ZENSHIN 2002/06/24(No2058 p06)

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週刊『前進』(2058号1面1)

有事立法廃案・小泉政権打倒へ
連合つき破り全産別で反戦闘争を
 米帝の世界戦争計画と対決し北朝鮮・中国侵略戦争阻止せよ

 有事立法粉砕決戦は、まさに強行採決か廃案かの大きな山場に到達した。「今国会断念」報道は、闘いの武装解除のための悪宣伝だ。政府は大幅会期延長を17日に最終決定し、有事立法の強行突破を依然として狙っている。6月下旬および7月が重大な対決点になった。日本中で有事立法反対の声が満ちあふれている。沖縄では8日に5500人の県民大会、2日名古屋で5000人、8日大阪で1万人、新潟で3500人、9日福岡で7500人が集まった。全学連は地方公聴会実力粉砕の闘いに決起した。この力で国会決戦に攻め上ろう。この力の高まりの中で、実力で、血を流すことも逮捕も辞さず、何がなんでも3法案粉砕、廃案をかちとる闘いを爆発させよう。6月16日に結集した全国の力を怒りの人の波として国会に押し寄せ、十重二十重に包囲し、必ず有事立法を粉砕しきろう。

 第1章 核武装化発言と防衛庁リスト許すな

 米帝ブッシュ政権は、世界戦争路線を確定し、アフガニスタン侵略戦争を継続し、イスラエル・シャロン政権の後ろ盾となってパレスチナ自治区に対する侵攻と虐殺の攻撃を展開させている。この中で、インド・パキスタンの対立を激化させ、核戦争の危機さえ生み出している。この危機は、本質的に米帝ブッシュの世界戦争路線が作り出したものであり、米帝こそが元凶なのである。
 米帝ブッシュは今、イラク侵略戦争に向かって懸命である。6月1日のウエストポイント陸軍士官学校の卒業式での演説は、フセイン政権の転覆を具体的に目標に置いたイラク侵略戦争の宣戦布告そのものだ。「最悪の脅威があらわになる前に取り組まなければならない」「防御の姿勢では勝つことはできない」という露骨な先制攻撃の言葉は、米帝がいかに対イラク開戦に全力を挙げているか、その不正義の侵略戦争の正当化に必死なのか、を明白に示すものだ。
 ブッシュは続いて6日の全米向けテレビ演説で、「米国本土の安全を確保する最善の道は、敵が隠れて計画を練っているところを攻撃することだ」「同時に、国土の防衛体制を強めていく」と述べた。先制攻撃を行う、それに対応した防衛体制の強化に取り組むことを宣言したのだ。いよいよイラクに対する、そして北朝鮮に対する侵略戦争の実行過程を進めるということの表明である。
 そして、ブッシュはテロ対策を統括する「国土安全保障省」を設置することを打ち出した。国内の排外主義攻撃、治安弾圧体制は格段に強化されており、世界戦争過程に突入した米帝の上からの内乱攻撃の激しさを示している。
 10日付ワシントンポスト紙は、ブッシュ政権が核の先制攻撃を含む新たな軍事戦略を検討中と報じた。また、7日には米帝は今年2回目の未臨界核実験を行った。米帝の世界戦争路線は、核戦争を想定して展開されているのである。
 イラク侵略戦争は切迫している。今年2月にブッシュが訪日した際、小泉との首脳会談で「われわれはイラクを攻撃する。間違いなくやる」と明言していたことが8日、分かった。これに対して小泉は「テロとの闘いで日本は常に米国とともにある」と答え、米帝のイラク攻撃に対する日帝の支持と参戦の意思を伝えたのである。
 この情勢が日帝を有事立法へと突進させているのだ。われわれは、日帝の有事立法攻撃粉砕の闘いの強化をもってこたえなければならない。
 こうした中で起きた福田官房長官の「非核3原則」否定=核武装化発言は超重要である。これは、日帝が有事立法をもって発動しようとしている北朝鮮・中国侵略戦争が必然的に激しいやり合いとなり、泥沼化必至であり、朝鮮半島全体から中国に波及し、北東アジアを大動乱にたたき込むものとなること、その大きさと危機性ゆえに核戦争を構えるということを、日本の帝国主義者自身が自覚しているということである。
 そもそも安倍晋三官房副長官が早大で「大陸間弾道弾を持つのは憲法上、問題ではない」「核兵器使用も違憲ではない」と発言したことが問題となり、福田がこれを擁護する過程で「『憲法改正』を言う時代だから、非核3原則だって、国際緊張が高まれば、国民が『(核兵器を)持つべきではないか』となるかも知れない」と「非公式」に語ったことが大問題になったものだ。
 しかし、このことをめぐる国会の集中審議での野党の追及は、福田を弾劾し引きずり下ろすものではまったくなく、福田や小泉に言いたい放題言わせて幕を閉じてしまった。ここで、福田は「それぞれの時代状況、国際情勢等を踏まえたさまざまな国民的な議論があり得る」と述べ、小泉は「将来の内閣にあれやれ、これやれと言えない」と言い、非核3原則が不変のものではないとした。何も反省していないし、撤回もされていないのだ。
 問題は、一般的抽象的な机上の論ではなく、北朝鮮・中国侵略戦争法案の強行突破の攻撃の一環として具体的・現実的なものとして福田発言が出てきているところにある。
 さらに防衛庁の組織的な情報公開請求者リストの作成の問題も許しがたい事態だ。それは、日帝・軍部において、侵略戦争主体への飛躍をなしとげる柱の一つとして、国家秘密=軍事機密保護の策動が強まっていることの現れである。これも有事立法情勢として起こっている事態なのだ。
 そして、そもそもリストをつくること自体が、人民を敵視するものである。防衛庁が身元調査、追跡調査を行い(そうしなければリストにならない)、請求者を監視と弾圧の対象とし、思想、信条の自由に踏み込んでいるのである。しかも陸・海・空の幕僚監部、内局、防衛施設庁にも資料が出回っていた(LAN=構内コンピューターネットワーク)というのである。完全に組織ぐるみの犯罪であることは明白だ。
 自民党幹事長・山崎らは、「自衛隊が情報を集めるのは当然」(9日、NHK討論)と開き直り、防衛庁に対しても事態を隠蔽(いんぺい)した調査報告を出すよう指示した。ここに示されるように、日帝は軍事情報は公開しない、公開を求める市民は危険分子として監視と弾圧の対象とする、ということに向かっているのだ。これこそ有事立法のもとでの軍隊と人民の関係を示している。有事立法粉砕闘争と小泉打倒の重要な一環としてこれを追及していこう。

 第2章 朝鮮人民の怒りの決起と連帯しよう

 日帝の有事立法攻撃に対して、南北朝鮮、中国、アジアの人民の激しい怒りと弾劾の闘いが巻き起こりつつある。香港では「有事立法反対」を掲げたデモが行われた。
 南朝鮮・韓国では、米帝と日帝の戦争計画に反対の声が上がっている。
 「戦争辞さずと公公然と宣布する米国の『不良態度』は、わが同胞の前に暗雲を告げ知らせる。アフガンを焦土と化した爆弾が、実際にわが同胞の住むこの場所に降り注ぐかもしれない。……民族が共倒れになってもかまわないというのか」「朝鮮民主主義人民共和国には戦争圧力を仕掛け、大韓民国には古い戦闘機を売ろうとするブッシュに、同胞の決意を思い知らせてやらねばならない」(ハンギョレ新聞2・6付)
 米帝ブッシュの北朝鮮侵略戦争攻撃に対して、韓国の労働者人民は、激しい危機感と怒りを爆発させて対決している。そして、その怒りはそのまま、米帝と共同して競合的に侵略戦争に乗り出そうとしている日帝に向かっている。朝鮮・中国人民に対して、侵略と戦争の歴史について何ひとつ謝罪も賠償もしないばかりか、またしても侵略戦争を仕掛けようとしている日帝。戦後憲法で「戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認」を明記したはずだったのに、禁止された「武力行使」の封印を解き、またしても朝鮮・中国に牙(きば)をむきだした日帝。
 この数年をとってみても、新ガイドライン=周辺事態法、国旗国歌法、「つくる会」教科書策動、小泉の靖国神社公式参拝(2回も!)、テロ対策特措法、そして今日の有事立法攻撃、メディア規制法案(言論弾圧法)、安倍・福田の「非核3原則見直し」=核武装化発言と、立て続けに朝鮮・中国・アジア人民、在日・滞日人民への脅威そのものである攻撃が加えられている。
 南北朝鮮人民、中国人民、アジア諸国人民の側に立って考えてみよ。日帝の戦争政策に対する怒りと危機感はすでに極点に達している。日帝をこのまま許しておくことはけっしてできないという気持ちをかきたてている。それは日本の労働者人民の決起を厳しく求めるものだ。この怒りの決起に心から、全力でこたえなければならない。
 さらに沖縄人民の有事立法に対する怒りと危機感から深く学び、ともに立ち上がることが重要だ。8日の県民大会は「沖縄戦を繰り返すな」の声が満ちあふれた。沖縄戦を体験し、あるいは親や祖父母の話から追体験してきた沖縄人民は、今それを生かさなかったら、その体験・追体験は無意味なものになってしまうという思いで立ち上がりつつある。この闘いと連帯して絶対に勝利まで闘おう。

 第3章 連合「見解」粉砕し広範な反戦闘争を

 労働者階級の力で有事立法を阻止するのだ、ということを身をもって示そう。
 国鉄決戦は有事立法粉砕決戦そのものとも言える闘いだ。国労解体を図る与党3党声明を粉砕し、権力の手先となった本部執行部を今こそ打倒し、闘う勢力の綱領的結集のスローガンである次の4本のスローガンのもとに闘おう。
 @与党3党声明の反革命を徹底粉砕しよう! A闘争団への生活援助金打ち切り・除名処分粉砕! B裏切り者をたたき出せ、闘う国労の旗を守れ! C動労千葉と連帯し1047人闘争勝利をかちとれ!
 有事立法賛成の連合の戦争協力宣言を粉砕しよう。労働者にとって耐え難い連合支配を打ち破り、全産別の中から有事立法反対、戦争動員拒否の反戦闘争のうねりを巻き起こせ。JR総連カクマルの一層のファシスト組合化を暴露し追い詰めよう。その力でカクマル中央派も打倒しよう。
 連合見解を評価する日本共産党スターリン主義の闘争抑制をのりこえて闘おう。大衆闘争の爆発は必ず内乱的発展、帝国主義権力との激突を生み出す。それは日共にとってあってはならないことだ。だから全力で闘争が爆発しないように動くのである。
 陸・海・空・港湾労組20団体の闘いの陣形をより強め、推進しよう。
 メディア規制法=言論弾圧法案(個人情報保護法案と人権擁護法案)を有事立法と一体の攻撃として重視し、必ず粉砕しよう。
 6月5日、カンパ禁止法=テロ資金規制法案が参院本会議で採決され、反対5で可決・成立した。なんと日共も賛成した。テロと結びつけてカンパした者も受け取った者も懲役10年以下、罰金1000万円以下の刑罰に処するという絶対に許せない悪法である。怒りをもって弾劾する。
 11日に開会した定例都議会で提出されようとしている「迷惑防止条例改正案」はきわめて重大な攻撃だ。「つきまとい規制」と称して、とりわけ労働運動を弾圧し、さらに学生運動、住民運動、市民運動を圧殺する攻撃である。警視庁の判断でどしどし弾圧できるとするものであり、ファシスト石原のもとで、有事立法・国家総動員の先端を行く攻撃が登場したのだ。全力で粉砕しよう。
 戦時の「病者」に対する隔離・抹殺攻撃である医療観察法案=保安処分新法を粉砕しよう。この攻撃に対する日共の屈服・加担、先兵化を許すな。
 有事立法と一体のまやかし司法改革を粉砕しよう。
 労働者の自己負担を来年度から3割に大幅アップする医療改悪法案の6・14衆院委員会単独強行採決を徹底弾劾し成立阻止へ闘おう。
 三里塚空港に対し、非人間的な爆音と排ガスのもとで、不屈に闘う三里塚農民と連帯し、支え、ともに闘おう。
 超長期獄中同志奪還の10万人署名と1億円基金の運動を強めよう。
 夏期一時金カンパ闘争に全力で決起しよう。
 本紙前号5面無署名論文で武装し、有事立法粉砕決戦を絶対廃案に向けさらに大爆発させ、広範な労働者階級人民との大合流をかちとろう。

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週刊『前進』(2058号1面2)

6・8北谷 “沖縄戦の道許すな” 廃案求め県民大会に5500人

 沖縄で6月8日午後、有事3法案、メディア規制法案の廃案を求める「戦争はダメ! 有事3法案の廃案をめざす県民大会」(同実行委員会主催)が開かれ、北谷(ちゃたん)町屋内運動場に県内各地から5500人が集まった。「あの沖縄戦を子や孫に体験させたくない」との願いから、家族連れがとても多い。
 沖縄労組交流センター、反戦共同行動委は全学連の1年生を先頭に参加した。有事法絶対阻止を訴えるビラは、参加者の手から手へ回され、熱心に読まれた。
 米軍基地建設に伴い村まるごと強制接収された読谷村の牧原(まきばる)区の住民30人も6日の区民総会で全会一致で採択した「有事法制反対」の決議文をもって参加した。集会に先立ち、自治労約千人が独自集会の後、デモ行進した。
 「母が亡くなった時、何ひとつ悪いことをしていないのに、どうしてこうなったのか、その叫びは声にもならなかった」――沖縄戦で両親と弟、祖母の家族6人を亡くした伊佐順子さん(71)が震えながら懸命に語る戦争体験に参加者は涙をぬぐいながら聞き入った。伊佐さんが「戦争のための法律をつくらせてはいけない」と訴えると、一斉に大きな拍手が寄せられ゛沖縄戦を繰り返すな″の思いがひとつになった。
 主催者として山内徳信呼びかけ人代表が、「おごれる小泉政権を許してはいけない。鉄の暴風が吹き荒れた沖縄、27年間の米軍統治を経験したこの島から、有事法制反対の意志表示をしよう」と呼びかけた。
 北谷町、西原町の町長も参加、開催地の辺土名朝一北谷町長が連帯のあいさつを行い、「この地は45年4月1日の米軍の上陸地点。有事法制に強く反対し、憲法9条の理念のもと、沖縄が平和であり続けることを願う」と訴えた。
 県民の声として、女性を代表して北谷町婦人会長の玉那覇淑子さんは「私たち女性は戦争に送るために子どもを生むのではない。愛するわが子や夫が戦場に駆り出されるのはごめんだ」と断言した。さらに、佐久川政一沖縄大教授が「この法律は戦前の国家総動員法に匹敵するもの」、謝花尚沖縄県マスコミ労協副議長は「戦争のために二度とペンをとらない、マイクを握らないという信念を貫く」と発言した。
 実行委を構成する団体、政党などから決意表明が行われ、平和市民連絡会の崎原盛秀事務局長は「アフガニスタンの民衆を大量に殺りくしながら、『悪の枢軸』だとさらなる攻撃が準備されている。アメリカこそが悪の枢軸。辺野古や浦添に新たな基地を造らせてはならない。お父さん、お母さん、子どもたちに銃を持たさせないため、立ち上がりましょう」と訴えた。
 大会決議(4面別掲)とスローガンを満場の拍手で採択。喜納昌吉さんが「すべての人の心に花を」を熱唱し、山内徳信さんの音頭でガンバローを三唱。
 最後に沖縄戦記録フィルム1フィート運動の会事務局長の中村文子さん(88)が閉会あいさつで、「沖縄が(戦争の)防波堤になるのはまっぴら。反対の声と怒りのこぶしをハンマーにして有事法制をたたきつぶしましょう」と、激しい檄(げき)を飛ばした。

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週刊『前進』(2058号1面3)

闘う労働者党建設へ絶大な夏期カンパを

 戦後最大の政治決戦である有事立法絶対阻止決戦は、いよいよ正念場を迎えています。朝鮮侵略戦争のための戦争計画に基づいて制定されようとしている有事立法は、戦後憲法体系を根底から覆すものです。革共同は、この有事立法阻止決戦を党創立以来の最大の闘いとして位置づけ、全力で闘っています。党と階級の総力をあげた闘いで必ず完全に葬り去らなくてはなりません。
 私たちの眼前でくり広げられている情勢とは何か? それは、まさにごく一握りの帝国主義による大多数の被抑圧民族への残虐きわまる侵略戦争の現実であり、資本家階級による労働者階級への抑圧と専制の政治にほかなりません。昨年の9・11反米ゲリラ戦とその後の米帝やイスラエル政府によるアフガニスタン、パレスチナへの戦争がそのことを示しました。
 有事立法は、こうした情勢の中で提出され、今や翼賛議会となった国会で形ばかりの審議が行われてきました。民主党はもちろんのこと、スターリン主義日本共産党、社民党、あるいは「革新」「左翼」を名のってきたすべての政党・党派が「テロの脅威から国を守れ」という排外主義、愛国主義に足元をすくわれている中で、唯一私たち革共同のみが、昨年の第六回全国大会で、戦争の帝国主義的性格を解き明かし、帝国主義による侵略と民族抑圧の事実を明らかにし、被抑圧民族の反帝・民族解放闘争と、労働者階級の闘いの正義性を明らかにして闘ってきました。
 有事立法攻撃下にあって、闘う労組と労働者を圧殺しようとする攻撃に立ち向かう国鉄決戦を見て下さい。数万の労働者人民が立ち上がっている反戦闘争の高揚を見て下さい。そして、ブルジョア法をも踏みにじって不当・無法に長期勾留されている獄中同志の闘いとその救援運動を見て下さい。私たちは常にそうした闘いのただ中で、労働者階級の前衛であろうとしてきました。
 すべての同志のみなさん! 労働者人民のみなさん!
 問われていることは、戦争を阻止していく闘いと同時に、一切の元凶である帝国主義を打倒し、帝国主義戦争をやめさせ労働者階級自己解放の未来を切り開くための真の労働者党の建設です。どんな権力の弾圧にも屈せず、非合法・非公然体制を堅持して闘い抜く強大な労働者党の建設こそが今、必要なのです。
 夏期一時金カンパこそは、まさにその党建設のための闘いであり、あらゆる人びとが参画できる闘いです。自らの収入だけではカンパのできない人は、党員となって、あるいは革共同になり代わってカンパを集めてください。決戦のただ中でこそ強大な労働者党を建設する闘いに、ぜひ参画して下さい。私たちは必ずその闘いにこたえます。

