ZENSHIN 2005/06/13(No2201 p08)

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週刊『前進』(2201号1面1)(2005/06/13)

革共同の6月アピール 革共同の6月アピール

 長谷川氏を必ず都議会へ

 崩壊を開始した石原ファシスト 独裁を労働者の力で打倒しよう

 杉並で「つくる会」教科書阻止を

 革共同と労働者階級にとって、死活のかかった重大な決戦が始まった。プロレタリア党の建設とプロレタリア世界革命の達成へ向け、巨大な飛躍を実現する決定的な情勢が今まさに訪れている。この6月、「つくる会」教科書の東京・杉並での採択を絶対に阻止し、長谷川英憲氏の都議会議員選挙での必勝を同時にかちとる決戦は、世界史的意義と大きさをもった闘いである。一切の成否は、この6月にかかっている。6月決戦こそ最大最高の正念場だ。この6月決戦を、党と労働者階級の掛け値なしの総蜂起戦として闘おう。何よりも革共同は、この歴史的瞬間に党結成以来のすべてをかけて総決起する。あらゆる力をふりしぼって闘い、必ず勝利を切り開こう。

 第1章 オール石原与党体制に風穴をあける長谷川氏

 石原打倒情勢が急速に煮詰まっている。石原都知事は、5月30日に都議会与党の自民党と公明党の幹部に会い、側近の副知事・浜渦を辞任させる意向を伝えた。また浜渦とともに福永、大塚らの副知事および横山教育長、桜井出納長の2人の特別職も辞任する。ついに石原のファシスト独裁が崩壊を開始したのだ。
 だが石原は、あくまでも悪逆無道のファシストだ。6月1日都議会の所信表明演説で、自己の責任に一切言及せず、事実上の開き直りを行い、傍聴席から怒りのヤジと弾劾を受けた。石原は卑劣にも、この期に及んで自分だけは生き残ろうとしている。この腐り切ったファシスト独裁支配のすべての責任は石原にある。
 石原はどこまでも開き直るばかりか浜渦の辞任を7月22日まで引き延ばし、都議選以降、次回都議会まで今の位置に置こうとしている。さらに石原・浜渦と一体の罪状をもつ横山を、なんと副知事に横すべりさせようとしている。石原・浜渦・横山によって成り立つ腐敗し切った独裁政治をあくまでも守ろうという必死の悪あがきを行っているのだ。
 この実におぞましい延命策動は、自民党・公明党との密室の取引で決めている。民主党は石原と百パーセント同罪で、ともに自己保身を図っている。しかもこのとんでもない石原の延命に事実上、手を貸しているのが、日本共産党と市民派である。なんたることか。
 石原・浜渦・横山こそ、実は日本を戦争国家・戦争社会に塗り替えようとする「つくる会」教科書攻撃を推進してきたファシスト枢軸そのものだ。「つくる会」教科書採択とは、こんな腐り切ったファシスト独裁者が推し進めているものなのだ。
 石原の教育改革も、横山・都教委と浜渦が一体となって進めてきたと言える。今回の介護・福祉の切り捨てと民営化攻撃も、そこでの利権の奪い合いのとんでもない腐敗も、すべてこの連中がもたらしたものだ。今や都庁内の労働者を始め全都の労働者人民の中から、石原・浜渦・横山への積もりに積もった怒りが一斉に解き放たれようとしてきている。
 この情勢のもとで、都議選の勝利とともに、「つくる会」教科書の杉並での採択を絶対に阻止しなくてはならない。石原・浜渦・横山の打倒を、杉並区の山田区長・納富教育長の打倒につなげ、徹底的に爆発させていくことである。「つくる会」一派が「横山教育長の尽力で東京50%採択のメドが立った」と内部で確認しているように、杉並区での採択制度改悪は横山の指示を受けて強行されたのだ。石原・浜渦・横山による都議会と都政のファシスト支配とまったく同じことが、杉並区で山田・納富によって行われている。
 ファシスト反革命は、どんなに腐敗と崩壊を深めても「自滅」はしない。労働者階級の力で打倒する以外にはない。それは、「つくる会」教科書採択を杉並で実際に阻止することなのだ。この闘い抜きに、教育労働者を始めとする全労働者と、さらにすべての日本人民に未来はない。何がなんでも採択を阻止しよう。
 同時に、革共同は、今こそすべての労働者階級人民のみなさんに心の底から訴えたい。石原を打倒し「つくる会」教科書採択を阻止するためには、都政を革新する会の長谷川英憲氏を絶対に都議会に送り込むことである。都議会はオール石原与党と言ってよい。真の野党などひとつもない。この都議会に風穴を開けるのは、長谷川さんしかいない。ファシストにこのまま都議会、都庁、都政をじゅうりんさせてはならない。
 長谷川さんは、「石原知事に挑戦状」を真っ向から掲げ、「つくる会」教科書絶対阻止の先頭に立って闘っている。この長谷川さんが都議選で当選を果たし、都議会にのりこむならば、そのこと自身が石原と「つくる会」を直撃し、採択攻撃を完全粉砕する突破口を開くのだ。
 特に都労連労働者のみなさん! 労働者こそ社会変革の主体だ。ファシストは労働者の団結に最も弱い。ともに団結して長谷川さんを都議会に送り出そう。

 第2章 帝国主義の破局的危機と革命的激動への突入

 「つくる会」教科書採択阻止と都議選勝利の6月蜂起戦をめぐる内外情勢は、激動の一途をたどっている。帝国主義の破局と危機が深まり、戦争と民営化の攻撃が激化している。帝国主義への怒りが全世界で高まり、労働者階級と被抑圧民族人民の、帝国主義打倒の決起が至る所で開始されている。
 フランスとオランダでのEU憲法の否決は、帝国主義間争闘戦とブロック化の一層の激化をもたらすものだ。それが意味するものは第一に、中・東欧の低賃金労働の徹底的な搾取・収奪と、それがもたらすフランスの労働者の失業とリストラの激化、排外主義の激化である。EUの対米対抗的なブロック化の中に、中・東欧の危機が内在化していくのだ。第二に、ドイツにとってEU憲法=EUの形成は絶対的に有利であり、ドイツの突出がフランスの後退と危機を促進させる。この帝国主義間の矛盾の激化が、EUの分裂もありうる情勢となる。フランスとドイツの連合によって隠蔽(いんぺい)されてきた欧州帝国主義の矛盾が露呈し、帝国主義間の分裂が本質的に進行し、米欧対立をも一層激化させていくということだ。
 イラク情勢は、ますます泥沼的内戦化を深めている。米帝は首都バグダッドでの大規模掃討作戦に打って出た。今やスンニ派全体が「武装勢力」となり、米軍およびイラク新政権(移行政権)との激しい戦闘に入っている。新政権はスンニ派とまったく非和解であり、スンニ派を踏みにじる以外にない。内戦の危機がすさまじく激化し、もはや憲法制定のプログラムも実現不可能となっている。
 こうした中で日帝は、帝国主義としての生き残りをかけて、郵政民営化を先端とする戦争と民営化攻撃=労働組合解体攻撃を激しく展開している。公務員制度改革の攻撃、日本経団連が4月19日に発表した「さらなる行政改革の推進に向けて」の提言と日本経団連の総会、2005年「骨太の方針X」(6月下旬閣議決定予定)は、きわめて重要だ。
 これらは、日帝がイラク参戦としてすでに新たな侵略戦争を開始した中での、戦時下の党と階級の絶滅・一掃攻撃そのものであり、ここに05年の階級決戦の最大の核心がある。この戦時下の攻防に勝ち抜くことが、「つくる会」教科書採択阻止=都議選決戦の革命論的意義であるとともに、革命的情勢の成熟のもとで、プロレタリア革命勝利への展望を切り開くものとなるのだ。
 「つくる会」教科書の杉並での採択阻止に、ますます党と階級の生死がかかってきている。今こそ非常の決意を打ち固めよう。石原・横山の反革命のもとで、「つくる会」一派はこの6月を反革命の総蜂起の時として、東京の各区や市で次々と議会要請行動を行い、最大の決戦を構えている。クーデター的な一斉蜂起で6月決着にかけているのだ。その突破口が杉並区である。
 「つくる会」教科書攻撃は、マルクス主義と革命派の一掃を狙うものであり、労働者の階級性を抹殺する攻撃である。「つくる会」一派は今日、沖縄「調査」として、「集団自決は住民の意思」とする新たなデマをデッチあげ、軍隊慰安婦問題抹殺の次には沖縄戦を教科書から抹殺しようと動き出している。このことも、戦後階級闘争の中で一貫してその革命的切っ先であり続けた沖縄人民の闘いを、なんとしてもたたきつぶそうとしているからなのだ。
 「つくる会」教科書の採択をめぐる攻防はまさに、戦後史を画す決戦であり、戦時下における階級決戦そのものだ。すさまじい革命的危機感をもって立ち上がろう。
 採択期限の8月上旬を待たず、この6月決戦で「つくる会」教科書を葬るために、6日からの杉並区議会闘争の空前の爆発をかちとろう。杉並区教委包囲の大闘争に立ち上がろう。闘いの波状的うねりを実現し、その爆発の渦の中で、長谷川英憲氏の都議選必勝をかちとろう。
 動労千葉は、4・25尼崎事故を徹底弾劾し、事故から1カ月の5月25日を起点に安全運転行動に突入している。5月24日の総決起集会で、制限速度順守=回復運転拒否を軸として「安全運転行動」を実施することを宣言し、25日始発より、JRや国に抜本的な安全対策を求めて運転士200人が断固とした行動に決起している。
 これに対して当局は処分をわめいている。現在進行している事態は、再び運転士一人に事故の全責任を転嫁しようとするどす黒い策動である。動労千葉の決起はあまりにも当然な闘いであるにもかかわらず、この闘いによって大事故をもたらした分割・民営化の破綻(はたん)が徹底的に暴かれることに、JR資本は心底から恐怖しているのだ。
 この動労千葉の闘いは、戦争と民営化の攻撃と真っ向から対決する闘いであり、それゆえに杉並での「つくる会」教科書採択阻止と石原都政打倒・都議選勝利の決戦に、固く連帯し結合する闘いとして展開されているのだ。

