ZENSHIN 2005/04/25(No2195 p06)

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週刊『前進』(2195号1面1)(2005/04/25)

 ファシスト石原打倒・都議選勝利へ

 侵略戦争を美化し肯定する「つくる会」教科書絶対阻止

 戦争・民営化と闘う労働運動を

 05年冒頭以来の革命的激動は、4月に入りさらに風雲急を告げている。4月5日には「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が検定合格となった。韓国での怒りの決起、中国の抗日デモが激発している。4月7日には都立高での入学式闘争が闘われ、関西では全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧に抗する第1回公判が1200人の大阪地裁包囲闘争として爆発した。21世紀にプロレタリア世界革命を成し遂げようとする者にとって、待ちに待った階級情勢が訪れている。革共同は1〜3月決戦を勝ち抜き、プロレタリア世界革命をたぐりよせる05〜07年階級決戦の劈頭(へきとう)に立っている。4〜6月の都議選を闘いぬき、長谷川英憲氏の当選をかちとってこそ、われわれは「日本における1917年革命」への真の挑戦権を握りしめることができるのだ。

 第1章 国政級の選挙に挑む展望開いた3月決戦

 今や帝国主義は世界戦争へと突き進み、階級闘争は戦時下の闘いに突入した。この05〜07年は、帝国主義支配階級と労働者階級の双方が、生死存亡をかけて歴史的決着を求める決戦である。今次都議選は、05〜07年過程において唯一の国政級選挙であり、革命と反革命が全政治勢力を巻き込んで激突する一大政治決戦となった。
 この決戦を勝ち抜くにふさわしい階級情勢は、1〜3月決戦の勝利によって切り開かれた。「日の丸・君が代」決戦は、その継続・拡大・激化としてのファシスト石原打倒闘争をたぐり寄せた。ファシスト石原打倒の決戦こそ05〜07年の最大の激突点であり、その具体的な攻防の火点は東京・杉並で「つくる会」教科書の採択を阻止する闘いにある。
 この05年の関門を突破しなければ、07年に至る3年間は真の階級決戦にはならない。まさに今この時こそ、革共同と労働者階級は勝負に打って出るべきだ。都議選こそ、05〜07年を決する蜂起戦である。4大産別決戦の前進と完全に一体のものとして、一切の力を投入して長谷川英憲氏の勝利を実現しよう。

 「日の丸・君が代」闘争の一層の激化・発展へ

 まず、3月決戦の徹底的総括をとおして都議選勝利の展望を明らかにしたい。
 3月決戦は第一に、「日の丸・君が代」闘争を基軸に勝利した。石原がファシスト的襲撃として振り下ろした03年「10・23通達」に対し、都高教の教育労働者は04年春、不屈の反撃に立ち上がった。これを起点に開始された大奔流をなんとしても抑え込もうとする大反動を、05年3月決戦は根底的に打ち砕いたのだ。「日の丸・君が代」闘争は、07年に向けてさらに継続・激化・発展していく展望を切り開いている。
 05年3月は昨年とはまったく違う情勢下にあった。何よりも日米帝国主義が枢軸関係を形成し、世界戦争に突き進もうとしている恐るべき情勢が存在した。敵の闘争圧殺策動は激烈をきわめ、日本共産党の制動、カクマルの「告訴・告発」運動、さらにはこれに支えられた都高教指導部の抑圧などが襲いかかった。
 こうした大逆流にもかかわらず、05年の卒・入学式闘争は、新たに決起した教育労働者を含む60人にも及ぶ「不起立」闘争として貫かれたのだ。「日の丸・君が代」闘争は確固として生き残った。高校生のすばらしい決起、全国の教育労働者の強力な決起、支援のビラ入れへの権力の空前の弾圧を粉砕し勝利した闘いなど、闘争の火は広がり、ますます燃えさかっている。
 この決起は戦争教育強制・戦時業務命令への反乱であり、教労を始め全労働者階級の戦争拒否闘争の一大突破口を押し開いた。「侵略を内乱へ」の闘いは、端緒的だが力強く開始されたのである。
 3月決起は日教組の組合権力をめぐる闘争への大きな展望をも切り開いた。ぎりぎりの攻防を貫く中で、日教組再生への戦闘的指導部の形成が始まっている。
 3月「日の丸・君が代」闘争は、ファシスト石原に痛打を浴びせた。この勝利は、今日の階級闘争の最大の環がファシスト石原との対決にあることを鮮明にした。都議選決戦を闘い勝利できる情勢が切り開かれたのだ。
 すでに戦争に突入し、教基法改悪・改憲に突き進む日帝にとって、「日の丸・君が代」の強制に続き教育現場を「つくる会」教科書で制圧することが絶対的課題になっている。その最先兵こそファシスト石原だ。「つくる会」教科書の採択を阻止する闘いは、教労を始め全労働者階級の決戦課題にせり上がっている。これは、「日の丸・君が代」闘争の直接の継続・激化として貫かれるファシスト石原打倒の決戦攻防である。
 1〜3月決戦は第二に、昨年の11・7労働者集会の勝利的地平を堅持・発展させる闘いだった。
 05年冒頭、ブッシュは大統領就任演説と一般教書演説で世界戦争への突進を叫びたて、日帝は1月18日の日本経団連の二つの提言で改憲への突撃をぶち上げた。こうした中で、国家主義・愛国主義・排外主義が鼓吹され、石原ファシスト一派の台頭が始まっている。
 これと重なり連合は改憲推進勢力へと急速に転落し、自治労・日教組をも改憲派に変質させる大攻撃が仕掛けられている。こうした歴史的反動は、ファシスト石原打倒闘争とともに、自治労、教労、全逓(JPU)、国鉄の4大産別における労働組合解体攻撃との全面対決を階級決戦の最大攻防に押し上げている。
 国家主義・愛国主義の洪水と労働組合解体攻撃の歴史的大反動は、プロレタリア国際主義と労働組合の新たな団結を呼びかけた11・7集会の地平とは非和解的に激突する。11・7の地平を堅持・発展させる壮絶な死闘の中から、教労を先頭とする4大産別決戦と石原打倒決戦の一体的前進が本格的に始まったのである。
 その闘いの最先端にあったのが、「日の丸・君が代」決戦とともに動労千葉のストライキだった。それは、レール破断の続発に対して運転保安確立を求める正義の闘いであり、「国鉄改革の総決算」攻撃・1047名闘争解体策動を根底から跳ね返す闘いだった。またそれは、11・7集会を呼びかけた3労組の共闘と日米韓の3国労働者の階級的連帯を守りぬく闘い、とりわけ関西生コン支部への大弾圧に対する反撃として貫かれた。さらに動労千葉は、「日の丸・君が代」闘争への熱い階級的連帯に燃えてストライキを貫徹した。ここに、4大産別決戦とファシスト石原打倒闘争への一大号砲が打ち鳴らされたのだ。
 これと固く結びつき、05春闘のど真ん中で階級的労働運動の反転攻勢をこじ開けたのが、全金本山闘争の勝利である。
 さらに3・20国際反戦共同行動の高揚によって、陸・海・空・港湾労組20団体の闘いが、イラク軍事占領反対・改憲阻止を掲げた、かけがえのない労働組合の統一戦線としてよみがえった。
 3月決戦は、闘う労働運動の新潮流の巨大な発展をかけた今秋決戦への進撃路を切り開いている。その決定的跳躍台が都議選決戦だ。郵政民営化をめぐり、自治労、日教組の改憲勢力化をめぐり、4大産別決戦が死活的になればなるほど、ファシスト石原打倒の4〜6月都議選決戦に集中的に決起し、勝利することが必要不可欠なのである。