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週刊『前進』(2058号2面1)

連合の「有事法賛成」を粉砕し戦争法案阻止の壮大な決起を
 国鉄決戦貫き労働者運動再生へ
 革共同中央労働者組織委員会

 陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかけた5・24明治公園集会と、反戦共同行動委員会の5・26芝公園集会、そして5・27国労臨時大会の一連の過程は、日本の階級闘争の帰趨(きすう)を決する決戦として闘い抜かれた。有事立法決戦の本格的爆発とあいまって国鉄決戦が激烈に闘われ、両者は完全にひとつの攻防となったのだ。有事立法決戦が労働者階級の生死を分かつ巨大な位置を持つからこそ、それは必然的に国鉄決戦攻防と結合し、国鉄決戦を死闘戦的局面に押し上げたのである。両者はいずれも白熱的攻防の渦中にある。だが、2002年決戦が到達したこの歴史的闘いでさえ、世界戦争がすでに開始されている今日の恐るべき緊迫情勢の中にあっては、まだ端緒的なものに過ぎない。日帝は、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に共同的=競合的に参戦することに全力を挙げ、大反動の嵐の中に労働者人民をたたき込んでいる。日本労働運動は、700万労働者を組織する連合が侵略戦争法案に賛成を表明するという、きわめて重大な危機に直面している。労働者階級は、まさに断崖絶壁(だんがいぜっぺき)の危機に立たされているのである。だが、危機は好機でもある。革共同は、戦争か革命かがかかったこの情勢に飛び込み、血みどろになって格闘し、「連帯し、侵略を内乱へ」を掲げ、革命的祖国敗北主義を貫かなければならない。そのために、党の根底的変革と強靱(きょうじん)な団結をかちとらなければならない。6・16を頂点とする壮大な決起を実現した力を基礎に、連合指導部を打倒し、さらに巨大な決起をつくり出し、有事立法を実力で阻止しよう。これと一体のものとして国鉄決戦の不屈の前進を戦取しよう。

 連合が戦争協力誓った重大事態見すえよ

 今日の階級情勢を規定する決定的な問題は、連合が5月16日に「有事関連3法案に対する連合の見解」を打ち出し、有事立法率先推進の立場を公然と表明したことである。有事立法・国鉄決戦の戦略的展望は、これをいかに弾劾し、粉砕するかにかかっている。
 何よりも重大なことは、日本労働運動の最大のナショナルセンターである連合が、北朝鮮・中国侵略戦争法案に全面的に賛成したという恐るべき事実そのものだ。労働者階級は、この事態を真正面から直視しなければならない。
 戦後、労働運動と労働組合は、戦争に対する態度をめぐる激しい攻防、流動と再編を繰り返しながらも、〃戦争反対”をその存立の根本に置いてきた。
 総評労働運動の「ニワトリからアヒルへ」と言われる転換、すなわち「平和四原則」を掲げての左転換は、そこにはらまれていたスターリン主義的、社会民主主義的限界はあるものの、〃二度と侵略戦争を繰り返してはならない”という労働者の固い決意に支えられていた。この総評の左転換を主導したのは国労新潟大会における左派の歴史的勝利であり、国労が戦後労働運動の柱へと押し上げられたのも、このことを根拠としている。60年安保、70年安保・沖縄闘争においても、総評は反戦を掲げることで求心力を保ち得た。
 逆に言えば日帝は、労働組合を戦争動員勢力へと決定的に変質・転向させることを最大の目的にして、あらゆる攻撃を展開してきた、とも言えるのだ。その頂点にあったのが、80年代の臨調・行革、国鉄分割・民営化の一大反革命攻撃であった。当時、中曽根は「行政改革でお座敷をきれいにし、立派な憲法を安置する」とうそぶきながら、国鉄分割・民営化攻撃に突っ込んだ。その最大の狙いは、国労・動労千葉を解体し、総評を解散に追い込むことであった。連合は、こうした攻撃の中で生み出された。日帝にとってそれは、戦争に賛成する労働組合の登場と、それによる労働運動総体の制圧を狙うものだったのである。
 その連合がついに公然と戦争賛成を唱えたのだ。このことは、戦後労働運動をめぐる階級的激突が極点に達したことを示している。
 それは、さらに重大な意味をもっている。「挙国一致」で戦争体制を築くという日帝・小泉の意志に連合が積極的に迎合し、労働者の戦争動員の暴力的な貫徹を「労働組合」の名においてあからさまに宣言した、ということなのだ。
 与党は、野党の出席が得られなくても有事3法案の採決を強行し、5月末にも法案を衆院通過させることをいったんは決断していた。だが、4・19−5・24の20労組を先頭とした闘いの高揚に追いつめられた小泉は、5月16日の連合見解に飛びついて、有事立法強行戦略を転換させたのだ。「法案修正」をもって連合・民主党を取り込み、彼らの支持を取り付けて「挙国一致」の仮象のもとに有事立法を強行するということである。
 すでに米帝ブッシュは世界戦争に突入し、イラク・北朝鮮への侵略戦争へ真一文字に突進している。そうした情勢の中で、北朝鮮・中国侵略戦争への参戦体制を一刻も早く実効性あるものとして構築しなければならないという日帝の階級意志が、そこには強烈に働いている。小泉は、有事体制を真に確立するために、連合・民主党の取り込み策をより意識的に追求し始めたのである。
 労働組合を翼賛的に動員して初めて、侵略戦争は可能となる。逆に言えば、労働組合があらゆる弾圧に屈せず、階級の利害を押し貫いて戦争に反対するならば、侵略戦争は阻止できるのだ。だが、連合は労働者階級のそうした闘いを、自らの手で圧殺すると宣言した。連合見解の超反動性は、まさにここにある。

 挙国一致体制づくりを要求

 日本共産党=スターリン主義は、この連合見解を「有事3法案に反対するもの」などと描き出している。それは、天地を逆さまにするような暴論だ。
 連合見解の一字一句を見るならば、それが有事立法を徹底的に推進するものであることは明白だ。
 第一に、連合見解ほどあからさまに〃有事法案賛成”を表明したものはほかにない。それは、「現実的には可能性は少ないとしても、日本が武力による侵略を受けないという保証はなく、また大規模テロ、化学兵器、武装ゲリラ、サイバーテロあるいは大規模災害など、現行の対応システムによっては対処しえない緊急事態が発生した場合には……それらの緊急事態を速やかに排除し、国民の生活および財産を守り、基本的人権を尊重するため憲法の枠内での法整備は、基本的には必要である」と言明している。
 帝国主義者の「反テロ」宣伝のお先棒をかつぎ、「大規模テロ……」などと具体的な「緊急事態」を列挙し特定している連合見解は、法案以上に踏み込んで「武力攻撃事態」を拡大させているのである。そして、このような「緊急事態」を「排除」するとは、「おそれ」や「予測される」段階をも含んで、日帝の側からの武力行使、すなわち先制攻撃をしろということなのだ。また、こうした「緊急事態」の具体的列挙そのものが、帝国主義の侵略・民族抑圧と闘う被抑圧民族に敵対する、すさまじい排外主義の扇動なのである。
 この「連合見解」の反革命性は、有事3法案が北朝鮮・中国侵略戦争のための〈武力行使法〉であるという本質と核心を、百パーセント認めていることにある。いやむしろ、「武力攻撃事態」を具体的に特定することで、武力行使の「必要性」を法案以上に強調しているのだ。
 こうして連合は「武力攻撃事態」を無制限に拡大した上で、「この法案が想定するような緊急事態が起こらないよう平和外交を積み重ねる努力をすべき」などと言う。だがそれは、帝国主義侵略戦争のプロセスが「平和外交」という形態と口実によって準備され、遂行されることを容認するものにほかならない。
 また、「緊急事態におけるルールが明確になっていなければ超法規的措置によって対処せざるを得なくなり……法治国家としてふさわしくない」としているが、これは日帝の北朝鮮・中国侵略戦争が「超法規的」に遂行されることを完全に容認するものである。その上で連合は、〃戦争法を確立し、れっきとした戦争国家たれ”と日帝を突き上げているのである。
 さらに連合は、「政府は2年をめどに整備するとしている緊急事態に係わる法体系の全体像を国民の前に明示すべき」「どのような権利がどの程度『制限』されるかについて、明確にすべき」と言う。その点において「法案は不完全なものであり、全体像が明確になっていない」から「今国会で急いで成立をさせることは反対」としているのだ。
 それは、戦時において労働者人民の諸権利を全面的に否定する国家総動員体制の全体像が示されれば、連合は一も二もなくそれに賛成し、連合こそが戦争への労働者動員の最先兵になるという宣言だ。
 そして、実践的結論として、〃指定公共機関などでの戦争協力を労働組合として推進する”と誓っているのである。「連合にとってこの有事関連法案は、構成組織の組合員の生命、身体、生活に極めて重大な影響を与え、また組合員が働く職場についても緊急対処を余儀なくされる性格をもつものである」などと言いながら、具体的な戦争協力として、@「事態法第6条」による「指定公共機関」の「業務について必要な措置を実施する責務」、A自衛隊法第101条2項、同第103条による「協力の義務」と「従事命令」、B「事態法第5条」での「地方公共団体の責務」と「対策本部長(=総理大臣)」の「措置の実施の指示」を挙げている。
 ここで注目すべきは、法案が定める「責務」や「義務」、つまり労働者への強制的な戦争動員に対して、なんの異論もはさんでいないということである。
 そもそも、この恐るべき戦争法案に明示に反対しないということは、完全に賛成したということなのだ。連合は、労働者が職場で「緊急対処を余儀なくされる」と強調することで、労働者の戦争協力を労働組合として具体的に推進し、促進すると言っているのだ。
 連合が言いたいのは、〃有事立法を通すなら挙国一致でやるべきだ。労働者が「進んで国を守り」「喜んで戦争協力する」ような体制を築くために、連合にも一定の役割を与えろ”ということだ。それはまさに、現代の産業報国会としての要求だ。法案反対などでは断じてない。
 こうして連合は、戦争翼賛の労働組合へと完全な純化を遂げたのだ。

 連合見解を推進した自治労、日教組の転向

 この連合見解は、どのようなプロセスで打ち出されたのか。
 第一に、有事立法攻撃と一体のものとして襲いかかった02春闘での一大資本攻勢に、連合が全面屈服したという事態がまずあった。
 昨年10月、連合は日経連と「『雇用に関する社会合意』推進宣言」を結び、ベア要求放棄を決めて日経連の先兵へと転落した。
 この連合の屈服・裏切り・転向によって初めて、NTT11万人首切り−3割賃下げやトヨタのベアゼロ、電機などでの定期昇給凍結−賃金カットの歴史的大攻撃が可能となった。
 これらの大攻撃の集約点をなすものが、終身雇用制解体の攻撃である。終身雇用制、年功賃金制、企業別労働組合のいわゆる〃三種の神器”は、戦後的労働者支配のかなめをなしてきた。だが、それが逆に桎梏(しっこく)と化す中で、日帝はそうしたあり方を根底的に転換することをとおして労働者の階級意識を解体し、労働組合を絶滅する攻撃に打って出てきたのである。有事立法攻撃は、その上に成り立っている。連合は、終身雇用制解体の大資本攻勢に屈服した結果、有事立法賛成へと踏み切ったのである。
 第二に、連合見解の反動的布石として、99年の「連合政治方針」があった。
 これは、日米新安保ガイドライン−周辺事態法をめぐり、99年、労働運動の新たな流動と高揚が20労組を中軸として開始される中で、これを反動的に抑圧するために、その年の10月の連合第6回大会で決定されたものである。
 連合政治方針は、日米安保の承認、自衛隊の承認、さらに改憲の容認と「安全保障基本法」の制定を打ち出し、帝国主義的労働運動としての連合が一層の反革命化を推し進める決定的テコとなった。
 今回の有事法案に対する連合見解も、「武力攻撃事態の定義……など憲法の基本的な精神にかかわる問題を幅広く十分に議論する必要がある」と言い、連合政治方針が「改憲容認」の立場から「わが国の外交・防衛政策については……国土と国民の安全を確保する視点で国民的議論を起こし、国民的コンセンサスづくりに努める」としたことを、さらに反動的かつ実践的に踏み込んで確認している。
 重要なのは、この連合政治方針を後押ししたのは「連合政治方針見直しに対するJR総連の対案」だったという事実である。それは、安保と自衛隊の容認を公然と打ち出すことによって、連合のさらなる反動化を促した。しかもこの「JR総連の対案」は、国鉄決戦の前進と99年のガイドライン攻防の中でファシスト的正体を暴かれ、完全な孤立を強制されたJR総連カクマルが、その危機の中で自己を一層反革命的に純化させるものとしてあった。それは、JR総連カクマルの危機を沸点にまで高め、ついにカクマル中央派とカクマルJR総連派の分裂に発展した。そのことがまた、連合の危機と相乗作用をなしていったのだ。
 JR総連と連合のこうした危機がつくり出した空隙(くうげき)に、20労組陣形と、動労千葉を先頭とする国鉄決戦陣形が躍り出て、労働運動の戦闘化を激しく促しているのである。
 第三に、この連合見解を導き出した直接の要因は、自治労、日教組、全逓など旧総評大単産の動向であった。とりわけ自治労は、4月末に「有事関連三法案に関する自治労の基本的立場」を打ち出し、「『有事が起きた際に、超法規的措置や法制度上の不備等を未然に防止するために、法整備が必要』という考え方があることは認識する」として、有事3法案に全面賛成の立場を表明した。
 自治労という100万人を擁する連合傘下最大の単産が、戦争法案に公然と賛成したことは重大な意味をもっている。
 この背景には、昨年9月に明るみになった「不正経理問題」への国家権力の介入に対して、自治労幹部が全面投降したという経緯がある。権力は、自治労幹部を恫喝し、公務員制度改革の受け入れとともに有事立法への全面賛成を迫った。自治労幹部は、権力への命ごいのために、大失業と戦争の攻撃に組合員を差し出したのだ。
 有事立法下での労働組合の暴力的な破壊攻撃と、それに対する労働組合指導部の裏切りと転向が、連合を有事立法賛成へと突っ走らせた動力だったのである。
 さらに、日教組幹部も連合見解に賛成した。「教え子を再び戦場に送るな」を存立の根幹に置いてきた日教組が、それを投げ捨てて戦争法案に賛成したことは、きわめて重大な事態である。
 その後、20労組の集会に対して自治労幹部が「平和フォーラム」の集会をぶつけて妨害したこと(本紙2056号東山整一論文参照)は、完全にひとつながりのことである。
 したがって、有事立法決戦の爆発と労働組合の階級的再生という課題は、死活的かつ一体のものとして、労働者階級に問われているのである。

