ZENSHIN 2002/07/08(No2060 p08)

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週刊『前進』(2060号1面1)

革共同の7月アピール
有事立法継続審議を粉砕せよ 7月下旬国会決戦へ労働者人民の総決起を
 東西革共同集会に総結集し労働運動と党建設の前進を
 国労闘争団除名策動うち破れ

 第1章 「連合見解」を粉砕し労働者の反戦決起を

 この6月、労働者人民の「有事立法を廃案にせよ」の怒りの闘いが全国でかつてなく大高揚した。その頂点として、陸・海・空・港湾労組20団体、平和をつくり出す宗教者ネット、平和を実現するキリスト者ネットの3団体が呼びかけた「STOP!有事法制6・16全国大集会」は、6万人の労働者人民が結集し、有事立法を廃案に追い込む状況を切り開く決定的な闘いとしてかちとられた。
 6月決戦の第一の意義は、かつてない大衆闘争の爆発の情勢を切り開き、日帝・小泉政権と有事立法策動に戦略的大打撃を加えたことである。
 この3団体が呼びかけた闘争陣形は、1〜3月を助走期として4・19(5千人)―5・24(4万人)―6・16(6万人)と拡大・発展し、反戦闘争への労働者・労働組合の決起が70年安保・沖縄闘争以来の闘いとしてかちとられた。全国での6月の闘いには合わせて10万人を超える労働者人民が決起した。この闘争陣形と一体となって有事立法阻止の署名活動が駅頭・職場・キャンパスで行われ、また連合傘下の労組の取り組み決定をかちとる闘いが推進された。全学連は、キャンパスの政治的流動情勢をつくり出し、闘いの最先頭で奮闘した。
 沖縄では、6・8県民大会の高揚に続いて、6・23「慰霊の日」に出席した小泉に「有事立法とは沖縄戦の再現だ」と、沖縄人民の徹底糾弾がたたきつけられた。これらの闘いが小泉政権の有事立法制定策動の前に強烈に立ちはだかった。
 政府・与党は、4月16日に閣議決定され、17日に国会に提出された有事立法3法案について、5月連休明けの特別委員会審議入りの時点では、野党の屈服・翼賛状況を見透かして5月中に衆院通過、6月19日の会期末までに参院通過という見通しで臨んできた。
 これに対して労働者人民の側では、有事立法の内容と本質の暴露が徐々に浸透し、批判の声が高まり、様々な闘いが広がっていった。小泉内閣支持率の急低下の大きな理由として有事立法があった。
 こうして全人民の怒りがつのっていく中で、5月の国会前闘争の連日の展開と5・24(20労組陣形)―5・26(反戦共同行動委員会)闘争がかちとられ、5月衆院通過は阻止され、6月に決戦が持ち越されたのであった。
 そして、安倍官房副長官と福田官房長官の核武装推進発言、防衛庁の情報公開請求者の個人情報リスト作成とその調査報告書の隠蔽(いんぺい)工作の露見、鈴木宗男の汚職・腐敗問題など、労働者人民の怒りを一層かきたてる攻撃と出来事が次々と引き起こされた。
 小泉政権は、6月に入って地方公聴会はなんとか強行したものの完全に行きづまり、3法案の審議ができない状況に追いつめられた。だからこそ、7月末までの大幅会期延長を決めて、巻き返しを図ろうと必死にあがいているのだ。
 労働者人民の側から言うと、まだけっして有事立法を粉砕し、その息の根を止めたわけではない。むしろこの7月がまさに「継続審議決定か廃案か」「衆院強行採決か廃案か」をかけた決戦中の決戦になっているのである。
 この闘いの第二の意義は、陸・海・空・港湾労組20団体が主導勢力となった闘争陣形が形成され、階級闘争の新たな発展が切り開かれていることである。
 80年代に進行した世界史的な一大資本攻勢のもと、日帝の「戦後政治の総決算」攻撃に屈服したファシスト・カクマル、さらに社共既成指導部の裏切り・無力化と社共共闘の崩壊、総評の解体と連合の結成以来絶えて久しかった労働者・労働組合の反戦政治闘争への決起が新たな陣形のもとでかちとられたのだ。
 99年ガイドライン闘争時に形成されたこの陣形は、01年9・11―10・7情勢として現れた米帝の世界戦争戦略と日帝の戦争国家化攻撃への強い危機感を共有している。そして、9・11反米ゲリラ戦とパレスチナ人民の決起として開始された国際的内乱の中で、日本の労働者階級の進むべき道は何かを切り開こうとするものである。それは、労働者が本質的に持っている階級的魂と戦闘的エネルギーに依拠して闘争を指導する新たな陣形として社共・連合をのりこえる位置を持ちつつある。5・24闘争と6・16闘争はそのことをはっきりと示した。
 5月16日に出された連合見解は、政府・与党に対して、民主党・連合を修正協議に取り込み3法案成立を図れという呼びかけにほかならず、労働運動のナショナルセンターである連合が日帝の有事立法攻撃と北朝鮮・中国侵略戦争に賛成を表明したという歴史を画する重大事態であった。
 これを打ち破ることなしには、反戦闘争はもとより労働組合運動の前進はありえないのである。連合傘下の労働組合にいるわが労働者同志と戦闘的労働者は、この連合見解と全面対決し、自治労・日教組・全逓や各民間産別において、また国鉄闘争支援陣形の中で、6・16闘争への組織動員決定や組合員の決起をかちとるために奮闘し大きな成果と教訓を得たのであった。
 この間の4、5、6月の闘いを踏まえて、有事立法阻止決戦の意義と課題についてあらためて明確にしておこう。
 一つは、内外情勢の激動と激変、階級情勢の〈有事立法決戦プラス国鉄決戦〉としての展開の中で、わが革共同はこの有事立法粉砕決戦において革命的労働者党としての死活のかかった局面に直面しているということである。ここでわれわれは、反スターリン主義・革命的共産主義の旗を掲げた革命的労働者党として、そして一人の革命家としても血みどろになって生死をかけて闘い、勝利しなければならないのである。60年安保闘争、70年安保・沖縄決戦を超える巨大な革命的大衆行動の爆発へと、階級闘争の発展を切り開く闘いに決起しなければならない情勢だということである。
 二つは、この有事立法決戦はあくまで国会決戦として貫徹されなければならないということである。3法案の国会通過を絶対阻止するために国会に向かって巨万人民の大衆行動を闘いとることである。したがってそれは、たんなるカンパニア闘争であってはならず、階級的魂の爆発として、血を流す闘争として貫徹しなければならない。われわれは、階級闘争の革命的発展をめざして、小さなものであろうと今日的な前進をかちとるために、必死の実力闘争をたたきつけなければならないのである。
 三つは、有事立法決戦への労働者人民の決起と党建設の闘いについてである。「党としての闘争を血みどろになってたたかい、労働者人民の先頭にたって党の姿をみせていくことによって党と階級・大衆の生きた結合関係が形成され、そうしてはじめて革命もできる。真の革命党は、一方で、党としてのたたかいを貫徹することをとおして党と階級・大衆の全体的あり方そのものの変革をかちとりつつ、他方、そのなかで党のためのたたかいを同時に独自に遂行していくことをとおして建設されていく。これが革命の基本構造にほかならない」(「清水丈夫選集」第2巻序文41n)のである。
 すなわち、有事立法決戦の組織化の闘いは、労働者階級の階級的自己形成のための闘いと党の組織的自己形成のための闘いの統一として推進されなければならないのだ。こうした考え方を基礎にすえて、われわれは4、5、6月の20労組陣形の闘いの戦闘的で大衆的な発展をかちとるために奮闘してきたし、これからもその防衛と発展の立場を貫いて闘う。
 この7月決戦において、4、5、6月の闘いを一段と上回る「労働者の中へ」の闘いを貫き、大衆闘争の一層の高揚をかちとり、日帝・小泉政権をさらに追いつめ、7月下旬の国会決戦の爆発で有事立法廃案の実現という画期的な政治情勢をなんとしても切り開こう。そして、その中で階級的労働運動の再生・発展の土壌をつくり出し、労働者細胞を建設していく展望をこじ開けていこう。階級情勢を革命的情勢へと揺り動かす学生戦線の強化をかちとろう。
 米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争への突入情勢のもとで、革命党や闘う労働組合の根絶・一掃という戦前と同じ暗黒時代の到来を粉砕し、階級闘争を内乱をはらむ情勢へと押し進めなければならない。われわれは今、そうした戦争と革命の時代を切り開けるのか否かの歴史的瞬間に立っているのである。

 第2章 イラク・北朝鮮への侵略戦争を許すな!

 最近の内外情勢の特徴を見ていこう。
 まず、基軸帝国主義であるアメリカ経済の危機の爆発である。世界経済―米帝経済は29年型世界大恐慌への突入という情勢に根本で規定されているのだ。
 米の貿易赤字が過去最高のペースで拡大しており、景気を牽引(けんいん)してきた個人消費が低迷状況に入り、景気の二番底状態と言われる中で、外国為替市場および株式市場において「アメリカ売り」が引き起こされ、国際資金循環に異変が起きつつある。そして日本市場でも、米株式市況の影響と小泉政権の経済政策への不信から、株価が下落基調のもとで乱高下している。欧州市場も同様に下落傾向にあり、世界同時株安状況になっている。
 こうした中で米帝は、歴史的没落をますます深め、基軸帝国主義としての地位を活用してすさまじい帝国主義間争闘戦を繰り広げる以外に延命の道はない。
 とりわけ圧倒的な軍事力をもって世界戦争計画を遂行し、そのことで他帝国主義国に勝ち抜こうとしているのだ。
 さらに、米帝ブッシュ政権のQDR戦略と核戦争戦略に基づく世界戦争政策の凶暴な展開である。(7面論文参照)
 第一は、対イラク侵略戦争の切迫だ。ブッシュは2月の日米首脳会談において小泉にイラク攻撃を明言し、6・1ウエストポイント陸軍士官学校卒業式演説、6・11カンザス州の高校での演説でも同様の発言をしている。
 他方で、米帝は北朝鮮に対して米朝協議の再開のもとで戦争重圧を加えている。「対話」と言っても、最初から「譲る理由はない」などと強硬姿勢を隠そうともせず、協議は軍事力行使の口実をデッチあげるための挑発的な本質を持つものにほかならない。「悪の枢軸」と叫ぶ米帝がイラクに引き続いて北朝鮮への侵略戦争を構えていることは明白だ。小泉はそれに必死に対応しようとして有事立法攻撃に踏み込んできているのである。
 第二は、パレスチナ情勢と米帝の「中東和平」策動である。イスラエルのパレスチナ人民へのジェノサイドに等しい暴虐に対して、自爆決起を先頭とするパレスチナ人民の不屈の決起が間断なく続いている。シャロン政権は自治区をすべて無効にし、長期再占領政策に転換した。これは93年オスロ合意さえ全面的に破棄するものである。
 同時に、ブッシュは24日、中東和平の新提案を打ち出した。それは、イスラエル体制を護持し米帝の中東支配を貫くためにアラファト議長の退陣を強要し、イスラエルのパレスチナ圧殺を全面的に容認するものである。全情勢はパレスチナ人民とイスラエル・米帝の非和解的対決の原点にらせん的に引き戻されたのだ。
 第三は、アフガニスタン情勢の新展開である。国際帝国主義のかいらいであるカルザイ政権を防衛するために、米帝自身がアフガニスタン情勢に一層深々と引き込まれ侵略戦争を継続していくことは確実である。
 他方、米帝はビンラディン氏の健在を公式に認め、その抹殺のためにパキスタンでの軍事作戦を開始している。そしてアルカイダが新たに発した戦闘宣言に対テロ戦争への衝動をつのらせている。
 26日から開始されたカナナスキス・サミットでは帝国主義間争闘戦の最重要テーマが取り扱われた。すなわち、一つは「テロ対策」であり、その一環としてのパレスチナ圧殺と対イラク攻撃シフトであり、中ロ分断−ロシアの取り込みである。二つはそれと関連づけて「貧困こそがテロの原因」と意義づけたアフリカ支援問題(支援の名のもとの再分割戦)である。三つは米帝経済危機−世界経済危機の深刻化をめぐる延命策であり、帝国主義間のつぶし合いの激化である。
 今次サミットは、米帝を始めとする帝国主義が、争闘戦と世界戦争過程を一層激化させるものとなった。日帝の有事立法攻撃に新たな反動的バネが組み込まれたのだ。
 そして、日帝・小泉政権の危機と凶暴化である。小泉は、危機を反革命的に居直り、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争の切迫情勢のもとで有事立法と改憲を自ら成し遂げる反動的決意を固めている。だからこそ、内閣の柱である福田、安倍から核武装推進発言がなされ、防衛庁個人情報リスト問題では自民党国防族から「自衛隊は暴走しろ」という暴言が飛び出すのだ。また、昨年12月に撃沈した小型外国船の引き揚げを強行して、北朝鮮への排外主義キャンペーンを強めようとしている。だが、野党はそれらに何ひとつ反撃できず、屈服と翼賛を深めている。
 他方、経済情勢に関しては、没落とデフレスパイラルの深刻化からけっして脱することはできないのである。
 サミットに向けて出された経済財政諮問会議の「新基本方針案」(骨太第2弾)は、経済危機をより深刻化させるものだ。その中で03年度の税制改悪が打ち出され、資本家救済のための減税と労働者人民への犠牲転嫁の大増税が強行されようとしている。これは有事立法と表裏一体の攻撃である。
 こうした中で石原都知事が、ニューズウィーク(韓国版6・12付、日本版6・19付)で「自分が総理になれば、北朝鮮と戦争をしてでも、抑留された日本人を連れてくる」と発言した。石原は、「拉致」問題を排外主義的に増幅し、それを口実に北朝鮮に侵略戦争を仕掛けるテコの役割を果たしているのである。
 石原は、この暴言にとどまらず、核武装推進発言の福田を電話で激励したり、8月15日の靖国神社参拝を強行すると都議会で言明したり、女性差別の暴言をするなど反動的言動を繰り返している。また、労働者人民の反撃によって断念に追い込まれたが、都の「迷惑防止条例」に労働運動弾圧・住民運動圧殺のための「つきまとい禁止条項」を入れようと策動した。小泉政権が危機を深める中で、ファシスト勢力が石原を先頭に台頭してきていることを重視し、それとの闘いの階級的意義をしっかりと確認しよう。

 第3章 有事立法廃案と小泉打倒かけ7月決戦へ

 7月決戦の方針は何か。第一は、有事立法決戦に絶対に勝利することである。国会をめぐる情勢は、「継続審議決定か廃案か」「衆院強行採決か廃案か」の攻防になっている。
 国会情勢はまったく予断を許さない。自民党が狙っていることは、衆院議長のもとに与野党協議機関を作ることで民主党を引き込み、その賛成のもとに継続審議に持ち込むことである。これは消費税法案と小選挙区制法案の際にとられた手法だ。それで国会休会中に密室で審議をどんどん進めてしまい、秋の臨時国会開会直後には衆院を通過させるという魂胆である。つまり、「継続審議ニアリーイコール衆院通過」なのだ。継続審議と廃案とでは天地の開きがある。継続審議には特別委員会と本会議で採決する手続きが必要だ。逆に、この採決を実力阻止すれば、有事立法3法案を審議未了・廃案に追い込むことができるのである。
 この7月下旬の国会決戦の爆発に向かって闘おう。全国各地で有事立法反対署名運動の現状を倍する前進を切り開こう。あらゆる労働組合に署名を持ち込み、労働者の根こそぎの反撃、決起をかちとろう。職場・大学・街頭で創意工夫をこらした宣伝行動を繰り広げよう。各地域での集会・デモをかちとろう。
 同時に、郵政関連法案、医療制度改悪法案、医療観察法案=保安処分新法の粉砕をかちとろう。
 7月決戦の第二の方針は、階級的労働運動の再生と発展のための闘いである。
 何よりも国鉄決戦の勝利である。4つのスローガンを掲げて、7月代議員選を大会決戦そのものと位置づけて勝ち抜き、9月定期大会で本部執行部打倒・闘う国労の再生をかちとろう。闘争団の仲間を、その首を切った自民党の言いなりになって除名する本部執行部を許すな。賛成派代議員を引きずりおろせ。
 自治労・教労・全逓・NTT・民間などすべての産別で、資本攻勢との闘いが火を噴いている。連合見解と全面対決し有事立法粉砕闘争に決起することによって、労働運動圧殺・労組つぶしの資本攻勢との闘いの革命的な発展の展望をつかんだ。既成労働運動指導部への批判とそこでの党派闘争を貫徹し、組合の分会・支部・地本・本部の権力を握る闘いに断固挑戦しよう。
 7月決戦の第三の方針は、有事立法闘争の重要環としての諸闘争への取り組みを強めることである。
 沖縄闘争の新たな発展へ闘おう。
 有事立法の先取り攻撃と闘う三里塚闘争に総決起しよう。6・24東峰神社裁判闘争は重要な闘いとしてかちとられた。ジェット機の爆音と排気ガスと闘う三里塚農民の生活と闘いを守り抜こう。
 7・14関西新空港闘争に決起しよう。
 今年の8月広島―長崎反戦闘争は有事立法攻防のもとでかつてなく重大な闘争になった。その大成功をかちとろう。
 保安処分新法を粉砕し、差別・抑圧と闘う諸闘争の前進をかちとらなければならない。反軍闘争を前進させよう。
 7月決戦の第四の方針は、党建設の闘いである。一つは、『前進』拡大闘争への取り組みを今こそ強化することである。この間の労働組合指導者・活動家への働きかけを強め、『前進』拡大運動に打って出よう。二つは、夏期一時金カンパ闘争に総決起することである。ここに今年後半の闘争と党組織の発展の展望がかかっている。7月決戦を全力で闘いつつ、一時金カンパをこれまでの水準を超えて達成するために奮闘しよう。三つは、東西革共同政治集会に総結集することである。この間の「労働者の中へ」の闘いのすべてを党勢倍増に集約していく闘いとして革共同集会に総結集しよう。
 死力を尽くして7月決戦の勝利を切り開き、強大な革共同の建設をかちとれ。

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週刊『前進』(2060号2面1)

自民党・甘利が闘争団除名を迫る
権力の介入招き入れた執行部打倒へ国労代議員選の勝利を

 国鉄闘争は、闘争団の除名を許すのかどうかをめぐる一大決戦に突入した。有事立法の強行をたくらむ日帝権力は、侵略戦争に労働者を動員するために、労働者の階級的団結のかなめをなす国鉄闘争を解体しようと全力を挙げている。国労本部をして闘争団員を除名に追い込み、惨憺(さんたん)たる敗北のうちに国鉄闘争を終結させようと狙っているのだ。国労本部は、この凶悪な攻撃の最先兵に転落した。彼らは与党3党声明に屈し、5月27日の臨時全国大会で、9月とも言われる次期定期大会で闘争団への統制処分を発動することを決定した。本部執行部を打倒し、国労の階級的再生をかちとることが求められている。国労代議員選挙の過程は、国労と日本労働運動の命運を決める決戦となった。7月有事立法決戦と併せ、国鉄闘争の勝利へ総決起することを訴える。

 “確信犯は組織から外せ”と露骨な恫喝

 与党3党声明を振りかざして国労の総屈服を求めた権力は、5・27国労臨時大会を経て、ついに「闘争団除名」を露骨に迫るに至った。6月6日の自民・公明・保守・社民の4党協議では、与党3党声明を「基本原則」として国労に対処することを確認した。
 4党協議後の記者会見で、4党合意の署名者である自民党の甘利明は、闘争団の除名を国労に露骨に要求した。彼は、鉄建公団訴訟などを取り下げさせろとわめき散らした揚げ句に、「(取り下げを拒む)確信犯をできるだけ絞り込んでください。最後、どうしても残る人がいるでしょうと。その人たちは組織から外れてもらうことになります」などと言い放った。
 権力によるこれほどあからさまな労働組合への支配介入は、ほかに例がない。自民党は、「国労をつぶし、総評を解散させる」(中曽根)とうそぶいて、国鉄分割・民営化という国家的不当労働行為を強行した張本人である。闘争団の首切りに手を染めた自民党が、国労も闘争団の首を切れと迫っているのだ。これこそ、有事立法攻撃下の労組破壊の最頂点に位置する攻撃だ。こうして、4党合意はその極限的な不当労働行為としてのありのままの姿をむき出しにした。
 さらに甘利は、定期大会前までに「(裁判を)なるべく多く取り下げること」と本部を恫喝した上で、「交渉を開始するのは(定期)大会で諸課題の解決の後だ。だから具体的に採用人数の交渉をするとか、和解金の問題の段取りを取るという行動はしない」と発言した。闘争団を除名しなければ、「解決案」の提示どころか「解決交渉」も開始しないというのである。
 これが、権力の言う「JR不採用問題の解決」の正体だ。「ゼロ回答」をのみ込ませ、ひざまずかせるだけでなく、本質的にも実態的にも闘争団員から一切の団結を奪い、二度と立ち上がることのできない決定的なダメージを与えようとしているのである。それは、゛国家に刃向かう者はみじめな末路をたどるだけだ″として、闘争団をさらし者にしようとする、凶悪きわまる策動だ。闘争団員の人間的尊厳をどこまでも踏みにじろうとしているのだ。断じて許してはならない暴挙である。
 しかも甘利は、こうした労働組合への前代未聞の支配介入を、すべて国労本部の要請に基づくものとして居直り、「(労組に)政治的には干渉してはいけないということでは、4党合意は成り立たない」と平然と言い放った。
 「崇高な理念に基づく4党合意」(高嶋委員長)などという本部の権力への屈服とおもねりこそが、自民党のこんな傲慢(ごうまん)きわまる言動を許しているのだ。この現実に歯がみせずにはいられない。国労が国労であり得るためには、直ちに本部執行部を打倒しなければならないのだ。

