ZENSHIN 2002/09/09(No2068 p08)

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週刊『前進』(2068号1面1)

革共同の9月アピール
9・22有事4法案阻止デモへ 急迫するイラク侵略戦争阻止を
 査問委凍結・4党合意破棄へ国労70回大会を直ちに開け

 昨年の9・11反米ゲリラ戦争から1年。世界史は、9・11と10・7を画期とする新しい帝国主義戦争=世界戦争の時代に入った。世界大恐慌と第3次世界戦争への過程が恐るべき勢いで進展している。切迫する米帝のイラク侵略戦争突入情勢に対して、日帝は、今秋臨時国会で有事4法案(有事3法案に個人情報保護法案を加えて)を何がなんでも成立させようとしている。今こそ、反戦共同行動委員会が呼びかける9・22闘争を全力でかちとり、有事立法粉砕決戦を戦後史上最大最高の政治闘争として爆発させ、有事4法案を粉々に粉砕しなければならない。国鉄1047人闘争の不屈の前進が、日本共産党の大破綻(はたん)をつくりだし、「国鉄闘争再構築」路線なる官僚主義的大ペテンを策動せざるをえなくさせ、チャレンジ・反動革同を追いつめ、国鉄決戦勝利へ反転攻勢のチャンスを引き寄せている。今こそチャレンジと反動革同を打倒し、日共スターリン主義による労働運動支配を断ち切って、国労の階級的再生をかちとろう。国鉄決戦の勝利と一体で「5・16連合見解」撤回を実現しよう。この内乱的激動の中でこそ革命党の3つの義務を闘いぬき、強大な労働者党を建設しよう。

 第1章 米帝の世界戦争計画とイラク攻撃の切迫

 9・22闘争を当面の焦点とする今秋の有事立法決戦の第一の課題は、米帝ブッシュの世界戦争計画と全面的に対決し、有事4法案粉砕に総決起することだ。
 世界最大最強の帝国主義であるアメリカ帝国主義の没落が進行している。米バブルが崩壊し、ドルの暴落と29年型世界大恐慌過程へ本格的に突入している。米帝は、その危機をのりきるために、圧倒的な軍事力をもって世界戦争にのめり込んでいく以外にないのだ。
 今や米帝ブッシュは、01年QDR(4年ごとの国防計画見直し)とNPR(核戦力態勢の見直し)、8月15日に発表した02年米国防報告に示されている新たな世界戦争戦略を発動している。
 国防報告は、@「米国の防衛には予防的な処置と、時には先制攻撃が必要」「米国は可能なあらゆる手段を行使する」と言っている。これは、「悪の枢軸」と決めつけたイラク、イラン、北朝鮮への侵略戦争を「対テロ戦争」の名のもとに先制攻撃や核兵器使用も辞さずに行うという宣言である。
 Aこれに加えて、「アジア地域には、今後(米国に)対抗可能な軍事的競争相手が出現する可能性がある」と主張している。ここでは、米帝の世界戦争政治の戦略的目的が中国侵略戦争にあり、中国スターリン主義体制の転覆にあることを示している。さらに、対日帝を始めとした帝国主義間争闘戦と帝国主義間戦争をも想定した宣言である。
 米帝ブッシュの世界戦争計画は、世界大戦的に侵略戦争を拡大し、国内階級闘争を壊滅させ、被抑圧民族を殺りくし、収奪し、帝国主義間争闘戦・戦争にかちぬき、世界の市場・資源・勢力圏を米帝のもとに再編しようとするものである。急迫するイラク侵略戦争を絶対に阻止するために、今秋有事立法粉砕の決戦に猛然と立ち上がろう!
 米帝ブッシュは、イラク政権の打倒に向けフセイン大統領殺害も含めた包括的な極秘作戦の遂行を中央情報局(CIA)に命じた(6・16付ワシントン・ポスト)。また、米中央軍の対イラク戦争計画(7〜25万人の兵力投入でイラクを占領する計画)のさらに詳細な内容がスクープされた(7・5付ニューヨーク・タイムズ)。8月3日には、ボルトン米国務次官が、たとえイラクが査察を受け入れても、「(フセイン政権打倒の)方針は変わらない」などとイラクに軍事重圧・軍事挑発をかけている。
 米日帝は、アフガニスタン人民、パレスチナ人民を現在も虐殺し続けながら、その血塗られた手でイラク侵略戦争に突入し、核兵器をも使用して多くのイラク人民を虐殺しようとしている。91年のイラク・中東侵略戦争以来続く経済制裁と空爆で今も多数のイラク人民が殺され続けているのだ。
 われわれは、「パレスチナ・中東・イスラム諸国をめぐる帝国主義と被抑圧民族人民の激しい攻防」に対して、「本格的な反戦闘争をまったく組織しえなかった」(『清水丈夫選集』第5巻序文)という階級的反省に立って、有事立法を粉砕し、イラク侵略戦争を阻止しなければならない。
 米帝はさらに、北朝鮮に対しては核査察重圧をかけ続け、米原子力空母リンカーンを佐世保に寄港させて軍事重圧を加えている。イラク侵略戦争突入は、直ちに北朝鮮・中国侵略戦争に連動する。
 9・11反米ゲリラ戦争を画期として、被抑圧民族人民の民族解放・革命戦争と帝国主義国における国際反戦闘争が燃え広がっている。今秋の大有事立法決戦を「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」の戦略的スローガンの実現のために全力で闘おう。

 有事4法案を徹底的に批判し粉砕しよう

 第二の課題は、米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争法である有事4法案を絶対に粉砕する大闘争に立ち上がることである。
 日帝・小泉の有事立法攻撃は、世界恐慌情勢の到来下での米帝の対日争闘戦をはらむ対中国の世界大的戦争戦略の確立にもとづく攻撃に対応しようとするものである。
 有事4法案(武力攻撃事態法案・安全保障会議設置法改正案・自衛隊法改正案と個人情報保護法案)の本質は、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に日帝が全面的、積極的に国をあげて参戦していくための侵略戦争法案ということにある。有事3法案は、国をあげての戦争突入体制をつくり、沖縄を再び真っ先に戦場と化すものであり、内閣総理大臣が自ら戦争遂行のための独裁的戦争権限を一手に掌握し、戦争の政治的軍事的指導体制をつくり、国家と国民を戦争に総動員していく法案である。軍の命令に従わなければ処罰し、自衛隊が直ちに侵略戦争に突入していくための法案である。
 「備えあれば憂いなし」論を、徹底粉砕しなければならない。有事3法案は、米日帝が北朝鮮・中国に先制的に攻めかかることを戦略の土台にすえており、これに対する被攻撃国のミサイルやゲリラ戦による反撃に発展することもありうることをとらえ、「自衛権」の発動による全面戦争へと突入していくことを狙っているものなのである。まさに、沖縄の犠牲の上に侵略戦争の合法化を狙った法案そのものなのだ。
 日帝は、秋の臨時国会で有事立法成立を強行しようとしている。
 日帝・小泉は、9・11反米ゲリラ戦争1周年に訪米し、日米首脳会談を行い、米帝のイラク侵略戦争への参戦協力とそのために有事立法の早期成立を約束する。すでに7月31日には、「大規模テロや不審船対策」を法案に盛り込むように指示し、「国民保護」など、関連省庁による7つの作業チームを発足させ追加法案づくりを推進している。さらに、民主党との修正協議を通じて秋の臨時国会で成立をめざす考えを強調している。山崎自民党幹事長は、「個人情報保護法案も有事関連法案も成立を目指す。そのための臨時国会だ」「修正協議に民主党が応じない場合は、与党3党で修正案を提出する」(8・17記者会見)と与党単独でも成立させる方針を示している。
 個人情報保護法案は、住基ネットと一体で有事立法の第4番目の法案ともいうべき大攻撃である。絶対に粉砕せよ。
 ひとつには、すさまじい言論統制法だということである! 「保護」の名で国家による情報の管理・統制を強化する、徹底した言論弾圧・表現弾圧の法だ。これは、国家機密保護法の第一歩であり、明白な反戦闘争禁止法である。
 ふたつに、総背番号制をテコとしての個人の治安管理の決定的武器となる、すさまじい治安立法だということである。住基ネットは、どんな独裁国家でもつくれなかった国民監視・管理システムを確立するものである。これは有事立法と一体であり、戦争遂行(徴兵名簿作成、反戦思想や反政府思想の弾圧)のためのシステムそのものである。
 9・22芝公園に全国から総結集し、有事4法案を粉砕せよ。有事立法反対の署名運動を全力をあげて達成しよう。

 第2章 5・16連合見解撤回の大運動まき起こせ

 第三の課題は、5・16連合見解を徹底的に批判し、自治労・教労を先頭に、現場から連合見解撤回の大決議運動をまき起こすことだ。帝国主義的労働運動に転落した連合を革命的に揺さぶり、連合傘下から有事立法粉砕の大運動をつくりだし、そのことをとおして階級的労働運動の防衛と再生を、国鉄決戦の推進を軸にして闘いとることである。
 連合見解の核心部分は以下のとおりだ。「日本が武力による侵略を受けないという保証はなく、また大規模テロ、化学兵器、武装ゲリラ、サイバーテロ……など、現行の対応システムによっては対処しえない緊急事態が発生した場合には……それらの緊急事態を速やかに排除し、国民の生命及び財産を守り、基本的人権を尊重するため憲法の枠内での法整備は、基本的には必要である」
 @「憲法の枠内での法整備は、基本的には必要」と明言し、連合という労働組合のナショナルセンターが、戦後史上初めて、日本が侵略戦争にうって出ることに賛成し、連合傘下700万人の労働者を始めとする労働者階級全体を積極的に戦争動員、戦争協力に駆り立てる役割を買って出ると宣言したのである。
 Aまた連合見解は、「対処しえない緊急事態」を具体的に列挙し、特定することで、武力攻撃事態の「おそれ」「予測」をいくらでも拡大解釈できる無制限的な保証を政府に与えたのである。
 そして、「緊急事態を速やかに排除」すべきと先制攻撃をしかけ、全力で相手を粉砕すべきだと主張している。武力攻撃事態法案でいう「対処措置」(戦争への突入)が十分にできるような完璧な法案にすべきであると主張しているのだ。
 さらに「緊急事態」の具体的列挙と「速やかな排除」の主張は、すさまじい排外主義=祖国防衛主義の扇動となっている。この大攻撃を絶対に粉砕しよう。
 連合は、「武力行使」=先制攻撃=侵略戦争を積極的に認めるだけではなく、有事3法案が北朝鮮・中国侵略戦争法案であるという核心を認め、むしろそこへの労働者の動員をあおっているのだ。
 Bさらに連合見解の「憲法の枠内で」というペテンと矛盾と反動性について暴露、弾劾しなくてはならない。
 そもそも戦争放棄をうたった憲法の枠内で、戦争を行う有事立法が成立するはずがない。これは、自治労本部の提案によるものだが、「憲法の枠内」という文言を入れることで何か「歯止め」にしようと提案したのではない。
 その出どころは、「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」の「国の基本法制検討会議・中間報告」にある。21世紀臨調は、日帝ブルジョアジーと民主党、連合などで構成されている。
 21世紀臨調の目的は、米帝の新たな世界戦争計画であるQDRで、米帝が「帝国主義的国益を唯一の『正義』とし、国益のための戦争は正義であるとして、軍事力の行使−侵略戦争をどしどし実行していく」と「新帝国主義宣言」(清水選集第5巻序文)ともいうべき主張を行っていることに対応できる帝国主義日本をめざそうとするものである。
 そのために「中間報告」では、「人間の安全保障」論として「最優先の安全保障上の課題は、憲法の枠内で行いうる諸改革を実行に移す」ことであると主張する。これが、自治労見解や連合見解の大きなベースになっている。ここで言う「諸改革」とは、「集団的自衛権問題」であり、有事立法のことである。これらを「憲法の枠内」と称してガンガン進めようというのである。
 したがってここでの「憲法の枠内」とは、制約や歯止めのことではない。現在の有事立法攻撃を進めていく方向を言っているのであり、改憲へのプログラムを言っているのだ。「改憲をしなくても、集団的自衛権を発動し、有事法制を制定していく」と、現在の有事立法攻撃の方向と現実的な推進論を展開している。そうした攻撃の上で、堂々と改憲を行え、と言っているのだ。
 この連合見解を満身の怒りと危機感をもって弾劾し、撤回させなければならない。職場から5・16連合見解弾劾、撤回決議の運動を巻き起こしていくことが急務である。連合見解を撤回させ、有事立法粉砕に総決起しよう。
 連合は、有事立法攻撃の最弱の環である。労働組合が積極的に推進勢力にならない限り戦争はできない。労働組合が協力しない限り有事体制はできない。だから連合5・16見解問題を階級的分岐点としなければならないのだ。労働運動が戦争勢力になろうとしている時、労働者こそ反戦運動の先頭に立とう。自治労や教労を先頭に全職場で「連合見解撤回、有事法制反対」の決議を上げよう。

 第3章 日共との決別促進し国鉄決戦の勝利開け

 第四の課題は、日本共産党スターリン主義との大党派闘争に勝ち抜き、国鉄決戦勝利へ前進し、「戦闘的労働運動の防衛と再生」を闘いとることである。
 日共中央は7月、「4党合意に依存する路線では、1047名の採用差別問題は解決しない」として、「国鉄闘争再構築路線」を打ち出した。
 この歴史的事態の意味するものは何か。直接的には、日共の指導下の反動革同が4党合意を最右翼で推進した揚げ句、その裏切り路線が、国鉄闘争の営々たる前進によって大破産に直面したということである。
 それは同時に、国鉄分割・民営化以来15年に及ぶ国鉄闘争が、ついに本格的な勝利の展望をこじ開ける局面に突入したということだ。国労と階級的労働運動の防衛・再生へ、一大反転攻勢の絶好のチャンスが到来したということだ。
 しかしそもそも日本共産党中央は、国鉄闘争勝利や労働運動の戦闘的な再生のために「再構築」路線を打ち出したのではない。ただただ、スターリン主義反革命の延命をかけたあがきである。
 何よりも日共は、有事立法攻撃の巨大さに恐怖し、5・16連合見解を「評価する」と表明したことをとおして、有事立法そのものに賛成した。このことが労働者人民に明らかになり、労働者階級の日共への怒りが高まっていたのである。国鉄闘争においては、これまで一貫して4党合意を推進してきたことが労働者階級の怒りを招き、革同と国労の危機、全労連の危機、そして全戦線における日共組織そのものの危機と破産がとどめようもなく深まってきていた。
 日本共産党中央をこのような「路線転換」に追い込んだ力は何か。国鉄闘争勝利への展望を切り開いた原動力は何か。
 何よりもそれは、闘う闘争団・家族の不退転の闘いと、これと一体になったJR本体組合員、支援共闘の仲間の営々たる闘いが展開され、国鉄労働者のみならず全労働者の4党合意への怒りをかきたてた。この怒りは3与党声明によってさらに拡大し、日共の労働運動・労働組合的基盤をも揺るがすものとなったのだ。
 また、分割・民営化反対を最先頭で闘い、ファシスト・カクマルとの攻防に勝ち抜いてきた動労千葉の歴史があり、今春3・30を頂点とした72時間ストライキ闘争に示された労働運動の原則を貫く不屈の闘いがあった。そして、革共同の19全総以来の国鉄決戦路線のねばり強い展開である。だからこそ革共同は国鉄決戦勝利へ、今こそ反転攻勢の最先頭に立って闘うのだ。
 では、闘いとった国鉄闘争勝利の展望をさらに押し開く道は何か。
 第一に、国鉄労働者と全労働者を裏切り、敵権力に売り渡してきた日共中央を徹底的に弾劾することである。日共・反動革同は、00年5月30日に4党合意が提案されて以降、「4党合意は闘いの到達点」「4党合意以外にいかなる解決もあり得ない」として、一貫して4党合意に賛成し、1047人を切り捨てることによって国鉄闘争を「解決」しようとしてきたではないか。それは誰もが周知のことだ。言い逃れはできない。
 日共は、このことを全面的に自己批判せよ。日共の歴史が示しているように、彼らはいつでも裏切りとその居直りを続けてきた党派なのだ。もはやごまかしは許されない。
 第二に、この「路線転換」は、日共=反動革同に決定的な打撃を与え、大きな混乱と動揺をもたらしている。さらに、国鉄闘争が持つ基軸性からして、全労働運動を大流動と大再編にたたき込んでいる。今こそ路線的破産を露呈し、危機と混乱にあえぐ日共・革同久保一派を徹底追撃し、革同のもとにいる労働者、全労連傘下を始めとする膨大な労働者の日共からの決別をかちとり獲得する闘いに決起しよう。
 第三に、15年に及ぶ国鉄闘争は、有事立法をめぐる労働者階級の根底的流動と結びつき、力関係の転換をつくり出し、ついに巨大な勝利の展望をこじ開けた。今こそ国鉄闘争が「有事4法案粉砕、5・16連合見解撤回」の先頭に立とう。
 第四に、来るべき国労第70回定期全国大会を、どんなことがあっても「闘争団除名の大会」にしてはならない。@闘争団への生活援助金・物販凍結を直ちに解除せよ! A闘争団の統制処分を審査している査問委員会は直ちに凍結せよ! B第70回定期大会を開催し、4党合意を破棄し、闘う執行部をつくろう! この当面する3大方針で闘おう。
 今こそ日共・反動革同を徹底追及し、四分五裂を深めるチャレンジを打倒せよ。今こそ「闘争団への除名処分絶対阻止」「闘う国労の旗を守れ」のスローガンを掲げ、国労解体攻撃を粉砕し、国労の階級的再生へ総決起しよう。

 9・9小泉訪米阻止の羽田闘争に立とう

 9月8日投開票の沖縄地方選で、名護新基地建設阻止・有事立法反対の全候補の当選のために最後の力をふりしぼり全国の力で必ず勝利しよう。この選挙闘争の勝利と名護新基地建設阻止を当面の大焦点とする沖縄闘争は、米帝ブッシュの世界戦争政策と闘い、日帝の有事立法攻撃を粉砕する最前線の闘いだ。有事立法粉砕の拠点、日本革命、世界革命の拠点を建設する壮大な展望を切り開こう。
 9・9小泉訪米阻止の羽田現地闘争を闘い抜き、9・11反米ゲリラ戦1周年の闘いに立とう。
 空港公団新総裁・黒野の暫定滑走路北側300b延伸宣言と対決する三里塚闘争は、有事立法決戦の不動の砦である。10・13三里塚現地大闘争への総結集をかちとろう。
 超長期獄中闘争を闘う同志の保釈・奪還へ、10万人署名と1億円基金運動を全力で推進しよう。
 第五の課題は、今年前半期、猛然と開始した党勢2倍化を実現する秋とすることだ。この内乱的激動情勢の中でこそ党勢の2倍化が実現できるのだ。
 @革命的情勢のもとでの革命党の「三つの義務」を全面的、本格的に貫徹できる党へ実践的飛躍をかちとろう。A機関紙活動を軸にした党建設を原則的に推進しよう。この情勢を党がわがものとする最大の武器は、機関紙だ。全党・全労働者細胞が、機関紙を熟読し、拡大し、配布し、代金を回収し、機関紙を軸に毎週の地区委員会・細胞会議を闘いとろう。Bそして革共同第6回全国大会で採択された新規約で確認されている、党活動の三原則を徹底的に貫き強化して闘うことである。Cさらにマルクス主義復権の闘いのさらなる前進を推し進めることだ。一にも二にも学習運動を強化しよう。Dマルクス主義青年労働者同盟の再建へ向かって、今秋決戦を闘う中でさらなる歴史的前進をかちとろう。
 政治警察との闘いに勝利し、ファシスト・カクマルを始めあらゆる反革命勢力の敵対を打ち破り、反帝・反スターリン主義プロレタリア世界革命の勝利へ革共同の強大な発展の時代を切り開け。
 反戦共同行動委員会の呼びかける9・22有事立法粉砕闘争に総力で決起することを重ねて訴える。

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週刊『前進』(2068号1面2)

