ZENSHIN 2004/02/09(No2136 p08)

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週刊『前進』(2136号1面1)(2004/02/09)

 2・21北海道 陸自派兵阻止へ

 青年・学生は3・20に総力決起し侵略戦争突入の小泉打倒しよう

 学生戦線の04年決戦アピール

 革共同中央学生組織委員会から04年決戦勝利へのアピールを送る。革共同は昨03年、階級的労働運動と労働者細胞建設を基軸に据えた新指導路線を確立し、大きな前進を開いてきた。自治労大会で4分の1の「21世紀宣言」反対派を形成し、11・9労働者集会は3労組共闘のもと、日韓米の国際連帯闘争として大成功した。年末にはマルクス主義青年労働者同盟の結成をかちとった。昨年切り開いた画期的成果をバネにして、階級的労働運動と労働者党建設の飛躍的前進を実現しよう。プロレタリア自己解放の思想を据えたマルクス主義・レーニン主義の党へと全面的に飛躍する党の革命をかちとろう。学生戦線は、新指導路線の先頭に立ち、3・20を頂点とした04年前半決戦で新入生を世代丸ごと獲得し、新世代を中心とした新しい戦闘的学生運動をキャンパスから爆発的に登場させる。03年のワールドアクション型の新たな青年・学生の反戦運動を創造した闘いは、戦闘的学生運動の大爆発の展望をつかんだ。1・22小牧闘争の地平から2・20〜21陸自派兵阻止の北海道現地闘争を闘い、3・20に数万人の青年・学生の大隊列を登場させよう。

 第1章 階級情勢ぬり換える東京10万人大結集へ

 日本帝国主義は小泉=奥田路線のもと、昨年12月9日のイラク派兵基本計画の閣議決定、12月16日の日本経団連の経営労働政策委員会報告、12月26日の空自先遣隊派兵を突破口とした空自・陸自の連続的な侵略派兵の強行、1月1日の小泉の靖国神社参拝など、すさまじい形相で侵略戦争と一大資本攻勢の階級決戦を挑んできている。
 だが、敵の攻撃の激しさは、敵の強さではない。日本階級闘争は、国論が二分し、非和解的に対立し、その決着を求めて激突する情勢に突入したのだ。戦時下の階級決戦に突入したのだ。日帝の危機性を正しくつかみ、労働者階級の総決起へと転じるならば、小泉=奥田を打倒して、労働者階級の未来を切り開くことは可能だ。まさに敵である日本経団連の奥田が「2003年からの2、3年が、日本の将来を決する『峠』となる」(『人間を幸福にする経済』)と言うように、ここ2、3年が階級闘争の未来を決する大決戦だ。その勝利の帰趨(きすう)は、春闘とイラク侵略派兵をめぐる04年2〜3月の攻防にかかっている。
 3・20東京10万人結集で小泉政権を打倒し、日帝支配階級との階級的力関係を変え、全反動攻撃を跳ね返そう。

 カクマルを圧倒して現地闘争を打ちぬく

 04年前半決戦は、1・22小牧現地闘争で火ぶたが切られた。空自本隊派兵を痛撃する500人の戦闘的デモは、権力の厳戒を破り、カクマルを圧倒してかちとられた。東海でもカクマルとの力関係が逆転し始めた。学生戦線はさらに北海道で、カクマルを圧倒する陸自本隊出兵阻止の闘いを大爆発させるであろう。
 3・20国際反戦闘争の10万人決起を実現するためには、労働組合を軸とした大統一戦線と、そのもとで青年・学生が総決起することが決定的に重要だ。
 3・20を頂点とする学生戦線の2〜3月決戦方針の第一は、3・20東京10万人結集を実現し、自衛隊のイラク侵略派兵を止め、侵略戦争と国内階級戦争に突き進む小泉政権を打倒することである。3・20の大爆発で、破産と泥沼化に直面する米帝のイラク軍事占領に対して、全世界人民の怒りをたたきつけ、イラクから帝国主義をたたき出すのだ。日帝は、米帝の軍事占領を支えるために、ついに自衛隊のイラク侵略派兵を強行した。その日本での闘いが決定的だ。派兵絶対反対の10万人決起で、自衛隊のイラク侵略派兵を止めよう。
 さらに、3・20の大爆発で、侵略戦争に突入し一大資本攻勢を激化させる日帝・小泉を打倒するのだ。帝国主義は今や体制的に破産し、労働者人民を食わせることもできず、強盗的侵略戦争に突入する以外になくなっている。
 3・20で小泉を打倒し、一切の反動を吹き飛ばし、階級情勢を転換し、階級的労働運動を大発展させよう。外への侵略戦争と内への階級決戦に対する闘いを全一体のものとして爆発させよう。

 陸自本隊出兵阻止へ北海道現地で闘おう

 2〜3月決戦方針の第二は、2・20〜21陸自本隊派兵阻止の北海道現地闘争に総決起することである。陸自本隊派兵こそ、小泉=奥田の侵略戦争突撃の「国家意志」を最も鋭く示している。全国学生は、労働者階級の先頭に立って、侵略派兵絶対反対の階級意志を小泉=奥田にたたきつけよう。イラク人民との連帯をかけて、派兵阻止決戦に立ち上がろう。
 イラク人民の民族解放・革命戦争は米帝のイラク軍事占領を破綻(はたん)にたたき込んでいる。米帝内部から、イラクの大量破壊兵器はなかったと告発され、米英支配階級が動揺している。3・20に向け、インターナショナルANSWERなどが闘いを開始している。この中で、自衛隊のイラク侵略派兵は、米帝の軍事占領を支え、石油強奪を有利に進めるものだ。逆に言えば、日本の労働者人民が自衛隊のイラク侵略派兵を止めるならば、米帝のイラク軍事占領を決定的な破綻に追い込むことができるのだ。日本の労働者階級の階級性=国際性にかけて派兵阻止決戦に立ち上がろう。
 小泉は、派兵をめぐる「国論二分」を認め、派兵阻止決戦が大爆発することに恐怖している。だからマスコミには報道管制をしき、治安弾圧体制を強化し、派兵反対の闘いを圧殺しようとしている。しかし、イラク侵略派兵に反対する労働者人民の闘いは、生活破壊への怒りと重なって爆発寸前だ。だからこそ、イラク派兵阻止闘争の大高揚への転換点となるような、現地闘争の大爆発をかちとることが重要だ。旭川・札幌の労働者人民とともに数万人の労働者人民を組織し、基地に押しかけ、自衛官の隊内反乱を引き出して、陸自出兵を阻止しよう。
 労働者階級の総決起と一体のものとして、自衛官とその家族を侵略戦争反対と出兵拒否で獲得しよう。
 全国学生は、カクマルを圧倒し、敵対を粉砕して、2・20〜21北海道現地闘争に総決起しよう。2・14海上自衛隊「おおすみ」出兵を阻止する呉現地闘争に決起しよう。

