ZENSHIN 2002/12/09(No2081 p08)

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週刊『前進』(2081号1面1)

革共同の12月アピール
12・8全国から首都総結集を
 闘うムスリム人民と連帯して開戦阻止へ12月総決起しよう
 国鉄闘争の永続的発展かちとれ

 反戦共同行動委員会の12・8全国総決起闘争(日比谷野外音楽堂)に、労働者・市民・学生の大結集を熱烈に呼びかける。米帝ブッシュのイラク侵略戦争を絶対阻止せよ。日帝・小泉政権の対イラク参戦を許すな。最大の参戦国日本の労働者階級の国際主義的決起をつくりだそう。革共同はこの歴史的瞬間に新たな「激動の7カ月」への突入を宣言した。1967年10・8羽田を突破口とする「激動の7カ月」こそ、70年安保・沖縄闘争の大爆発に道を切り開き、革命的左翼を日本階級闘争の主流派に押し上げた蜂起的決戦であった。今日のわれわれには、それを何十倍もする国際主義的責任が問われている。今こそ世界戦争を世界革命に転化する闘いに全力で決起する時だ。前号の天田書記長のアピールにこたえ、勇躍して12月―03年の闘いに突入しよう。

 第1章 イラクへの査察強行弾劾! 12・8が決戦

 今求められているのは、わが反スターリン主義・革命的共産主義運動が、全世界の労働者階級と被抑圧民族人民に向かって、革共同の世界革命戦略、戦略的総路線、基本路線を発信することだ。国際主義的連帯を実現し、戦争によってしか生きられない帝国主義の打倒に向かって躍進することだ。新たな「激動の7カ月」の提起は、自己を世界革命に向かって飛躍させる闘いである。
 帝国主義の危機が爆発し、大恐慌と世界戦争に突入する時代、闘う労働者人民と革共同にとって、根底的決起が求められる。とりわけ昨年の9・11反米ゲリラ戦以後の情勢の中では、中間的、客観主義的なものは容赦なく階級闘争からはじき飛ばされるのだ。
 「激動の7カ月」の精神とは何か。
 第一は、党が党の力で帝国主義と闘って激動をこじ開ける精神、実践である。67年10・8羽田闘争からの激闘は、まさにその革命的精神で闘われた。侵略戦争への突入に対して、革命党は一歩も退かずに決起するのだ。「闘うイスラム諸国人民と連帯し、帝国主義の世界戦争突入を国際的内乱に転化せよ」「闘うアジア人民と連帯し、日帝のアジア侵略を内乱に転化せよ」「米軍基地撤去=沖縄奪還、安保粉砕・日帝打倒」「戦争国家化阻止、改憲粉砕・日帝打倒」の戦略的総路線を掲げて打って一丸となって闘うことである。
 第二は、国家権力のどんな弾圧にもひるまず、逮捕・投獄を恐れず、血と汗を流して闘うことである。長期獄中闘争の同志の闘いに続こう。完黙・非転向で弾圧をはね返して闘う国労の仲間たちに続こう。
 「9・11」以後の帝国主義は、最大の危機に直面している。帝国主義は大恐慌に突入し侵略戦争以外に出口がない。これは、21世紀の早期の世界革命の現実性を示すものだ。闘うムスリム人民と連帯し、反スターリン主義・革命的共産主義運動の力で、21世紀革命をこじ開けよう。
 第三は、「激動の7カ月」は、革共同が主流派に躍り出る闘いである。社会民主主義、スターリン主義の崩壊と解体の中で、この階級的激動のヘゲモニーを握るのは革共同以外にない。また、他方で柔軟で大胆な闘う統一戦線を形成して闘うことができるのもわれわれである。革命的大衆行動、戦闘的労働運動、革命的議会主義の闘いを発展させよう。
 第四は、現在の全世界的な階級闘争の発展の中で、マルクス主義、レーニン主義の革命的立場で闘っているのは革共同だけである。その核心は、労働者階級の自己解放性、その階級的力の大きさを確信するところにある。世界革命の勝利を保障するかぎは、革命党としての高い思想性、政治性、組織性である。
 第五は、最凶悪のファシスト反革命カクマルの襲撃と、国家権力の破防法攻撃に対して先制的内戦戦略をもって対峙し、打ち破ってきた革命党としての底力である。帝国主義とファシストを真っ向から見据え、これと闘って勝利する中で、前衛党は建設することができる。
 これらの革命的精神が「激動の7カ月」の核心である。いざ、進撃しよう。

 残虐な民族抹殺戦争

 今日の情勢の第一の核心は、まず何よりも次の点にある。
 アメリカ帝国主義(国際帝国主義)のイラク侵略戦争は、11月8日の国連安保理決議と査察団の27日からの査察開始をもって、事実上の戦争突入となった。米帝ブッシュは、アフガニスタン侵略戦争に続き、その世界戦争計画を実行する過程に突入した。これによって、国際・国内情勢、階級情勢は完全に新段階へと移行したのだ。
 米帝のイラク侵略戦争は、超反動的でかつ絶望的な帝国主義的侵略戦争であり、残虐きわまる民族抹殺戦争である。
 国連安保理決議の内容は、イラクを軍事占領し、イラクの国家主権そのものを否定している。しかもフセインがどれほど屈服しようともアメリカが一方的にあげつらう「罪状」で戦争裁判で裁くとしている。米帝は、フセイン政権の転覆を狙っている。
 国連決議は12月8日を期限として、「大量破壊兵器開発計画」の「正確かつ完全な申告」を義務づけている。この要求は、時間的にも実行困難なものであり、しかも「正確かつ完全」という規定は、どのようにも「違反」の口実が作れるようになっている。要するに、国連査察の一切は、戦争を仕掛けるための口実づくりにすぎない。「12・8」に一大反撃をたたきつけよう。
 情勢の第二の核心は、米日帝の朝鮮侵略戦争攻撃が同時に激化していることである。
 米帝ブッシュは、北朝鮮の核開発を口実にKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)の重油提供の中止を決定した。日帝の国交正常化交渉は、この米帝のイラク攻撃作戦陣形づくりの中で、北朝鮮侵略戦争へのレールを敷くための反動的な軍事外交として展開されている。
 拉致問題をテコとした日帝の連日の排外主義キャンペーンは、侵略戦争を準備するものだ。北朝鮮・金正日政権による日本人拉致は、帝国主義の包囲下にある北朝鮮スターリン主義の反階級的軍事作戦である。われわれはこれを真っ向から断罪する。だが、日帝・小泉は拉致問題を戦争の道具にしているのだ。だから拉致問題は解決しない。戦争の恫喝で5人を踏みにじり、犠牲にして、不幸にしている。拉致問題を利用した日帝の北朝鮮侵略戦争と徹底的に対決しよう。拉致問題の真の解決の道はここにある。

 全世界覆う人民決起

 情勢の第三の核心は、全世界の人民の闘いが国際的内乱の火ぶたを切ったということである。何よりも、インドネシアで、イエメンで、チェチェンで、ムスリム人民の決死的なゲリラ戦争が巻き起こり、パレスチナ人民は不屈に決起している。ヨーロッパ、アジアで人民が奔流のように立ち上がっている。
 イギリスで、10・31ハロウィーンに150以上の直接行動で大学占拠、交通ストップ、ウェールズ議会の占拠・停止が闘われた。さらに12月27日に集会、来年2月中旬にロンドンで大規模なデモが計画されている。アメリカでは、10月26日、ワシントン大行進に20万人が決起、サンフランシスコでも10万人が決起した。この闘いを呼びかけたANSWERは、次の行動を03年1月18日と打ち出している。1・18は、巨大な国際的な闘いになろうとしている。国際的連帯行動に思いきって飛び込んでいこう。

 イラク参戦絶対阻め

 米帝のイラク侵略戦争が日本の労働者人民に突きつけていることは、日本が最大の参戦国であるという厳然たる事実である。日本人民の、そして革共同の国際主義的責任は限りなく重い。
 何よりも、イギリス・ブレア政権とともにブッシュの侵略戦争計画を熱烈に支持しているのが日帝・小泉政権である。イラク侵略戦争に加担・協力するために対テロ特措法に基づく自衛隊のアフガニスタン派遣期間を来年5月まで半年間延長した。しかも派遣部隊を増強し、支援任務の内容も拡大した。
 日本は米軍の重要な出撃拠点である。三沢、嘉手納の米空軍部隊がイラク空爆を繰り返している。中東派遣の第7艦隊は横須賀を母港としている。米海兵隊は沖縄基地を拠点としており、これを抜きにアフガニスタン、イラクでの米軍の作戦は成り立たない。
 沖縄は戦場と化している。米軍の演習が嘉手納、普天間などで昼夜の別なく行われ、夜間の対地攻撃を想定した訓練が行われている。弾道ミサイル追跡機が嘉手納基地に配置され、戦域ミサイル追跡艦が那覇軍港に配置された。北朝鮮への監視体制の強化である。米軍による事故の続出は、戦争の被害を沖縄県民に日々もたらしている。有事法制が何をもたらすかは、沖縄ではすでに事実をもって突きつけられている。
 この情勢のもとで、新たな沖縄闘争が巨大な噴火に向かって動き出している。闘う沖縄人民と連帯して、沖縄―本土を貫いてイラク侵略戦争絶対阻止、有事立法粉砕の闘いを大爆発させよう。
 北富士では、イラク侵略戦争のための米軍実弾演習に対して、忍草国有入会地守る会の天野重知会長が決死の着弾地座り込み闘争を闘った。
 改憲阻止、教育基本法改悪阻止へ闘いの陣形をつくろう。
 まったく許しがたいことに日本共産党は、米帝のイラク侵略戦争への道を開いた国連安保理決議を「問題を平和的に解決する可能性を開いた」と積極的に賛美し、支持した(志位委員長の11・13記者会見)。日共は、米帝のイラク侵略戦争と日帝の参戦の最悪の先兵として登場したのだ。日共スターリン主義による反戦闘争への敵対を粉砕し、米帝と日帝への怒りを大爆発させよう。

 第2章 国労大会決戦爆発の力で03春闘を闘おう

 このようなイラク侵略戦争突入情勢のもとで、労働運動がまったく新たな質をもった闘いの段階に入った。
 11月24、25日に行われた国労第70回定期大会は、労働運動をめぐる決戦の焦点として闘われ、国鉄1047人闘争勝利への永続的発展の道を開いた。国家権力は、国労5・27臨大弾圧をもって、闘いを封じ込めようとした。国労本部執行部は、この国家権力の弾圧態勢をバックに、4党合意の破産を開き直り、闘争団を切り捨て、自らの延命を策しつつ、国労の解散へと踏み切ろうとしたのだ。
 だが、闘う国労組合員は、これを打ち破り、国労の誇りと伝統を貫く闘いに断固として決起した。大会会場の社会文化会館前で2日間にわたる戦闘的な集会がかちとられた。JR本体の組合員と闘う闘争団、国鉄闘争共闘会議、5・27弾圧家族会、鉄建公団訴訟弁護団などが、国家権力と国労本部に対する激しい怒りを表明し、会場内の闘いを激励し続けた。
 チャレンジと反動革同の執行部は、スト基金を取り崩しストライキを放棄する事実上の「労使共同宣言」方針を打ち出した。これはまた、エリア本部に資金を持ち逃げし、国労の単一体の解体、エリアごとの組織の連合体への移行、JR連合合流を狙うものである。国労本部は、ペテン的に「1年間の職場討議」という形に修正し、これを押し通した。さらに、卑劣にもあの裏切り者、新井、今井に対する除名処分提案と、闘う闘争団の査問委員会継続を一括して提案した。闘争団員の除名処分は強行できなかったが、査問委員会の継続設置を決めたのだ。
 反対派は激しい怒りをたたきつけ、徹底対決した。とりわけ財政問題をめぐる本部の不正・腐敗を徹底的に暴いた。
 こうした中で、反動革同は、スト基金取り崩しの1年間の職場討議にも査問委員会継続にも賛成した。
 今や、本部執行部や反動派と、闘争団を始めとする闘う国労組合員の関係は、絶対的に非和解的になった。国労再生のためには、現執行部を打倒し、新しい執行部を打ち立てなければならない。
〔29日、与党3党は4党合意から離脱することを決定した。4党合意は完全に破綻した。いよいよ本部執行部を総退陣させ、政府・JRを徹底的に攻め抜く新たな闘いの方針を打ち立てる時が来た。〕
 5・27臨大弾圧は戦慄(せんりつ)すべき暗黒の大弾圧である。しかし、これは必ず敵の大失敗に転化し、幅広い統一戦線のもとで広範な決起がかちとられ、大勝利をかちとる可能性があることを大会の全経過は示した。弾圧粉砕の大運動を巻き起こそう。
 日本階級闘争は、国鉄労働運動を軸に勝利に向かって、永続的に闘う橋頭保をつくりだすことについに成功した。
 このことは、JR総連の現実を見ればはっきりする。今やカクマルは、黒田・中央派とJR総連カクマルに分裂しただけでなく、JR総連そのものが分裂を開始し、従来のJR労資結託体制が日帝にとって桎梏(しっこく)となる事態となった。この中で松崎のおぞましい本性も明らかになってきた。今やJR総連に対する積年の労働者の怒りを爆発させ、JR総連解体、傘下の労働者の大量の獲得が問題になる、JR労働運動の「戦国時代」が到来した。
 この国鉄決戦をめぐる攻防をとおして03春闘に向けて総決起すべき時が来た。
 戦争と一大資本攻勢は一体の攻撃である。賃下げ、首切り、終身雇用制解体、労働災害と過労死に追いやる労働強化、介護保険、年金制度の改悪、医療制度の改悪など社会保障制度の全面解体、生活破壊の攻撃が労働者階級に襲いかかっている。労働組合の解体攻撃が激化し、「解雇ルールの法制化」など労基法の改悪、派遣法の改悪が狙われている。
 さらに治安弾圧攻撃が質的に転換し激化している。個人情報保護法案、人権擁護法案、保安処分新設、司法改革関連法案、さらに国際的組織犯罪条約の批准に伴う国内法の整備として共謀罪の新設が意図されている。労働者の団結権を奪い、あらゆる反政府的な闘いを圧殺し、戦争への道を掃き清めようとしている。
 それを鋭く突き出すものとして国家権力の5・27国労臨大弾圧がある。
 こうした大攻撃の根底にあるものは、米帝を始めとする帝国主義経済の危機である。日本経済は恐慌の全面化に突っ込みつつある。7〜9月期のGDPが、前期比0・7%成長となったことで、小泉首相は軽薄にも「意外といい」と喜んでいる。お笑い草だ。物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比1・6%の下落、4年半も連続マイナス。輸出は前期比1・6%減となり、3四半期ぶりにマイナス転落。景況感は急速に悪化し、名目設備投資は前期比1・7%減と7期連続のマイナスだ。しかも米経済が本格的な恐慌に向かいつつある。さらにイラク侵略戦争への突入は、帝国主義の破局への引き金となろうとしている。
 そうした中で打ち出された「不良債権処理の加速」策は、企業倒産と失業の嵐を労働者階級にもたらす。企業倒産ラッシュで、失業者が計700万人にもなる可能性すらある。そもそも「不良債権処理」のために「産業再生機構」なるものを創設し、再建できる企業を国家が選別するというのは、資本主義の完全な破産宣言だ。しかも、再建できないから「不良債権」化しているのだ。
 こうした倒産・首切り攻撃と対決し、連合指導部の屈服を打ち破り、03春闘に総決起しよう。

 第3章 4月統一地方選勝利 杉並区3候補必勝を

 03年4月統一地方選挙まであと5カ月を切った。全国で闘う議員の当選をかちとろう。杉並区で都政を革新する会から立候補する北島邦彦、新城せつこ、けしば誠一の3氏の当選へ総決起しよう。
 この選挙は、かつてない激動期、歴史的転換点で闘われる。米日帝のイラク侵略戦争、北朝鮮・中国侵略戦争情勢のただ中で闘われる。有事立法と改憲、教育基本法改悪が選挙で争われる。
 その中で、闘うムスリム人民、被抑圧民族人民の決起を支持し、連帯する区議を生み出す闘いである。イラク反戦闘争を杉並の地で大爆発させよう。イラク人民虐殺の侵略戦争に絶対反対して闘うのは誰か。有事立法・戦争国家化に身を挺して闘うのは誰か。都革新の3候補しかいない。イラク開戦の最後通告でしかない国連決議を賛美する日本共産党は戦争翼賛勢力だ。イラク人民へのウラン弾攻撃に対する怒りを爆発させ、民族抹殺攻撃と闘うムスリム人民と連帯し、国際的反戦闘争を爆発させるのだ。杉並をイラク反戦闘争の一大拠点にしよう。
 この闘いはまた、杉並から介護保険制度に対する偉大な反撃ののろしを発する闘いである。介護保険制度が導入されて2年がたつ中で、いったいどれほど多くの高齢者が介護を奪われ、命を奪われてきたのか。これは国家による殺人行為である。さらに医療制度改悪、年金制度改悪の攻撃が襲いかかっている。都革新以外の陣営は、介護保険に賛成し、高齢者を始め住民に犠牲を押しつける側に立っているのだ。
 杉並区民が、闘いの中心になり主人公になるような新たな大衆闘争を必ず発展させよう。その中から、真の人民の代表を区議会に送り出すのだ。この勝利は、時代の閉塞(へいそく)感を突き破る赤い火柱となって全日本に波及するだろう。その勝利のために全党は、闘う人民の先頭に立って、持てるすべての力を出しきって総決起しよう。

 『前進』広めカンパを

 世界戦争の危機、日帝の参戦という情勢の中で、危機感をみなぎらせて闘いに立ち上がった労働者・学生・すべての人民に、勝利のために革共同に結集することを熱烈に呼びかける。
 この世界史的な重大情勢に対する労働者階級の勝利のかぎは、革命党の強大な建設である。全事態を左右する核心に、革命党の問題が厳然と提起されている。「〈党としての闘い>と〈党のための闘い>の統一」という革共同立党の精神とは、°時代が党に求める歴史的任務を敢然と果たす闘いの中でこそ、党は建設される″ということである。党が階級的任務を断固担いぬくただ中で、党建設の闘いをも独自的・計画的にしっかりと遂行すること、その統一として党は建設されるのである。
 第一に、機関紙『前進』を読み、拡大し、『前進』を軸にした党活動、党建設を強力に推し進めよう。『前進』は労働者人民の党への結集の最大の水路である。また『前進』を軸に据えることで、労働者階級の階級としての形成が進み、党は最も強力に建設されて行く。毎週の『前進』で学習し武装することが、階級闘争を牽引(けんいん)する力だ。
 この間の先進的闘いの経験が示しているように、労働運動、政治闘争に立ち上がった労働者、学生、市民は、『前進』を本当に求めているのである。われわれの働きかけがすべてを決するのである。
 『前進』の拡大と『前進』フラクの形成が、革命勝利の絶対的基礎をなす職場細胞建設のかぎである。また『前進』の街頭販売・宣伝は、第一級の意義をもつ党活動である。街頭で、職場で、あらゆる所で『前進』のバラ売りを積極的に行おう。労働者が、学生が、あらゆる運動家が『前進』を一度手にして読むことで一つの壁をのりこえるのであり、定期購読の道であり、党への結集の道である。
 第二に、年末一時金カンパ闘争に全力を挙げよう。新たな「激動の7カ月」決戦に勝利するために、労働者人民に広くカンパを呼び掛けよう。カンパは党と大衆の結合の重要な水路である。だから、権力はこれを憎悪し、カンパ禁止法まで制定して党と人民の分断を図るのだ。
 年末一時金カンパを自ら身銭を切って出すとともに、周囲の多くの人びとに訴え、集め、集中しよう。
 超長期獄中同志奪還の闘いは今が正念場だ。年内4同志保釈をかちとるために、闘いを強めよう。
 12月8日、全国から首都に総結集してイラク反戦、有事立法粉砕デモを闘いぬこう。

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週刊『前進』(2081号2面1)

国労70回定期大会
4党合意は破綻、執行部総退陣迫る 権力と対峙し会場内外で決起
 「スト基金取り崩し」に怒り 闘争団への査問委継続を弾劾

 11月24、25日の国労第70回定期全国大会は、5・27臨大弾圧を頂点とするすさまじい国労解体攻撃のただ中で開かれた。日帝はイラク侵略戦争・有事立法情勢のもとで暴力的な労組解体攻撃を進めている。その切っ先に今国労大会をめぐる攻防があったのだ。4党合意の破産と1047人闘争の新たな発展、JR総連カクマルを使った労働者支配の崩壊に追いつめられた日帝は、むき出しの暴力で国鉄闘争の解体をたくらんだ。国鉄闘争をめぐる情勢は今や激変した。権力は大会会場前での闘争団・国労組合員による行動をことごとく封殺し、社文前には誰一人近寄れない状況をつくり出そうと企てた。それをもって議場内の闘いを圧殺し、国労本部の極反動方針をなんの波風もなく押し通すことを狙っていた。国労本部は、こうした権力の態勢を前提に、この大会で闘争団切り捨てと国労の自己解体になりふり構わず突進した。だが、その策動は完全に打ち破られた。闘争団と闘う国労組合員は、権力やそれに屈した本部と真っ向から激突して2日間の大会を闘った。会場外では機動隊と対峙しての集会が圧倒的に打ち抜かれ、会場内ではこれに呼応して代議員・傍聴者が国労本部を弾劾し抜いた。本部の不正・腐敗は暴き出され、「本部総退陣」は闘う組合員の確固たるスローガンになったのだ。闘う者の結束はより強まり、反動派との対立は一切の和解の余地を失った。本部打倒以外に勝利はないことが、これほど鮮明になったことはない。2日間の闘いは、国労の階級的再生に向け、不抜の橋頭保を築いたのである。

