ZENSHIN 2002/09/02(No2067 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2067号1面1)

 9・22 連合見解弾劾・有事立法粉砕へ

 日共「路線転換」のペテン暴き闘う国労の再生をかちとろう

 沖縄地方選に全国から支援を

 反戦共同行動委員会は8月16〜17日、全学連を先頭に、米原子力空母リンカーンの佐世保寄港を阻止する闘いを、海上と陸上で戦闘的に打ち抜いた。8・6―8・9反戦反核闘争、8・15闘争の高揚に続いて、今秋有事立法粉砕決戦への火ぶたは切られた。本紙夏季特別号論文(天田三紀夫論文)と有事立法3法案の逐条批判の無署名論文(上、下)、清水丈夫選集第5巻序文を全党全人民が全力で学習し、それらで武装して、今秋有事立法決戦を戦後最大の政治闘争として大爆発させよう。9・22全国結集闘争にまなじりを決して総決起せよ。有事立法粉砕の闘いそのものとして9・1防災訓練粉砕闘争に立とう。9・8沖縄選挙での闘う候補の勝利へ全国から支援を強め、米帝ブッシュの世界戦争戦略と対決する拠点、有事立法を粉砕する拠点を打ち固めよう。9・11一周年闘争・小泉訪米阻止闘争に立とう。国鉄決戦は日本共産党中央がたび重なる裏切り路線の完全破産によって「国鉄闘争再構築路線」を敷いたことが鋭く示すように、重大情勢に突入した。今こそ勝利に向け勇躍して大攻勢に出る時だ。チャレンジと反動革同を打倒し、闘争団への査問・統制処分を粉砕して、闘う国労の再生をかちとれ。有事立法決戦と国鉄決戦を結合し、大有事立法決戦として闘いぬこう!

 第1章 対イラク攻撃緊迫

 われわれは日帝・小泉が、米帝の対イラク、対北朝鮮・中国侵略戦争の切迫に激しく対応し、有事立法3法案と個人情報保護法案の成立に体制の死活をかけていることを見据え、9・22有事立法粉砕闘争に総決起しなければならない。
 1年前の9・11反米ゲリラ戦と10・7アフガニスタン侵略戦争をもって世界史は一変した。帝国主義の世界危機が世界戦争に転化していく歴史的過程が始まったのである。これはもはや後戻りできない過程だ。
 米帝の世界戦争計画の次の展開は、今や対イラク侵略戦争として超切迫している。米帝はブッシュ政権も、議会も、マスコミも、対イラク攻撃一色となっている。しかも米帝のアフガニスタン、パレスチナ、イラク―中東での侵略戦争の果てしない拡大は、ただちに東アジアに連動して、あるいはこの1〜2年のうちにも北朝鮮・中国侵略戦争へと拡大する。それは必ず帝国主義間矛盾の爆発、帝国主義間戦争へと発展し、文字どおり第3次世界大戦へと転化していく。
 日帝・小泉はこの情勢に激しくつき動かされ、帝国主義としての延命をかけて、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に共同的=競合的に参戦していくために、有事立法成立に全力で突き進んでいるのである。
 米国防総省は8月15日、議会に02年国防報告を提出した。それは米帝ブッシュが9・11―10・7以後の世界戦争過程への突入情勢を総括し、01年QDR(4年ごとの国防政策見直し)やNPR(核戦力見直し)などを一つに融合して作成した世界戦争計画の集大成であり、きわめて重大な文書だ。
 それは、米帝が「悪の枢軸」と決めつけてきたイラク、イラン、北朝鮮への侵略戦争を「対テロ戦争」の名のもとに先制攻撃や核兵器使用も辞さずに強行すること、中国スターリン主義への「脅威論」と侵略戦争の野望をむき出しにしていること、対日帝を始めとした帝国主義間争闘戦と帝国主義間戦争をも明らかに想定していることなど、完全に米帝の世界戦争計画そのものである。米帝は「20世紀の脅威」「20世紀の戦争」から「米国の国益」と「米本土」を防衛するためには、完全に世界戦争―第3次世界大戦に訴える道を突き進んでいるのだ。
 米帝ブッシュは今、この反革命的な世界戦争路線のもとにイラクに「大量破壊兵器」の査察再開を要求し(だが応じても攻撃は中止しない!)、北朝鮮にKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)の軽水炉建設の一定の進展の中で核査察要求を突きつけ(応じなければ工事は中止!)、戦争重圧を強めている。また米中関係・中台情勢の緊張を激化させている。対イラク、対北朝鮮・中国の侵略戦争を明日にも強行しようと構えているのである。

 第2章 臨時国会成立狙う

 日帝・小泉が秋の臨時国会で有事立法を成立させるために全力をあげているのは、こうした米帝動向に完全に連動したものだ。
 小泉は通常国会が終わった7月31日には、直ちに「大規模テロや不審船対策」を法案に盛り込むよう強い修正指示を出した。そして同時に、「国民保護」「自衛隊の行動円滑化」「米軍の行動円滑化」など、関係省庁による7つの作業チームを発足させ、夏休み返上で追加法案づくりを推進してきた。さらに自民党幹事長・山崎は8月17日、バリ島での記者懇談で「個人情報保護法案も有事関連法案も成立を目指す。そのための臨時国会だ」「民主党が修正協議に応じない場合は与党単独でも修正を提案する」と述べ、強行採決も辞さず成立させる強硬な意思を表明した。
 有事立法とは何か。本紙夏季特別号論文や逐条批判の無署名論文(上、下)があらためて暴露し、批判しきっているように、北朝鮮・中国への米・日帝国主義の侵略戦争発動をきわめて具体的に想定した、実戦のための侵略戦争法案だ。日帝・小泉やマスコミは「備えあれば憂いなし」とか「日本が外から攻められたらどうするのか」と大宣伝し、有事立法は必要だと言っているが、問題はまったく逆なのである。
 米帝と日帝はアフガニスタンやイラクへの侵略戦争と同じように、北朝鮮や中国にこの1〜2年のうちにもありとあらゆる侵略攻撃を行うつもりでいる。それへの必死の反撃の結果として当然にもミサイル発射や小規模ゲリラや「不審船」的事態が起きることを想定しているのが「武力攻撃事態」である。だから日帝はすでにある周辺事態法に続いて有事立法3法案と個人情報保護法案を成立させようと必死なのだ。
 それゆえ日帝・小泉は「テロ攻撃」や「不審船」への対策なるものも「武力攻撃事態」に加える必要があるのであり、武力攻撃事態の「おそれ」や「予測」の段階であらゆる口実を設けて、侵略戦争突入、国家総動員体制突入をはかろうとしているのだ。
 そのために「対処基本方針」を定め、「対策本部」を組織し、その本部長である首相に独裁的な戦争権限を与え、そのもとですべての国家機構、地方自治体、公共機関、そして「国民」を強制動員しようとしているのだ。自衛隊と米軍の行動や通行、作戦行動はすべての法律で「特例」「適用除外」とし、私権を制限して軍事最優先の戦争体制をつくり、戦争に突入しようとしているのだ。また通信や言論・マスコミを統制し、労働組合や人民の反戦闘争・反対運動はことごとく治安弾圧の対象とし、処罰し、たたきつぶそうとしているのである。
 米帝は最凶悪の基軸帝国主義であり、世界のスーパーパワーである。日帝は世界第2位の規模をもつ帝国主義国家である。その米日帝がアフガニスタンに続きイラク、北朝鮮、中国に攻めかかろうとしている。9・11―10・7を転機に、世界史は完全に世界戦争情勢に突入したのだ。この北朝鮮・中国侵略戦争攻撃の切迫は、97年9月締結の新ガイドライン(日米防衛協力指針)と99年5月成立の周辺事態法(および船舶検査法)を、今回の有事立法3法案と結合してみるといよいよはっきりする。