 第3章 戦争・民営化・福祉破壊と対決する6月蜂起戦

 「つくる会」教科書を阻止する闘いは、まさに石原都政の打倒と一体であり、同時に小泉=奥田の戦争と民営化攻撃との対決そのものである。このことをファシスト反動の側から明らかにしているのが、「つくる会」の会長で公民教科書の執筆者でもある八木秀次である。
 八木は「つくる会」教科書を形成している反革命的思想の核心を、「国家再生の哲学としての保守主義」と表現している。そしてこのイデオロギーが、石原のファシストイデオロギーと完全にひとつであることを披瀝(ひれき)している。八木や石原のこの思想は、危機に立つ帝国主義がその破綻の末に行き着いた新たなファシズム思想である。
 特に決定的なのは、構造改革=民営化と靖国参拝は一体だ、と言っていることである。国家のために、「構造改革の痛み」すなわち民営化によるリストラ・首切りと労組解体を受け入れよと言っているのだ。これは奥田・日本経団連の1・18の二つの提言や、4・19提言と本質的にはまったく同じであり、新たな「戦争と民営化」攻撃の論理なのである。
 八木は、“靖国の英霊に恥ずかしくない日本を築くために痛みを伴ってでも改革(民営化)をやるべきだ”と言う。同時に、国を守るために個人の命をささげるのは当然だと宣言する。一握りの帝国主義ブルジョアジーのための国家を至上のものとして、その国家の危機を叫び立て、労働者階級人民の命を徹底的に踏みにじって、戦争と民営化攻撃をどしどし強行せよというのである。
 八木はまた、本年3月に出版した『国民の思想』という本の中で、「保守主義とは〈縦軸の哲学>である」と言っている。これは石原の言う「垂直の情念」と同じで、この思想が「国家を再生」させると言う。この「縦軸の哲学」とは「生命の連続性を自覚する哲学」であり、「祖先の名を汚さず、その遺産を継承し、子孫に負の遺産を残さない」ことだと言う。言い換えるならば、祖先のやったことは全部正しい、明治政府や大日本帝国憲法は素晴らしい、日帝が行った帝国主義戦争・侵略戦争と植民地支配は日清・日露戦争を始めとしてすべて正しい、ということである。
 八木はさらに、サッチャー、レーガンのやった民営化攻撃の核心は、「単なる経済効率ではなく……『精神革命』の一環であり、『精神革命』を起こすための手段」であったと言う。この「精神革命」とは、具体的には労働組合の破壊と「社会主義者やリベラル勢力の駆逐」を意味する。特にサッチャーは「教育界から左翼色を一掃した」ことで、教育の中央集権を推進したと賛美しているのだ。
 すなわち、「つくる会」=八木の主張は、民営化は国家主義・愛国主義の鼓吹の手段であり、戦争動員=戦争攻撃そのものだということだ。そして民営化とはまさに「左翼の一掃」であり、労働組合の解体と活動家パージであり、階級絶滅攻撃であるということだ。今日の「日の丸・君が代」強制攻撃、「つくる会」教科書攻撃が教育労働運動解体の攻撃であること、4大産別決戦が労働組合解体攻撃との闘いであることを、ファシストの側から暴露しているのだ。
 「つくる会」も石原も日帝ブルジョアジー、小泉=奥田の最先兵である。石原は一方で、民営化(労組破壊)と福祉の切り捨てを無慈悲に進めながら、他方で中国と戦争しろ、「尖閣諸島(中国領である釣魚台のこと)に自衛隊を派兵せよ」と叫んでいる。「日の丸・君が代」強制や「つくる会」教科書採択で戦争動員の攻撃を強めている。こんな極悪のファシストを、もはや一日たりとも知事の座にとどまらせてはならない。
 「つくる会」教科書採択絶対阻止と都議選勝利をかちとる6月決戦においてこそ、「つくる会」と石原を打倒しよう。ファシスト勢力を粉砕し、強大な労働者党建設を推し進めよう。労働者党は、労働者自身の力でかちとらなければならない課題だ。
 沖縄では、6・23沖縄戦60年の日の闘いを前に、藤岡信勝ら「つくる会」派の策動との闘いが焦点化している。辺野古の海上闘争が日帝・小泉を追い詰め、6月1日には、4月26日に夜間作業で設置された金網を完全撤去させるに至っている。米軍トランスフォーメーション(再編)に対する最前線の激突として辺野古の闘いはいよいよ重大である。
 戦後階級闘争史上最大の6月決戦へ、総力を挙げて猛然と突入しよう。7・3都議選投票日へ、いざ進撃しよう。

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週刊『前進』(2201号1面2)(2005/06/13)

 6・2杉並 石原に怒り430人集う

 「つくる会」教科書採択 “絶対ストップを”