 第2章 選挙区全体ゆるがす革命的宣伝・扇動戦を

 1〜3月決戦の勝利を踏まえ、今次都議選決戦の意義を明らかにしたい。
 一つは、今次都議選を新指導路線に基づく選挙闘争として徹底的に闘うことである。4大産別決戦を闘いつつ、今日、一大決戦場となった都議選を基軸に総決起(総蜂起)することは、「労働者階級の今日的階級的決起を最大に切り開いていく」新指導路線の当面の最も正しい闘い方だ。「日の丸・君が代」闘争を先端とする4大産別決戦を石原との対決に絞り上げていくことは、戦闘的労働運動の防衛と発展にとって必要不可欠である。
 今一つは、新指導路線の実践として、選挙区の労働者階級人民総体を対象に、選挙区全体を揺るがす一大政治決戦情勢をつくり出すことである。
 そのために1〜3月の「日の丸・君が代」決戦で実践的に積み上げてきた宣伝・扇動の変革をさらに強力に推し進め、革命的宣伝戦を圧倒的に貫徹しなければならない。
 新指導路線の実践として都議選を闘い勝利することをとおして、新指導路線自身の一挙的な前進は切り開かれる。
 ファシスト石原打倒闘争における宣伝・扇動は、労働者階級を主体に据え、その分岐・流動を推し進めて総決起をつくり出し、さらにその決起を支持し促すものとして繰り広げなければならない。これまでのレベルを超え、石原=山田的勢力を実際に打倒していく一大政治闘争、一大イデオロギー闘争の爆発の中で、都議選の勝利も戦取される。
 一つは、ファシストへの怒りで満身武装することである。ファシスト石原は、日本の労働者階級を帝国主義戦争に駆り立て、踏みにじり、殺した歴史、アジアを植民地支配し、何千万のアジア人民を虐殺、収奪した歴史を、ウソとデマゴギーで平然と開き直っている。これへの猛然たる怒りをたたきつけていくことである。
 今一つは、帝国主義は打倒されるほかにないと言い切っていくことである。今や帝国主義は完全に行き詰まり、腐りきって再び侵略戦争に突っ込んでいるのだ。帝国主義は労働者階級を食わせていくこともできなくなったのだ。
 一切は、右翼ファシストの毒々しいエネルギーをそれ以上のエネルギーで跳ね返す、全身にたぎらせた迫力である。

 小泉=奥田の最先兵を打倒する労働者の力

 次に、小泉=奥田路線の最先兵としてのファシスト石原を打倒する闘いの革命論的意義を明らかにしたい。
 小泉=奥田の攻撃は、帝国主義の危機への激しい焦燥感をあおりたて、戦後体制とその価値観・イデオロギーを半ば暴力的に破壊して、ただひたすら日帝ブルジョアジーの延命を図ろうとするものだ。既存の社会体制を破壊し、その結果引き起こされる一切の矛盾を労働者階級に押しつける。それはきわめて凶暴だが、絶望的で破産的な攻撃だ。
 したがってこれは労働者階級の怒りの爆発を必ず引き起こす。だから日帝権力は、あらゆる権力機構、あらゆるイデオロギー、あらゆる反動勢力を動員して労働者階級の闘いと団結を圧殺しようとする。その決定的な手段のひとつが、ファシストの動員・利用なのである。
 戦争・戦争国家に突き進む日帝にとって、石原はそのファシスト先兵としてきわめて有用なものになっている。特にその教育政策において日帝ブルジョアジー本流と一体化していると言っていい。
 石原は国家全体の権力を掌握することはできないが、最大の自治体である東京都知事としての権力を手にしている。都は国ではなく自治体であるという「すき間」を突いて、石原は半ば国家がなすべきことを都において強行しているのだ。
 しかも、国家がいまだ公然とはできないこと、つまり憲法や教基法を実質的に廃棄し、既存の法律を無視して教育改革(改悪!)、民営化、社会保障制度解体のファシスト的改革を好き放題に強行している。その最たるものこそ「10・23通達」だ。こうして石原は小泉=奥田路線を牽引(けんいん)し、東京を突破口にその全国的拡大を図っている。
 石原は日帝権力機構や警察に依拠してファシスト政策を実行している。石原のファシスト支配の実体は帝国主義支配にある。既成の権力構造は根本的に変えずに反動を促進する、反革命的大衆運動をやらずにファシスト政策を推進するという、独特のファシズムなのである。
 このような石原のファシスト支配の構造には、決定的な矛盾と弱点がある。石原自身、支配階級の一員であり、労働者階級をけっして獲得できず、民間ファシスト運動を組織することができないのである。突撃隊、親衛隊やヒトラー・ユーゲントを持たないまま、それを公安警察が代行する構造なのだ。労働者階級が団結して立ち上がれば、そのファシスト暴力を無力化させ打ち破ることは必ずできる。これは3月「日の丸・君が代」決戦の教訓である。
 石原は東京における反動的突出を全国に拡大しようと策している。神奈川県知事、横浜市長、埼玉県知事などをすでに石原派として結集し、あわよくば千葉にまで自己の「勢力圏」を拡大しようとしている。何よりも東京・杉並区の山田区長が石原直結のファシスト区政を強行している。山田の主張は百パーセント石原と、また「つくる会」と同じなのだ。
 その杉並区を、石原一派は「つくる会」教科書採択の全国的拡大に向けての最大の突破口に位置づけている。石原打倒闘争の当面最大の攻防点は、「つくる会」教科書の採択を絶対に阻止することにある。杉並をファシスト打倒の主戦場にしなければならない。都議選における長谷川英憲氏の勝利こそ、この決戦の最大の焦点なのである。

