ZENSHIN 2005/08/08(No2209 p10)

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週刊『前進』(2209号1面1)(2005/08/08)

 「つくる会」教科書採択阻止へ天王山

 杉並先頭に全国で勝利開け 

 「つくる会」教科書の採択を許すのか否か――東京・杉並区教委が06年度以降の中学校教科書を採択する8月4日が目前に迫った。杉並を先頭に全国各地で全力で闘い、「つくる会」教科書を阻まなければならない。
 栃木県大田原市では7月13日、全国の区市町村で初めて「つくる会」の歴史と公民教科書が採択された。教育委員のうち「つくる会」教科書に反対する1人が不在の日を狙って採択を強行するという、卑劣極まりない暴挙である。
 他方、茨城県大洗町では、同県第3採択地区協議会(大洗町など14市町村で構成)が日本文教出版の歴史教科書を採択したにもかかわらず、大洗町教委が「つくる会」教科書採択を求めて抵抗するという超異例の事態が起きた。しかし国による教科書無償配布を定めた無償措置法違反になることから、同教委は7月26日、「つくる会」教科書の採択を正式に断念した。
 東京都教育委員会は6月22日に「つくる会」教科書採択へ誘導することだけを目的とした「中学校用教科書調査研究資料」を発表した。続いて、7月28日に都立中高一貫校と「障害児」学校で「つくる会」教科書を採択した。都知事の権力を握るファシスト石原慎太郎との結託こそ、「つくる会」の最大の頼みの綱なのである。
 しかしその東京でも、すでに品川・豊島・目黒の各区が「つくる会」以外の教科書を採択している。
 また、「つくる会」公民教科書がアイヌ民族の写真をまったく無断で掲載していることが明らかになり、旭川チカップニアイヌ民族文化保存会が「アイヌ民族を侮辱し、差別する行為」として扶桑社に抗議し、謝罪と掲載取り止めを求める事態も起きている。
 各地区で激しいせめぎ合いとなっている。しかも「つくる会」教科書に対しては韓国・中国の労働者人民が怒りの声を上げ、これを阻む闘いは全アジア共通の大闘争となっている。
 栃木県大田原市に続いて、都と杉並区を頂点に「全国10%採択」へ突き進もうとする動きに、なんとしても決定的な反撃をたたきつけなければならない。8月4日の杉並区における「つくる会」教科書採択阻止こそ、その後の全国情勢を決する天王山であり、戦争教科書を打ち砕く最大の力である。
 7月27日には400人が杉並区役所前に駆けつけ、「人間の鎖」を実現して、「つくる会」教科書絶対反対の声を上げた。この闘いに続こう。8・4杉並大行動に全力で立ち上がり、全国各地区で「つくる会」教科書採択を阻もう。

 7・27杉並 人間の鎖が区役所囲む 「8・4区教委決戦」へ熱気

 「『つくる会』教科書を採択するな」。7月27日12時半、杉並区役所前には、「『つくる会』の教科書採択に反対する杉並・親の会」の呼びかけにこたえて400人の労働者・市民が集まった。区内はもとより都内各地、関東各県から危機感に燃え駆けつけた人びとが、区役所西の中杉通り側も、南の青梅街道側も埋めつくし、手をつないで「『つくる会』教科書採択反対!」のウェーブを何度も繰り返した。
 正午、区役所前集会が始まった。「親の会」の女性が「反対署名は、6月22日の第2次署名提出行動から今日までに1万115筆、合計して2万1709筆になりました」と報告すると、ひときわ大きな拍手がわいた。小学校6年生の子どもがいる父親は「『つくる会』教科書が採択されたら、私の子どもも使わせられる。こんな独り善がりの教科書を使わせるわけにはいかない」と訴えた。
 またこの日午前、杉並区教委に申し入れを行った「東アジア平和のための韓日共同行脚団」も合流した。韓国・大邱(テグ)市の20〜30歳の男女6人が「つくる会」教科書の採択に反対して行動するために来日したのだ。代表の女性は「韓国と日本の若者が和解し、ともに進んでいく未来をつくるために、過去の過ちをきちんと学び、教科書に真実を記すことが必要です」と訴えた。
 親の会の会員が次々と発言した。「次の世代に平和な地球を残すため頑張りたい」「7月1日、『憲法違反のつくる会の教科書を使うな』と山田区長を提訴した。こんな恥知らずな教科書を子どもたちに渡すことはできない」「過去の戦争の過ちを潔く認め、過ちを二度と繰り返さないため行動する大人たちの姿を子どもたちに見せたい」「1カ月で1万という署名は『つくる会』教科書を採択させたくないという市民の声の大きさを示しました。区教委は誠実に行動していただきたい」。
 リレートークは「人間の鎖」行動をはさんで午後2時まで続いた。後半は都教委包囲ネットの教育労働者、横須賀の教育労働者、動労千葉特別執行委員の滝口誠さん、戦争を体験した高齢の女性、在本土沖縄出身者、高校生、武蔵野から駆けつけた視覚「障害者」など多彩な発言が続いた。28日に都教委が中高一貫校と「障害児」学校で「つくる会」教科書の採択を狙っていることが報告され、緊急行動も呼びかけられた。
 埼玉県所沢市の女性は「採択区協議会では『つくる会』以外の教科書が採択されたらしいが、その日程も採択結果も明らかにしない」と強く弾劾した。
 午後2時半から、区役所前の通りからJR阿佐ケ谷駅へ向かうデモが行われた。先頭には太鼓と笛の音が鳴り響く。「『つくる会』教科書反対」「歴史をねじ曲げるな」「密室採択を許さないぞ」。にぎやかなデモに圧倒的な注目が集まる。立ち止まってビラを読む労働者、店の中から飛び出してきて声援を送る人、「頑張って」と声をかけていく高齢の女性。デモ解散地の公園では、8月4日までさらに総力で闘いぬくことを確認した。
 午後2時からの杉並区教委では、教科書採択に関する区民の要請や展示会場アンケートの数などが報告された。住民の要請や請願、陳情は40件あったが、うち32件が反対意見で、賛成は8件のみ、しかも文面が同じで同一個人ではないかと疑われるものもあった。しかしこれらについても討論は何ひとつ行われない。「こんな区教委が『つくる会』教科書を採択することなど、絶対に許さない」とますます怒りが募った。
 東京地裁は7月25日、親の会の人びとが提訴した「つくる会」教科書採択差し止め訴訟を却下した。一度の審理も開かず、しかも7月1日の第1次提訴(10人)に続く22日の第2次提訴(9人)直後の不当な却下である。徹底弾劾し、「つくる会」教科書採択阻止へ闘いを強めよう。
 (本紙・上原祐希)