 6月2日夕、杉並・阿佐谷の産業商工会館で「『つくる会』教科書採択とめよう6・2杉並大集会」(主催・同集会実行委員会)が開かれた。開会前から大勢の人たちが詰めかけ、通路や演壇にも座り、それでも会場からあふれる430人の大結集だ。各発言者の訴えがしっかりと参加者の心をとらえ、「絶対に『つくる会』教科書を阻止するぞ」という熱気に満ちた集会だった。
 反戦の思いを込めた歌がオープニング。実行委員会から「6月が一番大事な時期」と開会が宣言された。
 連帯のあいさつとして最初に「日の丸・君が代」強制に不起立で闘った被処分者の会の教育労働者が発言。まず一人が、東京都の浜渦問題での横山教育長辞任についてふれ、「闘って引きずり降ろしてやろう」と訴えた。もう一人の労働者は、「『つくる会』教科書は中国でも韓国でもあれだけ大問題になっている。みんなの力で雰囲気を変えていこう。日本全国でこの教科書を阻止することができれば『つくる会』はつぶれる」と提起した。
 都内の私立高校教職員組合の労働者は、一人の不当解雇、その撤回を求めて闘う組合員と生徒との接触すら禁止する校外排除の不当処分を怒りを込めて報告、「校長は生徒まで含めて自分の指揮系統に置こうとしている」と語り、この闘いが「つくる会」教科書採択阻止と一体だと訴えた。
 動労千葉の田中康宏委員長は、JR西日本尼崎事故について「分割・民営化という犯罪的政策がもたらした事故」「労働組合がつぶされるとこういうことが起きる」と語り、安全運転行動に突入し、JR資本の「違法争議だ」という攻撃に処分を恐れず闘いぬいていることを報告した。民営化と戦争の攻撃は一つだと訴え、「労働組合の責任を果たす」と鮮明な決意。労働者の闘う決意に会場が共感し、熱気に包まれた。
 講演はジャーナリストの斎藤貴男さん。戦後の教育について90年代に日帝の加害者としての戦争が教えられるようになり、それが再び攻撃され、「アジア解放の正しい戦争」だったとされていく歴史的経過を説いた。その背後に「新しい歴史教科書をつくる会」と自民党の「歴史・検討委員会」「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」があると提起した。彼らの目的が「これから再び戦争をやるためだ」と鋭く暴いた。改憲の動きが強まっていることを訴え、「覚悟を決めて運動に励んでいただきたい」と結んだ。
 杉並区議会文教委員会の報告を新城節子区議が行った。新城さんは、山田区長が教科書採択の規則を変え教科書採択審議会を調査委員会に変え、それを文教委員会にも隠していたことを5月17日の文教委で暴いた報告をした。「石原を追い込んで打倒できる状況である」と、「つくる会」教科書採択阻止を訴えて都議選を闘う長谷川英憲氏を紹介した。
 教育現場からの報告では杉並の中学校の教育労働者が授業で使ったプリントを回収しなければ危ないような現場締め付けの状況を報告、「つくる会」教科書採択阻止を訴えた。
 リレートークは10代から90代まで。3人の子を持つ母親は「『つくる会』教科書には普通の人が書かれていない」。部落解放同盟全国連杉並支部は「つくる会」教科書が差別問題を抹殺していることを激しく弾劾。沖縄出身で戦争体験者の男性は、「つくる会」派の渡嘉敷区議が沖縄を裏切っていることを批判。「一つひとつの命は大きな存在。それを小さく、こそくにするものを断固はねのける」と92歳の女性。高校2年生が「歴史のテストで太平洋戦争はアジアの解放のための戦争だったと書かないと×をもらう。恐ろしいことだ」と述べ、元教師の女性は「生きてきた民衆を冒涜(ぼうとく)する教科書」と「つくる会」教科書を弾劾した。
 最後に実行委員会が署名運動の推進や区役所前での座り込み、区議会傍聴など「できることはなんでもやろう。絶対阻止しよう」と行動方針を提起した。
 (本紙・永松隆治)

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週刊『前進』(2201号2面1)(2005/06/13)

 石原、お前の責任だ 浜渦問題

 議場を圧する怒りのヤジ

 都議会第1日 長谷川氏、議会前で訴え

 東京都の浜渦副知事問題として爆発した石原都政の内部矛盾と危機は、石原が副知事3人と教育長、出納長の5人の特別職をしぶしぶ辞職させることで自民・公明との合意がなされ、問題の本質は隠されたままに決着させられようとしている。6月1日に始まった都議会定例会の所信表明でも、石原はこの問題について明確な説明をすることをまったく避け、ごまかしてのりきろうとした。これに対し、傍聴席から「石原は責任をとれ。辞任せよ」の追及とヤジがたたきつけられた。石原都政の崩壊が始まった。都議選に勝利し、石原ファシスト都政を打倒しよう。

 沈黙・加担する全政党を弾劾

 都社会福祉総合学院をめぐる浜渦副知事の偽証問題を発端に、石原都知事とその側近の浜渦によるファシスト独裁に対し、自民、公明との利権・人事をめぐる内紛が表面化、都政が大混乱に陥る中、浜渦副知事らが総辞職に追い込まれた。
 都議会定例会初日の6月1日、元東京都議会議員で都政を革新する会代表の長谷川英憲氏は、昼休みに合わせて都議会前に立ち、マイクを握って都庁などで働く労働者や都民に訴えた。
 「この問題の最大の責任者は石原都知事その人です。浜渦副知事の所業は、すべて石原知事の指示によって行われてきた。石原知事の命令で、福祉を始め東京都の仕事はどんどん民営化されてきました。都社会福祉総合学院は民営化された学校です。この補助金や土地貸付の利権をめぐって石原知事サイドと自民党の間で対立が起きた。しかし、そもそも戦争と民営化路線を突き進んできたのは石原知事です。その石原政治が大きな破綻(はたん)を迎えたのです」
 1日の都議会での石原の所信表明は、終始うつむき原稿を読み上げるだけ。問題の都社会福祉総合学院の部分に差しかかると、さらに早口の棒読みになった。しかし、浜渦の偽証や辞任の経過、自らの責任にはまったく言及しない。説明責任すら果たさず完全に居直るつもりだ。
 演説が結びに入っても、議席からはヤジの一つもない。「浜渦追及」を叫びたててきたはずの自民や公明の議員も石原を追及する気はない。日本共産党も「市民派」を自称する福士敬子都議(杉並)もまったく沈黙。多数の都民がつめかけた傍聴席は、不信と怒りが混じった空気が充満した。
 このまま石原の居直りを許すのか。突然、たまりかねた傍聴席から「ちょっと待って下さい。石原さん、浜渦副知事の任命責任はどうなんだ」と声が響いた。傍聴していた長谷川英憲氏らが次々と「石原知事、あなたが責任をとって辞任すべきだ」などの批判の声を上げた。石原が一瞬、立ちすくんだ。さらに一人の青年が「ファシスト石原お前がやめろ」と書かれた紙を広げた。傍聴席からは激しいヤジと怒声が飛び交う中で、この日の議事は打ち切られた。
 議事終了後も、他の傍聴者から「浜渦問題にまったく触れないのはおかしいですよね」という声が寄せられた。

 民営化と福祉破壊を強行し中国への戦争叫ぶ石原倒せ

 浜渦問題が起きた2月以来、石原は全力で浜渦を擁護し防衛しようとしてきた。だが、5月26日になって福永と大塚の2人の副知事と横山教育長が「進退伺」を出し、議会では刑事告発の動きが表面化して、石原はついに浜渦と出納長桜井の更迭に追いつめられた。しかし、石原は浜渦の辞任時期を7月22日まで延ばした。与党との関係で、浜渦は人事には関与しないと認めさせられたが、あわよくば巻き返しを図り浜渦の居座りを狙っている。
 副知事の刑事告発、特別職3人の辞職願い、それに対する特別職総辞職というような事態は、都政史上かつてなかった混乱であり、石原都政の崩壊を意味する超重大事である。
 にもかかわらず最高責任者である石原は、辞めるとは言わず居直っている。そして浜渦を追及したはずの自民、公明は、石原の責任は問おうとしない。オール与党の都議会も腐りきっているのだ。
 問題の発端は、福祉切り捨ての民営化によって、石原が都政にからむ膨大な利権を自民党・公明党勢力から分捕ろうとしたことにあった。利権に手を突っ込まれた自民党が浜渦を百条委員会にかけることで反撃に出た。
 小泉=奥田路線の先兵として石原が強行した民営化・福祉破壊が引き起こした醜悪な利権争いと、それが石原自身に波及しそうになるや妥協して問題の隠ぺいに躍起となる都議会。石原を追及しない日本共産党も含めた議会のオール与党体制こそ、石原の「恐怖独裁」=ファシスト支配を許してきた元凶だ。
 “石原知事に挑戦状”を真っ向から掲げる長谷川英憲氏を、闘う議員として都議会に送り込むことが今こそ必要なのだ。
 石原は、「東京から日本を変える」と称して、都知事の地位を利用し、教育改革をテコに戦争政治を進め、その一方で浜渦を使って都政を強権的・暴力的に支配してきた。石原は週に1、2日しか都庁に姿を見せず、登庁してもわずか3時間でいなくなる状態だ。そんな状態で都政を支配するために、浜渦の「恐怖独裁」「専横」が必要だったのだ。浜渦の行動はすべて石原がやらせてきたことなのである。浜渦の問題は、石原自身の問題なのだ。
 都庁に行かず石原がやってきたことは何か。一方で民営化(労組破壊)と福祉切り捨てをどんどん推進することであり、他方で侵略戦争をあおり、小泉=奥田の先兵として戦争国家化を推進する策動だ。
 石原は『週刊文春』の5月5・12日特大号などで「今こそ尖閣諸島に自衛隊を派兵せよ」「アメリカを日本の対中国戦略に巻き込」んで中国に戦争を仕掛けよ、と叫んでいる。そして「三峡ダムも北京も破壊される」と扇動し、さらに中国を分裂させて「分裂した各地域に狙いを定めて進出」しろと叫んでいる。石原はかねてから、こうした戦争挑発策動を繰り返してきた。石原こそ米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争の最先兵なのだ。
 浜渦問題が決定的な局面に突入していた5月20日に沖ノ鳥島に上陸し視察したのも、領土問題をたきつけて中国への戦争をあおるためだったのだ。
 石原を倒すために最も必要で最も有効な道は、長谷川英憲氏を都議会議員選挙で勝利させ、“石原知事に挑戦状”をたたきつけることである。都議会に本当に闘う議員を送り込むことである。
 今や石原の都政支配は崩壊を開始した。
 石原ファシスト都政の切っ先は横山教育長を使った「日の丸・君が代」強制だった。しかし、都高教を始めとする教育労働者の闘いは、これと真正面から対決し打ち破っている。「つくる会」教科書採択阻止の闘いの高揚が、石原をさらに追いつめている。
 また、民営化によるリストラと労組破壊に対し、多くの労働者が怒りに燃えて闘いを開始している。これこそが、浜渦問題として支配階級内の矛盾の爆発をつくり出したのである。
 ファシスト石原を打倒するために決定的なのは、「つくる会」教科書採択阻止の闘いを爆発させることである。「つくる会」と石原のファシスト先兵である山田区長が攻撃の焦点としている杉並区において、これと真っ向から対決する闘いが鋭く、力強く闘いぬかれている。杉並区で「つくる会」教科書採択阻止の闘いを大爆発させ、長谷川英憲氏を都議選で勝利させることこそ、ファシスト石原を打倒する決定的な闘いだ。都議選に勝ち抜き、労働者人民の力でファシスト石原を打倒しよう。

