大な資金が流れ込み続けたのは、米経済が強力であり、圧倒的軍事力をバックに持つドルが基軸通貨として信用され、何より株価が永久の上昇運動をするかのように見えたからだ。しかしバブル崩壊で米経済の虚像がはがれ落ち、米軍事力の不敗神話も9・11以後崩れ落ちる中、巨額の対外債務がクローズアップされてくると、米への資金流入は細り、やがては止まり、ついには大量流出へと転じる時が来る。その時こそドルの大暴落が現実化し、米帝経済が根底的に崩壊する時である。
 すでに最近の外為市場では、米景気回復に対する強気の見方の後退、中東・パレスチナ情勢、財政・貿易赤字の拡大などから、ドル不安が台頭している。

 史上最高の大軍拡で侵略戦争に突進

 米帝は、大恐慌がもたらす国内体制および世界支配の崩壊的危機をのりきるための唯一の「活路」として、「対テロ戦争」という侵略戦争の果てしなき拡大と大軍拡に踏み出した。

 巨利むさぼる巨大軍需産業

 ブッシュは03会計年度の国防予算要求を前年度比15%増の3800億jとした。対ソ対決時代をもはるかに超える史上最高の金額である(図2)。そうした中でブッシュ政権と緊密に結合した巨大軍需産業が、アフガニスタンやパレスチナの人民の血を吸いながら空前の利益を上げている。
 最大の軍需独占体ロッキード・マーチン社は昨年10月、2010年から実戦配備される統合戦闘機(ジョイント・ストライク・ファイターJSF)3000機(2000億j)を受注した。この戦闘機は米空・海軍、海兵隊、英軍が共同で採用するもので、ロ社はさらに同盟国向け輸出などで最大で8500機、総額70兆円以上(日本の国家予算に匹敵!)の売り上げを見込んでいる。研究開発費100兆円以上と言われるミサイル防衛構想の中心を担うのは、ロ社と並ぶ巨大軍需企業・ボーイング社。
 兵器輸出でもアメリカのシェアは60%と突出している。00―01会計年度の兵器輸出総額は553億1200万j、これだけで中国の軍事予算の倍以上ある。全世界に死と破壊をまき散らしている最大の元凶こそ米帝にほかならない。

 軍需で恐慌は回避できない

 この大軍拡が一定程度、設備投資の落ち込みなどを補っているという面もあるが、軍需産業の景気がよくなった程度で恐慌の激化を回避することはできない。世界大的な侵略戦争を拡大し続け、国内階級闘争を壊滅させ、さらに他帝国主義を軍事的に屈服させて世界の市場・資源・勢力圏を米帝の圧倒的主導力で再編することなしに、米帝に「活路」はない。したがって米帝ブッシュは、第3次世界大戦を遂行し勝利することを本気で目指しているのである。これは誇張でも何でもない。あまりにも長く延命しすぎた帝国主義の危機の深さと鋭さを認識するならば当然のことなのだ。
 米帝経済の恐慌突入は、米帝市場に決定的に依存してきた全世界経済を収縮させ、29年型世界大恐慌を現実化させる。極端に収縮した市場をめぐる各国帝国主義の争闘戦は、保護主義と国家間・ブロック間の激しい敵対を再び世界史の前面に押し出す。鉄鋼セーフガード発動をめぐる米帝とEU・日帝の激しい対立はその萌芽(ほうが)だ。この米帝と他帝国主義間の対立は絶対非和解であり軍事的対立へと転化していく。
 日帝・小泉の有事立法攻撃はこの世界戦争と大恐慌の時代への対応そのものである。戦争をやるしか延命できない帝国主義体制の打倒を真っ向から訴え粉砕しなければならない。
 29年大恐慌の1年前、トロツキーはこう書いた。
 「合衆国における大恐慌は、新しい戦争と革命の警鐘を打ち鳴らすだろう。くり返して言うが、革命的情勢に不足することはない。全問題は、プロレタリアートの国際党、コミンテルンの成熟と闘争能力とに、その戦略的立場と戦術的方法の正しさにかかっている」(『レーニン死後の第3インターナショナル』)
 われわれが今迎えているのは、29年大恐慌を上回る帝国主義の激烈な危機である。しかし、どんなに激しい危機もそれだけでは革命にはつながらない。革命に勝利する党の建設を必ず成し遂げなければならない。


 エンロン事件に見る 帝国主義の本質

 エンロンのような金融資本のあり方は、帝国主義段階においては特殊なことではまったくない。まさにそれは帝国主義段階における独占=金融資本=金融寡頭制の本質的・基本的なあり方なのである。
 「貸借対照表(バランスシート)作成の最新の技術は、取締役会がおかした危険を平株主の目から隠ぺいする可能性を与えるばかりでなく、実験が失敗した場合には、主だった利害関係者たちが適当な時期にその持ち株を売りに出すことによって、失敗の責任を逃れることをも可能にする」「貸借対照表を見破られないようにするための手段として、もっとも簡単な、したがってまたもっともしばしば用いられるものは、『子会社』の設立または併合によって、単一の経営を多数の部分に分割することである」。これはレーニンが『帝国主義論』第3章金融資本と金融寡頭制の中で引用しているドイツ「ディ・バンク」誌の1914年の記事だ。
 レーニンは、この他にも金融資本がその寡頭制支配によって「巨額の、ますます増大する利潤を獲得し」「全社会にたいして貢ぎ物を課し」ているその「からくり」、やり口を暴露しているが、そのすべてがエンロンを始めとする今日の金融資本にあてはまる。ただ21世紀まで生きながらえた今日の帝国主義は、その腐敗・不正・横暴・でたらめさにおいて質量ともに、レーニンの時代では想像もつかなかったスケールに「発展」しているということだ。
 このような帝国主義がさらに生き延びるために労働者階級と被抑圧民族が搾取され、抑圧され、虐殺され続ける――こんな世界はただちに根本的に覆されるべきなのである。

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週刊『前進』(2052号4面2)

02卒入学式 「日の丸・君が代」闘争
 “いつか常盤(教育長)をやっちゃろう” 広島 牧野 晴(教育労働者)