千葉県がまたも編集長出頭要求 戦時言論統制の先取り狙う『前進』への弾圧を粉砕せよ

(T)
 8月22日、警察庁の指揮のもと千葉県警が、5月に続いてまたしても『前進』編集長に対する許し難い出頭要求の攻撃を加えてきた。わが革共同は、警察権力が有事立法攻撃下において革命党の機関紙である『前進』に言語道断の弾圧を加えてきたことを心底からの怒りをもって弾劾し、この言論弾圧を打ち砕くまで闘うことを宣言する。
 同時に、一連の攻撃はひとり『前進』のみに加えられたものではなく、言論・表現・報道・取材の活動に対して戦時型の統制を加えるという本質をもっていることを声を大にして訴える。すべての労働者人民、言論界、表現者、司法界、反弾圧・救援戦線の皆さんがこの事態に危機感をもって注目し、ともに闘うよう呼びかける。
(U)
 8月22日午後2時20分に電話で、千葉県警特捜本部が同南警察署特捜班の名をもって、「8月6日のゲリラ事件について『前進』に記事が載ったが、その件につき聞きたいことがあるので、編集長に出頭してもらいたい」と通告してきた。それに対して、われわれは2度にわたって電話で強く抗議したが、その際、同特捜本部はなんと「ゲリラにやられっ放しだ。『前進』と革命軍とどういう関係か参考人として調べたい。ゲリラ事件の捜査で新しいことをしているということ」「機関紙は組織の血液だからだ」と口走った。(26日のやりとりでの対応)
 その一言一言に、今回の攻撃の狙いと本質の一端がはっきりと浮き彫りになっている。『前進』報道を明示に捜査の対象とすることは1959年の『前進』発行以来、あるいは幾たびもの破防法発動以来、そして革命軍の闘いが始まって以来、実に初めてのことである。それは、戦時下の言論統制をまさに先取りした攻撃である。
 第一に、日本帝国主義とその警察権力は、『前進』弾圧それ自体を自己目的化して執拗な破防法型の言論弾圧・表現弾圧を加えてきているということである。
 日帝・警察権力はそれを「新しい捜査手法」とか「踏み込んだ」などと自認している。だが、『前進』が紙上でゲリラ戦について論文や記事を載せ、革命軍から郵送されてきた軍報を載せるという報道行為・表現行為をどうして捜査の対象とできるのか。取材源・取材過程の秘匿は言論・報道の自由の原点である。それを崩すことなど断じてやってはならないし、認めてはならないことである。それを1ミリでも踏み破ることは、『前進』を始めとするあらゆる言論・表現の自由、報道・取材の自由を破壊することなのである。
 第二に、有事立法4法案(武力攻撃事態法案、安保会議設置法改正案、自衛隊法改正案、住基ネットと結びついた個人情報保護法案)をもって日本総体を北朝鮮・中国侵略戦争に突入させようとしているからこそ、その一環としてこの言論弾圧に踏み込んできたのだということである。
 世界と日本の歴史をひもとくまでもなく、革命党への取り締まり攻撃は侵略戦争の始まりだ。50年朝鮮戦争下でのレッド・パージは『アカハタ』編集部員の公職追放、新聞・通信・放送分野のレッド・パージから一気に広がっていった。
 今回も、問わず語りに「機関紙は組織の血液だからだ」と言ったように、日帝権力は『前進』弾圧で革共同の命脈を断つという意図をもって組織破壊攻撃を加えてきたのだ。戦後史を画する本格的な有事立法4法案が国会提出されている。まさに日帝が北朝鮮や中国を敵として侵略戦争に突入する法案を制定しようとしているからこそ、自国の侵略戦争に真っ向から反対する機関紙とその組織を存在からして認めないという、従来なかった越境的攻撃が始まっているのだ。
 日帝は今、大がかりな戦時型治安弾圧体制を構築しようとしている。組対法3法の制定、盗聴法の初適用、カンパ禁止法(テロ資金供与処罰法)の制定に続き、すでに国会提出されている個人情報保護法案、人権擁護法案、保安処分新法(心神喪失等医療観察法案)、次期通常国会に提出される国際的組織犯罪防止条約の批准とその国内法案、司法改革関連法案、企業秘密漏洩罪の新設など枚挙にいとまがない。それらは戦後日本の法体系を破壊する、恐るべき戦時治安立法である。中でも、犯罪に着手していなくても「共謀罪」「結社罪」で弾圧する立法の策動は、戦争国家化攻撃そのものだ。
 第三に、それは三里塚ゲリラ戦に対する報復弾圧・予防弾圧であり、革共同と『前進』に反戦闘争―三里塚闘争をやめろ、国鉄闘争をやめろ、非合法・非公然体制をやめろ、合法主義・公然主義の丸裸になれという革命党解体攻撃である。
(V)
 わが革共同が弾圧に屈すると思ったら大間違いだ。われわれはますます意気高く、侵略戦争によってしか生き延びる方途のない帝国主義―日帝に対して公然と内乱をたたきつけ、打倒し、世界の被抑圧民族と固く連帯して反帝国主義・反スターリン主義世界革命の勝利の展望を切り開いて闘う。『前進』を守り、革命軍を守り、非合法・非公然体制を守って、ついに勝利して見せるであろう。
 言論弾圧・メディア規制は侵略戦争の暗黒社会の始まりだ。すべての皆さんが、戦時型言論統制反対にともに立ち上がるよう心から訴える。

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週刊『前進』(2068号2面1)

反動革同・チャレンジ執行部は総退陣を
闘う国労再生へ当面の3大要求
 @闘争団への生活援助金・物販凍結の解除を
 A闘争団の除名処分策す査問委は解散しろ
 B第70回定期大会を開催し、4党合意破棄を

 国労本部は、第70回定期全国大会の開催を求める組合員の意向を無視し、8月28日の中央執行委員会でも日程を決めなかった。4党合意が完全に破綻(はたん)し、本部総辞職以外にないにもかかわらず、高嶋、寺内らチャレンジと久保ら反動革同の執行部は、自らの延命のために大会を引き延ばし、国労解体のためにあがいている。こんな執行部は直ちに引きずり下ろさなければならない。日本共産党中央が「国鉄闘争の再構築路線」を打ち出したことは、追いつめられた日共中央の思惑がどうであれ、4党合意をめぐる賛成派と反対派の力関係の大激変情勢の到来である。闘う国労組合員が大攻勢に転じ、国労2万余が国労の旗のもとに原点に返って闘うなら、圧倒的な勝利をかちとれる情勢なのだ。@闘争団への生活援助金・物販凍結を直ちに解除せよ、A闘争団の除名を策す査問委員会を直ちに凍結・解散せよ、B第70回定期全国大会を直ちに開催し、4党合意を破棄しろ――この緊急要求を掲げて、定期全国大会を反動革同・チャレンジ執行部打倒、闘う執行部の樹立、闘う国労の再生=新生国労の出発点とすべく総力を挙げて闘い抜くことを訴える。

 日共中央は4党合意推進を全面自己批判し謝罪せよ!

 本紙2066号で開始した、日本共産党中央の「国鉄闘争再構築路線」=「4党合意依存路線からの転換」についての暴露は、国労の内外にものすごい衝撃を与えている。多くの国労組合員が『前進』を買い、闘う方針を求めてきている。この暴露に奮い立ち、日共中央=反動革同の裏切りに対する怒りを新たにして立ち上がりつつある。日共党員からは党中央への不信感や日共組織の危機が語られている。
 日共中央の「再構築路線」は、国鉄労働運動の闘いと階級闘争の前進に追いつめられた日共の路線的・綱領的破綻を取り繕うあがきである。なんの自己批判もなく、なし崩し的に「路線転換」を図ろうとする、卑劣きわまるペテンである。にもかかわらず、これは反動革同の4党合意推進路線とは真っ向から対立する。それは日共の指導下の革同をガタガタに揺さぶり、革同の一人ひとりに、なおも日共に従うのか、日共のくびきから自らを解き放って闘うのかを問うものだ。革同の存在そのものが問われているのだ。
 起きている事態の核心は、86年修善寺大会以来の国労内の党派関係の大激変である。分割・民営化以来15年の苦闘をとおして、国労の闘う伝統を継承しつつ闘争団を先頭としたまったく新たな質をもった国労運動が台頭していながら、なおもチャレンジ一派と反動革同が機関の多数を握ってきた。旧社会党党員協と革同がそれぞれ分裂状態にありながら、「学校政治」によって闘いの発展を抑え込んできた。この関係がついに崩れようとしている。
 彼ら反動どもが、国家権力・機動隊の暴力を頼みに4党合意を推進し、闘争団の除名から1047人闘争の幕引きと国労の解散まで強行しようとしたギリギリの地点で、こうした情勢の大転換が起こったのだ。
 この情勢は、闘争団の不屈の闘いを先頭とする国労組合員の闘い、JR資本・JR総連カクマルと最も鋭く対決してきた動労千葉の闘いが切り開いた。このことに圧倒的な確信を持つことができる。
 それは同時に、有事立法攻撃と一大資本攻勢下での権力の国労解体攻撃の激しさの中で起こっている。階級闘争の最も鋭い攻防点でこそ、闘いの路線が問われるからだ。またそれは、国鉄闘争支援陣形はもとより連合や全労連というナショナルセンターをも巻き込んだ労働運動の分岐と流動化の最も鋭い現れである。
 連合の5・16「有事法制賛成」見解とそれをめぐる連合内の対立と流動化、陸・海・空・港湾労組20団体を先頭とするナショナルセンターの枠を越えた労働組合の新たな決起、春闘解体方針をめぐる連合や全労連内外での論争と対立などは、国鉄闘争をめぐる分岐・流動化と一体のものだ。
 重要なことは、こうした分岐と流動化は、あらゆる勢力をふるいにかけ、従来の枠組みを越えて闘う勢力の結集を生み出すということである。それは何か路線や方針をあいまいにした大同団結ということではない。有事法制反対闘争での20労組の陣形も、戦争と戦争動員を許さない、有事法制には絶対反対であるという労働者・労働組合の根底的な呼びかけであるからこそ、多くの労働者を結集できているのである。
 国鉄闘争においても、闘争団を先頭とした闘う翼が、4党合意破棄、反動革同・チャレンジ執行部打倒、闘う国労の再生の旗を鮮明にし、従来の党派関係を超えて勢力を結集することこそ、勝利の道なのだ。

 反動革同の大裏切りは日共方針の帰結だ

 だからこそ日本共産党の労働運動指導、綱領・路線の全面的な破産と、「路線転換」のペテン性をはっきりさせなければならない。
 とりわけ、革同会議に属している国労組合員に問いたい。日共中央が4党合意以降の2年余りの間、いったい何をやってきたのか。日共中央の方針がどれだけ国労の団結を破壊し、闘争団に苦難を強いてきたのか。反動革同とともに日共中央に根本的な自己批判を要求すべきであり、日共と一刻も早くたもとを分かつべきなのである。
 その点で、「日本共産党の国鉄闘争再構築路線について」の「メモ」のうち、特に「『四党合意』以降二年間の教訓」を述べている部分について、その欺瞞(ぎまん)性を徹底的に弾劾する。
 そこでは次のように言っている。
 「2000年8月の『N・S』論文は、『四党合意』から80日近くも経過してから発表された、党の基本的見解を示したものであるが、これがもっと早く出されて、それに基づいて国労が実施した『四党合意』賛否の一票投票に対して反対×の態度を明確にした運動が進められていれば、『四党合意』を否決し、今日のような事態にはなっていなかったであろう。こうした点は労働局としての指導上の反省点である」
 「ただ『四党合意』が公表された当時、党としては適切に対処するために必要な『四党合意』が生まれる詳細な経過について知らされていなかったという事情があった」
 これほど恥知らずな弁明があるだろうか。
 だいたい、4党合意はマスコミでも大々的に報道され、7・1臨大の大激突やその後の全労連大会での大激論など、国労の内外、日共の内外で大問題になったものだ。当時の革同キャップで国労本部副委員長の上村は、「党中央の了解済み」と公言して4党合意を推進したのだ。仮にそれがウソであり、日共中央が上村ら国労内の党員から「詳細な経過」を知らされていなかったのが本当なら、直ちに全力で調査し掌握して見解を出すべきだったのではないのか。
 国労という戦後労働運動の基軸に位置してきた労組の動向について、また1047人の解雇撤回闘争という最大の争議闘争の行方について、日共中央は驚くべき無責任さを露呈したことを自己暴露しているのだ。いや、そもそも上村革同は日共中央の方針を忠実に実践していたのだ。
 また、「N・S」論文が出てから一票投票までは1カ月もあったのだから、全力で「反対×」の運動を組織すればよかったではないか。だが現実には、革同の多数派=賛成派は、「2千万、3千万の解決金が出る」などのデマで、賛成票を組織することに躍起となったのだ。そもそも「N・S論文」自体が゛解決案が出るなら賛成″というものでしかなかったという問題がある。しかし、それでも賛成は55%でかろうじて半数を上回ったに過ぎないのだから、この時点で後戻りは可能だったのだ。だが、彼らはそうはしなかった。
 その結果、翌01年1・27臨大での機動隊導入による「4党合意受諾」決定に至るのだ。この時、闘争団員ら組合員を「暴力集団」呼ばわりし、東京地本・酒田一派らと結託して国家権力による弾圧を策し、機動隊導入を要請したのは久保ら反動革同だった。この事実について「メモ」は一切触れず、「同時にILO勧告にそった『早期解決』の方針を決定した」と評価しているのだ。
 いくら「指導上の反省点」と言っても、それは居直りでしかない。日共中央は、少なくともこの2年余の全経過について、国労組合員と全労働者に全面的な自己批判をすべきである。
 歴史的にも、日共のこの大罪は、戦後労働運動における数々の裏切りの中でも64年4・17ストに対する「4・8声明」に匹敵する。
 総評指導部が交運労協と公労協の4・17半日ゼネストを提起したことに対して、日共は4・8声明で「4・17ストは、政府、資本、トロツキスト、修正主義者たちによる謀略であり、挑発である」とスト中止を要求した。
 日共はのちに、ペテン的に自己批判し、「一時的、部分的誤り」だとか「宮本顕治書記長(当時)が中国に行っていて知らなかった」などと弁解したが、これは日本労働運動と日共組織自体に大打撃を与えた。
 「革同・共産党系組合員の多い国労では、党声明にしたがってスト中止を呼びかけたり、戦線離脱するものまで出て大混乱に陥り、共産党員は、組合か党か苦悩し、党をとったものは組合を除名され、組合をとったものの多くは党を離れるほかなかった」(村上寛治『有楽町は燃えていた』)
 今日の4党合意推進路線とペテン的「路線転換」は、これをほうふつとさせるものがある。
 ここには、日共スターリン主義特有の労働者階級の自己解放闘争に対するものすごい蔑視(べっし)と敵対がある。そして官僚的自己保身である。労働者の闘いが日共の制動を超えて爆発することに恐怖し、敵対し、その裏切りが暴かれるや、一転して自分たちはもともと闘う立場だったが「指導上の反省点」があったなどと弁解する。日共はこんなことばかり繰り返している。
 しかも今日の日共は「資本主義の枠内での民主的改革」路線に行き着き、労働運動においては、「共同」と称して連合にすり寄り、5・16連合「有事法制賛成見解」すら賛美している。「労働者階級の党」であるという規定を放棄し、「国民の党」と称してブルジョアジーとの「共闘」まで言い出す始末だ。
 だいたい、チャレンジ一派との結託路線も、こうした日共路線の実践にほかならなかったのだ。
 この間の度重なる裏切りを真に総括することは、日共スターリン主義と決別し、国鉄分割・民営化攻撃反対を貫き、闘争団とともに生き闘うことである。

 本部は卑劣な延命策やめ直ちに大会開け

 その上で、すべての国労組合員に次の要求を掲げて、本部を徹底弾劾して立ち上がることを訴えたい。
 第一に、闘争団への生活援助金の支給凍結と物販からの排除を直ちに解除するために闘うことだ。
 労働組合が、解雇された労働者の糧道を断つという非人間的所業を許せるのか。腹の底からの怒りをたたきつけなければならない。しかも、こういう暴挙を独断で決めた本部執行部は、8月にITF(国際運輸労連)総会への参加と称してバンクーバーへの旅行に出かけていたのだ。また高嶋、寺内は「天下り先」も決まっている。どうせ辞めるのなら、大会を引き延ばし、その間に組合費を使えるだけ使ってしまおうという魂胆だ。こんな腐敗した連中は、直ちに打ち倒すべきだ。
 第二に、闘争団に対する除名処分を狙う査問委員会は直ちに凍結・解散しろということだ。
 自民党・甘利の指示に従って闘争団員を除名するとは何事か。しかも、鉄建公団訴訟など、あくまでも解雇撤回に向けて不屈に闘おうとすることを理由にしているのだ。戦後労働運動史上にも例のない暴挙だ。
 また、これらに反動革同が賛成したことを徹底弾劾しなければならない。
 第三に、第70回定期全国大会を直ちに招集しろということだ。そして、3与党声明に屈した5・27臨大決定をすべて撤回し、4党合意破棄、新執行部を決定することである。
 いまだに大会日程すら決めないということは、重大な規約違反である。予算も方針も決めないということは、自ら組合を破壊しているに等しい。

 「甘利発言受け止める」と高嶋

 高嶋委員長は、速やかに大会を開催せよという組合員の申し入れに対して、いまだに「解決案が出るように鋭意努力している」とウソ八百を並べている。しかも「甘利発言を受け止めながらやっている」などと述べ、闘争団除名とゼロ解決の意図をむき出しにした。甘利らを「崇高」とあがめる高嶋らチャレンジと反動革同の執行部は即刻、総辞職すべきだ。
 9月26日には鉄建公団訴訟第1回口頭弁論が開かれる。原告の闘争団員と家族を包み込むJR本体組合員の総決起をかちとろう。
 今や、国労を死のふちからよみがえらせ、闘う国労を再生させる絶好のチャンスが来た。勇躍、この決戦を闘おうではないか。

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週刊『前進』(2068号2面2)

動労千葉に勝利命令 「シニア差別は不当労働行為」 地労委
 外注化阻止へ闘争態勢築く

 動労千葉は8月21日、シニア制度地労委勝利報告集会をDC会館で開催し、組合員90人が結集した。シニア制度による動労千葉組合員の再雇用差別を不当労働行為と断じた7月19日の千葉地労委命令の勝利を高らかに確認するとともに、第2の国鉄分割・民営化攻撃や有事立法攻撃と対決する闘争態勢を打ち固めた。
 JR東日本の「シニア制度」とは、業務外注化推進条項を含むシニア協定を結んだ労組の組合員に対してだけ、定年後の再雇用先として関連会社を紹介するというものだ。しかも、関連会社に再雇用の義務はなく、試験に合格した者だけを採用するという制度である。動労千葉は、労組に合理化協力の義務を課すシニア協定の締結を当然にも拒んでいる。JRは、それを口実に、定年を迎えた動労千葉の組合員には再就職先を紹介しないという仕打ちを加えてきた。年金の満額支給年齢が65歳まで引き上げられることを悪用し、定年後の生活不安につけ込んで、退職に際しても組合差別を貫く卑劣な攻撃だ。
 千葉地労委は、゛再雇用機会提供制度は就業規則に規定して退職者に一律に適用することが期待される″とした上で、動労千葉の組合員を排除したことは不当労働行為であると断定した。シニア協定の外注化協力条項についても「合理性を見いだすことは困難」と判断した。また、関連会社は求人広告を出すなど一般公募をしているにもかかわらず、そこからも組合員が排除されていることの不当性も指摘した。
 東労組カクマルと結託し、シニア制度で動労千葉の破壊を企てたJRの攻撃は、大きな風穴を開けられた。定年を迎えた7人の組合員の、人生をかけた決起が実現した勝利である。
 他方、東労組に追随してシニア協定を締結した鉄産労、国労の組合員は、試験で振り落とされ、関連会社への再就職を拒まれている。闘わなければ労働者の権利は守れないのだ。
 この日の集会では、田中康宏委員長が「今秋攻防の出発点での大きな勝利だ。全労働者が同じような攻撃にさらされている中で、動労千葉だけが立ち向かった。本来ならこの命令を手に全労働者が定年延長を要求してもおかしくない」と勝利命令を総括。また、春闘3カ月決戦を宣言して4日間のストライキに上りつめた今年前半の闘いを振り返りつつ、重大な転機を迎えた国鉄闘争の中で「動労千葉の闘いはいよいよ光り輝く時が来た」と訴えた。そして「今年後半を第2ラウンドとして総決起する」と戦闘宣言を発し、@シニア制度や検修・構内外注化、新保全体系合理化との闘い、貨物大合理化阻止の闘い、A1047人闘争の勝利、B有事立法粉砕決戦の3方針を提起した。
 川崎昌浩執行委員が命令の内容をていねいに説明し勝利の大きさを確認した。
 シニア制度地労委の当該である2人の組合員が拍手の中を登壇し、命令履行を拒むJRを許さず、最後まで闘い抜く決意を語った。
 基調報告をした中村栄一書記長は、「権力は国鉄闘争が労働者の結集軸になることを恐れている」「第2の分割・民営化とは、第1の時よりもっとすごい攻撃が来るということだ。動労千葉の闘いの質は時代にマッチしているが、勝つためには組織拡大が必要だ」と力を込めて訴えた。
 各支部、分科会が決意を表明。動労千葉の不屈の抵抗闘争は、検修・構内外注化について提案もできない状況に千葉支社をたたき込んでいる。そうした闘いへの自信に満ちた発言が続いた。貨物協の代表は、JR貨物がたくらむ新賃金体系や大幅な基地統廃合を許さない決意を述べた。繁沢敬一副委員長がまとめの提起をし、団結ガンバローで秋への決戦態勢を固めた。

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週刊『前進』(2068号2面3)

