ZENSHIN 2002/11/25(No2079 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2079号1面1)

安保理決議はイラク人民虐殺の道だ 12・8イラク反戦に立とう
米帝の世界戦争計画と対決せよ
 国労定期大会に全力で結集し5・27臨大弾圧を粉砕しよう

 3労組が呼びかけた11・10労働者集会には、全国から3050人の労働者人民が日比谷野音に結集し、総決起集会とデモが闘いとられた。激化する大失業攻撃とイラク侵略戦争の超切迫情勢と真っ向から対決し、国労組合員ら10人逮捕(すでに6人起訴)という、国鉄闘争と日本労働運動にかけられた歴史的大弾圧に対して労働者階級の怒りが渦巻き、断固たる総反撃が宣言された。この闘いに続き、11・24、25国労大会決戦に総決起しよう。闘う組合員を警察に売り渡した現執行部を必ず打倒し、4党合意を葬り去り、国鉄闘争勝利の方針と闘う執行部の確立をかちとろう。反戦共同行動委主催の11・19全国統一行動から12・8全国総決起集会(日比谷野音)の大結集へ進撃しよう。イラク反戦・有事立法阻止闘争の本格的爆発へ突き進もう。

 第1章 労働者階級の怒りと力示した大集会

 11・10全国労働者総決起集会は、不当弾圧粉砕、国鉄闘争勝利の総決起の場となった。登壇した被逮捕者家族の発言には、会場から大きな激励と連帯の拍手が送られた。逮捕され獄中で不屈に闘う仲間を守りぬき、一日も早く奪還しようという決意があふれた。とりわけ呼びかけ3組合が、この弾圧に対して、「地域や産別の違いはもとより、少々の路線や方針の違いを乗り越えて反撃に起ち上がることが労働運動の最低限の原則であり、原点である」と抗議の共同声明を発し、全参加者が魂を揺さぶられた。
 また、全参加者の総意で「拉致問題を口実にした排外主義攻撃をうち破り、イラク侵略戦争反対、有事立法反対の反戦闘争にたちあがろう」の特別決議があげられた。
 そして、倒産・リストラ、首切り、賃下げ、社会保障解体などの吹き荒れる資本攻勢と対決し、連合の春闘解体路線に抗して、03春闘の爆発へ闘いを開始することが宣言された。
 連合中央の労働貴族どもが日帝の手先としての正体をむきだしにして有事立法に賛成し、賃金闘争放棄など労働者の生活と権利を権力・資本に売り渡す策動を強めている時、11・10労働者集会は、これとの対決を鮮明にして労働者階級の進むべき道、勝利の道を鮮明に示したのである。
 労働者集会の戦闘的高揚の地平を踏まえ、大弾圧を突き破って、国鉄決戦勝利、イラク反戦・有事立法粉砕、03春闘の戦闘的爆発へ前進しよう。

 第2章 国連安保理決議の断じて許せぬ内容

 米英帝のイラク侵略戦争と日帝の参戦を断じて許すな! 全世界の反戦闘争と連帯して、12・8闘争を頂点とする11〜12月イラク反戦闘争を爆発させよう。
 イラクに対して期限付きで「大量破壊兵器」の査察受け入れと廃棄を迫る米英提案の国連安保理決議は8日、全会一致で採択された。フランス、ロシア、中国などが、侵略戦争後のイラク・中東の権益からはじき出されまいと、それぞれの反人民的本性をむき出しにして賛成に回ったのだ。
 国連決議の内容たるや、米帝が無制限・無制約にイラクの国家主権を踏みにじり、イラクの国土と人民を武力占領するものである。
 具体的に見るとそれは、▽イラクは7日以内に決議順守の意思表示、▽30日以内(12月8日まで)に大量破壊兵器開発計画をすべて開示、▽45日以内(12月23日まで)に査察団が査察開始、▽60日以内(2月21日まで)に報告書を提出する、というものである。
 そして、査察団の権限として、▽8カ所の大統領施設を含むあらゆる施設への無条件・無制限の立ち入り(これは大統領権力の解体にほかならない)、▽大量破壊兵器と関連物質の移動・廃棄・無力化、あらゆる施設や機材の没収・閉鎖、▽イラク人科学者とその家族を国外へ移動させ自由に事情聴取、▽査察対象施設の封鎖、イラク側による地上と上空からの進入阻止、▽国連警護要員による査察団警護、▽航空機の無制限利用・着陸などである。
 これは査察などというものではない。第一に、米英帝による武力占領である。米英帝は「査察団」を使ってイラクを丸裸にし、つぶさに調べ上げ、何よりも、フセイン政権が絶対にのめない大統領権力の最高機密の掌握・暴露、大統領権力の解体を行うとしている。しかも、「フセイン大統領の身柄は、自国民に対する罪、大量破壊兵器を使用した罪などから、査察に全面的に協力した場合でも、戦争犯罪などで裁かれる」(8日、米政府高官)としているのである。そうしてフセイン政権を「査察拒否・妨害」などの「さらなる決議違反」に追い込もうとしているのだ。
 第二に、一般的な査察が目的なのではなく、最初から「さらなる決議違反の場合に深刻な結果に直面する」と「深刻な結果」を目的に掲げている。
 それは一方的で暴力的なフセイン政権転覆なのである。米帝はそれを、「大量破壊兵器の廃棄と政権交代させるための武力行使」(前同)と明確に規定しているのだ。
 重要なことは、「さらなる違反の場合」にいわゆる「第二の国連決議」について米帝は「必要ない」と一蹴していることである。「深刻な結果」=直ちに武力行使することを自己目的化した査察なのである。
 このように、11・8国連安保理決議は、「査察」という形で侵略戦争の軍事行動を強行するものであり、それ自体がイラク植民地化の攻撃である。このことを声を大にして暴露し徹底弾劾しなければならない。
 このような安保理決議の実行がスムーズに進むことなど、ありえない。イラクは13日に国連決議の受諾を表明した。だが、米英帝はイラクへの総攻撃を既定方針としているのだ。
 ブッシュはすでに、米軍20〜25万人を投入する対イラク戦争計画にサインした。戦争になれば、開戦後3カ月間でイラク軍民5万〜26万人が死亡し、もし米軍が核兵器を使えばバグダッドだけで30万〜360万人のイラク人民が殺されるといわれる(核戦争防止国際医師会議=IPPNWの報告)。まさに米帝は、イラク人民を丸ごと抹殺する一大虐殺戦争を強行しようとしているのだ。
 11・8国連安保理決議はイラク人民大虐殺への一本道だ。絶対に許すな!

 イラク問題は日本の問題だ

 絶対に許せないことに日帝・小泉政権は、積極的・主体的にイラク侵略戦争に協力し参戦しようとしている。小泉はこの間、「査察は無条件・無制限・無期限に行われるべきだ」と記者会見や国会答弁でくり返している。米帝ですら言っていない「無期限」を意図的につけ加えることで、実は査察の真の狙いである武力占領―植民地化への日帝の参入の意志を打ち出しているのだ。だから査察団そのものに日帝が加わることすら追求しているのである。
 また、「国連決議があれば、支援内容の幅が広がる」(防衛庁)として、P3C哨戒機や最新鋭のイージス艦の派遣を狙っている。テロ対策特措法の半年間延長と、支援内容の拡張(輸送艦・護衛艦の増派、アフガニスタンの米軍が使う空港整備のための重機輸送)を19日に閣議決定しようとしている。アフガン出兵の半年間延長は、日帝のイラク侵略戦争参戦攻撃そのものだ。
 さらに、日米両軍2万1千人余が参加する日米共同統合演習が、11日から22日まで日本各地および周辺海空域で大規模に展開されている。イラク・北朝鮮侵略戦争を想定した軍事演習そのものだ。
 イラク侵略戦争突入は、北朝鮮侵略戦争に必ず連動する。キャンベル元米国防次官補代理は11日、「ブッシュ政権の政策目標は、イラク問題がある程度整理された後、北朝鮮問題に焦点が移される」「その場合の最終目標は、改革ではなく金正日政権の崩壊である」と述べた。日帝は、この米帝戦略に沿う形で「拉致問題」「核開発問題」を口実にして「北朝鮮はテロ国家だ」という排外主義宣伝を行い、北朝鮮侵略戦争の準備を強めている。
 さらに小泉政権は、「朝鮮総連への破防法適用を考えつつ調査している」(公安調査庁次長、11・8衆院財務金融委員会)と述べ、在日朝鮮人民への弾圧を強めている。
 米日帝のイラク侵略戦争攻撃の一歩一歩がすべて北朝鮮侵略戦争とそのための有事立法の先取りとして進むことを、怒りを込めてつかみきろう。
 イラク侵略戦争に投入される米軍の中で、沖縄、佐世保、岩国、横須賀など在日米軍基地を出撃拠点にする部隊が決定的役割を果たす。日本の米軍基地なしにイラク侵略戦争は成り立たないのである。
 まさにイラク侵略戦争問題とは日本問題なのである。これに対して日本の労働者階級はどうするのか。このことが厳しく問われている。侵略戦争の暴風雨をもろに受けるイラク人民の苦しみを日本労働者階級自身がわがこととして受けとめること、ここに労働者階級の階級性と国際主義がある。全世界の反戦闘争と連帯し、イラク侵略戦争阻止、日帝の参戦阻止のために全力で闘おう。全国から12・8日比谷野音に総結集し、全世界にとどろくイラク反戦闘争の火柱を上げよう。

 <戦争と内乱の時代>への突入

 米帝の狙いは、ブッシュ・ドクトリン=新帝国主義宣言の実行であり、戦争による世界再編、世界再制圧である。米英帝のイラク侵略戦争突入は、世界史が1939年のナチス・ドイツによるポーランド侵略に比すべき情勢に突入することを意味する。しかも、今度は基軸帝国主義である米帝自身がドイツの役割を果たすことになるという点で、世界史はより破滅的・泥沼的・暴力的で残酷な過程へと一変すると言わなければならない。
 だが、これに対して全世界のムスリム人民の怒りの爆発が米帝を始めとする帝国主義を根底から揺るがし、またムスリム人民と連帯する帝国主義国の労働者階級の闘いが非和解的に激化していくことは確実である。
 まさに全世界的な内乱・内戦の時代が訪れているのだ。労働者階級はこうした時代認識をはっきりと持って、闘うムスリム人民、闘うアジア人民と連帯し、米帝―国際帝国主義のイラク侵略戦争を反帝・反スターリン主義世界革命の勝利に転化するために総決起しようではないか。

 第3章 連合・JR総連打倒し、03春闘の爆発へ

 29年型世界大恐慌情勢の深まり、米帝経済の危機のもとで、日帝経済はデフレスパイラルと金融危機を絶望的に深めている。
 小泉・竹中の「不良債権処理の加速」「構造改革の加速」路線は、独占と金融資本が延命するために、中小・零細企業と労働者階級に一切の犠牲を集中・転嫁するものである。倒産ラッシュとリストラ、数百万人の大失業は不可避だ。これとの全面対決が、待ったなしに求められている。
 こうした資本攻勢の激化の中で、連合は日帝の労働者支配の手先としての正体をあらわにし、日本労働運動は国鉄闘争を基軸に革命と反革命が激突し、その主導権をめぐって血みどろの攻防が闘い抜かれている。
 JR総連・東労組の逮捕問題と中執辞任問題は、資本・カクマル結託体制の決定的な行きづまり、危機を示すものである。階級性を貫いて闘ってきた国鉄闘争の前進が、ついに分割・民営化の先兵=JR総連カクマルを使った日帝・資本の労働者支配の破綻をつくりだしたのだ。今こそ5・27国労臨大弾圧を粉砕し、資本・カクマル結託体制にとどめを刺し、国鉄労働運動の戦闘的爆発へ前進しよう。巨大な飛躍をかけて03春闘の爆発へ前進しよう。
 イラク反戦・有事立法阻止へ、12・8日比谷野音へ巨万の人民の大結集のために全力で闘おう。在日米軍基地への行動を起こそう。陸・海・空・港湾労組20団体の呼びかけにこたえ、12・1大集会に合流しよう。
 職場・街頭・学園で演説し、オルグし、ビラをまき、『前進』を売り、組織し組織し組織しぬこう。年末一時金カンパ闘争に全力で決起しよう。

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週刊『前進』(2079号1面2)

国労大会決戦 4党合意粉砕、国労本部打倒へ 「暴力事件」と叫ぶ電送弾劾

 目前に迫った11月24、25日の国労第70回定期大会は、国労と国鉄闘争、日本の労働者階級の命運を決する決戦となった。この大会は、4党合意以来の数度の大会の中でも、最も決定的な位置を持つものになる。
 今次国労大会は、米帝のイラク侵略戦争、世界戦争への突入を許すのか否かという、重大な歴史の転換点の中で開かれる。
 組合員を権力に売り渡す執行部のもとで国労自己解体に進むのか、裏切り者を打倒して国労の階級的再生をかちとるのか。ここには国労だけでなく全労働者階級の未来がかかっている。

 組合員売り渡し居直る本部電送

 大会の課題の第一は、組合員を権力に売り渡した現本部執行部を、組合員の総力で打倒することである。
 11月11日、国労本部は5・27臨大・闘争団弾圧の被逮捕者家族が呼びかけた「早期釈放を求める署名」について、「協力することがないよう組合員に徹底をはかること」などと指示する本部電送を下ろした。
 被弾圧者の家族らは、本部に対して、賛成派組合員の被害届を取り下げ、本部として早期釈放を警察に要求するよう要請書を出していた。それに対する本部の回答がこれなのだ。夫を獄中に奪われた家族が思いあまって本部の対処を求めたにもかかわらず、それを無視するばかりか「署名に協力するな」とふれまわる。これが労働組合幹部のすることか!
 しかも許せないことに、彼らは5・27臨大における組合員の説得活動を、「準備地方本部や会場係に対して中核派が暴行を加えた5・27暴力事件」「この事件の核心は、中核派の活動家が国労組合員に暴力をふるったという事実にある」と描き出している。さらに、「逮捕された者の中に『国労組合員』もいるが、彼らは中核派の活動家としてこの暴力事件に加わったのであり、国鉄労働組合の運動とは無関係」「日頃は対立しているかのように見える中核派と革マル派が暴力主義の思想と体質では同根」と言い放っている。
 組合員である被弾圧者を、国鉄闘争への最凶悪の敵対者であるカクマルと同列に扱っているのだ。ここまで本部は変質した。
 だが、自民党に言われるままに闘争団への除名処分の発動を決めた本部の行為こそ、国家権力を背後にした恐るべき暴力ではないのか。これに対して、裏切りを阻むために組合員が必死の説得活動を展開したのはきわめて当然だ。闘うことを誇りとし、団結を何より重んじてきた国労組合員として、やむにやまれぬ行動だったのだ。
 本部は今や、組合員を次々と「外部勢力」に仕立て上げ、権力の起訴状とまったく同じ言葉で組合員を非難し、処罰をこいねがうところにまで転落した。こうした行為をこそ「組合員を国家権力に売り渡した」というのだ。とりわけ、東京地本の酒田・芝崎よ。お前たちこそ、自らの罪業におびえてこんな恥知らずな電送を流させた張本人だ。その罪は万死に値する。
 こうしたやからを、絶対に居座らせてはならない。

