ZENSHIN 2002/05/20(No2053 p06)

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週刊『前進』(2053号1面1)

5・24明治公園へ 5・26全国結集で国会デモを
北朝鮮・中国への先制攻撃狙う有事立法3法案を絶対に葬れ
 JR不採用問題 与党3党声明を徹底粉砕せよ

 ついに、最大の決戦の時が到来した。有事立法3法案は、日帝が戦後史上初めて本格的に朝鮮・中国侵略戦争を遂行し、かつ戦前型の国家総動員体制を構築するための、まったく新たな戦争法体系=非常事態宣言体制づくりである。これを全労働者人民の総決起で粉砕しなければならない。歴史が右するか左するかがこの一戦にかかる戦後最大の階級決戦である。改憲粉砕決戦そのものである。5・20大阪・扇町公園、24東京・明治公園の闘いの大高揚をかちとろう。反戦共同行動委員会の5・26全国総決起闘争を大爆発させよう。有事立法反対大署名運動を全国の職場・大学・街頭で繰り広げ、労働者人民の根こそぎの決起を実現しよう。今こそ行動の時だ!

 第1章 日帝を突き動かす米帝世界戦争路線

 衆議院有事法制特別委員会の総括質疑が始まり、日帝・小泉政権は、超短期間のうちに成立させようと突っ走っている。自民党は、24人のメンバーを5人の防衛庁長官経験者、5人の副長官・政務次官・大臣政務官経験者を始め、全員「国防族」で固め、千載一遇のチャンスだと、全力投球の短期決戦方針で臨んでいる。5月が勝負なのだ。
 また、政府は今回の3法案に盛り込まなかった残る有事法制について、概要や国会提出時期を明記した整備計画を今国会中にもまとめるとしている(読売新聞5・6付)。有事法制の全体像を示すことで、今国会での3法案成立の弾みをつけようとする攻撃だ。
 野党は、「日本を攻める国がどこにあるのか」「だから有事立法は必要ない」という議論であり、「アメリカの戦争に巻き込まれる」(日共)、「対テロ・不審船がない、時代錯誤だ」(民主、自由)などと、小泉の「備えあれば憂いなし」論の土俵に絡め取られている。それは、日帝が超切迫する米帝の中国・朝鮮侵略戦争に全力で対応して、共同的=競合的に自らの侵略戦争体制をつくろうとしていることを覆い隠すものだ。
 21世紀冒頭の世界がすでにむごたらしい虐殺と破壊の帝国主義侵略戦争―世界戦争の時代となっていることを徹底的にはっきりさせよう。日帝の有事立法攻撃は、米帝の世界戦争路線が現実に実行されていることに対して、帝国主義国家としての死活をかけて必死に参戦するためのものだ。法案の条文解釈の形式論議に流されてはならない。日帝は、米帝軍隊による北朝鮮への先制的侵略戦争の発動(朝鮮半島への北爆だ)、あるいは台湾海峡をめぐる対中国侵略戦争への踏み切りを生々しく想定し、そこから起こるあらゆる事態に国家を挙げて対応しようとしているのだ。それが有事立法なのだ。
 何よりも、米帝の01年QDR(4年ごとの戦力見直し)、今年1月のブッシュ一般教書での「悪の枢軸」論、核政策の見直し=核戦争の路線化が決定的だ。
 ブッシュがイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と規定したことは、あらかじめの宣戦布告である。実際に一大侵略戦争攻撃を仕掛けることの表明である。また、ブッシュは軍部に対して、この3国に加えてロシア、中国、リビア、シリアなど少なくとも7カ国を対象にした核攻撃のシナリオを策定するように指示した。国防総省の「核戦力体制の見直し」は、7カ国のうち北朝鮮、イラクの動向を「最大の懸念となっている」と断定している。このことは、イラクとともに北朝鮮(究極的には中国)に対する侵略戦争を米帝ブッシュは現実に切迫したものとして策動していることを示している。ブッシュの世界戦争路線は、中国への世界的大戦争や帝国主義間戦争さえ設定したものだ。
 米帝はすでに米韓作戦計画5027(98年改訂版があり、緻密化が進んでいる)という朝鮮侵略戦争計画を持っている。100万人の朝鮮人民が死ぬことがそこでは想定されている。それをいよいよ発動しようとしているのだ。
 昨年の10・7アフガニスタン空爆の開始は、その世界戦争路線の始まりだったのである。戦争は始まっているのであり、ものすごいテンポとスケールで拡大し激化するのである。
 すでにイラクへの侵略戦争は確定的になっている。米帝の世界戦争路線がシャロンのパレスチナ民族抹殺的な侵略戦争を支え励ましているのだ。このアフガニスタン情勢、パレスチナ情勢が同時に、朝鮮・中国―アジア情勢をかつてなく激しい勢いで根底から戦争化させていること、日帝をかつてのナチス的な現状打破に強烈に駆り立てていることを明確にさせよう。
 日帝は、米帝の01年QDR―「対テロ戦争」路線に匹敵するような侵略戦争を遂行できる帝国主義国家に脱皮しなければ、アジア情勢から吹き飛ばされ、米帝とのアジア勢力圏分割戦からたたき落とされ、帝国主義として存立できなくなってしまう。だから、自衛隊を正真正銘の侵略軍隊・内乱鎮圧軍と化し、再び朝鮮・中国に対して平然と武力を行使してはばからない国家に復活し、盧溝橋事件も南京大虐殺も軍隊慰安婦政策も皇国臣民化も強制連行・強制労働も開き直り、そして沖縄戦や暗黒の治安弾圧やストライキ壊滅の産業報国会をすべて肯定する帝国主義となり、そのために明治憲法下の天皇大権に等しい絶対権力を持つ首相独裁をつくり、地方自治破壊と国家総動員体制を構築しようというのだ。
 見よ。パレスチナ人民の不屈の闘いは、被抑圧民族の壮絶な民族解放の苦闘であり、とりわけ帝国主義諸国人民の決起を求める血の叫びであり、国際的内乱の最前線である。われわれのパレスチナ反戦闘争は、米帝のアフガニスタン・イラク・中東侵略戦争、中国・朝鮮侵略戦争を全力で阻止する闘いであり、この戦争にいま現に参戦するための有事立法攻撃を粉砕し、日帝を真っ向から打倒することでなければならない。
 有事立法をめぐって、21世紀を第3次世界大戦の地獄とするのか、反帝・反スターリン主義世界革命の時代とするのか――問題はこう立てられているのだ。

