ZENSHIN 2002/08/12(No2065 p10)

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週刊『前進』(2065号7面1)

戦後史上最大最高の政治闘争として今秋有事立法決戦の大爆発かちとれ
世界戦争情勢と対決し自国帝国主義打倒へ
 革共同書記長 天田三紀夫

 第1章 帝国主義世界戦争を内乱に転化する革共同の戦闘宣言

帝国主義世界戦争を内乱に転化する革共同の戦闘宣言 世界史は、世界大恐慌と世界戦争の過程にすでに突入している。われわれはこのことを断定した重さを根底的なところで受けとめなければならない。革命党としてこのことは「帝国主義戦争を内乱へ」の宣言である。今年前半期の国際的内乱の激しい爆発をさらに進め、革命的階級である労働者階級と被抑圧民族人民が団結して帝国主義戦争を遂行する帝国主義および残存スターリン主義を打倒する以外に、この第3次世界戦争過程から逃れることができないことを宣言したのである。
 革共同は、この情勢を迎えて、マルクス主義・レーニン主義の旗のもとに築きあげてきた戦略的総路線の任務をひたむきに実践し階級的団結をかちとり、被抑圧民族を殺戮(さつりく)・虐殺する帝国主義の侵略戦争を内乱に転化し、労働者階級を始めとする全世界人民の共産主義的解放をかちとるために総決起する。日本の労働者階級と革共同は、この革命的任務にこたえるものとして今こそ登場するのだ。
 これからの1年は、帝国主義が世界戦争へ向かって世界を破滅させるのか、労働者階級人民が社会主義・共産主義の道へ進む巨大な展望を示すことができるのかの1年である。このことは闘う者の共同の党的信念、赤い軸になっている。
 われわれは、この30年余カクマル反革命との死闘を貫徹し、ついに綱領的・組織的・運動的な力関係における決定的勝利をかちとった。われわれは日本階級闘争の高揚の開始を自らが主体的に切り開いたことを全身で実感している。革共同自身が高揚感にあふれ、「労働者の中へ」の実践の中で労働者の階級的魂に触れ、労働者階級自己解放闘争の確信に満ち満ちている。激動する情勢へ躍り込み、党的確信を党的発展へと進め、激戦・激闘を闘い、「社・共に代わる労働者党」として日本革命に直結する革命的大衆行動の爆発的発展へと断固として前進を開始しようではないか。

 第3次大戦への過程が現実に始まった

 米帝を先頭とする帝国主義は、過剰資本・過剰生産力のもとで基本矛盾を爆発させ、死の苦悶(くもん)にのたうちまわっている。帝国主義は、矛盾の一切を労働者階級と被抑圧民族人民に搾取と収奪、殺戮と飢餓、侵略と戦争として転嫁してきている。
 90年代の米帝は、91年イラク侵略戦争を遂行しつつ、作戦計画5027、アーミテージ報告、01年版QDRなどをもって、対北朝鮮・中国侵略戦争政策で北朝鮮・中国に対して重圧を加えてきた。また、戦後の米帝の世界支配は、イスラム・中東支配の侵略戦争をもって世界政治を行ってきた歴史である。この基軸帝国主義米帝に対して、昨年9月11日、被抑圧民族人民による「特殊的極限的形態」の最大級の闘いが敢行された。
 米帝ブッシュは、9・11によって米帝の存亡の危機を突きつけられ「テロ根絶」を叫び、昨年10月7日にアフガニスタンに対する全面的な侵略戦争へと突入した。さらにイラク攻撃と攻撃準備の終了を再三宣言し、イラク攻撃、北朝鮮・中国侵略戦争へ今秋にも全面的に突入しようとしている。米帝を基軸とする帝国主義は、二度と後戻りしない第3次世界大戦の過程へと突入した。
 昨年9・11をもって全情勢は一変し、世界史は新しい段階に入ったのである。
 日本帝国主義は、96年以来の日米共同宣言路線のもとで進めてきた新たな戦争国家への道を9・11以降全面的にエスカレートして、米帝と共同的=競合的に侵略戦争への道を進んでいる。
 しかもこの攻撃は、一大資本攻勢と一体の攻撃としてあった。95年日経連プロジェクト報告「新時代の『日本的経営』」は、国鉄分割・民営化型の資本攻勢を全産業に拡大する日帝ブルジョアジーの宣言であった。これに対して99年10月の連合政治方針は、「日米安保賛成」「自衛隊賛成」を労働組合の方針として採用したのである。まさに日本の労働者階級は、戦争国家化と一大資本攻勢の嵐の中で闘っているのである。
 日帝・小泉政権は、本年4月16日に安全保障会議と臨時閣議を行い、有事立法3法案(武力攻撃事態法案、安全保障会議設置法改正案、自衛隊法改正案)を通常国会へ提出した。小泉が、「備えあれば憂いなし」「聖域なき構造改革」として行ってきたことは、激化する帝国主義間争闘戦の中で、日本を戦争ができる国家へと変えることであった。今や、有事立法をもって日本帝国主義が具体的に北朝鮮・中国侵略戦争へ突入する法案が提出された。しかもこの攻撃に対して5・16連合見解は、「法案は不完全」とその完成を要求することで有事立法賛成の立場を表明したのである。
 米帝の世界戦争計画の開始と発展、日帝の危機と超反革命化、その一切が有事立法攻撃としてある。戦後体制否定のすさまじい大攻撃だ。それと一体となって大資本攻勢がかけられている。これが現実である。われわれは、有事立法粉砕決戦を戦後史のすべてをかけた大決戦として闘うことを宣言する。「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」の戦略的スローガンのもと、戦後最大の階級決戦に断固として総決起する時が来たのである。
 しかし、この有事立法攻撃を粉砕するために、自国帝国主義の戦争突入を祖国防衛主義を打ち破って阻止する路線を貫く運動としてつくり出すという点で、かつ広範な労働者人民の大半を組織するという点で、今年前半の闘いは、その端緒と可能性を大きく開示したとはいえ、現実にはまだまったく問題にならない水準でしかない。この落差をみすえ、われわれ自身の自己変革をとおして圧倒的な労働者人民の前衛としての階級的任務を断固として全うするために、今秋有事立法粉砕大決戦へ総決起しよう。この決戦は闘うパレスチナ・中東・ムスリム人民、朝鮮・中国・アジア人民との国際主義的連帯闘争そのものである。それは同時に、現在の国鉄決戦、郵政民営化攻撃やNTT解体大攻撃を先頭にした一大資本攻勢、司法改革を始めとする治安弾圧攻撃に反撃して唯一勝利する道でもある。
 02年前半の闘いは、その前進をとおして今秋臨時国会決戦への時間と空間を獲得した。党の再武装をかちとり、革命党の三大義務を貫徹し、革命的祖国敗北主義を貫き、北朝鮮・中国侵略戦争に突入する自国帝国主義の打倒へ総決起しよう。

 第2章 有事3法案の正体は日帝の北朝鮮・中国侵略戦争法だ

 (1)あらゆる口実で戦争発動

 武力攻撃事態法案・安全保障会議設置法改正案・自衛隊法改正案からなる有事3法案は、日帝による北朝鮮・中国侵略戦争法案である。内閣総理大臣が自ら戦争遂行のための独裁権(戦争大権)を一手に掌握し、自衛隊が直ちに侵略戦争に突入していくための法案である。その恐るべき内容をまず全面的に暴露する。
 第一に、武力攻撃事態法案の冒頭にある「法案提出の理由」とその第2条(定義)、第3条(武力攻撃事態への対処に関する基本理念)で言っていることはどういうことか。
 この点で重要なのは、5月16日に出された「武力攻撃事態に関する政府見解」である。そこでは次のように説明されている。
 (1)「武力攻撃事態」とは、「武力攻撃を加えてくる主体としては、国だけでなく、国に準ずる者もあり、攻撃の規模の大小、期間の長短や攻撃が行われる地域、攻撃の事態等も様々であり、武力攻撃の態様は一概に言えない」
 (2)「武力攻撃が予測されるに至った事態」とは、「ある国が我が国への攻撃のため、部隊の充足を高めるべく予備役の招集や軍の要員の禁足、非常呼集を行っているとみられることや、我が国を攻撃するためとみられる軍事施設の新たな構築を行っている」ような場合をさす。
 (3)「武力攻撃のおそれがある場合」とは、「ある国が我が国に対して武力攻撃を行うとの意図を明示し、攻撃のための多数の艦船あるいは航空機を集結させている」ような場合をさす。
 この中に日帝・小泉の狙いが露骨に明らかになっている。日本が攻撃されたから「武力攻撃事態」となるのではない。逆なのだ。「予備役の招集」「軍要員の禁足」「非常呼集」「多数の艦船や航空機の集結」がありさえすれば、武力攻撃の「予測」や「おそれ」があるとみなして戦争法を発動するということである。すなわち、「武力攻撃(その予測・おそれ)」への「対処」と称して、日帝軍隊が直ちに公然たる武力行使=戦争行為の発動体制に突入し、そして相手を壊滅的に粉砕するまでその戦争をやりぬくことが「基本理念」として宣言されている。
 しかもこの政府見解は、拡大解釈をいくらでもほしいままに無制限に行うことができる構造になっている。歴史が示しているように、帝国主義がありとあらゆる重圧を加えて被抑圧諸国(人民)を追いつめて、それへの抵抗と反撃の兆しをとらえて、侵略戦争に突入する口実にするということである。
 実際に、小泉らは、口を開けば「北朝鮮や中国が攻めてきたらどうするのか」と言うが、まずはっきりさせなければならないのは、米帝と日帝が北朝鮮・中国への重圧を圧倒的に強めていることである。これが一切の原因だ。これに対して北朝鮮・中国が必死で反撃体制をつくろうとする。これは、当然にも日帝に向かう。こうした動きを強制して、これが武力攻撃事態となるといっているのだ。
 ここで「おそれ」と「予測」という概念を導入したことが核心的問題である。これは、自衛隊法第77条の2の新設と一体のものである。防衛出動命令の発動が「予測される」という段階で直ちに、塹壕(ざんごう)や防塁などの防御的陣地や対空攻撃陣地の構築(これ自体が戦争活動そのものだ)を開始できるとしたのである。
 さらに、自衛隊法第92条の3「展開予定地域内における武器の使用」の新設である。自衛隊法では治安出動と防衛出動には武器使用規定がある。しかし今回、「おそれ」と「予測」の段階から「武器を使用することができる」と認めたのである。これは、陣地づくりに反対し抵抗したり、サボタージュするものを弾圧するためのものである。

 (2)首相が国家の独裁権握る

 第二は、武力攻撃事態法案第9条の「対処基本方針」(=戦争遂行計画)がまた決定的な構造になっていることだ。政府は、@武力攻撃事態の認定、A武力攻撃事態への対処に関する全般的な方針、B対処措置に関する重要事項を決定して、直ちに戦争へ突入することができる。国会承認との関係で言えば、事後承認でよいとされている。
 重要なことは、第9条第11項で「内閣総理大臣は、対処措置を実施するに当たり、対処基本方針に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督する」とあるように、戦争遂行に関する一切の権限が内閣総理大臣に一元的に集中され、首相独裁体制がしかれ、首相に戦争大権が付与される構造になっていることだ。
 第三に、第10条で新設される「武力攻撃事態対策本部」とは何かということである。「対策本部」は、戦争遂行上の全権限を一元的に集約した首相独裁下の戦争遂行・戦争指導の最高本部である。これは、実質的には日帝権力構造自体が首相独裁体制に移行するのと同じである。「対処措置」とは戦争行為の実施、戦争の遂行ということであり、「対策本部」は戦争指導の最高の権力機構というべきものである。
 第14条「対策本部長の権限」と第15条「内閣総理大臣の権限」は、すべての行政機関、地方公共団体、指定公共機関に対して「対処措置」を実施させるとしている。特に第15条2項は、強権発動ができるし、行うという規定である。
 この「対処措置」がいったん実施に移された場合、米軍・自衛隊の大規模な移動、膨大な軍需物資調達と輸送、医療活動への人的、物的動員などはすさまじいものになる。それらは、50年朝鮮戦争、ベトナム戦争、91年イラク侵略戦争、アフガニスタン侵略戦争をさらに上回る極限的なものになる。米軍の作戦計画5027(=朝鮮侵略戦争計画)を見れば明らかである。

