ZENSHIN 2002/09/30(No2071 p06)

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週刊『前進』(2071号1面1)

日朝首脳会談に対する革共同の態度

北朝鮮への排外主義の嵐打ち破れ

日帝の「国交正常化」交渉は戦争の道だ

 米日帝の北朝鮮侵略戦争阻止へ

 有事立法粉砕、日朝人民の連帯を

 第1章 米日帝の北朝鮮侵略戦争計画の一過程

 日帝・小泉は9月17日、日本の首相として初めて北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を訪問し、金正日(キムジョンイル)国防委員会委員長(朝鮮労働党総書記)と日朝首脳会談を行い、国交正常化交渉を始めることをうたった「日朝平壌(ピョンヤン)宣言」に署名した。
 9・17日朝首脳会談は、いわゆる拉致問題の安否確認として、5人の生存と8人の死亡という深刻な事態が北朝鮮側から告げられ、金正日がそれを公式に認め謝罪するという衝撃的な展開となった。この問題は、8人の青年たちがいつどうして死んだか、なぜ死ななければならなかったのかを含め、重い問題である。だがしかし、日本のマスコミがほとんどこれのみをクローズアップし、対北朝鮮の民族排外主義を扇動していることは、まったく許し難いことである。日朝首脳会談の全体像をつかみ、その一環としてこのいわゆる拉致問題を位置づけてとらえることで、拉致問題そのものの核心も実は明らかになるのである。
 以下、米帝のイラク攻撃の切迫、日帝の有事立法攻撃の進展の中で行われた日朝首脳会談に対する革共同の態度を表明したい。
 結論的に言って、日帝は9・17日朝首脳会談・平壌宣言をもって、@米帝ブッシュ政権の世界戦争計画―「イラク・イラン・北朝鮮は悪の枢軸」論による対北朝鮮のすさまじい戦争重圧の破壊力と一体となって、かついわゆる拉致問題や不審船問題などを交渉上の恫喝の道具として使いつつ、A内外の深刻な危機の中で追いつめられた北朝鮮スターリン主義の窮地につけ込んで、B国交正常化交渉の名で北朝鮮スターリン主義のほとんど全面的とも言える屈服を取りつけ、Cあわよくば北朝鮮への新植民地主義的侵略を狙い、Dまた北朝鮮スターリン主義の対応いかんでは有事立法発動による対北朝鮮侵略戦争をいつでも仕掛ける外交的枠組みづくりに大きく踏み出したのである。
 日帝はこの交渉過程全体をとおして、北朝鮮のぎりぎりの現状と弱点に襲いかかって北朝鮮スターリン主義に強圧的に屈服を強いるという、まさしく戦争外交を展開したのである。そこからはどのような平和も友好も出てくるわけがない。
 さらに、そこでは、かつての日帝の朝鮮植民地支配、強制連行・強制労働、数々の虐殺とじゅうりん、そしてそれに連なる戦後の敵対と差別・抑圧の一切の国家的責任およびその賠償・補償の問題をことごとく打ち捨て隠蔽(いんぺい)している。
 日帝はなぜ明々白々たる歴史的な国家的大犯罪をどこまでも開き直ろうとするのか。そこには新たな侵略の野望があるからである。
 またそれは、米帝ブッシュ政権が今、嵐のように推し進めているイラク攻撃(次は北朝鮮とされている!)とそれを新たな突破口とする世界戦争計画の実行の一翼を、日帝がその国家利害から担おうとするものである。したがって9・17日朝首脳会談は、けっして真の日朝友好をつくる道でもなく、真の国交正常化のあり方でもない。むしろまったく逆に日帝が朝鮮半島に戦争をもたらす重大な一過程となったのである。
 9・17日朝首脳会談・平壌宣言は、米帝(米英日帝)による一方的なすさまじいイラク大虐殺戦争が間違いなしに発動されようとしている情勢の一環としてつくり出されたものであり、直接にも米日帝の朝鮮侵略戦争計画の推進の一過程なのである。9・17にもかかわらず、いや9・17のゆえにこそ、米日帝の北朝鮮侵略戦争情勢が今一つ進んだのである。

 日朝平壌宣言の意味は何か

 日朝平壌宣言では日朝の国交正常化の実現をまずうたっている。その中身として4点が確認されている。
 第1点は、「国交正常化を早期に実現させる」こと、そのために「02年10月中に日朝国交正常化交渉を再開すること」、さらに「国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に取り組む」ことである。
 ここで言う諸問題とは、いわゆる拉致問題や不審船問題にかかわる謝罪、補償、真相解明などの問題を指している。注目すべきことは、国交正常化交渉といわゆる拉致問題、不審船問題などがリンクされていることである。小泉は「重大な懸念は引き続き存在する」(記者会見)と強調している。日帝は、それらの問題を国際政治上のテーマに押し上げ、それをめぐるやりとりいかんでは、国交正常化交渉をストップさせたり、破棄する余地をつくっているのである。
 第2点は、いわゆる「過去の清算」にかかわる部分であり、いくつかの項目からなっている。
 「日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した」として、95年の村山(当時首相)談話を踏襲している。
 そして、双方は、@経済協力の実施、A財産及び請求権を相互に放棄、B在日朝鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題を協議する、としている。
 ここで日帝は、過去の植民地支配、その国家的責任、賠償・補償を認めておらず、したがって例えば日本軍軍隊慰安婦問題の解決について拒否する立場を貫き、それを北朝鮮に押しつけている。また北朝鮮スターリン主義は、植民地支配からの解放の原則的立場をすっかり投げ捨てる歴史的大裏切りを行った。
 第3点は、「双方は互いの安全を脅かす行動をとらない」と確認、北朝鮮側は「日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような(日本国民の生命と安全にかかわる)遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとる」と確認したとしている。これは、拉致や不審船の問題で北朝鮮にくぎを刺している条項である。
 第4点は、双方は「@北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していく、A地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していく、B朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守する、C核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進する」と確認し、北朝鮮側は「ミサイル発射のモラトリアムを03年以降も更に延長していく」と表明したとするものである。
 このAの「信頼醸成の枠組み」とは米、日、中、ロと南北朝鮮の6者協議を意味する。Bの「すべての国際的合意」の最も基軸的なものは米朝の94年10・21合意枠組みである。
 これらは、日帝が、米帝の世界戦争計画、その一環としての対北朝鮮戦争政策と一体となって北東アジアの多国間安保協議を進めていくこと、あくまでも米帝と同調しつつ、かつ直接にも米帝の意を受けて、対北朝鮮の政策をまぎれもない戦争政策と位置づけていることを示している。
 さらに、添え書き的項目のようであるが、第5点に「安全保障にかかわる問題について協議を行っていく」ことを確認している。
 国交正常化交渉と並んで、安保協議が設定されていることの意味は大きなものがある。すでに見たように、国交交渉の中に、「日朝間に存在する諸問題」の協議がビルトインされているだけではなく、その国交交渉と並行して安保協議すなわち軍事外交協議が行われる形となっていることは、日帝が国交正常化交渉と銘打ちながら、その実、対北朝鮮の戦争政策を構築していこうとしていることをはっきりと示している。
 この平壌宣言は、日帝の側は、植民地支配についての謝罪や補償を行わない一方、日帝が北朝鮮に要求していることはすべて認めさせ、全面屈服させた文書となっている。北朝鮮スターリン主義は、ただただ政権の護持と保身のために、全朝鮮人民の願いと要求と民族的誇りを踏みにじって、まさに歴史的・民族的な大裏切りを行ったのである。

 拉致問題をどう考えるか

 ここで、いわゆる拉致問題とは何か。
 拉致問題とは、米日帝と北朝鮮との戦争的対峙・敵対関係の中で発生したものである。この点を抜きにして、「北朝鮮=悪のテロ国家」と決めつけることはまったく間違っている。
 そもそも日帝は、36年間に及ぶ植民地支配に引き続いて、戦後、とりわけ50年朝鮮戦争以来一貫して南北分断政策をとり続けてきた。その北朝鮮敵視政策のもとで何が行われてきたのか。65年日韓条約で南朝鮮を「唯一の合法政府」と規定する一方で、北朝鮮を国家(分断国家であれ)として承認せず否定してきたのである。
 そのことで、在日朝鮮人や日本人の自由往来をいまだに制限している。そして、植民地支配についての謝罪も賠償も北朝鮮および北朝鮮人民に対しては一顧だにすることなく、南朝鮮との関係でも一切終了してきたと開き直っている。また北朝鮮を国家として認めないのだから、「朝鮮」は国籍ではないとして、在日朝鮮人への差別・抑圧の入管体制を正当化してきた。
 実際、福田官房長官は「北朝鮮はわが国とまだ国交がないという、言うなれば交戦状態にある」と明言している(9月14日)。そうした戦争的対峙状態の中で、南北分断の戦争重圧を受ける北朝鮮がスターリン主義的反人民的軍事作戦の一環として拉致問題を起こした。日帝の一貫した対北朝鮮敵視政策が拉致問題の今一つの原因なのである。
 加えて、日帝の過去の歴史的な国家的大拉致事件について、日帝が認定することも、謝罪も補償も行ってこなかったことを根本的に問題にしなければならない。数百万人の朝鮮人民を強制連行し、炭坑や鉱山に閉じ込め、強制労働させた。また、20万人とも言われる朝鮮女性を日本軍軍隊慰安婦政策のもとでじゅうりんしたことに対する償いも何ひとつ行っていない。また、1923年の関東大震災の際に6000人を超える朝鮮人・中国人を虐殺した歴史の清算も行っていない。戦後の日本では朝鮮中学・高校生徒への集団的暴行事件が繰り返されてきたのである。
 北朝鮮によるいわゆる拉致問題をもって、日帝の戦前・戦後をとおしての朝鮮人民に対する植民地主義、民族差別・抑圧の国家的大罪をこの際塗り隠してしまえなどということは断じて許されない。日帝の朝鮮人民への国家的大罪を真に謝罪し償うことが、日本と北朝鮮との戦後的な戦争的対峙を終わらせ、拉致問題の解決につながるのである。
 したがってまた、日帝の基本方針である「拉致事件の解決なしに国交正常化なし」論こそが、拉致問題の解決を妨げてきたのである。日帝は拉致問題を人道的に解決しようという態度ではまったくなかった。逆に、拉致問題とその関係者家族の苦しみや悲しみを、帝国主義的に利用して北朝鮮との交渉を有利かつ高圧的に進める道具にしてきたのである。日帝はどうして過去・現在の国家的大罪を速やかに謝罪せず、今に至るも北朝鮮との国交正常化をしてこなかったのか。そうした日帝の態度は、道義性のひとかけらもなく、拉致問題をもてあそぶものである。それなのに北朝鮮を一方的に非難することなどできるのか。そんなことはけっして許されない。
 拉致日本人早期救出議員連盟(拉致議連)は、「食糧支援の中止、朝銀信組へのさらなる公的資金投入の中止」や「朝鮮籍の在日の再入国の禁止」などを要求して排外主義を扇動している。現に朝鮮学校などに対する脅迫や襲撃が始まっている。
 「テロ国家=北朝鮮を制裁しろ」などという扇動と襲撃は、重大な戦争放火である。断じて許してはならない。「制裁しろ」とは、石原慎太郎が「私が総理だったら、北朝鮮と戦争してでも(拉致された日本人を)取り戻す」(ニューズウイーク6・19号)と言ったのと同じ論理である。8人の死と引き換えに朝鮮人民を何千何万人と殺せと言うのかということである。

 第2章 植民地支配への謝罪と賠償の立場が根幹

 以上のような小泉訪朝―日朝首脳会談の核心問題を階級的視点からしっかりととらえ返しておきたい。
(1)第一に、今日の米帝の対イラク攻撃戦計画や「悪の枢軸」論に基づく諸政策、さらには究極的には対中国戦争を基軸とした世界戦争計画といった動きとの関連でこの問題を考えるということである。
 第二に、(より直接的な事柄だが)日帝の対朝鮮・アジア・太平洋的な侵略政策、戦争政策にとって今回の訪朝がどのような意味をもっているのかということである。
 第三に、これらの動きに対応して帝国主義のおそるべき重圧にさらされる中で、北朝鮮の金正日スターリニスト政権がどのような現実にあり、かつ、その「打開」をどのように図ろうとしているのかということである。
 第四に、前記の一切を含めて、われわれは米日帝の朝鮮侵略戦争政策に反対し、朝鮮の民族解放と南北の統一という朝鮮人民の闘いと連帯して断固として闘いぬくということ、そういう立場に立って考えていくということである。
(2)こうした観点に立ってみる時、今回の小泉訪朝―日朝首脳会談の動きを規定している最大の要因は、米帝ブッシュ政権の世界戦争計画の推進、とりわけイラク戦争から対北朝鮮・中国侵略戦争への大きな動きであり、これが北朝鮮への決定的重圧となり、その政治的、経済的、軍事的危機を極点にまで強めているということである。
 米帝は北朝鮮・金正日スターリニスト政権に対して「悪の枢軸」論で攻撃をしかけ、@テロ支援問題、Aいわゆる大量破壊兵器(核・化学など)の問題、Bミサイルの発射実験とミサイルの生産と輸出の問題、Cさらには政治体制そのものの変更問題などをめぐって北朝鮮・金正日政権が到底のめないような要求をつきつけて、これに応じなければ軍事的に攻撃し体制を転覆するなどと公言し、おそるべき帝国主義的恫喝を加えている。
 これは北朝鮮の経済・政治・社会の危機をギリギリまで激化させている。米帝は基本的にこのような攻撃を加えつつ、しかし同時に当面するイラク戦争という巨大な戦争への集中の必要や、北朝鮮の政権のあまりに急激な倒壊が南北朝鮮全体を大動乱〔帝国主義にとって〕にたたき込むこと、さらには対中国関係がどのように発展するかという大問題が生ずることなどから、さしあたって北朝鮮を自らのコントロールと統制のもとにおくという政策をも同時に遂行している。KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)の動きはその典型である。
(3)このような米帝の対北朝鮮政策の中で、日帝は米帝のこのような世界政策、とりわけ対北朝鮮・中国の政策展開に基本的に対応し共同するスタンスをとり、その中で日帝としての地理的=歴史的な権益圏(帝国主義的な!)の立場から、日韓体制の構築に全力を挙げるとともに、北朝鮮との関係においてもその帝国主義的侵略的な政策からの接近と介入の策動を強めてきた。
 したがって日帝の基本的立場はこの意味で、米帝の「悪の枢軸」論にくみして米帝の対北朝鮮侵略戦争の計画にぴったり密着して進み、共同的=競合的に自らも独自の立場から侵略戦争を遂行するというものである。それは、この間具体的には、一方ではいわゆる拉致問題や不審船問題、ミサイル問題を口実とする有事立法攻撃として展開された。他方では日朝国交正常化交渉の再開への帝国主義的外交政策をとおして、北朝鮮への帝国主義的のりこみ・介入・浸透策動として展開されてきたのである。
 本来日帝は、長い植民地支配の歴史からして、真の謝罪と賠償と補償をきちんとしなければならない立場にあるが、実際にはあれこれと言って真の謝罪も賠償と補償もしようとしてこなかったのである。
(4)こうした中で、北朝鮮側にとってこの間の情勢は、分断国家としての国家存亡の危機として一挙に緊迫してきた。いうまでもなく最大の問題は米帝の対北朝鮮攻撃の現実性がかつてなく強まり、94年危機とその回避のような形にはいかない危険が迫ってきたということである。
 こうして帝国主義的な大重圧と孤立化政策の中で、スターリニスト金正日政権はそのスターリン主義的本質から世界革命に向かって情勢を打開していく立場、南北の革命的統一によって情勢を打開していく立場はとりえず、北朝鮮経済はほとんど飢餓的破綻(はたん)にひんしている状況である。ヤミ経済が圧倒的となり、典型的な二重経済となっている。最近、物価の大幅値上げと賃金の大幅引き上げを同時に行い、ヤミ経済に追随する経済政策をとったが、なんら根本的な対応策とはなりえていない。
 今日の金正日政権にとっては、米帝の戦争重圧=体制倒壊の恐怖の問題とともに、金正日スターリニスト政権そのものへの絶望的意識が人民の間に急速に広まっていくという問題が最大の問題となってきている。
(5)以上の諸要因のからみあいの中で、米帝の北朝鮮攻撃をなんとしても避けるために金正日政権は日朝関係の一定の形成をもって盾としようとし、また日帝への思い切った譲歩をしても日帝からの資金・物資の獲得の道を開き、北朝鮮人民に一定の展望を与えることで体制護持の手段としようとしたのである。
 日帝・小泉は、この米帝の重圧下であえぐ金正日政権の危機とそれからくる対日の新たな政策の動きをかぎとり、ハイエナのようにくらいつき、日帝としての対朝鮮政策〔本質的には対北朝鮮(→全朝鮮)への侵略政策〕の推進のテコとしようとしたのである。
 日帝・小泉はまた、底なしの経済不況(恐慌の進行)への対応策の行きづまりと、小泉改革なるものがひたすらリストラと大衆収奪の強化でしかないことへの労働者人民の怒りの激化に対して、あわよくば外交上の得点をあげることでしのごうとしたのである。
 訪朝によって日帝・小泉が追求したことは、北朝鮮・金正日政権からもぎとれる譲歩は最大限引き出し、日朝国交正常化交渉の〔日帝的〕再開への手がかりを確保しつつ、他方では米帝の動向次第ではたちまち北朝鮮に対して高飛車な諸要求をつきつけて、米帝の戦争開始の口実を補強し、日帝としての戦争協力を合理化する道筋をつけるということであった。
 その意味で、日帝・小泉は一面で日朝の交渉関係をつくりだし、朝鮮経済侵略への足掛かりを準備しつつ、他面で北朝鮮への拉致問題や不審船問題への反動的・排外主義的な日本の世論を激高させ続けるといった情勢をつくりだすことを狙っているとさえ言える。
(6)9・17日朝首脳会談の動きは、米帝とそれと連携していこうとする日帝の対イラク戦争から対北朝鮮・中国侵略戦争へのプロセスの中で不可避的に生み出されたものであると同時に、このプロセスの一局面を形成するものであって、それをストップしたり停滞させたりするものではない。
(7)いやそれどころか日帝・小泉のこの動きは米帝の対イラク戦争から対北朝鮮戦争への動きの中で、日帝がこの米帝と協力・共同して参戦していく上で、政治的地ならしの意味さえもっているのである。