 北朝鮮侵略戦争突入狙う有事関連7法案

 2〜3月決戦方針の第三は、北朝鮮侵略戦争のための有事関連7法案を粉砕することである。イラク侵略戦争に自衛官が強制動員されている。民間の労働者も自衛官の輸送などに協力させられている。有事関連7法案は日本の労働者階級を根こそぎ北朝鮮侵略戦争に動員していくための法案だ。イラク派兵阻止決戦と一体のものとして、絶対に粉砕しよう。
 小泉政権は、拉致問題で排外主義を扇動し、北朝鮮への経済制裁を狙う外為法改悪案を1月29日に衆院通過させ、北朝鮮侵略戦争に突き進んでいる。「国民保護法案」などと、あたかも「国民」を戦争から保護するようにみせかけているが、大うそだ。米日帝が北朝鮮侵略戦争に突入し、そのことで相手国から反撃があることを大前提とした法案であり、労働者人民を侵略戦争に総動員するための法案なのだ。絶対粉砕しよう。

 国公立大独法化粉砕

 2〜3月決戦方針の第四は、国公立大学の独立行政法人化を粉砕する大学闘争の大爆発に向かって、3・20への青年・学生数万人の決起を大学キャンパスからつくり出すことだ。小泉政権がイラク侵略戦争に突入する中で、大学に対しても激しい戦争動員と資本攻勢の攻撃がかけられている。奥田は「国際競争力の強化」と称して大学に産学協同を要請し、大学教育に競争原理を導入して「リーダーの養成」「出口管理の教育」を行えと言っている。戦後的な大学を全面的に解体し、資本家階級の利益のために大学を国家統制しようとしている。全国大学で学問研究の破壊や自治寮廃止攻撃が襲いかかり、学生や教職員の闘いが至るところで始まっている。
 独法化に対する闘いを爆発的にかちとるためには、全国学生の共通の敵が小泉=奥田にあることをはっきりさせ、3・20東京10万人結集で、日帝支配階級との階級的力関係を大きく転換させることが必要だ。自衛隊のイラク侵略派兵阻止と独法化粉砕を一体のものとして闘おう。東北大学有朋寮闘争と法政大学の学生会館をめぐる攻防の大勝利をかちとろう。

 第2章 数十年に一度という歴史的決戦期が到来

 3・20東京10万人結集と2・20〜21陸自派兵阻止の北海道現地闘争の爆発をかちとるためには、小泉=奥田の反動的主張を粉砕する激しい扇動が必要だ。
 小泉は国家主義・国益主義を前面に押し出している。これに対して、「復興支援は必要だ」とか、戦後の平和と民主主義の感覚で対応していては、小泉=奥田の反動的主張と対決できない。12・9小泉記者会見で示された日帝の侵略戦争突撃の国家意志を粉砕し、資本家階級のための強盗戦争であることをはっきりさせ、労働者階級の立場から小泉や奥田の主張を階級的にぶった切ろう。

 扇動戦の課題は何か

 3・20東京10万人結集と2・20〜21北海道現地闘争の大爆発を実現するための宣伝・扇動の課題の第一は、世界戦争か世界革命かをかけた数十年に一度の歴史的決戦が到来していることを確信し、小泉=奥田をなぎ倒すような激しい扇動をたたきつけることである。
 9・11反米ゲリラ戦争と米帝のイラク侵略戦争突入で、歴史は新たな段階へと突入した。帝国主義の基本矛盾が全面的に爆発していく過程が始まったのだ。
 帝国主義は、自国の労働者階級人民を生かしていくことすらできない。新植民地主義体制諸国人民の生活は破壊され、戦争と貧困と飢餓に苦しんでいる。
 米帝は、大恐慌と世界支配の危機、帝国主義間争闘戦の激化の中で、世界支配の破綻点に次々と侵略戦争を仕掛け、他帝国主義の権益を奪い取る世界戦争路線を発動している。そして、米帝対独仏帝を軸に帝国主義間の分裂・抗争が激化し、石油資源の独占や勢力圏の分割・再分割をめぐって、帝国主義が軍事的に激突していく過程が始まった。
 日帝・小泉政権は、すべての矛盾を労働者階級に押しつけるとともに、自衛隊のイラク侵略派兵に踏み切った。米帝のイラク―北朝鮮―中国への侵略戦争に共同的=競合的に参戦することで、侵略帝国主義へと絶望的な飛躍を遂げようとしている。これは、アジアと世界情勢を激変させ、世界を破局へと導くものだ。
 帝国主義の基本矛盾の全面的爆発は、帝国主義という体制が歴史的限界に直面し、もはや労働者階級によって打倒される以外にないことを示している。人類史を社会主義に向かって前進させるほかに出口はないのだ。
 労働者階級は、そのことを本質的につかんで歴史的決戦に立ち上がってきている。しかも、各国の労働者階級の闘いが国際連帯闘争として爆発する過程が始まった。昨年は、イラク反戦の世界同時2千万人デモが爆発した。11・9労働者集会で日韓米の国際連帯闘争が始まった。全世界の労働者階級と被抑圧民族人民の団結で、帝国主義を打倒する時がついに来たのだ。ここ2、3年が勝負だ。労働者階級の歴史的勝利に向かって、3・20東京10万人結集を頂点とした2〜3月決戦に突撃しよう。

 資本の強盗的な利害に基づいた侵略派兵

 宣伝・扇動の課題の第二は、小泉の反動的主張を階級的にたたき切り、自衛隊のイラク派兵は帝国主義の侵略戦争であることをはっきりさせることだ。
 一つ。「イラク派兵は石油のための強盗戦争だ」と訴えよう。小泉は「危険を承知で任務に赴く自衛隊を国家・国民挙げて尊敬しろ。それが日本国民の精神だ。国家の意志が試されている」と言うが、実はイラクの石油をぶんどるために軍隊を送るということなのだ。
 まさにそれは、帝国主義の強盗意志だ。資本家階級の強盗的な利害のために労働者階級は命をかける必要などない。
 二つ。「復興なんて大うそだ。自衛隊は侵略戦争に行くのだ」と訴えよう。小泉は「復興に行くのであって戦争に行くのではない」と言うが、大うそだ。装甲車や無反動砲で重武装して、何が「人道支援」か。自衛隊は侵略戦争をやるためにイラクに行くのだ。小泉自身が「テロリストに対して正当防衛はしなきゃならない」と言っている。虐殺宣言だ。
 「復興」「人道支援」は、帝国主義の侵略戦争と軍事占領を隠蔽(いんぺい)するために使っているのだ。「復興」とは帝国主義がイラクを再植民地化するということだ。米帝のイラク軍事占領で、イラクの石油利権は暫定占領当局が独占し、イラク「復興」事業も米帝企業が独占的に受注している。米軍の軍事占領により、イラク人民は政治や仕事から排除されている。イラクのことはイラク人民が決めるのだ。米英日帝を始めとしたすべての外国軍隊はイラクから撤退せよ。