 4党合意に破産宣告つきつけよ

 大会の課題の第二は、4党合意の破産を明確にし、本部に全面的な自己批判を迫り、総辞職に追い込むことである。
 4党合意による解決などあり得ないことは、敵権力の側からも明白に突きつけられている。本部がこの事実を認めようとしないのは、ただただ卑劣な自己保身のためだ。破産を突きつけられ、引責辞任に追い込まれることを回避したいばかりに、見え透いたウソをつき通そうというのだ。
 そのために彼らは、「解決を妨害しているのは闘争団」と言い張って、闘争団員の査問委送致や生活援助金凍結を強行し、組合員を官憲に引き渡しさえした。醜悪きわまる本部のこうした4党合意しがみつき路線こそ、闘争団を苦況に追いやり、国労の団結をここまで破壊した元凶だ。
 しかも本部は大会で、「第1次草案」より突っ込んで「エリア本部の強化」「書記・専従の退職金を名目にしたスト基金13億円の取り崩し」「闘争団へのカンパ援助金の切り下げ」などを、職場討議もなしに突然出そうとしている。これは「宮坂補強5項目」に沿って国労の解散=JR連合との合流へと大きく踏み出そうとするものだ。

 JR体制粉砕の闘う方針確立を

 4党合意破産の責任を絶対にあいまいにするな。高嶋―寺内執行部打倒へ総決起しよう。
 そして、国鉄闘争を1047人闘争として発展させ、第2の分割・民営化攻撃と真正面から闘う方針を打ち立てることである。
 4党合意をめぐる攻防は、国鉄闘争の1047人闘争としての新たな発展を切り開いている。権力・資本によって分断されてきた1047人の闘いは、今、互いに手を結び、力強く勝利の大道を歩み始めた。
 JR東労組幹部の逮捕や松崎宅捜索、東労組の8人の中執辞任などは、9・11―世界戦争情勢下の日帝の危機のもとで、権力・資本とカクマルの結託体制がついに崩壊したことを示すものだ。国労が1047人闘争を先頭に権力・資本やJR総連カクマルと真っ向から原則的に闘う方針を打ち立てるならば、分割・民営化以来の力関係を一挙に逆転することも可能な情勢が訪れたのだ。
 この時、チャレンジや反動革同の手で国労がむざむざと自己崩壊に追いやられていいはずがない。
 闘えば必ず勝利の展望は開かれる。すべての国労組合員は総力で国労大会に結集し、弾圧粉砕・裏切り執行部打倒へ全力で闘おう。

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週刊『前進』(2079号1面3)

イラク反戦・有事立法阻止へ絶大な年末一時金カンパを

 イラクへの侵略戦争が明日にでも始まろうとしている中、私たちは、全世界の労働者民衆とともに、国際反戦闘争の先頭に立って闘わなければなりません。私たち労働者人民の決起だけが戦争をストップさせ、戦争や搾取のない、差別も抑圧もない社会をつくりあげることができるのです。
 ソ連が崩壊し、アメリカ帝国主義が傍若無人のふるまいを見せているこの現代世界は、実は私たちがかつて経験したことのない帝国主義の危機の時代=「戦争と大不況の時代」に突入しているのです。
 それはロシア革命以来の「世界革命の時代」に突入したことを示しています。アメリカで、イギリスで、イタリアで、そしてパレスチナで、イラクで、チェチェンで、韓国で、全世界で、何百万の人民が「戦争反対!」の感動的な声をあげて決起しています。今こそブッシュ、ブレア、小泉らの戦争放火者どもを打倒しよう。
 日本では小泉反動政権のもとで、戦後史の大転換=戦争をする国家づくりが急ピッチで進んでいます。今の今、インド洋に艦隊を派遣し、この血塗られた実績をもって、有事立法や教育基本法改悪、憲法改悪、そして諸治安法の制定を進めようとしています。北朝鮮に対する排外主義の洪水と、国労組合員に対する弾圧は、国際連帯と労働者の団結を解体しようとする攻撃であり、戦争国家形成に向けた国家総動員体制攻撃そのものといわなければなりません。
 だが、私たちは戦前のアジアへの侵略戦争・植民地支配の痛烈な反省を経て、こうした道を拒否してきたのではないでしょうか。日々の超過利潤の上に存在している抑圧民族としての現状を変革しようと闘ってきたのではないでしょうか。
 一切の戦争と反動、搾取と抑圧の社会を拒否し、「21世紀の早い時期の世界革命」の実現に向けて、革共同は全世界の労働者人民とともに、侵略と搾取、抑圧と差別を憎む日本のプロレタリア階級人民の先頭に立って全力で闘います。一切の弾圧を引き受け、はね返し、獄中の同志・友人と連帯して「反帝・反スターリン主義世界革命」と日本革命の実現のために全力をあげます。イラク反戦・有事立法粉砕闘争を空前の闘いとして爆発させ、その渦中で03年統一地方選挙を全力で闘います。
 そのためにこそ、革命党の質量の飛躍的強化が問われているのは間違いありません。党と党員はえりを正してこの時代に立ち向かうとともに、膨大な労働者・人民の海に包まれてこの事業をやりとげる覚悟です。そのためにも、労働者人民に、とりわけ青年労働者・学生に革共同への結集を呼びかけるとともに、年末一時金の絶大なカンパを心から訴えるものです。
 より一層のカンパが一切の闘争の前進を保証すると言っても過言ではありません。これまで以上の資金カンパをお願いします。

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週刊『前進』(2079号2面1)

11・10全国労働者集会

国鉄闘争弾圧に怒りの総反撃誓い イラク反戦・有事法阻止へ団結
 闘う統一行動を訴え 資本攻勢うち砕く03春闘へ
 日比谷野音に熱気満ち

 11月10日、「たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 大失業と有事立法とたたかう統一行動を 11・10全国労働者総決起集会」が、同集会実行委員会の主催で東京・日比谷野外音楽堂に3050人を集めて開かれた。全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3組合が呼びかけた5回目の11月集会である。集会は、吹き荒れる戦争と資本攻勢の嵐に対決する、例年以上の熱気と高揚感に満ちてかちとられた。とりわけ国労5・27臨大弾圧への激しい怒りが密集した力を生み出し、イラク侵略戦争、有事立法攻撃に対する危機感と結びつき、3組合の共闘のもとで、労働者の素晴らしい団結がかちとられた。国労弾圧に総反撃し、03春闘とイラク反戦・有事立法阻止闘争に総決起する不屈の拠点がつくり出された。また、アメリカと韓国の労働者からメッセージが寄せられ、国際連帯の集会となった意義は大きい。11・10集会は、日本労働運動の再生に向けた新たな闘いの出発点となったのである。(本紙・大沢康、アピール文などの全文と主な発言要旨は2、3面に別掲)

 国際連帯闘争のメッセージ

 晴れわたった空のもと、全国から結集した労働者が続々と会場を埋めた。正午過ぎ、動労千葉の田中康宏委員長が開会のあいさつに立った。@イラク侵略戦争と有事3法案に立ち向かい、A日本労働運動の現状を変革し、03春闘に団結を固めて立ち上がる、B国労5・27臨大弾圧を粉砕するための大運動を巻き起こす――という三つの課題を提起し、「この場から社会全体を揺り動かす闘いに立ち上がろう」と呼びかけた。司会は動労水戸の国分勝之委員長と自治労の女性労働者が務めた。
 連帯のあいさつとして、「1047名の不当解雇撤回、国鉄闘争に勝利する共闘会議」の二瓶久勝議長のメッセージを、動労千葉の君塚正治副委員長が代読した。共闘会議は100団体、十数万人の仲間を結集しており、「すべての闘う仲間とともに1047名の不当解雇を撤回させ、国鉄闘争に勝利するまで闘い抜く決意です」と訴えた。
 アメリカの港湾労働者連帯委員会共同代表(レイバーネット創始者)のスティーブ・ゼルツァーさんから「動労千葉労働者との連帯声明」が寄せられた。ILWU(国際港湾倉庫労働組合)港湾労働者に対するブッシュの攻撃がイラク人民に対する戦争政策と結合したものだとして、イラクに対する軍事攻撃に反対し、組合破壊に対する世界的規模の行動を呼びかけるものだ。動労千葉を支援する会が読み上げた。
 韓国の民主労総傘下の金属労働者被解雇者からメッセージが届き、同日、韓国で民主労総が主催した全国労働者大会に関生支部が代表を派遣したと報告された。
 川崎市職労港湾支部の代表は、陸・海・空・港湾労組20団体に参加している労働組合として、「STOP有事法制 12・1大集会」の成功のための協力を要請した。併せて自治体合理化に反対する闘いを訴えた。
 鉄建公団訴訟弁護団長の佐藤昭夫弁護士は、訴訟の意義と展望を明らかにし、国労組合員に対する弾圧を「労働組合を犯罪視する戦前の常識を復活させるものだ」と弾劾した。
 「憲法と人権の日弁連をめざす会」代表の高山俊吉弁護士は、国労弾圧について「戦争の危機が迫っている」との危機感を表明し、「日本の弁護士の40%が闘う労働者の前盾、後ろ盾として闘う決意を持っている」と発言した。
 「とめよう戦争への道!百万人署名運動」の小田原紀雄事務局次長は、イラクへの戦争と有事法制を阻止する運動を強めようと述べ、反戦と労働者の権利を守る闘いと反弾圧闘争を結合することを訴えた。
 沖縄からかけつけた宮城康博名護市議は、労働者が沖縄と連帯して闘うことを呼びかけ、「沖縄に新しい基地は絶対につくらせない。イラク攻撃に決然とノーの声を上げる」との決意を表明した。
 国労北海道闘争団から2本のメッセージが寄せられていることが報告された。

 3組合が闘いの課題を提起

 呼びかけ組合代表あいさつに移り、3組合がそれぞれの特色ある運動の観点を明らかにした。
 まず港合同の辻岡尚執行委員が、「倒産・リストラ、首切り攻撃と断固として闘い、膨大な不安定雇用労働者、未組織労働者の組織化に取り組もう」と述べ、倒産攻撃に対する港合同の闘いを紹介しながら「官公労に対する合理化攻撃と対決して闘うために、民間中小における反倒産闘争の経験と観点を生かしてほしい」と訴えた。
 関生支部の武谷新吾執行委員は、生コン産業での集団的労使関係を形成してきた産別運動を紹介し、02春闘では1カ月のストライキを打ち抜き、賃上げによる格差是正などをかちとったと報告した。そして「戦闘的労働運動の牽引(けんいん)車の役割を果たす。全国に元気な労働運動を発信しよう」と呼びかけた。
 動労千葉の中村栄一書記長は、今春闘の4日間のストと長期の非協力闘争で業務の外注化を跳ね返したと報告。また、国労への弾圧は1047名闘争陣形に対する弾圧であり、有事法制下の労働運動弾圧だと弾劾し、「密集せる反動を打ち破る中に勝利の道筋がある。全国ネットワークで攻撃を跳ね返そう」と訴えた。
 「拉致問題を口実にした排外主義攻撃をうち破りイラク侵略戦争反対、有事立法阻止の反戦闘争にたちあがろう」という特別決議をスタンダード・ヴァキューム石油自主労組の女性組合員が提案。決議は特に拉致問題についての労働者の立場を提起したもので、満場の拍手で採択された。
 続いて港合同の中村吉政副委員長が「国労闘争団と組合員に対する不当な大弾圧に抗議する共同声明」を提案。「関生支部も港合同も弾圧との闘いの厳しさを体験した仲間だ」と述べ、共同の闘いを呼びかけた。

 獄中と家族の訴えに大拍手

 大きな拍手の中、逮捕・起訴された国労組合員の家族らが登壇した。10月29日の第2次弾圧で逮捕された2人が勾留されている麹町署と中央署に抗議と激励のデモが、午前中に行われたことが報告された。集会には獄中の九州A闘争団の2人の団員と西日本エリアの5人の組合員からの熱いメッセージが届けられた。
 まず、九州B闘争団員が「不当弾圧を断固粉砕し、国鉄労働運動の荒々しい再生をかちとる」と訴え、獄中の闘争団員のメッセージを読み上げた。続いて西日本エリアの5人の組合員の家族が、それぞれ夫や父親のメッセージを紹介しながら「完黙で闘う夫たちと心をひとつに闘っている。一日も早く奪還するために支援をお願いします」と訴えた。惜しみない拍手と声援が送られた。九州A闘争団の2人の家族からも手紙が届いていると報告された。
 本州C闘争団員が「組合員を売り渡した国労本部を絶対許さない」と烈々たる決意を込めて、組合員の奪還と裁判闘争の勝利のためのカンパを訴え、80万円以上のカンパが寄せられた。
 決意表明に移り、沖縄行動団の20人が登壇した。6・23沖縄慰霊の日に「有事3法反対、小泉帰れ」と決起した宮城盛光北中城村議が、基地撤去を訴えて5期目の当選を果たしたことを報告した。沖縄バヤリース労組の柿本博人委員長は「反戦闘争と労働者の闘いはまったく同じ。新しい沖縄闘争のうねりをつくり出す」と表明した。
 全金本山労組の長谷武志委員長は、あくまでも2人の解雇撤回と全員の職場復帰を求めて闘う決意を明らかにし、「宮城と東北で闘う労働運動の陣形をつくる」と訴えた。
 「2002年11・10アピール」を関生支部の仁木吉光執行委員が提案し、拍手で採択された。
 動労千葉の滝口誠共闘部長が行動提起を行い、関生支部の高英男副委員長が閉会のあいさつを行った。
 高副委員長は、特に@国労の仲間にかけられた弾圧に対し、全国の仲間が反撃の陣形をつくること、Aアメリカが始めようとしているイラクへの戦争に反戦の旗を職場で高く掲げること――この二つを共通の認識にしようと訴えた。
 インターナショナル斉唱と団結ガンバローを港合同昌一金属支部の木下浩平執行委員の発声で行い、参加者は勢いよくデモに打って出た。呼びかけ3組合の大隊列を先頭に、「戦争反対、首切り阻止」のかけ声高く行進。銀座数寄屋橋では、沿道の労働者らがともにこぶしを振り上げた。東京駅前を通り、常磐橋公園まで長蛇の隊列が続いた。

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週刊『前進』(2079号2面2)

11・10全国労働者集会 呼びかけ組合代表あいさつ

 元気な労働運動発信 全日建運輸連帯・関生支部

 米ブッシュ政権は、イラン・イラク・北朝鮮を悪の枢軸と決めつけ侵略の準備を進めています。アメリカ資本主義の市場と覇権を守るための戦争です。小泉は日本を戦争をやる国に変え、アメリカの世界戦争に加担しようとしています。労働者が軸になり小泉構造改革と闘わなければ反戦・平和と生活権および団結権を守ることはできません。
 私たちは企業の枠を超えた個人加盟方式で、結成以来38年の歴史を持ちます。当初から資本、権力、暴力団が一体となった組合つぶし、刑事弾圧などの攻撃に対する闘いと、生コン産業における反独占・経済民主主義の観点で産業別運動を追求してきました。
 96年より大阪を中心に、生コン産業における共同受注・共同販売・現金回収・品質保証・適正価格などの協同組合型運営に取り組み、同時に集団交渉による集団的労使関係の再構築が実現され、この大不況下で、生コン産業の多くが中小企業でありながらも倒産・企業閉鎖はほとんどありません。しかし生コンの出荷の落ち込みにより過剰な生コン工場数が問題となり、現在、工場削減と労働者の雇用確保に取り組んでいます。
 02春闘では58カ所のサービスステーションで、生コン支部の歴史上初めて1カ月に及ぶストライキを打ち抜き、広域協同組合、経営者会などの大阪の生コン業界と業界民主化に向けた5項目を確認しました。また02春闘の粘り強い闘いの結果、今年10月18日の第7回共同交渉では、賃上げによる格差是正と、春闘を混乱・長期化させた経営側責任として解決金を組織に還元すること、年間一時金・福利厚生資金は昨年実績を支給することで合意しました。業界再編への政策諸課題については、10月中に各委員会を開催し、翌11月の労使による特別対策委員会で実行・解決への道筋を示すことになったのです。
 関西地区生コン支部は「他人の痛みは己の痛み」として、すべての労働組合にかけられた権利侵害に反対してともに闘う関生スピリットを堅持し、あらゆる産業の産別運動強化が多くの中小労働者が中心となる新たな日本の労働運動を展望する柱と考えています。
 私たちは、階級性を堅持し、戦闘的労働運動の再生をかちとる牽引(けんいん)車の役割を果たす決意です。今こそすべての闘う労組が結集し、全国に元気な労働運動を発信し、全国ネットワークをつくり出そうではありませんか。