 第3章 日朝人民の真の連帯と南北統一めざして

 この日朝首脳会談をめぐって革共同の態度は鮮明である。
 第一に、米帝の「悪の枢軸」論による北朝鮮体制の軍事的転覆は帝国主義的侵略戦争そのものである。これに断固反対して闘いぬくことである。
 第二に、日帝がこの米帝の動きと連動して、独自の立場から北朝鮮侵略戦争に参戦していくことを断じて許さないことである。有事立法4法案(武力攻撃事態法案など有事3法案と個人情報保護法案)粉砕闘争をますます強めていこう。
 その中で、「北朝鮮はテロ国家だ」「北朝鮮に制裁を加えよ」と叫んで、在日朝鮮人民への排外主義扇動と差別的襲撃・暴行がなされることを、体を張ってでも阻止し、防衛しなければならない。
 第三に、日帝は北朝鮮に対して植民地支配および戦後の新植民地主義的政策について、真の謝罪をすべきであること、また賠償と補償を最大限誠実に行うべきことを突きつけていくことである。北朝鮮への一切の新植民地主義侵略策動反対! 日帝〔または日本〕は一切の前提として、謝罪・賠償・補償を最大限の誠意をもって行うべきだ!
 第四に、日帝は在日朝鮮人、朝鮮総連の人びとに対する排外主義と差別主義による抑圧攻撃を直ちにやめよということである。
 第五に、米・日帝国主義による北朝鮮・金正日政権の体制転覆の合理化などを絶対に許さず、北朝鮮スターリニスト政権の反人民性は北朝鮮人民自身の革命的決起によってこそ解決されるべきものであることを明確にしていくことである。そして米帝・日帝の朝鮮への新植民地主義的支配を打倒し、北朝鮮における人民蜂起と南朝鮮における人民蜂起の合流による朝鮮の南北統一への闘いを断固支持することである。すなわち「闘う朝鮮人民・在日朝鮮人民と連帯して、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」の闘いを強力に推進していくことである。
 9・17小泉訪朝は、米日帝の朝鮮侵略戦争計画の流れの一環である。日帝・小泉の北朝鮮・中国侵略戦争のための有事3法案を阻止し、個人情報保護法案の言論統制と治安強化の攻撃を粉砕するために今こそ今秋臨時国会決戦に総決起しよう! 排外主義の嵐を打ち破り、闘う朝鮮人民と連帯して闘おう! イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕闘争を大爆発させよう。

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週刊『前進』(2071号2面1)

11月定期大会を国労の再生の大決戦に
「闘争終結」と闘争団解散、単一体解体狙う本部打倒へ
 代議員選で裏切り者引き下ろせ

 国鉄闘争は、11月24、25日の国労定期大会を前に、あらゆる反動を打ち破り、15年の闘いを前進させる重大な決戦局面に突入した。次期大会を「解決案批准の大会にする」とうそぶき、大会開催を延々と引き延ばしてきた国労本部は、組合員の怒りに押されて大会開催に踏み切らざるをえなくなった。大会を開く以上、本部はその場で総辞職すべきだというのが、圧倒的多数の国労組合員の声である。だが本部は、この大会で「国鉄闘争終結」を宣言し、国労闘争団966人全員を最後的に切り捨てるとともに、全国単一体としての国労を解体する大反動をたくらんでいる。「4党合意による解決」なるものの破産を居直り、逆に国労解散に向けて一挙に歩を進めようとしているのだ。この反動を打破し、現本部執行部を引責辞任に追い込んで、新執行部樹立、国労の再生をかちとろう。

 「雇用対策」方針は全闘争団切り捨て

 米帝によるイラク侵略戦争の発動が急切迫する中で、日帝は北朝鮮に対する排外主義を極限的におありたて、今秋臨時国会での有事立法強行へとますますのめり込んでいる。そして、連合を有事立法賛成に取り込むとともに、連合支配に抗する労働者階級の反撃の軸となってきた国鉄闘争の解体に全力を挙げている。イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕の決戦と国鉄決戦は、相互に絡み合いながら、この秋、最大の激突局面を迎えたのだ。
 権力は、4月26日の与党3党声明と6月6日の甘利記者会見で、「4党合意の破棄」をも恫喝材料に、闘争団の除名を国労本部に露骨に迫った。それは、国家的不当労働行為によって1047人を解雇した権力が、被解雇者の切り捨てを国労に迫るすさまじい労組破壊攻撃だった。国労本部は、これにそそくさと従い、「次期大会で闘争団を統制処分に付す」とした5・27臨大決定を強行した。にもかかわらず、闘争団を始めとする国労組合員の不屈の決意は、一層強固なものとなっている。国労本部が、闘争団の闘いを制圧できない現実も、すでに明白になっている。
 このことに業を煮やした権力は、文字どおりの最後通牒(つうちょう)を国労本部に突きつけた。
 7月末、自民党ら政権与党と社民党の協議がもたれ、「国労は鉄建公団訴訟原告の闘争団員らを除名しろ」とする最後的確認を行い、その内容は即日、社民党をつうじて国労本部に伝えられたと言われている。
 権力は、国労本部の手によって国労を解体に追いやる4党合意の行き詰まりを認めつつ、「4党合意から手を引く」ことが国労本部に対する恫喝として有効である限り、それをとことんまで使いきろうとしているのだ。
 これに対して本部のチャレンジらは、966人の国労闘争団員全員の切り捨てをもって権力への回答とすることをもくろんだ。8月28日の中央執行委員会に提案された「採用差別事件の解決に対する本部の決意」なる文書は、国労の側から「ゼロ回答」の提示を自民党にこいねがい、闘争団全員を国労から切り離し、全国単一体としての国労の解体をも含んだ、最悪の裏切り方針を書き連ねている。
 そこで本部は、「4党合意での解決案は厳しい内容が想定される」として、国労に「雇用対策本部」を設置することを打ち出した。これはもはや、国鉄闘争終結宣言と言うほかにない。権力による「ゼロ回答」を前提に、鉄建公団訴訟原告や4党合意に反対する闘争団員のみならず、966人の闘争団員全員を切り捨てるということだ。できもしない「雇用対策」を掲げながら、解雇撤回・地元JR復帰という闘争団の根源的な要求を全面的に押しつぶすというのである。
 許し難いことに彼らは、闘争団の最後的切り捨てのあかつきには「JRにおける運動の前進」が図られるという暴論を、またぞろわめき立てている。これは、数年来チャレンジが唱えてきた闘争団切り捨ての反動的論理である。彼らの言う「JRにおける運動の前進」とは、資本との闘いを職場からつくり出すことでは断じてなく、国労をJR会社ごとの単組の連合体に再編し、JR連合やJR総連と同様、国労も資本の手先となることによって「労使正常化」を実現するということだ。
 さらに本部は、権力の側からの4党合意破棄の最後的通告におびえながら、「万が一、国労のあらゆる努力にもかかわらず解決が出来なかった場合は、定期大会で四党合意の中間総括を行い、国労として解決まで責任ある運動の提起を行う」などと述べている。だが、チャレンジや反動革同が「4党合意による解決」の破産を自認することなど断じてない。彼らの言う「中間総括」とは、あくまで「ゼロ回答」受諾を前提に、闘争団966人の切り捨てのための新たな裏切りを準備するということだ。
 チャレンジどもは、定期大会開催に追い込まれながらも、その大会をこうした裏切り方針に基づく国鉄闘争終結宣言の大会、国労解散の大会として強行しようとしているのだ。こんなことが許せるか!
 他方で、エリア・地本に巣くうチャレンジの中からは、破産した4党合意に見切りをつけ、新井・今井らのチャレンジユニオンに合流する策動も公然化しつつある。
 もはや誰が見ても明白になった「4党合意による解決」の破産を認めようとせず、闘争団全員の切り捨てというさらなる裏切りによってそれを糊塗(こと)し、卑劣な自己保身のために国労を丸ごと敵に売り渡す本部執行部。国労の団結をここまで引き裂いてきたのは、本部執行部の責任だ。チャレンジや反動革同を執行部の座にとどめておくことは断じてできない。次期大会を闘争終結宣言の大会とさせてはならない。本部を辞任に追い込み、闘う方針を確立し、国労再生をかちとる歴史的大会としなければならない。

 日共の「政治解決」路線が完全に破産

 「国鉄闘争再構築路線」を唱える日本共産党=反動革同は、動揺を重ねつつもチャレンジとともに最後の裏切りに加担しようとしている。彼らもまた、闘争団の闘いと要求を圧殺する点で、チャレンジと異なるところはない。
 日共中央は、革同指導部による4党合意推進路線の破産が現実的に突きつけられ、革同内部や全労連から4党合意への怒りが噴出する中で、やむなくペテン的な「再構築路線」を打ち出した。だが、日共中央は「再構築路線」を革同全体に貫徹することもできず、ただただ本紙によってペテン的な路線転換が暴露されたことへのいらだちをあらわにし、八つ当たりを繰り返しているという。
 しかし、日共中央に突きつけられているのは、反動革同が4党合意推進に暴力的に突き進んだことを、自らの労働運動指導における破産として全面的に自己批判することである。
 日共中央の「転換」は、革同や全労連の内部に大流動を生み出している。これを正しく促進するならば、国鉄闘争と日本の労働運動を再生する重要な条件を形成する。とはいえ、この「転換」そのものは、きわめてペテン的な代物だ。
 「再構築路線」への転換に関する革同の内部メモでも、闘争団の最も根本的な要求である「解雇撤回・地元JR復帰」のスローガンはことごとく無視され、「雇用問題解決」という言葉に置き換えられている。国鉄闘争とは、何よりもJRの不当労働行為責任を追及し、被解雇者のJRへの復帰を求める闘いだ。しかし日共中央は国鉄闘争の核心を否定し、不当労働行為の責任追及をかたわらに追いやっている。
 しかも、彼らが不当労働行為に言及する時、それは「不当労働行為に対する対政府闘争」にねじ曲げられる。労働組合にとって不当労働行為との闘いは、資本による団結破壊に対して職場からの反撃をたたきつける中で、団結を再強化していくものである。だが、日共中央は、資本との闘いを始めから放棄し、JRの責任を免罪しているのだ。したがって、彼らの言う「対政府闘争」とは、国鉄分割・民営化という国家的不当労働行為を行った政府・自民党の責任を追及することではなく、あくまで政府に「解決」を哀願するというものでしかない。
 実際、日共中央の方針は、「解決への政治責任を果たそうとしなかった4党に対して厳しくその責任を追及する」というものだ。これでは、「国鉄闘争再構築」とは、めぐりめぐって4党に国労への再介入を懇願するものにしかならない。政権政党による国労へのあからさまな支配介入と団結破壊に対する怒りは、ここにはない。
 それは、日共中央=革同が、この期に及んで政治解決=和解路線の枠組みを一歩も出ようとしないことに起因する。そもそも、国労本部が4党合意の受諾に行き着いた根底にあったものこそ、日共=革同が主導した政治解決=和解路線だったのである。
 スターリン主義反革命として労働者の自己解放的な決起を否定する日共は、労働者の闘いを裁判や「政治解決」、すなわち権力による判定にゆだねることに絶えずねじ曲げてきた。こうした傾向は、日共中央が94年の第20回党大会で「資本主義の枠内での民主的改革」路線を打ち出すとともに一層深まり、反動的に純化した。それを最も忠実に実践した者こそ、国労における反動革同指導部だったのだ。彼らは、国労大会への官憲導入に全面的に賛成し、自らも闘争団の暴力的圧殺の先頭に立った。そのやり方こそが、労働者の根底的な怒りを買ったのだ。
 国鉄分割・民営化以来、日共=革同が一貫して主導してきた政治解決=和解路線の総破産は明白になった。日帝が有事立法と一大資本攻勢に全力で乗り出している時、権力にすがって争議の「解決」を図ろうとすれば、敵に徹底的につけ込まれ、味方の団結はどこまでも解体される。
 このことを直視し、政治解決=和解路線を全面的に清算することこそ、国労再生の出発点なのである。

 裏切り者に立候補する資格はない!

 定期大会に向けての代議員選挙は、国労の生死を分かつ位置を持つ。
 この期に及んで4党合意にしがみつき、権力の命じるがままに闘争団の切り捨てに突き進むチャレンジと反動革同、そして酒田一派を徹底的に追及しなければならない。彼らを一人として当選させてはならない。いや、国労の団結をここまで踏みにじってきた裏切り者に、立候補の資格はない。彼らを一切の役職から引き下ろそう。
 権力と資本が最も恐れているのは、国鉄闘争が不屈に継続されることである。4党合意と3与党声明をもって、国労本部によって国労総体を絞め殺そうとした権力の攻撃が打ち砕かれ、帝国主義の根底的な危機の時代に国労が国労として存在し続けることが明らかになった時、窮地に追い込まれるのは敵の側だ。
 チャレンジと反動革同の本部執行部を打倒せよ。闘争団への生活援助金凍結・物販排除を直ちにやめよ。
 裏切り者をたたき伏せ、国労の再生をかけて渾身(こんしん)の決起をすべき時は今である。代議員選の勝利をなんとしてもかちとろう。

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週刊『前進』(2071号2面2)

国労の誇りかけ (2) インタビュー 国労闘争団

 4党合意を破棄して団結を 苦しいのは今だけじゃない。原点に戻ろう
  九州B闘争団 Mさん、Hさん

 査問委の対象に

 ――国労本部は7月に査問委員会送致を決めました。お二人も対象ですか。
 M ええ。私はまだ鉄建公団訴訟には参加していませんが、最高裁への第三者訴訟参加には名前が上がっています。両方とも査問委員会の対象でしょう。ランク分けして分断しようということのようですが。
 H 私は両方です。
 M ハガキが国労の機関から来ています。九州には西日本エリアから「国労方針に沿って総団結を図るように。鉄建公団訴訟を取り下ろせ」と。
 H それを見ても文字が並んでいるだけで、心をとらえるものは何もない。少しぐらいは感じるものがあってもいいはずですけど。
 M 以前の国労だったら、一人ひとりの組合員の声を大事にしていた。そうじゃなくて機関決定だということで、動かされてしまう。4党合意とは締め付けでしょう。またかという受け止め方です。
 H 寂しい気はします。そこまで本部は追いつめられているのかなと。
 ――生活援助金が打ち切られていますが。
 M 生活水準を下げざるを得ない。やっとの思いで生活しているのが現状です。仕事があれば何でもやる。オルグに回っている人たちは何カ月も家を空けますから、自分たちが地元でカネづくりをする。
 苦しいけど、90年に首を切られた時から苦しいわけだから、今までやってきたことをこれからもやることだと思うんです。

 本体に訴えたい

 ――今度の大会に向けて訴えたいことは。
 M JR本体の組合員で賛成票を投じていた人たちに、どう私たちの思いを訴えるかですね。
 4党合意を受け入れたけど、何も解決しない。本体の中にもおかしいという気持ちを持っている人もおると思うんです。闘う闘争団の立場に立って裁判を起こした人たちもいる。本体にとっても、闘争団を除名したって、問題の解決にはならんとですからね。
 本部がどういう方針を出そうとも、政府・JRに対する闘争団の要求は変わらない。それで36闘争団全体でまとまることが大きな力になる。4党合意が破棄された時に、もう一回団結をつくり直して一からやろうぜということになると思うんです。
 ――組合員の気持ちは反対が圧倒的多数では。
 M そうです。「4党合意はおかしい」と共闘の人たちからも言われました。労働組合というのは政府とか当局とは対立関係にあって、お互いにぶつかり合って解決する。相手にすり寄って解決するはずはない。
 本部は、もう毒を食うてしもうたから、私たちが毒を食わないようにせんといかんと思うんです。
 H 7・1臨大の時に、家族が「私たちの人生を勝手に決めないで」と発言したけど、それを逆手にとって「3分の1の反対者が私たちの人生をめちゃくちゃにしている」と賛成派の家族が言っている。いまだ、闘う部分を切り捨てれば何かの案が出てくると信じている人たちがいる。家族会が甘利に要請に行った時の報告文書を見ても分かるように、反対者を切り捨てればなんとかなるなんて絶対にあり得ない。
 ハンセン病もそうですが、やっぱり闘ってきたから結果が出る。最終的に和解はあり得ると思うけど、今の段階で「JRに責任なし」では、それこそ社会から見捨てられてしまう。
 そういう大会にだけは絶対にしたくないです。
 M 甘利からあれだけ言われて、まだ気付かんとか。いい加減に頭を冷やさないと、言われるがまま、されるがまま。そこまでやられたんだから、本部や機関役員は開き直ってくれ、という気持ちです。そうできないのは何なのか。
 ――闘争を終結させてJR連合に合流しようというのでは。
 M そのためには闘争団を切ってしまわないといけないと。それができなかったので、新井さん(元本部中執)たちが国労から抜けたでしょう。そう考えると、今まで本部がやってきたことの意味が分かる。
 H 闘争団は当事者だから、そういう動きは手に取るように見えるんです。絶対に許せんですね。

