ZENSHIN 2004/12/20(No2179 p06)

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週刊『前進』(2179号1面1)(2004/12/20)

派兵延長の小泉打倒を
米英日枢軸と対決し国際反戦闘争の爆発へ
 1047名闘争解体策動粉砕し12・19国鉄集会に大結集しよう

 カクマルの「告訴」運動を絶対許すな

 12月9日、日帝・小泉政権は、12月14日で期限が切れる自衛隊のイラク派兵を1年間延長する閣議決定を行った。さらに、翌10日には新「防衛計画の大綱」と5年間の中期防衛力整備計画を閣議で決定した。これは米帝ブッシュと軍事的に一体となり、日帝がイラク侵略戦争にますます絶望的にのめりこみ、新しい「15年戦争」と世界戦争へ突進していく攻撃だ。12月−05年のイラク反戦、自衛隊即時撤退、派兵阻止闘争を連続的に闘いぬこう。沖縄・名護新基地建設阻止の辺野古闘争を闘おう。11・7労働者集会の歴史的成功に大打撃を受け、追いつめられた日本共産党スターリン主義とファシスト・カクマル。その国鉄と教労における二つの「12月反動」を打ち破り、12月−05年決戦へと進撃しよう。「国労5・27臨大闘争弾圧を許すな! 12・19全国集会」の大成功をかちとろう。

 第1章 イラク侵略戦争への泥沼的なのめり込み

 日帝・小泉はまったく許しがたいことに、自衛隊のイラク派兵の1年間延長を決定した。
 小泉は記者会見で何よりも日米同盟が大事であることを強調し、「支援活動」についても米英とは「一線を画している」が、場合によっては「日本にふさわしい必要なことをしなければならない」と、軍事的な一層のエスカレートも辞さないとの発言を行った。
 日帝・小泉は、ついにイラク侵略戦争の一線を越えた。日米同盟を徹底的に強化する立場で最後までいくという反革命的な決断をした。これは米帝ブッシュと米英日枢軸の一角に立って、イラク侵略戦争−世界戦争路線を推進していくという歴史的大攻撃である。
 イラク情勢は現在どうなっているのか。米帝とそのイラクのカイライ政権にとって以下の絶対的なスケジュールがある。
▼05年1月末 イラク国民
 議会選挙の実施
▼05年秋 新憲法制定
▼05年12月末 総選挙と正
 式政府発足
 05年1月末のイラク国民議会選挙の強行実施のために、ブッシュは再選を決めた直後にファルージャへの総攻撃を決行した。これは「第二の3・20イラク開戦」であった。しかしその結果は、ファルージャを始めイラク人民、ムスリム人民の徹底的抗戦によって、イラクの全人民の反米武装解放闘争の勢いがかつてなく高揚し、米軍は多数の死傷者を出し戦略的に敗北した。イラク全土に無数のファルージャが生まれ、1月選挙はほぼ絶望的になったのだ。
 米帝は総選挙強行のために1万2000人を増派し、英・日・伊軍の動員強化に走っている。日帝が派兵延長を決めた1年後の05年12月には正式政府が発足し、自衛隊を撤退させるなどという見通しは破産不可避だ。イラクの自衛隊をめぐって日本階級闘争をゆさぶる事態が必ず起き、日帝・小泉は侵略戦争の引くことのできない泥沼に決定的にのめり込んでいくのである。
 米帝ブッシュは帝国主義を2大陣営に分裂させつつ、世界戦争へ突進しようとしている。その場合の基本戦略として米帝による米英日の反動枢軸がある。
 2期目のブッシュは、より決定的な軍事的な踏み込みを日帝・小泉に迫る。具体的には自衛隊のイラク派兵の実質的な無期限延長であり、血みどろの事態になっても撤退しないという英帝ブレアと同レベルの決断の要求である。さらに決定的なことは米軍大再編(トランスフォーメーション)への全面協力である。日米安保を世界安保化し、かつ対北朝鮮・対中国侵略戦争のための日米安保にするということである。
 日帝・小泉は、自衛隊派兵1年間延長によって米軍と一体化し、反動枢軸を形成して、新しい15年戦争−世界戦争の道に突き進むことを選択したのだ。イラク反戦、自衛隊即時撤退、小泉政権打倒は日本の労働者階級人民のいよいよ重要な任務となった。
 11月16日、自民党憲法調査会の「憲法改正大綱案」が明らかになった。その内容は恐るべきものである。憲法9条にかかわるところでは「自衛軍」を設置し、集団的自衛権の行使と海外における武力行使を容認している。国家緊急事態の布告権を認め、基本的権利・自由の制限を明記している。天皇の元首化も書き込まれている。
 自衛隊を「自衛軍」とし、集団的自衛権の行使を認め、海外における武力行使を容認するということは、要するに世界中に軍隊を派兵し、戦争できるということだ。
 天皇の元首化は、ほとんど戦前の天皇制の復活を意味する。今の「象徴天皇制」でも学校教育においては「日の丸・君が代」の強制が始まっている。「元首」化された場合、愛国心が天皇賛美に直結され、天皇のために戦争に動員するシステムがつくられていく。国家丸ごと戦争国家になるということだ。
 米英日枢軸をもって世界戦争へと突き進んでいく情勢に本格的に対応し対決する形で、日韓米労働者の国際連帯のもと11・7労働者集会が圧倒的にかちとられたことは実に決定的だ。帝国主義の侵略戦争と民営化と大失業攻撃に、プロレタリアートの団結と国際的内乱の嵐をもって反撃していくこと、そうした実践が力強く始まったのだ。