 責任を転嫁する本部

 大会は冒頭から激突の場となった。
 高嶋委員長のあいさつは激しいやじに包まれた。高嶋は、「一部闘争団員や一部組合員は……本部方針を真っ向から否定し4党合意は既に破綻(はたん)したとする分裂支援共闘会議との共闘など、組織人にあるまじき行動がある」「組織指導を受け入れない組合員に対しては、毅然(きぜん)かつ適切な措置を取らざるを得ません」と言い放った。4党合意破産の責任を闘争団になすりつけ、闘争団の除名を叫ぶ許しがたい発言だ。
 大会延期承認を求める本部に、高崎地本の代議員がすかさず反論した。「こんな全国大会は前代未聞だ」「本部責任を明確にせよ」
 議長団は大会延期の承認を拍手で求めた。千葉地本の代議員が議事運営に抗議して発言を求めたが、議長に収まった東京地本の阿部書記長はそれを無視した。
 組織検討委員会が闘争団への生活援助金を減額するとの方針を提案した。水戸地本、千葉地本の代議員がこれに反対意見を述べた。
 寺内書記長の運動方針提案は、ごうごうたるやじでかき消された。
 経過に関する討論では、東京地本・新橋支部、東京闘争団、仙台地本の各代議員が「4党合意はもう終わっている」「闘う方針を確立すれば団結できる」「いつまでストもできない状況が続くのか」と論陣を張った。チャレンジは「一部闘争団には査問委で毅然と対応を」(東京地本・宇都宮支部)と応酬した。
 経過に関する答弁で、寺内書記長は「鉄建公団訴訟の原告がせめて2ケタになれば、間違いなく解決案が示される」と暴言を吐いた。鉄建公団訴訟原告を何がなんでも除名するという反動的意志をむき出しにしたのだ。
 議長団は拍手による経過の承認を求めた。抗議の声が会場を覆った。議長はやむなく投票による採決に付し、本部案は可決された。
 運動方針討論では、1日目に5人が発言した。全員が賛成派だ。チャレンジは「首を切られた苦しみを分かるかと言われれば黙るしかない。だから本務の組合員はカンパしている。1回目は面白がるが、2回目はまたかとなり、3回目はもうたくさんとなる」「本当に今の国労は単一組織なのか。こんなに意見が違うなら、分かれて連合体にすればいい」(東京地本・宇都宮支部)と吐き捨てるように言ってのけた。反動革同は、「国労が自ら4党合意を破棄する道をとらないことが重要だ」(東京地本・新橋支部)と、4党合意にあくまでしがみつく態度を示した。
 2日目の討論に先立ち、反対派代議員は4党合意の破棄などを求め、6本の修正動議を提出した。議事運営委員会は、そのうち2つの動議の中に「本部総辞職」の言葉があることをあげつらい、不信任案の提出に必要な署名数を満たしていないとして却下した。
 この日の方針討論では15人が発言したが、反対派は1人だけ。午後からの代表討論も、3人の発言者全員を賛成派が独占した。まさに強権的な議事運営だ。
 チャレンジは「4党合意はおかしいというのがいつまで続くのか。いつまで頑張っているのかという組合員の声もある。頑張れば勝利できるというのは幻想だ」(仙台地本)と放言した。反動革同は「闘争団の一部の独自行動は団結を否定する利敵行為」(東京地本)、「ILO勧告は4党合意での解決を求めている。国労方針に一部闘争団が従わないのは解決の大きな阻害要因」(北海道本部)と言いつのった。

 不正・腐敗を徹底追及

 議長団が運動方針の採決を強行した。反対派の修正動議は否決され、本部原案が押し通された。
 だが、反対派はひるむことなく大会最終局面での徹底抗戦を貫いた。暗雲を切り裂いたのは、財政小委員会報告をめぐる攻防だった。本部は、闘争団への生活援助金の削減や、アルバ(本部統一物販)のでたらめな欠損処理を強引に認めさせようとした。高崎地本の代議員が質問を求めたが、議長団は発言を圧殺した。これが反対派の怒りに火をつけた。
 続いて田中副委員長が査問委員会答申を報告した。その一つは、新井前中執ら国労分裂の首謀者15人の除名処分だ。議長団は拍手承認を求めたが、規約に反することを指摘され、あわてて投票を実施した。分裂首謀者の除名は承認された。
 もう一つは、闘争団への処分のために査問委を「継続設置」するというものだ。だが、規約の上では査問委の設置は「その大会のみ効力がある」とされている。今大会で結論を報告できなければ、直ちに解散しなければならないのだ。
 高崎地本の代議員が「査問委員会の自動的解散を確認する動議」を提案した。これに対して寺内は、「今大会ではなく、査問委が結論を出した後の直近の大会に報告すればいいことになっている」と居直った。規約を踏みにじるでたらめな解釈だ。反対派代議員が総立ちになって抗議する中、議事はいったん中断した。
 再開後、革同の田中副委員長が「継続設置は規約に基づく扱い」と述べ、寺内答弁を追認した。
 反対派の動議は否決され、本部原案が可決された。反動革同はこれに全面加担した。彼らは、闘争団除名を意味する査問委「継続設置」に賛成したのだ。日本共産党の「国鉄闘争再構築路線」のペテンと反革命性はむき出しになった。
 続いて寺内書記長が「スト基金の運用について」なる議案を提案した。スト基金13億円のうち8億5千万円を取り崩し、専従者・書記の退職金やエリアの資金に充てるというものだ。スト基金の取り崩しは、スト放棄の労使共同宣言路線への転落を意味する。さらに、エリアに3億円もの金をばらまいて、単一体としての国労を解体し、JR連合になだれ込もうというのである。まさに国労財産の持ち逃げだ。しかも、スト基金はストによる賃金カットの補償以外に使用しないと規約に明記されている。本部は、こんな議案を大会当日に突如として提案した。その提案の仕方自体も議事規則に反している。
 寺内は、このでたらめな提案を採決に付せば否決されかねないことを恐れ、「1年間の職場討議にかけて、次期大会で決定する」と述べた。だが、それが国労の自己解体をさらに加速させることは明らかだ。
 東京地本・新橋支部の代議員が修正動議を提案し、使途不明の金をエリアにばらまく不正・腐敗を批判した。北海道本部・旭川地区本部の代議員も平然と規約を踏みにじる本部を徹底的に弾劾した。他方、チャレンジの代議員は「エリアへの金の配分が少ない」と本部を反動的に突き上げた。
 激しい怒りが代議員・傍聴者からわき起こった。傍聴者が本部に詰め寄ったが、分厚い警備の壁に阻まれた。反対派の修正動議は否決された。抗議の声はさらに高まった。
 こうした攻防の中で、大会は終了予定の午後3時を大幅に上回る午後6時まで続けられた。

 国家権力に大打撃 甘利が「4党合意離脱」表明

 今や、チャレンジと反動革同は国労解体への最後の留め金を外した。
 だが、それは本部の不正義と腐敗が全組合員に赤裸々に暴かれ、組合員と本部との対立はいよいよ非和解化したということだ。2日間の攻防を貫いた代議員や組合員の闘いは必ず国労の階級的再生に結実する。
 大会後、自民党の甘利は今大会で闘争団への処分を決められなかったことにいらだち、「国労側の誠意ある対応がなければ、わが党は4党合意離脱を含め厳しい対応をせざるをえない」と本部を恫喝した。あくまで闘争団を除名せよというのだ。国労解体をどこまでも押し貫くという日帝権力の意思表示だ。

 闘争団除名の臨大を許すな

 本部はこれにあわてふためき、26日の中執で鉄建公団訴訟原告の中心メンバーに対する処分を先行するとの方針を決めた。査問委の結論を早急に出し、除名処分のためだけの臨大さえ策動しているのだ。
 さらなる激突情勢が訪れた。5・27臨大弾圧への大反撃を軸として、これに真正面から立ち向かおう。
 エリア・地本の大会を闘い抜き、1047人闘争陣形をさらに発展させよう。国労組合員自らの力でJR総連解体を推し進め、JR資本と職場から対決して、03春闘をストライキで闘おう。イラク反戦・有事立法阻止の闘いを国労の中から巻き起こそう。

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週刊『前進』(2081号2面2)

国労70回定期大会
 社文前集会 “闘う執行部をつくれ” 弾圧粉砕へ闘志あふれ

 国労大会は4たび機動隊の重包囲下に置かれた。だが、闘争団や国労組合員、支援は、権力の恫喝をはねのけて続々と結集した。その数は、大会両日をとおして延べ700人に達した。参加者は固く団結して機動隊と対峙し、国家権力と国労本部を弾劾し抜いた。
 5・27臨大弾圧に総反撃する決意を固めた国労組合員は、両日とも代議員宿舎前と傍聴者集合場所での説得・ビラまき行動を貫いて集会に合流した。
 大会初日の午前9時半、司会の国労組合員が、「本部は新井、今井らと裏でつながりながら国労を各エリアに解体しようとしている。スト基金も取り崩す。怒りをもって糾弾する。新たな闘いへ、私たちが主体的に闘う。機動隊に守られた大会に抗議する」と集会開始を宣言した。
 国鉄闘争共闘会議が、「破産した国労本部を踏み越え、追放して、われわれが主人公であることを明らかにする」と断言した。闘う闘争団の原田亘代表は、「れわれの闘いが間違っていたことにする大会にしてはならない」と訴えた。
(社会文化会館前で機動隊と対決しながら、闘争団員、JR本体組合員、共闘の労働者ら300人余が「4党合意を破棄しろ」とシュプレヒコール【24日】)

 5・27臨大弾圧家族らが訴え

 5・27臨大弾圧被逮捕者の家族がマイクを握った。家族たちは、集会に先立って「釈放を求める署名に協力するな」とした本部指示の撤回を求め、本部役員との面会を要請した。だが、警備の東京地本役員は、「組合とは関係ない」と家族たちを追い払った。被弾圧者の家族は、こうした本部の対応を弾劾し、「私たちの夫はれっきとした組合員。腹立たしくて仕方ない。完全黙秘で頑張っている夫たちとともに家族も闘う」と決意を述べた。
 これに続いて佐藤昭夫弁護士が発言し、弾圧に加担する国労本部を弾劾した。鉄建公団訴訟弁護団の各弁護士が、闘争団とともに闘い抜く決意を表明した。
 全国から結集した闘争団員は、「警察と癒着した本部は総退陣しかない」「本部は朽ち果てている。闘う指導部を立てよう」「4党合意以来、誰が本当に闘っているのか、誰が言葉だけを飾っていたのか分かりやすくなった。踏みにじられても闘う」「頑張っている組合員を大切にしない国労ではなく、手を取り合える国労にしたい」とそれぞれに訴えた。また、00年7・1臨大で不当逮捕された国労組合員が、地労委闘争の勝利を報告した。
 動労千葉の田中康宏委員長が、1047人闘争の当該として国労闘争団・全動労争議団とともに最後まで闘う決意を表明し、JR総連解体を訴えた。関西合同労組が、弾圧粉砕へともに闘う決意を表明した。
 2日目は雨の中での集会となった。だが、参加者の怒りと決意は強まるばかりだ。「国労の流れ解散を許さない」「本部は総退陣・総辞職すべきだ」「高嶋委員長、寺内書記長が方針提案していること自体許せない」との発言が続いた。
 弾圧の機会をうかがっていた権力が参加者を挑発した。全参加者が激しい怒りで公安警官を弾劾した。
 闘争団員が、本部や東京地本の不正会計を暴いて弾劾した。「スト基金取り崩しを許さないぞ。不正な金の流れを追及するぞ」とシュプレヒコールが上がった。国労に人権と民主主義を取り戻す会の組合員は、「スト基金取り崩しには仮処分も辞さない。機動隊や公安が守っている国労本部は裏金づくりの犯罪者だ」と怒りの声を高めた。
 大会終了直後、高崎地本の代表が、2日間の闘いを総括して、「こうした本部を許してきたのは自分たちの責任だ。本当の闘う執行部を立てるために行動する」と宣言した。闘う闘争団の内田泰博代表が、「闘う部隊があれば展望は開ける。われこそ国労組合員という気持ちの強さが、これからの闘いに反映する」と訴えた。

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週刊『前進』(2081号2面3)

“事業団は無責任” 鉄建公団訴訟開く 第2回口頭弁論

 11月21日午前、鉄建公団訴訟の第2回口頭弁論が開かれ、100人以上が集まった。法廷では国労大分闘争団の赤峰正俊さんが「私は事業団3年間で就職あっせんを直接当局から受けたことは一度もありません。その私をしても1人平均20〜30回もの就職あっせんをしたと言われているのですから、その無責任さに驚くばかりです」と訴え、清算事業団の実態を暴露した。
 同日夜、シニアワーク東京で「第2回鉄建公団訴訟報告集会」(主催/鉄建公団訴訟原告団、国鉄闘争共闘会議)が開催され、約220人が参加した。集会の最後に、多数の闘争団員が登壇し、原告団の酒井直昭団長が決意を表明。「私たちはこの問題を原告団だけで解決しようとは思っていない。最後は必ず国鉄労働組合として解決する。そういう方向に向かう国労大会にしたい」と訴えた。

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週刊『前進』(2081号2面4)

資本攻勢&労働日誌 2002 11月7日〜22日
 連合賃上げ放棄の春闘方針決定
 解雇ルール法制化素案示す/地方自治体で賃下げ

●7日 厚生労働省は労働政策審議会・労働条件分科会に解雇ルール法制化の素案を示した。(要旨別掲
●8日 沖縄県の雇用問題(9月の失業率9.4%)への対応を検討する政府の「産業・雇用対策連絡会議」が初会合を開いた。
◇日本銀行公表の「生活意識に関するアンケート調査」によると、約8割が勤め先の経営や自分の事業に不安を感じており、8割強が雇用や処遇に不安を感じている。
●12日 政府の産業再生・雇用対策戦略本部は第1回会合を開催し、11月下旬に報告書を出すことを確認した。
◇長野県の田中知事は全職員の賃金を8〜12%削減する案を決め、労働組合に伝えた。長野県の案は鳥取県の4〜6%を上回る最も厳しい内容だ。
●14日 来春卒業予定で就職を希望する高校生のうち9月末現在で就職が決まっている割合は33.4%で、過去最悪だった前年同期を3.6ポイント下回ったことが厚生労働、文部科学両省の調査でわかった。
●17日 坂口厚労相は、テレビ番組で今後15兆円の不良債権を処理すると60万人強の離職者が発生し、このうち30万人強が再就職できずに失業者になり得るとの見通しを明らかにした。
●19日 連合の中央委員会が20日まで開かれ、来年の春闘でベア統一要求を見送ることを正式に決定した。連合がベア統一要求を放棄したのは2年連続。
◇ILO(国際労働機関)の理事会は、日本の公務員労働者の労働基本権問題に関する日本政府への勧告を採択した。(勧告英文
◇連合加盟の食品連合と食品労協が組織統合し、新しい産別「フード連合」(日本食品関連産業労働組合総連合会)を結成。規模は237組合、約10万3000人。
◇東京都は、一般職員の賃金を来年1月から1.64%引き下げた上、来年7月までの予定だった4%削減については、来年1月から04年3月末まで2%削減とすることで都労連と合意した。これに伴い19日朝のストは中止になった。また定期昇給を04年度から大幅に見直すことで合意した。公務員の定期昇給見直しは全国初。(記事
●20日 大阪府の堺市は、労働組合との事前協議なしで、@退職金の10%カットを来年度から実施、A1200人リストラ、B昇給を3年間停止、C55歳で昇給停止、D今年度の賃金切り下げ、などを行うとマスコミに発表。
●22日 政府は、雇用保険料率の1.6%(現行1.4%、労使折半)への引き上げ時期について、来年6月実施の予定を当面先送りする方針を固めた。
◇賃下げに抗議して、新潟県職労や北海道の全道庁、秋田県の市町村職労などが、1時間のストライキや29分の職場集会を行った。

 「解雇ルール法制化」の厚労省素案

●現状
 現行法の制限条項は、解雇予告期間1カ月ないし予告手当1カ月分、労組活動、国籍・信条、監督機関への申告などを理由とする解雇の禁止。判例で確立した「整理解雇の4要件」(@経営上人員整理の必要性、A解雇を避けるための努力義務、B解雇対象者選定基準の合理性、C手続きの妥当性)がある。
●厚労省提案の「解雇ルール」
 解雇には「正当な理由」を必要とする
 「正当な理由」には、日本食塩製造事件の最高裁判決を想定。「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には無効」というもの。「整理解雇4要件」は認めず首切り自由を狙う。

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週刊『前進』(2081号3面1)

小泉の「総合デフレ対策」に屈した連合春闘方針許すな 03春闘の爆発をかちとろう

 29年世界大恐慌を上回る世界大恐慌情勢のもとで、かつてない経済危機にあえぐ日帝・小泉は、10月30日に「総合デフレ対策」を発表した。これは一切を労働者階級に犠牲転嫁し、あげくの果てには世界戦争の惨禍に全世界をたたき込む帝国主義の必死のあがきである。この攻撃を真正面から粉砕しなければ労働者階級は生きていけない。ところが連合は、「連合は雇用に特化して運動する」などと小泉「総合デフレ対策」に全面的に屈服し、賃金闘争を完全に放棄する03春闘の方針ならざる方針を決定した。労働者階級の怒りのマグマはいまや爆発寸前だ。アメリカ・ヨーロッパのイラク反戦闘争の高揚と連帯し、03春闘の爆発へただちに進撃を開始しよう。

 大失業を加速する「総合デフレ対策」

 日帝・小泉が、帝国主義としての延命をかけて発表した「総合デフレ対策」なるものは、けっして日帝の危機を突破できるものではない。恐慌爆発は避けられない。資本主義には未来がないのだ(本紙2079号4面島崎論文参照)。
 だが、日帝・小泉の「総合デフレ対策」は労働者階級人民にとって、耐え難い「痛み」を強制する一大攻撃である。「不良債権処理の加速」は、大銀行の貸出資金の回収=貸しはがしを引き起こし、企業倒産と大失業のあらしが吹き荒れようとしている。03春闘は、この小泉「総合デフレ対策」との対決が一大焦点となった。
 今回の総合デフレ対策は、「産業再生・雇用対策本部」および「産業再生機構」の創設などが目玉と言われている。「産業再生機構」の担当大臣には、国家公安委員長の谷垣が就任した。この一事を見ても権力が不良債権処理の過程で膨大に発生する失業者問題を治安対策として考えていることがはっきりする。
 「総合デフレ対策」とは、第一に大失業を生み出す大攻撃である。
 第一生命経済研究所は不良債権処理に伴うデフレと資産価格の下落が続くと、4万4千件の倒産と、45万人余りの失業者が発生するというレポートを発表した。日本総合研究所は、竹中金融相が検討している「繰り延べ税金資産」の自己資本への参入基準見直しで、失業者はなんと332万人増えると試算した。
 つまり、小泉総合デフレ対策によって、現在の失業率5・4%、失業者365万人から、最悪の場合には一気に失業率が10%、失業者700万人に達する一大失業時代が始まろうとしているのだ。10人に1人が街頭に投げ出される大恐慌そのものである。
 これに対して日本経団連会長の奥田は記者会見で「改革の痛みを許容できる範囲は、失業率で見ると 6〜6・5%までだ」などと、6・5%までは労働者の首をどんどん切ると宣言したのだ。奥田発言を絶対に許すな。
 第二に、大幅賃下げ攻撃である。4年連続の賃下げだけに止まらず、奥田は「定期昇降給」などと言って、春闘を一大賃下げの場にしようとしている。
 そのために、「多立型賃金」を導入し、アジアとの競争を口実に、労働者を職種別に分断し、多くの職種で大幅賃下げを狙っている。この攻撃に電機連合を先頭にした連合中央は「職種別賃金」導入を掲げて呼応し、資本の先兵となって賃金闘争を解体しようとしているのだ。
 第三に、労働法制の改悪をとおした戦後労働者支配の大転換攻撃である。
 日帝・小泉は総合デフレ対策と一体で、総合規制改革会議での結論どおり、来年の通常国会に向けて労働基準法、労働者派遣法など一連の労働法制の改悪を行い、労働者階級の戦後の諸権利を解体し、戦後労働者支配を転換しようとしている。
 @労働運動の獲得地平である「整理解雇4要件」を解体し、「正当な理由」さえあれば、自由に解雇できるという解雇法制を確立して、首切り自由の社会にしようとしている。
 A有期契約の原則1年から3年への延長を狙っている。これは、終身雇用制を解体して労働者階級全体を不安定雇用にたたき込もうというものだ。
 B裁量労働制の手続きの簡素化によって、裁量労働制を全労働分野に導入し、8時間労働制を解体して、資本の都合のいいように労働者階級を酷使しようとしている。
 C現在は禁止されている「物の製造」への派遣を解禁し、臨時的派遣の期間を1年から3年に延長するなどの派遣法改悪を狙っている。派遣労働を全産業部門に拡大しようというのだ。
 一連の労働法制改悪攻撃の狙いは、一つにアウトソーシングなどの導入を容易にし、終身雇用制を解体しようという点にある。
 二つに、労働者の団結を破壊し、労働運動を解体して戦争と大失業の攻撃を貫徹しようとしている。その最も鋭い切っ先こそ、国労5・27臨大弾圧である。
 第四に社会保障の改悪などをとおした労働者階級への犠牲転嫁の攻撃である。
 まず、健康保険法が改悪され、医者にかかったときの本人負担が来年4月から3割(現在2割)になり、月々の保険料も0・7%(労使折半)に引き上げられる。雇用保険料も、政府は今年10月に0・2%引き上げ、来年7月からさらに0・2%上げることを検討中だ。税制改革でも、小泉首相は配偶者特別控除の廃止を明言し、特定扶養控除の加算部分も廃止したいとしている。
 これらの結果、連合の試算では、年収が4百万円程度の世帯では、およそ年間9万6500円と、10万円近い負担増になる。
 文字どおり労働者階級への犠牲転嫁はとどまるところを知らない。