 気持ちは譲れぬ

 M 原点に戻ることだと思います。90年4月1日に解雇された、その時の気持ちは、たとえ15年たとうが20年たとうが変わらんと思います。採用になった者と採用されなかった者とのギャップはあるけれど、しかしその時の悔しさは同じだったんですよ。「おれたちは採用になったけれど、明日は我が身だ」と。その思いを見失うと、一生後悔すると思うんです。
 こっちが“もうダメです。負けました”という解決だけはしたくないです。7・1臨大の時に、壇上占拠した北海道の闘争団の人が、そういう気持ちを言っていましたね。人間の誇りです。“ご免なさい。15年間、私たちがやってきたことは悪うございました”ということで終わるのと、“おれたちは、これからもこういうことを許さない”ということで終わるのとでは違うと思うんです。その気持ちだけは譲れない。
 H 現実はシビアに見る必要はありますが、JRの組合員の中にも良心的な、まだ人を大事にしようという人たちがいるのを見つめていきたい。
(聞き手/本紙・大沢康)

■第三者訴訟参加

 JR採用差別事件でJRの不当労働行為責任を認めた労働委員会の救済命令をめぐる行政訴訟で、東京地裁、東京高裁が命令を取り消す反動判決を出した。中労委・国労が上告している。国労本部は4党合意により訴訟取り下げを策しているが、闘争団員200人余が01年4月に最高裁への訴訟参加を申し立てた。

◎取材メモ◎

 Mさん、Hさんには、空き家の木の伐採作業の合間にお話をうかがった。暑い中では厳しい作業だ。その前はお墓の作業だったという。団が請け負った仕事だが、涼しくなって少しは楽になるころには仕事がないのだそうだ。「今だけが苦しいのではない」。苦しさをのりこえてきた自信をのぞかせた。

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週刊『前進』(2071号2面3)

連合全逓に怒り噴出 近畿大会 代議員からの報告
 関西 全逓労働者H

 全逓近畿定期大会が7月3〜5日に開かれ、代議員として参加しました。全逓では来年公社化を前に現場の怒りがあふれています。
 これに先立つ6月全国大会の近畿の代議員選挙では、強制配転に反対する会の仲間2人を始め、本部反対派3人が当選し、地本の専従役員が落選しました。「大会議案は組合員不在。このままでは御用組合。有事法制反対。人事交流に反対を」という主張が支持されたのです。全逓は大流動局面に入りました。
 近畿地方大会は、冒頭の委員長あいさつで近畿配達支部の企業閉鎖・会社解散というショッキングな事態が報告されました。郵便の仕事はトラック輸送部門の膨大な民間労働者によって支えられています。近畿配達支部は「職場を失うことがどんなに惨めなことか。弱者切り捨ての公社とは何なのか」と全逓の企業内主義・本工主義への怒りを訴え、関西逓送、日逓支部も「隣で働いている労働者のことをもっと考えて欲しい」と訴えました。各貯金局、逓信病院からは職場閉鎖に対する切実な訴えが行われました。
 通常配達業務を全員非常勤化しようとする新集配システム試行局からも労働強化の現状が訴えられ、短時間職員の代議員を始め、非常勤職員の不当解雇、雇い止め問題、日々雇用の現実などに対する悲痛な怒りと訴えが続きました。
 大会は、本部の必死の締め付けと反動との攻防でした。本部議案に対する一票投票は賛成103に対して反対19に終わり、昨年大会での3分の1の反対票と比べると表面的には厳しい面があります。しかし、職場の怒りはこのままでは収まらないという確実な手ごたえを感じました。
 私は、@高齢者、弱者に対するリストラ配転をやめろ、組合つぶしの人事交流をやめろ、A新処遇制度は能力主義を導入し、弱者を切り捨てることだ、B連合5・16見解は有事法制を認めたもので許せない、6・16に続く明確な反対闘争を、C新集配システム反対、終身雇用制の破壊・不安定雇用化・合理化反対、D短時間職員・非常勤職員の処遇改善と連帯を、と断固として言い切りました。
 後日、支部の定期大会があり、「有事法制に反対を」という発言が数人からありました。近畿地本の来賓の答弁は、「もっと明確に有事法制反対と言い切りたいのだが、連合を支えないと」という弁解がましいものでした。連合見解を現場から粉砕し、この秋の有事法制反対の大運動をつくりあげましょう。これからが本番です。

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週刊『前進』(2071号2面4)

資本攻勢&労働日誌 2002 9月2日〜11日
金属労協、統一ベア要求を否定 自動車総連も一律ベア放棄/「失業認定」厳格化

●2日 IMF・JC(金属労協)が大会を開催。鈴木議長は統一ベア要求を真っ向から否定した。(要旨別掲
◇厚労省は、都道府県ごとに設定される地域別最低賃金の改定状況をまとめた。すべての都道府県で時間額単独方式に移行。最高額は東京の708円、最低額は沖縄の604円、全国加重平均額は664円。
◇家計経済研究所が公表した「消費生活に関するパネル調査」によると、有配偶女性のうち6.1%が「この1年に、家族が希望退職や失業を経験した」と回答。94年の3.4%、97年の4.4%に比べ高い数字。低所得層で消費支出が減少。
●3日 自動車総連が4日まで大会。中長期的に現在の一律ベア要求から脱却すべきとし、平均賃上げ方式から個別賃金方式への転換を検討する方針を打ち出した。
◇政府税調は税制改革に向けた中間整理を発表。配偶者特別控除の廃止を検討すると明記した。
●5日 来春卒業予定で就職を希望している高校生の7月末時点での求人倍率が昨年同期を0.11ポイント下回る過去最低の0.50倍となったことが厚労省の調べで明らかに。
●6日 鉄鋼労連が7日まで大会。春闘のベア要求を、これまでの毎年の要求から隔年要求に変える方針を提案した。
●10日 坂口厚労相は閣議に02年版の厚生労働白書を報告。生活水準の世代間格差拡大を指摘。
◇IMF・JC(金属労協)は従来の「金属最賃会議」(機械金属関係単産最賃連絡会議)を解消し新たに「最賃センター」を発足させた。絶対額重視の方針による。
◇JR東日本は、人材派遣業に参入すると発表した。
◇厚労省は、社会保障審議会年金部会で、国民年金保険料の免除制度を拡充する考えを示した。保険料の未納防止のため。また、公的年金を負担する「支え手」を増やすために、パート労働者の厚生年金への加入を柱とする制度改革案を提示した。
●11日 厚労省は、公共職業安定所を所管する全国の労働局長を集めた会議を開催し、20日をめどに失業認定の厳格化に踏み切ることを決めた。「虚偽申告」と見なされると失業認定が取り消され、失業手当も返還させられる。
◇深夜に働く労働者の3人に1人が就労前より体調が悪化したと訴えていることが、厚労省発表の「労働環境調査」で分かった。
◇日本労働弁護団は、不当労働行為の審査制度のあり方について見解をまとめた。中央労働委員会の再審査制度が「救済引き延ばしのための手続きとなっている」と指摘、廃止するよう要求。
◇富士通は約3000人を対象に早期退職を募る追加リストラ策を決定し、労組に提案した。

 金属労協大会における鈴木発言(要旨)
▽「統一ベア要求の根拠なし」と主張
「2002年闘争にあたって、……JC共闘として取り組む統一的なベア要求の根拠を見いだし得ない環境にある」
▽日帝危機を前に賃金闘争放棄
「金属産業の競争力の低下がこのまま続くとするならば、……日本経済はその機能を崩壊させることになる」
 「産業環境事態が国際競争力と密接不可分で、かつ競争力が相対的に弱まっているとなれば、……賃金改定よりは『組合員の雇用』を第一義に取り組む」
▽賃金格差容認の職種賃金
 「賃金格差に対しても、従来のように、ただ平均賃金で比較することでは、格差改善に対する説得力を持ち得ません。
……職種別賃金という方針も、こうした背景からの必然性を持っている」

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週刊『前進』(2071号3面1)

イラク人民虐殺戦争許すな 湾岸戦争以来続く経済制裁 劣化ウラン弾の被害が深刻

 新生児70%が栄養失調

 米帝ブッシュは、9月12日、国連総会で演説し、「国連決議が履行されなければ、行動はさけられない」と発言して、イラクに対する侵略戦争の宣戦布告を行った。17日のイラクの国連査察無条件受け入れの表明に対しても、「フセインの言動に重みなし」「フセインにだまされるな」と言ってあくまでも戦争に突入しようと狙っている。20万人もの米軍でイラクを制圧しようとする侵略戦争を絶対に許してはならない。
 1991年湾岸戦争(イラク・中東侵略戦争)以後の経済制裁でイラクでは子どもをはじめ150万人以上が死んでいる。このイラクにさらに暴虐な侵略戦争が強行されようとしているのだ。米帝のイラク侵略戦争を阻止するために、イラクの現状と米帝の狙いについて明らかにしたい。
 湾岸戦争後のイラクにとって、最も広範で深刻な打撃となっているのは国連による経済制裁である。物資の輸入が制限されているために物不足が慢性化しており、物価が高騰し、お金のない民衆が食糧さえも買えない状態が続いている。食糧不足は、体力の弱い子どもたちを直撃しており、子どもたちの栄養失調が広がっている。特に深刻なのは新生児の70%が栄養失調で、そのうちの50%が重症になるということである。栄養失調で死亡する乳幼児の数は89年の19倍に達すると報告されている。しかも経済制裁で水道水の消毒に使う塩素の輸入が禁止されているために水が汚染されており、赤痢やコレラ、チフスが発生している。
 子どもが病気をすれば高価な薬を買い求めなければならず、家を売ったり、家財道具を売ったりして一家が貧困のどん底に追いやられている。消毒用の塩素の輸入を禁止していることは、米帝が国連を使って行っている経済制裁が継続的な戦争そのものとしてあり、イラク人民の民族抹殺を狙ったものとして行われていることを示している。

 ガン、白血病米帝の犯罪

 さらに重大な問題となっているのが湾岸戦争で米軍が使った劣化ウラン弾による放射線被曝(ひばく)の問題である。米軍はイラクに対して320dとも800dとも言われる大量の劣化ウランを使用した。これによって子どもたちをはじめとしてガン、白血病、先天性障害などが多発している。湾岸戦争で特に激しい戦場となったイラク南部での発生が多くなっており、南部の都市バスラの産婦人科病院では新生児の3%以上に先天性障害が発生している。しかもこうした放射線による影響は年とともに増加する傾向にある。ガンや白血病などを発症した子どもたちが、医薬品が不足しているために手の施しようがなく命を落としていっているのだ。
 劣化ウラン弾は、原発の燃料や原爆の材料として天然ウランからウラン235を濃縮する際に大量に出るウラン235の含有率が低いウラン(劣化ウラン)を、比重が重いため貫通力が強いということで砲弾などの材料として使ったものである。米軍は巡航ミサイルトマホークから対戦車砲弾や機関銃弾などありとあらゆる兵器に劣化ウランを大量に使っている。ウランの放射能半減期は45億年であり、永久に放射線による被害が続くことになる。しかも、劣化ウラン弾は、破裂の際に細かい灰となって大気中に拡散し環境の中にばらまかれる。すでに食物連鎖の中に入り込んでいると見られている。
 こうした経済制裁や劣化ウラン弾の放射線被曝による死者はすでに150万人を超えており、そのうち乳幼児死亡数が60万人と見られている。これは、湾岸戦争でのイラク人民の死者20万人をはるかに上回っている。
 こうした一方で、米英軍による空爆がずっと続いている。米英軍は湾岸戦争後のこの11年間、それぞれ年間で千回にも及ぶほどの激しい爆撃を加え続けてきた。「レーダー照射を受けた」という口実で一方的に多くの市民を虐殺してきたのだ。しかも最近では9月5日の米英軍100機による空爆のように、大規模な攻撃のための前段作戦としての空爆と言うべきものになってきている。

 中東石油の支配と略奪

 今回の米帝のイラク侵略戦争の直接の狙いは、フセイン政権の打倒であり、バグダッド突入―イラク全土の軍事的制圧である。米帝は、13億イスラム諸国人民の存在とそこから沸き起こる民族解放・民族自決の要求と闘いを根絶しようとしているのである。「反テロ戦争」の名でどこまでも被抑圧民族虐殺の戦争を拡大し、そのことで中東支配を暴力的に再編し、さらには全世界を米帝支配下に組み敷こうというのだ。
 それと同時に米帝は、イラクを直接米帝の支配下におき、その石油資源を略奪しようと狙っている。サウジアラビア、イラク、イラン、クウェート、アラブ首長国連邦の5カ国で世界の石油埋蔵量の3分の2を占める。イラクはサウジアラビアに次いで世界第二の石油埋蔵量である。しかもイラクはヨーロッパの様々な国やロシア、中国の石油会社と契約を結んでおり、このイラクがイランと並んで米帝の石油支配にとって重大な問題となっているのだ。こうした中で米帝が単独ででもイラク侵略戦争に突入するということは、米帝のイラク侵略戦争に参加・協力しなかった他の帝国主義はイラク原油の強盗の分け前の権利を失うことを意味しており、きわめて激しい帝国主義間争闘戦なのだ。だからこそ日帝・小泉は、米帝のイラク政策を支持し、参戦に向けた策動を強めているのだ。
 イラクは第一次世界大戦以後イギリスの委任統治を受けた。第二次世界大戦後は米帝が、イラク侵略の策動を強め、53年にイラクのカセム政権をCIAが後ろ盾となったクーデターで政権を転覆させたのをはじめ、イラク支配の策動を執拗に繰り返してきた。そして72年イラクの石油国有化宣言に対してニクソン政権は、クルド人に武器を供給して混乱をはかり、同時にイラクを「テロリスト支援国」に指定したのだ。だが、79年イラン革命によってパーレビ体制が打倒されて中東支配が重大な危機に陥るとイラクにイランとの戦争をけしかけ、化学兵器、生物兵器を供給した。その政策が完全に破たんしたことがイラクのクウェート侵攻となり、米帝はイラクに対して暴虐な侵略戦争を強行したのである。
 まさにこうした米帝の中東支配の中心に石油支配戦略がある。しかもブッシュ本人やチェイニー副大統領をはじめとしたブッシュ政権の閣僚がまさに石油産業や軍需産業と直接的に結びついた人物たちで構成されており、自らの資本の直接的な利益のために凶暴な侵略戦争を行おうとしているのである。
 湾岸戦争での徹底した破壊の上に11年にわたって続けられた経済制裁で、イラク人民の生活はぎりぎりの状態にある。この上さらに米帝をはじめとした侵略軍がイラク全土をじゅうりんすれば、人民の犠牲は計り知れないものとなる。イラク人民の米帝への怒りは激しく燃え上がっており、米帝の侵略戦争は、必ずや泥沼的な危機に陥るであろう。民族解放・民族自決を求めて闘うムスリム人民と固く連帯し、米帝のイラク侵略戦争を阻止しよう。
 日帝は、米帝の湾岸戦争に全面協力し、130億jの戦費支出でイラク人民を虐殺したのだ。さらに今回のイラク侵略戦争に参戦しようとしている。日帝・小泉政権のイラク侵略戦争参戦策動を血債にかけて粉砕せよ。有事立法3法案を絶対に粉砕しよう。

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週刊『前進』(2071号3面2)

東電の原発検査偽造弾劾 全原発の運転を中止し廃炉に

 8月下旬に発覚した東京電力の原発検査記録改ざん、機器亀裂(きれつ)の隠ぺい問題は、原発が「偽造された安全」の虚構のもとに運転されていることを衝撃的に明らかにした。重大原発事故の危険を顧みずウソとペテンで塗り固められた核(核武装)政策を強行する日帝支配階級に対し、核施設立地の地元住民をはじめ全国の労働者階級人民の怒りは爆発寸前だ。

 17基中13基もが改ざん・隠ぺい

 東電は、福島第一〔福島県大熊・双葉(ふたば)町、6基〕、福島第二〔福島県楢葉(ならは)・富岡町、4基〕、柏崎刈羽(かりわ)〔新潟県、7基〕の3原発、計17基(1700万 )の原子炉を保有している巨大電力独占資本である。今回、検査虚偽記載として発表されたのは、13基29件。実に東電のほとんどの原発で、点検結果の改ざん・隠ぺいが、1980年代後半から01年にかけての10数年以上にわたって行われてきた。機器の多数の損傷を現認しつつも検査記録を修正液でねつ造、ビデオの亀裂場面をカットするなどし、「安全性に問題なし」とうそぶきながら運転を強行し、数千万の人民の生命を危険にさらし続けてきたのだ。
 検査偽造の対象機器は、シュラウド(炉心隔壁)、炉心スプレースパージャー(緊急炉心冷却装置の散水管)、蒸気乾燥器など炉心に集中しており、その損傷はいずれも重大事故に直結するものばかりである。

