ZENSHIN 2004/03/16(No2141 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2141号1面1)(2004/03/16)

3・20日比谷 イラク反戦大集会へ 有事関連法案粉砕・改憲阻止
 動労千葉のスト決起に連帯し階級的労働運動の大前進開け

 3・20国際反戦統一行動が2週間後に迫った。3・20は動と反動、革命と反革命が激突し、どちらが天下のヘゲモニーをとるかの「関ケ原」である。首都・東京の日比谷に全国から10万人の労働者階級人民の大隊列を絶対に登場させよう。3・20は全世界のイラク反戦の大デモと連帯して、階級的力関係を変え、侵略戦争突入と一大資本攻勢の日帝・小泉政権を揺さぶり打倒する、千載一遇のチャンスである。連合や全労連など既成のナショナルセンターの垣根を越え、自治労、教労、国鉄、全逓を始め全産別の労組から、日比谷へと津波のように労働者の隊列を大結集させよう。動労千葉の3月ストと連帯し、総決起しよう。10万人結集の原動力は勝利への確信だ。世の中を変えるのだというあくなき意欲だ。夢を持つことだ。あと2週間、すべての努力を傾けて、3・20へ突き進もう。 

 第1章 力関係を変えよう

 3・20の10万人決起の実現に今後の日本階級闘争の一切の帰趨(きすう)がかかっている。労働者階級の命運がかかっている。3・20で日帝・小泉=奥田と対決し、労働者人民の側が階級的ヘゲモニーをとれるかどうかである。そのためには絶対に10万人決起を実現しなければならないのだ。
 3・20の合言葉は、階級的力関係を変えよう、世の中を変えよう、歴史を変えよう――である。10万人が集まれば絶対に変えられる。小泉=奥田をぶっ飛ばし打倒できる。
 自衛隊イラク派兵の強行をもって新たな「15年戦争」―世界戦争の過程に突入した日帝。北朝鮮(中国)侵略戦争のための有事関連7法案と3条約・協定の成立を狙い、教育基本法改悪や改憲に突き進もうとしている小泉。春闘解体=「春討」化を傲然(ごうぜん)と叫び、定昇廃止・ベースダウンを始めとした賃下げと生活水準の切り下げ、「東アジア自由経済圏」という名のアジア侵略=勢力圏化政策を叫ぶ奥田。この日帝・小泉=奥田のしたい放題の攻撃を、労働者はこれ以上我慢するのか。許すのか。
 絶対に否だ。3・20の10万人決起で階級的反撃をたたきつけ、一矢を報い、力関係を変えれば、小泉=奥田をガタガタにして打倒できる。陸・海・空・港湾労組20団体を始めとした大統一戦線の中に、勝利の壮大なイメージが具体的に提起されている。願ってもない勝利のチャンスだ。
 アメリカや韓国やヨーロッパの労働者階級が、すでに昨年の3・20イラク開戦を前に実現した数十万人、数百万人の反戦デモを、今度こそ日本でもこの3・20に10万人決起として実現するのだ。そして政治の流れを変え、階級的力関係を変えて、日本の労働者階級人民自身が勝利への環を握りしめるのだ。
 3・20日比谷10万人結集に日本の労働者階級の未来をかけよう。連合や全労連の枠を越えた労働組合の組織的決起。そのための労組工作とオルグ。街頭とキャンパスでの宣伝と署名活動。首都キャラバンの展開。残る2週間、職場と街頭を熱くする宣伝戦、組織戦に総力決起しよう。
 エンゲルスやレーニンも言っているように、何事かを実現するものは「意識的な意図」であり、「意欲された目標」である。革命的な「夢想」である。勝利の確信と決意をたぎらせて、3・20総決起へ驀進(ばくしん)しよう。

 第2章 侵略戦争の泥沼化

 3・20とは何か。第一に、国際反戦大統一行動の一翼として、日本の労働者階級人民がイラク反戦闘争に総決起する闘いである。
 イラク情勢が示していることは、帝国主義の基本矛盾の全面的爆発ということだ。イラク侵略戦争はベトナム以上にとてつもない世界史的大戦争である。米帝は帝国主義としての自己の世界支配の危機を突破するために、本質的に帝国主義間争闘戦での他帝国主義、特にEU・独仏帝国主義(さらには日帝)の打倒を狙ってイラク侵略戦争を開始した。それは同時にイラク人民・ムスリム人民の民族解放闘争の圧殺、中東の制圧、石油資源の独占的支配を狙った攻撃である。
 しかもイラク侵略戦争は、イラン・シリアへのその拡大、とりわけ北朝鮮(中国)侵略戦争への拡大、そこから帝国主義間戦争―世界戦争へと後戻りすることなく転化していく、とてつもない歴史過程の始まりなのだ。
 しかし、03年3・20イラク開戦から1年、今や米帝は完全に侵略戦争、軍事占領の泥沼にはまり込んでいる。イラク人民・ムスリム人民は民族解放・革命戦争の組織的展開に向かって必死のゲリラ戦争を積み重ねており、米帝の占領政策をズタズタにしている。04年6月のペテン的「主権移譲」による戦争と治安の「イラク化」といった小細工は、早くも吹き飛んでいる。ゲリラ戦争は組織化し高度化している。反占領の内戦状態も激化している。せん滅される米軍の死者数は毎日のように増え、すでに550人を超えた。
 ブッシュは秋の大統領選を控え、軍事的政治的に追い詰められ、あがきにあがいている。しかし米帝は帝国主義であるかぎり侵略戦争をやめられない。それが泥沼化をいよいよ促進する。米帝・ブッシュが危機突破を狙って、どんな凶暴な反革命的手段を使うか、まったく予断を許さない。
 先の北朝鮮の核をめぐる6者協議(6カ国協議)は、米日帝が北朝鮮に対して一切の核武装・核開発の放棄(=完全武装解除)を要求し、核を絶対に放棄できない北朝鮮がそれを対抗的に拒否することによって破産し、共同発表文も出せなかった。これが示したことは、拉致問題をも使った米日帝の北朝鮮(中国)侵略戦争の衝動の激しさであった。だが米帝は、イラク情勢と米大統領選の利害から、また在韓米軍や在沖・在日米軍を始めとする東アジアの米軍事力の再編のために、当面は対北朝鮮の重圧を強めつつ、戦争発動への時間を稼ごうとしているのである。