 世界を戦争と破滅へ引き込む日米同盟

 三つ。「日米同盟は、日本の労働者を侵略戦争に動員し、アジアと世界を破滅に追い込む強盗同盟だ」と訴えよう。小泉は「日米同盟がどうなっても良いのか」という。だが、日米同盟とは帝国主義の強盗同盟だ。日米同盟は、北朝鮮侵略戦争を引き起こし、有事立法で労働者階級を根こそぎ侵略戦争に動員し、アジアと世界を破局に追い込む軍事同盟なのだ。日米同盟を認めていたら、労働者階級は戦争に動員され、アジア人民と殺しあいをさせられるのだ。
 日米同盟が崩壊することを恐怖するのは日帝支配階級だけだ。なぜなら、日米同盟は、日帝が米帝のイラク−北朝鮮−中国侵略戦争に食らいつき、侵略帝国主義へと飛躍していく決定的な水路だからだ。日帝支配階級には、この道しかない。だが、労働者階級にとっては、日米同盟を粉砕することは、日帝の侵略帝国主義への反動的飛躍をたたきつぶし、資本家階級の強盗利害を体現した日帝を打倒する水路なのだ。
 四つ。「イラク人民の抵抗闘争と連帯して、自衛隊派兵を止めよう」と訴えよう。小泉首相は「テロとの闘い」「テロに屈してはならない」と言う。だが、イラク侵略戦争で数万人のイラク人民を虐殺し、石油を奪い、仕事を奪い、家を破壊しているのは米帝ではないか。軍事占領に対して、イラク人民が命がけで闘うのは当然ではないか。小泉が言う「テロとの闘い」とは、民族解放闘争の圧殺であり、帝国主義間の分裂と抗争のただ中に突撃して強盗的権益を確保するということだ。日本の労働者階級は、闘うイラク人民の抵抗闘争と連帯し、自衛隊のイラク侵略派兵を止めよう。

 第3章 命脈尽きた帝国主義打倒へ今こそ闘う時

 宣伝・扇動の課題の第三は、「構造改革」と称する小泉=奥田の攻撃が、資本家階級の強盗的利益のために行われていることをはっきりさせることである。
 小泉は「構造改革なくして日本の再生と発展はない」と言い、奥田は「活力と魅力あふれる日本の実現」と言い、あたかも戦後のあり方を改革すれば景気も回復し日本が再生されるかのように言っている。そして、国家財政の危機を逆手にとって、「痛みに耐えて明日を良くしよう」(小泉)などとして激しい資本攻勢をかけている。そして、「国家あっての国民」「会社あっての社員」という国家主義、企業防衛主義を前面に出し、労働者階級の怒りを圧殺しようとしている。

 マルクス主義を実践の中で貫いて闘おう

 だが、日帝が直面している危機は、延命に延命を重ねた帝国主義が体制として完全に行き詰まり破産した結果なのだ。
 ここまで没落した帝国主義をどう「改革」しても再び発展することはありえない。資本家階級には社会を運営する能力も資格もない。労働者階級は資本家階級のための国家を粉砕し、労働者階級を主人とした新しい社会をつくる力がある。資本家階級の利益のために労働者人民を犠牲にする小泉政権を打倒しよう。
 さらに、学生戦線の課題として、マルクス主義を実践の中で徹底的に貫いて闘うことを訴える。小泉=奥田の国家主義・国益主義を切り裂き、階級的に批判する労働者階級の武器はマルクス主義である。マルクス主義を闘いの実践の中から、新鮮な価値観として創造していこう。マルクス主義の学習会をキャンパスで大量に組織しよう。
 戦闘的学生運動の大爆発のためにも、動労千葉の闘いに学んで闘おう。階級的原則を守り、敵と味方をはっきりさせて闘う動労千葉の闘いは、学生の生きかつ闘う道を指し示している。『俺たちは鉄路に生きる2』を学習しよう。
 3・20に向かう激動の過程で、機関紙『前進』を圧倒的に拡大しよう。3・20をぶちぬき、圧倒的な新入生をマルクス主義学生同盟中核派に獲得しよう。
 2・13明治公園集会と2・15渋谷に大結集しよう。2・20〜21陸自本隊派兵阻止の北海道現地闘争に全国から結集しよう。権力の厳戒を破り、カクマルを圧倒して闘うのだ。3・13ダイ改と対決し、反合・運転保安闘争を闘う動労千葉と連帯して闘おう。3・6春闘集会に結集しよう。2〜3月の激闘を闘い、3・20東京10万人大闘争に総決起することこそが、04年前半の最大の決戦方針である。

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週刊『前進』(2136号1面2)(2004/02/09)

 1・26小牧 C130輸送機の出兵に怒り

 阻止線破りゲート前を制圧

 1月26日、小牧基地からの航空自衛隊本隊第2陣(C130輸送機3機)のイラク出兵に対し、22日の闘いを引き継ぎ、反撃がたたきつけられた。
 全学連と反戦共同行動委員会は午前8時40分から小牧基地南端にあるエアフロントオアシスで決起集会を行った後、出兵阻止のデモに出た。沿道の住民やドライバーの注目を集めながら、デモ隊は小牧基地へと向かった。正面ゲート前では、警察権力が阻止線を張っている。しかし、デモ隊はひるむことなく実力で阻止線を突破し、午前10時すぎにゲート前を制圧した。
 出てきた基地司令代理の前で、全学連の学生が出兵中止を求める申入書を読み上げた。シュプレヒコールを上げる中、申入書を司令代理に受け取らせた。
 午前11時30分からは、「とめよう戦争への道!愛知連絡会」が申し入れを行った。全学連と反戦共同行動委もここに合流し、申入書を提出した後もゲート前にとどまって、自衛官に「イラクの人びとに銃を向けるな」「敵は小泉政権だ」とシュプレヒコールで訴え続けた。
 すぐ隣では、機動隊の装甲車で仕切られたゲート右端の狭い空間で、右翼が「自衛隊激励行動」と称して出兵阻止闘争の破壊を画策していた。だが、90人以上にのぼる参加者はそれをものともせず、ゲート前を制圧してシュプレヒコールを上げ続けた。やがて右翼はすごすごと立ち去った。
 すると今度は、カクマルが権力によってその空間に招き入れられた。だが、ゲート前を制圧した労働者・学生・市民は、数においても迫力においても終始カクマルを圧倒した。
 午後0時半すぎ、シュプレヒコールが響き渡る中、イラクでの迷彩用の空色に塗られたC130輸送機3機が飛び立った。集まった人びとは「自衛隊はイラクに行くな」「人道支援なんて大うそだ」「侵略軍になるな」と、こぶしを上げて最後まで弾劾し続けた。

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週刊『前進』(2136号1面3)(2004/02/09)