 (3)憲法の停止と国家総動員

 第四は、第3章「武力攻撃事態への対処に関する法制の整備」(第21〜23条)と、第4章の第24条「その他の緊急事態対処のための措置」の問題である。
 第21条では、武力攻撃事態への対処においては「国際人道上」「安全の確保」「被害の復旧」などのため、「国民の協力が得られるよう必要な措置を講ずる」と言われている。しかし、問題は逆である。攻撃が前提であり、攻撃するから同時に反撃されるのである。その結果、負担・被害・危険を強制されると言っているのである。
 第22条では、「国民の生命、身体及び財産を保護するため」「武力攻撃が国民生活及び国民経済に影響を及ぼす」場合にはその影響が最小になるようにすると言っている。これは、侵略戦争においては、労働者人民が戦争に駆り立てられ協力させられ、爆弾やミサイル攻撃を受け、家が焼かれ、必要不可欠の施設が破壊されることを意味している。
 特に、「社会秩序の維持に関する措置」が項目に挙げられているのは重大である。これは反戦運動や労働者の戦争反対の闘い、ストライキ行動などの禁圧を前提にしている。治安維持法や戒厳令の復活へ直結する内容をはらんでいる。
 第22条二号は自衛隊の行動が「円滑かつ効果的に実施されるため」の措置が必要としている。これは自衛隊法の改正と一体となっている。ここに有事法制の中軸がある。すなわち、戦争のために船舶及び航空機がすべて優先的に動員される。鉄道輸送も軍事動員体制に組み込まれる。指定公共機関は国の命令に従う以外になくなる。地方公共団体は民間空港や港湾を自衛隊が使用することを強制され、拒否できなくさせられる。徹底的な軍事統制を受けるということである。
 第22条三号は、日米安保条約に伴う米軍の行動が「円滑かつ効果的に実施されるための措置」を挙げている。これは戦時における米軍の行動の自由、物資の補給や人・物の輸送の保障などの問題を内包しており、最大級の有事法制の対象である。
 第23条2項では、この「事態対処法制の整備は、その緊急性にかんがみ、この法律の施行の日から2年以内」に実施するとされている。政府与党は、有事3法案の継続審議を決定すると同時に、「国民保護法制」の準備を進め、今秋臨時国会に中間段階での整備状況を報告するとしている。
 さらに、第24条では、「武力攻撃事態以外の国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態への対処を迅速かつ的確に実施するために必要な施策を講ずるものとする」とされている。これは、「領域警備」問題や9・11型または中小のゲリラについても武力攻撃事態法の精神で対処することを確認しているのである。
 昨年12月の外国船への攻撃と撃沈を見れば明らかなように、すでに「武力攻撃事態」は周辺事態法と一体となって発動されている。これ自体が露骨な戦争挑発であり、戦争行為への踏み出しだ。
 第五に、この武力攻撃事態法案と一体で出されている安全保障会議設置法改正案は、安保会議を一般的な「安保方針」や「国防計画」を審議する場としてではなく、「武力攻撃事態」に即応した具体的な戦争方針、軍事方針を策定する場に変えるためのものである。この目的のために安保会議への諮問事項やその構成をも大きく変え、また「事態対処専門委員会」を設けて分析・調査を集中的に行い、戦争指導方針策定と意見具申の迅速化を図るとしている。

 (4)軍の命令に従わねば処罰

 第六は、武力攻撃事態に対応する自衛隊法の改正である。これは、有事=戦時に対応するための自衛隊の権限の大幅拡大法案であり、自衛隊が実際の戦争に出動することを前提にして各種の権限を自衛隊に与えている。
 特に重大なのは、自衛隊法第103条の実戦的拡充である。第103条の1項と2項は現在の自衛隊法にすでにある。しかし今度は武力攻撃事態を認定し、自衛隊の出動が命ぜられたことが前提になっている。
 1項は「病院、診療所その他政令で定める施設を管理し、土地、家屋若しくは物資を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対してその取り扱う物資の保管を命じ、又はこれらの物資を収用することができる」としている。
 2項では「施設の管理、土地等の使用若しくは物資の収用を行い、又は取扱物資の保管命令を発し、また、当該地域内にある医療、土木建築工事又は輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事又は輸送の業務と同種の業務で長官又は政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができる」としているのだ。
 要するに、防衛出動時には自衛隊に、必要とするどんな施設、土地、家屋をも管理し使用できる恐るべき権限が与えられるのだ。病院や診療所を管理するとはどういうことか。そこには土地・建物と医療器材だけでなく、医師、看護師、検査技師、薬剤師などの医療従事者がいる。その全員に軍の必要とする業務に「従事することを命ずることができる」として、強制支配すると言っているのである。
 今回の法案では、この第103条をさらに拡充し、同条14項では「取扱物資を保管させたときは、保管命令を命じた者に対し必要な報告を求め、またはその職員に当該物資を保管させてある場所に立ち入り、当該物資の保管の状況を検査させることができる」とした。要するに全過程を管理すると言っているのである。
 第七は、罰則規定の新設である。自衛隊法改正案の第124条、第125条、第126条は、立入検査及び物資の保管命令に違反した場合に重罰を科すと言っている。
 第124条。「立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、または同項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は、20万円以下の罰金に処する」
 第125条。「取扱物資の保管命令に違反して当該物資を隠匿し、毀棄(きき)し、または搬出した者は、6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処する」
 さらに第126条では、前2条の違反行為に対しては直接の行為者を罰するほか、行為者を使用する人や法人も処罰の対象となるとしているのだ。
 さらに、7月24日の衆院有事法制特別委員会で福田官房長官は、武力攻撃事態においては「思想、良心、信仰の自由が制約されることはありうる」と明言した。その例として、自衛隊法改正案が定める物資の保管命令に対し、命令を受けた人が思想や信仰を理由として自衛隊に協力しないケースをあげている。福田はさらに「作戦行動の中で、教会や神社、仏閣の撤収や除去は可能か」という質問に対しても、「収用されることはありうる」と答弁したのである。

 (5)国家機密法の制定許すな

 有事3法案とともに継続審議となった「個人情報保護法案」(=メディア規制法案、言論統制法案)も、3法案と完全に一体の攻撃だ。
 99年5月に周辺事態法、8月に組織犯罪対策3法の成立と住民基本台帳法の改悪が強行された。この住基法改悪と同時に3年以内に「個人情報保護法」を制定することが可決されていた。
 これは、本格的な国家機密保護法の第一歩である。日本帝国主義が北朝鮮・中国侵略戦争に実際に突入し、労働者人民を戦争に動員するために、国家と行政機関にかかわる情報を人民から隠し、情報操作と言論統制にのりだそうとするものだ。国家機密・軍事機密の保護こそが最大の目的である。言論弾圧やスパイ防止法に道を開く攻撃であることを明確にしなければならない。
 それに先立つ攻撃が、8月5日からの住基ネットの攻撃である。全労働者人民を11けたのコード番号をつけ、6情報(@氏名、A生年月日、B性別、C住所、D住民票コード、E政令で定める事項)で管理するということである。これは労働者人民に背番号をつけて完全に管理し、侵略戦争へ動員するものであり、さらには青年を国家的に一元的に掌握することによる徴兵制への準備である。
 住民基本台帳ネットワークと「個人情報保護法案」は、有事3法案と一体の、〈有事立法第4法案〉とも言うべき攻撃なのである。このすべてを徹底的に粉砕しつくすことが求められている。

 第3章 死の苦悶にあえぐ帝国主義に国際的内乱を叩きつけよ

 (1)9・11情勢と大恐慌の進展下で 世界戦争突入を決断した米帝

 日帝・小泉政権の有事立法攻撃への突進を突き動かしているものは、米帝の世界戦争戦略である。米帝は、ソ連スターリン主義崩壊後の現代世界において、けたはずれの強大な軍事力と米バブル経済の野放図な展開をテコに、他帝国主義の対米対抗的展開をも抑え込み、唯一の「超大国」として君臨してきた。だが昨年9・11反米ゲリラ戦争の炸裂(さくれつ)は、米帝を基軸とする戦後帝国主義の新植民地主義的世界支配と中東石油支配がすさまじい矛盾と末期的危機のただ中にある現実を、被抑圧民族人民のうっ積した怒りの激しい噴出をもって全世界の前に衝撃的に突き出した。
 これに対して米帝は、帝国主義の論理をむきだしにして、世界再支配・再分割のための凶暴きわまりない侵略戦争―世界戦争の道にまっしぐらに突き進んだ。9・11以前から準備していた米帝の新世界戦略を、2001年版QDRとして昨年9月末に発表した。それは、米帝が自らの帝国主義的国益を他の一切に優先する唯一の「正義」と宣言し、その実現のためにむきだしの軍事力の行使にどしどし訴えていくというものである。対中国の巨大な侵略戦争を基底にすえつつ、米帝に対立・対抗してくるあらゆる国家を敵とみなして粉砕し、必要なら世界大的な戦争=第3次世界大戦にも先制的に突入する、核戦争も辞さないという恐るべきものだ。
 米帝の昨年10・7アフガニスタン侵略戦争突入は、最後は第3次大戦へと行き着くこの新たな帝国主義戦争の引き金を引くものであった。それは、「テロ根絶」の名のもとに人民の無差別虐殺をとめどなく拡大していくものであり、戦争の一層の長期化、無期限化、大規模化に果てしなくのめり込むものとなりつつある。米帝ブッシュはアフガニスタン、パレスチナに続いてすでに今日イラク攻撃を準備し、さらにここ一両年のうちにも対北朝鮮・中国の侵略戦争に打って出る決意を固めている。
 その矛先は同時に潜在的には日帝に向けられており、日帝のアジアと世界市場における権益をたたきつぶして争闘戦に勝利するか、さもなくば日帝との戦争をも辞さないという激しさをもっているのだ。米経済のバブルがついに崩壊の局面を迎え、ドルの暴落が切迫する中で、米帝は、米帝自身が帝国主義として生き残るためにはもはや新たな世界戦争しかないと決断してきているということだ。
 こうした中で開催された02年主要国首脳会議(カナナスキス・サミット)は、共同声明の発表がなく「議長総括文書」に代えられた。各国の利害が対立し、争闘戦が極限的に激化し、各国帝国主義が一致することを最初から放棄していたのである。他方では9・11後最初のサミットとして「対テロ戦争」に終始した。ブッシュはこの場でパレスチナ情勢について、「アラファトが改革を実現するとの希望はすでに断念した」「軍事力を排除しない。すべての選択肢がある」とパレスチナへの軍事力投入を宣言した。
 また、ロシアを含めた完全G8化を「歴史的決定」として位置づけ、06年サミットをロシアで開催すること、ロシアの「大量破壊兵器処理」に総額200億jの援助を行うことを確認した。
 この意味するものは、米帝が中ロを分断して、ロシアを米帝体制のもとへ組み込んだこと、プーチンも自らの政治的延命のためにそれを選択したことである。米帝の北朝鮮・中国侵略戦争促進の政策、残存スターリン主義を解体し米帝のもとへ組み込む政策が一段と進んだということだ。
 この米帝の世界戦争政策、北朝鮮・中国侵略戦争政策を前にして、日帝は文字どおり帝国主義としての存亡がかかった地点に立たされている。6月25日の日米首脳会談(秘密会談)で日帝・小泉は、ブッシュに対して有事関連法案を是が非でも早期に成立させることを対米公約として確約した。さらにイラクと北朝鮮への攻撃について突っ込んだ討議を行い、日米軍事同盟の強化を互いに確認したのである。
 日帝はここに、米帝のアフガニスタン・パレスチナ・イラク・イラン・北朝鮮・中国への侵略戦争―世界戦争計画に共同的=競合的に参画し、とりわけ北朝鮮・中国侵略戦争を日本帝国主義自身の死活の利害のかかった戦争として、主体的に参戦することを決断した。そしてその戦争遂行のために有事立法を何がなんでも強行しようと、あらためて全力で身構え直してきているのだ。