 第3章 派兵阻止=撤退を

 こうした中で日帝・小泉は、ついに侵略戦争の戦場に、憲法9条を持つ国の自衛隊3軍を派兵した。侵略戦争の泥沼と国際的孤立にあえぐブッシュと英帝ブレアを助けて、侵略軍、占領軍として乗り込んだのだ。他国の領土の一角を占拠し、勝手に掘り起こし、コンクリートで固め、軍事要塞(ようさい)を築いている。これで何が「人道支援」「復興支援」か。自衛隊が米英軍やオランダ軍と同じように、イラク人民・ムスリム人民の民族解放闘争、ゲリラ戦争の対象と化すことは早晩不可避だ。
 日帝は、今や米英軍と共同=競合する形で、イラク侵略戦争と軍事占領に参戦した。これは新たな「15年戦争」の開始であり、第3次世界大戦の道へののめり込みそのものである。
 日本の労働者階級は今や「戦時下の階級闘争」に突入した。外への侵略戦争と内への階級戦争(資本攻勢と治安弾圧)に対する闘いに突入した。しかしこれは同時に、革命的情勢の急速な接近、それへの端緒的な移行、そのもとでの闘いへの永続的突入でもある。
 革共同と日本の労働者人民は、米英日帝のイラク侵略戦争、軍事占領の帝国主義的本質を暴き、日帝のイラク派兵=侵略戦争参戦が大変な帝国主義的反動的飛躍であることを暴き、世界と日本の労働者人民の階級的決起、国際的内乱への決起が必要であることを訴えて、3・20へと総蜂起していく時である。
 3・20は第二に、4―6月過程で決戦となる有事関連7法案と3条約・協定を絶対に阻止する闘いだ。
 国民保護法案・米軍支援法案を始めとする今回の有事関連法案は、米日帝の北朝鮮侵略戦争発動のための法体系を完成させる攻撃であり、米軍と自衛隊が人民の私権を踏みにじって軍事最優先で自由に行動し、労働者を戦争動員していくとんでもない法案である。成田の軍事空港化が現実となり、すべての空港、港湾、鉄道、通信、医療機関が軍の支配下に入る。有事関連法案粉砕はイラク反戦と完全に一体だ。3・20の爆発で反撃を開始しよう。
 また3・20は、日帝・小泉が次々とかけてきている教育基本法改悪、労組法改悪、司法改悪、共謀罪新設などの大反革命に総反撃する闘いだ。
 さらには、イラク派兵の強行で新たな「15年戦争」に突入した日帝が本格的に踏み込んできている改憲攻撃(=9条改憲)との一大政治決戦を開始する大闘争にしなければならない。

 第4章 春闘の勝利開こう

 3・20は第三に、04春闘に立ち上がる労働者と結びつき、動労千葉の3月ストと連帯・結合して闘われる大決戦である。春闘の山場と重なり、それ自身が春闘勝利を切り開く闘いそのものである。
 動労千葉は、組合員であるベテラン運転士の強制不当配転拒否を軸とした2月の指名ストと非協力闘争で、分割・民営化以降の17年間の現実に風穴をあける画期的勝利を実現した。そしてこの感動的成果を集約し、3月ダイ改阻止の山場で、反合・運転保安を真っ向から掲げて、スト配置を含めた全組合員の決起をかちとろうとしている。
 3月ダイ改でJR当局が総武線の千葉―御茶ノ水間で最大6分40秒の時間短縮を強行しようとしていることは、運転保安を完全に無視した暴挙だ。労働者と乗客を無視して、88年の東中野事故を何度も繰り返そうとするものだ。この第二の分割・民営化攻撃、戦時下の資本攻勢(=組合圧殺)と真っ向から対決して、動労千葉は3月ストを打ち抜く。これはすべての労働者人民の階級的利害を必死に体現した闘いである。
 動労千葉は、3月ストに決起することが3・20を真に爆発させ、3・20に階級的心棒を入れるのだという自覚をもって闘っている。また同時に、3・20に大勝利することが04春闘勝利を切り開くと確信して闘っている。3・20への総決起を春闘そのもののテーマとして位置づけ、闘っているのである。
 動労千葉が春闘をストで闘い、それを3・20と固く結合して決起していることは、〈外への侵略戦争と内への階級戦争>に対する闘いを全一体のものとして闘うという、戦時下の階級的労働運動の王道を体現している。この動労千葉と連帯し、すべての産別、組合、職場で春闘に決起し、それをバネに3・20に総結集しよう。3月春闘集会をかちとった力を3・20の総決起へと転化しよう。
 中野洋動労千葉前委員長の『俺たちは鉄路に生きる2』と『動労千葉24』を全労働者の武器とし、手引きとして、3・20へと突き進もう。

 11・9集会の継承・発展へ

 3・20は第四に、03年11・9労働者集会の陣形を継承・発展させる闘いだ。11・9が切り開いた日韓米3国の国際連帯と、関西生コン・港合同・動労千葉の3組合共闘の地平は、階級的=国際的、国際的=階級的ということを典型的に指し示した。それが04年3・20構想を準備する内在的な力ともなった。
 この11・9集会の3国連帯と3組合共闘の陣形を、さらに世界的陣形として、日本労働者階級の大多数を結集する闘いとして、3・20をバネになんとしても発展させようではないか。
 そして最後に訴えたい。3・20への闘いのただ中でこそ、革命党建設が死活的であり、党勢倍増闘争、機関紙拡大闘争を3・20結集運動と一体的に結合して闘いぬこう、と。党勢倍増闘争は「科学」である。現状の分析に基づく数量化した目標と、絶えざる点検・総括なしに前進しない。またレーニン主義の「党活動の3原則」の厳格な貫徹とマルクス主義の学習が、党建設の決定的基礎である。
 党建設の展望、その実践と固く結合して、あと2週間、3・20への10万人大結集運動を展開しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

地図 日比谷音楽堂

やめさせようイラク占領! 自衛隊はイラクから撤退を!