 派兵阻止へ労働者を軸に6000人

 1月25日、日比谷野外音楽堂で開かれた自衛隊イラク派兵反対の集会とデモには、教組や自治労、有事立法との闘いの中軸を担ってきた陸・海・空・港湾労組20団体など6000人の労働者人民が結集した。デモでは「自衛隊をイラクに送るな」「占領軍は撤退しろ」のコールがとどろき、沿道の市民が手を振ってこたえ、デモに合流した。小泉政権によって強行された自衛隊イラク派兵への怒りと危機感はますます高まり、労働者人民は闘いを求めて流動を開始しつつある。この日の集会とデモは、3・20国際反戦闘争に向けて、大きなうねりをつくり出すものになった。

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週刊『前進』(2136号4面3)(2004/02/09)

 呉でピースウォーク

 海自に派兵申し入れ

 海上自衛隊基地のある広島・呉で1月18日、若者を中心に60人で「呉ピースライブ&ウォーク」が行われた。これに先立ち12〜14日までJR呉駅前で座り込みが行われ、多くの市民や高校生から署名やメッセージが集まった。
 集会(写真上)では、百万人署名運動呉地区連絡会の岩崎智寧住職が発言。浄土真宗として派兵反対を決定したと報告した。呉のストリートミュージシャンの若者がギターを手に「反戦の思いを込めて歌います」と自作の歌を披露した。
 11月にイラクを訪問した広大の一年生がバクダッド大学で集めたアンケートを紹介。「イラクの人びとは米英軍の軍事占領の終了、自衛隊派兵の阻止を求めている」と訴えた。百万人署名運動の賀茂・東広島地区連絡会の鳴尾善彦共同代表は、東広島の労組がハンストを決定したことを報告した。婦人民主クラブ全国協は、2月7日の教基法改悪反対の広島集会を訴えた。
 呉基地へのピースウォークに出発。呉の繁華街を元気よく行進。太鼓でリズムを取り若者が先頭のデモは注目を集めた。途中で海自呉地方総監部に派兵中止の申し入れを行い、呉駅前までデモを行った。
 (投稿 広島大学N)

 岡山で緊急デモ

 空自本隊の派兵に対して岡山市内で、有事法制・海外派兵反対岡山連絡会の呼びかけで約230人が緊急で集まり駅前大通りをデモした(写真下)。司会を百万人署名運動が行った。

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週刊『前進』(2136号5面2)(2004/02/09)

 沖縄 天皇来沖を痛撃

 厳戒はねのけデモ貫く

 1月23日、天皇アキヒトは沖縄に足を踏み入れた。「 国立劇場おきなわ」完成の記念公演への出席を始め、宮古・八重山など4日間の日程で、沖縄を蹂躙(じゅうりん)した。
 天皇アキヒトが到着した23日、天皇来沖反対実行委員会の呼びかけで、浦添市の内間西公園に60人以上が集まり、天皇来沖を弾劾する集会とデモが行われた。この実行委員会は牧師の西尾市朗さんと知花昌一さんが呼びかけて実現した。
 集会は午後5時、まよなかしんやさんの歌から始まり、呼びかけ人の西尾さんと知花さん、そして平和市民連絡会の共同代表の平良夏芽さんが発言した。
 西尾牧師は、警察機動隊4500人の厳戒体制で地域や自治体労働者をも動員しようとするやり方を弾劾した。「かつての侵略戦争でアジアの人びと2000万人を虐殺し、沖縄戦でも多くの人びとの命を奪った戦争責任は消えることはない。今もアジアの人びとは天皇が自分の国に来ることを誰も望んでいない」と天皇の戦争責任を追及した。
 知花さんは「警察権力のものものしい厳戒体制、このようなことは他の闘争でもありえない。国家暴力をもって、ものを言えなくする、これが天皇制だ」と訴えた。さらに「地域協力会を組織し、児童まで旗振りに動員する、また市職員を公務として動員することは許せない」と弾劾した。
 最後に平良さんは「天皇アキヒトの口から、沖縄戦や戦後沖縄の現実にたいする謝罪の言葉を一度として聞いたことがない。琉歌をたしなみ、沖縄を気にかけているというならば、まずこの謝罪があるべきではないのか」と、基地・沖縄の現実にたいする天皇の責任を追及した。
 集会のあと、参加者は天皇が出席している「国立劇場おきなわ」に向けてデモを行った。「天皇来沖弾劾」「自衛隊のイラク派兵阻止」「新基地建設反対」のシュプレヒコールは周辺に響きわたり、沿道の多くの人びとの注目をあびた。
 警察権力は不当なデモ規制を行い、解散地点の途中でデモを解散させようとし、1時間半にわたって宣伝カーを拘束した。このような弾圧は前代未聞だ。天皇制の本質をあらわにしたものだ。しかし参加者は一丸となってこの弾圧と闘いぬき、解散地点までデモをやり抜いた。
 翌日の24日にも、天皇の県庁訪問にたいして、早朝より県庁正門前で弾劾闘争をたたきつけた。
 今回の天皇来沖にあたって、警察権力と行政による「地域協力会」の組織化のもとで、児童や自治体労働者の動員攻撃が大々的にかけられてきた。宮古においても、小中学生を対象に動員が計画された。
 しかし、この攻撃を自治労や沖教組の労働者の闘いと反撃によってはね返した。那覇市や糸満市、そして宮古においても、行政は撤回せざるをえなくなった。国家暴力をもって威圧し、一切の反対の声を暴力的に封じ込めるという天皇来沖攻撃は完全に破綻(はたん)した。

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週刊『前進』(2136号5面3)(2004/02/09)

 関西新空港反対闘争 “軍事使用させない”

 住民先頭に140人がデモ

 1月25日、泉佐野りんくう公園で関空2期反対、軍事使用阻止、自衛隊イラク派兵阻止関空反対集会が全関西から140人の結集で行われた。寒風吹きすさぶ中、地元住民30人が中心に陣取った。
 淡路町反対同盟の安藤眞一事務局長の司会で、主催者あいさつに立った森田恒一・泉州住民の会代表は、石破防衛庁長官の「イラクは戦闘地域ではない」という奇弁を弾劾し、「関空2期もウソとペテンの固まり。関空は北朝鮮侵略戦争の兵站(へいたん)基地だ。われわれの闘いは反戦平和の闘い」と闘いの意義を強調した。
 山本善偉・東灘区住民の会代表は、息子を戦地に送り出した人の短歌を紹介し、「戦争は絶対やってはならない」とあいさつ。
 三里塚反対同盟・北原鉱治事務局長からのメッセージが紹介され、泉州住民の会事務局長・国賀祥司泉佐野市議が基調報告を行った。国賀さんは「戦後最大の階級決戦を迎えた。陸自本隊派兵を絶対に阻止しよう。3・20国際反戦闘争に決起しよう」と訴えた。関空の便数が10万回に激減し、旅客数は伊丹空港に400万人も抜かれ1406万人にとどまったことや累積赤字、地盤沈下問題など関空2期事業が完全に破綻していることを暴露した。
 明石住民の会からのカンパアピールに続いて関西労組交流センター、住民団体、部落解放同盟全国連、婦民全国協、全学連が決意表明に立った。
 泉州住民の会は高齢の婦人が決意表明に立ち、「私たちの闘いでイラクから自衛隊を引きもどそう」と発言。東灘区住民の会の白石裕さんは、「反対派住民とは会わない」としてきた市の姿勢を粉砕し窓口を開かせたことを「実力決起が固いカラをこじあけた」と報告した。
 部落解放同盟全国連・荒本支部書記長の阪口克己東大阪市議は3月の全国連第13回大会への結集を呼びかけた。年末奪還された寝屋川支部・島田青年部長が支援へのお礼を述べた。
 永井満・淡路町反対同盟代表がまとめに立ち、「関空は一大軍事拠点と指摘してきたことが現実になった。昨年のイラク反戦のうねりから1年の間に自衛隊が侵略軍として派兵された。小泉靖国参拝は英霊をまつる露払い。侵略加担があってはならない。全力で闘おう」と檄を飛ばした。
 太鼓隊を先頭にリズミカルにコールしながらデモをした。勢いのあるデモに、買い物に行く家族連れや車の中から注目が集まり、沿道の民家からは住民が出てきて声援を送った。

