ZENSHIN 2003/08/04(No2112 p06)

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週刊『前進』(2112号1面1)

革共同集会に結集し8月大闘争へ
危機深める米英日帝打倒へ労働者の国際連帯の前進を  自衛隊イラク出兵絶対阻止せよ

 延長国会閉会間際の日帝・小泉−政府・与党によるイラク派兵法案の採決強行を断じて許すな! われわれは、闘うイラク人民、ムスリム人民と連帯し、自国軍隊=自衛隊の侵略派兵を絶対に阻止する。その闘いを直ちに開始することを宣言する。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争と8・15闘争を力強く闘いぬこう。国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の運動を大きく広げ、8月の自治労大会・日教組大会決戦、9月国労大会決戦に猛然と挑もう。8・3革共同集会へ、闘う労働者学生人民の総結集を訴える。

 第1章 殺し殺される戦争に突入する自衛隊

 何よりも自衛隊のイラク侵略派兵は、歴史を転換させる大攻撃である。陸海空3軍1千人の武装部隊が、この11月にも戦場のイラク国内に派兵されようとしている。自衛隊が米英軍と一緒になってイラク人民に銃口を向けるのだ。イラク派兵絶対阻止は、当面する反戦運動の最大級の課題となった。まず、日本の労働者階級人民の歴史的使命として、自衛隊大規模派兵阻止の闘いを直ちに開始することを訴えたい。
 自衛隊をイラク国内に派兵したら、どういう事態になるのか。自衛隊がついに殺し殺される侵略戦争に入ってしまうことは避けられないということだ。
 イラク侵略戦争は現在も継続し、日々激化・拡大している。これに対して、イラク人民、ムスリム人民の民族解放のゲリラ戦争が激しく戦われている。米軍はフセイン元大統領の息子らを殺害することに成功したと大々的に報道し、次はフセインの殺害だと叫んでイラク人民の反撃を沈静化させようとしているが、それはまったく不可能だ。
 だが米帝はイラクの全支配権をけっして手放そうとはしない。イラク人政治勢力を含めた統治評議会が発足したが、メンバーを選ぶのはCPA(暫定占領当局)である。実際に選ばれたのは旧政権時代は海外にいた完全な親米勢力のみである。米帝は米帝の都合のいいようにかいらい政権をつくろうとあがいているのであって、その正体をすでにイラク人民に見破られ、怒りが渦巻いている。
 こうした中で、米英軍はゲリラ掃討作戦を展開し続けている。なぜなら、日本の国土より広いイラク全土を、10数万とか20万の占領軍で制圧できるわけがないからだ。小泉首相が最も安全だと強弁していたバグダッド空港でさえ、着陸しようとする米軍輸送機に向けて反撃のロケット砲が発射された。米英軍側の死者も5・1以降、すでに200人を超え、日々死傷者を増やしている。
 この中で、米帝ブッシュも英帝ブレアも、早くも侵略戦争の泥沼に絶望的にのめり込み、完全な政治的経済的危機、政府危機に陥っているのである。
 しかしイラク人民の「米兵を見たら殴り殺したい気持ちだ」という怒りはさらに深く激しく、それは占領軍をすべてたたき出すまで爆発し続ける。
 ここに小泉自身「殺すことも、殺されることもある」と公言しつつ自衛隊を大規模派兵するというのだ。米英軍を中心とした多国籍占領軍の一員に自衛隊が加わるということである。それも小銃や機関銃だけでなく、無反動砲など戦車並みの大型兵器を持ち込むのだ。これは必ず「撃たれる前に撃て」という武力行使=ゲリラ制圧戦争に直結するのだ。
 米帝はすでに戦闘の激しいバグダッド北方への自衛隊派兵を要請してきている。日帝・小泉は武力行使と人民虐殺、そして自衛隊員の犠牲を覚悟で大規模派兵をやろうとしている。
 では、なぜこうまでして自衛隊のイラク派兵が強行されようとしているのか。
 第一に、イラク・中東石油資源の争奪戦に、侵略軍隊を出して必死にかみ込もうとしているからだ。小泉は国会答弁で「石油は金さえ出せば手に入るという時代は30年ぐらい前」(6月25日)と、日帝のエネルギー政策上からも自衛隊派兵が必要と吐露した。だが、これは単に石油という重要な資源を日帝が確保するという意味だけではない。開始された米帝の世界戦争政策が、中東地域を一つの柱として激しく展開されていくことを認識しているからである。ここでの帝国主義間争闘戦からはじき飛ばされるようなら、朝鮮・中国・アジア地域での日帝の権益も失われ、日帝としての死だという恐怖から、全面的な帝国主義的侵略戦争に突入しようとしているのである。
 第二に、日帝は、切迫する北朝鮮・中国侵略戦争の発動情勢に備え、一方で有事法制など戦争国家体制づくりをどしどし進めつつ、戦場への自衛隊派兵を強行して、自衛隊の侵略軍隊化とそれによる国内戦争体制の形成を加速度的に進めようとしているのだ。つまり、自衛隊そのものを武力行使と虐殺を行い、侵略戦争をする軍隊に変えることを決断し、突っ込んできているということだ。