 7・24大集会 “戦争教科書使わせない” 保護者・教員ら510人

 7月24日、セシオン杉並で、「絶対使わせない!『つくる会』教科書 7・24杉並集会」が開かれた(主催/集会実行委員会)。杉並区の教科書採択が8月4日に迫る中で、“子どもたちを戦争に動員する「つくる会」教科書を絶対に使わせない”と、区民・保護者、教育労働者ら510人が集まり、熱気あふれる集会となった。
 集会は、大学生と新城節子杉並区議の司会で進められた。冒頭、集会を呼びかけた「『つくる会』の教科書採択に反対する杉並・親の会」の代表が主催者あいさつを行い、採択反対の署名がこの日までに2万1千人となり、闘いが大きく広がっていることを報告した。そして、杉並区が採択の手続きを区民にまったく明らかにしない形で進めていることを弾劾し、「残り10日間の取り組みが一切を決める。私にとってもいちばん大きな岐路。集会を成功させて、全力で闘いましょう」と呼びかけた。
 石原・都教委の「日の丸・君が代」強制に対して不起立で闘った都立高校の労働者が連帯のあいさつに立った。7月21日の「再発防止研修」で、被処分者が都教委職員を追及して意気高く反撃したことを報告し、「組合幹部は腐っても現場の教員は頑張っている」と連帯を表明した。
 次いで動労千葉の田中康宏委員長が、動労千葉の安全運転行動に対しJR東会社が不当な処分をかけてきたことを報告し、「子どもたちを戦場に送る『つくる会』教科書とJR尼崎事故はひとつだ。労働者を犠牲にし、戦争をしなければ生きていけない社会を変えましょう」とあいさつした。
 二つの講演が行われた。沖縄の「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の桑江テル子さんは「沖縄戦の教訓」と題して講演した。沖縄戦で父と妹を亡くした桑江さんは、日本の軍隊が沖縄人民を差別し犠牲にして沖縄を戦場とした経験から「軍隊は住民を守らない」ときっぱりと断罪した。そして「つくる会」派が「沖縄の『集団自決』に軍命はなかった」と沖縄戦の真実をゆがめようとしていることを弾劾し、「死ぬことが美しいと教える教科書を使わせない。ともに闘いましょう」と呼びかけた。
 「障害児を普通学校へ全国連絡会」世話人の北村小夜さんは、「戦争は教室から始まる」と題して講演した。1925年生まれという北村さんは、自らの体験から「旗と歌は人の心をそそのかす」と語り、戦争体制づくりに果たした学校(教育)の重大な役割を強調した。当時の子どもたちが「親よりも教師よりも熱心に戦争をした」と述べ、「戦争は教室から始まるというのが私の実感です」と述べた。そして、「『つくる会』の歴史教科書は私が習った国史の教科書と同じ。公民は修身の教科書と同じ」と断罪した。
 桑江さん、北村さんは、自らの戦争体験を踏まえて「つくる会」教科書を鋭く弾劾した。深く心に残る講演だった。会場から大きな拍手が送られた。
 続いて「『つくる会』教科書使わせない! 杉並訴訟」の原告団・弁護団が登壇し、報告と決意を述べた。7月1日の10人の提訴に続き、22日に新たに9人が第2次提訴を行ったことが報告された。小学生の子をもつ母親は、「愛するわが子に戦争の惨禍を味わわせたくない」との思いで訴訟に参加したことを語り、「この裁判を(時代の流れを変える)ポイント切り換えとしたい」と語った。
 リレートークでは、87歳の沖縄出身の戦争体験者、17歳の高校生、小学校・中学校・高校の教育労働者、保護者らが次々と発言した。中学生の子を持つ親は、「(つくる会派の)松浦区議は『日本人を育てよ』と言うが、私は国のために子どもを育てているんじゃない! 誠実で、国境を越えてみんなつながっているんだと思う人間に自分の子どもを育てたい」ときっぱりと述べた。
 不当解雇撤回闘争に対する組合員校内立入禁止の不当な措置と闘う都内私立高校の教育労働者は、「バブル期に青春時代を過ごした私が、今はシュプレヒコールを上げている」「今日の集会に参加して、いろいろな攻撃とのつながりが分かった。大きな闘いの輪に微力ながら参加したい」と述べた。さらに、闘う教育労働者が次々と発言し、参加者を奮いたたせた。
 杉並区民・保護者と、闘う教育労働者が結びついた、熱気とファイトあふれるすばらしい集会だった。この力で採択を阻止しよう。
 (本紙・畑田治)

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週刊『前進』(2209号1面2)(2005/08/08)