 臨大「決定」弾劾し反動ども放逐せよ

 機動隊を導入して5・27臨大を強行した本部執行部は、自民党にどやしつけられ、次期大会で闘争団除名を強行しようと、わき目もふらずに暴走している。
 6月15日付『公益企業レポート』のインタビューで、寺内書記長は「(鉄建公団訴訟の取り下げに)どうしても応じない闘争団員は、これも遅くない時期に処分の量刑を決めて査問委員会に送致をし」「結論をできるだけ早期に出し、その直近の大会で答申して、承認する」と言い放った。
 もはや本部の眼中にあるのは、権力から突きつけられたハードルを何がなんでも跳び越えるということだけだ。規約を厳正に適用すれば、次期大会で闘争団の除名を決めることなど不可能だ。だが、彼らは、大会の代議員の3分の2以上を確保すれば、あらゆるでたらめをまかり通らせることができると考えている。そのためには、どんなに卑劣で腐敗した手段でも平然と用いようとしているのだ。
 さらに本部は、「鉄建公団訴訟の取り下げを求めるための闘争団オルグ」と称して、闘争団員の自宅に襲撃とも言える「戸別訪問」を開始した。アルバイトで本人が不在の家庭に押し掛け、家族を恫喝し、動揺を誘って闘争団の団結をずたずたに破壊しようとしているのだ。本部は、生活援助金の支給停止に続く暴力的な闘争団解体の攻撃に手を染めた。こんなことは労働組合のすることではない。
 その最悪の先兵こそ反動革同である。彼らは、「団結権擁護の原点をまったく理解しない一部組合員・闘争団員」(札幌闘争団の牧田)などとして、闘いを貫く闘争団員らに転倒した非難を投げつけている。゛闘争団排除のために組合員は団結せよ。それが団結権擁護の原点だ″などというスターリン主義むき出しの極悪の反革命的言辞である。
 こうしたやからが、5・27臨時大会で闘争団への統制処分を柱とする最悪の裏切り方針を決めたのだ。その大罪を、今こそ徹底的に断罪しなければならない。
 さらに本部は、自民党から採用差別訴訟を始めとした全裁判の取り下げを迫られ、今日明日にもそれを強行しようとしている。
 前記インタビューで寺内は、「(裁判を)早く下ろすのは、何のためらいもありません」「(取り下げは)解決作業の前でも構いません」と述べている。
 本部が追い求めているのは「解決」でも何でもない。一刻も早く闘争団を除名し、国鉄闘争から一目散に逃走したいだけなのだ。

 全組合員の決起で国労解散阻め

 国労代議員選挙は、これらの反動どもを打ち倒す後がない決戦となった。闘争団除名に賛成する者は一人残らずたたき落とせ。ここでの勝敗が、国労の死か再生かを決めるのだ。
 闘争団は、不退転の闘いを貫いている。4党合意以来、国労本部が投げ捨てたJR東日本の株主総会でのJR資本追及行動を闘い抜き、鉄建公団訴訟や国土交通省などへの大衆的追及行動を独自の力で貫いている。JR本体の組合員も、それを支える闘いに立ち上がっている。
 この成果を打ち固め、勝利に転じるためには、闘いをさらにJR本体の国労組合員に押し広げ、闘争団除名を強要する権力・JR資本とそれに屈従する本部執行部への怒りを掘り起こし、国労再生のうねりを組合員総体のものとしてつくり出さなければならない。そして、それを代議員選挙の勝利として確定しなければならないのだ。
 日帝権力が有事立法の制定に全力を挙げ、連合がそれを率先推進する見解を打ち出す中で、陸・海・空・港湾労組20団体を先頭に、労働者はこの逆境を打ち破る根底的な決起を始めている。それは、階級情勢を大流動にたたき込んでいる。
 こうした中で、国労本部は有事立法攻撃下の組合破壊攻撃に屈し、その先兵の役割を買って出て、闘争団を切り捨て、国労を自ら解散に追い込もうとしているのだ。国労こそ有事立法阻止決戦の先頭に立たなければならないこの時に、国労そのものを死に導こうとしているのがチャレンジと反動革同だ。こんな屈辱にもはや甘んじてはいられない。彼らが執行部に居座ることなど許してはならない。国労再生へ、今こそ総決起しよう。

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週刊『前進』(2060号2面2)

JRに“レッドカード” 共闘会議が株主総会行動

 6月26日、JR東日本の株主総会が東京・ホテルニューオータニで開催された。前日の25日、「1047名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議」は、結成後初めての「JR総行動」を闘った。JR東日本本社前に闘争団、JR本体、共闘の120人が結集し、「レッドカード」を突きつけた。
 闘う闘争団の代表は「4党合意をのんだ国労本部は、私たちの15年間の闘いが間違っているから解散しろと言っている。しかし兵糧攻めにあいながら、今日も15の闘争団から結集した」と不屈の決意を表明した。その後、鉄建公団、最高裁、厚生労働省、国土交通省に対して要請・請願行動を行った。
 株主総会には、与党3党声明に屈した国労本部が「一株株主会」の活動を休止させたにもかかわらず、多数の一株株主が参加。「社員株主」の東労組カクマルが威圧する中、議長の大塚社長らを徹底追及した。
 質問では、採用差別や配属差別、昇進差別などの不当労働行為を居直る経営陣への怒りの声が相次いだ。また高崎で5人の東労組組合員がハレンチ事件で逮捕されたことについて、東労組と癒着した管理者の責任を追及する声が次々出されたが、経営陣は「労使関係は関係ない」と居直った。
 新大久保駅事故などの安全問題で質問する株主を強制的に退場させることまでやったのだ。
 4党合意問題について自民党から要請があったのかとの質問には、「具体的要請はない。非公式にもない」と回答。「裁判で当社の正当性が認められた」との許しがたい姿勢を貫いた。「そういう労使関係だから、動労千葉がストライキをやっている」と、会社を追及する発言も出た。
 2日間闘い抜いた共闘会議は、あくまでもJRに責任をとらせるまで闘い抜くことを確認した。

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週刊『前進』(2060号2面3)

全逓56回大会
“公社=民営化許すな” 闘う労働者が本部打倒訴え
 有事法反対署名が200人

 全逓第56回定期全国大会が6月19〜21日、水戸市の茨城県民文化センターで開催された。連合全逓中央は、小泉政権による郵政公社化=民営化攻撃と有事立法を全面的に推進する方針を決定した。来年4月の郵政公社化に向けて「全逓と全郵政が、来年3月をメドに対等合併する方向で調整に入った」(日経新聞6・8付)と報じられる中で、連合全逓中央の転向と裏切りは一層深まった。
 これに対して、全国労組交流センター全逓労働者部会や全逓4・28連絡会などは、大会初日の早朝から宣伝活動を展開した。前日の大雨から一転、ギラギラの太陽の下で、横断幕やのぼりを林立させ、「有事立法に賛成し、公社=民営化推進の裏切り者・中央本部を打倒しよう!」という全逓部会のビラ、マル青労同全逓委員会のリーフレットなどが次々と配られた。
 有事立法・改憲反対の署名には、約200人の大会参加者が応じた。用紙を持ち帰って集めるという組合員も現れた。
 昼休みの集会は代議員・傍聴者の注目を集めて会場前で開かれた。4・28連絡会、赤羽局共に闘う会、4・28ネットでそれぞれ闘う5人の被免職者が、「絶対に原職奪還をかちとる」「階級的労働運動の一掃を狙う公社化、全郵政との合併を許すな」などと訴えた。鳥井電器争議弾圧統一救対から、4・28当該を含む3人の不当逮捕を粉砕した勝利の報告が行われた。
 地本役員らを破って当選した2人の代議員が駆けつけ、大会の様子を伝えるとともに、人事交流や新集配システムに反対して闘う決意を表明した。
 現場の労働者が、大会参加者に向けて熱烈なアジテーションを行った。
 「職場で議案の討議をしたが、これは経営者が書いた議案書じゃないかという声が出た。現場の怒りは我慢の限界だ。中央本部は辞めてもらいたい」
 「4・28免職処分取り消し裁判の反動判決は、労働組合を根本から否定するもので、絶対に許せない」
 「本部は公社法案で出資規定を求めているが、関連会社に本体の郵便労働者をNTT労働者同様に放り出す攻撃だ。全郵政との合併は戦争に賛成する労働組合になることだ。代議員は一票投票で本部方針に反対の票を投じてほしい。傍聴者は怒りの声を上げよう」
 「全逓を階級的労働組合に変えるために頑張ろう」

 石川委員長が公社法に賛成

 大会では、石川委員長が「公社法案は出資条項、国庫納付金を修正の上、今国会での成立を図る」「『リフレッシュスタート』宣言は、郵政公社への移行に対応すべく、労働組合が転換を図る意志の表明だ」などと述べ、一層の転向を表明。全郵政との合併には触れなかった。来賓あいさつした松井郵政事業庁長官が「委員長あいさつに共感する部分が多い」と応じた。
 討論では現場の「不安」を訴える発言、有事法制反対の発言などがあった。運動方針の一票投票では370票のうち42票の反対があり、役員選挙では最大58票の不信任票が出た。

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週刊『前進』(2060号2面4)

妥結前の賃下げ提案を組合員にはひた隠しに 裏切り自認した電機連合

 電機連合は7月3〜5日、室蘭市において第50回定期大会を開く。この大会は、日帝の有事立法攻撃の真っただ中で開かれる。有事立法に賛成した「連合見解」において、自治労・日教組の裏切りとともに、より右のウルトラ国益主義、企業防衛主義の立場から積極推進を唱えた電機連合や造船重機労連の役割は犯罪的である。傘下に軍需産業の労組が多いからだ。
 電機連合中央は大会で、今春闘での妥結直後の賃下げ容認という大裏切りを開き直り、「雇用の適切な移動」のためと称して終身雇用制解体の水路となる「職種別賃金」を大々的に打ち出そうとしている。妥結直後の賃下げ容認の犯罪的文書「緊急通達」の内容と、電機連合・鈴木委員長の発言を、怒りを込めて暴露・断罪する。

 マスコミの暴露恐れ「緊急通達」

 今春闘は3月13日の金属大手の集中回答日に、史上空前の1兆円以上の経常利益をあげたトヨタのベアゼロを頂点に、ほとんどの組合がベアゼロで妥結した。さらに、周知のように電機では妥結直後に賃下げ攻撃が吹き荒れた。
 妥結翌日の3月14日付で出された電機連合の「緊急通達」は、加盟各単組委員長に対して、「組合において取り組まれている『02年度緊急労務対策』の内容が、マスメディアなどに取り上げられることが想定されますので、以下のような考え方を踏まえ、対応されるよう要請します」という書き出しで始まっている。
 この通達は、朝日、日経、読売など商業紙の3月14日夕刊に日立製作所の5%賃下げ提案が大きく報道されることを知った鈴木が、その直前に大あわてで出したものだ。現に鈴木は、このことを、『週刊労働ニュース』5・20付の「逆提案は事前に把握」と題したインタビューで、「せめて3月一杯は、(裏切りを)表に出さずに済ませられないかと思っていたが、結果的に資料が外部にもれた。回答日直後の3月14日の昼前後に……電機連合見解を提出した」などと恥知らずにも認め、「春闘の前段に定昇凍結などとなれば交渉自体が紛糾する」と、この賃下げ提案が明らかになれば労働者の怒りが爆発するので、妥結後までひた隠しにしていたというのだ。
 「02年度緊急労務対策」という言葉は、資本の賃下げ提案を意味している。資本の賃下げ提案を「緊急労務対策」などと内部で呼んでいたことも、この通達で初めてはっきりした。

 生産性基準原理さえ完全に否定

 しかもこの内容の一字一句が怒りなしに読めない代物だ。そこでは、賃下げに屈服する理由として、@予断許さぬ電機各企業の経営動向、A国際競争力と労働条件、B02年度業績動向に危機感、C企業存立と緊急労務対策、D労使協議にあたっての基本方針、などを挙げている。
 注目すべきは「国際競争力問題」よりも先に「経営動向」と「金融問題」を挙げていることだ。
 @では「日本の多くの企業の特徴は借金経営」だとして、日帝の金融危機による融資のストップで「資金繰り倒産」が起きているから、「個々の企業の中では、『職場は忙しい』『利益も出ている』状況であっても」倒産すると脅し、職場が繁忙を極め、トヨタのように史上空前の経常利益を上げたとしても、賃下げをのめと言っている。これは、戦後賃金闘争の基本であった生活給思想を否定するために日経連が持ち出した「生産性基準原理」すら否定する暴論であり、文字どおり今春闘における奥田の労問研路線を労組の側から認め、積極的に推進するとんでもない発言である。

 「職種別賃金」でさらなる賃下げ

 さらに、Aでは、国際競争力問題を今まで以上に踏み込んで取り上げている。「電機産業の国際競争は熾烈(しれつ)を極め、総コストが極端に安価な発展途上国との競争力が弱体化している」「国の政策に頼りきったり、待っていたのでは今日のこの状況を克服することはできない」などと危機を絶叫し、「雇用確保のための電機産業再活性化」を組合自ら提案するなどと言っている。こうなると労資協調などという中途半端なものではなくて、資本とどこまでも一体化し、資本の立場に立ちきるという宣言であり、労働組合を原理的に否定して、戦争協力にまで行き着く論理だ。
 鈴木はインタビューで、「賃金水準を問題とする国際競争力の視点にたって、業績がいいからベア要求するのではもう単純には済まない」「これからは組合は職種別賃金の価格決定権を持つべき」と述べている。つまり賃金闘争を最後的に放棄し、それに代わるものとして「職種別賃金」を打ち出しているのである。
 要するに鈴木の言っていることは、資本が生き延びるためならば労働者は文句を言わずに奴隷的低賃金に甘んじろということだ。これこそ、国のためには命を投げ出せという論理と同一だ。労働者を戦争動員しようとする電機連合中央を怒りの炎で打倒しよう。

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週刊『前進』(2060号2面5)

加速する教基法改悪攻撃 中教審総会に「見直しの方向性」 戦時教育へ大転換

 有事立法攻撃と軌を一にして、教育基本法改悪攻撃が急ピッチで進んでいる。
 6月21日の中央教育審議会総会には『基本問題部会の議論の概要』と題して「教育基本法の見直しの方向性」が提出された。「新しい教育基本法はどうあるべきかという視点から見直す/教育振興基本計画策定の根拠となる規定を教育基本法に盛り込むべきとの意見が多い/現在及び将来の教育にとって特に必要と考えられる制度や施策の根拠規定を盛り込むかどうかについては、更に検討する」などの内容である。
 前回の5月総会では「次回総会に教育基本法の見直し案を提示したい」としていたが、議論が進まず、具体的な「見直し案」の提出は先送りされた。しかし昨年11月の文科相の諮問時には「1年をめどに答申を求める」としており、日帝は年内の中教審答申−来年の通常国会への提出に突進しようとしているのだ。
 ここで、教育基本法改悪をめぐるこれまでの動きを簡単に見ておこう。00年12月の「教育改革国民会議」最終報告を受けて、文科省は昨年1月「21世紀教育新生プラン」を発表、教基法改悪を中教審に諮問することを決めた。そして昨年11月、遠山文科相が「教育振興基本計画の策定と新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について」中教審に諮問した。
 中教審は今年1月の総会において、「教育振興基本計画の策定と教育基本法の在り方についての専門的な調査審議を行うため」の基本問題部会の設置を決定。同部会は中教審委員のうち11人と臨時委員5人で構成され、2月から月2回のペースで開催され、とりわけ5月10日の第7回部会から、教基法改悪に向けた具体的議論が開始された。
 その議論では、重大な発言が次々飛び出している。以下、いくつか見てみる。
n全文改悪の表明
 「教育基本法は全面的に書き直すことが必要」「今の国会の構成から大幅な改正はできないといって妥協の産物のような基本法をつくるのか。少なくとも現行法では駄目なのは明らかで、誰がどう反対しても問題を提起することが必要」「どうせ見直すのであれば抜本的に全文を書き直すことが必要」「パッチワーク的改正では納まらない」
n教育勅語の賛美
 「教育勅語は中身を見ると全部が間違っているわけではない。人間の生き方として大事なことは何かを議論して基本法の中にも書くべき」「郷土愛、伝統など教養教育の答申で書かれているようなことを参考にして(改正案を)書くべき」
n能力主義教育の徹底
 「飛び級・飛び入学・編入学は個性に応じた教育の一つということができる」「飛び級・飛び入学の裏には留年・落第もあり、これができる方がよい場合もある。個人の習熟の度合いに応じて年限の弾力化をするという、飛び級と留年の両方の要素を含んだ表現が適当」「戦後の教育は教える側が妥協し、教えられる側に配慮しすぎたことに問題がある」

 自民党特命委も改悪案づくりへ

 中教審はこのような議論をとおして、戦後の教育のあり方を全面解体して戦時型教育へと一変させる教基法の全面的改悪へ突き進もうとしている。
 中教審の議論と並行して、自民党も今年1月「教育基本法検討特命委員会」を設置し、教基法改悪の推進へ猛然と動いている。同委員会はすでに教基法改悪案づくりに着手し、今国会中に中間報告を出し、秋に最終報告をまとめ、来年の通常国会で教育基本法改悪をめざすとしている。
 日帝が教基法改悪へ急ピッチで突き進んでいるのは、有事立法制定による戦争遂行体制の確立のためには「戦争を担う人間づくり」=教育の大転換が不可欠のテーマであるからだ。
 教基法改悪に正面から反対することを放棄して「教育基本法を生かそう」運動に逃げ込む日教組本部の屈服をうち破り、有事立法粉砕闘争と一体で、教育基本法改悪絶対阻止へ闘おう。

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週刊『前進』(2060号3面1)

東京都迷惑防止条例 「つきまとい」条項を削除 反対運動の力で改悪阻む

 ファシスト石原東京都知事による迷惑防止条例への「つきまとい行為等禁止」条項新設の大攻撃は、有事立法攻撃と一体で労働運動を始め一切の大衆運動の鎮圧を狙う大攻撃である。
 多くの労働組合、市民団体が反対運動に立ち上がり、都政を革新する会も反撃に決起した。反対運動を背景に、自民・公明・民主の3党は「つきまとい」条項新設を削除する修正案の提出を余儀なくされ、6月26日の都議会本会議で決定された。攻撃をぎりぎりのところで阻止したのだ。
 ただ、修正案は「時間をかけて慎重に検討する」というものでしかない。絶対反対を貫き、このような反動攻撃を画策したファシスト石原を打倒しよう。