3・20世界同時反戦行動デー

3月20日( 土)午後1時 日比谷公園

■WORLD PEACE NOW 3・20

 日比谷野外大音楽堂

■世界の人々とともに!

3・20平和コンサート in HIBIYA
 日比谷公園小音楽堂

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2141号1面2)(2004/03/16)

動労千葉 2月闘争勝利の地平に立ち 3・13ダイ改阻止闘争へ
 反合・運転保安確立を掲げ

 動労千葉は、3月13日に予定されているダイヤ改定に対して、いよいよJR東日本の全本線運転士の組合員を始めとした全面ストライキを配置して闘いに立ち上がろうとしている。(2面に関係記事)
 今回のスト配置を含む闘いは、3万8000円の大幅賃上げなどとともに、ダイ改時の運転時分短縮による安全破壊に対して反合理化・運転保安要求を掲げた闘いになる。
 特に問題なのは、総武緩行線の千葉〜御茶ノ水間での最大6分40秒もの短縮だ。動労千葉は、この計画の撤回を求めて団体交渉を繰り返しているが、千葉支社当局は、計画どおり強行しようとしており、スト突入必至の情勢である。
 動労千葉は、2月10日からの指名ストと非協力闘争の勝利を断固として確認し、その切り開いた地平に立って、いよいよ春闘本番の闘いに総決起しようとしているのだ。
 このストは、ベア要求さえ放棄して定昇解体などの「賃下げ回答」を受け入れようとしている連合指導部などの大裏切りに抗し、すべての労働者に闘いの道筋を指し示すものだ。特に国鉄1047名闘争勝利の展望を切り開く闘いだ。
 そして何よりも、3・20日比谷のイラク反戦闘争への10万人総決起に巨大なインパクトを与える闘いになることは間違いない。この動労千葉スト決起をあらゆる労働組合・労働者に伝えよう。
 「われわれは勝利した!」――動労千葉は2月26日付の『日刊動労千葉』で宣言した。その闘いの意義をすべての労働者に訴えることが重要である。
 動労千葉がこのように勝利を宣言することができたのは、国鉄分割・民営化攻撃以来、初めてのことである。それは、動労千葉が国鉄分割・民営化反対を貫いて、直接に要求が前進しなくても階級的な団結を固めることを総括軸にして闘い抜いてきたからである。
 それが敵である資本の矛盾を拡大し、そこに的確な闘争を突きつけることによって、ついに敵の攻撃の裂け目をつくり出し、国鉄分割・民営化以来の動労千葉の要求を大きく前進させることに成功したのだ。
 さらに、重要なことは、〈外への侵略戦争、内なる階級戦争>という帝国主義の凶暴な攻撃も、実は帝国主義の側がこのままでは延命することができない危機に陥っているからであると見抜いていることだ。
 動労千葉は、この闘いへの突入にあたって「戦時下の労働運動」という認識を打ち出した(機関誌『動労千葉24』)。これは、01年9・11(反米ゲリラ)から03年3・20(イラク侵略戦争開戦)によって世界史が一変し、帝国主義は労働者階級を食わせることもできなくなり、もはや戦争をする以外に延命することもできない時代になったということである。同時に、労働者の闘いも一変し、全世界の労働者階級の闘いが燎原(りょうげん)の火のように広がるという時代認識だ。そして、04年が国鉄労働運動を焦点にして労働運動の勝負の年になるとの確信である。
 この時代認識と労働者階級の決起への確信があったからこそ、断固として闘いに突入することができた。
 特に、3・20世界同時反戦決起の一環として、日本においても日比谷10万人結集の機運が高まっていることだ。動労千葉は、昨年の国際連帯闘争の前進―11・9全国労働者総決起集会の成功を自ら主導することによって、そのことを確信した。そこから04年の闘いの展望を完全につかみとったのだ。
 資本の大攻勢の中にある弱点をしっかりと押さえ、味方の労働者の団結を最大限にかちとる闘いの形態を創造していくこと――ここにこれからの労働組合が進むべき普遍的な方向が示されている。
 動労千葉とともに、3・20―04春闘に総決起し、小泉=奥田らとの階級的力関係を変え、労働者階級の怒涛(どとう)の進撃をかちとろう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2141号2面1)(2004/03/16)

春闘ストに立つ動労千葉と共に3・20へ ついにJR体制に風穴開けた
 動労千葉2月闘争の画期的意義

 動労千葉の指名ストと非協力闘争は、2月10日から2週間余りにわたって闘われた。その2月闘争の切り開いた勝利の地平はきわめて大きい。その意義を明らかにするとともに、3・13ダイ改阻止へ闘われる春闘ストに続いて、ともに総決起することを訴える。