 「雇用問題に特化」は賃金闘争の否定

 日帝の生き残りをかけた一連の大攻撃に対して連合は、完全に屈服している。
 笹森連合会長は、この総合デフレ対策に対して、「これで本当に景気回復、雇用改善になるのか、大きな疑問符をつけざるをえない。財源の裏付けもなく、これで事態が好転するはずがない」などと、怒りはひとかけらもなく、資本と同じ立場で景気が回復できるかどうかだけを心配している。連合幹部どもは、クビを切られる労働者階級の痛みとは無縁の資本の手先の本性をさらけ出しているのだ。
 それを最も鋭く示したものが03春闘方針を決定した11月19日の中央委員会であった。この日の中央委員会で確認された「2003春季生活闘争方針」は、連合結成以来初めて統一要求基準を示さず、2年連続でベースアップ要求を放棄した大裏切り方針である。リストラ・首切り攻撃にさらされ、4年連続で労働者階級の賃金が下がり続けている現実の中で苦闘する労働者階級の、「03春闘こそは大幅賃上げを」という要求を土足で踏みにじるものであり、断じて許せない。徹底弾劾する。
 笹森は、あいさつで、「連合は雇用問題に特化して運動する」などと言って、小泉「総合デフレ対策」に屈服し、それを前提にして賃金闘争を完全に放棄すると開き直った。
 だが、連合が、「雇用問題に特化」するなどと言ったからといって、それはリストラ・首切り反対闘争を闘うことを意味するのか。けっして、そうではない。そもそも89年の連合結成の原点は、反戦政治闘争の放棄とともに、合理化・リストラに全面的に協力するところにあった。資本の合理化攻撃に率先して協力し、労働者への首切り・リストラ攻撃の先兵になることを基本方針に、反合理化闘争、解雇撤回闘争を闘う組合を排除して結成したものこそ帝国主義的労働運動としての連合であった。
 その連合が、「雇用問題に特化」などと言う時、それは「政府に政策転換を求める」ということしか意味しない。その本質は、政労資一体で帝国主義間の争闘戦に勝ちぬくということであり、行き着く先は産業報国会なのだ。
 連合の03春闘方針は、賃金よりも雇用ということでは断じてなく、賃金も雇用も完全に投げ捨てるということしか意味しない。そもそも賃金闘争を放棄したところで、雇用も守れるわけは絶対にないのだ。

 一律大幅賃上げを掲げ03春闘決起へ

 03春闘は、米英帝国主義のイラク侵略戦争情勢の真っただ中で闘われる。国際反戦闘争との連帯・合流の中に、03春闘爆発の展望があることをはっきりさせよう。
 アメリカやヨーロッパの反戦闘争の高揚の背景には労働組合の参加、労働運動の骨太の高揚があり、その根底には、70年代から続く10%近い大失業への労働者階級の怒りがある。
 日本においても、90年代末の橋本内閣からの一連の「構造改革」によって失業率は97年の3%台から5%台に一気に2ポイント、失業者数にして140万人も増加した。賃金は4年連続で下がり続け、平均して年収で13万円も減少している。今や日本の労働者階級も、アメリカやヨーロッパとまったく同じ条件にたたき込まれているのだ。
 労働運動爆発の条件は、今や完全に熟し切っている。問題は、その爆発を阻止している連合・全労連の既成労働運動指導部を打倒して、闘う労働運動の新しい潮流の荒々しい登場をかちとることにある。
 国家権力による国労5・27臨大弾圧こそ、戦争と大恐慌情勢下での労働者階級の総反乱を阻止しようという日帝の凶暴な弾圧であった。この弾圧を粉砕し、国鉄闘争の勝利と1047人闘争支援陣形を拡大し、労働運動の新潮流の爆発的発展を実現することはまったく可能なのだ。
 03春闘を一律大幅賃上げを掲げてストライキで闘おう。日帝の倒産・破産攻撃を粉砕し、大失業攻撃にうち勝つ労働者階級の拠点を形成しよう。国際反戦闘争との連帯を掲げ、03春闘を「激動の7カ月」の一環として闘いぬこう。

 連合03春闘方針の裏切り性

@賃上げ統一要求基準を連合結成以来初めて放棄
 「各組合は、賃金カーブ維持を前提に、……組合が判断したところは賃上げに取り組む」――賃上げ出来ると判断したところだけが賃金闘争をやればいいという方針。(昨年は、「賃金カーブ維持+α」というかたちで、ベア要求額を明示しなかったので実質的にはベア要求放棄=賃上げ要求放棄だが、形式的には一応賃上げを掲げた)

A春闘の再構築を唱えて政策制度要求闘争に春闘を変質・解体
 「政策制度を柱とした景気回復と雇用確保の実現」――政府、日本経団連への政策転換要求運動に春闘を変質させる。企業防衛主義・国益主義の立場から産業報国会化の一層の強まり。

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週刊『前進』(2081号3面2)

中教審中間報告を弾劾する
教育基本法の全面改悪狙う
 「日本人育成」「愛国心」掲げ 有事立法・改憲と一体の攻撃

 文科相の諮問機関である中央教育審議会は、11月14日の総会で、教育基本法の全面改悪を打ち出した中間報告を遠山文科相に提出した。中教審会長の鳥居泰彦は、最終答申について「来春には出したい」と述べ、文科省は、教育基本法改悪案を来年の通常国会に提出することをめざしている。
 「教育の憲法」である教基法改悪とは、戦後の教育のあり方を一変させる大攻撃である。そしてまた、11月1日の衆院憲法調査会の中間報告提出と軌を一にした、憲法改悪攻撃と完全に連動した攻撃である。教育基本法改悪絶対阻止の闘いを猛然と巻き起こそう。

 「国家のための教育」に大転換

 中間報告は各条文の改悪の方向性を打ち出した。
 第一に、第1条(教育の目的)の全面改悪である。現行法第1条は「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび」などを明記している。これは前文とならんで、「天皇のため」の戦前の教育を否定した規定である。
 これに対して同報告は、「グローバル化」「大競争時代」という「時代の潮流」をふまえて、「21世紀の我が国を担う日本人に必要な資質は何か、今後、どのような日本人を育成すべきか」「本審議会が提示する新しい時代の教育目標は、端的に言えば『新しい時代を切り拓(ひら)く心豊かでたくましい日本人』の育成である」「現行法には、新しい時代を切り拓く心豊かでたくましい日本人を育成する観点から重要な教育の理念や原則が不十分であり、それらの理念や原則を明確にする観点から見直しを行うべき」とした。
 ここで、現行法の《教育の目的》に《新しい時代の教育目標》を対置していることが重大である。つまりこれまでの《教育の目的》が戦前の教育の否定の上に立った「個人の尊厳」(前文)、「人格の完成」(第1条)であったのに対置して、《新しい時代の教育目標》は°国家のための人材育成″であると大逆転させようとしているのである。

 愛国心を教育目標に入れる

 そして第1条の改悪の方向性として、「現在および将来の教育において重要であり、教育基本法に規定すべき」7点を挙げた。
 中でも重大なのは、一つに、「日本人としてのアイデンティティ(伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心)」「社会の形成に主体的に参画する『公共』の精神、道徳心、自律心」を盛り込み、戦争のための愛国心教育を教育目標の根幹に置くとしたことである。
 二つには、「個人の自己実現と個性・能力の伸長、創造性の涵養(かんよう)」を盛り込むことを打ち出したことである。°自己責任で能力伸長に励む人間″ほど、国家と資本にとって好都合な人材はない。ここにおいて、《権利としての教育》は否定され、《国家への義務としての教育》が説かれているのである。
 この点に関連して、第4条(義務教育)については「義務教育制度をできる限り弾力的なものにすべき」「就学年齢について、発達状況の個人差に対応した弾力的な制度」などを、学校教育法改悪で対応すると打ち出した。徹底した能力主義教育、差別・選別教育をエスカレートさせようとしているのである。

 教育労働者へ全面攻撃宣言

 第二に、第6条と第10条の改悪をとおして、教育労働者への全面攻撃が宣言されたことである。
 まず第6条(学校教育)について。学校の役割について「知・徳・体の教育を行う場であること等を明確に規定する」とし、「徳」の中身として「人格の陶冶(とうや)、道徳教育」とし、戦時型の徳育・道徳教育の徹底を宣言した。
 また「教員の資質の向上は教育上の最重要課題」「教員の使命感や責務を明確に規定するとともに、研究と修養等により資質向上を図ることの重要性について規定する」として、教育の自主性と研修の自主性を完全に否定することを打ち出した。
 教育の目的が転換されれば、「日本人育成の愛国心教育」が教員の使命とされる。そして「日の丸・君が代」強制や愛国心教育・道徳教育に抵抗する教育労働者は「国の教育方針に従わない者」「教職不適格」として排除されることになる。
 さらに、「教育は、不当な支配に服することなく」と明記した現行法第10条(教育行政)に、「教育振興基本計画の策定の根拠となる規定を置く」ことを盛り込むとした。これは第10条を国の定める「教育振興基本計画」の根拠づけの条文としようということであり、教育労働者に国の教育方針を全面的に貫徹することを強制するものである。
 戦後一貫して教育労働者は、教基法第10条をも盾に、国家や教育委員会による教育への不当な支配・介入に対抗してきた。この第10条を、国家の教育支配を正当化する条文に大逆転させようというのだ。
 ここには、戦後労働運動の中軸を担ってきた日教組運動を完全につぶすという狙いが明確に現れている。今もなお、日教組本部の屈服をうち破って現場の教育労働者が「教え子を再び戦場に送るな」を掲げて不屈の闘いを貫いていることへの恐怖と憎悪である。その意味で教基法改悪とは、国労5・27臨大弾圧を頂点とする国鉄労働運動解体の攻撃とともに、労働運動の全面解体攻撃なのである。
 第三に、現行法にはない「家庭教育」を条文に盛り込むことが打ち出された。「家庭(保護者)の果たすべき役割や責任について新たに規定する」「学校・家庭・地域社会の連携・協力等についての規定をきちんと位置付ける」と明示して、家庭、地域を国家主導の戦前型の教化事業、国民精神総動員運動の担い手としようとしているのである。
 第四に、前文の改悪である。同報告は、「前文については……教育基本法全体の見直しの考え方が決まった後で、改めて検討する」とし、具体的な改悪の方向性には触れなかった。
 前文(別掲)とは、教基法の根幹である。教育勅語のもとでの戦前教育を否定し、現行憲法と教基法が一体のものであることを鮮明にして、新たな教育に転換することを打ち出したものである。この前文の改悪とはまぎれもなく改憲を前提としたものである。日帝は憲法改悪への突破口として教基法改悪へ突き進もうとしているのである。
 総じて、中間報告は、教育の目的を「個人の尊厳」「人格の完成」から「国家有為の人材育成」へと大転換し、人間像を「平和と真理を希求する人間」から「愛国心を持ち、国家・社会に貢献する日本人」へと大転換し、《国民を主体とする教育》から《国家による国家のための教育》に大転換するものだ。有事立法と連動し、改憲を先取りして、戦争を担う人材づくりのための教育へと大転換させようとしているのだ。
 03年は教育基本法改悪をめぐる大決戦の年である。教育労働者を先頭に、すべての地域・職場・大学から教育基本法改悪絶対阻止の運動を巻き起こそう。

 (資料) 教育基本法前文

 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
 ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

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週刊『前進』(2081号3面3)

年末一時金カンパ訴えます イラク反戦闘争の爆発へ闘う革共同に闘争資金を
 革命的共産主義者同盟

 イラク侵略戦争の開始に反撃を

 年末一時金の支給時期にあたり、すべての皆さんに、圧倒的な闘争資金=カンパを革共同に寄せられることを訴えます。
 まず何よりもカンパを訴えたい第一の理由は、現在イラクに対して、国連による「査察=占領政策」が行われており、米英帝国主義を始めとする国際帝国主義によるイラク侵略戦争の開戦ボタンが押されたということであり、イラク反戦闘争の爆発が待ったなしに問われているということです。
 「査察」はイラクの国家主権を踏みにじり、じゅうりんする、文字どおりひとつの国家を解体するにも等しいものであり、けっして許されるものではありません。アメリカ帝国主義は、「査察の拒否・妨害」や「虚偽の申告」を口実にして、直ちに武力攻撃する態勢に入っています。
 それは、イラク人民に対する米軍の一方的な虐殺行動の開始です。数十万人のイラク人民が虐殺されようとしているのです。私たちはこんなことを絶対に許してはなりません。
 イラク侵略戦争を阻止するために、イスラム諸国人民の闘いを始めとして、イラク反戦闘争は世界のいたるところで開始されています。すでに9月28日のロンドンでの40万人のデモを皮切りに、ベトナム反戦闘争を上回る決起が始まっています。世界各国での反戦闘争と連帯して、この日本の地で巨大な反戦闘争を実現・爆発させなければなりません。
 巨大な反戦闘争の爆発のためにはその資金が絶対に必要です。革共同は寄せられた貴重なカンパを使って、必ずやイラク反戦闘争を爆発させます。圧倒的なカンパをお願いします。
 アメリカ帝国主義のイラク侵略戦争は、まったくの不正義の侵略戦争です。ブッシュは、「米国の脅威を取り除くためには、米国は必要ならば単独で先制行動を起こし、自衛権を行使する」と先制攻撃戦略を国家戦略として確立し、アメリカに異を唱える国の一掃を目指しています。
 そして、アフガニスタン侵略戦争に続く米英帝のイラク侵略戦争の開始は、北朝鮮・中国侵略戦争をも引き寄せ、必ずや第3次世界戦争へ至る道を早めるものとなります。絶対に阻止しなければならないのです。
 さらに、日帝・小泉は、テロ対策特措法の半年間の延長と新たな海上輸送任務を閣議決定しました。これによってイラク人民の虐殺に加担しようとしています。私たちには今、人類史上三度目の世界戦争という帝国主義者の横暴を許すのか否かが問われているのです。革共同に寄せられたカンパはイラク反戦闘争の爆発を実現するために使わせてもらいます。ぜひともカンパをお願いします。

 拉致問題口実の排外主義許すな

 さらにカンパを訴える第二の理由は、イラク侵略戦争の開始が、同時に朝鮮半島をめぐる情勢を一気に激化させているからです。
 この間、日帝は日朝国交正常化交渉過程で、それ自身反人民的な拉致問題を逆手にとって、排外主義を最大限あおりたてながら、北朝鮮スターリン主義に対する重圧を強めています。それは日帝の北朝鮮侵略戦争の準備・開始そのものです。
 米・日帝国主義はイラクの次は朝鮮だとばかりに、すさまじい軍事的・政治的・経済的重圧を加えています。それは、戦後一貫して行われてきました。
 日帝は、戦前の朝鮮植民地支配の過程で、国家による大規模で組織的な拉致そのものである強制連行を何百万人という規模で行いました。そのことに対して、一言の謝罪も賠償もなく、拉致問題をただただ帝国主義外交の手段としています。
 加えて、北朝鮮・中国侵略戦争法案である有事3法案を成立させようと狙っています。再び朝鮮人民を始めとして、アジア人民への侵略戦争を許すのか否かが問われているのです。

 社・共に代わる労働者党建設を

 圧倒的なカンパを訴える第三の理由は、労働者は闘わなければ生きていけない時代に突入しているからです。
 29年型世界大恐慌過程の深まりと、米帝経済の危機のもとで、日帝経済はデフレスパイラルと金融危機を絶望的に深め、一切の犠牲を労働者階級人民に強要してきています。大失業と戦争の攻撃が激化し、資本攻勢がエスカレートしているのです。
 日帝資本は、日経連「新時代の『日本的経営』」路線を全面的に貫徹し、大リストラ・首切り、総額人件費の削減攻撃を推進しています。9月の完全失業率は、5カ月連続で5・4%を記録し、完全失業者は365万人と増加しています。昨日まで一緒に働いていた職場の同僚が次々とリストラ攻撃で路頭に放り出されているのです。
 年末一時金も、支給額が大幅に削られ、住宅ローンの支払いもままならない労働者が数多くいます。労働者は闘わなければ生きていけないのです。苦しい生活費の中から拠出していただいた闘争資金は必ず巨大な闘争を生み出します。「血の一滴」のカンパは、命をかけた決起に等しいものだからです。革共同はその決起を絶対に無駄にはしません。
 小泉・竹中らの「不良債権処理の加速」「構造改革の加速」政策は、倒産とリストラ、大失業を不可避とします。労働者の総決起が待ったなしに求められています。
 だが、連合は今年に引き続いて来春闘も賃上げを要求しないことを決めました。資本の攻勢が激化している時に全面的に屈服し、みさかいもなく資本の代弁者に転落したのです。絶対に許せません。
 今こそ社・共に代わる労働者党の建設が求められているのです。
 国鉄1047名の解雇撤回闘争を中心とする国鉄闘争をめぐっては、組合員への正当な説得活動に対して8人(国労組合員7人)の起訴が強行されました。一刻も早く取り戻さなければなりません。そのためにも救援カンパが必要なのです。
 労働者階級は必ず立ち上がります。すでに資本の横暴に対して苦闘しつつ、決起を開始しています。労働者は立ち上がらない、闘えないと言って自らの闘いを放棄する既成指導部を打倒しなければなりません。
 革共同は昨年の第6回大会において「21世紀の早い段階において反帝国主義・反スターリン主義のプロレタリア世界革命の達成をなしとげ、共産主義社会へ全人類史的移行を実現する」ことを決意しました。
 共産主義社会の実現こそ普遍的な人類の解放を実現するものです。一切の基礎が、社・共に代わる労働者の党=革共同の建設にかかっており、それは今や待ったなしの闘いなのです。
 革共同は日帝・政治警察との闘いに、中央指導部をはじめとして、非公然党の建設をもって打ち勝ちます。中央派とJR総連派に分裂し、組織的・綱領的危機を深める反革命=カクマルを打倒します。獄中同志の闘いを先頭に、非妥協・非転向の闘いを貫き、階級闘争の前進をかちとります。
 闘うためには組織=党が不可欠なのです。ともに巨大な労働者の党を建設しましょう。そのための資金=年末一時金カンパを集中されることを心より要請します。

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週刊『前進』(2081号4面1)

イラク人民虐殺やめろ 日帝のイラク侵略参戦許すな
 12・8大デモで戦争とめよう
 イラク攻撃は世界戦争突入だ 日帝・小泉こそ最大の支援者

 11月27日に国連のイラク査察が始まった。イラクが「大量破壊兵器の開発計画」を申告する期限の12月8日前後には、カタールの前線司令部が立ち上がる。いつでもイラクを総攻撃できる体制が整うのだ。米帝のイラク侵略戦争が事実上始まり、全面攻撃が間近に迫っている。これは歴史上に比類のないほど残虐な、被抑圧民族人民への一大虐殺戦争である。米帝ブッシュはこれを突破口に全世界を暴力的に戦争過程にたたき込もうとしているのだ。日帝・小泉政権こそ英帝ブレアとともに、米帝ブッシュの最大の同盟者である。在日米軍基地こそ最大の出撃拠点なのだ。すでに欧米では数十万人、百万人の労働者人民が立ち上がっている。日本人民の態度こそが問われているのだ。イラク侵略戦争を絶対に止めるために、12・8全国総決起闘争の大爆発をなんとしても実現しよう。

 被抑圧民族への大虐殺戦争全世界の暴力的再編を狙う

 戦後世界体制の崩壊と29年型世界恐慌過程が現実となる中で、世界戦争か世界革命かを問う巨大な情勢が到来している。米帝のイラク侵略戦争は、歴史的没落にあえぐ米帝が基軸帝国主義としての延命をかけて行う世界戦争計画の全面的発動である。米帝は基軸帝国主義であることを自ら放棄しない限り、イスラム諸国人民の民族解放闘争を圧殺し、中東支配−世界支配を再編する戦争に打って出るしかない。今や米帝の世界戦争戦略を軸に、戦後世界体制の崩壊と帝国主義の基本矛盾が世界戦争として爆発し始めたのだ。
 これに対し、昨年9・11反米ゲリラ戦争を被抑圧民族人民からの糾弾として受けとめた帝国主義国の労働者人民が、イラク反戦闘争に膨大に決起し始めている。それは被抑圧民族人民と連帯し、世界戦争に突き進む米帝(帝国主義)を打倒する国際的内乱の始まりである。