 第2章 日共とカクマルの「12月反動」うち破れ

 11・7集会の歴史的成功に大打撃を受けた日本共産党とカクマルによる二つの「12月反動」を完全に粉砕して進むことが、現下の最大の決戦課題である。
 国労本部酒田・革同執行部が平和フォーラムなど連合幹部や建交労・全労連幹部と結託して強行した11・26日比谷集会は完全に破産した。それは資本・権力と原則的に闘う動労千葉や国労闘争団を排除し、敵対し憎悪することで、1047名闘争解体・国鉄闘争圧殺を狙ったものであったから、当然の結末だった。
 鉄建公団訴訟勝利12・1全国集会は、国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団が、ともに団結して鉄建公団訴訟に立つことを宣言する場となった。ここにいたるまでは日共中央の反動的敵対との大決戦であった。日共中央は動労千葉を排除することを基本方針としてきた。ここには日共中央の労働運動からの召還、階級的労働運動の圧殺というすさまじい変質がある。また「闘争団はイラクへ行け」という国労西日本エリア大会における日共=革同の大反動があった。
 この情勢に対して動労千葉は、「12・1全国集会に向けて訴える。今こそ1047名−3争議団の団結を!」の緊急アピールを出し、非常の決意で12・1集会に結集し、ついに国労・全動労・動労千葉の3争議団・闘争団が登壇して集会を成功させたのである。日比谷野音に集まった4300人の熱く高い連帯がかちとられた。4・13国鉄闘争大集会−10・311047名団結祭りの地平が死守されたのだ。
 連合、全労連の分岐を促進し、11・7集会に結集した4大産別の労働者を先頭に「国労5・27臨大闘争弾圧を許すな! 12・19全国集会」へ総結集しよう。
 もう一つの反動は、カクマルによる「日の丸・君が代」強制拒否−不起立闘争に決起した被処分者の闘いを解体する攻撃だ。
 カクマルは04年3月「日の丸・君が代」不起立闘争から完全にはじきとばされていた。
 これに対して闘う青年労働者を先頭に、われわれは、この闘いを国鉄1047名闘争、有事立法と闘う20労組の闘いに続く階級的労働運動の最大の軸として位置づけて、心から連帯して闘いぬいてきた。8月再発防止研修闘争、都教委包囲デモでの被処分者との大合流をかちとっていった。
 さらに労働者学習センターから『教育労働者の戦争協力拒否宣言』が発刊され、「日の丸・君が代」闘争の武装を強め、11・7労働者集会に被処分者を始めとする全国の教育労働者の総結集を呼びかけて闘いぬいた。11・7集会には多くの被処分者が登壇し、3600人に「日の丸・君が代」闘争への総決起を訴え、感動的な合流がかちとられた。
 これに恐怖したのがカクマルだ。カクマルは「日の丸・君が代」強制拒否の不起立闘争が、11・7の大高揚を突破口に職務命令に抗して爆発することを、何としても粉砕しようとしている。そのために国鉄分割・民営化での大裏切りに続く「告訴・告発」運動の反革命に踏み切ったのだ。
 カクマルは「日の丸・君が代」強制に不起立で闘うことは挑発であり、ハミダシだ、労働組合としては職務命令は拒否できない、闘うべきでないと言っている。それが「告訴・告発」運動である。闘う教育労働者の団結を破壊し、権力の介入を呼び込んで、被処分者の闘い、「日の丸・君が代」不起立の闘いを解体しようとしているのだ。こんな大反動は絶対に粉砕しなければならない。
 全世界的なイラク反戦闘争のうねり、「日の丸・君が代」不起立闘争の爆発の中で、ついに天皇が「『日の丸・君が代』を強制しないことが望ましい」との発言をした。天皇は、強制でなく全国民が心の底から「日の丸」を掲げ、「君が代」を斉唱するようにすべきだ、国家主義教育を行うことが望ましいと表明したのだ。「日の丸・君が代」をめぐる闘争が最大の階級決戦課題になった。
 カクマルの「告訴・告発」運動を粉砕し、05年3月「日の丸・君が代」不起立闘争を爆発させよう。そして教育基本法改悪阻止・改憲阻止の巨大な展望を開こう。
 12・21市民投票7周年名護現地集会に結集しよう。名護現地闘争を闘おう。
 12・4集会を突破口に、全国の力で法大学館闘争の勝利を切り開こう。

 第3章 年末カンパと機関紙拡大の闘いの推進を

 そして05年決戦の勝利をかちとるために、圧倒的な年末一時金カンパを訴えたい。すべての労働者に11・7集会の国際連帯と教育労働者を先頭とする戦闘的労働運動の決起の息吹を伝え、ともに闘い、そしてこれまでを倍する年末カンパを提起しよう。この闘いと一体で機関紙拡大闘争を前進させよう。
 闘う労働者はこぞって革共同に結集せよ。すべての青年労働者はマル青労同に結集して闘おう。

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週刊『前進』(2179号1面2)(2004/12/20)

法政大 学館解体に怒りの反撃 全国の力で決戦勝利誓う

 12月4日、法政大学キャンパスで、「サークル活動の保障なき学生会館解体阻止! 学生の力で大学と教育を変えよう! 12・4全国学生総決起集会」が闘われた。学生会館解体への怒りが渦巻く法大キャンパスに、闘う法大生の呼びかけにこたえ、全国の大学改革攻防を闘う学生100人が結集した。
 集会の始めに、法政大学の学生が次のように訴えた。
 「法大生は学館解体工事を絶対に許さない! 学生会館では、既成の価値観や文化にとらわれず、自主的に文化を創造していく自主文化創造運動が行われてきた。しかし、大学当局は4月の小火(ぼや)を口実に突然閉鎖−解体を決定した。大学理事は『学館は非知性』『サークルなんて必要あるのか』と学生を罵倒(ばとう)し、新施設にはサークルの部室をつくらないと公言している。清成総長は、法大をサークル活動を根絶し、企業の奴隷になる学生=『自立型人材』を育成するための大学にしようとしている。全国に吹き荒れている大学改革攻撃は、小泉=奥田路線と一体のものだ。小泉=奥田路線と対決し、学生の団結で大学を学生の手に取り戻そう! 『日の丸・君が代』強制と闘う被処分者・被解雇者と連帯して、愛国心と能力主義を強制する教育基本法改悪を阻止しよう。階級的労働運動と連帯し、体制変革を掲げて闘おう!」
 また学館のサークル員が、「自分は学生会館でかけがえのない人間関係をつくってきた。学館解体は絶対に認められない!」と熱っぽく訴えた。
 続いて、東北大学、都立大学の学生を始めとする全国の学生が発言に立った。どの大学の発言も、自分の大学の闘いの現状を報告しながら、法政大を頂点とする大学改革攻撃に反撃しようという決意あふれるものだった。
 集会後、参加者は学内デモを行った。キャンパスの学生は、ともにシュプレヒコールをあげるなど、デモを歓呼の声で迎えた。デモ隊は学生部に突入し、学生会館解体に怒りの抗議行動を展開した。学生部の職員は、学生の抗議に何も答えることはできず、黙ってうなだれているだけだった。全国学生の闘いで、法大キャンパスを学館解体への怒りで塗り替えた。
 続いてデモ隊は、キャンパスから街頭へ飛び出し、市ケ谷一周のデモへ打って出た。「学館解体許すな!」「清成総長は学生の前に出て来い!」と訴えるデモ隊に街頭から圧倒的注目が集まり、デモ隊に合流してくる法大生もいた。
 法政決戦は、いよいよこれからが正念場だ。清成路線と対決し、新施設に部室をつくらせよう!
 小泉構造改革の一環としての教育改革攻撃と対決し、小泉=奥田路線を粉砕しよう。階級的労働運動と連帯し、体制変革を掲げた新たな全国学生運動の爆発をかちとろう!