 労働運動などに規制・禁止の網

 今回、警視庁の提案を受けて石原が狙った迷惑防止条例の改悪とは、恐るべき大攻撃であった。それは、2000年制定の「ストーカー規制法」が動機を恋愛感情に限定していて現実に対応できないなどとして、迷惑防止条例に「つきまとい行為等の禁止」(第5条の2)を新設し、「特定の者に対する職場、学校、地域社会等における関係、売買、雇用、貸借等の契約関係又は交通事故等の不法行為関係に起因するねたみ、うらみその他の悪意の感情を充足する目的で、当該特定の者に……不安又は迷惑を覚えさせるような行為」を禁止し、反復すれば最高で1年以下の懲役にするというむきだしの刑事弾圧攻撃である。
 この改悪は、取り締まりの対象に人間の社会生活全般を網羅しており、しかも動機が「ねたみ、うらみその他の悪意の感情の充足」ときわめてあいまいで、すべての抗議行動が権力の弾圧の対象になりうる。
 しかも、警視庁は権力の直接の介入を規定した第9条「警視総監等の援助の措置」の新設をもくろんでいた。それは、「警視総監又は警察署長は、……被害を受けた者から援助を受けたい旨の申出があったときは、……必要な援助を行うことができる」となっており、「つきまといを受けた」という「被害者」の一方的な申し出だけで、ただちに警察権力を発動しようというのだ。
 21日の警察・消防委員会の質疑で提案者の警視庁幹部は、乱用禁止規定がないことについて、「乱用しないのは当然なのであえて規定しなかった」などと、デッチあげ弾圧を繰り返しておきながら、許しがたい答弁を行った。警視庁は、警察権力に弾圧のフリーハンドを与える大攻撃を奇襲的に提出してきたのだ。
 この「つきまとい行為」の県条例による規制は、埼玉県など全国で広がりつつある。権力は戦争と大失業時代に激化する労働争議に対して、鳥井電器争議や関西合同労組などへの刑事弾圧を強めてきた。逃げ回る資本への団交要求行動など、戦後労働法が保障してきた労組への刑事免責・民事免責によって権力が簡単には弾圧できなかった争議での実力闘争的な要素を「つきまとい行為」として処罰することで、労組法解体の突破口を開こうとしている。今回の改悪はまさに、02年労問研報告の労働運動を治安弾圧の対象とする攻撃や、司法制度改革と憲法改悪攻撃、労働者の戦争動員と一体の大攻撃だ。しかも石原の都労連つぶしの凶暴な攻撃でもある。
 さらにこの攻撃は、有事立法と一体で、労働運動、反戦運動、住民運動、学生運動、部落解放闘争などあらゆる運動に規制・禁止の網をかけ、メディア規制法と一体で、マスコミの取材活動を規制し、総じて警察主導の戦争国家体制構築を狙うものだ。

 絶対反対を貫き石原を打倒せよ

 この攻撃の激しさが明らかになるや、闘う陣営の危機感と反撃は急速に高まっていった。争議団連絡会議などの緊急抗議声明には全国労組交流センターと、そこに結集する労働組合や諸団体も賛同してともに闘った。都政を革新する会も抗議声明を発表した。そして、21日の警察・消防委員会に先だって結柴誠一前杉並区議は都への申し入れを行い、新城節子杉並区議も含め多くの労働者人民が警察・消防委員会への傍聴闘争に決起し、抗議の声を上げた。さらに、25日には絶対反対を最後まで貫くことを訴えたビラを配布する都庁前街宣を貫徹した。全労連系の労組や連合系の労組も相次いで反対したり、問題点を指摘したりした。
 これらの声に押されて、当初は「付帯決議」などと言っていた日本共産党も最終的には反対し、民主党も賛成できなくなった。自民や公明の中からも疑問の声が出て、自・公・民3党の修正案による「つきまとい行為等の禁止」新設の見送りとなった。
 ただし、今回の修正案は原案が適用範囲があまりに広すぎるので「時間をかけて慎重に検討する」としたものであり、あくまでも改悪攻撃を宣言している。しかもそれ以外の「暴走族」取り締まりなどの条例改悪そのものはなされたのだ。
 ところが、日共はこの修正案を「基本的人権を侵害する条項を削除、廃案にしたもの」(赤旗6・22付)と手放しで賛美し、賛成に回った。日共の屈服を許さず、絶対反対を貫こう。
 ファシスト石原都知事は、「専守防衛でも核(兵器)を持てる」などと有事立法・改憲攻撃の先兵として登場している。有事立法決戦の爆発でファシスト石原を打倒しよう。

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週刊『前進』(2060号3面2)

権力と闘う団体の破壊狙う カンパ禁止法発動許すな

 有事立法と一体の治安法

 「公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律」(カンパ禁止法と呼ぶ)が6月5日に成立した。カンパ禁止法は、国家権力と闘うあらゆる団体と運動を破壊するための極悪の治安法である。具体的には、革命運動とその組織の破壊だけではなく、ありとあらゆる反体制的な運動の土壌(戦後民主主義を形成した土壌)となるものを根こそぎ一掃するというものだ。
 カンパ禁止法は、日帝・小泉政権が北朝鮮・中国侵略戦争に向けた有事立法攻撃と一体のものとして、戦後憲法体制を根底から破壊し、国内治安体制の強化=城内平和を確立するためのものだ。一切の発動を許さず廃止に向けて全力で闘いぬこう。

 テロ資金条約利用する米帝

 カンパ禁止法の原案となっているものが、1999年に国連で採択された「テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約」である。この条約を01年9月11日までに批准していた国はイギリス、ウズベキスタン、ボツワナ、スリランカのわずか4カ国であり、条約が発効するには22カ国の批准が必要なため発効の展望はまったくなかった。
 また、この条約には、「テロ行為」なるものの定義がないこと、「未遂」でも犯罪化すること、「人権制限」に対する歯止めがまったく規定されていないこと、などすでに多くの問題点が指摘されている。
 ところが、9・11反米ゲリラ戦闘の爆発という世界的激動情勢への突入により、国連加盟各国に批准の流れが生まれ、今では20カ国が批准し発効直前となっている。
 この国際条約を、米帝・ブッシュ政権は自らが先頭となって推進している「対テロ戦争」を支援する政策の一環として活用しようとしている。その目的は、米帝の「対テロ戦争」の遂行に「障害」となる反戦運動、労働運動、市民運動などのすべての運動に「テロ関連活動」というレッテルを張り、その運動と組織を破壊・解体することだ。
 具体的には、この国際条約を使って条約批准国の金融機関を対象に「テロ資金」撲滅と称して不当に介入し、米帝にとって都合の悪い団体や運動を「テロ組織」「テロ関連活動」と一方的に決めつけ、最後的には軍事力により組織と運動を破壊するのだ。
 ところが、米帝はこの条約を批准していない。それは、この条約が「『テロ行為』について国家機関の行為を排除していない」と解釈されているからではないか、と言われている。CIAが行ってきた数々の「テロ行為」がこの条約に違反することは明白だからである。自らは条約を批准しない(条約に縛られない)が、条約はとことん利用する、これが米帝ブッシュのやり口なのだ。

 恣意的弾圧が可能な悪法

 小泉政権は、この国際条約を批准するための国内法の整備であるかのように見せかけて、カンパ禁止法を強行成立させた。しかしその内容は、「条約の弾圧水準をはるかにエスカレートさせたまったく別の法律」と言うべきものなのだ。以下その問題点を暴露する。
 第一に、資金の提供と資金の収集そのものを犯罪化すること(同法2条、3条)である。また刑罰の内容もすさまじく、カンパを呼びかけた人もカンパに応じた人も、「10年以下の懲役又は1千万円以下の罰金」なのだ。そもそも金(お札や硬貨)に使用目的が書かれているわけではない。「テロ資金」かどうかの判断をするのは、捜査機関(警察と検察官)=国家権力であり、恣意的な適用が頻発(ひんぱつ)するのは間違いないのだ。
 例えば、「日米の北朝鮮・中国侵略戦争を阻止しよう。闘うアジア人民と連帯しよう」と呼びかけて街頭で署名・カンパを集める→捜査機関が「テロ国家を支援する」資金の提供を呼びかけるものと認定→カンパを呼びかけた人(団体)とカンパした人が逮捕される、ということなのだ。
 第二に、「テロ行為」の対象が限定されていないことである。日本国内、国外すべての「テロ行為」を対象にできる。そもそも政府が批准しようとしている「テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約」では、「犯罪が単一の国で行われ、その容疑者が当該国の国民であるような場合には適用しない」(条約3条)とされていた。日本政府の「国際法批准のための国内法整備」という主張はまったくのペテンだ。
 第三に、犯罪の予備段階での資金供与が犯罪化されることだ。「テロ計画」の現実性・具体性がどれだけあるかは関係ない。この団体は「テロ」を計画していると捜査機関が認定すれば、それでよいのである。
 第四に、「公衆、国、地方公共団体、……などを脅迫する目的をもって行われる犯罪行為」(1条)という規定の「公衆に対する脅迫行為」の内容が極めてあいまいなことだ。例えば「有事立法粉砕」を掲げて国会デモを行う時、公衆がデモの迫力に「脅迫された」と感じれば、そのデモ自体が「脅迫する目的もって行われた」と認定されるのだ。
 第五に、資金供与と「テロ計画」の関連性が切断されていることだ。テロ資金規制法では「犯罪行為の実行を容易にする目的」があればよいとされている(2条1項)。「容易にする」とはあまりにも漠然とした規定であり、拡大解釈が可能となり、国家権力の恣意的解釈がまかりとおるのだ。
 第六に、「テロ行為」の判断は捜査機関の手にゆだねられている。法案では「テロ行為」の認定者は捜査機関とされている。国家権力のやりたい放題となるのは明白だ。
 このような国家権力の恣意的弾圧が繰り返されると、街頭での署名・カンパ活動や集会そのものができなくなっていくのは明らかだ。さらに共産主義者も民主主義者も反戦主義者も「懲役10年」という物質力で弾圧されていく。そして行き着くところは、侵略戦争への突入である。

 現代の治安維持法粉砕を

 1925年に制定された治安維持法のもとで、あらゆる人民の運動を弾圧するために猛威をふるった、「結社の目的遂行のためにする行為を為したる者は10年以下の懲役又は禁固に処す」という条文がある。1928年に緊急勅令による改悪で新設されたもので、一般的には「目的遂行罪」と呼ばれる。特高(特別高等警察)は、この「団体のためにする行為」を処罰の対象とした「目的遂行罪」をもってあらゆる組織と運動を弾圧したのだ。カンパ禁止法はこの「目的遂行罪」を現代によみがえさせるものだ。すべての人民に襲いかかってくる治安法であり、絶対に粉砕しなければならない。

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週刊『前進』(2060号3面3)

夏期一時金カンパの集中を 事法絶対廃案へ 闘う革共同に力を
 革命的共産主義者同盟

 有事法制絶対廃案を闘っているすべての皆さん。『前進』読者、支持者の皆さん。すべての同志の皆さん。
 有事立法攻撃は改憲そのものであり、〈暴風雨〉のように労働者・市民のすべての権利と財産、生命を一つ残らず根こそぎ奪い去る攻撃です。これに、どうして中途半端な闘いで勝つことができるでしょうか。現下の戦後最大の階級決戦、有事立法・改憲決戦に勝利し、小泉政権を打倒する闘う労働者党建設のため、今次夏期一時金カンパ闘争へ、旧来の価値観をひっくりかえし、世界観をも一変させた決起を訴えます。
  今こそ、すべての力を革共同に結集させてください。夏期一時金の過半あるいは全額を集中する考えに一度立って、さらに職場・地域で声をからしてカンパを訴え組織化してくださることを、心からお願いします。

 帝国主義打倒が戦争阻止する力

 革共同は昨年、第6回全国大会を開催し、戦争の帝国主義的性格を解き明かし、帝国主義による侵略と民族抑圧の事実を明らかにし、被抑圧民族の反帝・民族解放闘争と、労働者階級の闘いの正義性と不屈の勝利性を明らかにしました。そして、日本での本格的な闘う労働者党を建設することを原動力に、21世紀の早い段階での世界革命をめざした闘いへの総決起を誓いました。9・11反米ゲリラ戦とその後の米帝のアフガニスタン侵略戦争や米帝とイスラエルによるパレスチナ侵略戦争は、革共同第6回大会での分析と提起の正しさを示すと同時に、世界の労働者階級人民に対する、革共同の責務の大きさを突き付けました。
 有事立法は、こうした情勢の中で提出され、民主党・社民党・日本共産党もすべて、小泉の「テロの脅威から国を守らないのは非国民」のレッテル張りに首をすくめて協力。小泉は当初「5月24日衆院本会議通過、6月中旬参院本会議で成立」と豪語していました。
 こればかりではありません。「野党」や連合はことごとく有事法制反対闘争の高揚に敵対。連合は5月16日に「有事法は必要」声明を出し、さらに陸・海・空・港湾労組20団体呼びかけの集会をネグレクトしてきました。カクマルとJR総連はその先兵となり、集会妨害にうごめいて来ました。
 革共同は〈20労組呼びかけの集会〉というあり方に、21世紀型の労働者総決起の原型を見て取り、総力決起を決断。4・19日比谷野音−5・24明治公園−6・16代々木公園集会の成功に全力を注ぎ、全国延べ数千の労組に決起を訴え、小泉が国会会期末で自己の反動的方針の決定に動揺していた一番重要な時に、ついに歴史的な6・16の6万人大結集−首都を揺るがす大デモンストレーションが実現され、その一翼を担いました。
 こうして小泉の攻撃を一度は押し戻すところまで闘いは到達しました。だからこそ「今国会では成立しない」論では勝てません。小泉のあがきを許さず絶対廃案までさらに追撃しよう。この闘いの陣形は国鉄闘争支援陣形とも重なります。有事立法攻撃下にあって、闘う労組と労働者を圧殺しようとする攻撃と立ち向かう国鉄決戦、とりわけ今春闘の動労千葉72時間ストライキと国労臨時大会決戦などでの奮闘が、有事立法決戦の一番肝心なところを下支えしているのです。このように6・16集会の実現は、まさに第6回大会第1報告の〈結晶〉とも言えるものです。
 さて、ではどうしたら戦争を阻むことができるのでしょうか?
 英国戦争博物館でさえ「第一次大戦は、レーニンがロシアの政権奪取後ただちに停戦を命じて、戦争は終結に向かった」と展示されていますが、帝国主義世界戦争を止めることができるのは、戦争の元凶である帝国主義を打倒する闘いによってだけなのです。そしてその実現は革命的労働者党の建設にかかっています。とりわけ若い青年労働者の皆さんが革命の大事業達成へ、わが革共同に総結集することを心から訴えます。

 全産別の決起で国鉄決戦勝利へ

 02春闘は、日帝・資本家階級のかつてない賃下げ・首切り攻撃の吹き荒れる中で、革共同にとっては真の労働者党への飛躍をかけた歴史的関門としてありました。この間、革共同とともに闘い、あるいは期待をよせる多くの労働者から、「なんでまだ革共同は、社・共や総評に代わり、のりこえる存在になっていないんだ。力をもっていないんだ」という厳しく温かい訴えを受け、私たちはそれに対して全身全霊をもって向き合い闘っています。
 連合・全労連など既成労働運動指導部の度外れた総屈服情勢のもとで格闘する職場同志の闘いが、ついに今春闘で、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同と、動労千葉の共同呼びかけによる春闘総行動の実現にまで到達しました。労働組合にとって〈春闘〉は、格別の位置をもつ取り組みです。その意味では11月労働者集会への参加とも次元の違う決起がついにかちとられたのです。前述した20労組の闘いとあわせて、今や確実に日本階級闘争の中心で連合の帝国主義に屈服した労働運動をのりこえ、総評解散をのりこえる壮大な闘いが始まっているのです。そしてこの闘いの〈扇のかなめ〉の位置に立つのが国鉄労働運動であり、国鉄労働組合をめぐる攻防なのです。
 皆さん、考えてもみてください。なぜ政府は国労に臨時大会まで開かせて、急がせて、屈服を迫るのか? それはやはり、国鉄分割・民営化攻撃が、「総評を解散して改憲する」という攻撃の最大の柱としてあったからであり、それが今なお未完だからです。さらに、すでに有事立法粉砕闘争の中で国鉄闘争陣形が核となって爆発的決起が始まっているからです。
 言うまでもなく日帝・資本家階級の攻撃はすべての職場に襲いかかっています。だからこそ、自治労・教労・全逓・NTT・金属・化学・医療・交運・電機・鉄鋼・食品など、すべての産別の力をここに結集して勝ち切り、その力をもう一度また、それぞれの産別・職場での攻防に還流させて勝利させていこうではありませんか。

 超長期獄中同志の奪還のために

 無実であるのに、一審未決勾留が15年に及ぶ須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志、10年になる福嶋昌男同志の4人の被告と家族の怒りをわがものとして、早期保釈奪還を絶対に闘い取ろう。
 この攻撃はかつての治安維持法下の予防拘禁の事実上の復活であり、深刻な人権じゅうりんそのものです。ここでそれを許すならばそれはすべての労働者や市民の上に覆いかぶさる大攻撃なのです。
 1971年スタンフォード大学で行われた〈模擬刑務所〉実験では被験者は数日で変調。2週間で肉体と精神を破壊され、実験は中止。元に戻れなくなった人も続出しました。勾留されることの過酷さ、残酷さを思い、権力への怒りを燃えたぎらせて、1億円保釈基金をなんとしても実現しよう。
 27年も投獄されている無実の星野文昭同志の再審を全力でこじ開けよう。 

 怒りを力に!決意をカンパに

 2002年の激闘をここまで闘い抜いて来たその原動力は皆さんからのカンパです。このことに万感の思いを込めて感謝すると同時に、本当に帝国主義を打倒するために、旧来を倍するカンパを切に訴えます。
 6・16の集会では主催者は演壇から何度も何度もカンパを訴え、会場内ではカンパ袋をもった制服姿の陸・海・空・港湾の労働者が何度も何度もカンパを要請して集めて回りました。5・24−6・16の2回の集会は本部必要経費だけで2千万円を超えると言われます。6・16大集会は、闘いに責任をもとうとするものはその闘争資金を責任をもって集めなくてはなりませんし、そうやれば必ず集まることをも教えてくれています。
 すべての皆さん。戦後最大の決戦を闘い抜く革共同に正義の力を結集し、ともに総決起しともに勝利しましょう。

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週刊『前進』(2060号3面4)

 (5) 春闘総行動の先頭で闘う JR東日本本社に大デモ

 延べ1千人以上

 動労千葉はスト中に、これまでにない諸行動に全力で決起した。
 スト初日の28日には、東京地裁で動労千葉のJR採用差別事件の行政訴訟の判決公判があった。スト突入者を始め80人の組合員が傍聴席を埋めた。判決は、国労に対する判決と同様にJRの不当労働行為責任を否定した超反動判決だ。報告集会で、当該の高石正博執行委員らが怒りを込めて判決を弾劾した。田中委員長は「直ちに控訴する」と宣言し、即座の反撃としてストを貫徹することを明らかにした。1047人闘争の当該組合として国鉄闘争解体策動を絶対に許さない決意がにじむ。
 29日、千葉県労働者福祉センターでスト貫徹総決起集会を開催。350人の組合員を始め、支援を含めて400人が結集し、JR千葉支社へのデモを行った。
 30日はいよいよ春闘総行動だ。午前11時に300人が飯田橋のJR貨物本社前に結集。同日ストに入った動労水戸、動労連帯高崎の組合員も駆けつけ、ともにベアゼロ回答と「ニューチャレンジ21」に抗議の声をたたきつけた。
 渋谷の宮下公園に移動し、全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同とともに呼びかけた02春闘総行動中央総決起集会を開催。全国から結集した1210人が新宿のJR東日本本社への抗議デモに立った。動労千葉がストライキを構えて東京での闘いに決起したのは初めてのことだ。
 デモの途中、若い女性が「父がリストラされました。父もこんなデモをやればいいのに」と話しかけてきた。組合員は熱い注目と共感に包まれて闘い抜いた。警視庁の弾圧策動は、この闘いがいかに国家権力・JR資本に打撃を与えたかを示している。
 さらに翌日には三里塚現地闘争に決起。18日の千葉支社抗議行動や各支部での闘いを含め、優に延べ1千人を超える組合員が連日の諸行動に立ち上がった。

 闘って元気に

 ほぼ全組合員がストに入るのだから、それだけの人数が決起するのは当たり前だと思いがちだが、当局のスト対策に対する対応などを考えれば、実はそう簡単ではない。
 ストに入った時には、当局ではなくて組合が各支部ごとに組合員を集めて「点呼」をやる。また「立ち上がり」のためには、組合が個々の組合員に「何日の何時何分に出勤だ」と指示を出す。
 ところが、今回のようにスト突入者のほぼ全員が東京に行くとなると、各支部ごとに「点呼」をしてからというわけにもいかず、本部は「東京に行くためにどの電車に乗ってくれ」と指示するしかない。30日の総行動のデモを終えた時点で「立ち上がり」問題は決着していなかった。本部は、JRがスト終了後の就労拒否など不当な闘争圧殺攻撃をあくまでも強行した場合には戦術を拡大する方針を固め、支社との交渉をギリギリまで続けた。
 スト中の連日の総行動について、「もし組合員の中からスト破りが出たら大変だから、普通の組合なら、そんな方針は出せない。千葉運転区などではずいぶん文句を言われた。だけど、これだけの行動をやり切れるのが動労千葉の強さです」と、中村書記長は振り返る。
 「勝浦とか館山とか銚子から3日間も4日間も出てきて、休みなしですぐ勤務に入る人もいる。だから文句は出るけど、いざ闘争になると、現場の組合員はちゃんとやるんです。それで組合員も執行部も元気になる。そうすると現場でJR総連に向かう意気込みも違うんです。やっぱり動労千葉はストを打ち抜いた後には団結が固まる。元気になって職場に帰る。各支部を回ったけど、全員が集まれるのはストの時だから、よかったと思う」