 シュラウド交換で労働者が被曝

 とくにシュラウドの亀裂問題は深刻だ。シュラウドとは、原子炉のなかにあるステンレス製の大きな円筒(直径5b、高さ7b、厚さ50_)で、燃料集合体を覆っている。もしこのシュラウドが破断すると、制御棒の挿入が不可能になり、炉心の冷却機能が喪失し、炉心溶融(メルトダウン)という最悪の事故を引き起こしかねない。
 東電原発の9基のシュラウドに、多数の亀裂ないしはその兆候が発見されている。東電はそのうち、福島第一の1、2、3、5号機について亀裂の事実を隠し、定期検査時に「予防保全」と偽り新品のシュラウドと交換し、証拠隠滅を図っている。
 だが、応力腐食割れ対策として炭素含有量を減らした新品材料を使用している福島第二3号機ですら、外側表面にほぼ全周の18b、最大深さ26_もの亀裂が走っていたことが97年に見つかっている。しかし、東電は同機をはじめ福島第一の4号機、第二の2、4号機、柏崎刈羽の1、3号機計6基について、未修理のまま運転再開する「特例申請」を画策している。
 炉心装置シュラウドは、激しい中性子線照射のため自己放射化し強烈な放射線を出している。90年代終わりから00年にかけて福島第一原発の4基で、世界でも例のないシュラウド交換が強行された。極度に高い放射線領域の炉内での殺人的な交換作業に、アメリカ人労働者200人を含む数千人の労働者が投入され、大量の被曝を強制された。106人の労働者が20_シーベルト以上の放射線を浴びている(「一般人最大許容限度」は1_シーベルト)。東電資本こそ、労働者被曝の最大の下手人だ。

 危険容認の検査基準緩和を策動

 原発大事故を誘発する検査偽造・改ざん行為を大規模に繰り返してきた東電資本とそれを容認してきた日帝政府・経済産業省、原子力安全・保安院。全労働者人民の生命・生活を根底からおびやかしつづけてきたこの明白な犯罪行為の責任を徹底的に追及し断罪しなければならない。監督官庁の保安院は自己の責任回避にやっきになり、東電に対し「シュラウドの補修・交換で対策を行ったから、証拠がない」と証拠隠滅行為を容認、電気事業法違反等での刑事告発・行政処分を放棄し東電を免罪した。
 そして保安院は、90年代での定期検査期間の短縮から一段と踏み込んだ検査基準緩和策動を開始した。「安全性に問題ない」と東電・保安院が判断すれば(これ自体がまったく信用できない!)、亀裂があっても運転を続行できる(「安全維持基準」)、修理は次の定期検査時に行えばいい(「事後保全」)と、全国の原発で瀬戸際的危険運転を公然と行えるように大改悪しようとしているのだ。
 日本の原発は世界有数の地震地帯にある。とりわけ浜岡原発(静岡県)は、近時発生が不可避とされている東海巨大地震の震源域のど真ん中にある。このような中で機器に亀裂の入ったまま運転しても構わないという検査制度大改悪を絶対に許してはならない! 浜岡原発を始めすべての原発は即時運転を中止し廃炉にせよ!

 核武装化を狙う核燃計画粉砕を

 今回の改ざん問題で焦点化した福島第一原発3号機と柏崎刈羽3号機は、プルサーマル計画の対象原発だった。東電は発覚がなければ、なにくわぬ顔をしてMOX燃料(プルトニウムと濃縮ウランの混合燃料)を装荷し、危険性のより高いプルサーマル運転を強行しようとしていたのだ。刈羽村住民が住民投票でプルサーマル拒否をたたきつけた正しさが、ますます明白になった。住民の激しい怒りに押され、新潟の地元自治体は相次いでプルサーマル計画の事前了解を撤回せざるをえなくなっている。
 軽水炉でプルトニウムを燃料として使用するプルサーマル計画は、プルトニウム保有政策推進の当面の唯一の切り札だったが、その行き詰まりでプルトニウムの商業需要なるものは完全に危機に陥った。茨城県東海村の高速増殖炉用、青森県六ケ所村の軽水炉用の再処理工場の核軍事目的としての正体がいよいよむき出しになってきた。
 日帝は、「国の原子力政策を変えることはまったくない」(福田官房長官)、「こうしたことが起こっても、核燃料サイクルの確立の重要性を国民に訴えていく」(武藤原子力委員会委員長)と居直り、核爆弾材料=プルトニウムの抽出を最終目的とする核燃サイクル計画の暴力的推進を再宣言した。
 いま、日帝支配階級は、イラク(核)侵略戦争への参戦と有事立法成立の攻撃をかけてきている。北朝鮮・中国侵略戦争法案=有事立法攻撃、福田・安倍―小沢らの公然たる自衛隊核武装化推進・扇動発言などの中で、原発・核施設が警察や自衛隊による第一級の警備、軍事機密対象として位置づけられ、地元住民・労働者人民に対し銃口が向けられはじめた。世界第2位の軍事力を持つ侵略軍隊・自衛隊の核武装は、アジア人民に対する最大の脅威となる。
 2人の労働者の虐殺と、大規模な住民被害をもたらした99年9・30東海村JCO臨界事故から3年を迎える。有事立法攻撃粉砕と一体で日帝の核武装化攻撃阻止を闘おう。全国の原発、六ケ所、東海、もんじゅの地元で闘う住民と固く連帯し、日帝の核燃サイクル計画=核武装化攻撃を葬り去ろう。
 (久木 寛)

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週刊『前進』(2071号3面3)

“廃案へ決着つけよう” 百万人署名運動 全国集会に620人

 9月14日午後、千代田区公会堂で開かれた百万人署名運動の全国集会に参加した。心配した雨も降らず、「走りぬけ! 有事法を廃案へ!」というメーンスローガンどおり、有事立法を秋の臨時国会で絶対に廃案にしてやるという気迫に満ちた集会だった。(写真)
 呼びかけ人の岩井健作さんが開会あいさつで「国家がテロを合法的にやろうとしている。有事法制、戦争をとめるための風を送り、炎を燃え立たせ、大きな光と熱にしよう」と、情熱を込めた訴えに集会冒頭から感動。続く村中哲也さん(航空労組連絡会副議長)の有事法制反対アピールを聞いて、9〜11月への闘いの道筋がくっきりと見えてきた。「有事立法の息の根を止めるための決戦が臨時国会。困難はあるが成立後の困難を考えれば、多少の困難をいとう時ではない」ときっぱり。最後に「輝いて闘いぬこう」と結んだ。
 軍事評論家の西沢優さんが「軍隊から見える有事法制の正体」と題して講演。91年イラク侵略戦争以降の歴史的経過を見ながら、「日本は誰からも攻められていない段階で、日米安保第5条を発動し、集団的自衛権を行使しようというのだ」と有事法制の狙いを解きあかした。じっくりと学習したい内容だ。
 続いて、フォト・ジャーナリスト豊田直巳さんが登場。まず豊田さんが今年イラクで取材したビデオ「『悪の枢軸』は今−−劣化ウラン弾とイラクの子どもたち」を上映した。いつも思うのだが、映像の力はすごい。クウェートとの国境近く、無数の戦車が放置された「戦車の墓場」が映し出された。劣化ウラン弾が打ち込まれた戦車からは今も危険域の放射能が探知される。劣化ウランは半減期が45億年、核兵器そのものだ。豊田さんは「イラク戦争で日本が出した130億j、その税金を私たちが払わなかったらこういうことは起こらなかったのでは」と訴えた。豊田さんの訴えに涙を流しながら聞き入っている人がいた。
 休憩時間には、発言者の本を買い求める人でロビーがあふれた。
 集会後半は、作家の梁石日(ヤンソギル)さんとエッセイストの朴慶南(パクキョンナム)さんの対談。司会の紹介で一人ずつ登場。会場全体を拍手が包んだ。梁さんが「武器は持ってはいけない、侵略してはいけないという憲法9条が無視されている」と指摘し、朴さんが「靖国に行って、有事立法をつくろうとしている張本人の小泉首相が北朝鮮に行くという。大丈夫かなと思う」と危機感を表明。昨年9・11当日ニューヨ−クに滞在していた梁さんの話や、在日朝鮮人は日本社会の「炭坑のカナリヤ」という朴さんの話など、活発な議論は多くの問題提起を含む内容だった。
 会場からの質問コーナーでは、映画化された梁さんの著作『夜を賭けて』に梁さん出演の話題で盛り上がった。最後に梁さんは「なぜテロが起こったのか、超大国アメリカと私たちの関係を考えていかざるをえない」、朴さんは「皆さん、ご一緒に有事立法を本当にどんなことをしても粉砕しましょう」と結んだ。
 盛り沢山の集会の結びに西川重則事務局長が基調提案を行った。「どう修正しようと有事法制は最初から憲法違反の悪法。廃案をめざす運動ではなく、廃案を実現するにはどうすべきなのかが課題だ。私たちにできることを確信と希望をもってやりぬこう」とはつらつと呼びかけた。
 閉会のあいさつに立った事務局次長の小田原紀雄さんは、「臨時国会で廃案に向けて決着をつけたい。署名獲得と同時にイラク戦争を阻止するという課題を抱えた。50万、100万の署名を実現しよう」と、簡潔に行動方針を提起した。
 集会参加者は620人、イラク侵略戦争阻止、有事立法粉砕へ、さあ行動だ!
 (投稿/梶村未来)

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週刊『前進』(2071号3面4)

失業労働者の団結へ 被災地・神戸からの報告失業労働者の団結へ 被災地・神戸からの報告(5)

 関西合同労組の奮闘 不屈の闘いが結集実現

 労働相談から労組の結成へ

 被災地・神戸の闘いは、反失業を掲げた行政との闘いから資本との闘いへと闘いの幅を広げ、階級的労働運動の新しい潮流の一翼を形成しつつある。今回は、リストラ・首切り、賃下げ攻撃との闘いにおける教訓を述べたい。
 被災地の労働運動は、労働相談から、関西合同労組の分会結成にいたるケースが多い。雇用保険の失業手当を実際に手にした労働者が自分の周りに口コミで、信頼できる組合として関西合同労組の存在を知らせ、そこから組合をつくって闘おうとする労働者の労働相談へと結びついていった。やはり、労働相談でつちかった信頼関係が決定的に重要なのだ。
 現在、関西合同労組兵庫支部の海上コンテナ部会は4分会にまで拡大しているが、海上コンテナ輸送労働者に闘いが広がるきっかけも一人の労働者の労働相談だった。その労働者の連れ合いが、震災時にケミカルシューズ産業で働いていて、私たちの労働相談で失業手当受給を実現した。会社の歩合給導入による大幅賃下げに直面した労働者は、連れ合いの勧めで、労働相談に訪れた。そこでの討論を経てD分会を結成し、闘いを開始した。

 一人の闘いが港を揺るがす

 D分会が闘いを開始するや資本は猛烈な攻撃を開始した。会社は、組合員通告直後から、新車をボロ車に乗り換えさせ、配車差別によって賃金を半分にカットする激しい組合つぶしに出てきた。それでもつぶせないとみるや、別会社を立ちあげて運送部門をそっくり丸ごと営業譲渡し、当該組合員だけを差別的に排除した。さらに、経営実態がなくなった本社を京都の山奥に移転し、強制配転を行ってきた。なんと神戸から京都の山奥まで片道2時間、仕事もないのに通勤しろというのだ。
 この露骨な組合つぶしとの闘いは丸4年続いた。会社と経営者宅にたいする抗議のデモ、門前抗議闘争、荷主闘争、労基署闘争、そして当該組合員の往復4時間の就労闘争などあらゆる戦術で闘いぬいた。
 さらに、地労委に救済申し立てを行い、役職についていないが実質的な経営者である資本家への使用者性が認められた「使用者概念拡大」の勝利命令、それを無視する資本への地裁の緊急命令、緊急命令すら無視する資本への緊急命令不履行の過料決定と地検への出頭命令、組合の会社に対する損害賠償裁判の勝利判決、経営者による当該への暴力事件裁判の勝利判決など労働委員会闘争、裁判闘争で連戦連勝し、経営を追いつめに追いつめている。
 これらの闘いが、震災前の5−6割に激減という激しい賃下げやリストラ攻撃を行う資本と、「赤旗を職場にあげるな、腕章をまくな」と闘おうとする労働者を抑えつけ労使協調路線をとる全港湾阪神支部などの既成大組合のもとで苦闘する海上コンテナ運輸労働者に波紋と衝撃をあたえた。
 まずD社の向かいにあるS運輸の労働者たちが関西合同労組に結集した。S運輸には建交労の分会があったが、労働条件大幅切り下げに対し闘わない分会に見切りをつけて脱退して独立組合をつくって闘っていた。D分会のたった一人の組合員の闘いと、それを全面的に支える関西合同労組の激しい闘いを目の当たりに見て、本当に闘う労働組合として関西合同労組を認め、合流したのだ。
 その後さらに3分会が結成され、自らの職場闘争を闘いながら、海上コンテナ部会としてD運輸争議を全体の闘いとして闘いぬいていった。
 争議などの労働者の闘いは「個別利害」から出発するが、一定の時点で必ず「普遍的利害=階級の利害」をかけた闘いに発展するか否かが問われる。その時にオルグが真っ向から、階級的労働運動の立場と思想で自らの人生をかけたオルグができるかどうかが最大のポイントである。
 震災を理由としたパート労働者のリストラ解雇と闘った「そごう」闘争では、会社に裁判で訴えられた時の方針論議の総会で「泥沼を避けるべき」との意見が多数を制しかけた時、一人の組合員の「私たちだけの問題じゃない! 全国の女性パートすべての権利がかかってる! 引くべきじゃない!」という意見が、重苦しい場をひっくり返してしまった。それまでに討論してきたことが決定的な時点で、生きたということでもあるし、労働者は階級的立場に必ず立つと確信した場面でもあった。

 権力の弾圧に団結して反撃

 関西合同労組は、資本による「過激派キャンペーン」や権力による活動家のデッチあげ逮捕、組合事務所への家宅捜索攻撃などの刑事弾圧をはねかえして闘ってきた。
 さらに、違法行為企業の要請で正当な抗議活動を妨害する公安警察、「しごと開発事業」廃止を図る県行政への追及を阻む機動隊との闘いなど、権力と真正面から対決してきた。
 成友印刷分会への逮捕弾圧では逮捕当日の夕方、非常招集した組合員20人で、逮捕された労働者が留置されている県警本部に押しかけ、本部庁舎に突入して激しい抗議行動を展開した。翌日はさらに50人を動員して公安三課や機動隊と対峙して逮捕弾劾行動をやりぬいた。その後、裁判所・検察庁包囲デモを2回やるなど、組合の総力をあげて闘い、関西合同労組本部書記長、兵庫支部長逮捕につづく、争議弾圧、関西合同労組つぶしの弾圧を粉砕して組合員を奪還した。
 私がかつて活動家の逮捕に対して、「本人が完黙・非転向で闘うから、まかせておけばよい」と言ったとき、ある労働者から「仲間がパクられて怒らんと、どないすんねん。警察に抗議して早く取り返さんかい」と糾弾された。権力への怒り、闘いの原点を呼びさまされた思いだった。
 警察権力は労働者と私たち活動家の間に、「くさび」を打ち込もうとして弾圧し、「過激派キャンペーン」をしかけてくる。しかし、仲間への弾圧を許さないという労働者の怒りを信頼して反撃を組織し、激しい警察権力への抗議行動を展開する中で労働者は、警察は労働者の味方などではなく、資本家を擁護する弾圧機関だという階級的真実を体でつかむのだ。
 被災地の労働運動は、警察権力の弾圧によって労働者の階級的団結が逆に強化され、簡単に弾圧できないところに追い込んでいる。
 私たちは、階級的団結を強化し、本当に資本家から恐れられる戦術と階級的共同闘争を駆使できる労働組合として大きく羽ばたくため、さらに闘いぬく決意である。
 (投稿/多田幸三)

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週刊『前進』(2071号4面1)

住基ネット廃止へ大運動を 自治体に離脱を要求しよう
 戦争動員と治安維持が狙いの恐るべき管理・監視システム

 離脱が相次ぐ中で強行実施の破綻性

 8月5日に強行された住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の稼働に対し、人民の怒りが高まっている。
 そもそも7月22日の朝日新聞のアンケート調査でも、個人情報保護に86%が不安を感じ、住基ネットの延期を76%が望んでいる。地方自治体からの施行延期を求める声も続々と上がっている(「相次ぎ意見書/24首長と70の議会」朝日新聞7・26付)。これを無視して、プライバシーの保護などはまったく問題にもせずに、日帝・総務省は実施を強行したのである。
 しかし、住基ネットは6市区町が実質的に離脱した状態で稼働を開始するという異例で破綻(はたん)的なスタートとなった。東京では杉並区、国分寺市に続いて、9月11日には新たに中野区が離脱し、「個人選択制」で市民の意思を確認している横浜市を加えると、現在430万人を超える住民が住基ネットから切断されている。
 地方自治体という日帝の行政機関の末端で、つまり直接的に労働者人民を掌握する現場で、これほど多数の住民が住基ネットから切断されている異様な姿の中に、住基ネットの破綻性、その攻撃の反人民性と非人間性が示されている。
 労働者人民の怒りが住基ネットそのものを吹っ飛ばしてしまうことを恐れる総務省は、すでに稼働を開始した住基ネットの1億2千万人分の情報を蓄積するコンピューターがどこにあるのかすら、明らかにできないのである。
 広範な反対の声を無視して日帝が強行実施した侵略戦争のための住基ネットを、個人情報保護法案もろとも絶対に粉砕しなければならない。