 8月広島-長崎闘争へ結集を

 では、どうすれば派兵を阻止できるか。この闘いにどのような展望をもって挑んでいけばよいのか。
 一番重要なことは、日本の労働者人民は必ず巨大な規模で決起すること、侵略派兵と有事法制を粉砕するエネルギーを必ず爆発させることに確信を持って、闘いの組織化を直ちに始めることである。
 有事関連3法は確かに国会議員9割の賛成で成立させられた。ここでは革共同の存在と闘いがその歴史的使命から見ていまだ小さいことは重大な問題であり、必ず突破しなければならない。しかし圧倒的な労働者人民が健在であり、民主党や連合中央の大裏切り、日本共産党や社民党の屈服などを払いのけ、闘う場を求めて動き出している。
 具体的には、陸・海・空・港湾労組20団体は一歩も後退することなく、有事法制の完成阻止、発動阻止、不服従へ向けて闘いを進めている。また、動労千葉が発した「戦争協力拒否宣言」(本紙2109号3面に転載)に共感し、労働者と労働組合は今の時代にこうあるべきだという声が広がっている。
 この中で、日共の綱領改定問題と、民主・自由(と社民)の合併問題は、労働戦線などに大きな変化をもたらそうとしている。民主党・連合への怒りと同時に、すでに各地で全労連傘下の青年労働者から「共産党は本気で闘おうとしていない」「共産党のもとでは労働運動はやれない」など怒りの声が上がり始めている。反戦運動も労働運動も、真に闘う者の巨大な共闘をつくりだすことが求められているということだ。この秋、そのことに真剣にチャレンジするならば、日本の階級闘争は必ず音を立てて動き出すだろう。
 さらに、全国各地で対自衛隊闘争、すなわち反戦・反軍闘争に猛然と踏み込むことである。
 イラク侵略派兵問題は、自衛隊兵士から言えば、イラクの戦場に死にに行けと命令されることである。イラクでのゲリラせん滅戦を担え、必要ならゲリラを殺せ、その中でお前たちも殺されることを覚悟せよということである。
 すでにマスコミ報道からも、自衛隊内の動揺や苦悩が伝えられ始めている。政府・防衛庁は、隊員が死んだら1億円を補償すると額を引き上げたが、それを喜んで戦地に送る家族はけっしていない。自衛隊を辞めさせても、戦地に送りたくないというのが本心だ。
 全国の自衛隊駐屯地、普通科連隊の所在地などに出兵拒否を呼びかけ、侵略派兵阻止の反戦・反軍行動を巻き起こそう。兵士や家族が反戦闘争に関心を持ち、近づき、署名をし、あるいは匿名で不安を訴えるというような接点が必ずたくさん生まれてくる。他国民を虐殺する侵略軍隊化を拒否する決起をつくりだすことはまったく可能だ。
 そして今こそ、国際反戦闘争を新たに実現して闘うことである。
 10〜11月の自衛隊派兵は、米英軍を軸とした新たな多国籍占領軍の形成を意味する。それはすなわちイラク侵略戦争の第2段階を意味し、すでに米帝は完全な泥沼に突入している。アメリカ、イギリスの労働者人民はもとより、軍隊のイラク派兵を決めて進めているイタリア、スペイン、韓国、ポーランド、オランダ、ブルガリア、ルーマニア、タイ、ウクライナなどの労働者人民との国際連帯を生み出し、2〜4月を上回る国際反戦闘争をつくりだそう。アメリカ西海岸の最も戦闘的な労組との連帯・交流を実現した動労千葉に連帯し学んで闘おう。
 こうした闘いとして、8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争、8・15の闘い、9・1「防災訓練」粉砕闘争を闘いぬこう。9・27にはイギリスの戦争阻止連合が、10・25にはアメリカのANSWERが国際反戦デモを呼びかけている。日本でこれと連帯した大きな取り組みを実現しよう。
 闘う沖縄人民とともに、名護新基地建設阻止の新たな闘いを開始しよう。

 第2章 国労弾圧粉砕軸に国労大会決戦へ!