 不退転の闘いで要求が大前進

グラフ JR各社の死亡事故者数(社員および外注作業員) 動労千葉の2月闘争は、H運転士の強制配転を発端にした闘いだった。1月に幕張電車区木更津支区での組合員1人の死亡という予期せぬ事態の中で、運転士(気動車)に欠員が生じた。動労千葉は、直ちに木更津支部の組合員で運転士資格を持っている組合員を運転士に登用するよう求めた。だが、JR東日本千葉支社は、これを拒否しただけでなく、千葉運転区のH運転士に強制配転を通知したのだ。58歳で、定年まであと1年半の電車の運転士に気動車の運転をさせようとした。さらに当局自身が言い続けてきた「高齢者を配転の対象にしない」という慣行も踏み破った。
 H運転士の断固たる配転拒否の決意を受けて、動労千葉はH運転士を指名ストに入れ、時間外・休日労働を拒否する非協力闘争を争議行為として行うことを通告した。これに対して当局は、休日労働やATS―Pの訓練を予備勤務者にやらせる業務命令を乱発した。動労千葉は直ちに当該の組合員を指名ストに入れた。
 特に、総武快速線が錦糸町から東京への地下ルートに乗り入れる際に、保安装置がATCからATS―Pに切り替わるのが2月29日に迫っていた。当局としても、この訓練を受けさせないまま動労千葉組合員を乗務させるわけにはいかない。かといって、千葉の運転職場で多数を占める動労千葉組合員を乗務させなければ、列車の運行は確保できない。
 動労千葉の渾身(こんしん)の決起が当局を徹底的に追いつめた。動労千葉は22日の定期委員会で、要求が大きく前進したことを確認し、25日をもって闘争集約を指令し、新たな闘いの態勢を打ち固めたのだ。

 不当労働行為粉砕の諸要求

 動労千葉は、国鉄分割・民営化攻撃に対して2波のストライキを闘い、組織の団結を維持しながらJR体制に乗り込んだ。
 その中で、@28人の解雇と12人の不採用(9人が清算事業団からも解雇)の計40人の解雇者を出した。動労千葉は、本体の組合員が先頭で物資販売を行うとともに、あくまでもJR資本との闘いを軸に解雇撤回闘争を進めてきた。
 Aまた、国鉄分割・民営化攻撃以来、昇進・昇職の差別を受けてきた。特に、1982年で国鉄の新規採用が停止になる前に運転士資格を持った予科生として採用された組合員で、運転士に発令されていない組合員が多い。
 Bさらに運転職場をはずされ、駅や売店などに強制配転されたまま“塩漬け”にされている組合員が多数いる。
 動労千葉は、これらの三つの懸案要求の解決を求め、大幅賃上げや貨物の格差賃金粉砕などの要求と結合して、毎年のように春闘ストを闘ってきた。要求が前進しなくてもストを打ち抜き、それをとおして団結を打ち固めてきたのだ。
 その上で、ついに分割・民営化以来の懸案要求を前進させるという大きな成果をかちとった。

 JR総連との結託が危機に

 この勝利は、分割・民営化攻撃の矛盾を突いた闘いが敵を追いつめたということである。
 その矛盾の第一は、分割・民営化―JR体制を資本と結託して支えてきたJR総連カクマルが分裂したことだ。千葉では特に動労千葉の存在と闘いがあったからこそ、最も激しい亀裂を彼らに強制してきた。権力・資本をバックにした松崎のファシスト支配は崩壊の危機に陥っている。これは、カクマルを使った労働者支配を唯一の「労務政策」としてきたJR資本の危機でもある。
 第二は、要員問題の矛盾である。JR資本は人員削減を進め、特にメンテナンス部門の外注化を前提として、要員を補充しなかった。定年退職した高齢者を「シニア制度」により超低賃金で雇うことを狙っていたのだ。だが、検修・構内業務の外注化については、動労千葉の2000年の「シニア制度」反対の闘いや01〜03年の春闘スト、幕張支部など検修職場の職場闘争をつうじて、千葉支社管内だけは提案さえできない事態を強制してきた。
 こうした中で、業務に必要な要員が確保できず、技術力を持った労働者が次々退職するという事態を目前にしているのだ。
 第三は、安全が崩壊的な危機に陥っていることである。要員の削減と外注化、そして規制緩和(国土交通省令の改悪)により車両検査などが簡略化されたことが原因だ。そしてJR総連カクマルとの結託体制がもたらしたものだ。JR総連カクマルは、ファシスト的な「労使協力」論のもとで、事故問題について、「責任追及から原因究明へ」なるスローガンを掲げた。これは、JR資本の責任は絶対に追及しないということだ。その一方で、事故を起こした労働者に責任をなすりつけ、JR資本の安全無視の合理化を推進してきたのだ。

 固い団結が敵を追いつめた

 このように敵に矛盾を強制したのはなぜか。その核心は、何よりも動労千葉が団結を維持して闘ってきたことである。労働組合が闘わなければ、資本の側の矛盾も明らかにはならない。その矛盾がすべて労働者に押しつけられるだけだ。
 戦後の民同労働運動は、高度成長のもとで一定の賃上げなどを獲得することによって存続することができた。しかし、それが破産し、連合は今や要求を掲げることもできず、資本と一体化している。
 動労千葉の闘いは、このような戦後労働運動をのりこえてきたからこそ、団結を維持するだけでなく、要求の前進をかちとることもできるのだ。
 現在、日本帝国主義は完全に行き詰まっている。奥田ビジョン―04年版経労委報告は、日帝・資本の側がこのままでは体制そのものを維持することができず、労働者を食わせていくこともできなくなったことの表明である。戦後の労働者支配の仕組みであった、憲法と終身雇用制をすべて破壊し、社会保障制度も解体しようとしている。
 こういう時代に、動労千葉のように団結して闘えば、資本の側を危機に追い込むことができるのだ。