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週刊『前進』(2136号3面1)(2004/02/09)

 無罪獲得へ確信固く

 国労弾圧公判 “国労再建が私の使命”

 被告の陳述が法廷圧する

 あまりに非科学的な「ビデオ鑑定」で破産

 1月23日、東京地裁刑事第10部(青柳勤裁判長)で、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第18回公判が行われた。今回は被告の保釈後、初めての公判となり、闘病中の東元(あずまはじめ)被告を除く7人の被告が勝利への確信も固く出廷した。刑務官の姿が消えた法廷は、解放感に満ちている。被告たちは今まで以上に縦横に裁判闘争を闘い抜いた。
 冒頭、佐藤昭夫弁護団長と松崎博己被告団長が意見を述べた。佐藤弁護団長は「4党合意反対派をつぶすために被告に刑事弾圧をかけたのがこの事件」と、あらためて弾圧の本質を突き出した。松崎被告は12・22最高裁反動判決を弾劾し、「地域・職場に帰ると、連日、よく頑張ったと言われ、飲めない酒を飲んでいる。うれしいことだ。無罪をかちとり、国労の闘いを再建することが使命だと思って法廷に臨んでいる」と宣言した。休廷後に再度発言を求める松崎被告を青柳裁判長は制止できない。「国労本部は最高裁判決後、国家賠償訴訟をやると言っているが、組合員をペテンにかけている。この本部の体質を裁判長は知るべきだ」という松崎被告の声は法廷を圧した。
 検察側は、国労提出ビデオテープと杉並押収ビデオテープの「画像の連続性の有無」について鑑定したと称する警視庁科学捜査研究所の太田博を証人に立ててきた。それによりビデオの証拠価値を裁判所に認めさせようというのである。ところが、その鑑定手法たるや、ビデオ画像を1コマずつパソコン上に映し出し、「目視で観察した」というものでしかない。
 弁護団は、電子工学的な観点からその非科学性を徹底的に追及した。「科捜研物理研究員」を自称する太田証人のビデオに関する知識のあやふやさがさらけ出され、ついに証人は「目視だけでは改竄(かいざん)の有無は判別できない」「ビデオの画像の連続性が確認できても改竄がないとはいえない」と認めざるをえなくなった。
 ところが裁判長は、「鑑定は完璧(かんぺき)ではない」と言い訳しつつ、太田証人作成の鑑定書と太田がビデオからプリントアウトした静止画像の証拠採用を決定した。被告の「暴行場面」が写っているとされる写真がなければ、今後の検察側立証は全面崩壊するからだ。
 弁護団は「目視で連続性を判断するのは荒唐無稽(こうとうむけい)」「そもそもビデオは違法収集証拠。そこから取り出した写真の採用も許されない」と異議を述べたが、裁判長は不当にも棄却した。
 裁判闘争は、次回公判(2月10日)から「被害者」とされる石井勝幸・国労本部会計監査員の証人尋問に入る。裁判闘争は、二つのビデオテープの証拠採用をめぐる攻防を終え、国労本部派の証人との新たな攻防局面に入るのだ。

 黙秘貫き団結守った闘いが信頼かちとる

 昨年末にかちとられた被告の保釈と職場復帰は、国労再生への扉を押し開くものになりつつある。
 九州・小倉地区闘争団の松崎被告、羽廣憲被告は、物資販売闘争を軸とする解雇撤回闘争の現場に復帰した。保釈後、これまでの支援へのお礼を兼ね、九州各地の労働組合を回っているという。この間、九州では許さない会運動の陣形が大きく広がった。被告たちは、その力を無罪戦取と国労再生―日本労働運動の階級的再生へと転化するために奮闘している。
 近畿地本・南近畿地本所属の富田益行被告、橘日出夫被告、原田隆司被告、小泉伸被告は、職場復帰を果たし、新たな闘いに踏み出した。JR資本は、戻ってきた被告たちに戦々恐々としているという。職場の労働者は、被告たちを心からの喜びを表して、迎え入れた。
 被告たちは、職場の仲間から「国労手帳には不当逮捕には黙秘で闘えと書いてあるが、本当にそれをやったのは君たちが初めてだ」「浦和電車区事件で逮捕されたJR総連の7人はしゃべってしまったが、君たちは違う」と必ず言われるという。長期投獄を強いられてもけっして仲間を裏切らず、団結を守り抜いた被告たちの闘いが固い信頼を生み出したのだ。保釈と職場復帰を実現した被告たちの力強い闘いは、勝利の展望を示し、職場の仲間に勇気を与えている。
 反動革同が牛耳る近畿地本・南近畿地本の足下で始まったこうした変動は、国労総体の革命的再生の可能性をかいま見せている。小泉政権による自衛隊イラク派兵への怒りが広がり、階級闘争は戦時下の攻防に入った。春闘のただ中で強行される賃下げ、首切りなどの資本攻勢への反撃を誰もが望んでいる。こうした情勢に被告たちは躍り出た。
 国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕して8被告の無罪をかちとろう。弾圧の首謀者である国労本部・酒田―吉田執行部を打倒し、国労再生の道を切り開こう。これらの勝利を実現すれば、階級闘争の様相はさらに一変するに違いない。
 許さない会は、次回公判終了後、文京区民センターで被告を迎えての初の全国集会を開催する。次回公判とこの集会に結集しよう。

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週刊『前進』(2136号4面1)(2004/02/09)