 労組圧殺攻撃粉砕し闘う国労の旗守ろう

 こうした攻防を、日本階級闘争の最深部における死闘戦として貫いているのが国鉄決戦だ。日帝・小泉は有事立法攻撃を推し進めるために、労働組合を暴力的に圧殺する攻撃を仕掛けている。5・27国労臨時大会で、国労本部に3与党声明の丸のみを強いた権力の攻撃は、自治労幹部の投降と屈服の様相と重ね合わせて見るならば、国労を有事立法に賛成する労働組合へと変質させる狙いがあったと言うことができる。
 5・27国労臨大は、3与党声明という問答無用の国労破壊攻撃との激烈な対決であった。3与党声明は、労働組合を恫喝し、暴力的に破壊するという、形を変えた有事立法攻撃である。この3与党声明を、国労本部はそのまま大会議案とし、その丸のみを強行した。たしかに原案は可決されたが、何ひとつ決着はつけられていない。国鉄決戦は、後戻りのない胸突き八丁の死闘へと突入した。
 臨大では会場内外で力の限りの反撃が闘われ、動と反動が極限的に激突した。闘争団は、さらに不屈に闘おうとしている。1047人闘争としての国鉄決戦の位置づけが明確にされ、闘う闘争団、JR本体、国鉄闘争支援勢力の三位一体の闘う柱が打ち立てられたのだ。
 臨大「決定」への総反撃の闘いはこれからだ。国労組合員の深部からの反撃は絶対に不可避である。次期定期大会に向け、国労内の分岐と対立はさらに激烈なものとなる。この攻防をとおして、国鉄決戦は日本労働運動の戦略的拠点として発展する展望を押し開くのだ。墓穴を掘ったのは、日帝権力・3与党、JR資本、チャレンジ、日共=革同、酒田一派らである。
 6月6日の4党協議で権力は、自民党・甘利を先頭に、「@夏の大会までに最高裁訴訟を取り下げる、A4党合意に反対し、新たな訴訟を起こした当事者を執行部がまとめ組織を統一する」ことを国労に要求した。闘争団の除名さえ、あからさまに突きつけた。鉄建公団訴訟の取り下げと闘争団を始めとする反対派の暴力的たたき出しを、権力は絶叫しているのだ。
 だが同時に、闘争団の不屈の決起と反対派の徹底抗戦によって国労の分岐がより激烈に発展し、1047人闘争が一層強固で不抜のものとして打ち固められることに恐れおののいているのである。
 これと真っ向から対決するためには、有事立法決戦と国鉄決戦を相互促進的に闘い抜かなければならない。3・30総行動を頂点とする02年春闘決戦は、有事立法との対決の始まりであった。そして、有事立法決戦の本格的爆発が国鉄決戦を新たな死闘戦に押し上げたのである。
 2002年決戦を有事立法・国鉄決戦の不屈で強大な発展としてかちとらなければならない。有事立法・国鉄決戦の戦略的展望は、まさに国鉄決戦そのものの不屈の前進によって切り開かれるのだ。
 有事立法決戦は、20労組陣形という比類ない戦闘性を持つ労働者隊列を生み出した。本来ならば20労組の「陸」の中心に座るべき国労は、4党合意による変質・解体攻撃にさらされ、執行部の際限のない屈服と裏切りにより断崖絶壁の危機に立たされている。しかしなお、闘争団を先頭に闘う国労の旗が必死に守り抜かれている中で、国労が再生され、20労組の柱として自らを打ち立てるならば、有事立法決戦を闘う労働運動の陣形は国鉄闘争支援陣形ともより緊密に結合し、さらに巨大な発展を遂げることは明らかである。
 有事立法攻撃の最中において、権力が3与党声明という新たな国労解体攻撃を仕掛けてきたのは、国労の持つそうした戦略的位置への恐怖があるからにほかならない。
 さらに、有事立法決戦における壮大な階級決起を、国鉄決戦勝利の力に転化しなければならない。有事立法決戦の発展に敵対する連合=民主党、日共スターリン主義、JR総連カクマルなどの制動・反動を打ち砕くことに、有事立法決戦の帰趨(きすう)と、労働運動の階級的再生の成否がかかっている。それは、労働者階級の命運を決する位置を持つ。そして、その攻防に真の決着をつける場が、国鉄決戦なのである。
 有事立法決戦においても国鉄決戦においても、日本共産党=スターリン主義の裏切りと敵対を打ち砕くことが緊急の課題となっている。日共は、有事法制に対する連合見解にいち早く賛成した。国鉄決戦においても、反動革同=日共がチャレンジなどの裏切りを背後から促進させ、その決戦局面においてついにむき出しの反革命として登場した。
 国鉄決戦にこそ、労働運動をめぐる動と反動の激突が凝縮されている。この激突に勝ち抜くことをとおして、20労組陣形のさらなる発展をも切り開く、より巨大な労働運動の分岐・流動・再編が引き起こされるのである。
 また、有事立法決戦を全力で闘い抜くことによって、国鉄闘争を先頭とした階級的労働運動再生の闘いも壮大な発展を遂げることができるのだ。

 連合足下から怒りの決起を

 連合が有事立法に賛成し、また国労執行部が国労自己解体に向けて裏切りを深めている情勢は、労働者階級にとってただならない事態である。
 だが、その逆流の中にあっても、労働者は不屈の決起を貫いている。それが労働運動の巨大な再編と流動を生み出している。その一つは、20労組を先頭に有事立法と対決する労働者階級の総決起が開始されていることであり、もう一つは、動労千葉のストライキ決起を先頭とする国鉄決戦の不屈の前進だ。有事立法粉砕の巨大なうねりを実現する勝利の突破口は切り開かれている。
 その上で、今、情勢を決するのは、連合見解を粉砕する、連合700万の下からの総決起である。労働者階級に問われているのは、700万労働者を組織する労働組合のナショナルセンターが、戦争翼賛の道に突進していることを許すのか否か、ということなのだ。煮えたぎる怒りをもって、この連合見解を粉みじんに打ち砕け。われわれは、その最先頭で闘わなければならない。そこに、一大資本攻勢の打破、「帝国主義を打倒する労働運動」の構築−階級的労働運動の再生のカギがある。
 今日の労働運動をめぐる大再編情勢は、革共同が先制的内戦戦略の第一段階、第二段階を血みどろになって闘い抜き、さらに5月テーゼ以降の苦闘を経て、第6回大会を戦取したことに根底において規定されている。われわれのカクマル打倒、JR総連打倒の死闘が、こうした勝利をもぎりとっているのである。
 だが、今日の情勢は、革共同にさらなるすさまじい飛躍を求めている。第6回大会において、21世紀の早い段階で世界革命を成し遂げると宣言したわれわれは、あらゆる苦闘を引き受け、突きつけられた飛躍をなんとしても戦取しなければならない。社・共に代わる真の労働者党として革共同がこの情勢に躍り出ることが、今ほど死活的に問われている時はない。
 階級の命運がかかった有事立法・国鉄決戦の勝利へ、退路を断って総決起しよう。

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週刊『前進』(2058号2面2)

東京都迷惑防止条例改悪許すな 戦時下の労働争議圧殺狙う

 有事立法決戦の真っただ中で、ファシスト石原東京都知事は、6月11日から始まった第2回定例都議会に迷惑防止条例改悪案を提出し、26日までの会期内に強引に成立を図ろうとしている。この迷惑防止条例改悪案は、「つきまとい行為等の禁止」という項目を新設し、「うらみ」に基づく一切の「つきまとい行為等」を禁止するなどとしているが、実際には有事立法攻撃下で、労働運動、学生運動、市民運動の存在そのものを一切許さない攻撃だ。
 迷惑防止条例改悪案の目的は、動機の項目を見ればよくわかる。そこでは、「職場、学校、地域社会等における関係、売買、雇用、賃借関係等の契約関係……に起因するねたみ、うらみその他の悪意の感情を充足する目的」に基づく「つきまとい行為」を禁止するとなっている。「職場、学校、地域社会における関係」「雇用等の契約関係」などの文言の中に、この改悪案の狙いが鋭く示されている。労働運動、学生運動、市民運動などの一切の抗議行動を圧殺し、労働者を暴力的に戦争に動員しようとする攻撃なのだ。
 特に、この改悪案のどす黒い狙いは労働運動の破壊と争議行為圧殺にある。これまでも資本と権力は、争議行為圧殺のためにむき出しの刑事弾圧とともに「間接強制」という手段を使ってきた。間接強制とは、組合の正当な団交要求行動から逃げ回る資本を裁判所が擁護し、「(経営者の)自宅から半径100bの範囲内に立ち入り演説をし、シュプレヒコールなどを行ってはならない」などという禁止命令を出して、労組がこれに違反すれば、「1回(あるいは1日)金○○円を支払う」ことを組合に強制するものだ。「〜してはならない」という不作為命令の執行方法として、民法で規定されている。
 間接強制を労働争議に適用すること自体、民事免責否定の攻撃だが、それが民事上の攻撃であるのに比して、今回の改悪案は、罰則を6カ月以内(単純)または1年以内(常習)の懲役とし、むき出しの刑事弾圧を行うところに凶暴な本質がある。しかも新設される第9条「警視総監等の援助の措置」は権力の直接の介入を規定しているのだ。
 争議行為における刑事免責と民事免責は、憲法第28条と労働3法において団結権・団交権・団体行動権を保証する根本的な規定だ。3月27日の全逓4・28懲戒免職処分裁判の東京地裁反動判決でも、争議行為を犯罪行為のように扱う刑事免責否定の考えが貫かれている。さらに、有事立法攻撃と一体の司法制度改革攻撃においても、その重大な柱に労組法改悪=労働者の団結権否定がある。ファシスト石原がこれらの流れにさおさし、刑事免責と民事免責を首都東京で全国に先がけて破壊し、労組法改悪の突破口を開こうというのが今回の攻撃の核心だ。
 有事立法攻撃と一体の迷惑防止条例改悪を有事立法決戦の大爆発の中で粉砕しよう。ファシスト石原都知事を打倒しよう。

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週刊『前進』(2058号3面1)

有事立法推進の「連合見解」粉砕せよ
「自衛権に基づく法整備」に賛成した自治労中央弾劾!
 連合の足元から大反乱を
 マル青労同自治体労働者委員会

 労働組合の名で戦争に協力する大裏切り

 有事立法をめぐる攻防は、重大な局面を迎えた。小泉内閣は、会期の大幅延長をもって、有事立法3法案の衆院通過強行をあくまでも狙っている。これに対して、陸・海・空・港湾労組20団体を先頭に、有事立法絶対阻止へ闘う陣形が巨万の規模を展望しつつ、労働運動の側につくられつつある。
 このような情勢の中で、連合は、有事法制賛成の見解をまとめ、発表した。この連合見解を完膚(かんぷ)なきまでに粉砕し、連合傘下の単産・単組から巨万の規模の有事立法阻止の闘いをつくり出さなければならない。連合の足元からの大反乱の組織化と20労組への合流こそ、有事立法阻止の最大のかぎである。
 有事立法3法案は、日本が北朝鮮・中国侵略戦争を行うための法案である。武力行使を明記し、日本のあらゆる戦争行為(=侵略・侵攻・占領)を無制限に合法化する、戦争法案そのものである。憲法を停止し、国家総動員体制・戦争突入遂行体制へと移行するための法律であり、労働者・民衆に戦争協力・動員を強制する内容である。
 これに対して、連合中央は5月16日、「有事関連3法案に対する連合の見解」をまとめ、発表した(以下、連合見解と略)。骨子は次のとおりだ。
 ア、日本が侵略を受けないという保証はない。
 イ、大規模テロ、化学兵器、武装ゲリラ、サイバーテロ、大規模災害など、現行の対応システムで対処できない緊急事態が発生した場合にどうするのか。
 ウ、アとイのような場合には、警察・消防と自衛隊の役割を明確にし、シビリアンコントロールを堅持しつつ、それらの緊急事態を速やかに排除する(ことが必要)。
 エ、そのための法整備は、憲法の枠内で、基本的には必要である。
 オ、緊急事態におけるルールが明確でなければ超法規的措置によって対処せざるをえない。
 カ、この法案では、全体的な法体系が示されていない。
 キ、国民の自由と権利がどこまで保障されるのかまったく不明。
 ク、その点から本法案は不完全なものであり、全体像が明確でなく、総合的な評価・判断ができ得ない。
 この連合見解は、小泉内閣による有事立法3法案の超反動的趣旨説明とまったく同一である。「現行システムで対処できない緊急事態」などと称して、災害対策と戦争を意図的に絡め、「緊急事態の速やかな排除」を打ち出した。戦争への突入という有事法制の核心を「緊急事態の排除」なる言葉でごまかし、欺き、その実、支持し、推進する立場である。゛武力行使法″としての有事立法に全面賛成したのである。
 さらに、政府に対して、より包括的・体系的な法整備と全体像の「国民への明示」を要求しているのだ。
 連合見解は、労働組合の名をもって、有事立法に賛成・推進の立場を明らかにした画歴史的に反動的なものである。

 改憲−安保基本法構想進める自治労中央

 そして、さらに重大なことは、自治労中央と日教組中央が、この見解を支持し、有事立法賛成の立場を明らかにしたことである。連合第8回中央執行委員会で、海員組合が有事立法反対の立場を強力に表明したにもかかわらず、自治労と日教組は沈黙した。そもそも、この連合見解は「自治労の基本的立場」なる文書を基に作成されている。
 では、自治労の「有事関連3法に関する基本的立場について」とはどのようなものなのか。
 (1)自衛隊・安保について
  ア、自衛隊の組織再編と別組織による国際紛争の解決。
 イ、国連中心の安全保障システムの確立(および日本の参加)。
 (2)有事法制について
 ア、「主権国家としての当然の自衛権に基づく法整備」「有事の際、超法規的措置や法制度上の不備を防止するために法整備が必要」という考えがあることを認識する。
 イ、武力攻撃事態の拡大解釈への懸念。
 ウ、国民の自由と権利に関する手続の中身への懸念。
 エ、「国民の協力義務」に伴う生命の危険に関する懸念。
 自治労の基本的立場は、上記(2)アに示されるように「主権国家としての当然の自衛権に基づく法整備」を完全に容認(=支持・推進)するということである。自国の政府が「攻められたらどうするか」と恫喝を加え、戦争を行える国家総動員体制をつくろうとしている時に、「自衛権に基づく法整備」つまり戦争発動を認めたのが、今回の「基本的立場」である。戦争を前に「侵略戦争ならばNOで、自衛のための戦争ならばOK」という立場とは、労働組合としての立場を最後的に投げ捨て、帝国主義の戦争政策、戦争国家づくり、労働者の戦争動員のための最悪の先兵へと転落したことを意味する。
 自治労は、「平和フォーラム」を軸にして取り組みを進めようとしている。「平和フォーラム」運動とは何か。その行動綱領は「人間の安全保障」と「平和基本法」制定要求である。「人間の安全保障」とは、「9・11」に驚愕(きょうがく)した連合・自治労中央が、戦争突入という現実に動転して、階級的激突をカモフラージュするために日帝・外務省の肝いりでつくり出した、体制的反動イデオロギーである。有事法制に反対ではなく、階級性なき「平和運動」にこそ目的がある。その「平和フォーラム」事務局長に、不正経理問題で自治労中央の書記長を解任されたばかりの福山真劫が4月末に着任した。自治労中央をとおして連合全体を戦争翼賛団体にもっていこうという意図が明らかである。
 また「平和基本法」とは「安保基本法」そのものであり、改憲―安保基本法構想と発想においてまったく同じである。最後の社民的反動として立ち現れている。「平和フォーラム」行動綱領とその中軸にある自治労中央を徹底的に批判しなければならない。

 県本・単組・支部などで反対決議あげよう

 この連合見解を受けて小泉首相・官邸は、一度は決定した有事立法の審議日程(5月末地方公聴会、衆院強行採決)を白紙に戻して、与党単独採決の回避、民主党(の一部または大半)の巻き込みを狙う方針に転換した。民主党のバックである連合を体制に組み込み、与野党の基本的一致(=社民党・日本共産党を除いて)をもって、有事立法を推進する方向を確立したのである。
 有事立法の攻防は、連合と労働組合をめぐる攻防を焦点化している。
 総評労働運動の〈直系〉である自治労・日教組の中央が有事立法賛成の立場に移行したということは、労働組合の中に巨大な亀裂と流動化を生み出さずにはおかない。本来、有事立法攻撃は、労働者の戦争への総動員攻撃であり、労働組合の立場からは絶対阻止以外にいかなる立場もあり得ないのである。
 今や、労働者としての最低限の権利をも許さないという厳しい資本攻勢のもと、日帝は労働組合解体の攻撃に踏み込んでいる。国労に対する与党3党声明を見よ! 国家的不当労働行為と首切りの承認、解雇撤回闘争の中止、要するに労働組合の名において、労働組合としてのあり方を捨て去る機関決定をやれ、と要求しているのだ。これは有事立法下の労働組合つぶしの実態であり、核心である。これは国労だけの問題ではない。自治労にも同様のことが突きつけられており、自治労中央も国労中央の進んだ道を進もうとしているのだ。
 こうした中で陸・海・空・港湾労組20団体は、ナショナルセンターを超えた有事立法粉砕の大統一戦線を呼びかけている。そして、戦争動員阻止の闘いを貫こうとしている。自らの職場・業務の戦争加担を阻止しようとしている。ここに、20労組の労働組合としての普遍性と求心力が存在するのだ。有事立法に無関係な労働組合はひとつもないのである。
 このような情勢の中で、自治労・日教組の中央は、傘下の労組・労組員が20労組の呼びかけにこたえて合流することを必死で阻もうと、上からの制動をたくらんでいる。この制動を決定的に打ち破らなければならない。今こそ、20労組の呼びかけにこたえ、労働組合を反戦闘争に組織しよう。自治労中央、「平和フォーラム」中央を徹底批判し、自治労の中から20労組への大合流をつくり出そう。
 ゛20労組に続け″を合い言葉に自らの県本部・単組・支部・分会で有事立法阻止の決議を上げ、有事立法・改憲反対の署名運動を進めよう。労働運動総体の階級的再編と自治労再生をかけて、有事立法阻止決戦を爆発させ、絶対に廃案をかちとろう。

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週刊『前進』(2058号3面2)