 第2章 憲法破り武力行使に踏み込む大攻撃

 この立場に立って、3法案の内容をみれば、それが「将来への備え」などという悠長なものではなく、いま現在の世界戦争情勢に対応するぎらぎらの侵略戦争宣言であることは明白だ。
 有事法制3法案は、日帝の朝鮮・中国侵略戦争武力行使法であり、自衛隊の実戦部隊化法であり、首相大権法であり、戦争への国民の協力義務と在日・滞日アジア人民への排外主義的迫害を盛り込んだ国家総動員法である。これは〈現代の非常大権法〉であり、憲法9条への死刑判決である。
 武力攻撃事態法案は、「武力攻撃事態」を「武力攻撃(武力攻撃のおそれのある場合を含む)が発生した事態、または事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態をいう」と定義している。これは、周辺事態法で規定されている「周辺地域で放置すれば武力攻撃に至るおそれのある事態」と重なるのである。
 さらに、特別委員会の総括質疑で、先制攻撃まで言明されている。9日、福田官房長官は、「武力攻撃の着手があった時」を武力攻撃事態と認定し、相手の基地に対する先制攻撃、武力行使ができると言明した。
 憲法の封印を解いて「武力行使」を認める歴史的暴挙を絶対に許してはならない。武力行使とは、他民族人民を軍事的に虐殺するということである。
 4月16日の有事法制3法案閣議決定の際の首相談話をみよ。そこでは、おそるべきことが言われている。
 「昨年の米国同時多発テロは、想像を超える態様と規模の事態が現実に起こり得ることを示し、また九州南西海域不審船事案は、わが国の安全を脅かすおそれのある武装不審船の存在を明らかにして、国民に大きな不安を与えた」
 小泉は、パレスチナ・イスラム諸国人民に対する米帝・イスラエルの残虐非道な抑圧と虐殺への怒りの爆発としての9・11反米ゲリラ戦と、12・22外国船銃撃・撃沈・虐殺事件を口実に「総合的対処態勢を一層充実」させるというのだ。
 「武装不審船」のクローズアップと排外主義的宣伝をテコに、治安弾圧体制を強化し、有事立法を成立させようとしているのだ。
 小泉は、4月21日に靖国神社に参拝し、29日には東ティモールを訪問してPKO派兵の自衛隊を激励した。靖国公式参拝は、新たな戦死者をまつるためであり、自衛隊を戦場に送るためである。
 端的に言って、米軍が北朝鮮を爆撃し、自衛隊が周辺事態法で参戦したら、日本に対する「9・11」が起こることは必然的な情勢なのである。この時、それは「日本・日本人を脅かすテロ」なのかということだ。そうではない。それは侵略戦争の元凶に対する被抑圧民族の怒りの爆発なのだ。
 かつて日帝が韓国併合を進めていた時、朝鮮の青年・安重根が伊藤博文に怒りのテロルをたたきつけたではないか。昨年は米帝の長年の民族圧殺に対してパレスチナ・イスラム諸国人民の怒りを体現して9・11反米ゲリラが敢行された。侵略と虐殺の張本人=イスラエル・シャロンと米帝に対して、パレスチナ人民が命を投げ出す蜂起戦に決起している。
 今日、日帝が朝鮮半島に侵略戦争を仕掛けるなら、朝鮮人民の積もりに積もった怒りの爆発が日本に対してたたきつけられるのはあまりにも当然だ。日帝に対するアジア人民の怒りをもっともっと知らなければならない。あるいは北朝鮮・中国を追い詰めている米日帝の戦争重圧のすさまじさを見なければならない。
 日帝がブッシュと同じ「対テロ戦争」の論理で戦争に踏み出すことは、再び15年戦争、太平洋戦争、沖縄戦を繰り返すことになるのだ。再び戦争を繰り返さないという戦後の誓いは、こうした「テロとの闘い」という口実で再びアジア人民に武力行使をすることを絶対に許さないというものでなければならない。テロ、テロリストというが、それは日本帝国主義の敵であって、本来ならば日本の労働者人民が連帯すべき友なのだ。今こそ、革命的祖国敗北主義の真価を発揮して闘う時である。闘うアジア人民と連帯して、共通の敵=帝国主義、日帝を打倒しよう。

 第3章 陸海空港湾労組の決起と共に闘おう

 5月有事立法阻止決戦を総力を挙げて闘いぬこう。
 5・20大阪・扇町公園での陸海空交通運輸関係14労組の闘い、5・24東京・明治公園での陸・海・空・港湾労組20団体の闘いを巨大な統一戦線集会・デモとしてかちとろう。5万人決起の先頭に立とう。
 海員労働者が、運輸労働者が、航空関係労働者が、港湾労働者が、ものすごい怒りと危機感をもって闘いに立ち上がっている。侵略戦争の担い手になることも、戦争で殺されることも拒否するという、労働者の闘いの原点に立って、陸続と決起が開始されている。
 この20労組陣形に、労働者の決起をかちとろう。
 帝国主義侵略戦争反対、国際連帯、帝国主義打倒を鮮明にさせた5・26反戦共同行動委員会の全国総結集闘争を爆発させ、全学連を先頭に戦闘的大デモをかちとろう。
 さらに、有事立法反対の大署名運動に全力を傾けよう。署名は大衆の決起の第一歩である。署名運動によって階級闘争の大地は熱せられ、巨大な有事立法反対の世論を形成し、怒りと弾劾を集中し、戦闘的決起を生み出していくのだ。職場を動かし、大学キャンパスを揺るがし、街頭を埋め尽くし署名運動の大波を起こそう。そこから、60年安保闘争、70年安保・沖縄闘争を上回る巨大な大衆的戦闘的決起がつくりだされる。全力で取り組もう。
 他方、日本共産党は、自衛権容認、自衛隊容認の立場から「アメリカの戦争に日本が動員される」法律だから反対と言っている。日共の筆坂政策委員長は、「仮に本当に日本に武力攻撃があったときには、国民は罰則なんか科さなくても、自らの命、財産、家族の安全を守るために立ちあがる。当たり前の話です」(4・21NHK日曜討論)と言い、「国を守るために闘う」ことを正しいものと言明したのだ。「武力攻撃があったらどうするのだ」という帝国主義の愛国主義・排外主義の攻撃に完全に屈服してしまっているのである。
 一方、カクマルは、この法案が中国・朝鮮侵略戦争の切迫に対応したものであることを絶対言わない。驚くことに「武力行使」という有事立法のキーワードがカクマル反革命通信の論文には一切ないのだ。また、「テロ根絶」「自衛隊は必要な組織」と叫ぶJR総連松崎を擁護している。こんな連中の闘争介入・破壊攻撃を絶対に粉砕しよう。
 国鉄決戦は有事立法粉砕決戦と一体の闘いである。それは「連帯し侵略を内乱へ」の実践である。侵略戦争に向かう日帝が労働組合破壊、団結破壊の総攻撃に出てきているのであり、これに対する階級的反撃は、日帝権力との内乱的激突になるのだ。動労千葉の3・28〜31ストライキは、実際に血みどろの闘いとしてかちとられたのである。国労つぶしに公然と乗り出した3党声明を弾劾・粉砕し、国鉄決戦勝利へ進もう。
 沖縄の5・19「復帰30年記念式典」粉砕闘争に決起しよう。有事立法決戦の中で沖縄闘争はますます重要だ。中国・朝鮮侵略戦争の最前線出撃基地としての強化、再度の沖縄戦を絶対に許さない闘いである。
 三里塚暫定滑走路の直下で闘う敷地内農民と連帯して闘おう。三里塚こそ、国家による土地強奪の暴力と対決する、反戦闘争の砦(とりで)である。有事立法決戦の中でその意義はいよいよ大きい。
 長期獄中同志奪還の署名と1億円基金運動を有事立法決戦の中でやりぬこう。
 5・19泉佐野市議選は、12日告示で最後の1週間決戦に突入した。国賀祥司候補の5選をかちとろう。
 この5―6月、一切を有事立法粉砕決戦として闘いぬこう。

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週刊『前進』(2053号2面1)