 倒産・首切りと闘おう 全国金属機械・港合同

 港合同は本集会に、第一に大々的な倒産・リストラ攻撃、首切り攻撃と断固として闘おうということ、そして第二に膨大につくり出されようとする不安定雇用労働者と膨大な未組織労働者の組織化のために、さらに強く取り組もうということを訴えに参りました。
 99年4月以来、港合同は総計7件の倒産攻撃と闘ってきました。倒産攻撃との闘いは、その元凶である上部資本や独占に対する使用者概念拡大の闘いがなければ絶対に闘えない。そして独占・上部資本と闘うためには、倒産攻撃の中に隠された不当労働行為を追及する闘いがなければ展望を切り開くことはできない。
 例えばJAMの新潟鉄工への会社更生法の攻撃では、会社をばらばらに切り裂き、再建の名において労働者には8割方の退職金のカットを強制し、3年後には清算する。JAM指導部は反倒産の闘いをしなければならなかったはずではないか。
 これと対比して、港合同における大熊鉄工の闘いを紹介します。大熊鉄工は住友銀行の縮小攻撃、また住友銀行の債権回収によって自己破産のふちに入りました。しかし住友銀行に対する徹底した責任追及の闘いによって、闘いは見事に勝利し、今日もなお自主生産を継続しながら立派に職場を守っています。
 今日、官公労に対する合理化が本格的に始まっています。官公労の合理化攻撃と対決して闘うためには、民間中小における反倒産闘争の経験と観点をぜひ生かしてもらいたい。
 今日の倒産攻撃はさらに激しい。竹中の特別チームは、不良債権処理を大義として銀行の資産査定を厳格化することで、大々的な倒産攻撃をさらに加速しようとしている。
 もはや戦後の従来型の労働運動、企業内主義、単産内主義や産別主義ではだめだということをあえて強調したい。開かれた労働組合・労働運動として世の中を見なければならない。
 港合同は反倒産の激しい闘いを闘いながら、NPOという形で地域の労働者・住民と接点を拡大してきました。新しい労働運動を模索しなければならない時代です。
 一つひとつの闘いを真剣に闘い、一つひとつの労働相談を真剣にやることによって、必ず日本の労働運動を再建することができます。アメリカを中心とする新帝国主義、イラクへの侵略戦争と断固として闘いましょう。

 密集せる反動を破る 国鉄千葉動力車労働組合

 私たちは今年3月に4日間のストに立ち上がり、東西で02春闘総行動に決起しました。この闘いは、今春から強行が予定されていた業務の全面外注化攻撃を完全に跳ね返すなど、大きな成果を生み出しました。
 JRでは今、第2の分割・民営化攻撃がかけられています。しかし私たちは労働者が団結して闘えば必ず情勢は切り開かれるという確信を持ち、闘いの第2ラウンドに突入します。
 02春闘で労働者支配の基本構造が歴史的な転換点を迎えました。資本はすでに03春闘に向けて、全面的な賃下げを宣言しています。
 こうした情勢は、連合などの枠内に抑え込まれてきた労働者の怒りの声が噴き出し、労働運動の再生に向けた可能性が大きく切り開かれるということです。
 ブッシュ政権はイラクへ侵略戦争を開始しようとしています。世界戦争の危機が現実化しようとしています。昨年の9・11をもって世界は変わったのです。
 有事関連3法案は朝鮮・中国を想定した戦争法、国家総動員法です。連合は有事法制に賛成する5・16見解を発表しました。しかし、全国で連合傘下の労働者が立ち上がっています。われわれが本気になって組織して、なんとしても有事法制を廃案にしよう。
 国鉄1047名闘争も重大な岐路に立っています。4党合意は最後的に破産しました。今年4月に結成された国鉄闘争共闘会議は「1047名の不当解雇撤回」を掲げました。国労闘争団と全動労争議団、動労千葉争議団が加わって1047名です。4党合意でたたきつぶそうとした1047名闘争がより飛躍した闘いに発展しました。
 この闘いに対し、国家権力による大弾圧がかけられました。国労内の対立に権力が介入し、組合員を逮捕するとは、団結権を根本からたたきつぶす大弾圧です。この弾圧の粉砕へ大運動を巻き起こす決意です。
 一方、JR総連カクマルも内部から崩壊しようとしています。11月3日のJR東労組本部執行委員会で、副委員長以下8人の中執のカクマルが松崎に反乱を起こし、集団辞任しました。
 われわれはこの情勢に真正面から挑み、闘う労働運動の復権を実現する決意です。労働者の闘いは密集せる反動をつくり出し、この反動を突破する中に勝利の道筋があります。03春闘へ全労働者の団結を広げ、不屈に闘う仲間を全国ネットワークにして、この攻撃を跳ね返していきましょう。

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週刊『前進』(2079号2面3)

11・10全国労働者集会 2002年11・10アピール

 全国のたたかう労働者のみなさん
 いま歴史が大きく転換しようとしています。その中で労働者のあらゆる権利が奪われ、そして戦争の足音がそこまできています。
 戦後労働運動の基本的権利である団結権を基礎とした憲法―労働法制を根本から解体する攻撃が強まっています。NTT十一万人削減、郵政民営化、特殊法人の廃止・民営化、公務員「改革」など、企業再編リストラが全産業に吹きあれています。アウトソーシング、会社分割、企業の解散・縮小・統廃合などによる倒産・首切り、賃下げ、転籍、権利はく奪の攻撃が強まっています。そして年功制賃金、終身雇用制解体―不安定雇用化も急ピッチに進行しています。失業者がちまたにあふれ大失業時代が到来しています。
 資本は、〇三春闘で「ベースダウンも」「定昇は、定期昇降給に」と叫び、労働者に生活破壊を強要しようとしています。生活と権利が最終的に奪われようとしています。
 また、資本、警察、裁判所が一体となった刑事弾圧、損害賠償攻撃によるたたかう労働組合への治安弾圧が強まっています。もう我慢できません。怒りを解きはなち、闘いに起ちあがろうではありませんか。
 国鉄一〇四七名解雇撤回闘争は、いま重大な転換点をむかえています。「四党合意」の破産は、白日のもとにさらけ出されました。この不屈の闘いに追いつめられた国家権力は、国労本部一部反動分子をそそのかし、国労闘争団、組合員を不当逮捕するという団結権侵害の暴挙にうって出てきました。いまこそ一〇四七名を先頭とする国鉄労働者の闘いを支援し連帯する大きな輪をつくり出さなければなりません。
 この大失業と諸権利破壊、そして労働組合解体攻撃と一体となって戦争国家化の攻撃が激化しています。小泉政権は、「備えあれば憂いなし」と称して憲法を無視し戦争を遂行するために有事三法案を強行しようとしています。またブッシュ政権は、この十一月にも「フセインはアメリカの言いなりにならない」とイラク侵略戦争を開始しようとしています。全世界を巻き込んだ戦争が始まっています。
 アメリカの十・二六 百万人デモ、イギリス九月四〇万人デモ、ドイツ、オランダなど世界各地のイラク戦争反対の闘いとイスラム諸国人民に連帯し、イラク侵略戦争反対、有事立法阻止の闘いに全力で起ちあがろう。
 労働者は闘わなければ生きていけない時代に突入しています。労働者の怒りはかつてなく高まっています。労働者は闘いを求めています。いまこそ職場、地域で労働者の団結を強化し、闘う統一行動をつくり出そうではありませんか。労働者の未来は自らの団結と闘いによってのみきりひらかれます。私たちはたたかう労働組合の全国ネットワークをつくりだすことを全国のたたかう労働組合、労働者のみなさんに呼びかけます。
 本集会を出発点に、〇三春闘にむけて闘いを開始しよう!
 二〇〇二年十一月一〇日
 たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう! 大失業と有事立法とたたかう統一行動を
 十一・一〇全国労働者総決起集会 参加者一同

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週刊『前進』(2079号2面4)

 おしらせ

 ◆「資本攻勢&労働日誌」は6面に掲載しました。

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週刊『前進』(2079号3面1)

11・10全国労働者集会 団結自治への介入許さぬ 大弾圧に抗議する共同声明

 国労闘争団と組合員に対する不当な大弾圧に抗議する共同声明

 五月二七日の国労臨時大会は、与党三党声明の圧力に屈し、一五年間の長期にわたって名誉回復と解雇撤回・原地原職復帰を求めて闘ってきた国労闘争団に対し、統制処分を科し、生活援助金の支給を打ち切り、闘争団そのものを切り捨てることを決定する大会であった。
 国労闘争団をはじめ闘う国労組合員は、この方針決定に対して抗議し、かつ抵抗するために必死の想いで説得活動を試みた。
 労働者として譲れない正義感、人生をかけて闘い抜いてきたことを否定してしまおうとするものへの怒り、それは厳しいものではあるが、行動の態様としてはあくまで最低限の説得活動にすぎなかった。
 先の臨時大会から五ケ月後の十月七日、全国一斉に二名の闘争団と三名の国労組合員、及び三名の支援が逮捕された。十月二八日、「暴力行為等処罰に関する法律」違反を唯一の罪名として、闘争団と組合員五名と支援一名を起訴した。
 さらに十月二九日には第二次弾圧として、国労組合員二名が逮捕された。
 われわれはこの大弾圧に対し、断固として抗議するとともに、不当に逮捕された労働者らの即時の釈放を要求する。
 そもそも四党合意の攻撃とは何であったのか。
 政府・自民党が、直接乗りだし国労の組織に手を差し入れ、国労本部自らに「JRに法的責任なし」としてJRの採用差別等の不当労働行為責任を否定させ、全国各地の労働委員会命令と中労委命令を否定する最も卑劣で露骨な不当労働行為の攻撃であった。
 これは同時に闘争団に屈服を迫り、従わなければ闘争団の切り捨てを迫る攻撃であった。
 国労本部が闘争団の死活に関わる問題について、闘争団の意向を無視して四党合意受け入れを決定すること自体が重大な組合民主主義の否定である。
 二〇〇一年一月二七日続開大会において、国労本部が一〇〇〇名の機動隊を導入し、三分の一以上の反対の意志を踏みにじり、四党合意受け入れ決定したことは、少数意見の尊重という組合民主主義の基本的な精神の否定である。
 したがって闘争団と闘う組合員らがこの大会決定や経過に対して抗議するのは当然であり、権利である。
 四党合意の攻撃に対し、闘争団は国労の旗と伝統を守れと訴え、自分たちの人生をかけた闘いとして闘ってきた。
 この間、闘争団は困難な状況の中から、最高裁におけるJR採用差別訴訟への第三者参加申立を行い、新たに二八三名が鉄建公団を相手取り提訴し、九月から第一回公判が本格的に始動した。
 十一月二四・二五日定期大会に向けて、国労の存亡が問われ、闘争団の闘いの展望を切り拓くことが出来るのか否か問われていた。そこにむけた代議員選挙の告示の日に、今回の大弾圧が実行された。
 今回の刑事弾圧の特徴は何か。
 第一に、国労本部の誤りと責任は明確ではあるが、内部の問題であり、労働組合の方針は自らで決定するという団結自治に対する権力の介入であり、弾圧であるという点である。
 第二に、「暴力行為等処罰に関する法律」を適用し、「集団的暴行」をデッチ上げている。民間の労働争議への刑事弾圧の例を見る時、この「暴力行為等処罰に関する法律」と暴行・傷害をならべて逮捕・起訴する例はあるが、この「法律」のみの弾圧は皆無に等しい。逆に言えば暴行も傷害もなかったことの証拠である。
 今回の逮捕された労働者は、四党合意反対地労委闘争の申立人の当該であり、十一月定期大会に代議員として立候補の予定であった。
 一〇四七名闘争を先頭とした闘いによって、四党合意の破綻は白日のもとにさらけ出されている。その闘いに追いつめられた国家権力は、国労内一部役員をそそのかし一〇四七名解雇撤回闘争の分断・解体を意図してきわめて政治的な大弾圧にうって出てきた。憲法・労組法に保障された労働組合自身の団結自治の原則を権力自らが否定する蛮行である。
 この権力の弾圧に対し、地域や産別の違いはもとより、少々の路線や方針の違いを乗り越えて反撃に起ち上がることが労働運動の最低限の原則であり、原点ではないか。そして労働者階級として闘う団結を強化するための最大の教訓ではないか。
 この観点から、われわれは全ての労働者、労働組合に今回の国労闘争団と組合員に対する不当弾圧に対し、共に闘うことを訴えるものである。
 二〇〇二年十一月一〇日
 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部
 全国金属機械労働組合港合同
 国鉄千葉動力車労働組合

 国労つぶしと闘う 獄中の闘争団員から

 今回の権力の弾圧は、政府・自民党が「戦争と大失業の時代」の到来の中で、国労を解体し、すべての闘う労働組合を一掃しようとしてしかけてきたものです。これとの闘いの勝敗に、侵略と戦争、反動と暗黒の政治をうち破り、労働者人民の未来を切り開くことができるかがかかっています。たんに国労だけの問題ではないのです。
 私は、「闘争団員を処分する」「裁判闘争を取り下げる」ことなどを決めようとしていたこの臨時大会に対して、闘争団員の一人として反対し、その意思を表すために九州から上京しました。そして大会当日の朝、大会代議員など宿舎から出てきた組合員に向かって必死の説得行動を行ったのです。大会のたびごとに機動隊で制圧される大会会場では説得活動の余地などまったくなかったからです。
 こうした説得活動は国労組合員としてまったく正当な組合活動です。この説得活動の過程での出来事を口実に権力が介入することは絶対に許されません。
 今回の弾圧は、労働組合内に生じた路線対立に権力が不当に介入したものです。
 そして、逮捕・起訴の過程をとおして、国労本部が組合員を権力に売り渡したことがはっきりしました。権力が組合員に対して事情聴取と被害届の提出を強要したことを、国労本部が容認していたのです。
 このような国労本部にはもはや労働運動指導部を名乗る資格はありません。今こそ、国労本部を打倒し、闘う国労の再生をかちとるべきときです。なによりも11・24―25国労大会に向かって、国労闘争団と国労本体の組合員が国労本部の裏切りをうち破って立ちあがり、ともに闘うことを呼びかけます。
 私たちと家族への力強い支援をよろしくお願いします。ともに闘い、ともに勝利しましょう。
(九州A闘争団員の獄中メッセージ)