 第3章 周辺事態が即波及

 新ガイドラインでは、@「日本に対する武力攻撃」(日本有事)には日米で「共同作戦計画」を、A「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合」(周辺事態)には「相互協力計画」を作成しておくと規定されている。Bしかも@とAの間での「整合を図るよう留意する」「日米間の調整メカニズムを平素から構築」して日米の軍事活動の「調整」を行うと規定されている。また新ガイドラインでは「周辺事態」が「日本有事」(武力攻撃事態)に「波及する可能性」と「両者が同時に生起する場合」が想定されている。つまり有事立法と周辺事態法は完全に一体、ワンセットである。
 そればかりか「対テロ特措法」と「改正PKO法」もすでに成立し、今や通常戦力で世界第2位の侵略型軍隊となっている自衛隊は、恒常的に海外派兵・海外展開している状態にある。以上のように見てくると、有事立法粉砕の闘いは「連帯し侵略を内乱へ」の貫徹をかけた戦後史を決する最大の政治決戦であることはいよいよ明白だ。
 「周辺事態」とは何か。米帝・米軍が「テロ」とか「核査察」とか中台情勢などあらゆる口実を設けて、北朝鮮・中国に侵略戦争を発動した事態である。その時、日帝・自衛隊は周辺事態法と船舶検査法に基づき、「後方地域支援」「後方地域捜索救助活動」「船舶検査活動」「その他の必要な措置」を行うために、米軍と一体となって侵略戦争に突入する。つまり北朝鮮・中国とその周辺海域で米軍への給油や物資補給、掃海(機雷除去)、船舶検査(臨検)、米兵救難、在外日本人救助などの侵略軍事行動を展開する。
 そして同時に有事立法3法案により、「武力攻撃事態」の発生やその「おそれ」「予測」などのあらゆる口実を設けて、「対処基本方針」を定め、「対策本部」の本部長である首相に独裁的な戦争権限を与え、日本全体を憲法停止の超軍事国家化し、侵略戦争突入体制、国家総動員体制にたたき込もうとしているのである。まさに最大最高の決戦が到来しているのだ。
 開始された米帝(国際帝国主義)の世界侵略戦争―世界戦争情勢と対決して闘い勝利する道は、レーニンの提起した「帝国主義戦争を内乱に転化する」「自国政府の敗北を希望し促進する」という戦略に立って、闘うアジア人民、闘うイスラム諸国人民と連帯し、世界戦争を国際的内乱に転化するために闘うことである。これを帝国主義足下の労働者階級がやりぬくことである。帝国主義戦争に賛成した既成労働運動を下から断固のりこえ、レーニンの革命的祖国敗北主義に立ちきり、有事立法粉砕、自国帝国主義打倒=日帝打倒に総決起することである。
 「備えあれば憂いなし」などという小泉の大ペテンを粉砕し、9・22全国結集闘争―今秋有事立法粉砕決戦にうなりをあげて総決起しよう。
 労働組合のナショナルセンターとして「緊急事態の法整備は基本的に必要」と有事立法に賛成した5・16連合見解への弾劾・撤回の決議を上げ、組合の中から闘いを組織しよう。逐条批判に精通し、職場、学園、街頭で猛然と大衆的討論を巻き起こそう。とりわけ有事立法反対署名運動を労組に積極的に持ち込もう。大衆決起を組織し、9・22へ有事立法決戦の大爆発をつくりだそう。

 第4章 国鉄決戦重大情勢

 有事立法攻撃と一体のものとして、29年型大恐慌―世界戦争情勢下で一大資本攻勢が吹き荒れている。これと闘い勝利できる最先端の闘いが国鉄決戦だ。
 国鉄決戦は日本共産党中央の「国鉄闘争再構築路線」への転換が示すようにかつてない重大情勢に突入した。日共=反動革同はこの間、チャレンジや酒田一派と結託して、国鉄闘争を圧殺し闘争団を切り捨てる大裏切りを重ねてきた。だがそれは今や完全に行きづまり破産した。この転向=裏切り路線を続けるならば国鉄戦線はおろか全労連や日共組織そのものの大動揺、大分裂に発展しかねない事態に立ちいたった。その追い詰められてのアクロバット的なあがきが、今回の「路線転換」である。
 だが、それが根底的な自己批判を欠落したいかにペテン的本質をもつものであっても、日共は中央委員会として「路線転換」を決定しただけでなく、「国鉄闘争を労働組合運動の原点に立って再構築していく」「従来の『四党合意』依存路線では解決しないことを鮮明にし」と述べ、闘争団への査問・統制処分は「労働組合として本末転倒」と宣言せざるをえなくなったことが重要なのである。
 国鉄分割・民営化以来の営々たる不屈の闘い、動労千葉や闘争団の闘い、それを基礎とした革共同19全総以来の国鉄決戦への取り組みが、カクマルを大分裂に追い込み、ついに日共を決定的破産に追い詰めたのだ。それは日共の国鉄闘争路線の破産のみならず、「資本主義の枠内での民主的改革」という綱領的路線そのものの破産である。
 国労を始めすべての国鉄労働者、労働者階級人民は、日共中央に全面的な自己批判要求を突きつけると同時に、日共スターリン主義の綱領・路線では労働運動の勝利も階級闘争の展望もないことを鮮明にさせて、今こそ闘う国労の再生へと勇躍決起していかなければならない。
 とりわけ国鉄闘争において「闘争団への除名処分絶対阻止」「チャレンジ・反動革同打倒」「闘う国労の旗を守りぬけ」のスローガンを高く掲げ、1047人闘争勝利と国労の戦闘的再生へ、画然と決起していこう。定期大会に向けた代議員選挙の絶対勝利へ全国で大攻勢を展開しよう。
 9・22−今秋有事立法粉砕闘争と、国鉄決戦への決起を結合し、それを大有事立法決戦として闘いぬくことを重ねて訴えたい。

 第5章 防災訓練粉砕せよ

 9・8沖縄地方選勝利と名護新基地建設阻止を当面の大焦点とする沖縄闘争は、米帝ブッシュの世界戦争政策と闘い、日帝の有事立法攻撃を粉砕する最前線の闘いである。革命の拠点を守り、さらに強化する闘いである。秋のこの緒戦でなんとしても勝利をかちとり、今秋決戦の爆発的な突破口を切り開こう。
 空港公団新総裁・黒野の暫定滑走路北側300b延長宣言と対決する三里塚闘争は、有事立法決戦の不動の砦(とりで)である。10・13三里塚現地大闘争の爆発へ闘いを強めよう。
 9・1防災訓練粉砕闘争は、有事立法との闘いそのものであり、自衛隊の防衛出動・治安出動、労働者と住民の戦争動員を粉砕する闘いだ。総決起しよう。
 9・11反米ゲリラ戦1周年を革命的に迎え撃ち、小泉訪米阻止とブッシュの対イラク侵略戦争宣言弾劾に立とう。
 超長期獄中闘争を闘う同志の保釈・奪還へ、10万人署名運動と1億円基金運動を全力で推進しよう。
 社・共に代わる労働者党、レーニン主義的革命党の建設が待ったなしだ。今秋大有事立法決戦のただ中で、機関紙拡大、党勢倍増の闘いをなんとしても前進させようではないか。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2067号1面2)