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週刊『前進』(2179号2面1)(2004/12/20)

「不起立は挑発、ハミダシ」?! 「職務命令には従え」が本音だ
 カクマルの告訴運動粉砕を 教育労働者の闘う団結守れ

 カクマルが開始した石原都知事らの「告訴・告発」運動は、東京の教育労働者が立ち上がった「日の丸・君が代」不起立闘争を破壊するためのものだ。「告訴」運動批判に追いつめられたカクマルは、自らが「告訴・告発」運動の首謀者であることを自認するとともに、ついに「(不起立闘争は)挑発者の扇動」と、不起立闘争への敵対・破壊を真っ向から宣言した。カクマルの「告訴」運動を粉砕することは、教育労働者の未来がかかった重要な課題である。労働者の団結と怒りの総決起でカクマルの「告訴」運動を粉砕し、来春卒・入学式闘争の大爆発をかちとろう。教育労働者の不起立闘争の力でファシスト石原知事を打倒しよう。

 不起立への敵対を公言したカクマル

 カクマル「告訴」運動との闘いは、都高教執行部や共産党系の人びとが言っているような「党派間の争い」とか「内ゲバ」というような問題ではまったくない。日本帝国主義が侵略戦争に突入した時代に、労働者階級はどのように団結を固めて闘うべきかを根本から問う重大問題である。
 カクマルの「告訴」運動は、1980年代に動労カクマルが果たした国鉄労働者への大裏切りとまったく同じ労働者階級への大罪である。カクマルは、国鉄の分割・民営化に闘わずして屈服し、国鉄労働者20万人首切り、国労・動労千葉破壊の先兵となったのだ。そうして生き延びたのが、松崎明が率いる現在のJR総連カクマルであり、JR東労組カクマルである。今、カクマルが「告訴」運動をもってやろうとしていることは、この国鉄分割・民営化時の階級的裏切りに匹敵する、教育労働運動への破壊策動である。
 そのことをカクマルは機関紙『解放』最新号(12月6日付)ではっきりと表明した(同じ内容のビラをカクマルは12月3日の日教組傘下の東京4単組主催の日比谷野音集会でまいた)。
 この文章の中には、今春多くの被処分者を出して闘われた「日の丸・君が代」不起立闘争への感動や共感、連帯の一言もない。逆にそれを非難し罵倒(ばとう)する言葉を書き連ねて、次のように記している。
 「中核派はいま……口を開けば『不起立』『不起立』と叫びたて、『不起立宣言をせよ』などと煽(あお)っている」「これは、まさに弾圧・処分引き出しを自己目的化した挑発者の扇動以外のなんであるのか」「組合員たちに“派手な”闘争形態だけをおしつけるものでしかない」
 これは、中核派への「批判」の形をとっていても、本音は「日の丸・君が代」不起立闘争への憎悪と敵対を露骨に表明したものだ。カクマルは“不起立闘争は権力の弾圧・処分引き出しを目的とした挑発者の仕業だ”と宣言したのである。
 労働運動の歴史の中で、「挑発者」という非難は、国家権力に屈服する者、裏切り者が、先頭で闘う者を非難するために投げつけてきた言葉である。この一言をもって、カクマルが裏切り者、労働者の敵であることを示している。
 「派手な闘争形態を組合員におしつけるもの」とは何という言いぐさか! 卒業式を前にして悩み苦しみながら、処分を覚悟して不起立を貫いた教育労働者の思い、その人間的で階級的な魂を、カクマルは「派手な闘争形態」の一言で切り捨て、「挑発者」呼ばわりしているのだ。何という腐りきった連中だろうか。
 カクマルが言いたいことは、“不起立するのは挑発者であり、ハミダシだから、処分されても当たり前だ”ということである。実践的には“弾圧・処分を受けるような不起立はやめて、10・23通達を守って起立・斉唱せよ”ということである。カクマルは石原・都教委になり代わって、職務命令に従い起立・斉唱することを教育労働者に要求しているのだ。そして、脅迫・強要を受けたと警察にかけこもうというのが「告訴・告発」運動なのだ。
 カクマルは「事情聴取は、なにもこわいものではありません」とか、「柔道のように敵の力を利用して敵を倒すこともできるのです」(「告訴」運動を呼びかけた11・25付文書)と言う。労働者が団結して階級敵=国家権力・資本家と闘うという労働運動の原則を否定して、国家権力=検察を「利用する」などというのは、労働運動への許しがたい敵対行為である。
 石原・都教委の03年10・23通達は、「日の丸」掲揚と「君が代」起立・斉唱を、処分の恫喝をもって教育労働者に強制した。だが、これに対して数百人の教育労働者が不起立を貫き、10・23通達を実力で粉砕した。この教育労働者の処分を恐れない不起立闘争に、全国の労働者が産別をこえて励まされ、勇気を与えられ、「この決起に続こう」といううねりがつくり出され、労働運動の戦闘的活性化が切り開かれた。
 ところが、カクマルは10・23通達の核心点=職務命令―処分攻撃との対決を放棄しているのだ。教労カクマルが不起立闘争から逃げ回っていることは、教組で闘う人なら誰でも知っていることだ。
 都高教のカクマルは10・23通達に全面屈服し、都高教本部の「職務命令には従う」という全面屈服方針の忠実な実践者となった。そして、カクマルの思惑を超えて数百人の教育労働者が処分覚悟で「日の丸・君が代」不起立闘争に決起すると、驚きあわてて、運動への介入を策してきた。そして今や、来春の「日の丸・君が代」闘争が爆発することをなんとしても抑え込むために、“「君が代」不起立闘争ではなく、告訴運動を”と、闘いを変質させようとしているのだ。
 カクマルは、7月の都高教大会を報じた8月16日付の『解放』で、「組合運動とは別のところで戦闘的闘いをハミダシ的につくりだそうとする一部の傾向」と非難し、立ち上がった都高教組合員を「ハミダシ」と罵倒した。都高教執行部の「職務命令には従え」という制動を打ち破って、現場組合員が「君が代」不起立闘争に立ち上がったことに反対し、「労組の枠をはみ出すな」と、腐敗した幹部による組合支配を擁護しているのだ。口先で組合幹部を批判しているかのポーズをとって、実はカクマルの攻撃の矛先は現場組合員の実力決起に向けられているのだ。
 しかも、これはJR東労組元委員長・カクマル松崎明の戦争協力宣言と完全に軌を一にしている。
 「戦争が起これば軍需輸送ということもあり得ますよね。……はっきりしているのは、法律で決まっていることは犯さないということ。労働組合としてははっきりしているわけですよ」(『創』12月号)
 カクマルの告訴運動の狙いは、松崎の言葉にはっきりと示されている。“「日の丸・君が代」不起立は組合運動からのハミダシだ。労働組合としては職務命令=10・23通達に従うべきだ。ハミダシの運動はつぶせ”と言っているのだ。