3党声明は国労解体の最後通牒だ 国労中央の臨大策動粉砕せよ
 自民党・甘利らを断じて許すな本部打倒、裏切り者たたき出せ

 国労組合員の皆さん! すべての労働者の皆さん! 革共同は、4月26日の自民党、公明党、保守党の与党3党による「JR不採用問題に関する声明」(別掲)を満身の怒りをもって弾劾する。国労解体の最後通牒(つうちょう)であるこの与党3党声明を身をていしてでも粉砕し、闘争団を守り国労を守り抜くことを非常の決意をもって宣言する。われわれは、この声明を主導した甘利明ら自民党を絶対に許さない。これに加わった公明党、保守党も断じて許さない。そしてこの3党の通告にぶざまに屈し国労を死滅の道に引きずり込もうとする社民党の渕上貞夫副党首らの策動を許さない。そして全面降伏しようとしている国労本部の高嶋委員長、寺内書記長、久保執行委員ら裏切り者を打倒し、臨時大会策動をたたきつぶして、今こそ闘う国労の再生をかちとるために総決起することを訴える。

 裁判取り下げと闘争団の切り捨てを強要

 与党3党声明は、国労が2001年1月の大会で「JRに法的責任なし」を決定したにもかかわらず、@裁判を続けていることと、A組織内を統一できていないことの「2つの矛盾を早急に解消して4党合意の前提条件を成就する目に見えた結果を出し、これが関係者に評価されることが必要」とした上で、「この対応が5月30日までに国労執行部においてなされない場合は、与党としては、4党合意から離脱せざるをえない」と表明している。
 ここで3党が社民党をつうじて国労に突きつけたのは、5月30日までに臨時大会を開いて裁判取り下げと闘争団の切り捨て=統制処分を明確に決定しろ、ということだ。実際に甘利が「国労は早急に臨時組合大会を開いて、JRに法的責任がないことなどを正式に決定する必要がある」と語ったと報じられている。
 「JRに法的責任なし」を大会決定させた上で、しかもそれで「組織を統一できていない」などと難癖をつけ、反対する組合員を自らの手で切り捨てよ、と要求しているのだ。与党3党、とりわけ自民党は国鉄分割・民営化を強行し、国労組合員らの首を切った張本人だ。そういう連中が、首を切られた労働者・労働組合に向かって、こんなことを言っていいのか。
 国家権力によるこれほどまでに暴力的で居丈高な、労働組合に対する破壊攻撃がかつてあっただろうか。
 もともと4党合意は支配介入であり不当労働行為であるが、しかし、3党声明は、4党合意の単なる延長ではない。「国労執行部の意向を受けた」社民党と与党の合意という体裁をとった4党合意とは質的に異なる、暴力性をもった攻撃なのだ。国家権力=与党3党が直接に国労を恫喝し解体するという攻撃なのである。
 それは、さながら「和平合意」を一方的に破棄して越境攻撃に踏み切った侵略軍である。国家権力の言うことを聞かない労働組合など暴力的にたたきつぶすという反革命襲撃である。
 労働組合にとって、この上ない屈辱の強制である。労働者の権利、誇りをすべて投げ捨てろ、団結権などひとかけらも認めないという、全労働者階級に対する攻撃なのだ。
 ここで反撃できなければ労働者・労働組合の〃死”である。どんな卑劣なやり方で、どんな露骨な不当労働行為で首を切られても、一切闘うことは許されないということになる。
 これを認めたら、労働者階級の解放などあり得ない。労働者は永遠に資本の奴隷であり続けなければならないということなのだ。こんなことが果たして許せるのか。断じて否だ!
 革共同は、革命党として労働者階級の党として断じて許すことはできない。

 有事立法攻撃と一体で労働組合破壊狙う

 さらに、与党3党声明が有事立法攻撃と一体の攻撃であることを弾劾する。
 声明が出された4月26日は、有事立法関連3法案が国会で審議入りした日だが、偶然の一致ではない。
 有事3法案の提出を前にして、辻元問題をもって社民党を屈服させようとした攻撃に続いて、今度は法案審議入りと同時に国労問題をもって社民党を揺さぶり、恫喝するという攻撃に打って出た。有事立法反対勢力を力ずくでたたきつぶす攻撃の一環なのだ。
 有事立法は、日帝・自衛隊が米帝との共同的=競合的な侵略戦争に突入するために、自衛隊の武力行使を首相大権をもって発動し、国家総動員体制をつくり出そうとするものだ。
 「武力攻撃事態法案」では、地方自治体とともに指定公共機関の戦争協力が義務づけられている。指定公共機関には当然JR各社が含まれる。現在でもJR各社は自衛隊法101条で自衛隊との協力が義務づけられ、軍事輸送を担わされている。有事立法の発動=侵略戦争においては自衛隊と米軍の軍事輸送を全面的に担う基幹的輸送会社となることは明らかだ。JR総連はその先兵だ。
 JR各社への協力の強制は、そこで働く労働者への協力の強制となる。これに従わない労働者への処分=首切りは不可避となる。その時に解雇撤回闘争を闘う労働者・労働組合が存在することは権力・資本にとって許されない。ましてストライキで軍事輸送を阻止するような労働組合は断じて容認できない。
 だからこそ、ここで1047人の解雇撤回闘争(動労千葉も含む)をたたきつぶし、国労・動労千葉を解体する攻撃に一気に踏み切ったということなのだ。そうした敵権力・資本の狙いはあまりにも明らかではないか。
 さらに、この与党3党声明は、02春闘での賃下げ・終身雇用制解体、労働組合破壊の攻撃と一体である。トヨタのベアゼロに始まり、電機などでの定昇解体・賃金カット、そしてJR各社もすべてベアゼロという02春闘の事態は、日帝総資本の意志である。「構造改革」と称して、戦後の労働者支配のあり方、戦後の労資関係の全面的な転換をなし遂げるという小泉の反革命攻撃そのものだ。
 今や、労働者の生活も権利も、団結も、帝国主義と真っ向から対決することなしに守ることはできない。
 まさにこの歴史的な一大資本攻勢と一体のものとして、国労と国鉄闘争、1047人闘争の解体のために襲いかかってきたのだ。
 この攻撃を打ち破って国鉄闘争の不屈の前進と国労の階級的再生をかちとることは、戦後最大の階級決戦としての有事立法決戦情勢のもとでますます重大な意義を持っている。爆発的勢いで立ち上がる陸・海・空・港湾労働者の最先頭に国鉄労働者が立ち、膨大な国鉄闘争支援陣形の労働者とともに、日本労働者階級の総決起を実現するのだ。
 そのためにも、3党声明を木っ端みじんに打ち砕かなければならない。