 一日も早く奪還を 組合員の家族の訴え

 私たち家族は、獄中で完黙で闘う夫たちと連帯し、心を一つにして闘っております。本日、この集会の前に、中央署と麹町署へ抗議と激励のデモを行ってきました。一昨日、29日に逮捕された2名の仲間の勾留理由開示公判に参加しましたが、裁判官はまたもや「国労組合員かどうか知らない」と言い放ちました。それに先だって、国労本部への申し入れに行きましたが、高嶋委員長ら幹部は、たぶん逃げたんだと思いますが、不在でした。20年も30年も国労に所属し、ともに闘ってきた組合員が、不当に逮捕され起訴までされているというのに、しかも同じ国労組合員の被害届によって起こっている事態なのに、「そんなことは知らない」と無視を決め込んでいる国労本部に対して、私たち家族の怒りは大きくなるばかりです。悔しくて悔しくてたまりません。
 一日も早く私たち家族のもとへ、そして仲間のもとへ、夫たち、お父さんたちを奪還するために、私たちは全力で闘います。皆さんのご支援をよろしくお願いいたします。
(近畿地本組合員家族)

 大裁判闘争の勝利へ協力を カンパアピール

 ついに国労本部は自民党の手先、警察権力の手先にまで成り下がってしまいました。本部執行部は、完全に与党側から見捨てられているにもかかわらず、今の今まで4党合意による解決を叫んでいます。完全に4党合意は破産したのです。このまま11月の定期全国大会を迎えるならば、彼らが責任をとって総辞職しなければなりません。そのことが明白に突きつけられていたがゆえに、4党合意に反対して闘う組合員、なかんずく除名を迫られている私たち闘争団の組合員がどれほどの怒りをもって本部を見据えているのか、それへの恐怖と反動として今回の弾圧があったんです。絶対に許すことができません。必ずや本部を打倒するために、全力で闘います。
 なんとしても保釈をかちとらなければなりません。始まるであろう裁判を大裁判闘争として勝利させなければなりません。獄中の仲間は、一人として意志を曲げることなく完全黙秘・非転向で闘い抜いています。必ず奪い返します。どうか私たちに協力して下さい。
 (本州C闘争団員)

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週刊『前進』(2079号3面2)

11・10全国労働者集会 連帯のあいさつ

 新基地建設は絶対許さない 名護市議会議員 宮城康博さん

 この7月、私の住む名護市の海をつぶして、新しい米海兵隊航空基地をつくるという基本計画に、国と県、市が合意しました。
 沖縄は施政権が日本に返還されてから30年、公共工事依存の体質をつくられてきました。「公共工事がなくなったら大変だ」と政府と協調する行政の長が新基地をつくろうとしている。
 しかし沖縄の人間がこのまま基地建設を容認していくことなどありません。名護市民は97年に住民投票を行い、新基地建設反対の意思を明確に示しました。今年の市議選で私は、新基地建設は絶対許さないという一点を主張し、トップ当選しました。新基地建設を阻止し、すべての米軍基地をなくすために闘います。
 米国のイラク攻撃に沖縄で決然とノーの声をあげるため、労働者人民の動きをつくり出そうとしています。今こそ私たちが旗幟(きし)鮮明にして闘いの声と行動をあげる時です。ともに頑張りましょう。

 反戦と反弾圧を結合する時 とめよう戦争への道! 百万人署名運動 事務局次長 小田原 紀雄さん

 アメリカは湾岸戦争でイラクに劣化ウラン弾を百万発も打ち込み、今も多くの子どもたちが白血病で亡くなっています。そして今、全面的にイラク侵略戦争をしかけようとしています。アメリカは史上最悪の暴力主義的で膨大な民衆を巻き込む戦争をしかける国家です。それに有事法制で参戦しようとする日本の政府。こんな時代を次の世代に受け渡すことはできません。
 解雇・倒産でその日の暮らしに困っている人が膨大に出ています。こういう人びとが生活と権利を守るために闘い、日本帝国主義を打倒し、資本と国家のど真ん中を打ち抜く方針を見いださなければならない。
 国労の労働者への弾圧は、闘う労働者はたたきつぶす攻撃が開始されたということです。反戦と、労働者の生活を守る闘いと、反弾圧闘争を結合すべき時です。労働者階級こそこれを同時に闘うことができる。ともに頑張りましょう。

 有事法制との闘いは正念場 川崎市職労 港湾支部

 私たちは陸・海・空・港湾労組20団体に参加し、有事法に反対してきました。有事法との闘いは今が正念場です。「STOP有事法制 12・1大集会」の成功へご協力をお願いします。
 有事法制は、97年の新安保ガイドライン以来、着々と計画されてきた、アメリカと日本がアジア・北朝鮮へ攻めるための法律です。
 アメリカ西海岸の港湾労働者は今、タフト・ハートレー法を粉砕して闘っています。日本でも昨年、港湾労働者が、インド洋への自衛艦派遣の弾薬輸送を拒否し闘いました。自治体労働者も「戦争協力はしない」と宣言しています。北海道、横浜、川崎、東京など各地で、港を戦争に使うことを許さず闘っています。

 戦時司法阻み連帯して闘う 憲法と人権の日弁連をめざす会代表 高山俊吉さん

 イラク侵略戦争の危険が目前に迫っています。拉致問題の陰に隠れて有事立法の準備が着々と進められ、成立の危険も目前に迫っている。この時に、闘う労働者の皆さんが全国から結集され、この立場に立とうと考える弁護士がここに一堂に会している。
 闘う国労組合員に対するきわめて卑劣な攻撃は、本当に許せないと思います。
 司法が今、侵略戦時司法になろうとしている。2年前の日弁連の臨時総会でのきわめて権力的な議事進行に異議を申し立てた弁護士たちに、懲戒請求がかかった。しかし全国の弁護士が声を上げ、つい最近、私たちは東京弁護士会、第二東京弁護士会で完全勝利の決定をかちとりました。
 私たちは、闘う国労の仲間、闘う労働者と連帯いたします。私たちの闘いの背景には日本の弁護士の40%がいる。戦時司法を許さない闘いを、皆さんとともに最後までやりぬきます。

 弾圧への反撃の第一歩を! 鉄建公団訴訟弁護団団長 佐藤 昭夫さん

 JRが採用差別をしたのは国鉄が差別名簿をつくって設立委員会に出したからだ、国鉄も共犯じゃないかということで、鉄建公団を相手に訴訟を起こしたわけです。今年の7月、東京地裁は、訴訟救助の決定をした。勝訴の見込みがすでに開かれている。横浜人活事件の判決でも、3年間の雇用対策特別措置がなくなると身分は失われるという根拠は崩れている。
 そういう状況で、10月7日に弾圧をやってきた。4党合意を認め、闘争団員を除名する大会は開くなという説得行動にあたった人たちを逮捕・起訴した。
 10月24日、東京高裁は国鉄再建という特別の状況のもとで行われたものだから差別をしても許されるという判決を出した。
 これにあわせて、労働運動を犯罪視する弾圧が加えられている。許すわけにはいかない。本日の集まりも、それへの反撃の大きな一歩にしていただきたい。

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週刊『前進』(2079号3面3)

11・10全国労働者集会 特別決議

 拉致問題を口実にした排外主義攻撃をうち破りイラク侵略戦争反対、有事立法阻止の反戦闘争にたちあがろう
 アメリカブッシュ政権は、アフガニスタンにつづいてこの十一月にもイラク侵略戦争を開始しようとしています。イラク人民は、九一年のアメリカによる湾岸戦争とそれ以降の経済封鎖で二百万人が殺されました。そして「テロ根絶」の名のもとに民族総殺りくの戦争を強行しようとしているのです。またアメリカは北朝鮮への戦争政策を強め世界戦争を開始しています。
 小泉政権は、このブッシュの世界戦争政策にまっ先に支持と協力を明らかにして有事立法、戦争国家化を推進しています。小泉政権の「日朝国交正常化交渉」は、この戦争政策の一環として推し進められています。
 いま新聞、テレビなどで宣伝されている拉致問題について労働者はどういう立場に立たなければならないか。
 日本の植民地時代における数百万人の強制連行こそ国家による大規模な組織的拉致そのものでした。そして二〇万人に及ぶ軍隊慰安婦問題、関東大震災における朝鮮人大虐殺などの日本の国家犯罪に対してこれまで一片の「反省・謝罪・賠償」も日本政府はしてきませんでした。そして戦後においても日本政府は五〇年朝鮮戦争、六五年日韓条約など南北分断、北朝鮮敵視―戦争挑発を一貫してとり続けてきました。このなかで北朝鮮による拉致事件がおきたのです。
 私たちはこの拉致事件を断じて認めることはできません。しかし今回の「正常化交渉」では、この国家犯罪を拉致問題を口実にごまかし否定し、「経済協力方式」を北朝鮮に強制しているのです。この国家犯罪を許してしまった日本の侵略の歴史をぬきに、拉致問題を云々するのは正しいあり方とはいえません。
 小泉政権は、この拉致事件を口実に家族の怒りや悲しみを利用し政治問題の道具にして「北朝鮮はテロ国家だ」「制裁を加えろ」と不審船問題、核、ミサイル問題とからめて北朝鮮敵視政策、排外主義をマスコミも動員して世論誘導する攻撃をかけてきています。そのなかで在日朝鮮人に対する嫌がらせ、脅迫、暴行事件が増えています。「もの言えばくちびるさむし」という真実や正しいことがいえない状況をつくり出し、その先に有事立法、改憲、戦争を強行しようとしているのです。
 いまわれわれ日本の労働者に問われていることは、南北朝鮮労働者人民と交流を深め、朝鮮人民の南北統一の闘いに連帯し闘いぬくことです。そして拉致問題を口実にした北朝鮮敵視政策―排外主義の攻撃をうち破り、イラク侵略戦争反対、有事立法阻止のたたかいに起ちあがることです。アメリカ、イギリス、韓国など世界各地でイラク戦争反対のたたかいがはじまっています。世界各地の反戦闘争、イスラム諸国人民と連帯し、イラク戦争反対の闘いをまき起こそう。臨時国会で有事立法を廃案においこもう。
 右、決議する。
 二〇〇二年十一月一〇日
 十一・一〇全国労働者総決起集会 参加者一同

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週刊『前進』(2079号3面4)

国労の誇りかけ (10) ●インタビュー 国労闘争団
 国労の新生は時代の要請だ どんな犠牲も恐れず執行部を打倒する大会に
   本州J闘争団 Eさん

 絶対許せぬ弾圧

 ――国労組合員が逮捕・起訴された大弾圧をどう受け止めていますか。
 E 国鉄闘争は国家権力との非和解的激突の段階に入っています。国労の中から、小なりといえど新潮流が生み出されて、チャレンジや革同の支配する国労から新しい国労に生まれ変わろうとしている。4党合意との攻防の中で絶対反対派が形成され、敵や国労本部への大きな脅威になっている。弾圧はそういう状況だから起きたと思います。
 組合の方針をねじ曲げる執行部に対して、異議を唱え、説得することが犯罪視されている。台頭する新潮流を、権力とそれを支えるチャレンジ、革同が押しとどめようとする攻撃です。組合員に手をかけることを本部が許し、首を切られた闘争団を売り渡した。自分の行動、闘い、言葉で人を納得させられないから、権力にすがった。絶対にしてはいけないことです。
 普通なら多少行き過ぎがあっても、組合内部の問題として議論するでしょ。組合の中では、灰皿が飛ぶような議論だってある。7・1臨大での演壇占拠については、本部は後に「混乱の責任は本部にある」として総辞職した。問題を執行部が引き取るのが当たり前です。今回の弾圧はあまりに常軌を逸している。闘争団の本部への要請行動の中でも激しい議論、説得はあったけれど、今後はそれも全部犯罪になる。
 こういう弾圧に対しては、敵のいやがることをやることです。ますますJR攻めをし、本部への要請を強化して彼らの本質を暴く。大裁判闘争の陣形をつくり、権力に失敗だったと思わせなければならない。
 ――目前の国労大会の課題は何でしょうか。
 E 3党声明と甘利発言があって4党合意はもう破産しています。本部は総辞職して責任をとらなければならないのに、組合員を売り渡してまで居座ろうとしている。どんな犠牲も恐れず、執行部を打倒する大会にすることです。全国から組合員がはせ参じ、7・1のように総力で権力を粉砕して、新執行部を立てる大会にしなければいけない。
 国労の新生は絶対に必要です。4党合意をたたきつぶして、チャレンジと革同を打倒することは時代が要請している。国労の再生とは、社会党や共産党が支配する元の国労に戻るということではないんです。階級的で原則的な路線を打ち立てる以外に、国労は国労たりえなくなっている。

 相手はJR資本

 ――これまでの国労を総括する必要があるということですか。
 E これまで国労は分割・民営化反対闘争を正しく闘えなかったと思う。分割・民営化の時もせいぜい5000万署名をするだけで世論にゆだねてしまい、組織を挙げての闘争ができなかった。自分を主体に置かない、主体的に闘わない。55年体制のもとでの指導部の限界の問題です。職場にはストをやる雰囲気はあった。そのあかしが修善寺大会のエネルギーです。
 しかし国労は、政府・JRとまともに闘う形をつくれないまま来てしまった。何もしないで分割・民営化の後も生き残った。それが今も尾を引いている。本体の中で闘って生き残るという経験、蓄積がないまま、闘わなくても生きていけるんだという悪い教訓を得てしまった。その総括が問われているのではないか。
 国労の大部分はJR本体の組合員です。JR組合員がJRと闘うのは当たり前のこと。しかし、それがあいまいにされてきた。4党合意がどうのこうのと言う前に、JR資本と対決する主体性がないと、闘争団を本体から切り離して国労をつぶすという攻撃の構図が見えてこない。
 われわれが相手にしているのはJR資本とその手先のJR総連革マルです。それを串刺しにする闘いを国労の基本路線に据える。闘う執行部とは、それを路線にし、指導できる執行部ということです。その意味で動労千葉の闘いは私たちにとって先達だと思います。
 ――JR資本やJR総連との対決が重要だと。
 E JR総連は国労を「会社倒産運動」と非難したが、国労が「そうではない」と言ったら同じになってしまう。JR総連と路線的に対決できないまま8・30路線が出てきた。8・30で国労は企業防衛路線に入ってしまった。それが改革法承認を許し、4党合意を許した。「会社の発展に尽くす」と約束し、分割・民営化を認めないということもあいまいになった。それは、闘争団をゼロにするということに必然的になる。

 闘って勝ちたい

 ――それを許さずに闘争団は闘っていますね。
 E 闘争団は誰一人として闘いをやめようと思っていない。そもそも、いやな人を無理やりやらせて始めた闘争ではなく、一人ひとりが主体的に始めた闘争なんです。闘って勝ちたい。生き様を歴史に刻みたい。美幌闘争団家族の三浦さんは、「夫の名誉、生き様が正しかったということだけしかない。しかしそれを獲得するために闘う」と言っているけど、それを誰が否定できるんですか。
 絶対に勝てるということで始めた闘いではない。90年解雇の時には総評も県評も地区労ももうなかった。闘い始めた時に「展望がある」なんて言える人は誰もいなかった。しかし、闘いの過程で、多くの労働者の支援を得てきた。
 執行部が誤りを犯し、戦線が乱れても、闘争団は闘い、勝利を求めている。展望は自分たちでつくれると思っている。4党合意という政治的作文で、それを踏みにじることは許せない。
 4党合意との攻防の中で、正義の確信をもって闘いをやめない者が生まれてきた。1047名支援の共闘会議が結成され、新しい決起が始まった。そこに展望を見いだしています。
(聞き手/本紙・長沢典久)

 ●8・30申し入れ

 96年8月30日、国労本部はJR各社に「『改革法』に基づいて推移している現状を認める」「JR各社の発展に寄与する」などを内容とする申し入れを行った。これは本部の屈服の重大な転機になった。

 ◎取材メモ

 8・30申し入れ以来、国労本部の屈服路線を厳しく批判してきたEさん。そのころはEさんの主張はなかなか受け入れられなかったという。しかし、「今は闘争団全体が私の立場にどんどん近づき、仲間が増えている」と語る。国労の真の再生へ、決意は固い。