有事立法−教基本法改悪阻止を
 日教組本部は「教え子を再び戦場に送るな」を破るのか!
 マル青労同教育労働者委員会

 「憲法の枠内で有事立法を」と連合見解先導

 5月16日、連合は「有事関連3法案に対する連合の見解」を決定した。この見解の歴史的重大性は、「(大規模テロ、武装ゲリラなどの)緊急事態を速やかに排除する法整備は必要」と言い切った点にある。武力攻撃事態法の核心である「武力攻撃事態の排除」の名による海外での本格的な武力行使=侵略戦争を支持することを表明したのだ。
 朝鮮戦争下の一時期を除いて、日本の労働組合のナショナルセンターが戦争支持を表明したことはない。結成間もない総評は、「国連軍支持」を表明したが、国労などで「平和4原則」を相次いで決定、「ニワトリからアヒルへ」の転換がかちとられていった。1951年1月、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを掲げ、総評傘下単産でいちはやく平和4原則を決定したのが日教組だった。
 連合は、結成以来、安保・自衛隊容認をその政治方針としてきたが、今やあからさまに「対テロ戦争」支持を表明したのだ。日帝が今まさに引き起こそうとしている朝鮮侵略戦争を支持しこれに協力するという立場を打ち出したのだ。
 この見解を契機に、国会情勢は、民主党を取り込んだ挙国一致的成立へと展開し始めている。戦争突入の現実性が、一挙に高まったことを見すえなければならない。
 断じて許せないことに、この見解を論議した連合の作業委員会で、日教組中央は、自治労中央とともに「憲法の枠内での」という文言を盛り込むことを条件にこの見解に賛成した。だが「憲法の枠内の有事立法を」などというのは改憲論への転落以外の何ものでもない。「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンは、今危機にひんしている。

 愛国心と国防教育を強制する教基法改悪

 有事立法攻撃下で教育はどう変えられるのか。
 まず、指導要領に「戦争協力は国民の義務」と盛り込まれ、国防教育が強制される。「つくる会」教科書に示されるように、侵略思想の注入と愛国心教育が一挙に強まる。遠山文科相は、大学など学校教育機関も武力攻撃事態法に規定する「指定公共機関」となると答弁している。ボランティアの名による生徒の戦争協力への駆り出しは、震災対策の名による治安出動訓練で先取りされている。
 「良心的戦争協力拒否も処罰の対象となるか」という質問に中谷防衛庁長官は「内心には関係ない。同じ日本人として協力するのは当然だ」と言い放った。処分をふりかざした職務命令による「日の丸・君が代」攻撃こそ、教育労働者に戦争協力を強制する攻撃の先取りだったのだ。
 戦前の学校教育は、中国侵略戦争突入下で国民精神総動員運動の拠点となり、戦争の全面化の中で国家総動員体制の中軸を担った。教師たちは、学級に割り当てられた数だけ満蒙(まんもう)開拓義勇軍や予科練に子どもを志願させる「死の手配師」となり、学徒勤労動員や女子挺身(ていしん)隊を指揮する軍需工場の監督官となった。有事立法体制下で、教育が次なる攻撃の焦点となることは必至だ。
 果たして、教育基本法改悪の動きは、一気に加速してきている。中教審の基本問題部会は、第7回から教基法見直し論議に入り、中教審総会で見直し案が提案されようとしている。自民党の特命委員会も法案づくりに着手し、今国会中に中間報告、秋に最終報告をまとめ、来年の通常国会での法改正を目指すという。中教審では、文科省の部分改正の思惑をも超えて全面見直し論が噴出しており、教育勅語賛美の発言も飛び出している。
 教基法改悪の最大の狙いは、前文・1条の「真理と平和を希求する人間の育成」「日本国憲法の精神に則り」などの「教育目的」を国家主義へと大転換させ、10条の「教育は、不当な支配に服することなく」という規定を教育振興計画の根拠のようなものに換骨奪胎し、無制約の権力支配に道を開くことにある。教基法の明示の改悪は、改憲に直結する大攻撃であるというだけでなく、それ自身が平和教育と日教組への一斉攻撃の合図となることは火を見るよりも明らかだ。
 教基法改悪に正面きって反対せず、教育予算拡充運動にすり替える日教組本部の制動をのりこえ、現場から《戦争に向けた教育改悪》に怒りと危機感を爆発させよう。

 20労組に合流し教育の戦争協力拒否貫け

 今、教育労働者には、人事考課制度、主幹制度、自主研修権はく奪など、超ど級の攻撃が次々と押し寄せてきている。その狙いは教育労働者の職場支配権を解体し、管理統制を強化して、教育を戦争国家に奉仕させることにある。
 有事立法攻撃下で戦後労働運動そのものの存亡をかけた激突が開始されている。自治労には本部の腐敗をついた脱税事件による刑事弾圧が加えられ、教組には、時間内組合活動や教員追加配置が「違法」「不正」だとして組織破壊と地教委統制を狙って巨額の賃金返還請求がかけられている。広島、三重、北海道と続いた文科省による「是正指導」は、全国に拡大し、教育委員会と教組でとりかわされてきた協定・確認書は次々と破棄され、会計検査院も全国調査にのりだしている。4党合意―与党声明による国労解体攻撃こそ、戦時体制下の労組解体攻撃の最も凶暴な現れだ。
 企業再編や倒産攻撃として労働組合もろともぶっつぶす資本攻勢と公務員制度改革は、新たな「ドッジプランと定員法首切り」=戦争前夜の労働運動解体攻撃なのだ。「指導力不足教員」の名による平和教育弾圧として、教員へのレッドパージも始まっている。
 こうした攻撃に震え上がった自治労本部、日教組本部、国労本部の屈服が、連合見解に示される労働運動のなだれうつ産業報国会化をつくり出している。
 だが、これを打ち破り、周辺事態法―武力攻撃事態法の発動をゼネストで阻止する闘いの陣形と展望もまた陸・海・空・港湾労組20団体陣形として形成されつつある。
 教育労働運動の命運は、有事立法制定を阻み、その発動を阻止する労働運動、帝国主義と対決する労働運動の発展と一体である。20労組陣形に合流する中から、日教組運動の原点が発揚され、教育の戦争協力拒否を貫く力が必ず生み出されていく。
 とりわけ、平和教育を守るために奮闘し、「日の丸・君が代」攻撃への抵抗を貫いている教育労働者に訴えたい。1930年代、中国侵略戦争下で反戦教育実践に取り組んだ戦前の教育労働運動の敗北をのりこえる道は、階級的労働運動の防衛と発展の中にある。有事立法攻撃下の「日の丸・君が代」闘争は、戦争協力拒否の反戦闘争として労働者連帯のもとに闘われることで永続的発展が切り開かれていく。
 教基法改悪反対運動も、有事立法阻止闘争の爆発の度合いに応じて、改憲阻止決戦としての全人民的爆発が切り開かれる。教育労働者こそ有事立法反対闘争の先頭に立とう。
 日教組本部の連合見解支持を弾劾し、各県から20労組陣形に合流しよう。「対テロ戦争」の正体を暴露し、平和フォーラムの国益主義と対決する朝鮮・中国侵略戦争阻止闘争をつくり出そう。

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週刊『前進』(2058号3面3)

全金本山夏季物販アピール 首切り許さぬ団結広げよ

 戦後史を画する有事立法粉砕決戦の真っただ中で、全金本山労組の夏季物資販売・カンパ闘争への決起を訴える。
 全金本山労組は、昨年5月の仙台地裁での和解打ち切り以降、別棟就労事件本訴を進めてきた。別棟就労とは、73年7月に会社が「ロックアウトを解除する」として「別棟(第2工場)就労」を命令・強要してきたものだ。
 これについて、会社側は4月に150ページもの長大な「準備書面」を仙台地裁に提出した。それは「全金労組の行為は、組合活動とか争議行為とかという範疇(はんちゅう)には到底含まれないものであり、暴力至上主義的政治活動であり、反社会的組織暴力以外の何ものでもない」「革命の前提としての政治闘争、階級闘争を企業に対して挑み、……組合活動あるいは、争議行為として容認される限界をはるかに超えるもの」だから、別棟就労命令は「企業維持の見地から必要な配慮」と主張している。
 まさにデマとねつ造だけでできた許すまじき作文だ。青柳充氏への懲戒解雇攻撃=組合つぶしが破綻(はたん)するや、右翼・暴力ガードマンを導入し、職場に乱入して組合員に襲いかかり、リンチを行ったのは誰だ。ロックアウト以降の門前では、警察の面前で就労を求める組合員にテロルを繰り返し、組合員、支援に数百人もの負傷者を出した責任は誰にあるのか。「反社会的組織暴力」というのは、本山資本の32年間の姿ではないか。
 この卑劣な作文は本山資本の悲鳴と権力への哀願でしかない。資本は恐れおののき、もはやなすすべがないところまで追いつめられている。ただただ「治安問題」として国家権力にすがるしかないのだ。
 確かに、32年間「一人の首切りも許さない」を貫いてきた本山闘争が勝利することは、日帝にとって治安問題だ。それならば今こそ本山闘争の勝利をかちとり、戦争と大失業攻撃を打ち破る労働運動の高揚を切り開こうではないか。
 本山資本を支えてきたみずほ銀行(旧富士銀行)の危機は決定的だ。6・25みずほ銀行株主総会闘争から、大攻勢に立とう。そのためにはこの夏季物販・カンパ闘争の勝利は絶対不可欠だ。例年を超える取り組みをかちとろう。
 本山物販の取り組みは、あらゆる職場に「一人の首切りも許さない」という労働者の団結を打ち固める闘いだ。中小民間の中核をなす金属産別では軒並み賃下げ、定昇凍結、10%賃金カット、さらに工場閉鎖、倒産などの攻撃が吹き荒れている。「JAM型ワークシェアリング」が首切り、賃下げであることが明らかとなり、JAM指導部への怒りはまさに爆発寸前だ。敗北主義をふりまいて職場闘争を否定し、裁判闘争にすべてをゆだねようとする全労連・JMIUも同じだ。
 そしてついに連合は、有事法制賛成を明言した。資本と闘えないものは戦争にも反対できないという歴史的教訓がまざまざと示されているではないか。
 今こそ本山闘争の真価が発揮される時だ。本山労組は3月10日、「02春闘勝利、国鉄闘争勝利、有事法制反対」を掲げた東北労働者集会を呼びかけた。社・共の制動をのりこえ、連合、全労連傘下の組合の賛同が多数寄せられている。
 職場の団結を守り、労働組合の原則を曲げることなく闘い抜けば、いかなる資本の攻撃や権力の弾圧にも勝ち抜くことができる。それを本山闘争が示している。本山物販・カンパを職場、地域に広げ、「一人の首切りも許さない」労働者の団結をつくり出そう。

No 品目 価格(円)
1 花火・レジャーバッグ 2,500
2 花火・手持ちセット  1,500
3 もりおか冷麺     1,400
4 稲庭そうめん     2,000
5 札幌ラーメン     1,000
6 讃岐うどん      1,000
7 博多ラーメン     1,000
8 信州五割そば     1,300
9 稲庭うどん      2,800
10 梅ぼし        1,500
11 ヨーロピアンコーヒー  670 
12 りんごジュース    1,100
13 みそ汁        1,200
14 石けん        1,100
15 チーズ          870
16 スティックアイスゼリー1,000
17 玉ねぎスープ     1,300
18 デザートセット    3,000
19 しん農大黒飯     1,000
20 マカダミアナッツ     950
21 練うに          600
22 梅エキス       1,500
23 大麦若葉         900
24 ほたて貝柱        850
25 アガリスク        600
26 水出し煎茶        950
27 とっとこハム太郎バスタオル 1,500
28 いかチーズサンド     900
29 スモークドチキン   1,300
30 ウーロン茶        500
31 焼のり          400
32 生梅グミ         720
33 チーズかつお       900
34 梅にんにく      1,300
35 野菜たまごスープ   1,100
申込先 全金本山労働組合
TEL 022(274)0843 FAX 022(233)5971

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週刊『前進』(2058号3面4)

人らしく生きよう 国労冬物語 上映運動を進めよう

 「人らしく生きよう―国労冬物語」(制作・ビデオプレス)の全国100カ所上映運動が各地で大反響を呼んでいる。
 この映画は2001年11月にBOX東中野で劇場公開されて大ヒットし、雑誌『ぴあ』の人気投票で3位になったのを始め、朝日新聞などのマスコミが次々取り上げるなど全社会的な共感を広げてきた。
 この映画は、国鉄闘争15年の不屈の闘いを3人の国労組合員と家族の姿を軸に紹介したドキュメンタリーであるが、最近、労働運動を扱った映画がこれほどヒットしたことはなかった。
 なぜこの映画がこれほどまで反響を呼んでいるのか。それはこの映画を見れば分かる。
 この作品は、劇場公開版の前に、いったん2000年に作られた。しかしその直後、国鉄闘争はまったく新しい段階に入った。4党合意である。5月30日に国労本部が4党合意を受諾して以降、本部と闘争団・家族、JR本体組合員、支援共闘との間ですさまじい攻防が展開され、7月1日の臨時大会を迎えた。機動隊導入、闘争団の総力決起、家族の訴え、発言打ち切り、書記長集約、演壇占拠。その決定的瞬間をカメラはとらえた。
 当然にも、これらをドッキングして編集し直すことになった。それがこの劇場公開版であり、まったく新しい作品として作り直されたと言っても過言ではない。映像はよりダイナミックかつドラマチックになり、問題の本質を鋭くえぐり出して圧倒的迫力で見る者に迫ってくる。
 @人らしく全うに生きることの大切さ、Aそれを家族や仲間とともに手を携え団結し組織的に貫くことの力強さ、Bその組織が変質し始めた時に人としての生き方をどうやって貫徹していくのかという、誰もが経験している問題を国鉄闘争をつうじて提起している。
 国労本部は「4党合意は決まったことだ。方針に従え」と恫喝する。こういう反動的組織統制の恫喝はあらゆるところで横行している。この作品のすごさは、7・1臨大に行き着いたその全過程の真実を語ることによって闘争団の決起の正当性を示すことに成功しているだけでなく、そうした恫喝に対する回答を映像の力で強烈に訴えてくる点だ。
 4党合意は非人間的であり、その非人間性が労働組合に対する破壊攻撃として襲いかかっている。その団結をめぐる攻防が日帝と労働者階級との攻防の最大の焦点になっている。その映像をとらえたことがこの映画のもつ巨大な意義だ。
 だからこそ国労本部はこの作品を恐れ、組合員に見るなと指令まで出したのだ。時あたかも有事立法情勢の中での本部のこの指令は、本部がいかに政府に屈した執行部であるかを自己暴露している。全労働者の階級的団結で有事立法を粉砕するためにも国鉄闘争の位置は決定的である。
 「人らしく生きよう―国労冬物語」を熱烈に推薦します。上映運動をさらに進めよう。
 (投稿・山沢和幸)
〔「ビデオプレス」のホームページ参照。ビデオも発売中〕

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週刊『前進』(2058号4面1)

イラク侵略戦争突入を絶対許すな 対イラク戦にのめり込む米帝
 世界戦争情勢の激化に対し有事立法粉砕決戦の爆発を

 米帝ブッシュは6月1日と6日、イラクへの事実上の宣戦布告の演説を連続的に行い、米帝の総力を対イラク戦に集中しようと懸命である。そのために今秋にも「核戦力体制見直し」(NPR)を具体化する新たな核先制攻撃ドクトリンを策定しようとしている。今日の世界がすでに世界戦争情勢下にあることを鮮明にさせなければならない。この情勢は、日帝の有事立法=北朝鮮・中国侵略戦争法案の攻撃に決定的拍車をかけるものだ。6月有事立法粉砕決戦の大爆発をたたきつけよ。