 「解決の最後の機会」と全面降伏する本部

 国労組合員の皆さん!
 しかし今、国労中央は全面的に屈服し、最後的に敵の軍門に下ろうとしている。そして闘争団と国労組合員のすべてを敵に差し出そうとしている。3党声明に全面的に応じ、臨時大会を開催し、裁判の取り下げと闘争団員の統制処分=除名を決定しようとしているではないか。
 高嶋委員長は3党声明の直後、「国労としては4党合意を受け入れるスタンスに変わりはない」と述べ、4月30日の「本部電送bQ37」では「この3党の声明を、4党合意に基づく『解決の最後の機会』として受けとめ……対応する」と表明したのだ。
 与党3党が4党合意を一方的に踏み破ってきているのに、なおも4党合意にしがみつこうというのだ。
 5月8日の北海道新聞と西日本新聞は、国労が5月27日に臨時大会を開催して「JRに法的責任なし」を再確認する方針であると報じた。だが、同日開かれた国労の全国エリア委員長・書記長会議および東日本エリア代表者会議では、具体的方針は出さなかった。
 国労中央は、7日に行われた自社協議で、自民党・甘利が「臨大を開け」と言わなかったことと、「解決案を出す」という担保を示さなかったことから、臨大開催を決定することを先延ばしにしたと言われる。
 だが与党3党が国労に突きつけた「2つの矛盾の解消」を決定することができるのは全国大会以外にない。甘利らはそれを声明文に盛り込んだり社民党に直接言っていないだけだ。それは、4党合意を不当労働行為として国労組合員が申し立てた労働委員会闘争で、千葉・大阪・福岡の地労委から証人請求された甘利が、より以上の不当労働行為責任の追及を恐れてのことに過ぎない。
 国労中央も、3党声明の激しさに動転し、ひとまず臨大開催を打ち出せないでいるが、14日の全国代表者会議で臨大開催を決定しようとしている。それ以外には3党声明にこたえることにはならないからだ。5・14全国代表者会議は重大な決戦となった。すべての職場・分会から怒りの声を上げ、本部に集中しよう。

 生活援助金の凍結を許すな

 国労中央は、この3党声明に先だって、闘争団に対する許しがたい攻撃に踏み込んでいる。
 3党声明の前日の4月25日、最高裁に訴訟参加している闘争団員と鉄建公団訴訟の原告の闘争団員に対する生活援助金の凍結と物資販売活動支援の除外を「指示75号」で正式に通告する暴挙に及んだ。
 これは闘争団員に対する組合員権の停止に匹敵する事実上の統制処分の発動にほかならない。物販やアルバイトで本当にギリギリの生活で闘い続ける闘争団員にとって月2万5000円の援助金が止められることは、「死ね」と言われたに等しい。兵糧攻めという最も卑劣な手段なのだ。断じて許すな!
 組合員の任意のカンパによる援助金を勝手に凍結する権利など本部にはない。毎月カンパを出し続けているJR本体の組合員からは本部賛成派でも絶対反対の声が上がっている。
 今や国労中央は、規約や査問委員会の手続きなど踏みにじり、「超法規的措置」をもって臨時大会での統制処分=除名までをも狙っているのだ。
 高嶋や寺内らは各地本に対するオルグの場で、「鉄建公団からは金は出ない。解決金はない」ということを公然と言い出している。まったくの「ゼロ解決」しかないことを百も承知なのだ(その場合には、組合からすずめの涙の金を出し、賛成派闘争団も切り捨てると言われている)。
 そして、今や最も犯罪的役割を果たしているのが革同久保一派だ。彼らはこの間、「2千万円、3千万円の解決金が出る」などと4党合意への幻想をふりまき、「裁判の取り下げは解決時」とペテンをろうしたり「4党合意の進展がないのは政府の責任だ」とILOへの申し立てを行うなどの革同の方針を国労方針にしてきた。
 与党3党声明が、このILO申し立てに激怒し、「組合員に対しては与党・政府から解決案が出るが如く宣伝して彼らの期待感を煽っている。このような国労執行部の対応は、単に自らの延命策を図るものであり……組合員とその家族の信頼を裏切るもの」となじっているが、それは、とりわけ革同に対する恫喝であり、もっと裏切りを徹底せよということだ。
 また、東京地本・酒田は「闘争団・家族が『人生を勝手に決めないで』と言うが、勝手に決めるのが労働組合だ。いやなら出ていけ」(3月の全国代表者会議)などと言って、最悪の闘争団切り捨て派として立ち現れている。
 高嶋・寺内らチャレンジ一派、革同久保一派、そして酒田一派らに国労の旗を汚されることを一日も許してはならない。彼らは、まさに「自らの延命策」のためには組合員を裏切り、国労などつぶしても構わないという連中なのだ。こんな裏切り者を一刻も早くたたき出し、なんとしても国労の旗を守り抜こう。
 すべての国労組合員の皆さん! 闘争団員の皆さん! わが革共同は、国労組合員の底力、階級的魂に絶対的な信頼を持っている。そして、1047人闘争が国家権力を追いつめてきたことに確信を深めている。3党声明は追いつめられた敵の最後のあがきでもあるのだ。3党声明を粉砕するならば、権力・資本の国労解体攻撃を打ち砕き、必ずや国労の階級的再生がなし遂げられると確信する。
 すでに勝利の道は切り開かれている。
 動労千葉の春闘ストライキは、ベアゼロ攻撃と第2の分割・民営化攻撃に大反撃をたたきつけ、JR総連解体ののろしを上げた。4・16国鉄闘争共闘会議の結成は、不屈の闘争団こそ日本労働運動再生の中心部隊であることを示した。鉄建公団訴訟や4党合意労働委員会闘争は敵を追いつめている。そしてメンテナンス合理化や度重なる処分攻撃に屈せずJR本体で必死に踏ん張り抜いている組合員の存在がある。
 この不屈の階級的魂を今こそ全面的に発揮し、3党声明粉砕―4党合意破棄、生活援助金凍結粉砕、高嶋―寺内執行部打倒、国労の階級的再生へ渾身(こんしん)の総決起をかちとろう。革共同は、その先頭で闘う決意である。

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週刊『前進』(2053号2面2)


 国労が4党合意の前提条件を成就する
 目に見えた結果を5月30日までに出さ
 なければ与党は4党合意から離脱する

 JR不採用問題に関する声明

   平成14年4月26日
     自由民主党
     公明党
     保守党

 1.いわゆるJR不採用問題については、平成12年5月の与党3党と社会民主党の合意である「JR不採用問題の打開について」に基づき、自由民主党、公明党及び保守党は、人道的観点から、政治解決を図るべく、努力してきたところである。

 2.この4党合意は、国労が「JRに法的責任がない」ことを組合員の総意として認めることを政治解決の前提条件としており、これは国労執行部も了解の上でなされたものである。そして、平成13年3月の4党協議会の場において、与党3党は、国労執行部に対して「国労が同年1月の大会でJRに法的責任がないことを認めたとしながら、引き続き裁判によってJRの法的責任を追及する姿勢を堅持する」という矛盾と「組合員の総意として認めることが前提でありながら、組織内を統一できていない」という矛盾を指摘し、国労執行部からは、その2つの矛盾の解消に向けて努力するとの回答があった。

 3.4党合意から間もなく2年が経過しようとしているが、これまで与党3党と社会民主党は、国労執行部による2つの矛盾の解消を辛抱強く見守ってきた。しかしながら、国労は、JRに法的責任がないことを認めたとしながら、引き続き裁判によってJRの法的責任を追及する姿勢を堅持するという言行不一致を未だに解消しておらず、さらには組織内をまとめるという点についても、4党合意賛成派が離脱する一方で、不採用関係者の約3分の1もの組合員が鉄道建設公団を相手取り新たな訴訟を提起するなど、むしろ矛盾は拡大している。このように、国労執行部が矛盾解消の責任を果たしていないため、4党合意による政治解決の前提条件は未だに満たされておらず、4党の協議は先に進むことができない現状にある。