 イラク反戦・有事立法粉砕へ3・20デモの大爆発を

 北朝鮮侵略戦争への突入狙う

 「国民保護法」有事関連7法案粉砕へ

 小泉政権は、今通常国会に「国民保護法案」「米軍行動円滑化法案」など有事関連7法案、3条約・協定(別表)を2月下旬にも一括提出して成立させることを狙っている。これは北朝鮮侵略戦争を実際に発動させるための攻撃であり、有事立法を完成させ、米軍支援、日米共同作戦、労働者人民の戦争動員などを行う戦争遂行体制をつくりあげようとするものだ。絶対に許すことはできない。イラク反戦闘争と一体で、昨年の有事立法闘争をはるかに超える闘いの大爆発をつくりだし、有事7法案を絶対に粉砕しよう。3・20反戦国際統一行動を空前のイラク反戦、有事立法粉砕闘争として大爆発させよう。

 北朝鮮への戦争の切迫

 まずはっきりさせなければならないのは、米日帝国主義の朝鮮侵略戦争が切迫しているということだ。拉致問題や核開発、ミサイル発射実験など「北朝鮮の脅威」が排外主義的にキャンペーンされている。そしてこのことが有事立法の必要性の根拠として、しきりにテレビや新聞などで宣伝されている。
 だが、進んでいることはまったく逆なのだ。米日帝国主義こそが北朝鮮への侵略戦争の準備を、どんどん進めているのである。
 01年9・11反米ゲリラ―昨年3・20イラク侵略戦争突入をもって、帝国主義の危機はついに世界戦争の過程へと転化し始めた。米帝ブッシュ政権は「悪の枢軸」論やブッシュ・ドクトリン(先制攻撃戦略)を振りかざし、全世界を戦争にたたき込もうとしている。
 この間、米帝はイラク情勢の危機から、6者協議で時間かせぎしているが、最終的にはあくまで北朝鮮侵略戦争を狙っている。実際、ブッシュは1月20日に行った一般教書演説で、イランと北朝鮮を「最も危険な体制」と非難し、「積極的な防衛」と称して、先制攻撃を辞さず金正日政権転覆のための北朝鮮侵略戦争に踏み込む野望をむき出しにした。
 日帝・小泉政権はこうした米帝ブッシュの世界戦争政策をはっきりと見てとり、激化する日米帝国主義間の争闘戦の中で、日帝自身の帝国主義的アジア戦略のために、北朝鮮(中国)侵略戦争に共同的=競合的に参戦しようとしている。
 小泉首相が「自衛隊のイラク派遣に日本の国益がかかっている」と言うのは、中東石油資源の死活的な必要性のみならず、自衛隊を送って参戦しなければ、帝国主義間争闘戦で米帝およびEU帝国主義に完全に敗北してしまうからである。
 だから日帝は日米同盟に沿って突き進む形で、帝国主義的軍事政策を繰り広げて行こうとしている。米帝のイラク―北朝鮮―中国への侵略戦争に食らいつき、共同・競合していくことで敗戦帝国主義の現実から脱却し、軍事大国化とアジア勢力圏形成への道を切り開こうとしている。
 日本経団連・奥田ビジョンの「東アジア自由経済圏」構想は、これと一体の攻撃である。だから、財界も小泉政権のイラク派兵と有事立法・改憲攻撃を全面的に支持し、「大事な問題を先送りするな」と発破をかけている(文芸春秋1月号の奥田提言)。

 経済制裁法案と日米同盟

 北朝鮮侵略戦争に向かって、どのような攻撃が進んでいるか。
 第一に、何よりもイラク出兵そのものが北朝鮮侵略戦争に向けての決定的攻撃だ。自衛隊が1954年創設以来初めて、他国の戦場に踏み込んだのである。イラク人民に銃を向け、戦場で部隊を展開し戦闘を行うことで、「他国の人民を殺し、侵略戦争をする軍隊」への自衛隊の決定的転換をもたらす。
 第二に、北朝鮮への経済制裁法案として、外国為替・外国貿易法(外為法)の改悪案が1月29日に衆院を通過した。2月上旬の成立を狙っている。これは「平和および安全の維持のためにとくに必要がある」と認めた場合に、日本独自の判断で送金や貿易取引を停止させることができるとするものだ。今までは国連決議や2国間の合意を発動の条件にしてきた。
 送金や貿易停止が発動された時、ただでさえ体制的危機にある北朝鮮に与える打撃は計り知れない。日帝はミサイル発射実験や工作船の動きなどを口実にしてこれを発動し、北朝鮮を一層の危機に追い込み、「暴発」を誘い、侵略戦争の口実にしようとしている。
 第三に、小泉首相は1月27日の衆院予算委で「国連より日米同盟」優先の考えを明言した。「日本に危機が起きたときに国連は日本とともに戦ってくれたり日本への侵略を防いでくれることはない」と日米軍事同盟の重要性を強調した。
 これはどういうことか。米帝が国連決議さえ得られないままイラク侵略戦争開戦に踏み切ったように、日帝は、国連にもまったく縛られることなしに米帝とともに北朝鮮侵略戦争に踏み切るということだ。
 第四に、有事関連7法案の今国会提出―制定策動だ。別表の法案、協定・条約が準備されている。
 @〜Fとも、法案そのものはまだ公表されていないが、一つひとつが実際に北朝鮮侵略戦争に突入することを想定した重大攻撃だ。

 「国民保護」は戦争動員

 @国民保護法案については昨年4月に「概要」が、続いて11月に「要旨」が発表された。
 これは、北朝鮮侵略戦争への自治体や民間業者の動員、住民の避難・立ち退き、物資統制などを規定した戦争動員法案だ。
 「国民保護」などと言って、あたかも国民を外敵の侵略戦争から保護する法制のようにみせかけているが、これはまったくのいつわりである。
 「要旨」冒頭で「武力攻撃事態等における」と言っているように、この時、すでに国民は戦争の渦中にたたきこまれているのだ。しかもそれは、米日帝の北朝鮮(中国)侵略戦争が遂行される中で、相手国が必死で反撃してくることを前提にしている。具体的にはミサイル被弾やゲリラ戦争の爆発が想定されている。
 これを「国民保護法案」は、あたかも不当な相手国からの攻撃の問題であるかのようにすり替えている。だが実際には、北朝鮮をイラクのように国家として抹殺しようとして侵略戦争をしかけるからこそ、この事態は発生するのだ。もしそのことで日本人民に被害が発生するとしたら、この事態の一切の責任は日帝そのものにあるのだ。
 さらにこの法案は、日帝が行う戦争の侵略的本質を隠蔽(いんぺい)し、国民をこの戦争に総動員するためのものである。この点で「避難や救援の訓練をする」という条項は重大だ。戦争への国民の精神的動員の攻撃であり、挙国一致体制づくりであり、反戦運動つぶしの攻撃である。
 A米軍行動円滑化法案は、現行のACSA(日米物品役務相互提供協定)で保障している自衛隊と米軍との物品・役務の相互提供の範囲を、共同訓練や「周辺事態」から「日本有事」にも拡大する。対象品目も「水・食料、燃料」に加え「武器・弾薬」を含めることを明記する。ACSA自体も改定する。
 そればかりではない。米軍が日本国内に新たな軍事拠点をつくることを想定して、一定の区域内での土地や家屋の提供を容易にするための手続きなども盛り込む。これは自治体や人民から土地・家屋をむりやり取り上げること(徴発)を、自衛隊のみならず米軍に対しても保障するものだ。
 B特定公共施設等利用法案は、道路や空港、港湾、電波などの使用に関し、米軍・自衛隊の最優先を保障するものだ。空港や港湾の管理者である自治体が従わない場合のために、強制力を伴う首相の「指示権」を定める。
 C捕虜等取扱法案は、敵国の兵士を捕虜にした場合の収容所の設置手順を定め、捕虜の待遇や送還方法、禁止事項などを明記する。
 D国際人道法違反行為処罰法案は、捕虜の拷問や虐待、文民や傷病兵への非人道的行為を処罰するもの。
 E外国軍用品等海上輸送規制法案は、北朝鮮の海上輸送を阻止するためのものだ。
 C、Dのように日帝は捕虜の取り扱いまで法制化しようとしている。日本国内での対応ではない。北朝鮮に攻め込んで北朝鮮軍を捕虜にする戦争をやる気なのである。ここまでリアルに戦争を想定しているのだ。