 9・11に震撼し絶望的凶暴化

 米帝はイラクの体制転覆を突破口にして、中東の新植民地主義支配の全面的崩壊の危機を暴力的に突破しようとしている。
 2月7日、PNAC(新アメリカの世紀プロジェクト)のクリストル議長は上院外交委員会で「イラクでの親米政権の樹立がもたらす政治的、戦略的報酬は巨大である」「親米的で自由な産油国イラクが誕生すればイランを孤立させ、シリアをおびえさせ、パレスチナ人はイスラエルとの交渉により誠実となり、サウジアラビアは中東と欧州の政治家に対する影響力を弱めることになるだろう」とブッシュ政権の意図を語った。ラムズフェルド国防長官の諮問機関、国防政策委員会は「全中東民主化・市場経済化計画」という構想を議論している。
 9・11反米ゲリラ戦争は、戦後50数年にわたり全世界で侵略戦争を行い、500万人もの被抑圧民族を虐殺し、言語に絶する民族抑圧を行ってきた米帝に対し、被抑圧民族人民の反撃戦をアメリカ国内に初めて持ち込んだ。米帝は震撼(しんかん)し、それがアメリカの労働者人民の闘いと結合することを恐れた。イスラム諸国人民(パレスチナ・中東・ムスリム人民)の米帝に対する怒りが極限まで高まり、民族解放・革命戦争のエネルギーが爆発し始めている。米帝はなんとしてもこれをたたきつぶそうとしているのだ。
 こうした中で、91年の湾岸戦争から10年以上たっても、イラクがいまだに反米国家として中東のど真ん中に存在し続けていること自体が、米帝にとっては危険きわまりないことなのだ。それどころかイラクがアメリカの不正義を告発する存在として自己をアピールし、国際社会に復帰しつつある。しかも、ロシアや他帝国主義がイラクやイランに利権を拡大している。
 米帝はもはやこうした状態を放っておけない。パレスチナ人民のすさまじい自爆決起は米帝の中東支配のための軍事基地国家=イスラエルの国家的危機を生み出している。このままではサウジアラビアを始めとした湾岸産油国がいつ崩壊するかもわからない。だから米帝は、イスラエルがパレスチナでやっている民族虐殺戦争を、中東−全世界でやろうとしているのだ。
 だが米帝のイラク侵略戦争は、2400万イラク人民、13億ムスリム人民全体の民族解放闘争への総決起を生みだし、必ず泥沼化する。米帝は第2次大戦後の日本占領政策のようなものを構想している。だがこれはあまりにもイラク人民、イスラム諸国人民の米帝への怒りを軽視している。二度も軍事侵略され、何十万人も、何百万人も虐殺され、永久に消えない放射能をまき散らされたイラク人民が、米帝の軍事支配やかいらい政権に従うとでも考えているのか。すでにヨルダン、クウェート、レバノンなど中東各地で、米国人を狙った銃撃や米系店舗への放火事件が頻発している。米帝の「対テロ戦争」は、無数の反米ゲリラ戦士を生みだすのだ。
 何よりも、こうした被抑圧民族人民の闘いと連帯する、帝国主義国の労働者人民の闘いが大爆発していくことは不可避だ。欧米の労働者階級人民のイラク反戦闘争への決起はそのことをはっきりと示している。イラク侵略戦争の開戦は世界戦争過程への本格的な突入であり、それはすなわち世界革命の時代が始まったということなのである。

 石油強奪狙い親米国家建設

 同時に、これは石油強奪のための戦争だ。米帝はサウジアラビアに次ぐ原油埋蔵量をもつイラクに親米国家をつくり、石油支配における独占的地位を再び奪おうとしているのだ。
 石油争奪戦は単なる巨大利権をめぐる争いではない。現代の帝国主義にとって石油は全産業を支える血液である。しかも世界の石油の大部分が中東湾岸地域に偏在する。中東の石油支配権を英仏帝から奪ったことが、核軍事力や基軸通貨ドルによる支配と並び、米帝に基軸帝国主義としての絶対的な地位を与えたのだ。OPEC(石油輸出国機構)による二度の石油戦略が世界経済に大打撃を与えたように、石油支配権の確保は帝国主義の世界支配の問題であり、帝国主義間争闘戦にとって死活的な位置を持っているのだ。
 リンゼー大統領補佐官(経済担当)は、「イラクで政権交代があれば日量300万〜500万バーレルの原油が新たに市場に放出され、イラク攻撃の成功は経済にプラスだ」と語っている。すでに米帝はアフガニスタン侵略戦争で石油をめぐる最終係争地と言われるカスピ海沿岸の石油を手に入れた。米帝はイラクを親米国家につくりかえ、イラクの原油採掘権を獲得し、原油生産量を増やすことで、OPECの影響力を低下、あるいは崩壊させ、米帝が独占的な石油支配を再び奪い取ろうとしているのだ。
 79年のイラン革命とOPECによる第2次石油戦略の発動以降、産油国主導による石油の世界流通秩序の全面的な再編が起こった。メジャーの利害を擁護してきたサウジアラビアまでが直接販売を拡大し、メジャー依存からの脱却はOPECの大勢となった。「米国を除く原油生産のうち、産油国国営会社のシェアは1970年から79年に10%から70%に増加し、メジャーのシェアは同じく72%から17%に減退した。製品販売でもメジャーのシェアは71年の54%から81年の40%強に低下した。石油市場でのメジャーの位置は根本的に変化した」(83年、ロイヤル・ダッチ・シェルのバクセンデル会長)。米帝はこうした歴史を大逆転させようと狙っているのだ。

 将来の脅威口実に先制攻撃 大量破壊兵器は米帝の方だ

 最も重大なことは、ブッシュ・ドクトリン(9月20日、米国家安全保障戦略)が示すように、米帝がこのイラク侵略戦争をもって世界戦争計画を全面的に発動しようとしていることだ。
 ブッシュ・ドクトリンは、すでに国防報告などで発表した米帝の世界戦争戦略を「対テロ戦争」として推進する原理をうち出した。ここで米帝は、イラク侵略戦争を始めとする「対テロ戦争」を合理化するイデオロギー的粉飾を試みている。だがそれはあまりに手前勝手で破産的である。
 (1)ブッシュ・ドクトリンは、「地球規模でテロリストを撲滅する」「当面の焦点は、大量破壊兵器(WMD)の入手、使用を試みるテロ組織、テロ国家だ」と叫んでいる。
 だが、そもそも誰が「テロリスト」なのか。
 米帝は、米帝の侵略や虐殺、民族抑圧に抗して闘う民族解放闘争を「テロ」と決めつけている。だが、なぜ被抑圧民族人民が強大な米帝(帝国主義)に命をかけて立ち向かうのか。命をかけて彼らが守ろうとしているのは何か。彼らは何か不当な要求を突きつけているのか。ただ自分たちの家族や仲間を帝国主義の軍隊で虐殺しないでほしい、民族自決権を認めてほしいと言っているだけだ。米帝のように資源を強奪し、収奪・抑圧を自由にやらせろと言うのとは違う。どう考えても、米帝こそが「最強の軍事力」を武器に、侵略と略奪を行い、全世界の富の約6割を独占する「テロ国家」なのだ。
 またWMDを問題にするなら、真っ先に米帝を問題にすべきだ。1万発もの戦略核兵器を始め、大量のWMDを保有している。NPR(核戦力態勢の見直し)では核兵器と通常兵器を組み合わせて、核兵器を実戦で使うと主張している。実際にも米帝は広島、長崎に原爆を落とし、ベトナム戦争で枯れ葉剤などの化学兵器を使い、湾岸戦争、ユーゴ侵略戦争、アフガニスタン侵略戦争でウラン弾を撃ち込んで、人民を大虐殺した。そしていまだに虐殺し続けている。米帝のWMDこそ最も使われる恐れの高い、緊急に廃棄されるべき兵器なのだ。ところが、国連はこれを問題にしない。なのにイラクの主権をはく奪し、国家解体を認めるデタラメな決議を上げているのだ。
 (2)ブッシュ・ドクトリンは、「必要とあれば、単独行動をためらわず、先制する形で軍事力を行使する」と、「対テロ戦争」では「先制攻撃も自衛権」だと主張している。しかもドクトリンは「脅威が現実となる前に抑止し、防御しなければならない」としている。要するに、現実の脅威ですらなく、将来の脅威となるかもしれないと米帝が考えれば、いくらでも先制攻撃できるというのだ!
 米帝は「自衛のための先制攻撃」の正当性を、°テロリストには守るべき領土がなく、従来の『抑止』『封じ込め』戦略が利かないからだ″と主張する。ところが、イラクや北朝鮮は主権国家であり、守るべき領土がある。国際的な常識としても、イラクや北朝鮮の側から米帝を攻撃する可能性はないと考えられている。だから米帝は、°こうした国の政府自体はWMDを使わないかもしれない。だがテロリストにWMDを渡すかもしれない″と言うのだ。
 イラン・イラク戦争の中でイラクが化学兵器を使用したことは断じて許せない。だが、イラクは米帝の協力と支持があったからこそ化学兵器を手に入れ、使うこともできたのだ。米帝こそが他にWMDを渡して使用させた唯一の「テロ国家」なのだ。
 (3)ブッシュ・ドクトリンは、従来の「国家主権」「自衛権」などの国際的ルールを一方的に破棄するものだ。国連は1974年の29回総会で、「侵略とは、一国による他国の主権、領土保全もしくは政治的独立に対する武力の行使」である、と決議を上げた。国連憲章を始め、現在の国際的ルールに従えば、米帝のイラク攻撃こそ典型的な侵略戦争なのであり、イラクがあらゆる手段を使って反撃するのは自衛権の行使なのだ。むしろ国連は対アメリカ制裁を決議すべきなのだ。
 かつて81年にイスラエルの戦闘機がイラクのオシラク原子炉を攻撃した時、イスラエルはそれを自衛的行動と呼んだが、世界はこれを侵略行為と非難した。当時のサッチャー英首相もイスラエルの行動を批判した。当のアメリカも国連の対イスラエル非難決議に加わったのだ。
 米帝は1648年のウエストファリア条約で確立された「武力行使は実際の脅威への自衛行為によってのみ正当化され、内政干渉は許されない」とする「国際法の原則」「戦争のルール」をも根底から覆そうとしている。米帝は「テロ撲滅」を理由にすれば、他国の「国家主権」を侵害してもかまわないとさえ主張している。°(WMDの開発やテロリストとの関係についての)説明責任を果たさない国は、主権国家としての責任を果たしていないことになるから内政不干渉などの国家主権を奪われてもしょうがない″°非友好的で専制的な国家は、存在そのものが脅威であり、先制攻撃で政権を転覆してもかまわない″というのだ。
 では米帝は説明責任を果たしているのか。米帝こそ包括的核実験禁止条約の批准や生物兵器禁止条約議定書の調印を拒否し、説明責任を放棄しているではないか。米帝は中南米など世界各地で極右テロ組織に武器を支援し、ジョージア州にある国防総省の「アメリカ学校」ではテロ訓練までやっているではないか。
 どう考えても、イラクや北朝鮮に対する攻撃を「対テロ戦争」と位置づけるのは無理があるのだ。米帝はイラク攻撃を根拠づける証拠さえ何ひとつ示せていないのだ。ラムズフェルド米国防長官は「WMDを持っている証拠がないからといって、それが持っていないという証拠とはならない」などと言っている。
 要するに、ブッシュ・ドクトリンは、°従来の国際的ルールをすべて変更し、これからはアメリカが、何が「テロ」「脅威」かを認定し、どの国家を武力攻撃して政権を転覆するかを決めるすべての権限を持つ″と主張しているのだ。こんなデタラメなことが許されるのか。

 世界戦争推進正当化の原理

 ブッシュ・ドクトリンは、こうした原理に基づき、米帝の「最強の軍事力」をもって、「対テロ戦争」をどんどん進め、他帝国主義やロシア、中国なども従わせ、世界を米帝の新秩序のもとに再編すると言っている。イラクと北朝鮮を具体的な標的として名指しし、中国の体制も転覆することを明らかにしている。さらに、イスラム主義国家を西欧型の制度や文化に従属した新植民地主義国家に変えるとする。また日帝を「対テロ戦争」の協力者であり続けるべきだという。こうして米帝は、これからもずっと唯一の超大国であり続け、「米国と同等かそれ以上の軍事力を築こうとする潜在的な敵を思いとどまらせるのに十分な、強力な軍事力を持つ」というのだ。ブッシュ・ドクトリンは、米帝の「対テロ戦争」が民族解放闘争を圧殺し、全世界を暴力的に再編する侵略戦争、世界戦争にほかならないことを明らかにしているのだ。
 すなわち、米帝は中東支配・世界支配の破綻(はたん)に対し、従来の「抑止」「封じ込め」戦略を超えて、中東・全世界を先制的・予防反革命的に戦争過程にたたき込み、全面的崩壊へと突入した戦後世界体制を新たな米帝体制として現状破壊的に再編しようとしているのだ。そして世界恐慌、長期大不況の時代における帝国主義間の市場・石油資源・勢力圏の奪い合いにうち勝とうとしているのだ。こうした世界戦争戦略を正当化し、推進する軍事外交の原理が、「対テロ」なのである。

 また虐殺の手助けするのか−日本人民の責任は重大

 日本人民の責任の重大性をはっきりさせよう。日帝は91年湾岸戦争で、対イラクの国連制裁決議や武力行使容認決議に率先して賛成し、米帝に130億jの戦費を拠出した。われわれの税金がイラク人民虐殺を支えたのだ。それは今なおウラン弾によるガンや白血病で苦しむ子どもたちを殺し続けているのだ。われわれはイラクの子どもたちを助ける義務を負っているというのに、またも虐殺の手助けをするのか。
 11月20日、米政府は日本政府に対して、米帝のイラク攻撃への支持と協力を要請した。小泉政権はこれに全面的に応じ、難民支援などを行う方針を固めた。
 11月19日にはテロ対策特措法による米軍支援の基本計画を半年延長し、輸送艦と護衛艦各1隻の追加派兵を決めた。今回の延長は過去1年とはまったく性質を異にする。米艦隊がイラク攻撃のためアラビア海からペルシャ湾に移動した場合に生じる「空白」を海上自衛隊が埋めることが予定されているのだ。小泉政権はイージス艦派兵さえ行うつもりだ。何よりも、沖縄、横須賀、佐世保などの在日米軍基地が、イラク攻撃の出撃基地となっている。
 米帝のイラク全面攻撃はすぐそこに迫っている。イラク人民は°頭の上に爆弾をぶら下げられて、毎日を過ごしている″のだ。戦争が始まったら反撃する、ではいけない。なんとしても戦争が始まる前に止めなくてはならない。世界の労働者人民の闘いだけが戦争を止められるのだ。 
 イラク人民の大虐殺をさらにこれ以上許していいのか。日本人民はまたも虐殺に加担するのか。「ブッシュも悪いが、フセインも悪い」とか「テロはよくないんじゃないか」などの議論をぶっ飛ばそう。今まさに、世界最大級の国家テロが何の罪もないイラクの子どもたちの命を奪おうとしているではないか! 米帝(帝国主義)が、これまで全世界人民を抑圧し、収奪し、虐殺してきた上に、大恐慌と歴史的没落にあえぎ、どうにもならなくなって、「対テロ」を掲げて侵略戦争、世界戦争に突っ込んでいるのだ。これに対してイスラム諸国人民が必死で闘い、欧米の労働者人民も連帯して決起し始めた。
 われわれ日本人民も断固決起しよう。最後まで死力を尽くして12・8の大爆発のために闘おう。21世紀を反帝国主義・反スターリン主義世界革命の時代にしようではないか。
 〔早乙女 優〕

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週刊『前進』(2081号4面2)

佐世保 自衛隊帰還を弾劾 アフガン・イラク反戦訴え

 11月26日午後1時20分、インド洋・アラビア海から護衛艦「ゆうだち」、補給艦「はまな」が海自佐世保基地に帰還した。ゆうだちは出撃から約4カ月ぶり、2度目の派兵だったはまなは約6カ月ぶりの帰還。しかし、佐世保市民には歓迎ムードはない。
 九州大学学生自治会を先頭に反戦共同行動・福岡と長崎の仲間は佐世保市・鯨瀬ふ頭に結集し、米帝のイラク侵略戦争開戦阻止! 日本の参戦を許すな! 小泉政権打倒! のイラク反戦闘争に総決起した。
 12時半、佐世保地区労主催の「NO!有事法制、憲法改悪 STOP!有事法制、自衛隊の海外派兵に反対する佐世保地区集会」が小雨降る中、開催された。
 午後1時、崎辺の沖にはまな、続いてゆうだちがその姿を現した。この5カ月間、アフガニスタン人民の虐殺に手を染め帰還する両艦に対し、激しい弾劾のシュプレヒコールがたたきつけられた。
 抗議集会に先立って、反戦共同行動・福岡と長崎の仲間は佐世保市の中心街、四ケ町アーケードで街頭宣伝活動を行った。佐世保市民は「世の中とんでもないことになりそう。戦争反対です」「佐世保から戦場に行ってほしくない」と署名に応じた。
 この間、米帝のイラク侵略戦争を「対テロ局地戦」と言ってきたカクマルは、ついに佐世保現地闘争から逃亡した。

写真パネルに大きな反響 福岡

 11月19日午後、福岡市天神の岩田屋前で反戦共同行動・福岡は街頭宣伝行動に決起した(写真)。切迫するイラク侵略への怒りに燃えて、九州大学学生自治会の学生がアジテーションした。写真パネルの前は、高校生や主婦で人だかり。
 12・8東京と12・1福岡の「イラク侵略戦争反対!有事立法反対!」集会とデモをよびかけるチラシは、瞬く間になくなった。2時間で110筆の署名と2万5000円のカンパが集まった。

 

“イラク民衆の虐殺許さない” 仙台

 11月19日、みやぎ反戦共同行動委員会に結集する学生・労働者15人は、仙台市一番町でイラク侵略戦争阻止の街頭宣伝活動に決起した(写真)。東北大の学生は「国連決議は、平和をもたらすものではなく、イラク侵略戦争に突き進むものだ。これ以上イラク民衆の虐殺を許さない」と訴え、2時間あまりで千枚ものビラが通勤帰りの労働者人民に吸い取られていった。

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週刊『前進』(2081号4面3)

日誌’02 11月20日〜26日
 米国土安全保障省法が成立 米軍支援延長で護衛艦出港

●在韓米軍の加害米兵に無罪 6月に在韓米軍の装甲車が女子中学生2人をはね死亡させた事故の軍事法廷で、陪審員団が装甲車の管制と見張りの兵士に無罪評決を出し、兵士の無罪が確定したと同軍が発表した。(20日)
●CIA「北朝鮮が核爆弾保有」 米中央情報局(CIA)が、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発について「すでに1、2個の核爆弾を保有するとともに、さらに数個を製造可能なプルトニウムを貯蔵している」とする内容の報告書をまとめていたことが分かった。AP通信が伝えた。(21日)
●イージス艦派遣「必要なら検討」 安倍晋三官房副長官が、衆院安保委員会で、テロ対策特措法の再延長で見送られたインド洋・アラビア海へのイージス艦の派遣について、「必要とあらば当然そういうことも考えないといけない」と述べた。(21日)
●テロ即応部隊を創設 NATO(北大西洋条約機構)の首脳会議がプラハで始まり、米が提案していたテロ対策のNATO即応部隊の創設や軍事能力の近代化などを盛り込んだプラハ宣言を採択した。(21日)
●「F15墜落は予防的措置」と米軍 沖縄県議会の米軍基地関係特別委員会が米軍普天間基地など3カ所を視察した際、普天間のリチャード・ルーキング司令官らは、8月に沖縄本島南海上にF15戦闘機が墜落した事故について、「民間地域に被害を及ぼさないための予防的措置だった」と説明した。25日に同委員会が行った嘉手納基地視察の際には、基地の責任者が「民間の航空機よりむしろ米軍機の方が安全性が高い」と暴言を吐いた。(21日)
●嘉手納で炭疽菌対策 米空軍嘉手納基地の第18航空団は、炭疽(たんそ)菌を使った化学兵器からの攻撃に対処するため中東地域などに派遣される兵士への予防ワクチンの接種を開始した。予防接種は効果が出るまでに45日間必要とされ、イラク攻撃開始のための条件整備といわれる。(22日)
●米ロ首脳会談で共同声明 ロシアのサンクトペテルブルクで行われた米ロ首脳会談で、ロシアはイラクへの武力行使を事実上容認する姿勢を示した。(22日)
●米海兵隊が北富士で実弾演習 沖縄米軍による実弾射撃訓練の本土移転演習が山梨県の北富士演習場で始まった。前日、天野重知忍草国有入会地守る会会長(93)が演習場内着弾地座り込みを敢行した。(25日)
●米軍支援延長で護衛艦など出港 テロ対策特措法に基づく米軍などへの支援活動で派遣される海上自衛隊の護衛艦「はるさめ」と補給艦「ときわ」が横須賀基地からインド洋に向け出港した。「はるさめ」の搭載ヘリコプターには、いつでも機関銃を取り付けられるよう器具が装備された。機関銃を常時装備する。(25日)
●米国土安保省法が成立 ブッシュ米大統領が、テロ対策を統括する新省庁「国土安全保障省」設置法案に署名し、同法が成立した。22の政府機関が順次、同省に統合され、職員17万人の巨大官庁が生まれる。初代長官は、トム・リッジ国土安全保障局長官。女性市民団体「女性の平和監視」がホワイトハウス前で抗議集会を開き、(同省の創設で)「すべての入国者は安全保障上、要注意人物として扱われる」と批判した。(25日)
●国連査察団本隊がイラク到着 国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)と国際原子力機関(IAEA)の査察団本隊がバグダッド空港に到着した。(26日)
●陸自が「最高司令部」検討 陸上自衛隊が全国の部隊を束ねる最高司令部機能を持つ「中央機動集団」の新設を検討していることが分かった。旧陸軍参謀本部復活の意味を持つ。東京新聞27日付が報じた。(26日)

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週刊『前進』(2081号5面1)

イラク人民虐殺やめろ 日帝のイラク侵略参戦許すな
DON'T ATTACK IRAQ 闘うムスリム人民 世界の人民と連帯して 湾岸戦争は核戦争だった 数百トンのウラン弾で爆撃

 米帝ブッシュのイラク侵略戦争は、国連査察の実施によって一歩一歩強行への道を進んでいる。91年イラク・中東侵略戦争(湾岸戦争)、さらにはその後の経済制裁によるイラク人民大虐殺をも上回る人民大虐殺が行われようとしているのだ。帝国主義がイラクの石油を強奪するために暴力的に戦争を強行し、何百万人ものイラク人民を虐殺することをどうして許すことができるだろうか。イラク反戦闘争の爆発を切り開くために、イラクの現状を直視しなければならない。