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週刊『前進』(2201号2面2)(2005/06/13)

 「つくる会」八木の思想を暴く

 石原を「救国の指導者」と仰ぎ 労組と左翼勢力の排除を要求

 サッチャーの「民営化」攻撃が手本

 「亡国の危機」を叫び独裁者の登場を熱望

 「新しい歴史教科書をつくる会」はこの05年、「つくる会」の歴史と公民教科書の採択率を全国の公立中学校の10%まで押し上げることを狙っている。そのためにもまず東京都で50%の採択を実現すると豪語している。そのよりどころとなっているのはファシスト石原都知事であり、石原都政下での都教委による反人民的な教育支配の体制だ。
 だが「つくる会」と石原との関係は、単にこの教科書採択問題にとどまるものではない。石原自身が「つくる会」の設立に深くかかわった人物であり、石原の思想と「つくる会」の思想は完全に同じなのである。
 「つくる会」は、日本の政治・経済・社会が今日、その資本主義・帝国主義の本質ゆえに完全に行き詰まり、あらゆる矛盾と腐敗を一斉にさらけだしていることに対して「亡国の危機」を叫んでいる。そしてその突破を労働者階級の闘いの撲滅と新たな侵略戦争・世界戦争に求め、そのリーダーとして、旧来の自民党政治家に代わるファシスト的な独裁者の登場を求めている。その筆頭に挙げられているのが石原だ。
 「つくる会」の会長である八木秀次は、02年に「なぜ石原慎太郎首相は待望されるのか」と題する論文を雑誌『正論』に発表した。「国家の危機」を救うためには「真性の保守主義のリーダー」が必要であり、それは石原以外にない、首都の権力を握って「東京から日本を変える」と叫んできた石原が、次には全国家権力を掌握し、戦争への国家大改造を文字どおり実行すべきだ、と言うのだ。
 八木が執筆し、「つくる会」が編集して本年3月に産経新聞社が刊行した『国民の思想』という本は、彼らのイデオロギーの今日的な集大成だが、そこで彼らは「新しい保守主義」を打ち出している。その内容は一言で言えば、第2次大戦後の平和主義・民主主義の価値観を一掃して、帝国主義の危機の時代に挙国一致で侵略戦争に突き進むことのできる新たな「日本人としての生き方」を、一個の「国民精神」として確立せよというものである。
 すなわち“再びかつての15年戦争をも上回る侵略戦争・世界戦争を戦える帝国主義になるためには、憲法や制度を変えるだけでなく、市場原理の導入や民営化を推進すると同時に、戦後的価値観そのものを解体・転覆する「精神革命」が不可欠だ。この「革命」を遂行するにはこれまでの政治支配の延長ではダメだ。強大な権力をふるって国家と社会を大改造し、抵抗する左翼勢力や労組を排除することが必要だ”というわけだ。そして、それができるのは石原だけだと言うのである。

 「精神革命」とは戦後的価値観の解体・一掃

 『国民の思想』はまず、小泉政権による構造改革攻撃がなぜ遅々として進まないのか、戦争のできる国への転換がなぜ貫徹できないのか、との問いを発する。その原因は、政治改革、行財政改革、教育改革、社会保障制度改革、司法改革などの一連の攻撃が「間違った理念」に基づいて行われているからだと言う。すなわち、基本的人権や労働者人民の生存権といった、国家と個人の関係についての戦後の価値観を真っ向からたたきつぶそうとせず、そのことを脇に置いて進められる「改革」では成功しないのだと主張する。
 そして、1980年代の英国のサッチャー政権や米国のレーガン政権による規制緩和と民営化の大攻撃を引き合いに出し、彼らが行ったのは「文字通りの『精神革命』であった。市場原理の導入という経済政策は精神革命を起こすための手段であるといっても過言ではなかった。単なる経済効率のための民営化ではない」と言い切るのだ。
 とりわけサッチャーの政策を称賛し、次のように断言する。
 「彼女は国民の『品質』を保証するために、まず『品質』を低下させている原因を明らかにした。その病巣は国内の左翼勢力であることを確認し、徹底した左翼排除を行った」
 ここで排除の対象とされた「左翼」とは、まず国営企業とそこに働く労働者、次にあらゆる労働組合と教育界のすべて、最後に「ゆりかごから墓場まで」の手厚い福祉政策に「甘えてきた」一般の国民であるとされている。そして、「これらはいずれも国家を内側から食い破るシロアリのようなものであった。サッチャー女史はこれら勢力を一掃し、彼らに精神的な覚醒(かくせい)を求めた。そのために国営企業を民営化し、福祉をカットして大きな政府を小さくし、教育の中央集権化を行った」と述べ、この左翼撲滅=労組解体こそがイギリス帝国主義の国家的再生のかぎであったとしているのだ。
 これは恐るべき主張である。サッチャー政権下の英国が陥っていた経済の低迷や社会的諸矛盾の爆発は、イギリス帝国主義の危機と腐敗が必然的に生み出したものである。だがサッチャーはその一切を労働者階級の責任にすりかえ、国営企業の大民営化攻撃を基軸に国家的大リストラと大量首切り、福祉切り捨て、労組破壊の一大資本攻勢を激烈に推進した。しかし、労働者階級の徹底的な犠牲の上に資本家階級の延命を図ろうとしたその攻撃は、英帝の危機を一層絶望的に促進した。鉄道も、医療も、教育も、サッチャーの改革によって徹底的に破産し、荒廃しているのがイギリスの現実である。
 八木を始めとした「つくる会」のファシストたちは、すでにその破産が明らかなこのサッチャー改革を限りなく美化し、日本も同じことをもっと徹底的にやれと叫んでいる。