 「3ない運動」の強化を

 このように有事立法―有事7法案は、さし迫っている北朝鮮侵略戦争に、日帝が主体的に参戦できるぎりぎりの体制をつくるための法案である。一般的な「戦争法案」でもなく、ましてや日本に対する他国の攻撃に備えるという防衛的なものでは、まったくない。
 また、日本共産党やカクマルがいうような、アメリカに脅されて、小泉政権が仕方なく対米従属しているというものでは断じてない。日帝は帝国主義としての国家的利害をかけてイラク参戦を強行し、さらに北朝鮮侵略戦争を決断し、そこから一切を逆規定して準備しているのだ。
 昨年6月に成立した武力攻撃事態法など有事3法も北朝鮮侵略戦争に参戦できることを可能にするぎりぎりの法案なのである。だから、国民保護法案や米軍支援法案などの策定なしには実際に発動できないものになっている。陸・海・空・港湾20労組の「3ない運動」(@有事立法を完成させない、A発動させない、B従事命令に従わない)は、この日帝の攻撃の本質と弱点をつき、労働者階級の闘いで有事立法を粉砕していく展望をもった、真に重要な闘いである。
 侵略戦争への労働者動員と徹底的に闘おう。勝利のかぎは、有事立法―有事7法案が北朝鮮侵略戦争のための攻撃であることをはっきりさせ(ここが全人民的に、まだはっきりしていない)、これに対する人民の怒りと危機感を引き出して闘うことだ。そして労働組合・労働運動が主軸になった広範な統一戦線の力で反戦運動を大きく発展させていこう。
 野党と連合の総屈服を打ち破り、労働者階級の総決起をかちとろう。民主党・連合は有事立法賛成派だ。社民党も日共も「国益」論や「北朝鮮脅威」論に屈服し、日帝の侵略戦争―有事立法の攻撃と対決できていない。“侵略戦争は体を張っても阻止する”“侵略戦争をしなければ生きられない帝国主義こそ滅びるべきだ”という立場で、戦闘的な反戦闘争を爆発させよう。自衛隊のイラク派兵阻止の2―3月闘争を闘い、3・20反戦国際行動の大爆発で日帝・小泉政権を打倒しよう。
 (高村晋)

今国会に提出予定の有事関連7法案など

■法案
@国民保護法案
A米軍行動円滑化法案
B特定公共施設等利用法案
C捕虜等取扱法案
D国際人道法違反行為処罰法案
E外国軍用品等海上輸送規制法案
F自衛隊法改悪案
■条約・協定
@日米物品役務相互提供協定・改悪案
ABジュネーブ諸条約の2追加議定書

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週刊『前進』(2136号5面1)(2004/02/09)

 イラク反戦・有事立法粉砕へ3・20デモの大爆発を

 ブッシュ一般教書を弾劾する

 「最も危険な体制」と北朝鮮とイランに戦争拡大を狙う

 ブッシュ米大統領は20日、上下両院の合同会議で一般教書演説を行い、04年の施政方針を明らかにした。ブッシュは、現在アメリカが「戦時下」にあることを強調し、今後もイラク侵略戦争を始めとする全世界規模の「対テロ戦争」を進めることを宣言した。米帝ブッシュ政権は、イラク侵略戦争の泥沼化と米経済の危機−ドル暴落の危機の中でさらに凶暴化し、全世界を帝国主義戦争、世界戦争へと暴力的に引きずり込もうとしているのだ。ブッシュの一般教書演説を徹底的に批判する。

 先制攻撃辞さない「積極的な防衛」論

 今年の一般教書演説は、何よりも11月の大統領選での再選をねらって出されたものであるが、現実には全編にブッシュ・ドクトリンの凶暴性がむき出しになっている。
 冒頭ブッシュは、「米国は今、大きな責任を果たすことを求められている。数十万の米国軍人が、世界各地でテロとの戦いを展開している」と叫んだ。「対テロ戦争」を推進することが最大の国家的事業であることをうち出したのだ。
 さらにブッシュは「われわれの最大の責任は米国民を積極的に防衛することだ。米国はこの戦争を始めたテロリストに対し、攻勢に出ている」と「積極的防衛」論を振りかざし、米帝の側から先制攻撃をしかけるブッシュ・ドクトリンを貫くことを宣言した。
 そして「米国はテロへの攻勢の一環として、テロリストをかくまい、支援する政権や、核兵器や生物化学兵器を供与するかもしれない政権とも対決している」と、米帝の世界支配を脅かす国家を「テロ支援政権」と決めつけてたたきつぶすことを突きつけた。ブッシュは他帝国主義の対米対抗的な介入を許さないために、帝国主義間争闘戦の焦点となっている反米国家を軍事力で転覆する侵略戦争をさらに進めていこうとしているのだ。
 ブッシュは、リビアのカダフィー政権が「大量破壊兵器計画を開示し、廃棄することを約束した」ことを指摘し、「その理由は明らかだ。外交が実効的であるために、発言が信頼されなければならない。もはや誰も米国の言葉を疑えない」と、イラク侵略戦争の威力を誇示した。
 さらにブッシュは北朝鮮とイランを「世界の最も危険な体制」であると名指しで非難し、両国に核兵器を持たせないことを強調した。ブッシュは、イラク侵略戦争に全力をあげざるをえない中で、当面は「北朝鮮には地域諸国と協力して核開発計画の放棄を求める」ことを表明した。米帝は北朝鮮を6カ国協議に引きずり出し、核開発を完全に放棄させて、金正日体制の転覆を図ろうとしているのだ。
 こうした米帝の北朝鮮侵略戦争政策は、何よりも日帝を米帝の軍事戦略のもとに組み敷き、日帝の対米対抗的な台頭を許さないところに本質がある。同時に米帝は南北朝鮮人民の民族解放闘争の圧殺と、中国スターリン主義の転覆または転覆的取り込みを狙っているのだ。
 日帝は米帝の帝国主義間争闘戦に追いつめられ、激しく突き動かされている。小泉はイラク侵略戦争に参戦することで戦後憲法的制約を突破し、侵略帝国主義へと絶望的に飛躍することをはっきりと決断した。そして北朝鮮侵略戦争を日帝自身の侵略戦争として行うために全力をあげている。
 日帝が独自で北朝鮮への経済制裁を発動するための外為法改悪を許すな。国民保護法制など有事関連法案を粉砕し、北朝鮮侵略戦争を阻止するために闘おう。