 ガンが242%増加 放射能の被害の現実

 91年湾岸戦争は、今もイラク人民に深刻な被害を与えている。ウランによる放射線と重金属としての化学的な毒性でガンや白血病、新生児先天性「障害」などが、時がたつとともに激増している。先天性「障害」の場合、神経系統が損傷しているケースが多く、はなはだしい場合、脳の大半が欠損している「無脳症」もみられる。さらに白内障などの目の異状や骨の異状もみられる。
 バグダッドのマンスール小児病院関係者の話によれば、新生児の先天性「障害」は湾岸戦争前の20倍にものぼっているという。
 放射線による被害は年が若いほど発症しやすく、イラク南部地方では子どもの悪性腫瘍(しゅよう)や白血病が著しく増加している。バスラ大学医学部の統計調査によれば、イラク南部の15歳以下の子どもの白血病の発生率は、1990年に比較して97年は60%の増加、99年には100%もの増加になっている。さらに悪性腫瘍の発生率は99年には242%の増加である。悪性腫瘍の発生率の高い地域がイラク南部から北へ広がっている。
 こうした白血病やガンになった子どもたちが、経済制裁によって薬が不足しているために途中で治療をあきらめなければならない状況を強いられている。
 新生児の先天性「障害」はとりわけ湾岸戦争に従軍していた元兵士の子どもに多い。これは、湾岸戦争に従軍したアメリカ軍兵士や旧ユーゴスラビアのコソボやボスニアに派兵されたイギリス、イタリア、ギリシャなどの兵士の子どもにも多発している。
 湾岸戦争に従軍した米軍兵士57万9000人のうち25万1000人が退役軍人担当局に治療を求めている。そのうち18万2000人が白血病や肺ガンなどの補償を求めている。そして9600人の退役軍人がすでに死亡している。
 こうした「湾岸戦争症候群」と同様にヨーロッパ各国の兵士にも「バルカン症候群」と呼ばれる症状が発生しており、彼らも自国政府に対して補償を要求して闘いに立ち上がっている。
 米英軍は91年湾岸戦争で大量のウラン弾を使用した。その総量は300dとも800dとも言われている。米政府当局自身も340dのウランを使用したことを認めている。
 「劣化ウラン弾」と言われているが、この表現には核兵器よりレベルが低いものというニュアンスが込められている。しかしウランはウランなのだ。
 主要には30_銃弾94万発以上、120_砲弾1万4000発以上が使われた。その他にも970発の精密誘導弾とミサイルが使われたと言われている。30_銃弾にはウランが300c使われており、120_砲弾には4・75`のウランが使われている。この二つをざっと計算しただけで350d近くのウランが使われたことになる。広島型原爆の1万4千倍から3万6千倍の放射能原子が環境の中にまき散らされたのだ。
 ウラン弾はけっして通常兵器ではない。核兵器そのものだ。湾岸戦争は実際上の核を使った人民大虐殺の戦争だったのである。

 11年間で25万回空爆 民族抹殺を狙う戦争 

 湾岸戦争で投下された高性能爆弾の量8万8000dは、第2次世界大戦全体の空爆で使われた爆弾の量を超えている。湾岸戦争による一般民衆の死者は15万人を超えている。
 しかも米帝のイラク侵略戦争は91年に終わったのではない。その後も11年間、一方的な人民虐殺戦争を継続してきたのである。
 湾岸戦争後今年の9月までの米英軍の出撃回数は25万回にも及ぶ。これは91年湾岸戦争での航空機の出撃回数11万回の2倍以上だ。
 この11年間の空爆は、イラクの軍事施設に対してだけ行われたのではない。むしろ上下水道や電気関係など住民生活の基盤となる施設を意図的に破壊してきたのである。米帝は、経済制裁の上にこうした生活関連施設を破壊することによってイラク人民丸ごとの民族的抹殺を狙ってきたのだ。
 今年に入って6月までは空爆が月5回以下だったのが、8月8回、9月10回、10月8回と急激に増えている。特に8月末から9月にかけての連続空爆では100機が動員され、98年の「砂漠のキツネ」作戦以来の作戦として強行された。
 直接の爆撃での死者に限っても99年1月から00年4月の間だけで175人に上っており、500人以上が負傷している。
 空爆での精密誘導爆弾の比率が湾岸戦争では8%で、ユーゴ空爆では35%、アフガニスタン空爆では56%に増えたと言われている。だがその一方で、一般民衆が被害を受ける比率は高まっているのである。結婚式を空爆したり、難民の車列を空爆したり、米帝は市民への犠牲をまったく省みることなく、無差別虐殺を続けてきた。
 オルブライト米前国務長官は、イラク人民の大虐殺を、「これは私たちが進んでつくっている意味のある犠牲です」と完全に開き直っている。すでに経済制裁などで150万人ものイラク人民を殺し、さらに被害の拡大を狙って経済制裁や爆撃を続けてきたのだ。
 イラクでは今経済の崩壊に苦しみ、100万人の子どもたちが栄養不足にある。6歳から11歳までの子どもの22%が学校に行けないでいる。学校に行っている子どもも放課後や休日には家計を助けるために労働している。中にはこの年齢には過酷な重労働についている子どももいる。親たちは、昼の仕事だけでは生活できず、さらにアルバイトで働いている。子どもが病気になれば薬代を払うために家財道具を売っている。すべてが経済制裁と爆撃の結果なのだ。
 このイラク人民の頭上に再び爆弾の雨を降らせるのか。イラク人民大虐殺の侵略戦争を黙って見過ごすことが許されるのか。米軍はすでに大量のウラン弾を湾岸地域に運び込んでいる。しかも湾岸戦争で130億jを提供して戦争に加担した日帝が、今度は直接参戦しようとしているのだ。イラク侵略戦争を絶対に阻止しなければならない。12・8闘争に大結集しよう。
 (秋原義明)

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週刊『前進』(2081号5面2)

人民は自ら行動を 米反戦団体ANSERのアピール

 アメリカの反戦団体「インターナショナルANSWER」の11・19全関西イラク反戦闘争への連帯メッセージ(抜粋)と、米中間選挙の結果についての見解を紹介します。(編集局)

 ■11・19闘争(関西反戦共同行動委主催)への連帯メッセージ(抜粋)

親愛なる友人たちへ

 ……11月9日のフィレンツェの100万人のヨーロッパの人びとのすばらしいデモンストレーションは、街頭での闘いがさらに成長していることを示しています。
 アメリカで運動している私たちはこの戦争に反対してさらに闘う世界中の人民と、そしてアメリカ合衆国の人民を信頼しています。
 私たちの運動は新しく、経験の浅いものですが、しかし、イラクへの戦争をどうしても阻止したいと考えています。
 この運動を、9月28日のイギリスから、10月26日の合衆国へ、11月9日のイタリアへ、11月10日のソウルへ、そして11月19日の日本へと、広げましょう。
 あなたたちの運動に、私たちの連帯を送ります。
 私たちは、第2次大戦の間に日本の人民と労働者が受けた恐ろしい経験と、特に東京大空襲と広島・長崎の原子爆弾による破壊の恐怖が、あなたたちの国に強い反戦の伝統を築いたことを知っています。
 2003年1月18日から19日にかけて、私たちはこれらすべての闘いをアメリカ合衆国で引き継ぎます。そのとき、私たちはワシントンでデモを行い、反戦人民議会が開催されます。
 日本と沖縄から米軍基地撤去!
 始まる前に、イラクへの戦争阻止!

 ■11月5日の中間選挙はなぜ戦争への信任ではないのか

 戦争の推進者どもは、11月5日の選挙は戦争に信任を与えたと国民に信じさせたいと望んでいる。ブッシュは、上下院での共和党の議席の増大を、戦争遂行のためのより強い権限を要求するためにただちに活用している。民主党の上院院内総務のトム・ダッシルは、「大統領はこれで(この選挙によって)、彼がこれまで明言していたとおりに(イラク問題に関する)計画を策定し、推進することができるようになったと言えると思う」と述べている。ダッシルはNBCで、「アメリカ国民は大統領を証拠不十分で無罪にしたように思われる」とも言っている。
 政府はいまや不法な戦争で大量虐殺を実行する権限を持つ、というブッシュやダッシルの主張とわれわれは闘う。
 今度の選挙は戦争問題に関する事実上の国民投票となりえるものだった。しかし10月初めに、戦争問題を政治争点から外そうとして、議会の多数派がブッシュの戦争計画に憶病にも賛成したときに、その可能性は消えた。議会が人民に対する責任を放棄したのに続いて、ダッシル上院議員が右のようなコメントを出したが、それは全面屈服を宣言するのみでなく、ブッシュの世界戦争計画を喜んで受け入れることを宣言するものでもあった。
 有権者にとって共和党の戦争推進政策と民主党指導部の主張する戦争推進政策の差異を区別することは非常に困難であったことは疑いない。投票日には3分の2の登録有権者が棄権した。だが、これを単なる有権者の無気力というふうに言ってしまったら問題の核心を見誤る。実際、アメリカの人民はとりわけ昨年来、政治には鋭い関心を示してきた。低い投票率は、アメリカ議会が人民の意志を代表しておらず、むしろ自分たちとは違う連中、つまり巨大石油企業、多国籍企業、軍産複合体、一部の裕福なエリートの利益のために奉仕していると見ている多くの有権者の失望感を反映している。
 大統領と議会は人民の体温を感じ取るべきものだ。そのような「本来の」民主主義は戦争屋に乗っ取られた。だがわれわれは反撃している。人民は正当にも怒り、嫌悪感を持っている。何千人もの全国の組織者たちが草の根から大衆運動をつくりだすために精力的に活動している。ブッシュ、チェイニー、ダッシルそして将軍たちや企業の幹部たちは、自分が戦争をし命を危険にさらすわけではない。自分の力で戦争機械を動かすわけでもない。人民の血と労働なしには戦争機械は動かないが、反戦運動はそういう人びとを組織している。
 議会はベトナム戦争を阻止できなかった。人民がそれを阻止したのだ。われわれは、アメリカ人の大多数がイラクに対する新たな戦争に反対の気持ちを持っていることを知っている。地球的規模で言えば、戦争反対の感情はほとんど普遍的なコンセンサスを得ている。もし政府と議会が人民のこの意志を無視するならば、もし国連加盟諸国がそれぞれの国民の声を聞くよりもアメリカの圧力に屈するならば、もし政府の指導者たちが国際法をずたずたにするならば、そのときには人民は自ら行動しなければならない。真の変革への道は常にそういうものであった。
 2003年の1月初旬までには大量の人民が「人民の反戦国民投票」に参加するであろう。「戦争反対に投票を」委員会の市や町、大学キャンパス、高校の支部は、戦争反対の票を集めに戸別訪問するであろう。この国民投票の結果は、新たな議会の開会と重なる時期に行われる大衆的組織運動のひとつの柱となるであろう。1月18〜19日にはワシントンで、「草の根平和会議」が開催されるのと並行して街頭大抗議行動が行われる。
 われわれは今行動することによって、現状を変革することができる。

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週刊『前進』(2081号5面3)

有事立法徹底批判 (9)

 自衛隊の法律無視を正当化 自衛隊法改正案C
  戦争被害は保障せず

 各種の特例規定

 現行の自衛隊法には、自衛隊の作戦行動の自由を確保するために、各種の規制法令の適用を排除するための特例措置が設けられている。火薬取締法、航空法、船舶法、労働組合法、船舶職員法、電波法、道路運送法、銃砲刀剣所持取締法、消防法、麻薬及び向精神薬取締法などの適用除外規定である。
 今回の自衛隊法改正案では、特例措置の範囲が大幅に拡充されている。
 @防衛出動した自衛隊(あるいは防御施設構築措置が命令された自衛隊)が、一般の交通に使用していない通路や空き地・水面を通行できるようにしている(92条の2)。また道路が破損している場合に、自衛隊が勝手に応急措置ができるように、道路法・道交法の適用を除外する(115条の11、16)。
 Aさらに、建築主事の建築確認や建築基準、消防設備の設置などを無視して、防御施設などを構築できるように、消防法・建築基準法の適用を除外する。(115条の2、7)
 B海岸線に陣地などの防御施設を築く場合、国土の保全のために一定区間への立ち入り、木竹の伐採、土地の形状変更などを規制している海岸法、森林法、漁業漁場整備法、港湾法、都市緑地保全法などの法令の適用を排除する。(115条の6と8から21)
 C野戦病院を設置するために医療法を適用除外する。(115条の5)
 Dまた、墓地、埋葬等に関する法律の適用を除外する(115条の4)。現行法では、火葬は火葬場以外の施設では行えないし、埋葬は市町村長の許可が必要だ。これを適用除外にするのである。つまり、戦場での自衛官の戦死を予定し、その処置を定めているのである。

 都市を軍事制圧

 @と関連するが、道路法の適用除外で、自衛隊による「道路の占有」ができるようになる。道路法で定義されている「道路の占有」とは、道路に設ける「工作物、物件又は施設」のことである。一般には郵便ポストとか電話ボックスのことだ。しかし有事の自衛隊による工作物とは、バリケードなどの類(たぐい)である。道路法の適用除外によって、自衛隊はただ「通知すれば」バリケードを構築できるようになるのだ。
 また防衛出動が下令される前から、自衛隊は防御施設などが構築できる(77条の2)が、都市部でその対象となるのはまず公園が考えられる。しかも都市計画に基づいてつくられた広い都市公園や緑地だ。ここに陣地その他の軍事拠点を設けるのがてっとり早い。
 そのために自衛隊法改正案では「都市公園法の特例」(115条の13)、「首都圏近郊緑地保全法の適用除外」(115条の18)、「近畿圏の保全区域の整備に関する法律の適用除外」(115条の19)、「都市計画法の特例」(115条の20)が新たに狙われている。
 これらの条文はいずれもその文末に、“防衛出動または防衛出動待機命令による防衛施設の構築などについては、適用しない”という主旨の適用除外規定を設けるのである。
 要するに、戦争になれば自衛隊が首都・東京や大阪などの大都市を制圧し、戒厳体制下におくことを想定しているのだ。労働者階級人民や在日朝鮮人・在日中国人などの戦争反対の闘いを、行動の自由を保障された自衛隊が「市街戦」で軍事的に粉砕・圧殺することを想定しているのだ。まさしくこれは、石原都知事らがビッグレスキューで追求してきたことだ。

 国民保護のウソ

 自衛隊法改正案では、自衛隊の展開地域内にある民家の改造や民有地の工作物を撤去した場合、損失を所有者に補償するとしている。
 ところが、5月9日の衆院有事法制特別委で政府は、自衛隊が武力行使を始めた地域では、自衛隊法改正案は適用されず、被害を受けた住民への損失補償も行わないと公言した。
 中谷防衛庁長官(当時)は以下のように述べた。
 「戦闘地域では相手も日本の法令を無視している。行政法規に従わなくても、88条の要件を満たせば違法ではなく正当行為になる」
 自衛隊法88条とは防衛出動時の武力行使を規定した条文だ。中谷は、自衛隊が戦闘行動に入った場合には、民間人を殺そうが、家屋やビルを破壊しようが、すべて正当行為だ、だから一切補償はしないと言ったのだ。
 中谷は、自衛隊が戦闘行動に突入すれば、あらゆる法律を無視して行動する、戦争に勝つことがすべてだと言っているのである。
 中谷発言は、自衛隊の戦争行動の目的が、「国民保護」などではまったくなく、帝国主義国家体制の存続とブルジョア階級の利益の防衛にこそあることを明確にしている。自衛隊の反人民的な正体を示しているのだ。
 ところで「自衛隊が超法規的行動をとらないように有事法制が必要だ」と説明する者がいる。これがとんでもないペテン的議論であることは、中谷発言からも明らかだ。有事立法の目的は、政府と自衛隊が侵略戦争を遂行するために超法規的に行動する権限を確保することを狙っているのだ。
 日帝の有事立法制定攻撃は、イラク・北朝鮮侵略戦争情勢の切迫のもとでますます重大化している。有事3法案粉砕闘争を、イラク反戦闘争と一体の闘いとして、全力で闘おう。
 (シリーズおわり)
 (片瀬涼)

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週刊『前進』(2081号5面4)

北富士 天野会長、敢然と決起 「侵略戦争の演習許さぬ」 着弾地に座り込み

 11月24日、北富士の忍草国有入会地守る会の天野重知会長は、沖縄米海兵隊による北富士での実弾演習・入会地無断使用に抗議して入会地に座り込んだ。イラク侵略戦争に向け、北富士で出撃のための演習を行おうとする米軍に痛打を与え、イラク侵略戦争参戦に突き進む小泉政権、防衛庁の心胆を寒からしめる闘いがたたきつけられたのだ。
 この米軍演習は沖縄の県道104号越え本土移転演習の北富士での5回目の演習だ。11月25日から10日間の予定で実施される。忍草農民の入会地を永久強奪し、侵略出撃演習場としようとする攻撃である。
 93歳の天野会長は、国有地とされている入会地2千fをなんとしても取り戻したいという激しい決意に燃えて自ら座り込みに決起した。午前9時半、深い霧に包まれた演習場に一行が入っていく。厳戒警備を敷く自衛隊は、立ち入り日の日曜だというのに、車を制止しようとする。これをはねのけて演習場奥深く突入し、着弾地に到着した。戦々恐々と見守る自衛隊、警察、防衛施設庁をしり目に大のぼりと座り込みのテントを設置した。のぼりには「北富士沸騰 忍草爆発」と力強く大書されている。午前11時には設営が完了し、座り込みに入った。
 午後2時、自衛隊北富士駐屯地の業務隊が近づいてきて「今日はどうされるつもりですか」と聞いてきた。天野会長は、「沖縄の米海兵隊が明日からここで演習をすることになっている。入会地の無断使用だ。25日に演習中止の仮処分を裁判所に申請し、受理されて27日に審尋が行われる。仮処分の決定が出るまでは演習場を使うべきではない」と宣言した。自衛隊は返す言葉もなく帰った。
 午後4時過ぎ、再び自衛隊の業務隊が来て、「ここは自衛隊の演習場です。許可なく立ち入ることはできません。退去してください」と警告してきた。天野会長は「国有地であるのはわかっている。しかし、同時に忍草の入会地だ。所有権者が入会権者に立ち退けと指図できる法的根拠を示せ」と要求した。自衛隊は何も答えることはできず、「文書で回答を出せ」という天野会長の要求に「はい」と答えて引き下がった。
 午後8時過ぎに再び自衛隊と警察がテントを取り巻いて、自衛隊が警告文を掲げて読み上げた。もちろん文書での回答を持ってこれるはずもない。警告は、日帝が強制排除を決断したことを示していた。
 深夜12時を期して自衛隊が退去警告を行ってきた。「速やかに演習場から出てください」と警告する自衛隊に、「ここは忍草の入会地です。自衛隊の使用は認めていません。自衛隊は出てください」とやり返す。続いて警察が出てきて「自衛隊から要請があった」として、実力排除を宣言した。天野会長は、「入会権者として私から要請します。自衛隊は入会地を無断使用している。自衛隊を排除してください」とやり返した。警察はこれに何も返答することができず、富士吉田署長名の警告文を読み上げ、再び排除を宣言した。強制退去の理由は「軽犯罪法違反」というもので、刑特法違反(注)と言えないことに日帝の入会地強奪の犯罪性が示されている。天野会長は、演習場座り込みが敵に与えた打撃の大きさと次なる闘いの展望を確信しつつ、堂々と引き揚げた。
 今回の演習場座り込みは、入会権闘争に全人生をかけている天野会長の闘いの大きさと崇高な精神を示し、忍草農民の怒りの深さを日帝・防衛庁に思い知らせた。
  日米安保条約に基づく地位協定の実施に伴う刑事特別法第2条「施設または区域を侵す罪」違反。
(写真 「北富士沸騰 忍草爆発」と大書されたのぼりの下で、前列中央が天野重知会長【11月24日】)

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週刊『前進』(2081号5面5)

20労組が国会前で行動

 陸・海・空・港湾労組20団体と宗教者は、11月26・27・28日の3日間、国会前行動を闘い、有事立法制定絶対反対と、「STOP!有事法制12・1大集会」への結集を訴えた(27日 衆議院第2議員会館前)

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週刊『前進』(2081号6面1)