 都教委の採択を弾劾する

 7月28日、東京都教育委員会は、都立の中高一貫校4校で「つくる会」の歴史教科書を、また「障害児」学校21校(ろう学校5校、養護学校15校と分室1校)で「つくる会」の歴史・公民教科書を採択した(中高一貫校での「公民」教科書の採択は、今回は行われない)。徹底弾劾する。
 「つくる会」教科書は、侵略戦争を賛美し、肯定し、天皇制への屈服を強制し、子どもたちを戦場に送る教科書である。
 ファシスト石原と賛成派で固めた都教委は、多くの反対の声、申し入れを踏みにじって、6人の教育委員の全員一致で「つくる会」教科書の採択を強行したのだ。この日午前中に開かれた都教委では、なんの議論も行われず、一瞬のうちに「つくる会」教科書の採択が決められた。
 この6人は木村孟委員長と鳥海巌(元丸紅会長)、米長邦雄(棋士)、内館牧子(脚本家)、高坂節三(経済同友会憲法問題懇談会)、中村正彦教育長だ。
 この日、都庁には多くの労働者や市民がつめかけ、「つくる会」教科書の採択に強く反対した。
 日帝と石原はこの都教委採択を突破口に、全都全国での採択を狙っている。怒りを爆発させ、杉並区と全国で採択を阻止しよう。

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週刊『前進』(2209号2面1)(2005/08/08)

 戦争賛美と皇国史観の復活

 「自存自衛」「アジア解放」と帝国主義侵略戦争を正当化

 つくる会教科書 新たな戦争動員狙う

 杉並区の中学校教科書の採択日である8月4日まで数日を残すのみとなった。7月27日に続き杉並区役所を包囲する「人間の鎖」を実現し、杉並区教育委員会による「つくる会」教科書採択を阻止するために全力で決起しよう。杉並を先頭に全国で、日帝が実際に戦争のできる国家と国民をつくり、北朝鮮・中国侵略戦争に突入しようとする攻撃を断固粉砕しよう。

 「居直り強盗」の論理

 「つくる会」教科書は侵略戦争・帝国主義戦争を美化・肯定する教科書であり、天皇中心の皇国史観を復活させる教科書である。
 それは日帝が日米枢軸のもとで新たに北朝鮮・中国侵略戦争−世界戦争に突入していくために、「戦争のできる国家」「戦争のできる国民」をつくり出すための歴史的な攻撃である。
 その「つくる会」教科書攻撃の最大の焦点のひとつが、過去の日帝の残虐で極悪非道の戦争を「正しかった」と正当化する策動である。そのために日帝の戦争があたかも「自存自衛」「アジア解放」のための戦争であったと、黒を白と言いくるめることにある。
 「つくる会」教科書はまずそのために朝鮮、中国への侵略戦争を完全に居直り、強盗の論理をもって正当化している。
 「つくる会」教科書は当時の状況を「欧米列強は、強大な軍事力にものをいわせて植民地を広げ」「欧米列強による領土拡大政策は、帝国主義と呼ばれることがある」として、日帝がそれに対抗してアジア侵略戦争を強行し「大国の仲間入りを果たした」と言っている。このように「つくる会」教科書は、欧米については帝国主義と言うが、日帝自身についてはけっして帝国主義と言わないというペテンを使っている。
 その上で、朝鮮、中国について「欧米列強の武力による脅威をじゅうぶん認識することができなかった」と言い、日帝が侵略したことを「侵略された方が悪い」のだと居直る。これこそ「つくる会」教科書の基本精神であり、強盗の論理以外の何ものでもない。
 例えば「つくる会」教科書は、日清戦争、日露戦争について、ペテン的な「自衛」論で正当化を図っているが、それらもまさに強盗の論理そのものである。「朝鮮半島全体が日本に敵対的な大国の支配下に入れば、日本の独立は危うくなる」として、朝鮮の植民地化のために日清戦争を仕掛けたことを合理化している。日露戦争についても「ロシアの極東における軍事力」を口実に戦争をしかけ、朝鮮の植民地化と中国東北部への侵略を狙ったことを正当化している。
 また、太平洋戦争についても「つくる会」教科書は
「こうして、米・英・中・蘭の4カ国が日本を経済的に追いつめる状況が生まれ、ABCD包囲網と呼ばれた」「日本は米英に宣戦布告し、この戦争は『自存自衛』のための戦争であると宣言した」として、米帝が日帝の動きを抑えたことに原因があるかのようにいって、当時の日帝の主張があたかも事実であるかのように書いている。
 だが、日帝は日中戦争で侵略戦争を拡大しただけでなく、ナチス・ドイツのポーランド侵攻によって第2次世界大戦の火ぶたが切られて以降、ベトナムに軍隊を派兵するなど侵略戦争を拡大していたのである。