 次に、「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」運動を拡大・発展させるために、全力を集中して闘うことを訴えたい。
 有事法制下では、戦闘的労働組合はもちろん、普通に賃金闘争を行う労組も認められなくなる。労働組合は、国と企業の延命を第一に考えて行動しなければならず、それを拒否する労組はことごとく弾圧することになっていくのだ。
 その最たるものが国労5・27臨大闘争弾圧である。これは、国労闘争団の除名処分を臨時大会で強行しようとした本部役員に抗議した国労組合員、すなわち国労という組合内部の路線対立問題であるにもかかわらず、「中核派が共謀して役員らに乱暴を働いた」という構図を意図的につくり、「暴力行為等処罰に関する法律」を適用して10人を逮捕、8人を起訴した前代未聞の大弾圧だ。
 しかし公判が回を重ねるにつれ、この弾圧が警視庁公安部と国労東京地本の酒田一派らによって仕組まれたデッチあげ弾圧であることが明らかになりつつある。日帝権力は、この弾圧で国鉄闘争を壊滅させ、それをテコに労働者階級のあらゆる闘いを鎮圧しようとたくらんだ。しかしその狙いが労働者人民の中に暴かれてきており、不当弾圧粉砕・8被告奪還の運動が広がりつつある。
 しかもこの国労弾圧以来、3月の九州大学自治会、5月の部落解放同盟全国連合会寝屋川支部、6月の東北大学有朋寮闘争―全金本山労組への弾圧、そして全国金属機械港合同サンコー分会への不当なデッチあげ弾圧(7月15日)と、連続して許すことのできない弾圧が加えられてきた。戦争・大失業の時代の到来と、弾圧の激化が一つのものであることが、いよいよ広範な人民に実感を持って理解され始めている。
 こうした中で、辻元清美氏らの逮捕は、社民党をも完全につぶすという攻撃に、警視庁自らが乗り出したということだ。
 新たな世界戦争の時代が始まり、日本も有事法制―イラク派兵へと戦争にのめり込んでいく中で、今や労働運動や学生運動、部落解放運動などへの弾圧が急速に激化している。しかも権力は、革命党・革命派と労働者人民の分断を必死で追求している。そして、これまでは権力が認めてきた大衆団体さえも、その弾圧の対象にし始めているのだ。
 アメリカでは今、パトリオットアクト2(愛国者法2)と呼ばれる治安法の制定を阻むために労働者が立ち上がっている。日本でも組対法に続いて「共謀罪」新設阻止の闘いがねばり強く展開されてきた。今や反戦運動と労働運動を戦闘的に爆発させること、百万人民決起を実現することと、治安弾圧を許さない広範な運動をつくりだすことはまさに一体である。
 日帝権力が国労5・27臨大弾圧に全力を挙げているのは、ここに国労という歴史的存在の再生か解体かがかかっているからである。革命党と戦闘的労働運動を同時に弾圧・破壊する狙いが込められているのである。だからこそ逆にチャンスととらえ、この問題を国労内外に広げ、国鉄闘争勝利と国労の戦闘的再生、すなわちナショナルセンターを越えて日本労働運動の戦闘的発展のテコにするということである。
 「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」の呼びかけにこたえて運動を大胆に広げよう。この闘いを軸とし突破口として9月国労大会決戦勝利へ進もう。
 9カ月もの長期勾留を許さず8被告を絶対に奪い返そう。
 8月の自治労大会、日教組大会決戦の勝利を全力で切り開こう。

 第3章 労働者に根を張った党を建設しよう

 さらに、8・3革共同政治集会への総結集を心から訴えたい。
 今夏の革共同集会は、歴史的転換点のただ中で開催される。主体的力量を超えると見えるような大激動情勢の到来に対して、革共同はこの情勢としっかりと向き合い、いかに進むべきなのかを鮮明に示し、本格的な階級的反撃の先頭に立つことを宣言する。
 3・20イラク侵略戦争開戦、北朝鮮への排外主義扇動と有事法制、すなわち帝国主義による戦争が現実化したとたん、既成の政党や連合など諸潮流が挙国一致主義・排外主義に転落し、戦争の協力者となった。とりわけ日本共産党は綱領の大改定を進め、まさに「帝国主義の最後の番兵」の道を走っている。労働者の権利や闘いを投げ捨て、否定し去った。これに対して革共同は、今こそ真の労働者党として登場しなければならない。真の労働者党に向かって、綱領と路線に磨きをかけ、鮮明に打ち出して闘っていく時なのだ。
 帝国主義は今、新たな世界戦争の時代に突入した。しかし単純に反動が吹き荒れ、暗黒の時代が一気に来てしまうわけではない。米英帝も日帝も今や完全な政治的経済的危機、政府危機に陥っている。その打倒のために国際連帯闘争を爆発させる時だということだ。
 この間の事態で重要なことは、世界の労働者階級人民が、パレスチナ人民、ムスリム人民や南北朝鮮人民の闘いと連帯して、帝国主義を打倒する闘いを開始していることである。この力強い国際階級闘争のうねりをより深く広く強くしていくために、われわれは本格的に労働者階級に根を張り、かつ白熱する階級攻防の先頭に立って闘いぬかなければならない。
 激動する労働運動の中に入って闘いぬくこと。革共同はこの実践を最重要課題として全力で推進する。
 8・3革共同集会の大成功をともにかちとろう。
 最後に、歴史的飛躍をかけて闘う革共同への夏期一時金カンパの圧倒的な集中を心から訴えます。