 被処分者の運動にぶつける意図鮮明

 「告訴」運動は、カクマルが文化人や弁護士をだまし利用して仕組んだ運動である。カクマルは『解放』でそのことを次のように告白している。
 「(中核派は)警察権力筋が流しているいかがわしい怪文書を『カクマルの内部文書』などとでっちあげてデマ宣伝に狂奔(ママ)している」
 ここでカクマルは革共同が『前進』2176号(11月29日付)で取り上げ暴露した文書の存在をはっきりと認めた。その上で、“これは警察権力筋が流している怪文書だ”などと大うそをついている。冗談ではない。革共同が暴露した文書は、10月30日の被解雇者の会の報告集会で、カクマル自身がコピーして参加者にばらまいた文書なのだ。怪文書でも何でもない。多数の人が手にして、すぐにカクマルのものと分かった文書だ。これを「警察権力筋が流している怪文書」と言うのなら、それはカクマルが警察権力とつながっているということだ。
 この文書は「告訴」運動に「テキーラ」という暗号名をつけている。カクマルの内部文書であることは、隠しようもない事実だ。そして、その後の経過は、文書に書かれていたとおり、後藤昌次郎弁護士らが代理人となって「告訴・告発」が12月1日に行われた。しかも告訴人は7人だけ、カクマル党員が丸裸で記者会見に登場した。
 どうして、まぎれもないカクマルの内部文書を、うそをついてまで否定しようとするのか。それは、この文書にはカクマルの反労働者的な狙いがあけすけに語られているからだ。「(被処分者の会などの闘争に)別のものを外からぶつけるという印象にならないように工夫する必要がある」とか、「そのためには彼らの中心メンバーも加え」などと、カクマルが「告訴」運動にかけた反労働者的な狙いを語っているのである。
 「組合員たちや法律家や市民によって」とか「後藤昌次郎弁護士らが呼びかけた……告訴運動」などと言うが、この内部文書には、発起人の人選や、事務局を固める方針まではっきりと記載している。
 あらためてはっきりさせよう。今回の「告訴」運動は、何か教育労働者や文化人・弁護士が「日の丸・君が代」不起立闘争に連帯し、その勝利と発展のために始めた運動ではないのだ。「君が代」不起立闘争を「ハミダシ」「挑発者」「派手な闘争形態」と憎悪し罵倒するカクマルが、不起立闘争を妨害し破壊するために始めた、実に反労働者的な運動なのである。

 「暗黒」論うち破り卒・入学式闘争を

 カクマルの「告訴・告発」運動の根底にあるものは、「労働者は国家権力と闘っても勝てない」という「権力万能」神話であり、労働者の自己解放闘争への不信である。ブッシュが再選されて「現代世界は暗黒の21世紀へ推転している」というのがカクマルの世界観である(『解放』11・15付)。だから“こうした時代には労働者は弾圧されるから国家権力と闘うべきではない。労働組合の枠をはみ出すべきでなく、その統制に従うべきだ。弾圧や処分を受ける運動は、挑発者の運動であり、粉砕の対象だ”というのがカクマルの本音だ。
 日本帝国主義は今、未曽有(みぞう)の体制的危機の中で、生き残りをかけて、〈外への侵略戦争>と〈内への階級戦争>を強めている。「日の丸・君が代」強制は、教育労働者を天皇制と国家権力に屈服させ、戦争教育の忠実な担い手にしていこうとする大攻撃である。
 だが、都の教育労働者は10・23通達を断固拒否して不起立闘争を闘ったことによって階級的団結をうち固めた。そして、予防訴訟原告団、被処分者の会、被解雇者の会と弁護団の団結を一層強くし、意気高く闘いぬいている。この団結の力こそ石原・都教委の10・23通達と処分攻撃を粉砕する最大の力なのだ。そして、それが教育基本法改悪阻止・改憲阻止闘争を爆発させる大きな力になる。
 11・7労働者集会に、被処分者を先頭に多くの教育労働者が他産別の労働者と大合流して闘いをけん引したことは、日本の労働運動の未来を切り開く決定的な意義を持っている。
 カクマルの「告訴」運動を全労働者の怒りで粉砕しよう。来春卒・入学式で、全国で数千、数万人規模の不起立闘争をかちとろう。

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週刊『前進』(2179号2面2)(2004/12/20)

板橋高校事件 元教員への起訴弾劾 刑事弾圧粉砕へ闘おう

 東京地検は12月3日、今年3月の板橋高校卒業式で週刊誌のコピーを配布するなどした同校の元教員を、威力業務妨害罪で在宅起訴した。「日の丸・君が代」強制に抗議の声を上げただけで起訴という暴挙を、徹底的に弾劾する。
 そもそも、元教員が「式を妨害した」などという起訴理由自体、百パーセントデッチあげである。
 2年前まで同校に勤務していた元教員は、教え子の卒業式に来賓として出席した。あまりにも異常な卒業式のありようを語りかけながら「日の丸・君が代」に関する『サンデー毎日』のコピーを保護者に配布して、校長に退去を命じられて退出した。開会の15分も前の出来事であり、「威力業務妨害」にあたることは何ひとつ存在しなかった。
 元教員が退出した後に始まった卒業式では、「君が代」斉唱時に卒業生の9割が着席した。式に参列していた板橋区選出の民主党都議・土屋敬之は、この事態を目の当たりにして、激高して卒業生に「立て!」と怒鳴り散らしたが、卒業生たちは応じなかった。
 土屋都議や都教委は事態に驚愕(きょうがく)し、“生徒に起立しないよう挑発した人間がいるはずだ”と「犯人探し」を始めた。生徒たちが自らの判断で「日の丸・君が代」を拒否したことを認めたくないからだ。警察を差し向けて校長と都教委に被害届を提出させ、学校の教員を取り調べた。さらに5月に元教員宅への家宅捜索を強行。10月7日には元教員を書類送検した。そしてついに不当起訴に踏み切ったのだ。
 警視庁公安部、東京地検公安部は、石原・都教委と一体となって、「日の丸・君が代」闘争を力ずくで押しつぶすための刑事弾圧にうって出てきたのである。元教員を起訴したのは、今年3月、自衛隊官舎にイラク派兵反対のチラシを配布した3人の反戦活動家を住居不法侵入罪で起訴した公安検事である。
 こんな弾圧がまかり通れば、式場内で抗議の声を上げることや式当日に校門前でビラをまくことまで、威力業務妨害罪として刑事弾圧の対象とされかねない。
 神奈川県教組委員長の公選法違反での起訴と有罪判決、自民党による山梨県教組の政治資金規正法違反での告発の動きなど、日教組を標的とした刑事弾圧が強まっている。刑事弾圧と不屈に闘い抜くことなしに、教育労働者の勝利はない。
 デッチあげ不当起訴を徹底弾劾し、「日の丸・君が代」闘争への警察権力の介入を絶対にうち破ろう。
 カクマル「告訴」運動は、元教員を告訴した東京地検にすがりつき、検察・警察の「日の丸・君が代」闘争への介入を招き入れるものだ。「告訴」運動を完全粉砕し、来春「日の丸・君が代」闘争へ闘おう。

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週刊『前進』(2179号2面3)(2004/12/20)