「つくる会」教科書 愛媛での採択弾劾 “私たちは決して屈しない” 県庁前に怒り渦巻く

 8月15日、愛媛県庁前は「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書(扶桑社発行)採択反対を求めてきた多くの民衆で埋まった。
 連日のリレーハンスト座り込みを続ける市民、「障害者」。その前には、韓国の「日本の教科書を正す運動本部」の横断幕が広げられている。教育委員会の傍聴から締め出され、審議の行く末を見守る年輩者、学生。炎天下で汗をふきふきチラシを県庁職員や県庁を訪れた市民に手渡し続ける主婦、労働者。
 午後4時前、「教育委員全員一致で扶桑社版が採択された!」の一報が届いた。大きなどよめきが起こる。「愛媛県教委は『つくる会』に屈す」の横断幕が掲げられ、あちらこちらから採択への怒りの声がわき上がった。
 県庁前で抗議集会が行われ、参加者一同の声明が発せられた。「昨夏、養護学校やろう学校で、ただ今回の布石とするために『つくる会』教科書を採択し、そして、いままた今回の採択を突破口として、彼らは、この教科書を、全県下の中学へ、そして全国の中学へ広めようとしている。まさに、これは、教育を足がかりとした、新たなファシズム運動の展開に他ならない。私たちは、知事加戸守行に、教育長吉野内直光に、愛媛県教育委員会に、満身の怒りを込めて抗議する。そして宣言する。教科書を、学校教育を、この日本社会を、あなたたちの思い通りには変えさせない。この社会をつくっていくのは、一握りの権力者ではなく、私たちひとり一人の市民である。……私たちは、権力者たちによる今回の採択に、決して屈しない」
 昨年は、8月8日の愛媛県教委の「つくる会」歴史教科書採択のマスコミ報道から、相次ぐ抗議、撤回の申し入れ、3回に及ぶ教育長、教育委員との直接交渉が行われた。その後、採択の無効と教科書の使用に反対する県下の署名運動が進展した。県庁職員を大量に動員し、県民との接触を一切断った撤回署名提出行動への対応。加戸知事、県教委への採択無効の裁判提訴も行われた。
 こうした中で、県知事と県教委は丸裸のまま来春開校予定の中高一貫校3中学部の教科書採択を迎えようとしていた。だからこそ「つくる会」は教科書筆者の藤岡信勝を先頭に、ここ愛媛県に乗り込み、「愛媛決戦」を掲げ、全国から大量の動員をかけたのだ。「愛媛の郷土愛、日本への愛国心」を掲げ、「愛媛の教育を良くするために」と語り、市民をだまして「つくる会」教科書支持の署名を展開したのだ。
 しかし、その運動も「有事法制反対」の署名運動の展開の中で、市民を巻き込む大きな討論の輪に引き込まれた。彼らの目的が「徴兵制の導入」「イスラエルのような軍事国家づくり」であることを暴かれるや、何人もの市民が「つくる会」教科書支持の署名を撤回した。民族派政治団体の宣伝カーが大音量の軍歌を流し、「国防の義務」「ボランティアの語源は志願兵」というアジテーションも加わる中、憤然と「有事法制反対」「つくる会教科書反対」の意志を表明した多くの女性、若者たちの前に、「つくる会」支援者がまき散らした「過激派の教育への介入を許すな」「この教科書は戦争賛美ではない」というチラシは、なんの説得力も迫力も魅力もないものだった。
 県論二分状況が生まれた。問われたのは、どちらが県民を獲得するかだった。愛国心を掲げる戦争支持か、国際連帯を強める戦争絶対反対か。
 子どもや親や学校を戦争の道具にし、有事法制に一早く支持を表明した加戸知事と県行政。松山港の「有事」の際の軍事使用は目前に迫っている。
 昨年の教科書闘争と今年のそれとの違いは、今すでに戦争過程に突入しているということだ。時代は、9・11反米ゲリラ後の「テロ根絶」の世界戦争のただ中で、帝国主義国の労働者、民衆の一挙手一投足が歴史を左右する転換点に入った。戦争に、何より自国の戦争にどういう態度をとるのかが問われる中での、教科書闘争に入ったのだ。「戦争につながるあらゆるたくらみに反対し、必ずそれを止める決意」をもった絶対反対派が結集し、断固とした、継続した闘いが展開されている。
 今秋有事立法阻止決戦は壮大な闘いだ。闘うイスラム諸国民衆やアジア民衆と帝国主義国の労働者階級との関係を一気につくり変えることも可能なのだ。今回の愛媛教科書闘争は、その萌芽(ほうが)を実感できる闘いだった。これからだ!
 革命的祖国敗北主義を掲げ、有事立法決戦と教科書闘争の継続的闘いをやり抜く決意だ。
 (投稿/愛媛・労働者A)

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週刊『前進』(2068号3面1)

名護新基地阻止・有事立法反対 沖縄の闘う候補 当選へ
 全国から支援を集中しよう

 9月1日、沖縄地方選挙は告示(町村議会選挙は3日告示)を迎え、8日の投票日へと選挙戦本番に突入した。有事立法反対を掲げて闘うすべての候補の当選をかちとる闘いは、今秋有事立法粉砕決戦の帰すうを決する重大な勝負だ。なんとしても名護新基地建設絶対阻止の宮城康博候補を始めとする闘う候補全員の当選をかちとり、今秋の緒戦で勝利し、有事立法決戦の大高揚を切り開こう。
 最後の1週間、全国から支援を集中することを声を大にして訴える。

 戦時体制下の沖縄

 9・11反米ゲリラ戦一周年を前に日帝・小泉は9日に訪米し、世界戦争戦略を推し進める米帝・ブッシュと日米首脳会談を行おうとしている。今秋10、11月にもイラク侵略戦争に踏み込もうと準備を進めるブッシュは、その侵略出撃拠点として沖縄米軍基地をフル活用しようと狙っている。小泉は、ブッシュとの会談で有事立法関連法案の今秋成立と、名護新基地建設着工・SACO貫徹を確約しようとしている。
 7月29日の普天間基地代替施設協議会での名護新基地建設基本計画の決定は、有事立法攻撃と一体で、再び沖縄を戦場に引きずり込もうとする、絶対に許せない攻撃だ。
 すでに沖縄は戦時体制下にあると言っても言い過ぎではない。連日、事件・事故が激発している。7月23日、名護市数久田(すくた)のパイナップル畑で農作業していた島袋哲男さんの至近距離に演習の銃弾が着弾。辺野古(へのこ)の「命を守る会」の小屋に隣接する海岸では、キャンプ・シュワブの水陸両用装甲車が実弾演習を展開するなど、軍事重圧が加えられている。
 嘉手納基地所属のF15戦闘機の事故が相次ぎ、8月21日には沖縄島の南約100`のマグロ漁場に墜落した。この事故後「徹底した整備を終了した」として飛行再開したのが26日。しかし、その日のうちにまたもF15戦闘機が相次いで緊急着陸する事態が起こった。沖縄はすでに戦場さながらだ。これが基地の島=沖縄の現実であり、日帝による沖縄圧殺・沖縄差別政策の現実がここにあるのだ。
 誰がいつ殺されても不思議ではない。現に韓国では6月13日、2人の女子中学生が背後から接近した在韓米軍の装甲車のキャタピラで無残にひき殺されるという痛ましい事件が引き起こされた。侵略戦争のための米軍基地、こんなものと1分1秒も共存することなど断じてできない。
 これに対して、稲嶺県知事は23日、8月29日に石川市を主会場として実施する県総合防災訓練に、初めて在沖米軍が参加することを発表した。米軍嘉手納基地の航空機進入管制システム「嘉手納ラプコン」を使い、自衛隊や海上保安本部、県警本部の航空機と連携するという、まさに「有事法制の先取り」攻撃だ。
 すでに嘉手納基地の米空軍は、イラク上空の飛行禁止空域を監視する作戦に継続的に派兵され、現在、数百人規模で中東に展開している。ここには問題のF15戦闘機も参加、さらには佐世保に入港した米原子力空母リンカーンの艦載機が飛来するなど、大規模な作戦が展開されている。その中で必然的に事件・事故が続発しているのである。

 命張って基地阻む

 名護市議会議員候補の宮城康博さんは、「名護市民はいまだに杭(くい)一本打たせていない。新基地を受け入れると言った名護市長の岸本建男も7つの条件を掲げて政府と闘っているポーズをとらなきゃいけない。これは名護市民投票の結果がつくり出した状況です。よく踏ん張っている」と語り、「この基地だけは造らせない、本当に命張ってでも止めます。私はそれで世界が変わると思う」と意気高く、闘いの先頭に立っている。
 今、この力が名護市議会に必要だ。有事3法案・メディア規制法案に対して゛これは沖縄戦への道だ。あの沖縄戦を繰り返すのか!″と激しい危機感をもって声をあげた沖縄人民。
 その思いは、6・23摩文仁で献花する小泉に「有事立法許さんぞ!」と叫んだ宮城盛光さん=北中城村議の決起となり、「沖縄戦犠牲者を冒涜(ぼうとく)するな」「小泉帰れ」との沖縄人民の決起となった。
 米軍楚辺通信所=「象のオリ」の反戦地主として基地反対の先頭に立つ知花昌一さんは、2期目の読谷村議に挑戦している。「見え見えの今の戦争法、有事法に対しては、正念場として負けられない運動を展開しなければならない」と決意を語っている。
 この9・8沖縄地方選挙戦は、日帝・小泉政権の国策である有事立法粉砕をかけた壮大な決戦場だ。
 こうした中で、宮城康博さんを始め、沖縄の闘う議員・基地絶対反対派を各自治体議会に押し出すことは決定的に重要だ。沖縄の未来と有事立法決戦の勝敗がここにかかっている。
 すでに11月沖縄県知事選をめぐっては沖縄革新共闘が迷走し、帝国主義に屈した既成政党は党利党略のみで動き、戦争反対の人民の声を裏切ろうとしている。この中で真に闘う新たな陣形が切実に求められている。沖縄を米帝のイラク、北朝鮮侵略戦争の出撃基地にするのか! 闘うイスラム諸国人民、アジア人民との連帯の具体的な実践が、今ここで問われている。
 戦争反対、有事立法反対、そして最大の焦点である名護新基地建設阻止の闘う候補の当選のために全党、全人民の力をこの1週間、沖縄へ集中しよう。沖縄に飛んで行ける人は駆けつけ、ともに闘おう。友人
・知人に手紙・電話で投票を依頼しよう。最後まで票の拡大を呼びかけよう。選挙事務所、後援会などにカンパ・物資を集中しよう。
 本気になって全力で闘いぬけば、戦争反対の思いを、闘う議員の登場として必ず結晶させることができる。今こそ総決起しよう。

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週刊『前進』(2068号3面2)

リンカーン出撃を弾劾 8・19佐世保 反戦共同が現地闘争

 8月19日早朝、反戦共同行動委員会は九州大学自治会を先頭に断固として佐世保現地闘争に決起した。
 眼前に世界最大級の米原子力空母リンカーンが見える。午前8時から反戦共同行動委員会は佐世保湾口・野崎で現地総決起集会を開催した。(写真1面)
 8時20分、原子力空母リンカーン入港反対現地闘争本部の主催する「追い出し集会」が始まった。8時50分、艦番号「72」リンカーンがいかりを上げる。船首をゆっくりと佐世保湾口に向ける。9時、リンカーンは動き出した。
 米原子力空母リンカーンのインド洋派兵は、連日連夜のじゅうたん爆撃でアフガニスタン人民の皆殺しに参戦するものだ。
 「アフガニスタン人民虐殺を許さないぞ!」「インド洋への出撃阻止!」「イラク侵略戦争反対!」「佐世保を出撃基地にさせないぞ!」「日本の参戦を阻止するぞ!」とシュプレヒコールを上げた。
 今回の米原子力空母リンカーンの佐世保寄港は日米共同軍事作戦として強行された。このことを決定的に重視しなければならない。
 まず第一に米原子力空母リンカーンの佐世保寄港の前日の8月15日、本州南方海域で、海上自衛隊の対潜哨戒(しょうかい)機と通信訓練を行ったことだ。
 第二に海上自衛隊佐世保地方隊の護衛艦「おおよど」が原子力空母リンカーンを護衛したことだ。マスコミは報道していないが、これは事実上の護衛活動そのものである。
 しかも、リンカーンは作戦行動中である。これが集団的自衛権の行使に当たるのは間違いない。日帝・小泉政権は海上自衛隊が米軍と軍事作戦上の共同行動をするための軍事訓練に踏み込んだのだ。絶対に許せない。日帝は、激化する帝国主義間争闘戦での生き残りをかけて、米帝の世界戦争戦略に全面協力することで北朝鮮・中国侵略戦争に突入しようと狙い、そのための戦時体制を一挙につくり上げようというのだ。
 今秋の有事立法粉砕の闘いを戦闘的・大衆的に大爆発させよう。9・22首都東京へ総結集しよう。

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週刊『前進』(2068号3面3)

母港化抗議に3500人 横須賀 有事立法攻撃に危機感

 神奈川労組交流センターは8月12日、「米空母キティホーク横須賀基地母港化4周年抗議神奈川集会」に県内の労働者とともに決起し、闘いぬいた。
 この日の闘いは、横須賀地区労、神奈川県平和運動センターの主催で3500人の労働者が決起し、大高揚をかちとった。98年8月11日に空母キティホークが米海軍横須賀基地に配備されて以来、毎年抗議集会が闘われてきたが、今年はとりわけ有事立法3法案の攻撃に対する危機感と、イラク侵略戦争の切迫の中で、労働者の決起が圧倒的にかちとられた。
 会場のヴェルニー公園と海をはさんだ目前には米海軍基地が広がり、多くの米艦船がならぶ中で、神奈川労組交流センターは結集した労働者に「連合見解をうち破り、有事立法を廃案にするまで闘おう」「イラク・北朝鮮侵略戦争を阻止しよう」と呼びかけ、圧倒的なビラまきを行い、ともに闘いぬいた。
 集会では「有事法反対」「アメリカこそテロ国家」「イラク侵略戦争を許すな」「原子力空母リンカーンの佐世保寄港反対」など有事立法とアメリカ帝国主義の侵略戦争に反対する発言と訴えがあった。
 北朝鮮・中国侵略戦争に向けて2年後には通常空母キティホークの後に原子力空母の配備が狙われている。基地内では原子力空母の配備を可能にするための12号バース延伸工事が進行中である。横須賀市当局は原子力艦船事故を想定した避難訓練を警察・自衛隊・地域ボスを動員して8月20日に急きょ行った。市の広報にも載せないで訓練を行うという事態が始まっている。「原子力空母リンカーンの佐世保寄港は横須賀母港化に向けた攻撃だ」と危機感は広がっているのだ。
 このような中で「空母はいらない」「有事法を廃案にしなければならない」ことが集会全体で確認され、怒りのシュプレヒコールが行われた。そして、基地前から市内中心部に向けてデモが闘いぬかれた。危機にたたき落とされている分裂カクマルはまったく介入できなかった。
 職場から「連合見解」弾劾のあらしを巻き起こし、9・22有事立法粉砕全国闘争に総決起しよう。

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週刊『前進』(2068号3面4)

8・15労働者市民のつどい 有事立法粉砕誓う “戦争への道許さぬ”

 戦後57回目の8月15日に「ぶっつぶせ! 有事立法、8・15労働者・市民の集い」が、午後1時から東京・中野区の「なかのZERO」小ホールで行われ、380人が参加した(写真)。主催は戦後50年を問う8・15労働者・市民の集い全国統一実行委員会(8・15実行委)で、95年(戦後50年)の8・15以来、戦争責任問題と憲法問題を2大テーマにして、毎年8・15を軸に大小の集会、学習会を重ね、地道な運動を継続している。
 8月15日をいかなる立場で迎えるのかという問題は、極めて重要なテーマである。8・15実行委は、「始まった『新たな戦前』に立ちはだかり、『いつか来た道』を断つ、アジア人民と連帯して戦争への道を許さない誓いをいっそう熱く打ち固める日」と位置付けて闘いぬいている。
 集会で主催者あいさつに立った葉山岳夫弁護士は、「有事立法は外に対しては侵略法、内に対しては反戦運動・反体制運動を鎮圧する侵略反革命法である」と断罪し、有事立法粉砕へ参加者の総決起を訴えた。
 特別報告の前半で、最初の報告に立った航空労組連絡会副議長の村中哲也さんは、台湾海峡に近い下地島空港(沖縄県)の米軍使用問題を暴露して民間航空の軍事利用が激化している現実を訴え、秋の臨時国会ではこれまで以上の闘いで有事3法案を必ず廃案にしようと呼びかけた。
 続いて憲法と人権の日弁連をめざす会の武内更一弁護士が、強者のための司法改革攻撃を徹底批判し、連合の欺瞞(ぎまん)と民主党のまやかしを許さず、有事立法を粉砕することを訴えた。さらに、元日弁連会長で日本軍による細菌戦告発の弁護団長も務める土屋公献さんが発言し、治安維持法下での布施辰治弁護士の不屈の闘いを紹介して、弁護士の大政翼賛への転落=国策弁護士への道を二度とくり返さない決意を表明した。
 「有事法制と私たちの戦争責任」と題して講演した埼玉大学教員の三輪隆さんは、「日本の民衆は1945年8月15日を迎えても、侵略戦争を行った帝国日本の権力を打倒する民衆運動を実現できず、また戦争責任を克服するものとしての憲法9条も選び取れなかった歴史的事実を深く心に刻み、今も帝国市民的立場に立っていることを自覚しながら、もう一度非武装平和を選び直そう」と訴えた。
 毎回大好評の松元ヒロさん(コメディアン)は、ブッシュと小泉を串刺しに批判するコントを行った。
 特別報告の後半は、1985年にアフガニスタンのカブールで撮影された記録映画が上映され、撮影者の土本典昭さんが解説した。続いて平和遺族会全国連絡会事務局長の西川重則さんが発言に立ち、憲法18条を否定し徴兵制まで合憲とする憲法調査会の反動性を暴露し、悪法(有事3法案)を廃案に追い込むことを訴えた。最後に発言に立ったエッセイストの朴慶南(パクキョンナム)さんは、日本がアジアの国でありながらアジアを侵略した歴史を直視することを訴え、「もうこれ以上朝鮮人を殺さないでほしい。有事立法をつぶそう」と呼びかけた。
 最後に、主催者としてのまとめを鈴木達夫弁護士が行い、ブッシュがすでに北朝鮮と中国への侵略戦争を決断していること、小泉も参戦を決断していることに警鐘を乱打し、国際主義的連帯を掲げて二度と侵略の銃を取らない決意で、有事3法案を廃案に追い込む闘いへの総決起を呼びかけた。
(投稿/山本茂)

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週刊『前進』(2068号3面5)

失業労働者の団結へ 被災地・神戸からの報告 (3)

 被災地仕事開発事業 失対事業再開への苦闘

 中高手帳発給の闘いと挫折

 震災直後に獲得した雇用保険失業手当給付が切れようとする中、私たちは、失業対策事業に代わる制度として施行されている「中高手帳」(中高年齢失業者等求職手帳、45歳以上60歳未満の就職困難者に日額4230円が6カ月間支給される)の発給を要求する闘いに軸を移していった。
 しかし、この中高手帳発給要求運動は、戦闘的労働運動の拠点となった失業対策事業を絶対に打ち切ろうとする日帝・国家権力の凶暴な政策との真っ向からの激突だった。
 この闘いは、2度にわたって完全にはねかえされ、私たちは一敗地にまみれた。しかし、この闘いにおいて、50年代末からの失業対策事業打ち切りを現場で強行したベテラン職安職員のすさまじい嫌がらせと対決しぬいた失業労働者が、その後の被災地反失業運動の核となった。

 実態突き付けて「失業対策」

 被災地の失業労働者は、被災支援連を結成した全国の労働者からの越年カンパなどの支援を受けながら、行政や職安との交渉、集会やデモ、全国闘争参加など激しい闘いを展開した。
 震災の翌96年8月、被災地雇用と生活要求者組合は、組合員の実態調査を行った。結果は組合の予想を上回る深刻さだった。震災で失業したままの労働者が34・1%、倒産・閉鎖による再失業が17%と、半数以上が失業中で、4割以上の世帯の収入が震災前の半分以下に落ち込んでいた。仕事に行っている人でも平均賃金は震災前の73・6%に減っていた。
 私たちは、このすさまじい実態を県に突き付け、公的就労事業による雇用の場の確保をはげしく要求した。95年10・13の300人のデモを頂点に5回の集会・デモ、労働省・兵庫県との6回の交渉などの闘いを展開した。これらの闘いに押され、さらに仮設住宅での孤独死が200人を超えて社会問題となる中で、兵庫県はついに97年4月、被災者に対する事実上の失業対策事業である被災地しごと開発事業を開始した。
 被災地しごと開発事業とは、月にわずか8〜10日間の就労で最高5万円の収入にしかならないが、事実上の失業対策事業と言えるものである。
 要求者組合への信頼があってこそ、財布の中身をのぞきこむようなくわしい聞き取り調査が可能になった。この実態調査が、被災者切り捨ての復興政策を徹底的に弾劾し、しごと開発事業を実現させる決定的武器になったのだ。

 労働権掲げて組織化に挑戦

 しごと開発事業が始まると、1500人の就労者の中に入り、同じ空気を吸い、要求をつかむことから失業者の「袋ごとの組織化」への挑戦が始まった。まず私たちの呼びかけで「就労者こん談会」という親ぼく団体を立ち上げた。
 ところが、99年10月に兵庫県は、しごと開発事業の02年3月打ち切りを正式に発表した。
 ここに至って、私たちは県の打ち切り攻撃を突破するには就労者こん談会というゆるやかな団結体から、労働組合として憲法に保障された「労働権」を行政に認めさせる闘いをしないかぎり、しごと開発事業の延長を勝ちとることはできないと就労者に訴えた。
 2000年10月10日に33人で、しごと開発就労者組合を結成。翌01年には120人に組織を拡大し、3カ月連続の県交渉、7波にわたる知事室前座り込み交渉要求行動、48時間ハンストなど、県庁内を騒然とさせる闘いを連続的に行った。

 徹底討論で実力闘争に決起

 しかし闘いは、ガードマン・県職員に力で押しかえされこう着状態になった。「被災失業者の怒りが、力で押さえ込まれようとしている。赤信号で止まるようなデモをやっていたんではダメだ」。この要求者組合役員の言葉が、01年10・12反失業総行動を、延長要求絶対実現の火の玉に変えた。「今日はどんなことをしても要求書を知事に手渡すぞ」就労者組合40人を先頭に130人でガードマン・県職員を蹴散らし、庁舎6階にかけあがり、知事室前廊下を占拠し、ドアを叩き、井戸知事をふるえあがらせた。
 運動が壁にぶち当たった時、それを突破するのは、怒りに根ざした実力行動である。就労者にとって一番戦闘的な方針こそが一番わかりやすく、団結が固まり実現が可能なのだということを私は思い知らされた。
 この10・12の闘いを転換点に闘いは一気に白熱化した。3月打ち切りのプレッシャーの中で、「打ち切られたら、4月以降はどうするのか」「延長要求だけで組合が維持できるのか」という真剣な議論が行われた。「事業打ち切りを、実力で粉砕する闘いをやらずして、そんな組合が何人残ったところで本物ではない。犠牲を恐れず、絶対に10・12を超える闘いをやろう」と意志一致し、打ち切り直前の3・26反失業総行動には就労者組合役員会で役員全員が逮捕覚悟で闘う決意を固めた。
 3・26総行動の機動隊との激突を含む激しい実力闘争をとおして、この日30人の就労者が新たに組合に加入した。そして、この闘いによって、しごと開発事業打ち切り後の受け皿となる就労支援事業を1年延長させることができた。
 3・26を闘いぬいた就労者組合は、しごと開発事業が打ち切られたあとも、4月1日から毎週月曜日の県庁抗議行動を休みなく続けている。さらに、県を使用者とし、事業の打ち切りは不当労働行為であるとして、地労委への救済申し立ての闘いも進んでいる。また団結を固めつつ、自活の事業や労働者供給事業を活用しながら生きぬき、「労働権」を掲げて行政に失業対策事業の再開を要求して、意気軒昂と闘いぬいている。(投稿/富樫賢作)