 佐世保 米空母の進路阻む

 全学連先頭に実力阻止行動

 “イラク・北朝鮮攻撃許さぬ”

 反戦共同行動委員会は8月16日、米原子力空母「エイブラハム・リンカーン」佐世保寄港阻止の闘いに海陸で決起した。全学連を先頭に全国から180人が結集。海上デモ船はリンカーンに肉薄する激しい闘いを、約3時間展開した。
 佐世保に寄港した空母リンカーンは全長332b、満載排水量10万dを超え、5350人が乗り込む世界最大の原子力空母だ。アフガニスタン侵略戦争のためインド洋に出撃する作戦行動中の寄港だ。甲板には、1月に配備された核爆弾も搭載可能という最新鋭戦闘攻撃機FA18スーパーホーネットなど約60機が臨戦態勢で並んでいる。この黒い殺人機が明日にもアフガニスタンやイラク人民を虐殺するのだ! 怒りに身の震える思いだ。
 早朝5時過ぎ、九州大学自治会や中核旗など十数本の旗を林立させた2隻の反戦共同行動委員会のデモ船が出港した。船体には英文で「日・米帝国主義は、アフガニスタン人民虐殺を直ちに止めよ」と大書された横断幕も。約60人が乗り込み、佐世保湾のはるか沖合の東中国海でリンカーンを迎え撃った。
 午前7時30分、黒島の先でリンカーンの艦影を発見した。見る間に世界最大の原子力空母の巨大な全貌(ぜんぼう)が現れた。海上デモ船はただちに闘争態勢をとった。
 「この空母がアフガン人民やイラク人民を虐殺するのだ。絶対に許せない。命がけの実力闘争で闘おう」と船上の学生から声があがる。海上保安庁の巡視船を巧みにかわしてデモ船がリンカーンの前に出た。巨大な空母が減速する。あわててデモ船を追いかける巡視艇。シュプレヒコールがリンカーンの巨大な灰色の壁に当たりこだまする。甲板には多数の乗組員が立ち、デモ船を見ている。
 デモ船は3時間近く、リンカーンの前や横を並走、弾劾を続けた。港では、佐世保地区労などの抗議船十数隻が、「佐世保の出撃拠点化反対」などとシュプレヒコールをくり返しながらリンカーンを周回。佐世保港には、全港湾などの赤旗が林立し、歓迎ムードなどひとかけらもない。激しい抗議行動の中、9時36分、リンカーンは佐世保港中央部の停泊海域に投錨した。
 陸上では佐世保地区労などが「迎え撃ち集会」を開き、陸上から「核艦艇の入港反対」「有事法制反対」と気勢をあげ、海上デモ隊の奮闘に連帯して闘った。
 今回の原子力空母リンカーンの佐世保寄港は、イラク攻撃をにらんだものである。さらに、リンカーンの佐世保入港に伴って、随伴艦のイージス巡洋艦シャイローが民間港の博多港に入港した。米空母機動部隊の艦船が、朝鮮半島に近い博多港に入るのは初めてだ。佐世保・博多を、北朝鮮・中国侵略戦争の拠点にする攻撃だ。佐世保闘争の意義はますます大きい。
 午後からは佐世保市内の中央公園で反戦共同行動委員会主催の弾劾集会とデモを行った。反戦共同行動・福岡の石崎昭哲代表が「佐世保を人殺しの出撃基地にしてはならない」「有事法案を廃案へ」と訴えた。
 集会後、ただちにデモに出発した。全学連を先頭にジグザグデモをくり返しながら、米軍佐世保基地に近付いていく。基地のゲート前にいた数百人の長崎県警機動隊はデモが近づくと大動揺。「入港弾劾」「イラク侵略戦争阻止」。押しあいが続き、全学連が機動隊に激突する。ゲート前が騒然となった。デモ隊はさらに激しく弾劾を続け、デモを貫徹した。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2067号1面3)

 2千人が集会

 米空母反対で

 「有事立法絶対粉砕! ムスリム、アジア人民と連帯し、日帝・小泉政権を打倒するぞ!」。前日の海上デモに引き続き全学連を先頭とする反戦共同行動委員会は佐世保市松浦公園に断固として登場した。
 8月17日午後1時から長崎県平和運動センターと原子力空母リンカーン入港反対現地闘争本部が主催する「来るな! 原子力空母、許すな! 有事法制」全国集会が開催され、北海道から九州各県・沖縄まで全国から2000人の労働者、学生、市民が結集した。
 集会は「米ブッシュ政権、小泉内閣が進める戦争政策や原子力空母の佐世保寄港に断固反対するとともに、有事法制化を許さず」とする決議案を採択。米海軍佐世保基地に向かってデモ行進に出発した。
 基地ゲート前の平瀬ロータリーでは怒りのシュプレヒコールを上げ、佐世保市の中心・四カ町商店街を力強くデモ行進した。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2067号2面1)

 闘争団を守りぬく強固な団結形成を

 路線的に大破産した日共中央の労働運動支配を打ち破ろう

 除名許さず国労の階級的再生へ

 日本共産党中央委員会は7月、「全国30都道府県の労働組合部長会議」を開催し、「4党合意に依存する路線では、1047名の採用差別問題は解決しない」として、「国鉄闘争再構築路線」と称する「路線転換」を打ち出した(前号既報)。この「再構築路線」なるものは、反動革同による4党合意推進路線を積極的に擁護してきた日共中央が、ついにその大破産を突きつけられて強いられたものであり、自己批判を欠落したスターリン主義反革命の延命をかけた必死のあがきである。闘争団を始めとする国労組合員の闘いは、国鉄闘争を死に追いやろうとしてきた反動勢力の一角にすさまじい打撃を与えている。15年に及ぶ国鉄闘争は、有事立法をめぐる労働者階級の根底的流動と結びつき、ついに巨大な勝利の展望をこじ開けた。国鉄闘争は、国労と国鉄闘争の解体を貫こうとする日帝権力、その攻撃に全面屈服したチャレンジと反動革同によって、闘争団の国労からの除名という労働運動史上最悪の裏切りが強行されかねない重大な危機に直面していた。だが、その土壇場で、反動の側こそが大分解・大瓦解(がかい)を始めたのだ。今こそチャレンジと反動革同を打倒し、日共スターリン主義による労働運動支配を断ち切って、国労の階級的再生をかちとることを訴える。