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週刊『前進』(2079号4面1)

銀行の貸しはがしで失業激増
最悪の「総合デフレ対策」 不良債権処理も中途半端に
 島崎 光晴

 小泉政権は10月末、「総合デフレ対策」と「金融再生プログラム」を決めた。小泉・竹中は、大手銀行に即座に強制的に公的資金を投入して国有化し、不良債権を一気に処理する強硬路線をとろうとしていた。しかし、実際はこの路線が通らず、またも問題先送りの対策にとどまった。これで不良債権の危機の本格的噴出、恐慌の全面的爆発は確実となった。しかも、中途半端とはいえ、「不良債権処理の加速」は、大銀行の貸出資金の回収=貸しはがしを引き起こしつつある。従来とは比較にならない、企業倒産と失業の嵐が吹き荒れようとしている。今こそ、小泉「構造改革」を粉砕する時だ。

 即座の銀行国有化を狙った竹中原案

 竹中経済財政・金融担当相は内閣改造後、プロジェクトチームを設けて新しい不良債権対策を決めた。この「竹中原案」は、一斉に強制的に大手銀行に公的資金を投入して国有化し、不良債権問題を一気に処理しようとする内容だった。
 具体的には、@°銀行が持つ資産を、不良か否か厳しく査定する″。従来、実質的には不良債権になっているにもかかわらず、銀行の自己査定は不良債権を少なくごまかしてきた。そこで、昨秋から今年初めに金融庁の特別検査が行われた。この特別検査もあって、大手13行の不良債権残高は1年前に比べて9兆円も増加、実に1・5倍にもなった。これをさらに厳しく査定するという案だ。
 不良債権として査定すると、銀行は貸倒引当金を増やす必要がある。債権額に対する引当金の割合を引当率という。業績が悪化している「要注意先債権」なら引当率は5%ほどですむが、元本や利息の支払いが遅れている「要管理先債権」では20%ほどになる。
 しかも原案では、°引当金の計算方法も変えて厳しくする″とした。従来は、貸出先の過去の倒産確率から引当率を計算していた。実際は、それ以上に倒産が続出した。このため、倒産時に不良債権を処理すると引当金では足りなくなり、必ず追加損失が生じた。そこで原案では、°将来の損失をおりこんで引当率を計算する″とされた。これは「割引現在価値方式」と言われる。この方式にすると引当率は、「要注意先」は5%から20%に、「要管理先」は20%から30%に跳ね上がる。これだけで、大手行で6〜7兆円もの追加引き当てが必要となる。
 A°自己資本の計算方法の変更″。銀行の自己資本には、繰り延べ税金資産が組みこまれている(一口解説)。払いすぎた税金を「将来は戻る」と見込んで自己資本に算入しているわけだ。税効果会計として認められてきた。しかし、赤字決算の場合は税金は免除されるので、繰り延べ税金資産として自己資本に算入したカネは実際の資産にはならない。だから単なる帳簿操作上のカネにすぎない。そうした架空の資産が大手行だけで今年3月期に総額8・2兆円に及ぶ。
 竹中原案は、この税金繰り延べ資産の自己資本への算入を°04年から中核的自己資本の10%以内に制限する″とした。この通りに進めると、4大金融グループの自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)は4〜7%台に低下する。国際業務を展開する銀行の自己資本比率は8%以上でなければならないが、それを割りこんでしまう。
 B以上のような措置で自己資本が少なくなった銀行については、公的資金を強制注入して、「公的支援銀行」=国有化とする。
 99年の公的資金の投入では、銀行が発行する優先株を国が買い取る形をとっている。国に対する株式配当ができなくなると、優先株が普通株に転換する。優先株には株主総会での議決権がないが、普通株にはあり、これで名実ともに国有化となる。今回の原案は、普通株への転換について°運用ガイドラインを整備する″と具体化した。
 さらに、この公的資金の注入と同時に、°銀行経営者の責任を追及する″とした。しかも重大なのは、°年内に辞職する者は責任を問わないが、来年1月以降に自己資本不足に陥った場合は責任を厳しく追及する″と、非常に緊急のこととしたことだ。
 以上、竹中原案の最大ポイントは、銀行国有化をほとんど自己目的にして、査定と引き当ての厳格化、税効果会計のルール変更という二つの新しい手法をとることにある。自己資本が減少した銀行は経営責任者を更迭して国有化する、それも年内にも即、断行する案だ。大手行幹部は「実行されれば大手行の半分は国有化されていた」と言う。そして、こうした国有化をテコに、不良債権の相手である過剰債務企業を大々的に整理・淘汰(とうた)することを狙ったのである。

 強硬路線におじけまたも問題先送り

 では、なぜこのような強硬路線が出てきたのか。それは、これまでの不良債権処理策が総破綻(はたん)し、もはや強硬路線以外になくなったからだ。
 バブル崩壊後、銀行が処理した不良債権の総額は90兆円にもなる。しかし、デフレと地価・株価の下落で、不良債権が新規に発生しつづけている。今年3月期決算では、大手行は不良債権を5・5兆円処理したが、新規に14・6兆円もの不良債権が発生した。
 一方、本来なら「要管理先」より1ランク下の「破綻懸念先」に当たる企業についても、債権放棄などの金融支援をして存続させつづけている。過剰債務企業は温存されたままで、先送りが繰り返されてきた。
 にもかかわらず、銀行は今年3月期決算で体力を使い果たした。従来は銀行が保有する株式の含み益を吐き出して不良債権処理に充ててきたが、3月期には株価下落で株式含み損に転じてしまった。このため、自己資本の一部である法定準備金を取り崩さざるをえなくなった。
 しかも、従来の銀行救済策も功を奏さなかった。銀行から不良債権を買い取る整理回収機構(RCC)、銀行から株式を買い取る銀行等保有株式取得機構も、思惑どおりに機能していない。業を煮やした日銀は9月に、銀行が保有している企業の株式を直接買い取るという非常手段を決めた。
 そしてこの9月、10月に危機が急進展した。株価暴落で株式含み損は5兆円にも膨らんだ。含み損の6割を自己資本から差し引く決まりとなっている。このため、9月末時点では、大手行の自己資本がほぼ枯渇(こかつ)した。
 こうしたすべての結果、竹中案が出てきたのだ。竹中のプロジェクトチームに入った経営コンサルタントの木村剛は、不良債権処理は「あいうえお」が原則だと言っている。
 「あっという間にやる」
 「いっせいにやる」
 「うむを言わさずやる」
 「えこひいきしない」
 「おわらせる」
 短期間で、一斉に、強制的に大銀行を国有化して、不良債権問題を「終わらせる」という路線だ。銀行ではもはや対応することはできず、国家が全面介入して即刻対処するしかなくなったのである。
 しかし、銀行と与党の大抵抗で、この原案は採用されなかった。もちろん、原案にしろ実際に決まった案にしろ、大銀行を救済する目的であることに変わりはない。とはいえ、竹中案は国家の全面介入によって不良債権の処理と過剰債務企業の淘汰を図ろうとするものであり、小泉改革の破産、根本的には資本主義としての破産を公認するものだ。さらに、市場原理にまかせれば、恐慌が激化するだけでなく、米欧資本が日本の大銀行・大企業を買収する可能性もあり、それを国家が楯(たて)となって防ごうとするものだ。いずれの点でも、もはや資本主義の市場原理では、不良債権問題の収拾はつかなくなったことを意味する。にもかかわらず、資本主義としての自己破産や市場原理の一時休止というのは、個々の資本家としては簡単に認めることはできない。

 恐慌の本格的爆発は必至だ

 この結果、総合デフレ対策の一環として出された「金融再生プログラム」は、次のようになった。
 上記の@の査定と引き当ての厳格化についは、原案どおりとなった。担保不動産の評価の見直し、融資先企業の再建計画の再検討、大手行への特別検査の再実施なども盛り込まれた。いずれも査定と引き当てをますます厳しくする。
 Aの繰り延べ税金資産の自己資本への算入制限については、「速やかに検討する」とされたものの、実施時期は明示されず。
 Bの国有化と経営責任追及については、原案の枠組みどおりだが、原案のような°即刻実施″という内容ではなくなった。
 結局、°税効果会計ルールの変更→自己資本不足→銀行を即座に一斉に強制的に国有化″という原案とは、まったく違うものとなった。竹中は「失敗」と批判されるのを恐れて、「原案の骨格はすべて生きた」と称しているが、それは虚勢だ。原案の核心部分は吹っ飛んだのである。その意味で、不良債権問題はまたも先送りされたのだ。
 今後、不良債権問題と株価暴落・デフレ悪化の悪循環がさらに進まざるをえない。政府は、弱い銀行には公的資金を投入して国有化しようとするだろう。しかし、どうあがいてももはや鎮静できない。ついに、不良債権の危機が最高点に達する時がきたのだ。

 企業倒産ラッシュで失業700万人にも

 このように原案の核心は吹っ飛んでいるにもかかわらず、しかし「再生プログラム」を機に不良債権処理は急加速しようとしている。いわば°大手術はしないので危機の大本はそのまま、その代わり相当の劇薬を飲む″ということだ。
 まず@の査定・引き当ての厳格化。引き当ての新しい方式が採用される。このため、来年3月期の不良債権処理損は約2・5兆円の見込みだったが、引き当て強化で6兆円まで膨らむとの試算もある。この損失を穴埋めする余裕は銀行にはもはやない。またも法定準備金という自己資本を取り崩すしかなくなる。
 Aの繰り延べ税金資産の自己資本算入の制限については「速やかに検討する」のだから、これに備える必要に迫られる。実際に来年3月期決算で早くも、自己資本への算入額が適正かどうか点検される。これで自己資本額は目減りする。
 銀行は今でも自己資本が枯渇している状態である。そこにさらに、今回の「再生プログラム」が加わり、自己資本の一層の圧縮が必至となった。自己資本比率8%をなんとか維持するためには、自己資本=分子の減少に対応して分母の資産=貸し出しを削るしかなくなる。つまり貸出資金の回収、貸しはがしだ。
 °かりに繰り延べ税金資産の自己資本算入額を竹中原案どおりにすると、大手7行で72・5兆円の貸しはがし″との試算がある。都銀の貸出総額が約250兆円だから、ものすごい額だ。すでに4大金融グループは、02年度中にリスクのある資産を計30兆円圧縮する見通しである。
 みずほ銀行は、総合デフレ対策の決定直後に、大規模な貸しはがしを発表した。今年度内に業績不振の取引先400社について再建可能か否かを判断し、事実上破綻している大企業約150社については不良債権を最終処理する、との内容。大企業150社をつぶすということだ。企業の選別と切り捨てが一斉に始まろうとしている。
 従来も銀行の貸し渋り・貸しはがしで企業倒産と失業が増加してきたが、それとは比較にならない事態となる。UFJ総研の試算では、「不良債権処理の加速」による企業倒産の続出で165万人が失業し、失業率は現在の5・4%より1〜2ポイント上がると予測している。かりに繰り延べ税金資産の算入額を竹中原案どおりにすると、332万人が失業して失業者は700万人弱、失業率は4・9ポイント上昇して10%を超すとの試算もある。700万人は埼玉県の総人口に匹敵する。
 もともと不良債権の相手は、過剰債務と不採算にあえぐ膨大な企業である。小泉・竹中の「構造改革」とは、その企業を強制的に淘汰するところにある。大銀行・大企業が生き延びるために、ひたすら労働者人民を犠牲にしようとするものだ。資本攻勢もいよいよ本格化する。03春闘は、資本攻勢との対決の正念場となった。

 自己破産した資本主義経済

 小泉政権は労働者人民の批判をかわすために、総合デフレ対策に、竹中原案にはなかった「産業再生」案を盛り込んだ。政府と民間が出資して「産業再生機構」を設け、再建可能な企業を選んで、その企業向けの債権を銀行から買い取る、というもの。
 しかし、整理回収機構が思惑どおりにならなかったように、この「再生機構」もほとんど実質を持たない可能性が大きい。そもそも日本経済が厳しい過剰資本状態にある中で、資本主義的な意味で「再建可能な企業」がありうるのか。「再生機構」が債権を買い取っても、企業を再建できないとなると、「再生機構」は単なる°不良債権の長期塩漬け機関″となる。かりに大量の資金で債権を買い取るのであれば「再生機構」は実質を持つが、それは新手の政府機関による公的資金の投入そのものだ。
 それにしても、国家が介入して「企業再生」をやるというのだ。竹中は市場原理を信奉し、「日本経済の潜在力を引き出せば再生できる」「競争力を高める唯一の方法は競争すること」と言ってきた。ところが今回の政策は、国家が乗りだして直接に個々の民間企業の生き死にを決め、淘汰・再編を進めるというものだ。これもまた、小泉改革の大破産、市場経済を基礎とする資本主義としての自己破産以外の何ものでもない。
 さらに、総合デフレ対策には、雇用対策・中小企業支援などの「セーフティネット(安全網)の拡充」もあげられている。しかし、中身はなんの目新しさもなく、これまで検討していた項目の列挙でしかない。単なる看板の掛け替えだ。
 かつては「IT(情報技術)で新規産業と新規雇用」などと銘打っていたが、ITバブルの崩壊でそうも言えなくなり、何もなくなった。国家財政もパンクしており、財政面からのテコ入れも容易ではない。小泉は「国債30兆円枠は今年度まで。来年度は枠がない」として、財政拡張の気配も見せている。しかし、かりに財政拡張に転じるなら、国債増発の懸念から国債価格が暴落し、長期金利が上昇し、銀行の保有国債に膨大な含み損が生じる。もはや八方ふさがりだ。
 さらに、今回の総合デフレ対策には、本来の意味のデフレ対策は何もない。しかも、このような恐慌対策を実施する時期が、よりにもよって最悪である。米経済が本格的な恐慌に突っこみつつあるからだ。米軍のイラク侵略戦争の開始と戦争の長期化は、米経済への最後のひと差しとなるだろう。このように世界大恐慌が本格化する真っただ中で、不良債権の中途半端な処理策に突っ込もうというのだ。竹中原案は手直しされたとはいえ、日本の恐慌の全面的爆発の引き金とならずにはおかない。
 今や日本経済は真の危機を迎えた。資本主義としての自己破産を示す日帝に対し、労働者階級は日帝打倒の立場を鮮明にして決起しなければならない。この戦闘精神で、危機にあえぐ日帝の戦争と大失業の攻撃を打ち破ろう。

 ◆一口解説◆ 繰り延べ税金資産

 

 繰り延べ税金資産とは、払いすぎた税金を「将来は戻る」とみなして、銀行が自己資本に算入するもの。
 図の例では、A銀行が経営難のB社への債権に、利益の中から400億円の貸倒引当金を積んだとする。この時点では、この引当金も含めて課税される。法人税率40%とすると、1000億円の利益のうち400億円が税となる。
 翌年にB社が破綻すると引当金の400億円は損失となる。A行が支払う法人税はその損失を差し引いた600億円に税率をかけた240億円で済む。税負担は、400億円マイナス240億円で160億円軽くなる。これを税金の前払い分として、あらかじめ自己資本に算入する。
 繰り延べ税金資産は、不良債権を処理し引当金を積めば積むほど増える。しかも、99年の公的資金の注入は、銀行の優先株を国が買い取る形をとっており、公的資金が自己資本に算入されている。グラフのように、大手銀行の自己資本は繰り延べ税金資産と公的資金を除くと激減する。

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週刊『前進』(2079号4面2)

有事立法徹底批判 (8)