 文字通り総決起

 繁沢副委員長は、「見た目には方針を出せばストをやるけど、本当にやる気になっているのか、指令だからやっているのかではまったく違う。戦術的にもうまくいったと思っています」と、自信を見せる。
 田中委員長は、「去年もほぼ同じ規模のストライキをやったけど、それに比べると今回は、けんけんごうごう議論になった。それがみんなプラスになった。動労千葉だって全体の状況に影響されないわけはなく、やっぱり重さはある。『労働組合らしく闘わなければいけないのは分かるけど、なんでおれたちだけなんだ』という雰囲気もないわけではない。だけど、闘争の渦中でそれは払拭できた。久方ぶりに文字どおりの総決起体制がつくれた」と総括する。
 全組合員が例外なく本部の方針で一致して総行動を貫徹したのだ。(つづく)
 〔本紙・大沢 康〕

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週刊『前進』(2060号4面1)

杉並区議会 新城区議が山田区長追及 “区は戦争動員反対せよ”

 6月18日、杉並区議会6月定例会で都政を革新する会の新城せつこ区議が一般質問を行った(写真)。
 新城区議は真っ先に、小泉政権の有事3法案が、北朝鮮への大規模地上侵攻、政権転覆をも狙った侵略戦争に参戦するためのものであると暴き、「区民や職員の戦争動員に反対せよ」「区長は憲法を守る意志はあるのか」と強く迫った。さらに福田官房長官の「核持てる」発言を厳しく弾劾し、「区長は直ちに抗議の声を上げよ」と追及した。山田区長は、新城区議の追及を恐れて自らは答弁に立たず、区長室長に「有事法制は国家安全上必要であり、国会審議を見守る」と答えさせた。ところが、生活者ネットや日本共産党の質問には自ら答弁に立ち、有事法制賛成の立場を臆面もなく述べ、「法案はいまだ不十分」とその完成を求めた。その中で区長は、「尖閣列島(中国領釣魚台)が中国に占領されているのは福岡県が占領されているのとどこが違うのか」と対中国の戦争挑発発言を行い、「自衛権は憲法の範囲。共産党も自衛権を認めているではないか」と開き直った。生活者ネットも共産党も山田区長に言いたい放題言わせて沈黙するというていたらくだ。新城区議の追及は、完全に議会を圧倒した。
 次に、防衛庁の情報開示請求者リスト作成問題に関連して、住民基本台帳ネットワークシステムとの結合をやめるよう要求した。
 山田区長はもともと「プライバシー上問題がある」として住民基本台帳ネットワークには反対すると言っていたにもかかわらず、結局この戦争体制構築のためのシステムに加わることを宣言した。だが、防衛庁が個人情報リストを作成し、人民を監視していたことが発覚して、区長は個人情報保護法案が成立しなければ、住民基本台帳ネットへの結合を拒否することもあり得るかのようなペテンを使っていた。個人情報保護法案自身が、何よりも5千人以上(当初は2千人)のリストを持つ団体に警察が令状なしに踏み込み、管理・掌握し、さらにマスコミなどを規制して情報の隠ぺい、操作、報道管制を行うものであり、人民の戦争反対を圧殺して、戦争に総動員しようとする攻撃なのだ。新城区議は住民基本台帳ネットとの結合をやめるように厳しく要求した。
 また新城区議は、高齢者や労働者から医療を奪う医療制度改悪に反対するようにただし、清掃労働者に労働強化を強制しているだけでほとんど効果が上がっていない「カラス対策」と称したゴミの夜間収集についてやめるように求めた。
 さらに杉並区の宮坂教育委員が、右翼タカ派の国会議員でつくる「歴史教科書問題を考える超党派の会」に参加し、杉並区の教科書採択をめぐる状況の「生々しい証言」を行ったことをとりあげた。戦争を美化する扶桑社の教科書を採択しようとする杉並区の策動に、多くの親たちが反対の声を上げ、立ち上がった。これを「恐怖をあおり立てた」とひぼうする宮坂の態度は教育委員の資質に欠けることを鋭く暴き出して、宮坂を推薦・任命した山田区長を追及した。区は「個人の問題でコメントできない」と宮坂を擁護した。
 さらに山田区長の「スマート杉並」計画を全面的に批判した。山田区長は、学校給食の民間委託や地域区民センターの受付業務の民間委託、高齢者在宅サービスセンターの民営化を進めている。そして保育園や児童館、障害者施設の民営化まで打ち出した。新城区議は特に「杉並区保育サービス提供のあり方検討会中間報告」について追及し、保育の質の低下と保育所職員の「安上がり使い捨て」を図る攻撃を弾劾した。
 新城区議の鋭い追及に対して区は無責任であいまいな答弁ですり抜けようとした。だが、再質問に立った新城区議は、そうした答弁を許さずさらに鋭く山田区長を追及した。答弁に窮した区側は、保育所問題について、「貴重なご意見として伺わせていただきたい」と逃げざるをえなかった。
 山田区長の戦争挑発発言はきわめて重大だ。区内外に明らかにして山田区長を追いつめ、打倒しよう。

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週刊『前進』(2060号4面2)

自衛隊による米軍座間基地共同使用の阻止へ闘い抜く 有事法案廃案の闘いとともに
 相模原市議 西村あやこさん 

 有事3法案と自衛隊の米軍座間キャンプ使用と闘う西村綾子市議から聞いた。(編集局)

 相模原6月市議会は、自衛隊による米軍座間キャンプ使用問題をめぐる激しい攻防の渦中にあります。
 3月議会が終わった直後の3月28日、陸上自衛隊東部方面総監から相模原市に「座間分屯地駐車場拡張整備について(依頼)」という文書が届きました。米軍座間キャンプに自衛隊の災害支援のための駐車場を建設させてほしいという内容でした。これは日米地位協定3条に基づくもので、本来は市民や自治体の承認は必要ないが、相模原市の「キャンプ座間自衛隊使用反対」決議に配慮して、事前に了解を求めるという内容で、「今後の防災等における協力態勢を確保するためにも地元の理解と協力は不可欠」と書いてあった。
 自衛隊使用反対決議は、ベトナム侵略戦争に反対した70〜72年の戦車阻止闘争の過程で、市道を戦車が通るのを許さないという闘いを市長も含めてやった経過から、70年と71年の2回、「米軍基地」の自衛隊共同使用は認めないという決議を上げたものです。
 当時、ベトナムから血塗られた戦車が横浜港のノースドックに入って、村雨橋から国道16号線を通って相模総合補給廠(しょう)に運び込まれた。横浜市長だった飛鳥田一雄さんを先頭に労働者が村雨橋に座り込んで戦車を阻止した。それが突破されて相模補給厰に運び込まれたわけです。今度は戦車をベトナムに運ばせないと、補給廠前にたくさんの学生のテントが張られ、市民が連日、支援に集まった。戦車が出て行くのは夜であろうと、多くの学生や市民が夕方から明け方まで座り込んで戦車を阻止した。これが100日間戦争と呼ばれた闘いです。私も婦人民主クラブと出会って、闘いに参加しました。
 座間キャンプは横浜球場90個分の広さがあり、その7〜8割が相模原市です。座間市は71年に自衛隊受け入れを認めてしまいました。相模原市域にも市議会決議を無視して自衛隊が入っていると、たびたび市民からの追及があった。私も議員になる前から陳情を出し、議員になってからも追及しました。その結果、あらためて相模原市域には自衛隊は入れないという確約をとって、撤退させた経過があります。
 それが今回、有事立法と同時に出てきた。これは有事3法案を前に、自衛隊使用を既成事実化する攻撃です。絶対に許せません。百万人署名運動湘北連絡会や婦民全国協相模原支部を始め、市議会決議を順守し駐車場依頼の拒否を求める陳情が次々と出されました。有事3法案反対の陳情、戦争反対の声とともに闘いが進んでいます。
 市側はまずこの問題を、基地対策市民協議会に持ち込んで承認をとってしまおうとしました。協議会は内実はともかく、建前は米軍基地移転・即時全面返還を掲げて返還運動を促進することになっているので、私は一番に発言し、反対を表明した。その結果、共産党も社民党も反対を表明し、市当局の思惑どおりにはいきませんでした。
 議会運営委員会は次に、反対派の少ない総務委員会で再度、「災害救助」のためだと押し返してきた。ここでの採決は数の論理で押し切られましたが、本会議に向け、私は他の会派の議員とともに、自衛隊の米軍基地の共同使用反対の決議案を提出しました。
 こうした中で在日米軍はキャンプ座間で6月27日に陸海空3軍合同演習を行うと発表しました。これは近隣の北里大学病院など民間病院も動員する戦時負傷者搬送訓練です。すでに昨年12月には座間基地内で自衛隊の警備訓練が行われ、NHK以外のマスコミは排除し、除菌車も登場した。これは核戦争、化学戦争や細菌戦争を想定し、汚染した人や物資を除染するというものでした。
 6月市議会を全力で闘い、自衛隊の座間キャンプ共同使用を許さず、有事立法を廃案にするまで闘いぬきます。

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週刊『前進』(2060号4面3)

戦争体験を無意味にしてはならない 沖縄の怒りを聞け
6・23 弾劾の嵐、小泉を直撃 遺族先頭に「有事法反対」

 6月23日、沖縄は゛ 怒りの島″と化した。有事法案をひっさげて沖縄入りした小泉首相に対して「有事法制許さん! 小泉帰れ!」――沖縄人民の激しい怒りが各所で噴出し、小泉を直撃した。

 平和市民が抗議

 午前11時前、糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園入り口には「小泉首相は帰れ! 沖縄戦犠牲者冒涜(ぼうとく)許すな!」と書かれた大横断幕が広げられ、抗議行動が始まった。「沖縄から基地をなくし、世界の平和を求める平和市民連絡会」の呼びかけに応じて約50人が決起した。沖縄労組交流センターも駆けつけ、ともに闘った。(写真 摩文仁の平和祈念公園入り口で闘いぬかれた抗議行動。午前11時すぎに到着した小泉は「帰れ! 有事法制許さんぞ!」の弾劾を浴びた【6月23日 糸満市】)(写真左)
 県主催の沖縄全戦没者追悼式の参加者が集まる中、平和市民連絡会の崎原盛秀事務局長がハンドマイクで呼びかけた。
 「今なお悲しみにある沖縄の人びとの心を土足で踏みつけ、新しい戦争を起こそうとしている小泉が慰霊祭に参加することは絶対に許されません」
 遺族会の平和行進が続々と到着、「平和慰霊行進」のゼッケンをつけた2人の女性が駆け寄り、ともに抗議の声を上げた。
 上空にヘリが接近、「来たぞ、小泉だ」。黒塗りの車列が到着、小泉の顔が間近に迫った。怒りのシュプレヒコール。「小泉は帰れ。有事法制許さんぞ!」

 「小泉帰れ!」

 正午の黙祷(もくとう)で始まった追悼式、小泉首相が献花のために立ち上がった瞬間だった。シーンと静まり返った会場中央の参列者から「有事法制反対!」の叫びが発せられた。周囲から「頑張れ」の声とともに大きな拍手が巻き起こり、他の参列者も次々「小泉は帰れ!」などと絶叫。有事法制に対する沖縄県民の不安、怒りが一挙に噴き出した。
 「有事三法案絶対反対」と書いたうちわをかざして立ち上がったのは北中城村議の宮城盛光さん(54)。祖母らを沖縄戦で失っている。厳しい表情で小泉をにらみすえ、「戦後処理は終わっていない。有事法制は許さんぞ。この法律ができたら大変ですよ。沖縄のことをしっかり考えてくれ」などと叫んだ。宮城さんは着席させられた後も、小泉があいさつする間、「有事三法案絶対反対」のうちわを何度も上に掲げ続けた。勇気ある一人の決起が゛沖縄の怒り″を解き放ち、小泉に対する強烈な弾劾の嵐となった。小泉よ、沖縄の声を聞け!
(写真 小泉首相に抗議する北中城村議の宮城盛光さん【6月23日 沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園】=共同)

 

 

 炎天下をデモ

 「第19回6・23国際反戦沖縄集会」は集会に先立って「ひめゆりの塔」前から炎天下のデモ行進。かつての沖縄戦の激戦地は丈の伸びたサトウキビが風にそよぐ豊かな台地だ
(写真 「語やびら戦(いくさ)ぬ世(ゆー)・創やびら平和ぬ世」と書かれた横断幕を広げ「月桃」を歌いながらデモ行進する国際反戦沖縄集会実行委員会【6月23日 糸満】)
 「月桃」を合唱しながらデモは「魂魄(こんぱく)の塔」をめざす。魂魄の塔は沖縄戦直後、住民が山野に散乱した遺骨を収容してまつった塔。一坪反戦地主会や沖縄戦記録フィルム運動の会、平和市民連絡会などでつくる実行委員会は毎年ここで集会を続けてきた。
 デモを終え、集会に寄せた詩が朗読された。「葬列の涙を忘れた者が有事、有事と血迷うのか。戦争が美化され、まるでサッカー・ゲームのノリで旗をふれというのだろうか。戦争を知らない世代に美しく戦争を語るのか」(安里英子作「はてしなき葬列」より)

 国際反戦集会

 午後1時すぎ、海勢頭豊さんの歌から国際反戦沖縄集会は始まった。主催者を代表して金城睦さんが「戦没者追悼はすべてに共通するが、慰霊祭を利用して戦争を行うための法律を準備する国の代表者もいる。われわれは鎮魂の気持ちを持ち、世界から戦争をなくそう」と、今こそ有事法制反対をと訴えた。
 女子高校生が「ワダツミの木」の曲にアフガニスタンの子どもたちへの思いを込めた創作ダンスなどを炎天下で20分も熱演、大きな拍手が寄せられた。地中海のマルタ共和国から来日したジャーナリスト、チャールズ・ミッツィさんは、同国からイギリス軍を撤退させた経緯を説明し、「マルタと沖縄は共通の理想・目標である強烈な反戦思想を有している」と発言した。
 沖縄師範学校出身の内間伸さんが戦争体験を語り、阿波根昌鴻さんの反戦思想を描いた紙芝居が上演された。さらに「那覇軍港の浦添移設に反対する市民の会」「名護ヘリ基地反対協」など闘いの現場からの報告が続いた。
 東京から駆けつけた星野暁子さんが、70年安保・沖縄闘争を闘い、デッチあげで無期懲役を受けている星野文昭さんの救援を訴えた。小泉の靖国参拝違憲訴訟準備会長の金城実さんらが勢ぞろいして訴訟参加を呼びかけた。
 閉会のあいさつに立った平良修さんは、「日本が憲法9条を投げ捨てるなら、沖縄が9条を守って独立しましょう」と有事法制を弾劾した。この沖縄の怒りに連帯し、有事法制粉砕へ。

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週刊『前進』(2060号4面4)

東峰神社裁判 “神社は部落のもの” 東峰住民が怒りの陳述

 6月24日、千葉地裁民事第2部で東峰神社裁判の第1回公判が開かれた。三里塚反対同盟の萩原進さんら東峰部落の農民7人が意見陳述(1人代読)を行い、空港公団・権力による東峰神社の立ち木切り倒しの暴挙を怒りを込めて弾劾した。三里塚反対同盟と支援勢力は、連帯して傍聴闘争に決起した。
 この裁判は、昨年6月16日に空港公団が二期用地内、暫定滑走路着陸帯の末端から60bの地点にある東峰神社の立ち木を、飛行の障害になるとして無断で切り倒したことの不法不当を弾劾して、東峰部落が提訴したもの。
 東峰部落はこの裁判で、@東峰神社の土地の所有権が部落にあることの確認、A伐採した立ち木などを原状に戻すことのほか、空港公団の謝罪、謝罪文の新聞掲載、慰謝料などを請求して闘っている。
 1953年11月に部落の共同事業として建立された東峰神社は部落住民にとって苦しい開拓時代をともにのりこえた部落の団結の象徴であり、精神的よりどころとなってきた。東峰神社の土地は東峰部落の人びとの総有であり、登記名義はあくまで便宜的、表見的なものである(現行登記法制には、総有財産についての登記方法がないから)。名義人に実質的な所有権はない。空港公団は、盗伐の前日に「所有権移転」の登記(名義変更)を行ったが、それは無効であり、これをもって「神社の土地も立ち木も公団のもの」と主張することはできない。まったく違法不当なのである。
 裁判後、原告と弁護団は記者会見と報告集会を行い、公団による所有権の主張と立ち木伐採の違法・不当性を弾劾し、裁判に勝利する決意を述べた。反対同盟は、北原鉱治さん、鈴木幸司さん、市東孝雄さんらを先頭に傍聴闘争に参加し、ともに闘った。次回公判は8月26日に行われる。

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週刊『前進』(2060号4面5)

“会期延長許さぬ” 6・19各地で一斉街宣

 ヒロシマは有事法と小泉許さぬ ■中四国各地

 広島反戦共同行動委は6月19日、国会の42日会期延長の阻止を訴え、民主党ら野党の審議再開受け入れの屈服路線を弾劾する緊急行動に決起した。(写真上)
 陸・海・空・港湾労組20団体を先頭とする6万人余の労働者人民の決起で、小泉政権は有事法案の廃案の危機に立たされた。ところが「よりましな有事法制定」を求める連合−民主党などの裏切りによって、継続審議が狙われている。
 広島反戦共同行動委は、広島市内の金座街福屋前で訴えた。核武装を公言する福田官房長官やブラックリストをつくって反戦運動を監視する防衛庁を擁護する小泉政権をヒロシマは絶対に許さないとの訴えに、労働者や下校中の中高校生が次々と署名の呼びかけに応じ、1時間で百余筆の署名が集まった。
 この日、山口、愛媛を始め中四国各地でも一斉に緊急行動を行った。

 戦争体験者を先頭に街頭で訴え ■福岡・小倉

 「有事立法成立阻止の4・28集会実行委員会」は同日、福岡市天神の西鉄福岡駅前と北九州市小倉で街宣に立った。(写真下)
 九州大学学生自治会の学生が「小泉政権を打ち倒し、有事立法を廃案に」と呼びかけ、戦争で戦友を全員亡くした78歳の老人が「われわれが立ち上がらずに有事立法を廃案にできるのか」と訴えた。ビラまきには、少女時代を戦争で奪われた婦人が立ち「かつて私は神風が吹くと信じ込まされて戦争に協力させられた。戦争は多くのアジアの人びとの命を奪い、広島・長崎・沖縄の悲劇をもたらした」と声をかけた。476筆の署名を集めた。
 小倉では、179筆の署名を集めた。海員組合の船員さんが「有事立法は絶対反対だ」と1000円をカンパしていった。トラックの運転手さんは「この法律が通ったら、とんでもないことになる」と仲間全員の署名を集めてくれた。
 終日の街宣行動で、有事立法への怒りが沸騰寸前であると強く感じた。

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週刊『前進』(2060号4面6)