 第3章 天皇と国家のために死ねと教える教科書

 「つくる会」教科書の特徴は何か。
 第一は、帝国主義の危機に対する焦燥感をむき出しにしていることだ。今春「日の丸・君が代」攻防でファシスト一派はより一層の危機感を募らせている。
 第二は、明治国家を徹底的に美化していることである。そこにあるのは、天皇制ボナパルティズム下での民族主義・国家主義・国粋主義による“国民的統一”なるものへの限りない憧憬(しょうけい)である。天皇制下の侵略戦争と領土拡大の肯定・美化である。今や、日帝ブルジョアジー本流が、これを自己の基軸的なイデオロギーとするに至っている。
 だが、その明治国家は、15年戦争に突進し、惨憺(さんたん)たる敗北を喫してボロボロになって崩壊した。それが明治国家の必然的帰結だったのだ。
 第三は、“愛するもののために死ななくてはならない。愛するものとは国家である”というファシスト的価値観だ。
 プロレタリアートにとって、自己の解放と階級の解放はひとつのことである。プロレタリアートは、自らが属する階級の根源的な解放(それは同時に全人類の解放である)のために「個に死して類に生きる」存在だ。プロレタリア自己解放の闘いは、コミューンすなわち「真の共同体」をつくり出す。しかし、ファシストが掲げるものは、これとは正反対の国家という「幻想的共同体」だ。「つくる会」教科書を貫くものは、階級対立を押し隠し、ブルジョアジーのための国家に「至高の価値がある」という虚偽のイデオロギーにほかならない。
 ファシズムは二つの絶望・焦燥に駆られて登場した。一つは、帝国主義・資本主義の危機に対する絶望的焦燥である。もう一つは、帝国主義を転覆しようとするプロレタリアートの団結と闘い、革命への絶望と恐怖である。ファシズムは労働者階級の団結破壊を養分にする。スターリン主義や社会民主主義の腐敗と堕落によって労働者の階級的団結が崩された時、ファシズムはプロレタリア運動への絶望を糧に跋扈(ばっこ)するのだ。
 “国家、天皇のために死ぬ”ことを押し出すファシズムに対して、階級的解放のために闘うプロレタリアートの団結を真っ向から対置しなけれならない。
 第四は、日清戦争、日露戦争を美化・合理化し、“日本に敵対する国家が朝鮮半島を牛耳ったら日本は危機になる。だから朝鮮半島を日帝が支配する”というイデオロギーで塗り固められていることだ。これはファシスト的「地政学」、弱肉強食の「社会的ダーウィニズム」そのものだ。民族間・国家間の生存競争は必然とされる。だから「植民地主義の善悪は問わない」ということになるのだ。
 これに対して、戦争の悲惨さ、残虐さを訴えることは重要だが、それだけでは勝てない。「それしか生き残れない」という侵略戦争肯定の論理を根底的にひっくり返すことである。「自衛戦争」論のデマゴギーを暴き粉砕することである。レーニンは『社会主義と戦争』で、「帝国主義戦争は、いずれの側からも強盗戦争である」と喝破した。侵略戦争をやる以外に生き残れない帝国主義、歴史的命脈が尽きた帝国主義などひっくり返す以外にないことを、真っ向から対置し闘うべきなのだ。

 杉並こそ「つくる会」一派うち倒す主戦場

 今こそ1〜3月「日の丸・君が代」決戦を、「つくる会」教科書を葬り去る闘いへと拡大・発展させよう。「つくる会」教科書採択阻止の階級決戦を杉並区を主戦場に闘おう。1〜3月闘争に打撃を受けた敵は、激しい危機感に駆られ、凶暴な攻撃を繰り出してくるだろう。これと真っ向から激突して闘うことだ。
 教科書闘争の主人公は杉並区の50万区民、とりわけ労働者階級である。このことを据えきった時、労働者の中から“「つくる会」教科書採択阻止の先頭に立つ人を都議会に出そう”という機運が広範につくり出されるのだ。
 教科書闘争は4大産別決戦を爆発させる力になる。「つくる会」教科書の採択阻止は、4大産別を始め全労働者の戦争協力拒否の闘いだ。採択を許せば、労働者階級は侵略戦争の加担者に転落してしまうのだ。全党・全産別の同志が総決起し、杉並にはせ参じて闘おう。
 都議選決戦は、民主労総を始めとする朝鮮人民、闘う中国人民、在日・滞日アジア人民との国際連帯を打ち固める闘いだ。したがってまた、闘う労働運動の新潮流を発展させる闘いそのものである。
 また都議選は労働者階級自身の闘いである。党の総蜂起と労働者階級の総蜂起が真に結合して闘われるのである。
 革命への情熱をたぎらせ、粗野ともいえるほどの荒々しさをもって都議選決戦を闘おう。全党員と闘う労働者が「荒野に叫ぶ預言者」のような精神に燃え、自己と労働者階級人民との一体性を心底信じて、ファシスト石原打倒を訴えよう。革共同はこの千載一遇のチャンスに命がけで総蜂起する。そして21世紀革命を実現する労働者党として、この都議選で生まれ変わろう。

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週刊『前進』(2195号1面2)(2005/04/25)

 中国人民の新たな抗日闘争を断固支持し連帯して闘おう

 北朝鮮・中国侵略戦争阻止へ

 (T)
 中国で日本帝国主義の再侵略に対する新たな抗日闘争が爆発している。
 闘いの発端は、日帝の国連安保理常任理事国入りに反対する3月下旬のネット署名運動とその広がりであった。それは4月に入り、中国に進出する日系スーパー、イトーヨーカドーやジャスコへの抗議行動、日本商品不買運動に拡大した。9日には北京で1万人のデモと日本大使館への抗議行動となり、10日には広州の2万人を始め、深せん、海口などの諸都市で、合計数万人という大規模デモに発展した。さらに4月16、17日にも北京、上海、広州、西安などで抗日デモが呼びかけられている。 
 中国の労働者、学生、民衆は何に怒り決起しているのか。第一に日帝の国連常任理事国入りの策動、第二に歴史を歪曲し侵略戦争を肯定する「つくる会」教科書、第三に日帝の中国領・釣魚台(=「尖閣列島」)略奪と東中国海での石油・ガス田試掘の動き。これらに象徴される日帝のアジア再侵略への怒りだ。第四にこの底流には、小泉の執拗(しつよう)な靖国神社参拝に対する糾弾がある。第五に決定的なことは、昨年12月の新防衛計画大綱と2・19日米安保協(2+2)で中国を公然と名指しし、中国危機と台湾有事を想定した攻撃を宣言したことへの根底的怒りである。
 (U)
 日帝は今や米英日枢軸のもとイラク侵略戦争に参戦し、多国籍軍に派兵している。サマワの一角を占領している。そして米帝ブッシュの世界戦争路線と一体化し、米帝とともにイラクから北朝鮮・中国侵略戦争へと突き進みつつある。新しい「15年戦争」はすでに始まっているのだ。
 北朝鮮・中国侵略戦争に向けては、すでに日米新ガイドラインがあり、周辺事態法に加え、武力攻撃事態法・国民保護法などの有事法制と改定ACSA(日米物品役務相互提供協定)が成立している。その上に今や日帝は米帝と共同し米軍再編(トランスフォーメーション)を推進し、日帝を戦争国家へと大転換する改憲へと突き進んでいる。
 今日、新たに爆発した抗日闘争は、このように日帝が再び朝鮮・中国・アジアへの侵略と侵略戦争を開始しつつあることへの、根底からの怒りの決起である。それが国連常任理事国入り問題や「つくる会」教科書への抗議を契機に一気に爆発し始めているのだ。
 ところが日帝政府とマスコミは、デモの原因を「中国の国内の不満のガス抜き」「底流に中国社会のひずみ」「日系企業への逆恨み」があるとして中国の側に求め、「一部が暴徒化」「警察が黙認」「官製デモ」などと、排外主義の扇動に躍起となっている。
 日帝の侵略戦争・植民地支配の歴史への謝罪・賠償は今もって拒否しながら、今回のデモへの「謝罪と補償」(町村外相)すら要求している。野党も「小泉外交のツケ」と批判しつつ「極めて遺憾」「暴力で訴えるのは良くない」などと日帝に唱和している。
 (V)
 かつて中国の労働者、学生、人民は、1915年に第1次大戦のただ中で日帝が中国の半植民地化を狙って突きつけた「21カ条の要求」に反対し、中国各地で抗日運動に立った。1919年には朝鮮の「三・一独立運動」と連動しつつ山東半島の権益返還を要求して歴史的な「五・四運動」に決起し、中国全土で「日貨ボイコット」闘争を展開した。これは反帝国主義・民族解放闘争の決定的出発点となった。
 だが日本の労働者階級人民は当時、この中国・朝鮮人民の闘いに連帯して、日帝の侵略戦争と闘うことができなかった。日帝の侵略と植民地支配に反対し、侵略戦争を日帝打倒の内乱に転化する闘いに決起できなかった。その結果、「15年戦争」―日中全面戦争から太平洋戦争への破滅の道を阻止しえず、アジア人民の2000万人の虐殺と日本人民310万人の犠牲を許してしまったのである。
 (W)
 しかし今また日帝は、過去の歴史をまったく反省せず、日米枢軸のもとで新しい「15年戦争」、北朝鮮・中国侵略戦争へ突き進んでいる。「日の丸・君が代」強制も、「つくる会」教科書も、国連常任理事国入り策動も、教基法改悪・改憲攻撃も、すべてそのためのものだ。中国にはすでに3万1千社以上の日本企業が進出し、膨大な直接投資を行い、中国を今や日帝経済の事実上の「生命線」と化している。これ自体がとてつもない侵略であり、民族抑圧なのである。
 しかも「五・四運動」がそうであったように、今日の抗日闘争の爆発は同時に、帝国主義から資本と技術を導入しつつ労働者人民に貧困や抑圧を強制する中国の残存スターリン主義体制への闘いにも発展していくことは不可避である。
 (X)
 日本の労働者階級人民は今こそ中国人民の歴史的な抗日闘争を支持し、連帯して、日帝の新たな侵略・侵略戦争と闘い、日帝を打倒しなければならない。決起する朝鮮・中国・アジア人民との国際連帯と「侵略を内乱へ」の闘いに総決起しなければならない。