 裏切り者追いつめた力で攻勢に転じる時

 国鉄闘争は、有事立法攻撃そのものとして国鉄闘争の解体をもくろむ権力・資本との熾烈(しれつ)な攻防のただ中にある。
 9・11反米ゲリラ戦と米ブッシュ政権による10・7アフガニスタン侵略戦争の突入をもって世界情勢は一変した。世界戦争の過程がすでに開始されている中で、日帝は有事立法の制定に全力をあげ、労働組合破壊の攻撃を一層激化させている。他方、これに対する労働者階級の反撃が、陸・海・空・港湾労組20団体の闘いを先頭に大きく巻き起こっている。こうした階級攻防の最先端での死闘戦を貫く国鉄闘争は、国鉄労働者のみならず全労働者階級の命運を決める位置にある。だからこそ敵の攻撃は容赦なく、それは闘う者と裏切り者を厳しく峻別(しゅんべつ)するのである。
 日共中央の「再構築路線」は、国鉄闘争の持つこうした全階級性と死闘性に規定されている。彼らはそのただ中で決定的な路線的破産を露呈した。国鉄闘争で起きたこの事態は、直ちに全産別・全労働者階級に波及するものとなる。
 国労を内部から破壊しようと企ててきたチャレンジや反動革同を打倒する闘いは、いまだ決着がついたわけではない。しかし、今起きている事態は、国労解体攻撃との死闘戦の貫徹こそが、反動を締め上げ、彼らに矛盾と破綻(はたん)を強制したということだ。闘う側が攻勢に転ずべき、勝利の情勢が到来したのだ。
 チャレンジや東京地本・酒田一派もまた、反動的結託体制の一角を崩され、権力失陥の危機におびえている。国鉄闘争は、ここに一大転機を迎えた。
 日共中央にこうした「転換」を強制したのは、何よりも闘争団を先頭とする国労組合員の闘いであった。98年5・28反動判決以降激化した権力の国労解体攻撃、それに全面的に屈服したチャレンジと反動革同の暴圧に抗し、あくまでも解雇撤回・地元JR復帰を掲げる闘争団の闘いが、裏切り者を裏切り者としてあぶり出したのだ。
 数年にわたるこの死闘戦を牽引(けんいん)してきたのは、動労千葉の存在と闘いだ。国鉄闘争をめぐる鋭い分岐は、1047人闘争としての国鉄闘争の新たな発展を切り開いている。
 さらに、革共同の19全総−20全総以来の国鉄決戦への突入が、この過程を根底において支えぬいた。チャレンジや日共が日帝に屈服し、国鉄闘争の内部からの解体を陰に陽に策動する中で、革共同は国鉄闘争の勝利に責任をとる党派であることを真っ向から宣言し、その実践に突入した。それが、カクマルに大分裂を強制するとともに、国労内の反動分子をも徹底的に追いつめたのである。
 こうした闘いは、日共中央もくみした、反動革同とチャレンジによる闘争団除名の策動をぎりぎりのところで阻止したのだ。闘争団と国労組合員の原則的な闘いは、その対極にある反動分子どもの不正義を暴き、労働者階級の激しい怒りを引き出した。日共中央も、全労連傘下の労働者を含む全労働者の怒りの標的となる中で「転換」に踏み切らざるをえなかったのだ。
 国労組合員は、反動どもをがたがたに揺さぶった力を手に、今こそ反転攻勢に立たなければならない。

 日共路線を実践した反動革同の罪は重大

 既報のように、日共中央が決定した「再構築路線」の内容は、次のようなものである。
 @4党合意依存路線では1047人問題は解決しない。「労働組合運動の原点に立った路線の確立」を図る。A与党3党声明の根底的弱点を批判し、これを最大限に使い路線転換のチャンスにする。B闘争団への統制処分は、労働組合として本末転倒であり、国労の団結は実現できない。国労は大衆闘争を強めて、闘争団と話し合うべきである。
 この「再構築路線」がいかなる思惑によるものであれ、日共中央が「4党合意依存路線は破綻した」と明言したことは、きわめて重大な意味を持っている。それは、結果として国労本部の方針とは真っ向から対立する。中央本部、エリア、地本において「4党合意依存路線」を最先頭で推進してきた反動革同指導部は窮地に追い込まれた。
 反動革同は、チャレンジと結託して4党合意受諾の1・27大会決定を暴力的に強行した張本人だ。しかも、闘争団の糧道を断つ生活援助金の打ち切りという卑劣な所業にまで及んだのだ。4月26日の与党3党声明に全面的に屈服し、闘争団の除名を最も声高に叫び続けてきたのも彼らである。反動革同指導部は、今さら手のひらを返したように「4党合意に反対」などと言うことができない恐るべき不正義の現実を自らつくり出してしまっている。日共中央の「再構築路線」は、革同内部の混乱・対立・分裂を必ず引き起す。
 日共中央は、「路線転換の取り組みが強められていくなかで、国労内の推進派の分裂、脱落の動きが出てくるだろうし、また党からの離党といった『血』が流れることは考えられる」とまで言っている。彼らは、いわば最も忠実なスターリン主義反革命として振る舞ってきた反動革同を切り捨ててでも、「再構築路線」を貫徹せざるをえないのだ。そうしなければ延命できない、絶体絶命の危機に立たされているのである。

  「ゼロ回答」でウソを暴かれ

 有事立法下の激しい国労解体攻撃は、ペテンやごまかしが通用しないことを日共中央に突きつけた。与党3党声明と6月6日の自民党副幹事長・甘利明の記者会見で、権力は国労本部に闘争団の除名を露骨に要求した。国労本部は、権力の意志を忠実に体現して、5月27日の臨時大会で「次期大会での闘争団への統制処分」を暴力的に決定した。
 だが、権力はゼロ回答以外にないことを明言した。
 それは、「4党合意だけが唯一の解決策」などという暴論を振り回して反対派圧殺の先頭に立っていた反動革同のペテンを権力の側から容赦なく打ち砕いた。「4党合意を受け入れれば2千万、3千万の解決金と3けたのJR復帰がある」というデマで闘争団員を分断し、闘争団の団結を引き裂いてきた反動革同は、ここに至ってその犯罪を全面的に暴かれる絶体絶命の危機に陥った。有事立法攻撃下で、そんなペテンは通用するはずがなかったのだ。
 敵権力の居丈高な国労解体攻撃を裏から支えたのは、反動革同を擁護し続けた日共中央である。
 日共中央は、今になって〃2000年8月の『赤旗』に掲載された「N・S論文」で党の基本見解を示していた”などと言い、「日本共産党は常に無謬(むびゅう)であった」という厚顔無恥な居直りの論理とともに、反革命的な延命を追い求めている。
 だが、「N・S論文」こそ、「4党合意は苦渋の選択」などというペテン的論理を反動革同に与えた元凶だったのだ。

 戦後労働運動を圧殺してきた日共の歴史

 反動革同をして「4党合意依存路線」の最先端を突っ走らせてきた日共中央は、まず何よりも自らの犯した反階級的大罪を全面的に自己批判しなければならない立場にある。だが、日共中央はそのことには知らぬ顔を決め込んで、〃党としては国労の運動路線を転換させるために奮闘する”などとして、上記のような決定を行った。
 「4党合意依存路線」は、日共中央と無縁なところで発生したものでは断じてない。それは、日共中央自身の「国鉄闘争路線」=国鉄闘争解体路線だったのだ。そのことを総括も自己批判もせず、「路線転換」だの「国鉄闘争再構築」だのと唱えること自体に、日共中央の「路線転換」のペテン性は決定的に露呈している。そもそも、闘争団の生命を断つに等しい生活援助金の打ち切りに対しても、日共中央は何ひとつ態度表明をしていないのだ。
 日共中央のこうした「再構築路線」に国労組合員の未来を託することなど断じてできない。そもそも、日共は階級闘争において裏切りと自己破産を繰り返してきた党派である。
 1945−50年における戦後革命の裏切り、57年の国労新潟闘争の最後的圧殺、64年4・17ストへの全面敵対という反革命的所業によって、日本共産党は労働者階級にとって裏切り者の代名詞となった。さらに日共は、76年の第13回党大会でプロレタリア独裁の概念を放棄し、「自由と民主主義の宣言」で反レーニン主義、反マルクス主義へと公然と踏み切った。91年のソ連スターリン主義の崩壊以降、日共の帝国主義への屈服と転向は急速に進行した。94年の第20回党大会では「資本主義の枠内での改革」路線を打ち出し、98年第3回中央委総会では安保容認を決め、00年第22回党大会で「自衛隊活用論」を唱えるに至って、改憲勢力として帝国主義の最後の番兵化に突き進んだのだ。
 この日共の路線を忠実に体現したものこそ、チャレンジ一派と結託しての反動革同による闘争団圧殺の裏切りだったのである。彼らは、国鉄・分割民営化攻撃に階級決戦として対決することを否定し、1047人の国鉄清算事業団からの解雇に際しても、解雇撤回闘争の原則的な貫徹を内側から押しつぶそうと企てた。生活援助金打ち切りの暴挙に手を染め、ついには国労からの闘争団の除名にまで突き進もうとした。帝国主義と対決して闘いを貫こうとする国鉄労働者に一貫して敵対してきたのが日共と反動革同なのである。
 この事実こそ日共の綱領と路線の大破産を示して余りある。日共のもとでは絶対に勝利できないのだ。
 日共中央の「転換」は、有事立法をめぐる階級決戦が開始される中で生起した。連合は、5・16見解で有事立法攻撃の先兵となることを宣言したが、日共中央は決定的な裏切りに突き進むことにたじろいで「転換」に踏み切った。しかし、両者はともに戦後体制を転覆しようとする支配階級のすさまじい攻撃の中での、反動的延命をかけたあがきなのだ。
 こうした日共中央=スターリン主義による労働運動支配を断ち切って、労働者自己解放闘争の最先頭に立つ国労の路線を確立することが、国鉄闘争勝利の道を開くのだ。敵の狙いは、国労と国鉄闘争を絶滅し、あらゆる労働運動−労働組合を鎮圧し翼賛化することによって、有事体制を確立することにある。これと全力で対決し、労働者の階級的団結をなんとしても守り抜くことこそが、勝利の絶対的な条件なのである。この闘いを正面に据えることなく、国労が存立する道はありえない。
 今こそチャレンジと反動革同の執行部を打倒するとともに、日共スターリン主義の労働運動支配を全面的に一掃しよう。闘争団除名の策動を粉砕して、国労の階級的再生をかちとろう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2067号3面1)