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週刊『前進』(2068号3面6)

8・6ヒロシマを闘って 爆取4同志奪還の署名活動に大反響 東京 A・S

 「8月や低く歌える反戦歌」「独房に黙祷(もくとう)8月6日なり」―十亀弘史同志の獄中句と迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧被告4同志の似顔絵をあしらったゼッケンを着用し、私たちは被爆57周年ヒロシマ大行動に参加した。
 全国から反戦の熱い思いを胸に抱いて被爆地広島に駆けつけた多くの人びとに、「人権が奪われるとき戦争が始まる」「無実、未決15年・10年の須賀さん、十亀さん、板垣さん、福嶋さんを取り戻そう!」と訴えるビラをまき、署名・カンパ活動を行い、大きな注目を浴びた。
 その日の朝、有事立法攻撃の首謀者・小泉の来広を糾弾する戦闘的デモにも参加した。祈念式典出席を強行する小泉に対し、全学連を先頭に機動隊の弾圧をはねのけ、怒りのシュプレヒコールを叩きつけた。行きかう人びとで込み合う原爆ドーム前では、英語・ハングルの反戦ビラを渡し、国際連帯を訴えた。
 小泉・福田・安倍のような極右核武装主義者どもが日帝権力を牛耳り、今、侵略戦争法案=有事立法成立の正面突破の総攻撃をかけてきた。そして、日帝独自の核武装化攻撃がかつてなく激しくなってきている。「原発に核弾頭用のプルトニウムは3、4千発分もある」という自由党・小沢の発言を見よ。原発=「平和利用」論は、自衛隊を核武装させるための大ペテンだったのだ。
 こうした原発がどのようにして造られていったか。『原発の来た町――伊方原発の30年』(斎間満著 南海日日新聞社刊)は、莫大な金と巨大な権力を駆使した原発建設の反人民的本質を克明に描いている。住民の海・土地の強奪、生活破壊、警察の弾圧……。有事立法の先取りともいうべきすさまじい攻撃、それと対決し闘う人びと。伊方を始めとする全国の反原発・反核燃闘争は、戦争・核戦争阻止の最前線である。
 酷暑のなかで不屈に闘う獄中同志と固く連帯し、「アジア侵略、ヒロシマ・ナガサキ、オキナワを繰り返すな!」の誓いを新たにした。獄中同志の即時奪還に全力をあげよう。

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週刊『前進』(2068号3面7)

8・6ヒロシマを闘って 戦車搬出阻止30年後の出会いに感激 東京 K・T

 8・6ヒロシマ大行動に参加した翌日、私は宇品港から似島(にのしま)、江田島、呉を巡るクルージングに参加し、広島湾の戦跡と軍事施設を見学しました。途中最新鋭の大型輸送艦「おおすみ」とすれ違い、この地域が戦前アジア侵略の出撃基地であったのみならず、現在もいっそう強化されつつある軍事拠点である現実をこの目で確認しました。
 ところでクルージングには、アメリカ帝国主義の侵略戦争と30年間戦いぬいてきた3人の元南ベトナム民族解放戦線の戦士が参加していました。不屈のベトナム人民はこの解放戦争において、全長250qに及ぶ地下トンネルを掘って物量を誇る米軍と戦いぬき1975年に勝利しました。
 3人の中の一人ホアンさん(現在ベトナム戦争証跡博物館館長)が、「30年前に地下トンネルの中で、日本の人民が米軍基地からの戦車搬出を実力阻止している、というニュースを聞いてとても元気づけられた」「10年、20年家族と離れて戦っている兵士に、米軍はテープレコーダーから女性の声で、家族の団らんの楽しみを思い起こさせる心理作戦をとっていた。だからとりわけ、日本からのニュースはうれしかった」という話をされたのですが、このことを聞いて私はとても感激しました。
 私は1972年に、始めて8・6ヒロシマ闘争に参加し、たしか原爆資料館の前で、「いま相模原で米軍戦車搬出を実力阻止している」という報告を聞いたのです。「実力で戦車を止めている!」それを聞いた時の感激の大きさを私は今でも覚えています。私たち神奈川の部隊は、広島から戻ると直ちに相模原に駆けつけました。私はこの時、米軍相模補給廠の前で逮捕されました。こうした経験のゆえに感激もひとしおだったのです。戦うベトナム人民・アジア人民との連帯の闘いを、自ら担っていた、そのことを具体的に確認できたことがとてもうれしかったのです。

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週刊『前進』(2068号4面1)

9・22闘争に総決起し北朝鮮・中国侵略戦争法案の粉砕へ
攻撃するのは米帝と日帝の方だ

「備えあれば憂いなし」論を斬る

 有事立法の目的は、北朝鮮・中国侵略戦争に日帝が参戦することだ。小泉の「備えあれば憂いなし」論を粉砕することを軸に、職場・学園などでの有事立法をめぐる議論を参考として、Q&A形式で有事立法について考える。有事立法粉砕のために9・22芝公園へ全国から総結集しよう。

 「5027作戦」がベースに

 小泉首相は「備えあれば憂いなし」とくり返し、マスコミなども「もし日本が外から攻められたらどうするのか」と言う。やはり有事立法は必要なのではないか。

 

 いや、有事立法は「備えあれば憂いなし」というような抽象的なものでは断じてない。何よりも米帝がアフガニスタンで現在行っている侵略戦争を、イラク・北朝鮮に拡大しようとしている。米帝は昨年9月末のQDR(4年ごとの米国防計画の見直し)で、対中国侵略戦争をも射程にいれた世界戦争路線を確立し、実戦に移しているのだ。日帝支配階級は、米帝が対イラク・北朝鮮戦争、いずれ対中国戦争にまで必ず踏み込むとの認識で一致している。このことが今日の有事立法攻撃の背景にある。攻めようとしているのは米帝・日帝の側なのだ。
 米軍と韓国軍との間にはすでに、5027作戦という戦争計画が存在する。98年の改訂版では次のようになっている。@第1段階 北朝鮮に攻撃の兆候が見えた段階で軍事境界線(38度線)に集結する北朝鮮軍や北朝鮮国内の軍事的要衝に対して猛爆、A第2段階 北朝鮮内の軍事基地や主要施設に対する集中的な空爆、B第3段階 韓国軍や在韓米軍、さらに駐留海兵隊などの地上部隊を投入、C第4段階 北朝鮮の首都ピョンヤンを軍事制圧、北朝鮮政権を転覆して米軍が占領統治する――。有事3法案は、この具体的な北朝鮮侵略戦争プランを下敷きにしている。
 「核兵器を使わない場合でも100万人の犠牲者が出る」というこの5027作戦は、米軍50万人の兵員、空母5隻を含む艦船200隻、航空機1600機を動員する大戦争計画だ。これに韓国軍68万人、自衛隊24万人が加わる。
 この戦争計画では、日本全土が米軍の集結・出撃・兵站(へいたん)基地となる。三沢(青森)、横田(東京)、嘉手納(沖縄)基地などから米軍の戦闘機や爆撃機が空爆を行う。横須賀や佐世保から空母が出撃し、沖縄の海兵隊が佐世保の揚陸艦隊に乗り込んで上陸作戦を行う。広(広島)や佐世保の弾薬庫群がフル稼働し、相模補給廠(神奈川)−横浜港−博多−釜山(韓国)などが軍事物資の物流拠点となり、それを結ぶ鉄道網や高速道路、海運が軍事物資の物流の大動脈となる。
 これほどの大戦争は、あらゆる場面での自衛隊の全面協力と、数百万人の日本の労働者(民間人)の戦争動員なしには遂行できない。米軍と自衛隊に無制限の権限を与え、労働者人民の権利を制限・停止することなしにはできない。日帝の全面協力、いや参戦が前提であり、このような戦争を日帝が遂行し、労働者階級人民の抵抗を弾圧するための強大な独裁的権力の確立を必要とするのだ。これこそ日帝が有事立法を必要とする理由である。「備えあれば憂いなし」などという抽象的な遠い未来の戦争の話ではないのだ。
 また一方で、北朝鮮からの弾道ミサイルの攻撃の可能性とか、いわゆる「不審船」やゲリラの可能性などを排外主義的に扇動して、有事立法の必要性を主張する者もいる。
 しかし、これも本末転倒している。第一に、攻撃しようとしているのは米帝・日帝の側である。米帝ブッシュはQDRの世界戦争路線のもとで、北朝鮮侵略戦争策動をますます強めている。一方の北朝鮮は、日本を侵略するような意思も必要性も能力もない。これは福田官房長官や自衛隊の幹部なども異口同音に認めていることだ。
 結局、「不審船」や「拉致疑惑」問題とは、「北朝鮮はテロ国家」「だから北朝鮮転覆の戦争は正しい」とする排外主義的なキャンペーンであり、有事立法を制定して日帝自身の「対テロ戦争」を遂行するための極悪の侵略イデオロギーなのである。
 第二に、米日帝は、5027作戦のような恐るべき侵略戦争を構え、北朝鮮に対し、戦争重圧を加え、戦争挑発を行っている。このような状況や、実際に戦争が発動された時に、北朝鮮の側から必死の反撃を行うことは当然ではないか。
 中国への全面侵略戦争を始めた37年の盧溝橋事件に典型的に示されるように、帝国主義は歴史上、このような状況をつくりだして、それを口実に侵略戦争を行ってきたのである。

 あらゆるケースで参戦狙う

 武力攻撃事態法案には、「(日本への)武力攻撃事態への対処の態勢を整備」(第1条)するのが目的と書いてある。また、憲法の枠内で法制化するとも言っている。今回の有事法案は、日本が、他国を攻めたり、侵略戦争を行うという性格のものではないのではないか。

 

 確かに武力攻撃事態法案は、一見すると、日本が他国から攻められた時(「武力攻撃事態」)の「対処の態勢」を規定した「自衛戦争」の形式をとっている。侵略戦争をやるとは書いてない。
 だが、法案や5月16日に出された「武力攻撃事態に関する政府見解」をよく検討してみると、「日本を守る」とか「自衛のため」という法律の形式で、実は逆に日帝の側から戦争を始め、攻めていくという侵略戦争法案の正体が明らかとなる。それを端的に示すのが、法案のキーワードである「武力攻撃事態」という概念だ。「武力攻撃事態」とは何を指すのか。
 5・16政府見解は、自衛隊に防衛出動が命令される「武力攻撃のおそれのある場合」について、「ある国が我が国に対して武力攻撃を行うという意図を明示し、攻撃のための多数の艦船あるいは航空機を集結させている場合など」と言っている。
 「武力攻撃が予測される場合」とは「予備役の招集や軍の要員の禁足、非常呼集を行っているとみられることや我が国を攻撃するとみられる軍事施設の新たな構築を行っていること」だという。
 以上のような事態はすべて「武力攻撃事態」だと政府見解は言っている。兵隊や戦闘機が集結しているとか、ミサイル基地などを新しく建設していることなどがすべて、有事立法発動の口実になる。ここまで「武力攻撃事態」を広い範囲にするのは、要するに戦争を始める口実はなんでもいいということだ。
 実際問題として、米帝などが核査察問題などで北朝鮮に過酷な要求を突きつけ戦争重圧を加える中で、@北朝鮮軍が集結しているとか、ミサイル基地を建設している、A米帝の空爆などで実際に戦闘が始まった、B戦争重圧と戦争挑発の中で突発的事件が起きた――などあらゆるケースで日帝が参戦するタイミングを追求するのが、「武力攻撃事態」概念の正体なのだ。
 ところで、福田官房長官は国会で「(自衛隊が反撃するのは)ミサイルが着弾した後ということではなくて、武力攻撃の着手があった時」と答弁している。さらに別の政府見解では、ミサイルに燃料を入れただけで「着手」と言っている。政府は、ミサイル基地を攻撃することも自衛権の範囲に含まれるという見解を持っている。つまり、やられる前に反撃するのが自衛権だ、というのが日帝の理屈なのだ。
 以上のようやり方で日帝は「武力攻撃事態」を認定し、「対処」と称して、自衛隊の防衛出動と武力行使に突入する。日米安保条約に基づいて、米軍と一緒に戦争を始める。有事法案はこのことを規定しているのだ。法案にある「武力攻撃の排除」とは、自衛隊が出動して武力行使を行って、相手を攻撃することであり、「武力攻撃の回避」とは、実際には日帝がドンドン戦争準備を始め、軍事対決ムードを強めていくことだ。
 このように有事法案の中身は、一般的、抽象的な規定ではない。すべてが、きわめて具体的な北朝鮮・中国侵略戦争を想定した規定を持つ、日帝が侵略戦争を遂行するための法律なのだ。

 連合見解は労働者の立場か

 連合は、有事立法は基本的には必要だと言っているが、これは労働者階級のとるべき立場なのか。



 連合の5・16見解は、「緊急事態を速やかに排除し、国民の生命及び財産を守り、基本的人権を尊重するため憲法の枠内での法整備は、基本的には必要」というものだ。
 これらは、「国土と国民の安全を守る」「自衛のための反撃」という帝国主義の自衛戦争の論理とまったく同じであり、有事3法案に貫かれている排外主義と侵略戦争のイデオロギーと同一のものである。
 これまでも連合は99年10月、「我が国の外交・防衛政策については……国土と国民の安全を確保する視点で」と主張する「連合の新政治方針」を出している。
 連合が日本最大の労働組合のナショナルセンターの名をもって「国の独立と主権を守り、国民の存立を保全する」とか「国土と国民の安全を確保する」などという帝国主義の排外主義と侵略戦争のイデオロギーの代弁者となっている。とんでもないことだ。帝国主義による資源と領土の略奪、被抑圧民族人民の民族解放闘争圧殺の侵略戦争を擁護し、日本の労働者階級を侵略戦争に動員する最悪の役割を担っている。
 帝国主義者や帝国主義に買収された労働貴族たちは、「国を守れ」とか「自衛のため」と言って、戦争の階級的本質を隠ぺいし、擁護し、帝国主義国の労働者階級人民と被抑圧民族人民を対立させ、侵略戦争へと動員しようとする。だが、帝国主義国の労働者階級のとるべき立場は、祖国防衛主義ではない。
 今日行われている「対テロ戦争」は、「新しい型の戦争」などと宣伝されているが、くり返し述べてきたように、その正体は帝国主義による不正義の侵略戦争だ。「対テロ戦争」こそ、今日の帝国主義世界の危機を世界戦争へと転化させる戦争なのだ。ここに労働者階級の未来はない。
 アフガニスタンやイラク、北朝鮮・中国の労働者人民は、私たちが連帯し、団結してともに闘う仲間だ。ところが連合は、労働者階級の国際連帯を呼びかけるのではなく、帝国主義の政府と一緒になって、自国帝国主義の「独立・主権」を主張し、「国際的競争力の強化」を叫び、「自衛」の名目による侵略戦争のための有事法制の必要を主張している。民族抑圧と侵略戦争が日本労働者階級の利益と未来だと主張しているのだ。
 今求められていることは、アラブ・中東、アジアを始め、全世界の労働者階級、被抑圧民族人民と連帯して、侵略戦争の根源=帝国主義を打倒するために全世界で立ち上がることだ。侵略戦争でしか延命できない帝国主義こそ労働者階級の敵だ。自国(帝国主義)の敗北を歓迎し、自国帝国主義打倒を闘う革命的祖国敗北主義こそ、日本労働者階級人民の進むべき闘いの道なのだ。
 連合こそ、労働運動における帝国主義の最悪の手先であり、排外主義と侵略イデオロギーの労働者階級内部の伝達者なのだ。連合5・16見解粉砕の闘いは、日本の労働者階級人民が排外主義と戦争協力に転落するか否かをかけた決戦だ。職場から連合見解を撤回させる闘いを巻き起こそう。
 「闘う中東・イスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」のスローガンこそ日本の労働者階級人民の進むべき道だ。反戦共同行動委員会が呼びかける9・22闘争に結集しよう。

 「対テロ」は侵略戦争の口実

 米ブッシュ大統領や小泉首相は、この戦争は「テロ組織」掃討のための「自衛のための戦争」「正義の戦争」と言っているが。

 

 「対テロ戦争」とは、帝国主義による、民族抑圧を継続するための、被抑圧民族からの収奪と搾取を継続するための、不正義の侵略戦争である。また同時に、「テロ根絶」は米帝(帝国主義)の世界戦争の論理なのだ。
 今も続くアフガニスタン侵略戦争では、少なくとも数万人の人民が、米英軍の空爆などで無差別に虐殺されている。切迫するイラク侵略戦争では、米帝はフセイン政権の転覆が目的と言っているので、首都バグダッドまで米軍が侵攻した場合、数十万人以上の犠牲者が予測される。また北朝鮮侵略戦争の作戦計画5027では「核兵器を使わない場合でも100万人の死傷者が出る」と米軍はシミュレーションしている。
 さらにブッシュ政権は、NPR(核戦力態勢の見直し報告)や今年の米国防報告で核兵器使用の戦争計画をつくるよう軍部に命令している。核兵器を使用した場合、犠牲者はどれほどになるのか想像できない。
 これが「対テロ戦争」の実態だ。イラク人民や北朝鮮人民を何十万、何百万人も虐殺する戦争を、ブッシュや小泉ら帝国主義者たちは「自衛のための戦争」とか「正義の戦争」と呼んで合理化・正当化している。
 だが、それは百八十度事実をねじ曲げている。この戦争は、帝国主義による侵略戦争だ。「対テロ戦争」を行っている国はどこか考えてみればよい。アフガニスタンで戦争を行っている主要な国はどこか。まず米国と英国だ。それに加えてフランス、ドイツ、イタリア軍が軍事作戦に従事している。そして日本が参戦している。
 これらの国は、どのような国なのか。実はこれらの国こそ、20世紀の100年間にわたって、植民地支配と侵略戦争をくり広げ、2度の世界戦争で人類を地獄の惨禍に引きずり込んだ帝国主義の国そのものである。中東・アジア・アフリカ・中南米の国々を植民地にし、侵略戦争を行い、人民を抑圧し、経済を支配し、資源を奪い、搾取と収奪の限りを尽くしてきた帝国主義である。これら帝国主義が「対テロ戦争」を行っているのだ。
 帝国主義は過去の話ではない。世界のGDP(国内総生産)の占める米国のGDPは30・3%、日本が14・4%、ドイツが7%……と前述の6カ国だけで、世界のGDPのおよそ3分の2を占めている。これらの国は、われわれが生きている2002年現在の地球上で、生産力や富、エネルギーを独占し、地上人口の圧倒的大多数を金融的に絞殺し、資源を奪い、貧困を強制し、抑圧している帝国主義そのものなのだ。
 中東地域に注目して言えば、帝国主義(特に米帝)は、石油支配のために、勝手に国境線を引き、人民を分断・支配し、民族的尊厳や権利を圧殺し、5次にわたる中東戦争や湾岸戦争などの侵略戦争をくり広げてきた。これら帝国主義(米帝)の暴虐に対する積年の怒りの特殊的・極限的爆発が昨年の9・11反米ゲリラ戦争だった。これを帝国主義は「テロ」と呼び、「テロ組織」掃討の戦争を世界中で行うと絶叫している。だが逆に、今日起きている戦争の一切の原因は、帝国主義にこそあるのだ。
 この点で「対テロ戦争」は、かつて日帝(他の帝国主義も)が、朝鮮・中国−アジア人民の民族解放闘争(抗日闘争)を、「共産主義者の扇動」とか「匪賊」と呼んで、侵略戦争の合理化に使ったのとまったく同じ論理である。日帝が中国−アジア侵略戦争を「聖戦」「自存自衛の戦争」「白人帝国主義からアジアを解放する戦争」と宣伝して行ったことを忘れてはならない。
 このような帝国主義の不正義の侵略戦争に全世界を引きずり込むのが、「対テロ戦争」の正体である。有事立法で、再びあの侵略戦争と第2次世界大戦の歴史をくり返してはならない。