 (2)29年型世界大恐慌の本格的な爆発の過程がついに始まった

 世界危機の世界戦争への転化をいま一つ決定的に加速しているのが、世界大恐慌情勢の急速な進展である。
 革共同は「1929年型世界大恐慌の本格的・全面的爆発は不可避である」と指摘してきたが、ついにそうした情勢に完全に突入しつつある。今や、大恐慌と世界戦争が実際に始まっているのだ。
 何よりもアメリカ経済が、粉飾会計の露呈を機に本格的な恐慌に突っ込み始めている。米資本は90年代後半、膨大な借金をしながら過大な設備投資を繰り返してきた。バブル崩壊後それは一転して過剰資本・過剰債務となったが、にもかかわらず粉飾会計で隠されてきた。売上高や利益を水増しし、損失や債務を子会社に飛ばして、経営内容を偽装してきたのだ。しかし粉飾がはげ落ちれば、利益の激減と債務の重圧で企業は次々倒産せざるをえない。エンロンやワールドコムの倒産は、その始まりだ。過剰資本・過剰債務による大企業の倒産続出とは、恐慌そのものである。
 粉飾会計は同時に、米企業と米金融市場に対する回復不能の不信を引き起こしている。「アメリカン・スタンダード」の実態は粉飾だったという大衝撃が世界を覆っている。アメリカ経済の基盤にこれほどの不信が突きつけられるのは、アメリカ資本主義史上初めてのことだ。米経済の没落の画期をなす歴史的事態であり、9・11と並ぶ米帝への大打撃とならざるをえない。こうした会計不信とドル不信からドル信認が急低下し、ドルが急落し始めている。米への資金流入構造も揺らいでいる。
 ついに米経済恐慌の全面化とドル暴落過程が始まろうとしている。米バブル経済は00年春から崩壊してきたが、昨年は金利の大幅引き下げなどの恐慌対策によって、なんとか恐慌激化が食い止められてきた。しかし、粉飾会計露呈を機に株価はバブル崩壊後の最安値を更新し、バブルが全面崩壊しつつある。今後、住宅価格の下落で消費バブルが吹っ飛ぶのは必至だ。米家計の巨額の過剰債務問題と金融機関の不良債権問題も噴出せざるをえない。米経済の過剰債務は日本に比べてもはるかに巨額であり、不良債権問題にいったん火がつけば、その破壊力は日本の比ではない。29年大恐慌を上回る世界大恐慌となって爆発せざるをえない。
 米経済の恐慌の本格化は、日本経済を破滅的状況に引きずりこむ。日本の恐慌はいよいよ「本番」に突入するのだ。この間、唯一のプラス要因だった対米輸出が大打撃を受ける。また、米株安に伴う日本の株安は、銀行の体力を限界点にまで低下させ、不良債権問題を再噴出させる。しかも国家財政は破綻(はたん)しており、もはや恐慌対策もままならない。今秋から来年にかけて、97〜98年をはるかに上回る深刻な金融危機が発生し、恐慌は全面的に深まるだろう。企業倒産と失業もこれまでと一変するほど激増する。小泉「構造改革」は最終的に大破産し、日帝の経済危機が真に爆発するのである。

 (3)闘う被抑圧民族人民と連帯し自国帝国主義打倒へ総決起を

 29年大恐慌を上回る世界大恐慌は、帝国主義間争闘戦を激烈化させ、世界戦争情勢を一挙に促進する。それは、革命的情勢の急接近、あるいは革命的情勢への端緒的突入をますます加速する。
 帝国主義は、爛熟(らんじゅく)期から没落期に突入し、今や再々度の帝国主義世界戦争過程に突入した。そして死の苦悶にのたうち回っている。この帝国主義を、全世界のプロレタリアートと被抑圧民族の団結した力で最終的に打倒するために、総力をあげて闘うべき時代が訪れた。
 1917年ロシア革命でいったん打倒された帝国主義は、しかし世界革命を裏切るスターリン主義に助けられて延命した。しかも帝国主義の最後の言葉が反動と戦争、排外主義と国益主義であるように、21世紀の今日においてますます全世界の労働者人民を徹底的に抑圧し、賃金奴隷としてしばりつけ、他方で諸民族人民を隷属・収奪し続けている。
 帝国主義は、世界を抑圧民族と被抑圧民族に分断して帝国主義支配の体制を構築してきた。この現実の革命的突破が今こそ求められている。それは何よりも、全世界の労働者階級が、帝国主義の民族抑圧に苦しむ諸民族人民の民族的解放・民族自決を求める闘いを断固として支持し連帯すると同時に、帝国主義を打倒して共産主義的解放を実現するために、抑圧民族の労働者が帝国主義的排外主義・大国主義に歴史的・社会的・文化的に汚染されていることを自覚して、これと目的意識的に闘うこととして突きつけられている。
 21世紀のプロレタリア世界革命達成の絶対不可欠性は、昨年9・11において、きわめて鋭く激しい形をとって示された。すなわち帝国主義は、自国の労働者人民を階級的に抑圧しつつ、同時に植民地・被抑圧民族人民を徹底してじゅうりんしてその支配を打ち立てている。あえて言えば、二重の支配をもって自国の労働者人民と諸民族の支配を貫いているのである。すなわち、労働者人民の支配をテコに植民地を支配し、植民地・被抑圧民族の支配をテコに帝国主義国プロレタリアート人民を支配している。
 したがって、帝国主義国の労働者人民の自己解放闘争は、初めから自国帝国主義に対する民族解放闘争と不可分一体のものとしてある。これは、帝国主義打倒後の新しい社会−国際関係・国家関係をつくりだす上でもきわめて重大なことである。

 レーニンの「三つの義務」の全面貫徹を

 われわれは今こそ、帝国主義戦争下の革命的情勢の急接近のもとでレーニンが提起した革命党の「三つの義務」を、全面的に実践しぬくために闘わなければならない。すなわち、@「革命的情勢が存在することを大衆の前に明らかにし、その広さと深さを説明し、プロレタリアートの革命的自覚と革命的決意を呼び覚まし」、A「プロレタリアートを助けて革命的行動に移らせ」、B「この方向で活動するために革命的情勢に応じた組織を作り出す」という闘いを、今日の階級情勢の中に全面的に継承し、よみがえらせ、その最大限の物質化を全力で闘いとっていくことである。
 戦争と大失業の攻撃が激しく襲いかかっている中で、帝国主義と闘う労働者階級人民は、今や心の底から、闘う指導部、闘う労働者党、前衛党を求めている。60年安保闘争、70年安保・沖縄決戦で果たせなかったこと、「社・共に代わる闘う労働者党」をつくりあげ、労働者階級の自己解放闘争を実現すること、スターリン主義をのりこえ打倒して、真の共産主義を実現する闘いをやりぬくことを求めている。それは、戦争と他民族抑圧に対する態度をめぐって、労働者階級の大流動の情勢、労働組合の大再編の動きとして、すでに巨大な階級的うねりをもって開始されている。
 この階級的大流動情勢の真っただ中で、レーニンの「三つの義務」を圧倒的に貫いて闘おう。
有事立法粉砕・戦争阻止へ革命的大衆行動の大爆発を

 第4章 有事立法粉砕・戦争阻止へ革命的大衆行動の大爆発を

 (1)今秋臨時国会闘争を有事立法 粉砕の正念場として決起せよ

 今秋決戦の基軸をなすものは、有事立法粉砕決戦を戦後史上最大の政治決戦として大爆発させ、その絶対勝利をかちとることである。
 有事立法をめぐる日帝動向は、一挙に激化している。それは、郵政関連4法案の大資本攻勢、医療制度改悪の社会保障制度解体攻撃を強行成立させた日帝が、秋の臨時国会に向かって有事立法突撃体制をとったことである。
 7月29日の与党3党合意は、「有事関連3法案は衆院で継続審議とし、閉会中に国民保護法制などの作業を進め、臨時国会において必ず成立を期す」と合意文書を取り交わした。
 それらのうち、「国民保護法制」とは、次の項目の具体化の総称である。@武力攻撃事態法の第22条(事態対処法制の整備)の一号にある「国民の生命、身体及び財産の保護」、A同じく一号の(ハ)の「社会秩序の維持に関する措置」、B同条二号の自衛隊の行動の円滑化、すなわち「武力攻撃事態を終結させるための措置」、C同条三号の「(米軍が)日米安保条約に従って武力攻撃を排除するための行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置」、D第24条の「その他の緊急事態対処のための措置」の具体化をめざすものである。
 それは、有事立法3法案の原案をあくまでも維持し、貫くための整備にほかならず、有事立法3法案強行制定の策動がエスカレートしていることをとらえなければならない。また、住民基本台帳ネットワークシステム稼働と一体となった個人情報保護法案の早期成立の策動が強まっている。
 今秋臨時国会をめぐる激突が、闘う人民と日帝の双方にとってもはや一歩も退くことのできない、死活をかけた大激突となることは不可避である。
 民主党、連合、スターリン主義=日本共産党の正体は有事立法賛成である。民主党は、有事立法は必要だが現在の法案は「不完全」だとして反対しているにすぎない。そして「国民保護法制」(実は労働者人民の自由と権利をすべて奪い、国家総動員体制を築き上げるものだ)の早期制定を与党以上に強力に要求している。さらに多国籍軍への参加をも提唱し、自衛隊の海外出兵と侵略戦争参戦を支持し、むしろどんどんやれと言い出している。
 これを支えているのが「有事関連3法案に対する連合の見解」だ。これは、日帝・小泉政権の立場と一体化した、連合による有事立法賛成声明である。戦後体制の中で労働運動が変質し、帝国主義の側に全面的に移行し翼賛し、ついに侵略戦争の先兵に公然と転落したことの宣言である。これと真っ向から闘うことなしには、労働者は地獄の底にたたき落とされる。
 日本共産党は、「アメリカの戦争にまきこまれる有事立法には反対」と言う一方で、「有事の際の自衛隊の活用には賛成」論を公然と打ち出している。「ほんとうに日本が危機にさらされていれば、何はさておいても協力しようという気持ちになるのが、国民の普通の感覚ではないだろうか」(『前衛』6月号松竹論文)と、とんでもない祖国防衛主義をふりまいている。これは、武力攻撃事態での攻撃には実際にはもろ手を上げて賛成する立場でしかない。
 民主党・連合やスターリン主義=日本共産党は、世界戦争情勢の中で、帝国主義戦争に反対する立場をかなぐり捨てて敵階級の側に次々と移行し、労働者階級に一切の犠牲を押し付ける攻撃の手先となり、闘う労働者人民への敵対を深めている。反革命カクマル中央派・カクマルJR総連派はその最先兵として、日帝権力や資本と一体となって有事立法反対闘争へのファシスト的敵対を強めている。
 だが、他方では、日本階級闘争を一変させる巨大な地殻変動的な動きがすでに決定的に開始されている。何よりも、連合はなんら一枚岩ではない。大資本攻勢とまったく闘えず、連合幹部の恥知らずな屈服が繰り返される中で、組織の危機と空洞化は急速に深まっている。連合見解そのものにおいても、反対は全日本海員組合だけでなく私鉄、NHK、全国一般などなどに広がり、かろうじて全体をまとめる役割を果たした自治労も内部は完全に分裂しているありさまだ。
 6・16闘争の爆発に示された陸・海・空・港湾労組20団体の闘いの発展は、必ずやこの連合を足下から大きく揺るがすだろう。さらに、全労連の中でも重大な分岐と大流動化が明白に始まり、深まっている。新たな帝国主義戦争への怒りと危機感が労働者階級人民をその最深部から突き動かし、あらゆる制動を突き破って下からの巨大な決起が開始される情勢がじりじりと成熟してきている。
 この情勢を促進し、今こそ巨万人民の有事立法反対の大闘争を本気でつくりだすことだ。そのためのわが革共同自身の自己変革的な奮闘につぐ奮闘が、待ったなしに求められている。
 すでに発表された9月22日の反戦共同行動委員会の全国総結集闘争を今から全力で準備しよう。法案批判・条文逐条批判の活動者会議や学習会をガンガンやりぬこう。闘う人民によって組織されている有事立法反対の百万人署名運動の大前進をともにかちとり、地域での闘う統一戦線、大衆運動をさらに大きく発展させ、広範な労働者人民を組織する巨大な運動としてつくりだそう。20労組陣形の戦闘的発展をしっかりと支え、労働組合の反戦闘争をさらに拡大しよう。
 反戦共同行動委に結集する戦闘的労働者・学生の総力決起を先頭に、あらゆる形の大衆行動を爆発させ、巨大な大衆的統一戦線を発展させ、文字どおり巨万人民の有事立法実力阻止の闘いを実現するのだ。その最初の決戦としてこの8月、イラク・北朝鮮侵略戦争の動く出撃基地、原子力空母エイブラハム・リンカーンの佐世保寄港阻止に立ち上がろう。