 5・16連合見解撤回の大運動を

 「緊急事態の法整備必要」は有事立法賛成=戦争協力だ

 職場から総反撃まき起こせ

 日帝・小泉政権は、民主党などの野党を巻き込み、有事立法3法案を秋の臨時国会で何がなんでも成立させようとしている。戦後最大の政治闘争を爆発させ、絶対に粉砕しよう。そのために反戦共同行動委が呼びかける9・22全国闘争への総決起とともに、連合の5・16「有事立法賛成」見解を撤回させる労働者・労働組合の決起を訴えたい。単産、単組、支部、分会などあらゆるレベルで連合派幹部と徹底対決し、大会などの機関会議で大論争を巻き起こし、有事立法廃案、連合見解撤回の決議を上げよう。

 連合路線を覆す力が廃案の情勢をつくる

 有事3法案とは北朝鮮・中国侵略戦争法案であり、自衛隊が侵略戦争に突入していくための法案である。それは、地方自治体や指定公共機関で働く労働者の協力・動員を始めとする国家総動員体制を構築する以外になし得ない。
 だからこそ日帝は、それらの労働者の大半を組織する日本最大のナショナルセンターである連合を戦争翼賛勢力として取り込み、その支持政党である民主党を「修正協議」に引き込んで成立を図ろうとしているのだ。ここで連合の5・16見解が果たした犯罪的役割はきわめて大きい。700万人余を擁するナショナルセンターがついに侵略戦争に賛成したのだ。この重大事態を真正面から見据えなければならない。
 したがって、今秋の有事立法粉砕決戦において、この連合見解を撤回させる労働者の決起が決定的に重大だ。主要な労働組合が有事立法反対を鮮明にし、連合見解を覆したなら、有事立法を葬り去る決定的な情勢をつくり出すことができる。そして、その労働者・労働組合の巨大な分岐と流動化をつくり出す中でこそ、被抑圧民族人民と連帯して日本帝国主義の侵略戦争突入を阻止する労働運動の階級的うねりと「社・共に代わる労働者党」をつくり出すことができる。今秋決戦における労働者の任務はきわめて重いのである。
 すでに通常国会の闘いの過程で、連合傘下からも連合指導部の制動を打ち破って20労組陣形に合流する決起が開始されているが、それはほんの始まりに過ぎない。もっともっと連合をガタガタに揺さぶる激しい決起が必要なのだ。そのために、あらためて5・16連合見解を徹底批判したい。

 侵略戦争を容認して労働者動員誓う見解

 5・16連合見解は第一に、「憲法の枠内での法整備は必要」と言って、あからさまに有事立法賛成を打ち出している。
 有事3法案が「武力攻撃の予測・おそれ」を口実にして、「自衛戦争」の論理で日帝が北朝鮮・中国に対する侵略戦争を行うための法案であること、このことについて連合見解は一言も批判せず、完全に承認しているのだ。
 「日本が武力による侵略を受けないという保証はなく、……現行の対応システムによっては対処し得ない緊急事態が発生した場合には……それらの緊急事態を速やかに排除し、国民の生命及び財産を守り、基本的人権を尊重するため憲法の枠内での法整備は、基本的には必要である」
 これは小泉の言う「備えあれば憂いなし」とまったく同じ論理だ。あらゆる事態を想定し、それを排除するための法整備を要求しているのである。
 だが、連合が言う「緊急事態」とは、どういう場合に起こるのか。それは、米帝や日帝が北朝鮮・中国への侵略戦争の重圧を強め、北朝鮮・中国がそれに対する必死の反撃態勢をとるということだ。そして、その動きをとらえて武力攻撃が「予測される」「おそれがある」と称して、相手を壊滅的に粉砕するための先制攻撃=侵略戦争に突入するというのが武力攻撃事態法を始めとする有事3法案なのだ。
 連合見解は、この侵略戦争法案としての理念を完全に認め、しかも「大規模テロ」など、武力攻撃事態法案以上に具体的な「緊急事態」を規定しているのだ。
 第二に、連合見解が「本法案は不完全なもの」と言って、あたかも有事法案に反対するかのように言っているのは、実は゛もっと完全な法案をつくれ″ということである。
 「この法案では、あらゆる緊急事態に対して国の独立と主権を守り、国民の存立を保全するという理念が見えず、全体的な法体系が示されていない。とくに、有事における国民の自由と権利がどこまで保障されるのか全く不明」「その点から本法案は不完全なものであり、全体像が明確になっていない中では、総合的な評価も判断もできない」
 だから連合は、「(国民の)どのような権利がどの程度制限されるかについて、明確にすべきである」と要求するのだ。
 この点で、与党3党が継続審議を決めるにあたって、「国民保護法制などの作業を進め、臨時国会において必ず成立を期す」と合意したことは重大である。小泉政権は、「国民保護法制」と称して、「国民」を保護するものであるかのように装いつつ、実際には労働者人民の自由と権利をすべて奪い、在日朝鮮人・中国人を始めとした在日・滞日外国人を徹底的に弾圧し、国家総動員体制を築き上げようとしている。そのための法案の概要を示すことで、民主党を「修正協議」に引き込み、有事3法案の成立を図ろうとしているのだ。
 連合は、政府がこうした連合の要求にこたえ、挙国一致で労働者が積極的に戦争に協力する体制をつくるべきだ、そのための役割を連合にも与えろと要求しているのである。
 第三に、実践的結論として、そうした体制をつくるならば、連合傘下の労働者を積極的に動員すると誓っているのだ。
 連合見解は、「法案は、構成組織の組合員の生命、身体、生活に極めて重大な影響を与え、また組合員が働く職場についても緊急的対処を余儀なくされる性格をもつ」として、協力を義務づけられる指定公共機関などについて列挙している。だが、戦争動員に反対するという言葉はどこにもない。要するに、戦争動員の手続きを明確にしてくれれば、積極的に協力するということなのだ。
 労働者を戦争に動員する国家総動員体制は、労働者の権利や闘いを全面的に圧殺することなしには貫徹できない。職場でストライキやサボタージュなどあらゆる形態の抵抗闘争が起これば、戦争体制はガタガタになる。連合は、政府が連合の役割を認めてくれるなら、こうした闘いを抑え労働者を戦争に動員する積極的役割を果たすと誓っているのである。