 今年の卒・入学式における「日の丸・君が代」強制との闘いは、昨年7月、辰野教育長に代わる文科省人事で広島に派遣された常盤教育長との闘いとなった。
 私たちは「闘うイスラム諸国人民との連帯」「有事立法阻止」へヒロシマからの決起を訴え、「日の丸・君が代」強制徹底抵抗を、職場支配権の確立をかけ、組合員を一人残らず総決起させる決意で闘った。
 攻防は式の最中まで持ち越され、断固たる「着席」闘争を始め、「退場」「年休」「リボン」闘争など、教職員の創意的で戦闘的な闘いが展開され、高校・中学校の生徒たちの着席・退場闘争などが闘われた。
 「卒業式」における闘いに対して3月29日、高校で戒告13人、文書訓告12人、中学校で戒告2人、文書訓告1人の処分が発表された。加えて、組合役員や活動家をつぶし、拠点職場の解体を狙った大規模な不当・報復人事=「処分よりひどい処分」が行われた。
 しかしそのはずが、「うちは、頑張る人が3人も来ちゃったんよ」などと、どこの職場も新しい出会いと再会にわきたっている。
 常盤教育長は卒業式・入学式を前に、「『日の丸・君が代』強制必勝のマニュアル」とも言うべき「指示文書」を密かに配布していた。それには、起立の恐れのある教職員を任務分担で式から排除すること、「起立していない職員に対しては、その場で駆け寄って『起立してください』と周囲の者にも聞こえる声で発言する」「そのために式中断もやむをえない」など笑止千万な細かい指示が70〜80項目も列記されていた。組合員に周知のこととは露知らず、マニュアルどおりにことを運ぼうとした校長たちは、一斉に手痛い反撃を食らった。狼狽(ろうばい)し震え上がり、「職務命令」を乱発し、数々の暴言を吐き、暴行を働いた。
 「死ね!」「出て行け」「転勤願いを書け!」「『減給』になったら困るだろう」「『不適格』適用だぞ」などと口走り、交渉中に物を投げつける、子どもたちの卒業作品の上に「日の丸」を張りつけるなど、例をあげればきりがない。
 しかし、教職員だけでなく、保護者や生徒たちも黙ってはいなかった。高校生・中学生たちは「卒業式に『日の丸・君が代』は、いらない」と校長に申し入れ、小学校では「思い出になる卒業作品をなぜ『日の丸』で隠すのか!」と保護者と小学生が抗議した。
 闘いの前進の中で、「西暦併記にします」「『日の丸』はすぐにひっこめるように式運営を工夫します」(中学校)など、譲歩が引き出されていった。
 打撃を受けた県教委は、式の当日、産経新聞を呼び込み、各校に地教委や右翼地域ボスによる監視網を張り巡らした。県教委の直接監視を実施したところもある。来賓席の「監視人」たちは、「君が代」が終わるや式を中座し、物陰に隠れ、携帯電話で報告する姿が目撃されている。
 常盤教育長は、7月着任後ただちに「『国旗』の常時掲揚」「元号使用」を徹底した。卒業証書は「希望があっても『西暦併記』も認めない」指示を出した。「日の丸・君が代」強制と並んで、「不適格」適用を先取りし、「指導力不足」教員の「摘発」「指導」に乗り出した。その一方で、民間校長の採用を進め、「全国一」を標榜(ひょうぼう)している。
 「研修命令」を受けた若い教職員がショックで「退職」するなど、すでに10人前後の教員が退職に追い込まれた。3月の職場攻防の中でも、高校の校長が卒業式の前夜に「心不全で死亡」、中学校教員が「事故死」をとげるなど重大な事件が引き起こされている。
 職場では、多忙化攻撃への怒りとあいまって、「いつか常盤をやっちゃろう」と怒りが充満している。その「いつか」は、必ず現実のものとなる。
 5・26闘争へ教育労働者の総結集を実現し、闘う日教組再生に全力をあげよう。広島=ヒロシマはその最先頭で闘う決意である。

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週刊『前進』(2052号4面3)

日誌'02 4月17日〜23日
 憲法調査会、沖縄で公聴会 小泉が靖国神社参拝を強行

●有事法制3法案を国会提出 政府は16日夜閣議決定した有事法制3法案を国会に提出した。与党は26日の衆院本会議で趣旨説明と質疑を行う方針。(17日)
●米軍大型ヘリが燃料タンク落とす 沖縄県宜野湾市の米海兵隊普天間飛行場で、離陸直後のCH53E大型輸送ヘリコプターから、燃料が入った燃料補助タンク2個が滑走路に落下した。民間地域に隣接するフェンスからは最短で約700bの地点。(17日)
●無様なまま暫定滑走路が開港 成田空港の暫定滑走路の供用が始まった。空港周辺では三里塚芝山連合空港反対同盟のデモなどが終日続いた。(18日)
●イージス艦派遣を米が打診 米国がイラクへの軍事行動を想定し、自衛隊のイージス艦やP3C哨戒機のアラビア海への派遣を日本政府に打診していることがわかった。現在、海上自衛隊はテロ対策特措法に基づき護衛艦2隻と補給艦1隻をインド洋、アラビア海方面に派遣し、米軍の補給艦などに燃料の洋上補給などを実施している。(18日)
●武力攻撃事態と周辺事態「併存も」と防衛長官 中谷防衛庁長官は衆院安全保障委員会で、有事3法案に盛り込まれた武力攻撃事態の概念について「周辺事態とは異なる概念だが、周辺事態との併存はあり得る」と述べ、周辺事態と武力攻撃事態は同時に発生する可能性があるとの見方を示した。(18日)
●有事法の「閣議決定遅い」と石原 東京都の石原知事が、有事3法案の閣議決定に対し、「遅きに失した」「急いで完璧な法律を作れ」とし、不審船事件や拉致問題を有事の範疇に入れるべきと主張した。(19日)
●小泉が靖国を参拝 小泉首相が、春季例大祭が行われている靖国神社を参拝した。例大祭中の首相参拝は、85年の中曽根首相以来。小泉は参拝後、今年8月の靖国参拝はしないと語った。(21日)
●韓国政府、靖国参拝で駐韓大使に抗議 小泉首相の靖国参拝で、韓国の崔外交通商相が寺田駐韓大使を呼び、抗議と遺憾の意を伝えた。(21日)
●沖縄市長選、桑江氏惜敗 任期満了にともなう沖縄市長選挙の投開票が行われ、現職の仲宗根正和候補が27418票、新人の桑江テル子候補は22930票で、仲宗根候補が再選した。(21日)
●憲法調査会が沖縄で公聴会 衆院憲法調査会が沖縄県名護市で地方公聴会を開いた。陳述人や会場からは、沖縄戦や沖縄に集中する米軍基地問題、有事立法は「戦争の準備だ」と強い抗議の声があがった。(22日)
●憲法調査会の常設化を提案 衆院憲法調査会の中山太郎会長と中野寛成会長代理が、00年の設置から調査期間5年程度とされている同調査会を、国会の常設機関にすることが望ましいとの考えを示した。(22日)
●在沖海兵隊が下地島空港を使用 フィリピンで行われる合同演習「バリカタン2002−02」に参加する在沖海兵隊の普天間飛行場所属のCH46E中型ヘリコプター4機とKC130空中給油機1機が給油のため沖縄県管理の下地島空港に着陸した。「緊急時の使用以外は認められない」とする県の要請を米軍が無視した。(22日)
●中国が防衛庁長官の訪問拒否 中国が中谷防衛庁長官の27日からの訪中を拒否したことが明らかになった。小泉首相の靖国参拝が背景にあると見られる。(23日)
●衆院91議員が靖国参拝 超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の山崎拓・自民党幹事長ら国会議員91人が靖国神社に参拝した。(23日)
●有事法案委員会設置 有事3法案を審議する「武力攻撃事態への対処に関する特別委員会」が設置された。人数は50人。自民の瓦力・元防衛庁長官が委員長に。(23日)

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週刊『前進』(2052号5面1)

入管法改悪阻止−有事立法粉砕へ
侵略戦争参戦と入管攻撃に国際主義共同闘争で対決を
 佐久間 祐

 4月16日、日帝・小泉政権はついに有事立法3法案を閣議決定、17日に国会提出し、26日に審議に入ることを宣言した。われわれは、この侵略戦争3法案の国会成立をなんとしても阻止しなければならない。戦後最大の戦争参戦攻撃を許さず、三たびの世界戦争への道を止めるために今こそ階級の底力を爆発させて闘い抜くことだ。4―5月入管闘争を勝利させ、その地平で有事立法・改憲阻止の闘いを推進していこう。