 個人情報保護法案は第4有事法案だ

 そもそも住基ネットの施行を定めた改悪住民基本台帳法は、99年8月13日の延長国会の最終日、参議院での組織的犯罪対策法(組対法)3法の採決強行に続いて、委員会採決さえ行わずに、いきなり本会議で強行採決するという卑劣なやり方で立法化されたものである。
 この国会審議での小渕首相の答弁と付帯決議で、02年8月の住基ネットの稼働までにプライバシー保護に関する立法措置をとることが条件付けられた。
 だが、02年通常国会に小泉政権が提出した個人情報保護法案なるものは、その名とはまったく似て非なるものであった。提出された法案は個人のプライバシーを保護するものではなく、百八十度逆転した言論・表現を広範に規制する現代における治安維持法であり、有事3法案と一体の今ひとつの有事法案だったのだ。
 すなわち、この個人情報保護法案(および人権擁護法案)の攻撃は、組対法(99年8月)、団体規制法(99年12月)、テロ対策特措法及び自衛隊法改悪(01年10月)、保安処分新法案(02年3月国会提出)、住基ネット強行施行(02年8月)という一連の反動的な治安立法攻撃の流れの中でとらえていくことが必要である。
 とりわけ重大なのは、01年10月の自衛隊法改悪(第96条の2)で、言論・表現の自由を規制する「軍機保護法」に連なる法制化が行われていることである。従来は服務規律違反、つまり自衛隊関係の任に従事している者が「防衛秘密を漏らした」場合の処罰規定だったものが、ここでは「防衛秘密保護」の名のもとに、防衛秘密の漏洩(ろうえい)に関係した者は誰であれ、重罰を科す(懲役1年が5年になった)という基本的な考え方における大転換を行ったのである。
 ここで住基ネットと結合した個人情報保護法案・人権擁護法案をとおした攻撃の二つの性格について一言述べておく必要がある。(個人情報保護法案の基本的な条項批判は本紙2067号参照)
 ひとつは、権力による「個人情報」のコンピューターネットワークシステムによる一元的集中的管理の徹底的強化の方向である。これは基本的には国民背番号制により、人民の一切の情報(プライバシー、政治・思想動向などすべてを含む)を国家権力・行政機構とりわけ警察などの治安当局が全面的に掌握し、恐るべき管理抑圧体制、監視システムをつくり上げようとする方向である。
 いまひとつは「個人情報保護」や犯罪被害者などの「人権擁護」に名を借りた権力による思想・表現・言論・報道の全面的な統制と支配・抑圧の攻撃である。
 個人情報保護法案自体は実質的には民間部門の保護法案とも言うべきものであって、権力による悪用、乱用やずさんな管理などから個人情報を保護するという領域の問題は、抽象的にはともかく、具体的には扱っていない。
 むしろまったく逆に、国家権力機構の担い手――政治家、(高級)官僚、財界人――一般的にはブルジョアジーの「個人情報」や「国家機密」に関係する情報を、あらゆる個人や事業者(団体)による取材や入手、その公表・暴露などからいかに守るかということが核心のテーマとなっている。とんでもない法案であり、断じて粉砕しなければならない。
 だから、個人情報保護法案が成立したら住基ネットは行政の効率化のために良いものになるなどという桜井よしこらの主張は、住基ネット攻撃の持っている最も反動的な目的、その階級的な性格を押し隠すものである。
 住基ネットの不参加・切断に踏み切らせている多くの自治体の背後にあるものは、様々な潮流と思惑が背景となっているが、有事立法攻撃に対する陸・海・空・港湾労組20団体を先頭とする闘いの高揚の中で、個人情報保護法案・人権擁護法案に対する労働者人民の人間的・階級的怒りが、マスコミ・市民を突き動かし支えているのである。
 このような個人情報保護法案・人権擁護法案をめぐる情勢の中で小泉政権は、いったんは継続審議としたが、臨時国会での成立を図ろうとしている。だが、この日帝・小泉の攻撃は、連合が有事立法に対する5・16見解で、日帝の北朝鮮・中国侵略戦争に基本的に賛成する立場に転換したことに対応して、臨時国会における民主党の丸ごとの取り込みで侵略戦争翼賛体制を成立させようとしていることをしっかりと見すえなければならない。
 われわれは有事3法案の本質が、北朝鮮・中国への侵略戦争法案であること、したがって第4の有事法案というべき個人情報保護法案・人権擁護法案が、日帝・権力による戦後憲法体制における思想・表現の自由、言論の自由への真っ向からの侵害としてあり、戦争に向かっての言論統制の攻撃であることを徹底的にはっきりさせなければならない。
 それはマスコミなどの大本営発表の機関への変質・動員を狙った攻撃であり、さらには住基ネット実施と結合して、権力による労働者人民への管理体制および監視体制の圧倒的強化のための治安攻撃であり、戦時における国民総動員をめざした大攻撃である。
 日帝・小泉は、今この時期に何がなんでも個人情報保護法案と一体で住基ネットを稼働させ、戦時型治安体制を確立しなければ、有事3法案を成立させても労働者人民の戦争動員体制がボロボロになって破綻してしまうことに恐怖しているのだ。米帝の世界戦争政策に対応して、日帝自身が北朝鮮・中国侵略戦争の主体的推進者としての戦争国家体制をなりふり構わずつくろうとしているのだ。

 最新の個人データ瞬時に警察の手に

 住基ネットは、日帝が戦争に向かって労働者人民を総動員するために、労働者人民を日常的に監視し管理することを目的とした恐るべき制度である。
 総務省は「地方自治情報センター」に蓄積される情報は、それ自体としては現在も閲覧可能な「氏名、住所、性別及び生年月日」とその履歴の5情報だから大したことではないかのように宣伝している。だが、実はこの5情報にコードが付けられるということが決定的な意味を持っているのだ。
 住民票コードは全国民に重複なく付けられる唯一の個人識別番号であり、企業の顧客コードや電話番号、他の行政機関の独自のコードと比べて、常に現在性をもった正確なコードだという点で、住民票コードはあらゆる個人データを照合していく基準となるコードなのである。「本人確認情報の……国の機関及び法人への提供」こそが住基ネットの最大の目的である。
 警察や公安調査庁などの治安機関がいったん手にした個人データも、常に現在性をもったものとして掌握し続けることは、住基ネット以前の住民基本台帳法のもとではそれほど単純なことではなかったのである。ところが今や警察は住民票コード一つで、その人物が死ぬまで最新のデータを瞬時に手に入れることが可能となるのであり、恐るべき暗黒の監視社会である。
 住所の変更は、その情報がすべて記録・保存される仕組みになっており、個人の住所の履歴を確実に出生地までたどることができる。まさに重大な部落差別につながる情報がコンピューターに記録され、通信回線上を流れるのである。
 また、住基ネットの情報提供を受ける事務を264種に拡大しようとしているが、その中には本籍を記載した住民票の写しの添付を必要としているパスポート申請も含まれている。これは住基ネットが戸籍情報と連動することを意味している。差別糾弾闘争の圧殺を狙う人権擁護法案と合わせて、住基ネットは新たな部落差別を生み出すものであり、絶対に許すことができない。
 連合=自治労の裏切りは、住基ネット成立に向けての重大な転換点となった。住基ネットの強行は、市町村合併と合わせて、自治体労働者へのリストラ、大合理化を決定的に進めるものである。
 ところで、在日朝鮮・中国・アジア人民は、外国人登録法によってコンピューターに終生不変の番号で登録され、外国人登録証の常時携帯を義務づけられている。この点では、住基ネットが狙っている背番号制の完成された形をすでに強制されているのだ。
 だが、在日朝鮮・中国人民を始めとする在日人民は、外登法の指紋押捺制度を廃止させたように、本当に粘り強い闘いで日帝の入管体制を一つひとつうち破り、生きる権利をかちとってきている。われわれは、この在日人民の闘いに学び不屈に闘い抜くならば、日帝権力の暗黒支配をつくり出す個人情報保護法案・人権擁護法案を粉砕し住基ネットを破綻に追い込むことができる。
 有事3法案を絶対に粉砕しよう。個人情報保護法案・人権擁護法案を廃案に追い込み、住基ネットをズタズタに引き裂こう。創意工夫して各自治体が住基ネットから離脱することを要求して闘い抜こう!

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週刊『前進』(2071号4面2)

沖縄統一地方選 総括と展望
闘う議員の勝利をバネに名護新基地の建設阻止へ
 革共同沖縄県委員会

 反戦・反基地を真っ向から掲げて闘った

 9月8日に投開票が行われた沖縄統一地方選挙で実に重大な勝利がかちとられた。名護市議選で、宮城康博氏が1375票を獲得、大差で1位当選(定数30)したのを先頭に、読谷村議選では、一貫して反戦平和の行動を貫いてきた知花昌一氏が堂々の2期目当選を果たし(696票、19位、定数22)、北中城村では6・23沖縄慰霊の日に小泉首相に直接「有事法制許さん」と糾弾の声をたたきつけた宮城盛光氏が、票数と順位を上げて5期目の当選(360票、11位、定数20)を実現した。
 今回の選挙は沖縄のほとんどの自治体議会選挙が行われる統一地方選挙であり、11月の県知事選挙を頂点にした4年ごとの沖縄の政治決戦の一環である。
 今回の選挙の第一の特徴は、日本共産党が6議席を減らしたのを始め社民党、社会大衆党など既成左翼の候補者が軒並み落選したが、その一方で、帝国主義と闘うはっきりした姿勢を持ち行動してきた議員が大健闘して当選を果たしたことである。
 その差は何であったかは実に鮮明だ。
 闘う候補者は、昨年9・11後の米帝のすさまじい戦争政策と日帝の凶暴化、その中での沖縄の厳しい現実にたじろぐことなく、反戦・反基地を掲げ、日帝・政府の差別・買収政治に自ら体を張って闘いを挑み、その政治主張を真っ向から訴えた。他方、落選した既成政党の候補者は、口でなんと言おうと、市民からみれば、利益誘導としか受け止められない主張を第一に掲げ、反戦・基地問題を主張しないか、あるいはアリバイ的にささやいていただけだった。
 この鮮明な差に市民、県民が正しくも断を下した結果である。闘う議員が当選後、異口同音に「もっと身近な問題を取り上げるべきではないか、との忠告が周辺からあったが、有事立法、基地問題など市民、県民にとって最も重要な課題と信じる自らの信念を正面から訴え続けた」と述べている。

 新基地建設に痛撃を与えた宮城氏の当選

 名護市議選は、今回の沖縄統一地方選をめぐる政治決戦、階級攻防の最前線にあったといってよい。その結果は、新基地建設をめぐる名護市における政治攻防という領域にとどまらず、沖縄の未来をも大きく規定するものであった。
 宮城康博氏の1位当選は、米帝ブッシュのイラク侵略戦争の切迫、日帝・小泉の有事立法攻撃に突き動かされ、7・29代替施設協議会での位置・工法「決定」をもって新たな攻撃に突っ込んできた新基地建設に対する名護市民自身の渾身(こんしん)の反撃である。さらに日帝−稲嶺・岸本反動体制のどんな凶暴で卑劣な攻撃によっても絶対に制圧できない名護市民の基地・戦争絶対反対の意志であり、沖縄人民の尊厳の表れである。
 宮城氏は当選後、「辺野古のお年寄りから『1位で当選しなければダメだ。そのために毎日祈っている』と叱咤(しった)された」と述べている。辺野古の基地建設反対住民とりわけお年寄りが、「新基地建設絶対反対。必ず建設断念に追い込む」と訴える宮城候補を絶対に当選させる、それも上位で、という思いは鬼気迫るものがあった。
 市民投票によって鮮明に示された名護市民の基地建設反対の意志をあらゆる方法で圧殺し、基地建設受け入れを強要し続けてきた日帝政府。これに対し屈服に次ぐ屈服によって裏切り続けてきた既成左翼によって、この4年間、名護市民は本当に苦しい局面にさらされ続けてきた。その中での宮城氏1位当選は、闘う名護市民、何よりも辺野古の基地反対住民に限りない勇気と希望を与え、新たな闘うエネルギーを充てんさせるものとなった。
 この対極で日本共産党は2人の候補者全員、社民党も1人の現職候補者が落選、名護市議会には、社民党、共産党の議員がいなくなるという事態となった。名護市議選は、今回の沖縄統一地方選全体、否、今日の沖縄における階級闘争の縮図であるといえる。
 沖縄人民は、今日の帝国主義の危機の深化と凶暴化、そこから来る矛盾と犠牲を差別的にシワ寄せし、万力で締め付けるように襲いかかる日帝政府に心底から怒り、現状の根本的な突破を願っている。しかし既成左翼、既成指導部は、この人民の思いにこたえ責任をとる立場、態度、思想を完全に喪失し、ただただ自分たちの政治的延命のみを追い求めた政治的駆け引きに熱中しているのである。
 この統一地方選と並行して、今年11月の県知事選挙の革新側候補者選び(のドタバタ)のニュースが流れ続けていた。今年2月名護市長選挙、4月沖縄市長選挙で起きたことが輪をかけてくり返された。すなわち沖縄人民の全体の利益、沖縄の未来、差し迫る戦争の危機との対決などに体を張って責任をとろうという立場などまったくなく、けちくさい自党の利益のみに固執するがゆえに統一候補者が決まらない、という状況である。
 これに対する沖縄人民の気持ちは失望を通り越してもはや怒りの領域に入っている。今回の統一地方選での既成左翼候補の軒並み落選は、まさに人民の怒りの鉄槌(てっつい)であり、新たな闘う指導部、潮流、社・共にとって代わる真の労働者党の登場への渇望でもある。

 既成左翼崩壊の根拠は人民に対する不信

 歴史的な第6回大会を成功させ、21世紀革命の勝利とそのための党の飛躍を断固として宣言したわが革共同は、その言葉に責任をとる立場から今統一地方選挙闘争を全力で闘い抜いた。徹底的に、真剣に、人民大衆と討論し結合することをとおして、その圧倒的正しさをあらためて確認すると同時に今後へ向けての確かな手ごたえをつかんだ。それは昨年の都議選敗北の総括・突破につうじるものをも含んでいると考える。
 今、目の前で展開される既成左翼の劇的な崩壊の根拠は何か。そのひとつは、「基地問題、反戦平和の問題は票にならない。もっと身近で生活に密着した問題を」という言い方の中に如実に表される、労働者階級人民に対する不信・蔑視の思想である。
 いかにも「身近で生活に密着した問題」が、まさに生き死にの問題として人民の上にのしかかっている現実がある。だが多くの人民は、既成左翼の候補者が「あれをつくります。これをしてあげます」と掲げる「公約」などまったく信じていない。福祉や地域振興の問題も基地と戦争の問題と一体の、まさに体制のあり方そのものからくる現実であることを半ば以上認識している。だから彼らの主張になんのリアリティーも感じないのだ。人民は今、その「閉塞」(へいそく)を打ち破る根底的変革の道筋と指導をこそ求めているのである。
 昨年の9・11反米ゲリラ戦争によって歴史は変わった。米帝のイラク侵略戦争の切迫、日帝・小泉の有事立法攻撃−北朝鮮、中国の侵略戦争へののめり込み、すさまじい排外主義の嵐、大資本攻勢、労働運動・階級闘争圧殺の動き、そして沖縄の侵略戦争最前線基地化の攻撃など、一見反動の暗雲がすべてを覆い尽くしているかのように見える。だが、その根底には膨大な労働者人民の闘う意欲と力が既成左翼の制動を突き破って爆発する活路を求めて渦巻いている。そしてその狼煙(のろし)は完全にあがった。沖縄統一地方選の勝利を見よ。闘う国鉄労働者の力強さを見よ。何よりも、凶暴で残酷この上ない米帝(国際帝国主義)の侵略に不屈に立ち向かう全世界人民の闘いを見よ!
 社・共にとって代わる真の労働者党建設を総括軸に、闘うイスラム諸国人民、アジア人民と固く連帯し、米帝のイラク侵略戦争阻止、有事立法粉砕の今秋決戦に総決起しよう。

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週刊『前進』(2071号4面3)

〈投稿〉 牛久収用所で外国人に面会 入管体制粉砕し連帯を 東京・学生 A・T

 先日、牛久入管収容所(東日本入国管理センター=写真)に行き、収容されている外国人と面会をした。
 私が面会したのは、クルド、ビルマ、イラン、アフガニスタンの方たちだった。その多くは反体制運動の闘士である。出国の経緯を聞いて、その闘いの激しさと運動に対する真剣さに驚かされた。しかし、たとえどんな「強い」人たちでも、入管収容所に強制収容されている人は例外なくみな疲れきっているように見える。
 入管収容所は、退去強制処分を受けた在日・滞日外国人が強制送還されるまでの「船待ち場」とされている。法務大臣の裁量によって「居てよい」と「居てはいけない」とを区分けした上で退去を強制し、一人ひとりの生きる可能性を根こそぎ奪ってしまうような入管体制そのものが大問題だ。「船待ち場にすぎない」と言いながら、その環境があまりに人権を無視し、あまりにも劣悪であることを考えると、怒りがこみあげてくる。
 劣悪な医療環境によってとり返しのつかない事態に至ってしまうことさえある。スペシャルルーム(懲罰房)の存在は「船待ち場」の環境の改善運動すら許さない。
 私たちが掲げている「アジア人民との連帯」の実践は、このような彼、彼女らとともに生きることを阻み、「監獄」に閉じ込める入管体制を粉砕することをぬきにしては空語である。
 彼らは「なぜ自分が自由を奪われなければならないのか」「なぜこんな劣悪な環境にこんなにも長期間にわたって閉じ込められなければならないのか」と訴えている。
 私たちの面会行動は、そのような許しがたい現実を明るみにし、入管当局に圧力をかけていることは明らかだ。そして何よりも、社会との関係を断たれてしまった人たちを社会へとつなぐ細い糸である。面会をとおして、彼らが抱えている問題を共有しようとする人間がいることを示すことが、辛うじて収容所での生活を支えていると言える。
 ぜひ、みなさんも面会行動に参加してほしい。