 沖縄人民との連帯を

 有事立法粉砕の決戦は同時に、沖縄と三里塚をめぐる大決戦である。日帝は7月29日、普天間代替施設協議会を開催し、名護新基地の「リーフ埋め立て・2500b滑走路建設」の基本計画決定を強行した。これは、米国防総省がこのほど発表した対中軍事情勢報告で、「中国の核ミサイルが沖縄の米軍基地を標的にしている」と初めて記述し、沖縄を対中国・北朝鮮の侵略戦争・核戦争の戦場にすると公式に言明したことと一体である。日米帝は今や一切を居直り、沖縄基地の強化に公然と動き出している。
 7月23日に起こった名護市数久田での米軍重機関銃弾被弾事件と米軍の居直りは、昨年10・7以降の米軍の戦時体制突入によって不可避になったのだ。第2次大戦末期の沖縄戦や戦後の米軍政下での軍事監獄的支配をまざまざとよみがえらせるような光景が、いま再び沖縄人民の前に日々展開されようとしているのだ。
 有事立法の強行、「国民保護法制」の制定策動は、こうした沖縄の歴史と現実を21世紀にも繰り返し沖縄人民に差別的に強制し続けるものである。基地と軍隊の前に人民ははいつくばれというのだ。95年以来の沖縄闘争はこれを真っ向から拒否し、米軍基地全面撤去を求める根底的な闘いとして爆発した。そして名護新基地建設絶対阻止の闘いとして今日まで不屈に闘われ、日米帝を追いつめてきたのである。
 正念場を迎えた沖縄闘争に勝利しよう。9月沖縄地方選挙闘争で闘う議員の当選をかちとるために総決起し、名護新基地建設阻止の大決戦に突き進もう。

 三里塚闘争の発展へ

 三里塚闘争は本年4月の暫定滑走路開港攻撃と対決してさらなる前進を続けている。飛行機を飛ばせば三里塚闘争は解体できるというのが、暫定開港の狙いだった。それは66年閣議決定、71年代執行、78年一期開港にならぶ大攻撃である。この攻撃を打ち返し、反対同盟と三里塚闘争は日帝の有事立法攻撃と全面的に対決する闘いとして新たな前進を開始した。東峰地区では東峰神社の立木伐採攻撃に対する裁判闘争が始まった。
 これに対して公団新総裁の黒野は、暫定滑走路をさらに北側に300b延長するという反革命的な挑戦を打ち出した。
 だが暫定滑走路を北側に延長しても、ジャンボ機は飛べない。連絡誘導路が狭くて通過できないからだ。にもかかわらず北側延長攻撃を打ち出したことは、農民切り崩しのための脅しである。三里塚闘争を解体して南側未買収地を取得し、3300b軍用滑走路に仕上げることこそが狙いである。
 三里塚闘争は、この北側延長攻撃との新たな決戦に突入した。革共同は反対同盟との血盟にかけて、今秋の10・13闘争を始めとする三里塚闘争を有事立法阻止闘争の重要な一環として闘い抜く。さらに入会権闘争50年の北富士闘争、軍事空港反対の正義性と勝利性がますます明らかな関西新空港闘争の不屈の発展をかちとろう。
 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争の成功へ向かって驀進(ばくしん)しよう。有事立法攻撃下での今年の「8・15」を全国でさまざまに闘いとろう。9・1、「防災訓練」に名を借りた自衛隊の治安出動演習粉砕、住民の総動員訓練粉砕の闘いに立ち上がろう。

 重大化する反軍闘争

 反軍闘争の前進をかちとることは、この中でますます重要になっている。3月発足の「陸上自衛隊特殊部隊」(660人・佐世保)で3陸曹が相次いで自殺している。自衛隊の自殺者が5年間で331人という現実は、侵略戦争突入下で強まる隊内での命令と服従、労働者階級を弾圧し他民族を殺戮するための実戦訓練の矛盾の中でこそ起こっているのだ。反戦兵士の決起を支え、自衛隊内の細胞建設をかちとるために全党は総力をあげて闘おう。

 (2)国鉄決戦の一大激突に勝利し11月労働者集会へ進撃しよう

 国鉄決戦は、有事立法決戦とともに戦後最大の階級決戦にせりあがっている。革共同は、5月テーゼの革命的貫徹をかけて、この一大決戦に突入する。
 そもそも国鉄闘争は、87年分割・民営化攻撃という日本帝国主義の体制的死重のかかった反革命攻撃と真っ向から対決し、1047人の労働運動史上空前の解雇撤回闘争として開始された。同時にそれは、JR総連=カクマルという現代史に登場した最凶悪のファシスト反革命と対決し、動労千葉を先頭として階級的労働運動の砦(とりで)を血みどろになって守り抜く死闘として展開された。
 まさに20世紀から21世紀にかけて15年にわたる長期不屈な階級決戦として、今なお壮絶に闘い抜かれているのである。
 日帝は、この国鉄決戦の発展に根底から恐怖し、分割・民営化でもなしとげられなかった国労・動労千葉解体と1047人闘争破壊をやりぬくために、98年5・28反動判決から4党合意へと絶望的にのめりこんでいる。さらに日経連路線の全面的発動として、第2の分割・民営化攻撃ともいうべき大リストラ攻撃を推し進めている。
 この新たな国鉄闘争解体攻撃は、闘争団を先頭とする労働者の総反撃をひきおこした。それは分割・民営化=総評解体によって登場した連合=帝国主義労働運動の根幹を揺るがし、6千万労働者階級全体を巻き込む帝国主義労働運動と階級的労働運動の革命的分岐をひきおこし、さらにはスターリン主義労働運動とファシスト労働運動を瓦解(がかい)と没落の淵(ふち)に追い込んでいる。
 今日、9・11情勢下における世界史の大転換と有事立法の一大攻撃のもとで、国鉄決戦をめぐる攻防はさらに激烈な大転換を迎えている。4・26の3与党声明は、日帝の国鉄闘争解体攻撃の極限的激化であり、権力が労働組合に対してあからさまな支配介入を行い、労働運動・労働組合の絶滅を狙う一大反革命攻撃である。4党合意をはるかに超え、有事立法と一体の一大資本攻勢そのものである。
 5・27国労臨大はこれに全面降伏し、これを丸ごと受諾した。それにわずかに先立って連合が有事立法賛成の「5・16見解」をうちだした。国鉄決戦をめぐる戦後労働運動史上最大ともいうべき反動攻撃に対応して、この5・16と5・27という二つにして一つの労働組合による戦後労働運動史上最悪の大裏切りが強行された。しかし、ともに組織的な鋭い対立・分岐・分裂をはらんで進行しているのである。ついに国鉄決戦は、いくたびかの試練と正念場を経てここに19全総以来の最大にして最高の決戦局面に突入したのである。
 この国鉄決戦の階級的大激突は今日、闘争団除名処分に決定的に凝縮されている。6・6自民党・甘利記者会見は、3与党声明の超反動性をむきだしにし、闘争団の除名処分を国家権力の国家意志として国労本部に〈命令〉している。労働者の首を切った権力が、今度は労働組合に当事者の除名=「首切り」を命令しているのだ。こんな言動が許されるか。要するに有事体制では、労働組合に何をしても許されるということなのだ。
 だがこのことは、それほどまでして国労を解体しなければならないという甘利=権力の、国労の存在がもたらす労働者階級の決起への根底的恐怖と、有事体制に絶望的に突進する日帝権力の凶暴性と危機性を示している。「権力の言いなりになって闘争団の除名処分を許してよいのか」と確信をもって訴え、戦闘的階級的に闘えば、国労2万はもとより、大失業攻撃に苦闘する幾百万の労働者の決起は可能であり、1047人闘争の勝利は絶対に可能である。
 この闘争団除名処分をめぐって、国労の革命的分岐は激烈に進行していく。本部、チャレンジ、反動革同、酒田一派の絶望的な反動化と破綻は不可避である。
 自民党・甘利はさらに、賛成派闘争団家族の面前で、「何千万の解決金、全員の雇用など幻想を言ってはならない。ゼロかプラスアルファ(ゼロよりはいい)かの選択」と決定的言辞を吐いている。このような百パーセントのゼロ回答のもとでの闘争団除名処分だけの次期定期大会開催には、絶対的な矛盾がある。ここからチャレンジや東京地本・酒田らは、次期大会ではまさに゛毒をくらわば皿まで″と、「1047名解決は本部白紙委任」し、闘争団除名を強行することで国鉄闘争終結宣言を行い、さらに国労の全国単一体を解体するという事実上の国労解散−売り渡し、連合合流への絶望的突進を策動しているのである。
 反動革同=日共スターリン主義は、こうした国労の生死を分かつ死闘の前に、最後にして最大の裏切りと反革命的背信を準備しているのだ。
 今こそ、@闘争団除名処分絶対阻止、A闘う国労の旗を守れ、Bチャレンジ打倒、反動革同打倒、国労の階級的再生かちとれ、の旗を掲げて、代議員選挙勝利から定期大会へ驀進しよう。この国鉄決戦における壮絶な決戦的死闘の中から、階級的労働運動再生への力強い胎動を押し開こう。
 教育労働者の闘いも待ったなしである。日教組は、95年に21世紀ビジョン委員会の路線を採択して、文部省(現文科省)を日教組のパートナーとする右翼路線への転換を行った。今、日教組中央は、職場闘争・労働運動を一掃し、日教組運動を政府や資本と一体となった「教育改革運動」、侵略翼賛運動へ変質させようとしている。新ガイドライン闘争と「日の丸・君が代」法制化攻撃に真に対決できず連合路線を強めている。有事立法・教育基本法改悪攻撃を前にして、日教組が戦争翼賛運動の先頭に立つという恐るべき状況である。
 しかし、「つくる会教科書」をめぐる攻防と8・6ヒロシマの闘い、処分攻撃粉砕を先頭にした教育労働者の闘いは、この事態を絶対許さず日教組の戦闘的再生をかちとる闘いを開始しているのだ。
 自治労は、自治労指導部のあまりの腐敗と国家権力・警察権力による自治労指導部の逮捕という、二重の苦闘の中で闘っている。公務員制度改悪大綱との闘いは、有事立法攻撃と日経連労問研報告路線の集大成的攻撃との決戦である。労働三権を破壊し、自治体労働者を侵略戦争の先兵に動員する攻撃である。他方では、自治体労働者の闘いは連合路線を下から突き崩す闘いの最大の部隊であり、中軸である。自治労の闘いは新潮流運動の中心である。断固総決起あるのみだ。
 郵政関連4法案の攻撃は、最大の資本攻勢である。郵政公社設立=民営化をとおして、国鉄労働運動解体攻撃をさらに上回るNTT型を推進しようとする攻撃である。これに完全屈服した連合全逓中央を打倒する闘いは、革共同の労働運動での歴史的蓄積を最も有する全逓労働者が先頭に立たなければならない。
 民間基幹産業(電機、鉄鋼、自動車、造船、化学)職場での営々たる闘いと医療労働者の闘い、民間中小の闘いは、これからが本格的な正念場である。マルクス主義で武装し、革共同の労働者細胞をつくることが勝利の道だ。帝国主義を打倒する労働運動の本格的発展をかちとろう。
 この全情勢と対決し、動労千葉は本年前半、3・30闘争を頂点に72時間のストライキ闘争を闘った。闘うことで階級的労働組合としての団結を強化し、闘うことで労働運動の党派的現実、JR総連との対決を鮮明にして全職場の拠点化をかちとる闘いを実現した。この中で、3労組共闘が労働者の団結を固め行動する春闘を闘いとった。
 動労千葉と3労組共闘の闘いは、現実の総資本の攻撃と闘い、労働運動の現実の壁を突破する、思想的・実践的な代表的な労働組合の闘いである。理論と実践上の経験をもって「労働組合運動の防衛と再生」をかちとり、全労働組合の戦闘的統一を闘いとる革命派の拠点である。この地平の上で不屈に闘う1047人闘争、闘争団と連帯する国鉄労働運動の攻防が発展し、その質で全産別・全拠点の闘いが開始されている。
 その一切を、有事立法決戦・国鉄決戦の勝利と11月労働者集会の大成功へと集約し、労働者階級の巨大な反戦決起と階級的労働運動の大前進をかちとろう。