日教組東京4単組集会 “処分撤回取り組め” 被処分者の発言に共感

 12月3日夕、「学校に『命令・強制』はいらない! 子どもの人権侵害は許さない! 12・3東京の権力的教育行政打破、全国総決起集会」が、日比谷野外音楽堂で開催された。
 この集会は、東京の被処分者の闘いが全国の「日の丸・君が代」闘争を力強くけん引する中で、日教組傘下の東京4単組(都高教、東京教組、都障労組、都校職組)が主催し、日教組が共催した。日教組本部は当初、被処分者に発言させないまったくアリバイ的な集会にしようとしたが、現場組合員が執行部を突き上げ、被処分者である東京教組傘下の八王子教組副委員長と都高教第2支部長の発言を受け入れさせた。
 会場入り口では多くの被処分者、被解雇者、支援の仲間が処分撤回闘争を訴えるビラをまいた。被処分者は「教基法の改悪をとめよう11・6集会には5000人以上が結集し、『処分を覚悟で不起立を貫いたことは、教育現場の自由を守る貴重な闘いであり、教基法改悪の実質的な先取りに対する抵抗運動です』とアピールを発しました。しかし都高教本部は被処分者の発言さえ認めません」と弾劾した。熱い訴えが参加者の共感を呼んだ。
 集会は集会名称にも決議案にも「処分撤回」の一言もないものだったが、被処分者の申し入れにより、都高教委員長の主催者あいさつと都高教書記長の基調提起において、「撤回を求める」「単組でなしえる限りの支援の体制をとる」と発言させた。
 八王子教組副委員長は「不服従を貫いた被処分者に対し、校長が『あなたは私と合わないので異動してもらいます』と言い、ささいなことにも命令が行われている。戦争への動きをとめるために闘う」と発言。都高教第2支部長は「『教え子を戦場に送らない』のスローガンが真に問われる時代の中で、ギリギリの選択として不起立した。それ以降、被処分者をみんなで支え合おうと取り組んでいる。不当処分撤回へ全国レベルで取り組むことを確認したい」と訴え、大きな拍手が送られた。
 決意表明では、同じく被処分者である都障労組委員長が「私たちは教師という職業を続けられるのかと深刻に悩んで、予防訴訟を提訴した。日教組は処分された人を全力で支援してほしい」と激しく訴えた。会場からは「そうだ、日教組は闘え」という声が上がり、拍手がわいた。「障害を持ち泣き叫ぶ子どもを保護者が起立させ、斉唱させている姿を見て、戦争への道を許さない闘いを決意した」という発言に、参加者の誰もが心を打たれた。
 現場労働者からは被処分者に熱いエールが送られたが、参加者数は約1500人と少ない。日教組本部や東京地公労、都労連の発言は石原都知事と都教委の攻撃の激しさを強調するばかりである。意気の上がらない発言に嫌気がさして途中で帰る参加者もいる。組合員は日教組本部や都高教本部のアリバイ闘争に背を向け、被処分者の闘いにこそ大きな共感と連帯を寄せているのだ。
 現場組合員の力で組合を変えていく、ランク・アンド・ファイル運動が確実に始まっていることを確信させる集会だった。
 被処分者を軸に、05年卒・入学式で東京と全国の不起立・不服従闘争を爆発させ、教基法改悪阻止を闘う日教組運動の再生をかちとろう。

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週刊『前進』(2179号2面4)(2004/12/20)

「教育改革」攻撃と対決を
教基法改悪と一体で免許更新制−新勤評−学テ導入

 05年春の「日の丸・君が代」決戦を前に、小泉政権と中山文科相による一大教育反動攻撃がうち出されている。全国の教労戦線は、11・7労働者集会に合流して立ち上がった東京の被処分者たちを先頭に、これらの「教育改革」攻撃と日々対決しながら、そのすべてを集約する決戦として来春の卒業式一斉不起立闘争に全国で総決起しよう。

 教育労働者の「血の入れ替え」

 教育基本法改悪の大攻撃が打ち出されている中で、次々と義務教育制度への攻撃が繰り出されている。
 中でも重大なのは、河村前文科相の個人的提案として出された「義務教育の改革案」(8月10日)の最大の柱である教員免許更新制である。10月20日には中山文科相が中教審に諮問し、教員養成制度と免許制度そのものの見直しまで検討が始まっている。
 その狙いは鮮明だ。「日の丸・君が代」強制に不屈に抵抗する東京の教育労働者の大量決起に対して、「指導力不足」や「不適格」扱いだけでは排除しきれず、人事考課制度によっても制圧できないことが突きつけられた結果、教育労働者を制度的に丸ごとふるいにかけようとしているということだ。
 戦後教育と日教組運動を担ってきた教育労働者をそのままにしておいては、教育基本法改悪が狙う新たな戦時教育は貫徹できない。もともと「教員資質の向上」策も人事考課=新勤評攻撃も、国家主義的教育の担い手づくりのためのものであったが、今春の「日の丸・君が代」決起と大量処分への不屈の抵抗が、これらの教員管理統制政策を大きくうち破ったのだ。
 教育労働者の「血の入れ替え」を狙う教員免許更新制の導入をなんとしても阻もう。

 団結破壊の新勤評に広がる抵抗

 人事考課=新勤評の攻撃は、勤評闘争の地平を解体して教員賃金に査定を導入し、教育労働者の団結を破壊しようとするものだ。評価結果を昇給や人事異動に反映させる石原都政の攻撃が、一気に全国に広がろうとしている。
 04年に「評価・育成システム」を本格実施した大阪府教委は、06年度から評価結果の賃金反映を導入すると府議会で答弁した(10月4日)。今年度の評価結果を「来年度の人事異動の参考にする」とも表明している。そのほか「新しい歴史教科書をつくる会」前副会長の高橋史朗を教育委員に内定した埼玉県教委も6月に、教員賃金を成果主義で差別化する検討を始めることを打ち出した。
 来年通常国会で見込まれていた公務員制度改革法案の成立がままならない中で、三位一体改革の動きとも連動しながら都道府県単位で教育労働者の賃金制度がバラバラにされようとしている。このこと自体、日教組運動に対する分断・団結破壊の攻撃である。
 しかしながら、この大攻撃に対する教育労働者の反乱が始まっている。大阪府では、02年試験実施、03年試行実施を経て本格実施となった今もなお、10%を超える現場教育労働者が評価システムの自己申告票不提出の抵抗を続けている。新勤評攻撃の全国化にともない、これに抵抗する教育労働者も全国に拡大していくに違いない。
 東京の数百、大阪の5千余の抵抗を起点に全国へ反乱を拡大し、公務員制度改悪攻撃を粉砕していく壮大な闘いも絶対に可能だ。

 学校選択自由化で競争駆り立て

 東京・品川区から始まった通学区域弾力化・学校選択自由化の攻撃が徐々に全国化し、同時に2学期制の導入が広がっている。総じて、戦後の教育制度のすべてを対象にして改革が進められようとしている。いわば「改革のための改革」というようなものをも含めて、全国の教育委員会が改革競争にあおられ、学校現場に際限のない混乱が引き起こされている。
 中でも重大な攻撃は小・中学校の選択自由化である。学力テストの実施や学校評価制度などと合わせて、小・中学校の教育労働者は教委と校長支配のもとで競争に駆り立てられようとしている。高校の「多様化」「特色づくり」と統廃合の攻撃を進めてきて、いよいよ義務教育制度に全面的に手をつけようとしてきているのだ。
 これらの攻撃は、保護者を消費者に見立てて学校教育に市場原理を持ち込み、教育保障のすべてを「自己責任」にすり替えて、国家権力と支配階級の利害に直結する「人材育成」を最優先させていこうとするものだ。教育基本法改悪攻撃と完全に連動したものだ。
 このような攻撃を絶対に容認することはできない。悪無限的な多忙化と教育破壊を許さないため、「基礎・基本に徹した当たり前の義務教育学校」を堅持する抵抗闘争をつくり出していこう。小・中学校段階での「地元集中運動」のような取り組みも含め、職場・分会からありとあらゆる抵抗・非協力の闘いを始めよう。