 日露戦争で朝鮮併合

 さらに「つくる会」教科書は、日帝のアジア侵略戦争、太平洋戦争を正当化するために、それが「アジア解放」のためだったかのようにデマを並べ立てる。
 そもそも日露戦争について「つくる会」教科書は、「有色人種の国日本が、当時、世界最大の陸軍大国だった白人帝国ロシアに勝ったことは、植民地にされていた民族に、独立への希望を与えた」としている。しかし、日露戦争は植民地諸国の解放とは正反対の朝鮮の植民地化と中国東北部への侵略のための戦争だった。事実、日帝は日露戦争の5年後の1910年には朝鮮併合を強行したのである。侵略された朝鮮人民、中国人民は民族解放のために激しく日帝と闘いぬいた。
 「つくる会」教科書は、第1次大戦後のアジアの民族独立運動について、「民族自決の気運の高まりの中で、アジアでも民族独立運動がおこった」とし、朝鮮の3・1独立運動、中国の5・4運動について一言触れている。しかし「朝鮮総督府は、その参加者多数を検挙したが、その後、武力でおさえつける統治のしかたを変更した」と、血の弾圧がなかったかのように書いている。
 だが、この3・1独立運動で日本軍によって虐殺された朝鮮人は7500人にものぼる。これほどの人びとを虐殺したことには一言も触れないで、「多数を検挙した」として歴史の事実を完全に歪曲している。しかも、統治政策を変更したかのように書いているが、実際は、それ以降も、獄中で言語に絶する拷問を加え、獄死させられた朝鮮人革命家は数え切れない。
 そもそも第1次世界大戦後の民族解放闘争の高まりは、ロシアにおいて労働者、農民、兵士がツァーリの支配をうち倒してプロレタリア革命を勝利させたことに激励されたものであり、全世界で高揚した帝国主義の支配を打倒しようとする闘いと一体だった。
 太平洋戦争が「アジア解放のためだった」という「つくる会」教科書の主張は、そもそも日帝が敗勢に陥ってからカイライ政権の手先などを集めた1943年の「大東亜会議」で出した「大東亜共同宣言」にも使われ、完全に破産した大ペテンだ。そこでは「日本は決して日本の為めにのみ大東亜戦争に国運を賭するものではない。東亜の一大解放の為めに、東亜の新秩序形成の為めに、従来東亜十億の民を奴隷視し、其の国土を横領し、其の民人を虐使したる暴戻非道のアングロ・サクソンを東亜より駆逐せんが為めである」として露骨なウソを並べ立てている。

 「解放」は侵略と虐殺

 実際は日帝は解放どころか、アジア人民の解放闘争を徹底的に弾圧し、多くの闘う人びとを虐殺した。
 当時、日本軍占領下の東南アジア各国を視察した黒田秀俊は、敗戦後その状況を「軍部のとなえる『アジア解放』とは、これらの地域からイギリス人やオランダ人を追いだして、日本の支配のもとに、もっと正確にいえば日本軍部の支配のもとに、新しい体制をつくりあげることを意味するものであった」「東亜共栄圏は、逆に東亜共貧圏に陥り、民心は急激に離反していった。軍はこれを力でおさえた。投獄もしたし、テロも行った。とくに各地の民族主義者や解放運動の推進者にたいする弾圧は峻厳をきわめた」(『軍隊』)と書いている。これが日帝が言う「アジア解放」の実態である。(黒羽清隆『太平洋戦争の歴史』より)
 現実に、太平洋戦争によるアジア人民の犠牲者は2000万人にものぼった。その内訳は、中国約1000万人、朝鮮約20万人、ベトナム約200万人(大部分は餓死)、インドネシア約200万人、フィリピン約100万人、インド約350万人(大部分はベンガルの餓死者)、シンガポール8万人、ビルマ5万人と言われる。日本人も310万人が死んだ。このどこが「アジア解放」なのか。厚顔無恥にも程がある。
 日帝の戦争によってアジア人民が受けた犠牲は、こうした死者の数だけにとどまるものではない。その何倍もの負傷者を出し、さらに日本軍の軍隊慰安婦とされたり、強制連行され鉄道やダム建設、鉱山などで働かされて命を奪われ、長崎の軍需工場では原爆の投下によって強制連行されて働かされていた多くの朝鮮人・中国人が殺されたのである。731細菌戦部隊による人体実験や細菌兵器の投下など、日帝が行った数々の蛮行は歴史上類例を見なかった。
 ところが「つくる会」教科書は、こうした史実は抹殺しながら、人物コラムでナチスドイツの迫害からユダヤ人を救ったとして2人の人物を大きく取り上げて「背景には、人種差別に反対してきた日本政府の基本方針があった」などとうそぶいている。その一方で関東大震災での朝鮮人・中国人大虐殺を「住民の自警団などが社会主義者や朝鮮人を殺害するという事件がおきた」とまるで大したことのないように書いている。
 しかし朝鮮人・中国人大虐殺は、軍部や警察が「朝鮮人が暴動を起こす」とデマを流して大虐殺を扇動し、習志野騎兵連隊を始め軍隊、警官、自警団が自ら凶行したことなのだ。これによっておよそ朝鮮人6000人、中国人600人が虐殺されたのである。
 「つくる会」教科書は、侵略戦争での日帝の残虐きわまる加害の歴史を抹殺し、沖縄戦や広島・長崎の原爆や東京大空襲についてもほとんど触れない、歴史歪曲の教科書なのだ。
 労働者人民を再び戦争に動員しようとする戦争賛美と皇国史観の教科書を絶対に許すわけには行かない。この8月、杉並を最先頭に
全国各地域で総決起し、「つくる会」教科書採択を絶対に阻止しよう。

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週刊『前進』(2209号2面2)(2005/08/08)