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週刊『前進』(2071号4面4)

反米ゲリラ戦1周年で街宣 9・11広島

 9・11反米ゲリラから1周年に当たる9月11日、広島反戦共同行動委員会は、広島市の繁華街である金座街で街宣活動を行った。
 小泉首相が訪米し、「ブッシュ政権のイラク爆撃に真っ先に賛成する」と表明している最中の街宣だ。しかも日帝は、この日に合わせて撃沈船の引き揚げを強行し、小泉の訪朝に合わせて排外主義的扇動を展開している。許せない。
 「9・11以後、米国は、イラク・イラン・北朝鮮を『悪の枢軸』と呼び、戦争を世界に拡大し、イラクに対し核を使う侵略戦争を行おうとしている。この米帝と一緒に戦争をしようとする小泉の有事立法攻撃を粉砕しよう」と呼びかけた。
 帰宅途中の労働者や学生が署名の呼びかけに足を止める。アフガニスタン侵略戦争に対し怒りを表す被爆者もいる。署名はわずか1時間半で百筆を超えた。
 またこの日、中四国各地で、一斉に街頭宣伝活動を行い、反戦共同行動委員会が呼びかける9・22全国総決起闘争と有事立法反対を訴えた。

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週刊『前進』(2071号4面5)

日誌 '02  9月11日〜17日
 小泉訪朝と「日朝平壌宣言」 ブッシュ「単独攻撃辞さず」

●奄美沖の撃沈船引き揚げ 昨年12月に奄美大島沖で海上保安庁が銃撃・撃沈した外国小型船を海上保安庁が引き揚げ、台船に回収した。(11日)
●水陸両用車の撮影を制止 沖縄県名護市辺野古の米海兵隊キャンプ・シュワブ沿岸で、上陸する数台の水陸両用車を施設外から撮影しようとした住民らに対し、銃を持った警備の米兵が「撮影するな」と強い口調で制止した。水陸両用車やゴムボートを使っての上陸演習は9月に入り、少なくとも3回以上目撃されており、頻繁に行われている。(11日)
●ブッシュ国連演説「単独攻撃辞さず」 ブッシュ米大統領が国連総会の一般演説で、フセイン政権下のイラクを「無法国家」とし、同国が大量破壊兵器の破棄に応じなければ「行動は不可避」と米国単独での武力行使も辞さない姿勢を鮮明にした。その上で、新たな安保理決議などで当面は国連と協調する方針も明らかにした。(12日)
●日米首脳会談 小泉首相とブッシュ米大統領がニューヨーク市内で会談した。ブッシュは小泉の北朝鮮訪問について、大量破壊兵器とミサイルの開発や通常兵力削減で北朝鮮側の出方を注視すべきと指摘。対イラク攻撃についてブッシュは「外交努力は行うが、成功しなければ他の方途を考えざるを得ない」と述べた。(12日)
●嘉手納、深夜・早朝の騒音急増 沖縄の米軍嘉手納基地周辺で、深夜から早朝(午後10時から翌午前6時まで)にかけ同基地を離着陸する米軍機の騒音発生数(70デシベル以上)が、今年4〜7月までの月平均で163回に上っていることが嘉手納町の調べでわかった。01年度の月平均も153回に上り、97〜00年度までの平均85回に比べ、2倍近くに急増している。(12日)
●「武力攻撃事態」「攻撃予測事態」の2段階に 政府・与党は、武力攻撃事態法案について「武力攻撃が予測される事態」を、武力攻撃が実際に発生した場合などの「武力攻撃事態」とは別の概念として整理する方向で検討に入った。対処手続きなども「武力攻撃事態」と「武力攻撃予測事態」(仮称)の2本立てで規定する。「武力攻撃のおそれのある場合」との表現を法案から削除する案も浮上している。(13日)
●米中央軍司令部カタールに マイヤーズ米統合参謀本部議長は、中東方面を担当する米中央軍司令部を、米ワシントン州タンパからペルシャ湾岸のカタールに移転することを検討していると明らかにした。カタールのアルウデイド基地は中東で最長の滑走路(約4400b)を備え、米軍はここ数カ月、隣国サウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地に匹敵するレベルにまで施設の拡充を図っている。(13日)
●F15が5日連続で緊急着陸 米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機1機が同基地に緊急着陸。F15の同基地への緊急着陸は5日連続、8月26日の訓練再開後は12回目。(13日)
●サウジ基地提供も 国連総会出席中のサウジアラビアのサウド外相は、国連安保理決議に基づく集団的な武力行使の決定がなされた場合、米軍などに対してサウジ国内の軍事基地使用を認める考えを示した。(15日)
●イラク、査察を無条件受諾 イラク政府は、アナン国連事務総長に書簡を送り、国連の大量破壊兵器査察団の復帰を無条件で受け入れると伝えた。しかし米国は、なお国連決議採択を進める姿勢。(16日)
●日朝首脳会談 小泉首相と北朝鮮の金日正総書記が、平壌市内で会談した。北朝鮮側は会談に先立ち、いわゆる「拉致」事件の8件11人を含む計14人の消息を明らかにした。両者は10月から国交正常化交渉を再開することで合意し、「日朝平壌宣言」に署名した。(17日)

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週刊『前進』(2071号5面1)

10・21 イラク反戦闘争を巻き起こせ 新テロ特措法・有事立法粉砕へ
定期大会へ代議員選に勝利し4党合意破棄・国労本部打倒を

 9・22闘争から10・21国際反戦デー全国統一行動の爆発へ、いよいよイラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕の巨大な政治闘争に全力で決起しなければならない。米帝(国際帝国主義)の対イラク攻撃の超切迫は、世界史的大問題である。歴史的な没落の危機にあえぐ帝国主義が米帝を先頭に、アフガニスタン、パレスチナからイラク、北朝鮮(中国)へと世界侵略戦争−世界戦争を拡大し、世界を虐殺と破壊と破滅の道に引きずり込むのを許すのか。それとも全世界の労働者階級人民と被抑圧民族人民が連帯し、団結して、国際的反戦闘争に決起し、帝国主義と残存スターリン主義を打倒して、世界革命を切り開き、人類の未来と恒久平和を実現するのか。その分岐が、10・13三里塚−10・21−今秋決戦にかかっている。小泉訪朝と日朝首脳会談の結果は、アジアと世界の平和をもたらすどころか、米日帝の対イラク・北朝鮮の侵略戦争攻撃を加速するものでしかない。北朝鮮への戦争重圧、排外主義攻撃の激化と全面対決し闘いぬこう。11・24−25国労大会を、4党合意破棄、チャレンジ・反動革同の本部執行部打倒、国労の戦闘的再生に向けた決定的な決戦として闘い、10月代議員選挙勝利へと総決起しよう。一大資本攻勢との闘いをイラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕と結合して闘おう。

 第1章 北朝鮮に制裁叫ぶ排外主義攻撃うち破れ

 米帝ブッシュの9・11演説と9・12国連総会演説は、対イラク攻撃の実質的な戦争宣言、開戦宣言であった。それは9・11−10・7をもって開始された米帝の世界戦争計画の全面的発動への決定的分水嶺(れい)、第2段階への突入を意味した。今や米帝ブッシュは早ければ年内に、遅くとも来年1、2月段階で対イラク攻撃を開始しようとしている。
 この超緊迫情勢の中で行われた9・17小泉訪朝と日朝共同宣言(ピョンヤン宣言)は何を突き出したか。それは何よりも、米帝の「悪の枢軸」論−世界戦争計画とそれと全面的に協力・共同した日帝の有事立法攻撃、またそれを背景とした米日帝のむき出しの戦争重圧、侵略的強圧的外交ということである。
 日帝は米帝と一体となって戦争重圧を加え、いわゆる拉致問題や不審船問題で恫喝し、北朝鮮・金正日に対して、請求権の放棄、拉致問題での事実の公表と謝罪、核やミサイル問題での「すべての国際的合意を遵守(じゅんしゅ)する」という形での核査察無条件受け入れや、ミサイル発射の凍結延長などを「国交正常化交渉」の前提条件として全面的に取り付けた。その一方で、日帝は侵略戦争と植民地支配、そのもとでの強制連行(600万人。そのうち100万人が犠牲となった)や日本軍軍隊慰安婦政策などの膨大な戦争犯罪に対し、謝罪も賠償・補償も拒否し、「経済協力」方式にすり替えた。
 日帝は、北朝鮮スターリン主義が、米日帝の戦争重圧の中で体制崩壊的危機にあえぎ、瀬戸際外交すらも封じられたギリギリの状態であることをハイエナ的に見てとり、いわゆる拉致問題など北朝鮮スターリン主義の反人民性のもつ決定的弱点につけ込んで、露骨な帝国主義的侵略外交を展開した。日帝は米帝のイラク・北朝鮮(中国)侵略戦争の切迫という世界戦争計画の凶暴な発動に対し、帝国主義的争闘戦での生き残りをかけて、共同的=競合的に参戦していき、東アジアでの帝国主義外交に食い込むと同時に、朝鮮の新植民地主義的勢力圏化をもたくらんでいるのである。
 米帝は拉致問題を前面化する日帝に対し、むしろ核・ミサイル・通常兵力問題を軸に屈服を迫ることを要求した。小泉訪朝前日の9月16日には、国防長官ラムズフェルドが記者会見で「北朝鮮は弾道ミサイル技術を拡散する、世界で最も悪質な国の一つだ。北朝鮮は核兵器を積極的に開発し、核兵器を保有している」と公言して、イラクの次には北朝鮮に「テロ」や「大量破壊兵器」で言い掛かりをつけ攻めかかる意図を露骨に示した。この米帝と日帝の対イラク、対北朝鮮侵略戦争を絶対に許してはならない。
 北朝鮮スターリン主義による拉致問題での事実の公表を受けて、日帝の排外主義攻撃の嵐(あらし)が引き起こされている。「拉致国家は爆撃していい」(佐藤勝巳)とか、「テロ国家に制裁を」(拉致議連)というとんでもない戦争と排外主義の反革命的扇動が一気に激化している。植民地支配や強制連行という巨大な戦争犯罪の責任を居直り、拉致問題で排外主義をあおる攻撃と全面対決し、闘う南北朝鮮人民・在日朝鮮人民と連帯して、米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争阻止、有事立法粉砕に総決起しなければならない。
 北朝鮮スターリン主義を打倒するのは南北朝鮮人民であり、北朝鮮の人民自身の主体的決起、蜂起によってである。全朝鮮人民の民族解放・革命戦争=南北分断打破・革命的統一への蜂起的闘いこそが、唯一の勝利の道である。「連帯し、侵略を内乱へ」の渾身(こんしん)の決起を、日本の労働者人民はかちとらなければならない。
 同時に日本の労働者人民は、拉致問題で引き起こされる排外主義の嵐、在日朝鮮人民に対する差別的=排外主義的な襲撃と暴行を絶対に阻止し、粉砕して、在日・滞日人民を防衛する闘いを全力で強めなければならない。この闘いをイラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕決戦の決定的な一環として闘いぬこう。

 第2章 政権の転覆と人民大虐殺を狙う侵略戦争

 米帝(国際帝)のイラク侵略戦争の超切迫情勢は、ブッシュの9・11演説と9・12国連演説をもって完全に現実のものとなった。
 米帝ブッシュは9・11反米ゲリラ戦一周年に合計五つの演説と新聞寄稿を行い、夜のニューヨーク湾エリス島での「自由の女神」をバックにした演説で「テロリストや独裁者が大量破壊兵器で文明を脅迫することを許さない」「正義が実現し、米国が安全になるまで……テロリストは地球のどこまでも追い詰める」とうそぶいた。翌12日の国連総会演説では、イラクを「無法国家」と決めつけ、イラクの国連決議違反なるものを列挙し、フセイン政権の存在は米帝だけでなく世界と国連への「脅威」だとなじり、イラクが「大量破壊兵器」の廃棄に応じなければ「行動は不可避だ」、先制攻撃も米帝単独での武力攻撃も辞さないと表明した。これは完全に対イラクの宣戦布告である。
 これをもって全世界はただならぬ戦争情勢に突入したのだ。米帝はイラク攻撃に対するアラブ諸国や独、仏、中、ロなどからの批判や異論を抑えつけるために、新たな国連決議や「国際協調」の動きを一定とろうとしている。しかし根本は米英枢軸に日帝を加えて反対論を圧服し、究極的には米帝単独でも、先制攻撃でフセイン政権を転覆する対イラク侵略戦争をやろうとしているのである。
 実際に米帝はブッシュ演説にきびすを接して「国連の同意が得られないなら、われわれは単独でも大量破壊兵器の廃棄を断行する」(米政府高官)とか、「目的は査察ではなく武装解除だ」(チェイニー副大統領)といった発言を繰り返している。戦争開始の前段作戦として査察団に米英軍が同行し、軍事力で「強制査察」を行うという前代未聞の攻撃も考えている。すでに米国内で兵器や弾薬類がフル回転で増産され、空母3隻、兵員10万などがイラク周辺地域に配備され始めている。9月13日にマイヤーズ米統合参謀本部議長は、中東方面担当の米中央軍の司令部を米本土からペルシャ湾岸のカタールに移転する方針も表明した。
 今や、イラク侵略戦争阻止のスローガンを第一に真っ向から掲げ、それを新テロ対策特措法粉砕、有事立法粉砕の闘いと全面的に結合して闘うべきだ。
 イラク侵略戦争とは何か。それは第一に、米帝(国際帝)によるイラク人民、アラブ人民、ムスリム人民へのむき出しの一方的侵略戦争、一大虐殺戦争である。米帝(国際帝)は91年イラク・中東侵略戦争で軍事力、生産力、社会的インフラを徹底的に破壊し、今に至る劣化ウラン弾の大被害を強制し、その後10年以上にわたり空爆と経済制裁で痛めつけてきたイラクに、またしても巨大な最新鋭の軍事力をもって攻めかかろうとしているのだ。
 第二に、米帝(国際帝)は「大量破壊兵器の廃棄」を戦争の口実としているが、それより何より、米帝の思いどおりにならないフセイン政権を政権として先制攻撃で打倒することを初めから自己目的とした戦争だということである。こんなことは歴史にかつてなく、恐るべき民族圧殺、民族自決権のじゅうりんである。これこそ新帝国主義だ。イラクのあり方はイラク人民自身によって決定されるべきだ。イラク侵略戦争を許せば、米帝(国際帝)の民族圧殺、民族自決権じゅうりんの大攻撃は必ず中東全体へ、全世界へと拡大していく。これは戦後の植民地解放・民族解放闘争の大きな世界史的すう勢への大逆流であり、現代における植民地主義的政策そのものである。
 第三に、この攻撃は中東と世界の石油資源の米帝(国際帝)的支配と略奪を狙うものであり、古典的植民地主義以上に凶悪な政策である。同時に米帝はアラブとイスラム諸国と世界を米帝のもとに組み敷き、米帝の意のままに反動的に再編しようとしているのだ。
 第四に、これは世界唯一の超大国でありながら世界帝国として没落の危機と恐怖にあえぐ米帝が、帝国主義的危機を世界戦争に転化してのりきろうとする攻撃の一環である。具体的には01年QDR(4年ごとの戦力見直し)−02年国防報告的な世界戦争計画の全面発動であり、アフガニスタン侵略戦争に続く決定的第2段階への突入である。米帝は経済を軍事経済化し、世界戦争計画に訴え、ドルを防衛し、没落の危機をのりきろうとめちゃくちゃに凶暴化しているのだ。
 第五に、イラク侵略戦争をそのまま進行させれば、次はイランや北朝鮮に対する戦争へと発展し、ひいては対中国侵略戦争へと発展していく。それは全面的な世界戦争、第3次世界大戦への道そのものである。