 運転保安が春闘の重要課題に

 動労千葉は04春闘で反合・ ・運転保安確立を最重要の課題としている。
 JR東日本は、別掲のグラフのように、JRの中でも特に死亡事故が多い。99年に山手貨物線で外注会社の労働者5人が保線作業中に列車にひき殺された事故を始め、121人(うち外注会社の労働者が105人)も死亡しているのだ。
 04年版経労委報告でも、03年に相次いだ大企業での事故について「高度な技能や知的熟練をもつ現場の人材の減少、過度の成果志向による従業員への圧力が原因ではないか、との指摘もある」と、資本のこの間の攻撃がもたらしたものであることを認めざるを得なくなっている。
 だが、これも労働組合が闘わなければ、労働者が犠牲にされるばかりである。
 動労千葉は、一貫して、この安全問題をテーマにして反合・運転保安確立を掲げて闘い抜いてきた。合理化とは資本の利益のために労働者に犠牲を強いるものであるとともに、資本主義社会において直接に利潤を生み出さない安全に対する投資を徹底して抑制することだ。その矛盾が爆発しているのだ。動労千葉の反合・運転保安闘争は、その矛盾を突く闘いである。

 総武緩行線を6分40秒短縮

 今回のJR東日本のダイ改では、総武緩行線の千葉〜御茶ノ水間で最大6分40秒も運転時分が短縮されようとしている。総武緩行線の運転時分短縮は、88年12月1日のダイ改で千葉〜三鷹間が3分40秒短縮されて以来のことである。この4日後の12月5日に東中野駅で列車追突事故が起こり、運転士と乗客の2人が死亡する大惨事となった。動労千葉は翌年、この東中野駅事故1カ年を期して、分割・民営化後初の運転ストに立ち上がり、元の運転時分に戻させ、それ以来、運転時分短縮には手を着けさせていない。
 3・13ダイ改阻止闘争は、動労千葉の路線の真価をかけた闘いとなる。

 「会社を守れ」と叫ぶ東労組

 他方で、JR総連カクマルは、この安全破壊を進めるJR資本にすがりつき、全面協力して延命しようとあがいている。
 JR東労組が2月10日に開いた中央委員会では、JRの安全問題についての「JR経営陣への非難」を、「JR東日本会社にどす黒い攻撃の刃(やいば)をむけるものであり、政治的意図をもったJR東日本労使への攻撃に他ならない」として、「JR東日本とJR東労組を守り発展させよう」と意思統一したというのだ。(JR東労組機関紙『緑の風』2・15付)
 JRの労働者は、このようなJR総連・東労組と決別し、今こそ動労千葉に結集しよう。
 すべての労働者は動労千葉春闘ストに連帯し、ともに04春闘を闘い、3・20日比谷に総結集しよう。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2141号2面2)(2004/03/16)

レールが折れた! 安全崩壊の危機に

総武快速線下りの津田沼〜幕張間で2aもの隙間ができたレールの破損個所 習志野電車区検査4番線のレール折損個所。2本のレールが折れている

 1月6日、総武快速線の津田沼〜幕張間でレールが完全に切断し、2aもの隙間(すきま)が生じる重大事態が発生した。貨物列車の運転士が信号の異常に気づいて点検したところ分かった。1月13日にも、習志野電車区の検査4番線で、レールが2本も折れた。外注会社の社員が「レールが燃えている」と言うほど火花が散っていた。
 01年に鶴見駅構内で起きた貨物列車の脱線事故は、レールがゆがんだのが原因だったが、ついにレールが折れたのだ。いつ大事故が起きてもおかしくない。
 イギリスでも、民営化の結果、『折れたレール』が本のタイトルになるほどで、多数の死亡者を出す脱線事故が相次いでいる。このため、鉄道の再国有化が課題となっている。
 昨年9月の中央線における大規模な輸送混乱などに関して、JR東日本に国土交通省の立ち入り調査が行われ、12月17日には業務改善命令が出されている。
 動労千葉は、昨年来の事故や業務改善命令に対する会社の姿勢を問うとともに、今回のレール折損を含め、車両故障や信号機故障、保安装置故障など100件を超える事故などの解明を求めて千葉支社に対して申し入れを行っている。
 今回予定しているストでも、事故の経営責任の明確化などを要求として掲げている。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2141号4面1)(2004/03/16)

3・20日比谷10万決起で階級的力関係と世の中を変えよう
有事7法案を絶対阻止しよう 日米共同の北朝鮮侵略戦争法案
 国民保護の名で臨戦体制づくり

 小泉政権は9日にも国民保護法案など有事7法案と関連3条約の締結承認案を閣議決定し国会に提出しようとしている。この法案は政府が宣伝するような「日本への武力攻撃から国民を保護するためのもの」では断じてない。それは米帝が準備している対北朝鮮(対中国)の侵略戦争に日帝が全面的に協力し、参戦していくためのものである。日帝は自衛隊のイラク派兵に続き、加速度的に侵略戦争の道にのめり込んでいる。3・20闘争の大爆発をかちとり、さらに有事立法粉砕へ巨大な反戦闘争を巻き起こそう。