 共謀罪廃案へ大攻勢 超党派集会に200人 “絶対廃案”展望つかむ

 7月26日夕方、「『共謀罪』に反対する超党派国会議員と市民の集い」が、国会裏の星陵会館で開催された。国会議員22人の呼びかけにこたえ、悪天候をついて200人が参加した。
 党派を超えて9人の国会議員、弁護士、刑法学者、ジャーナリスト、表現者、労働者がそれぞれの立場から「共謀罪」の廃案を呼びかけた。その思いは参加者の廃案の決意とひとつになり、集いは「共謀罪の廃案を求める」総決起集会の場となった。最後は廃案に向け、団結ガンバローでしめくくられた。
 集いは海渡雄一弁護士の司会で始まり、松野信夫衆議院議員(民主党・法務委員)が衆院法務委員会での審議状況を報告した。
 衆院法務委員会は「審議は7月12日の1日だけ。次回のめどがまったく立っていない」。副大臣が郵政民営化法案反対で罷免されて不在状態が続いており、そのままでは審議強行はできないという審議停止に追い込まれている。与党は継続審議に持ち込んで成立を狙っている。会期末の攻防で「継続審議か廃案か」が決まる重大局面に突入した。
 稲見哲男衆議院議員(民主党)、井上哲士参議院議員(共産党)、松岡徹参議院議員(民主党)、平岡秀夫衆議院議員(民主党)、福島みずほ参議院議員(社民党党首)、近藤正道参議院議員(社民党)、小林千代美衆議院議員(法務委員・民主党)らが次々と共謀罪廃案を訴えた。
 議員たちは、「労働運動の経験からこのような治安立法を絶対に許してはならない」(稲見衆院議員)、「法案の審議には入ったが成立させないところまで追い込んできた」(井上参院議員)、「共謀罪は国家権力が個人の頭と魂の中に入り、国家と個人の関係を大きく変えるもの。絶対に廃案しかない」(福島参院議員)などと訴えた。
 治安弾圧と闘う現場からの報告や決意表明も行われた。休日に行った『赤旗』号外の戸別配布を国家公務員法違反のデッチあげで弾圧された堀越明男さんと立川の自衛隊官舎への反戦ビラ入れを住居侵入罪のデッチあげで弾圧された大洞俊之さんが、自らの体験から共謀罪廃案を訴えた。
 篠田博之さん(日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長)は、「言論・報道を規制する共謀罪に反対する」と訴えた。寺澤有さん(ジャーナリスト)は、7月21日に「共謀罪」の廃案を求める!表現者・言論人の緊急共同声明を呼びかけたところ、わずか3日間で300人近い賛同が寄せられたことを報告した。
 刑法学者の足立昌勝さん(関東学院大学教授)は、「共謀罪は619もの罪を新設する刑法全面改悪の攻撃だ」と批判した。
 「共謀罪廃案」を軸に団結したすばらしい集いであった。廃案への展望と実感をつかむことができた。
 主催者から8月9日に開かれる「『共謀罪』に反対する超党派国会議員と市民の集い」の案内(別掲)が配布された。

 院内集会が大成功 国会内外 反対の声上がる

 これに先立つ7月21日正午、「『共謀罪』に反対する超党派国会議員と市民の集い」の院内集会が第2衆院議員会館第1会議室で行われた。150人収容の会議室がいっぱいとなり立って参加する人であふれ、参加者は170人を超えた(写真)。
 円より子参議院議員(民主党)を始め11人の国会議員が発言に立ち、共謀罪廃案の決意を語った。
 共謀罪の国会審議は大詰めを迎えた。廃案を求める闘いが国会内外で大きく盛り上がり始めている。
 延長国会での共謀罪廃案闘争を断固として推進して8・9院内集会を実現しよう。呼びかけにこたえて大結集しよう。

院内集会
 8月9日(火)正午から午後1時
 参議院議員会館 第1会議室
 呼びかけ人(50音順)
石毛えい子(衆議院議員)、稲見哲男(衆議院議員)
井上哲士(参議院議員)、糸数慶子(参議院議員)
小川敏夫(参議院議員)、神本美恵子(参議院議員)
喜納昌吉(参議院議員)、近藤正道(参議院議員)
小林千代美(衆議院議員)、小林元(参議院議員)
佐々木秀典(衆議院議員)、首藤信彦(衆議院議員)
樽井良和(衆議院議員)、辻恵(衆議院議員)
中川治(衆議院議員)、仁比聡平(参議院議員)
福島みずほ(参議院議員)、藤田一枝(衆議院議員)
松岡徹(参議院議員)、松野信夫(衆議院議員)
円より子(参議院議員)、水岡俊一(参議院議員)
(2005年7月25日 現在) 

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週刊『前進』(2209号2面3)(2005/08/08)