 第3章 英帝に次いでブッシュ支持する小泉

 日帝・小泉は英帝ブレアに次いで米帝ブッシュの対イラク攻撃への支持を表明している許しがたい政権だ。小泉はブッシュに「国際協調」が重要だとペテン的なことを言いつつ、国連演説では「イラクはすべての関連する国連安保理決議に従い、ただちに無条件で国連の査察を受け入れ、大量破壊兵器を廃棄するべきだ」と述べ、イラク侵略戦争を積極的に支持する立場を鮮明にした。
 日帝は10月18日ないしは21日開会と言われる臨時国会で有事立法4法案(武力攻撃事態法など3法案と個人情報保護法案)の成立を図り、現行テロ対策特措法の基本計画の再延長や米帝支援でアフガニスタンそのものへの派兵を可能とする新テロ対策特措法の成立を策動し、イラク侵略戦争参戦を狙っている。
 有事立法は、イラク侵略戦争として開始されている米帝の世界戦争計画の発動という情勢に、日帝が争闘戦的に対応して延命するために、自らの世界侵略戦争計画を実行していくうえでの決定的ステップである。すでに成立している周辺事態法とテロ対策特措法、それと有事立法4法案と新テロ対策特措法は一体となって、アフガニスタン↓パレスチナ↓イラク↓北朝鮮へと世界戦争計画を拡大・激化させようとする米帝の動向への、日帝の必死の共同的=競合的参戦のための法制的整備を図ろうとする大反革命なのだ。
 野党・民主党を引き込むために日帝・小泉は国家総動員体制を強化する国民保護法制、「テロ」「不審船」対策条項の策定、武力攻撃事態の規定を「武力攻撃事態」と「武力攻撃予測事態」の2段階に修正・整理する策動などを新たに強めてきている。イラク侵略戦争阻止と有事立法粉砕(または新テロ特措法阻止・有事立法粉砕)をしっかりと結合し、今こそ歴史的大闘争に立ち上がろう。
 米帝ブッシュの対イラク攻撃の開戦宣言をもって、全世界は新たな情勢に突入した。米帝(国際帝)のイラク侵略戦争は、しかし絶対にスムーズには進展しない。泥沼化は必至である。米帝に勝利の成算はない。国内での反戦闘争(10月26日にワシントンで大規模デモが計画されている)と内乱的危機の進行も不可避である。ムスリム人民を始めとして、全世界でイラク反戦闘争が大爆発していくことは間違いない。帝国主義間の矛盾も一挙に促進される。世界史はまったく新しい情勢に突入した。
 「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義のアフガニスタン・イラク・中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」。この反帝・反スターリン主義世界革命の旗を高く掲げて闘いぬこう。
 9・22を突破口に反戦共同行動委員会の10・21国際反戦デー全国統一行動、百万人民の署名運動、陸海空港湾労組20団体陣形などのあらゆる闘いを全力で推進しよう。有事立法に賛成した5・16連合見解撤回の大運動を労組・職場から巻き起こそう。名護新基地建設阻止の闘い、10・13三里塚大闘争をイラク反戦・有事立法粉砕闘争として爆発させよう。有事立法の先取り攻撃である暫定開港と対決する三里塚は反戦闘争の砦(とりで)だ。10・13に全国から総結集しよう。

 第4章 大資本攻勢と闘い勝利する環は国鉄決戦

 95年の日経連「新時代の『日本的経営』」を画期として開始された日帝ブルジョアジーの一大資本攻勢は、29年型大恐慌と有事立法攻撃のもとでいよいよ激化し、労働者にとって耐えがたいものとなっている。
 この一大資本攻勢と対決して勝利する最大の突破口が国鉄決戦だ。国鉄決戦は、1047人闘争の不屈の展開、その中での日本共産党中央の路線的大破産とペテン的な「国鉄闘争再構築路線」の打ち出しをめぐって重大情勢に突入し、勝利への反転攻勢に総決起すべき時を迎えている。11月24、25日に開かれる国労定期大会で、なんとしても4党合意破棄、チャレンジ・反動革同の本部執行部打倒、闘う国労の再生をかちとること、そこに向けて10月代議員選挙に勝利することが最大の課題である。
 国労本部は8月28日の「採用差別事件の解決に対する本部の決意」なる文書で、「解決の方法は政治決着しかない」「四党合意での解決が包含されている政治的枠組みを重視する」「解決を困難にしている一番大きな問題は鉄建公団訴訟、最高裁第三者申し立て」だと公言し、あくまでも4党合意にしがみつき、ゼロ回答受諾と闘争団除名、闘争団の解散を迫ってきている。全国単一体としての国労そのものの解体を策動している。
 問われているのは主体の決起と強化だ。われわれは国鉄決戦で帝国主義的労働運動、日本労働運動に残ったスターリン主義、社会民主主義との党派闘争を闘いぬいている。そこで勝利できた時に闘争団防衛も闘う国労の再生も可能なのである。階級的労働運動の戦闘性、団結力、拠点の力をすべて結合し、発揮して、勝利の展望をこじ開けよう。闘う陣形を強化し、10月代議員選でチャレンジと反動革同を打ち破って勝利し、定期大会に攻め上ろう。内外情勢の激動と階級闘争の決戦化は、日共スターリン主義の破産と同時に、ファシスト・カクマルの破産、凶暴化、白色テロル策動を激化させている。カクマルの策動を打ち破り、今秋決戦を爆発させよう。
 杉並、相模原、高槻を始め03年統一地方選挙勝利へ闘いをいよいよ強めよう。
 無期攻撃と闘う星野同志や、爆取攻撃と闘う須賀、十亀、板垣、福嶋の4同志を防衛・奪還する闘いにさらに決起しよう。
 財政闘争、機関紙拡大闘争、党勢倍増闘争への取り組みを圧倒的に強化し、日本革命・世界革命に勝利できる党の建設を、10・21−今秋決戦の巨大な爆発のただ中で断固推進しよう。

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週刊『前進』(2071号5面2)

天田書記長先頭に小泉訪朝弾劾 9・17荻窪駅前で街宣

 9月17日夕、革共同は天田三紀夫書記長を先頭に、小泉の訪朝=侵略戦争外交を弾劾し、JR荻窪駅前で街頭宣伝を行った。イラク侵略戦争阻止・有事立法粉砕を訴えた。(写真)
 街頭宣伝には都政を革新する会の新城節子杉並区議や北島邦彦事務局長も駆けつけた。多くの労働者、学生らが演説を聴き、千枚のビラが手渡された。
 ある学生は「戦争反対の中核派の主張を知りたい」と『前進』を買い、「集会はやらないのですか」と質問してきた女性も、9・22闘争のことを聞き『前進』を買った。横断幕を見て近づいてきた在日朝鮮人の女性は「北朝鮮は日本とアメリカに追いつめられているんです」と切々と訴えた。

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週刊『前進』(2071号5面3)

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第3部 植民地支配の歴史(19)

 朝鮮I 軍隊慰安婦制度 国家的戦争犯罪の極致

 民族抹殺政策

 36年間の朝鮮植民地支配は、朝鮮民族を根こそぎ抹殺しようとする凶悪な攻撃だった。本格化した中国侵略戦争は、植民地・朝鮮を兵站(へいたん)基地として推し進められた。徹底した皇民化政策とそのもとで強行された総動員体制は、有無を言わさぬ強制徴用・強制連行として朝鮮人民に襲いかかった。
 日帝による朝鮮民族抹殺政策の極致として、20万人とも言われる朝鮮人、中国人、そしてアジア全域の女性たちが「日本軍軍隊慰安婦」として戦場に駆り出されたのである。軍隊慰安婦の存在は、当時、戦場にあった者なら誰もが知っていた事実でありながら覆い隠され、沈黙の彼方に追いやられていた。
 1991年7月に韓国在住の金学順(キムハクスン)さんが自衛隊海外派兵の動きに怒り、「慰安所」での体験を証言し、この恐るべき国家の戦争犯罪が全面的に白日のもとにさらされた。以来、朝鮮半島のみならずフィリピン、台湾、中国、インドネシア、マレーシアなどから続々被害者が名乗り出た。
 その中で再び歴史を偽造しようとする永野茂門、奥野誠亮らの暴言が浴びせられ、その動きは「新しい歴史教科書をつくる会」へと連綿と続いているのである。しかし、「慰安婦は公娼制度であり、国家の強制連行の事実はない」という主張こそ、歴史の真実を覆い隠す許しがたい行為だ。それは過去をあいまいにし、再び侵略戦争の惨禍をアジアに向けようとするものなのだ。

 占領先に慰安所

 31年9・18柳条湖事件以降、日帝は全面的な中国侵略戦争を展開し、32年3月にはかいらい「満州国」をデッチあげる。同年には海軍に続き陸軍慰安所が上海に設置された。広範囲に設置されるのは、37年12月の南京大虐殺の直後からだった。
 日本軍慰安婦制度は、日本帝国主義の国家的組織的な戦争犯罪であり、強制連行・強制労働とともに他民族抹殺政策の極致である。
 日本軍の占領地域に次々と慰安所は設置され、日本軍が侵攻したアジア全域に及んでいる。最前線の戦闘地域にも部隊とともに女性たちを連行し、昼間は看護、雑役、爆弾運搬などに酷使し、1日に30〜40人、時には70人の相手をさせられたという証言もある。繰り返されるレイプと暴行で多くの女性たちが殺され、また自殺に追い込まれた。さらに敗色が濃くなる中、トラック島では慰安婦たちを洞穴に閉じ込め、機銃掃射した。敗戦とともに残酷にも「処理」されたのである。殺さないまでも砲弾の中に置き去りにするなど、生き延びてなお祖国に帰ることができなかった女性たちが多い。
 41年7月に陸軍は関東軍特種演習(関特演)の名目で、ソ連侵攻に備えて80万余の兵力をソ連と中国東北の国境付近に集結させようとした。この時、関東軍司令官・梅津美治郎中将は、新たに2万人の朝鮮人慰安婦をこの兵員に提供しようと計画。朝鮮総督府(南次郎総督)に依頼して約1万人(8千人とも言われる)の朝鮮人女性を集めて中国東北に送り、施設を特設したと言われている(島田俊彦著『関東軍』、千田夏光著『従軍慰安婦』正篇)。
 11歳の幼い少女から、乳飲み子を抱えた母親まで、ある日突然、慰安所に連行され、監禁されたまま、心身ともずたずたに引き裂かれたのだ。
 これは強制以外の何ものでもない。国際法上、いやごく常識的に判断すれば、貧しさにつけ込んだ詐欺や甘言、さらには植民地支配下での面長や警察官などの権力を振りかざした動員など、本人の意志を踏みにじった連行であった。
 植民地で生まれ育った女性だというだけで、拉致・連行され、人間としての尊厳を踏みにじられた。監禁された中で繰り返される暴行、血も凍りつくような恐怖が果てしなく襲いかかる日々、これが「天皇の聖戦」の正体だ。戦後、天皇ヒロヒトを免罪し、日帝の帝国主義としての再建を許してきた日本人民の加害責任が厳しく問われている。

 戦争くり返すな

 韓国挺身隊問題対策協議会は、「日本の天皇制ファシズムや軍国主義的な国家権力が行った強制連行、レイプ、拷問、虐殺などを含む体系的で組織的かつ残虐な犯罪であり、日本帝国主義が徴兵、徴用や『慰安婦』制度により民族衰退政策あるいは民族抹殺政策を企てたことと理解される」と提起し、以下の7点を要求している。
 @真相究明をすること、A戦争犯罪を認めること、B公式謝罪をすること、C戦犯、責任者を処罰すること、D追悼碑と史料館を建てること、E被害者に賠償すること、F歴史教科書に載せること、である。
 戦後補償裁判も粘り強く続けられているが、日本の裁判所では「戦争犯罪に時効はない」という国際法の常識すら排除される現状が続いている。
 在日朝鮮人としてただ一人、慰安婦とされた被害を告発し、最高裁で闘い続けている宋神道(ソンシンド)さんは、16歳でだまされて中国の慰安所へ連れて行かれ7年にもわたる慰安婦生活を強制された。宋さんの体には刀傷が残り、殴られた左耳が聞こえない。
 宋さんは、「『慰安婦』ばかりでなく、中国の人も、日本の兵隊も、苦しめられた惨めな姿を私はこの眼(まなこ)で見てきました」「過去の過ちは過ちとしてきちんと反省して、『申し訳なかった』と謝罪して欲しいです。あんな残酷な戦争は、二度と繰り返してはいかんのです」(東京高裁、宋さんの最終陳述より)と、繰り返し訴え続けてきた。
 しかし、東京高裁は、この訴えを地裁判決に続き退けた。宋さんは現在、最高裁に上告中である。宋さんを始め、慰安婦とされた多くの女性たちが残された人生をかけて、日帝の侵略戦争を阻むために立ち上がっている。
 戦後、日帝は侵略と侵略戦争、台湾・朝鮮植民地支配に対する謝罪・賠償を棚上げし、さらには南北朝鮮の分断に加担、今や朝鮮半島に対する新たな脅威となって襲いかかっている。
 植民地支配が生み出した恐るべき戦争犯罪、国家ぐるみの組織的犯罪を今こそ断罪しなければならない。
(室田順子)
第3部おわり。第4部 「中国侵略戦争」は近く開始します。

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週刊『前進』(2071号6面1)

「共謀罪」の新設許すな 「謀議」しただけで懲役5年 「団体の活動」を無限に弾圧

 法制審での審議が始まる

 とんでもない悪法が準備されている。
 9月3日、森山法相は、実際に行為が行われなくても話し合いに加わるだけで処罰することが可能な「共謀罪」の新設を法制審議会に諮問した。18日には、破防法・組対法に反対する共同行動の労働者・市民が抗議行動に立ち上がる中、法制審刑事法部会で第1回審議が始まった。
 法務省は、その答申を受けたうえで、来年の通常国会に、組織的犯罪処罰法などの「改正案」を提出する予定を発表している。
 「共謀罪」の新設は、国際的組織犯罪条約の批准に伴う国内法の整備を名目に行われる。その攻撃の狙いは、小泉政権によるイラク、北朝鮮・中国侵略戦争のための有事立法攻撃と一体の国内治安弾圧体制の強化である。
 革共同は言うに及ばず、あらゆる反体制運動(反戦運動、労働運動、市民運動)を根こそぎ弾圧し、一掃を狙うものである。「思想・表現の自由」はもとより、「結社の自由」を極限的に侵害する治安維持法、破防法以上の悪法である。「共謀罪」粉砕へ総決起しよう。

 「司法改革」と一体の大攻撃

 国際的組織犯罪条約は「国際組織犯罪をより効果的に防止し及びこれに対処するための協力を促進する」(第1条)ことを目的に作られたもので、2000年11月の国連総会で採択された。02年8月時点で署名国142カ国、批准国18カ国(40カ国の批准により発効)である。
 国際的組織犯罪条約を批准するためには、第5条「組織的な犯罪集団への参加の犯罪化」、第6条「犯罪収益の洗浄の犯罪化」、第8条「腐敗の犯罪化」、第23条「司法妨害の犯罪化」について、国内法の整備が義務づけられている(義務規定)。ほかに、努力規定として「おとり捜査」「泳がせ捜査」「電子的監視」などの捜査方法の導入、「刑事免責、司法取引」などの刑事司法の抜本的改悪、マネーロンダリング罰則対象を弁護士・会計士・税理士まで拡大するゲートキーパー(門番)の採用などが条文化されている。その点で、司法改悪と一体の攻撃である。
 法務省は、黙秘権を侵害する「証人等買収罪」、「犯罪収益規制等拡大」「国外犯処罰」とともに、第5条に対応するものとして「重大犯罪に係わる共謀罪の犯罪化」の新設を打ち出したのである。
 法務省の原案(骨子)は以下のとおりだ。
 「組織的な犯罪の共謀
 1又は2に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、それぞれ1又は2に定める刑に処するものとすること(最高で懲役5年)」

 治安維持法や破防法以上だ

 第一の問題点は、日本の刑法体系には例外的にしか存在しない「共謀罪」を全面的に導入しようとしていることだ。
 刑法60条の「共謀共同正犯」は犯罪を実行した者の共犯を罰する規定である。しかし、「共謀罪」は犯罪の実行を前提としていない。「謀議しただけで処罰できる」というのである。平たく言えば、相談や話し合いをしただけで最高5年の罪にするというものだ。
 例えば、有事立法反対デモに参加した数人の仲間が、帰りに居酒屋で、「国会に突入して小泉をぶん殴ってやりたいよ」「そうだ、俺もだ」と会話したとする。これが「傷害事件を共謀した」と国家権力に認定され、「共謀罪」を適用されることになってしまうのだ。
 これでは冗談の一つも言えなくなる。ましてや、機関紙読者会やシュプレヒコールも対象とされかねないのだ。まさに、「思想・表現の自由」を踏みにじる憲法違反の悪法だ。
 第二の問題点は、適用対象が無制限に拡大されるということである。
 国際的組織犯罪条約では「国際性を有し」かつ「組織犯罪集団」を対象に掲げているが、国内法化するための法務省原案ではその二つとも消えている。「一又は二人以上の者と…合意」とし、「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役・禁固」「長期4年以上の懲役・禁固」にあたる罪を対象としている。刑法・特別刑法にある罪のほとんどが対象とされているといってよい。
 治安維持法では「国体の変革」と「私有財産制度の否認」が処罰の対象であった。破防法では「公共の安全の確保」が目的であった。ところが今度の「共謀罪」には両法の目的規定がなく、無際限の拡大が可能となっている。組対法では、二人以上とは、夫婦も入ることであった。
 したがって「共謀罪」は複数であれば罪とする究極の結社禁止法といってよい。革命党を始め、反戦運動団体、労働組合、市民団体などを直撃する悪法であり、かつての治安維持法や破防法をも上回る治安弾圧法である。絶対に粉砕しよう。法制審議会での審議を直ちに中止させよう。

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週刊『前進』(2071号6面2)