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週刊『前進』(2112号1面2)

イラク法案 連日深夜の国会行動 青年を先頭に廃案へ熱気

 戦後史上初めて自衛隊を侵略戦争に突入させることを狙うイラク派兵法案の強行策動に対して、労働者人民の怒りが大爆発した。参議院の外交防衛委員会と本会議での採決を阻止しようと、24、25の両日、国会前には多くの人びとが集まり、抗議の声を上げた。
 25日は午前10時からの外交防衛委員会開催にあわせて、委員会採決を絶対に阻止しようと、動労千葉、労組交流センターを始め多くの労働者人民が国会前に駆けつけた。
 正午からは、市民団体や宗教者、労組主催の集会が開催され、約500人が弾劾の声を上げた。
 午後1時からは、百万人署名運動主催の弾劾集会が開かれ、参加した多くの人びとが次々にイラク派兵法案反対の思いを語った。イラクへの自衛隊派兵に広範な人びとが反対していることを実感させる怒りにあふれた集会となった。
 午後1時前に野党は衆議院に内閣不信任案を提出した。参議院での委員会審議はストップし、国会前の闘いは続いた。

 本会議終了まで座り込みを貫徹

 前日の24日は、百万人署名運動やワールドアクション、反戦共同行動委員会の人びとが午前中から集まり、数百人が座り込みや傍聴など弾劾行動を闘った。
 参院本会議では、野党が川口外相、石破防衛庁長官、福田官房長官の問責決議案を順次提出、審議が断続的に行われ、休会の度に議事堂からどっと出てくる国会議員たちに、「イラクの人たちを殺すな!」「自衛官を死なせるな!」と必死に訴えた。
 ワールドアクションの青年労働者が「明日の早朝、国会から出勤します」と徹夜の闘いを宣言。絶対阻止の決意は、熱い共感を呼んだ。多くの人びとがやむなく終電車で帰った中、ワールドアクションの若者たち約10人は参議院本会議終了の午前1時40分過ぎまで国会前にとどまり、議事堂を出てきた議員たちにイラク派兵法弾劾の声を上げた。

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週刊『前進』(2112号2面1)

国労弾圧10回公判 鈴木法対部長の証人採用を迫る
 “ビデオ撮影者を法廷に” 検事の真相隠しを徹底追及

 7月18日、国労5・27臨大闘争弾圧の第10回公判が東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で開かれた。公判では、警視庁公安部と国労東京地本一部幹部が結託して行った弾圧の真相を押し隠そうとする検察側の異様な姿がむき出しになり、被告と弁護団はこれを徹底弾劾した。その結果、青柳裁判長は、次回公判(8月27日)までに、国労本部派が警視庁に提出したビデオの撮影者である東京地本の鈴木勉法対部長の証人採否を決定すると言わざるをえなくなった。公判闘争は、前半戦における最大の山場に突入した。