県知事選の「敗北」のりこえ沖縄闘争の戦略的再構築へ
 名護新基地着工阻止の4年間決戦へ
 革共同沖縄県委員会

 「マグマの上」の現実は選挙結果によって解決されない

 さし迫るイラク侵略戦争の危機と在沖米軍の演習激化、事件・事故の頻発、また9・4%の失業率(4年前の県知事選挙で稲嶺が大田知事に対し「失業率9・2%は県政不況」だとデマ宣伝していた時よりも高い)というすさまじい生活破壊の現実。こうした沖縄の歴史的な激動の真っただ中で02年沖縄県知事選挙は行われた。11月17日に投開票が行われた結果は以下のとおりである。
 稲嶺恵一(自、公、保推薦) 359604票
 吉元政矩(社民、社大、自由連推薦) 148401票
 新垣繁信(共産推薦)  46230票
 投票率 57・22%(過去最低。前回知事選76・54%)
 投票翌日の地元紙には、「稲嶺、歴史的勝利」「21万票差」「革新壊滅的打撃」などの文字がおどっている。確かに票数が示すものは、稲嶺現県政の圧勝であり、闘う人民は大敗したということになる。
 だがそれは現象的な結果であり、事柄の表面にすぎない。むしろこの選挙結果の本当の意味を解き明かす最大のポイントは投票率の圧倒的、歴史的低さというところにある。沖縄の有権者約98万7千人のうち、42万人余が棄権しているのだ。4年前の前回県知事選挙の投票率76・54%と対比すれば今回は約20万人が投票に行っておらず、そのほとんどが本来ならば反稲嶺として吉元氏に投票してしかるべき人たちである。
 つまり、確かに21万票差で稲嶺が吉元氏を退けたのであるが、「抗議としての棄権」というかたちで意思表示した圧倒的多数の人民の存在を考慮に入れた時、また、革新分裂選挙であったという事実をも考慮に入れた時、稲嶺の勝利という事実はそれほど盤石なものではないということだ。事実、稲嶺と自民党は、この勝利に有頂天にならないようにと必死で自己確認している。稲嶺は依然として、あるいはこれまでよりも激しい危機感をもって、「マグマの上に座っている」と認識しているのである。
 それもそのはず、現実の危機は選挙の結果によって何一つ解決も緩和もされない。むしろ解決不可能の深刻な大対決として全問題がこれから噴き上げてくるということがはっきりしているのである。むしろ、これまでの、問題の本質を覆い隠す過去の残骸(ざんがい)のような仕組みが今回の選挙で大きく崩れたことが重要なのである。これまでの革新共闘陣形をそのままのかたちで復活・復元することはもはやできない。
 問題は、この歴史的敗北をどのように総括し、そして、新たな闘いの方向とその陣形、指導体制をどのように確立・創造していくか
ということにある。
 われわれは、今回の選挙戦はもともとそのような大テーマをもった選挙戦であるということを提起してきた。沖縄人民は、誰がどのように「大田知事の敗北」をのりこえていくのかということに対する実践的な回答を求めているのである。人民は、95年以来の人民の新たな立ち上がりを貫き、日帝国家権力との力ある闘いをやりぬく指導部を要求しているのである。吉元候補がその要求にこたえる人格であると腹の底から言い切れる人はほとんどいなかったが、われわれは多くの活動家、闘いの担い手の問題意識との接点で、「吉元氏への投票」方針を出して闘った。それは、沖縄の闘いを引き継ぎ発展させる道筋をめぐる積極的な討論の展開であり、新たな闘いの始まりでもあった。
 これに対して日本共産党は、ただ、セクト主義的に右からの闘争破壊的な分裂行為を行っているだけで、沖縄人民の闘いに責任をとる意志などないことは明白である。彼らは、戦闘的に原則を貫く立場であるかのようなペテン的な宣伝をやったが、それはまったく通用しなかった。米帝のイラク侵略戦争への突入を飾り立てるだけの国連決議を支持する日本共産党が、人民の味方であるはずはない。彼らは、自己の党利党略のためには、イラク人民虐殺を支持する連中なのだ。

 ANSWERの態度に学び

 選挙の結果そのものについては、11月のアメリカ中間選挙において、アメリカの反戦運動団体ANSWERがとったようなきっぱりとした態度に学ぶべきであろう。
 彼らは、〈中間選挙でブッシュ=共和党が大勝したのは事実であるが、今回の選挙はそもそも、議会の民主党が戦争に賛成の立場を表明していたため、人民には選択肢がなかった。このような選挙は選挙としての意味をなさない。したがって、3分の2の有権者は投票所に足を運ばなかった。このような選挙の結果生まれた議会がブッシュとともに戦争に突入することに対して、人民は下からの行動でこれを阻止しなければならない。それは人民の責務である。ベトナムの時がそうであったように、人民の力こそが本当に物事を決定するのだ〉と力強く総括を提起し、10・26の30万人集会(ワシントン20万人、サンフランシスコ10万人)から来年1・18のワシントン大行動へと向かっている。
 今回の沖縄県知事選は、選挙として、人民の本当の歴史的な選択が示された選挙とはおよそ言えないのである。稲嶺の「一人勝ち」はただただその結果にすぎない。稲嶺陣営自身がこの結果に驚愕(きょうがく)し、受けとめきれないのはそのためなのだ。
 投票率の歴史的な低さとして核心的に現れた今次県知事選挙の階級的真実は、沖縄県民は今次県知事選挙において自らの未来を託すに足る候補者はいない、として意思表示したということである。とりわけ候補者選定の過程で沖縄革新共闘の分裂・崩壊として現れた既成左翼の変質・腐敗に対して、人民の多くが棄権という選択をして意思表示したということである。

 既成左翼自滅で稲嶺「勝利」

 マスコミは“圧倒的多数の県民が稲嶺の「現実路線」を選択した”と言っているが、それはけっして人民の真意を言い当てているとは言えない。
 稲嶺は「最初から勝負にならない選挙」ということを条件として、一方的なデマ宣伝をもって自公基盤を固め、水面下での組織的な大動員をやったのである。
 だが、稲嶺のこの4年間の政治はあらゆる意味で完全に破綻(はたん)している。あまりにも空々しい「15年期限」厳守の主張、国との太いパイプ論にもとづく振興策引き出し一本やり路線、日帝の奴隷、先兵として振る舞うことによる沖縄の「物ごい経済」化、その結果としての崩壊著しい沖縄の地場産業の現状、ますます激化する県民生活の窮乏などの前に、その陣営の中からも「しらけ」と心離れを起こしている。稲嶺はただ一点、既成左翼の自滅的崩壊に助けられ、かろうじて破産を塗り隠したにすぎない。
 今次選挙結果は、復帰30年=5・15体制=1972年返還体制の全面的破綻を一層明らかにすると同時に、日本帝国主義にとっての沖縄問題の解決不可能性、沖縄人民と日帝との非和解性をより鋭く突き出しているのである。

 「15年期限要求」のペテンも「振興策」路線も破産は必至

 第2期目に入る日帝・稲嶺体制の今後の4年間はいかなるものになっていくのか。今次県知事選挙に「勝利」した稲嶺は、二つの意味で追い込まれ危機にたたき込まれることになる。
 一つは日帝の側から、今よりさらに反人民的にかじをとることを要求され、一刻も早く名護新基地建設の着工に向かって突き進むことを強制される。その際、「15年問題」や「使用協定」などペテン的なゴマカシを一切やめて強行突破することを求められる。「沖縄はマグマの上にある」などという、政府に対して県民の立場に立ってもの申しているかのようなペテン的態度を日帝・小泉自身が許容できなくなってきているのだ。稲嶺はこれを拒むことなどできるはずもない。
 二つには、当然これらのことは沖縄人民から猛烈な怒りを買うことになる。しかもそれをごまかし、慰撫(いぶ)するような「経済的見返り」、振興策路線のより破滅的な破産が爆発的に露呈してくる過程が重なるのである。
 米帝ブッシュのイラク侵略戦争の切迫、日帝の有事立法攻撃、侵略戦争への突進という情勢の中で今やSACO路線は根底から破産している。すなわち名護新基地建設は、稲嶺や岸本(名護市長)が言う「15年期限」や「使用協定締結による基地被害の縮小」というペテンや「『振興策』による沖縄経済の自立化、活性化」といううそが全面的にあらわとなる中で、米軍基地の強化、戦争準備として、その本質がむき出しとなってくるのだ。
 日帝・稲嶺体制とは、95年からの沖縄の新たな人民反乱を平定し、名護新基地建設を強行することを目的とした沖縄闘争圧殺体制である。綱領的、路線的には大田知事の敗北と既成左翼の変質、崩壊を前提としたデマ政治を基本としており、沖縄問題の根本である基地・安保問題においてはトコトンごまかしである。
 これまでの稲嶺体制4年間でそのだまし効果はすべて出尽くした。これからの4年間は惨めな地獄への転落過程となるしかない。
 県知事選過程でマスコミが行った基地問題に関する世論調査によると、依然として名護新基地建設(米軍基地の県内移設路線)に対し県民の大多数(7割近い)は反対している。マスコミは今次選挙の総括記事の中で「このたび稲嶺と書いて投票した人以外は全部『反稲嶺』だ」との「自民党幹部の声」を紹介している。稲嶺の今後4年間は、既成左翼への幻想という「安全弁」が取り外され、人民の怒りの新たな劇的な爆発に直面することになる。

 今こそ沖縄からイラク侵略戦争反対の火柱をあげよう

 9・11反米ゲリラの爆発、米帝ブッシュのアフガニスタン侵略戦争をもって世界情勢は一変した。ブッシュは9・11に対する報復・テロ撲滅の「新帝国主義宣言」をもって全世界を戦争にたたき込もうとしている。それは米帝単独の利益と世界支配のために戦争を基本手段として帝国主義世界支配を暴力的に再編しようとするものである。イラクへの侵略戦争は、第3次世界大戦へと直結する恐るべき攻撃である。
 こうしたブッシュ新世界戦略によって沖縄(の米軍基地)を規定する条件は根本から変わった。ブッシュ新世界戦略はクリントン―橋本による96年の日米安保再定義を否定したものであり、SACO路線は根本から崩れ去っている。ペテン的であれ「県民の負担をいかに軽くするか、どう整理・縮小するか」などという論理は完全に消し飛んでおり、逆に「イラク戦争後」、あるいは北朝鮮・中国への侵略戦争をにらんで、沖縄は戦後かつてないほど強力に中東や中央アジアをもにらむ東北アジアの「ハブ基地(中枢拠点)」として位置づけられ強化されようとしている。
 こうした米帝ブッシュの世界戦略のもとでの日帝の沖縄政策は、より硬直した差別的、抑圧的なものとならざるをえない。帝国主義の基本矛盾が戦争と大失業として全面的に爆発する時代に突入し、国家権力は人民に対し「帝国主義の最大にして最後の武器」(革共同第6回大会報告)としての愛国主義と排外主義の恫喝をもって二者択一的に屈服を迫る。今日の沖縄闘争の中で革新共闘が崩壊する根拠はここにある。
 帝国主義の死の苦悶(くもん)としての戦争と大失業攻撃に対し、「戦争をしなければ生き延びることのできない帝国主義こそ打倒すべきだ」ということを真っ向から掲げて闘わない限りどんな闘いも成立しないのだ。稲嶺や岸本の基地建設受け入れと引き換えに「振興策」をもらって生きていくという路線は、「生きるためには戦争もしかたがない」ということなのだ。
 こうした21世紀冒頭の沖縄をめぐる現実への怒りと危機感が高まってきている。心ある沖縄人民は、“仕事が欲しければ米軍基地と戦争政策に協力せよ、戦争の先兵となれ、さもなくば沖縄は日干しだ”という日帝の差別政策に全面的に反撃したいと思っているのだ。そしてそれが、日帝・国家暴力との全面激突となることも知っている。だから、日帝の恫喝に対する既成左翼の屈服のすべてを見抜いている。

 連合打倒し労働者の決起を

 02年県知事選を総括し、03年―21世紀の沖縄闘争の再構築に向けていかに闘うべきか。課題は何か。
 何よりも第一に、さし迫るイラク侵略戦争に対して沖縄から国際反戦闘争の巨大な火柱をあげよう。在沖米軍はすでにイラク侵略戦争突入への最終態勢に入っている(在沖米軍は、45日後に効き始める生物兵器に対する免疫投薬を11月に行ったと発表している)。イラクへの攻撃は不正義この上ない人民大虐殺である。国際帝国主義の侵略に命がけで闘うムスリム人民、全世界の反戦闘争と連帯し、沖縄でこそイラク侵略戦争阻止の闘いを構築しよう。
 第二に、米帝ブッシュの世界戦争戦略に共同=競合しながら、侵略戦争へと突進する日帝・小泉と真っ向から対決し、有事立法・改憲攻撃を粉砕する闘いの先頭に沖縄から立ち上がることである。愛国主義と排外主義の大洪水と徹底対決し打ち破ろう。
 沖縄戦の経験は、愛国主義と排外主義がどのように人民を絞め殺すものなのかを教えている。闘う朝鮮・アジア人民との連帯、国際主義こそ沖縄闘争の階級的再構築に向けての必須不可欠のエネルギーである。
 第三に、労働者を戦争の道に引き込む連合を打倒することである。連合は沖縄の土地闘争、復帰闘争、また全軍労闘争を始めとする沖縄の戦闘的、階級的労働運動の伝統と力を解体する最悪の役割を果たしてきた。連合とは帝国主義的(労働運動ならざる)労働運動であり、その意義は労働者階級・労働運動を帝国主義、国家権力の意を体して抑圧することにある。この連合が、労働運動を始め、諸選挙闘争、反戦・反基地闘争など、沖縄の大衆闘争を破壊し腐敗させてきた。労働運動の階級的再生なくして沖縄闘争の再構築はありえない。
 もはや連合傘下にあって“連合は素晴らしい”などと思っている労働者は一人もいない。日帝・稲嶺の振興策路線は沖縄の経済構造を植民地の経済に酷似したものに変貌(へんぼう)させており、それは倒産、首切りとなって人民に襲いかかっている。連合に対する労働者の怒りはもやは極点に達しようとしている。
 第四に、日帝・稲嶺との対決の正面課題となる名護新基地建設阻止に全力決起しなければならない。着工阻止の4年間決戦を闘い抜き、完全に粉砕しよう。
 第五に、今こそ社・共に代わる真の労働者党を建設しようということである。
 県知事選挙の結果を真っ向から受けとめ、沖縄人民の怒りと叫びを体現して、03年へ突き進んでいこう。

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週刊『前進』(2081号6面2)

侵略基地を暴く 現地レポート イラク攻撃の最前線

沖縄
 今号から全国の米軍・自衛隊の基地実態を暴くミニシリーズを始めます。最初は基地の島・沖縄。

 「戦時体制」で事件・事故続発

 昨年の9・11反米ゲリラ戦闘以降の1年間、在沖米軍は実戦さながらの軍事演習を激化させている。それに伴い、米軍軍用機は毎月のように事件・事故を引き起こす異常事態となった。
 7月22日、久米島沖で操業中の漁船に演習展開する米軍ヘリが異常接近し、執拗(しつよう)に威嚇。地元漁民の抗議にもかかわらず10日間続く。
 8月2日、普天間基地所属のCH53ヘリが宜野座村松田区の海岸に不時着。現場から100b先には民間住宅地がある場所。
 8月21日、訓練中のF15戦闘機1機が沖縄本島沖で墜落。F15の飛行中止を求める県を無視し、26日から訓練再開を強行。直後に2機が異常発生を起こし、緊急着陸。
 8月27日、普天間基地所属のKC130空中給油機が給油後、ホースが戻らず緊急着陸。
 10月25日、伊江島でパラシュート降下訓練中の米軍輸送機から水を満載したポリタンクが落下。50b付近で島民が農作業中だった。
 基地周辺に住宅地が密集する沖縄では、軍用機の事故は大災害に直結する危険との隣り合わせを意味する。米軍機事故に対する沖縄人民の不安と怒りは頂点に達しつつある。

 イラク戦争を前に基地強化

沖縄の主な米軍基地と施設 現在、在沖米軍はイラクに出撃した軍用機が対空砲火で被弾した場合を想定した危険な緊急避難着陸を頻繁に繰り返している。また、イラク強襲を意識した夜間や早朝の離発着もこの数カ月激増している。
 例えば嘉手納基地における午後10時から翌日6時までに離発着する米軍機の70
 以上の爆音発生回数の今年4〜7月の月平均値が153回にも上っている。6月には210回を超えた。97〜00年の月平均85回と比較すれば約2倍の爆音被害である。
 また、米軍基地機能の強化、拡大も進んでいる。嘉手納基地の第18航空団は再編され、イラク攻撃を意識して遠征力の向上が図られている。現在嘉手納基地には通常では確認されていない特殊作戦ヘリや偵察機、空母艦載機が頻繁に目撃されている。
 金武町と恩納村にまたがる米軍キャンプ・ハンセン内レンジ8への在沖米軍特殊部隊(グリーンベレー)の都市型訓練施設が建設される計画や原子力潜水艦・空母などが寄港するホワイトビーチの桟橋拡張も発表された。
 何よりも7月末に代替施設協議会で名護市辺野古への新基地建設の「基本計画」が決定するや、ただちに米国防総省が新基地への配備が計画されているMV22オスプレイの試験飛行を再開したことは重大な事態である。00年には2件の墜落事故を起こし、計23人が死亡して以来、本機種の安全性に米空軍内部でさえ疑問の声があがり、いったん開発試験を中止していた最悪の欠陥機である。名護新基地建設攻撃と連動した動きであることは間違いない。
 9・11直後、米軍基地各ゲートには完全武装の米軍兵士と本土派遣の警察機動隊が厳戒体制をとったが、今は基地警備のハイテク化が進んでいる。嘉手納基地では「ビジターコントロールセンター」が600万j(約7億円)をかけて設置される予定だ。またNBC兵器(核・生物・化学兵器)を使った「報復」に対抗するための防御体制も恒常的にとられているが、詳細は公開されていない。
 また「テロの対象になる」とホワイトビーチなどへの米原子力潜水艦の寄港の24時間前の事前通告が9・11以降、非公開とされ、いまだに解除されていない。非公開となってからすでに8隻の原潜が入港している。稲嶺県政は率先して「戦時情報統制」に加担し、県民の生命・財産を守る立場を放棄し、「知る権利」を奪っている。「テロの恐れ」などというあいまいな論理がまかりとおれば、在沖米軍の情報や動き、すべてを「非公開」とすることも可能になる。

 苦闘する沖縄人民と連帯を

 10月、普天間基地をかかえる宜野湾市では「静かな日々を返せ!」を合言葉に原告団200人で日本政府と基地司令官を被告にして爆音訴訟に立ち上がった。また、恩納村民も都市型訓練施設建設には「村民あげて反対する」意志を示している。
 沖縄人民の基地撤去の闘いは、既成革新政党の地滑り的な崩壊という困難をのりこえ、名護への新基地建設阻止の闘いを先頭に、在沖米軍基地の「戦時下」に対する反撃が粘り強く続けられている。沖縄人民の闘いを全国で支え、発展させるイラク反戦闘争の高揚をかちとろう。
 (沖縄・N)

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週刊『前進』(2081号6面3)

 コミューン 1月号 イラク侵略許すな

 イラク人民大虐殺の恐るべき侵略戦争が刻々と迫っている。この戦争が開始される前になんとしてもそれを阻止するために、今こそムスリム人民、全世界の労働者階級人民と連帯してイラク反戦闘争を強化しよう。
 特集の第1章では、米帝のイラク侵略戦争態勢強化の現状について明らかにした。
 第2章では、米帝がなぜ全世界で噴出しているイラク侵略戦争反対の声を完全に無視してこの戦争に突進しているのかについて分析した。
 第3章では、「湾岸戦争」以降、10年以上にわたって米帝が行ってきたイラク人民に対する空爆や経済制裁などの非人間的な侵略行為の実態について徹底的に暴露した。
 第4章では、イラク侵略戦争の渦中に、パレスチナ人民と同様に長期にわたって民族解放闘争を闘ってきたクルド民族を利用主義的に引き込み、クルド人民の解放闘争を破壊しようとしていることの反革命性を弾劾した。
 第5章では、イラク侵略戦争の切迫とともに全世界で歴史的爆発局面に入った反戦運動の現状について明らかにした。
 翻訳資料、国防報告(下)では、《2大規模戦域戦争》基準破棄が、段違いの戦力を作る目的で行われたことが語られている。そして核戦力再編、宇宙・情報・諜報への投資が、そうした世界大的戦争のために行われることが分かる。

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週刊『前進』(2081号7面1)

獄中28年無実の星野文昭同志からの訴え 私たちへの無期攻撃はね返し再審無罪・星野奪還の実現を

 1971年11・14沖縄返還協定批准阻止闘争でデッチあげ殺人罪弾圧を受け(無期懲役で徳島刑務所に在監)、再審要求闘争を闘う星野文昭同志から、本紙のシリーズ「無実の星野同志を取り戻そう」(2065〜76号)にこたえて闘いのアピールが寄せられた。星野同志の熱い訴えにこたえ、再審実現、星野同志奪還へ全国で立ち上がろう。(編集局)
 私たちにかけられている無期が、人間として生きるすべてを奪うものであることから、それとの闘いは、生か死かというギリギリのところからすべてを奪い返していこうとするものとしてある。人として生きていくために何が大切なのか。何が正しく、何が本当に未来を開くのかを、一切のごまかしが許されない形でつかみとり、積み上げ、本当の生きる力、人間の人間的解放の内容と力を獲得していくことが求められる。
 暁子とともに、また皆さんに支えられて、積み上げてきた以下の内容は、生か死かという格闘をとおして形成してきたものだ。今回の「シリーズ」を踏まえて新たに提起し、本格的な取り組みの訴えとしたい。