 入管体制の有事=戦時体制化を狙う

 入管体制とは、在日・滞日被抑圧民族、すなわち在日する朝鮮・中国・アジア人民、イスラム諸国人民を日本帝国主義が民族的に差別・抑圧し、分断・同化・追放するものであり、日本の労働者人民を差別主義・排外主義的に組織し、動員することによって成立してきたものである。入管法を法制的柱とし、外登法を実務的補完法とした入管体制は、植民地型の国内支配体制であり、在日朝鮮人・中国人にとっては植民地支配の継続として襲いかかっているのである。
 だから入管闘争は、在日人民にとっては、日帝そのものとの闘いであり、日帝打倒の水路となるべき闘いなのである。在日朝鮮人・中国人、アジア人民はその在日としての存在と生活、生命の問題である入管闘争−入管法粉砕闘争に決起しないわけはないのだ。日本人民にとっては、入管闘争の蓄積が国際主義の実践につながっていくものであり、自らの階級性を磨き上げていく闘いとしてあり続けていると言える。
 1947年5月2日、天皇最後の勅令として外国人登録令を施行、さらに52年4・28サンフランシスコ条約発効と同時に、ポツダム政令として前年に公布されていた出入国管理令を法律として確立、戦後の入管体制が出発した。中国革命、朝鮮戦争を決定的契機、すなわち中国・朝鮮有事に対応するものとして入管体制は、在日朝鮮人・中国人を徹底的に差別・抑圧する法体系として確立されていった。日帝は、絶えず入管令を入管法にするために制定策動を繰り返した。こうして1982年、米帝のベトナム失陥以後、世界にベトナム人難民がボートピープルとして流出している情勢に対する帝国主義的対応が迫られる中で、難民法を抱きあわせて、ようやく入管法として成立した。
 入管法は、82年1月1日、「出入国管理及び難民認定法」として施行されて以来、これまでに幾度となく改悪されてきた。入管法制定攻撃、度重なる改悪攻撃の歴史的経緯からみても、それらは日帝の反動化、戦争国家化のメルクマールであり、先取り攻撃となっている。そもそも日帝の有事研究が「三矢研究」として朝鮮侵略戦争を想定したところから始まったことを想起しなければならない。端的な例として安保ガイドライン締結と97年改悪、周辺事態法と99年改悪があり、01年秋のテロ対策法と11・22改悪がある。
 フーリガン対策を口実として行われた11・22改悪は実際にはテロ対策そのものとして行われ、有事立法化にすでに対応している。さらに策動されている02年改悪は有事立法化そのものである。許し難いことに、日帝は入管法そのものの改変に自由裁量権をほしいままにふるい、今後も日帝の必要に応じて改悪をしようというのである。
 有事体制との関係で言えば、内閣官房が発表した『有事法制の整備について』という文書の中で所管不明分野(第3分類)の検討状況として「相手国の国籍を有する外国人の安否情報の管理及び提供」という項目があげられている。これは敵国条項であり、在日人民の日常生活のすべてを抑圧し、ふさぐものである。その対象は入管法の改悪だけでは直接に対応しきれない入管特例法枠の在日朝鮮人・中国人である。01年8月に暴露された破防法27条に基づく公安調査庁の登録原票調査も、こうした動きを直接に反映したものである。
 有事体制の確立に先行し、在日人民に対してわれわれの予測を超えるすさまじい差別・抑圧の治安攻撃が襲いかかっているのだ。
 だからこそ、入管体制粉砕の闘い、入管法改悪阻止の闘いを、有事立法阻止決戦の中で決定的に強めることが、有事立法決戦をより一層国際主義的闘いとして前進させる道であることは明瞭である。

 「テロ対策」掲げた入管法再改悪攻撃

 日帝・小泉は在日人民に対する入管攻撃を激しい勢いで強化してきた。そもそも小泉は歴代首相で初めて所信表明演説で入管体制の強化をあげた。昨年来の動きを見てみよう。
 5月、北朝鮮・金正男のニセパスポートでの入国事件を口実に、小泉が入管体制の強化をうたい、入国審査官の1000人増員方針を打ち出し、初年度300人増員の予算措置が即刻とられた。その上で8月に法務省入管局を国際組織犯罪対策本部に組み入れ、9・11後はテロ対策本部に組み入れた。入管体制を小泉−福田の直轄に転換し、政府の第一の問題に据え直したのである。
 この時期(4〜5月)に前述したように破防法調査が強行され、400人以上、600人とも言われている在日朝鮮人の外国人登録原票のコピーが顔写真入りで公安調査庁の手に渡った。
 5〜6月には「不法滞在」「不法就労」の外国人労働者狩り=クライム・キックアウト作戦が、報奨金付きの密告制度をテコに日本人民を排外主義的に動員しながら全国的に展開された。
 8月、海上保安庁法の改悪が図られ、もう一つの軍隊として強化された。また組織犯罪対策本部が発足、同時に入管法の改悪が発表された。
 8月から9月冒頭、朝銀問題の排外主義的キャンペーンが開始されたが、9・11反米ゲリラ戦争で中断した。
 9・11によって入管体制はいったん、対アフガン、対イスラムシフトに一変、すさまじいアフガン人弾圧と抑圧が始まった。アルカイダ(テロリスト)名簿1000人の調査を行い、入管体制が治安対策・テロ対策として、在日朝鮮人・中国人とイスラム諸国人民にエスカレートした。まさに敵国条項として襲いかかったのだ。
 9・11以降の入管弾圧を列挙する。@朝銀弾圧と朝鮮総連弾圧が急展開し、歴史上初めて総連本部に家宅捜索が入り、破壊攻撃がエスカレートした。A歌舞伎町・大久保などで「不法」外国人摘発体制が強化、監視カメラによって大量の拘束が行われ、その様子をテレビで放映するなど一大キャンペーンを展開。Bテロ対策法と一体となった海保法改悪と11・22入管法改悪。C12・22海保による「不審船」撃沈、虐殺。Dアフガン人難民申請の却下と牛久・茨木の入管収容所への収容、暴行が相次いだ。
 以上見てきたように、日帝は9・11を契機に有事体制としての入管体制確立を急ぎ、改悪を強行したのだ。入管法の11・22改悪は@外国人の上陸拒否と退去強制の強化、A「外国人犯罪」対策の強化、B偽変造文書作成者の退去強制、C入管審査官の調査権限付与、が盛り込まれ、入国阻止と退去強制の体制として一層強化された。
 さらに今次改悪策動では、在留期間内でも法務省の自由裁量によって追放することを合法化しようというものである。これらは、日帝の有事立法・改憲攻撃と一体となった攻撃にほかならない。