 (3)03年統一地方選挙勝利へ

 2002年前半期の決戦は、有事立法阻止決戦の真っただ中で、その一環として、革命的議会主義の断固たる推進を闘いとった。泉佐野市議選での国賀祥司氏の5期当選の偉大な勝利である。昨年都議選の敗北をのりこえる闘いが明白な形で始まった。この力を、来年の統一地方選挙の勝利へ向けて断固発展させていくことが最大の闘いである。現代革命における革命的議会主義の意義をさらに深化させなければならない。
 03年統一地方選挙闘争―05年都議選闘争は、大恐慌と戦争の時代、戦争と革命の時代の選挙闘争として、新たな画然とした飛躍が問われている。
 何よりも、選挙闘争を、各選挙区での侵略戦争反対の反戦政治闘争、大衆闘争の地域的爆発をかけて闘うことである。有事立法・改憲攻撃粉砕のための地域での大衆的活動の新たな担い手をどれだけつくりだすことができるかに、選挙闘争の勝敗はかかっている。
 また、この闘いは国鉄闘争支援陣形の強化を軸とした階級的労働運動の構築と一体である。革命的議員の役割は、身体をはって戦争絶対反対を闘うことにあり、帝国主義の危機と凶暴化に抗して労働者人民の階級的団結と利害を守りぬくために、闘う人民の最先頭に立って奮闘しぬくことにある。
 さらに、介護保険制度撤廃と医療改悪粉砕の闘いを総力あげて闘うことである。日帝の社会保障制度切り捨て・解体攻撃と正面から闘えるのはわれわれのみだ。この闘いを日常活動の中にしっかりと位置づけて闘おう。
 03年4月杉並、相模原、高槻と9月東大阪選挙を、必勝を期して闘おう。

 (4)戦闘的学生運動の復権を

 学生戦線は02年前半、有事立法粉砕決戦の先頭に立って闘い、その戦闘的実力闘争の復権を牽引(けんいん)してきた。5月、6月、7月と、対国会実力闘争の爆発に攻めのぼる闘いを端緒的に実現し、かつその中で全国学生運動の革命的統一の巨大な展望を切り開いてきた。
 学生戦線が今日の情勢において果たすべき任務は、「連帯し侵略を内乱へ」の内容と路線で革命的反戦闘争を組織し、労働者人民の先頭で血みどろになって闘う姿を見せ、情勢を決定的な地点で揺るがし打開していくことだ。今日の巨大な情勢をつかんで学生運動の大爆発をこじ開けるために、全国拠点大学での大衆闘争のぶち抜きとともに、「平地に乱を起こす」精神で新しい大学に進攻していこう。それは、カクマルや日共との党派闘争の新たな段階への踏み込みである。大学キャンパスにおいて権力や大学当局、カクマルや日共とやりあう中から本物の大衆決起を引き出し、党派選択と革命党への結集を大胆に促進していくのだ。
 今秋有事立法決戦の中で、学生運動の巨大な爆発をさらに切り開こう。そして高校生運動の新たな展開に挑戦しよう。

 (5)排外主義・差別主義と対決し階級的共同闘争の強化発展を

 われわれは9・11情勢下で、日帝の有事立法攻撃=北朝鮮・中国侵略戦争攻撃を、闘う朝鮮・中国・アジア人民、闘うイスラム諸国人民と連帯してともに粉砕するために、必死で闘い抜いてきた。
 今日、米欧帝国主義は外国人(被抑圧民族人民だ)への排除攻撃を激しく強めているが、日帝による在日・滞日外国人への帝国主義的民族抑圧攻撃、入管攻撃は、それよりもはるかにすさまじいものになっている。それは、ワールドカップを口実にして激しく襲いかかった。日帝はとりわけ在日朝鮮・中国人民を内乱勢力と考え、常に攻撃しているのだ。
 これに対して在日朝鮮・中国人民を先頭に果敢な闘いが展開されている。4―5月入管闘争で切り開いた地平をひきつぎ、在日・滞日の被抑圧民族人民(アジア人民・ムスリム人民)の闘いを支援・防衛・連帯する闘いをさらに圧倒的に強めなくてはならない。激化する戦時型の入管攻撃と闘い、帝国主義的民族排外主義の大攻撃を打ち破ろう。
 また、不屈のストライキ闘争を貫く韓国労働者階級の闘い−―本質的にも実際的にも日米帝による朝鮮侵略戦争攻撃との闘いだ―−とその息吹を全身で受けとめ、これに連帯する日本の労働者階級の決起をさらに本格的につくりだす先頭に立つことである。
 日帝による部落解放闘争つぶしの攻撃は、02年に入って、1・24東京高裁・高橋裁判長による狭山異議審棄却決定に始まり、3月同和対策特別措置法期限切れと同和対策事業全廃攻撃、糾弾闘争つぶしの「人権擁護法案」国会提出として一挙に激化した。部落解放同盟全国連の第11回大会は、この情勢と対決し、全国連が今こそ全国300万被差別部落民大衆のすべてに責任をとり、その生活と権利と生命を守り、新たな団結をつくりだす唯一の解放運動の組織への飛躍をかけて闘うことを宣言した。
 大会直後から開始された全国連の5万人組織建設・支部建設の闘いは、今年前半大きな前進をとげた。さらに、狭山闘争の高裁・最高裁弾劾行動と全国統一行動への決起、住宅家賃値上げに反対する同住連と全国連の闘い、介護保険闘争、清掃現場の民間委託に反対する闘い、地域や大学での部落差別攻撃に対して村ごと、大学ごとの団結をつくりだす闘いなどをとおして、5万人組織建設の展望を切り開いてきた。その一切を、今秋10・27狭山中央闘争の大爆発へと集中して闘おう。狭山10万人決起をつくりだそう。
 沖縄の労働者人民は、日帝の体制的存亡をかけた大資本攻勢と沖縄圧殺攻撃に対し、基地労働者を基軸にギリギリの地点からの決起と階級的総反撃を不可避とさせている。在本土沖縄出身者が置かれている現実と闘いはこれと一体である。有事立法攻撃下で迎えた「復帰30周年」の今日、在本土沖縄出身者は、根底的な地点から「生活と権利の防衛」「基地撤去・戦争絶対反対」の闘いを求めている。全国沖縄青年委員会の闘いにこたえ、本土における沖縄闘争の爆発をかちとり、在本土沖縄出身者の生活と権利の防衛のための闘いを本土−沖縄人民の階級的共同闘争として発展させていこう。
 「障害者」解放闘争においては、有事立法攻撃と一体となった攻撃が「心神喪失等医療観察法案」としてかけられている。「再犯のおそれ」を要件に「病者」(及び見なした者)を保安施設に隔離拘禁し、強制・矯正の人体実験にたたき込み、強制通院を始め一生監視下に置くという保安処分新設立法だ。今秋臨時国会での廃案を絶対に闘いとろう。
 8・6―8・9闘争の爆発の中で被爆者解放闘争の新たな前進をかちとろう。
 世界戦争と戦争国家化攻撃のもとで、新たな女性差別・抑圧・分断・動員の攻撃が始まっている。とりわけ日帝が今日推し進めている男女共同参画法攻撃は、終身雇用制解体・年金制度解体を最大の狙いとするものであり、全労働者の不安定雇用化を促進し、女性労働者を一層の差別的低賃金と無権利化にたたき込むものだ。女性差別をテコにして階級を分断し、搾取と抑圧を強化し、女性大衆を戦争へ総動員する攻撃を断じて許してはならない。婦人民主クラブ全国協を始めとする闘う女性の決起に連帯し、プロレタリア女性(女性労働者・労働者家族・女性大衆)の巨大な反戦決起をつくりだして闘おう。

 (6)獄中同志奪還の大運動を

 獄中同志の奪還は待ったなしである。われわれの分身が肉体を破壊され、政治生活を奪われ、社会生活を剥奪されている現実をこれ以上続けさせることはできない。獄中同志は、命をかけて革命党の組織と闘いを守り、戦闘的労働者人民の闘いを守っている。日帝国家権力の弾圧を一身に受けて、党のすべてを代表して闘っている。獄中同志の存在と闘いをわが身に引き寄せる時、われわれの胸は張り裂けんばかりだ。
 われわれは昨年12月に、獄中同志奪還を党の正面課題として闘うことを自己批判を込めて宣言した。獄中への激励と裁判闘争を強化し、何よりも爆取デッチあげと闘う4同志奪還のための10万人保釈署名運動と1億円基金運動、星野同志を奪還するための全国各地での「救う会」づくりを開始した。闘いは始まった。しかし、すべてはこれからである。全党のさらなる総決起をかちとろう。
 司法改革攻撃は、有事立法と一体の攻撃である。労働者人民の戦後的諸権利と基本的人権を奪い、圧殺し、労働組合の団結を破壊し、日弁連を解体して、「裁判の迅速化」の名のもとで国家権力が政治弾圧・デッチあげ弾圧をほしいままにする体制をつくりあげるものだ。闘う弁護士とともに絶対粉砕しよう。結社禁止法(国際組織犯罪条約)など新たな治安立法攻撃との闘いを強めよう。

 (7)カクマルを完全打倒せよ

 ファシスト・カクマルは、4〜6月の有事立法粉砕闘争の新たな高揚に大打撃を受けている。追いつめられたカクマルは、またぞろ「北朝鮮・中国侵略戦争はない」(反革命通信『解放』7・8付)と決定的な言辞を吐き、有事立法攻撃の最悪の先兵として登場した。
 労働者人民の闘いの前進の中で、反革命カクマルの大分裂とその危機は今や一層深まっている。カクマルJR総連派は、資本の忠実な下僕としてますます自己を純化し、侵略戦争翼賛勢力の道を転落している。他方でJR総連を失ったカクマル中央派は、現代世界の激動と国際階級闘争の発展から吹き飛ばされ、綱領的・路線的・組織的危機を爆発させ、見るも惨めな姿で右往左往している。
 反戦政治闘争の爆発と階級的労働運動の発展と大衆的武装自衛の力で、カクマルを最後的に粉々に解体する過程が始まった。全カクマル分子を対象に、カクマル完全打倒への断固たる闘いを強めよう。われわれが死を宣告した黒田哲学に今こそ最後のとどめを射し、JR総連のファシスト労働運動解体へ突き進もう。