 強制動員の手続きを明確化 自衛隊法改正案B 違反者に懲役6カ月

 徴発・徴用の不備

 自衛隊や米軍が作戦行動をとるためには、大量の物資が必要となる。武器・弾薬などの軍需物資に限らず、燃料、飲料水や食料、毛布や衣類、医薬品が必要だ。自衛隊が備蓄している分だけではとてもまかなえない。また大量の物資の供給だけでなく、物資と兵員などの輸送力(トラックなどの輸送手段と運転手)の確保も必要である。兵士の宿舎や病院(医療従事者)なども大量に必要となる。
 現行の自衛隊法第103条は、これらの事態−自衛隊が防衛出動したときの物資の収用や労働者の徴発を規定した条文だ。
 具体的には以下のようになっている。
 @自衛隊の展開地域で、病院や土地や家屋などを管理・使用し、物資の生産・集荷・配給・保管・輸送を業とする者に物資の保管を命じ、物資を収用する権限を都道府県知事に与えている(103条第1項)。
 A自衛隊の展開地域以外の地域(首相が告示した地域)でも、施設の管理、土地などの使用、物資の収用、取り扱い物資の保管を命じることができる。また医療・土木建築工事・輸送などを業とする者に従事命令を発する権限を知事に与えている(同条第2項)。
 しかし、現在は、@業務従事命令の対象となる者の範囲を定めた政令がない(同条第4項)。A施設管理、土地などの使用、物資の保管命令、物資の収用、業務従事命令などの手続を定めた政令もない(同条第5項)。Bまた徴発や徴用の当事者に対して公用令書の公布が必要だが、公用令書の公布手続きも定められていない。Cまた補償や費用の負担方法も定められていない。これらによって現行の自衛隊法第103条は実際上は発動できない状態にある。

 死亡率の高さ

 ここで第103条第2項の業務従事命令(労働者の戦争動員)に関連して少し確認しておきたい。
 @一般に、武器・弾薬、その他の軍需物資や兵員の供給・輸送を担う兵站(へいたん)=後方支援部隊は、戦闘部隊以上に危険にさらされる。
 戦闘部隊は、戦闘に必要な武器・弾薬・燃料・交換部品や飲料水・食料・衣類などが後方支援部隊から供給されなければ、戦闘を継続できない。だから戦争のセオリーとしては、「敵」の戦闘能力を低下させるには、重武装で反撃が予測され、味方にも大きな損害がでる可能性が高い戦闘部隊を攻撃するより、兵站=輸送部隊を攻撃する方が安全だし効果的である。
 実際、第2次大戦中も、民間の多数の船舶と10万人以上の船員が強制徴用されたが、米軍の戦略的ターゲットとなり6万人以上の船員が犠牲となった。海軍軍人の死亡率が約2割であることを考えると、その死亡率の高さは比較にならないほど高い。
 A実際、現在の自衛隊の輸送業務は、実は民間業者が主体となって行っている。戦争が始まれば平時の何十倍もの輸送力が必要となるので、大量の輸送業者が動員されるのは明白である。燃料についても自衛隊は平時のランニングストック(運転在庫)として数週間分の備蓄をしているだけだ。戦争になれば弾薬も燃料も人員もまったく足りない。
 94年に米帝の朝鮮侵略戦争が最切迫したとき、在日米軍の要請で統幕会議が作成した秘密資料では、輸送用の大型トラックとトレーラー1370台、貨物コンテナ553台の調達が必要としている。自衛隊のトラックだけではまったく足りない。また、94年に実際に戦争をしていれば米軍に数千人、韓国軍に数万人の死者が出たとペリー元国防長官が言っている(10・20ワシントンポスト)ように、大量の病院や医療従事者の強制動員が予測される。

 103条を改悪

 自衛隊法改正案は、戦時に必要な物資や労働者を確保するために、第103条の全面強化を狙っている。
 改正案第103条は、上述のような制約を突破して強制徴用や強制徴発、業務従事命令を実際に行えるよう諸規定を定めている(条第5項〜12項、17項〜19項)。また公用令書の交付手続き、補償措置なども新たに定めている。
 また、施設の管理、土地等の使用、取扱物資の保管・収用などの実効性を確保するために、都道府県知事に施設・土地・家屋・物資の保管場所などを立入検査させる権限を与え(同条第13項、14項)、立入検査を拒否・妨害・忌避したり虚偽の報告を行った者に対して20万円以下の罰金を科し(第124条)、物資保管命令の違反者には6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科している(同125条)。
 さらに、個人などの所有する土地に定着している立ち木などが自衛隊の任務遂行の妨げとなる場合には、その立ち木などを移転または処分し、家屋の「形状を変更」する権限を知事などに与えている(同103条3項、4項)。
 つまり防衛出動した自衛隊が通行できない場合や、自衛隊の部隊の作戦行動に支障となる家屋や立ち木などがある場合、それらを移転したり一部または全部を破壊できるようにしようとしているのだ。
 しかも「防衛出動命令が発せられることが予測される場合」で、かつ防御施設構築措置が下令された場合にも、「展開予定地域」内であれば同様のことを行うことができるのである(103条の2)。
 (つづく)
 (片瀬 涼)

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週刊『前進』(2079号4面3)

日誌 ’02  11月6日〜12日
 自衛隊の対米支援策拡大へ 国連安保理が対イラク決議

●共和党、米上下両院で過半数 11月5日に投票された米国の中間選挙で上院は、ブッシュ大統領の与党である共和党が多数派となった。下院は過半数を維持した上に現有議席の223を上回った。(6日)
●那覇軍港移設作業が本格化 米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の移設問題を話し合う政府、沖縄県、那覇・浦添両市による「那覇港湾施設移設に関する協議会」の第3回会合が東京の防衛施設庁で行われ、施設庁に対し軍港の形状を提示することを要望した。年内にも提示の見通し。(7日)
●国連安保理が全会一致で対イラク決議 国連安全保障理事会は、イラクに対して期限付きで大量破壊兵器の査察受け入れと破棄を求める決議を全会一致で採択した。(8日)
●陸自と警察が共同で治安出動訓練 防衛庁と警察庁は、自衛隊の「治安出動」の際に自衛隊と警察との連携を円滑にするための共同図上訓練を11月18日に北海道警本部で実施すると発表した。治安出動に関して、自衛隊と警察が共同訓練するのは初めて。(8日)
●米、ミサイル防衛「開発」移行迫る 米政府はミサイル防衛計画の日米共同技術研究で、迎撃ミサイルを08年に初期配備する構想を日本政府に伝達し、開発段階へ移行するよう求める方針を決めた。(9日)
●ブッシュがイラク攻撃計画を承認 米ニューヨーク・タイムズ紙が、ブッシュ米大統領がすでに米軍の対イラク攻撃計画を承認したと伝えた。比較的短期間の空爆と並行して20万〜25万人規模の大量の兵力を投入し、イラクを軍事占領する内容。(10日)
●石原「北朝鮮と戦争したっていい」 石原都知事は報道番組で、拉致被害者家族の呼び寄せ問題について「子どもを1人でも迫害したり、病気と称して殺したりなんかしたら、指弾の対象になる。そういう国と日本は堂々と戦争したっていい」と語った。(10日)
●修正案と国民保護法制「輪郭」示す 衆院有事法制特別委の理事懇談会で、政府が国民保護法制の「輪郭」を、与党が武力攻撃事態法案と自衛隊法改正案の修正案を提示。(11日)
●米がイラクを暫定統治の計画 ウォールストリート・ジャーナルは、米政府高官の話として、米国がイラクのフセイン政権を打倒した後、最低2年間、数千人規模の米軍を駐留させ、文民機関を設立して新政権樹立までの暫定統治を計画していると伝えた。(11日)
●「北朝鮮体制崩壊が米目標」 キャンベル元米国防次官補代理が、ブッシュ政権は北朝鮮問題について「根本的な決定は、イラク攻撃を準備するために先延ばししている」と指摘し、ある程度のめどが立った段階で「北朝鮮問題に焦点を戻す」「対イラク政策と同様、体制の『改革』ではなく『崩壊』を目指すことになる」などと説明した。(11日)
●「周辺事態」「有事」想定で日米共同演習始まる 日米共同統合実動演習が「周辺事態」から「日本有事」に発展するとの想定で始まった。関東・九州地域の港湾・飛行場を始め東富士・日出生台・十文字原演習場と日本周辺の海・空域で、日米両軍21000人余が参加する。22日まで。(11日)
●対イラクで特措法適用も 福田官房長官が衆院有事法制特別委で、イラク政府とアルカイダとの関係が判明すれば、テロ特措法の適用もありうるとの考えを示した。(11日)
●自衛隊の対米支援策拡大へ 政府は、19日に期限が切れるテロ対策特措法の基本計画に関して、@アフガニスタンの空港整備用の重機をタイからアフガン周辺国に運ぶ輸送艦を新たに派遣する、A期間を6カ月間延長し、インド洋・アラビア海で実施している給油の対象を米英軍に限らずドイツ、フランス、スペインなどに拡大することを、与党3党幹事長に提示し了承された。(12日)

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週刊『前進』(2079号5面1)

9条改憲へ正面突破攻撃 憲法調査会中間報告を弾劾する
 「折り返し点」で改悪本格化

 衆議院憲法調査会(中山太郎会長)は、11月1日、中間報告を採決し、綿貫衆院議長に提出した。2000年1月に設置された衆院憲法調査会は、調査期間を5年としているが、「折り返し点となる2年半が経過することとなった」(中山会長のまえがき)ことを機に、改憲への攻撃をエスカレートし、次の段階に進もうとしているのである。断じて許すことはできない。米帝の世界戦争計画の発動、イラク攻撃の切迫に対応した日帝のイラク参戦と有事立法攻撃の推進、教育基本法改悪策動などとともに、憲法の明文改憲に向かっての正面突破攻撃が新段階を迎えたのである。容易ならない事態に対する危機感を高め、反撃に立ち上がろう。

 民主党が改憲協力を前面化

 2年半に及ぶ憲法調査会での議論を、議事録とは別に「中間報告書」としてまとめたのは、改憲への「国民的論議」を巻き起こすためであり、改憲をあたかも既定のものであるかのように扱っていく状況をつくるためである。
 この700n余の中間報告書は、現行憲法についての賛否を「両論併記」した議事録の抜粋であるかのような装いをとっている。しかし、主な議論の要約は、「各条章」に振り分けて、きわめて恣意(しい)的に意見の断片を並べたもので、全体として改憲論が圧倒している調査会の実体をあたかも全社会的趨勢(すうせい)であるかのように押しつけている。
 このような中間報告が採択されたのは、民主党が全面協力したことが大きい。民主党は、7月に行われた同党の憲法調査会報告で「集団安全保障の活動に参加」などを打ち出し、改憲勢力としての旗印を鮮明にした。また、公明党も「論憲」から「加憲」と称して、憲法に「新しい権利」を加えることを掲げて改憲勢力に加わった。
 さらに、日本共産党と社民党も「改憲反対派」として振る舞っているが、この憲法調査会の攻撃になんら現実的な反撃を組織せず、屈服している。

 「解釈改憲は限界」テコに

 中間報告書は、憲法の中身の「総論的事項」で、改憲論を次々と並べている。
・「1947年から一度も改正がなされていないのは、国会の怠慢とも言うべき」(山崎拓=自民)
・「主権を有する国民が憲法の改正論議を行うのは当然」(中野寛成=民主)
・「(憲法を)論じたけれども何も変えないのでは意味はないと思われる」(赤松正雄=公明)
・「一度、まっさらな段階から、書き直した方が早い」(小池百合子=保守)
・「解釈の積み重ねが高じて文章上の不具合が生じている点等については、憲法の修正、すなわち『修憲』が必要」(藤村修=民主)
 これらの改憲推進論を並べて、内容以前的に「憲法を変えるのは当然」という世論誘導をしている。
 そのため内容上は、第9条問題が中心的に扱われている。改憲攻撃の最大の核心は9条の破棄にあることが鮮明に打ち出されている。戦争を想定しない法体系としての現行憲法から、戦争できる法体系への大転換がめざされているのだ。
・「自衛権が国家固有の権利である旨憲法に明記し、9条をめぐる神学論争に終止符を打つべき」(三塚博=自民)
・「集団的自衛権は自然権であることから、集団的自衛権を有するが行使はできないとする政府解釈は、妥当ではない」(安倍晋三=自民)
・「9条についてさまざまな解釈がなされている現状にかんがみれば、侵略戦争を行わないという理念を堅持しつつ、これを統一すべく改正すべき」(藤島正之=自由)
・「9条は自衛隊が存在する以上、法として機能しておらず、また、その理念に沿った形で安全保障を図ることは現実的でないことから、現実に即した形で改正すべき」(井上喜一=保守)
・「自衛隊の存在は9条に照らし違憲である。従って9条を改正し、第3項として、自衛のための戦力を保持する旨明記すべき」(石原慎太郎=東京都知事)
 9条改悪論のオンパレードである。要するに°解釈改憲でやっていくことは限界だから、9条を変えて軍隊を持てるようにしよう″ということである。石原は開き直り的に「自衛隊は違憲だ」と言って、改憲を主張するが、他も多かれ少なかれ、現状が違憲状態にあることを逆にテコにして改憲を主張するという論調になっている。
 もともと1955年の自民党結成以来、改憲は日帝の目標であったが、91年の湾岸戦争とソ連崩壊以後、それは日帝の存亡をかけた大テーマになった。92年PKO法成立と自衛隊PKO派兵、97年新ガイドライン締結と99年周辺事態法、01年テロ対策特措法、そして今年の有事立法攻撃と、自衛隊の実戦部隊化と海外派兵、戦争国家化が進んだ。日帝はガイドライン攻撃を基軸的動力として改憲攻撃をしかけてきた。この中で、今や明文改憲での9条破棄が迫っているのだ。

 「改憲へハードルを低く」

 この9条問題を頂点に中間報告は、天皇の元首化、基本的人権の制限、緊急事態への対応などをめぐる改憲意見を並べている。さらにもう一つ、中間報告が力を入れているのは、「憲法改正」にかかわる問題だ。「改正手続きの要件の緩和」について、次のような意見を載せている。
・「憲法に対する信頼性を損なわないため、改正手続のハードルを下げ、必要な時に迅速に改正を行うことができるようにしておくべき」(船田中=自民)
 ここで言う「ハードル」とは、衆参両議院での3分の2の賛成による発議、国民投票での過半数の賛成のことを指す。これを緩和しようと言うのである。
・「憲法改正の手続規定の改正という点に限って議論していくことも、一つの方法ではないか」(安倍基雄=自民)
 これは、まず「改正手続き」に限定して改憲を強行し、本格的な改憲は緩和した条件のもとで行おうとする危険なものである。
・「憲法改正手続の要件となっている国民投票を実施するための法律が未整備のままとなっている現状についての議論があってよい」(石破茂=自民)
 これは、まず、国民投票法をつくり、改憲を具体化する手続を整えようとする主張である。