 背景には米帝の歴史的没落

 ブッシュ政権はなぜ、世界中の反対の声を押し切ってまで、イラクや北朝鮮を攻撃しようとしているのか。



 昨年の9・11反米ゲリラに対して、ブッシュ大統領は「これは戦争だ」と言い、アルカイダを9・11の首謀者と決めつけ、アフガニスタンのタリバン政権を転覆する侵略戦争を開始した。さらに1月末の一般教書演説では「戦争はまだ始まったばかり」と、軍事費を倍増させ、「対テロ戦争」を世界中に拡大することを宣言した。
 ブッシュは、イラク・北朝鮮・イランを「悪の枢軸」と名指し、政権転覆の戦争をくり返し宣言している。ブッシュ政権は、NPRで、先制攻撃や核兵器の使用を公言している。イラクのフセイン政権打倒の空爆や地上作戦などを行う米軍の作戦計画が連日、報道されている。
 米帝は、イラク・北朝鮮・イランに加えて、01年QDRやNPRなどで中国を侵略戦争の対象として構えている。米軍は現在、アフガニスタンだけでなく、フィリピン・グルジア・イエメンなどで「テロ組織」掃討の軍事作戦を行い、世界中に侵略戦争を拡大している。
 米帝がこれほど、世界中で(侵略)戦争を行うのは、70年代以降四半世紀にわたって蓄積された矛盾と危機がついに爆発点に達したからなのだ。9・11以後の世界は、文字どおり第2次世界大戦のような世界戦争の時代に入っている。
 なぜ米帝がここまで凶暴に世界中で戦争を行うのか。結論から言えば、戦後世界の基軸帝国主義として存在してきた米帝の歴史的没落が背景にある。
 第2次世界大戦後の米帝は、世界の生産力の過半を占め、世界の金の3分の2を保有し、海外投資は世界の4分の3を占める巨大な経済力を誇った。軍事的にも第2次世界大戦で独日帝を粉砕した世界大の軍事力を基本的に維持し、世界中に米軍を駐留させ、朝鮮戦争やベトナム戦争などの侵略戦争を行ってきた。
 パクス・アメリカーナと呼ばれる繁栄の一時代を謳歌した米帝だが、日帝や独帝などの他帝国主義の台頭、ベトナム敗戦などで没落が加速した。ソ連崩壊後は、他帝国主義との争闘戦を基軸化し、米経済をバブル化させ、延命してきた。
 しかし、9・11で被抑圧民族の帝国主義(米帝)に対する積年の怒りの弾劾・糾弾がたたきつけられ、米帝の没落が決定的に露呈した。一方、米帝の株バブルも大崩壊を開始、エンロンやワールドコムなどの超巨大企業が次々倒産している。米帝(帝国主義)の没落こそ、ブッシュの世界戦争路線を根底で規定するものだ。
 ブッシュ政権は、世界戦争路線に突き進み、「対テロ戦争」を世界中で行うことによって、米帝の国益を守るために世界支配を暴力的に再編し、他の帝国主義を押さえ、没落から逃れようとしている。しかし、それは帝国主義の基本矛盾の激化を促進し、今日の世界危機を文字どおり世界戦争に転化していくだけだ。それは一方で被抑圧民族人民の民族解放闘争を燃え上がらせずにはおかない。
 闘うアジア人民、闘うイスラム諸国人民と連帯し、米帝ブッシュの世界戦争路線と対決し、日帝の有事立法攻撃粉砕に決起しよう。

 

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週刊『前進』(2068号4面2)

日誌 ’02  8月21日〜27日

 アーミテージ イラク攻撃の協力を要請
 沖縄沖、嘉手納にF15が墜落

●嘉手納F15が墜落 米軍嘉手納基地所属のF15C戦闘機が、訓練中に沖縄本島の南約100`の公海上に墜落した。現場海域はマグロはえなわ漁船の漁場。飛行訓練停止を求める抗議にもかかわらず、26日訓練を再開。その直後に2機が緊急着陸。(21日)
●「(フセイン)政権交代が世界の利益」とブッシュ ブッシュ米大統領は、対イラク攻撃について「政権交代が世界の利益だ。それをどう成し遂げるかは、同盟国や米議会にも相談する」と述べた。(21日)
●CH46ヘリに欠陥 米海兵隊の主力輸送機で、普天間基地にも配備されているCH46ヘリの回転翼の一部に欠陥が見つかり、海兵隊は米本国や沖縄に展開している同型機約220機の飛行を停止させた。(22日)
●法務省が組織犯罪に「共謀罪」の方針 法務省が、実際に犯罪が行われなくても、その謀議に加わる行為そのものを罰する「共謀罪」を創設する方針を固めた。9月に開かれる法制審議会に諮問する。同省原案によると、組織的犯罪処罰法を改悪して導入、最高刑を懲役5年と定めている。(23日)
●防災訓練に米軍が初参加 沖縄県の稲嶺知事は、8月29日に行われる県総合防災訓練に、初めて在沖米軍が参加すると発表した。米軍を恒常的に訓練の参加機関と位置づけたのは県レベルでは初めて。(23日)
●米、北朝鮮に経済制裁 北朝鮮がイエメンにミサイル部品を輸出していたとして、ブッシュ米政権が経済制裁を科したとニューヨーク・タイムズ紙が報じた。(23日)
●グアムの空軍強化検討 米太平洋軍のウィリアム・ベガート空軍司令官(大将)が、グアム島の空軍力を強化するための議論を国防総省で進めていることを明らかにした。同島のアンダーセン空軍基地に爆撃機や戦闘機、空中給油機などを再配備することを目指しているという。再配備が実現すればベトナム戦争以来。(23日)
●イラク南部を米英が空爆 米中央軍司令部によると、イラク南部で米英軍機がイラクの防空施設に攻撃を加えた。国営イラク通信は、8人が死亡したと伝えた。(25日)
●イラク攻撃「核武装前に」米副大統領 チェイニー米副大統領は、イラクが「核武装」という一線を越える前に米国は軍事行動を起こすべきと断言、フセイン政権打倒後は、アフガニスタンと同様、民主国家の建設に努力するとの構想を示した。ブッシュ政権の首脳としては、初めてフセイン政権打倒後の構想についても踏み込んだ。(26日)
●イラク攻撃に議会承認不要 フライシャー米大統領報道官が、イラク攻撃にあたって新たな議会の承認は必要ないとの見解をホワイトハウスの法律顧問団がブッシュ大統領に伝えていたことを確認した。(26日)
●米が新疆独立派一部を「テロ組織」に認定
 北京を訪れたアーミテージ米国務副長官が、胡錦涛国家副主席と会談し、米国政府が新疆ウイグル自治区の独立派グループ、東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)をテロ組織と認定したことを明らかにした。中国側はこれを歓迎した。(26日)
●イラク攻撃の協力要請 アーミテージ米国務副長官が来日、与党3党の幹事長と会談し、イラク攻撃について「いずれ意思決定を下す。テロを取り除くための米国の行動に関し、日米同盟の重要性にかんがみ、十分協議して欲しい」と要請。(27日)
●731部隊訴訟、細菌戦の存在認定 日本軍の731部隊の細菌戦で虐殺された中国人の遺族らが日本政府に損害賠償と謝罪を求めた訴訟の判決で、東京地裁は、731部隊の細菌戦を日本の裁判史上初めて認めた。しかし、日本の国家責任については、「日中友好条約などで決着している」と原告側の請求を棄却した。(27日)

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週刊『前進』(2068号5面1)

02年「米国防報告」と世界戦争
イラクへの先制攻撃を明記 戦略目標は中国の体制転覆

 8月15日、ラムズフェルド米国防長官は2002年米国防報告を大統領と連邦議会に提出した。これは、01年QDR(4年ごとの戦力見直し)やNPR(核戦力態勢見直し)などで明らかにした米帝ブッシュ政権の世界戦争戦略を、アフガニスタン侵略戦争の総括をふまえて集大成したきわめて重大な文書である。それは何よりもイラク侵略戦争、さらには北朝鮮・中国侵略戦争を実行するための戦争方針書だ。徹底的に弾劾する。米帝の世界戦争計画と対決し有事立法粉砕に総決起しよう。

 地上軍大規模派兵や核使用も路線化

 02年国防報告は第一に、01年QDRやブッシュ、ラムズフェルド発言などを集約し、01年QDRを正式な国家戦略として確定した。
 国防報告は「今日の米軍の行動は国際的テロリズムとの長く、危険な地球規模の戦いのほんの始まりにすぎない」「米軍の目的は米国の国益を守り発展させることであり、もし抑止が失敗した場合には国益に対する脅威をうち破ることである」と宣言した。すなわち、「21世紀の脅威」から「米本土」と「米国の国益」を防衛すると称して、米帝を脅かす存在や、その可能性をもった存在を、次々に戦争で粉砕するということだ。そして米帝は大崩壊の過程に入った戦後世界体制を破壊的に再編し、世界大恐慌、長期大不況下での帝国主義間の死闘戦に打ち勝とうとしている。
 国防報告は国防政策の目標として、@海外駐留米軍によって同盟国と友好国の安全を保障すること、A他国の将来の軍事的対抗行動を抑止すること、B前進展開部隊、現地駐留部隊の強化でアメリカの国益への脅威を抑止すること、C抑止が失敗した場合、敵を決定的に打ち負かすこと(敵対国家の体制変革や領土の占領も含む)を掲げた。まさに「アメリカだけが正義」というむきだしの帝国主義的で凶暴な世界戦争宣言である。
 02年国防報告は第二に、こうした世界戦争戦略のもとでイラク侵略戦争、さらに北朝鮮・中国侵略戦争を発動することを宣言した。
 国防報告が「米国を防衛するためには予防と、時には先制攻撃が必要となる」「最良の防衛は適切な攻撃だ」「大統領が命令すれば、米軍は敵の領土を占領したり、政権交代の条件をつくる」と主張していることは重大だ。これはイラクへの先制攻撃宣言である。
 その際「米国はいかなる手段をも排除しない。米国はあらゆる手段を使用し、勝利を得るために必要な犠牲を払う用意がある」と、地上部隊の大量投入や核兵器の使用をも宣言し、イラク侵略戦争を世界戦争級の大戦争として構えることをうち出した。
 また同報告は「戦争自体が連合関係を決める。連合の組み合わせで戦争の目的を決めてはならない」と確認した。この間、独・仏など欧州帝国主義やアラブ諸国がイラク侵略戦争に消極的ないしは反対する態度を示している。これらの国々との対立を深めてもイラク侵略戦争は絶対やると宣言したのだ。
 8月26日、チェイニー米副大統領は内外の慎重論に反論して「行動しないことの危険は、行動にともなう危険より、はるかに大きい」とイラクへの先制攻撃をあらためて宣言した。そしてフセイン政権の打倒がパレスチナ解放闘争の圧殺につながると指摘した。
 イスラエル・シャロン政権は、米帝に「早くイラク攻撃を行え」と圧力をかけ、「イラクから非通常兵器で攻撃されれば、核で報復する」と言い放った。
 国防総省の諮問委員会では「サウジアラビアは米国の敵であり、サウジアラビアがテロ支援をやめなければ油田と米国に投資した金融資産を接収すべきだ」との報告がなされた。米帝がフセイン体制を打倒して親米国家をうち立てなければ、中東石油支配のかなめであるサウジアラビアすらもたなくなっているのだ。
 9・11反米ゲリラ戦争やパレスチナ人民の闘いは、中東における米帝の新植民地主義支配体制の破たんと危機がもはや限界にきていることを突き出している。米帝がイラクを戦争的に粉砕しなければ、米帝の歴史的没落と中東支配の崩壊が決定的となり、中東石油の独占的支配・再分割戦で大敗北しかねないぎりぎりのところにあるのだ。

 対北朝鮮侵略戦争へと連動

 さらに、このイラク侵略戦争は対北朝鮮・中国の侵略戦争発動に直結するものだ。国防報告は「中東から極東までは不安定な弧であり、世界の中でもっとも危機をはらんだ地域」であるとの認識を示し、ブッシュが今年1月の一般教書演説で「悪の枢軸」と名指ししたイラン、イラク、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を「長距離ミサイルで武装し、核・生物・化学兵器の入手を狙っている」とあらためて非難した。
 ブッシュ政権はクリントン前政権時代に北朝鮮がイエメンにスカッドミサイルの部品を輸出していたとして、北朝鮮に新たな経済制裁を科すことを決めた。米帝は軽水炉建設の基礎工事が始まったことを受けて、北朝鮮に対する核査察要求を強め、日米安保をテコに戦争重圧を強めている。

 “軍事的競争相手”と中国への脅威論

 02年国防報告は第三に、中国スターリン主義との戦争的対決を強烈に押し出している。ブッシュ政権は、イラクや北朝鮮などへの侵略戦争を、中国スターリン主義の転覆を戦略的目標とする米帝の世界戦争戦略の中に位置づけているのだ。
 国防報告は「諸地域大国は米国の利害にとって重要な地域の安定を脅かす能力を強めている。特にアジアは大規模な軍拡競争に脅かされやすい地域になってきている」「この地域には、相当な資源基盤をもった(米国に)対抗しうる軍事的競争相手が出現する可能性がある」と、アジア重視を強烈に押し出した。
 ここで言う「地域的な大国」「強大な軍事力」とは、7月12日に国防総省が連邦議会に提出した中国の軍事力に関する年次報告と一体であり、直接には中国を指している。さらに潜在的には日帝をも想定している。また「大規模な軍拡競争」と言ったとき、日帝の軍事的台頭と核武装ということを強く含んでいる。
 7月12日の報告書では、「中国の軍事ドクトリンは台湾に奇襲をかけ、台湾指導部を短時間に屈服させる強硬なものになっている」とし、そのために海峡沿いに短距離ミサイル約350基が配備済みで、毎年約50基のペースで増強中であると強い警戒感を示した。また「実際の軍事支出は(中国側発表の)3〜4倍の650億j前後の可能性があり、事実なら中国はすでに米国に次ぎ世界第2位になった」と中国軍近代化の脅威を強調した。さらに中国が中台紛争への米軍の介入を想定し、米軍基地のある沖縄も射程に収める短距離ミサイルM―9改良型を開発していると指摘した。米帝は沖縄を核戦争の戦場にしようとしているのだ。
 米帝は「対テロ戦争」の中で、ロシアから中央アジア、さらに東南アジアへと広がる中国包囲網を構築しつつある。米軍は西太平洋に空母機動部隊を追加配備することをすでに明らかにしており、グアムに爆撃機や戦闘機などを再配備することを検討している。米帝は中国を包囲し、日帝を動員してミサイル防衛(MD)構想を進め、中台問題をもテコに軍事重圧をかけ、北朝鮮侵略戦争を強行し、さらには中国スターリン主義の体制を転覆しようとしているのだ。

 日帝に有事立法と沖縄基地強化要求

 02年国防報告は第四に、「同盟国や友好国の安全保障協力が死活的」「アジアでは、他地域以上に(同盟国との)協力推進や、遠距離からの作戦を継続するシステムを開発する必要がある」と述べ、朝鮮・中国侵略戦争のための日米同盟と沖縄米軍基地の強化をとくに重視している。
 これは北朝鮮・中国侵略戦争法である有事立法の制定を日帝に迫るものであり、名護新基地建設を始めとする沖縄米軍基地の最前線基地化、米軍基地を防衛するミサイル防衛への参加を強く働きかけるものだ。
 米帝は、朝鮮・中国侵略戦争で米軍の作戦を全面的に支えるものとして日帝を徹底的に動員し、米帝の世界戦争戦略のもとに日帝を組み伏せようとしている。米帝は中国スターリン主義の転覆または転覆的取り込みを、日帝の独自の政策を粉砕するやり方で対日争闘戦の観点から戦争的にやり抜こうとしているのだ。

 帝国主義間の戦争をも想定

 02年国防報告は第五に、「テロが21世紀の唯一の脅威と信じてはならない。……非対称的な脅威の台頭は、将来、地域大国が米国や同盟国に通常手段で挑んでくる可能性を排除するものではない」と述べ、帝国主義間戦争をも想定している。国防報告は「テロリズムに対する戦争を行っているときでも、将来の挑戦に備えなければならない」と、「対テロ戦争」を推進する中で、同時に他帝国主義を圧倒するための米軍改革を行うことが必要だとした。
 さらに国防報告は通常兵器と核兵器を組み合わせて実戦で使用していくというNPR路線を確認し、21世紀の戦争を核戦争として強行することを宣言した。
 これはなんと恐るべき戦争計画であろうか。総じて02年国防報告は、米帝がイラク侵略戦争を世界戦争級の戦争として完全に決断していること、イラク侵略戦争は朝鮮・中国侵略戦争へと直ちに連動していくこと、それは第3次世界大戦への道であることを突きだした。こんな帝国主義は打倒するしかないのだ。
 一方、国防報告は「タリバン政権が崩壊した後も、アフガニスタンでの任務は完遂からほど遠い。米軍は山岳地帯にひそむタリバンやアルカイダを摘発する危険な任務を続けている」と書かざるをえなかった。アフガニスタン人民は悪条件をはねのけて米軍と闘い続けており、侵略戦争が泥沼化しているからだ。
 日帝はこの02年国防報告に対応するために、今秋臨時国会で有事立法を何が何でも成立させようとしている。そして米帝のイラク侵略戦争、北朝鮮・中国侵略戦争に共同的=競合的に参戦し、世界戦争の主体として登場しようとしている。
 有事立法粉砕決戦は米帝の世界戦争戦略と真っ向から対決する闘いだ。闘うイスラム諸国人民、闘う朝鮮・中国人民と連帯し、9・22闘争に決起しよう。
〔早乙女 優〕

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週刊『前進』(2068号5面2)

有事立法徹底批判 (1)
「おそれ」と「予測」の重大性
武力攻撃事態法@ 侵略戦争突入の仕掛け

 有事立法(個人情報保護法案を含む)は、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争に日帝が共同して全面的に参戦するための侵略戦争法案であり、国家総動員法案である。この戦争法案を絶対に阻むために、戦後最大の政治決戦を爆発させなければならない。本紙夏季特別号などでの逐条批判をふまえ、今号からシリーズで有事立法を暴露する。

 新概念の定義

 3法案の中心をなす武力攻撃事態法案の核心は、日帝が侵略戦争、とりわけ北朝鮮への侵略戦争に突入するための仕掛けをつくるところにある。その一つがこれまでの「武力攻撃」ということに加えて「武力攻撃事態」というあいまいで、いくらでも拡大解釈ができる新概念をつくりだしたことである。
 武力攻撃事態法案では第2条の定義で用語の意義を規定している。その中で第一号で「武力攻撃」を定義し、第二号で「武力攻撃事態」を定義している。
 まず前提的に確認しておきたいことは、「武力攻撃」の概念自身が従来より格段に拡大されていることである。自衛隊法では第3条自衛隊の任務で「自衛隊は、……直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし」と、侵略からの防衛ということをうたい、その上で第76条で「外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)に際して、わが国を防衛するため必要があると認める場合には」として防衛出動を規定している。
 これが武力攻撃事態法案では、5月16日の政府見解によれば「武力攻撃とは、我が国に対する外部からの組織的、計画的な武力の行使をいうものである。また、武力攻撃を加えてくる主体としては、国だけでなく、国に準ずる者もあり、攻撃の規模の大小、期間の長短や攻撃が行われる地域、攻撃の態様等も様々であり、武力攻撃の態様は一概に言えない」ときわめて広範囲に「武力攻撃」を拡大している。
 その上でさらに「武力攻撃事態」なる概念をデッチあげ、これに対しても「対処」=武力行使するものとして法案は作られている。
 では「武力攻撃事態」の定義はいかなるものか。法案第2条は「武力攻撃(武力攻撃のおそれのある場合を含む)が発生した事態または事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」としている。これによると、@武力攻撃そのものがあったとき、A武力攻撃のおそれのあるとき、B武力攻撃が予測されるに至ったとき、が武力攻撃事態だとなっている。「おそれのある場合」の前段にわざわざ「予測されるに至った事態」というケースを新たに設定したのは、武力攻撃発生のかなり前の段階から「武力攻撃事態」と認定して、全面的な侵略戦争体制に突入するためである。
 「予測されるに至った事態」とは、5月16日の政府見解を見ても「その時点における国際情勢や相手国の動向、我が国への武力攻撃の意図が推測されることなどからみて、我が国に対する武力攻撃が発生する可能性が高いと客観的に判断される事態」とされており、要するに「推測される」「判断される」とあるように、いくらでも日帝政府の勝手な推測と判断で認定されるのである。これは「武力攻撃のおそれのある場合」が「武力攻撃を行うとの意図を明示し、攻撃のための多数の艦船あるいは航空機を集結させている」と例示しているのを見ても、いかにいい加減で、いくらでも拡大解釈されるものであるかは明白である。
 そもそも「武力攻撃を行うとの意図を明示し」や「多数の艦船あるいは航空機の集結」ということ自体が何でも口実にできるのだ。明確な宣戦布告ではなく「意図の明示」ということでは、「火の海となるであろう」といった発言や報道が「意図の明示」とされ、訓練のための部隊の集結が攻撃のためとされて「おそれがある」とされるのである。

 重大なペテン

 政府は、この「予測されるに至った事態」を自衛隊法第77条の「防衛出動命令が発せられることが予測される場合」と同じであると説明しているが、ここには重大なペテンがある。自衛隊法の「予測される場合」というのは防衛出動が予測されるものであって、武力攻撃事態法案に言う「武力攻撃が予測される」というのではない。この違いはきわめて大きい。
 自衛隊法の防衛出動命令が「予測される場合」というのは、防衛出動命令を発するために国会承認を得ようとしている段階で、数日中に国会承認が得られる見通しであるとか、すぐに国会承認を得られる見通しはないが、事態が緊迫したために自衛隊法第76条のただし書きにもとづいて、国会承認の前に防衛出動を下令することが予測され、その準備段階として、防衛庁長官が首相の承認のもとに防衛出動待機命令を出すというような規定である。したがって、この段階は、「おそれのある場合」よりもさらに事態が緊迫してきた段階として規定されていると見るべきなのである。
 それを、「武力攻撃が予測される」という新概念を従来と同じであるかのように装って押し込み、「武力攻撃のおそれのある場合」のさらに前段に「武力攻撃が予測される」場合として勝手な口実によっていくらでも「武力攻撃事態」として認定可能な段階を設定している。そして自衛隊を出動させ、日本を戦争状態に一挙にたたき込み、全面的な侵略戦争へと突入していくのである。