 9・11反米ゲリラ戦と新たな7・7路線

 われわれは70年7・7以来、入管闘争を血債の思想の具体的実践の闘いとして闘いぬいてきた。しかしながら、在日の既成民族団体を含めて、今日、入管体制粉砕を掲げて闘う潮流が雲散霧消してしまっている厳しい現実があることをはっきりとみすえ、だからこそ入管体制粉砕を鮮明に掲げて闘っていく勢力が登場することが求められている。
 70年7・7以来、革共同は「闘うアジア人民と連帯し日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」を戦略的総路線として掲げ、すべての闘いの中に血債の思想を貫いて闘いぬいてきた。しかし、昨年の9・11を契機にして開始されたアフガニスタン・パレスチナへの帝国主義の猛攻とそれに対する極限的決起はわれわれに根底からの変革を突きつけた。9・11から始まったイスラム諸国人民の闘いを新たな7・7として受けとめ、「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」として、開始された国際的内乱にこたえ闘う立場を鮮明にさせた。
 ここであらためて7・7路線について確認していきたい。
 まず第一に、日本の階級闘争がスターリン主義と社会民主主義の指導によって、帝国主義的排外主義との闘いにおいて敗北させられ、労働者階級の国際主義的本質が歪曲され疎外されてきたことを反帝・反スターリン主義党の建設をとおしてのりこえよう、ということである。
 第二に、スターリン主義と社会民主主義の裏切り的指導の結果、日本の労働者階級人民が「排外主義的思想問題」を傾向的に体質化させてきてしまっているという事実を主体的に受けとめ、プロレタリアートとしての階級的自己批判の立場、すなわち血債の立場に立つことをはっきりさせることである。
 第三に、核心中の核心として、在日朝鮮人・中国人、アジア人民、イスラム諸国人民ら全世界人民の存在と闘いをしっかりと措定し、それから学び、それに連帯し、それを防衛し支援していくことを実体的基底に据えきっていくということである。
 第四に、こうした実践的あり方を貫くことは日本労働者階級の階級性を幾層倍にも強め、豊かにし、日本階級闘争の革命的前進を促すものである。
 第五に、7・7路線の全面的貫徹とその一環である入管闘争の推進は、帝国主義国の労働者階級人民が被抑圧諸国人民の民族解放闘争、とりわけ自国帝国主義によって抑圧されている諸国の人民の民族解放闘争に、言葉だけでなく実践的にも連帯し、支援し防衛していくべきであるというレーニン主義の今日的・日本的貫徹形態である。
 以上の五点をはっきり確認し、パレスチナ・イスラム諸国人民への連帯を貫徹する闘いとして有事立法決戦を闘いぬくことである。

 朝鮮・中国・パレスチナ人民と連帯し

 南朝鮮・韓国の労働者階級は民主労総を軸に金大中政権との根底的な対決を深めている。とりわけ今春の鉄道・ガス・電力の民営化=海外売却に反対する徹底抗戦の闘いは圧倒的な人民的支持の中で激しく闘われている。
 韓国発電産業労働組合は2月25日から4月3日まで38日間のストライキを闘いぬいた。さらに4月2日、民主労総と労働省の交渉で合意書を交わしたことを契機に、いったんストライキを中断、第2次闘争に備えるとした。労組執行部への逮捕状、342人の解雇、648人の刑事告発、そのうえ経営損失を理由にした3928人に対する148億ウォン(約15億円)の財産差し押さえ請求という労働者への弾圧の集中の中での合意だった。しかし、組合員は猛然と反発し、このような合意を交わした民主労総指導部への怒りが集中した。民主労総役員総辞職を経て、新たな闘いの戦列を組み立て直している。
 2月25、26日を頂点とした民主労総のゼネストを含む大闘争は、9・11情勢と真っ向から切り結ぶ闘いであった。段炳浩(タンビョンホ)委員長を獄中(実刑2年)に奪われた中で、全力で闘いぬき、今次の民営化阻止闘争は81%の人民の支持を得た全階級的闘いとして発展したのである。
 韓国労働者階級は金大中政権の最後の過程を見据え、政権打倒を掲げて闘いぬいている。テロ防止法制定阻止闘争、F15導入反対闘争など、日米帝の新植民地主義支配の強化に対する闘いを全人民的な規模で推し進めている。民主労総を始めとした韓国労働者階級は、金大中政権発足と同時に、アジア経済危機に直撃され、IMF体制下での厳しい闘いに遭遇した。金政権は、これまで以上の労働者弾圧を展開したのである。韓国労働者階級は今、ワールドカップ弾圧の吹き荒れる中で、春闘を闘いぬいている。
 昨年末、小泉政権と金大中政権との間で合意し、3月小泉訪韓時に署名した日韓投資協定は、韓国市場を日帝資本のほしいままにじゅうりんすることに道を開くものであり、そのために韓国労働者階級の闘いを根絶しようとする一大攻撃である。とりわけJRが韓国鉄道の買い取りを狙っていることは、断じて許せない。われわれは国鉄決戦を水路として韓国労働者階級と固く連帯し、共同で阻止することをはっきり宣言しなければならない。
 中国でもスターリン主義権力と対決して労働者階級の闘いが本格的に始まっている。3月1日以来、黒竜江省の大慶油田労働者は、多い時で5万人を超えるデモを展開し、レイオフになった労働者を中心に退職金や医療費の保障などを求めている。「大慶一時帰休労働者臨時労働組合委員会」を結成、石油管理局に対する闘いを推し進めている。
 遼寧省遼陽市では「全遼陽鉄合金工場倒産失業労働者」という臨時組織を結成、鉄合金、紡績、製紙、印刷、機械、液化シリンダー、皮革、などの国営工場で大規模な労働者の闘いが巻き起こっている。政府官僚と工場責任者の汚職と、労働者への賃金未払いに対する怒りが爆発したのだ。
 3月30日には鉄合金工場の労働者代表ら4人が非合法デモ行進の罪で起訴された。唯一のナショナルセンターとして存在する「中華全国総工会」は、こうした弾圧に対して、「労働者が街頭に出ることは誤った行為である」として援助の道も閉ざしている。
 中国の労働者階級は当局のすさまじい切り崩し攻撃の中で、しかし、労働者の生きる権利を踏みにじる攻撃と全面的に対決する激しい闘いを推し進めている。
 さらに確認したいことはパレスチナ人民の自爆を含む烈々たる闘いに心底連帯する闘いが求められていることである。ジェニンの大虐殺は、まさにイスラエル、米帝がパレスチナ人民を民族的に抹殺しようとする攻撃である。こんなことを許していてよいのか。日帝はこの残虐な戦争に参戦しようとしているのだ。
 入管闘争は、有事立法攻撃との闘いとしてますます重要性を増している。しかも、われわれ以外の政治勢力はすべて入管闘争をそれとして闘うことから召還してしまっている。既成の民族団体もしかりである。在日人民がこうした現状を打ち破り、再び日本階級闘争の中にその存在を刻印する情勢がやってきている。
 在日朝鮮人民が戦後革命期において、団体等規正令適用攻撃と真っ向から対決し、退去強制攻撃をはねかえして朝鮮戦争反対に決起した歴史を想起しよう。今こそ7・7路線で闘いぬいてきたすべてを注いで、「連帯戦略」を実践する時が来たのだ。
 入管法粉砕・改悪阻止を水路に国際主義的連帯の闘いを爆発させよう。有事立法粉砕闘争(そしてすべての政治闘争)に「入管法粉砕・改悪阻止!」のスローガンを掲げよう。闘う在日アジア人民、イスラム諸国人民とともに連帯して闘おう!