 21世紀臨調提言「憲法の枠内で」論が下敷き

 連合見解の「憲法の枠内」の言葉は、自動車総連や造船重機労連、電機連合などの改憲賛成派の強硬論に対して、自治労などがこれを入れることで連合見解をまとめたものである。
 「戦争放棄」の憲法と、戦争のための有事立法が矛盾することは言うまでもない。しかし「憲法の枠内」が何か歯止めにでもなるかのような印象を与えているのだ。改憲派がばっこする連合内で「憲法の枠内」を入れたのだから、少しはましではないかと。
 だが、この「憲法の枠内」論こそが、有事立法推進の最も悪質な論理なのである。その下敷きになったのが、「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」の「国の外交・安全保障・危機管理に関する基本法制上の課題」(今年2月)と題する報告である。
 21世紀臨調は、社会経済生産性本部に事務局を置き、得本元金属労協議長や草野連合事務局長(いずれも自動車総連出身)が参加している。
 この報告は、「戦後日本の最大の欠陥は、総合的な国家戦略が欠落していること」として、その国家戦略にとって「最優先の安全保障上の課題は、まず、憲法の枠内で行いうる諸改革を実行に移すこと」と言う。次に「憲法をはじめとする法的・政治的な制約について国民的な議論を促し、その見直しを始める」と言っている。
 このように「憲法の枠内」と称して有事法制を通してしまい、こうして改憲も進めると言っているのだ。まさに「憲法の枠内」論は、実は資本家どもと一体となった有事立法の現実的推進論であり、国家主義、祖国防衛主義の許しがたい主張なのである。
 「憲法の枠内」という主張は断じて許せない。絶対に撤回させよう。職場から有事立法絶対反対、連合見解撤回の決議運動を大々的に進めよう。そうして絶対に戦争動員を拒否する労働者の力を示す時、有事立法攻撃を根幹において打ち砕くことができるのだ。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2067号4面1)

 「謀略論」本で恥さらすカクマル

 革命軍の戦闘に圧倒されて黒田が逃げ込んだデマ物語

 滝沢 輝規

 今年5月、カクマル出版社=「あかね図書販売」から『ドキュメント資料 内ゲバにみる警備公安警察の犯罪』(上・下)なる「謀略論」本が発行された。編著者は玉川信明なるカクマル組織外の人物となっているが、内容から見て、カクマル頭目・黒田寛一の指示のもとで編集・出版の全過程をカクマル自身が行ったものである。これまでのカクマルデマ物語=「謀略論」のゴミくずを集めたものである。上・下巻で1000ページを超える内容の9割以上は、過去の反革命通信『解放』に掲載されたデッチあげ「謀略物語」(1974年以来のわが革命軍による対カクマル赤色テロル戦を「権力の謀略」と宣伝するデマ)の記事を寄せ集めたものである。

 出版自体が「謀略論」の大破産の墓標

 すでに色あせてしまっている「謀略論」を今になってまとめて出版しなければならなくなっていること自身に、黒田とカクマルの組織事情がある。つまりこの本の出版目的は、「神戸謀略論」(*)をもってカクマル組織内でも最後的に破産してしまった黒田主導の「謀略論」をなんとか救い出そうとするところにある。カクマルにとって、謀略論の破産を認めてしまえばすべては終わり、組織はまったく成り立たない切羽詰まった状態にあるのだ。
 *「神戸謀略論」 97年の神戸小学生連続殺傷事件について、犯人はA少年ではなく、CIAのしわざであるとしてカクマルが展開したデマ運動。
 しかし、いくらうずたかく積み上げても、デマはデマでしかない。ゼロは何百倍してもゼロでしかない。カクマルが二十数年にわたってデタラメなデマを並べ立ててきたことを自己暴露するガラクタの山、恥さらしの集大成である。
 70年安保・沖縄決戦で、中核派は端緒的な武装闘争で階級闘争の新段階を切り開いた。この現実に打ちのめされ、路線的に行き詰まったカクマルは、中核派に対して「武装蜂起妄想主義」とか「革命主義」と非難して、中核派に対する2度の破防法弾圧に乗じて、権力に対してはけっして向けない武器をもって背後から襲いかかってきたのである。警察=カクマル連合(K=K連合)と言う。
 われわれは、権力とカクマルという二重の反革命に対して、反撃しなければならなかった。戦略的防御・対峙・総反攻の段階的戦略をもって、革命軍を先頭に全力で戦った。特に、73年9月にカクマルに対する報復戦に突入して以来、戦闘につぐ戦闘でカクマルを圧倒的に追い詰めた。「K=K連合」に依拠し、初期的奇襲性に酔っていたカクマルは、戦争指導の破綻(はたん)を突き付けられたのである。
 74年6月にカクマルが叫び始めた「謀略論」は、黒田の脆弱(ぜいじゃく)性を根拠としたものであり、黒田哲学の観念性を全面開花させたものである。それは、「中核派が行った戦闘は権力による謀略だ(襲撃者は権力で、中核派はそれを追認しているにすぎない)」というものであり、中核派との戦争に敗北したことだけは認めたくないということを動機に打ち出された荒唐無稽(こうとうむけい)なデマ物語である。
 それは、わが革命軍の索敵情報活動の素晴らしさや練り上げられた戦闘の立派さ、権力に一指も触れさせない撤収の完璧(かんぺき)さに圧倒され驚いて悲鳴を上げたものでしかない。初めから事実を直視できず、黒田の「政治的判断」に意義付与するためのデマづくりで成り立ってきたのだ。
 さて、この本の構成は反革命通信『解放』のデマ記事収録以外では、@玉川による黒田インタビュー、AJR労働者の座談会、Bコラム・関係者インタビュー、C年表、D玉川の解説などからなっている。玉川のまえがきや解説、年表も含めてすべてカクマルが書いた原稿である。
 お笑いなのは、それを玉川信明なる人物を買収し、その名義を借りて語らせなければならないほどに、黒田とカクマル指導部の権威が失われ、「謀略論」がボロボロになってしまっていることである。あらためてわれわれは対カクマル赤色テロル戦のさん然と輝く勝利の歴史、対カクマル戦30年の圧倒的勝利を、この本から確認できる。
 ところで、この玉川信明とはどのような人物か。
 玉川は、ここでは自らをアナーキストと押し出しているが、上巻のまえがきで本人の言として書いてあるように、二十歳代前半は日本共産党員であったがマルクス主義者として階級的革命的実践を貫く立場に立てずに、むしろ「マルクス主義の客観主義に、絶えず救われない自己の悲哀を感じ」、三十歳代には大正時代のニヒリスト・辻潤に傾倒、さらにその後はカルト集団・山岸会に夢中になったという小ブル的で観念的に逆立ちした人間である。「同じような視線で彼ら(梅本克己、三浦つとむ、武谷三男など)に関心を持っていたのが黒田寛一」で、そうした関心の共通性から黒田と親しくなり「なぜかウマがあうところがあって……中断時期もあったが」手紙の交換をするなど「互いの絆(きずな)を強めていった」と言っている。〃類は友を呼ぶ”とはこういうことで、黒田と玉川は階級闘争に「救われない自己の悲哀を感じ」る人間として交通していたのだ。

 「神戸謀略論」はどこへ消えた?