 「周辺事態法」

 こうした「武力攻撃事態」のいくらでも拡大解釈できる定義は、この法案が北朝鮮・中国侵略戦争のためであることを鮮明に示している。しかもこの有事3法案は99年に成立した周辺事態法と一体であり、それと結合して自衛隊が侵略戦争に全面的に突入していくための法案なのである。
 周辺事態法は、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」という新概念をデッチあげて、米帝の北朝鮮・中国への侵略戦争に全面的に協力し、自衛隊が参戦していく道を開いた。この周辺事態法によって米帝の侵略戦争に参戦しつつ、その参戦に対して北朝鮮などが反撃の宣言をしたり、何らかの行動を起こせば、「武力攻撃事態」であると宣言し、自衛隊が侵略戦争に突入しようとするものである。日帝は、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争が切迫する中で、これに全面参戦するための法整備と国家総動員態勢の確立に全力で踏み込んできているのである。
 (秋原義明)

 武力攻撃事態法案

 第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一、 武力攻撃 我が国に対する外部からの武力攻撃をいう。
 二、 武力攻撃事態 武力攻撃(武力攻撃のおそれのある場合を含む)が発生した事態または事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態をいう。

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週刊『前進』(2068号5面3)

新刊紹介 コミューン 10月号 日共のペテン暴く

 今号の特集は「日共の有事立法反対論のペテン」。
 第1章では、日本共産党の有事立法反対論の内容を具体的に検討し、その反革命的性格をえぐり出した。日帝は、米帝の北朝鮮・中国侵略戦争への積極的参戦政策をとり、そのためにこそ有事法制の制定に突進している。このことについて一切言及せず、逆に「日本防衛のための戦争」を容認して有事法制制定を実質的に推進する立場にたっている日共の犯罪性、反動性を徹底的に暴露した。日共のこうした裏切りは、有事立法反対闘争が世界戦争か世界革命かをめぐる壮絶な階級決戦であることに恐怖し、そこからの逃亡によって延命しようとしていることから不可避になっていることを明らかにした。
 第2章では、90年代後半以降の日共の安保・防衛問題における反革命的裏切りの歴史について暴露した。98年の「安保廃棄」路線の廃棄以来、自衛隊・自衛権の承認、排外主義の先兵化、天皇制への屈服と容認など、次々に日帝の攻撃に屈服している日共の現実こそ、今日の日共の有事立法攻撃への屈服の背景にあるという点について明らかにした。
 医療「人体を『資源』にする生命操作」(下)は、脳死−臓器移植による死の前倒しと、新植民地主義的な臓器狩り・臓器売買を暴く。有事立法、医療制度改悪と一体のものとして、命の選別=戦時医療化の策動として暴き、闘いを呼びかける。

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週刊『前進』(2068号6面1)

黒野公団新総裁の「延伸」宣言粉砕せよ
10・13三里塚全国闘争に結集し有事法制粉砕の突撃路開こう
 江波 敏之

 日帝・小泉内閣の有事立法攻撃と連動して、暫定滑走路開港後の三里塚闘争が新たな決戦に突入した。空港公団新総裁・黒野匡彦は暫定滑走路を延長して2500bにすると宣言し、敷地内農民に対して、用地買収に応じないなら当初計画を変更して「北側に延伸」すると脅迫した。米帝はアフガニスタンに続き、この秋にもイラク侵略戦争の強行を狙い、日帝はイラク・北朝鮮・中国侵略戦争のための有事立法の制定に突き進んでいる。これと連動して、日帝は反戦勢力の一掃と戦略的軍事基地の確保のために三里塚に解体攻撃をかけている。「北側延伸」を振りかざした公団新総裁・黒野の切り崩し攻撃をあらゆる手段で粉砕し、北朝鮮・中国侵略戦争を絶対阻止する今秋有事立法粉砕決戦へ。反戦共同行動委主催の9・22大闘争から10・13三里塚全国集会の大爆発をかちとろう。

 “地権者交渉と北側延伸を両にらみで”

 空港公団新総裁・黒野匡彦は就任後の8月13日、記者会見で「ジャンボ機の離着陸が可能になるように、(暫定滑走路を)一刻も早く2500b化したい」と発言し、当初計画どおりに平行滑走路を完成させるとする日帝の意志を露骨に表明した。このために、前総裁・中村の方針を百八十度転換し、千葉県や関係自治体を農民切り崩しに総動員する方針を打ち出した。
 黒野は焦りもあらわに「はっきりした見通しもなく、何年も(用地買収が)膠着(こうちゃく)状態でいいのかという問題がある」と語るとともに、「地権者の交渉と北側延伸を両にらみで進めたい」と、敷地内農民を脅迫したのである。
 この黒野発言と連動して日帝・国交省は「北側延伸」に調査費を付けることを明らかにした。
 黒野発言は公団総裁としても歴史上特筆すべき暴言である。「話し合いに応じろ」「嫌なら滑走路を北側に延ばし、頭の上でジャンボを飛ばすぞ」と反対同盟農民を脅迫している。
 三里塚農民の闘いに追いつめられた日帝・運輸省(当時)と空港公団は、シンポジウムで過去の歴史を「謝罪」し、二期工事にかかわる収用裁決申請を取り下げ、平行滑走路を「白紙」に戻した。円卓会議では「地権者との合意無くして着工しない」と公約した。これでなお用地が買収できないとわかると、農家の上空40bをジェット機が飛ぶ暫定滑走路計画を打ち出し軒先工事を強行した。東峰神社の神社林を人びとの目の前で伐採して屈服を迫った。そしてガード下並みの大騒音とジェットブラストの直撃だ。
 この経過のどこに「社会的正義」(隅谷調査団最終意見書)があるというのか。政府は都合に合わせて法を書き換え、何度も自ら踏み破り、国家レベルの「公約」をほごにしたのである。すでに国交省・空港公団は暴虐の限りを尽くし敗北したのだ。
 ここに至ってなお、農民を迫害してやまない日帝の底にあるのは、国策に反対する人民の掃討ともいうべき有事法制と同根の暴挙である。この新たな切り崩し攻撃を、闘いの蓄積の一切をかけて粉砕しなければならない。

 「暫定」開港で混乱が常態化

 新総裁・黒野の暫定滑走路延伸攻撃でおさえるべき第一は、暫定滑走路の欠陥性が全面露呈していることである。日帝の三里塚制圧の破綻(はたん)が引き起こした無謀きわまる暫定滑走路は、開港直後から空港全体の管制を混乱させている。
 8月初旬、航空会社60社でつくる新東京国際空港航空会社運営協議会(AOC)は、国交省と空港公団に対して、発着の遅れを解消するための検討委員会設置を申し入れた。着陸の場合、「A滑走路で平均6分、暫定滑走路で平均9分」の遅れが出ている。「上空待機で41分かかった例や、他空港に代替着陸したケースもあった」という。
 原因は、@空域制限で着陸ルートが狭く上空待機を強いられること、A連絡誘導路と「へ」の字誘導路など暫定滑走路の欠陥による地上走行の遅れである。
 成田空港の1時間あたりの離発着回数の制限は、混乱を見越してあらかじめA滑走路1本だけの時の32回から30回に減らされているが、この制限にもかかわらず、A滑走路の運航にまで、なおも深刻な遅れを生み出している。混乱と破綻の常態化と言うべき事態である。
 新総裁・黒野の暫定滑走路延伸攻撃でおさえるべき第二は、脅迫とデマを常套(じょうとう)手段とする攻撃の極悪さである。そもそも「北側延伸」など、法的にも社会的にも論外であるばかりか現実的に不可能である。

 「延伸」で脅し農家追放狙う

 正確に言えば、国道51号線のトンネル化(ないしう回路建設)、アプローチエリアとなる東関道問題、空港閉鎖後の夜間工事による巨額の建設費と工事の長期化を度外視すれば、北側に320bだけコンクリートで固めることはできる。
 しかしこれではジャンボ機は飛べない。ネックは誘導路である。滑走路と第2ターミナルビル・エプロンとを結ぶ連絡誘導路は、開拓組合道路によってボトルネックになり片側交互通行を強いられている。しかもジャンボ機が走行する基準幅に達しない。ジャンボ機は滑走路に来ることもできないのだ。「へ」の字誘導路は、市東孝雄さんの畑と現闘本部、一坪共有地を強奪しなければ永遠に解消しない。
 しかも自衛隊百里基地と米軍横田基地による空域制限と、内陸空港ゆえの騒音規制により、成田空港は平行しての進入・離陸は不可能である。滑走路が2本あっても事実上、1本の運用と変わらない。
 「北側延伸」による2500b滑走路は、暫定滑走路の欠陥と破綻を遺産として引き継いだままでは、造ること自体が無意味なのだ。
 しかも空港整備特別会計は1兆円を超える負債をかかえ、国家財政が破綻にひんする今の日帝には、資本投下自体が論外である。
 「北側延伸」は農家追放のための脅迫だ。狙いは、破綻からの脱却をかけて、当初計画どおりの2500b平行滑走路(最終的には暫定滑走路ずらし部分800bと南端部舗装部分400bを加えて3700b)を完成させるための、脅迫と生活破壊による切り崩しである。これとの闘いが現下の最大攻防である。

 暫定滑走路延長は空港の軍事基地化

 有事法制3法案は今秋臨時国会が決戦場となった。法案は、戦争放棄と戦力不保持、交戦権の否認を誓った憲法9条を破棄する北朝鮮・中国侵略戦争遂行法だ。戦前の天皇大権にも匹敵する戦争大権を首相に与えるものであり、軍隊の行動の自由と、国家総動員、戦争に反対する人民の投獄とを本質としている。
 エンロン、ワールドコムに続いて米航空業界大手のUSエアウエイズが倒産し全米第2位のユナイテッド航空が倒産の危機に陥っている。ITバブル崩壊に始まる米帝経済危機はますます深刻さを深め、世界大恐慌の過程が始まっている。
 米帝はこの危機をのりきるためにQDR戦略に基づく世界戦争計画を開始し、イラク侵略戦争を強行しようとしている。ブッシュの「対テロ戦争」は終わりのない戦争の開始である。
 日帝は米英帝のイラク侵略戦争に参戦する一方、北朝鮮・中国侵略戦争には、あくまでも対米対抗的に、帝国主義として主体的に参戦しようとしている。有事立法はそのための日帝独自の戦争遂行法である。
 日帝・小泉内閣は、日米安保体制における巨大軍事空港の死活性と治安政策の両面から、三里塚の決戦的攻防を避けて通ることができない。黒野の暫定滑走路延長攻撃の背後にあるのは、有事法制と一体の国内侵略体制構築攻撃である。
 第一に、北朝鮮・中国侵略における成田空港の軍事的戦略基地としての決定的位置・役割である。
 現代の帝国主義戦争において航空輸送とその大前提をなす空港の役割はきわめて大きい。軍事基地のみならず民間空港が兵站(へいたん)基地として決定的な役割を果たしている。91年湾岸戦争におけるサウジアラビアのダーラン空港、米軍・NATOのコソボ空爆におけるフランクフルト空港、アフガン侵略戦争において明らかだ。

 罰則付き軍事転用が可能に

 有事法制は成田空港の軍事転用を罰則付きで可能とする。内閣総理大臣は地方公共団体や指定公共機関に対して強制力をもち(武力攻撃事態法案第15条2項)、新東京国際空港公団は災害対策基本法ですでに指定団体だからである。
 すでに在日米軍は、朝鮮半島有事の際の1059項目の対日支援要求に、成田空港を指定している(95年12月)。これは米軍54万5千人と南朝鮮軍約63万人、5〜7個の空母機動部隊、ステルス戦闘爆撃機、核搭載戦略爆撃機などのハイテク装備を投入し短期間で朝鮮半島を制圧する「米作戦計画5027」の大前提となっている。米軍はそのために民間8空港・6港湾を指定し、成田空港は米軍によって軍事使用と24時間通関体制が要求されている。
 他方、有事体制づくりの動きは航空管制の領域でも始まっている。米軍が横田の軍民共用化や一部空域の返還を示唆し、日帝・交通政策審議会が「民間、防衛庁、米軍の空域の一元管理をめざす」ことを提案している。空の開放ではなく軍事化である。「一元管理」の名のもとに全空域を軍事管制下に置く動きである。
 2500b当初計画から最長3700bを狙う暫定滑走路延長攻撃は、これらの侵略体制構築攻撃と完全に一体である。

 反戦の拠点=三里塚の真価発揮する時

 第二に、階級攻防としての三里塚闘争の意義である。
 有事法制の本質は侵略戦争への国民総動員であり、これを拒否する反戦人民の投獄と反戦闘争拠点の解体である。
 武力攻撃事態法案第8条「国民の協力」は、戦争協力を国民の義務とするものである。現行自衛隊法103条は戦争遂行のために病院や診療所、土地、家屋、物資の強制使用と、生産・流通・輸送の労働者に対する保管命令と収用権限を規定している。第2項では医療、土木建築工事、輸送労働者に対してその業務を命令することができるとしてきたが、改正案では違反者に対する罰則規定が新設される(第124条、125条、126条)。
 また、政府は国民保護法案に罰則規定を明記するとしており、自衛隊の戦時権限の拡大と表裏一体で強制的な私権制限を打ち出そうとしている。
 福田官房長官は有事法制特別委員会で「思想、良心、信仰の自由が制約を受けることはありうる」として思想や信仰を理由に戦争協力を拒否することを認めない立場を露骨に語った。
 三里塚闘争は「国策」を掲げた日帝・国家権力による土地の強制収用に対して実力闘争で闘ってきた。私権制限の強化を図る土地収用法改悪と闘ってきた。「個人の利益と公共の利益が対立した時、個人の利益にはおのずと制限が加わる」(4・18暫定路開業前日の読売社説)といった国益論と闘い、戦後闘いとった人民の基本的権利を守り続けてきた。それが今日、有事法制で本質的、普遍的に全人民に問われている。
 帝国主義の侵略戦争絶対反対の思想と戦争協力拒否は、労働者人民の階級的態度でなければならない。これは有事法制との闘いの核心である。
 「日米安保賛成」「自衛隊賛成」を労働組合の方針とした連合の政治方針と、「有事法制賛成」の5・16連合見解は「産業報国会」化の道である。平時と有事とにかかわらず、帝国主義国家に対して、人民の基本的権利を実力で守る三里塚の闘争原則を発展させることこそが、有事法制を粉砕し侵略戦争を阻止する道である。
 第三に、三里塚闘争の反戦闘争としての到達地平である。
 強制収用に対する大衆的実力闘争と長期強靱(きょうじん)な抵抗闘争は、成田空港建設の事業認定を失効させ、収用委解体の闘いは土地収用制度そのものを崩壊させた。三里塚闘争は、日帝の支配と統治の一角を実力で粉砕し、日帝の行政機構そのものを制御不能に追い込んでいる。
 これこそ人民が持つ根源的な力である。日帝は内乱の火種をかかえて北朝鮮・中国侵略戦争に突入せざるを得ない。三里塚闘争を発展させてきた闘いの真価を今こそ発揮すべき時が来たのである。

 フェンス設置させ敷地内の生活守れ

 勝利のための闘争課題と方針を確認しよう。何よりも有事立法粉砕決戦の一環として、三里塚闘争に総決起することである。
 日帝にとって成田空港完成の最後の手段は有事法制下の土地収用である。すでに見たように、三里塚闘争は有事立法粉砕決戦の不可欠の構成要素であるが、三里塚闘争それ自身の勝利にとっても、有事立法を絶対阻止しなければならないのである。
 この闘いを推進しつつ、「北側延伸」を掲げる公団新総裁・黒野の「話し合い」攻撃を粉砕する現地攻防に猛然と決起することである。
 千葉県知事・堂本が積極的に関与する意思を明らかにした。「北側延伸」について堂本は「空港公団が決めること」などと無責任な対応で脅迫の一翼を担っている。またJR常磐新線の建設を口実に千葉県収用委の再建を公言し土地強奪を策動していることは絶対に許せない。必ず粉砕しよう。
 8・6「成田高速鉄道アクセス」監査役・佐藤厳宅への爆破戦闘はこの闘いの第1弾である。正義のゲリラ戦で切り崩し攻撃を粉砕しよう。
 切り崩し攻撃との闘いでは、シンポ・円卓会議に現れた脱落派の裏切りと投降路線を徹底的に弾劾し粉砕しなければならない。日帝・国交省と空港公団の「話し合い」とは、平行滑走路完成を大前提とする話し合いである。日帝・公団にとって、農民が用地交渉に応じなければ、「謝罪」「公約」を翻すことなど、とるに足らないことなのだ。暫定滑走路は、シンポ・円卓会議に応じた脱落派の裏切りがもたらしたものであることをはっきりさせなければならない。
 こうした闘いの上に、敷地内農民に対する生活破壊攻撃との闘いを、行政闘争的側面からも全面的に推進することである。
 そのひとつの決定的勝利がかちとられた。暫定滑走路開業後、滑走路まで50bに迫る開拓組合道路に千葉県警が勝手に置いたコンクリートブロックを、徹底的な追及によって撤去させたのである。
 この闘いを引き継ぎ、天神峰の市東孝雄さん宅に対するジェットブラストによる追い出し攻撃をなんとしても粉砕することである。
 ジェットブラストはまぎれもなく市東宅を直撃している。噴射口が直撃する位置にむけられた時には異臭とともに、熱い風圧を感じるほどである。測量によると、ジェットエンジンの噴射口は既存のフェンスの最上部から、1bも上に飛び出している。東峰や十余三地区では高さ10bの対策フェンスが建てられているのである。
 三里塚反対同盟はブラストを遮るために、高さ10bの透明フェンスの設置を成田市に要求しているが、成田市と空港公団の回答書は「現状で対策は十分」というめちゃくちゃなものだ。矛盾だらけなのである。この矛盾と住民無視を徹底追及し、フェンス設置を闘いとって生活を守り抜こう。
 東峰神社の神社林伐採と神社敷地の強奪攻撃に対して、東峰部落が裁判を提訴したことは決定的に重要だ。東峰神社の社殿、鳥居、神社林、神社敷地はすべて東峰部落のもの(総有)である。提訴は空港公団に大打撃を与えている。
 窮地に立つ空港公団は、神社敷地は公団の所有物であり、伐採した立ち木は「神社林」ではなく、神社のまわりに生えていたただの立ち木だと強弁した(答弁書)。神社に境内がないという暴論である。空港公団が、その不法を正当化するためには、産土(うぶすな)神社というものの歴史的、社会的存在と民俗神社の成り立ち、入会地の法理論からしても度はずれた奇弁に走るしかない。
 東峰神社裁判は、三里塚闘争の新たな段階を切り開くものであり、実体的にも暫定滑走路の南側延伸を阻止する強固な拠点である。神社裁判の全国的支援陣形をうちたて勝利しよう。
 以上の現地攻防に勝利するために、現地闘争陣形の圧倒的強化と援農運動を大々的に推進しよう。
 米帝の世界戦争放火と日帝の北朝鮮・中国侵略戦争の現実化の中で、三里塚闘争は「連帯し侵略を内乱へ」の闘いを体現する闘争としていよいよ真価を発揮する時が来た。反戦共同行動委が呼びかける9・22闘争の戦闘的大衆的爆発をかちとり、暫定滑走路実力粉砕の10・13三里塚全国集会に総決起しよう。

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週刊『前進』(2068号6面2)

全学連第62回全国大会へ 全学連中央執行委員会(委員長 大山尚之)

 全学連中央執行委員会から全学連第62回定期全国大会の招請状が発せられたので紹介します。(編集局)