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週刊『前進』(2052号5面2)

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史
 番外編 証言 植民地・台湾で育った 林歳徳さんに聞く
 侵略軍を率いた北白川宮は抗日義勇軍に殺された

 皆さんが日本帝国主義の台湾侵略史を学ぼうという熱意に敬意を表する。同時に、ぜひ知ってほしい重要な事実がある。それは皇族として台湾侵略の先頭に立った北白川宮能久親王はどこでどのように死んだのかという問題だ。
 日清講和条約から約1カ月後、日本は台湾接収のための軍隊を台湾に送った。その主力部隊であった北白川宮能久親王率いる近衛師団が台湾北部の澳底に上陸したのは1895年5月29日。台湾人は、日清の台湾売却契約を知らされず、日帝軍の台湾上陸は青天の霹靂(へきれき)だった。

◆父は抗日ゲリラ隊長

 この時、私の父、林水盛は嘉義地区抗日ゲリラ隊長として先頭に立った。父は1876年生まれで武芸と医学を学んでいた。
 中部へと侵攻する北白川宮軍を、台湾人義勇兵は彰化城で迎え撃ち、北白川宮軍の半数を撃滅する戦果をあげたが、8月末に彰化城陥落。1万人近い義勇兵が立てこもった嘉義城では、二昼夜不眠不休で戦ったが10月9日に陥落した。「嘉義城からの敗走は悔しかった」と父は話していた。
 北から台湾首都の台南府城へ進む北白川宮軍に呼応して、乃木希典陸軍大将率いる第2師団が枋寮に上陸し、北上していた。
 その途上、北白川宮は八掌渓の大要衝である義竹で戦死した。義竹は川幅3`もある八掌渓の北岸の渡河口で、南岸は塩水港。辺りはサトウキビ畑が広がり、河岸の林投木(アダン)が行く手を阻む要衝。ここに10月12日、北白川宮軍は侵入した。サトウキビ畑に伏兵したゲリラ軍に追い詰められ、北白川宮は馬から下りて日本刀で応戦したが、ゲリラ軍は、竹の枝を切るのに使う6bの柄が付いた割刀(クワトゥ)で北白川宮を切り殺した。こうして北白川宮は台湾人義勇兵によって絶命したのである。
 北白川宮の死を公学校では「北白川宮能久親王は、嘉義でマラリヤにかかり、タンカで担いで運び、台南で亡くなった」と教えられた。教科書にそう書いてあった。私が学校から帰ってそのことを父に話すと、父は「それはウソだ」と真実を詳しく教えてくれた。
 伏見宮貞愛親王が率いる第2師団の混成第4旅団は、北白川宮を救うため彭湖島を出撃、10月10日に八掌渓の河口である布袋港から上陸した。しかし、すでに北白川宮は戦死、その憤怒で伏見宮軍は徹底的な掃討戦に出た。義竹を中心に東西南北10`四方を焼け野原にした。焼き尽くし、殺し尽くす残虐な三光作戦がこの時すでに行われたのである。

◆奪われたサトウキビ畑

 私が生まれたのは1918年5月23日、本籍は「大日本帝国台湾総督府台南州東石郡鹿草庄頂潭村26番地」、現在の嘉義県鹿草郷碧潭村です。
 私の家は旧家で、父祖の代から製糖業をしていたが、1915年ころに嘉義の製糖工場は明治製糖に、碧潭の製糖工場は塩水港製糖に吸収されてしまった。
 約10fのサトウキビ畑が奪い取られたのは私が5、6歳のころだった。ある日、父が私を連れて見回りに行くと、畑の四角に「この畑は三木三郎の所有地である。耕作したい者は、下記の三木事務所に出頭して賃貸契約を結ばなければ、立ち入りを禁ずる」と書かれた看板が立てられていた。父は怒って看板を引き抜いて焼き捨てた。
 2日後、警察は父を逮捕し、畑の耕作権放棄を要求した。強く拒否する父に警察は拷問を加えた。両手を後ろに縛り上げてひざまずかせ、ひざの裏に六角棒を差し込み、棒の両側に警官が乗ってくるくる回転させた。その拷問を母と私たち兄弟に見せつけ、父が気絶すると、頭から水をかけて繰り返した。母は大声で泣き崩れ、私たち兄弟も泣いた。警官は笑っていた。
 母が気絶した父の指をつかんで、警官が突き出した「耕作権放棄書」に父の拇印を押した。

◆台湾語しゃべり退学

 村の漢書房で3年間漢文を習い、9歳の時、下潭公学校に入学した。台湾総督府の教育は、ただ日本人の命令を聞き分けるための日本語しか教えないというものだった。台湾人は公学校、日本人は小学校、中学校という差別教育体系が厳然とあった。
 33年、15歳の時に台南州立嘉義中学校に進んだ。このころには台湾人も中学校に入学できたが、1学年75人前後でうち台湾人は5人だけ、教員は全部日本人、台湾語は禁止だった。結局、夏には台湾語をしゃべったことで退学になった。

◆日本軍に強制徴用

 私は37年10月、19歳の時に軍夫として強制徴用された。「印鑑持参、朝9時に出頭せよ」と呼び出されて警察に行くと、身体検査書に署名捺印させられ、そのまま郡役所に連れていかれた。そこには男子が30人ばかり集められていた。身体検査は「徴兵検査」のことだった。甲というハンコを押され、そのまま兵舎に一泊、翌朝「誉れの軍夫」と書かれた白いたすきをかけられ、列車で台湾北部の湖口の練兵場に送られた。この時、改姓名も強制されたが、林=「はやし」ということで押し通した。
 私はその後、南京大虐殺を目撃、反戦脱走して日本にやってきた。戦後も2・28事件で帰国できず、今まで日本で生きてきた。やはり戦場に駆り出された兄・月徳はマニラで戦死した。これらはすべて天皇制日本帝国に起因している。

◆善悪を見据えてほしい

 私が若い人たちに言いたいのは、今こそ自立して善悪をはっきりと見据えてほしいということだ。ボランティアだ、人のためだという運動は怖い。いいことをやっているつもりが、結局天皇制に利用されてはいないか。
 日本は今も天皇制日本帝国である。過去を反省していない、誰も責任を取っていない。対中国の血債の額は賠償現金3億5575万両、その上に膨大な資源を強奪した。すなわち、近代日本帝国は、中国人の血肉で造成されたものだ。
 有事立法が出てきたが、日本政府は非常事態が来るのを待っているんだ。危機をチャンスとして、国民を総動員しようとしている。協力しなければ非国民だという、戦前と同じだ。
 婦人民主クラブ全国協が沖縄から北海道まで反戦キャラバンをやった。あれは非常に有効な闘いだ。全国に散らばっているほそぼその火をつなげてぱっと火を着ける。その導火線が必要だ。私は闘う女性たち、闘う日本人とともに闘う。

◎林歳徳さん
 在日台僑元日本兵。1918年5月23日に台湾・嘉義県生まれ。37年10月日本軍に強制徴用、38年1月南京大虐殺を目撃し、反戦逃亡。著書『私の抗日天命』(社会評論社)。写真は台南州立嘉義中学校当時の林さん。39年7月の神戸港上陸時もこの制服姿だった。

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週刊『前進』(2052号5面3)