 学力テスト再開し教育内容統制

 自民党・文科省(文部省)が戦後一貫して追求してきた教育反動攻撃の中で、最後のものとして全国学力テスト再開の方針が打ち出された。
 学力テストを独自に実施する都道府県・政令指定都市の教育委員会が、すでに全体の8割を超えた(4月時点の文科省集計)とされている。これまで進められてきた各学校の「多様化」や「個性化」との整合性もなしに打ち出されたものであるが、小泉=奥田路線において、競争と国家統制はひとつの攻撃の両側面にすぎない。
 「つくる会」教科書の05年大量採択の策動と合わせて、教育内容に国家統制を徹底していくための大攻撃となるだろう。

 「日の丸・君が代」闘争で総反撃を

 これら諸々の教育改革策が中教審に諮問され、教育基本法改悪の法案作成の「準備作業」と並行して、教育基本法改悪体制が準備されようとしている。これに対して教育労働者はいかに闘うべきなのか。
 まず第一に、「日の丸・君が代」抵抗闘争や新勤評攻撃をめぐって闘われている個々ばらばらの抵抗を、団結した反乱へと組織していくことだ。
 第二に、これらの抵抗闘争を全国的総反乱へと組織して闘い、教育基本法改悪阻止の大闘争へと集約して闘うことだ。
 第三に、一切は日教組の問題である。「日の丸・君が代」攻撃や新勤評攻撃を始め、すべての攻撃が都道府県ごとに各個撃破的にくり出され、日教組・全教両本部の無方針のもとで後退を余儀なくされてきた。日教組の階級的路線を今こそ再構築して闘おう。
 すでに04年春の東京の「日の丸・君が代」闘争において、具体的闘いが開始され、その展望が示されている。予防訴訟原告団の組織化の教訓と被処分者の総団結に学ぼう。これを先頭にして、学校現場で個々抵抗を繰り広げている教育労働者たちが、日教組の中のランク・アンド・ファイル運動として団結し、11・7労働者集会に結集した闘う労働運動のもとに合流していくことだ。11・6教育基本法改悪反対集会の全国陣形をけん引して全国教育闘争を日教組運動の再編と再生をかけて闘おう。
 05年は、実に歴史的な教労決戦の年となる。その一切は05年春の卒業式「君が代」闘争にかかっている。
 全国各地で予防訴訟を含めた先制的な闘いをつくりだし、神奈川・埼玉から全国へ、教育労働者の総反乱をつくり出し、教育基本法改悪・憲法改悪との階級決戦に勝利しよう。

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週刊『前進』(2179号3面1)(2004/12/20)

アクションプランUと対決を
郵政民営化に向けた大合理化推進するJPU中央打倒へ

 小泉政権は、来年1月末にも郵政民営化関連法案の素案を決め、3月下旬にも通常国会に法案を提出する。一方で郵政公社は、アクションプランによる1万7000人削減(03〜04年度)に続くアクションプラン・フェーズU(05〜06年度)で、一層の人員削減・合理化を打ち出そうとしている。連合全逓=JPU(日本郵政公社労組)中央は、「民営化反対」と言いつつ、全面的に容認している。国鉄分割・民営化を前にした82年から87年の20万人首切りのような過程が始まっているのだ。JPU中央を断じて許さず、11・7労働者集会に結集した力を強化・拡大し、職場から物ダメ・ストライキで民営化を阻止する力をつくり出そう。

 雇用継続を保証せず賃下げも狙う政府案

 小泉政権は、イラク派兵延長の閣議決定強行など、外への侵略戦争とともに、内への階級戦争を激化させている。郵政分割・民営化を始めとする「骨太方針W」で、国家権力機構内にある全逓労働運動を始めとする官公労系の労組を破壊することが、その最大の核心である。
 9月の「郵政民営化の基本方針」で打ち出した4分社化と非公務員化で大量首切りと活動家パージ、労組破壊の攻撃を押し貫くために、法案の策定作業を進めているのだ。すでにマスコミ報道などで明らかになっているように、「民営化後は一定期間の雇用継続などの保証は行わず、新会社の経営陣の判断に委(ゆだ)ねる」(読売新聞10・20夕刊)ことや、「非公務員になることで民営化会社社員に付与される争議権(スト権)について、郵便事業に従事する社員に対し一定の制限をかける方針」(共同通信10・18)などというものだ。
 「雇用継続保証せず」という読売新聞の記事について、10月22日の経済財政諮問会議で麻生総務相が「組合員の心理状態をいたずらにあおると話が込み入り、……組合との団体交渉ということもあるので、準備室の情報管理をぜひ徹底していただきたい」と注文をつけた。これに対し、竹中郵政民営化担当相(経済財政担当相)が、「余りにもひどい記事であり、正式に準備室の方から新聞社に対して抗議の申し入れをしている」と応じている。
 だが、国家公務員の身分保障を剥奪(はくだつ)することは、雇用継続を保証せず、いつでも首を切れるようにすることにほかならない。実際、諮問会議では誰も「雇用継続を保証する」とは言っていない。「郵政民営化に関する有識者会議」での議論はそのことを裏付けている。
 有識者会議の10月29日の「雇用、待遇のあり方」についての議論では、「職員の新会社等への雇用関係の引き継ぎについては、法律に規定し、確実に雇用を確保する」という政府の郵政民営化準備室の「考え方」に対し、「過去の民営化事例において希望退職制度を設けた例があるのなら、今回、希望退職制度の導入の是非について検討してもよいのではないか」などの「有識者の意見」が出されている。基本方針には盛り込まれなかった「希望退職制度の導入」が、再び浮上しているのだ。「確実に雇用を確保」としながら、実際には、07年分割・民営化以前に「希望退職」という名の退職強要=首切りを大々的に推進せよ、と言っているのだ。新会社発足に伴い、「雇用を引き継ぐ」と言いつつ、この過程で〈いったん全員解雇・選別採用>方式を貫こうとしているのである。
 また、「給与制度等の労働条件に関する事項については、基本的に労使自治に委ねることとしてはどうか」という準備室の「考え方」は、新会社の判断で、首切りや賃下げを自由に行えるようにすべきということだ。「有識者の意見」では、「一般職員の給与体系もインセンティブ(意欲刺激)を高めるよう弾力的にすべきではないか」と、賃金体系の変更=年功賃金制の全面解体が提言されているのだ。
 ここではまた、「経営委員会」(仮称)が、国鉄分割・民営化時の設立委員会のように新会社の採用基準や労働条件などを決める機関として準備されていることも明らかになっている。
 郵政民営化準備室が11月17日、07年4月から10年間の新会社の収支の試算を発表した。分社化して発足する郵便、貯金、保険、窓口ネットワークの4事業会社は、保険が07年度に赤字になる以外は、いずれも基本的に黒字が続く見通しだという。これは、4分社化が可能だという根拠を示すための数字合わせだが、それでも年を追うごとに利益は減少する。人員配置は、民営化時点で郵便12万人、貯金8千人、保険4千人、窓口13万5千人としている(図参照)。これは、現在の27万人余の人員をそのまま新会社に割り振る形になっているが、郵便、窓口ネットワーク会社については、毎年、人件費を削減することを前提とした試算である。公社は新規事業への参入を要求しているが、いずれにしても、大幅な人件費削減、すなわち首切りと賃下げは不可避なのだ。
 労働者の首切り・賃下げを前提とした民営化攻撃そのものを断じて許せない。