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週刊『前進』(2195号2面1)(2005/04/25)

 侵略の正当化許すのか

 中国人民・朝鮮人民を敵視

 「つくる会」教科書

 「新しい歴史教科書をつくる会」の扶桑社版中学校歴史と公民の教科書をめぐる闘いは、今や日本帝国主義との最大の対決点となった。中国と韓国で激しい人民の怒りが爆発し、日本の政府やマスコミがこの闘いを排外主義的に非難していることの意味を考えてみなければならない。中国人民の新たな闘いは1919年の五・四運動(キーワード参照)以来と言われている。われわれは、中国人民、朝鮮人民の反日帝の闘争、新たな抗日闘争を断固支持し、連帯し、「つくる会」教科書採択を断固阻止しなければならない。

 強盗的な「21カ条」対中要求を居直り

 「つくる会」の歴史教科書は、近現代の日本帝国主義による朝鮮・中国・アジアに対する侵略と植民地支配、侵略戦争の歴史を全面的に肯定する立場からつくられたものである。朝鮮人民、中国人民を敵視し、蔑視(べっし)して、日本帝国主義がどれほど朝鮮と中国の民族的な権利と財産と生命など一切のものをじゅうりんし奪い尽くしてきたかという歴史的反省がまったくないという恐るべきものである。
 「つくる会」教科書は、第1次大戦への日本の参戦と対中「21カ条要求」について次のように言う。
 「中国はドイツに宣戦布告し、青島からの日本軍の撤退を求めてきた。それに対し日本は、1915(大正4)年、ドイツがもっていた山東省の権益の引きつぎ、関東州の租借期限の延長などを中国に要求した。中国側は、列強の介入を期待して極秘の交渉内容を内外にもらし、5つの案件に正式な要求事項でないものをふくめて『二十一か条要求』と名づけたので、中国国内の反日世論は高まった」
 まったく盗っ人たけだけしい言い方である。日本はこの21カ条で、中国政府に日本人の政治・財政・軍事顧問の登用、必要な地域の警察の日中合同、日本による武器の供給、華中・華南に日本の鉄道敷設権を認めることなど、全面的な侵略統治を要求したのだ。このような強盗的要求の理不尽さを指摘せずに、中国側の対応に問題があったかのように言うのが「つくる会」教科書なのだ。この21か条要求に対する怒りの全人民的広がりが1919年の五・四運動を呼び起こしたのである。
 このように、中国人民の抗日運動に対する記述はきわめて排外主義的である。例えば、1928年ころの「中国の排日運動」という項では、次のように言う。
 「中国の国内統一が進行する中で、不平等条約によって中国に権益をもつ外国勢力を排撃する動きが高まった。それは、列強の支配に対する中国人の民族的反発だったが、暴力によって革命を実現したソ連の共産主義思想の影響も受けており、過激な性格を帯びるようになった。日本に対しても、日本商品をボイコットし、日本人を襲撃する排日運動が活発になった」
 そして図版で「中国の排日運動を伝える新聞記事」として「暴動化せんとする漢口の排日運動」「邦人二名暴民に奪はる」などの見出しが踊る当時の東京朝日新聞を載せ、日本が権益を脅かされ生命財産が危うくなり何らかの防衛策が採られるのが当然という印象を与えるようにされている。
 さらに、日帝が「満州国」をデッチあげるために仕組んだ1931年9・18の柳条湖事件に関する記述も「国民党による中国統一がせまるにつれ、中国人による排日運動もはげしくなり、列車妨害や日本人学童への迫害などが頻発した」と、日本が生き延びるためにはやむを得なかったように描かれている。
 要するに、中国が侵略されたのは、中国人民が悪かったからだという描き方になっているのだ。
 南京大虐殺については本文中には一切記述がなく、「注」として「実態については、さまざまな疑問点も出され、今日でも論争が続いている」と、大虐殺の事実そのものを否定している。日本軍軍隊慰安婦問題は、「つくる会」教科書だけでなく、すべての教科書からなくなった。強制連行についても「つくる会」教科書には一切記述がない。

 日本人民の惨苦も徹底的に消し去る

 こうして、「つくる会」教科書は、朝鮮・中国・アジアに対する侵略の歴史を美化することで、日帝が2千万人以上も虐殺してきた歴史的事実を覆い隠してしまう。それだけでなく、それが日本の労働者階級人民に筆舌に尽くしがたい惨苦をもたらしたことをも覆い隠してしまう。日本の労働者人民も兵士を始め310万人がこの戦争で犠牲になったのだ。
 ところが、「つくる会」教科書は、この「被害」の面でも徹底的に事実を押し隠している。45年3月10日の東京大空襲を頂点とする各地への大量無差別爆撃、4月から6月の沖縄戦、8月6日の広島への原爆投下、同9日の長崎への原爆投下という重大な事実についてほんの一言ずつしか記されず、どんな被害だったのかは書かれていない。
 つまり、侵略戦争が他民族人民を大虐殺すると同時に、自国の人民をも地獄に追い込むことを、徹底的に押し隠しているのである。そうしておいて、「日本軍はとぼしい武器・弾薬で苦しい戦いを強いられたが、日本の将兵は敢闘精神を発揮してよく戦った」と徹底して美化するのだ。
 また「戦時下の生活」のページでも、「……生活物資は窮乏をきわめた。しかし、このような困難の中、多くの国民はよく働き、よく戦った。それは戦争の勝利を願っての行動であった」と言っている。
 「よく戦った国民」を称賛することで、戦争になったら、それに異を唱えてはならない、心をひとつにして戦わなければならない、と説いているのである。