 中四国 採択阻止へ各地で決起 安芸高田や呉で申し入れ

 杉並「つくる会」教科書決戦と一体で、採択絶対阻止をかちとる教科書決戦=8・6決戦が、広島・中四国各地で全力で闘われている。8月12日の広島県教委の採択阻止へ向かって連日の闘いが爆発している。
 杉並と並んで広島で突破口を開くことを狙う「つくる会」派は、5月22日、杉並区議・松浦と島根県議会議員を県外代表として招いて、反革命総決起集会を開いた。
 広島県教委は、県内に「つくる会」教科書のみを紹介する資料を配布した。この資料の配布が県議会でも問題となり、県教委はその非を認めざるをえなかった。徹底的な追及の前に、6月28日、県教委は「教科書採択基準」を公開せざるをえなくなった。だが、その採択基準は、東京都が示したものとまったく同じであり、「つくる会」教科書を採択するように誘導するものだ。
 推進派は、県教委採択のほかに、県内24カ所の採択地域のうち、安芸高田市(教育委員中4人が「つくる会」派)を始め、呉市(軍港で自衛隊市政)、庄原市、三次市、府中市(以上の3市は参議院議員亀井郁夫など「つくる会」派議員の地盤)、尾道市、東広島市などでの採択を狙っている。
 これに対し、「教育基本法改悪反対!ヒロシマ実行委員会」と「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」の呼びかけによる連日の闘いが爆発している。申し入れ行動や座り込み、署名活動や街頭宣伝などをとおして、広島市、廿日市市、東広島市では採択を許さない情勢が切り開かれている。7月中をメドに採択委員会が非公開で行われ、広島市などの市町村は7月29日、広島県、安芸高田市などは8月12日に教科書採択決定の教育委員会が開かれる。
 広島市では教育労働者を先頭に7月16日の県庁前集会(300人)と県教委デモが行われ、7月22日には斎藤貴男さんを講師に招いての緊急総決起集会(85人)が開催された。「気合を入れて阻止しよう」という提起が行われ、それぞれの地域・職場から取り組んできた阻止行動が報告され、決戦態勢を強化する熱気あふれる戦闘的な集会となった。
 7月22日、安芸高田市教育委員会に対して、三次市議の平岡誠さんを始め10人の決起で庁舎ビラ入れ、申し入れと座り込み、戸別ビラ入れが行われた。7月23日には、呉市の市教委申し入れ・傍聴闘争が由木栄司さんを先頭に18人の参加で闘われ、連続して呉市駅前での街頭宣伝、広島市での街頭宣伝が闘われた。7月25日には、部落解放同盟全国連広島支部と青年部の呼びかけで、秋葉広島市長と市教育課に対する「『つくる会』教科書採択と学区自由化による部落差別の激化を許さない」糾弾行動が闘われた。
 また、中四国各地でも、百万人署名運動連絡会を先頭に、「つくる会」教科書採択反対の申し入れ、街頭宣伝が広く闘われている。愛媛では7月22日、韓国・香港の人びとも加わった原告600人の「差し止め」訴訟が提訴され、月末の大統一デモに向かって前進している。
 被爆60周年を迎えた8・6ヒロシマ闘争そのものとして、「つくる会」教科書採択絶対阻止へ、さらに総決起していこう。8・6−8・9を跳躍台に、11月労働者総決起へ前進しよう。
 (投稿/広島 A・K)

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週刊『前進』(2209号3面1)(2005/08/08)

 動労千葉総決起集会 「厳重注意」処分を弾劾

 安全運転行動を継続 19歳青年の新加入に沸く

 7月21日、動労千葉は「不当処分弾劾! 安全運転行動貫徹! 組織拡大! 7・21動労千葉総決起集会」を千葉市のDC会館に160人を集めて開催した。19日、JR東日本千葉支社は、動労千葉の安全運転行動に対して、本部執行部8人を「厳重注意」とする処分を発令した。動労千葉は、この不当処分を徹底弾劾し、安全運転行動を継続することを確認した。また、7月1日付でJR東労組から動労千葉に加入した幕張支部のU君(19歳)が満場の大拍手で迎えられ、熱気があふれる集会となった。

 “動労千葉の「勝ち」です”

 冒頭、司会者から動労千葉に寄せられたメールが紹介された。
 「 『本部役員』に厳重注意処分が本当ならばこの喧嘩(けんか)は明らかに動労千葉の勝ちです。現場管理者や支社課員でも足りず本社の人間まで動員させて、言葉が悪くて申し訳ありませんが『この程度』の処分ならば、会社は動労千葉の主張を『認めた』と思って間違いないです。……間違いなく『風』はそちらに向かって吹いています。ガンバッテ下さい」 
 処分の理由は「3月及び5月以降から行った安全運転闘争と称する争議行為は、会社の持つ運行管理権を奪う違法な争議行為であるところ、組合本部役員として同行為を決定し、所属組合員へ指示したこと」とされている。
 集会であいさつに立った田中康宏委員長は、「安全を守ろうという労働組合の努力に対して処分したことを、怒りを込めて弾劾したい。JR東日本は、あの尼崎事故をさらさら考えていない。絶対に許すことはできない。処分されたのは8名だが、安全そのものを処分したということだ。『安全よりも組合憎し』『安全よりも営利優先』とJRは公言したに等しい。絶対にこんな処分は受け入れようがない」と語気を強めた。
 千葉支社はこの間、@回復運転はしない、A無線通告は例外なく停車中に受ける、B総武快速線・津田沼駅〜稲毛駅間の安全運転、C外房線・東浪見(とらみ)駅構内の安全運転の4点を「会社の運行管理権を奪う違法行為」とし、さらに、@会社の運行管理権を奪う、A団体交渉を経ていない、B労働関係調整法に基づく争議予告がされていないという口実をもって「違法争議」呼ばわりしたが、これらのすべてが何の根拠もない言いがかりだ。
 そもそも、運転士が「回復運転」に駆りたてられることがどれほど危険なのかを示したのが尼崎事故だった。無線通告問題については、これまで停車中の受領が明確に指導されていたにもかかわらず、走行中にメモをとって受けろということをデッチあげてきた。総武快速線のレール交換を実施することは、危険な状態であったことを証明している。東浪見駅についても、「速度超過対策個所」の一環としてATS(自動列車停止装置)−P設置工事計画が策定中である。さらに「団体交渉を経ていない」「争議予告がされていない」ということは処分理由から外されたとおり、事実無根であったことを千葉支社自身が認めたのだ。