 第5章 21世紀革命に勝利できる前衛党への飛躍かけ闘おう

 われわれは、今や帝国主義世界戦争突入情勢の中で、戦争か革命かをかけた歴史的なすさまじい内乱に向かって対権力闘争と大党派闘争を闘い抜いている。労働者階級人民と全世界の被抑圧民族人民が帝国主義打倒への根底的な決起を開始している。このことは、不可避に日帝国家権力との激突情勢になっていく。日本階級闘争は新たな内乱・内戦的発展、大激動の過程に突入する。
 ここにおいて、闘いの勝利を究極的に切り開くものは何か。それは現代革命の核心として非合法・非公然体制を基軸にすえた革共同の建設をさらに強固にかちとることである。革共同は、こうした時代の到来を見すえ、あらゆる困難をのりこえて党の非合法・非公然体制を維持してきた。この体制をさらに圧倒的に強化して、開始された疾風怒涛(どとう)の階級闘争へ突撃していこうではないか。
 第一に、革命的情勢のもとでの革命党の「三つの義務」を、全面的、本格的に貫徹できる党への実践的飛躍がすべてである。今日の世界大恐慌と世界戦争情勢の中で帝国主義の打倒を全人民に真正面から訴えて闘うこと、そのための革命的大衆行動の爆発をあらゆる形態をとおして追求すること、レーニン主義の党建設のさらなる前進をかちとることである。
 第二に、機関紙活動を軸にした党建設の原則的な推進である。階級情勢の激動化、それは革命党にとっては危機であると同時に好機である。この情勢を党がわがものとして物質化する最大の武器は、全国政治新聞として作られる革命党の機関紙である。全党・全労働者細胞が、機関紙を熟読し、拡大し、配布し、代金を回収し、機関紙を軸に毎週の地区委員会・細胞会議を闘いとろう。
 第三に、革共同第6回全国大会で採択された新規約で確認されている、党活動の三原則を徹底的に貫き強化して闘うことである。@党の会議の定期的開催とそれへの参加、A機関紙・誌の購読と拡大、B党費の納入、という党活動の三原則の厳格かつ生き生きとした貫徹によってこそ、党員は初めて党員となり、党のレーニン主義的な骨格が形成されるのだ。
 第四に、マルクス主義復権の闘いのさらなる前進を推し進めることだ。『革共同第6回大会報告決定集(上・下)』を議案書として、全国各組織での6回大会が全力でかちとられている。綱領的・路線的一致の度合いに応じて党建設も圧倒的に進むのだ。『ドイツ・イデオロギー』解説本、『清水丈夫選集第5巻』の刊行がかちとられた。これらすべてが共産主義の勝利の展望を解き明かすものであり、カクマル黒田打倒へのさらなる追撃の書である。一にも二にも学習運動を強化しよう。
 第五に、マルクス主義青年労働者同盟の再建へ向かって、今秋決戦を闘う中でさらなる歴史的前進をかちとろう。大激動の中でこそ、党勢2倍化を絶対に実現しよう。政治警察との闘いに勝利し、ファシスト・カクマルを始めあらゆる反革命勢力の敵対を打ち破り、反帝・反スターリン主義プロレタリア世界革命勝利に向かって前進する革共同の強大な発展の時代を切り開こう。

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週刊『前進』(2065号9面1)

紹介 共産主義者 133号
6回大会路線の格好の手引き 城戸論文
 ●9・11と米労働運動の新潮流 浜田論文
 ●米帝の世界戦争戦略の徹底批判 河東論文
       ●分裂カクマルの延命策動あばく 矢剣論文

 城戸通隆同志による巻頭論文「6回大会路線で武装し強大な革命党を建設せよ」は、今秋−03年の戦後史上最大の政治決戦に臨む党的立脚点を構築しようとするものである。階級決戦の爆発と結合した党建設の量的拡大の不可欠性、死活性、必然性とその歴史的意義についての訴えである。
 『6回大会報告・決定集』、『清水丈夫選集第5巻』序文などと合わせて重点的学習課題とし、全党の同志、労働者人民の皆さんが学習と討論に取り組むことを呼びかけたい。

 歴史主体として

 われわれは今、何をなそうとしている存在なのか。城戸論文は、その唯一性についての歴史的自覚を次のように促している。「今、革共同は世界革命・日本革命を実現する『歴史的存在』として、『主体』として歴史の大地にしっかりと立っている」と。
 それは9・11を機に開始された世界危機の世界戦争への転化という歴史的流れに抗しえている存在がわれわれ以外にはないという主体的かつ客観的な認識に基づいている。そのことは「新たな7・7路線」として戦略的スローガンに高められた「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義の侵略戦争を国際的内乱へ」に明らかである。
 U章以降、党史の総括から革共同の歴史的存在性を詳しく展開している。その最大の軸は対カクマル戦の歴史的勝利である。われわれは第3次分裂以来のカクマルとの闘いの中で革命戦略、世界観、政治運動の基本路線、理論的・思想的課題など現代革命が必要とするものを全領域において培ってきた。ここは対カクマル戦争の価値創造性の積極的・全面的確認である。
 V章の「革共同の小史」で強調していることは、70年安保・沖縄決戦が革共同にとっての決定的跳躍台だったということである。まさに戦略的スローガンも70年決戦で生まれ、以後30余年の激闘の展開の上に結実したものだ。今ひとつは、70年決戦の爆発が91年まで20年という実に長期にわたる革共同と日帝権力およびカクマルとの二重の内乱的対峙を引き起こしたことである。この闘いは、先行的に内乱を推進しながらレーニン的オーソドキシーを追求するという特殊な闘い方をとおして現代革命に不可欠な課題を基本的に解決する闘いだった。
 以上、われわれはこうした党史のすべてを積極的に総括し、その結実である「連帯し侵略を内乱へ」の戦略的スローガンを心から確信を持って提起できる地点に立ったということなのである。

 5月テーゼ実践

 革共同は現在、91年5月テーゼ以降10年の闘いの渦中にある。
 だが、5月テーゼ実践の苦闘は単純な任務体系の組み替えではない。「労働者階級の自己解放闘争としての革命的共産主義運動」という核心をとらえ直す党の指導、党活動の一大変革、一大飛躍のための挑戦である。それは国鉄闘争、有事立法闘争など革命的大衆行動の組織化の中で現に実践されなければならない。そして、それはまさに命がけの課題なのだ。このことを本稿の後半、「6回大会開催の意義」の中で、「『労働組合の防衛と再生』のテーマこそ『革共同の最大の運動方針』」として確認している。そして意義の最後に「党建設としての党建設」を論じている。それこそが本稿の実践的結論である。

 レーニン組織論

 党建設とは、質と量の両面に関して言えることであるが、ここでの強調は量的拡大が質的変化に及ぼす面についてである。この点をレーニンの『一歩前進、二歩後退』に依拠しつつ有名なロシア社会民主党2回大会における核心的問題、「規約第1条問題」=党員資格問題をめぐるレーニンとマルトフとの論争点を明確にすることで突き出している。レーニンの党組織論の神髄は次のように明瞭にされている。
 「いうまでもなくレーニン主義的な党の基本構成は『中央委員会』と『細胞』である。レーニンの党組織論はのちにスターリン主義によって歪曲・変質させられたそれとは違って、党とその構成員(党員)の主体的関係に立脚している。それは権力の弾圧に耐えて勝ちぬくという不可欠な条件とともに、共産主義的前衛党として内部的な革命的一致と同一性をかちとり勝利していくために、不断に自己を鍛え、意識的にたたかい、向上への努力を義務づけるものである。それを集中的に表現しているものが細胞であり、細胞性ということだ。
 『細胞』という生命有機体のように、党(党組織)はたえず新しい要素=成員の加入をかちとり、組織を拡大し、細胞分裂をおこなって拡大・強化していくのである。だから党は、一定の条件を満たした先進的活動家、積極的分子を大胆にオルグし、党に加入させることが決定的なのだ。それが組織の命である。細胞としての党組織の内的充実と強化は、党勢拡大と別個のものではなく、完全に一体のものである」(強調は引用者)
 レーニンは、小ブルインテリゲンチアとは違うプロレタリアート固有の規律と統制に従う優れた能力を指摘し、ここにプロレタリア解放闘争の勝利性を見いだしている。それはプロレタリア自己解放闘争を歴史的にゆがめてきたスターリン主義に対する真っ向からのアンチテーゼである。このことの自覚の発揚が今、正面から求められるのだ。労働者細胞を軸とする先進的な活動家を党に加入させようではないか。
 城戸論文は6回大会路線への格好の手引きである。

 国際労働運動

 国際労働運動の連帯と新たな展望をテーマに日・米・韓の労働運動論文を企画した。
 「有事立法・国鉄決戦に勝利し、階級的労働運動の新時代を」は、労働戦線をめぐる二つの階級決戦の結合を軸にした02年前半の攻防の総括と今秋決戦論。〈新潮流〉の歴史的責務と方針を鮮明にしている。
 「米反戦闘争の新段階と労働運動の新潮流」は9・11を転機に歴史的前進を開始した米階級闘争の創造的挑戦を活写。反戦闘争と反差別・反レイシズムの闘い、そして労働運動の新潮流による戦時下の資本攻勢との闘いの連帯は国際的内乱を示唆している。
 「金大中政権を揺るがす韓国労働運動」は、今春、公営企業の民営化・売却阻止に決起した鉄道労組、発電労組など民主労総の英雄的ストライキ闘争のリポート。日韓投資協定締結とIMF体制下での闘いへの連帯闘争の深化を目指した。
 「ブッシュの核戦争戦略とミサイル防衛計画」は、QDR−NPR路線とMD計画の暴露をとおした米帝世界戦争戦略の批判だ。核先制攻撃による中国侵略戦争の意図を明らかにしている。日帝を有事立法・核武装策動に駆り立てる根拠を強烈に認識させるものだ。
 「資本主義を擁護する全労連」は、日共指導下の全労連の02春闘路線に対する批判をとおして、その綱領的屈服をえぐった。日共スターリン主義との新たな党派闘争の開始にあたって、全労連傘下の労働者の真の階級的決起と合流を求めた意欲的論文である。
 「有事立法闘争に敵対するJR総連」は、新段階の対カクマル戦の指導論文。坂入拉致問題のペテン的収拾と分裂カクマルの必死の延命策動を分析し、相互欺瞞(ぎまん)的な政治的取引のもつ危機性をえぐり出した。後半はこの中で新たな動きを開始した松崎の諸策動・言動に徹底的な批判を加えている。
 本号を武器に今秋、戦後最大の決戦へ決起しよう。

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週刊『前進』(2065号10面1)

ドイツ・イデオロギー(森尾誠著)表紙 マルクス主義基本文献学習シリーズ 6
マルクス・エンゲルス 『ドイツ・イデオロギー』(森尾誠著)の地平
「全面的な読み解き」で実践的唯物論=共産主義を平明に語る
 マルクス主義復権の理論闘争の画期点
 仲山良介