 6月19日〜25日
 憲法調査会長「改憲は常識」 国会、7月31日まで42日延長

●国会、42日間延長を議決 国会は衆院本会議で、会期の7月31日までの42日間延長を与党の賛成多数で決めた。(19日)
●米がPKO要員の免責を要求 個人の戦争犯罪を裁く国際刑事裁判所(ICC)の設立に向けたローマ条約の発効を7月1日に控え、米政府が国連平和維持活動(PKO)や国連平和維持軍(PKF)などを同裁判所の訴追の対象から外すことを求める決議案を国連の安保理事会に提出した。米政権は、決議案が採択されない場合は米国はあらゆる「平和維持」ミッションから人を引き揚げる姿勢を安保理に伝えた。ブッシュ政権は5月、自国兵士が訴追されるおそれがあるとして同条約の署名を撤回している。他の条約と異なり、締結国以外にも適用される。(19日)
●空自が緊急着陸 那覇空港の北約15`の上空を飛行中の航空自衛隊那覇基地所属のF4戦闘機1機が、機体の不具合のため、同空港に緊急着陸した。この影響で滑走路が6分間閉鎖され、民間機の到着が遅れるなどした。(19日)
●沖縄27市町村議会が有事法案で意見書 有事法案に対して沖縄県内の27市町村議会が、「反対」や「慎重審議」を求める意見書を可決した。このほか10議会が「慎重審議」の意見書の議決を予定しており、6月定例会中の可決は7割を超えるとみられる。(20日)
●つきまとい禁止削除へ 東京都迷惑防止条例の改悪案は「労働運動や市民運動などにも適用される」との反対の声が高まり、東京都議会の警察・消防委員会で、「つきまとい行為禁止」の条文を削除する修正案が提出され、同委員会で可決された。(21日)
●医療制度改悪法案が衆院通過 政府・与党が医療制度関連法案の衆院本会議採決を強行、可決した。(21日)
●米軍、「安保の見える丘」閉鎖を打診 米空軍が、嘉手納飛行場を一望できる通称「安保の見える丘」をフェンスで囲って閉鎖する方針を嘉手納町へ打診していたことが分かった。昨年の9・11直後に米側が「管理上、問題がある」と嘉手納町長に伝えた。丘周辺は飛行場の施設内となっている。(21日)
●北部訓練場の期限内返還を断念 沖縄の米軍北部訓練場の過半(3987f)返還に伴うヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設問題で、那覇防衛施設局が、今秋から生態系調査など、新たに8カ所で環境調査を行うと発表した。追加調査には最低1年を要し、日米特別行動委員会(SACO)合意の03年3月末の返還は不可能となった。(21日)
●下地町議会が自衛隊利用反対の決議 沖縄の下地町議会が、下地島飛行場(伊良部町)の軍事利用に反対する「下地島空港使用に関する意見書」を全会一致で可決した。反対決議は宮古6市町村では初めて。この問題では、地元の伊良部町長が自衛隊の訓練誘致に積極姿勢を示し、伊良部町議会も昨年4月に誘致を決議している。(21日)
●57年目の沖縄6・23、小泉に怒り 沖縄の糸満市摩文仁の平和祈念公園で沖縄県主催の「沖縄全戦没者追悼式」が行われ、遺族ら7700人が参列した。小泉首相も昨年に続いて出席。式典会場内からは「有事法案絶対反対」「小泉は帰れ」など激しい小泉弾劾の声が浴びせられた。式典後、感想を求められた小泉は「どんな法案でも賛成、反対はある」などと述べた。(23日)
●憲法調査会会長が「改憲は常識」 衆院憲法調査会の札幌地方公聴会が行われ、9条改憲や有事法制に反対する発言が続出した。中山太郎同会長はその後の記者会見で「あまりにも憲法のことを分かってない。憲法を変えるのが当たり前だという世界の常識が、日本の常識になっていない」と公述人を攻撃した。(24日)

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週刊『前進』(2060号5面1)

戦争体験を無意味にしてはならない 沖縄の怒りを聞け

沖縄は有事立法を絶対拒否する

 メディア規制法案を含む一連の有事立法攻撃に対する怒りは、沖縄の「いのちとくらし」のかかった切実な声となって広がり、島ぐるみ決起へと発展しようとしている。6月23日、全戦没者追悼式に参列した小泉に、この沖縄の抑えがたい怒りがたたきつけられた。沖縄で労働運動、市民運動などを闘っている皆さんに、有事立法に対する思いをお聞きした。順次掲載する。(本紙 永田朋実)

 軍隊は住民を守らないことを思い知らされた
うないネット・コザ主宰 桑江テル子さん

 気がついた者から

6・8県民大会に5500人が集まりました。

◆やっと火が付いた感じですよね。気がついた者が言い続けて、やっと火が付くんです。気がついた者たちが先にやることが重要。
 でも今の情勢を見ていると、一刻も油断ができない。いざとなったら自民党は単独でもやりますからね。
 日本という国はどこから攻められると思いますか? 誰が何を求めて攻めてくると思いますか? まったくそれはこの悪法を通さんがための奇弁でしかない。国民をだますための手法でしかないと思います。
 県民大会でも「悪の枢軸というが、アメリカこそが悪の枢軸だ」と言われたけど、どこも攻めて来やしないです。

「復帰30年」に有事立法が出てきましたが。

◆今度の有事法制は戦争法です。マスコミを含めて規制して国民を総動員する。先の戦争でやったこととまったく同じです。私は「沖縄の人たちは体験済みですよ」とお話をするんです。戦争体験で知っている。
 日本軍は、沖縄を守るために来たと言いましたが、沖縄の何を守るんですか?
 沖縄戦の時に軍隊は、そこに住んでいる人、避難壕(ごう)や亀甲墓に隠れている人を軍が使うからと追い出した。追い出された人びとが艦砲と砲撃の雨あられにさらされて、命を落としていった。
 そして傷ついた人も年寄りも、軍隊にとってはみんな邪魔者なんです。みんな同じ命とは思わない。まずは戦うために力になる者こそが大事で価値があって、それ以外の者は切り捨てていく。無視していく。そうしないと勝てないというわけでしょ。

沖縄戦の体験から言えることですね。

◆戦争というのは、人間が人間でなくなっていく。
 私も家を追い出された。その家はすぐに火を付けられて焼かれました。妹は逃げ歩いている間に、雨の降りしきる貧しい避難小屋の中ではしかになった。栄養もとれないし薬もないしでそのまま死んだんです。妹は5歳、私が6歳でした。
 父は郷土防衛隊、当時45歳でした。45歳以上の男たちも郷土を守るという名目で赤紙一枚で召集された。それで庭先で木に巻き付けた縄かなんかを、竹槍(やり)でつっついてた。後ろ姿を覚えています。結局、防衛隊で戦死しました。
 私たちは軍隊は住民を守るというのはうそっぱちだということを嫌というほど知らされました。軍隊はその時の政府を守る。権力を守る、あるいは天皇を守るために戦ったわけでしょ。
 沖縄では、若い人もお母さんやおばあちゃんたちも知っている、聞いてきている。だから「絶対に二度とはいやだよ」と言えるんです。どんどん言っていかなくちゃいけない。

6月8日、北谷町で開かれた「戦争はダメ! 有事三法案の廃案をめざす県民大会」に集まった5500人

 「天皇の赤子」の末

沖縄戦の教訓は何でしょうか。

◆私がぜひ言いたいのは、教育は恐ろしいということ、裏を返せば教育は大事だということです。いわゆる「皇民化教育」、その結果があの集団自決、自死です。「天皇の赤子」として恥ずかしくないように自ら死ぬということ。
 沖縄は「どうも日本人としての意識が薄いんじゃないか」と、常に差別された。沖縄人は、逆に自ら天皇の赤子であることを示そうとした。その結果が、あの集団自死なんです。非常に悲しいですけど、教育の恐ろしさです。
 朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、今度のアフガニスタンも含めてずうっと世界の緊張関係と呼応する形で、沖縄の基地は常に緊張します。その基地に隣り合わせで暮らしている人びともいや応なく、その緊張関係を共有しなければならないわけです。
 世界の緊張はアメリカがやっているんです。全部、ひとつ残らず。ですから沖縄はアメリカの世界戦略の要石です。今や太平洋どころじゃない、世界の要(かなめ)石ですよ、沖縄は。

 痛み分散し全身に

「基地の整理・縮小」どころではないですね。

◆日本政府は沖縄基地をどうするかと聞かれたら、必ず「SACOの最終合意の忠実な推進」と言います。けれどSACOが100%実現されても、全国の米軍基地の75%が沖縄にある、それが70%に落ちるだけなんです。これでは解決にならない。
 その先はどうするんですかと私たちはずっと言い続ける。その時に、県道越えの実弾演習の全国5カ所への分散のような二の舞いを踏んじゃいけない。痛みをなくしてほしいという沖縄の要求は逆手にとられ、痛みは分散して、全身に回ったんです。
 普天間基地は危険だから名護に移す、これではAからBに移しただけで全然意味ないです。整理縮小でもなんでもない。むしろ新設強化ですよ。仮に面積は縮小したとしても、機能的には大変な新兵器になりますからね。だからアメリカが今のような好戦的な世界戦略をとるかぎり、沖縄基地の重要性は変わらない。

全国の労働者、女性たちに訴えたいことは?

◆この社会を担っているのは労働者です。その労働者の一人ひとりの力は限られた小さなものかもしれないけれど、それが束になった時に大きな力を発揮する。そのために労働組合がある。「一人は皆のために、皆は一人のため」にと言われるが、これは原点です。労働組合がリーダーシップを発揮すべきです。組織された労働者がまず発揮すべきだと思っています。
 それから女性と男性は格別違う世界に住んでいるわけではないので、特に区別する必要はないと思うんですが、どんな場所でもどんな運動の中でも、例えば選挙運動でも労働組合運動でも、女性たちや子どもたちみんなが参加するような選挙、みんなが参加するような労働運動だったら絶対に成功します。
 暮らしとかかわり合うことには市民がついてくる。活性化が生まれる。私、すべての運動がそうじゃないかなと思うんです。
 今沖縄だけじゃなくて、本土の各地でも始まっている。東京でも5万、6万の人が「有事立法反対」で集まって決起集会ができる。日本各地で気がついたと思いますから、それをぜひ力にして、あの3法案を廃案に追い込むことです。

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週刊『前進』(2060号5面2)

 すべての平和を求める団体個人が大同団結を
反戦地主 有銘政夫さん

 憲法違反の有事法

有事立法についてどう考えておられますか。

◆沖縄は、沖縄戦で本土の捨て石にされ、戦後は、米軍占領の後、52年の平和条約第3条で、日本から分離されて米軍統治下に入った。だから僕たちは絶対に平和条約第3条反対、平和憲法のもとに返せ、と要求して闘った。ようやく27年たって復帰が実現し、今年、復帰30年です。
 沖縄の米軍用地にかかわる特措法は、まさに有事立法です。そのことを僕らは96年の日米安保再定義のころから訴えてきた。安保体制を沖縄に押しつけ、それを日本の国内法でもう一度追認をしていく。
 しかし国は、沖縄から問題提起されて全国に広がったら元も子もなくなる。そこで、国は地ならしをしようとしている。沖縄でできたことを全国に公認させていく、これが今行われている有事立法だ。
 今、有事法制の中身を見ると、それが裏打ちされて出ている。僕らはずっとこの間、安保条約も自衛隊も、特措法改悪も全部憲法違反だと言っている。
 県民がこのことを知った時に、保守・革新だと言ってはおれない。そういう状況が今来ている。だから、僕はこの間、こんなことを言っている。
 「すべての平和を求める団体・個人が今、大同団結して有事立法阻止の一点で総力を結集して闘う時だ。小泉内閣のいう有事立法は人民の生命・財産を守るどころか、日本がいつでも戦争のできる国づくりを目的としたものであり、憲法9条の改悪が狙いだ。反戦平和を訴え続けてきた多くの民衆の声と諸行動を圧殺するための悪法である。あらゆる立場の民衆が結集をして、有事立法を阻止しなければならない。そのために総力を結集した団結こそが力だ」と。
 特に沖縄の立場からは、この悪法は、50年以上前の悪夢がすぐ目の前に出てきたようなものです。なんのための復帰だったかということになるし、なんのための戦後の闘いだったのか。
 ただ6・8の県民大会は、急ごしらえにもかかわらず、あれだけたくさん参加している。顔触れはかなり広がりがある。

子どもたち、お孫さんのために、という方がたくさんおられましたね。

◆今、こういう法律が多数決の論理で通ろうとしている。「自衛隊は憲法違反だから、憲法を変えろ」と。逆さまの論理ですよ。この日本の国で憲法改悪を提案すること自体が、憲法99条の「公務員は憲法を尊重し擁護する義務を負う」という条項に違反している。

 サイパンでの体験

有銘さんのお生まれは?

◆サイパンです。生まれたのは1931年、15年戦争の始まった年だ。

サイパンは戦争中はどうだったんですか?

◆戦争中は、今でいう中学1年生、当時は高等1年といった。
 サイパンは第1次世界大戦後、日本の委任統治となった。沖縄より犠牲者の率が高い。半分ぐらいの人間は死んだんじゃないか。
 集団自決から何から全部、沖縄戦で起こったことはその1年前に全部サイパンで起こった。日本軍はサイパンの戦争を「玉砕」と最大限に美化した。
 アメリカ軍は沖縄を占領する時に、この日本人のものの考え方、教育などを参考にしたと思う。サイパンでの状況を見て、沖縄戦の時にもこういうことがあると想定したわけ。

ご家族は?

◆僕のところは、親父と弟が犠牲になっている。いわゆる軍属として現地召集された。弟は3歳、ケガして破傷風で死んだ。姉は太ももを貫通した。無傷だったのは3名ぐらいしかいない。僕も艦砲でやられて、伏せた時、焼けた破片に触れておなかにやけどした。   
 向こうの学校でも天皇制の教育は徹底していた。朝から晩まで天皇陛下。僕の学校では、毎朝一人ずつ誓いを立てさせられた。

 体験風化させずに

戦後になってそのへんの考えがひっくり返ったのはどうしてですか?

◆今までのことが全部ウソだったということは、沖縄に帰って初めてわかった。僕らが沖縄に着くまで、負けていると信じなかった。沖縄に近づいた時、勘違いしたことが二つある。一つは、米軍が甲板から古くなった弾薬だと思うけど、全部海に投げ捨てているのを目撃して、やっぱりアメリカは負けて、武装解除しているんだと思ったこと。もう一つは、島影が見えて飛行機が飛んでいる。胴体に丸いのがあるように見えるものだから、やっぱり日本軍の飛行機が飛び交っている、と思った。それでどんどん近づいてくると違うんだ、アメリカ軍だった。
 今どき、「沖縄の人たちはもっと戦場から離れて避難していたら、そんな目に遭わなかったはずだ」と言ったやつがいたけど、とんでもない。当時の人たちは絶対に神風が吹いて負けないという軍隊を信じて、だからこそ一緒に行動した。
 僕らは、戦争体験記なんかをまともに読みきれない。どうしても自分の体験に重なって、涙で目がかすんで文字が読めなくなる。
 沖縄戦の中で、避難している時に人間だったかというと、その時は非人間でしょう。天災とか火事だと、助けようと一生懸命になるでしょ。だけど戦争の場合は、とにかく無視して逃げたから生きている。戦車が来て、機関銃を撃ちまくる、そうすると「走れ!」という一声で、みんな弾の来る反対の方向に逃げる。そして一定逃げて、集まってみると誰かいないわけだ。一人か二人ね、あそこで倒れよったと、言っているけれど戻らんさ。
 けが人がそこでうめき声を出していても、かまっていられない。とにかく逃げるしかない。例えば親などは、子どもが泣く、殺せと言われる。声を出させたら困るから口をふさぐ。結局窒息させてしまう。普通の状態だったら、そんなことをしない。
 戦争を体験した人たちの考え方を風化させないことが重要です。今度の有事立法を通したら、戦争体験は意味ないことになる。だから踏ん張るならここです。
 6月23日の式典で小泉に抗議の声があがったが、当然です。小泉は百害あって一利なし。沖縄に来るべきじゃない。有事立法をぶっつぶしましょう。

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週刊『前進』(2060号5面3)

「慰霊の日」、沖縄の反戦の心に触れた

 6月23日夜、那覇の喜納昌吉のライブハウス。「きょう8時起きで摩文仁に行った。日本を立て直すためにはきれいな心を取り戻すことだ。『すべての人の心に花を』、これいいでしょ。ビンラーディンの心にも花は咲くでしょうか、咲く? うん。じゃあブッシュは? 小泉は?」と喜納さんが問いかけるとぎっしりの聴衆から「ダメ!」「ムリ!」の声が飛んだ。
 「慰霊の日」の夕刻、私は喜屋武岬に立った。断崖(だんがい)絶壁の下にサンゴ礁の海。その海を見つめていた男性(67)の父は、激戦をくぐりぬけ、この岬までたどり着いたのだという。岬の下にわき出ていた水だけを頼りに何日も生き延び、そして行方を絶った。彼は、高校を出たころ一人でこの岬で父の遺体を探した。その時、軍靴を履いたひざから下だけの白骨を見つけた。アダンの繁みが遺骨を抱いていた。57年が過ぎ、父を思い反戦闘争を続けている。
 沖縄には怒りがあふれている。誰もが戦争の傷を負って生きている。那覇の飲食店の50代の女性が語る。「なんで小泉が沖縄に来るの。あの人は沖縄のことなんにも考えていないさ。私は戦争で親を亡くして孤児になった。まだ赤ちゃんでおばあちゃんに育てられたけど戦後は辛かった。戦争は絶対にだめ。小泉は人の心がわからないんだね」
 大潮の日の泡瀬の海、ずっと広がった干潟で、娘と孫娘と3人で見つけたカニを見せてくれた女性(57)。
 「糸満から北部に逃げて母は生き延び、ガマの中で私を生んだ。皆がネズミから私を守ってくれた。そのころには父は死んでたんだね。今も胸にぽっかり穴が開いている。有事立法は怖い。もう戦争は絶対に来ないと思っていたけど反対しないとね」
 東京に帰ったら、編集局に宮城県のTさんから手紙が届いた。
 「『有事法制は許さん!帰れ!』と叫んだ宮城盛光さん。『小泉首相が冥福を祈る一方で、有事立法を進めるのは矛盾していて、満身の怒りを覚える。有事法制ができると平和憲法は死ぬ。県民の思いを伝えたかった』(24日毎日新聞)。『有事三法案絶対反対』のうちわ、怒りでギリッと一文字にむすんだ口元。その表情に沖縄県民の怒りの深さを改めて思った。非常に胸に迫った。有事三法案を絶対に廃案にしたい」
 (永田朋実)

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週刊『前進』(2060号5面4)

 鉄道

 “鉄道を戦争に使わせぬ” JRから「鉄路の闘い」を

 戦時における国内の兵員・軍事物資などの輸送の中枢を担うのが鉄道、とりわけJRである。有事3法案の一つ、武力攻撃事態法案は第6条(指定公共機関の責務)で「指定公共機関は、国及び地方公共団体その他の機関と相互に協力し、武力攻撃事態への対処に関し、その業務について、必要な措置を実施する責務を有する」と明記した。JRは「指定公共機関」として、戦争動員の「責務」=義務を課されるのである。

 今なお続く米軍専用の燃料輸送

 鉄道の戦争動員ゆえに引き起こされた重大事故として有名なのが、米帝のベトナム侵略戦争のただ中の67年に起きた新宿米軍タンク車炎上事故である。
 67年8月8日午前1時43分、ガソリンを満載した貨物列車が国鉄新宿駅を立川基地に向けて出発した直後に、下りの砕石満載の貨物列車と衝突し、電気機関車が脱線、連結のタンク車が火を噴き、機関車とタンク車3両が大炎上した。架線は焼け落ち、国電1100本が運休、200万人の移動に支障をきたすという事態にいたった。
 当時の国鉄は、米軍横田基地、同立川基地に航空機燃料を輸送するためのタンク列車を連日運行していた。輸送車両数は、66年には1日当たり50両、67年夏には70両と、ベトナム侵略戦争のエスカレーションとともに激増していた。そうした中で起こるべくして起きた大事故だった。
 ベトナム戦争が終わり、新宿経由のタンク列車はなくなった。しかし今もなお、JR南武線・青梅線経由ルートでは、米軍横田基地へ航空機燃料を運ぶ専用列車が走っている。横浜市の安善駅から南武線、都内の立川駅から青梅線と、真っ黒いタンク15両を連ねた列車が、住宅の立ち並ぶ地域を通る。今は週1回だが、ダイヤは最大で1日3回(ベトナム戦争の時と同じ回数)に増やせるように組んである。「いざ有事」には、いつでもダイヤ変更ができるのである。
 そもそも国鉄の鉄道敷設とは、日本帝国主義の軍需輸送の必要性に規定されて進められてきたものだ。その本質は、日帝の敗戦後もなんら変わってはいない。