 「次回までに採否を決める」

 冒頭、河村健夫弁護人が、「9月13〜14日には国労大会が予定されているが、被告は拘束され正当な組合活動を制約されている。裁判所による組合活動への不当な介入、予防拘禁だ」と被告の保釈を求めた。松崎博己被告も、勾留の一時執行停止を認めない青柳裁判長を弾劾した。彼は、4党合意の撤回を求めて救済を申し立てている福岡地労委の審問に出席するために、勾留の一時執行停止を求めていたのだ。
 続いて弁護団は、鈴木勉法対部長の証人採用を裁判長に迫った。
 過去3回の公判で、警視庁公安部がビデオテープを入手した経過の違法性は明白になっている。昨年6月3日に鈴木法対部長からオリジナルテープの任意提出を受けたという神田署公安係の遠山文雄巡査部長(当時)は、弁護団の鋭い反対尋問を前に、@任意提出前の5月30日には、警視庁公安部はすでにダビングテープを入手していた、A遠山が作成した領置調書は、6月3日の時点では被疑者名・罪名は記入せず、後日加筆した、B鈴木法対部長に押収品目録を交付しなかった、という驚くべき証言をしたのである。疑惑は深まる一方だ。
 弁護団が次々と立ち上がり、鈴木証人の採用を求める意見を述べた。大口昭彦弁護人は、「裁判長は、鈴木氏を採用すると裁判が政治性を帯びると考えているようだが、撮影者を隠している検察官の態度が裁判に政治性を与えている。鈴木氏を証人として呼ぶのは、裁判をノーマルな形に戻すだけだ」と語気鋭く迫った。青柳裁判長は、「休憩後、この問題について裁判所の見解を述べる」と言わざるをえなくなった。

 日時も示さず共謀を立証?!

 審理は、共謀に関する求釈明に移った。検察側冒頭陳述は、松崎被告らが本部派の池田への暴行に及び、他の被告がそれを目撃し、松崎被告の意思を了知したことにより、「遅くとも、ここにおいて、共謀が成立した」と述べている。この点に関し、牧島聡検事は、第6回公判では「池田事件より前に共謀が成立したと主張するつもりはない」と言明していたが、第9回公判に至って「池田事件以前における共謀の成立も主張する」と言い出した。
 弁護団は、再度この問題について釈明を求めた。青柳裁判長が、「『遅くとも』だから、その前の共謀の成立も排除しないと理解する」と検察官を誘導し、牧島検事が「池田事件より前の共謀について立証するが、その具体的日時は主張しない」と言い放った。
 支援者の向山和光被告が、すかさず弾劾の声を上げた。「検事のやり方はブッシュのイラク戦争と同じだ。アルカイダがいるからと言い、それが崩れると大量破壊兵器、それも崩れたらとにかく爆撃する。こんなやり方は許されない」
 そもそも、日時を特定せずにどうして共謀が立証できるのか。「事前共謀は厳格な証明によらなければ認定してはならない」とした最高裁判例も引用して論陣を張る弁護団を前に、裁判長はまたも、「休憩後、裁判所の見解を述べる」と言うほかになくなった。
 休憩後、青柳裁判長は、鈴木証人について「証人の採否、尋問事項の範囲について、期日外に決定したい」と表明した。共謀の問題については、「池田事件での共謀が立証の中心になるが、今後の訴訟の経緯により、池田事件より前が争点になる場合は、裁判所として求釈明する」と述べた。傍聴席からは聞き取れないほど小さな声だ。弁護団の追及が青柳裁判長を圧倒したのだ。
 審理の焦点は、貞山明証人の立証趣旨拡張の問題に移った。貞山は、向山被告の逮捕場所から押収されたビデオの押収手続きに関与した警視庁公安一課の警部補だ。貞山証人の当初の立証趣旨は、ビデオテープの押収手続きとなっていた。ところが検事は、公判2日前に突然、@鈴木法対部長が提出したビデオと押収したビデオの解析結果、A「杉並共同購入会館」(現在は都革新結柴事務所)の状況、B犯行直後の現場の状況、の3点を立証趣旨に追加するとしてきたのだ。
 一瀬敬一郎主任弁護人が、立証趣旨の拡張に反対する意見を述べた。新たに証拠申請されたビデオテープ解析結果報告書の作成者は、貞山の部下の佐藤勝彦だ。たとえ上司でも、貞山に解析結果を証言する資格はない。また「杉並共同購入会館の状況」なるものは、本件とは何の関係もない。さらに、「犯行直後の現場の状況」というが、本部派組合員を乗せたバスが出発した後に現場に到着した貞山が、何を証言したところで意味がないのだ。
 検事は、「解析結果報告書に添付されたビデオの静止画像写真をプリントアウトしたのは貞山だ」と弁解したが、プリンターを操作しただけでは証人になれない。「杉並共同購入会館の状況」については、「向山被告が同所に個室を保有していることを立証する」と言いつのった。「向山リーダー」論をこんな形で滑り込ませようとしたのだ。
 裁判長は、弁護団の指摘を無視し、何の理由も示さずに「立証趣旨の拡張を許可する」と自信なさげにつぶやいた。弁護団が異議を申し立てた。押収ビデオが証拠たりえるかどうかは、貞山の証言を経て初めて判断できることだ。その貞山が、証拠採用されてもいない2本のビデオの解析結果を証言すること自体、本末転倒しているのだ。しかし裁判長は、「ビデオに何が映っているかは関連性にかかわる証拠」と居直って、弁護団の異議を棄却した。