 2年前に出た『ドイツ・イデオロギー』の新訳は、内外で大きな反響を呼んだ。同訳書は、国際的にいまだに決着のついていない『ドイツ・イデオロギー』の編さん問題に決定的な一石を投じるものとなった。同訳書はその「あとがき」において、編さん問題に関する日本の革命的共産主義者(革共同)の立場を明らかにしただけでなく、内容的な「全面的な読み解き」のための基本線をくっきりと出した点でも大きな注目を集めた。
 われわれにとっては至極当然のことのように思えるが、マルクスの「フォイエルバッハ・テーゼ」と直結したものとして、実践的唯物論の心棒を貫いて『ドイツ・イデオロギー』を読み解くという視点が「斬新(ざんしん)なもの」としてあったのである。
 今回、その本格的展開として、森尾誠同志による待望の全面的解説書が出された。これは、われわれのマルクス主義復権の理論闘争における画期点をなすものである。マルクス主義基本文献学習シリーズとしても大きな節目となる。革共同第6回大会と一体で実現された理論闘争における決定的な前進としてその歴史的意義を確認し、そこで獲得されたものを消化し、労働者人民のものとしていかなければならない。労働者人民の中で本当に有効な武器となるように使い切らなければならない。

 初めて読みこなした解説本の世界的意義

 この書自身が革共同の「知の管制高地」をなす(まえがき)というのは、革共同が何か高級な新理論を打ち立てたということではなくて、『ドイツ・イデオロギー』の内容的核心を、つまりマルクス主義の核心を初めて平明に労働者人民のものとして語っていくことができるようになったということである。
 森尾同志は最初から『ドイツ・イデオロギー』を労働者のものとして分かりやすく解説することを課題として掲げていた。それが見事に貫徹されたのである。『ドイツ・イデオロギー』をめぐる何か難しげな議論を、まとめて一刀両断にするような明快さできわめてオーソドックスに全体を読み解いたこと、これこそが本書の最大の特徴であり、意義である。何よりもこれによって、『ドイツ・イデオロギー』が初めて「われわれ」にもきちんと読みこなせるようになったということである。このことの意義をまず確認したい。
 『ドイツ・イデオロギー』は、マルクス主義の原典の中でも最重要の基本文献でありながら、これをきちんと読みこなすことは世界的にもなかなかできないものとしてあった。本書と新訳あとがきでも触れられているように、もともと150年以上前の最先端の思想的論争の書であったという性格に加えて、スターリン主義者によるテキストの改ざんという問題が「読みにくくしていた」理由であった。
 だが、「読みにくい」という理由で『ドイツ・イデオロギー』を無視してマルクス主義を語るわけにはいかない。『ドイツ・イデオロギー』は、そこでマルクス主義がマルクス主義としての基本骨格を形成した現場そのものなのだから。マルクス主義が労働者階級自己解放を理論的思想的核心としているかぎり、それは必ず大衆のもの、労働者自身のものとなるはずである。本書は、そのような筆者の信念がまさに具体的な形にしたものだといえる。
 ここで『ドイツ・イデオロギー』をめぐる最近の出版界の事情について少し言及しておきたい。
 現在、岩波文庫の『ドイツ・イデオロギー』は絶版になっている。それは、これまでのものがアドラツキー版をもとにしたものであり、「偽書に等しいもの」であったからだ。実際それは素直に読んで理解するのが困難な代物だった。また日本共産党系も今、『ドイツ・イデオロギー』の新版をいろいろと出している。だがそれらはすべてアドラツキー版にひきずられた中途半端な、いろいろなごまかしを含むものであって、もともとのテキストをそのあったがままの姿で復元し、マルクスとエンゲルスの白熱した共同作業を生きた形でよみがえらせるものにはなっていない。
 岩波の新版もいずれは出されるはずだが、問題は、編さん問題に全面的決着をつけると同時に、内容の復元とわかりやすさを最大限に達成するということである。それは、本当の意味では今日的なマルクス主義復権の闘いの一環としてしか成立しない作業である。われわれが達成したものは、現在行われているこうしたいろいろな作業と比較しても、かなり高い地平を形成していると確信できる。その意味でも「管制高地」といえるのである。

 プロレタリア自己解放の革命的実践論

 反スターリン主義・革命的共産主義運動は、もともと『ドイツ・イデオロギー』のエッセンスをつかみ取ることを理論的思想的なバネとし(それを決定的な一環として)その原点を形成した。
 マルクスの唯物史観=史的唯物論は、『ドイツ・イデオロギー』においてどのように生きた実践的・革命的な立場から提起されているのか。スターリン主義者のひからびた公式化された史的唯物論をわれわれはどこでどのように打ち破っていくべきなのか。
 スターリン主義者は、アドラツキー版で改ざんされたものをもって、『ドイツ・イデオロギー』の唯物史観を機械的公式主義的にふりまわしている。しかし『ドイツ・イデオロギー』のテキストそのものには、部分的ではあっても、プロレタリアートの革命的実践を軸にすえた生き生きとしたものが感じられる。そこには、「帝国主義段階においては世界革命は不可能で、一国社会主義が必然となった」などという思想を完全に否定し尽くすような共産主義世界革命の実践的展望がダイナミックに描き出されている。
 『ドイツ・イデオロギー』はレーニンの死後に出版された。したがって、『ドイツ・イデオロギー』をきちんと読み解く作業は、反スターリン主義革命的左翼の仕事であるともいえる。いったいその全体的脈絡はどうなっているのか。われわれは、このような問題意識をもって、『ドイツ・イデオロギー』を読んできた。
 『ドイツ・イデオロギー』は観念論哲学に対する徹底的な批判である。だからこそ、人間の唯物論的物質的実践を一切の軸にすえきっている。それは、よく読めば、単純に、人間の意識や観念に対して客体的対象としての物質こそが根本的であるというふうには展開していないのである。客体的対象としての物質をも、人間の物質的実践――労働を基本とする社会的実践の全体――を軸に、人間の物質的実践において〈主体的に〉つかむという基本的スタンスが貫かれている。人間社会史の唯物論的把握ということそのものが、そうした実践的唯物論の立場の貫徹において初めてなしうるものなのである。
 「フォイエルバッハ・テーゼ」がいうように、「人間の思考に対象的真理が達するかどうかという問題は――理論の問題ではなく、実践の問題である」(テーゼの第2番目)。人間の認識は、人間の実践的活動を媒介する内的契機をなすのであって、それ自身を物質的実践から切り離して一人歩きさせるのはスコラ的議論でしかない。物質的実践(感性的活動)を軸にすえきったところにマルクス主義がこれまでの一切の哲学と決別した地平がある。フォイエルバッハのような「これまでの唯物論」との決定的な断絶の地平もそこにある。マルクスとエンゲルスは、それを歴史の唯物論的把握=共産主義=プロレタリア革命論として展開しきろうとしたのである。それこそが、マルクスの唯物史観なのだ。
 革共同は、(もともと)『ドイツ・イデオロギー』のエッセンスをそのようなものとしてつかみ取ってきた。そうすることによってこそ、現代風のブルジョア的観念論や唯物論を標榜(ひょうぼう)しつつ観念論に転落していくような徒輩を批判し尽くすことができる。またそうすることによってこそ、プロレタリアートの革命的主体的実践を復権することが可能となるのだ。(このようなマルクス的実践の立場は、革共同の3全総の路線的提起の背後にあってそれを支えていたといっていいだろう)
 このようなわれわれ(革共同)の『ドイツ・イデオロギー』把握のエッセンスは、黒田の逃亡とそれ以後のカクマルとの闘争の歴史の中で全面的に貫き通された。今われわれがやっている作業は、それとの関係でいえば、革共同が革共同として貫いてきたエッセンスを理論的に表現する作業にほかならないのである。

 黒田哲学の全面批判と同時一体的な作業

 黒田哲学との関係でいうと、黒田は、革共同の創成期において、表向き『ドイツ・イデオロギー』を尊重しているような態度をとったが、実際には、最初から『ドイツ・イデオロギー』に対する徹底的な否定感をもっていた。
 森尾同志があとがきで指摘しているように、黒田は結局は、「『ドイツ・イデオロギー』にはねとばされた」存在なのである。黒田は実は、『ドイツ・イデオロギー』も「フォイエルバッハ・テーゼ」も頭から否定しているような「哲学者」でしかなかったのだ。マルクスの実践的唯物論の革命的実践性とは完全に無縁な存在であったということである。(黒田の「レーニン国家と革命への疑問」は有名だが、実は黒田は、もともと、マルクスの「フォイエルバッハ・テーゼ」と『ドイツ・イデオロギー』への疑問を看板にしているような人間であった)
 われわれは、第6回大会を準備する過程で、『ドイツ・イデオロギー』の全面的読み解きを深めると同時に、黒田哲学全面批判の作業を推し進めた。それは、同時一体の作業として進行した。黒田がもともとはらんでいた弱点を全面開花させて、反動的観念論=国粋主義的な日本文化万歳論にまで行き着いた原点は、まさに、マルクスの実践的唯物論に対する敵対にあるということが、その中で実にはっきりとつかみ取られたのである。
 とりわけ、黒田が、75年3・14反革命の後、急速に観念論的純化を深めていったことの唯物論的証拠がカクマルの「権力の謀略論」なのである。3・14反革命という自らの「実践」を見すえきれず、そこから逃げまわり、中核派弾圧を権力に泣訴するためにデッチあげた初期の謀略論から始まって、本格的な謀略史観にはまりこみ、ついには、どこまでが意識してデッチあげたうそなのか自分でも分からないような観念的転倒の世界、空中楼閣的虚偽の世界に入っていったのである。それこそがまさに黒田哲学の必然的到達点なのだ。(「神戸謀略事件」物語のあの惨めなまでの破綻とJR総連松崎との分裂! カクマルにとっては収拾のつかない事態)

 これこそ唯物史観の原型的な形成の現場

 『ドイツ・イデオロギー』はマルクス主義復権作業の中で特別の位置を占めている。それはなぜか。マルクス主義は崩壊したというイデオロギーは、結局のところ『ドイツ・イデオロギー』の全面否定に矛先を向けているといってもいいのであるが、それは、『ドイツ・イデオロギー』が唯物史観の原型的な形成の現場そのものであるからだ。
 資本論のすべてを全面的に否定しようとする人はいない。多くの場合、資本論のある一面を肯定し持ち上げながら否定しようとするスタイルがとられる。しかし、『ドイツ・イデオロギー』は違う。『ドイツ・イデオロギー』は露骨に否定される。『ドイツ・イデオロギー』こそは、マルクス主義の実践的唯物論=唯物史観が革命的にその姿を現した場所そのものだからなのだ。
 スターリン主義的な公式主義や機械的唯物論、人間不在の客観主義などを非難しているような形式をとる場合でも、実際には、『ドイツ・イデオロギー』で骨格的に形成されたマルクス主義の思想そのものへの罵倒(ばとう)が行われているのである。例えば『ドイツ・イデオロギー』はド唯物論=タダモノ論であり、人間の意識内面を無視抹殺しているなどと断罪される。あるいは歴史発展を機械的に解釈しているとか、経済によってすべてが決定される論(経済決定論)であるなどといわれる。
 これらは、実際にはアドラツキー版のスターリン主義による改ざんを基にした『ドイツ・イデオロギー』解釈によって、マルクスとエンゲルスをねじまげて批判しているに過ぎないのであり、その立場から、ソ連スターリン主義の反革命性と歴史的破産をマルクス主義の破産に直結させているのである。だがこうした非難は単に誤解に基づくものではなく、実は、『ドイツ・イデオロギー』のもともとの革命性への反発としてなされているのである。
 『ドイツ・イデオロギー』は、それ自体が、唯物史観=史的唯物論形成の現場であるわけだから、『ドイツ・イデオロギー』問題は、唯物史観問題=史的唯物論問題そのものである。そして、「マルクス主義の崩壊」キャンペーンは、まさにそこをめぐって繰り広げられている。資本主義は必ず行きづまり、矛盾を爆発させる。したがって労働者階級を主体とした革命をとおしてより高次の社会(共産主義社会)に移行せざるをえない、ということそのものがうそであり、勝手な断定に過ぎない、ソ連の崩壊によってそのことが証明されたではないか、と攻撃されているのである。
 すでに簡単に述べたように、唯物史観とは、実践的唯物論の立場から人間社会史を唯物論的に把握するということである。宗教的な観念的疎外を否定し、歴史の観念論的把握を否定したところに出てくる唯一の人間的実践的立場は、プロレタリアート(近代ブルジョア社会の賃金労働者)の階級的立場である。その立場からの近代ブルジョア社会の歴史的論理的解明がなされなければならない。そこから出てくる実践的結論が、共産主義=プロレタリア革命の立場に立ち、革命的な歴史変革の実践を行うということなのである。
 マルクスはエンゲルスとともに、数年間にわたる思想的苦闘を経て、労働者階級の立場に立って生き抜き闘い抜くということを決断したのだ。そのことを『ドイツ・イデオロギー』で表明し、その立場から、歴史の唯物論的把握=近代ブルジョア社会の唯物論的解明に大胆に立ち向かったのである。市民社会の解剖のための本格的苦闘はまさにここから始まったのである。
 このことは、マルクス・エンゲルスにとって、インテリゲンチアとしての思想的格闘の結果でもあるが、しかし、より本質的にいうと、すでに開始されていた労働者階級の現実の闘いに突き動かされ、そこに歴史変革の道筋があることを完全につかみとったことによるものなのだ。マルクスとエンゲルスは、労働者の立場に立って人生をかけて闘うことを階級的に決断したのである。『ドイツ・イデオロギー』は、そのことを実に生き生きと表現している。そのことと、その立場からの現実社会の唯物論的解明作業が一体的にエネルギッシュに遂行されている。『ドイツ・イデオロギー』の生命線はそこにある。