 杉並で採択阻止し石原・山田打倒へ

 「つくる会」教科書は、結局、戦争について「繰り返してはならない」ではなく、美しいもの、たたえるべきもの、継承すべきものとして描き上げる。そして朝鮮・中国人民への蔑視と排外主義、とりわけ中国人民への敵意をあおりたて、侵略戦争も当然だ、必要ならとことんやるべきだと宣伝・扇動しているのだ。
 今日、03年3・20イラク開戦後の世界で、自衛隊が参戦し、すでに日本が戦時下に突入していること、さらに日米枢軸のもとで米軍再編を行い、北朝鮮・中国侵略戦争に向かっての布陣を敷いていること、そういう中でつくられている教科書だということが重要なポイントである。つまり、日帝がやろうとしている新しい侵略戦争の担い手をつくり出すための教科書として、「つくる会」教科書が前面に出てきたのである。
 この「つくる会」教科書をめぐる最大の決戦場が東京・杉並である。ファシスト石原は、東京での「つくる会」教科書採択の突破口として杉並を位置づけ、石原の先兵・山田区長のもとで、その採択を強行しようとしているのである。「東京から日本を変える」と言ってきたことを、杉並からぶち抜こうとしているのだ。
 まさにファシスト石原を真っ向から粉砕する闘いとして、杉並の闘いを大衆的に爆発させ、その中で長谷川英憲氏を押し立てた都議会議員選挙を闘いぬこう。朝鮮人民、中国人民と連帯して、「つくる会」教科書採択阻止へ全力で闘おう。

 キーワード 五・四運動
 第1次世界大戦後の帝国主義世界体制を決めるパリ講和会議(ベルサイユ条約)で戦勝国日本への中国・山東省のドイツ権益譲渡が決まったことに対し、抗日運動が高まった。1919年5月4日、北京の大学生約3千人が天安門前に集まり、「山東半島の主権を返せ」を掲げ激しいデモ行進を行った。運動は拡大の一途をたどり、日本商品ボイコットが広がった。軍閥政府は大弾圧を加えたが、広範な民衆の怒りを引き起こし、多くの都市で労働者・商店のストライキが行われた。中国の民族解放闘争、抗日運動の歴史的出発点となり、中国共産党がこの運動の中で1921年に誕生した。

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週刊『前進』(2195号2面2)(2005/04/25)

 アジア人民の怒りの声を聞け

 中国各地で数万人のデモ

 韓国や台湾でも抗議行動

 文科省が「つくる会」教科書を検定合格としたことに対して、アジア全域で人民の怒りが爆発している。中国では9日に北京市で1万人、10日に広州市で2万人、深せん市で1万人のデモが闘われた。上海や成都、香港、台湾でも抗議行動が爆発している。韓国でもソウルなど各都市で抗議行動が闘われている。
 アジア人民は、日本帝国主義が再びアジア侵略戦争と植民地支配の野望をあらわにしたものとして、危機感と怒りを強めている。この闘いに連帯し、侵略史を美化し排外主義を扇動する「つくる会」教科書の採択を絶対に阻止しよう。

 韓国の全国教職員労働組合が抗議声明

 韓国の民主労総傘下の全国教職員労働組合(イスイル委員長、9万2千人)は6日、「つくる会」教科書の検定通過に抗議して以下の声明を発表した。
  ◇  ◇  ◇
 今や日本政府は、歴史の歯車を後戻りさせるとの意図を、何のためらいもなしにあらわにしている。事実上、日本政府の指示のもとで行われた島根県の独島条例通過に続き、日本政府は2005年4月5日、右翼団体である新しい歴史教科書をつくる会(以下「新歴会」)がつくった教科書を、韓国をはじめとする周辺国の要求を徹底的に無視して検定を通過させた。
 日本の中学生の大部分が学ぶことになる公民の教科書には、独島を韓国が不法に占領していると書かれている。歴史教科書では、日本帝国主義の侵略行為は大東亜共栄圏を保護するための併合行為に変身しており、わが民族に加えられた残酷な植民統治は、「韓国併合後に設置された朝鮮総督府は、鉄道・灌漑(かんがい)施設を整備するなどの開発を行い、土地調査を実施し、近代化に努めた」と合理化されている。
 日本首相の小泉は、検定結果の発表に続き、両国間に見方の違いが存在することをあまり拡大しないでもらえれば、という形で歴史歪曲を事実上、既成事実化しようとしている。
 日本政府のこうした露骨な行為は、歴史を歪曲してでも、これ以上第二次世界大戦の侵略国であり敗戦国であるというくびきには縛られないという宣言であり、今後日本が軍国主義の旗印を鮮明にさせてゆくことを表明するものである。
 アメリカは東北アジア地域の覇権を確保するために米日同盟を強化しており、その対日政策がこれをあおっているということも、すでに広く知られている事実だ。
 したがって、日本政府の歴史歪曲問題は、その場限りの対応で解決する問題ではない。日本軍国主義が行った蛮行と歴史的罪科を徹底的に明らかにし、これに対する正当な賠償と真の謝罪がなされなければならない。われわれの内部に残っている親日残滓(ざんし)を徹底的に清算し、経済的従属関係から脱却するための積極的な努力がなされなければならない。
 子どもたちに正しい民族意識を教えなければならない教師は、教壇で歴史の真実を教えることにより、日本軍国主義の復活を阻むための闘いを展開する。また、日本の良心的な教師や社会団体と連帯し、日本政府の歴史歪曲を糾弾し、不採択運動を展開する。さらには、韓中日の歴史家らが歴史的真実に立脚して作成した教科書を用いて、アジアの平和を築いてゆく教育を展開する。
 2005年4月6日
 全国教職員労働組合

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週刊『前進』(2195号2面3)(2005/04/25)

 「侵略史を美化する教科書使わせない」

 写真 杉並区役所前で演説する都政を革新する会の長谷川英憲代表(4月13日)

 戦争叫ぶ石原の打倒を訴え

 「つくる会」教科書の検定合格を弾劾して、都政を革新する会(長谷川英憲代表)は連日、杉並区内で街頭宣伝を行っている。
 13日正午からは、この日に定例の区教育委員会が行われる予定の杉並区役所前で街頭演説と署名活動を行った。長谷川代表を先頭に結柴誠一区議、新城節子区議、北島邦彦事務局長が代わる代わるマイクを握り、韓国・中国民衆の闘いへの連帯と「つくる会」教科書採択阻止を呼びかけた。
 長谷川代表は、「つくる会」歴史教科書の中身を具体的に批判し、「侵略戦争の歴史を隠蔽(いんぺい)し美化するこんな教科書を絶対に使わせてはならない」と訴えた。さらに「石原都知事は『週刊新潮』で『釣魚台問題で中国と戦争をやれ』と叫んでいる。1200万都民の都知事が戦争を叫んでいることは重大事態だ。こんな石原知事と山田杉並区長を打倒しよう」と熱を込めて訴えた。
 15年戦争の時代を体験した区民がマイクを握り、「中国の人たちの怒りは当然。戦争は二度と繰り返してはならない。そのために声を上げよう」と反戦の思いを語り、呼びかけた。冬に逆戻りしたような寒い日だったが、区役所を訪れた区民や昼休みの労働者が訴えに耳を傾け、ビラに見入り、署名をしていった。
 都政を革新する会と長谷川英憲さんの精力的な闘いで杉並の地熱は高まっている。6月都議選に勝利し、「つくる会」との全国的攻防の最大焦点として、8月杉並での「つくる会」教科書の採択を阻止しよう。

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週刊『前進』(2195号3面1)(2005/04/25)