 写真を見ながら虚偽の問答

 貞山証人が入廷した。検事は、ビデオを押収した家宅捜索の状況についてはごく簡単に証言させた上で、ビデオの静止画像写真を貞山に示そうとした。弁護団が、「ビデオの採否が決まっていない段階で写真を示すことには異議がある。裁判長が指示した関連性の範囲も超える」と抗議した。裁判長は異議を棄却したが、刑事裁判の証拠法則を踏みにじる訴訟指揮だ。
 裁判長にそそのかされた牧島検事は、でたらめきわまる尋問をし始めた。写真を一枚ずつ取り上げ、どの被告が誰に暴行を加えている場面かなどと貞山に説明させたのだ。強い怒りが法廷を覆った。弁護団が「現場を見たわけでもない証人が写真をもとに説明するのは、自己の体験に基づく供述ではない」と異議を出した。検事が言葉を発する度に弁護団が異議をたたきつける。激しい応酬に法廷の緊張が高まった。ついに裁判長も「質問は、誰が映っているか程度にとどめるように」と異議を認めた。

 “やられているのは僕の方だ”

 すると検事は、「被害者に手をかけているこの男は誰か」などと、質問の形を借りて自分の口で写真の解説をし始めたのだ。橘日出夫被告が怒りを抑えかねて立ち上がった。「今の写真は、やられて押されているのは僕の方だ」
 検事と貞山の問答の虚構性はこの一言で暴かれた。彼らは「ビデオの解析結果」と称して、そこに映っていることとはおよそかけ離れた作り話を並べたてていたに過ぎないのだ。そうしながら、他方でビデオの内容に踏み込む証言を強行し、°ビデオという「客観的」証拠がある以上、撮影者の鈴木法対部長の尋問など不必要だ″と裁判所にねじ込もうとしたのである。
 貞山の主尋問は、次回に続行となった。検事も裁判長も、立証趣旨の拡張によって時間かせぎを図ったことは明らかだ。今回、貞山尋問が終われば、次回公判に鈴木法対部長を呼び出すかどうかが問題になる。9月国労定期大会前に鈴木法対部長が証人尋問されることだけは、なんとしても避けたかったのだ。さらにこれは、検察側の立証計画がボロボロになり、その場しのぎの迷走を始めたことの現れだ。攻勢を堅持し、さらに鋭い追及をたたきつけていくことがかぎだ。
 公判に先立ち、東京南部許さない会は、被告家族とともに東京地裁に対して被告の早期保釈を求める申し入れを行った。
 また、国労東京許さない会の国労組合員らは、国労本部に対し、権力との関係を絶ち、保釈要求署名に取り組むよう要請した。東京地本の反動幹部は、今回も傍聴券交付に現れることさえできなかった。
 この闘いは、警視庁公安部の手先となって国労を解体に導く弾圧加担者に決定的打撃を与えている。ここに確信を持ち、許さない会を広げて闘いを強めよう。この闘いと一体のものとして、国労再生への9月国労大会決戦に攻め上ろう。

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週刊『前進』(2112号2面2)