 今日の情勢と無期攻撃

 今日、誰もが、世界史的な転換期を迎えていることを感じていると思う。ソ連スターリン主義が崩壊し、唯一突出したパワーをもった米帝(それと共同・競合する日・欧帝)が、イラクに示されるように、被抑圧民族の自決権を許さない、むき出しの侵略と戦争、世界戦争をも引き起こそうとしている。それに対する被抑圧民族人民の自決権、民族解放を求める闘いが、9・11からさらに、パレスチナ・イスラムを始め、生命をかけて闘われている。帝国主義国の労働者人民が、その闘いと結合し、侵略戦争を阻止し、自国帝国主義を打倒して、自らの解放と世界人民の解放をかちとっていくことが、被抑圧民族人民への血債をかけて問われている。
 米帝経済のバブルがついに崩壊して、1929年をはるかに超える大恐慌の過程が始まり、帝国主義が他帝をたたきつぶしても生き残ろうという争闘戦を強めている。一方で侵略戦争を、一方で首切り・不安定雇用・賃下げ、福祉・全生活破壊を強め、帝国主義国人民への極限的犠牲を、そして被抑圧民族人民へのより極限的な犠牲を強いている。
 このことは、帝国主義国と被抑圧民族の労働者人民の連帯、結合した力によって帝国主義・ブルジョアジーを打ち倒し、生産にかかわるすべてを労働者人民のものとすること。さらには労働者人民・人間そのものが生産と生活の全決定権をもった、社会の真の主人公・主体となり、一人ひとりが尊重し合い、補い合い、助け合って、より人間的で豊かな社会を築いていく以外に、労働者人民の未来も、人類の未来もないことを突きつけている。
 私たちは、今こそ、被抑圧民族を始めとした闘いに学び、ともに侵略戦争の阻止―反失業・生活防衛と帝国主義打倒のために闘い、その中で、差別・分断、個人主義をのりこえ、尊重し、補い、助け合って人間的未来を切り開いていくあり方、内容、力を創造的につくっていくことが問われている。そして、それに責任をとりきる、自己解放性に満ち満ちた党の、全労働者人民による創造が問われていると思う。
 日帝は、労働者人民の闘いの発展を恐れ、有事立法攻撃と一体のものとして、組対法、団体規制法などに続き、個人情報保護法案を始め、戦後民主主義的な権利も否定した、治安的弾圧のエスカレートに突き進もうとしている。
 星野無期攻撃も、「マル特無期」「終身刑導入」とも重なり、70年闘争への報復にとどまらず、今日の闘いへの最も極限的な弾圧として私たちに襲いかかっている。爆取デッチあげ弾圧4同志への16年・10年に及ぶ未決勾留という許し難い攻撃とともに。
 しかし、このことは、あまりに労働者人民の「自由」も「権利」も踏みにじった帝国主義への根底的怒りと決起を必ず生み出すものだ。星野無期という極限的弾圧との闘いの根源性、全面性は、その怒りと決起を、より根源的で全面的なものへと発展させるものである。

 70年闘争が開いた地平

 60年代から70年、戦後帝国主義体制の危機の中、米帝は、ベトナム侵略戦争を激化させ、日帝も日米安保下、その全面的協力をとおして、新たなアジア侵略と戦争の道へと進もうとしていた。これに対して、日本の膨大な労働者人民が、青年労働者、学生を先頭に、ベトナム反戦、安保・沖縄、三里塚、大学闘争に決起した。それは、米欧を始めとした世界的な反戦闘争、アジアを始めとした世界的な民族解放闘争と一体だった。スターリン主義に抑圧されてきた労働者人民がついにそれをのりこえ、自己解放性を生き生きと解き放ち始めた世界史的な闘いだった。
 その中で、私たちが、帝国主義国の労働者人民として、植民地支配と民族抑圧を許し、あるいは加担してきたことへの無知無自覚を自己批判して、血債を負っていることを痛切に自覚し、この支払いをかけて、学び、連帯し、闘う立場を獲得し貫徹したことは決定的だった。本土労働者が、日帝の伝統的差別によって、沖縄戦と日米安保の要(かなめ)石としての軍事監獄的現実を沖縄に強い続けてきたことの自己批判と、学び、連帯し、闘う立場の獲得と貫徹によって、沖縄人民と連帯して沖縄闘争を闘う力の獲得を開始した。同時に、私たちは、すべての被抑圧民族人民の生活と闘いに学び、ともに闘い、自らの人間的階級的解放の力を回復・形成する道を開いた。
 そして、この闘いを、国家暴力をはね返して、体を張って闘うことによって、本当に侵略戦争を阻止し、諸闘争に勝利し、日帝を打倒できると同時に、帝国主義的な奴隷的イデオロギーをぬぐい去って、人間解放の主体的力(人格、運動、組織)を獲得できるという道を開いた。〔実は、これらを今日的に創造するということが、獄中(家族)の闘いを支えている〕
 70年闘争の頂点をなす、11・14闘争は、ペテン的沖縄返還によって沖縄を新たな侵略と戦争に向かって永続的に支配しようとすることに対して、本土人民の沖縄人民との連帯をかけて、一切のデモを禁止する機動隊の弾圧網を食い破って実現したものだった。それは、明らかに本土と沖縄の人民が結合し、アジア人民との連帯を形成しつつ、安保と沖縄基地をうち砕き、侵略戦争阻止・日帝打倒のうねりが新たに高揚していく地平を開くものだった。
 この闘いの発展が、陸続とした労働者人民の決起を生み出し、体制そのものを覆すものになることを恐怖した日帝・権力は、この運動と組織(戦闘的大衆闘争とその中軸を担う反帝・反スターリン主義、革命的共産主義運動とその党)の圧殺のために、日本階級闘争史上経験のない破防法とカクマル反革命の二重の反革命、それと一体の私たちへの極刑攻撃をかけてきた。私たちはこの攻撃が、人民のあらゆる闘いを根絶やしにするものであることを見据え、長期にわたって、膨大な血と汗を流して食い破り、そこでの創造的闘いを蓄積してきた。それを土台に、長期の二重対峙下での特殊性、制約性、途上性を自覚的に克服して、労働者人民の内部の怒りと自己解放への希求と決起を信頼し、そこに依拠して、労働者人民とともに闘うこと、その発展と勝利に責任をとりきり、自己解放性を侵略戦争阻止−諸闘争勝利、日帝打倒への大衆闘争の本格的発展に結集し、組織し、解き放っていくことと、その闘いに責任をとりきる労働者人民の党の本格的形成に挑戦している。
 私たちは、すべての労働者人民の全未来をかけて、なんとしてもこの闘いをやり遂げる責務がある。日帝は新たな階級闘争の爆発を圧殺してのりきるために、日帝・権力への一切の暴露・批判を圧殺する弾圧をエスカレートさせている。これと一体の極限的弾圧としての星野無期が、今日の闘い全体へのみせしめ性をむき出しにしたものであることを見据えることが必要だ。さまざまな途上性をのりこえて、今日の闘いを根源的、全面的に発展させるものとして、星野無期との闘いに本格的に取り組むための飛躍をともにかちとっていきたい。
 今日の現実、弾圧の現実に対して、労働者人民、大衆の中に怒りと、変革・解放の希求と意欲が脈々と生き、蓄積されており、このような飛躍がまったく可能であることを深く確信しつつ。

 無期の鋭さを見据えて

 星野無期との闘いに本格的に取り組んでいくために、当初から星野弾圧と正面から向き合い闘うという点での決定的立ち遅れがあったことを厳しく自覚してのりこえることがどうしても必要だと思う。
 第一に、権力が殺人罪適用、死刑求刑、無期判決という弾圧の質的エスカレートに出てきたのに、私も含め誰もが、大衆デモにそのような求刑・判決が現実にあるとは考えず、基本的にはそれまでの長期でも数年という弾圧との闘いの延長上の闘いしか組めなかった。このことが死刑反対の12万人署名によって死刑判決を阻止したものの、無期を許し、今も覆し得ていない根本的要因である。これを厳しく見据え、権力の質的エスカレートに応じた闘いの飛躍が問われている。
 第二に、どのような厳しい現実・攻撃にも不屈に正面から立ち向かうことを基本精神にしてきた私たちが、それまでの延長上の闘いしか組めなかった背景には、二重対峙・対カクマル戦があった。それに勝利しなければ、すべての人民の闘いが廃虚と化してしまうこと、対カクマル戦自体が圧倒的に立ち遅れた地点からすべてを投入することによってしか勝利できないという中での力量的制約性や途上性があった。本質的に、私たちへの極刑攻撃も、二重対峙戦の決定的環として、同様に圧倒的な立ち遅れから、全力を投入して勝利しなければならないものでありながら、その制約性、途上性のゆえに克服できずに、無期を許し、今も覆し得ずにいる。
 今日、二重対峙戦の基本的勝利の上に、その制約性、途上性とそこから生み出された否定的なものを自覚的にのりこえて、本格的な大衆闘争への新たな挑戦をしている。その挑戦を全面的に発展させる根源的闘いとして星野無期(全弾圧)での本格的な獄中=家族闘争、救援運動、裁判・再審闘争の発展が問われている。
 第三に、そのために、次のような具体的な点の克服が必要だと考えている。
 @まず、「革命家としてどのような弾圧との闘いも自ら引き受けて闘う」ことは、たとえどのように孤立無援の中でも一身に弾圧との闘いを引き受けて、非転向に本人が闘う気概、精神として、本人の背骨をなす。しかし、このことを現実の闘いの中で前提化・固定化してしまうことは、弾圧との闘いを孤立した個人的な闘いへと狭める。そのことに本人が「安住」し、外が依存してしまうことは、根本的に誤っている。それは、本人(家族)の闘いにとっても、階級的運動とその党にとっても死だ〔主体面でも拘禁症の根本にはそのことがあった〕。階級・運動(その党)への弾圧として、全体の力ではね返し、本人を一日も早く奪還することの貫徹が、階級的運動とその党の生命だ。そして、本人(家族)の闘いの生命だ。
 A私たちは、スターリン主義のように弾圧を恐れて闘いの道すじを歪曲し、後退させることが運動(党)自らを死に導くものであることを知っている。しかし、弾圧を恐れず闘うということが、弾圧を甘受し、弾圧との闘いから召還して階級的運動の発展のみに解消するのは誤りだ。弾圧と正面から闘い、勝利することで運動を守り、発展をかちとっていくことが、階級的運動とその党の生命だ。
 B私たちは弾圧を過去の個別的闘争への弾圧としてとらえがちである。しかし、現実に、いかなる弾圧も一種のみせしめ(予防反革命)として、今現在の闘いへの弾圧として継続している。今日の闘いと一体に闘うのでないと、弾圧との闘い、本人の闘いをわい小化し、その発展・飛躍をかちとれないのみならず、今日の闘いの発展そのものをも歪め、その力をそぐことになる。その意味で、星野無期も、70年だけでなく、それを継承・発展する今日の闘い全体への(みせしめ的)弾圧である。今日の闘いの成否をかけ、その力を投入して闘うことで今日の闘いを守り、その発展・勝利をかちとっていくことができるし、本人(家族)の闘いを守り、生き生きと飛躍させ、奪還することができる。
 C星野無期の鋭さ=みせしめ性は、今日において70年を超える広範な根底的決起を体制の延命をかけて圧殺しようとすることによる。したがって、再審の扉を開き、無実をかちとる、それを軸に一日も早い釈放をかちとることは、生半可な闘いでは勝利できない。
 星野無期との闘いは、70年を闘い、それを継承・発展するすべての運動にとっての課題であり、それを主体とする闘いである。また今日、恐慌と戦争、大失業の時代に怒り、苦しみ、その中で生き、変革、解放の希求・意志をもつ者すべてにとっての課題であり、それらの人びとを主体とする闘いである。
 星野無期を含めた、今日の戦後民主主義をも破壊する階級利害をむき出しにした弾圧は、労働者階級へ向けられると同時に、すべての被抑圧諸階層人民に向けられている。最も直接には、獄中・家族、革命的共産主義運動とその党、革命的左翼・戦闘的大衆運動に向けられていると同時に、あらゆる労働運動、住民運動、市民運動、人権運動、あるいはごく普通に市民的に生きている人びとにまで向けられている。
 その意味から、それらの人びとの生き、未来を開くための課題であり、その一人ひとりが主体となり、その主体的力を解き放ち、結合して、その総力で勝利していくものだ。星野無期・諸弾圧との闘いの中で小異をもって排除するのではなく、人間への、また生き闘っている者への敬愛と尊重を大切に学び合い、それを土台に大いに議論し、批判=励まし、補い合い、助け合って主体的力を形成し、その目的のために解き放っていくものだ。
 私たち、とりわけ党は、その大衆的(統一戦線的)闘いを促し、発展させるために責任をとりきり、星野無期を含めた弾圧との闘いの勝利をかちとり、諸運動と人間解放に勝利していくことが問われている。

 暁子とつかんだ道すじ

 星野無期と闘い勝利していくために、無期とはどのような弾圧で、それを日々はね返し、勝利していくために何が求められるかという点について、「暁子の訴え」をも踏まえて触れたい。
 無期との闘いは、私たちにとってまったく未経験であり、極限的なものだから、当該としての私と暁子にとって、すべてをかけ、投入するものだった。無期は、期限のない投獄によって、社会生活、政治生活から分断し、心身の健康を保つための衣食住の自由を奪い、究極的には生命(力)そのものさえ奪おうとするもの。それを自覚し、意識的に闘わなければ、諸生活、諸関係から分断され、心身の健康、生きる意志と力さえ奪われる。まさにすべてを奪うものだ。
 したがって、すべてを奪い返すという最高の意識性をもって、一つひとつを意識的に奪い返し、制約の中でも最高の形で実現していくことが生きる力、新たな闘う力となる。そのことによって究極的な再審・釈放と人間解放をかちとっていくことができるものだ。
 したがって、掛け値なしに、正しければ生へ、誤っていれば死へという形で、生か死かということをかけて、一切の現実に向き合うことになる。その中で何が本当に生きる力、未来を開く力になるのかという所から、真に正しいもの、人間的なもの、人間解放につながるものを探り、獲得し、その実現の道すじをともに追求していく、主体的力(人格、関係、運動、組織)を獲得していくものだ。
 私たちが、そこでつかみとったものは何だったのか。それは、反動とあきらめが支配しているかのような、どのような現実の中にあっても、その現実への人間的怒り、人間的解放へ向かっての希求、意欲、力は脈々と生き蓄積されていることへの深い確信だった。なぜなら、人間が人間である以上、あらゆる非人間的な支配、抑圧、搾取、殺し合いから、人間的に解放されようとするからだ。
 そして今日、帝国主義ブルジョアジーが互いに生き残りをかけた争闘戦のために自国と世界の労働者人民に極限的犠牲を強いる以外にない姿をさらけ出している中、どこまでも帝国主義と被抑圧民族の労働者人民の人間的怒り、人間的解放への希求、力を信頼し、それを一つに組織し、その結合した力によって帝国主義を打倒すること、労働者人民が社会の主人公・主体となって、真に人間的で豊かな社会を築いていく以外に、労働者人民の未来も人類の未来もないという深い確信だった。
 具体的に問われているのは、まず何より第一に、分断の現実に屈服せずに、打ち破って、獄内外が真に身を置き合うこと、そのために、配慮は必要だけど、基本的にすべてを伝え合い、学び合い、理解し合うことが、死活をかけた土台的闘いだ。この分断に屈服すれば、暁子、家族とはもちろん、諸生活、諸関係において分断され、それらを失い、さらに心身の健康が奪われ、生きる意志、力さえ奪われるからだ。私と暁子はさまざまな制約、障害をのりこえ、試行錯誤しつつ、そのことを死活をかけた土台として、うまずたゆまず積み上げてきた。そのことをとおして、すべての労働者人民の生活と闘いを自らのものとして受けとめ、学び、真に血の通った、生き生きとしたものとして、積み上げることができる。
 第二に、そのことを土台にすべてにともに向き合い、制約の中にあっても、人間的未来につながる最高のあり方、内容を形成していくこと、この点でも私と暁子は、本当の絆(きずな)を形成してきた。
 私と暁子は、獄壁の分断という現実の中で、どこまでも心を一つに、無期と全現実に向き合い、立ち向かっていくことを不断に大切にしつつ、互いのすべてを尊重し合い、補い合って、一つひとつを解決し、制約の中にあっても最高のあり方・絆・内容をつくりあげること、また、そのことによって、無期のもとでの大きな辛苦、ストレスをいやし、のりこえ、ともに生きる喜びで満たし合い、新たな生きる力、すべてをのりこえ、全現実に立ち向かっていく力を日々得てきた。
 その核心は、奪われているという現実に屈服し、それを固定化する(それは死なのだ)のではなく、どこまでも積極的に奪われているものを奪い返していくことによって、生き闘う力を不断に再生していくことにある。夫妻であれば選択できて当たり前の、子どもを生み育てること、全生活をともにすることも含め。
 第三に、そのことによって、無期、全現実の重圧、あらゆる困難をのりこえて生き闘う力を新たに得て、再審・早期釈放と人間解放へ不断に挑戦していくことを可能にする。
 私が、超長期の獄中で闘い続けているのは、観念的に思想・信条を固定していることではない。妻(家族)とともに、すべての労働者人民とともに、どこまでも現実の中に身を置き、怒りや苦闘、変革・解放への希求、意欲を不断に自らのものとして、ともに全現実に立ち向かい、必死に、その変革、解放の道すじをつかみ、それを実現する主体的力(人格、運動、組織)をかちとっていくということを常にみずみずしい気持ちで生き生きとやりとげていく、そのことがあるからだ。
 無期との闘いは、獄中=家族闘争、裁判、救援闘争という反弾圧闘争のみならず、人間解放をめざす全闘争を最も根源的・全面的に発展させる力と内容を形成するものだ。
 以上の意味で、無期との闘いにおいて、獄中・家族がまず何よりも生き闘う主体としての飛躍が問われ、その闘いを担う労働者人民の主体としての飛躍が問われ、この闘いに責任をとりきる党の主体的飛躍が問われている。以上までの提起を本当に主体化することをとおして、無期、全弾圧との闘いに勝利し、侵略戦争阻止−反失業・生活防衛、日帝打倒による人間の人間的解放への飛躍をともにかちとり、ともに闘おう。

 私は無実。再審実現を

 今「シリーズ」によっても明らかにされているように、私は、71年11・14闘争において死亡した機動隊員が殴打されていた場所より先の十字路上で、阻止線を突破した後のデモ隊を再結集して、幾千の民衆と合流するため渋谷に向かった。十字路から十数b離れた場所での殴打も、火炎びん投てき命令もしていない。しかし、警察・検察は許せないことに、私が無実であることを百も承知で、私が殴打し、投てき命令をしたという6人の供述をねつ造した。
 しかし、6人のうち5人は、供述が嘘(うそ)であることを公判で明らかにし、残る1人は証言を拒否した。私を有罪とする証拠がないにもかかわらず、一審20年、二審無期を強行した。供述の虚偽を、とりわけ全供述ねつ造の要となっているO供述が、そもそも彼が遅れて見ることのできなかった場面のねつ造であることを、事実の裏付けによっても暴いていけば、加えて「再審無罪を!」の大衆運動の力によって必ず再審実現の道を開くことができる。
 <再審無罪><権利としての釈放><健康に、人として、妻・子・家族、すべての人びととともに生きる生活・処遇>。これを広範な力強い大衆運動の発展の力でかちとっていこう。ともに闘おう!
 (2002年11月5日)

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週刊『前進』(2081号7面2)

改憲阻止決戦シリーズ 今、問い直す侵略と戦争の歴史 第4部 日帝の中国侵略戦争(1)
 19世紀欧州列強の侵略 アヘン戦争口火に略奪と破壊

 今号から第4部「日帝の中国侵略戦争」を開始する。日本帝国主義の19世紀末から1945年にいたる半世紀以上の歴史は、中国に対する侵略と戦争の歴史であった。
 欧米列強の開国強要に始まる日本近代史は、日本資本主義の形成・発展史である。だがそれは、世界史の帝国主義段階への推転と重なり合う中で、出発点から帝国主義的な性格をおびていた。それゆえ、日本の近代史は凶暴なアジア侵略の展開を不可避としていた。
 日本が台湾出兵(1874年)や江華島事件(1875年)に乗り出していく時代、アジアをめぐっては英仏米など欧米列強による侵略、市場分割戦が決定的に激化していた。その口火となったのは、1840年のアヘン戦争であった。

 アヘンを密輸

 産業革命―資本主義化を経たイギリスは、アジアではインドでの覇権確立の上に中国侵略へと向かっていた。もともとイギリスと中国の貿易で、清朝は通商を広州に限定し、公行(コーホン)という官許商人団に貿易を独占させていた。これに対しイギリスは再三、自由貿易化を要求したが、清朝は拒否していた。
 イギリスは東インド会社によるアヘン貿易を中国侵略の突破口にすえ、インドで生産したアヘンを大量に密輸した。清朝の禁令にもかかわらずアヘンは急速に広まり、密輸量は増大した。そのため長年にわたり中国側の銀の入超であった貿易関係が逆転し、大量の銀が流出し始めた。それは銀価高騰から経済的危機を生み、そのつけが増税として農民に転嫁された。
 アヘンによる清朝官僚の腐敗につけ込み、イギリスは市場開放を迫った。だが清朝・道光帝は39年にアヘン厳禁を決め、林則徐を特命大臣として広州に派遣した。外国商館が封鎖され、大量のアヘンが没収・処分された。イギリスは、これを財産権侵害だと言いなし、40年6月に大々的な武力行使に乗り出したのだ。
 イギリス軍の攻撃は2年間におよび、42年5月には上海が占領され南京失陥が迫った。清朝はイギリスの要求を受け入れ、南京条約を結んだ。香港の割譲、広州や上海など5港開港、公行制度廃止、戦時賠償などイギリスの要求を全面的に認めるものだ。
 イギリスに続いて44年にはアメリカ、フランスが南京条約とほぼ同内容の条約を結んだ。欧米列強の中国侵略、市場争奪戦はさらに激しくなっていく。
 1856年10月、イギリスとフランスは共同出兵して広州を占領した。アメリカとロシアが英仏に同調、条約改正を迫った(アロー戦争)。58年6月、清朝は英仏米露と天津条約を結んだ。外国公使の北京駐在、開港場の増加、領事裁判権の拡大など列強への屈従を一層深める内容である。
 59年6月、英米仏3国の公使が天津条約批准のため北京に向かった。だが、英仏艦隊は途中で砲撃を受けて上海へ逃げ帰った。翌年7月、英仏は2万の大軍を派遣して天津を占領、北京に進撃した。略奪と破壊の限りをつくして清朝を屈服させ、10月天津条約を批准し、新たに北京条約も調印した。これにより賠償金の増額、九竜のイギリス割譲などが取り決められた。