 関生弾圧第1回公判 大阪地裁を完全に包囲

 全国から1200人の怒り

 戦時下の労組弾圧に反撃

 「人間の鎖」で被告激励

 4月7日、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への不当弾圧第1回公判が午前10時から開かれた。関生支部組合員と全国から結集した支援の労働者・市民1200人が大阪地裁を完全に包囲し、地裁周辺は法廷内での闘いと呼応して断固たる反撃の集会とデモが半日闘いぬかれた。
 闘う労働運動の圧殺を狙った大攻撃に対して、関生支部は敢然とストライキをもって決起し、多くの組合員が朝からの公判闘争に決起した。それにこたえて関西はもちろん、動労千葉の部隊を始め全国から多くの闘う仲間が結集した。
 この日の第1回公判には武建一委員長ら4人の被告が元気に出廷した。武委員長は検察の卑劣な発言妨害を打ち破って、30分間にわたって日帝・国家権力、大阪府警、検察庁、大谷生コン資本を鋭く弾劾する冒頭陳述を行った。武委員長が、「検察、裁判所は一部特権階級の支配を守るものとなっている。これでは法のもとの平等はない。ただちに釈放することを求める」と冒頭陳述を締めくくると、傍聴席から大きな拍手がまき起こった。
 この法廷内の闘いに呼応して、朝9時から地裁周辺には関生支部の組合員と支援の部隊が続々と結集し始めた。裁判所北門から天満署に面した東門、南正門までを関生支部組合員が取り巻き、全国金属機械労組港合同や、部落解放同盟全国連合会などの部隊が北門から西門までを押さえ、動労千葉、全国労組交流センター、関西合同労組を始めとする全国の支援の労働者・市民が南正門前から西門を取り巻き、9時半にはヒューマン・チェーン(人間の鎖)が完成して抗議包囲闘争が開始された。
 これまで数多くの治安弾圧との闘いが取り組まれ、争議支援の行動も行われてきた大阪地裁前だが、これほどの大隊列が組織されて大衆的反撃が行われたことはなかった。平日の緊急闘争であったが、目標をはるかに超える大動員で大阪府警を驚かせた。まさに巨大な反撃が始まったのだ。
 この闘いには全金本山、国労九州闘争団、広島連帯ユニオンなど、全国の闘う労働組合の組合員も駆けつけ、折から来阪していた米ILWU(国際港湾倉庫労働組合)のブライアン・マックウィリアムズ前委員長も参加した。

 抗議集会と長蛇のデモ

 裁判所を包囲した大抗議団は、傍聴者100人を201号大法廷に送り出した後、剣先公園に移動して抗議集会を開催した。
 集会では、関生支部の高英男副委員長が当該組織を代表して、生コン労働者の生活をかけた産業政策の運動に対するデッチあげ弾圧であり、組織破壊攻撃であることを訴え、関生支部は弾圧に対して一層の団結強化で立ち向かい、第三、第四の弾圧をもはね返していくと決意を表明した。さらに、生コン政策協議会から全港湾、生コン産労の代表があいさつした。
 支援団体からは、まず、港合同の中村吉政副委員長が立ち、「関生支部への弾圧や自治労・大阪市職への攻撃など、戦争と民営化の攻撃で、労働者が団結してかちとってきた権利が破壊され、やがては魂も命までも取られてしまう。労働者は闘わなければならない」と訴えた。さらに、ユニオンネットの代表、社民党の今西正行兵庫県議、南大阪平和人権センター、反戦・福祉議員ネットの森田充二高槻市議があいさつした。
 続いてILWUのマックウィリアムズさんが発言。3月19日にイラク反戦を掲げサンフランシスコで港湾封鎖闘争を闘ったマックウィリアムズさんは、「資本家は話し合いをするより背中にナイフを突きつけてきている。労働者は強固な労働組合の声なしには公正でまともな扱いをかちとれない」「みなさんの闘いを支援し、獄中で闘うみなさんのリーダーを激励するためにここに来ました」と、熱烈に国際連帯を表明した。
 動労千葉からは川崎昌浩執行委員が立ち、「日本の労働運動を変えていこう」と、11月労働者集会にともに取り組んできた立場から05年冒頭の不当弾圧を弾劾し、これをはね返すためにも3月の春闘ストライキを闘ったこと、さらに05年決戦を闘う決意を表明した。
 続いて、管理職ユニオン、東京東部労組、大阪コンクリート圧送労組、解同全国連寝屋川支部から連帯の発言が行われた。寝屋川支部の仲間は、「会社に労災を認めろと話し合いをして、2カ月後に突然弾圧された。関生への弾圧とまったく同じだ」「なんで7カ月も閉じ込められんならんねん! 弾圧やっているのは小泉だ!」と小泉政権の労働運動破壊攻撃に対してともに闘いぬく決意を力強く表明した。
 最後に全日建運輸連帯労組中央のまとめが行われ、この日の闘いの成功が全体で確認された。その後、中之島公園・女神像前で公判を終えた傍聴団と合流した。全日建運輸連帯労組の戸田ひさよし近畿地本委員長と弁護人から公判報告を受け、検察合同庁舎に向けた抗議デモに出発した。
 この日の闘いは、関西のすべての闘う労働運動勢力と、11月労働者集会を成功させてきた3労組陣形と、国際連帯の力をかけ合わせた巨大な反撃となった。大阪府警は予想を超える労働者の大結集に驚き、宣伝カーに「扇動するな」と妨害を図ったが、圧倒的な抗議の声に粉砕され、なんの手出しもできなかった。闘う労働者の大部隊は、解散地点の西梅田公園まで意気高くデモを闘いぬいた。
 この日の闘いをつうじて、連続的な大弾圧をもってしても、けっして関生支部を破壊することはできないこと、むしろますます団結が鍛えられ、連帯と共闘が広がり、戦時下の労働運動弾圧と闘いぬく階級的労働運動が力強く発展することが示された。
 3〜4月、東京の教育労働者を先頭に「日の丸・君が代」決戦が打ちぬかれ、動労千葉が72時間ストライキに決起し、3・20国際反戦闘争が20労組を先頭に闘いぬかれた。そして、これらの闘いを引き継いで関生支部弾圧への巨大な反撃がたたきつけられた。
 05年、労働運動をめぐる階級決戦は、敵の激しい「外への侵略戦争、内への階級戦争」と真っ向から対峙し、労働者階級の猛然たる階級的反撃へ転じた。この道を断固として進もう。そして絶対に勝利しよう。
 次回公判は5月16日、第3回公判は6月9日、いずれも午後1時半から803号法廷だ。全力で結集し、支援しよう。

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週刊『前進』(2195号5面1)(2005/04/25)

 戦争教育への転換要求する経団連

 教基法改悪内容に踏み込み日教組解体叫ぶ「教育提言」

 5・7代々木公園大集会へ

 日本経団連は本年1月18日、「これからの教育の方向性に関する提言」を発表した。同日発表した「わが国の基本問題を考える〜これからの日本を展望して」で憲法改悪を要求したことに合わせ、資本家階級の死活をかけて教育の全面改造を要求し、教育基本法の各条文の改悪内容まで提起したのである。教育をめぐる「戦争と民営化(労組破壊)」攻撃が全面化しようとしている。その最大の焦点こそ日教組の改憲勢力化であり、完全解体である。全労働者の力で教育基本法改悪―憲法改悪を阻止しよう。「つくる会」教科書の採択を絶対に阻もう。「教育基本法の改悪をとめよう!5・7全国集会」(要項1面)に、教育労働者を先頭に総結集しよう。