 米帝の国益優先し争闘戦激化の政策

 ブッシュは、イラク侵略戦争への批判に厚かましいウソで「反論」し、EU帝国主義に対する軍事的争闘戦を貫き、イラクの軍事占領と人民虐殺をどこまでも継続しようとしている。
 @ブッシュは「テロは犯罪として法的に解決すべき」などの意見に対し、イラク侵略戦争を9・11に対する防衛戦争であるかのように描き出す。だが9・11とフセイン政権には何ら関係がないことは明らかだ。
 ブッシュは、デービッド・ケイを団長とする米調査団の報告書をとりあげ、「大量破壊兵器に関する計画と、イラクが国連から隠してきた大量の装備が特定された」と事実を180度ねじ曲げて主張している。だが、ケイは「イラクに大量破壊兵器が存在するとは思えない」「90年代に大規模な製造計画があったとは考えられない」として査察団長を辞任した。
 ブッシュが「イラク人民を解放した」などと言うことを許せるか。米軍は数万人ものイラク人民を無差別に逮捕・拘束し、虐殺している。さらにフセイン政権下で制定された労組弾圧法を使って労働者の闘いを弾圧しているのだ。
 ブッシュは「6月末までの完全な主権委譲を準備している」と言うが、イラク人民の民族自決権を暴力的に踏みにじり、カイライ政権をつくるというものでしかない。イラク人民はそんなものを認めていない。米英日帝国主義は「イラク復興」と称し、石油産業を始めとしたイラクの国家資産を強奪し、イラクの再植民地化を進めているのだ。徹底的に弾劾しよう。
 Aブッシュは「イラクでの任務を国際化すべきだ」という批判を退けて、こうした批判は「英国、オーストラリア、日本など、イラクに派兵している米国のパートナーには理解できないことだろう」と述べ、イラク開戦に反対した独、仏帝国主義との争闘戦の立場をむき出しにした。そして他方では自衛隊のイラク派兵を持ち上げた。日帝を米帝の軍事戦略に徹底的に動員しようとしているのだ。
 さらにブッシュは「米国は自国民の安全を守るために他国の許可を求めない」と、今後も米帝の国益に基づいて行動し、他国に先制的に戦争をしかけ、米帝支配下に置くと公言した。
 Bブッシュは「民主主義が、中東にとって現実的な目標かという疑い」は誤りであると主張し、「中東民主化」構想、すなわち中東の勢力圏化をうち出した。そしてパレスチナ解放闘争を始めとするムスリム人民の闘いを圧殺することを宣言した。
 またブッシュは「米国は最も基本的な信念に基づく使命感を担った国だ。世界を支配する欲望もなければ、帝国への野望もない。偉大な米国は自由をかちとる運動を今後も率いていく」とペテン的なことを言いながら、帝国主義間の争闘戦を激化させ、米帝こそが「使命感」をもって世界を暴力的に再編していくと公言した。
 この米帝ブッシュに怒りを燃やし、イラク人民の命がけの闘いにこたえて、帝国主義打倒の国際的内乱の時代を切り開こう。

 財政赤字の巨大化と内への階級戦争

 一般教書は他方で、イラク侵略戦争の泥沼化と米兵戦死者の急増、財政赤字の膨張と、失業者の増大など、米帝が直面するすさまじい危機を隠蔽(いんぺい)している。
 ブッシュは「過去3年間、逆境は米国経済の底力をあらためて示した。景気後退やテロ攻撃、企業スキャンダル、戦争への不安などをくぐり抜けてきた」と述べた。さまざまな危機に直撃されながらも、何とか本格的恐慌への突入を回避してきたことに胸をなで下ろしているのだ。
 ブッシュは続けて「相続税や株売買の利益、所得税などの減税」による「景気刺激の結果、経済はますます成長している」と述べた。だがこの「景気回復」なるものは、労働者の首切り、賃下げと金持ち優遇税制によって一時的にもたらされたものにすぎない。これは労働者への資本攻勢によってもたらされた「雇用なき回復」なのである。
 米ニューヨークタイムズ紙は、アメリカの労働者に対する攻撃を「流血こそないものの、(イラク戦争と)同じく容赦ない戦争が行われている」(昨年12月15日付)と警告した。こうした資本攻勢で、ブッシュ大統領就任後の3年間に230万人以上の雇用が減少した。とくに製造業部門の就業者数は、41カ月連続の減少(計280万人の雇用減)となっている。
 ブッシュは「雇用増加のために減税を恒久化すべきだ」と議会に要請した。04年度の財政赤字は史上最高の5千億jを突破する見通しだ。ブッシュは前年度比7%増の4017億j(約42兆9千億円)という大軍拡予算を05年度の国防費として議会に要請した。それでいてブッシュは「向こう5年間で財政赤字は半分に削減できるだろう」とデタラメな主張をしている。
 これに対し、米シンクタンクのブルッキングズ研究所は、05年会計年度以降も10年間は米国財政赤字が4000億jから7000億jの赤字を垂れ流す可能性があると試算。「巨額の財政赤字の慢性化はドルの信認を失墜させ、ドル暴落や長期金利の急騰で米国や世界経済の危機を引き起こす懸念がある」と警告している。(毎日1月22日付)
 ブッシュ政権は、まともな経済政策など完全に放棄し、一切を戦争で切り抜けようとしているのだ。いまや米帝を始めすべての帝国主義が労働者階級を働かせ、食べさせることさえできなくなった。だからこそ〈外への侵略戦争>と〈内への階級戦争>を全面的に激化させているのだ。
 2、3月陸自本隊、海自の出兵を阻止しよう。3・20国際反戦闘争の空前の大結集と04春闘で労働者階級人民の底力を引き出し、日帝・小泉政権を打倒しよう。
 (早乙女優)

 ブッシュ一般教書演説(抜粋)

■われわれの最大の責任は米国民を積極的に防衛することである。米国はテロリストに対し攻勢に出ている。
■外交が実効的であるために、発言が信頼されなければならない。(イラク戦争の結果)もはや誰も米国の言葉を疑えない。
■米国は、世界の最も危険な体制(北朝鮮とイラン)に最も危険な兵器を持たせない決意だ。
■イラクでの任務を国際化すべきだと批判する向きがある。この批判は英国、オーストラリア、日本…などイラクに派兵している米国のパートナーには理解できないことだろう。

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