 ウェストポイント演説

 ブッシュは今月1日、ニューヨーク州にあるウェストポイント陸軍士官学校の卒業式で演説し、「テロとの戦いでは、守りに回っていては勝てない。敵に戦闘を挑み、敵の計画を崩壊させねばならない」と強調。いよいよイラク・フセイン政権打倒の本格的な軍事作戦の実行に入ることを宣言した。さらにブッシュは「(対テロ戦争には)新思考が必要だ」「われわれの自由と生命を守るために必要な時のため先制攻撃に備えるべきだ」などと呼びかけた。これはイラクへの実質的な宣戦布告であり、戦時体制への移行の宣言に等しい演説である。イラク攻撃が本当に秒読み段階に入ったと断じざるを得ない。
 米帝は、1月のブッシュによる一般教書演説などでイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と規定し、被抑圧民族虐殺戦争以外の何ものでもない「対テロ戦争」という形で世界戦争計画を打ち出してきた。
 その一環として米国防総省は1月、「核戦力体制見直し」(NPR)を連邦議会に提出した。NPRは、核兵器が米国防政策の「重大な役割を担う」とし、「大量破壊兵器や通常兵器による大規模攻撃を抑止する」と明記。3月に明らかになった非公開部分では核攻撃の対象として北朝鮮、イラク、イラン、シリア、リビア、ロシア、中国の7カ国を名指しした。また「特に北朝鮮とイラクは長期的に軍事的な懸念となっている」とし、地下施設攻撃のために、より貫通力が高く爆発規模と放射能汚染がより小規模で済む新型核爆弾の開発の必要性を唱えている。
 このNPRを具体化するものとして、米国防総省が、@核による先制攻撃も辞さない、A「警告なし」の攻撃も検討する――という新たな戦略ドクトリンを今秋にも策定しようとしている。国防総省は、核先制攻撃のために、@ステルス性をさらに高めた爆撃機、戦闘機の開発、A特殊部隊の強化、B戦略核ミサイルを搭載した潜水艦を特殊部隊や巡航ミサイル運搬用に改造する――ことなどを重点に、すでに軍備・戦術面での計画づくりに入った。
 アフガニスタン侵略戦争として開始した米帝の世界戦争計画の実行という情勢の中で、次の段階である対イラク戦争が、パレスチナ人民の決死の蜂起戦によって打撃を受け混乱させられている現状を立て直し、イラク侵略戦争発動に踏み出そうとしている。しかもそれは、核先制攻撃という新ドクトリンで、ヒロシマ・ナガサキを再現する核戦争として準備されているのだ。アフガニスタン侵略戦争開始の際、小型戦略核をタリバン政権の本拠地に対して使用する案が取りざたされたように、米帝ブッシュは本気で対イラクの核戦争へ踏み込もうとしている。80年代初頭、レーガン大統領が「ヨーロッパ限定核戦争」を語り、゛核戦争3分前゛と形容されたが、今日の核戦争の危機はそれどころではない。米帝の「対テロ戦争」「悪の枢軸」規定は、核先制攻撃ドクトリンとなって、今秋にもイラクに対する、それに続いて北朝鮮に対する核先制攻撃を含むすさまじい凶悪な侵略戦争として現実化しようとしているのである。そのことに対する革命的な危機感と激しい怒りを持たなければならない。それが日帝の有事立法情勢を具体化しているのである。
 米帝は、前述のNPRの中で、現在6000発保有する核弾頭を1700〜2200発まで削減する方針を示し、5月24日にロシアとの間で戦略攻撃兵器削減条約に調印した。米帝は、新たな核戦略をあたかも核軍縮のように宣伝しているが、まったく正反対だ。実際は、削減する戦略核の弾頭をいつでも再利用可能な形で保存するなどして、実際上は今後も計15000発の核兵器配備能力を保持し続けると言われている。結局、米帝は現在の核戦力以上の核戦力を保有し続けるのだ。一方ロシアは、現在の核戦力を維持するのは財政的にも技術的にも困難で、耐用年数が過ぎた核弾頭から「自然減少」し、5年後には500〜1000発しか残らない。
 それどころか米帝は、現状維持をはるかに超えて大軍拡に突き進もうとしている。89年以来停止していた核弾頭用プルトニウムピットの製造再開方針を表明し、地下核実験の再開も画策している。核先制攻撃ドクトリンのもとで新たな「使える」核兵器を大量開発しようとしているのだ。
 米帝は、クリントン政権時代のNPR(94年)で、海外展開の地上配備と水上艦艇の戦術核を撤去し、新たな開発も中止した(ただし戦略原潜は核攻撃能力を維持)。今回のNPRはこれを逆転させ、再配備に突き進もうとしている。米帝は、ロシアとの間の核政策に一定の決着をつけ、米帝だけがほしいままに大量の核兵器を保有し、一方的に核先制攻撃を行う核体系を構築しようとしているのである。

 核先制攻撃を策す米帝

 ここで重大化していることは、第一に、米帝が今日の世界危機の中で、世界を戦争過程にたたき込み、崩壊した戦後世界体制を米帝支配体制として再編しようとしていることである。米帝の世界支配をかけた戦争として対イラク侵略戦争を構えているのである。この中で、他帝国主義を現実の戦争の展開の中で争闘戦的にたたきつぶす観点から、日帝や独帝などを戦争に動員しているのである(そして日帝や独帝は共同的=競合的に米帝の戦争に参戦している)。
 そこでは現実問題として、イラク・北朝鮮侵略戦争で核兵器が使用されようとしているのだ。前述の6・1ブッシュ演説は、このことを完全に念頭においている。イラクや北朝鮮攻撃の主力部隊となる米軍第7艦隊(司令部のある旗艦ブルーリッジの母港は横須賀だ)に核搭載型のトマホークや核搭載の攻撃機が配備されるのは必至だ。アフガニスタン侵略戦争では、横須賀や佐世保から出撃した空母やイージス艦が、トマホーク攻撃や戦闘機・爆撃機での爆撃を繰り返した。イラク・北朝鮮への攻撃の時には、このトマホークが核搭載になり、爆撃機から核爆弾が投下されるのだ。日本全土が、イラク・北朝鮮への先制核攻撃の前線基地・拠点になるのだ。
 第二に、日帝の有事立法と侵略戦争への参戦、核武装化が促進されているということである。小泉政権はなんのために有事立法を制定しようとしているのか。米帝のイラク・北朝鮮侵略戦争に参戦するためである。今年2月にブッシュが訪日した際、小泉首相との会談で「われわれはイラクを攻撃する。間違いなくやる」と明言し、小泉も「テロとの戦いで日本は常に米国とともにある」とこたえたことが新聞報道(6月9日付毎日新聞)によって明らかになった。有事立法の制定は、きわめて現実的なイラク・北朝鮮侵略戦争と一体なのだ。それは在日米軍を主力とする核戦争なのだ。ここに日帝と自衛隊を参戦させようとしているのだ。福田官房長官の「核持てる」発言の根本問題もそこにある。日帝は今、現実の米帝による核戦争に身構え、自らの核武装の衝動を強めているのだ。
 米帝の核先制攻撃ドクトリンや日帝の有事立法は、一般的な核戦争態勢や戦時体制を構築するものではない。ヒロシマ・ナガサキの惨劇を再現する対イラク、対北朝鮮・中国への侵略戦争としてきわめて切迫した現実的な問題なのだ。猛烈に危機感を募らせてイラク・北朝鮮・中国侵略戦争阻止=有事立法粉砕の闘いに決起することを訴える。

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週刊『前進』(2058号4面2)

有事立法地方公聴会 各地で怒りの弾劾 会場前で委員に肉薄抗議

 衆院有事法制特別委員会が、仙台、鳥取、佐世保、新潟で地方公聴会を強行した。これに対し、各地で公聴会粉砕の激しい実力闘争が闘われた。

 全学連先頭に実力粉砕デモ ■仙台

 6月5日の仙台地方公聴会に対し、全学連を先頭に、実力粉砕の闘いをたたきつけた。
 東北大の片平キャンパスで公聴会粉砕の決起集会を行った。冒頭に「平和を守る戦中派の会」の方が「アジア侵略戦争を繰り返さないという誓いが問われている。有事法制を阻止し、小泉政権打倒へともに闘おう」と熱烈なアピール。続いて東北大の学生が基調報告を行った。「公聴会は実力粉砕以外にない! 逮捕流血を恐れない激しい実力闘争を闘おう」と鮮明に提起した。
 ただちに公聴会粉砕の実力デモにうってでた。全学連を先頭にしたデモ隊は、片平キャンパス正門から激しくジグザグデモを開始。一斉に機動隊が弾圧に襲いかかるが、デモ隊の勢いを止めることはできない。一番町アーケードでは、機動隊と激しく衝突しながら進むデモ隊に、労働者市民の圧倒的な注目と声援が寄せられた。
 直ちに公聴会会場の江陽グランドホテルへ向かい、正面玄関前から実力抗議闘争をたたきつけた。「反対」と言いながら公聴会に協力し、参加している社民党や日本共産党のペテンと裏切りをぶっ飛ばして、絶対反対派の登場を鮮烈に示した闘いだった。

 瓦委員長が会場前で立往生 ■鳥取

 6月5日の鳥取会場での有事法制特別委員会の地方公聴会に対し、中四国反戦共同行動委員会は地元山陰や広島などの百万人署名運動や労働組合とともに抗議行動に決起した。
 会場となった鳥取市内の結婚式場「玉姫殿」前に陣取り「公聴会を中止せよ」「有事法案を廃案に」とビラを配り、公聴会参加者らへの情宣を続けた。
 特別委員会の派遣委員を乗せた大型バスが正面玄関に到着。瓦委員長を先頭に委員らがバスを降り始めるや、機動隊の阻止線を押し戻して「瓦! 特別委員会を解散しろ。公聴会など認めないぞ」と、手を伸ばせば届きそうな所まで肉薄して抗議。瓦は真っ青になって立ち往生、職員らに守られて他の委員らと駆けるように会場内に逃げ込んだ。
 さらに代表が申し入れ行動を行った。玄関に近づこうとすると、警告板を掲げた機動隊が駆けつけ退去を迫ってきたが、代表団の後ろに闘争参加者全員が「公聴会粉砕」の大横断幕を掲げて対決した。委員長と委員全員に必ず申し入れ書を渡すことを約束させて、読み上げて手渡した。
 その後、鳥取県護憲フォーラムの自治労、県教組、高教組、農団労などの労働者がデモ行進して会場前で合流。「有事法制を廃案にするぞ」とシュプレヒコールをたたきつけた。

 国会議員団に絶対阻止の嵐 ■佐世保

 6月7日、佐世保地方公聴会に対し、九州各地の労働者学生が決起した。会場「アイトワ」前で開催阻止行動を展開した。(写真上)
 傍聴者や佐世保市民に絶対廃案を訴えた後、バスで到着した国会議員団に「絶対阻止」の声を嵐のように浴びせた。国会議員たちは警察に守られて逃げるように会場に駆け込んだ。5時間に及ぶ会場前抗議集会と座り込みを行い、「有事立法を廃案に」の闘いの声で会場を包み込んだ。夕方からは佐世保地区労などが主催する佐世保市松浦公園での抗議集会に合流し、佐世保市内をデモ行進した。

 国会議員のバスを取り囲む ■新潟

 6月7日、新潟の地方公聴会に対して、新潟労組交流センター、富山大学学生自治会などを中心に、北信越の労働者や学生が抗議行動に立った。(写真下)
 開催2時間前から抗議行動を行い、委員の国会議員を乗せたバスが到着すると、バスを横断幕で取り囲んで怒りのシュプレヒコールをたたきつけた。
 そして百万人署名運動を先頭に富山大学学生自治会、労組交流センター、部落解放同盟全国連長野県連など18個人・団体が公聴会中止を求める請願書を持って申し入れを行った。最後は会場前で集会を行い、公聴会のペテン性を暴き、有事立法反対闘争への決起をアピールした。

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週刊『前進』(2058号4面3)

福田官房長官の核武装発言を徹底弾劾する
 全国被爆者青年同盟

 「日本に対する攻撃に備えよ」「日本を守れ」「主権を守れ」との国家主義・排外主義の大合唱と、「日本の防衛だったら罰則なしでも協力して戦う」という日本共産党など密集せる大反動の制動を打ち破って、ついに20労組陣形を中心に幾万の戦闘的労働者が「戦争の加担者にならない。犠牲者にもならない」と陸続と決起を開始した。5・26反戦共同行動委員会の闘争を最先端に、有事立法粉砕決戦は全人民的うねりとなって動き出したのだ。
 「よりましな有事法制」に「修正」されれば、北朝鮮・中国に対する自衛隊の武力行使も、戦争協力を拒否する労働者の逮捕・投獄もよしとするのか! 断じて否! 「修正協議」とは結局は、米日帝の北朝鮮・中国に対する侵略戦争発動、あの3000万人のアジア人民虐殺を再びくり返そうという超反動的議論だ。断じて許せない!
 有事立法強行採決か、実力阻止か。再び侵略戦争を許すのか否か、まさに、血債をかけ自己の生涯史をかけた根底的決起が、一人の例外もなく問われている。今こそ、有事立法を廃案へ攻め上ろう!

 (T) 有事立法を盾に核武装も当たり前と居直る小泉政権を打倒せよ!

 日帝・小泉による有事立法国会提出強行によって、有事法制審議という形で、実質上の「戦争と改憲」が国会で公然と論議される中、5月13日、安倍晋三官房副長官は、非公開の講演で「小型であれば原子爆弾などの核保有も問題ない」と核保有を容認。ついで、5月31日、政府首脳(実は福田康夫官房長官!)は、「非核三原則は憲法のようなものだ。しかし(最近の世論は)憲法も改正しようというぐらいだから、非核三原則も変えようとなるかもしれない」と、非核三原則を見直す可能性を公言。記者会見では、「専守防衛であれば法理的に(核兵器を)持ってはいけないという理屈にならない」と言い放った! 有事立法審議の真っただ中で、日帝・小泉政権は、有事立法を盾に、ついに戦争するのだから核武装も当然と公言したのである。
 しかも、この事態を突きつけられた首相・小泉は、記者団に「あれはどうってことない」(6月1日)と繰り返し放言した。「核武装発言は別にどうってことないじゃないか。有事法制で日本は再び戦争するんだ。核武装するのは当然だろう。核武装してどこが悪い」と開き直ったのだ。
 そもそも、核戦争のセオリーは常に先制攻撃であり、「防衛のため」は詭弁である。小泉の言う「備えあれば憂いなし」の「備え」とは、実に核武装をも含むものであり、有事立法3法案は核戦争に行き着くということである。
 「特攻隊精神」を賛美し「非核三原則見直し」=核武装発言を容認する――こんな小泉に有事立法をもって独裁権限を与えたらどうなるかは明らかだ! 
 われわれ被爆者、被爆二世・三世は、政府首脳の「非核三原則見直し」発言をはらわたの煮えたぎる怒りで徹底弾劾する! ヒロシマ・ナガサキの原点とは何だったのか――今こそ、「くり返すな! アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ」の旗を高々と掲げ、戦争をくり返すしかない帝国主義を打倒する闘いに立ち上がろう!

 (U) 一連の核武装発言は有事立法と一体だ。有事立法法案を廃案へ!

 小泉政権の一連の核武装発言は、有事立法と完全に一体であり、日帝・小泉政権の「戦争・改憲・核武装」宣言として、被爆者を始め「戦争を二度とくり返さない」と誓ったすべての労働者人民への挑戦状である。
 そもそも、有事立法とは、アフガニスタン参戦以降の自衛隊派兵、昨年12月22日「不審船」撃沈事件、5月8日に起きた中国・瀋陽市の日本総領事館事件での排外主義キャンペーンとして開始されている侵略戦争と、切迫する米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に対応し、日本の戦争能力を一気に本格的な総力戦レベルに進めるために、現憲法を停止させ、日本を戦争する国へとひっくり返す戦争法・国家総動員法である。世界が戦争と恐慌の時代に三たび突入する中で、ついに、日帝は米帝に対抗して生き残るために、北朝鮮・中国・アジア―中東へと再び国を挙げての侵略戦争へとうって出るという歴史的決断をしたのであり、そのためにクーデター的に国会の場で憲法を抹殺し、首相に独裁権限を与え、アッという間に戦後社会を転覆して、戦争国家化をなしとげようとしているのだ。
 小泉政権はこの5〜6月、「国家主権」を振りかざし、反北朝鮮、反中国の排外主義を扇り立てることで、中国・朝鮮への侵略戦争情勢を加速させ、有事立法を一気に制定にもっていこうとしているのだ。事態はまったく予断を許さない。
 日帝は「北朝鮮が核査察受け入れの態度を示さないと、朝鮮半島で何かが起きるかもしれない」(日経4・30)と身構え、一刻も早く有事立法を強行成立させようとしているのである。
 今回の「非核三原則の見直し」=核武装発言は、まさに、日帝・小泉にとって有事立法とともに核武装問題が待ったなしの死活問題となってきていることをはっきりと突き出したのだ。
 すでに、米帝・ブッシュは、01年QDR、今年1月一般教書の「悪の枢軸」路線、3月に明らかになった「核戦力体制の見直し」などで北朝鮮・中国・イラクなど7か国への先制核攻撃をも想定し、ABM離脱、迎撃ミサイル実験から核兵器(水爆)の爆発の〃引き金(プルトニウムピット)”の製造を再開する新工場計画にまで踏み込んでいる。(5月31日)
 こうした米帝の世界核戦争政策の一層の激化に対し、日帝・小泉政権はすさまじいまでに独自の核武装の衝動を募らせている。今日、核武装なしに、戦争へ打って出ることは、あらかじめ戦争の敗北を認めるようなものだからである。ここから、先の一連の「非核三原則見直し」発言が噴出したのだ。
 原爆地獄の地の底からの血叫びを聞け!
 人類と核とは絶対相入れないのだ。ヒロシマ・ナガサキを絶対にくり返すな! 今こそ、我が全国被青同は、すべての被爆者、被爆二世・三世、そして全労働者人民の帝国主義戦争・核戦争への怒りの先頭に立ち、有事立法粉砕、改憲・核武装阻止、被爆者解放・日帝打倒へ総決起することを宣言する。ともに闘おう!
 2002年6月4日

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週刊『前進』(2058号4面4)