 現代の青年労働者の〈階級的自覚〉の論理

 『ドイツ・イデオロギー』はそのような性格の書であるために、その現代的意義をより鋭く浮かび上がらせている。ここでは次の二点を確認したい。
 第一に、『ドイツ・イデオロギー』は、今現在、この現代世界の矛盾の中で生きているわれわれが、自分自身とは何者であるか、この世界はいったいどうなっているのか、われわれはどこからどこへ向かって動いているのかという問題にぶつかる時、実は、マルクスやエンゲルスと本質的に同じ問題にぶつかっているということを教えてくれるのである。それは何も、インテリゲンチアの小ブル的な問いということではない。現代の青年労働者が普遍的にぶつかる問題そのものへの本質的回答がまさにそこにあるのである。
 現代世界は、150年前とは違うから、『ドイツ・イデオロギー』なんか古くさいというのは間違いである。近代ブルジョア社会=資本主義社会とはどんな社会であるのかという問題がまさに、20世紀の歴史的経験を経て21世紀に引き継がれた。現代帝国主義の問題は、現代の資本主義の問題そのものである。そして、その矛盾を根本的に体現しているのが現代の労働者階級なのだ。労働者階級こそは、現代社会に生きる人間の根本問題を体現している。「労働者の解放の中にあらゆる矛盾からの人間の解放が含まれている」という『経済学・哲学草稿』のマルクスの思想が、『ドイツ・イデオロギー』では歴史の唯物論的把握、資本主義社会の唯物論的把握へとより一歩具体的に展開され、そして壮大なスケールの共産主義論となった。マルクスとエンゲルスは、その中で、自分自身を歴史変革の革命的実践者の立場に立たせたのである。
 それは、彼らにとっては、労働者階級の立場への移行であったが、現代の青年労働者にとっては、それは自分自身が何者であるかの階級的自覚としてかちとられるであろう。
 現代の資本主義は、巨大な物質力をもって強力なイデオロギー的支配を展開している。それは、独特の宗教性をおびた極限的な人間疎外とすらいえる。
 だが、だからといって絶望ではない。この中で、現代の青年労働者(学生)は、現実の矛盾の中で人間らしく生きるためにあがいている。そのあがきが本物であるかぎり彼らは、様々な水路で闘いに参加することをとおして自己が何者であり、何者でありうるかを階級的に自覚していくことができるのである。観念論的なしばりを突き破って、現実の矛盾と唯物論的にまっすぐに向きあい、そしてそれを実践的に変革することこそが問題であることをつかみとることができるのである。『ドイツ・イデオロギー』(批判)を「追体験」することの本質的な意味は、それをとおして、まさに今われわれが向き合っているこの社会的現実と自分自身をより根底的に把握することができるようになるということである。

 オーソドックスな国家・革命論

 第二に、『ドイツ・イデオロギー』は、現代世界の激動そのものを根底的に把握するための基礎的な視角を与える。そして、この激動は結局は革命の問題を逃れようもなく突き出すということを教えるのである。
 『ドイツ・イデオロギー』は、原『共産党宣言』ともいえる。経済学的な解明はまだ端緒についたばかりであるが、それだけダイナミックに、ブルジョア国家権力を打倒することの意義が突き出されている。
 しばしば『ドイツ・イデオロギー』の国家論は幻想的共同性論で、国家の観念的本質が強調されているとされるが、実は、それは国家の実践的本質の強調ということにほかならない。その意味は、国家は支配階級が共同利害の名で彼らの階級的特殊利害を暴力的に社会全体に押しつけていく機構(その意味での支配階級の「連合」体)であるということなのだ。したがって、資本主義を変革・止揚しようとする労働者階級は、ブルジョア国家権力を打倒し、国家権力を(ひとまずは)掌握し、労働者階級の権力をうち立てなければならない。労働者階級は、ブルジョア国家権力を打倒することをつうじて新しい社会を形成する能力を身につけていくのである。
 このようなレーニンの『国家と革命』につうじる革命論が真っ向から提起されている。森尾同志の解説はこのような立場で『ドイツ・イデオロギー』の国家論・革命論を説得力を持ってオーソドックスに提起している。この点は『ドイツ・イデオロギー』の読み方として決定的に重要だ。
 そのほかにも学ぶところはいくらでもある。まずは手にとって読んでみて欲しい。そうすればくめどもつきないいろいろな問題意識が発展するであろう。

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週刊『前進』(2065号10面2)

東京で反核集会 “8・6広島−8・9長崎へ”

 東京・文京区民センターで7月20日、被爆57周年反戦反核東京集会が102人の参加で行われた。主催は、被爆57周年8・6広島−8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会。
 ヒロシマ・ナガサキの歴史的教訓を考え、核戦争を不可避とする帝国主義を打倒するという結論を、深く胸に刻む集会となった。
 婦人民主クラブ全国協の司会で、主催者を代表して、呼びかけ人の桜井善作さんが「小泉は民衆の敵。われわれは断じて戦争を許さない」と宣言した。
 特別報告に航空労組連絡会の村中哲也さんが立ち、陸・海・空・港湾労組20団体が中軸を担った4−6月の有事立法反対の大集会が、労働運動を再生し、有事3法案の成立を阻む大きな力となったと報告。秋にはもっと大きな闘いをつくろうと呼びかけた。
 続いて、反戦被爆者の会の大槻泰生さんが、57年前の自分は国家総動員体制の一翼を担い、多くの仲間を建物疎開に動員した「戦犯」だと語り、その自己批判から自分の戦後が始まった、二度と侵略戦争は許さないと決意を述べて8・6への決起を呼びかけた。
 次に反核相模原市民の会の吉田義久さんが「米核先制戦略と有事立法」と題して講演(写真)。米帝こそが大量破壊兵器を開発、使用し、まき散らした元凶だと断罪した。有事立法は、日本が核戦争に参加し、日本が独自の核武装をする宣言であると弾劾した。
 実行委の三角忠事務局長が基調報告に立ち、「くり返すなアジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワを」「有事立法攻撃粉砕・日本の核武装阻止、小泉戦争内閣打倒」のスローガンで闘うことを訴えた。
 教育労働者、東京被爆者青年同盟、全学連、東京労組交流センターが決意表明を行った。集会のまとめを実行委の賛同組合のス労自主が行った。

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週刊『前進』(2065号10面3)

 “インド洋出兵許さぬ” 佐世保・呉で出港阻止闘争

 “リンカーンの寄港を阻め” 7・24佐世保 

 反戦共同行動・福岡の労働者・学生は7月24日、佐世保地区労の労働者とともに護衛艦ゆうだちのインド洋出撃阻止闘争に立った。
 午前10時、ゆうだちの灰色の船体が目の前を出撃していく。「アフガン人民虐殺を許さないぞ」「イラク侵略戦争を阻止するぞ」と怒りのシュプレヒコール。
 7月9日のさわかぜに続く連続的な出撃だ。すでに佐世保から昨年11月以来、6回、8隻が出撃している。さらに8月中旬には、米軍の原子力空母エイブラハム・リンカーンを始め空母戦闘群が佐世保に寄港しようとしている。「世界戦争などありえない」という人こそ、佐世保に来るべきだ。佐世保には沖縄と並ぶ戦争の現実がある。
 自衛隊が侵略軍隊へと変貌(へんぼう)する中で、隊内の自衛官虐待が横行している。アフガン侵略戦争に駆り出された自衛官2人が亡くなり、今年2月に創設された陸自対テロ部隊では3人が自殺に追い込まれている。侵略戦争は他国の人民だけでなく、自衛官も死に追いやっているのだ。
 小泉政権は有事立法で日本を侵略戦争のできる国家へと大転換させ、北朝鮮・中国侵略戦争で危機を突破しようとしている。有事立法粉砕へ総決起しよう。

 「どれだけ殺すのか!」と追及 7・24呉 

 広島反戦共同行動委員会は7月24日、海上自衛隊・呉基地からの補給艦とわだ出兵の弾劾に立った(写真)。自衛隊当局は当初、「25日出港」と発表しながら直前になって1日繰り上げる卑劣な手口を使った。
 呉地方総監部前に結集した労働者や学生は「米日帝国主義のイラク侵略戦争を許さないぞ」とシュプレヒコール。広島大学の学生が弾劾の申入書を読み上げた。「米英帝国主義はアフガニスタン侵略戦争で、いったいどれだけの民衆を虐殺したというのか」「自衛隊はなんと米英の艦艇の40%の補給を担っている。この侵略出兵を許さない。さらにイラク侵略戦争への参戦を絶対に許さない。すべての自衛官は侵略出兵命令を拒否せよ」と訴えた。  
 当直士官に「自分の結婚式が爆撃されたことを考えてみよ」と迫ると、「体験したことがないので分かりません」と、ふざけた態度をとった。徹底的に弾劾、申入書を受け取らせた。
 呉基地は、イラク侵略戦争、そして北朝鮮・中国侵略戦争の切迫の中で、米軍の補給基地、海自の出撃基地として全面強化されようとしている。呉基地からの侵略出兵を許さぬ闘いに決起しよう。

 海保船体の展示中止を申し入れ 7・23広島 

 7月24日に広島の海上保安庁第6管区で、昨年12月に外国船を撃沈した巡視艇あまみの船体展示が行われた。この展示を全国の海上保安庁が持ち回りで強行するというのだ。「銃撃で穴があいた」とされる船体の一部を公開展示し、自ら犯した外国船撃沈・15人虐殺という戦争行為を居直ろうというものだ。労働者民衆を排外主義で扇動し、北朝鮮侵略戦争に総動員しようとしている。まさに有事立法攻撃そのものである。
 前日の23日、広島反戦共同行動委は海上保安庁長官と第6管区本部長に対し、展示中止を申し入れた。
 「昨年12月23日の外国船撃沈が、日本の侵略戦争行為であることをあいまいにしない。この戦争行為を強行した『あまみ』の展示とは、日本の労働者民衆をアジア人民虐殺にかりたてるための大キャンペーンである。即刻中止せよ! 北朝鮮・中国に対する戦争挑発・侵略戦争行為に二度と手を染めるな」
 対応した総務課長は「あくまでも中立の立場から、銃撃されたという客観的事実を知ってもらいたいだけです」などと卑劣な言い逃れをした。これに対し「外国船を撃沈し、侵略戦争に踏み込んだのはいったい誰なのか。『中立の立場』などというペテンは通用しない」と強く弾劾した。

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