 4.にもかかわらず、国労執行部は、ILOに対して、「与党が鉄道建設公団に対する訴訟を言い訳として取り組みを先延ばししている」「4党合意の進展がないのは政府の責任であり、JR及び政党に対して必要な指導を行っていない」などと、何ら根拠もなく与党・政府を非難して自らの責任を転嫁する申立てを行っている。その一方で、組合員に対しては与党・政府から解決案が出るが如く喧伝して彼らの期待感を煽っている。このような国労執行部の対応は、単に自らの延命策を図るものであり、与党3党と社会民主党の誠意及び組合員とその家族の信頼を裏切り、関係者のこれまでの努力を無にする行為であると断じざるを得ない。

 5.従って、4党合意の進展の遅れは、ひとえに国労執行部が矛盾解消の責任を果たしていないことに帰せられるものであり、与党としては、政治解決が進展するためには、国労執行部が前述の2つの矛盾を早急に解消して4党合意の前提条件を成就する目に見えた結果を出し、これが関係者に評価されることが必要であると言わざるをえない。この対応が4党合意から丸2年を経過する本年5月30日までに国労執行部においてなされない場合は、与党としては、4党合意から離脱せざるをえない。

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週刊『前進』(2053号3面1)

つぶせ 有事3法案 @
 有事立法を絶対阻め 朝鮮侵略戦争に参戦
 日帝の「独立・安全」を掲げ武力行使=侵略戦争を規定

 侵略戦争の切迫

 有事立法3法案の核心的な狙いは何か。それは米帝の中国・朝鮮侵略戦争に日帝が争闘戦的な生き残りをかけて共同的=競合的に参戦するために国家総動員体制を構築しようとする攻撃だ。
 小泉政権は、〃審議時間60時間→5・24衆院本会議採決”とも言われる超強行突破方針を取っている。なぜか。米帝ブッシュの対イラク、対北朝鮮攻撃の作戦計画の発動がすでにカウントダウン情勢に入っているからだ。情勢は実に切迫している。
 ニューヨーク・タイムズによれば、イラクのフセイン大統領打倒のためブッシュ政権が来年初頭に兵力7〜25万人を動員し、空爆や地上作戦などによる大規模攻撃を実施する作戦を立案中だという。
 さらに北朝鮮に対しては、強硬に核査察を要求。外務省幹部は「年内に北朝鮮が核査察受け入れの態度を示さないと、朝鮮半島に何かが起こるかも知れない」と言っている(日経新聞4・30付)。すでにブッシュ政権は国防総省に対し、イラクや北朝鮮を対象に、核兵器の使用計画策定と攻撃目標をピンポイントできる小型核兵器の開発を命じた。
 米帝と日帝は北朝鮮に対する食糧援助を一切停止し、世界食糧計画(WFP)は5月2日、北朝鮮の高齢者や中学生などへの食糧援助を停止すると発表した。現在食糧援助の対象となっている約640万人が飢餓に直面する可能性があるという。また日帝は今年に入って、KEDO軽水炉建設費の立て替え分の負担を中止した。軽水炉建設はとん挫しつつある。
 これに加えて日帝は、米帝の思惑をも超える形で、いわゆる「不審船」事件と「拉致疑惑」問題を政治焦点化させ、北朝鮮への排外主義的大キャンペーンと戦争挑発を行っている。そして何よりも小泉政権が有事立法の超強行突破を狙っていることこそ、朝鮮・中国をめぐる侵略戦争情勢を過熱化させているのである。
 その意味で有事立法3法案は、中国・朝鮮侵略戦争参戦法案、アジア諸国に対する武力行使法案だ。

 排除・終結とは

 実際、武力攻撃事態法案は「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保」(法案の名称・法案提出の理由、第一条)のために「自衛隊が実施する武力の行使、部隊等の展開その他の行動」(第2条6のイ)を定め、「事態に応じ合理的に必要と判断される限度において」(第3条3)武力の行使を可能にするとはっきり明記している。
 日帝の「独立」や「安全」を守るという口実で積極的に武力を行使するということは、紛れもない戦争、侵略戦争を行うということだ。現憲法の「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」(第9条)をそっくり逆転させるのだ。まさに日本が頭の先から足の先まで武装し、再び朝鮮・中国・アジア人民、パレスチナ・中東・イスラム人民虐殺の侵略戦争と世界戦争を行う帝国主義強盗として登場するということだ。小泉が連発する「テロも不審船も拉致問題も有事」「国家存立の基本」とは、テロ・不審船・拉致問題も全部、自衛隊の武力の行使で「解決」するということだ。「武力攻撃の排除や終結や回避」とは他国の軍事力を壊滅させるということなのだ。
 まさしくこの論理と法律で米帝の行う中国・朝鮮侵略戦争に共同的=競合的に参戦するのだ。武力攻撃事態の範囲を「おそれ」や「予測」に広げ、「周辺事態」も有事だとして参戦しようとしている。
 ここで強く指摘したいのは、この1〜2年のうちに米帝が朝鮮侵略戦争の作戦計画5027(100万人の死傷者が出ると公言)を発動し、日帝がこれに参戦する観点から法案が国会に提出され、審議が行われていることだ。法案の前に現実の侵略戦争計画があるのだ。有事3法案を阻止する闘いは、100万朝鮮人民虐殺の侵略戦争阻止をかけた命がけの闘いだ。

 人民虐殺と破壊

 米英を始め帝国主義の軍隊が、アフガニスタンで何をやったのか。
 アフガニスタン空爆の実相は、大半がB52爆撃機で無差別のじゅうたん爆撃や輸送機からの燃料気化爆弾などの超大型爆弾の投下だった。米英軍の空爆は、東京大空襲やスペイン内戦の時にナチスがやったゲルニカ空襲とまったく同じだ。戦闘員も民間人も老若男女の関係もなく無差別にアフガニスタン人民を虐殺していったのだ。
 そして最後はアルカイダやタリバンの兵士が立てこもる洞窟を、硫黄島や沖縄戦さながらに、ひとつずつしらみつぶしにせん滅していった。違うところは沖縄戦で米軍は、火炎放射器や手榴弾でガマ(洞くつ)を襲ったが、今日ではサーモバリック爆弾という殺傷能力がより確実な新型爆弾を使ったことだけだ。
 パレスチナのジェニンでは、米帝の先兵であるイスラエル軍が戦車と武装ヘリで侵攻し、難民キャンプを徹底的に破壊し500人を超えるパレスチナ人民を虐殺した。しかも虐殺したパレスチナ人の遺体を埋めたり、トラックで運び去るなど、大虐殺を隠ぺい・抹殺しようとしている。日帝による南京大虐殺の隠ぺいとまったく同じだ。これが現代帝国主義の本当の姿なのだ。
 そういう戦争を「テロ根絶」「悪の枢軸」と称してイラクやイラン、北朝鮮に対して今まさにやろうとしている。在日米軍が北朝鮮をじゅうたん爆撃し、超大型爆弾、核兵器さえも使用した戦争をやろうとしているのだ。この戦争に日帝が有事立法をもって参戦しようとしているのだ。