沖縄から有事3法案の廃案を求める県民大会決議

 沖縄県立平和祈念資料館・展示は、次のことばで結ばれています。「戦争をおこすのは たしかに 人間です しかし それ以上に 戦争を許さない努力のできるのも 私たち人間ではないでしょうか 戦後このかた 私たちは あらゆる戦争を憎み 平和な島を建設せねば と思いつづけてきました これが あまりにも大きすぎた代償を払って得た ゆずることのできない 私たちの信条なのです」。
 悲惨で残忍で汚辱にまみれた沖縄戦の歴史的体験と反省、教訓から、私たちは日本が再び戦争をする国にするための法律を絶対に拒否します。
 今国会に提出された、有事3法案(武力攻撃事態法案、自衛隊法改定案、安全保障会議設置法改定案)はまぎれもなく戦争法案です。自衛隊の海外での武力行使を容認し、アメリカの起こす戦争に、国民を強制的に軍事動員する法律です。土地家屋の提供、自衛隊が使う物資の提供、医療、運輸、港湾などの従事者などを強制的に協力させるものとなっています。国民がそれを拒否すれば罰則も与えると明記しています。しかも総理大臣の権限だけは拡大したものです。
 この有事3法案と同時に提案された、「個人情報保護法案」「人権擁護法案」は、国民の知る権利を奪い、マスコミの取材を制限し、政府による言論統制を行うものです。それは国民の権利や基本的人権をないがしろにするものです。
 国民の自由と権利を奪い、米国の戦争に国民をひきずりこむ、国民の生命を軽視した有事3法案およびメディア規制法案を絶対に認めることはできません。
 これらの法案は、まるで戦前の「国家総動員法」にも匹敵するものです。私たちは「いつか来た道」を再び歩むわけにはいきません。
 「備えあれば憂いなし」とは、軍事大国にすることではありません。不断の対話による積極的平和外交によって、戦争を許さない、戦争を回避させる努力をすることです。憲法はまさにこのことを謳っています。
 私たちは、先の大戦で悲惨な地上戦にまき込まれた沖縄の地から世界に誇れる平和憲法の遵守を求め、次のことを強く要求する。
1 「武力攻撃事態法案」「自衛隊法改定案」「安全保障会議設置法改定案」の有事3法案を廃案にすること
2 「個人情報保護法案」「人権擁護法案」の人権・メディア規制法案を廃案にすること
 以上、決議する。
 宛先 内閣総理大臣 
    衆議院議長 
    参議院議長
 2002年6月8日
 戦争はダメ!有事3法案の廃案をめざす県民大会

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週刊『前進』(2058号4面5)

 6月5日〜11日
 米帝が核先制攻撃の新戦略
 テロ資金提供禁止法が成立

●カンパ禁止法が成立 国連の「テロ資金供与防止条約」批准のための関連法「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律」が参院本会議で可決、成立した。「公衆等脅迫目的の犯罪行為」と知りながら資金を提供したり、資金を受け取った者に対し、10年以下の懲役や1000万円以下の罰金を科す。未遂も罰し、提供資金の凍結や没収もする。(5日)
●地方公聴会 衆院有事法制特別委員会が、仙台、鳥取の両市で地方公聴会を開いた。7日には佐世保、新潟で行われた。(5日)
●米原潜寄港、最多ペース 米海軍原子力潜水艦ロサンゼルス級ラ・ホヤ(6082d)が沖縄県勝連町ホワイトビーチに入港した。米海軍原潜の寄港数は今年11回目で、68年以来過去最多ペースとなっている。(5日)
●国土安保省の創設を発表 ブッシュ米大統領が「テロ対策」を抜本的に強化するため政府の関係部門を統合した「国土安全保障省」を創設する方針を正式に発表した。構想では政府の関係部門から集める職員が17万人、年間予算は370億jにのぼる。(6日)
●米が未臨界核実験 米エネルギー省が、ネバダ州の地下核実験場で今年2月以来の未臨界核実験を実施し、成功したと発表した。ブッシュ政権下で4回目。97年7月の初回以来、通算17回になった。(7日)
●イラク攻撃を明言 ブッシュ米大統領が今年2月に来日した際、小泉首相との会談で「われわれはイラクを攻撃する。間違いなくやる」と明言していたことが分かった。小泉は「テロとの戦いで日本は常に米国とともにある」とこたえ、米側は日本の了解を取り付けたと受けとめているという。(8日)
●米、自衛隊のアフガン派兵を打診 中谷防衛庁長官が6月始めにウォルフォウィッツ米国防副長官と会談した際、自衛隊の衛生部隊や施設部隊をアフガニスタンに派兵できないか、打診を受けていたことが明らかになった。中谷は、現状では難しいとの考えを伝えたという。(8日)
●インド洋へ補給艦出航 テロ特措法に基づく自衛隊艦船の第4次インド洋派兵が強行された。補給艦「はまな」が佐世保基地から出港した。(8日)
●全原発廃炉に3兆円 標準的な原子炉1基の解体から放射性廃棄物処分までに必要な廃炉費用は約550億円になることが、電力9社が出資する日本原子力発電の調べで分かった。現在52基ある商業用原発をすべて廃炉にするには約3兆円かかる計算に。(8日)
●非核3原則、将来の見直しに含み 衆院有事法制特別委員会で、福田官房長官の非核3原則見直し発言について集中審議を行った。小泉首相は「わが内閣では3原則を堅持する。今後の内閣も堅持してもらいたいと思っている」と述べる一方で「どのような内閣ができるか分からないが、将来の内閣にまでああやれ、こうやれとは言わない」と答弁し、将来の政権が非核3原則を見直す可能性は否定しなかった。歴代内閣は将来の内閣も堅持すると明言してきた。(10日)
●米、先制核攻撃の新戦略 米国防総省が、生物・化学など大量破壊兵器を保有する敵対国やテロ組織への先制攻撃を想定し、核兵器の先制攻撃や奇襲(警告なしの攻撃)も辞さないとする新たな戦略ドクトリンの具体化に乗り出していることが明らかに。(10日)
●防衛庁調査、与党が報告書に圧力 防衛庁が情報公開請求者のリスト作成問題をめぐる内部調査の報告書を発表した。同庁は、与党の圧力を受け、概要だけを正規の報告書に仕立て直して公表した。概要の原文にあった「証拠隠しと言われてもやむを得ない」との記述は、与党の指示で削除された。深夜に報告書全体が追加公表された。(11日)

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週刊『前進』(2058号5面1)

JR総連を持ち上げ、連合5・16「見解」擁護するカクマル中央派
 有事立法の加担勢力に転落
 工藤 俊夫

 有事立法攻撃との闘いは、日本の労働者人民が、「二度と侵略戦争を起こさせない」と誓ってきた戦後の闘いの地平を一掃され、第3次世界大戦の地獄をもたらしてしまうのか、それとも日帝の戦争国家化攻撃を根底的に打ち破って日帝打倒と世界革命への道を切り開くのかをかけた、歴史的な決戦となった。この決戦は、したがって、闘いの中に潜り込む反革命や裏切り者の本性を否応なく暴きだすものとなる。闘争そのものが中途半端を許さない厳しさを持っているからである。その最大の危機と破産をさらけだしているのが、ファシスト・カクマルである。カクマルの従来からの徹底的にインチキな「反対」論は、もうすっかり馬脚を現している。カクマルが有事立法粉砕決戦に対する闘争破壊集団であることを暴露する。

 JR総連を称揚するために連合見解評価も「玉虫色」に

 カクマルの「有事立法闘争」論の大破産の第一の問題は、JR総連すり寄りを一層進め、そのために連合の有事立法翼賛の5・16「見解」に対する「批判」もできないという有様になっていることである。
 「(連合)三役会などでの論議では、有事法反対を主張した海員組合、JR総連、私鉄総連やNHK労連などにたいして、積極推進派である造船重機労連、運輸労連、条件つき容認の立場をとる自治労などの議論が対立したという。『今国会で急いで成立させることには反対』という『連合見解』(五月十六日付)はこの対立の末の゛玉虫色決着″の産物なのだ」(解放6・10)
 JR総連を海員組合と並べて称賛するなど事実の偽造もはなはだしい。しかもJR総連が連合の中で頑張っているから、連合は「玉虫色決着」の「見解」を出さざるをえなくなった、これは成果だ、ととんでもないことを言っている。
 だが、連合見解に明確に反対した全日本海員組合と比べてみればはっきりするが、JR総連は連合見解反対を明確にさせたのではない。ぼそぼそつぶやいただけなのだ。それもそのはずだ。彼らは、99年の連合大会での対案では、自衛権を認め、安保を容認した。また、大会のJR総連・小田の発言では「私たちJRも自衛隊法101条によって、武器、弾薬、兵員の輸送を担わされることになりました」と屈服を表明した。有事立法案が出てくる前の段階から早々と軍事輸送=侵略戦争協力を表明したのがJR総連なのだ。そもそも松崎明を頭目とするJR総連は国鉄分割・民営化の下手人であり、闘う国鉄労働者を労資一体で抑圧してきた。何よりも「国労解体」を叫び、日帝・JR資本と一体となって闘争団を憎悪し敵対行動を繰り返しているのだ。
 全日本海員組合や航空労組連絡会など20労組が、死活をかけて、必死で有事立法に反対している対極に位置しているのが、JR総連である。国鉄労働者が、戦前戦中にどれほど軍事輸送に協力させられたか、ということの階級的・主体的反省も何もないのだ。また、陸・海・空・港湾労働者を先頭に労働者階級が有事立法阻止・戦争絶対反対で立ち上がったら、帝国主義を決定的に追い詰めることができるという立場には立っていないのだ。松崎などは初めから「有事立法は通るもの」と、闘わずしての屈服を奨励しているのだ。
 JR総連の「連合批判」など聞いてあきれるというものだ。しかし、もっと最悪なのは、このJR総連をカクマル中央派が持ち上げ、あたかもJR総連の奮闘で連合見解が「玉虫色」になって良かったかのように描いていることだ。
 連合見解は玉虫色か。否、それは明白な有事立法賛成論(原理原則として賛成なのだ!)であり、戦争翼賛勢力への転落だ。カクマルは「玉虫色」などと言って、連合見解を擁護しているのだ。それはまさにJR総連を擁護するために、カクマル自身の連合見解に対する態度が「玉虫色」になっているからである。
 連合見解は、日帝の北朝鮮・中国侵略戦争に向かっての攻撃の中で、決定的な意味を持つ超反動であり、戦争反対、有事立法反対を貫くためには、この連合見解を徹底的に弾劾し、粉砕する労働者階級の巨大な怒りの爆発をかちとらなければならない問題である。カクマルには、そのような姿勢はない。
 一昨年来のカクマル黒田・中央派とJR総連松崎・カクマルとの分裂は、もはや修復できないところまで進み、固定化されている。両者は互いに共倒れにならないように一定の取引を行っている。そのもとでカクマル中央派はJR総連にすり寄り、JR労働運動内の活動の余地を広げようとしているのである。両者は、日帝の手先、戦争協力の先兵という意味では、同じ穴のムジナでしかない。

 「北朝鮮・中国侵略戦争ない」論を維持するのに四苦八苦

 カクマルの「有事立法闘争」論の大破産の第二の問題は、この法案が北朝鮮・中国侵略戦争の法案であるという基本中の基本を絶対に言わないこと、徹底的に塗り隠そうとしていることである。彼らはもっともらしく「有事立法は侵略戦争法」とか「今日版国家総動員法」などと言うが、それがどこに向かっての戦争なのか、その戦争目的は何なのかという核心をごまかすのである。
 そもそもカクマルは、5月上旬の段階までは、有事立法を「今日版国家総動員法」としてのみ規定し、驚くことに反革命通信『解放』トップ論文の中に「武力行使」条項への言及すらまったくない号が続いた。
 憲法第9条を真っ向から踏みにじって「武力行使」=北朝鮮・中国侵略戦争を公然と掲げたこと、および周辺事態法と完全に一体化させたことに、武力攻撃事態法案の最も核心的で、最も激しい攻撃性がある。にもかかわらず、「有事立法反対」を掲げる党派がそのことを問題にしないのは、カクマルの「闘争」がアリバイでしかないからだ。このことをわれわれから壊滅的に批判されたカクマルは、あわてて「武力を行使するかたちで日米共同作戦を展開する」(解放5・20)などと言い始めた。
 だが、「武力を行使するかたちで」とはまたなんとインチキな言い方か。武力行使とはミサイルを発射することであり、爆撃することであり、相手の人民を虐殺することである。このことをなぜ言わないのか。
 しかも、このように手直しした後も、今日に至るまでカクマルは「周辺事態法を基盤とし一体化して北朝鮮・中国に対して日帝が武力を行使する侵略戦争だ」ということを覆い隠すのに四苦八苦しているのだ。
 しかし、有事立法が、もともと1963年に作られた三矢作戦計画以来、朝鮮(中国)侵略戦争のための攻撃であることはまったく疑う余地がない。朝鮮に触れずに有事立法を語ることはおよそ不可能なのだ。
 米韓作戦計画5027という形ですでに朝鮮侵略戦争計画が策定され、2年ごとに改訂されていること、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)体制が米帝による北朝鮮制圧体制であること、ブッシュの「悪の枢軸」論にイラク、イランと並んで北朝鮮が名指しされているのは北朝鮮侵略戦争に踏み切る表明であること、それは不可避に中国侵略戦争に拡大するものであり、むしろ対中国戦というとてつもない世界大的戦争の前段過程であること、こういうことにまったく触れずに、有事立法を論じることは絶対できない。
 日帝が〈対米協力〉を超えて文字どおり自分自身の戦争として突入しなければならない戦争とは、まず何よりも朝鮮侵略戦争なのだ。小泉が「テロも不審船も拉致疑惑も(有事だ)」と言って、北朝鮮を対象に有事立法を成立させようとしていることをどうして無視できるのか。有事立法は遠い国の話ではなく、また遠い将来の話でもなく、超具体的に、すぐにも北朝鮮に対して空爆や侵略戦争を開始するための、そのために不可欠としている法律なのである。
 また、日帝は「不審船だ、拉致だ、亡命だ」と北朝鮮に対する排外主義を扇動している。これは北朝鮮侵略戦争の前触れである。これとまったく対決しないカクマルは、正真正銘の排外主義攻撃の共犯者だということだ。
 カクマルは、もっともらしく武力攻撃事態法案は、「日本政府が先制的な武力行使に公然と突入する」ためのものだなどと言ってみせる(解放6・10)。だが、そのあとで「日本政府の腹一つで、特定の国家や勢力に先制攻撃を仕掛けることを可能にするもの」などというのだ。「特定の国家や勢力」などとなぜぼかすのか。それは具体的にはどこなのだ。「北朝鮮」ということを言わないためのインチキだ。
 カクマルは「(有事立法は)イラク侵略戦争のための侵略戦争法」などという。だが、それも「北朝鮮・中国」を意図的に覆い隠す目的で言っているものにすぎない。
 カクマルよ。いま「武力攻撃事態」と「周辺事態」が重なっていることが問題となっているのは、北朝鮮や中国が侵略戦争の主要な対象であるからなのだ。そうではないとでも言うのか。「予測」や「おそれ」の段階で武力攻撃事態と認定して、自衛隊が武力行使するとは、具体的現実的には、米軍が北朝鮮を攻撃する(周辺事態)のに対して反撃される「予測」や「おそれ」があるということであり、そのことをもって、日帝・自衛隊が北朝鮮に対する直接攻撃を行うということなのである。
 99年4月の政府見解「周辺事態の6類型(定義)」を見れば、6つのケースがことごとく北朝鮮(および南朝鮮や中国・台湾)を想定していることは誤解の余地はない。
 カクマルはこの問題を意図的に覆い隠すのだ。米帝のアフガニスタンにおける侵略戦争の継続やパレスチナ民族抹殺攻撃、そしてイラクへの侵略戦争と連動して、日帝はまさにアジアにおける侵略戦争に突進しようとしているのだ。それが北朝鮮・中国への侵略戦争を直接規定した有事立法攻撃なのだ。
 1994年に第2次朝鮮戦争直前まで突き進んだ時以来、われわれは一貫して朝鮮侵略戦争の歴史的切迫について警鐘を鳴らし、これに対する闘いを全力で訴え、組織してきた。これに対してカクマルは「朝鮮侵略戦争は妄想」だとか「ありもしない絵空事」だとののしり、われわれの闘いに敵対してきた。この反動的態度は、有事立法攻撃が実際に出てくるや、北朝鮮・中国侵略戦争とそのための有事立法に迎合し容認するものとなるのである。
 根本的には、カクマルが帝国主義の没落と体制的危機を見据えることができず、アジアをめぐる日米帝間の対立の非和解的激化を見ることができないということである。また、中国、北朝鮮の残存スターリン主義の危機をとらえることができないということなのである。
 カクマルは有事立法を「日帝が一人前の帝国主義国家として飛躍する」ための攻撃などと言っているが、そんな悠長なものではない。米帝は日帝をたたき落とすことをも狙って北朝鮮・中国侵略戦争を発動しようとしているのだ。日帝はここで有事立法を制定して、米帝と共同的=競合的に参戦できなかったら、帝国主義として破滅してしまうというギリギリのところに立っているのである。そうした争闘戦的生き残りの死活をかけた攻撃として有事立法攻撃があるのだ。