軍報速報 三里塚圧殺の千葉県に怒り炸裂 4・22千葉 

 革命軍は以下の軍報を発表した。
 わが革命軍は四月二二日午前四時すぎ、千葉県長南町岩撫三八六、千葉県職員・嶋野栄治宅に対する火炎攻撃を敢行し、長屋門と車両三台を完全に燃焼させた。
 嶋野は三月末まで、千葉県企画部空港地域振興課主査として、空港周辺の振興施策の立案を担当し、周辺住民の切り崩し工作を行っていた。四・二二戦闘は、嶋野ら千葉県当局者とそのトップである堂本知事への怒りの鉄槌であり、何よりも四・一八暫定滑走路供用開始と延長攻撃に対する猛反撃の闘いである。わが革命軍は、日帝・国交省、空港公団、千葉県の暫定滑走路の延長攻撃と対決し、闘い抜くことをあらためて強く宣言する。
 日帝・公団は今、危険をかえりみずに農民の四〇メートル頭上に航空機を飛ばし、当初計画の二五〇〇メートルへの南側への延長攻撃を激化させている。さらに、「屈服しないならば北側に三二〇メートル延長させ、ジャンボ機を飛ばす」という恫喝まで開始しているのだ。
 千葉県は成田空港完全空港化のために、堂本知事の提唱で国交省、空港公団、千葉県、周辺自治体の四者による「魅力ある成田空港推進協議会」(会長・堂本知事)を設置し、その事務局を千葉県庁においている。国交省管轄で空港公団運営の成田空港に、ここまで千葉県が関わるのは異例であり、すべて堂本が知事に就任してからである。
 その堂本知事は、「用地交渉に公団と一緒に努力していきたい」といって、三里塚闘争解体、農民切り崩しにみずから乗り出すことを明らかにしている。
 四・二二戦闘が成田空港完全空港化の最先兵=千葉県と堂本知事に対する怒りの炸裂であることを思い知るがよい。
 革命軍は農民切り崩し攻撃を絶対に看過しない。革命軍は帝国主義のアフガニスタン・パレスチナ侵略戦争阻止の国際反戦闘争を爆発させ、有事立法粉砕、成田空港廃港、カクマル完全打倒まで全力で闘い抜く。
 四月二二日 革命軍

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週刊『前進』(2052号6面1)

マルクス主義講座 A 『共産党宣言』を読む(下)
 共産主義は空想ではない 現実の階級闘争の表現だ

 〈共産主義者の党〉は最も強固な労働者党

 前回学習した第1章では、ブルジョア社会の発展の中で資本主義の矛盾が必然的に恐慌として爆発し、その犠牲を強いられるプロレタリアートが、ブルジョアジーとの階級闘争をつうじて階級的に団結し、さらには自らを政党に組織し、革命的に決起していくことを学びました。
 第2章は、プロレタリアートの自己解放を意識的に追求する共産主義者の党の立場から、共産主義革命の中身を語ります。
 共産主義の運動は、空想的社会主義とは違って、けっして共産主義者の頭の中で生まれたものではありません。それは「現におこなわれている階級闘争、われわれの目の前で展開されている歴史的な運動のほんとうの諸関係を一般的に表現したもの」(新訳33n)です。つまり共産主義とは、第1章で明らかにされたような労働者階級の資本家階級に対する闘争の必然的産物であり、資本主義社会を頂点とする階級社会にとどめを刺すものなのです。
 第2章は、共産主義に対するブルジョアジーの非難をとことん批判する形をとって、共産主義の運動の現実的根拠と実現の条件を明らかにしています。
 まず共産主義者の党の問題を提起しています。
 冒頭で、共産主義者の党は「プロレタリア階級全体の利益から切り離された利益をもたない」「特別の原則をたてて、その型にプロレタリアの運動をはめこもうとするものではない」と言い、この点は「他の労働者党にくらべてなんら特別の党ではない」ことを強調しています。
 マルクスが生きたこの時代には、各国にさまざまな労働者の党がつくられ、激しく闘っていました。そうした労働者の闘いに基礎を据える共産主義者の党の階級的立場を明らかにした上で、「他のプロレタリア党と違う点」として以下4つのことを挙げています。
 第一の点は、「国籍と無関係な、プロレタリア階級全体の共通の利益を強調し貫徹すること」です。プロレタリア国際主義です。
 資本主義は世界市場を前提として形成しつつ、展開していますが、資本はプロレタリアートの搾取・抑圧を貫徹するための機関として国家を握っています。この国家をつうじての階級支配によって分断されたプロレタリアートは、世界的に結束してこそブルジョアジーを打倒できるのです。
 この点は、今日帝国主義同士の対立が激しくなっている中でますます重要です。「国際競争に打ち勝つために労使協力を」と叫ぶ連合や、「国益」「日本国民の党」を叫ぶ日本共産党は、この階級的・国際主義的立場を裏切り、世界の労働者と被抑圧民族の団結に反対しているのです。
 第二の点は、「闘いが経過していくさまざまな発展段階でつねに運動全体の利益を代表すること」です。共産主義者は種々の運動の先頭で闘いますが、その闘いの直接の勝利という見地にとどまらず、労働者階級の最後的勝利を闘いとる立場から運動のあり方を判断し進めていくのです。
 労働者階級の政治的解放と経済的利害の貫徹を切り離したり対立させたり(経済主義)、あるいは労働者階級全体の闘争の中に自分たちの闘いを位置づけようとせずに狭い枠の中にとどめたりする傾向と闘い、ブルジョア国家権力の打倒、プロレタリア権力の獲得に向かって、労働者階級の団結と隊列を強めるように闘っていくのです。
 第三の点は、実践面で「あらゆる国々の労働者党の中で最も断固としており、常に運動を推進していく部分である」ということです。共産主義者の党は、どんな困難、敵の弾圧・迫害にもたじろがず、労働者階級を鼓舞し、勇気と勝利の確信を持って前進していく「言行一致の党」でなければなりません。
 第四の点は、理論面で「プロレタリア運動の諸条件、進行過程、一般的結果を見通している点で全プロレタリアートに先んじている」ことです。共産主義者の党は、共産主義に向かっての綱領的な、戦略的な見通しをもって、運動を引っぱっていくのです。そのための日常不断の理論的・思想的闘いを共産主義者は絶対的な課題としています。革共同の規約でもこの点、「革命的マルクス主義の学習と創造的発展のための努力」を「同盟員の条件」としています。
 以上の点は、「共産主義者同盟の規約」(新訳の巻末に収録)に具体化されています。マルクスとエンゲルスが党の建設の課題をとりわけ重視し、実践的に取り組んでいたことを示しています。
 後のことになりますが、1872年、マルクスの起草した国際労働者協会(第一インターナショナル)のハーグ大会決議は次のように述べています。
 「有産階級の集合権力に対する闘いでプロレタリアートが階級として行動できるのは、有産階級によってつくられたすべての旧来の党に対立する別個の政党に自分自身を組織する場合だけである。プロレタリアートをこのように政党に組織することは、社会革命とその終局目標――階級の廃止――との勝利を確保するために不可欠である」(マルクス・エンゲルス全集第18巻)
 1871年のパリ・コミューン直後の段階で、マルクスは階級闘争における革命党の役割に関して、このような鋭い規定を与えているのです。