 「意見集約」叫ぶ読売新聞

 このように中間報告自体が、改憲攻撃そのものである。これは当初から中曽根が「論憲を2年ほど行い、3年目から各党が憲法改正試案を出していくべきであり、本調査会がその原動力となるべきではないか」(00年4月)と言っていたことを実践しようということである。つまり、前半の2年半は「論憲」の時期であり、これからは「具体的に改憲の条文作りの作業に入る」という意志の表れである。
 改憲運動の先頭に立ってきた読売新聞は、早速11月2日の社説で、「改憲へ意見集約に入る時だ」と叫び、「改正案は、いつ、だれが作成するのか。詰めるべき課題は多い」などと発破をかけている。
 何よりも、この中間報告が今日のイラク侵略戦争切迫情勢の中で、また有事立法の国会審議の渦中で出されたことが重要である。現実に米帝ブッシュの世界戦争路線に日帝の死活をかけて対応する中で、日本を戦争国家につくり変える攻撃として有事立法が策動され、改憲攻撃が進んでいるのである。没落帝国主義化のふちに立たされた日帝が、敗戦帝国主義の制約を打ち破って戦争国家に転換するための正面突破攻撃を本格化させてきたのである。
 イラク反戦・有事立法粉砕闘争の一環として改憲阻止、教育基本法改悪阻止を位置付けて、全力で闘いを強めよう。「戦争国家化阻止=改憲粉砕・日帝打倒」の戦略的スローガンのもとに闘おう。

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週刊『前進』(2079号5面2)

DON'T ATTACK IRAQ 闘うムスリム人民 世界の人民と連帯して イラク戦争自己目的化した米帝 中東危機突破狙い湾岸戦争を強行

 国連安保理で11月8日対イラク決議が採択され、いよいよ米帝によるイラク侵略戦争が具体化してきた。イラクは13日、国連の無条件査察を受け入れると表明した。だが国連安保理決議はイラク人民大虐殺戦争への道である。
 この米帝のイラク侵略戦争の目的をはっきりさせるために、91年湾岸戦争(イラク・中東侵略戦争)とは何だったのかを振り返ってみることが重要だ。
 湾岸戦争は、90年8月2日にイラクがクウェートに侵略するという反人民的軍事行動に対して、それを絶好の口実に米帝を中心とする帝国主義各国がイラクに侵略戦争を仕掛けたものである。イラク軍を壊滅させ、人民を無差別に大虐殺した。この戦争の本質は、中東・石油支配の根底的な危機に直面した米帝がイラクを戦争によって壊滅的にたたくことによって、米帝軍事力による直接の恫喝で中東支配の危機をのりきろうとしたことにある。

 戦争計画が

 イラクは、イラン・イラク戦争後、深刻な経済的危機をのりきるためにサウジアラビアやクウェートに債務の棒引きを求め、経済援助を要請した。サウジはすぐに債務の帳消しを行ったが、クウェートは債務の帳消しも経済援助の要請も拒否した。これにイラクは軍事力をちらつかせて恫喝するという関係が次第にエスカレートしていた。
 米帝は、この過程を注視しながら、すでに90年1月には上院軍事委員会でシュワルツコフ将軍が湾岸地域への米軍の派遣を増やすように主張している。ラムゼイ・クラーク米元司法長官によれば、この年米帝は中東戦争計画1002を1002―90に改定している。この作戦計画はまさにイラクがクウェートに侵略し、それを米軍が撃破するという想定の戦争計画である。実際にイラクが侵略する半年も前にこのような戦争計画を立てていたのだ。
 この作戦計画を実行するために米帝は、クウェート侵略に向かわざるをえないようにイラクを追い込んだ。最終的には、イラク駐在の米大使グラスピーが7月25日フセインと会談し、フセインのクウェート侵攻の言明に対して、「米政府はイラク・クウェート紛争を地域問題と考えており、介入する意志はない」と断言しゴーサインを与えた。こうして8月2日イラクはクウェートに侵攻した。
 それ以後の過程は、米帝は全力で戦争体制に突入すると同時に、全世界を恫喝して米帝に屈服させ、交渉による撤退の可能性を探ったイラクの策動をすべてたたきつぶした。実際にイラクがフランスに示した無条件撤退案も握りつぶして米帝は91年1月17日、凶暴な侵略戦争に突入した。米帝は、たとえ無条件撤退であれ、実際にイラクが撤退し対イラク戦争に突入できないという状況を許さず、何がなんでも戦争に持ち込む政策を一貫してとった。
 実際の戦争は、すさまじい人民大虐殺の戦争として行われた。米軍を始めとした多国籍軍は、巡航ミサイル・トマホークや空からの空爆でイラク全土に猛爆撃を加えた。軍事施設だけでなく、住民が多数避難している地下シェルターなども意識的に狙われ、多くの人びとが虐殺された。電気、ガス、水道やミルク工場といった生活関連施設も意図的に破壊された。クウェートからバスラに続く幹線道路ではイラク軍だけではく、避難する人びとも無差別に爆撃され、10万人が死んだと言われている。
 何よりもこの戦争では大量の劣化ウラン弾が使われた。米帝は実際上の核戦争を強行したのである。使われたウランの総重量は800dにものぼる。それは広島型原爆の1万4千倍から3万6千倍の放射能原子に当たると言われる。その被害は時がたつにつれてますます深刻になっている。

 支配の維持

 米帝が91年湾岸戦争に強引に突入していった目的は、何よりも米帝の軍事力による恫喝によってパレスチナを始めとした中東・ムスリム人民の闘いを圧殺し、中東支配の危機をのりきることにあった。米帝の先兵としてあったイラン・パーレビ体制を打倒した79年イラン革命と、その圧殺を狙ったイラン・イラク戦争の失敗は、米帝の中東支配を根底から脅かすものとなった。さらにイスラエルのレバノン侵攻、サブラ、シャティーラの大虐殺にもかかわらずパレスチナ人民が占領地からインティファーダに決起したことは、米帝の中東支配を根底から危機にたたき込んだ。
 米帝は、この危機に対処するためにイラクへの侵略戦争を強行した。徹底的に凶暴な人民大虐殺戦争によってアラブ諸国の政権を恫喝し、人民の闘いの圧殺へと向かわせたのである。
 米帝の91年湾岸戦争のもう一つの目的は、87年10月の株価の暴落と景気の落ち込みに対して米帝こそが世界を支配する帝国主義であることを戦争をとおして押し出し、それによって経済的な争闘戦における危機を一挙に逆転することにあった。米帝は戦費を日本やドイツに負担させ、戦争特需による軍需産業の莫大な利益とクウェートの石油利権による莫大な利益を手にしたのである。
 だがそれは戦後世界体制の崩壊を決定的に促進した。米帝は再び、今度こそやり残したフセイン政権転覆を自己目的化してイラクへ、そして北朝鮮・中国、またイランに対する凶暴な侵略戦争で全世界を戦争の中にたたき込もうとしている。その中で他帝国主義をたたき落とし、米帝のみが唯一最強の帝国主義として生き残ろうとしている。この米帝の絶望的凶暴化を絶対に許してはならない。イラク人民大虐殺を許してはならない。職場から学園から全力で決起し、米帝のイラク侵略戦争を絶対に阻止しよう。
 (秋原義明)

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週刊『前進』(2079号5面3)

民主労総が12万ゼネスト 労働法改悪、公務員組合法、特区法許さず

 3大悪法廃棄!

 11月5日、南朝鮮・韓国の民主労総(全国民主労働組合総連盟)は、「週5日にかこつけた労働法改悪、公務員組合法、経済特区法など3大悪法廃棄」を求めて、全国168事業場12万4601人がゼネストに突入した。午後にはソウルを始め21都市で集会が開かれ、デモが闘われた。
 国会前の4車線を1万余の労働者が埋め尽くしたゼネスト勝利決意大会で、民主労総のユドクサン委員長職務代行は、「政府と国会が3大悪法を完全に撤回するまで、闘い続けよう」と不退転の決意を示した。この嵐のような無期限ゼネストは、政権末期の金大中政権をぐらぐらに揺さぶった。ゼネストをぶつけた労働環境委では、慎重審議が必要との結論が出され、14日までの国会会期中の法案処理ができなくなったことで、民主労総はいったんゼネストを中断、勝利を宣言した。
 3大悪法との攻防の第一幕は、労働者の勝利となった。今春、発電労組の民営化阻止長期ストと、その連帯闘争として準備した4・2ゼネスト撤回以降、民主労総は苦闘を重ねてきた。タンビョンホ委員長を獄中に奪われたまま、8月に副委員長選挙で確立した新たな指導体制のもとでの大きな試練だった。476事業場20万6926人によるスト権投票を受け、政権との正面激突で勝利したことは実に大きい。いよいよ労働者階級のナショナルセンターとしての民主労総の真価が問われる時代だ。

 生理休暇も無給

 9月冒頭、韓国政府が最終確定した週5日勤務制関連法案の内容は、労働者にとって絶対に受け入れることのできないものだった。週5日勤務制は、一部業種と大企業での来年7月導入以後段階的に実施していくとされている。
 この週5日制導入にかこつけて、賃金を削り、年月次休暇を減らし、日曜日も無給、生理休暇も無給にする一方、弾力勤労制を拡大し、団体協約を反古にするなど労働条件を大幅に後退させるという恐るべき労働法改悪攻撃を打ち出した。
 韓国では97年経済危機とIMF管理体制のもとで大規模な構造改革が進み、労働者に犠牲が強いられた。その結果、1300万労働者の58・6%が30人未満の企業に勤務し、非正規職労働者は750万人にものぼる。女性労働者ではさらに割合が高く、実に73%以上が非正規職だ。
 法案発表後、ただちに闘いが組織され、民主労総と韓国労総の共闘も実現した。10月28日には、両労総傘下の製造部門6連盟で構成された共同闘争本部が国会前に万余の労働者を集め、労働法改悪阻止を叫んでデモをした。
 29日から国会前に座り込んで3泊4日の「路宿闘争」が展開され、のべ5千人が寒さの中で闘った。
 3大悪法の一つ、「公務員組合法」は、名称から労組の文字を抹消したように協約締結権も団体行動権も認めないというものだ。闘いの先頭には、今春誕生したばかりの全国公務員労組(7万5千人)が立った。
 全組合員の89%の賛成でスト権を確立した公務員労組は、11月4〜5日、3万人が集団年休を申請して職場を放棄、ストライキに入った。5日に予定された全国公務員労働者大会参加のため約5千人がソウル入りし、前夜祭会場の漢陽大学に向かったが、これを警察部隊が阻止し激突。これを突破して構内進入に成功した約2千人を夜半に警察部隊が襲い、全員を連行した。この暴挙にひるまず5日、民主労総金属産業連盟の強固な隊列に守られて、奇襲的に全国公務員労働者大会をかちとった。
 金大中政権は11日、集団年休闘争を組織した公務員労組の591人を罷免・解任するという懲戒処分方針を確定し、当該の地方自治体に要求するという弾圧に乗り出している。

 「植民奴隷特区」

 労働法改悪と公務員組合法案はひとまず阻止したものの、経済特区法=「経済自由区域法案」の攻防は、国会最終日となった。「韓国経済を外国資本に売り渡す植民奴隷特区」と言われ、特区では勤労基準法や環境、教育、租税、保健医療関連法など34の法律の適用が排除される。労働者は無権利のまま資本の前に放り出され、低賃金・強労働を強制されることになる。
 民主労総、韓国労総と15の市民団体が共闘し、国会闘争に取り組んだ。8日には国会前で座り込んだ両労総委員長を含む280人が警察に連行されるなど、激しい攻防が続いたが、最終日14日に経済特区法の通過が強行され、国会前は怒りのるつぼと化した。両労総はゼネストを含む全面的総力闘争を構えている。
 3大悪法との激しい攻防の中、民主労総は11・10全国労働者大会をソウルの大学路に3万人を結集してかちとった。13日には全国農民大会が「米輸入開放阻止、韓国・チリ自由貿易協定批准反対」などを掲げてソウル汝矣島(ヨイド)の漢江河川敷に15万人を集めて開かれた。全農(全国農民会連合)は11月25日に全国30万人余が参加する「WTO米輸入反対、米代保障、農家負債解決全国同時トラクターデモ」に立とうとしている。12月1日には、民主労総、全農、貧民連合などが総結集する民衆大会が予定されている。
 今春、賃金団体協約闘争以降、労働者の要求を顧みない資本に対して長期ストライキ闘争を続けてきた保健医療労組は、10月16日、全国150病院、4万組合員によるゼネストを実現した。保健医療労組にとって初の産別ゼネストだ。
 9月25日から組合員50人とともに無期限ハンストに入ったチャスリョン委員長は、「ストライキは一日一日、労働者を鍛練する。『重要なことをたくさん学んだ。新たに生まれたようだ』という話が出ている。128日前の組合員たちと今の組合員は全然違う」と語った。長期ストライキ闘争を死守し、大きく成長した保健医療労組の女性労働者たちこそ、民主労総再生の力そのものだ。
 11月6日には、鉄道労組が「上部団体変更のための組合員総投票」の結果、民主労総加入を決めた。鉄道労組は「これから政府の鉄道民営化政策撤回と解雇労働者復職などのために総力を傾けていく」と語った。
 民主労総を先頭とする韓国労働者人民は、激動する情勢に立ち向かい、感動的な闘いを進めている。今こそ固く連帯し、イラク・北朝鮮侵略戦争阻止の国際的内乱をつくり出す時だ。闘う朝鮮人民と連帯し、米日帝の朝鮮侵略戦争を阻止しよう。 (室田順子)

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週刊『前進』(2079号5面4)

反戦共同・福岡 イラク反戦を訴え 平和フォーラム 5千労働者と合流

 11月9日、九州ブロック平和フォーラム(連合)などが主催する「日米共同訓練・米国のイラク攻撃に反対し、有事法制廃案をもとめる九州ブロック総決起集会」が大分・九重町の町民グランドで開かれた。
(写真上)
 初雪がちらつく中、九州各地から5千人が参加し、アメリカのアフガニスタン侵略、イラク攻撃に向けた日出生台での日米共同演習反対の熱気にあふれた。
 反戦共同行動・福岡は参加した労働者に「全世界のイラク反戦闘争と連帯し、戦争と恐慌の小泉政権を打倒しよう!」と熱烈に呼びかけた。ビラは、共感をもって受け取られた。
 「日米安保粉砕」「小泉政権打倒」のシュプレヒコール、団結ガンバローで気勢をあげた。

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週刊『前進』(2079号5面5)

 “戦争とめよう” 福岡で集会・デモ

 11月4日、有事立法粉砕実行委員会・福岡が主催する「許すな!イラク侵略 /ぶっつぶせ!有事法制11・4集会」が福岡市農民会館で開かれた。会場内にはイラクの写真が展示され、不当弾圧と闘う国労闘争団の支援を訴える物資販売が行われた。
 ビデオ「湾岸戦争から11年、イラクの子どもたちは今……」で集会が始まり、司会の石崎昭哲さんが「イラク戦争をなんとしても止めたい」と訴えた。
 「イラク戦争と沖縄」と題して琉球新報社論説委員の前泊博盛さんが講演し、復帰30年の沖縄の現実とイラク攻撃準備を明らかにした。石村善治前長崎県立大学長が「監視社会と住基ネット」と題して講演した。言論、表現の自由を圧殺し監視社会をつくる住基ネットを解き明かした。
 有事立法粉砕実行委員会・福岡の梶村晃さんが、百万人署名運動や住基ネット反対申し入れ行動、イラク反戦闘争、12・7中教審公聴会闘争など、行動を呼びかけた。
 (投稿/H・K)

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週刊『前進』(2079号5面6)

護憲全国大会でビラまき 11・3新潟

 11月3日、新潟市体育館で開かれた第39回護憲全国大会で、中核派は横断幕を掲げ、「ブッシュのイラク攻撃粉砕、有事立法阻止」を訴え、ビラ1500枚をまききった。(写真)
 護憲大会は「『人間の安全保障』を指針に多文化共生社会へ」をサブスローガンに掲げるものだが、戦争と恐慌の時代認識に立ち、ブッシュの世界戦争発動との対決を強烈に訴えたビラを熱心に読む参加者の姿があちこちで見られた。