 「余剰人員」生み出し人活センター送りに

 さらに、この民営化動向に対応して、郵政公社による民営化そのものの大合理化攻撃が進められようとしている。アクションプラン・フェーズU(05〜06年度の2カ年計画)は、民営化を前にしたすさまじい攻撃として準備されている。
 10月5日に示された「効率化計画概要」(9月末提示)について、JPU本部は、「アクションプラン・フェーズUへの対処を前提とし、今回の提示は受けるにとどめ」るとしていて、その全容を明らかにしてはいないが、今年3月末に極秘裏に提案されたように、郵便内務のアウトソーシングによる「余剰人員」を「人材活用センター」に送り込む(05年4月実施予定)ことなどが準備されていることは明らかだ。
 すでにこの間、現職死亡を続発させている郵便内務への最大4日連続、局によっては4週で10〜11回の深夜勤導入や、JPS(郵政版トヨタ方式)によるスタンディングワーク(立ち作業)が行われている。10月17日から、東京の芝局と荻窪局では、集配の1ネット方式の試行が始まった。これは担当区域のすべての郵便物の配達や集荷を1人の集配労働者が受け持つもので、1日10時間労働(拘束11〜12時間)だ。8時間労働制の全面解体だ。さらに73年以来32年ぶりに1月2日の年賀状配達が再開される。これらの施策に現場の怒りが高まっている。

 「法案通れば『反対』を言わぬ」とJPU中央

 これらの攻撃に対するJPU中央・菰田(こもだ)執行部の対応はどうか。
 彼らは「小泉政権の民営化反対」と言いつつ、公社の合理化施策については、全面的に受け入れようとしているのだ。すでに見たアクションプラン・フェーズUの攻撃についても、組合員にはひた隠しにして公社に合意を与え、来年2月に予定されている中央委員会で「本部一任」とし、推進しようとしている。
 それだけではなく、JPU中央は公社との「パートナー宣言」のもとで、民営化そのものも推進しようとしている。
 この間、彼らは、公社や自民党郵政族とともに民営化に反対すると言ってきたが、自民党郵政関係合同部会は12月1日、民営化を容認する姿勢を打ち出した。
 JPU中央が9月29〜30日の全専従者会議でまとめた〈今後のスタンス>は、「民営化反対の基本的態度は今後も堅持していく」としているが、「一方で、民営化法案の策定作業が進められることを考慮し、制度設計への対応には万全を期す」というものだ。
 各地本に対するオルグでは「音の出ることはやらない。労働条件の低下はやむなし」(本庄副委員長)、
「『民営化反対』は、来年の予算が打ち上がる段階まで『反対』と言うが、6月国会の場で仮に法案が成立したなら、反対から百八十度転換する。雇用協定締結と制度設計に全力を挙げる。条件闘争に入る」(星野東北地本委員長)などと明言している。JPU中央は実際には、民営化攻撃を推進しているのだ。
 このようなJPU中央の反労働者的な民営化推進方針を徹底的に弾劾し、11・7労働者集会に結集したランク・アンド・ファイル(現場労働者)の力で、中央本部を打ち倒そう。郵政分割・民営化絶対阻止の物ダメ・ストライキ方針の確立に向けて職場の怒りを組織しよう。
 年末・年始の年賀繁忙期から怒りの抵抗闘争を開始しよう。

 民営化後の収支試算の前提とした各社の人員
 2007年4月
 純粋持株会社4000人
 −窓口ネットワーク会社13万5000人
 −郵便保険会社4000人
 −郵便貯金会社8000人
 −郵便事業会社12万人

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週刊『前進』(2179号3面2)(2004/12/20)

12・19全国集会に大結集し国鉄闘争勝利の道開こう
5・27弾圧裁判で無罪獲得へ

 国鉄闘争は、その解体を許すのか否かをかけた決戦の渦中にある。国家権力とJR資本の手先へと転落した国労本部=酒田・革同執行部は、国鉄1047名闘争に幕を引き、自ら国労を解体して連合に合流しようと策している。革同に至っては、「イラク鉄道復興支援」の名で1047名のイラク追放を公言し、日米帝のイラク侵略を翼賛するところにまで転落を遂げた。
 鉄建公団訴訟勝利12・1全国集会は、これらの反動と対決して4300人が結集し、国労闘争団・全動労争議団・動労千葉争議団の3者1047名が鉄建公団訴訟を軸に統一した闘いに立つための第一歩を踏み出した。だが、酒田執行部やそれと連動した全労連一部指導部による国鉄闘争解体策動との攻防は、いまだに決着がついてはいない。
 国鉄闘争勝利のためには、酒田・革同執行部を打倒し、国労を闘う労働組合へとよみがえらせることが絶対に必要だ。国労再生のかぎを握っているのは国労5・27臨大闘争弾圧との闘いだ。「国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会」が呼びかける12・19全国集会に総結集しよう。あらゆる反動を粉砕して国鉄闘争を発展させ、05春闘−05年決戦の突破口を押し開こう。

 弾圧の首謀者は酒田・吉田・鈴木

 国労5・27臨大闘争弾圧とは、02年5月27日の国労臨時大会に際し、国労組合員が本部役員らに対して行ったビラまき・説得活動が「暴力行為」にデッチあげられ、戦前来の労働運動弾圧法である「暴力行為等処罰法」が適用された許しがたい弾圧だ。7人の国労組合員と1人の国鉄闘争支援者が不当にも起訴された。
 この大会で、国労本部は鉄建公団訴訟を起こした闘争団員を査問にかけるという裏切り方針をごり押しした。国労大会が機動隊の戒厳体制下に置かれる中で、国労組合員は大会当日の朝、本部役員らが宿泊先のホテルから大会会場に向かう貸切バスに乗り込む機会をとらえて、抗議のビラまき・説得活動を展開した。ところが本部派は、ビラをまこうとする組合員の姿を見るや、3列縦隊を組んで強行突破を図った。それによって生じた一瞬のもみ合いを、東京地本の鈴木勉法対部長が事前に用意したビデオカメラに収め、「暴行された証拠」などとして警察に提出したのである。
 酒田充・現本部委員長や吉田進・現本部書記長らが警察権力と一体となってこの弾圧を仕組んだことは、これまでの公判で赤裸々に暴かれている。
 当日、貸切バスの中から携帯電話で警察に弾圧を要請したのは酒田委員長だ。彼は、撮影したビデオテープを警察に差し出すよう鈴木法対部長に指示し、石井勝幸・本部監査員や江田雄次・東京地本調査部長に「被害届」を出させてもいる。吉田書記長もまた、池田久幸・前長野地本東北信支部委員長ら長野地本の組合員に「被害届」を提出させた張本人だった。