 「左翼」装うための日共批判 反米愛国主義を競い合う

 カクマルの「有事立法闘争」論の大破産の第三の問題は、彼らが展開する「日共批判」なるもののインチキ性である。
 カクマルは、日共を「祖国防衛主義」であると規定して「批判」したつもりになっている。だが、本気でそれを言うのだったら「祖国防衛主義でない闘い」をカクマルが示し、展開してみせなければならない。
 祖国防衛主義とは、帝国主義戦争に対して、自国の帝国主義を擁護する立場に立つことを意味している。戦争に協力するということである。したがって、それに反対することは、戦争によってしか生き延びることができない自国帝国主義を打倒する、帝国主義戦争において自国帝国主義の敗北を歓迎する、つまり革命的祖国敗北主義に立ち、「侵略戦争を内乱に転化する」闘いを推進することである。それは、第2次大戦を経験した日本の人民の戦後の全人民的教訓として「戦争絶対反対」を貫くということと同じである。
 こうした重みのある批判として初めて「祖国防衛主義」という言葉は生きるのである。ところが、カクマルはおよそそれとは無縁なところで、軽薄に「祖国防衛主義」などとレッテルを張って済ましているのだ。
 さらに言えば、帝国主義と被抑圧民族の関係をはっきりと据え、日本帝国主義が朝鮮・中国、アジアの人民に対して犯してきた歴史的な侵略と虐殺と抑圧の歴史を、帝国主義のもとにあった労働者人民として、階級的に自己批判し、血債を支払う、そして帝国主義を打倒するための不可欠の闘いとしての闘うアジア人民との国際主義的連帯をかちとるという立場が「祖国防衛主義」に反対する労働者階級の態度でなければならない。しかし、この連帯論に対して、カクマルは70年代以来一貫して「被抑圧民族迎合主義」だと言ってあざわらい、さげすみ、敵対してきたのである。
 日共は祖国防衛主義である。愛国主義を看板にしてさえいる。しかしそれは、レッテルを張っていれば済む問題ではない。カクマルは、「左翼」をかたるアリバイのために言っているだけで、本当に日共を批判し、日帝の戦争攻撃と対決するのではなく、いわば反革命同士じゃれあっているにすぎないのである。
 カクマルは、有事立法のとらえ方でも、米帝に強要されたものとして対米従属論の立場を露骨に示しており、この点で日共と反米愛国主義を競いあっている。また、北朝鮮・中国侵略戦争に絶対に触れようとしない点でも共通している。カクマルと日共は反革命としての共通点を山ほど持った存在なのである。
 カクマルの「有事立法闘争」論の大破産は、上記のように明明白白である。戦争に命懸けで絶対反対し、党派生命をかけて闘うというものではまったくない。それどころか、日共系の労働者市民などにエセ日共批判をもって近づき、戦闘的に闘おうとする人びとをかすめとる機会にしようというものでしかない。
 闘いの爆発は、必ずこのようなカクマルのファシスト的あがきを打ち砕き、カクマルを空前の危機にたたき込むのである。今こそ、闘争の破壊者カクマルに対する怒りを爆発させ、この有事立法決戦のただ中で打倒し一掃しよう。

 JR総連を称揚する『解放』(6月10日付)

 (連合)三役会などでの論議では、有事法反対を主張した海員組合、JR総連、私鉄総連やNHK労連などにたいして、積極推進派である造船重機労連、運輸労連、条件つき容認の立場をとる自治労などの議論が対立したという。『今国会で急いで成立させることには反対』という『連合見解』(五月十六日付)はこの対立の末の”玉虫色決着”の産物なのだ。

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週刊『前進』(2058号5面2)

 医療
 「戦争の血で白衣汚さぬ」 命を守ることこそが責務

 交通・運輸労働者と並んで重要な戦争動員対象である医療労働者も、有事立法に激しく危機感を訴えている。4月19日、20労組などが呼びかけた「STOP!有事法制大集会」において、社会保険病院看護師の堂薗幸子さんは訴えた。
 「私たち医療の現場で働く労働者は、有事法制に反対です。医療労働者は、患者の健康と命を守る義務があります。有事法制では、自衛隊病院のみならず、国内の病院が勝手に使われ、入院している患者さんは強制的に退院させられます。一方で傷病兵を受け入れて医療や看護にあたることになり、また、野戦病院は移動するので、医療労働者も最前線に出ていかなければなりません。傷病兵を戦争の地に再び送り、命を脅かすことになるのです」

 すべての病院と労働者が対象に

 武力攻撃事態法案では、第4条(国の責務)により国立病院が、第5条(地方公共団体の責務)により地方自治体などの病院が、第6条(指定公共機関の責務)により日本赤十字社の戦争動員がそれぞれ「責務」とされ、さらに第8条(国民の協力)により民間病院が動員の対象となる。戦争動員と無縁な病院はひとつも存在しない。
 もう一つ重大なのが自衛隊法改悪による「医療法の適用除外」の問題である。「第115条の5 医療法の規定は、第76条第1項の規定により出動を命ぜられ、または第77条の規定により出動待機命令を受けた自衛隊の部隊等が臨時に開設する医療を行うための施設については、適用しない」。今、全国の病院はベッドの回転率が90%以上で、空きベッドはほとんどない。傷病兵受け入れのためには、入院患者を追い出すとともに、医療法で定められたベッド数・定員数を超えて収容せよ、ということだ。ましてや最前線に設置される野戦病院では、医療法の規定などすべて取り払った「戦時医療」体制が確立されるのだ。
 自衛隊法第103条は、「自衛隊の行動に係る地域」では、都道府県知事が病院、診療所を管理するとされ、また「自衛隊の行動に係る地域以外の地域」でも「医療を業とする者」に業務従事を命じるとされている。対象者となる医療労働者は、医師・歯科医師・薬剤師・診療放射線技師・保険師・看護師・准看護師など多岐にわたる。

 「従軍看護婦にはならない」の誓い

 医療労働者にとって「白衣を再び戦争の血で汚さない」という誓いは、従軍看護婦の戦争動員の歴史の上に築かれた、重く、切実なものである。
 日本赤十字社の救護班は日中戦争から太平洋戦争にかけて、兵隊と同じく赤紙一枚で、93回、960班、年平均2万6000人、延べで数十万人が戦地に動員された。兵力を維持するための医療・看護活動は、日帝軍隊の侵略戦争遂行にとって欠くことのできない一翼だったのだ。
 戦病死した従軍看護婦は日本赤十字社発行の『遺芳録 殉職救護員』では1080人、死傷者は日本赤十字社社史で5832人とされているが、陸軍の従軍看護婦や、沖縄の学徒兵だった女子学生などの数は入っていないため、実際の死傷者数はもっと多い。
 補給路を断たれ、医薬品も食料も尽き果てた日帝軍隊においては、「医療・看護」など空語であった。従軍看護婦は、マラリアや栄養失調で歩くことができなくなった兵隊に、モルヒネやクレゾール石けんを注射して「安楽死」させた。
 元従軍看護婦は、「薬も包帯もない中で、死体から衣服を脱がせて生きている人たちに着せることがせいぜいだった」「とにかく死後の処置をして葬るのが一番大きな仕事になっていました。木の葉がはらはらと落ちて朽ちるように人間が軽々と死んでいった」と証言している。
 病院船は赤十字のマークをつけて、ジュネーブ条約によって攻撃されないことになっていたが、日帝軍隊は戦争末期には病院船を使って患者を装わせて兵士や武器を運んだりしたために、攻撃され拿捕(だほ)されたこともあった。
 そして敗戦必至の状況になると、軍人と同様に「生きて虜囚の辱めをうけず、いざという時にはいさぎよく死ね」と命じられ、手りゅう弾や青酸カリを渡されて、制帽のリボンに縫いつけるなどして肌身はなさず身につけていた。
 中国東北部で従軍していた看護婦は、日帝の敗戦後はソ連の捕虜となり、その後中国の捕虜となった。敗戦から13年後の58年に日本に帰国した看護婦もいる。
 50年の朝鮮戦争でも、九州の日赤出身看護婦が従軍看護婦として動員された。日赤の支部に残っていた「赤紙」で招集され、米軍博多キャンプに設営された野戦病院や米陸軍病院に動員されたのである。キャンプ内の飛行場に朝鮮半島帰りの輸送機が次々に飛来し、傷病兵がかつぎ込まれる中で、全身ギブスの兵、体じゅう焼けただれた兵など、傷病兵の治療・看護にあたらされたという。

 戦時医療体制への動きが先行

 97年の日米安保新ガイドライン締結以降、戦時医療体制確立の動きが急ピッチで進んでいる。戦時医療とは、兵力を維持し戦争を継続するための、戦争体制にとって必須不可欠のものだからである。
 医療機関にトリアージ(重傷者は後回しにして見殺しにし、軽傷者を優先して治療する、戦時の選別医療)を強制する攻撃が強まっている。これ自身が、「命を大切に」「命を守ることが責務」という戦後の医療のあり方をまったく転換させる大攻撃だ。
 97年12月の沖縄タイムスや中国新聞は「朝鮮半島に有事があればアメリカは死傷者が12万人出ることを想定し、負傷兵1000人は日本の病院で治療をしてほしいと要求している」と報じた。最優先の施設は全国に16ある自衛隊病院と防衛医科大学の病院だが、収容しきれない時は国立病院や日赤病院などの公的病院も視野に入れていた。
 米海兵隊の実弾演習が行われるようになった北海道矢臼別では、米軍の軍医が毎年、「どの程度の病院なのか、どういう施設があるか」と、周辺の私立病院、町立病院を訪問している。けがをした米兵が治療をした時の医療費を請求するマニュアルもあり、町立病院には「米国軍人医療給付請求要領」が渡されている。
 99年以降は、自衛隊の医学部門や生物・化学対処部門が質的に大きく変化している。防衛庁は00年度予算で、部外の医師や医学者などを交えた「生物化学兵器対処懇談会」を設置した。新しく編成された陸上自衛隊研究本部には、生物化学兵器防護に関する研究官を置き、部隊医学実験隊(22人)も設置された。日赤や大学病院でも「戦傷外科セミナー」「テロ対策講座」などが開催され、「戦傷外科セミナー」では、銃弾や地雷破片の傷の手当ての方法、汚染創の治療方法などの教育が行われている。
 有事立法は、「白衣を再び戦争の血で汚さない」という誓いを根本から踏みにじるものだ。絶対に阻もう。
 (本紙 上原祐希)

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週刊『前進』(2058号5面3)

 イスラエルによるパレスチナ自治区侵攻を徹底弾劾する

 イスラエル・シャロン政権は6月6日に続き、6月10日にもヨルダン川西岸のパレスチナ自治区、ラマラやツルカレム、ベツレヘム、ディヘイシャ難民キャンプ、カハドル村に侵攻し、ラマラでは議長府を砲撃して破壊した。さらに銃撃で人民を虐殺し、外出禁止令を出して住民生活を困難に陥れている。一方、イスラエル軍は11日、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)のアブドルラヒーム・マルーフ副議長を不当逮捕した。マルーフ副議長はPLO執行委員会のメンバーであり、自治政府に拘置されているサアダト議長に代わり組織を率いていた。イスラエルはイスラム聖戦など各派の幹部を不当逮捕しており、バラタ難民キャンプでは不当逮捕者は6月7日までで1500人を超えている。
 イスラエル軍は、3月末から5月初旬まで続いた自治区侵攻後も、ラマラを始めナブルス、ジェニン、ベツレヘム、ツルカレムなど西岸の主要都市に侵攻を繰り返している。
 イスラエル軍は、自治区侵攻の中でさまざまな形でパレスチナ人民虐殺を続けている。5月22日、通りを通っていた4人がイスラエル軍戦車から発車されたミサイルによって虐殺された。ミサイルは、多数の人間を殺傷するように内部にたくさんの釘を入れた特別の破裂弾が使われた。6月11日夜にはお菓子を買いに出た8歳の少年が機銃掃射で虐殺された。また検問所での銃撃による虐殺や何時間も待たされたことによる病人や負傷者の死亡という事件も頻繁に続いている。イスラエルはさらに「ゲリラを阻止する」と称してパレスチナ自治区を包囲する長大な壁の建設を始めており、パレスチナ人民を生活困難な状況に追い込もうとしている。
 こうしたイスラエル軍の自治区侵攻と人民虐殺に対してパレスチナ人民は必死の抵抗闘争を闘い抜いている。6月5日にはイスラエル北部のメギト付近で乗用車に乗った2人が自爆決起し、隣のバスに乗っていたイスラエル軍兵士13人を始め17人が死亡した。この闘いを始めとして、6月8日にはヘブロン地区のユダヤ人入植地で銃撃戦が闘われた。また11日には同じくヘブロン地区の入植地でスクールバスを爆破する戦闘が闘われた。同じ11日夜にはイスラエル中部の海岸沿いの町ヘルツェリヤで、自爆戦闘が闘われた。パレスチナ人民の不屈のゲリラ戦闘が連続的に闘い抜かれているのである。
 パレスチナ人民の不屈の決起は、イスラエルを使った米帝の中東・パレスチナ支配の暴虐な反人民性を決定的に暴き出しており、米帝の中東支配全体を根底的な危機にたたき込んでいる。米帝は中東支配の暴力的な再編のためにイラク侵略戦争に突入しようと狙っており、そのために、パレスチナ自治政府アラファト指導部を屈服させようと圧力を強めている。
 6月10日にシャロンと会談した米帝ブッシュは、「イスラエルには自衛の権利がある」と語り、イスラエルのパレスチナ自治区侵攻と人民虐殺を全面支持した。また、米帝、ロシア、国連、EU(欧州連合)の4者協議で打ち出した中東和平国際会議は「今夏の早い時期」の開催の目途が立たない状況になっている。
 一方、パレスチナ自治政府は米帝の恫喝に屈服を深めており、人民の自爆決起に対して非難声明を出し、パレスチナ最高裁がサアダトPFLP議長の釈放を命じたにもかかわらず拘置を続けている。
 米帝・イスラエルによるパレスチナ人民虐殺を許すな。米帝のイラク侵略戦争突入を許すな。パレスチナ人民、中東ムスリム人民の決起にこたえ、帝国主義のイラク侵略戦争、北朝鮮・中国侵略戦争を絶対に阻止しよう。何よりも、有事立法3法案を全力を挙げて粉砕しよう。

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週刊『前進』(2058号6面1)

医療観察法案を廃案へ
「再犯のおそれは判定可能」と政府案支持する日共を許すな
 6・23保安処分粉砕デモへ

 日帝・小泉政権は有事立法制定に着手した第154国会の真っ只中で、「精神病者」を始め闘う労働者人民への予防拘禁とその抹殺を狙う保安処分新設攻撃にうって出てきた。小泉政権による「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療および観察等に関する法律案」がそれだ。「再犯のおそれ」を要件に「病者」(及び見なした者)を保安施設に隔離拘禁し、強制・矯正治療と人体実験にたたき込み、強制通院を始め一生監視下に置くこの保安処分新設立法を絶対に粉砕しなくてはならない。