 〈私有財産の廃止〉が共産主義革命の核心

 次にマルクスは「共産主義者の当面の目的」として「階級へのプロレタリアートの形成、ブルジョアジーの支配の打倒、プロレタリアートによる政治権力の奪取」を挙げています。これに基づいて初めて共産主義の道が開かれるのです。
 共産主義の理論は、資本主義がその矛盾のゆえに恐慌さらには戦争という形で破綻(はたん)を繰り返すこと、その中でプロレタリアートの自己解放の闘いが必ず発展していくこと――この中に、資本主義から共産主義への移行の必然性と現実性を解明しきったものです。だからこの必然性を積極的・主体的にとらえ、現実の運動をこの方向で発展させていく目的意識的な事業としてプロレタリア革命→共産主義の運動が共産主義者の党によって提起されているのです。
 スターリン主義は、「資本主義から共産主義への歴史的発展の必然性」という命題に関して、〈階級闘争〉という主体的柱をはずして、資本主義の客体的な発展法則のようなものに切り縮め、これを認識・利用することが「意識性」だとしています。これは客観主義であり、誤りです。スターリン主義は、こうした歪曲をもって待機主義・日和見主義を合理化し、一国社会主義論によって世界革命を裏切ったのです。
 資本主義から共産主義への移行の必然性は、資本主義の矛盾の爆発を一身に受けるプロレタリアートの自己解放闘争の前進、階級的蜂起とその勝利の中にこそ、核心があるのです。資本主義は、自らそうした階級的激突を引き寄せざるをえないのです。
 こうした歴史的運動を最も根底で規定している問題は何か。それを共産主義者は所有関係としてつかみ出します。共産主義運動においては、所有の問題=「私有財産の廃止」が中心問題になるのです。
 マルクスは言います。「われわれ共産主義者にたいして個人的に獲得した、自分自身の労働で手に入れた財産を廃止しようとしている、というような非難が(ブルジョアジーから)おこなわれた」(同34n)
 だが、ブルジョア的私有財産=資本は「自分自身の労働で稼いだ」財産なのか? ここでマルクスは、労働者の側から問いを逆転させます。賃労働者は朝から晩まで必死で働いても、ようやく生きていくことに精いっぱいで、何も財産をつくり出せないのは、なぜなのだ。逆に資本は、労働者を搾取することによってどんどん巨大になってきたではないか。
 マルクスは言います。
 「諸君(ブルジョアジー)の支配している現在の社会では、私有財産は全社会の成員の十分の九にとっては廃止されてしまっている。すなわち私有財産は、まさに十分の九の人びとにとって存在しないことを条件としてのみ、存在している」(同37n)
 私有財産=資本とは、他人の労働を支配する力です。資本主義社会では生産手段が資本家によって排他的に占有されています。これをテコにして人口の十分の一(つまり資本家)が、残りの十分の九を搾取しているのです。
 これに対して共産主義は、資本としてある生産手段を社会の所有に転化します。資本が私有財産という階級的性格を失って本来の社会的な共同活動の産物になれば、それは共同で労働する人びとの成果となる。そして「階級と階級対立の存在する古いブルジョア社会のかわりに、一人ひとりの自由な発展が、すべての人びとの自由な発展の条件となるような協力体が登場する」(同48n)のです。
 こうしてマルクスは、ブルジョアジーへの反論をとおして共産主義の現実的・歴史的意義を積極的に明らかにしているのです。

 『宣言』を武器にして世界革命勝利の党を

 共産主義を実現するためのプロレタリアートの闘いは、どのようなものか。
 まず、支配階級=ブルジョアジーを打倒し、政治権力を一手に握り、支配階級となることです。『共産党宣言』では、プロレタリア独裁という言葉はまだ使われていませんが、次に述べている内容はまさにプロレタリア独裁そのものです。
 「プロレタリアートはその政治支配を利用して、ブルジョアジーからしだいにすべての資本を奪い取り、すべての生産用具を国家、すなわち支配階級として組織されたプロレタリアートの手に集中し、生産力の総量をできるかぎりはやく増大させる」(同46n)
 「もちろん、このことは、まずは所有権とブルジョア的な生産諸関係に対する専制的侵害をつうじておこなわれる以外にない」(同)
 「専制的侵害」とは、「実力で奪い取る」ということです。ブルジョアジーの「理解と協力」を得て、法的手続きを踏んで=合法的に、あるいは経済的補償を与えて行われるものではありません。ブルジョアジーの所有権と資本家的経営権そのものを実力で奪い取るのです。
 そもそもブルジョアジーは「私有財産の不可侵」を宣言し、その支配の永続的な維持のためにあらゆる手段(法、イデオロギー、そして軍隊・警察・官僚など)を独占しています。他人の労働を暴力で搾り取っているのは資本家どもだから、プロレタリアートが奪われたものを奪い返すことは、まったく当たり前の人間的権利です。これがプロレタリア独裁の内容です。
 ところが、スターリン主義の党である日本共産党は、まさにこのプロレタリア革命の核心問題で、資本家の私有財産を侵害するつもりなど毛頭ないことを表明し、労働者を永遠に資本の隷属のもとにつなぎ止めようとしているのです。
 続く第3章では、第2章で述べたような共産主義の理論的・実践的立場が歴史的にどのようにかちとられてきたかを、マルクスの時代に先行する空想的社会主義・共産主義への批判として展開しています。
 最後の第4章は、もう一回第2章の冒頭の「他の労働者党」「他のプロレタリア党」という現実の階級闘争の場に戻って、世界革命をかちとっていく道筋を、19世紀半ばの世界情勢と党派的諸関係をふまえて述べています。ここで注目したいのは、プロレタリア革命の戦略的展望の中で民族問題、農業問題を重視していることです。この章の、そして『共産党宣言』全体の結びの言葉は、「万国のプロレタリア、団結せよ!」です。
 『共産党宣言』は、プロレタリアートと人民が自己解放をかちとるためには、階級闘争の勝利を共産主義の実現へと実らせる展望を持った共産主義者の党が絶対に必要なのだということを全編で強烈に訴えています。このことをつかみ取ることがとても大切です。
 最後に、革共同前書記長の本多延嘉同志の言葉を紹介しておきましょう。
 「革命の達成以外に帰るべきいっさいの道を自己切断するとき革命家の歩みは開始されるのであるが、このような『帰るところなき自己否定』とは、革命党の組織構成員としての生活を自己の唯一の生きがいとすることをとおして初めて可能となるのである」(「レーニン主義の継承か、レーニン主義の解体か」=著作選第1巻)
 パレスチナ人民の不屈の決起にこたえ、世界革命に勝利する党を建設し、世界戦争に突き進む帝国主義を打倒しよう。
 次回講座は『賃労働と資本』です。
 (水井省一)

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週刊『前進』(2052号6面2)