 朝鮮・ベトナム侵略戦争と鉄道

 1950年の朝鮮侵略戦争の際には、国鉄は、朝鮮に出撃する米軍部隊の輸送から、戦闘訓練場までの輸送、弾薬や軍需品の貯蔵地から輸送港湾間のピストン輸送、米本国からの増派部隊の輸送、傷病兵の搬送などに総動員された。佐世保港から福岡港、北九州の門司港、神戸港などの港湾、また福岡の板付基地や大阪の伊丹、東京の横田などの航空基地を結ぶ輸送ルートも国鉄が担った。
 米軍のために国鉄が運用した軍事臨時列車は、朝鮮戦争突入から2週間で、列車数245本、使用した客車7324両、貨車は5208両にのぼる。
 侵略戦争が継続する中で、国鉄は大量の弾薬類の輸送を担った。弾薬類はアメリカから輸送され、いったん在日米軍の弾薬庫に納められた後に、朝鮮に輸送されていった。神奈川県の相模線では、1日2百余両の臨時列車を仕立てなければならなかったという。
 ベトナム戦争でも日本は、米軍の前線、作戦、補給、休養基地として全面的な戦争協力態勢を敷いた。とくに国鉄は、さまざまな戦争協力に労働者を駆り出した。当時、国鉄労働者に関する米軍事輸送は「公務鉄道輸送支払い手続き設定のための日本国有鉄道とアメリカ合衆国との間の協定」によって行われ、ばく大なジェット燃料、弾薬、戦死体まであらゆるものが輸送された。
 ジェット燃料輸送では、66年4月〜67年3月までの1年間だけでも、浜安善と横田基地間を1万8852両、56万dが輸送された。米軍タンク車輸送は、品川−池袋−大塚、新宿−八王子を1日平均50両(66年)、68年8月以降は1日平均120両へと増大した。またパイプライン輸送は、鶴見−八王子、鶴見−南埼玉のほか都内の山手線を中心に拡張された。
 軍需産業周辺の駅、操車場の協力が強化され、国鉄は川崎・直方・美唄・大宮・厚狭・姫路の火薬工場などと結託して、徹底的に管理された。
 こうした鉄道輸送の指令・指示権は完全に米軍が掌握した。輸送協定第11条(特殊条件)では「発駅における輸送将校は小荷物・小口扱・貨物・車扱いに対しさしずを行うことができる」、「着駅における輸送将校は車扱い・貨物扱いに対してさしずを行うことができる」とされた。
 これに対して、当時の総評は66年10月21日を「ベトナム国際反戦デー」に設定し、全国で91単産、約547万人の労働者が参加するストライキを打ち抜いた。総評の中核部隊であった国労は、全国で国家権力・当局と激突しながらストライキを貫徹した。
 国労は、67年10月には自衛隊輸送を含む軍需輸送阻止へ順法闘争などに取り組み、東京では10月18日から3日間の順法闘争で、毎日70両の米軍タンク車を運休、210両をストップさせるなどの闘いを展開した。68、69年の10・21国際反戦デーでも、国労・動労がそれぞれ軍需輸送関連職場でのストライキや順法闘争を展開するなど、軍需物資輸送を拒否する闘いが展開された。

 燃料輸送阻んだ動労千葉の闘い

 戦争動員と対決する労働者の闘いとして特筆すべきなのが、動労千葉の三里塚・ジェット燃料貨車輸送阻止闘争である。78年の成田軍事空港開港を目前に控えた77年11月、閣議が「暫定貨車輸送」を決定したことに抗して、動労千葉は12月冒頭から百日間闘争に突入、「ジェット燃料輸送の機関車のハンドルは握らない」を合言葉に順法闘争を始めあらゆる戦術を駆使して、総武線はもとより首都圏の国電区間のダイヤをがたがたにした。さらに79年10月、81年3月と波状的にジェット燃料輸送阻止ストライキを闘い抜いた。動労千葉の決起により、ジェット燃料輸送はずたずたになったのだ。
 動労千葉は、新ガイドライン関連法制定に対しても、いち早く「戦争協力拒否」を宣言して立ち上がった。99年10月に開催された第27回定期大会では「鉄道を戦争のために使わせるわけにはいかない。われわれは戦争の加担者になることを拒否する」「われわれはアジアの民衆と連帯し、ガイドライン関連法の発動を阻止するために全力をあげて闘いぬく。平和のための任務として一切の戦争協力を拒否する」という『戦争協力拒否宣言』を採択した。
 こうした動労千葉の闘いこそ、陸・海・空・港湾労組20団体と真に連帯する決起である。99年の連合大会で「私たちJRも、武器、弾薬、兵員の輸送を担わされることになりました」と協力を表明(現委員長・小田)したJR総連カクマルを打倒し、当局・権力に全面屈服して闘争団切り捨てにひた走る国労本部をうち破り、闘う国労の再生をかちとろう。すべての国鉄労働者は有事立法闘争に決起しよう。(本紙 上原祐希)

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週刊『前進』(2060号6面1)

盧溝橋事件から65年、7・7自己批判から32年
「連帯し侵略を内乱へ」路線貫き有事立法絶対阻止の共同闘争を
 滝山 光夫

 1937年盧溝橋事件から65年、70年7・7自己批判から32年を迎えた。われわれはみたび帝国主義世界戦争を許すのか、それとも階級的血債を貫いて労働者階級人民と被抑圧民族人民の共同の力で、それを国際的内乱に転化し世界革命の道を切り開くのかの、重大な歴史の転換の節目に今生きているのだ。昨年の9・11反米ゲリラ戦争をもって戦後の歴史は完全に一変した。米帝はこの民族解放闘争の激烈な洗礼を受け、ついに世界戦争路線へと踏み込んだ。日帝もまた、帝国主義として生き延びるために米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に共同的=競合的に参戦する路線を選択した。有事立法は、日帝の存立をかけた攻撃なのだ。だからこそ有事立法阻止闘争は、労働者人民の命運を左右する戦後最大の階級決戦となった。有事立法を粉々に打ち砕くことは、日帝の北朝鮮・中国侵略戦争とそのための参戦国家への転換を決定的に打ち破るものとなる。同時にこの闘いにおいて、被抑圧民族との連帯をかけた闘い、在日・滞日アジア人民、イスラム諸国人民への排外主義、入管攻撃の嵐が吹きすさぶ情勢と「新たな7・7自己批判」の立場から根底的・階級的に闘う義務があること−血債を貫くことが求められている。この4〜6月の闘いは、重大な情勢を切り開いた。有事立法はズタズタに引き裂かれる寸前まで追い詰められた。しかし日帝は国会会期を延長し、強行採決をたくらんでいる。さらに追撃を加え、強行採決を阻止し、修正論議・継続審議を粉砕して廃案に追い込み、二度と再び提出させない闘いを貫かなければならない。わが革共同は、そして日本の労働者階級人民は、これまでに数え切れないほどの壮絶な闘いを繰り広げてきた。何度も血を流して闘ってきた。それはわれわれが労働者階級の党であり、そして階級そのものである限り、命にかえても闘わねばならないからであった。まさに今がその時なのだ。命をかけて闘わなければならない決戦の時を迎えているのだ。なんとしても実力で有事立法を打ち砕かなければならない。これを貫くことそのものが、壮絶な「自爆決起」を闘いぬくパレスチナ人民、イスラム諸国人民、アジア人民との連帯そのものなのだ。

 イラク、北朝鮮、中国への侵略戦争を阻め

 今われわれが直面している情勢は、世界戦争過程に突入した戦争状態の真っただ中にある。このことを1ミリのあいまいさもなく直視しなければならない。
 米帝の歴史的没落、世界危機、世界恐慌切迫情勢の中に打ち込まれた9・11の民族解放闘争の特殊的・極限的な闘いは、米帝を基軸とする帝国主義の戦後世界支配の危機を一変させた。基軸帝国主義である米帝自身が、民族解放闘争を絶滅させ、争闘戦で他帝国主義を打ち負かし、帝国主義世界の暴力的再編に向かって全世界を巻き込んだ戦争(世界戦争)に打って出たのである。
 昨年のQDR(4年ごとの戦力見直し)、イラク・イラン・北朝鮮への「悪の枢軸」規定、そして中国・ロシア・シリア・リビアを含めた7カ国への核使用宣言は、あからさまな全世界への戦争拡大宣言であり、全世界を米帝が再編・支配するという宣言そのものなのだ。
 米帝は、一方ではアフガニスタン侵略戦争を永続化させ、同時にパレスチナに対するイスラエル・シャロンを使った侵略戦争を激しく推し進めている。次にはイラク攻撃へと打って出ようとしている。6月1日にブッシュはフセイン政権転覆を目標に置いたイラク侵略戦争突入を公言した。米帝は、パレスチナ人民のすさまじい反撃の中での一定の混乱を整理して、アラファトの屈服とその体制の解体、アラブの親米政権の取り込み、そしてロシアと中国を屈服させることでその体制を立て直し、早ければこの秋にもイラクへの開戦に踏み切ろうとしている。91年のイラク・中東侵略戦争と比しても次元を異にし、明らかにイラクの軍事占領=フセイン政権の転覆・打倒を目的としたものなのである。それは世界情勢のすさまじい激変を意味する。当然にも、ムスリム人民の激烈な全世界的反撃は不可避であり、中東と世界の動乱を確実に引き起こすものとなるのだ。
 さらに米帝は、イラク侵略戦争への突入とともに北朝鮮への侵略戦争へと踏み切ろうとしている。中東をめぐる大激動に続いて、それは南北朝鮮=朝鮮全土はもとより全アジアをとてつもない動乱の渦にたたき込むものとなる。そして、中国スターリン主義の転覆を狙った世界大戦級の侵略戦争へと間違いなく発展していくのだ。このイラク侵略戦争と北朝鮮侵略戦争は一体となった米帝の世界戦争路線なのだ。
 基軸帝国主義である米帝自らがこのようにして戦後世界を世界戦争をもって再編しようとしていることは、恐慌過程に突入し破滅的危機にのたうちまわる日帝の絶望的焦りを引き起こしている。日帝が帝国主義として生き延びるただ一つの道は、この米帝の世界戦争路線を自ら主体的に遂行する道、すなわちイラク侵略戦争、そして北朝鮮・中国侵略戦争に共同的=競合的に参戦し、戦争のできる国家に転換することである。有事立法は、日帝自身が主体的に北朝鮮・中国への侵略戦争を発動するための法案であり、国家総動員法案なのだ。

 「作戦計画5027」

 米帝の北朝鮮への侵略戦争の開始は遠い将来の問題ではない。1〜2年のうちにも始まろうとしているのだ。日帝にとって、憲法を停止し、首相に独裁的な非常大権を与え、自衛隊を侵略戦争と内乱鎮圧の実戦部隊とし、国家総動員体制をつくることが、今この瞬間にどうしても必要なのだ。日帝は何があっても有事立法を強行しようとしているのだ。
 日帝はすでに、昨年9月の「日本有事」のための日米共同作戦計画、「周辺事態」のための相互防衛協力計画を日米双方で合意した。それは「作戦計画5027−98」を日米が合意したことそのものを意味する。「作戦計画5027」で米帝は、「北朝鮮に攻撃の兆候が見えた段階で軍事境界線(38度線)に集結する北朝鮮部隊や北朝鮮国内の軍事施設に猛爆撃を加える」↓「北朝鮮の軍事基地や主要施設に集中的空爆を行う」↓「韓国軍や在韓米軍、駐留海兵隊などの地上軍部隊を投入する」↓「首都ピョンヤンを軍事制圧し、北朝鮮政権を転覆し、韓国主導の南北統一政権を実現する」というすさまじい戦争計画を打ち出していた。
 「作戦計画5027−98」ではさらに「戦争終結後の占領統治」として米軍が直接軍事占領を行うとしている。日帝がこれに参加・参戦するのだ。
 実にすさまじい超ど級の戦争計画である。100万人超の死傷者を予測しているこの朝鮮侵略戦争計画を、日帝が米帝と一体となって実戦するためのものこそ有事立法なのだ。
 これは、武力攻撃事態法案への「政府見解」を見れば明らかだ。武力攻撃事態法の定義では、「武力攻撃事態」とは、「武力攻撃が発生した事態」「そのおそれのある場合」「予測されるに至った事態」の三つを、すべて武力攻撃事態として一括している。そして5月16日の「政府見解」では、「武力攻撃事態」について、「武力攻撃を加えてくる主体」は「国だけではなく、国に準じる者もあり、攻撃の規模の大小、期間の長短や攻撃が行われる地域、攻撃の態様等もさまざま」であり「武力攻撃の態様は一概に言えない」として、小規模のゲリラ行動も「武力攻撃事態」と規定しようとしている。そして、「予測されるに至った事態」では、他国が日本への攻撃のための「予備役の招集」「禁足」「非常呼集」を行ったとみられた場合をあげ、「おそれのある場合」では、「我が国に対して武力攻撃を行うとの意図を明示し、攻撃のための多数の艦船あるいは航空機を集結させている」などをあげている。
 要するに、米帝が次は北朝鮮を攻撃すると宣言し、激しく軍事重圧を加えれば、北朝鮮は自衛のために防衛・反撃体制を当然のことながら強化するが、そのことが「おそれのある場合」や「予測されるに至った事態」に該当するとして、日帝はただちに米軍と共同で参戦するということなのだ。ミサイルの発射であれ、小規模のゲリラであれ、あるいは昨年12月のような「不審船」と見立てた外国船であれ、すべて「武力攻撃事態」だとして侵略戦争が発動されるのだ。このように見た時、米軍の攻撃が発端であれ、あるいは米帝の軍事重圧に対する北朝鮮の対抗的軍事行動が発端であれ、間違いなく日米帝国主義による侵略戦争が発動されるのだ。
 そしてこの時、全権力が首相に集中し、地方公共団体や指定公共機関はこれに従うことが義務づけられ、憲法や法律で規定されている権利はすべて停止されるのだ。完全な非常事態宣言である。
 もはやここからは、日共スターリン主義者の言うような、「アメリカの戦争に巻き込まれるから」などという論理は、どこをどう転がしても出てくるはずがない。否、こうした論理こそ、日帝に免罪符を与え、労働者人民を武装解除するものなのだ。そして5月16日、700万労働者を組織する連合が「憲法の枠内での法整備は、基本的には必要である」などと有事立法賛成を公言し、侵略戦争賛成を表明した。われわれは、日共スターリン主義、連合を打倒し、有事立法を粉々に打ち砕かねばならない。

 労働者自己解放闘争と民族解放は不可分

 有事立法決戦を闘う上で、われわれはあらためて9・11とは何かをしっかりととらえ返さねばならない。戦後の国際階級闘争と世界情勢は、9・11をとおして完全に一変したのである。
 われわれは第一に、9・11と真っ向から向き合い、「新たな7・7自己批判」の立場を鮮明にさせ、「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・パレスチナ・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」のスローガンを明示に打ち立てて闘いを発展させてきた。9・11は、現代帝国主義が、そして何よりも日帝が、13億イスラム諸国人民に対してどれだけ許しがたい植民地主義的搾取・収奪・抑圧を繰り広げてきたのか、それに対して13億イスラム諸国人民がどれほどの犠牲を強いられ、どれだけすさまじい闘いを繰り広げてきたのかを、根底からわれわれに突きつけるものであった。
 帝国主義は、一方で自国の労働者人民に対する支配・搾取・収奪を繰り広げることで存立している。そのために労働貴族を育成し、労働運動をたえず支配しようとする。その上に立って帝国主義は、植民地・従属国人民を極限的に抑圧・支配し、そこから奪い取った資源と利益でますます肥え太り、その圧倒的物質力によって帝国主義国の労働者人民を排外主義的に支配・動員し続けている。帝国主義国の労働者人民の自己解放闘争は、プロレタリア革命であり、それは初めから自国帝国主義に対する民族解放闘争と不可分一体のものとしてある。そういうものとしての帝国主義打倒=プロレタリア革命なのだ。だからこそ、帝国主義国で闘う労働者人民の闘いは、被抑圧民族の民族解放闘争の勝利をともにかちとることを自らの課題としてその内に持ち、帝国主義の国際的存在としての本質をつかみきらなければ帝国主義とその排外主義に勝利できない。このことをわれわれは9・11を見据えることをとおしてあらためてしっかりと確認してきた。
 それは「諸民族の牢獄」と言われたロシア帝国主義との闘いの中で、そしてプロレタリア独裁権力を防衛する闘いの中で、レーニンとボルシェビキが一貫して貫き通した立場でもあった。だからこそロシア革命はロシア全土の被抑圧民族のソビエトのもとへの結集をかちとり、ムスリム人民を始めとする被抑圧民族を赤軍のもとに組織し、帝国主義の反革命干渉戦争を打ち破り、ロシア全土の革命へと発展させることに成功したのである。さらに、東アジア、中東の被抑圧民族人民の民族解放闘争を吸引し、コミンテルンへの結集をかちとり、世界革命に向けた重大な橋頭保を築き上げたのだ。さらにレーニンは、グルジア問題との格闘の中で、プロレタリア世界革命を真に貫き勝利する上での「血債論」的内容を確立したのである。
 同時にそれは民族解放闘争の側から見ても、民族解放闘争は直接的には民族の自決・独立・解放を求める闘いであるが、しかし資本主義の最高の発展段階としての帝国主義段階におけるその完遂は、帝国主義世界の転覆=プロレタリア世界革命の一環としての民族解放・革命戦争をプロレタリア独裁として発展させ、突き進む方向をとるべきなのである。実際、中国革命やベトナム革命などのその後の国際階級闘争の歴史を見れば、このことは一層明瞭になる。

 「三つの義務」貫徹を

 今日、アメリカ、ヨーロッパで、すさまじい外国人排斥が吹き荒れている。イタリアではEU以外からの外国人居住者への指紋押捺を義務づける移民対策法が下院を通過された。オーストリアではドイツ語ができない外国人の排除を狙う外国人統合法が閣議決定された。デンマークも難民規制を強化した。そしてフランスではルペンを党首とする極右勢力が外国人排斥を掲げて伸張している。何よりも米帝は「国家安保を害する恐れのある外国人」を選別し、指紋を採取し、顔写真を撮影し、30日以上滞在の外国人の登録を義務づけて「不法滞在者」に強制出国措置をとろうとしている。
 日帝における在日・滞日人民、ドイツ帝国主義におけるトルコ民族問題、フランス帝国主義におけるイスラム系民族問題、そして米帝も黒人、先住民族、そして中南米や中国・朝鮮・アジア人民など膨大な民族問題を内に抱えている。民族問題、外国人労働者問題を国内に抱えていない帝国主義などひとつも存在しないのだ。帝国主義国の労働者人民(その実態は今やさまざまな民族によって構成されている)の自己解放闘争と被抑圧民族人民の民族解放闘争は絶対的に一体でしかありえないことは明白すぎるほど明らかなのだ。
 さらにわれわれは第二に、この始まった新たな情勢を、革命的情勢の急速な接近としてしっかりととらえ、それに対してレーニンが提起した「三つの義務」(革命的情勢の到来の宣伝・扇動、実際の国内戦の可能的着手・開始、党の非合法・非公然体制の確立)を全面的に果たすことをしっかりと確認してきた。われわれは、世界戦争過程がついに始まったこと、今やその戦争状態の真っただ中にあること、それに対する国際的内乱がいよいよ開始されていること、そのことはとりもなおさず革命的情勢が急速に接近していることであることを労働者人民に対して大胆に扇動し、直ちに革命的大衆行動を組織しなければならない。
 われわれは、日本の労働者人民の持つ根底的怒りを引き出し、階級的魂を揺さぶるような訴えを今こそ繰り広げなければならない。再び銃を持ちアジア人民を虐殺し、その結果自らも殺される戦争を許していいのかを鋭く問わなければならない。かつて第2次世界大戦において、2千万人以上のアジア人民を殺戮(さつりく)し、日本人民自らも数百万人が命を落とした。その歴史をまたもや繰り返してはならないと心から訴えなければならない。多くの人びとが、「戦争の時代が来た時は自分も立ち上がる」と言ってきた。その時がまさに今なのだ。われわれは日本の労働者の決起は不可避であること、その階級としての存在に確信をもって心からの決起を呼びかけなければならない。
 第三に、階級的労働運動の再生をかちとり、帝国主義を打倒する労働運動をつくり出す闘いを、労働現場においてうまずたゆまず粘り強く進めねばならない。
 この4〜6月、陸海空港湾労組20団体を先頭とする決起は、ついに6月16日東京・代々木公園での6万人の決起として爆発した。日共スターリン主義や連合、JR総連の制動と裏切りをのりこえる闘いが、既存のナショナルセンターの枠を越えて多くの労働組合や労働者、闘うすべての人びとの総結集をつくり出し始めている。われわれは、ついに労働者階級本体の決起が始まりつつあることの意義をつかみ、その先頭で闘うことで労働者階級と豊かに結びつき、労働運動・労働組合運動における階級的決起をさらに爆発的に促進しなければならない。
 労働者階級と豊かに結びついた「新たな7・7自己批判」の立場の闘いと、「レーニンの三つの義務」の全面的実践を一個二重のものとして実現することこそが、革命党として今決定的に問われているのである。