 イラクに続き北朝鮮の転覆を狙う米日帝

図 有事関連法案の相互の関係 いまや世界の帝国主義は戦争をしなければ生き延びられなくなっている。米帝はソ連崩壊後、91年に湾岸戦争(イラク・中東侵略戦争)を強行し、多くのイラク人民を虐殺した。94年には北朝鮮の「核開発」を口実に残存スターリン主義政権・金正日体制の軍事的転覆を狙い、北朝鮮侵略戦争を起こそうとした。だが、日帝の戦争体制づくりの立ち遅れで一旦中断した。日帝はこれ以降、戦争体制づくりに全力を挙げてきた。
 米帝は99年にユーゴスラビア侵略戦争、01年9・11反米ゲリラ戦直後にアフガニスタン侵略戦争、03年3月からイラク侵略戦争に突入した。このように米帝は、戦争に次ぐ戦争で帝国主義体制を維持している。
 他方、日本帝国主義は、米帝の激しい戦争政策(戦争で帝国主義的権益を奪い取る)に直面して体制的な危機を深めながら、軍事と戦争をもってする帝国主義の植民地・勢力圏の奪い合いに加わろうとしている。自衛隊のイラク派兵も「人道復興支援」とは名ばかりで、真の狙いはイラク・中東の石油資源と帝国主義的権益の確保のための参戦である。
 日帝は日米安保新ガイドライン、周辺事態法などで戦争体制づくりを進め、昨年6月に武力攻撃事態法など有事3法を成立させた。そして今国会で7法案の制定を狙っている。これが成立すると、米帝の北朝鮮侵略戦争を日帝が全面的に支え、自ら積極的に参戦する体制がひとまずそろう。
 米帝はイラク人民の不屈の闘いでイラク侵略戦争の泥沼化にあえいでいるが、北朝鮮をめぐって「6者協議」で時間稼ぎをしつつ、米帝の都合のよいタイミングを選んで北朝鮮への侵略戦争を起こそうとしている。
 日帝はこの米帝の朝鮮侵略戦争に「共同と競合」の関係で食らいつき、参戦準備を進めている。それが、「核と拉致」問題を使い、スターリン主義の反人民性を絶好の口実とした北朝鮮に対する排外主義のキャンペーンであり、北朝鮮を狙い打ちにした外為法改悪の強行と特定船舶入港禁止法案(前号参照)による「経済制裁」攻撃である。「経済制裁」は北朝鮮に対する宣戦布告に等しい。そして有事7法案の制定策動である。
 有事7法案は別表のように米軍と自衛隊の軍事行動の自由を保障し、労働者人民の生活・権利を圧殺し戦争体制への組み込みを狙う歴史的大攻撃である。

 自衛隊が行政に介入平時から訓練・備蓄

 「国民保護法」では、外国からのミサイル攻撃やゲリラ戦争を想定し、あたかも不当な相手国からの攻撃への対応であるかのように言っているが、とんでもないすり替えである。実際には、米帝と日帝が北朝鮮に軍事的圧力をがんがん強め、侵略戦争をしかけるからこそ、北朝鮮からの必死の反撃が想定されるのである。もしこれによって日本人民に人的物的被害が発生するとしたら、この事態の真の責任は日帝そのものにある。
 具体的にはミサイルやゲリラ戦争で原子力発電所への攻撃すらありうると想定している。つまり、この巨大な犠牲を人民におしつけることを辞さずに侵略戦争を強行しようとしているのだ。
 また国民保護法では、法制定後、国は「基本指針」、都道府県・市町村はそれぞれ「計画」を作成することが義務づけられる。この計画作成のために各自治体に「国民保護協議会」が設置され、そこには自衛隊が参加する。つまり、自衛隊主導のもとに市町村末端まで朝鮮侵略戦争時の避難=住民統制計画や物資統制の計画が立てられ、また平時から避難訓練や物資の備蓄、啓発などが行われるようになるのである。
 まさに日本の社会を挙国一致の戦争体制に作り変える攻撃が決定的に強められるのである。
 日帝支配階級はもはや労働者階級を食わせていけなくなり、労働者階級の怒りと闘いの爆発を心底から恐怖する情勢に入っている。だからこそ有事立法体制を強め、そのもとで労働者階級の闘いを圧殺しようとしているのである。
 3・20日比谷10万人結集をなんとしても実現し、その力でイラク派兵阻止、有事7法案粉砕、日帝・小泉政権打倒へ突き進もう。