8被告の即時釈放を 「罪証隠滅」などありえぬ

 東京地裁刑事第10部の青柳勤裁判長は6月9日、弁護団から出された3度目の保釈請求を却下した。
 検察側はその意見の中で、「罪証隠滅」に加えて「証人威迫」を挙げた。青柳裁判長は、「証人威迫」の疑いは認めない一方で、「罪証隠滅」の疑いを認めて保釈請求を却下した。
 青柳裁判長よ。被害者供述が中心的証拠となる本件裁判で、「証人威迫」の疑いがないということは「罪証隠滅」の疑いがないということではないか。「罪証隠滅」の疑いとは何か、具体的に説明してみよ。
 「罪証隠滅」に関しては、許しがたい主張が検察官によってなされ、青柳裁判長はそれを全面的に容認、支持しているのだ。
 弁護団は昨年12月26日、接見等禁止決定の全部解除請求を行った。これに対する意見を裁判所から求められた検察官は、°被告の家族が被告の意を受けて証拠隠滅の工作をする″と叫び立てた。すなわち、「このような〔無罪を主張する〕被告人に関する接見禁止の全面的解除を認めれば、被告人が捜査段階における取調べ状況をふまえて妻子と通謀し又は妻子らに証拠隠滅を指示もしくは依頼し、その意を受けた被告人の妻子らが本件被害者及び目撃者等関係者に対して様々な工作を行うおそれが高い」と言い放ったのだ。検察側の保釈反対の理由も、これと同じである。
 検察官は、被告が「捜査段階で一貫して黙秘し」、「謝罪の姿勢」も見せずに統一公判闘争を闘っていること、そして「これに呼応して」その家族が夫や父親の正しさを信じて必死に支えていることに対して、階級的な憎しみをあらわにしている。ある被告に対しては、子どもたちも中核派と見なすという、とんでもない脅しをかけている。
 勾留されている被告たちには、「証拠隠滅の指示」をすることなどまったく不可能だ。また、被告たちは闘いの正当性と正義性を確信して裁判闘争を闘っており、「証拠隠滅」や「証人威迫」をする必要性とその意志などまったくない。それを百も承知で、被告たちがそうするかのようにデッチあげているのである。
 西村正治弁護人が、「身柄問題についての意見」(4月21日付)の中で、5年前に盗聴法反対の集会に出たことで戒告処分を受けた札幌地裁の寺西和史裁判官の次のような発言を引用している。「僕は想像力が貧困なのか、どう考えても面会で罪証を隠滅するという場面が想像できません。そういう場面が考えつかないので、接見禁止にしたことがないのです。他の裁判官は、すごい想像力をお持ちなんですよね」。全面的に同感できる発言だ。
 ところが青柳裁判長は、検察官のデタラメな意見に全面的に屈服し、迎合しているのだ。だから、3度目の保釈請求を平然と却下しただけでなく、接見禁止決定を今なお継続し、その全面解除の要求をまったく認めようとしないのだ。
 さらに青柳裁判長は、今回の弁護団の抗告に対して、「全面的に争っている被告人の応訴態度」を最大の口実に、「被告人を保釈することは到底考えられない」という強い調子の意見を東京高裁に提出した。これは刑事訴訟法第89条の規定を踏みにじっている。同条の保釈請求を却下できる理由の中には、「被告人の応訴態度」など入ってはいない。
 青柳裁判長は「証拠隠滅」の疑いという正規の理由付けをすることすら忘れて、「被告人の応訴態度が問題だ」と本音を思わず叫んでしまった。それは、検察側の主張を認めたとしても微罪にすぎない事件において、9カ月を超える長期勾留になっている不均衡をどうにも正当化できず、そのことですっかり動揺している姿を示している。
 国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会を全国各地で結成し、労組や大学、地域で保釈要求署名を集め、青柳裁判長の前に積み上げよう。次回公判(8月27日)に向け、10万署名の達成をめざして活動を強めよう。

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週刊『前進』(2112号3面1)

イラク派兵法案粉砕へ決起

 日帝・小泉政権が自衛隊イラク派兵法案強行のために参議院の中央公聴会を開催した7月18日、反戦共同行動委員会は東京と大阪で断固とした反撃の闘いに決起した。国会闘争への全力決起から今秋の自衛隊侵略派兵を阻止する大決戦へ熱気に満ちて闘われた。