 招請状

 全国の闘う学友諸君に、9・19〜21全学連第62回定期全国大会への総結集を呼びかける。
 今次全学連大会は、今秋有事立法阻止決戦の歴史的爆発を断固として宣言し、全国大学・全学友総決起の決戦方針を鮮明に確立する歴史的大会である。
 昨年9・11反米ゲリラ戦争と米帝による10・7アフガニスタン侵略戦争で、世界危機の世界戦争への転化の過程が本格的・全面的に始まっている。米帝は、米バブル経済の崩壊と新植民地主義支配の崩壊的危機、帝国主義間争闘戦の全面的激化への突入の中で、アフガニスタン侵略戦争に続いて、今秋にもイラク侵略戦争に突入し、この1年以内にも朝鮮侵略戦争に突入しようとしている。これに対するパレスチナ・中東人民、朝鮮人民を始めとした被抑圧民族人民の命がけの闘いが闘われている。時代は、世界戦争か世界革命かをかけた大決戦に突入している。
 日帝は、帝国主義としての生き残りをかけて、米帝の世界戦争路線に全面的に協力する形態で、積極的にイラク、朝鮮・中国侵略戦争に参戦しようとしている。日帝は、民主党や自由党、連合を取り込むことによって、通常国会で継続審議となった有事4法案(個人情報保護法案を含む)を今秋臨時国会で成立させようと全力をあげている。
 日本の労働者階級人民は、陸・海・空・港湾労組20団体などが呼びかけた6・16集会への6万人の大結集を頂点に、連合支配を打ち破って有事立法阻止の闘いに立ち上がりつつある。この開始された労働者階級の決起を有事立法を廃案にたたき込む内乱的闘いへと発展させることができるか否かは、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱へ」を掲げ貫いた戦闘的学生運動が登場することができるか否かにかかっている。60年安保闘争、70年安保・沖縄闘争、三里塚闘争など日本階級闘争の内乱的発展の先頭には常に戦闘的学生運動の存在と闘いがあった。今日ほど、全学連の荒々しい登場が求められている時はない。全国大学で空前の大衆闘争を爆発させ、国会実力包囲の大隊列をつくり出すのだ。
 第一に、世界戦争過程への突入という時代認識で完全武装し、有事立法阻止決戦の大爆発を切り開こう。全学連大会の成功と一体で、反戦共同行動委員会が呼びかける9・22全国総決起闘争への大結集をかちとろう!
 有事立法は「北朝鮮の攻撃に備えるため」のものなどではなく、帝国主義が北朝鮮を攻撃し、朝鮮侵略戦争に突入していくための法案だ。武力攻撃事態法案には「日米安保同盟に基づいてアメリカ合衆国と緊密に協力しつつ」と明記されていることからも明らかなように、新安保ガイドラインに基づく共同作戦計画の全面発動が狙われている。武力攻撃の「おそれがある」あるいは「予測される」と判断するのは、日本政府であり、しかも「武力攻撃の発生が回避されるようにしなければならない」と、北朝鮮のミサイル基地などを先制的に攻撃することまでもが明記されている。さらに、米軍と自衛隊に対する支援に労働者を全面的に動員し、「万全の措置」をとるというのだ。有事立法成立は、即朝鮮侵略戦争発動なのだ。このような侵略戦争法案は絶対に廃案にたたき込まなければならない!
 9・22闘争の大爆発に向かって、大衆闘争の組織化にただちに突入せよ! 9月街頭宣伝行動と有事立法批判の学習会を徹底的に行い、街頭情勢を戦闘的にぬりかえるのだ。侵略戦争法案に対する全学友の怒りを根底から解き放ち、今秋有事立法阻止決戦の大爆発を切り開こう!
 第二に、有事立法阻止決戦と一体で、沖縄・三里塚の大決戦に突入しよう。日帝は、名護新基地の着工強行に向けて代替施設協議会で「埋め立て方式」を決定した。さらに8月29日の沖縄県「防災訓練」に、米軍が参加することが明らかになった。朝鮮・中国侵略戦争の発動に向かって、その最前線基地である沖縄米軍基地の再編・強化が激しく進められているのだ。9月8日投票で沖縄で一斉に行われる市町村議員選挙は、名護新基地建設を粉砕し、有事立法粉砕・沖縄闘争勝利に向けた大決戦だ。宮城康博氏、知花昌一氏、宮城盛光氏の絶対当選をかちとろう!
 三里塚では、新たに空港公団総裁に就任した黒野が「滑走路の北側延長300メートル」を打ち出して反対同盟破壊の攻撃に出てきている。不屈に闘う反対同盟との血盟にかけ、10・13三里塚全国総決起闘争の大爆発をかちとろう! 日帝の戦争国家化攻撃の最先端で闘う北富士闘争、関西新空港闘争に決起しよう!
 第三に、差別主義・排外主義を打ち破り、入管闘争、部落解放闘争に決起しよう。日帝は、有事立法攻撃の最先端攻撃として、「拉致問題」や「不審船」などをあげて、北朝鮮に対する激しい排外主義扇動・戦争策動を強めている。在日朝鮮人民に対する治安弾圧体制を強化している。排外主義攻撃をうち破れるか否かに、有事立法阻止決戦の大爆発がかかっている。支援・防衛・連帯の闘いに決起しよう。石川一雄氏の不屈の闘いに学び、部落解放同盟全国連合会と連帯して、狭山第2次再審闘争に勝利しよう!
 第四に、独立行政法人化攻撃、自治会非公認化攻撃、廃寮化攻撃と対決して、大学闘争の爆発をかちとろう!
 第五に、組織的分裂を深め、有事立法阻止決戦に敵対するファシスト・カクマルを打倒しよう。カクマルは、米帝の世界戦争路線の激しさをまったく見据えられず、米日帝の朝鮮侵略戦争への突進から逃げ回り、有事立法の核心問題を抹殺しようとしている。労働者人民の有事立法決戦への決起に敵対するカクマル完全打倒に向けて闘おう! 動労千葉、闘う国鉄労働者とともに有事立法の先兵=JR総連カクマルを解体・打倒しよう!
 すべての学友は、全学連大会に結集し、今秋有事立法阻止決戦の大爆発に向かって闘おう! ファシスト・カクマルと日共スターリン主義を打倒して、全国学生運動の革命的統一を実現しよう!
 2002年8月22日
全学連第62回定期全国大会
 要綱
【日時】9月19日〜21日
【会場】東京都内

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週刊『前進』(2068号6面3)

東峰神社裁判 “公団の強盗許さぬ” 傍聴席満杯で闘う

 8月26日、千葉地裁第2民事部で東峰神社裁判の第2回公判が開かれた。原告席には萩原進事務局次長ら東峰部落原告団が座り、準備書面がやりとりされた。
 傍聴席には三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長、敷地内天神峰の市東孝雄さん、鈴木幸司さん、木内秀次さん、宮本麻子さんを始め、動労千葉の田中康宏委員長以下、ぎっしりとつめかけた。36席では入りきれず、法廷の廊下で裁判を見守る人びともいて、裁判への関心の高さを見せつけた。
 被告・空港公団は答弁書で、伐採した立ち木は神社林や御神木ではないと暴論を主張した。なんという居直り、強盗の論理! 神社林を含めて神社すべてが部落の総有なのであり、1953年創建以来、部落とともに歴史を刻んできた東峰神社なのである。
 昨年6月16日、突如凶行された東峰神社の立ち木伐採! 抗議する萩原進さんを不当にも逮捕しさった暴挙に、今も怒りがこみ上げる。東峰部落原告団は、暫定滑走路強行開港以降、殺人的な騒音・航空機の排気ガスなどによる生活破壊と闘っているのだ。裁判所は東峰農民の声を聞け!
 公判後、弁護団・原告団を囲んで、裁判の経過と争点の報告を受け、ともに裁判勝利をかちとる決意を固めた。(写真)
 次回公判は11月25日(月)午後1時10分。

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週刊『前進』(2068号7面1)

有事立法阻止決戦に敵対するカクマル
「北朝鮮・中国侵略戦争はない」と米日帝の攻撃を必死で擁護
 工藤 俊夫

 ファシスト・カクマルは、今春4〜7月有事立法阻止闘争で、闘争への介入・破壊策動に失敗し、大敗北した。これは有事立法闘争論がまったく位置づいていないからだ。何よりも「北朝鮮・中国侵略戦争はない」という反革命的立場から、有事立法阻止を闘うことなどできないのだ。このことをあらためて明らかにし、あらゆる戦線から有事立法阻止決戦の敵=カクマルを放逐・一掃・打倒することを訴えたい。

 6・16大集会をわざと「4万人」と値引き報道

 カクマルが今春闘争の敗北に打ちひしがれているようすは、反革命通信『解放』の各号に隠しようもなくにじみ出ている。
 特に6・16闘争で完敗したことが大きい。6・16代々木公園の6万人の高揚に打撃を受け、なんと参加者数をわざわざ「4万人」と減らして打ち出している(1725号8面、1726号巻頭、1727号2面、1731号巻頭)。1725号巻頭などでは「数万人(主催者発表6万人)」としている。何度も繰り返し「4万人」が出てくるのは、もちろん偶然の誤植ではない。主催者発表の「6万人」は多すぎると言いたいのだ。なんとかケチをつけたいというさもしい根性が見え見えではないか。こんなことは闘争の内在勢力ではなく、外部からの破壊分子にしかできない。
 何よりもカクマルは、労働者階級が既成のナショナルセンターの枠を越えて集まったこと、連合傘下の多くの組合員が戦闘的に結集したこと、この重大な事態に感動し勇気づけられるのではなく、逆に打ちのめされているのだ。この大衆的高揚の中で、自らがアリバイ闘争としてもかつてない惨状をさらしたことに参ってしまっているのだ。ここにファシスト・カクマルと闘う労働者人民との関係が集中的に示されている。

 JR総連に一言も触れず

 本紙2058号(6・24)の工藤論文「JR総連を持ち上げ、連合5・16『見解』を擁護するカクマル中央派」への「反論」として、『解放』1726号(7・8)に羽場武司署名の長大駄文が掲載された。しかし、これは完全に論争におけるカクマルの敗北を決定づけるものである。
 2058号工藤論文で、カクマルに対する批判点として挙げたのは次の3点である。
 @カクマル中央派は、JR総連すり寄りを一層進めそのために連合の有事立法翼賛の5・16「見解」に対する「批判」もできない。有事立法賛成論以外の何ものでもない連合見解を、なんとカクマルは「玉虫色」と言って擁護している。
 A有事3法案が北朝鮮・中国侵略戦争の法案であるという基本中の基本を絶対に言わず、徹底的に塗り隠している。
 Bカクマルの「日共批判」なるものは「日共よりも左」を装うためのものであるが、その内実は日共以下の対米従属論でしかない。革命的祖国敗北主義を明言しない「祖国防衛主義批判」はニセモノである。
 ところが、カクマルは、この@とBについて、まったく触れることができず、あらかじめ論争を回避しているのだ。敗北を自認しているということだ。
 何よりも、カクマルにとって、JR総連カクマルとカクマル中央派との分裂という問題は、いま最大のカクマルの破産点であり、どのようにも取り繕うことができない問題である。カクマルは、分裂がもはや修復できないものであることを前提に、にもかかわらずこのままでは共倒れになるという絶体絶命の危機から、分裂対立をこれ以上拡大しない態度をとっているにすぎない。
 その立場から00年12月の段階では、JR総連に対して「階級敵」とののしり、「打倒宣言」まで発したカクマル中央派が、今は手のひらを返したように、JR総連にこびを売り、すり寄っている。5・16連合見解に対して反対意見を出した組合として称揚しているのである。だが、JR総連は、すでに99年10月の連合大会で、戦争協力を宣言しているのだ。そのことを絶対に批判しないカクマル中央派には、連合を批判する資格も能力もないのだ。
 JR総連のことを突かれるのがカクマルにとってどれほど痛いことであるのかは、苦し紛れに〃中核派も相当危機なのだ。自分たちだけではない”と自らを慰め、傷をいやそうとしている姿によく示されている。だが、この点での中核派「暴露」はすべて的外れで、カクマルが何も分かっていないことを見事に自己暴露している。「解党主義との闘い」という言葉に飛び付き、それを実体化して、誰と誰が対立しているという話にしているが、すべてウソである。自らの姿に合わせて敵を描いているものでしかない。
 Bの日共批判についても、的を射た批判にカクマルはグーの音も出ないのだ。カクマルはインチキな日共批判を闘争介入・組織路線にしてきたが、その中身の反革命性が暴露されたのだ。

 「中核派の思い描いた勝手なイメージ」だ?!

 そして、一番闘争論的に核心問題であるAの「北朝鮮・中国侵略戦争ない」論について、カクマルは羽場の駄文によって大失態を演じている。中核派の「有事3法案は北朝鮮・中国侵略戦争法案だ」という主張に反対するあまり、「北朝鮮・中国侵略戦争はない」と明確に言い切ってしまったのである。
 「このようにアメリカと安保同盟を結ぶ日本国家の国家意志との関係で法文を分析することもなく、『武力攻撃事態』=『日帝の北朝鮮・中国侵略戦争』などと言うのは、ブクロ派(中核派のこと)の『米日帝の朝鮮・中国侵略戦争』という『恐るべき命題』を投射して思いえがいた勝手なイメージにすぎない。日本帝国主義国家の国家意志の分析もないのだから、それも当然であろう」
 米日帝の朝鮮・中国侵略戦争などは、中核派の勝手なイメージの世界にだけあるもので、そんなものは現実にはないし、日帝国家の意志でもない、と言い切ったのである。
 カクマルは、「米日帝の朝鮮・中国侵略戦争」と言うのに対して、「トチ狂った(ママ)」という差別語を乱発して何がなんでも否定しようとする。「危機煽(あお)り」だ、「恣意(しい)的分析だ」と。
 カクマルとしては、日帝が本気で戦争をしようとしていることを絶対に認めない、「日本国家の国家意志」は北朝鮮・中国に対する戦争をしないことだと主張しているのだ。
 しかし、この数カ月に現実に起こっていることが、また、武力攻撃事態法を始めとする有事3法案の条文そのものが、北朝鮮・中国侵略戦争に向かって日帝が身構えていることを能弁に物語っている。
 昨年9・11反米ゲリラ戦―10・7アフガニスタン空爆開始以降、世界史は一変した。米帝は、世界危機を世界戦争に転化する路線に完全にのめり込んだ。世界史は、世界戦争過程に完全に突入したのだ。
 米帝という基軸帝国主義が、歴史的に没落し、政治的経済的軍事的危機の爆発の中で、自ら戦後の帝国主義世界体制を破壊的に再編しようとしているのだ。01年QDR(4年ごとの戦力見直し)やNPR(核戦力態勢見直し)などによって、中国の体制転覆をも戦略目標とし、世界戦争をどこまでも進めることを宣言したのである。
 そのもとで米・日帝国主義は、東アジア10万人の米軍兵力を始めとする政治的・軍事的・経済的な帝国主義的重圧を北朝鮮と中国に加えている。そして米帝ブッシュは、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、いつでも攻撃する用意があるという態度を示している。この圧倒的な軍事重圧のもとで、北朝鮮スターリン主義政権が、少しでも対抗的な動きを示したら、それをとらえて一気に攻め込み、国家転覆を図ることを明確に米帝は計画しているのである。また、日帝は、その動きを知っており、それに対応できなかったら国家的破滅であると意識しており、全力で有事立法を成立させ、共同的=競合的に参戦しようとしているのである。
 昨年の12・22海上保安庁による小型外国船に対する銃撃・撃沈・虐殺の事態も、日帝の北朝鮮侵略戦争に向けての攻撃である。小泉は有事立法について、「不審船も、拉致疑惑も有事だ」と述べ、北朝鮮を対象に有事立法を制定しようとしていることに事実上言及している。また、中谷防衛庁長官や福田官房長官が「先制攻撃」があり得ることについて何度も発言しているのも、北朝鮮を念頭に置いていることは明白だ。
 KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)による軽水炉建設問題を見ても、米帝はこれを核査察要求のテコとしており、少しでも抵抗したら攻撃するという姿勢を隠していない。
 また、米帝は「作戦計画5027」という朝鮮人民100万人を虐殺する侵略戦争計画をすでに作っており、さらに98年にその改訂版も作っているのである。
 さらに、現在の北朝鮮の体制崩壊的危機と米帝の戦争政策は、日帝に文字どおりの戦争的飛躍を迫るものである。
 あらゆる意味で、米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争は不可避であり、現にその攻撃は始まっており、有事3法案はそのためにあることは明白である。にもかかわらず、カクマルはこれらのことを一切無視する。そして、北朝鮮・中国侵略戦争などというのは「中核派の勝手なイメージ」だとまで言う。だが、ここに列挙したことは、幻でも何でもない、現実そのものである。カクマルがそれを覆い隠そうとするのは、米日帝を擁護するものにほかならないのだ。
 羽場は、われわれの主張から 「パレスチナの帝国主義的制圧→イラク侵略戦争→北朝鮮侵略戦争(中国・北朝鮮侵略戦争)の流れ」(2057号無署名論文)という個所を引用し、これを「リニューアルされたテーゼ」などと言って貶(おとしめ)たつもりでいるのだが、肝心の自分たちは、ブッシュの「悪の枢軸」論をどうとらえるのかということをまったく言うことができないのだ。
 ブッシュがイラク、イランと北朝鮮を「悪の枢軸」と決め付けたことは、米帝としてこの3国に対する宣戦布告を行ったということではないのか。それともカクマルは、イラクに対する侵略戦争は行うが、北朝鮮に対しては脅しと恫喝だけで、絶対に戦争をしないというのか。
 カクマルはしたがって、具体的な朝鮮半島をめぐる軍事衝突などの事態が起こっても、まったくこれを米帝の侵略戦争との関係で位置付けることもできず、その事実に触れるにとどまって先に進めないのである。例えば、6月29日の北朝鮮と韓国両軍の銃撃戦の勃発についても、「今回の銃撃事件は、アメリカ帝国主義が、北朝鮮をあくまでも『テロ支援国家』として烙印(らくいん)し打倒するという意志を傲然(ごうぜん)と示し、……おりからの韓国人民の反米・反基地感情の高まりに水をぶっかけるという思惑を込めて演出したにちがいない」(1729号)というのみで、「だから何なのだ」ということにはまったく答えていないのである。
 しかしともあれ、これまでは北朝鮮、中国に対する米日帝の動きについては見ないふりをしてきたカクマルが、こういう事実に言及したこと自体、あまりにも現実離れした自分たちの主張の破産を示している。
 北朝鮮、中国に対する戦争は絶対にない論を必死で展開するカクマルは、要するに米日帝の擁護者でしかない。戦争推進勢力、戦争翼賛勢力であり、反戦闘争を全力で展開する労働者人民を背後から攻撃する反革命勢力なのである。米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争攻撃を覆い隠し、協力加担する、とんでもない反革命勢力としてカクマルを断罪し、全戦線から追放しなければならない。

 米帝の世界戦争戦略は「反テロ局地戦」なのか

 カクマルは、最近「反テロ局地戦」という言葉を、しきりに多用している。彼らの「8・4国際反戦集会」のスローガンにもなっている。「アメリカの核武装強化反対! 反テロル局地戦反対!」と。これは今やカクマルの党派的用語となっている。それは一言で言って、米帝の世界戦争路線を否定するための造語、世界戦争ではなく局地戦だと強調するための造語だ。
 だが、アフガニスタン、イラクに対する米帝の侵略戦争は、単なる局地戦なのか。それは米帝の世界戦争計画の一環ではないのか。それともあらかじめ局地戦として限定されたものなのか。
 カクマルは、アフガニスタン、イラクに対する米帝の侵略戦争が局地戦として完結するものであるかのように勝手な宣伝を行っているのだ。
 世界戦争過程への突入という事態は、主体的に言えば、プロレタリアートと世界の被抑圧民族にとって世界革命が現実的な課題となっているということであり、世界危機を世界革命へ、侵略戦争を内乱へという課題が突き付けられているということである。カクマルは、このことを見据えられないから、「局地戦」などという用語に逃げ込んでいるのである。
 また、カクマルは、本紙2056号「6月アピール」が、「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」と「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・パレスチナ・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」のスローガンを掲げ、その意義を次のように記しているのを見て「錯乱の極致」などと驚いているが、まったくナンセンスだ。ここには正しく当然で、きわめて重要なことが書かれているのだ。
 「(これらのスローガンは)帝国主義国の労働者階級にとって自らの胎内にあらかじめ階級闘争と民族解放闘争とを内的実体的に統一したものとしてあることを提起している」
 この意義が排外主義者カクマルにはまったく理解することができないのだ。ここで言われていることは、帝国主義国の労働者階級が、帝国主義的民族抑圧を帝国主義国プロレタリアートとして粉砕する、と同時に、国内階級闘争そのものを被抑圧民族と一体となって闘うことが必要だということなのである。〈帝国主義国のプロレタリアートは階級闘争、イスラム諸国人民は民族解放闘争〉と分断するのではなく、内的実体的に統一して闘わなければならないのだ。
 このような帝国主義国プロレタリアートとしての闘いを措定しないカクマルは「全世界の闘う仲間へ!」と題した「8・4国際反戦集会の呼びかけ」で、次のようなスローガンを掲げる。「パレスチナ国家独立をめざしてイスラム人民はイスラミック・インター-ナショナリズムにもとづく闘争を組織せよ」「反米・反シオニズムの旗をかかげて、アラブ人民はパレスチナ人民を支援せよ」と。
 8・4カクマル東京集会の基調報告者がこのスローガンの意義を強調している(『解放』1731号)。「イスラミック・インター-ナショナリズムは■■根本的には『国境を越える』性格をもっている、それを『プロレタリア国際主義』の〃高み”から裁断するな」というのである。
 だが、このスローガンには、帝国主義国人民としてイスラム諸国人民の闘いを主体的に受けとめる階級的・実践的立場がまったくない。帝国主義的に腐敗した客観主義そのものである。したがって、カクマルが呼びかける「イスラミック・インター-ナショナリズム」の内実の核心は、イスラム諸国の権力者たちへの呼びかけでしかない。
 70年7・7自己批判も、9・11による新たな7・7自己批判も、まったくとらえることのできない排外主義者カクマルには、連帯戦略、内乱戦略は理解不可能であり、徹底的に敵対するしかないのである。

 日共を「戦闘的」と「批判」

 カクマルは、6・16集会で日共委員長の志位和夫が「私たちは、この法案が米軍の戦争の支援のために、自衛隊が海外で武力行使をおこなうものだと批判してきました」「きっぱり廃案に追い込み、憲法破りの勢力に決定的痛打を与えるところまでさらにたたかいを広げよう」と言ったと言って動転し、日共は「突出している」「戦闘的だ」「なしくずし的転換だ」と大騒ぎしている(1727号など)。
 志位は「海外派兵国家づくりを許さないたたかいを力説している」「方針上の力点を〃日本の参戦”に反対するというものにすりかえている」と「分析」するのだが、これはカクマルの「有事立法反対闘争」の水準がいかに低いかを示すものであって、それを日共が「わが同盟(カクマル)の批判に完全屈服」した結果であるなどと自慢するのは笑止千万である。
 日共は、「テロ根絶」論を下げたわけでも、議会主義路線を捨てたわけでも、有事法案の廃案のために組織を挙げて闘う方針を決めたわけでもない。ただ、闘いの大衆的高揚の大きさにあわてて、あとから追い掛けているにすぎない。志位の言葉程度に仰天しているカクマルは、自らがただ日共以下の反革命であることを図らずもさらけだしてしまったのである。
 有事立法阻止闘争に敵対するカクマルの闘争介入・破壊策動を打ち破り、有事立法粉砕決戦の爆発をかちとろう。

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週刊『前進』(2068号7面2)

カクマル、「日の丸」で空母出迎え 右翼と共に「反米愛国」

 あれは右翼の船か? いやカクマルの「日の丸」船だ!! 佐世保リンカーン闘争でのことである。
 反戦共同行動委の海上デモ船は8月16日、米原子力空母リンカーンの佐世保寄港の数時間前から断固たる抗議行動を展開していた。そこに黒塗りの船体に「日の丸」をペイントした右翼の街宣車のような船が現れた(写真)。この船はリンカーンではなく反戦共同行動委のデモ船の妨害を始めた。よく見ると「日の丸」の横には「革マル派」と書いてあるではないか。
 黒田=カクマルの反米愛国主義は、公然と「日の丸」船でデモをするまでに至った。まさにカクマルは闘う労働者人民の敵である。