 国のために死ぬことを強いる「国民道徳」

 ここで彼らが主張していることの核心は、何よりもまず労働者階級の階級的な思想を破壊し、その階級的団結を解体せよということである。そして労働組合と労働運動を始め、労働者人民のあらゆる階級的な組織と運動を暴力的に根絶・一掃することが、絶対不可欠だと宣言してきている。
 「つくる会」にとって、学校を戦争教育一色に染め上げることと、民営化・労組解体の攻撃は、一体のものなのである。その両者を強行し、少しでも抵抗する者を容赦なくたたきつぶさなければ、労働者を帝国主義ブルジョアジーとその国家のために一言の不平も言わず働かせ、いざとなれば戦争ですすんで命をささげる存在に転落させることはできないからだ。
 しかも「つくる会」が撲滅の対象としている「左翼思想」とは、必ずしもマルクス主義・共産主義だけではない。リベラルな人権思想なども含めて、ヒトラーがそうしたように一切の労働者的な思想と組織が攻撃と破壊の対象なのだ。
 『国民の思想』は、彼らが求める「精神革命」のかなめは「教育の正常化、家族の強化、国民道徳の再生」という3点にあると書いている。「教育の正常化」とは教職員組合を解体し、子ども中心の教育を否定して、戦前のように戦争教育によって子どもたちの頭と心を「洗脳」する場に学校を変えてしまうことだ。「家族の強化」とは、両親がそろい母親が育児に専念する家父長的で「伝統的な家族」を国家と社会の秩序維持の決定的な柱と位置づけ、その復活を公然と叫ぶことだ。そしてこの学校と家庭の「正常化」の上に、「国のために死ぬ」ことを最高の価値とする「国民道徳の再生」を実現するというわけである。
 これは、労働者階級の階級的な思想はもとより、戦後民主主義のもとでのこれまでの社会観・国家観や歴史観などのすべてを根本から破壊することなしには達成されない。「つくる会」の歴史と公民の教科書はまさにそのためにこそ作成され、学校現場に持ち込まれようとしているのだ。
 「つくる会」と石原都政が一体となって推進するこの「つくる会」教科書採択の攻撃は、それ自身が労働者階級に対するファシスト的クーデターそのものだ。いわば内戦の火ぶたを、彼らの側からすでに切ってきているのだ。これと全力で闘うことなしに、民営化攻撃の粉砕も、改憲阻止の闘いもない。杉並はその最大焦点となった。ここで絶対に勝利し、「つくる会」粉砕・石原打倒への巨大な突破口を切り開こう。

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週刊『前進』(2201号2面3)(2005/06/13)

 “戦争教科書使わせない”

 杉並親の会 区教委に申し入れ

 「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会は、採択反対の署名運動に取り組んでいる。5月25日に行われた杉並区教育委員会への申し入れ行動に、私も参加した。
 申し入れの内容は、@「つくる会」教科書を採択しないこと、A教員や保護者、区民の意見を取り入れ、独断で採択せず、審議を公開すること、B改悪された教科書採択の規則と調査事務処理要綱を白紙撤回すること――の3点。親の会は2283筆の署名を提出、百万人署名運動杉並連絡会もこの行動に合流して署名620筆を提出した。
 この日の教育委員会を傍聴した参加者は、審議らしい審議もせずに「つくる会」教科書採択の策動が進んでいることを目の当たりにし、怒りに燃えて申し入れに臨んだ。対応した教育委員会の佐藤事務局次長に対して参加者は、「『つくる会』教科書は歴史の真実を教えない教科書。私も沖縄戦の生き残りです。昔、私たちが受けたような教育をされたら困ります」「中学に娘が通っている親の立場として、調査事務処理要綱が変えられたことについてPTAになんの知らせもない。きちんと説明してほしい」と意見を述べた。
 その後、親の会は区役所内で記者会見を行い、「つくる会」教科書採択阻止へ署名運動を推進することを表明した。
 記者の質問に答え、「正しい歴史を伝えたい。あったことをなかったことのようにし、戦争はアジアの解放にも役立ったと言う。子どもたちは戦争に駆り立てられていく。どうしてもこの教科書は使わせることはできない」「4年前やって署名は力があることを知った。とっても大切だと思う」などと訴えた。
 署名運動をさらに発展させ、「つくる会」教科書の採択を絶対に阻止しようと決意を固めた一日だった。
 (投稿/杉並 B)

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週刊『前進』(2201号3面1)(2005/06/13)

 長谷川さん必勝へ決意

 都革新後援会 「励ます会」に区民集う

 都議会議員選挙の告示まであと1カ月を切った中で、5月29日午後、杉並区内で都政を革新する会後援会の「長谷川英憲さんを励ます会」が行われ、多くの区民が参加して、なんとしても長谷川氏を都議会に送り込もうという気迫のこもった決起集会となった。 集会に先立って、長谷川氏の政策と人となりを分かりやすく紹介するプロモーションビデオ「石原知事に挑戦状(講談師による長谷川ひでのりのたたかいの紹介)」を上映した。
 後援会長の「あと1カ月がんばり抜きましょう」という開会のあいさつに続いて、選挙情勢について、結柴誠一区議が説明した。2年間国政選挙がない中で今度の都議選が、07年までに改憲をめざしている政府との闘いを決する場であることを明らかにし、そこで長谷川さんが唯一の反石原の候補であること、石原体制がほころんできている今日、勝機はあることを鮮明にさせた。
 参加した後援会の区民から長谷川さんへの期待や決意が語られた。「長谷川さんは介護の問題で私たちの気持ちを代弁している。実際の行いと言葉が違う人を選んで良いのか」「戦前の総右へならえの道に行こうとしている。たったひとりの力で、この国を変えることができる」と長谷川氏の勝利で突破口を開くことを訴える意見。「戦争への道に反対するためのデモが必要ではないか」という提案。「長谷川さんの誠実を感ずる。演説の時は人柄をたたきつけるように話してほしい」という注文。「混迷の世界に道をつくるのが長谷川さん」と希望を語る高齢者。10人の区民が次々と期待と決意を語り、盛り上がった。
 これを受けて長谷川氏が発言に立ち、まず、副知事辞任問題という重大事態が起こっていることについて、戦争と民営化の攻撃が根本問題であることを明らかにした。「東京都でも民営化の攻撃は、都立病院を半分にするなどの攻撃として進められており、医療ミスが増える結果を生みだしている。JR尼崎事故は国鉄分割・民営化の結果であった。労働者の団結があればこのような悲惨な事故は起こらなかった。動労千葉は安全のためにストライキで闘い、5月25日から安全運転行動を開始した。こういう闘いがあれば住民の命を守ることができる」と語り、「石原と自民党の対立は、闘う人びとがいるから矛盾が噴き出したのだ」と断言。「私が都議会に乗り込むことが石原に大きな打撃を与えることができる」と力強く宣言し、「挑戦状」を掲げて闘ってきたことの正しさを強調した。
 自民党、公明党、民主党、生活クラブが皆、石原与党であり、日本共産党や福士敬子氏が「つくる会」教科書を取り上げず、反石原を掲げていない、と痛烈に批判した。「ぜひ一緒に都議会議員選挙の勝利まで闘いましょう」という確信をもった訴えに、満場の決意を込めた大きな拍手がこたえた。
 まとめと行動方針を新城節子杉並区議が行い、6・2集会大成功などのあらゆる行動を積み上げて勝利をつかみとることを訴えた。

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週刊『前進』(2201号3面2)(2005/06/13)

 全国学生は杉並に結集しファシズム打倒の先頭に

 「つくる会」と闘い長谷川氏当選を

 東京・杉並では、街頭において「つくる会」派との大党派闘争が開始されている。街頭はまさに決戦場となっている。「署名用紙をくれ」「何をすればいいのか」と区民が行動を求めている。しかし、「つくる会」は「横山教育長のご尽力で東京では5割を固めた」と豪語している。すべての労働者階級人民、そして学生にとってファシストと真正面から対決する時がきた。学生共産主義者は、「つくる会」の主張を日本帝国主義の断末魔の叫びとして敢然と迎え撃ち、全国から杉並へ闘う学生を組織して駆けつけよう。