北朝鮮侵略戦争を狙う有事立法の体系

昨年6月に成立した3法
法律(法案)のポイント
こんな重大な攻撃
●武力攻撃事態法
「武力攻撃(予測)事態」の認定で国が「対策本部」を設置、対処基本方針を決定▽対策本部長(首相)のもとに全権限を集中▽国、地方公共団体、指定公共機関に対処の責務▽国民の協力(義務)▽自衛隊が防衛出動▽事態対処法制(有事立法)の整備 有事法体系の中心となる法律▽侵略戦争突入を「対処措置」とごまかす▽攻撃されなくても「切迫」「予測」と勝手な判断で北朝鮮を先制攻撃▽閣議決定だけで戦争突入命令が可能(国会承認の希薄化)▽「対策本部」は戦争総合司令部。首相独裁▽国、都道府県、市町村、公共機関、国民の国家総動員、総力戦態勢
●改悪自衛隊法
76条「防衛出動命令」の改悪で「国会の事前承認」を解体▽民有地・家屋の使用・収用や建築・輸送・医療労働者などの業務従事命令を出す手続きを簡素化▽防衛出動命令前でも展開予定地域で陣地構築などができる▽消防法、建築基準法、医療法などの特例、適用除外の拡大で自衛隊の自由な軍事行動を保障▽物資保管命令の違反者を処罰(従事命令も強制力を持つ)
国会無視、首相権限で「防衛出動命令」▽103条の圧倒的拡充で自衛隊は必要とするどんな施設や土地・家屋も使用・収用できる▽食料・燃料・医薬品その他あらゆる物資の徴発(保管命令)、労働者の徴用(従事命令)▽「予測段階」から自衛隊はどこでも土地を収用し、陣地やミサイル発射基地を造り、道路を改造できる▽これらの権限は米軍支援法などですべて米軍にも同等に保障される
●改悪安全保障会議設置法
審議事項に新たに「武力攻撃事態への対処に関する基本的な方針」などを加える▽議員に新たに総務大臣、経済産業大臣、国土交通大臣を加えた。戦争動員体制上必要な議員構成に▽事態対処専門委員会を常設 諮問機関的役割を一変し、首相を長とする戦争方針策定機構=戦争最高指導会議に実戦的に強化。統幕議長も出席(従来から)▽防衛庁・自衛隊などが加わる専門委員会は政策決定や法案づくりに主導権▽専門委員会は日米の「包括的メカニズム」「調整メカニズム」とも連動
今国会に提出の7法案 ●国民保護法案
国や自治体による有事の際の避難・救援のための措置を規定▽あらかじめ政府は基本指針、都道府県・市町村は計画を作成▽平時から備蓄や住民の避難訓練、啓発を行う▽有事の際、知事は業者に医薬品や食料の保管を命令、売り渡しを要請。拒否すれば収用、処罰▽原発への「武力攻撃災害」も想定▽大規模テロ(緊急対処事態)にも対応 「国民保護」は大ウソ。国家・自治体・国民挙げての侵略戦争体制づくり▽平時から都道府県、市町村で自衛隊がリードする戦争体制づくりが進められる。住民の避難訓練などをとおして戦争体制への動員▽国民の協力義務▽食料、燃料などを国家統制。軍隊最優先。商売も自由にできなくなる。違反者は処罰▽「避難」は軍事行動のための住民排除と統制
●米軍行動円滑化法案
有事の際、米軍が円滑に行動できるよう物品・役務の提供を規定▽米軍が私有地や家屋を使用できる。使用のための立入検査を拒否すれば罰則▽米軍によって発生した損失は国が補償 軍事行動中の米軍が民有地や家屋を勝手に使用、破壊できる。米軍車両は田畑でも私有地でも民家でも、どこでも踏みつぶして通行できる(補償はあとから国が行うと!)。米軍の問答無用の戦闘行動をすべて合法化
●自衛隊法改悪案
日米物品役務相互提供協定(ACSA)改定に伴い、物品・役務の提供や決済の手続きを規定。弾薬も提供できる ACSAの改定で、これまでの「共同訓練」などに加え「武力攻撃事態」「武力攻撃予測事態」などで弾薬を含む物品・役務を相互提供。来援する数十万人の米兵を全面的支援
●交通・通信利用法案
有事の際、自衛隊や米軍が空港、港湾、道路、海域・空域、電波などを優先的に利用できるよう首相が管理者に要請。拒否しても首相権限で利用可能に 全国の民間空港や港が軍隊によって制圧され、出撃基地とされる。高速道路も民間排除し、軍隊最優先に▽三里塚空港・関西新空港などが完全に軍事基地となる
●外国軍用品等海上輸送規制法案
有事の際、敵国への武器・弾薬の海上輸送を阻止するため船を停止させ検査(臨検)できる▽積み荷の引き渡しか日本への回航を求める▽従わない場合は武器使用もできる 日本が攻撃されていなくても海上の北朝鮮船舶への先制攻撃を合法化。食料・燃料輸送船も臨検の対象に
●捕虜等取り扱い法案
自衛隊が捕虜を拘束できるよう規定▽陸海空3自衛隊共同の捕虜収容所を設置 「防衛」の名目で北朝鮮(朝鮮半島)の領土・領海に攻め込み、また海上戦闘で北朝鮮軍を捕虜にすることを想定
●国際人道法違反処罰法案
ジュネーブ条約に違反する行為のうち、刑法に定めのない重要文化財破壊罪や捕虜送還遅延罪、占領地域移送罪、文民出国妨害罪などを規定 占領地域での違反行為にかかわる法律。北朝鮮の占領を想定

 

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2141号4面2)(2004/03/16)

 派兵抗議デモ 2・20大阪

 陸上自衛隊本隊が派兵される前夜の2月20日、大阪の中之島公園で「とめよう戦争World Action in 大阪実行委員会」主催で緊急抗議デモが闘われた。(写真上)
 同日の北海道・旭川の現地闘争に参加した国賀祥司・泉佐野市会議員から送られてきた写真を会場に展示。集会はA&Uの若者から元気な発言やイラク写真展の成功の報告などが行われた。飛び入り参加も多くあり、約120人が米領事館前を通り大阪中心部をデモした。

 100人天神デモ 2・29福岡

 2月29日、「アメリカのイラク攻撃を許さない実行委員会」主催で福岡・天神の警固公園で集会が行われた。
 「カトリック福岡地区正義と平和協議会」の青柳行信さんが「派兵の既成事実化を許さず闘おう」とあいさつ。初参加者など約100人がデモに出発した。右翼街宣車の妨害をはねのけるデモに注目が集まった。(写真下)
 デモの後で再び集会。筑紫住民の会の代表、ゴミ処分場建設に反対する久留米の市民などが次々とアピールした。前宮田町議のわたなべひろやすさんは、靖国参拝違憲訴訟の報告を行った。アムネスティの代表もイラク反戦を訴えた。
 九州大学学生自治会、女たちのデモ実行委、労組交流センターがあいさつした。九大自治会の代表は「3・20は労働者の反転攻勢の日。東京・日比谷公園に10万人結集を」とアピールした。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2141号5面2)(2004/03/16)

6者協議は何を示したか 米帝主導で対北朝鮮侵略戦争発動を狙うプロセス

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核問題をめぐり2月25日から北京で開かれていた第2回6者協議(中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国)は、28日に閉会した。議長国の中国が主導して調整を図った共同発表文書は、ぎりぎりまで粘っても合意できず、具体的には次回協議を6月末までに北京で開くこと、作業部会を設置することが決まっただけだった。
 マスコミ各紙は一斉に「北朝鮮への『圧力』を強める時だ」「『北』核廃棄に抜け道は許されない」などと北朝鮮を攻撃。「日本は米国と連携しながら圧力強化に動く時だ。第一歩として、北朝鮮船舶を想定した特定船舶の入港禁止法を早期成立させるべきだ」(2月29日付日経新聞社説)と排外主義キャンペーンに躍起となっている。
 だが「6者協議」とは何か。「6者協議の目標は核兵器のない朝鮮半島を外交で実現すること」(朝日新聞)なのか? 「北朝鮮が誠意ある対応を示すかが焦点だった」(毎日新聞)のか? 絶対に違う。なぜ今、北朝鮮の核(ミサイル)問題をめぐり6者協議を行う必要があったのか。