 下巻の表紙の帯には、この謀略本の宣伝文句が次のように記されている。 
 『「内ゲバ」時代の謀略とはどんなものだったのか?/職業的専門工作者(プロフェッショナル)の襲撃 その真相にせまる!/三里塚・サミット謀略、鉄道妨害などの事件の真実を実証と推理で暴いたドキュメント集!』
 つまり、「謀略」とは「カクマルに対する襲撃」+「三里塚・サミット謀略、鉄道妨害」だと言っているのだ。ところが、カクマルが載せている「謀略年表」には、96年以後のゲリラ戦、列車妨害事件について「謀略」とか、「〜が追認」といった記載が一切見当たらない。95年までの部分にはすべてそうした記載があるのにである。
 そしてカクマルが謀略だと叫んできた「O−157食中毒事件」「地下鉄サリン事件」「和歌山カレー事件」、そして何よりも「神戸少年事件」が単なる「事件」として記載されているだけである。玉川の「解説」でも完全に後景化している。
 つまりこの本の特徴は、カクマル「謀略」史から、これらの「謀略論」がそっくり外されているということである。「内ゲバ」襲撃=「権力の謀略」ということだけを強調する形にしている。「神戸謀略論」で破産した「謀略論」の修正を図っているのである。

 本多書記長虐殺を開き直る黒田

 この本の中で唯一、玉川が自分の心情をそれなりに表現しているのが、〈特別付録 その二〉の黒田インタビューである。
 玉川は「(カクマルによる七一年)八月十四日の法政大攻撃が『内ゲバの循環』をもたらした」と黒田を追及するのだが、黒田は言を左右にしてはぐらかし、「集団戦に次々に敗北した中核派や青解派に国家権力がテコ入れをはじめた。……謀略襲撃と、これにたいするわが特別行動隊がおこなった直接的党派闘争」は別の問題だとすりぬけ、「権力の謀略襲撃」に話をずらし、しまいには(玉川に)「あんた! 反権力の意志はなくなったのか?」と事実から逃げ出して立場性の問題に話をすりかえるのである。ここでも明らかなように「謀略論」の神髄は、事実の解明ではなく、謀略論(=黒田)を信じるかどうかという問題なのだ。
 すべて「謀略論」にもっていく黒田は、許せないことに75年3月14日の本多延嘉革共同書記長の虐殺について開き直っている。
 「七〇年安保=沖縄闘争を『日本における〇五年革命』とみたてた。こうして武井(本多書記長)自身が『破防法を引きだす』……とほざきはじめ、武闘主義に転落したのだ」「七〇年安保=沖縄闘争を前にして武装蜂起をがなりたて、この闘争の敗北の直後には『殲滅(せんめつ)の思想をもって……』とか『無制限・無差別産別戦争』とかを……呼号した」、だから殺したのだ、と言っている。これが黒田による本多書記長虐殺の心情であり、動機であり、ついに自分の口で語った白色テロル=暗殺指令の告白である。
 黒田は、62〜63年に革共同から逃亡した時から本多書記長へのコンプレックスを抱き、革共同の解体、本多書記長の虐殺を意図していたのだ。自らの政治的=組織的・イデオロギー的破産を認めようとせず、小ブル的自己保身と革命党に対する反革命心情をもって、かけがえのない本多書記長の命を奪ったのである。まぎれもない反革命そのものだ。どんなことがあっても、黒田を革命的に処刑し、恥多き死を強制しなければならない。
 インタビューの最後に、玉川が「機関紙ではずっと『勝利』だの『中核は瓦解(がかい)寸前』だのと繰りかえしている。にもかかわらず、両派とも軍団が健在なのはどういうわけか?」と質問している。これに黒田は「また同じことを繰りかえす。謀略なのだ!」といらだち、「一九九六年五月十四日の虐殺事件以降には殺人襲撃事件はおきていない。たぶんC1Aの再編成がおこなわれているからだろう」と言ってほっとしているのである。黒田が「謀略論」に固執するのは中核派との「内戦」における敗北という現実から逃れたいだけなのだ。

 デッチあげ物語が随所で大破産

 この本には上・下巻で合計31編の「関係者インタビュー」と玉川の概説が挿入されている。「謀略論」にリアリティをもたせるつもりの企画であろうが、それはいたるところで破産しているのだ。そのいくつかを暴露する。
(1)「ホヲトク印刷事件」(74年6月30日)「第一次謀略」
 カクマルが『解放』の印刷を外注していた東京商工印刷(千代田区)を74年6月20日に中核派が粉砕した後、カクマルはホヲトク印刷(新宿区)で『解放』を刷り始める。そこをわが革命軍が直ちに摘発して粉砕した。これを「権力の謀略襲撃」と言ったのが、カクマルの「謀略論」の出発点である。この件についてこの本はこう言っている。
 「この事件の発生後、革マル派は十数名の調査班を組み……調査した。その結果、なんとこの事件はホヲトク印刷のほぼ真向かいにある空き家のはずの菅井宅を諜報(ちょうほう)・出撃拠点として仕組まれたものであったことが判明し、拠点の現場責任者は四機河尻中隊長に他ならないことまで突き止められた。……ところがこの空き家については革マル派は……とうに三月以来承知していたのである。……彼らは自分たちが革マル派の逆監視下にあり……警官の実体、所属部隊までもがつかまれていたことを知らなかった」
 これは、当時の『解放』では「五月から監視下にあった」と説明している。いずれにしても6月20日にわが中核派によって東京商工印刷が粉砕されて使えなくなるはるか前から、カクマルがホヲトク印刷前の空き家を監視していたというのだ。つまり、カクマルは、「謀略部隊」=警察が真向かいにいるから安全と思ってホヲトク印刷に移ったということになるのだ。
 ホヲトク印刷の襲撃について調査する中で、「6・20東京商工印刷に対する吹きぬけ襲撃の背後にもまた国家権力の黒い手が動いていることを暴き出した」などと言っているが、自ら「謀略部隊=権力」の監視下に入るとは、そもそもの出発点からこの物語は破産しているではないか。
(2)「大井署警備課長・大巴薫が襲撃を指揮」(74年9月23日)「第二次謀略」
 カクマル「全学連」委員長(当時)の前川健をわが革命軍がせん滅した戦闘について、カクマルは「大井署警備課長・大巴」が指揮し実行した「謀略」であると主張してきた。その唯一の理由は、前川が直後に「オオトモにやられた」とうわ言のように繰り返した、という一点のみである。この点について、この本では、今日の時点で前川の回想を載せている。
 「『日光マンション』にタクシーで帰ったこと、ドアを開けた時に風呂場の電気がつけっぱなしになっており、『あれ?』と思ったことなどを思い出すことができた。だが実に情けないことに、それ以後の記憶は蘇(よみがえ)ってこない」「私は一九七三年四月二七日に……パクられ、起訴された。……ある日、四十代半ばの背丈の低い小太りの取調官が、初対面の私を、最初からガーガー恫喝しわめきたて続けた。……『取り調べをしないのなら房にもどせ』と私は抗議した。キレてしまったこのデカは怒鳴りちらしながら部屋から出ていった。……もしこのデカ野郎が別の時に『員面調書』に署名しておれば、私は確実にこの男の名前と顔を覚えたに違いない。そして事件は、この一年半後である」
 この回想では、前川は襲撃された時のことは何も思い出せないが、それ以前の記憶は失われていない。そこでは前川は、〃キレたデカ”の背格好まで記憶しているにもかかわらず、この取調官が「オオトモ」かどうかを知らない、名前も覚えていないと言っているのだ。本人が覚えていない取り調べのデカを当時の『解放』は「かつて前川君を取り調べた男」と言っている。うわ言の「オオトモ」は作り話であったことが暴露されているのだ。
(3)「三カ所同時襲撃の謀略隊員を打ち倒す」(74年12月16日)「第三次謀略」
 東京・港区、墨田区、北区のカクマルアジト3カ所を革命軍が同時攻撃した戦闘については、次のように言っている。
 「A地点の襲撃は謀略隊員と中核派と暴走族との混成部隊によりなされ、中核派の特定メンバーを生贄(いけにえ)逮捕……C地点の襲撃部隊は屋上からロープを伝わって襲撃したのであるが、活動家たちが投げつけた食器の音にあわてて……逃亡……B地点においては、襲撃部隊を迎え撃った全学連活動家が襲撃者一名を打ち倒した。この打ち倒された犯人Xが権力の特殊謀略隊員であることを、革マル派は数々の確実な証拠をもって明らかにし、暴露した」
 また別なところではこう言う。「警察権力とそれによって動員されたヤクザ・ゴロツキであったという可能性もまたきわめて大なのだ」(当時の『解放』)
 いったい「中核派と暴走族と特殊謀略部隊とヤクザ・ゴロツキ分子」がカクマルを一斉に襲撃することなど、どこをどう押したら出てくるのだ。こういう根も葉もない勝手な作り話が「謀略論」ではえんえんと並んでいるのである。
 しかも、ここで打ち倒したという「X」は病院のベッドで「暇をもて余して読む本はといえば、マンガ以外には『ゾルゲ事件』『パリは燃えているか?』といったたぐいのもの」(当時の『解放』)。「Xは若く、色白で、痩せていて、……あえていえば新米警官かなと思ったものです。(私が話しかけるとXは)言葉を濁して、ゴソゴソしはじめたと思ったら『前進』を広げて、私の質問には対応しないという態度を示しました」(関係者インタビュー)
 なんと「X」に関する記述は特殊謀略隊員→ヤクザ・ゴロツキ分子→『前進』を読む(?)やせた新米警官(なんだこれは! 病院のベッドで『前進』を読む警官がどこにいるのか!)と変化しているのだ。
 「謀略論」とはこのようにすべて実にでたらめで、一貫性のなさに満ちている。このことにあらためてあきれかえる。「第一次」から「第十二次」まですべての「謀略論」はこのようにカクマルによる底の浅いデマ物語でしかない。