弾圧と闘う 水嶋裁判 「同一人でない」(正井) デッチあげ証言を完全粉砕

 9月3日、東京地裁刑事第1部(川口宰護裁判長)で、無実の水嶋秀樹同志に対する第10回公判が行われた。弁護団の厳しい追及とともに、水嶋同志本人が怒りの反対尋問に立ち、ついに転向裏切り分子・正井利明のデッチあげを粉砕した。水嶋同志は青天白日無実である。88年9・21千葉県収用委会長せん滅戦闘の総括責任者(A)とはまったくの別人である。そのことが、検察側証人正井の口をとおして明白にされたのである。
 怒りに燃えた水嶋同志の反対尋問は圧巻であった。
 水嶋同志は正井の前に立ち、「私の全体をよく見てほしい。まず、身長はどうだ」と迫った。正井はこれまでAの身長を170〜168aと供述している。目の前の水嶋同志は164、5aしかない。それを正井は「若干小さいと思います」と答えたのだ。必死にデッチあげの維持を図ろうとする表現だが、身長の違いを証言せざるを得なかったのだ。
 正井はAの頭髪について、第5回公判で「前部から頭頂部にかけて薄い、いわゆるバーコード状態、左右の髪の毛を真ん中に持ってきている状態」と証言している。水嶋同志は、ふさふさした自分の頭頂部を間近に見せ、「どこの髪をどう持ってきていたのか」と尋問した。これに対して正井は、「(おでこの後退による髪形が)被告人はM型だが、Aはそうでなかった。違うと思う」と証言した。
 水嶋同志は鼻の横に良く目立つホクロがある。正井は第5回公判で、Aがメガネをはずした時、鼻の両側に「メガネの跡が強くついていた」と証言しているが、今回このホクロを正井に見せ、「Aさんにこのホクロがあったか」と問い詰めると、「記憶になかった」と証言した。
 声・口調についても、骨格についても、水嶋同志はAとは「違う」と証言した。さらに正井は、「被告席に座っている人を見て、私は昔一緒に行動していたAという人物が、被告席の人と一致しない」「同一人ではない」と明確に証言したのである。
 水嶋同志は74年3月に、神奈川県警から全国指名手配され、それ以来一度も神奈川県には入ったことがない。ところが正井は弁護人の反対尋問に答え、「Aは神奈川県を自由に動き回っていた」「Aさんと行動をともにしていた時、手配されていたという認識はなかった」と証言した。
 また弁護団は、写真特定における正井の「確信」には、根拠が一切ないことを徹底的に暴露した。 正井は、Aの年齢を40歳から42歳位、あるいは40代半ばと繰り返し供述している。にもかかわらず正井は、昔の26歳の時の水嶋同志の写真を、「年齢差を考慮する必要ないほど似ていた」として特定したのだ。またその写真はメガネをかけていない。ところが正井は「Aさんは常時メガネをかけており、Aさんの顔の印象はメガネをかけたもの」と証言している。頭髪についても写真はふさふさしている。だが正井は前述のようにAの頭髪を「バーコード状態」と証言しているのだ。
 正井の証言は、支離滅裂であり、何の根拠もないことがはっきりした。正井は目の前の水嶋同志が別人であることに驚愕(きょうがく)しながら、それを見据えられず自己の責任を回避するために、「写真はAに間違いない」と固執している卑劣漢である。
 またこれは検察と一体となって、「正井が水嶋同志と対面して、Aと別人だと思うのは12年経過して(たった12年だ!)容貌が変ってしまったからだ」という主張への逃げ道をつくりだすためである。ふざけるな!「容貌の変化論」は、すでに完全に粉砕されているのだ。
 水嶋同志と弁護団は、第10回公判の勝利の地平に立って、9月6日、直ちに裁判所に保釈を申請した。水嶋同志の無実は一点の曇りもなく明らかである。川口裁判長は無実の人間を獄に閉じ込めることを直ちにやめよ! 直ちに公訴を棄却し、今すぐ水嶋同志を釈放せよ!

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週刊『前進』(2071号6面3)

6・12私文書弾圧裁判 『前進』を証拠申請 思想を理由に有罪狙う

 8月27日、6・12私文書弾圧裁判の第15回公判で中谷雄二郎裁判長は、警視庁の極悪公安刑事吉田正守、米本治史の証人採用と『前進』過去7年分の三里塚ゲリラ報道記事のコピーの証拠採用留保を決定した。千葉県警の警察官などにゲリラ捜査の証言をさせ、「ゲリラ事件との関係」をデッチあげようとする策動は弁護団の闘いにより粉砕された。しかし、中谷はまだ、吉田と米本を証人採用して公安一課保管の『前進』のコピーを「証拠」としようと狙っている。これは、この間の有事立法制定攻撃下での『前進』弾圧と一体の戦時治安弾圧であり、M同志の戦争反対や三里塚闘争への決起、国家権力と闘う思想そのものを刑事弾圧の対象にするものだ。そして、「私文書偽造」立証がどうであれ、「組織犯罪だから重罰を!」として、実刑を狙うものである。
 完黙・非転向のM同志と弁護団による裁判闘争は、1年3カ月の不当勾留を打ち破って、事実と客観的な科学的批判によってデッチあげ「証拠」を一つひとつ粉砕し、勝利を切り開いてきた。今やM同志の無実は明らかである。デッチあげの破産を恐れる治安判事・中谷は、7月23日の公判で、筆跡鑑定人馬路充英に対する弁護人反対尋問の打ち切りを強行し、抗議する傍聴人9人を退廷にする暴挙を行い、「前進立証」で実刑を強行しようとしている。
 これを許せば、法廷は思想弾圧・戦時治安管理を行う「魔女裁判」の場に一変する。断じて許してはならない。
 9月30日の第17回公判はM同志裁判最大の決戦だ。『前進』過去7年分の三里塚ゲリラ記事コピーを使いデッチあげを狙う吉田正守、米本治史を粉砕しよう。中谷裁判長による『前進』コピーの証拠採用を阻止しよう。公判傍聴に決起しM同志を激励しともに闘おう! 
 第17回公判は9月30日(月)午後1時15分、東京地方裁判所426号法廷。

 岡山で保釈要求の集会

 9月7日、「6・12私文書弾圧事件」裁判の勝利と、被告のM君の保釈をめざす集会を、M君の出身地岡山市でかちとった。
 会場にはM君の活動の場、鳥取・山陰などを始め、50人が参加。東京からも弁護団を迎え、早期保釈の実現、無罪判決をかちとるための闘いに全力で取り組むことを確認した。
 弁護団からは、今日の司法改革の状況、問題点などが具体的に述べられ、「この裁判は典型的な人質司法であり、今日の有事立法にも連なる大反動との闘いです」と、戦時司法と闘う6・12弾圧裁判の意義が力を込めて提起された。
 続いて、検察側の立証計画と経過がかみ砕いて報告され、とりわけ中核派であることを裁く思想裁判であることが厳しく弾劾された。そしてM君の奮戦ぶりも紹介しつつ、「M君を一日も早く保釈させ、裁判の勝利へ頑張りましょう」と訴えた。
 また、休憩をはさんで、M君の後輩の鳥取大学の学生やOB、山陰の支える会会員、岡山大学、広島大学の学生、岡山の労働者などから、M君を取り戻す決意や支援運動の意義などが語られた。
 最後に東京の事務局から、M君の家族の思いを伝えつつ、傍聴・差し入れ、保釈署名、カンパなどの具体的な方針が提起され、東京地裁刑事2部あての集会アピールを拍手で確認して集会を締めくくった。

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週刊『前進』(2071号6面4)

無実の星野同志を取り戻そう(7)

 確定判決批判F 見ていない者が目撃証言 密室でデッチあげた供述

 違法な取り調べ

 前号で見たように、確定判決は、6人のウソの供述を唯一の「証拠」にしている。これらの供述はすべて警察の密室でつくり出されたものだ。その手口は以下のように悪らつなものだ。
 AR証人(当時17歳)について見てみよう。検察官・中津川は、接見禁止中であるにもかかわらず、両親を取り調べに同席させた。父親は検事と一緒になって、「救対の弁護士は解任して、父の依頼する弁護士を選任したらどうかなどと説得」した。「父親は突然立ち上り、同人に対し、『立て、眼鏡を取れ』と言い、立ち上った同人の顔面を手拳で2、3回殴打し、かつ『お父さんを殴れるか、殴るなら殴ってみろ』と叫んだが、同人は、『殴れません』と言いながらへなへなと座り込んだ」(控訴審判決)。AR証人は、このショックで権力の言いなりになった。この後、検察官の描いたストーリーのままに星野同志を始めとする名前を次々にあげていくのである。
 AR証人は控訴審の公判で、中津川検事が父親を示唆して殴打させ、ウソの供述を強制したと証言した。しかし、控訴審判決は、「少年の更生を望む余りの、父親の愛情の発露の域を出るものとは言えず、これをもって、違法ないし任意性に影響を及ぼすと解することもできない」と正当化している。そして、AR証人が控訴審公判で真実の証言をしたことを、「当審証言は措信しがたい」と一方的に切り捨てている。
 権力は、K、A、I、S各証人に対しても同様に、デッチあげ供述を強制した。K証人はきわめてあいまいな記憶しかないのに、異例に多い28通の供述調書を取られている。「きつね色の服装の人が殴っていたのを見た」としゃべったら、それが星野同志であると強引に調書化された(当日の星野同志の服装は明るい水色の上着)。そして、これら5人の証人が公判で「供述はウソで、取調官に強要されたものだ」と真実を述べたにもかかわらず、控訴審確定判決はそれを退け、星野同志を機動隊殺害の実行行為者としたのだ。絶対に許せない。

 O供述の弱点

 6人の「共犯供述」の残る一人であるO証人(当時20歳)は、裁判では証言拒否を繰り返し、今日まで真実を語っていない。他の5人の証人がすべて捜査段階での供述を公判で撤回している中で、供述を維持する唯一の存在であり、しかも実行行為者特定のカギを握る人物である。
 O供述の核心をなすのは「2月13日現場引き当たり」の報告書(2月14日、警察官平松卓也作成)と「2月14日員面調書」(警察官面前調書)である。「現場引き当たり」とは、供述者を事件現場に連れて行って、本人に説明させるものである。引き当たり報告書は、11場面の図面(前川正次巡査作成)添付の詳細なもので、O証人は中村巡査殺害の場面を具体的に語っている。さらに、「2・14員面調書(11場面の図面はO証人作成)」として、これと同一内容の供述調書がとられている。この2・13引き当たりと2・14員面調書で権力のストーリーが完成する。
 すなわち、それまで各証人が強要されたバラバラの供述を、権力が一つのストーリーとしてまとめあげたのである。これ以降は、このストーリーに合わせて他の証人の供述もつくられていく。権力が、弾圧の構図を確定する決定的なキーポイント、それが2・13引き当たりと2・14員面調書である。この2点は一審段階では隠され、一連の検面調書による整然としたストーリーだけが法廷に提出されたのである。
 しかし、O供述には致命的な弱点がある。肝心のO本人が中村巡査殺害の場面に遅れて到着し、現場を見ていないのである。
 O証人は、72年2月2日に逮捕されてから黙秘していたが、2月7日に供述を始めた。その時の内容は、「前方50〜100b」の地点で「黒いような、それで赤いような炎がパーと上空にあがるのが目に入りました」というものである。火炎びんが投げられたのが中村巡査殺害の最終段階であることは証拠上明らかだ。しかし、この時点で、O証人は50〜100b離れていた。したがって、それに先立つ殴打の現場を見ていない。これが真実なのだ。この員面調書も一審段階では隠されていた。

 70メートルも先

 権力が、O証人をデッチあげのキーパーソンとしたために重大な矛盾が生じている。
 Oは、2・14員面調書によれば、「タクシー会社の前辺り30b」の距離から「奥深山が機動隊員をシャッターに押しつけ鉄パイプで殴打」したのを目撃したことになっている。しかし「タクシー会社」(都民交通)から中村殺害現場までの距離は70bある。この距離から人物特定など不可能だ。この矛盾に気付いた権力は、「タクシー会社」の名前をこれ以降の供述調書から消した。さらに「Aがつまづいて膝をついた」とか「そばにいた女性の服に火が付いた」とか、一見するとなまなましい場面を語らせているが、これらもすべてウソである。
 こうしたデタラメな「供述証拠」のみを根拠に、星野同志に無期懲役を宣告しているのが控訴審判決である。司法権力は、この控訴審確定判決をあくまで維持し、弁護団の証拠開示や事実調べの要求を無視して、真実を覆い隠している。星野奪還・再審勝利の広大な大衆決起の力で、一切の証拠を開示させ、事実調べを実現していこう。

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週刊『前進』(2071号6面5)

東ティモール派兵阻止に決起 9・8みやぎ反戦共同

 9月8日、みやぎ反戦共同行動委員会は自衛隊の東ティモール派兵阻止闘争に立ちあがった。この派兵は、日帝軍隊によるアジア太平洋侵略の突撃路にほかならない。自衛隊が再び侵略軍隊としてアジア人民の前に登場するなど、どうして許せるのか!
 今回は、3月に派兵された部隊の交代のための第2次派兵として、約700人が派兵される。3月の第1次派兵時には、軍隊慰安婦とされた人を先頭に「自衛隊は帰れ」と怒りがたたきつけられた。
 しかも、今回の派兵はPKO史上最大の武器を携行するのであり、派兵される部隊は6月から7月にかけて宮城県の王城寺原演習場で戦争訓練を行ったのだ。
 報道管制の中、労働者・学生・市民は緊急の呼びかけにこたえて決起した。午前8時、自衛隊苦竹(にがたけ)駐屯地正面ゲートに登場し、「自衛隊の東ティモール派兵阻止!」のシュプレヒコールをたたきつけた(写真)。請願隊は警備の制止を振り切ってゲートを越え請願行動に入った。
 しかし自衛隊の広報担当者は、「請願は受け付けない」と請願書の受け取りを拒否してきたのだ。部隊の怒りは爆発した。広報担当者は「うるさい」「出ていけ」とわめきたて、自衛隊が大盾で請願隊の排除にかかったが、これと押し合いをしながら請願を続けた。
 「東ティモール派兵は日帝軍隊の侵略派兵だ。自衛隊兵士は侵略の銃を握るな。敵は戦争でしか延命できない帝国主義だ。派兵を中止し、兵士は参加を拒否せよ!」と請願書を断固読みきり、行動を貫徹した。

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週刊『前進』(2071号6面6)

投稿 保安処分新法を廃案に 沖縄民権の会代表 座覇 光子

 次はあなたの番だ!
 もうすでに戦争への道を歩み始めている。
 今なぜ「医療観察法案」という名の保安処分法案を成立させようとしているのか。昨年の9・11以来小泉は、はっきりと米国の戦争支援を宣言し、自衛隊をフル活用している。アフガニスタンへの戦争参加を支援の名の下に、軍事物資の輸送を行わせている。自衛隊の心ある隊員は戦争への協力に悩み、5年間で300人余の自殺者を出している。そして精神を病む者も続出しているという。自衛隊専門の病院もあるという。
 つい先日ワールドカップに浮かれている時も、軍事物資の40%が運搬されたのである。また、「有事法制」を通すことによって、日本は堂々と戦争のやり易い国に再編強化する。
 沖縄では、日本全体の75%の基地が存在し、基地縮小と言いながら、絶大な機能を発揮するヘリポート基地が名護の辺野古に建設されようとしている。
 「住基ネット」も稼働した。これは、事務的便利を理由に、実は人間に背番号をつけて「徴兵制」に細大漏らさずピックアップして戦争に駆り立てることが第一の目的ではないか! プライバシーの侵害もさることながら、過去の経歴も国の判断によって利用され、色分けされる。犯罪歴、病歴も書かれているはずだ。
 この「特別立法」を成立させることは、戦争への道の第一歩である。役に立たない者として隔離し処分していく。およそ治療どころではない。小俣和一郎著『精神医学とナチズム、裁かれるユング、ハイデガー』によりますと、ナチスドイツの大量殺人は、最初は国内の「精神障害者」が対象となっていました。1933年に成立した「ナチ断種法」−正式名称は「遺伝病の子孫を予防するための法律」によって「精神薄弱者、精神分裂病者、躁うつ病者、てんかん患者、重症アルコール依存症者、先天性の盲人、ろうあ者、重度障害者、小人症、けい性麻痺、筋ジストロフィー、フリードライヒ病、先天性股関節脱臼」の患者が断種処置(つまり安楽死)の対象になりました。
 1940年4月に「T4作戦」という正式の暗号名でこの安楽死計画が大規模に展開され始め、ドイツ国内の4カ所の精神病院施設に、ガス室と焼却炉が付設され、アウシュビッツのユダヤ人虐殺(600万人の大量)の2年以上も前に精神病患者の虐殺が始められたことになります。
 アウシュビッツ強制収容所などでの大量殺人は、T4作戦を担当した医師や現場責任者が指導し、T4作戦の方法をそのまま拡大し、対象を「精神障害者」からユダヤ人へと転換したものであったようです。
 私が1994年にアウシュビッツ強制収容所を訪れた時、「精神障害者」は話題にも上らなかった。つまり、ここで行われた以前に抹殺され跡形もなかったということでしょうか。
 洋の東西を問わず「戦争への道は同じ」ことは歴史が証明してます。戦前、日本においては、戦争反対のために活動、行動した者は「治安維持法」で獄中にブチこまれたのです。私の尊敬する先輩は7年も投獄され、死の寸前に出されました。現在は、政治犯として何もやっていない者を15年、30年近くも拘禁してます。
 「特別立法」廃案に向けて、私は、これは重大! 当事者のみならず日本人すべてが考え、阻止しなければならない問題だと思います。「再犯予測」など、およそ医者さえも判定できないことを法律でやろうとしている。一度犯した者は二度三度やると決めつけて、刑だけが先に執行されるのだ。つまり、「死」へのテンポが早まる。何という理不尽がまかり通るのだろうか!
 この社会で一番苦しんでいる者が、なぜこのようなひどい目にあわなければならないのか! この怒りをバネに是非とも廃案に追い込もうではないか!

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週刊『前進』(2071号6面7)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志裁判
9月25日(水)午前10時
福嶋同志裁判
10月2日(水)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
10月11日(金)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判
9月30日(月)午後1時15分
※いずれも東京地裁

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