 激化する排外主義と対決し入管闘争を

 現下の入管闘争の最大にして第一級の闘いは、有事立法粉砕決戦に立ち上がることである。そして同時に、有事立法の強行が図られる中で、日帝の民族抑圧、入管弾圧、排外主義攻撃がより一層激しく強まっている。入管体制を打ち破る闘いを、有事立法粉砕決戦の一環としてともにつくり出していかねばならない。在日・滞日被抑圧民族の闘いの支援・防衛・連帯の闘いは決定的なのだ。これをみすえた有事立法粉砕闘争でなければ、対北朝鮮侵略戦争と排外主義の嵐にたちまち吹き飛ばされてしまうのだ。
 米帝と日帝は、100万人を超える朝鮮人民を殺戮する戦争を今まさに始めようとしているのだ。この許しがたい侵略戦争に対して、北朝鮮人民が命懸けで立ち上がることは不可避だ。南朝鮮人民、在日朝鮮人民も、「同胞皆殺し」の戦争に対して激烈な抵抗闘争・民族解放戦争を繰り広げることは、50年朝鮮戦争切迫に対する48年済州島(チェジュド)武装蜂起や麗水(ヨス)の反乱、パルチザン闘争、戦後革命期−朝鮮戦争に対する在日朝鮮人の闘いを見れば明らかである。さらに朝鮮を戦場にした戦争は、隣接する中国スターリン主義へのとてつもない重圧としてのしかかる。北朝鮮侵略戦争は、間違いなく中国そしてアジア全域を極限的情勢にたたき込むものとなる。むしろそれは対中国侵略戦争の前夜でもある。
 われわれは、闘う朝鮮人民・中国人民と固く連帯し、在日朝鮮人・中国人との共同の闘いとして、有事立法粉砕の闘いをつくり出さねばならない。かつて日本の労働者人民と在日朝鮮人は、戦後革命期〜50年朝鮮戦争時における米軍に対する武装闘争、吹田、大須、メーデー事件などの大衆決起を始め、実に貴重な共同の闘いを経験した。アジア人民、在日アジア人民の決起に触れ、援助を受け、連帯する生きた関係が形成され、ともに闘う喜びを感じた時、日本の労働者人民の階級的覚醒(かくせい)、決起は爆発的根底的に解き放たれるのだ。まさに、連帯するということは国際主義であり、連帯して闘うことそのものが革命の目的そのものなのだ。
 戦後入管体制とは、植民地主義的民族抑圧の戦後的継続そのものであり、それは入管法・外登法を法制的支柱とする差別・抑圧、分断・同化・追放の体制である。その骨格は、50年朝鮮戦争を前後する過程で形成された。入管体制は、直接的には、朝鮮戦争に反対して立ち上がる在日朝鮮人を徹底して弾圧し、逮捕・投獄・国外追放を目的としてつくられた。同時に、入管体制は「二つの中国政策」−台湾侵略の一環としてあった。そしてこのすさまじい弾圧をテコに、同化・屈服を迫り続けてきたのである。
 97年日米新安保ガイドライン締結、99年周辺事態法、01年テロ特措法と一体での入管法(外登法)改悪による集団密航助長罪などの新設や不法在留罪の新設、入国拒否と退去強制の全面化、入国審査官の権限強化、「生活実態調査」などは、「朝鮮有事」(=日本有事)の際、在日朝鮮人・中国人を「敵国民」として徹底した弾圧にさらすためのものであり、有事立法攻撃の先取りとして入管体制を戦時的体制に一変させたのである。公安調査庁による破防法に基づく外国人登録原票の写しの大量収集問題は、朝銀破綻(はたん)を口実とした朝鮮総連弾圧と結び付いて、在日朝鮮人とその運動団体に対する破防法適用の具体的準備にほかならない。

 石原の暴言を許すな

 さらに日帝は、9・11以後アフガニスタン人の難民申請をことごとく却下し、強制収容と強制送還の攻撃を激化させている。それは、「難民を一切受け入れない」という排外主義的「国是」を浮き彫りにしただけでなく、日帝は難民を日本の国益に反する活動を行う人びとと見なしているのである。北朝鮮・中国侵略戦争による膨大な難民を、反日ゲリラとしてことごとく収容し追放・送還し、それを支援する人びとをも弾圧する意志をあらためて鮮明にさせたのだ。この攻撃は、イスラム諸国人民に対してのみならず、朝鮮・中国人民への「不法入国」「不法残留」を理由としたこの間の退去強制の乱発に明らかだ。瀋陽の日本総領事館における難民排除事件は、こうした日帝の基本姿勢の結果であり、日帝はそれを使って、「主権侵害」などと中国への排外主義攻撃を強め、反北朝鮮の悪らつなキャンペーンを繰り広げている。これらの攻撃は、昨年の外国船撃沈攻撃、そして「拉致疑惑」キャンペーンと一体となって、反中国・反北朝鮮の排外主義攻撃として加えられている。とりわけ、「拉致疑惑」問題に関する東京都知事石原による、「私が総理だったら北朝鮮と戦争をしてでも取り戻す」という暴言を絶対に許してはならない。ここに日帝の侵略衝動が赤裸々に暴露されているのだ。
 われわれは、対北朝鮮(中国)侵略戦争切迫下での有事立法攻撃、入管攻撃、排外主義攻撃に対して、入管法粉砕闘争を柱にして入管攻撃の一つひとつを打ち砕く具体的闘いをつくり出していかねばならない。具体的な支援・防衛・連帯の闘いをつくり出していこう。
 実際に北朝鮮(中国)との開戦へ突入しようとし、また突入した時、われわれがこれまで経験したことのない暴風雨のような排外主義の洪水が日帝によって加えられてくる。1923年の関東大震災時の朝鮮人・中国人大虐殺を想起させるような排外主義暴力が在日朝鮮人・中国人、在日・滞日人民に襲いかかろうとしている。その時われわれはその前に仁王立ちし、逆に膨大な労働者人民を戦列に獲得して、在日・滞日人民とともにその攻撃を打ち返し、「連帯し、侵略を内乱へ」転化する闘いとしなければならない。それは、7・7路線を貫いて闘いぬくことにかかっているのだ。有事立法を完全にたたきつぶし、日本の労働者人民と在日・滞日アジア人民、イスラム諸国人民の共同の巨大な戦列をつくり出そう。
 われわれ日本の労働者階級と人民は、在日・滞日被抑圧民族に加えられている入管攻撃・帝国主義的民族抑圧の攻撃と闘う義務がある。これを貫いて闘っていくことが階級的・人間的信頼関係を形成していく道筋そのものであり、そうして初めて国際主義的な共同で連帯した闘いがつくり出されていくのだ。有事立法粉砕闘争、入管闘争の圧倒的爆発を切り開こう。

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週刊『前進』(2060号6面2)

 署名の輪奮戦記

 賛成・反対で激しく討論 東北大学1年 A

 6・15集会後の大街宣で、私は池袋で署名を集めました。
 ある男性が「それ(有事立法)ってどんなの?」と尋ねてきました。私が「この法律が成立すると日本が戦争できる国になってしまうのです」と答えると、彼は「いいんじゃないの、やられたらやり返さなくちゃ」。私は「これは侵略するための法律なのです。あなたはその侵略戦争に参加してアジアの人たちを虐殺しに行くのですか」と聞いても、「おれも銃を持って虐殺しに行く」とうすら笑いで言ったのです!
 激しく討論していると、ある女性が来て、彼に向かって「あなたは間違っている」とはっきり言いました。「日本人は、今まで日本がやってきたことを知るべき」と彼女が言っても、彼は「おれは戦争をやったことがないから分からない」と、私たちの言うことを聞こうとしません。彼は「日本も核を持つべき」とも言い、核を保有しいつでも侵略に行けるような法律が必要だと言うのです。
 その後、彼は去りましたが、私や彼女の怒りはすぐにはおさまりませんでした。すると別の女性が私たちのやりとりを見ていたらしく、「大変でしたね」と署名をしてくれました。
 有事立法が広く知られると同時に、賛成と反対に分かれているのだと思います。彼や小泉が言うように「備えが必要だ」「テロ撲滅だ」とか、「テロが起きる根本的な原因を解決するべきだ」という人もいます。侵略をしていって、よりよい国・世界をつくれるはずがありません。もっと多くの人に有事立法反対を訴えようと思いました。

 神田の街角で労働者が続々 東京 久田恵理

 5月28日、私は有事法制に反対する署名運動のキャラバン隊の一員として、千代田区と中央区を回りました。
 午前10時過ぎ、神田駅近くの交差点に宣伝カーを停め、2人で手分けしてビラまきと署名を集め始めました。平日午前中に神田で署名を取るのは初めてです。
 間もなく、次々と人びとが足を止め始めました。どんどん署名してくれる人が来るので、2〜3人が列になってしまいました。
 勤務中の労働者は時間がありません。自転車で銀行に来た制服姿の女性も「早く早く!」とせかすので、ビラまきをしていた私も急いで署名板を用意して2人で署名をやりました。
 年配の背広姿のおじさんは、「政治家はみんなひどすぎる。全部辞めさせて取り替えた方がいいよ!」と怒り、若いサラリーマンは「どういう署名ですか?」と質問し、「あ、宗教じゃないですよね」と署名。これまで、男性のサラリーマンはほとんど署名してくれなかった状況がウソのようです。
 今までは署名してくれる人は、黙ってこちらの話を聞いていて署名して行ってしまうのが、大体のパターンだったのですが、みんな政治への怒りや有事法制への不安を口々に語り、「労働組合をつくろうとしている」「どうしたらこういう政治が変えられるのか」と、どんどん話が出てくるのです。
 街頭は変わっている! 熱を感じた一日でした。

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週刊『前進』(2060号7面1)

米帝ブッシュの世界戦争計画
「対テロ」掲げ侵略戦争拡大へ 奇襲・先制核攻撃を基本路線化
 日帝参戦の有事3法案粉砕せよ
 早乙女 優

 日帝の有事立法攻撃がますます強まっている。それは、米帝の01年QDR戦略を軸とする世界戦争計画がアフガニスタンで、パレスチナで、そしてイラクに向かって、さらに北朝鮮を攻撃対象としてがんがんと実行されている情勢全体の中で位置づけられた攻撃なのである。現在の世界がすでに世界戦争状態にあること、その中での日帝の死活をかけた攻撃として北朝鮮・中国侵略戦争突入とそのための有事立法攻撃があることを徹底的にはっきりさせよう。闘いの武装解除のための「有事立法の今国会成立断念」キャンペーンを粉砕せよ。そのために、米帝動向を怒りを込めて暴露する。

 “脅威まで待てない”と対イラク宣戦布告

 米帝動向できわめて重大なのは、6月1日にブッシュ大統領が陸軍士官学校で演説し、イラクへの先制攻撃を宣言したことだ。ブッシュ政権はこの1〜2年の内にも、対イラク、対北朝鮮の侵略戦争を開始しようとしている。ブッシュ政権は「テロ組織」や「敵対国」への先制核攻撃を新たな軍事ドクトリンにまで高めて、世界戦争―核戦争路線をさらに加速している。
 日帝はこの米帝の世界戦争路線に必死で対応=対抗し、イラク侵略戦争、北朝鮮・中国侵略戦争に帝国主義としての存立をかけて共同的=競合的に参戦し、世界戦争の主体として登場しようとしている。それが有事立法・改憲攻撃だ。
 ブッシュ大統領は昨年アフガニスタン侵略戦争を始めるにあたり、「第2次世界大戦以来の規模の戦争になる」と宣言した。米帝はこの言葉どおりに「対テロ戦争」を激化・拡大し、世界戦争に突き進んでいる。この基底には米帝の超バブル経済の全面的な崩壊がある。米帝の世界戦争路線のもとで、世界はすでに大恐慌と戦争の時代に突入しているのだ。米帝の対イラク、対北朝鮮の侵略戦争は9・11―10・7以降の中東・アジア・全世界の激動の火にさらに油を注ぎ、世界戦争情勢を何百倍にも強めるものだ。
 アフガニスタンでは今も空爆が続いている。地上戦はパキスタン国内まで拡大し、激化している。海上自衛隊はインド洋での米軍艦船などへの補給支援を半年間延長し、この米帝の侵略戦争を支えているのだ。
 タリバン政権の崩壊によって、また米帝の支援を受け、首都カブールを除くアフガニスタン全土で軍閥が復活し、略奪や軍事衝突が頻発している。カブールでは「復興支援」組織の殺到で家賃や物価が高騰し、人民の生活を圧迫している。米帝はロヤ・ジルガ(国民大会議)に「移行政権が米国製であると、全世界に知らしめたようなものだ」(西側外交官)という露骨な介入を行い、カルザイを大統領とするカイライ政権をデッチあげた。だが、アフガニスタン人民の米帝への怒りが高まっており、武装ゲリラ勢力を先頭に血みどろの解放戦争が闘われている。4600人の国際治安支援部隊(ISAF)や米軍が展開し続けなければ、カイライ政権はたちまち転覆される状況だ。
 パレスチナ人民はジェニン大虐殺をのりこえ、自爆決起など決死の民族解放闘争を闘っている。イスラエルは、この闘いに追いつめられヨルダン川西岸との境界に沿ってフェンスを構築し始めるとともに、再びヨルダン川西岸の全域に軍事侵攻した。6月24日、ブッシュは「中東和平構想」を発表した。それはアラファト議長の退陣、現パレスチナ指導部の交代を要求するものであり、パレスチナ人民にイスラエルへの全面屈服を迫るものだ。さらにブッシュは「すべての国々は……イラクなどテロを奨励する体制に反対しなければならない」と述べ、これがイラク侵略戦争強行のためであることをあからさまにした。
 米帝ブッシュは繰り返しイラク侵略戦争を宣言し、実行に移し始めている。2月の日米首脳会談でもブッシュが小泉に「われわれはイラクを攻撃する。間違いなくやる」「迅速に片づけたい」と語っていたことが明らかになった。そして小泉は「テロとの戦いで日本は常に米国とともにある」と、参戦を誓ったのだ。イラク侵略戦争と日帝の参戦を絶対に阻止するために猛然と決起しよう。
 (1)6月1日ブッシュはウエストポイントの陸軍士官学校の卒業式で演説し、対イラク先制攻撃を宣言した。ブッシュは軍人となる卒業生にイラク侵略戦争の動員指令を出したのだ。
 ブッシュは「(テロとの闘いでは)守りに回っていたら勝てない。敵に戦闘を挑み、敵の計画を崩壊させなくてはならない」「脅威が顕在化するのを待っていては遅すぎる。防御の姿勢では勝つことはできない」と、先制攻撃を「対テロ戦争」の基本手段とすることを宣言し、国家総動員の臨戦態勢をとるよう訴えた。
 また「戦うべき相手はテロリストだけではなく、それを支援する国家や政権だ」「われわれは、(大量破壊兵器の)不拡散の取り決めにもったいぶって署名しておきながら、後で系統的に違反するような暴君の言葉を信用できない」とイラクや北朝鮮を非難し、大量破壊兵器の開発疑惑を口実に先制攻撃に踏み切ることを宣言した。
 さらにブッシュは、「守るべき国家や国民を持たず、独裁者からひそかに大量破壊兵器を入手できるようなテロ組織に対しては、冷戦期における『大量報復による抑止』や『制裁を通じた封じ込め』を適用することはできない」と、対テロ戦争の新思考なるものをうち出した。ブッシュはこの新思考を軍事ドクトリンに高めようとしている。
 (2)6月10日付ワシントン・ポスト紙は、「ブッシュ政権が冷戦下の封じ込めと抑止を柱とする戦略から、生物・化学・核兵器など大量破壊兵器を持つテロ組織や敵対国に対する先制攻撃の戦略へ転換することを検討している」と報じた。ブッシュ政権はこの新戦略を今秋にも「国家安全保障戦略」に盛り込み、核兵器を使った先制攻撃や警告なしの奇襲攻撃も正当化しようとしている。
 (3)6月6日、ブッシュは全米向けテレビ演説で、「テロ対策」を統括する「国土安全保障省」を新たに設置する省庁再編を行うと発表した。ブッシュは「米本土の安全を確保する最善の道は、敵が隠れて計画を練っているところを攻撃することだ」「同時に、国土の防衛態勢を強めていく」と、ウエストポイント演説と一体で、イラク侵略戦争などに備えた本土防衛体制の強化を訴えた。
 これにより約17万人の人員、年間400億j近い予算を持つ、国防総省に次ぐ大規模官庁が生まれる。ブッシュは「1947年にトルーマン大統領が冷戦に勝利するために米軍を国防総省のもとに一元化し、国家安全保障会議(NSC)、中央情報局(CIA)の創設を行った改革以来の大胆なものであり、その改革がそうであったのと同様に、長期にわたる対テロ戦争遂行に備えた措置である」とその意義を確認した。世界戦争をやり抜くために、さらに巨大な戦争体制を構築するということだ。
 (4)米帝は最大25万人規模のイラク攻撃作戦をすでに立案し、アフガニスタン侵略戦争で消費した精密誘導弾や巡航ミサイルの増産を行っている。そしてCIAや特殊部隊がイラク軍事作戦の準備段階としての秘密作戦を遂行している。6月16日付ワシントンポスト紙が「ブッシュ大統領は今年初め、CIAにイラクのフセイン政権を打倒する秘密計画の遂行を命じた」と報じた。同紙によれば、イラク内の攻撃目標の確認や情報収集の強化、反フセイン勢力への資金、武器、訓練などの提供、さらにはフセイン大統領暗殺をも狙って作戦が進められている。
 米帝は「大量破壊兵器の査察を受け入れろ。でなければ先制攻撃だ」と言う。しかし、ブッシュが「米国の方針はフセイン体制の転覆だ」と強調しているように、査察はイラク侵略戦争のための口実でしかない。米帝はイラクや北朝鮮など米帝の世界支配に盾突く国家を侵略戦争で転覆し、残存スターリン主義・中国を転覆する一大侵略戦争をもも構え、日帝など他帝国主義の台頭を粉砕して、戦後世界体制を破壊的に再編しようとしているのだ。石油・資源の争奪戦を制し、その独占的支配を貫徹するためにイラクやイランを転覆し、親米国家に作りかえようとしているのだ。
 総じて、米帝は従来の「抑止・封じ込め」戦略を超えて、全世界を先制的予防反革命的に戦争過程にたたき込み、ソ連崩壊で激動過程に突入した戦後世界体制を米帝体制として現状破壊的に再編しようとしている。もって世界大恐慌、長期大不況のもとでの帝国主義間争闘戦にうち勝とうというのだ。それは他帝国主義の対米対抗的な軍事的突出をも引き起こし、世界危機を世界戦争へと急速に転化する。と同時に、全世界の労働者階級の闘いと民族解放闘争の極限的な爆発を必ず生み出す。
 イスラム諸国人民(パレスチナ・中東・ムスリム人民)を始めとする被抑圧民族の決起と糾弾を、帝国主義国の労働者人民が階級的魂で受けとめ、ともに団結して世界革命の道を切り開いていくために、排外主義をうち破って自国の参戦を阻止し、自国の敗北のために闘うことこそが決定的なのだ。

 広島原爆の数万倍の放射能

 イラク人民はどのような状態に置かれているのか。
 米帝は91年イラク・中東侵略戦争で、数十万のイラク人民を虐殺した。米軍は42日間の空爆で約11万回の出撃を行い、約89万dの爆弾を投下した。2月13日にはバクダッドのアメリヤシェルターをミサイルで攻撃し、1500人の避難者を焼き殺した。アメリカはピンポイント爆撃で軍事関連施設だけを正確に攻撃したと宣伝したが、実際は直接人命を狙って攻撃し、非軍事施設の破壊で市民生活に打撃を与えることを狙った。政府機関や石油関連施設はもとより、郵便局、電話局、テレビ局などの公共施設や交通機関、幼稚園、病院、粉ミルク工場、上水道などあらゆる施設を徹底的に破壊した。
 米軍が初めてウラン弾を使用したことは絶対に許せない。米軍は推定で300〜800dのウラン弾を使った。矢ケ崎克馬琉球大理学部教授は「広島に落とされた原爆の1万4千倍から3万6千倍の放射能原子がペルシャ湾岸地方にばらまかれた。……ウランの放射能半減期が45億年であることを考慮すると、イラク、クウェートの住民は永久に健康障害に苦しめられるのである」と弾劾している。
 イラクでは白血病やガンなど、以前はあまり見られなかった患者が急増した。新生児の先天的な障害が増え続け、無脳症などの新生児が生まれている。南部の都市バスラ市内のガンによる死亡者は1988年の34人から2000年には586人の17倍に増えた。
 それだけではない。米帝はその後も経済制裁と断続的な空爆を続け、イラク人民を虐殺している。イラクでは91〜98年の8年間に、60万人の子どもたちが薬や医療機器不足、栄養失調で死亡した(国連発表)。
 米軍は98年12月から〃宣戦布告なき無法爆撃”を開始した。多い時は2、3日に一度空爆を行い、多くの民間人を虐殺している。しかも嘉手納基地や三沢基地所属の米空軍機が交代で、サウジアラビアやトルコの米軍基地に派遣され、イラク空爆を行っているのだ。欧米のマスコミはこの空爆を〃ベトナム戦争以来の長期空爆”〃世間の目に映らない戦争”と呼んでいるが、この戦争を支えているのが日帝なのだ。日米安保体制が日々イラクの人民を虐殺しているのだ。
 こうした現実の一つひとつに怒りで胸が張り裂けんばかりだ。こうした現実がありながら、それでもイラク攻撃を許していいのか!