 法案の超反動性は政府答弁で明らか

 「心神喪失等医療観察法案」は3月18日国会提出され、5月28日森山法相と坂口厚労相の衆議院本会議での主旨説明が強行された。6月7日から法務委員会で実質審議が始まっている。
 法案の要旨は以下のとおりである。
 @未遂を含む「殺人、放火、強盗、強姦・強制わいせつ、傷害」なる「五つの重大犯罪事件」の容疑者が「心神喪失(非理弁別がつかない状態)」・「心神こう弱(非理弁別が限定的な状態)」と検察官によって判断され「不起訴」や「起訴猶予」処分を受けた場合、検察官は明らかに「再犯のおそれ」がないという場合を除き、地裁に「処遇決定」の審判を申し立てなければならない。同時にこの申し立ては起訴された者が裁判で刑法39条「心神喪失での無罪」を適用された場合、あるいは同条2項「心神こう弱での減刑」による「執行猶予付き有罪判決」で釈放された場合にも適用される。
 A「処遇決定」では全国50カ所の地裁に新設される審判所において裁判官1人と精神科医1人(裁判所が任命)とが合議し、厚労省指定医療機関への「入院処遇」かまたは診療所をも含む「通院処遇」かを決める(いずれでもない場合は現行精神保健福祉法によって措置入院判定のための通報が行われる)。
 B審判とは裁判の一種と呼ばれているが、刑事裁判とは異なり、刑事手続きにのっとらない制度である。対象者が「容疑者」でしかない場合の「事実認定」の争いや「精神鑑定」においても1名の裁判官が刑事上の弁護権等を保障することもなく単独で決定する。
 C審判期間中3カ月まで「鑑定入院命令」と称して、明らかに「再犯のおそれ」がないという場合を除き「勾留」同様、身柄拘束される(法案ではどの場所かは不明)。しかも通常「鑑定入院」は本人同意が必要だがこの要件を欠くことも認めている。
 D「入院処遇」は6カ月だが更新は何回でも可能。入院期間の限度は存在しない。
 E「通院処遇」は全国50カ所の保護観察所に精神保健観察官を置き、現行の仮釈放制度等での保護司を使った保護観察と一体ですすめる。いつでも保護観察所の長は「入院処遇」を申し立てることができ、事実上の強制通院となっている。
 F審判を非公開としながら、被害者・遺族については傍聴を許可。裁判所の不公平な特別配慮を認めている。
 G「処遇決定」への抗告を掲げているが、その理由は「重大な事実の誤認又は処分の著しい不当」に限られる。むしろ抗告の申し立てが保護観察の長や指定医療機関の長に拡大されていることで、予防拘束を強める方向での利用の可能性が大きい。
 H「付則・経過規定」では法施行前に対象行為を行った者は、法施行後も審判の申し立て等ができると記されている。これは憲法の禁じる「遡及(そきゅう)処罰」に当たる。
 以上が概要だが、法案はさらに多くのウソ・デッチあげを散りばめている。
 @対象を「重大犯罪に限る」としながらも「未遂」を含み、「傷害」という幅広い罪名まで含んで間口を広げている。
 A「事件を起こした」と見なせば、例えば「易怒性、攻撃性、闘争執着性」なる要件で「反社会性人格障害」を当てはめ「心神こう弱」等と鑑定すれば、刑事訴訟法にのっとって「事実認定」すら争う必要のないこの法律による審判に送致し、人を長期予防拘禁することができる。
 Bそもそも「不起訴」「無罪」「執行猶予付き有罪」等でいったん刑事手続きが終了した人が、検察の審判申し立てだけで無期限入院等の拘束を執行されるのは憲法39条「何人も実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については刑事上の責任を問われない」という「遡及処罰の禁止・二重処罰の禁止」の精神に大きく触れる。
 C入院処遇の不定期・無制限更新は憲法31条「何人も法律の定める手続きによらなければその生命若しくは自由を奪はれ又はその他の刑罰を科せられない」という罪刑法定主義の原則を大きく逸脱する。
 D上訴の要件を大幅に制限していることは独立の特別裁判所としての性格を強め、憲法76条「特別裁判所の禁止」に大きく抵触する。
 E森山法相や古田刑事局長は「保安処分とは異なる」と力説する。しかし真っ赤なウソだ。1974年「改正刑法草案」や1981年「治療処分」として発表された保安処分案が「社会復帰目的を掲げていなかった」とか「精神科医が含まれる合議制審判の手続きを踏んでいなかった」とか言う。しかし手法が異なるとはいえ骨格の「再犯のおそれ」を要件に裁判官が下す司法処分であること、どこの管轄であれ保安施設に拘禁する制度であることはまったく同じなのだ。
 F坂口厚労相もとんでもないウソを答弁している。「再犯予測は可能。英国オックスフォード大学の医学教科書に出ている」と。今日、精神神経学会や看護師協会、弁護士、臨床心理士、保護観察に当たる法務省労働組合等がこぞって「再犯のおそれ」に抗議と疑問、「予測は不可能」との見解を表明している。未来の予測で人を拘禁できるという法律は人権侵害であり憲法違反なのだ。文献自体も多くの人から「ウソ!歪曲!偽り!」と指摘されてきている。さらに法相の「措置入院の『自傷他害のおそれ』の判定と一緒で判定可能」という答弁も意図的に話を混同させる間違いだ。「自傷他害のおそれ」の判断は確かに予防的治安的拘禁をもたらす役割を担っているが、原則上は本人と面談した時の緊急時の医者の診察である。一両日の判断を元に日々の定期診察が義務づけられている。しかし政府案の言う「再犯のおそれ」は「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」を問題にするような裁判所の決定としての「おそれ」であり、診察とは異なる。「6カ月の診察予測が可能」ということ自体がまったくデタラメなのだ。

 民主党対案は「処遇困難者病棟」と同じ

 民主党は5月16日に対案を発表した。
 @精神科集中治療センター=PICUを新設する。
 A各県で判定委員会を開き、日頃から「精神保健福祉調査員」によるリストアップ・調査活動を行い「病者」を判定委員会にかける。その中から2名の精神科医の合議で措置入院を行いPICUに収容する(措置解除も2人で)。まさに10年前に提案され頓挫した「道下レポート」による「処遇困難者専門病棟新設構想」と同じなのだ。
 Bさらに「犯罪を犯した」と見なした「病者」対策としては、検察庁と最高裁に「司法精神鑑定センター」を設置し、起訴前・起訴後の鑑定を「統制」しようという。それは「病者」に対してだけ刑訴法248条の起訴便宜主義(検察判断の中に不起訴、微罪処分・起訴猶予等の幅をもたせたもの)を不適用とし起訴法定主義に変更するものだ。これは刑法の責任主義(刑罰は人の犯行時、公判時、受刑時等の責任能力を要求していること)を歪め、実態的には「病者」を医療から分断し、起訴・刑事処分、刑事施設収容を無責任に促し、懲罰的拘禁を拡大する道だ。全精連ら厚労省御用「病者」団体も「裁判を受ける権利」を主張しながらこれに唱和している。だがこれは裁判を受けられる「病者」とそうでない「病者」への分断に手を貸すことでもあるのだ。
 C「検察の起訴前鑑定の安易さ」が指摘される。だが実際には検察審査会制度が存在し、不起訴から起訴に変転した例、簡易鑑定から正式鑑定に切り替えられた例も多い。安易な新制度創設こそ刑法改悪を呼び込むものだ。
 D対案の主旨は「政府案には初犯防止策が無い」というものだ。そして「精神医療の充実」を対置する。しかし初犯防止のための強制医療なら「病者」はこれまで長年拒否し続けてきた。「精神病」とその「発病」を薬や治療技術、精神医療の充実だけで押さえられると考えること自体が誤りなのだ。人間関係の改善は大きなテーマであり平和な社会、地域で生きられる社会、共同性が奪還され人間として解放される社会をたぐり寄せることの努力も必要なのだ。対案は逆に「初犯防止」で医療と福祉を連携させ政府案と競おうとしている。認めがたい提案だ。

 「病者」の予防拘禁叫ぶ日共弾劾せよ

 日本共産党は5月30日「国民が納得できる道理ある制度を」と称して筆坂政策委員長、木島衆院法務委員を筆頭に記者会見を開き断じて許すことのできない党見解を発表した。
 @政府案の裁判所関与―合議体審判に賛成した。
 A「再犯のおそれ」は本人の状況を精密に調査すれば判定可能であると宣言。
 Bしかもそれは「市民の不安を解消する方策ともなりうる」「凶悪犯罪から市民の生命と安全を守る」「被害者を生まない制度的保障」は「社会的要請」党は「『医療上の観点以外の要素をもちこんではならない』という考え方には立ちません」「各国は歴史的にも「『保安』的な施策を講じてきた」「国の責任で加害者=患者に万全の医療を施」せと述べ、「被害者感情」や〃凶悪犯=『病者』の治療”を叫び、保安処分への全面賛成・推進を呼びかけたのだ。
 Cしかもその上〃先進諸国並みの初犯防止策”や〃人格障害への対応”を新たに要求し、その一環で「医療の充実」「精神科救急整備」を提案している。
 Dさらに許せないのは「治安維持法は刑期を終えた者への予防拘禁だから問題あった」と言い、さも〃刑期を終えてない者”〃政治犯以外”への保安処分は問題ないと言いたげな点だ。これは歴史的にも治安維持法の制定が「労作、予防、監護、矯正」等4つの保安処分を掲げた1940年の「改正刑法仮案」と同時期に提出された事実にもフタをすることである。有事体制づくりと一体となり、一早く「病者」と、闘う人民への保安処分制定を叫んで挙国一致・予防拘禁推進を説く日共スターリン主義を徹底弾劾しよう。
 6・23実行委の呼びかける保安処分粉砕デモに決起し、法案を廃案に追い込もう!

 集会案内
 保安処分を許さない! 予防拘禁法を廃案へ!
 6・23集会・デモ
 6月23日(日)午後2時
 国労会館(最寄りの駅はJR新橋駅)
 主催 6・23実行委員会

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週刊『前進』(2058号6面2)

6・5東京 闘う弁護士が集会 有事法、「司法改革」に反対

 6月5日(水)午後6時から東京・霞ケ関の弁護士会館2階講堂「クレオ」において、「STOP! 有事立法&まやかし『司法改革』 弁護士・学者・労働者・民衆の集い」が開催され、740人が参加した。主催は「憲法と人権の日弁連をめざす会」。
 有事立法3法案とまやかしの「司法改革」攻撃を一体のものと位置づけ、ともに「戦争のできる国づくりが目的」と一刀両断し、弁護士自身が行動することで状況を変革する決意に満ちた感動的な集会であった。
 主催者あいさつに立った高山俊吉弁護士は、弁護士会館を「憲法と人権を守る民衆の砦」と呼び、哲学者の久野収が獄中で二度と侵略戦争を許さないと決意した話や、兵役を拒否して軍刑務所に囚われているイスラエルの青年の闘いを紹介しながら、有事立法3法案の廃案を訴えた。
 続いて、航空労組連絡会副議長の村中哲也さんがアピールに立ち、陸・海・空・港湾労組20団体を結成し闘ってきた経過を紹介し、「6月16日の大集会には、制服の航空労働者や看護労働者とともにバッジをつけた弁護士が先頭でデモをしましょう」と呼びかけた。
 また国労の鉄建公団訴訟原告団長の酒井直昭さんは、労働者が誇りを持って職場の団結権を獲得するすばらしさを語り、国労本部を〃権力にすがっているぶざまな存在”と弾劾した。
 「憲法理念と有事法制」と題して講演した奥平康弘国際基督教大学教授は、小泉の狙いは個別的自衛権から集団的自衛権への転換であることを暴露し「廃案あるのみだ」と呼びかけた。
 また、「戦時司法と『司法改革』」をテーマに講演した小田中聰樹専修大学教授は、仙台の公聴会で「有事3法案は違憲である」との意見を述べたことを報告し、「司法改革」の狙いは国家改造であること、具体的には「防衛司法」なる概念(戦前の軍法会議がモデル)を導入し国民と弁護士を取り込もうとしていることを暴露・弾劾した。
 松元ヒロさんによるコントは、小泉の本質を鋭く揶揄(やゆ)し、とてもおもしろかった。
 続いて鈴木達夫弁護士、長谷川直彦弁護士ほか3人が登壇し、日弁連総会でヤジを飛ばしたことを理由に懲戒処分請求がなされたが、所属弁護士会から「処分にあたらない」との決定を得たとの勝利の報告が行われた。
 また、衆議院議員の川田悦子さんが発言に立ち、薬害エイズの教訓は厚生省が患者の命より40億円程度の在庫の販売を優先させたことだと断罪し、何よりも命が大事であることをはっきりさせて戦後憲法の破壊を許さず闘うことを訴えた。
 最後に元日弁連会長の土屋公献さんが登壇し、身をもって体験した戦争の愚かさを語り、平和を守ることを使命として生きる決意を込めて読んだ歌〜「余生をば/どう生きようと/勝手なり/ならば平和に/命ささげん」を紹介した。
 主催者から集会宣言と6・16全国大集会へ参加しようとの行動方針が提起され、満場の拍手で確認された。
 (投稿 山本 茂)

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週刊『前進』(2058号6面3)

 爆取裁判 警察の違法逮捕暴く 岩手県警の共謀明らか

 5月29日、東京地裁刑事第11部(木口信之裁判長)で迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判の第165回公判が行われた。
 冒頭3同志は、15年の不当な長期勾留を徹底弾劾した。とりわけ板垣同志はこの間、頚椎(けいつい)に起因すると思われる、頭痛、手足のしびれが続いており、その激しい頭痛に耐えながら出廷しているのであり、「外部での検査、治療を一刻も早い実施が必要だ」と断固要求した。
 今回は、津志田正雄という元岩手県警の警察官の尋問である。86年10月岩手県警が岩手借家を急襲し、3同志を公務執行妨害をデッチあげて逮捕した。津志田は板垣同志の逮捕警官である。板垣同志の逮捕がデッチあげであり、「公妨」など存在しなかったことを明らかにするために弁護側立証の証人として呼ばれているのである。
 津志田は、岩手借家の北側和室に突入するや、板垣同志に襲いかかり、もう一人の警官とともに板垣同志の両腕をつかんで組み伏せようとした。板垣同志はそうはさせまいと「もみ合い」になったのである。突然数人の男が無言で部屋に突入してきて襲いかかってきたのだ。もみ合いになるのは当然であり、その際、相手の体に触れるようなことがあっても当然である。正規の手続によって警察官であることを明らかにしてから部屋に入らなかった警察官の違法行為が責められるべきなのである。このような経過はすでに、板垣同志の被告人質問によって明らかになっている。
 弁護人、さらに3同志が津志田に対して尋問を行った。
 津志田は、「部屋に入ると、板垣同志が隣の部屋に逃げようとする動作を見せたから、追いかけた、すると板垣同志は振り向き様、一発、津志田の右目あたりを殴った、その後頭突きをしてきたので、取り押さえ、公妨で逮捕したのだ」とデタラメな証言をする。
 これに対し、板垣同志を先頭に、激しい怒りを持って、そのウソを暴く尋問が続けられた。別件岩手公判での証言との食い違い、突入時の状況に関しての別の警官の証言との食い違いが次々に明らかにされた。
 また、逮捕直後にビデオと写真を撮っていた者がいたのは明々白々なのだが、津志田はこれに対しても他の警察官証人と同じく、「そんなものは記憶にない」と開き直った。これはデッチあげ公妨を自己暴露する都合の悪いものは知らないことにしておけという、あらかじめ口裏をあわせた偽証であることを逆に示すものでしかない。
 86年10月の3同志の「公妨」逮捕は、すべて岩手県警全体が共謀してデッチあげたウソであることはこれまでの逮捕警官の尋問で完全に明らかとなった。
 弁護側立証全体に勝利し、デッチあげ裁判粉砕に突き進もう。とりわけ爆取違憲証人の採用をかちとり、天皇の「おふれ」に過ぎない爆取そのものの違憲・無効を公判の場で明らかにしなければならない。
 3同志、とりわけ須賀、板垣同志の長期勾留による健康状態悪化は、もはや一刻の猶予もなく、治療が必要な段階に来ている。外部での精密検査と治療をなんとしてもかちとらなければならない。
 10万人署名運動と1億円基金カンパを推進し、3同志と福嶋同志の保釈奪還を絶対にかちとろう。

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週刊『前進』(2058号6面4)

 水嶋裁判 警察官岡部がうその証言 デッチあげ上塗り許さぬ

 5月29日、東京地裁刑事第1部(川口宰護裁判長)において、88年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘デッチあげ裁判の第7回公判が行われた。川口裁判長は、水嶋秀樹同志の無実を明白に示した正井証言(第5回公判)にもかかわらず、公安刑事岡部正雄の証人採用を決定し、検察側主尋問を強行した。
 この訴訟指揮に、冒頭弁護団は断固抗議し、水嶋同志は「川口裁判長と裁判官は、こんなデタラメな検察官のデッチあげに手を貸し、私をさらに勾留し続けるつもりなのか。無実の私の基本的人権を、検察の冤罪づくりの犯罪行為から守ることこそ裁判官諸氏の役割ではないか」「川口裁判長は、直ちに公訴を棄却し私を釈放せよ」と怒りの意見陳述をたたきつけた。
 岡部は検察官の主尋問に答えて、9・21戦闘から1年後の89年8月に茨城県古河市で水嶋同志を見たと証言した。しかしそれになんの意味があるのか。しかもそれ自身真っ赤なウソなのだ。水嶋同志は生まれてこのかた古河市には一度も行ったことがない。こんなデッチあげの上塗りと、これに手を貸す川口裁判長の訴訟指揮を断じて許さない。
 第5回公判で正井は何と証言したのか。法廷で水嶋同志を目の前にして、正井は、頭髪、歯、顔の形、等々具体的な特長をあげて、「A(戦闘の統括責任者)とことごとく違うので、同一人とは言えない」「水嶋さんとは会ったことがない」とキッパリ証言したのである。Aと1年半もつきあい、その間に少なくとも16泊も同宿し、一緒に風呂にも入り、食事も共にしてきた正井の証言である。法廷の場で、すでに水嶋同志の無実はこの上なく明白にされているのだ。
 そもそも水嶋同志へのデッチあげ弾圧は、この正井の「写真特定」に端を発している。そして検察は、水嶋同志と統括責任者Aを結びつける唯一の証拠として正井の取り調べを請求したのである。その正井がすでに「別人」であることを証言しているのだ。正井以上の証拠は一切存在しない。川口裁判長は直ちに公訴を棄却し、水嶋同志を釈放せよ。
 第7回公判における岡部証言は、偽証がすぐばれるデタラメ極まりないものであった。次回弁護側反対尋問において、この岡部証言を決定的な破たんに追いやろう。
 東京高裁は5月31日、東京地裁による無実の水嶋秀樹同志への保釈却下決定に対する弁護側抗告を、正井証言にまったく触れることなく棄却した。満腔(まんこう)の怒りを込めて弾劾する。有事立法情勢下、司法の反動化が進み、反戦運動と闘う人民への弾圧が激化している。有事立法制定阻止の闘いと一体で、水嶋同志へのデッチあげを断固粉砕しよう。

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週刊『前進』(2058号6面5)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志裁判
6月24日(月)午前10時
福嶋同志裁判
6月18日(火)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
7月3日(水)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判
6月27日(木)午後1時15分
※いずれも東京地裁

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