 世界戦争の時代

 歴史的没落を深める米帝は、帝国主義としての死活的利害をかけ、「悪の枢軸」「テロ根絶」を叫び世界中で侵略戦争を行い、さらに拡大しようとしている。そして対中国の世界大的戦争が米帝の新QDR(4年ごとの戦力見直し)の核心である。この米帝の世界戦争路線に他の帝国主義が必死に対応しようとしている。日帝はその敗戦帝国主義的な制約の一切を暴力的に打破し、侵略戦争と世界戦争を行う帝国主義として登場しようとしているのである。
 世界史は再び、帝国主義が軍事力によって、戦争によって勢力圏を確保し、他帝国主義をうち負かす時代に入ったのだ。全世界の分割・再分割戦として帝国主義強盗たちは世界中で侵略戦争をやろうとしている。第1次世界大戦や第2次世界大戦のような世界戦争の時代が現実化したのだ。
 世界危機が世界戦争に転化する過程が、今まさに始まっているのである。だから有事立法なのだ。こうした時代認識を鮮明にして有事立法粉砕の闘いに立つことが必要だ。
 帝国主義の世界戦争の時代は同時に、世界革命の時代でもある。パレスチナ人民の闘いを見よ。シオニスト国家イスラエルの解体と米帝の中東支配―世界支配を瓦解にたたき込む闘いをやっている。それはパレスチナ―世界の被抑圧民族の未来と解放をかけた闘いだ。日帝の新たな軍事大国化に怒る朝鮮・中国人民の怒りの声を聞け。闘うアジア人民、闘うイスラム諸国人民と固く連帯し、侵略戦争と世界戦争に突き進む帝国主義の打倒をかけて、有事立法攻撃を絶対阻止しよう。
 (片瀬涼)

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週刊『前進』(2053号4面1)

 有事3法案国会論戦を斬る

 自衛隊の朝鮮侵略戦争参戦のための有事立法の強行を許すな
 米日帝の北朝鮮先制攻撃が核心  「予測」「おそれ」で全面戦争突入

 5月7日、衆議院有事法制特別委員会で開始された有事法制3法案の国会審議は、与野党ともに法案の核心問題を隠ぺいする許しがたい茶番劇だ。実質審議第一日目の質疑応答を見ただけで、日帝が米帝とともに朝鮮半島に対する一大侵略戦争に突入しようと躍起になっていることが明白である。小泉らのきわめていい加減であいまいな答弁にはぐらかされてはならない。切迫する朝鮮侵略戦争阻止へ、そのための5―6月有事立法阻止・改憲攻撃粉砕決戦に立とう。以下、国会論戦の問題点を明らかにしていく。

 小泉が本気で戦争を決断

 中谷防衛庁長官は、「武力攻撃が予測される事態とは何か」と聞かれて、「自衛隊法に基づく防衛出動命令が予測される事態と同じだ」と答えた。さらに「では、防衛出動が予測される事態とは」という再質問には、「武力攻撃が予測される事態だ」と答えた。
 これではまったく答えになっていない。だが、このいい加減さこそ、武力攻撃事態法案の恐るべき狙いを示しているのだ。
 中谷は同じ答弁の中で、「武力攻撃が予測されるにいたった事態は、自衛隊法の防衛出動待機命令などを下令する事態、すなわち国際情勢などから、防衛出動命令が発せられることが予測される事態」であると答えている。ここにいう「国際情勢」とは何か。それは、米帝が北朝鮮などに対して侵略戦争を実際に発動する前夜を指している。
 この段階から日帝は、自衛隊に防衛出動待機命令を出し、予備自衛官を招集し、陣地を構築する。それと同時に周辺事態法を発動して自衛隊は米軍への全面支援を行う。そしてこの米軍・自衛隊の動向に対して、相手方に何らかの動きがあったときは、「相手の意図、軍事的行動などから判断して、武力攻撃が発生する危険が切迫している=おそれのある場合」ということで、「武力攻撃が発生した事態」と認定し、自衛隊の軍事侵略=「武力行使」を行うのである。
 小泉は、答弁の打ち合わせで「雪が降る」という事態を引き合いに出した。つまりこういうことだ。10%の降雪確率であれば、雪が降るおそれがある(おそれがある場合)。法案ではこれは「雪が降っている(武力攻撃が発生した事態)」中に含まれる。一方、「雪が降ると予測される(予測される事態)」というのは、雪雲の状況(相手の意図や軍事行動)に関係なく、傘を持って出る(防衛出動待機命令を出す)から雪が降る(相手が反撃する)と予測される、というのである。
 これを聞いて誰が納得できるか。だがこれが法案の武力攻撃事態の内容である。核心問題は、まず米軍と自衛隊が北朝鮮に対する戦争計画を発動し、全面戦争体制に突入するから、北朝鮮からの反撃=攻撃が予測されるということなのだ。そして、北朝鮮が偵察などの何らかの動きをしたら、それはおそれのある場合であり、武力攻撃に含まれるということなのだ。
 武力攻撃事態法案の前提には米帝の朝鮮侵略戦争作戦である「米韓5027計画」があり、米帝ブッシュの「悪の枢軸」論に基づく朝鮮侵略戦争路線がある。だからこそ日帝は有事立法の強行に突っ走っており、朝鮮侵略戦争に全面参戦しようとしているのである。
 98年に改定された作戦計画5027は、北朝鮮の側に攻撃の「兆候」が見えた段階で先制攻撃を加えるというものだ。この「兆候」というのは、米帝がどのようにでもデッチあげられるものであり、米帝が自分の都合で侵略戦争に突入するものだ。しかも改定版5027では、従来の5段階だけでなく、「戦争終結後の占領統治」という第6段階まで設定している。北朝鮮の体制転覆を狙う恐るべき侵略戦争計画だ。
 法案でいう「おそれ」とは、ここでの「兆候」に対応するものであり、この戦争計画実行の進行段階に応じて、「予測される事態」「おそれのある場合」「攻撃が発生した事態」と認定が進むのだ。
 つまり、有事立法の法案の前に米帝による朝鮮侵略戦争の具体的作戦を発動するという現実があり、それをすべて念頭において法案が作られたのである。この点をまったく突かない野党は、朝鮮侵略戦争を隠ぺいし、屈服するものなのだ。
 米帝の朝鮮侵略戦争は、すでに切迫している。米帝は、アフガニスタン侵略戦争に続いて、イラク、北朝鮮、イランへの侵略戦争を発動しようとしている。
 米帝が全力をあげた侵略戦争作戦を発動し、日帝・自衛隊が周辺事態法に基づいて米軍支援の行動を開始すれば、北朝鮮であれ中国であれ、反撃の体制をとるのは当然である。そうなれば米軍が北朝鮮への爆撃を開始し、自衛隊が「武力攻撃のおそれのある場合」といって防衛出動することになる。そして米軍支援の自衛隊への攻撃や日本国内でのゲリラがあれば、「武力攻撃」であるとして自衛隊も日本全体も全面的な侵略戦争に突入するのだ。
 小泉は、「平時から有事のことを考えよう」とか「備えあれば憂いなし」などといっているが、これは完全なウソ、ごまかしである。すでに米帝と共同的=競合的に朝鮮侵略戦争に突入することをブッシュとの間で合意しているからこそ有事立法を何がなんでも強行しているのだ。
 日本の労働者階級人民がどうするのかということが真正面から問われている。朝鮮人民の虐殺を絶対に許すな。日帝の戦争に加担して自らもまた殺されていくのか、それとも他国を侵略しなければ生きられない帝国主義を打倒し世界革命を実現し、労働者人民の新しい未来を切り開くのか。こう問題は突きつけられているのである。
 ところが日共の志位は、「武力攻撃事態法案の中におそれや予測の場合、武力行使しないという規定はあるのか」と質問した。だがそもそも武力攻撃事態法は「おそれ」の場合に武力を行使することをはっきりと規定しているのだ。「武力攻撃のおそれのある場合」は、第2条(定義)で「武力攻撃が発生した事態」に完全に含まれている。そして第3条で、「武力攻撃が発生した事態においては、武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結をはからなければならない」と武力行使を義務づけている。
 「先制攻撃を禁止する条項がない」(志位)どころか、「不審船」やゲリラなどあらゆる口実をとらえて、いや何もなくとも先制攻撃を行おうとしているのが武力攻撃事態法なのだ。志位はまさにこの点を見て見ない振りをして逃げ、朝鮮侵略戦争阻止の闘いをネグレクトしているのだ。