 太平天国の戦い

 アヘン戦争の敗北以降、清朝の崩壊と経済的危機が進む中、華中・華南の諸省では農民暴動が激発した。その中で洪秀全を教祖とする拝上帝会という新興宗教が現れ、1850年に太平天国の建設を宣言し、清朝打倒へと挙兵した。
 太平軍は一挙に数十万の勢力となり、53年3月南京を占領。ここを首都天京とし、清朝と対立する新政権を樹立した。太平天国は封建支配からの解放を求め、農地の私有化禁止や平等主義などを掲げた。
 これに対し朱子学者の曾国藩やその部下の李鴻章がそれぞれ地主や貧農を組織し、太平軍討伐に出た。一方、上海の買弁商人らがアメリカ人に私兵部隊を組織させ、また英仏軍も結局は太平軍一掃にのりだした。この中で64年7月天京が陥落、太平天国は崩壊した。
 太平天国運動は近代中国の革命運動に大きな影響を及ぼした。孫文はこれを民族革命の先駆として高い評価を与え、また、中国共産党もこの農民戦争としての意義を学んで紅軍を建設していった。
 その後、曾国藩、李鴻章らは西洋式軍備と機械制工業の導入を図っていった。
 70〜80年代にかけて中国周辺部への欧米列強による侵略が激しくなっていく。ロシアがイリ地方の占領から新疆全土の開放を認めさせ、イギリスはビルマの占領・併合(86年)によってビルマ・雲南間の国境貿易を強要した。フランスは60年代からベトナム侵略を始め、83年保護国化した。清朝はユエ条約を結び、清仏戦争にも敗れる中でベトナムの宗主権を放棄せざるをえなかった。

 日帝の侵略開始

 この中で71年に日清修好条規が結ばれた。日中両国が外国と結んだ初めての対等条約であった。だが日本は、中国と宗属関係にあった琉球や台湾への侵略政策を推進し、74年の台湾出兵と79年の琉球処分を強行した。さらに、朝鮮に対しても75年江華島事件から侵略を開始していく。
 アヘン戦争、アロー戦争での清朝の敗北をみて、日本支配層は「勝算疑いなきなり」(71年江藤新平建白書)と清朝蔑視を強めていた。また、中国や朝鮮が欧米列強の支配下に入れば、「皇国の危き累卵のごとくならん」(同上)という危機感をもっていたことも事実だ。日本は中国と同様、列強によって近代の幕開けを強制された。だが、列強の攻撃は、中国に集中せざるをえなかった。その中で日本は、自ら列強の一角と互しアジア侵略に突き進んでいく道を選んだのだ。
 朝鮮支配をめぐって日本は、清朝―朝鮮の宗属関係を破壊し、単独支配の確立に精力を傾けた。だが、日本の朝鮮侵略に対する怒りが爆発し、朝鮮では清朝の立場が強化された。
 その中で日本政府は、清を軍事的にうち負かす以外に朝鮮の支配権は確保できないことを認識し、徹底的に軍備増強を図っていく。そして、94年甲午農民戦争の爆発に対し日本は大兵力を朝鮮に派兵した。日本軍は、農民軍と李朝との和約成立後も居座り、そのまま清への奇襲攻撃をしかけ、日清戦争の口火を切った。これが日本の中国本土に対する全面的侵略戦争の始まりである。
 (五十嵐茂生)

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週刊『前進』(2081号8面1)

十万人保釈署名運動
人権侵害の極致・判決なしに16年 総力で4人の年内奪還を 爆取デッチあげ被告救援集会に250人

 11月23日、「判決なしに16年 今すぐ4人をとりもどそう! 11・23集会」が「不当な長期勾留をやめさせるために! 十万人保釈署名運動」の主催で開かれた。爆取デッチあげと闘う須賀武敏同志、十亀弘史同志、板垣宏同志の裁判は12・17公判で事実審理を終了する。未決勾留が16年という空前の弾圧をぶち破り、なんとしても年内保釈奪還をかちとらなければならない。福嶋昌男同志も未決勾留10年を超えている。保釈奪還の決意も固く、十万人署名運動を担う人びととともに参加した。
 冒頭、岩手爆取事件元被告の川崎正明同志のナレーションでスライド上映が始まった。4人がデッチあげ逮捕・起訴された「迎賓館・横田事件」とその時代背景、一審裁判の経過、東京拘置所の実態などが映し出された。86年春、レーガン、サッチャー、中曽根など帝国主義各国首脳が一堂に会した東京サミットは、「テロ撲滅のための自衛行為」と称したリビアへの無差別攻撃を承認した帝国主義戦争会議だった。爆取弾圧は階級情勢と連動した凶悪な攻撃であり、今日の保釈奪還闘争も階級攻防の最火点そのものだ。
 主催者あいさつに立った十万人保釈署名運動呼びかけ人の桜井善作さん(月刊小新聞『野火』発行人)は、「判決のないままに16年も勾留するとは、不法、無法、違法の人権侵害だ。密室の暗黒を白日のもとにさらさなければならない。この場を十万人署名運動のさらなる決起のエンジンに再点火する場としよう」と熱烈に呼びかけた。
 連帯のあいさつでは、救援連絡センターの山中幸男事務局長が「早期の保釈奪還のために総力をあげて連帯する」と語り、星野暁子さんは、星野文昭同志の奪還とともに、4人を一日も早く奪還しようと訴えた。統一獄中者組合からのメッセージも紹介された。
 呼びかけ人の小田原紀雄さんが問題提起を行った。「大変な時代に入った。国労弾圧など組織解体的な攻撃が学生や労働運動にかけられている」と弾圧の実態に触れ、イラク戦争参戦と有事立法情勢の中での治安弾圧との闘いの強化を訴え、「16年間の独房生活がどれほどのことなのか。絶対に4人を奪還しなければならない」と結んだ。
 続くリレートークでは、各地で署名運動を担っている人びと、憲法学者、宗教者など5人が登壇し、それぞれの思いを語った。大阪で1億円基金運動事務局として奮闘する橋本利昭さんは「保釈と裁判の勝利は一体のものだ。この政治裁判に勝利し、4人の年内奪還を」と熱く訴えた。
 弁護団からの発言は、爆取デッチあげ裁判の内実をまざまざと突き出した。デッチあげゆえに破産を積み上げるだけの裁判、参加者の誰もが司法のデタラメさに怒りを新たにした。
 1億円基金運動から鎌田雅志同志が「高額の保釈金攻撃を打ち破り、1人2500万、4人で1億円を絶対に集めよう」と訴えた。
 獄中の4同志からのメッセージが読み上げられた。須賀さんは「裁判所には無罪・釈放の選択肢以外にない。私たちが勝利者として出獄する日が必ず訪れると確信している」と断言。十亀さんは「力を集中し、内と外から確実に獄壁をぶち破りましょう。闘いが実を結ぶかどうかは、その最後の詰めにこそかかっている」と確信をもって語り、板垣さんは「16年もの未決勾留! 今、私たちへのこの虐待を見すごせば、明日はあなたへの虐待となり、それはまっしぐらにアジアへの侵略戦争につながってしまう」と真剣な訴え。福嶋さんは十万人署名運動の「息吹を感じた」と「スローガンに°人権が奪われるとき戦争が始まる″°戦争と弾圧は一体″が掲げられ、ここに広範な人びとと一緒に闘う原則を強く感じました」――血のにじむ苦闘の中からのアピールを真っ正面から受けとめ、4人と合流するために奮闘する決意を固めた。
 家族が登壇した。「私たちは人間が人間らしく生きる世の中にしたいという夢を追いかけてここまで来ました」「勾留は5840日になりました。どんな卑劣な弾圧でも節を曲げずに闘うことで打ち破れることを4人が立証しています」−−4人を支え、ともに闘う家族の皆さんに万雷の拍手が送られた。
 最後に、日本基督教団牧師の森山■さんが「きょうの集会を何より獄中の4人が喜んでいると実感している。いよいよ結審、大きな注目をあびることは確実」とまとめと行動提起を行った。3同志の裁判は12月17日に事実審理を終える。12・17公判の傍聴と霞が関デモ、十万人署名運動を全力で展開しよう。
 「すばらしい集会でした。この力で年内にも奪い返す闘いに立ち上がっていこう」と締めくくった司会の言葉は、参加者の総意だった。4同志奪還へ!
 (本紙・室田順子)

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週刊『前進』(2081号8面2)

弾圧と闘う 福嶋裁判 確信満ち更新意見
 福嶋同志、小島鑑定を弾劾

 無実の福嶋昌男同志に対する「迎賓館・横田」爆取デッチあげ弾圧の第153回公判が、11月19日、東京地裁刑事第三部(服部悟裁判長)で開かれた。この日の裁判は陪席裁判官の交代に伴う、福嶋同志、弁護人による更新意見の陳述の場として闘い取られた。
 福嶋同志は、10年におよぶ長期の不当勾留をはねのけ、戦闘的な獄中闘争に日々勝利し、権力のデッチあげを根底的に粉砕しつつ、元気に法廷に現れ、この日の公判においても勝利の確信に満ちた戦闘的更新意見を叩きつけた。
 「私は迎賓館・横田基地事件に一切関与していない。私は無実である。本件は、『5・4ロケット弾戦闘』に震撼した日帝国家権力による、中核派壊滅を狙った政治的なデッチあげ弾圧であった。しかし、それは検察立証の破綻(はたん)によって全面的に崩壊した」「すでに公判は152回を数えたが、検察官はデッチあげの核心である本件の『共謀』を明らかにし得たか。断じて否である。検察の『間接事実の集積』による立証なるものは、ことごとく破綻している」と本裁判の勝利的地平を明らかにした。
 そして福嶋同志のデッチあげ根拠とされている岩手借家から押収されたメモ類に関し、「自分は一切メモを書いていない」と断言し、その内容の分析をしたとする鈴村・安田証言、筆跡鑑定をした小島鑑定に対し、心の底からの怒りを込めて弾劾した。メモ分析のデッチあげについては、「検察は岩手押収とするメモと橿原(かしはら)押収とするメモを得手勝手に結びつけている。メモは検察の言う『飛距離計算』と何の関係もない。『発射地点の選定に寄与した』なる主張は破綻している」と徹底弾劾した。
 また、小島鑑定のデタラメさを暴露した。まず小島鑑定は、筆跡個性を抽出する際に問題としなければならない文字の希少性や恒常性を無視している。1文字しか出現しない文字を13個のうち9個も選んでいるのだ。また複数出現の文字を選んだ場合でも、複数個に共通して出てくる特徴としての恒常性を無視し、自分に都合のよい1文字についての特徴のみ言及している。つまり小島の手法は恣意的な「特徴個所」を指摘するだけの「似たもの選び」でしかないこと、およそ客観性をもった鑑定の名に値しないものであることを明らかにし、暴露弾劾した。
 続いて弁護人も、デッチあげの柱となっている小島鑑定の非科学性を批判し、客観性・合理性がない点を、これまでの公判で追及してきた成果をもって一つひとつ展開した。
 小島は、小学校の国語の教科書の教科書体の字体を標準の字形とし、それからのずれを特徴として把握すると主張していながら、小島自身がその標準とする字体をまったく正しく認識しておらず、誤った知識に基づいて特徴の指摘を行っていると暴露した。何と小島は、「空」の字は「工」ではなく、「土」だと思い込んでおり、正しく書かれた「空」の字を誤字だとして鑑定書で指摘していたのだ。さらに、書道の本には必ず「そり」「はらい」「曲がり」など、点画の名称が記載されているが、小島はその名称をまったく知らず、「曲がり」、「そり」を「はらい」と間違って証言する無知をさらけ出していたのだ。
 さらに、自分のやった鑑定の崩壊をおそれ、都合の悪いものは「私にはそのようには見えません」と卑劣な言い逃れに終始するなど小島証言はまったく信用できない、鑑定人の資格が完全に欠落していると弾劾した。結論として、裁判長はこのような鑑定ならざる鑑定に依拠した裁判をただちにやめて速やかに無罪判決を行い被告を釈放するよう求めて意見陳述を終えた。
 こうして更新意見陳述は福嶋昌男同志の無実を完全に明らかにした。小島鑑定を粉砕し、福嶋同志の保釈奪還、無罪釈放へ、さらに闘い抜こう。次回、12月20日の公判に結集しよう。

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週刊『前進』(2081号8面3)

部落解放と労働者階級 (6)

 ともに狭山勝利へ@ 差別に怒り11万人決起 74年9月
  西村豊行 

 70年代激闘を牽引した狭山

 労働者は、70年代の狭山闘争に決起することをとおして、荊冠旗と組合旗(全学連や反戦高協の旗を含む)を交差させ、戦後階級闘争の歴史に一つの金字塔を打ち立てたのであった。
 時あたかもアメリカ帝国主義のベトナム侵略戦争が激しく展開され、日本帝国主義が参戦加担し、それをとらえて、ベトナム反戦闘争が日本労働者階級を深部からとらえ、沖縄や三里塚、大学や基地における闘いが燎原の火のように燃え広がっていった。
 そしてその一環として全国部落研連合の5青年が69年11月、無実の石川一雄さんへ「死刑」判決をくだした浦和地裁を占拠・実力糾弾の闘いを敢行したのである。狭山闘争はこの実力糾弾によって、部落解放同盟を主軸として一挙に労働者階級をとらえ、全人民的闘いへと発展したのだ。
 石川一雄さんは、部落大衆と労働者が連帯して築きあげた〈狭山共闘陣形>の階級的意義を感動的にとらえ、獄中から力強い拍手を送っていた。
 「部落大衆と労働者階級が現実に十万の規模で合流されたこと……部落解放闘争と全人民的大衆闘争の結合をもって部落大衆と労働者階級人民の団結を達成できたということは、今後における労働者階級がその階級的実力を全面的に発展する闘いも同時に約束されたのでありますから、真の民主主義を確立する意味においてもまことに画期的な大合流であったのであります」
 このメッセージは、「荊(いばら)の道12年間の苦闘―解放への巨大な関門をひらく」の見出しで、『解放新聞』74年11月4日号に掲載された、74年10月31日の日付けをもつ歴史的な文書である。

 無実の叫びが労働者動かす

 「部落大衆と労働者階級が十万の規模で合流」と、石川一雄さんが特筆する集会とは、狭山差別裁判の控訴審の結審にあたる、74年9月26日の11万人集会であった。結審の第82回公判では、石川一雄さんが、「被告人最終意見陳述」をおこなった。「死刑」判決を強制されて、生死をわかつ位置から、無罪をかちとるべく壮絶な反撃を展開していたのだ。
 「被告人最終意見陳述」は、「俺は殺ってない」と無実を宣言してから、10年におよぶ控訴審の闘いによって、国家権力の差別犯罪を深部から暴露し、自らの無実を完全に証明しきっただけではなかった。それは、国家権力の差別犯罪に対する徹底糾弾を基軸にすえた狭山闘争論としてのみならず、部落解放闘争論としても第一級の優れた論考である。とくに300万きょうだいと労働者人民の怒りを引っさげて、寺尾裁判長に謝罪と自己批判を迫る切っ先鋭い内容であった。
 さて74年9・26闘争は、11万人の参加者が、日比谷公園内の小公園・噴水前を主会場にして、代々木公園や芝公園など4会場に分散して決起した。「集会の成功が総評を中心とする労働者との共闘の前進によることを確認して、『解放同盟と労働者の連帯強化のために、団結ガンバロー』がとどろきわたった」のである。そして議長が、「日比谷公園は完全にうめつくされた。さらに入りきれない人々が芝公園に向ってデモをおこなっている。10万をゆうにこえる人々が本集会に集った。10万人集会の成功をここに報告します」、このように宣言したと、『解放新聞』の報道記事は記録にとどめている。

 総評が全単産取り組み決定

 ところで、狭山11万人集会は、部落大衆の決起が労働者の心をとらえ、とくに、労働者が石川一雄さんの苦闘に応え、連帯して立ちあがったことから可能となったのであるが、それはどのように実現されたのであろうか。
 総評は、74年8月19〜22日に開催した第48回定期大会で、「部落解放同盟との連携を強め狭山闘争を全単産のものとして取り組みを強化する方針」を決定した。前年11月以来の取り組みの一層の強化である。それは、73年11月27日の第69回再開公判で、寺尾正二裁判長が訴訟指揮を開始した時期と、軌を一にした支援闘争の決定であった。
 労働組合は、部落解放同盟中央の狭山オルグの呼びかけにこたえ、「全逓・電通・国労・動労・全日通・都市交通・東京交通局・都職労・川崎市職・自治労が取り組みを始め、総評が狭山闘争への支援を組織決定した」という。それ以来、産別をはじめ各県評や地区労で、そしてまた、下部組合単独の取り組みが開始された。組合によっては部落解放研究会を組織し、機関として、恒常的に取り組む組織体制を確立したのである。
 労働者の狭山決起は、全国的な広がりとともに、深まりをかちとるまでに前進していった。〈狭山決議>を相次いであげる組合、運動方針に〈部落解放運動の取り組み>をすえる組合が登場し、総評が独力で狭山中央集会を開催するまでになるのである。そればかりか、労働時間内や時間外の〈狭山ストライキ>を打つ労働組合までが生まれた。
 しかし寺尾裁判長は、74年10月31日、部落差別を居直って無実の石川一雄さんに「無期懲役」有罪判決を決定した。狭山差別裁判糾弾闘争は最高裁への上告審闘争へ移るのである。総評を中心として、部落解放中央共闘会議が結成されたのは、翌年の12月15日であった。
 76年1月28日には、全国統一行動が、「上告趣意書」の提出日にあわせて闘われた。5月22日には、狭山同盟休校闘争が1・28を上まわる全国的な規模で闘われ、中央共闘主催による労働者の狭山中央集会も開催された。
 翌日の5・23闘争は、部落解放同盟主催の狭山中央集会であるが、この日、全国狭支連に結集する労働者や学生、市民の55戦士が、逮捕覚悟で機動隊に激突し、戦闘的な闘いを牽引した。76年の10・31闘争は、10万人が再び決起して闘われたが、翌年の8月9日に最高裁が上告棄却して、「無期懲役刑」が確定してしまう。石川一雄さんは無念にも下獄し、裁判は再審闘争の段階へ移ったのである。(この項つづく)
 (部落解放理論センター所長)

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週刊『前進』(2081号8面4)

 読者からの手紙

 元気もらった労働者集会 関東 労働者・M

 11月労働者集会に私は息子と一緒に参加しました。
 会場には小さい子どももいたり、うば車もあったので、すそ野が広がったなあと思いました。富山大の学生なんか目立ったけど、とてもきびきびしていて若々しく良かった。最後にインターを歌い忘れて、やりなおしたのはおかしかった。元気にデモにも参加しました。息子も喜んでいました。
 1047名闘争のなか、特に今回不当逮捕された国労の家族の頑張りはすごかった。「これは決戦です」と大きな声で叫んだ妻、「頑張る!」と述べた娘さんに感動して涙しました。
 素晴らしい集会で力が出ました。

 排外主義と闘う反戦運動を 茨城・N

 イラク侵略戦争宣言は絶対に許せない。各国帝国主義者は、石油権益の確保を狙い戦争をしかけようとしている。イラクをめぐっては、レーニンの「帝国主義論」がこれほどわかりやすいことがらは、ないように思える。
 ファシスト石原が「北朝鮮と戦争をしていい」と発言したと報道された。それに公安調査庁が「らち」に関与したとして朝鮮総連に破防法適用を検討しているとも報道があった。絶対に粉砕だ。「救う会」や「家族会」のブルーリボン運動は、北朝鮮に対する排外主義を全国へ広げるものである。許せない。
 来春は統一地方選。期待しています。

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週刊『前進』(2081号8面5)

 投稿 人生変えた援農 北陸・学生S

 10月12日、初めて三里塚の大地を踏みました。現地調査と援農を行い、13日は集会参加と盛りだくさんの日々でした。
 そこで見て感じたものは、三里塚は人びとの生活の場であるということと、この地に根を下ろし日々の生活を営む人びとがいるという事実です。そこには畑があり、家があり、子どもがいて、老人がいる。笑いもあり、喜びもある。
 ただ、私の住む所と違うのは、頭上すれすれを爆音を鳴らしながら飛行機が飛び交い、体の奥深く浸透して付いて離れないジェット機の排気ガスの臭気が漂っているということです。「あーうるさい」「うっ、息苦しい」、味わったことのない音と臭いに何度悲鳴を上げたことか。
 それでもなおこの大地に住み土地を守り続け、「何が何でも再延長を阻止する!」「戦争反対だ!」と声をあげ続けている人がいるから、国際空港がぶつぶつにと切れているのです。37年間という月日の重さを感じずにいられません。
 たった一人でも反対を貫くことがこれほどまでに力強いものなのだということを感じています。
 止めることができるということを目で見て、肌で感じた経験によって、私自身何か変わったように思います。
 一人じゃ何もできないと思っていた自分がたとえ一人でも「戦争反対だ!」と声をあげ続けることが重要であり、その輪は地道ながらも必ず広がると強く思うようになりました。
 だから私は叫びます。行動します。反対を示す方法はさまざまですが、私が今回三里塚で見た方法は殺人や暴力ではなく、三里塚という大地で生活するということでした。
 また援農に行きたいと思います。草取りをしながらゆっくり、じっくり仲間と語り合ったあの時間はとても貴重な宝物です。
 こういう機会を与えてくれた方に心から感謝します。

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週刊『前進』(2081号8面6)

 公判日程

☆迎賓館・横田裁判
須賀・十亀・板垣同志裁判
12月17日(火)午前10時
福嶋同志裁判
12月20日(金)午後1時15分
☆水嶋同志裁判
12月26日(木)午後1時30分
☆6・12私文書弾圧裁判
12月10日(火)午後1時15分
※いずれも東京地裁

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