 「改憲提言」と一対で国家大改造狙う

 資本の利潤追求を最大の動機として巨大な富を独占してきた帝国主義が、その矛盾を大爆発させて世界戦争に突入していく過程が始まっている。アメリカ帝国主義はイラク戦争開戦をもって「終わりのない戦争」に突入し、今や「自由の拡大」「圧制の打倒」を掲げて世界戦争に突き進むと公言している。小泉はそれに呼応して、日米枢軸路線のもとでイラク侵略戦争の継続・激化と北朝鮮・中国侵略戦争に向かって突き進もうとしている。
 この世界戦争の急切迫こそが、日本の資本家階級の総本山=日本経団連が9条改憲を政府・自民党に迫るという、戦後史を画する重大提言に踏み切らせた動因である。
 「わが国の基本問題を考える」(以下、「改憲提言」)は、自衛隊が国際的な戦争と軍事に積極的に参加・参戦していくことを正面から提起した。そして現行憲法を「綻(ほころ)びが目立つ」と攻撃し、「戦力不保持」をうたった憲法9条2項を改定して「自衛隊の保持」「集団的自衛権」を明記することを求め、「国益」のために帝国主義的軍事力を行使して他帝国主義との争闘戦に乗りだしていくことを真っ向から打ち出した。日帝ブルジョアジーは、“世界戦争が急迫する今、日本帝国主義が自ら戦争を発動できなければ、資本家階級の利害を守ることができない”という激しい危機感に突き動かされているのである。
 そして、「これからの教育の方向性に関する提言」(以下、「教育提言」)は、「改憲提言」と対をなす重大提言である。その理由は大きく二つある。
 一つには、「改憲提言」が求める憲法改悪と戦争国家への国家大改造は、教育の抜本的な改革なくして実現できないからである。
 教基法とは、前文の冒頭で「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」とうたった、現行憲法と一体の法律である。今やこの教基法を改悪し、戦後的な価値観を完全にたたきつぶし、社会の原理の根本を「戦時体制」に大転換させることが、死活のかかったテーマとなったのだ。
 教育を変えるということは、「つくる会」教科書のようなもので子どもたちの価値観や死生観を根本から変えることであると同時に、地域を変え、社会を変えることである。戦前の日本がそうであったように、またナチス・ドイツの歴史が教えているように、「戦争は学校から始まる」のである。
 二つに、憲法改悪をなし遂げるために、最大のネックになっているのが、日教組と自治労の存在と闘いだからである。
 すでに国会は圧倒的に改憲勢力で占められている。しかし官公労系労働者は、連合結成から15年をへた今もなお、戦後労働運動の成果を最も強く継承し、階級的戦闘能力を保持している。だからこそ小泉=奥田は、“日教組・自治労を改憲勢力に転落させることができれば、反対勢力はなきに等しくなる”と襲いかかってきている。
 とりわけ、「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもとに30万余の組合員が結集している日教組を改憲勢力に大転向させることを全力で追求している。今国会提出が狙われる憲法改悪のための国民投票法案に「公務員及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止」が盛り込まれようとしているのも、教育労働者や公務員労働者の反対運動の制圧が死活的であるからにほかならない。
 すでに自治労本部は03年秋に「国の基本政策検討委員会」を立ち上げ、今年1月の中央委員会に「論点整理」を提出、両論併記という形で9条改憲を打ち出すにいたっている。日教組本部も今年3月の中央委員会で「憲法論議対策委員会」が「護憲から論憲へ」転換することを打ち出した。今年夏の全国大会には、日本経団連と寸分たがわぬ改憲案を提出することにもなりかねない事態なのだ。7月日教組大会、8月自治労大会が重大決戦である。
 戦後史上最大の階級決戦の時がきた。すべての労働者が、教育基本法改悪・憲法改悪をうち砕く05年(〜07年)階級決戦に、総力で立ち上がることを心から訴える。何よりもその先頭に、教育労働者と自治体労働者が立とう。

 教育目的を「国家・企業のため」へ一変

 日本経団連が要求する「教育改革」とは、今、全産別の労働者に襲いかかる「戦争と民営化(労組破壊)」の攻撃をストレートに体現したものである。以下、「教育提言」が求める教基法改悪と「教育改革」の中身を見ていきたい。
 第一に、「教育の目的」を愛国心教育に一変させることである。
 「教育は国の発展の基盤である」
 これが「教育提言」の冒頭の一文である。短い一文ではあるが、ここに、日帝ブルジョアジーが求める教育の抜本的転換がはっきり表現されている。戦後教育の“教育の主体は教育を受ける者”という建前を真っ向から否定し、「国家のための国民育成」「国・企業の発展を担うエリート育成」という原理をむき出しにした教育に大転換させるということである。
 提言は、戦後教育が「郷土や国を誇りに思う気持ち(国を愛しむ心)を自然に育んでこなかった」と嘆く。そして「こうした状況を放置したままでは……21世紀の国際競争を勝ち抜き、国際社会に貢献していくことはできない」と強烈な危機感を表明し、「社会全体でわが国の教育力を高めるための行動を起こさなければならない」という。
 そして「教育内容面で今後重視すべき点」に、「日本の伝統や文化、歴史に関する教育」「郷土や国を誇り、日本を他国の人にも魅力ある国にしようという気持ち(国を愛しむ心)」「国旗や国歌に対する理解を深める」を掲げる。さらに「公共の精神、つまり社会の構成員、あるいは組織・団体の構成員としての責任と義務を教育の中で強調していくべき」という。
 意味することは、現行教基法の「教育の目的」を根底から覆し、戦前、教育勅語のもとに行われた「国家のための教育」に完全に回帰するということである。
 教育基本法は、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」「普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育」(前文)、「人格の完成」「平和的な国家及び社会の形成者」「個人の価値をたっとび」(第1条)と、教育勅語体制下の天皇制教育との決別を打ち出したものだ。
 教育基本法の公布・施行は1947年3月。日本帝国主義が帝国主義戦争に大敗北する中で、日本の労働者階級が47年2・1ゼネストへのぼりつめていった、空前の革命的情勢の白熱攻防のただ中で制定されたのである。労働者階級の闘いがプロレタリア革命に発展することを絶対に封じ込めるという意図のもと、一定の「民主主義的改革」が断行された。こうした意味で、日本国憲法と教育基本法は戦後革命の敗北の副産物としてあったと言える。
 しかし世界戦争が急迫する今、日本経団連は、教基法の「個人の尊厳」「人格の完成」といった「教育の目的」などもはや許容できないと、完全に破壊しようとしているのだ。
 それは「つくる会」歴史教科書のような戦争賛美の歴史観で愛国心をたたき込み、ブルジョアジーの強盗戦争に子どもたちを駆り出すための教育に大転換させるということである。「愛国心」を持ち、「権利」を主張せずに「責任と義務」をまっとうする人間になれ、と求めているのだ。
 第二に、公教育の全面的な民営化であり、そのもとでの差別・選別教育の極限化である。
 同提言は、「教育力低下」の原因を「学校間の競争の低下」や「社会のニーズに適切に応えなくとも、学校が存続できる構造」に求める。そしてこの現実を変えるために、「教育機関間の競争促進」を掲げる。「小中学生の9割以上が公立学校に在籍している」現実を改め、「私立学校の設置を進める」「株式会社立学校やNPO立学校など、多様な主体による学校設置も認める」「公立学校の運営を学校法人だけでなく、株式会社やNPOに委託する公設民営の手法も活用していく」というのである。
 この実現のため、現行教基法を改悪して、「多様な主体の教育への参入を促進し、株式会社やNPOによる学校設置・運営ができるようにする」という。
 公教育を全面的に民営化して、憲法第26条が定めた「教育を受ける権利」を否定し、「義務教育は、これを無償とする」として国家が教育に責任を負わされている現実を完全に解体しようということである。教育をすべて競争原理にゆだね、教育機関に教育予算の奪い合いをさせ、そのもとで教育労働者も競わせ、子どもたちも競わせ、競争原理を極限までエスカレートさせる。そして教育予算を削減し、弱肉強食・優勝劣敗の論理で切り捨てていこうというのだ。
 これは、95年の日経連プロジェクト報告「新時代の『日本的経営』」が打ち出したとおり、労働力を「雇用柔軟グループ」「高度専門能力活用グループ」「長期蓄積能力活用グループ」に3分割し、9割がたの労働者を不安定雇用にたたき落とす、という財界の労働力政策にストレートに対応した教育への転換である。
 ほんの一部のエリート層を早期選抜し予算も重点配分して養成する。それ以外の圧倒的大多数の子どもたちからは、これまでの義務教育レベルの教育すら奪い、「愛国心」だけをたたき込む。子どもたちが受ける教育は、すべて親の収入によって決せられる。労働者家庭の子どもたちが切り捨ての対象となることは言うまでもない。