 労働者を根こそぎ戦争動員

 国会論戦における野党の無力さのもう一つの点は、有事立法3法案が、労働者人民を強制的に戦争に動員し、命を奪おうとしていることについて、何も問題にしていないことだ。
 日共の志位は、「武力攻撃事態では、憲法の保障する国民の自由と権利がどこまで制限されるのか」と質問した。だが「どこまで」とはなんたることか。「制限」そのものを認めてしまっているのだ。しかも「権利と自由が制限される」どころか、労働者人民は戦争に駆り出されて命を奪われるのだ。土地、家屋も奪われ、田畑は踏み荒らされる。協力を拒否した場合には刑務所に入れられるのだ。この点に対する激しい怒りと危機感がまったくないことは断じて許しがたい。
 武力攻撃事態法案は、地方公共団体や指定公共機関の責務を規定し、自治体労働者、医療労働者、運輸、通信、電気、ガスなどの産業で働く労働者の戦争動員を規定している。第2次世界大戦において海員労働者6万2000人以上が犠牲となったように、戦争のために必要だということで軍需物資を運ばされ、命を奪われていくのだ。あらゆる産業の労働者が侵略戦争への戦争協力を強制され、朝鮮・中国人民の命を奪う先兵とされ、自らもまた命を落としていくのである。
 さらに自衛隊法改悪案では、土地収用法の「適用除外」が規定されている。武力攻撃事態であると称して自衛隊が行動を開始した場合には、土地や家屋を使うといって、一切の抵抗を許さず暴力的に奪うということなのだ。そのほかにもあらゆる問題で自衛隊への法の「適用除外」と「特例」が規定されている。すべてが軍事優先になる、国家そのものが戦争国家になるということだ。
 同時に武力攻撃事態法案は、第8条で「国民の協力」(国民の責務)を規定している。
 もともとここは「責務を有する」という明白な義務規定として位置づけられていたところであるが、最後の段階になって「必要な協力をするよう努めるものとする」という表現になった。だがその本質が責務=義務規定であり、労働者人民に戦争協力を強制するものであることに変わりはない。「ボランティア」や「勤労奉仕」という言い方で、高校生なども軍需工場で働かされ、陣地構築、滑走路建設などで働かされる。しかも、建設現場では完成を急ぐために安全が無視され、次々と命が犠牲にされていく。まさに戦場で自衛官の命が次々と奪われていくのと一体で、後方で労働者人民の命が次々と奪われていくのである。
 そして、「国民の義務」=「国防の義務」とされ、徴兵制へと直結する。
 これほど重大な問題であるにもかかわらず、「国民の生命、財産を守るため」などというペテンを押し通そうとしている現実をどうして許せるか。
 野党の無力さにもかかわらず日帝はけっして余裕があるわけではない。何十万、何百万という労働者人民が国会を包囲し、全国で決起するならば、有事立法3法案を絶対に粉砕できる。5―6月有事立法阻止決戦に全力決起しよう。

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週刊『前進』(2053号5面1)

インタビュー @ 反対! 有事立法 −私はこう考える−
 自衛隊の朝鮮侵略戦争参戦のための有事立法の強行を許すな
 反戦自衛官 小多基実夫さんに聞く

 自衛隊を「皇軍」に仕立てる戦争法
 軍隊の権限拡大し総力戦体制  戦争勝つためには住民犠牲に

 今号から「反対! 有事立法――私はこう考える――」と題して、各界からの有事立法反対インタビューを連載します。(聞き手は、本紙・水野慶太)

――有事立法3法案が国会に提出されました。
 日本の国家の「独立」や「安全」を口実として朝鮮・中国に対して武力を行使するのが武力攻撃事態法案です。
 これまでは建前とはいえ「自衛隊は軍隊ではない」「専守防衛で外国は攻めない」という形で自衛隊や自衛隊法は現憲法からは例外的に存在してきました。ところが有事立法は、法体系の全体を他国、現実には朝鮮、中国への武力行使を行うための法体系に変えてしまうのです。「戦争の放棄」「軍事力の不保持」を規定する憲法を頂点とする法体系を、他国への武力行使を合法化する武力攻撃事態法を基本法とする有事法体系に組み替えるのです。
 だから既存の自衛隊法そのものも、「専守防衛」の自衛隊法から他国への武力行使のための自衛隊法という別の法律として位置づけ直されるのです。有事立法は、自衛隊法に戦争法としての生命力を吹き込むものでもあるのです。憲法前文の「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう……」という戦後日本のあり方の根本からの転換なのです。

 靖国神社参拝と4・29閲兵

――有事立法で自衛隊も変わる?
 自衛隊は創設から半世紀になります。自衛隊は、もちろん戦争を行うための軍隊なのですが、現憲法や労働者人民の意識との矛盾の中で、本当の意味で、戦争ができる軍隊としては成立していません。有事立法は、この自衛隊に「侵略軍隊」「内乱鎮圧軍」としての生命力を吹き込むものなのです。
 実際、有事立法の攻撃の中で、自衛隊に「皇軍」の魂を注入して侵略軍隊に仕立て上げようとしています。小泉首相は、4月16日の有事立法閣議決定−国会提出直後の21日に靖国神社を公式参拝しました。そして4月29日には東ティモールを訪問し、陸上自衛隊PKO部隊を最高指揮官として「閲兵」しました。4月29日は、昭和天皇ヒロヒトの誕生日です。かねてより自衛隊では4月29日は2月11日の紀元節とともに自衛隊にとって最も大切な日とされてきました。4月29日の「閲兵」は偶然ではありません。確信犯です。
 靖国神社の参拝も8月15日を「避けた」のではなく、もっと攻撃的な狙いがあるのです。特攻隊の歴史を賛美して「自衛官は国のために死ね」と公言する小泉首相は、最前線の戦場である東ティモールで陸自隊員を閲兵する前に、靖国神社を参拝する必要があったのです。
 自衛隊内の天皇に関する規定では、天皇と戦死した自衛官の棺(ひつぎ)に対してだけ45度の角度で敬礼することになっています。その他の者は誰であれ10度の敬礼です。地球上で生きている人に45度で敬礼をするのは天皇に対してだけです。これは法的な規定です。だから天皇に45度で敬礼しない自衛官は法律違反になるのです。いわば「不敬罪」です。これが自衛隊と天皇の関係です。小泉の4・29閲兵は、アジア侵略戦争をやるために「皇軍」の魂を入れようとしているのです。