迎賓館・横田爆取裁判 “人質司法やめよ” 3同志が更新意見陳述

 4月19日、須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志に対する迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の第163回公判が行われた。この日は、右陪席裁判官の交代に伴う3同志と弁護団の更新意見陳述が、午前と午後の法廷をとおして全面展開された。
 昼休みには、60人を超える人びとが即時保釈を要求して東京地裁を包囲し弾劾するデモを行った。「人権が奪われるとき戦争が始まる」を合言葉に、デモは同日の有事立法に反対する集会に先駆け、呼応し連帯して闘いとられた。
 法廷で須賀同志は、「これまで、無実の私たちに行われた違法な逮捕・取り調べ・長期勾留は、転向強要とうその自白を引き出すための脅迫と、虐待だった。私を支えたのは、人間的義憤である。爆取は人民に突きつけられた凶器であり、いまこれが『テロ対策』と称して使われようとしている。ブッシュ、小泉が30年代をはるかに超える戦争の危機をつくり出している中で、裁判所は再び戦前のデッチあげ治安弾圧を繰り返すつもりか。それはアジア・中東・世界の人民虐殺の歴史を繰り返すことであり、絶対に許さない。本当の人権に目覚めよ!」と裁判所を徹底弾劾した。
 板垣同志は、長期勾留による手足のしびれと頭痛、健康悪化をはねのけて、分厚い意見書を読み上げた。
 「無実・無罪の私たちへの人質司法をやめよ。裁判官は殺人的な独居拘禁の実態を知らねばならない。徹底した威嚇主義と白色テロによって、戦争に反対する人民の闘いを押さえ込む爆取弾圧は粉砕すべきだ。そのための弁護側証人を全員採用せよ。国家権力の腐敗と戦争に怒る労働者人民の闘いは強く前進している。私たちの闘いもその中にある。獄外の闘いの確かな広がりは、必ず裁判所を包囲粉砕しつくす」
 十亀同志は、とりわけ検察立証の破綻(はたん)と無実・無罪を徹底的に論理的に明らかにしきった。
 「岩手アジトでの押収物が現場残留物と一致したと決めつけ、岩手以前にも3人は一緒に武器を製造し、さらにはこれを一緒に使用したと想像・強弁する検察立証には、無理があり初めから破綻していた。ましてや、押収物に関する『切削痕(こん)』鑑定がデッチあげであることがA証人によって明らかにされた。検察立証は総論も各論も破産している。この違法な公訴を棄却しない裁判所は犯罪者にすぎない。法と公平の名に隠れて卑劣な行いをする者に対し、人民の側が抵抗する手段に制限はない」
 今や誰の目にも明らかになった無実・無罪。それにもかかわらず15年もの未決勾留が現に強制されているこの事実から目を背け、勾留が日一日と引き延ばされることをこれ以上許すことはできない。獄中の同志とともに怒りを解き放って闘おう。反弾圧の闘いと反戦の巨万の闘いとの合流で、戦争に突き進む日帝小泉政権もろとも裁判所を包囲し打倒しよう。10万人保釈署名と1億円基金を絶対に達成し、全獄中同志奪還へ突き進もう!

 《次回公判予定》
 ☆3同志裁判
5月8日(水)午前10時
 ☆福嶋同志裁判
5月9日(木)午後1時15分
  ※いずれも東京地裁

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週刊『前進』(2052号6面3)

紹介 共産主義者 132号 春闘から有事法決戦へ
 ●21世紀革命と女性解放へ綱領的論文
 ●中国めぐる日米争闘戦 野田論文

 巻頭論文は野口同志の「02春闘をめぐる階級攻防」。
 革共同の今春闘決戦方針は、6回大会で提起された「労働運動の防衛と再生」路線に基づく有事立法攻撃下での今ひとつの踏み込みであった。02春闘をめぐる全般的な階級攻防の歴史的意義と3・30動労千葉ストライキと春闘総行動を頂点に闘われたこの決戦の勝利の意義を総括し、新たな労働運動の方針を路線的核心的に提起している。
 一つには、3・30ストライキにのぼりつめた動労千葉の3カ月決戦をダイナミックに総括し、その圧倒的正義性と行動力こそ本来の労働者の姿であること、そして必ずや労働者階級全体がこれに続くことの現実性を力強く突き出している。
 二つに、今春闘でのIMF・JCと資本の交渉過程を振り返り、軒並みベアゼロ妥結とその直後の資本の賃下げ提案のもつ反革命性、さらにNTT合理化、ワークシェアリングの詳しい分析をとおして日経連「労問研報告」路線とも言うべき今日の資本攻勢の実態に迫っている。そしてその根底にある日帝の歴史的危機と奥田・日経連の反動性の根拠をえぐった。
 三つに、連合労働運動の階級的屈服と侵略戦争翼賛を明らかにし、労働運動における侵略戦争への加担・翼賛か帝国主義の打倒かをめぐる路線的分岐の不可避性を突き出したことである。その上で被抑圧民族との連帯論を内包した階級的労働運動の路線と課題を鮮明にした。その際国鉄決戦の動向が決定的な意義をもっていることを強調している。特にJR総連松崎の打倒こそ不可欠のメルクマールになることを声を大にして訴えている。
 労働者の決起への限りない信頼と勝利の確信にあふれている。
 以上の巻頭論文を総論にして、以下、飯村論文と樋口論文で民間労働運動と公務員労働運動をそれぞれ詳しく論じている。

 資本攻勢の実相

 飯村論文は、02春闘全体の裏切りを先導した電機連合指導部の犯罪的役割の徹底的暴露。帝国主義間争闘の主戦場であり、かつITバブルの崩壊による打撃を最も強く受けた日帝の戦略的基幹産業=電機資本。そのリストラと賃下げ攻撃を暴露し資本の完全な手先となった電機連合の動向を具体的につかみ、今日進められている資本攻勢の実相を暴き徹底的に批判した。
 樋口論文は、公務員制度改革が有事立法・改憲攻撃と一体の攻撃であることを徹底的に突き出している。今国会に提出された有事立法法案は首相に非常大権を与え地方行政機関の強制動員を明記しているが、この攻撃は戦後自治体労働運動の絶滅なしにはありえない。本論文は有事立法決戦の最前線に立つ公務員労働者の闘いにとって必須(ひっす)の武器といえる。
 多賀慎一同志による3・17革共同政治集会の基調報告は、有事立法決戦と党建設を軸とする02年前半決戦の方針を生き生きと体系的に提起している。
 世界危機の全面的爆発期における3・14復讐戦の意義と新たな決意を示した。分裂以来のカクマルとの闘いの勝利的展開を党史の総括軸にすえ、対カクマル戦争の新たな局面における革共同の進路を指し示している。
 米帝の歴史的没落のもつ現状破壊性、日帝危機の構造的解明などの情勢論、歴史的激動期における帝国主義国労働者階級の任務と主体の確立、さらに有事立法・改憲決戦方針について、全体を日帝支配階級および民間反革命との論争に即し実践的にイデオロギッシュに展開しきっている。
 特に注目すべきなのは、レーニン主義的原則を踏まえながら革命的大衆行動の爆発をテコに建設していく新しい党のイメージを提起していることだ。新進の中央指導部の鋭い提起を受けとめよう。

 沖縄闘争の課題

 革共同沖縄県委員会論文は、有事立法決戦と完全に一体をなす02年沖縄決戦論。復帰30年にあたり5・15体制とSACO路線を破産させてきた地平を積極的に総括し、21世紀の沖縄闘争の課題と路線を示している。
 革共同女性解放組織委員会論文は、国際的内乱の勝利のカギを握る女性労働者・女性大衆の革命的決起論。女性解放論における共産主義の復権、帝国主義段階論を踏まえたプロレタリア女性の二重の抑圧論を全面的に深化させている。特に女性労働力政策批判が重要である。6回大会路線を踏まえてかちとられた綱領的論文である。
 野田論文は、中東と並ぶ世界危機の今ひとつの火点、中国をめぐる日米帝国主義の侵略と帝国主義間争闘戦を分析したリポート。米商務省の豊富な資料を駆使し投資と貿易から実証的にその実態を浮き彫りにし、日帝の中国脅威論、排外主義を根底から粉砕するものとなっている。闘う中国人民に限りない連帯を込めた学生同志の力作だ。
 本号を手に戦後史上最大の階級決戦=有事立法阻止決戦へ。

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