 イラク、北朝鮮、中国を標的に核攻撃宣言

 米帝はイラク侵略戦争、北朝鮮・中国侵略戦争を核戦争として準備している。ブッシュが1月9日に発表したNPR(核戦力態勢の見直し)はそのことをはっきりと示している。米帝は先制核攻撃を基本路線にまで高め、第3次世界大戦をも見すえた核戦力体制を整えようとしている。この恐るべき核戦争の切迫を見すえなくてはならない。
 02年NPRは、ICBM(大陸間弾道弾)、SLBM(潜水艦発射弾道弾)、戦略爆撃機の核戦力3本柱を変更し、@核戦力と通常戦力を組み合わせた攻撃システム、Aミサイル防衛(MD)などによる防衛システム、B「テロ」や「ならず者国家」の脅威に柔軟に即応できる国防基盤の再活性化を新たな核戦力体系の3本柱にすえた。すなわち、従来の戦略核兵器を主軸とした核戦力体系を全面的に見直し、通常戦力と核戦力を合体させ、実戦で核兵器を使っていこうというものだ。
 NPRの機密文書では、イラク、北朝鮮、中国など7カ国に対する核戦争計画の策定と、地下施設破壊のための新たな戦術核兵器の開発・製造を指示している。
 同文書は、まず総論で核兵器が米国防戦略の「重大な役割を担う」とし、核攻撃に対してだけでなく「大量破壊兵器(生物・化学兵器)や通常兵器による大規模攻撃を抑止する」と、核戦力を米軍事戦略の柱に据えた。
 そして実際に米帝が核攻撃するケースとして、@差し迫った有事、A可能性のある有事、B予期しない有事の3分類を設けた。
 @はイラクによるイスラエルや周辺諸国への攻撃、北朝鮮の韓国への攻撃、台湾の地位をめぐる中国との軍事対決の3つの実例をあげている。Aは大量破壊兵器を持つ反米国家、国家連合の出現、Bは突然の政変などで反米勢力に大量破壊兵器が渡ることや武装組織による米への奇襲などを想定している。
 「北朝鮮、イラク、イラン、シリア、リビア」の5カ国は@ABのすべてに関係しうると指摘し、とくに「北朝鮮とイラクはこれまで常に軍事的懸念であり続けている」と別格にした。中国は「戦略目標を拡大し、核・非核戦力を近代化している」として、@Aの対象国とされ、ロシアに替えて中国が米核戦略の主敵とされた。またロシアとの将来の関係悪化にも備えるべきであるという。
 さらに「核兵器は非核兵器の攻撃に耐えうる標的(たとえば地下深くの基地や生物兵器施設など)の攻撃に投入しうる」と、こうした目標への核兵器の先制使用を明記した。また世界70カ国以上に、大量破壊兵器(核、生物、化学兵器)の貯蔵や弾道ミサイルの基地、司令部施設などの地下施設が1400カ所あると具体的に指摘した。そして97年に開発された貫通型核兵器B61―11の能力では不十分であり、地下深くで爆発し、その破壊力や熱で司令部や生物兵器などを無力化できる新たな貫通型核兵器の開発が「緊急課題」だと結論づけた。また地下核実験を再開する見通しを示し、核実験再開のための準備期間を短縮することを提起した。核弾頭の製造能力の不足も警告し、ICBM、SLBM、戦略爆撃機などの新たな開発・配備が長期的には必要だとした。 
 米軍はアフガニスタン侵略戦争で核兵器の使用を検討したが、技術的な困難もあり踏み切らなかった。ブッシュ政権はこれを総括して、核攻撃の基本路線化を打ち出し、技術的な問題の解決をも指示した。米帝は対イラク、対北朝鮮、対中国の侵略戦争を具体的に想定し、それらに最も有効な核・非核兵器を投入しようとしているのだ。
 5月21日、米ロ間で戦略核弾頭の新削減条約が調印された。従来の戦略核兵器を維持することができなくなったロシアを買収し、屈服させて、NPRやミサイル防衛(MD)計画などに示される米帝の先制核戦争計画をロシアに認めさせるためのものだ。
 同条約は現在両国が6千発以上持つ戦略核弾頭を1700〜2200発に減らすとした。だが、これは「作戦配備弾頭」の数であり、米帝は実戦配備からはずした核弾頭のうち2900発を短期間で作戦配備可能な「反応戦力弾頭」として貯蔵する。さらに放射性物質の一部が詰められていない「不活性弾頭」4900発を含めると、実際には約1万発の核弾頭を保有することになる。このほか水爆の起爆装置となり、それ自身が原爆でもあるプルトニウム、濃縮ウラン・ピット(塊)を5000個維持することになるため「合計すると、実際には1万5千発の核兵器配備能力を持つ」(核問題専門家のロバート・ノリス氏)のだ。
 ブッシュ政権は6月7日に通算17回目、同政権としては4回目の臨界前核実験を強行した。また米エネルギー省は水爆の起爆装置となるプルトニウム・ピットの製造を再開する方針を明らかにした。6月13日には弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から一方的に離脱し、イージス艦から発射したミサイルで弾道ミサイルを迎撃するMD実験を行った。15日にはアラスカ州フォートグリーリーでABM用サイロの建設工事に着手した。
 米帝が核の超独占体制をさらに強化し、実際の戦争で使用し、さらに第3次世界大戦をも圧倒的な核軍事力で勝ち抜こうとしていることは明らかだ。

 査察や兵器削減要求突きつけ戦争を準備

 米日帝の対北朝鮮(朝鮮・中国)侵略戦争に向けた動きも活発化している。
 6月16日、プリチャード米特使が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の朴吉淵国連大使と米朝対話の再開に向けて詰めの協議を始めた。パウエル国務長官は米朝対話で核査察の受け入れだけでなく、通常戦力の削減や長距離ミサイルの破棄などの要求を北朝鮮に突きつけ、一切妥協しない方針を明らかにした。米朝対話とは、とうていのめない要求を北朝鮮に突きつけ、侵略戦争に突入するためのプロセスにほかならない。
 パウエルは2月13日に、北朝鮮が核査察を受け入れない場合は、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)による軽水炉建設計画を中止すると米議会で証言し、そうすれば「(北朝鮮は)絶望的な状態になる」と恫喝した。米帝は、すさまじい戦争重圧や軽水炉計画(重油供給)、食糧援助のストップを圧力に、北朝鮮を米朝対話に引き込んで、侵略戦争発動に向かって追いつめようとしているのだ。
 5月8日、米国防総省は朝鮮・中国侵略戦争体制を築くために、日本周辺に空母機動部隊を追加配備することを明らかにした。
 米上院司法委員会での北朝鮮難民に関する公聴会では、「北朝鮮では金正日が事実上の大量虐殺の責任者であり、自国の国民を餓死させる一方、国家の資源を大量破壊兵器の生産に投入している」(ドイツ人医師ノルベルト・フォラツェン)などと北朝鮮や中国を非難する大キャンペーンが行われている。まさに湾岸戦争前にイラクのフセイン政権批判キャンペーンが行われた当時を思い起こさせる事態だ。
 01年QDR(4年ごとの戦力見直し)に明らかなように、米帝の最大の戦略的打倒目標は中国スターリン主義であり、対イラク、対北朝鮮の侵略戦争は中国侵略戦争の前段階として位置づけている。

 連帯戦略貫き米日帝打倒を

 日帝は、米帝の世界戦争戦略、帝国主義間争闘戦の重圧下で国家存亡の危機にたたき込まれ、激しい凶暴性、断崖絶壁性をもって、北朝鮮・中国侵略戦争法案=有事3法案を成立させようとしている。日帝は12月22日に撃沈した外国船引き揚げ問題や「拉致疑惑」キャンペーンで北朝鮮脅威論をあおり立て、自らが責任をもって行うべき「対テロ戦争」として北朝鮮侵略戦争、さらには中国侵略戦争を行おうとしている。
 世界戦争―核戦争情勢、日帝の参戦情勢と真っ向から対決して、有事3法案を絶対に廃案にしよう。闘うイスラム諸国人民、闘う朝鮮・中国人民と連帯し、イラク侵略戦争絶対阻止、朝鮮・中国侵略戦争絶対阻止のために死力を尽くそう。世界戦争、核戦争に突き進む米日帝国主義を打倒しよう。7月有事立法粉砕決戦に総決起しよう。

米帝が核兵器を使用する具体例(NPR機密版)
3分類
@差し迫った有事
A可能性のある有事
B予期しない有事
実例
・イラクによるイスラエルなどへの攻撃
・北朝鮮の韓国に対する攻撃
・台湾の地位をめぐる軍事対決
・大量破壊兵器を持つ反米国家や国家連合の出現 ・突然の政変で反米勢力に大量破壊兵器が渡る
・米国に対する奇襲攻撃
対象国
イラク、北朝鮮、中国、イラン、シリア、リビア 左の6カ国 左の6カ国、ロシアゲリラなど

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週刊『前進』(2060号7面2)

コミューン 8月号 国鉄決戦の勝利へ

 特集は国鉄決戦の現局面と分割・民営化以来の国鉄闘争史を全面的に明らかにしている。
 第1章では、与党3党声明とそれへの完全屈服を決めた5・27臨大をめぐる熾烈な闘いの現局面を明らかにした。国労本部の屈服方針をのりこえて国鉄決戦勝利へ向かう新たな闘いの登場が紹介されている。
 第2章では、00年7・1臨大における4党合意受け入れ策動開始以降の国労内の激烈な攻防について明らかにしている。01年1・27臨大における4党合意受け入れ強行の攻撃、02年2・3中央委での闘争団切り捨てのための査問委員会設置と5・27臨大までの闘争団を先頭とする国労の再生をかけた日帝との階級的攻防戦が描かれている。
 第3章では、国鉄決戦の爆発が反革命カクマルの危機を促進し、組織分裂にまで追いやったことを明確にしている。カクマルは分割・民営化促進の反革命的罪業が全人民的に知れわたり、「JR総連=カクマル」の革命的暴露に耐えられず、ついにカクマル中央派とJR総連カクマルに分裂した。カクマル打倒の展望が切り開かれ、国鉄決戦勝利の展望が鮮明に突き出されている。
 第4章で、分割・民営化攻撃以降の国鉄闘争の歴史をまとめた。国労本部の裏切りの歴史に対して、国鉄闘争の原点である1047人闘争の決定的な意味が浮き彫りになっている。国鉄決戦勝利のための絶好のテキストである。

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週刊『前進』(2060号8面1)

医療観察法案という名の保安処分新法を阻もう 7月決戦で絶対廃案へ
 日共の差別見解を打ち破れ

 「精神病者」差別・抹殺の攻撃許すな

 6月7日に衆院法務委員会で審議入りした「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察に関する法律案」は、7月に法案の攻防をめぐる重大な局面を迎えます。この法案は「再犯のおそれ」なるまったく判定不可能なものを判断基準として構成されています。再犯予測が不可能なら、この法案は成り立ちません。
 現在、日本医師会、日本精神科病院協会を除くほとんどの精神医療関係の団体や「障害者」団体が、私たち「精神障害者」とともに「再犯予測は不可能である」と政府案に反対の声をあげています。
 この重要な時期に日本共産党は、「再犯のおそれは予測できる」という驚くべき見解を公表し、基本的に政府案を支持する立場を打ち出しました。小泉政権に救いの手をさしのべ、背後から闘いの分断をはかろうとするものです。私たちは保安処分新法と日共見解を断固として弾劾します。
 また民主党も対案を発表し、医療の枠内での実質的な保安処分体制の強化を提案しています。私たち「精神障害者」は、保安処分にいかなる対案・妥協案もありえないことを断固叫び続けます。妥協と屈服は敗北しか意味しない。また「犯罪をおかす危険な病者」と「そうでない病者」という「精神障害者」内部の分断攻撃にも負けてはならない。全人民の闘いでこの法案を葬り去りましょう。
 今回上程された法律は、昨年6月8日の「池田小事件」に対する市民の不安にこたえる形をとりつつ、真の狙いは、人民支配の危機を敏感に感じとった権力が「精神障害者」への差別をテコに、「精神病者」の抹殺を狙って差別を扇動し、国会に上程したものです。法案は「精神病者」差別への労働者人民の屈服と加担を引き出し、労働者の階級性を解体することを狙った一大思想攻撃なのです。
 だからこそ、小泉首相が池田小事件翌日の6月9日に早くも「精神的に問題がある人が逮捕されても、また社会に戻ってああいうひどい事件を起こす」とがなり立てました。そして、「医療の点でも、刑法の点でも、今後対応しなければならない」と保安処分新法をつくることを指示しました。また、マスコミも「精神障害者は刑罰の対象にならず、措置入院になってもすぐ出られる」「何の罪も問われずに野放しにされている」などという差別キャンペーンを洪水のように展開しました。
 事件後、遺族と犯罪被害者が「学校生活の安全と(加害者への)起訴と厳罰を求める署名」なるものを約85万筆集めたと報道されました。この背景にも「危険な精神病者から社会を守れ」という差別主義が徹底的に利用されてきた事実があります。
 まさに小泉超反動政権の「精神病者」差別・抹殺攻撃との命がけの闘いが、私たち「病者」に問われています。また、労働者人民の階級性を解体し、「精神病者」差別・抹殺攻撃に屈服させ、それをとおして侵略戦争、アジア人民虐殺の道に動員しようとする攻撃に、労働者人民の総力をあげた反撃が求められています。法案成立絶対阻止の闘いへの総決起を訴えます。

 「病者」は保安処分と断固闘ってきた

 歴史的な経過を振り返っても、日帝は1908年の現行刑法施行と同時に直ちに刑法改悪・保安処分攻撃に着手しました。そして、ナチスの刑法理論を全面的に導入し、戦前の改正刑法仮案(40年)で、天皇制イデオロギー=「大和民族の優秀性」を徹底的に鼓舞する中で「監護処分・矯正処分・労作処分・予防処分」からなる保安処分を打ち出し、保安処分制度の確立を狙いました。
 このうち「予防処分」は治安維持法−予防拘禁制度として具体化されました。「労働嫌気者」に対して労作処分が行われました。当初の案の検討段階では、性的犯罪常習者に対する「去勢」まで含まれていましたが、これは「不良なる子孫の出生防止」「民族の花園をあらす雑草」として40年の国民優生法として成立しました。
 いったん、戦争で中断しましたが、戦後も刑法改悪・保安処分新設が策動されてきました。この間の犯罪白書や61年の改正刑法準備草案などで一貫して日帝・支配階級の意図があけすけに述べられています。
 「精神病者や知能・人格の偏りをもった者の危険な犯罪傾向に対応して社会の安全を確保するために保安処分を……」(犯罪白書)
 「現実のわが国家社会において、保安処分問題に関してどういう種類のものが必要視されているかを考える時、さしあたり、その対象として何人(なんぴと)の念頭にも浮かびあがってくるのが、かの精神障害者による犯罪防止の処置である」(61年改正刑法準備草案)
 そして74年の法制審議会は、5月29日に「改正刑法草案」を答申しました。草案では保安処分の種類として「治療処分」「禁絶処分」が入れられましたが、その後「禁絶処分」は覚醒剤対策として別扱いとされました。
 いったん、上程は阻止されたが、新宿バス放火事件をテコに、81年、保安処分の国会上程という権力の恫喝に屈服した日弁連は、法務省との「話し合い路線」に応じ、屈服と保安処分の「対案」路線の道へと転向していきました。また労働運動・市民運動などの反対をみこして、刑法改悪・保安処分攻撃を保安処分単独立法(名称も治療処分執行法と変え)として上程すると言明しました。すなわち権力は、「精神障害者」差別との闘いの弱さと立ち遅れをついて、闘う労働者人民に゛「精神障害者」についての法案だから、自分たちの闘いではない″というところに引きずりこもうとしたのです。
 しかし、この分断攻撃を見ぬいた闘う「精神病者」と労働者人民の連帯した闘いで、この攻撃をも阻止したのです。日本帝国主義は安保・沖縄闘争、刑法改悪阻止闘争、赤堀闘争、鈴木君虐殺糾弾闘争の爆発、「精神病者」「障害者」の実力決起の前に、いったんは上程を断念しました。しかし追いつめられる中で、今度は「処遇困難者病棟」「重症措置患者専門病棟」「精神科救急」と次々に名称を変えつつ、精神医療の中に保安処分的内容をもちこもうとしてきました。
 だが、権力の狙いはすでに破たんしているのだ。私たちにとっては命がけの闘いであり、傷ついても血を流しても攻撃を打ち破る決意で闘い抜きます。

 差別・分断を許さず労働者は総決起を

 「心身喪失等医療観察法案」は今国会で審議されている有事3法案と同様、戦時を想定した治安弾圧立法であり、労働者人民を侵略戦争と差別・抹殺の担い手へと動員する戦争法案にほかなりません。
 戦前には精神病院の中で多くの人たちが餓死させられました。また「精神病者」を一挙に大量に殺してしまおうと、精神病院を「誤爆」と称して抹殺してしまう計画がありました。私たちはこのことを絶対に忘れません。
 「心身喪失等医療観察法案」では、来年に東西に2カ所の保安施設を建設し、さらに10年間に全国で30カ所の同様の施設をつくると言われています。そして、保護観察所に通院を義務づけ、「再犯のおそれ」があれば一生通院しなければならず、また通院中でも「再犯のおそれ」を認定されれば保安施設へ再収容されるというものです。
 この法律は、「再犯のおそれ」なる証明不可能な認定をもって保安施設に収容し、死ぬまで拘禁することができるという恐るべき法律です。保安施設で「治療」を行うというが、「再犯のおそれ」をとり除く治療など存在しません。
 これまで獄中で「精神病者」はどんな扱いを受けてきたか。寄せ場解放・「精神病者」解放を闘っていた鈴木国男氏は76年2月1日に殺人未遂で逮捕され、16日に大阪拘置所に移送されました。鈴木氏は保護房の中で眠れず、食べられず、ほとんど全裸に近い状態の中で視察孔から一瞥(いちべつ)しただけの精神科医・臼井にコントミンを打たれ、凍死という残虐な形で殺されました。
 今回の法案は、これまで問題になってきた劣悪な獄中医療の改善については一切ふれていません。その一方で、保安施設では「危険性除去」の名のもとに電気ショックやロボトミーなど精神外科手術をドンドン行うことが予想されます。こんなものは治療でもなんでもない。懲罰以外のなにものでもありません。断じて許すな! 保安施設には治療など存在しないのです。このことをしっかりと確認しなければなりません。
 この法案では、精神科医を精神保健審判員とし、裁判官との合議で審理するとしています。これは精神科医を社会防衛と治安弾圧の担い手にするものです。しかし、訴訟指揮は裁判官がすべてやるのです。その審判は非公開であり、遺族・被害者の傍聴しか認めない、まさに密室裁判と言うべきものです。しかも、事件の証拠の謄写・閲覧もできず、上訴もできないという暗黒の裁判なのです!
 こんな法案は絶対廃案あるのみです!
 国会では有事立法関連法案の審議が決戦局面に入っています。そして保安処分新法も7月が決戦です。私たちは命がけでこの有事立法、「心身喪失者等医療観察法」を廃案にするまで闘いぬきます。
 保安処分新法は、日帝が有事立法で外に向かっての侵略戦争に医療労働者を動員すると同時に、内に向かって保安処分=戦時治安弾圧攻撃という階級戦争に精神医療従事者を動員しようとするものです。20労組を先頭とした有事立法阻止の闘いとともに、保安処分新法に反対する精神医療労働者の闘いは重要です。「精神病者」と労働者人民との分断を許さない階級的団結の力で、絶対に廃案に追いこみましょう。
 (関西「障害者」解放委員会・関口孝雄)

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週刊『前進』(2060号8面2)

公判日程

☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志裁判7月19日(金)午前10時
8月28日(水)午前10時
☆福嶋同志裁判
7月2日(火)午後1時15分
7月17日(水)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
7月3日(水)午後1時30分
7月25日(木)午後1時30分
    いずれも東京地裁

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