 黒田とカクマルに未来はない

 カクマルにとって「謀略論」は、黒田主導による反革命基本路線であり、カクマル党組織論であり、「運動」論であり、また対革共同の戦争論である。
 そのうえ重要なことは、黒田によるカクマル組織内の権力闘争そのものだということである。
 黒田は78年、山代冬樹を書記長の座から追い落とす時に、黒田による清水同志「失脚」説に異を唱えた山代を「実感主義者」として弾劾し、更迭した。今、「失脚」物語はどこにいったのか? 口をつぐみ、いつの間にか清水議長の健在を認めている。黒田とカクマル指導部にとって問題は、真実は何かなのではなく、黒田の「政治判断」に従うかどうかなのである。黒田の組織的権威に追従するかどうかが「謀略論」のポイントなのである。
 問題は、この「謀略論」が「神戸謀略論」をもって最後的に破産してしまったことである。「謀略論」の破産はそのまま、黒田の権威の失墜であり、JR総連が離反した今のカクマル組織の唯一のよりどころの瓦解なのである。
 もはや、論文を書くことはもちろん、筋道だった話ひとつできず、自己の直観を「歌」で方針化して権威付けするしかない黒田と、それに付き従うカクマル指導部。玉川を使った「謀略本」の出版は、このカクマル組織で進行する瓦解をくい止めるための黒田とカクマル指導部の権威復活をかけたものなのである。しかし、その延命策動はまったく展望がない。
 この本に貫かれていることは、戦争に敗北しているという唯物論的事実から逃げ出し、それを防ぐ組織的闘いをせず、「権力は万能だから、やられてもしかたない」と「謀略論」−権力万能神話を極限化し、内戦における黒田の戦争指導責任をあいまいにさせていることである。ここには、わが中核派の赤色テロル戦に対する敗北というおのれの戦争指導責任から逃げ回る卑劣漢・黒田の姿がある。
 それだけではない。黒田とカクマル指導部は、赤色テロルでせん滅された78人をもちあげ、「権力に謀殺された者たちのことを考えろ!」と転倒させてメンバーを恫喝し、「謀略論を信じろ」と組織的引き締めを図る材料にしているのだ。「謀略論」の無責任性、御都合主義が現れている。
 黒田・カクマルは、玉川を買収して名義も買い取りカクマルの言うがままの本を出させた。しかし、玉川も一抹の後ろめたさを感じたのだろう。「あとがき」の中で「これでやれやれお終い……」と言ってため息をつき、また自分一人ではこんな膨大な作業はできなかった、「革マル派の組織や『あかね図書販売』の皆さん等大勢の方々」が全面的にやったんだ、と白状している。破産した「謀略論」を取り繕うためにこんな人物を利用することしかできなくなっているのだ。
 今のカクマルは、『黒田寛一のレーベンと為事(しごと)』の感想文をもって黒田帰依運動で組織を維持しているが、しかしその黒田は日本主義礼賛者になりきって階級闘争に敵対し、聞くに堪えない「歌」を詠んで指導と称しているありさまである。もはやカクマルに未来はない。有事立法粉砕闘争の爆発がカクマルをますます追いつめることは必至だ。絶望的にファシスト軍事行動に出て来ざるを得ないカクマルを革命的武装自衛態勢で粉砕し、完全打倒へ攻めのぼろう!
 第6回大会路線で武装し黒田とカクマルの最後的打倒に向かって追撃しよう!

 ◆対カクマル戦年表◆

62〜63
革共同第3次分裂、黒田ら逃亡
67
10. 8
佐藤訪ベトナム阻止羽田闘争
69
4.27
本多書記長らに破防法弾圧
69
11  
佐藤訪米阻止闘争
71
11  
沖縄返還協定批准阻止闘争
革共同に破防法弾圧
71
.12. 4
カクマルが関西大で武装襲撃
73
9.21
革命的報復戦に突入
74
6.30
革命軍がホヲトク印刷攻撃。カクマルが「謀略」デマ唱え始める
8. 3
戦略的総反攻突入を宣言
9.23
カクマル前川健をせん滅
「第2次謀略」唱える
12. 1
関西で3カ所同時攻撃
「第3次謀略」唱える
12.16
東京で3カ所同時攻撃
75
3.14
カクマル、本多延嘉書記長虐殺
革命軍、3・14復讐戦突入
77
1〜 
カクマルが「水本デマ」運動
80
10.30
3・14虐殺下手人5人完全せん滅
81
9  
先制的内戦戦略の第2段階突入
85
三里塚・国鉄決戦
85〜86
カクマルが国鉄分割・民営化攻撃の先兵に転落
86〜
国鉄カクマルせん滅戦
91
5  
革共同が5月テーゼを打ち出す
97
6〜 
カクマルが「神戸謀略論」運動
99
.12〜 
カクマルとJR総連分裂表面化

------------------------TOPへ---------------------------