 階級的団結守りぬく闘いの軸に

 国鉄分割・民営化以来、闘う労働運動の結集軸となってきた国鉄闘争の中から、労組幹部が組合員を警察に売り渡すという大反動が生まれたことに、この弾圧の激しさがある。
 今、小泉政権は自衛隊のイラク派兵延長を強行し、日米枢軸を形成して一層深々とイラク侵略戦争にのめり込んでいる。他方で、「骨太方針W」を貫徹して全逓、教労、自治体の労働運動を解体し、それを軸に全労働者階級から団結を奪おうと攻撃を強めている。
 国鉄闘争は、分割・民営化以来、こうした労組破壊攻撃にいち早くさらされながら、これと不屈に闘ってきた。だから小泉政権は、国労本部=酒田・革同執行部を操り、今ここで国鉄闘争を壊滅に追い込もうと総力を挙げているのである。
 この攻撃を根底から打ち破るのが5・27臨大闘争弾圧との闘いだ。無罪獲得・国労再生・国鉄1047名闘争勝利へ、12・19集会への総結集をかちとろう。
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集会要項
 無罪獲得・国労再生! 国鉄1047名闘争勝利!
 国労5・27臨大闘争弾圧を許すな!12・19全国集会
  12月19日(日)13時開場
  東京・星陵会館(千代田区永田町2−16−2)
  ○発起人からの発言 下山房雄(九州大学名誉教授)
           中野洋(国鉄千葉動力車労働組合前委員長)
  ○被告・家族の発言
  ○まとめとお願い  佐藤昭夫(早稲田大学名誉教授・弁護団長)
 主催 国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会
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 国労5・27臨大闘争弾圧公判日程
 第33回 12月21日(火)
 第34回 1月13日(木)
 第35回 2月8日(火)
 第36回 2月23日(水)
*いずれも午後1時15分から、東京地裁

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週刊『前進』(2179号6面2)(2004/12/20)

辺野古 海上戦で掘削阻む “新基地は造らせない”

 沖縄県名護市辺野古での新基地建設阻止の闘いは、11月16日から3週間、ボーリング調査のための掘削作業を実力阻止する激しい海上戦が続いている。
 反対派を暴力的に排除しようとする那覇防衛施設局側の「襲撃」を跳ね返した11・25〜26の激突攻防が一つの転機となった。カヌー隊を先頭とする必死の闘いで、いまだに1本のボーリングも許さない偉大な闘いが繰り広げられている。
 12月1日には台風27号接近で、スパット台船を中城湾港に戻すことや、足場の1カ所撤去、やぐら上の機材撤去などが発表された。
 目の前から巨大なスパット台船が去っていく。歓声が上がった。2週間以上かかって1カ所も穴を掘れず、去っていくその光景は、傲慢(ごうまん)にそびえ立った「バベルの塔」が崩壊していくようだった。反対派はこの時はっきりと実感した。「この基地建設は絶対に阻止できる」と。

 海の三里塚闘争

 11月16日、那覇防衛施設局は、中城湾港からクレーン船でスパット台船や固定ブイなどボーリング用の大型機材を運び込んだ。辺野古沖での海上攻防に突入。
 リーフ内では、作業船から作業員が単管(作業用の鉄パイプ)を海中に投げ込み、それをダイバーが拾って足場を組み立てようとした。ここにカヌー隊十数隻が駆けつけ、身を盾にして単管投げ込みを阻んだ。
 これに対して業者は作業員を増員、カヌー隊を1カ所に集中させないためにも、同時に数カ所で作業を行った。カヌー隊は必死で反撃。熾烈(しれつ)な海上戦が連日続いた。約1週間かけて施設局側が建てたのは、やぐら4カ所、足場1カ所だった。
 反対派は逆にそのやぐらに登り、そこに座り込んでボーリング機材の搬入を阻止する。機材の組み立てを阻止する。「三里塚みたいだな」と、ある人は言った。反対派は「非暴力・徹底抗戦」を掲げて一歩も譲らずに闘いぬいた。
 沖合のスパット台船に対しても、反対派のダイバーは危険を顧みずに次々と海に飛び込み、潜水して進路をさえぎり、調査を阻止し続けた。
 反対派の闘いに強力な援軍が訪れた。国頭村の漁民が大型漁船2隻で駆けつけてきた。「辺野古に基地ができれば沖縄の海が死ぬ。漁業が破壊される」。漁民の決起が沖縄中に広がっている。

 海の利を生かし

 従来、沖縄の反基地闘争は、反戦地主会の闘いに示されるように、土地闘争が重要な位置を占めていた。政府・防衛施設庁は、海上基地建設ならば、土地闘争的な反対運動も起こせないと考えたのか。しかし、海には「土地所有権」はなく、今のところ建設予定ゾーンに自由に入れる。陸上なら土地を奪って囲い込み、機動隊を配備して反対派を排除できるが、辺野古の海では漁業権問題もからんでそんなことはできない。体を張った今の闘いが確実に力となる。
 冬の海は、沖縄でも荒れる。業者は、12月中になんらかの成果をあげないと、1〜3月は絶望的になる。彼らはますます暴力的になっている。12月7日、1人の女性が3bのやぐらから作業船にたたき落とされ、脳震とうを起こして病院に運ばれた。殺人的暴挙だ。

 12月が勝負の時

 12月の現地闘争でボーリング調査を阻止すれば、来年の闘いの展望が明確に見えてくる。勝負は12月にかかっている。
 同時に、全県、全国での闘い、特に首都・東京での新基地建設阻止闘争の新たな発展が決定的である。現地闘争と呼応した巨大な政治行動が必要なのだ。小泉政権を揺るがし、稲嶺県政を追い込む大運動を、全力でつくっていくことだ。
 すでに那覇防衛施設局前ではハンストが闘われている。県庁前座り込みも始まろうとしている。国会前での座り込みなど東京や関西、京都や神戸などで新基地建設反対の行動が連日取り組まれている。この流れを大きな奔流とし、とりわけ労働組合の決起を組織していくことだ。日米の労働者が連帯して闘えば、安保体制も沖縄の基地も撤去できることを11・7労働者集会は示した。
 12月21日の名護市民投票7周年集会に集まろう! 辺野古現地へ駆けつけよう。全国で新基地建設阻止の闘いの取り組みを強化しよう。

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