 「歯止め」論は強盗の論理

――自衛隊が超法規的に行動しないように有事立法でシビリアン・コントロールを強めることが必要だという「歯止め」論が使われています。
 これは強盗の論理です。つまり「超法規的に自由に行動する」という内容に「合法」のお墨付きを与えて、すべての将兵と人民を従わせるのがこの論理の特徴です。そしてこの「歯止め」の限界を超えたら、また法律の方を譲歩させるというのが「歯止め」論の正体です。
 実際はまったく逆です。つまり新ガイドラインや作戦計画5027などの朝鮮侵略戦争計画に合わせて法律や国のあり方を変え、自衛隊に際限のない権限を与えることを合法化するのが有事立法なのです。軍隊に法律を従わせるのが有事立法の真の姿です。
 有事立法は、首相への権力の集中、自衛隊の人民に対する権限の拡大を意味します。他方で国会の無意味化ですから、明らかに国会の上に軍事の論理を置くものです。また情報を始め軍事の実態の一切を自衛隊に頼らざるを得ず、軍隊を外部から完全にコントロールできるというのは幻想です。有事立法でシビリアン・コントロールの強化というのはウソなんです。
 そもそもシビリアン・コントロール論自体が非常に問題があるのです。シビリアン・コントロール論の結論は、「軍部の独走を阻止するために、政府に絶大な権力を与える」という論理で、最高指揮官としての大統領ないし首相に独裁権限を集中し、そのもとに、国家総力戦体制を確立するのです。端的に言えば、シビリアン・コントロールが強調される米軍においてこそ、他民族人民への最も残酷な虐殺と破壊を繰り返し、世界大的な侵略戦争、恒常的な侵略戦争の継続が可能となっているではありませんか。
 つまりシビリアン・コントロールとは、軍隊の非政治性の仮象をつくりだして「軍服を着た労働者」である兵士の階級的思考を停止させ、支配階級の政治支配の道具とするためのシステムなのです。
 だから暴力を行使する現場である軍隊では、戦場でなくても日常的に「命令」で人間を動かします。背景説明など一切せずに一方的に「命令」します。質問も許されない。要するに自らに与えられた軍事行動の意味を考えさせない、判断させない、意志を持たず常に服従するロボットのようにするのです。武装した労働者人民である兵士を、自国民やアジア人民に襲いかからせるポイントはここにあるのです。

 有事は人為的につくられる

――小泉首相は「国民の生命や安全を守るために有事立法が必要だ」と言っています。
 有事立法は、人民の生命や生活を守る法律ではありません。軍隊の本来の目的は戦争に勝つことです。敵の継戦能力を奪い降伏させることに軍隊の目的があるのです。そしてそのためにのみ「敵の攻撃からの味方戦闘力の防衛」があるのです。味方の攻撃力に結びつかないものは守らない。だから住民は守らない。
 それどころか逆に、軍隊を守るために住民に銃を向ける場合さえあるのです。自衛隊法改悪案の第92条の3「自衛官は……隊員の生命または身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には……武器を使用することができる」の規定で、防衛出動前から武力の行使が合法化されています。
 「侵略やテロの被害に遭っている住民の生命や財産を守るために」との理由で自衛隊が陣地構築などのために土地の収用や立ち木の伐採しようとするとします。その時、住民が三里塚のように実力で抵抗したら「隊員の生命、身体の防護」という口実で人民に銃を向けるのです。また懲役などの罰則で脅すのです。
 そして有事は人為的につくられるのです。なぜ沖縄戦が起きたのか。それは国体=天皇制を守るために沖縄を捨て石にする作戦を立て、本土から多数の兵隊を送り込み、沖縄県民の極限的な戦時動員を行い、決戦をかまえたからです。当然、米軍も素通りしなかった。つまり日本が沖縄に決戦場を設定したから、米軍はあれほど激しく攻めたのです。
 有事とは、台風や地震などの自然災害とは違います。日本政府の計画と決定によって有事は引き起こされるのです。有事立法は戦争計画を実施するための法律なのです。
 いわゆる「不審船」事件もそうです。「不審船」問題は今に始まったことではありません。これまでは海上自衛隊も海上保安庁も警告を発して追い返していた。それを昨年12月は撃沈まで意識的に引き起こしたのです。これは今までの対応とはまったく違うわけです。それは小泉首相が「絶対に逃がすな」という命令を出したからです。「追い返せ」から実質的には「撃沈しろ」に変わっている。つまり意図して対北朝鮮、対中国の有事をつくりだそうとしているのです。
――戦争への国家総動員も狙われています。
 有事立法は、戦争を遂行するための「国内治安体制」と「戦時動員体制」の確立のためにあります。戦争は自衛隊だけではできません。戦争になれば自衛隊の輸送能力では全然足りません。民間の航空機や輸送船、鉄道やトラックを動員しないとできません。民間の空港や港も必要です。
 自衛隊法第103条は、土地の取り上げや労働者の徴用、物資の徴発を規定していますが、しかし、それだけにとどまりません。
 究極的には沖縄戦を再現する事態をつくりだすのです。沖縄戦では、食糧・物資・家屋など、あるものすべてが徴発され、子どもから高齢者まで兵士や軍属として戦争に極限的に動員しました。そして20万人の沖縄県民が犠牲になった。有事立法はこれを再現するのです。軍隊は住民を守るために存在していません。逆に住民をいかに利用(犠牲に)して戦争をやるのかを考えるのです。

 「戦争行くな」の訴えで懲役

――有事立法ができると自衛官は戦場に行くことになる。
 防衛出動命令を拒否した自衛官は7年以下の懲役か禁固刑です。これは自衛隊法第122条の規定です。しかも第122条は自衛官だけが対象ではありません。例えば防衛出動命令が出た時に、教育労働者が自分の教え子に「戦争に行くな」とか自衛隊を辞めるよう勧めれば、「教唆・ほう助・扇動・共謀」ということで、同じように7年以下の懲役か禁固になります。
 また即応予備自衛官の子を持つ親が、子どもに来た招集令状(書留郵便)を本人に3日以内に手渡さなかったら、あるいは仮に本人が行方不明でも警察から「行方不明」の証明がもらえなかったら、いずれも3年以下の懲役または禁固の刑になります。これは本人が招集から逃げた場合、家族が逮捕されるという人質の考え方で招集するということです。
 即応予備自衛官の本人が、けがや病気で出頭できない時も、医師の診断書とともに市長などの証明書がなければ、同じく懲役または禁固3年です。
 有事立法ができると、今まであまり問題視されてこなかった自衛隊法の条文も生きてくるのです。有事立法は絶対に阻まなくてはなりません。

●おだきみおさん 反戦自衛官。72年の沖縄のペテン的返還に反対し、自衛隊の沖縄派兵の中止や兵士の権利など10項目を防衛庁長官に要求した。写真は、防衛庁正門前で要求書を読み上げた時のもの。(72年4月27日)

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