 レール交換の実現など成果

 田中委員長は、「今回の処分は何によって処分されたのか、何ひとつ判然としない。つまり、労働組合が安全に関して行動を起こすことは認めないということだ」とした上で、「しかし、一方で、今回の処分は闘いの正当性を示している。この間、JR東日本は、東京、本社の管理者も動員し、運転台に乗り込んで監視・現認した。数千名が動員されている。大山鳴動して『厳重注意』8名だけだ。つまり、動労千葉の主張が完全に正しいことを当局が認めたということだ。だから、あらためて確信を込めて、安全運転行動を断固として継続する」と訴えると、大きな拍手が起こった。
 田中委員長はさらに、「労働組合の団結がつぶされ、市場原理、競争原理が支配した時に何が起こるかを示したのが尼崎事故だ。いくら会社を批判し、分割・民営化の是非を言おうが、口舌の徒、口先だけの組合になってしまうのかが問われる」と安全運転行動の意義を明らかにした。
 この闘いによって総武快速線と緩行線で140カ所、合計10`、千葉以東でも10`のレール交換が行われるという成果を実現したが、それは「世界中の労働組合ができなかったことだ」と誇らかに語った。
 そして、組織拡大については、「正しいことを貫き通すことができるのが人間だ。動労千葉が本当に仲間を大切にしてきたことを真正面から訴えれば、必ず動労千葉に結集してくる」と確信を込めて述べて、「11月労働者集会を1万人規模でかちとろう」と訴えた。
 スタンダード・ヴァキューム石油自主労組と動労千葉を支援する会の連帯のあいさつに続いて、長田敏之書記長が基調報告に立った。長田書記長は、「今回の闘争の正当性を世間も分かってきた。闘争を継続し抜本的な安全対策を求める」と強調し、「全組合員の組織拡大への総決起を」と訴えた。

 新組合員加入に満場の拍手

 満場の拍手の中、幕張支部の山田護支部長が「当局が一番恐れることは組織拡大だ」と述べ、新たに動労千葉に加入したU君を紹介した。U君が「お世話になります。仲間を大事にすることは大事なことです。みなさんよろしくお願いします」と元気よくあいさつすると、大歓声が起こった。
 この組織拡大は、地道な活動の成果だ。幕張車両センター(電車区)のJR東労組は、他労組組合員には超勤をさせて、助役を先頭に職場集会を開き、「平成採」の組合員に「U君はなぜ抜けたのか」と聞いて回り、「動労千葉にいじめられているんじゃないか」などと言っているという。
 これに続いて、各支部が組織拡大に全力を挙げる決意を打ち固めた。

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週刊『前進』(2209号3面3)(2005/08/08)

 郵政民営化法案廃案へ 全逓労働者先頭に小泉倒そう

 郵政民営化関連法案の参議院での審議が始まり、小泉政権は8月5日にも採決を強行しようとしている。小泉は参院で否決された場合に衆院の解散・総選挙を行うと公言し、継続審議にもせず、何がなんでも成立を図ろうとしている。
 だが、衆議院でわずか5票差での可決だった以上に参院での採決は予断を許さない。自民党から18人が反対に回れば否決される。小泉政権は絶体絶命の危機に追いつめられているのだ。
 自民党内の争いは、350兆円に上る郵貯・簡保資金を始めとする郵政事業の利権をめぐる争いを本質としており、ここで自民党の「反対派」に下駄を預けることなどできない。
 しかし今、この時、全逓労働者が職場から「郵政分割・民営化絶対反対」を鮮明に掲げて立ち上がり、法案を否決・廃案に追い込むならば、全逓労働運動の階級的再生に向けて大きな展望を切り開くことができる。闘う全逓労働者は、JPU(旧全逓)などのあらゆる行動の先頭に立ち、戦闘的に牽引(けんいん)して闘おうではないか。
 郵政民営化攻撃は、日帝・小泉=奥田路線による〈戦争と民営化(労組破壊)>の攻撃の最先端の攻撃である。6月21日に閣議決定された「骨太方針X(経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005)」では、「小さくて効率的な政府」を掲げて、公務員の削減と賃下げ、社会保障給付費の削減を打ち出したが、その第一の攻撃として、「郵政民営化関連法案の成立を期す」ことが挙げられている。
 この攻撃は、また「つくる会」教科書が狙う国家改造攻撃そのものの攻撃であることを弾劾しなければならない。「つくる会」公民教科書の執筆者である八木秀次は『国民の思想』で1980年代のイギリスのサッチャー政権やアメリカのレーガン政権による規制緩和と民営化の大攻撃を「文字通りの『精神革命』であった」と言う。特にサッチャーを礼賛し、「彼女は国民の『品質』を保証するために、まず『品質』を低下させている原因を明らかにした。その病巣は国内の左翼勢力であることを確認し、徹底した左翼排除を行った」として、「国営企業を民営化し、福祉をカットして大きな政府を小さくし、教育の中央集権化を行った」と述べ、この左翼排除=労組解体こそがイギリス帝国主義の国家的再生のかぎであったとしている。
 郵政民営化は、現在の郵政公社を持ち株会社のもとに4分社化し、27万人の郵政労働者(非正規雇用を含めて40万人)を〈いったん解雇・選別再雇用>するものであり、それをとおして活動家パージを強行することに狙いがある。JPU中央などの全面屈服にもかかわらず、現場に脈々と生き続ける労働者の戦闘性をたたきつぶそうとしているのである。
 郵政民営化は、小泉が「改革の本丸」と位置づけているだけでなく、今や日帝ブルジョアジー本流の要求する攻撃となっている。
 したがって、参院で成立すれば、07年4月の民営化に向けた攻撃が一挙に強まり、また、仮に否決された場合は自民党の分裂、民主党なども巻き込んだ新たな政界再編の中から、再び郵政民営化攻撃が打ち出されてくるものとして構えなければならない。
 しかも今、現場では民営化に等しいような郵政公社による攻撃が進み、6月のJPU大会で、アクションプラン・フェーズ2を受け入れる方針が決定されたことにより、郵便内務のアウトソーシングや10時間2交代制勤務の導入などの攻撃が襲いかかろうとしている。これらは完全に民営化を前提とした合理化計画である。JPUの菰田―難波執行部が「パートナー」と位置づける生田総裁ら「公社経営陣には、郵政民営化法案の可決を望む声が強い」(7・26付朝日新聞)のだ。
 したがって、JPU菰田執行部の「民営化反対」はウソであり、労働者の立場からの絶対反対論が求められているのである。菰田は2月の中央委員会で「私たちは公務員身分や処遇といった利己的な損得で民営化に反対していない」と述べた。これが労働組合の委員長の言うことか。この一言で、実は民営化に賛成だということを示している。
 このようなJPU中央を打倒することと、物ダメ・ストライキを実現することで郵政民営化攻撃を粉砕しよう。郵政民営化法案を参院で否決・廃案に追い込もう。その力で、小泉政権を打倒し、戦争と民営化(労組破壊)をうち破る11月労働者総決起へ闘おう。