 「つくる会」派の策動と激突

 「つくる会」は、4年前の教科書採択で採択率わずか0・03%にとどまった。彼らはこの大敗北を総括し今年度の「リベンジ」を宣言している。そして今、「東京で5割を固めた」と言うまでに台頭している。
 その戦略は、採択制度の改悪に狙いを定めている。「つくる会」が突破口にしようとしている杉並では、「つくる会」派の区長・山田の指示で、採択要綱から「区民の意見を可能な限り参考にすること」という一文が削られた。しかも議会への報告すらせず、教育委員にすら内容をごまかしてである。議会制民主主義という、支配階級が階級支配の現実を覆い隠すための仮面すら脱ぎ捨てたのだ。まさにファシストの独裁だ! この方式が、「つくる会」派の首長や推進派議員により全国で採用されようとしている。
 「つくる会」派はまた、系列の人物を教育委員会や首長へ送り込むことでの採択も狙っている。埼玉県教委の高橋、千葉県知事選の森田は記憶に新しい。東京では3月以来、七つの区市議会、五つの教育委員会で「つくる会」派による「請願運動」が開始されている。その主張は「学習指導要領にそった歴史教科書を選んでいるか」というもので、都教委の通達とあわせてファシスト大衆運動を意図して行われている。

 戦争のためのイデオロギー

 今、起きていることは、体制的危機にのたうつ日本帝国主義ブルジョアジーが戦争をやって延命するためのイデオロギーとして「つくる会」教科書のイデオロギーを採用したということである。日帝は、敗戦からの延命と戦後革命の圧殺のために戦後憲法体制(と日米安保体制)を必要とした。そのもとで「平和と民主主義」なるイデオロギー上の仮面を階級的力関係の結果として、支配階級はかぶらざるを得なかった。
 しかし、基軸帝国主義・米帝の没落を基底とした戦後世界体制の全面的崩壊が今や始まっている。その最弱の環である日帝にとって戦後憲法と「平和と民主主義」のイデオロギーが完全に桎梏(しっこく)と化している。新たな帝国主義間争闘戦において実際に戦争をやって勝つために、日帝ブルジョアジーは「つくる会」教科書に示される天皇制賛美・国家主義・侵略翼賛のイデオロギーを必要としているのだ。
 すでに、日本経団連は今年1月に「わが国の基本問題を考える」を発表、改憲を主張している。労働者人民の反対がいかに高まろうと、日帝・小泉は日米枢軸のもとでイラク派兵を継続強化している。それどころか中国・朝鮮への資源・領土略奪の侵略戦争的攻撃さえ始まっている。まさに、ワイマール体制によってかろうじて延命したドイツ帝国主義が、「ベルサイユ体制打破」を掲げたナチスの荒唐無稽(こうとうむけい)なイデオロギーと完全に結合していった過程と類似の過程が始まっているのだ。その突破口が教育だ。
 かつてナチスが、権力を握る過程で、突撃隊や親衛隊の暴力で一切の批判・反対を封じ、権力掌握後はヒトラーユーゲントを育成することでナチスイデオロギーによる支配を「完成」させ、資本の要請にこたえて第2次世界大戦に突き進んだように、日帝ブルジョアジーは「つくる会」教科書攻撃で戦後教育と戦後教育労働運動の一掃・粉砕を狙っているのである。
 決戦の杉並では「つくる会」イデオロギーがどのように噴出しているか。
 石原と一体となって「つくる会」教科書の採択を狙うファシスト山田区長は、「日本海大海戦100周年記念上映会」と銘打った企画を区の教育委員会に後援させ、自らも出席して日露戦争を賞賛する演説をぶった。「日本は東京裁判史観の呪縛が少しずつとけてきた」と主張し、「侵略戦争とは何かという定義をはっきりさせずに日本の戦争を侵略と決めつけることはできない」などと侵略戦争肯定のためにする論をまくし立てた。その一言一句がうそとデマにまみれている。
 なぜ、「つくる会」勢力は日露戦争や明治国家を賛美するのか? その核心は「国のために命を差し出せ」と言いたいからだ。そのためには「日本はすばらしい国だ」と労働者階級人民に刷り込まなければならない。国家体制の根幹として天皇を押し出し、天皇の「正当性」を主張・強制するためには荒唐無稽な神話まで持ち出す。そして天皇制国家体制の近代的確立であった明治維新とそれ以後の明治時代を持ち上げる。その明治国家が軍事的に勝利した日露戦争はすごい、と言いたいのだ。だが、日露戦争こそは、世界史上最初の帝国主義間戦争であり、朝鮮併合とその後の中国侵略戦争、太平洋戦争の出発点そのものなのだ。
 このような自国の侵略戦争を徹頭徹尾肯定し、賛美するイデオロギーを暴力無しに労働者階級に植え付けることはできない。労働者階級は日々資本に搾取され、収奪されている。持たざる者が持たざる者としての意識を持った時に、持てる者の国家=ブルジョア国家のために進んで身をささげることはありえない。

 総元締め石原を打倒しよう

 資本家の国家を打倒し、プロレタリア独裁・共産主義革命以外に労働者階級の利益はない。白色テロルに対して革命的武装自衛闘争を貫徹し、労働者階級の総決起をかちとっていくことが勝利の道だ。日本においてもすでに教育労働者や動労千葉を先頭に戦時下における戦争協力拒否闘争が開始されている。それは帝国主義を打倒する闘いそのものである。
 「つくる会」教科書採択の総元締めが石原だ。都知事という権力を握り、差別・排外主義の扇動と警察政治で突破しようとしている点に石原の独特の性格があるが、それは石原がナチスのような擬似革命的大衆運動を有していないことをも示している。ここが石原の根底的弱点だ。もちろん300万票をけっして過小評価してはならない。しかし、この都知事権力−警察権力は、革命的共産主義運動が労働者階級人民を組織していくことに成功する度合いに応じて粉砕されるのだ。
 石原都政はこれまで、教育長・横山がファシスト教育改革を行い、副知事・浜渦が社会保障制度の解体に手を染め、同・竹花が治安体制の強化に走ってきた。このファシストどもを打倒していくのは帝国主義を打倒する労働運動しかない。既成指導部の屈服を打ち破り、労働者階級の荒々しい決起をかちとろう。

 スペイン内戦の義勇兵だ!

 どうすれば「つくる会」教科書の採択を阻止することができるか?
 「日の丸・君が代」強制同様、強行したことが逆に教育労働者を始めとした労働者・学生・市民の憤激と燃え上がる決起を見せつけることである。中国の青年を見よ! スターリン主義権力の制動をも突き破り、日帝の再びの侵略に対して英雄的決起を開始しているではないか! イラクのムスリム人民を見よ! 世界最強の米軍をイラクからたたき出すまで、やむことのないゲリラ闘争を闘っているではないか! 日本の学生もこれに続くのだ。
 さらに重要なことは、「つくる会」は教科書という合法的領域において反革命クーデターを狙うファシストだということだ。であれば、われわれに問われているのは、合法的領域=ブルジョア議会の中において、この反革命クーデターと真っ向から対決する議員を持つことだ。
 今、「日の丸・君が代」強制攻撃に身をていして闘ってきた教育労働者を始めとして、「つくる会」教科書への危機感が渦巻いている。しかし、どの既成政党も教科書問題を都議選の焦点にすることを避けている。唯一絶対阻止を掲げているのが長谷川英憲氏である。しかも、かつてない規模の闘いに広げているのが都政を革新する会と長谷川氏なのだ。「つくる会」教科書の採択阻止と、長谷川氏の当選は一体だ。
 かつてスペイン内戦において、国際旅団が組まれ、全世界から義勇兵がファシストとの戦いに勇躍決起していったように、全国学生は杉並に駆けつけよう。30年代階級闘争がファシズムの暴力と、スターリン主義の「社会ファシズム論」と「人民戦線戦術」という二つの誤った戦術により血の海に沈められていった歴史を繰り返してはならない。すべての闘う学友諸君は決戦の地−杉並に駆けつけよ! ファシストどもに階級的怒りをたたきつけ、「つくる会」教科書採択阻止、都議選決戦勝利、石原打倒をかちとろう!
 〔マル学同中核派〕

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週刊『前進』(2201号3面4)(2005/06/13)

 戦争の真実語らない「つくる会」

 南京大虐殺の否定は許されない

 「中国のつくり話」とうそぶく石原

 「つくる会」教科書採択阻止の闘いが東京・杉並を最前線に激烈に展開されている。ここに紹介する文章は、杉並の闘いを担っている同志が、杉並区内での街頭演説を想定して、特に南京大虐殺についての「つくる会」歴史教科書のウソを暴露するために執筆、投稿したものです。(編集局)