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週刊『前進』(2068号7面3)

 

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第3部 植民地支配の歴史(18)
 朝鮮H 強制連行 徴用、軍人・軍属600万人

 「一九三九年から四五年までに、日本に徴用されたもの一〇〇万、朝鮮国内で動員されたもの四五〇万、軍人・軍属三七万、計約六〇〇万が戦争にかりだされた。このうち、軍人・軍属であったものは、一九五三年現在で二二万人が復員したが、約一五万は不明である。
 太平洋戦争で戦死したもののうち、三分の二は遺骨がみつからぬというが、そのなかに朝鮮人が沢山いるわけである。徴用されて、炭坑や飛行場などで死亡したものは、日本本土内だけでも最低にみつもっても、六万人はいる」(朴慶植著『朝鮮人強制連行の記録』未来社/1965年発行)

 労働力の動員

 日帝の中国侵略戦争の兵站(へいたん)基地とされた朝鮮では、1939年に「食糧供出」とともに軍需産業への「労務供出」が実施され、日本人が兵隊として出征した後の労働力として朝鮮人が補充されていく。そして敗戦が色濃くなる中、徹底した皇民化政策の上に44年4月の徴兵制へと行き着くのだ。
 日本国内では、侵略戦争遂行に必要な物資や労働力を全面的に総動員するための「国家総動員法」が38年4月に公布され、「労務関係勅令」が矢継ぎ早に発動された。企画院による「労務動員計画」が立てられ、それに基づいて39年1月、「国民職業能力申告令」が実施された。そして、7月8日に「国民徴用令」が公布され、大々的な動員が始まった。
 しかし朝鮮に対しては「徴用令」をそのまま適用することを避け、「募集」形式で動員計画が実施された。「徴用令の発動は、ともすれば無用の誤解摩擦を招くおそれがあったので」(大蔵省管理局「日本人の海外活動に関する歴史的調査」)と言うが、朝鮮人の民族的抵抗を何よりも恐れたのである。
 39年の連行は石炭鉱山、金属鉱山、土建業などに許可された。この時の「労働者募集要綱」には、職場・住所選択の自由を認めず、協和事業団体に加入してその会員証(協和会手帳)を携帯すること、日本語の強制などが明示されており、「自由意志」など介在する余地のない強制連行だった。実際、行き先も知らされずに連行されたのだ。
 42年には朝鮮人の「内地移入斡旋(あっせん)要綱」が発表され、朝鮮人労働者の「供出及び輸送事務を一元化」する「官斡旋」となった。より強制的な連行政策に移行していったのである。
  宇垣総督の秘書役だった鎌田沢一郎は、「納得の上で応募させていたのでは、その予定数に仲々達しない。そこで郡とか面(村)とかの労務係が深夜や早暁、突然男手のある家の寝込みをおそい、或いは田畑で働いている最中に、トラックを廻して何げなくそれに乗せ、かくてそれらで集団を編成して、北海道や九州の炭鉱へ送りこみその責を果すという乱暴なことをした」と、著書『朝鮮新話』に書き残している。

 拷問とリンチ

 43年には戦争の深化とともに朝鮮人の連行は、それまでの石炭、金属、土木、鉄鋼に加えて、航空、化学、陸上・海上輸送へと拡大された。
 国民徴用令は、42年にはすでに在日朝鮮人労働者にも発動され、軍属として徴発されており、43年には学徒徴用も実施された。そして、ついに44年度の連行計画では徴用令実施に踏み切った。すでに日帝は、追い詰められてなんの余裕もなくなっていた。
 日本の炭鉱には39〜45年の間に34万人が集団的に連行されており、45年6月現在、12万4千人余で、日本の全炭鉱労働人口の31%を占めていた。そこでは過酷な強制労働と日常的な拷問が横行していた。タコ部屋生活と一日10時間、12時間もの労働、冬でも衣類は夏物一枚、豆や大根飯などで空腹と栄養失調で倒れる者が続出した。落盤事故などに加え、拷問・リンチによる死傷者も続出した。
 「雪がとけるにしたがってあちこちから人間の白骨があらわれた。……リンチのすえ、息の根がとめられ、雪の中に葬られたとか、または逃げる途中熊に喰われたりしたものの白骨なのだ。これを見ていると〃内鮮一体”のいみするものがなんであるかを理解することができた」(三一新書『脱出』より)。
 朝鮮人労働者の死傷者の統計はなく、「日本全国の炭鉱、鉱山、土木工事現場――水力発電所建設や飛行場建設地などにいまだに朝鮮人の屍体(したい)が埋まったままであったり、遺骨が現場付近あるいは寺に放置されている」(『朝鮮人強制連行の記録』)。在日朝鮮人を始めとして粘り強い真相究明が続けられているが、日本政府は所持する名簿さえ公開を拒否したままだ。

 学兵たちの反乱

 朝鮮人は労働力だけでなく、兵力としても中国侵略戦争に動員された。
 44年4月の植民地・朝鮮における徴兵制実施まで、「之れに至る過渡的方法」として、まず38年2月に陸軍特別志願兵制度が実施され、43年7月には海軍特別志願兵制度、そして同年10月には朝鮮人学徒特別志願兵制度が敷かれていった。
 「志願」とは名ばかりで学徒出陣に応じない者は、直ちに休学処分にし徴用という、学兵か徴用かの二者択一だった。
 しかし、朝鮮人民の抵抗闘争はここでも広がる。平壌師団の朝鮮人学兵たちが、金完龍(キムワンヨン、中央大学法学部)を総責任者とする秘密結社を組織し、反乱を起こし北の山岳地帯でパルチザン闘争をやろうとした計画が44年10月に発覚し、70人余りが逮捕された。また、大邱(テグ)第24部隊でも学兵事件が起こった。学兵27人が、6千人の部隊全員をせん滅しようとした計画が発覚し、一部は逮捕され、一部は中国東北部に脱出した。
 軍人・軍属として徴用された37万人の朝鮮人は、日本軍の最前線で犠牲となり、さらに日本軍の俘虜(ふりょ)収容所の監視員として「捕虜虐待」を問われた戦後BC級戦犯裁判で朝鮮人129人が有罪、114人が処刑されたのである。
 中国・アジア全域に展開した日帝の侵略戦争、強制連行・強制労働、BC級戦犯問題、さらには10代の少女たちを含む20万人とも言われる朝鮮人女性を犠牲にした日本軍軍隊慰安婦制度。このような朝鮮民族抹殺政策が、日帝の侵略戦争と植民地支配の実態なのだ。
 (室田順子)

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週刊『前進』(2068号8面1)

有事立法と一体の治安攻撃 「終身刑」導入を許すな

 超党派で立法化推進

 今、国会で仮釈放を認めない「終身刑」を新設する動きが議員立法という形で進められている。死刑廃止を推進する議員連盟(会長・亀井静香)が、来年の通常国会にも法案を提出する方針である(8月28日付朝日新聞)。
 この「終身刑」導入攻撃は、小泉政権の有事立法攻撃と一体のすさまじい治安弾圧攻撃である。反戦運動や反体制運動を闘う労働者人民に向けられた重罪・重刑化の攻撃であり、絶対に粉砕しなければならない。
 29年型世界大恐慌と世界戦争への突入情勢のもとで、日帝・小泉政権は今、北朝鮮・中国への侵略戦争体制づくりとして有事立法攻撃を進め、それと一体で国内治安体制の戦時的再編・強化の攻撃を決定的に強めている。
 侵略戦争への突入と大失業攻撃が不可避とする階級闘争の内乱的激化・発展、社会的矛盾の噴出による階級支配の危機を、より一層の治安体制の強化と労働者人民に対する重罪・重刑化の攻撃で対処しようとしているのだ。
 死刑廃止議連は、94年に発足した。昨年11月に、自民党の亀井静香が会長に就任し、副会長が民主、公明、共産の3人、事務局長が社民、顧問に土井たか子という超党派の構成になっている。現在、122人の国会議員が参加している。
 同議連がまとめた「刑法等の一部を改正する法律案(死刑廃止法案)骨子案」を見ると、T死刑の廃止、U重無期刑(仮称)の創設、V重無期刑に処せられた者の恩赦、の三つを柱としている。Uの内容は、@死刑の代替刑として、現行の無期刑のほかに、重無期刑を創設する、A重無期刑は、重無期懲役及び重無期禁固の2種類とする、B重無期刑に処せられた者については仮出獄を認めない。すなわち「死ぬまで出さない」=終身刑というものである。

 「死刑廃止」の代替?!

 この法案を「死刑廃止法案」と呼ぶことによって、あたかも「死刑廃止への一歩前進」であるかのような受けとめがあるが、断じてそのようなものではない。それは、何よりも日帝・法務省の刑事政策の中にはっきりと示されている。
 日帝・法務省は、「死刑と無期の間隙(かんげき)が大きすぎる」ことを、ことあるごとに問題にしてきた。そして、最高検察庁は、98年6月に、「動機や結果が死刑事件に準じるくらい悪質」と判断したものを「○特(マルトク)無期事件」と位置づけ、「終身か、それに近い期間、服役させる」と、全国の地検、高検に通達を出した(1月8日付朝日新聞)。これは、何の法律的裏付けもないままに、実質的に終身刑を導入しようとする攻撃である。
 現実の運用を見ると、91年に24人であった無期刑の確定が、99年48人、00年59人と倍増している。これに対して、仮釈放は91年33人から、99年9人、00年6人と激減している。この数字にも明らかなように、「○特無期」通達は実施され、すでに事実上の終身刑が導入されているのだ。この現実こそが徹底的に弾劾されなければならないのだ。
 新たに「終身刑」を導入することは、すでに「仮釈放を認めない」形で「終身刑」化しつつある無期攻撃に法的整合性を与え、「死刑制度」を頂点とする日帝の重罪・重刑の刑罰体系をより一層強めるものでしかないのである。
 しかも、「終身刑」は実際には死刑に劣らず残酷な刑である。まずはっきりさせなければならないことは現在の無期投獄者、長期投獄者が、日帝・法務省によって、すさまじく非人間的で過酷な処遇を受けている現実だ。それは、肉体的・精神的拷問以外の何ものでもないのだ。国際的にも日本の監獄の非人間性は指弾されている。「残虐な刑罰の廃止」としての「死刑廃止」を真に達成するためにも、まずこの監獄の現実を変革するために闘おう。

 戦時型弾圧うち砕け

 戦争のできる国になるための治安弾圧の強化の攻撃は急ピッチである。
 すでに、盗聴法は施行されている。6月5日にはカンパ禁止法が成立し、続いてテロ資金供与防止に関する国際条約が批准された。8月5日には住民基本台帳法ネットの稼働=国民総背番号制の導入が強行された。保安処分新法も継続審議になっている。東京都知事・石原は都の「迷惑防止条例」に「つきまとい禁止条項」を入れようとした(反対運動で阻止)。
 個人情報保護法案と人権擁護法案、来年の通常国会での国際的組織犯罪条約の批准、結社禁止法(共謀罪、参加罪、刑事免責、司法取引など)の全面制定攻撃、刑務所の新設、入管体制の徹底的強化などの攻撃が矢継ぎ早にかかってきている。
 日本帝国主義は、侵略と戦争に反対するあらゆる労働者人民の闘いを治安弾圧の強化で圧殺しようとしている。これを打ち破ることは、労働者階級の未来がかかった重大な闘いである。終身刑の導入を絶対に阻止しよう。今秋決戦の爆発で有事3法案を廃案に追い込み、北朝鮮・中国侵略戦争阻止へ向かって全力で闘い抜こう。

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週刊『前進』(2068号8面2)

無実の星野同志を取り戻そう(4) 11・14渋谷暴動 沖縄の怒りに呼応し 厳戒体制破り渋谷に突入

 当時の政治状況

 71年6月17日、沖縄「返還」協定の調印式が行われた。政府は、日米両国の会場を人工衛星で結んで、調印の様子を生中継するという演出を行った。しかし、琉球政府の屋良主席は、調印式への出席を拒否した。
 沖縄「返還」のペテン的本質が明らかになり、怒りの声がわき上がったからである。沖縄では、11月10日、返還協定批准反対のゼネストが貫徹された。自治労は48時間、43単産単組が24時間など、10万人以上がゼネストに立ち上がり、商店や農漁民などもこれに呼応した。何らかの形でゼネストに加わった人は70万人に達した。那覇市で県民大会が開かれ、7万人が参加して、沖縄の怒りは爆発した。その後のデモで、人民の前に立ちふさがった機動隊を徹底的に粉砕し、1名をせん滅したのである。
 この怒りに日帝・佐藤政府は震え上がった。沖縄から上京団が送られたが、11月17日、沖縄返還協定特別委員会で、抜き打ちの強行採決が行われた。24日には、議長の職権で衆議院本会議が開かれ、自民、民社、公明の出席で返還協定承認が可決された。
 沖縄の怒りにこたえる闘いが求められた。集会やデモは事実上禁止され、69年に次いで破防法が発動された。日帝は、ただただ機動隊の暴力に頼った。全学連と反戦青年委員会は、実力で集会・デモを実現することを決意し、11月14日、渋谷を闘いの街とすることを宣言した。

  渋谷暴動闘争

 11・14闘争は、機動隊暴力を打ち破る、公然たる武装闘争として展開された。
 闘いは、11・14の前から始まっていた。事前弾圧を許さず、尾行を振り切り、結集するのである。一人ひとりが、必死の決意で闘いに参加した。特に、労働者は逮捕・起訴に伴う解雇や処分を覚悟し、自己の全人生をかけて闘いに臨んだ。
 闘いは、3方向から渋谷突入をめざして展開された。第1は、井の頭線を使って駒場の東大前に登場し、神泉から道玄坂をめざす。第2は、池袋駅から山手線を使って渋谷をめざす。第3は、小田急線・代々木八幡駅から渋谷をめざす。(図参照)
 権力は、渋谷全体を休業にし、1万人を超える機動隊で制圧した。人びとは立ち止まることも許されない状況だった。それでも、数千人がどこからともなく集まってきた。
 第1のコースは、国家権力が一番警戒したルートであり、警備も厳重だった。白ヘル部隊は、機動隊に何度も突撃し、激突をくり返した。東大駒場キャンパスは、闘いを知った人たちがかけつけ出撃拠点と化した。
 第2のコースは、機動隊が池袋駅に突入して、駅構内での戦闘になった。この襲撃で、関西から上京した教育労働者、永田典子同志が虐殺された。
 第3のコースは、中野駅に結集したあと、新宿駅を経由して代々木八幡に向かった。代々木八幡から渋谷は1・5`。走れば10分に満たない距離である。井の頭通りを横断した後、一方通行の狭い道を突進した。途中、神山交番前で「富沢小隊」30人が阻止線を張っていた。ガス銃を水平射撃する機動隊に、怒りが炸裂(さくれつ)した。部隊は突撃し、一瞬にして機動隊を粉砕した。その先、梅沢米店前で機動隊員1人がせん滅された。
 白ヘル部隊は東急本店前に突入し、大衆と合流した。渋谷の街は一変した。「中核派が来た」という声は電撃のように伝わり、大衆自身の決起が始まった。そこにいた同志も合流し、渋谷を「闘いの街」に変えて、夜まで闘いぬいた。
 沖縄の怒りにこたえ、日帝・国家権力の暴力を打ち破った闘い、それが11・14渋谷暴動闘争だ。それは、70年安保・沖縄闘争の頂点に位置する闘いなのだ。

 星野同志の闘い

 星野同志は、第3のコースのリーダーであった。彼の最大の使命は、部隊とともに渋谷に突入し、そこで待ち受ける大衆と合流して闘うことであった。
 デモ隊が梅沢米店前で機動隊員1名を捕捉した時、星野同志はその先の十字路にいた。距離は、十数b離れている。この時、すでにNHK方向に応援の機動隊の姿が見え、いつ突撃してくるか分からない緊迫した状況であった。彼は機動隊の動きに注意を集中し、渋谷への進撃を急いだ。部隊に集結するよう指示し、全体が集まるのを待たないで出発した。それほど状況は切迫していたのである。
 東京高裁の確定判決は、この場面をとらえて、@星野同志が機動隊員を鉄パイプで殴打した、A機動隊員に火炎ビンを投げるよう指示したという「事実」を認定し、「確定的殺意」があったとして無期懲役を宣告した。しかし、星野同志はそのような行為をしていない。これが、再審請求の最大の焦点になっている。
 無実の星野同志を奪還しよう。

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週刊『前進』(2068号8面3)

弾圧と闘う水嶋裁判「写真特定」の実態暴く 正井への強制は明らか

 7月25日、東京地裁刑事第1部(川口宰護裁判長)で、水嶋秀樹同志の第9回公判が行われた。これは88年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘の総括責任者が水嶋同志であるとデッチあげた裁判である。水嶋同志は無実である。9・21戦闘にはまったく関与していない。にもかかわらず、89年に逮捕された転向・裏切り分子正井利明が、9・21戦闘の総括責任者(A)として水嶋同志の写真を「特定」したことで、水嶋同志は指名手配されデッチあげ裁判となっている。
 第4、5回公判においては、検察の遮へい措置導入策動を粉砕して、正井と水嶋同志との対面を実現した。水嶋同志を間近に観察した正井は、第5回公判で「Aと水嶋さんの特徴はことごとく違う」「水嶋さんはAとは別人です」と証言したのである。
 今回は正井への反対尋問の継続である。ところが正井は、「写真特定は確信を持って行った、自分の責任はそこまでで、その後のことには関与しない。警察が誰を手配しようが自分の責任ではない」と写真特定について居直ったのである。
こんな「理屈」が通ると思うのか。正井の「写真特定」こそ、無実の水嶋同志が逮捕され、勾留されている根拠となっているのだ。こんな居直りは断じて許さない。
 弁護団の反対尋問で正井への取り調べ状況が明らかにされていった。正井は起訴された後も毎日長時間の取り調べを強制された。内容は「共犯者」の割り出しであった。
 そこで示された水嶋同志の写真は、水嶋同志が26歳の時のもの(正井は、88年当時行動を共にしていたAは40歳半ばと言っている)で、写真は細工され修正されたものであるうえ、写りのきわめて悪い顔写真1枚だけであった。
 正井は「印象が似ている」と思ったが、取調官から写真の人物は指名手配されている大物だと聞かされ、それならば時効がくるまで捕まらないだろうと思って、水嶋同志の写真を選んだ。調書の作成は拒否した。また警察も検察も、他に水嶋同志の写真を多数持ちながら、それらを正井に見せて確かめようともしなかった。
 この経過の中に、「写真特定」の実態とは、初めから水嶋同志をデッチあげようと狙っていた取調官が、正井に水嶋同志の写真を特定するように強制・誘導したものであることが明白である。「写真特定」自体がデタラメだったのだ。
 ところが、転向して完全に検察側にとり込まれた正井は、自らが水嶋同志はAではないと証言したことで、検察の立証方針がガタガタになったことの取り戻しに入ったのである。しかしこんなことで、目の前にいる水嶋同志がAであるとデッチあげることなど絶対にできない。
 9回の公判をとおして、検察側立証の破綻(はたん)はこの上なく明白である。にもかかわらず川口裁判長は、無実の水嶋同志の釈放はおろか保釈さえ認めない。その上、接見禁止解除を求めた弁護団の申請に対して、職権を発動しない決定を下した。
 無実の水嶋同志へのこんな二重三重の人権侵害は断じて許されない。川口裁判長は、検察のデッチあげに加担するな。直ちに公訴を棄却し、水嶋同志を釈放せよ。
 水嶋同志奪還の闘いに総決起しよう。傍聴闘争に結集しよう。次回公判は9月3日(火)午後1時半、東京地裁第429号法廷。

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週刊『前進』(2068号8面4)

『前進』ホームページ 

 メールから

 都立高校で遅々とした歩みながら運動を作ろうとしている者です。『前進』の労働運動の現状報告、大変参考になります。高校の職場への攻撃を報告します。
 都教委は6月、夜間定時制高校十数校の廃校と、同じく約30校の給食を集中調理にする計画を出しました。かわりに中高一貫校や、若干の昼夜間定時制校の設置が計画されています。
 つまり「労働者の学校はいらない、『いい子』を集めて進学志向の学校を」ということです。廃校攻撃は分かりやすいと思いますが、給食については説明を要すると思うので少し書きます。不安定な労働や複雑な家庭を抱え、給食が唯一の食事らしい食事という生徒も多い中で、これを焼き冷まし・限られた単調な献立・おかわりもできないというものにし、「一カ月前に食べるかどうかを決め、予約せよ」としています。いずれにせよ「貧乏人は学校に来るな」ということであり、低賃金や失業にあえぐ者、差別に苦しむ者への攻撃です。
 私の教えている生徒たちは、戦後労働運動が顧みなかった中小零細・非正規雇用のまっただ中にあります。彼らと連帯して闘うことは、労働運動に触れることなく生きてきた彼らに大切なことを教えるでしょう。だが組合執行部は沈黙同然で、この問題に限らず「まず組織率を上げろ」の一点張りです。
 かつての動労だとまでは言いませんが運動と組織の関係が転倒しています。日本共産党や反戦派の労働者も動いていません。幸い、生徒から「反対」の声が出ています。これを運動に育てる一方、職場全員で連帯して闘います。
 教育労働者のみなさんに質問です。生徒と、ともに生き、討議をし、彼らの中に闘いをつくるのは教育労働者ならではの運動だと思いますが、そうした報告はありません。私の考えは誤りでしょうか?
 (30歳代 男性)

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週刊『前進』(2068号8面5)

公判日程

☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志裁判
9月25日(水)午前10時
福嶋同志裁判
9月18日(水)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
9月3日(火)午後1時半
☆6・12私文書弾圧裁判
9月12日(木)午後1時15分
※いずれも東京地裁

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