 10条を解体し国家が教育内容を支配

 第三に、教基法が禁じた教育の国家支配を完全に正当化しようとしている。
 同提言は、現行教基法第10条(教育行政)について、「『不当な支配に服することなく』の表現が、一部教員による教科書や学習指導要領の無視や、校長など管理職の管理を拒む根拠となったことに鑑み、国が教育内容の方向を示すことについての正当性を明らかにする」とした。
 戦前において、教育は国家を主体とする国家そのものの事業であった。教基法10条は、この戦前教育のあり方を否定して、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきもの」と、国家による教育内容への支配・介入を禁じるとともに、2項で教育行政が行うのは「必要な諸条件の整備確立」だけであると限定したものである。教育労働者は戦後営々と、この条文をも活用しながら、国家による教育統制と闘ってきた。
 この教基法10条を完全に解体して、「国が教育内容の方向を示す」とはどういうことか。教育労働者を徹底的に管理し統制して、〈国が命令するとおりの教育内容>を教えること以外は一切認めない、という教育が復活するということである。
 第四に、闘う教育労働者を学校現場から排除するシステムを確立しようとしている。
 同提言は「教育基本法に、教員の自己研鑽(けんさん)の必要性、教員の自己研鑽の努力義務についても踏み込んで規定する」という。改悪教基法におけるこの規定と合わせて、さらに「研修を重ねても改善が見られず、教員としての資質を欠く場合には、現行の不適格教員に対する措置に加え、教員免許更新制により、教職以外の選択を行うよう促す」として、「不適格教員」制度プラス「教員免許更新制」により、国家や資本家の意のままにならない教育労働者を片っ端から排除するシステムを確立しようとしている。
 さらに、各教育委員会に「教育基本法第8条2項の『特定政党を支持し、または反対するための政治教育そのほか政治的活動をしてはならない』という規定の趣旨を徹底させるために、必要な措置」をとれ、と要求し、「勤務時間内の組合活動の禁止など……基本的な就業ルールの徹底を図る」という。組合活動、反戦・平和運動、改憲反対運動などを理由として、闘う教育労働者を職場から追放するレッドパージが現実のものとされようとしているのである。

 日教組へ憎悪むき出しに

 第五に、同提言の重大な特徴は、日教組への憎悪をむき出しにして、その解体を宣言したことである。日教組解体攻撃としての教基法改悪の狙いをここまであけすけに打ち出した文書は、いまだかつて存在しないと言っていい。
 提言は「教職員組合の本来のあり方への回帰」という節を設け、「(教員の)一部には自らの政治的思想や信条を教え込もうとする事例が見られ、これらが長年、教育現場を混乱させ、教育内容を歪(ゆが)めてきたことは否定できない。教職員による組合は、一定の範囲での職場環境、待遇の改善に取り組むという本来のあり方に徹すべきである」と打ち出したのだ。
 実に許せない主張である。「自らの政治的思想や信条を教え込もうとする事例」とは、日教組が「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを掲げて、平和教育や解放教育・民族教育を展開してきたことを指すことは言うまでもない。こうした日教組運動が「長年、教育現場を混乱させ、教育内容を歪めてきた」と憎しみを抱いて攻撃しているのである。
 すでに広島県教委は「平和カレンダー」を教室に張ることまで禁じているが、「平和」や「人権」を「歪んだ教育」として排除の対象とし、「つくる会」教科書のような戦争賛美の歴史観・価値観をたたき込もうということだ。
 日教組本部は「文科省とのパートナー路線」を掲げて職場闘争も放棄し、“教育基本法改悪反対運動も改憲反対運動もやりません”と忠誠を誓うところまで行き着いている。しかし、政府・資本家階級は日教組本部がどれほど屈服しようと「日教組が日教組である限り存在を認めない」と宣言したのである。教育労働者が「労働者階級の一員」として労働組合に団結することを認めず、日教組の存在をたたきつぶそうとしている。戦前同様に「教え子を戦場に送る聖職教師」になり果てろ、ということである。教育労働者の矜持(きょうじ)にかけて、絶対に粉砕しなければならない。

 「つくる会」教科書阻止・石原打倒へ

 以上のとおり、「教育提言」は、教育基本法の各条文にまで踏み込んで改悪内容を提示した歴史を画する重大提言である。しかし実はその中身はすべて、ファシスト石原が東京において先取り実施していることばかりである。石原こそ、小泉=奥田の最先兵だ。
 石原と都教委は01年、東京都の教育目標・基本方針を改悪した。従来の教育目標から「人間尊重の精神」の言葉を削除し、「わが国の歴史や文化を尊重し、国際社会に生きる日本人の育成」に書き換えた。基本方針からは憲法・教育基本法という言葉も削除した。教育委員の米長は、このことをもって「都は教育基本法を事実上改定した」と公言した。石原は“現行教育基本法や現行憲法は、もはや東京の教育には関係ない”と、違憲・違法の「10・23通達」を始めとする攻撃を乱発してきているのだ。
 小泉=奥田の先兵、ファシスト石原を打倒しよう。6月都議選決戦こそ、その突破口を切り開く最重要の決戦である。
 教育基本法改悪との闘いは、憲法改悪阻止闘争そのものであり、05年(〜07年)階級決戦の最大の正面テーマである。その中で、政府・自民党は「05年通常国会に改正案を提出する」と言い続けてきたにもかかわらず、今国会への提出を阻んだことは、とても大きな意義がある。全国で大きく広がる教育基本法改悪反対運動の力、東京を先頭に全国の教育労働者が闘いぬいた「日の丸・君が代」闘争こそ、教育基本法改悪を阻む最大の力である。
 「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」が呼びかける「教育基本法の改悪をとめよう!5・7全国集会」に、教育労働者の大隊列を登場させよう。教育基本法改悪反対運動をすべての労働者階級人民の共同の闘いに大きく広げよう。
 「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民教科書の中身こそ、日本経団連の求める教育である。その採択阻止が、教基法改悪を阻止するための当面最大の焦点だ。「10%採択の実現」を掲げる「つくる会」の策動をうち砕こう。杉並区を先頭に全国で採択を阻もう。6月都議選に闘う労働者は総決起しよう。
 〔大西 晶〕

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パンフ 凶暴罪を廃案に