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週刊『前進』(2209号3面5)(2005/08/08)

 郵政民営化に異議あり やった!河原町デモ 参院廃案へ向け熱気

 7月8日(金)、「郵政民営化に異議あり!行動・京都実行委員会」の主催で、郵政民営化反対のデモをやりました。
 6時半、市役所前に仕事を終えた労働者が続々と集まってきます。その数120。郵政労働者は、その半数を超えました。久しぶりに顔を合わせる前任局の仲間に声をかけると、「○○さんに行ってくれ言われたんや」という答え。「やった!しっかり動員がかかってる」と感じました。
 集会は、郵政ユニオンの労働者の司会で進められました。主催者あいさつとして、実行委員会から、憲法を生かす会京都、「組合の違いを超えて、多くの郵政労働者が集まり、市民運動からも多くの参加を得て、集会とデモを実現できた。参院廃案へ向けて、さらに声を上げて行こう」と訴えました。続いて、「解雇撤回・地元JR復帰を闘う国労闘争団を支援する京都の会」の大先輩は、「JR尼崎事故は、国鉄分割民営化の帰結。郵政労働者こそが、郵政分割民営化反対の行動に立て」と檄を飛ばしました。さらに、ユニオンネットワーク京都、アタック京都が発言。集会アピールは、JPU(全逓)の仲間が読み上げました。
 7時、さあ、デモに出発。宣伝カーを先頭に、横断幕・メッセージボード・小旗などを掲げ、宣伝カーのウグイスとシュプレヒコール、そして沿道ビラで、郵政民営化反対を道行く人びとに思いっきり訴えました。市民の関心は非常に高く、ビラの受け取りも良く、手を振って声援してくれる人もいました。超勤を終え、途中デモに合流してくる郵政の仲間も数人おり、円山公園まで約1時間、元気いっぱいのデモでした。
 実行委員会は、第2波のデモを、参院審議の山場と見られる8月8日(月)に設定しました。それへ向けて、街宣を7月19日にやりました。用意していたビラはあっという間に無くなり、確かな手ごたえを感じました。8月4日にもう一度街宣をやります。7・8は、JPU数支部で「組織的」動員があったと思われます。8・8はもっと広げられるでしょう。
 郵政民営化を阻止するために、考え得るすべての行動をやり切りましょう。
 (投稿・全逓阪神東支部尼崎分会/相川文男)

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週刊『前進』(2209号6面4)(2005/08/08)

 江戸川区役所ビラまき逮捕 2同志奪還しよう

 戦時下言論弾圧許さない

 2人の同志を逮捕した東京・江戸川区役所でのビラまき弾圧(7月13日)は、絶対に許せない。全人民の闘いで粉砕しよう。
 警視庁と東京地検は、2同志をなおも勾留し続けている。しかもこの逮捕を口実に、前進社や大衆団体事務所、個人宅への家宅捜索を強行している。デッチあげた「公務執行妨害」事件を、大がかりな計画的「犯行」であるかのように描きあげ、弾圧を継続している。警視庁、江戸川区役所、検察庁、裁判所が一体となった治安弾圧である。
 警察は、同志が「区総務課長の公務を妨害した」「総務課長の胸を押した」などと言っている。だが、そのような事実は一切ない。10年間、3カ月に1度、定期的にまき続けてきたビラを、この日も、出勤途上の労働者にまいていただけである。それを、当日は区の秋元総務課長が警視庁公安部の星隆夫らとの共謀の上、公安刑事をあらかじめ区役所の建物内に導き入れておいて、逮捕を目的にして襲いかかったのだ。
 弾圧はあらかじめ仕組まれていたのだ。立川での反戦ビラ弾圧、卒業式闘争での「日の丸・君が代」反対ビラまき弾圧、政党ビラ配布への弾圧など、この間激化しているビラまき弾圧は、戦時下に政府を批判し反戦を呼びかけることを一切許さないという政治弾圧の激化である。これを許しておいたら民衆の表現・思想・言論の自由はことごとく圧殺され、かつての治安維持法下の弾圧が復活し、労働者人民は再び帝国主義戦争に動員され犠牲にされてしまう。
 7・13弾圧は、7月7日にロンドンでゲリラ戦が爆発し、日帝と東京都が厳戒態勢に入った中で強行された。アフガニスタン・イラク侵略戦争に参戦した日帝は、人民の怒りと闘いの爆発を心底から恐れており、なんとしてもこれを抑え込もうと、デッチあげ弾圧、労働運動弾圧、治安弾圧に突き進んでいるのだ。
 帝国主義の侵略戦争と不屈に闘うイラク・ムスリム人民、アジア人民と固く連帯し、日帝打倒・プロレタリア革命の勝利に向かって、階級的労働運動の大前進と、革命党の強固な建設をかちとろう。
 逮捕された2同志の釈放を直ちにかちとろう。

 不起訴で釈放

 同じ7月13日に静岡で「電磁的公正証書原本不実記録・同供用」をデッチあげられ不当逮捕された同志は、同23日に不起訴で釈放をかちとった。

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