 杉並で大虐殺がもし行われたら

 1937年12月、日本軍が南京を武力占領しました。そこで日本軍は、虐殺、略奪、放火、強姦(ごうかん)、それこそ暴虐の限りをつくしました。20万人以上、30万にもなる中国人の虐殺を行ったのです。
 この時、南京の人口は55万人以上はいたと言われています。135万いた南京市民は日本軍の侵攻を恐れ、70万余の人びとが南京から逃れました。今の杉並区の人口が52万。37年12月の南京の人口は杉並区とほぼ同じでした。南京ではそのうち、実に20万から30万の人びとが言語に絶するやり方で殺されたのです。
 杉並の20万から30万の人びとが、お年寄りから子どもまで、だれ構うことなく虐殺された――と、そう考えてみてください。気絶するような大変な事態です。それを37年12月、日本軍は南京で凶行したのです。
 だのに、そのことを反省せず靖国神社に参拝する、アジアへの侵略戦争を賛美する教科書を使用しようとする、そのことに対して、中国や韓国の人びとが怒ってデモに立ったのは、当然ではありませんか。この怒りのデモに対して、破壊の賠償をしろとか、中国の得にはならないからやめろとか、とんでもない敵対のキャンペーンが行われています。損得で闘っているのではないのです。これら反日帝デモに対するキャンペーンは、かつて中国で朝鮮で何を行ってきたのか、そして今何を行っているのかを隠そうとする憎むべき排外主義の扇動です。

 歴史的に実証された虐殺の事実

 教科書検定違憲訴訟を闘っておられた家永三郎さんは、その著書『太平洋戦争』の中で、南京大虐殺にふれ、次のように言っています。
 「日本軍が南京市内外で、投降捕虜、武器をすてて市民の間に逃げ込んだ敗残兵ばかりでなく、一般市民老幼男女をふくめ、中国人数十万人を虐殺した事実は否定することができない。女は片はしから強姦され、商店と家屋は軒なみ略奪され、放火された。東京朝日特派員今井正剛の実見談によれば、軍司令官松井石根の入城式を挙行するため、南京市内から敗残兵を一掃すべしという命令が発せられ、便衣に着がえた敗残兵と目せられた多数の市民が下関桟橋に並べられて機銃で一斉掃射され、『碼頭(まとう=波止場)一面はまっ黒く折り重なった屍体(したい)の山』で埋められ、これを苦力(クーリー)たちに河中に投入させた後、その苦力たちもまた河岸に並べ、機銃で次々に河中に落としていった、ある将校は『約二万名ぐらい』と語ったという……」
 この実見録も南京大虐殺のほんの一部にすぎません。『南京大虐殺否定論13のウソ』(南京事件調査委員会・柏書房)では、さらに詳しく記されています。
 書かれた情景をよく想像してください。大変な、まさに言語に絶する惨劇です。その上、この南京で起こったことは、なんら例外ではなかったのです。中国全土で朝鮮全土で、日本軍が占領した全アジア地域でこうした残虐な行為が行われていたのです。この日本帝国主義の侵略戦争に対し、被害をこうむった人びとが、いつまでも、今も憎しみを込めた記憶として、けっして忘れまいとして思い続けていることは、あまりにも当然です。私たちはこのことを忘れてはいけないと思います。

 血で書かれた事実は隠せない

 石原都知事はこの南京大虐殺に対して、とんでもないデマ、ウソを繰り返しています。「つくる会」教科書の人たちも同じです。
 石原は、1990年の米誌「プレイボーイ」11月号のインタビューで、記者に日本軍も虐殺行為をやったではないかと問われて、「どこで日本人は虐殺をしましたか」と気色ばみ、「たとえば37年の南京大虐殺です」と記者に指摘されるや、「日本軍が南京で虐殺をおこなったと言われていますが、これは事実ではない。中国の作り話です。これによって日本のイメージはひどくよごされましたが、それはウソです」と、とんでもないウソ、デマを並べ立てています。
 石原という人間は、一度も1945年以前、つまり敗戦以前の歴史をまともに勉強したことがないらしい。「中国の作り話」だ、と言うところに石原の卑劣な本性が表されています。本当に「中国の作り話」だと思っているのか!
 南京大虐殺がなかった、などという話が歴史家らによってコテンパンに粉砕されるや、最近では、2万余は殺している論にしている(田原総一朗との対談本05年3月刊)。少ない数にしてごまかそうとしている。なんといい加減で卑劣な性根の持ち主か。
 南京で殺された人びとを紅卍字会と崇善堂という宗教団体が埋葬したことを記録に残している。あわせて15万5千人余を埋葬したと記している。この埋葬作業に日本軍が作業費の一部を出している。だから埋葬者数は日帝公認の記録とも言えるのです。先述のように、長江(揚子江)に流された死体も数知れません。広大な長江が、血で赤く染まったという手記もある。魯迅が言うように、「墨で書かれた虚言は血で書かれた事実を隠すことはできない」のです。
 だのに、この真実をあくまで否定しようとする石原と「つくる会」教科書は、本当に許せません。

 日帝の侵略軍と八路軍との違い

 私の記憶に鮮明なことがあります。
 それは俳優・森繁久弥さんの『森繁故郷に帰る』という手記です。森繁さんは、中国東北部(旧満州)で敗戦を迎え、大変な思いをして故郷に帰った体験を書いていますが、その中に、こんなくだりがあります。ソ連軍、国民党軍にかわって、激しい戦闘をへて中国共産党軍の制圧下になった。そんな時、森繁さんら日本人が隠し持っていた白米をひそかに炊いているところを中国人に発見されてしまう。その時中国人の隊長は「あなた方日本人は白米が常食ですから、遠慮なく食べてください。私たちは高梁(こうりゃん)が常食なんですから」と、なんら見とがめることをしなかったという。森繁さんはテレビの対談で、「ああ、中国の人たちはなんという大きな心を持った人たちなんだろう。その中国で私たち(日本人)は一体、何をしてきたのだろう」と深く慨嘆し、涙を流しました。
 中国人民を敵視することの愚かさ、およそ他国の人民を蔑視することの愚かさを、この話は鋭く提示しています。この時の軍隊は、第八路正規軍であったという。借りたものは針1本でも必ず返す、女性をからかってはいけないなどの軍律を厳しく守っていたと言います。

 戦争の根源は帝国主義にある

 さて、私たちは、これまでの話から次の結論を導くことができます。
 第一は、かつての1931年柳条湖事件から45年敗戦に至る、いわゆる15年戦争は、まぎれもない日本帝国主義の朝鮮、中国、アジア侵略戦争であり、アジアをめぐる米・英帝国主義などとの帝国主義間強盗戦争であったということです。
 「つくる会」教科書が、なぜ加害事実も被害事実も、押し隠そうとしているのでしょうか。それは、アジアを解放する戦争であったのなら、けっしてやらないこと、やってはならないこと、考えもつかないこと(言語に絶する残虐行為)をやってきたことが暴露されてしまうからです。徹底的に帝国主義の植民地支配をめざした侵略戦争であったことが再確認されてしまうからです。八路軍と比べるなら、日本軍が帝国主義侵略軍隊であったことはあまりにも明らかです。解放とはまさに正反対の残虐行為をもっぱらにしていたことを隠したいからです。
 第二は、戦争の真実を暴くことを、自虐史観だなどとけっして言わせないことです。誤りを誤りとして認めないということは、またやるということです。
 15年戦争で日本軍は、2千万人を超すアジアの人びとを虐殺しました。この事実ひとつとってみても、解放戦争であったなどとはけっして言えない戦争だったのです。これらの事実をおし隠し、知らないで、いったいアジアの人びとと連帯するなどということがどうしてできるでしょうか。
 日本はアジアの解放のためにやった、解放してやるのだ、日本だけが優れた民族なのだ。こう教え込まれる子どもたちは、いったいどういう人間になっていくのでしょうか。自国が困れば他国を痛めつけてもいいという人間です。まさに子どもを戦争に駆りたてる教科書です。
 第三は、石原のあの朝鮮、中国敵視、蔑視(べっし)は何なのかということです。最近も釣魚台に自衛隊を派兵せよとか、アメリカを巻き込んで中国と戦争しろと国家対立をあおり、戦争をあおっています。
 石原にしろ、中国、朝鮮、アジアを蔑視する人たちほど、かつての侵略戦争を解放戦争だったと強弁しています。このことこそ「アジア解放戦争」論が偽りであったことの自己暴露です。
 いったい、国家対立をあおることで、何が生み出され、誰が利益をこうむるのかに注目する必要があります。一言で言って、国際主義、労働者階級の国際連帯をたたきつぶすということです。
 戦争の根源は帝国主義です。この戦争の根源は戦後もなんら除去されていません。そして、帝国主義の危機が再び世の中を戦争にたたき込もうとしているのです。その表れが自衛隊のイラク派兵であり、「日の丸・君が代」強制であり、教育基本法改悪・改憲攻撃、「つくる会」教科書を使わせようとする攻撃なのです。