 動労千葉が訪米報告 東京

 反戦共同行動委員会主催の「とめようイラクへの自衛隊派兵!許すな朝鮮への武力行使!7・18渋谷行動」が東京・宮下公園に410人を結集して意気高く闘われた。多くの労働者学生が結集し、沿道の人びとと一体となった闘いは、イラク反戦闘争の再高揚情勢をくっきりと示した。
 デモは楽器をもった市民グループを先頭に、リズムに乗ったコールで「イラク新法とめよう。自衛隊をイラクへ出すな」と訴え、渋谷の繁華街を一周した。若者たちが沿道からデモに加わりタンバリンを鳴らした。ベランダから身を乗り出して声援を送る人たち、手を振って歓迎する人、車の中からも手を振って共感が寄せられた。外国人からの反応も多い。
 集会は婦人民主クラブ全国協の司会で進められ、最初に主催者を代表して反戦共同行動委事務局長の滝口誠さんが、「新たな決意を固めて一週間闘い抜こう。11月出兵阻止に向かって闘おう」と訴えた。
 連帯のあいさつでは北富士忍草母の会事務局長の天野美恵さんが、北富士での自衛隊演習が激化していることを報告し、「自衛隊をイラクへ行かせない闘いを広げたい。生きているかぎり、北富士を戦争に使わせない闘いをやる」と決意を語った。7・10小牧闘争の報告を東海の学生が行い、反戦自衛官の小多基実夫さんのメッセージを読み上げた。
 8・6広島反戦闘争のアピールを広島から駆けつけた反戦共同行動委の代表が行い、続いて闘う労働者や学生への相次ぐデッチあげに対し、弾圧との闘いのアピールが行われた。
 基調報告を全学連の大山尚行委員長が提起した。大山委員長は、小泉が「殺すこともあるし、殺されるかもしれない」と発言したことを怒りを込めて弾劾し、自衛隊の侵略派兵との大決戦を訴えた。イラク人民がゲリラ戦争に決起して大反攻を開始している一方、イラクに派兵されている米軍の兵士がテレビのインタビューに「ラムズフェルド国防長官は辞任しろ」と怒りをたたきつけていることを紹介した。そして、米英の労働者人民が秋に大人民行動を起こそうと闘っていることを紹介し、国会闘争を全力で闘い、秋の侵略派兵阻止を戦後史を変える大決戦として爆発させることを訴えた。
 決意表明ではまず、国労共闘の代表が国労5・27臨大闘争弾圧裁判を報告し、決起を訴えた。
 動労千葉の川崎昌浩執行委員の訪米報告に会場が沸いた。川崎さんは、サンフランシスコ労働者協議会で動労千葉の闘いと国鉄1047名闘争、国労臨大闘争弾圧粉砕闘争への支援を要請し、支援決議をあげることが決定されたと報告した。「今回の訪米は日本の労働者階級とアメリカの労働者階級がともに帝国主義と対決する運動の一環として闘われた。アメリカの労働者は帝国主義と闘う運動を日本の中に求めている。それが動労千葉であり、みなさんの闘い。国際連帯をかけて闘う」と、日米労働者の歴史的感動的な合流が始まったことを報告した。
 部落解放同盟全国連の代表は寝屋川支部弾圧が許し難い権力の差別弾圧であることを提起し、弾圧粉砕と東大阪市議選勝利の決意を語った。全学連から3人の学生が自衛隊派兵阻止への戦闘的決意を表明した。
 行動方針で自衛隊イラク派兵新法の絶対阻止へ国会闘争を全力で闘い抜く方針が提起され、渋谷一周デモに打って出た。

 派兵絶対阻止を誓う 関西

 7月18日午後6時半から大阪市天神橋筋6丁目の大阪市立住まい情報センター・ホールで、「イラクへの自衛隊派兵許すな!北朝鮮への侵略戦争阻止!7・18全関西集会」が開かれ、210人が参加した。この闘いは、新たな有事立法闘争に踏み出すとともに、今秋の自衛隊イラク派兵阻止闘争の突破口を切り開くものとして闘われた。
 集会は、呼びかけ人あいさつとして高槻市議会議員の小西弘泰氏、森田充二氏から発言を受け、続いて、7・10小牧闘争の報告を婦人民主クラブ全国協の松野尾さんが行った。そして、7月15日の全国金属機械港合同のサンコー分会に対するデッチあげ「詐欺」罪弾圧に対する反撃のアピールをサンコー分会の組合員から受け、参加者全体で、この弾圧を粉砕する決意をうち固めた。
 集会の基調を関西労組交流センターの松田勲代表が提起した。松田代表は、日帝・小泉が、公然と「殺されることもあれば、殺すこともある」と発言し、自衛隊がイラク人民に対して銃口を向け、イラク人民虐殺に自衛隊兵士を駆り立て、自衛隊兵士に「戦死」を強制しようとしていることを弾劾した。そして、この日帝・小泉によるイラク自衛隊派兵を阻止する闘いが、反戦共同行動委の最重要の責務であると訴えた。
 次に、イラク現地で「人間の盾」として闘った高藪繁子さんがイラク侵略出兵阻止の特別アピールを行った。決意表明では、最初に部落解放同盟全国連荒本支部書記長の阪口克己さんが、瀬川委員長の後継者として東大阪市議会議員選挙に立候補する決意を表明し、全国連と部落解放運動の勝利、労働者階級との階級的共同闘争の発展をかけた一大決戦であると訴えた。さらに、部落解放同盟全国連寝屋川支部に対するデッチあげ弾圧粉砕のアピール、国労臨大闘争弾圧、サンコー分会デッチあげ弾圧に対する粉砕のアピールを受けた。
 三里塚闘争勝利関西実行委員会呼びかけ人の山本善偉さんは、「一度目は過ちでも、二度目は裏切りだ」という栗原貞子さんの詩を引用し、侵略戦争絶対阻止の思いと闘いへの決起を熱烈に訴えた。関西反戦共同行動委事務局長の国賀祥司泉佐野市議がまとめと行動提起を行い、直ちに梅田OSビル前までのデモ行進に出発した。
 デモ行進は、沿道の労働者市民の注目を集め、数人が飛び入り参加した。

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新刊 共産主義者137号