 完全武装解除求める米日帝

 今回の6者協議で米日帝は、北朝鮮がけっして応じることのできない「完全で検証可能かつ後戻りできない核放棄」(CVID)をあくまで要求した。これに対して北朝鮮は、「米国が敵視政策を放棄すれば、核兵器計画を放棄する」と述べ、その第1段階として「計画の凍結」を提案。米日帝が「完全で検証可能かつ後戻りできない核放棄」に含まれるとして突きつけた「核兵器に転用可能な高濃縮ウラン(HEU)生産計画の放棄」については、「存在しない」と否定し、協議は並行線で終わった。
 この「HEU生産計画」については、今回の6者協議の米代表であるケリー国務次官補が02年10月に特使として訪朝した際に問題となり、これを理由に米帝が米朝合意を一方的に破棄した経緯がある。これらは、米帝の世界戦争政策としての対北朝鮮敵視政策と、反人民的な核武装路線をとる北朝鮮のスターリン主義体制存続をかけた瀬戸際政策の結果なのだ。
 つまり6者協議とは、最新鋭の核兵器・大量破壊兵器などを独占的に保有し、巨大な経済力をもつ米日帝が、核(ミサイル)問題や拉致問題などの北朝鮮の反人民政策につけこみ、それを絶好の餌食(えじき)として、北朝鮮侵略戦争とスターリン主義体制の転覆を狙ったものである。
 米日帝は、近い将来の北朝鮮侵略戦争の発動をにらんで国際的包囲網を敷き、北朝鮮に戦争重圧を加えているのだ。
 外にイラク情勢を抱え、内に大統領選挙を控えるブッシュが、あくまでも自分のコントロールのもとで対北朝鮮侵略戦争を発動するために設定した時間稼ぎの場が6者協議だ。
 現に進行している米英日帝のイラク侵略戦争と軍事占領の重圧が、北朝鮮に、さらには中国に襲いかかっている。だからこそ中国スターリン主義は、6者協議の枠組みを維持し、北朝鮮を懐柔することに必死なのだ。中国では3月5日に全人代が始まり、20日には台湾総統選挙が控えている。
 6者協議で韓国は、米日帝と歩調を合わせながらも、北朝鮮が全面的な核放棄への意思を明確にすることを条件に、「安全を保証」し、韓中ロがエネルギー支援を行うことを提案した。3・20情勢のもとで米日帝に屈服し、新植民地主義国家として延命することを決断した盧武鉉(ノムヒョン)政権だが、「太陽政策」的手法をとるしかなく、矛盾を深めている。
 朝鮮半島・東アジアをめぐってはすでに在韓米軍・在沖米軍の再編として北朝鮮侵略戦争策動が進んでおり、この点からも朝鮮人民、さらには沖縄人民の反米・反基地闘争、イラク反戦闘争の爆発は不可避となっている。
 まさに第2回6者協議は、平和的解決を目指す会議でも、プロセスでもない。空前の反革命国際会議として北朝鮮侵略戦争への歴史的な過程そのものなのだ。戦争発動の時期は米帝が決めるということだ。世界は01年9・11−03年3・20を経て、世界戦争過程に突入しているのである。

 北朝鮮に「刃」を向ける小泉

 この過程に日帝もまた、独自の思惑で激しく介入している。12・9(自衛隊派兵基本計画の閣議決定)をもって日帝はついにイラク侵略派兵に踏み切った。この歴史的転換によって日帝は、対北朝鮮侵略戦争策動に激しく突進している。いまだ戦後的な制約を一掃できていない日帝は、単独で北朝鮮侵略戦争に踏み切ることができない矛盾とジレンマをもバネに、朝鮮半島における権益確保のために積極的対抗的な政策に打って出ている。米帝と共同・競合し、北朝鮮侵略戦争に主体的に打って出ようと決意しているのだ。
 日帝は6者協議の場でも、拉致問題で独自の成果を上げようと反動的に策動し、6者協議前日の24日に有事法制7法案(概要)の発表をぶつけ、開催中の26日には北朝鮮制裁法である改悪外為法(2月9日成立)を施行した。
 さらに、6者協議で拉致問題が進展しなかったと不満を噴出させる「救う会」「拉致議連」を推進力に、北朝鮮船舶を念頭に置いた特定船舶入港禁止法案の成立を目指している。まさに6者協議の前後に、イラク侵略戦争突入と対北朝鮮侵略戦争への準備のための大反革命攻撃が展開されているのである。
 小泉は3日の衆院予算委で、特定船舶禁止法案についての質問に答え、「(北朝鮮に)ギラギラ抜き身の刀をちらつかせる」ものだとうそぶいた。つまり、この法案の「検討」「提出」「衆院通過」「成立」の動きの一つひとつが、北朝鮮に刃(やいば)を突きつける激しい戦争行為であることを自覚し、効果的に進めるというのである。
 翼賛国会で行われる挑発的な有事法案の審議は、対北朝鮮排外主義の扇動そのものとして進行する。「不法滞在外国人摘発強化のため」と称する入管法改悪案も2月27日、国会に提出された。吹き荒れる排外主義攻撃を許さず、闘う在日朝鮮人・中国人と連帯し、入管法改悪阻止に立とう。
 イラク人民の根底的決起が爆発し、深々と泥沼に引きずり込まれている米英日帝は、シリア・イランへと侵略戦争を拡大し、北朝鮮・中国侵略戦争に突進する以外にないことを今回の6者協議は示した。
 〈外への侵略戦争と内への階級戦争>が労働者人民に襲いかかっている。今こそ日韓米労働者人民の国際主義的連帯が威力を発揮する時だ。労働者人民はもはや帝国主義のもとでは生きられない。共通の敵・帝国主義を打倒するために日韓米労働者人民の共同闘争を進めよう。3・20日比谷に全国から総結集しよう。

------------------------TOPへ---------------------------