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週刊『前進』(2079号6面1)

弾圧と闘う 迎賓館・横田デッチあげ裁判 「爆取は違憲、廃止すべき」
 刑法学者が全面的証言 「制定は無効、近代法に反す」

 11月11日、東京地裁刑事第11部(木口信之裁判長)で、須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志に対する迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧裁判の第171回公判が行われた。
 この日は、関東学院大学教授で刑法学者の足立昌勝氏が証言にたち、爆発物取締罰則はあらゆる面で違憲であり無効であるとの証言を行った。
 日帝権力は無実の3同志を爆発物取締罰則第1条(爆発物の使用)容疑で起訴している。だが爆取は、戦前の大日本帝国憲法発布(1889年)や帝国議会の開設(1890年)に先立つ1884年に、当時の自由民権運動を弾圧し、天皇制国家の専制支配を支えるための太政官布告として制定されたものである。その1条は、爆発物を置いただけでそれが実際に爆発しなくても、かかわった者はすべて死刑・無期または7年以上の懲役というすさまじい重罪・重刑だ。現憲法はもちろん近代刑法の原則ともおよそ相入れない19世紀の遺物である。
 この爆取が百数十年を経た今なお「法」としてまかりとおり、人を裁くことなど断じて許されない。
 足立証人はまず、明治政府が加波山事件などの自由民権運動の爆発に対して、その弾圧のために急きょ爆取を制定した経緯にふれ、そこには「天皇制維持のための治安法という性格がある」ことを明確にした。そして爆取の太政官布告としての制定が、実は当時の明治政府の法制定手続きにさえ違反して強行されていたことを暴露した。
 爆取の制定当時、人を処罰する罰則というものは明治政府の立法機関である元老院の審議を必ず経なければならないという規則が、当の明治政府によって定められていた。だが爆取はこれに反し、政府が急いで先に布告・施行し、後に元老院に「検視議案」として回したものである。「検視議案」とはたんに追認を求めるだけの議案で最初から審議の対象ではなく、修正や変更を加えることは一切許されない。
 すなわち、爆取は当時の手続きにも反して一切の審議ぬきで強行されたのであり、近代法の原則に従えばこのようなものを「法律」と認めることはけっしてできないのだ。
 足立証人はさらに、最高裁が1959年に出した爆取合憲判決への徹底した批判を行った。最高裁は、太政官布告であっても明治憲法下で有効とされていたものは法律として「遵由(じゅんゆう=標準として従うの意)の効力」をもつ、爆取も同じだと言っている。だがそもそも適正な手続きに違反して制定されたものである以上、爆取の場合は最初から法としてまったく無効だ。59年の最高裁判決はこの点に無自覚なまま出されたもので、完全に誤りだと鋭く指摘した。
 さらに、「爆取の構造そのものが近代刑法に合いません。まったく異質なものだ」として、一つひとつの条文をあげて弾劾した。とりわけ刑罰があまりに重いこと、密告の義務を課していること、自ら無実を証明できなければ有罪とされる規定が盛り込まれていることなど、近代刑法では考えられないことで明白に違憲であると証言した。
 そして最後に、刑法学者として裁判所に対し、「爆取のような前近代的なものがいまだに生き残っていることをこのまま放置してはならない。司法は独立した機関として、今こそ英断をもって憲法違反の判断を下すべき」と勧告した。
 学者証人の実証的研究に裏付けられた証言に、検事は一言の反対尋問を試みることもできなかった。
 東京地裁はこの日の公判に先立ち、残りの弁護側証人を全員不採用とする決定を下してきた。また足立証言の終了後、弁護側が求めていた証拠開示請求をも不当に却下した。午後の法廷では、これに対する被告3同志の怒りの異議申し立てがたたきつけられた。
 「証拠隠滅のおそれ」を理由に3同志に16年もの長期勾留を強制しながら、被告・弁護側が検察の証拠開示を求めれば問答無用に拒否する。こんな不公平な裁判があっていいのか! 自らの不正義を突かれて焦った木口裁判長は、十亀同志に発言禁止、続いて退廷を命じ、傍聴者3人をも退廷させる暴挙を強行した。
 この報復的な訴訟指揮に断固とした抗議をたたきつけ、警視庁公安刑事・星隆夫の偽証を暴くための原義勝証人の尋問に入った。原の尋問は次回、12月17日の公判に継続する。デッチあげ粉砕へ今こそ闘おう。
 10万人保釈署名運動が呼びかける11・23集会に結集し、4同志の保釈奪還をかちとろう。

 判決なしに16年、今すぐ4人をとりもどそう! 11・23集会

 11月23日(土)午後2時開会
 京橋プラザ区民館(東京都中央区銀座1−25−3)
 主催/不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人署名運動

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週刊『前進』(2079号6面2)

11・28北富士闘争へ 全学連北富士現地闘争本部

 すべてのみなさん。
 ブッシュ政権によるイラクへの侵略戦争が切迫するなかで、米軍は11月25日より12日間にわたって、北富士演習場で沖縄海兵隊の実弾演習を実施しようとしています。農民入会地を無断使用して行われるこの演習は、イラク人民虐殺の演習そのものであり、絶対に許すことはできません。北富士忍草農民の呼びかけにこたえ、11・28北富士へ結集されることを訴えます。
 この演習は、1997年に「沖縄県民の負担を軽減する」という名のもとに本土の五つの演習場で開始された、県道104号越え実弾演習の移転演習です。とくに今回は、昨年9・11の反米ゲリラ戦とそれ以後、米帝のイラク侵略戦争反対闘争が高まるなかで、警察や自衛隊、そして防衛施設庁は超厳戒警備体制をとって演習を強行しようとしています。
 北富士演習場にされている、富士山麓(さんろく)の梨ケ原2000fは、古来より地元忍草農民の入会地です。忍草農民はここで草を刈り、薪(まき)を採って、生活の8割を依存して生活してきました。
 戦後米軍は、この農民の入会権を無視し、権利者に無断で演習場として使用してきました。この演習場無断使用にたいし、忍草入会組合、忍草母の会は、命がけの米軍演習実力阻止闘争に決起し、そのなかで度々政府による入会慣行尊重の覚書をかちとり、また1970年、1971年には東京地裁による入会権ありの判決をかちとってきました。
 追いつめられた政府は、態度をあらためるどころか、忍草農民への刑事弾圧、第二組合の育成などあらゆる手段をつかって、闘争の圧殺と演習場の維持をはかっています。
 しかしながら、忍草国有入会地守る会(天野重知会長)、忍草母の会(渡辺喜美江会長)は、あらゆる弾圧を粉砕し、今年4月より「裁判所が認めた国有地入会権を尊重し、自衛隊の入会地無断使用をやめよ」、「林雑補償金(演習場賛成者への政策的見舞金となっている)という名の国費の違法なバラマキをやめよ」、「入会地を強奪する有事立法反対」と訴えて、現地北富士演習場正門に通じる中道脇と国会に座り込んで闘ってきました。
 11月イラク反戦・有事立法粉砕、国労弾圧粉砕闘争の爆発をかちとり、その闘いと一体となって、忍草農民の呼びかける11・28入会地無断使用の米軍演習反対、梨ケ原茅刈り行動への結集をつよく訴えます。

 入会地無断使用の米軍演習反対
 梨ケ原茅刈り行動

 日時 11月28日(木)午前11時
 場所 北富士演習場中道、鉄塔跡地
 主催 忍草国有入会地守る会、忍草母の会

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週刊『前進』(2079号6面3)

部落解放と労働者階級 (4)

 差別撤廃は労働者の使命 団結をとり戻そう

 労働者解放に不可欠の課題

 ここで原点的問題について、あらためて明確にしておく必要がある。それは、労働者階級にとって部落差別との闘いは、自らの階級的解放にとって不可分一体の課題だということである。
 全国連が2回大会テーゼで明らかにしているように、部落差別は、過去の遺物や「迷信」などではなく、日本帝国主義による階級支配の特殊なあり方、具体的貫徹形態である。日帝は、300万部落民の丸ごとを部落民という「身分」によってがんじがらめに拘束し、全人格的に差別するとともに、それをテコとして労働者階級の中に差別分断を持ち込んで階級的団結を破壊し、その脆弱(ぜいじゃく)な階級支配を補完してきたのである。部落民にとっては、部落差別という形で階級支配が貫かれ、労働者階級にとっては、部落差別に加担・動員されるという形でその階級的団結を解体され、帝国主義の階級支配のもとに屈服させられてきたのだ。
 だからこそ、部落民は、部落差別を撤廃することによって初めて自らの人間的解放をかちとることができる。部落民にとっては、差別糾弾の闘いが帝国主義の階級支配に対する闘いとなるのである。他方、労働者階級にとっては、帝国主義の階級支配を打ち倒すためには、部落差別の撤廃を自らの課題として闘わなくてはならない。部落大衆による差別糾弾の闘いに連帯し、これを階級的共同闘争として闘いとることをとおして、労働者階級は自己解放の主体としての、自らの階級的団結をとりもどすことができるのである。

 部落民労働者の存在と闘い

 ところで、部落差別の撤廃を労働者階級が自らの課題として闘う場合、重要な問題は部落民労働者の存在と闘いである。
 部落民の大多数は、実際には労働者として存在している。その多くは、中小零細企業のもとでの不安定就労の状態におかれているが、戦後解放運動のなかで公務員・現業への採用をかちとってきたことを背景として、清掃を始めとする現業職場には多くの部落民労働者が働いている。そして、これらの部落民労働者が、市職、水道、交通、清掃などの現業労組の主力をなし、こんにちの労働運動の戦闘的一翼をなしているのである。
 このように、部落民は本質的な意味で階級闘争の一翼をなす勢力だというだけでなく、実体的にも労働者階級の一員をなしているのである。だからこそ、労働者階級が部落差別との闘いを自らの課題として闘うというとき、それは一般的に、あるいは労働者階級が総体として部落解放運動と連帯して闘うというだけでなく、部落民労働者の要求を労働運動(労働組合運動)それ自身の直接の課題として闘わなくてはならないということをも含んでいるのである。
 その場合に重要な問題は、労働者としての団結の形成である。部落民労働者と一般の労働者とが身分的分断をこえて、職場単位で、あるいは産別単位で、労働者としての団結を打ち立てなくてはならないということである。
 確かに、部落民は、労働者であっても身分的差別のもとに抑圧される。同じ労働者であっても、大資本攻勢のもとでのリストラ、賃下げの攻撃のなかで、まっさきに差別的切り捨ての対象とされる。また、清掃など、部落民が主力をなす職場は、給与体系などの労働条件が初めから差別扱いされている場合が多い。つまり、同じ労働者でありながら差別的な搾取を受けているということである。それゆえ、資本や当局との闘いが差別撤廃−差別糾弾という性格を強く持つ。

 労働組合が担う重要テーマ

 しかし、このことは、部落民労働者は、一般の労働者と同じように、直接的な意味での階級支配、階級的搾取を受けていないということではない。同じように搾取され、支配され、抑圧されているのである。そして、この資本や当局による職場支配の貫徹、労働者の団結の解体のためにこそ、部落民労働者に対する差別扱いが行われているのだ。
 だからこそ、部落民労働者と一般の労働者とが、身分的分断をこえて、労働組合のもとに団結し、力を合わせて資本や当局に立ち向かわなくてはならない。この労働者としての団結を基礎にして、部落民労働者の「差別扱いをやめろ」という固有の要求を労働組合としての課題にしていかなくてはならないのだ。
 以上のことを部落民労働者を主語として言えば、部落民労働者は、労働者階級の一員として、すべての労働者の普遍的な要求の実現のために力をあわせ、その先頭で闘わなくてはならないということ。また、労働組合を主語にして言えば、自分たちの団結の重要な一翼(勢力)をなす部落民労働者の「差別撤廃」という固有の要求を受けとめ、自らの要求として掲げ、その実現のために闘うということでなくてはならない。
 (今回の筆者は、部落解放 理論センター・雪倉学)

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週刊『前進』(2079号6面4)

資本攻勢&労働日誌 2002 10月24日〜11月6日
 産業再生機構創設 倒産激増へ
 男性失業率が過去最悪/雇用保険料2年で2倍に

●10月24日 連合は中央執行委員会を開き、03春闘基本構想(案)を確認。賃金要求については「35歳ミニマム基準」の設定を見送った。中小向けに示す予定だった数値目標も方針から外した。
◇連合は中央執行委員会で、来年のメーデーを5月1日に開くことを決めた。暦どおりの開催は3年ぶり。統一地方選との関係から。
◇芝信用金庫(東京)の女性労働者が男女間の昇進・昇格の差別是正を求めた訴訟の和解交渉で、和解が成立した。
●27日 製鉄所の死亡事故が多発し、経産省が日本鉄鋼連盟に保安面強化を求める注意文書を出したことが明らかに。今年に入って死者は20人にのぼる。背後にリストラによる労働強化。(朝日)
●28日 都道府県の02年度の人事委員会勧告が出そろった。大阪以外は勧告制度導入以来初めて職員の月額給与の引き下げを求めた。
第一生命経済研究所は不良債権処理で、新たに45.3万人の失業が発生との報告書。日本総合研究所は、竹中が検討している「繰り延べ税金資産」の自己資本への参入基準見直しで失業者は332万人増えると試算した。
●29日 総務省発表の9月の完全失業率(季節調整値)は前月と同じ5.4%。男性が前月比0.1ポイント上昇の5.8%で01年12月と同じ過去最悪。地域別では近畿7.6%、沖縄県9.4%が過去最悪を記録。厚労省発表の9月の有効求人倍率(季節調整値)は0.55倍と前月比で0.01ポイント上昇した。
◇富士通は、7100人の追加人員削減を行うと発表した。
●30日 中央労働委員会は、国営企業労組の賃上げ要求に対して「加重平均1.9%のマイナス」(基準内賃金の1.36 %+1620円) とする仲裁裁定を行った。
◇政府は、「総合デフレ対策」を決定。首相を本部長とする「産業再生・雇用対策戦略本部」のほか、企業リストラのための「産業再生機構」を創設する。
●31日 連合は11月1日まで、東京で03春闘中央討論集会を開き、来春闘方針の骨格となる「基本構想」を提起した。
◇連合は03春闘中央討論集会で、来年4月以降の労働者の負担増の試算を発表。(要旨別掲)
●11月4日 NKKと川崎製鉄が9月に経営統合して発足したJFEグループは、新たにグループ全体で4000人削減の方針(日経)
●5日 厚労省は労働政策審議会・雇用保険部会に、雇用保険料を0.2%上げ1.6%とする方針を示した。保険料は昨年4月に0.8%から1.2%、今年10月に1.4%に引き上げられたばかり。約2年で2倍になることになる。
●6日 奥田日本経団連会長は記者会見で「痛みを許容できる範囲は、失業率で見ると6.5%まで」と述べ、6.5%を容認する発言。

 来年4月以降の労働者個人の負担増(連合試算)

@政府管掌健保の保険料と診療費アップ
 1万9500円(年収417万円)
A雇用保険料アップ
 8000円(年収400万円)
B配偶者特別控除の廃止
 4万4000円(年収400万円、所得税と住民税の合計)
C特定扶養控除の加算廃止
 2万5000円(年収400万円、所得税と住民税の合計)
D厚生年金保険料の改正
 7620円(月収30万円、一時金4カ月の場合)
△合計10万4120円
 以上で、合計10万円を超えることが明らかになった。
 これは年収400万円の場合の試算。700万円の場合は、倍近い負担増になる。

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