 「つくる会」教科書採択とめよう

 南京大虐殺こそは、三光作戦や731部隊などとともに、かつての15年戦争がまぎれもない日本帝国主義の侵略戦争であったことを突き出しています。「つくる会」教科書を採択することは、その侵略戦争を賛美することによって朝鮮、中国、アジアの人びとを二度殺すことを意味しています。そして再び侵略の銃を持たせることにつながって行きます。そんなことを断じて許してはなりません。今、怒りを込めて、何がなんでも杉並で「つくる会」教科書の採択を阻止しましょう。ファシスト石原を打倒するために、長谷川英憲さんの都議選勝利をかちとりましょう。
 長谷川さんの当選は、「日の丸・君が代」強制拒否の闘いを引き継ぎ、必ずや教育基本法改悪・改憲阻止の流れを大きく生み出すターニングポイントとなるでしょう。ひとり杉並だけの闘いではありません。全国から総決起して全力を尽くして勝ちましょう。
 (投稿/三船大吾)

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週刊『前進』(2201号5面2)(2005/06/13)

 動労千葉 JR東の処分策動はね返し 安全運転行動を継続

 “労働組合の当然の闘い”

 動労千葉は、JR西日本福知山線(宝塚線)の尼崎での脱線・転覆事故から1カ月を期して、5月25日から安全運転・危険個所確認行動に立ち上がっている。
(前号既報)
 千葉支社管内では、動労千葉が04春闘から05春闘の過程で明らかにしたように、レール破断が相次ぎ、幕張電車区構内ではボルトの緩みにより、レールの継ぎ目部分でレールの頭面がずれるという事態も発生している。03年12月には、国土交通省からJR東日本に対し「このままでは……重大な事故が発生する恐れが懸念される」という事業改善命令まで出されている。
 尼崎事故を受けた国土交通省の調査によれば、大幅に速度超過すると脱線の危険があるカーブが最も多いのはJR東日本で1259カ所に及ぶ(全国の鉄道会社で2555カ所)という。いったい、JR東日本は、尼崎事故をどのように教訓化しているのか。大塚社長は、安全確立に向けた「社長声明」ひとつ出さず、尼崎事故をひとごとととしている。現場に指示したのは「基本動作の徹底」のみである。
 尼崎事故ではATS―P(自動列車停止装置)が導入されていなかったことが原因と言われているが、千葉支社管内でも、カーブの速度制限に対するATS―Pは設置されていない。そもそも、保安装置を万能視することはできないのだ。
 JR東日本での安全運転行動は、まさに緊要な課題なのである。
 動労千葉の闘いは、あの大惨事を二度と繰り返させないための、運転保安確立に向けた労働組合としての当然で最低限の責任を果たすための行動である。国鉄時代の「安全綱領」の精神を実践しようということに過ぎない。
 だが、JR東日本千葉支社当局は、動労千葉の安全運転行動に対して、24日、書面で「就業規則、運転取扱実施基準及び運転作業要領に違反する行為であり、運行管理権を奪う違法な行為である」と通告してきた。「回復運転はしない」「無線通告は、例外なく、停車中に受ける」「津田沼〜幕張間の安全運転」「東浪見駅構内の安全運転」の4点が違法だというのだ。
 千葉支社が「違法な行為」と通告してきたことに対して、動労千葉は自らの身を守るために、安全運転行動を「争議」として行うことを、あらためて通知した。
 動労千葉は、これらの行動で列車を意図的に遅らせることは考えていない。回復運転については、「余裕時分があり、所定の運転をしていれば自然に回復する場合まで回復させるなという趣旨ではない」と千葉支社に伝えている。尼崎事故を起こしたJR西日本は「運転士に回復運転をしないよう指導し、心理的な重圧を和らげる」と言っている。だが、千葉支社は、「回復するのは当然」「現状でも運行の安全に問題はない」と言い放っているのだ。
 速度制限も、せいぜい総武快速線・津田沼〜幕張間を最高120`(特急は130`)から90`に制限することで、最大1分遅れる程度で、ギリギリ安全を守れる速度で走ろうという趣旨であることを伝えている。東浪見駅での45`制限も当然のことである。
 また、「無線通告は例外なく停車中に受ける」ということは、この間の千葉支社との団体交渉においても「停車して受領することが基本」との回答が行われており、そのとおりの指示文書が出されている。
 にもかかわらず、千葉支社は、24日夜、「会社の運行管理権を奪う違法な争議行為」であるとして、「就業規則等に基づき厳正に対処せざるを得ない」と「中止」を申し入れてきたのだ。「厳正に対処」とは、処分するということである。
 動労千葉は、これに対して、怒りをもって25日から安全運転行動に突入した。当局は、管理者2人を運転席に添乗させ、背面監視を行っているが、動労千葉はこれに屈することなく、整然と安全運転行動を貫徹している。いかなる処分策動があろうが、当分の間、この行動を貫徹する構えだ。
 安全確立への努力を処分するというのは、JR東日本がJR西日本以上に安全軽視の企業であるということだ。営利優先と安全軽視の資本の横暴、それを許している国土交通省による規制緩和、そして、それらと闘わないJR総連・JR連合などの御用組合の屈服・加担を許さず、労働組合としての存在意義をかけて闘う動労千葉を断固支持し、ともに闘おう。

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週刊『前進』(2201号8面4)(2005/06/13)

 学生ら2人を不当逮捕

 「詐欺罪」をデッチあげ 印刷機・コピー機も押収

 5月31日朝、警視庁公安部は東京・中野区内のマンションなど都内3カ所を不当捜索し、「詐欺」容疑をデッチあげて全学連の学生ら2人を不当逮捕した。6月2日には山形大学のサークルボックスと京都大学熊野寮など全国3カ所、さらに3日には富山大学自治会室を同容疑で捜索した。日帝権力は、なんの違法性もないマンションの賃貸借契約を、使用目的が違うという口実で「詐欺」にデッチあげたのだ。その本質は、戦闘的学生運動に対する大弾圧であり、戦時下の治安維持法的な弾圧そのものである。徹底弾劾する。
 中野区内のマンションでは、警視庁は午前7時から7時間にわたって長時間の捜索・検証を強行した。そしてマンションの賃貸借契約書や、廃棄パソコンのハードディスク、さらには印刷機やコピー機までも押収していった。これは一切の政治的宣伝を許さないということだ。
 この弾圧は直接には、今闘われている「つくる会」教科書採択阻止闘争と都議選闘争の破壊を狙ったものだ。警視庁はなんとしても「つくる会」教科書を杉並区と全国で採択させ、都議選で長谷川英憲氏の当選を妨害しようと、不当弾圧に乗り出してきたのだ。
 警視庁は、昨年11月2日にも、だましの手口を使ってマンションを急襲し、東京と沖縄で3人の闘う学生をデッチあげ容疑で逮捕した。だが、弾圧は逆に労働者人民の怒りと反発力を引き出し、11・7全国労働者集会は大高揚した。このように国家権力の理不尽な弾圧を打ち破り、逆に闘いの一層の爆発に転化することは必ずできるのだ。
 警視庁のデッチあげ弾圧に対する革命党と労働者階級の回答は、「つくる会」教科書の採択を絶対阻止し、7月都議選の勝利をなんとしてもかちとることだ。2人の闘う仲間を直ちに奪還し、弾圧を怒りに転化して6―7月蜂起戦に勝利しよう。

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