ZENSHIN 2005/08/29(No2211 p06)

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週刊『前進』(2211号1面1)(2005/08/29)

 小泉打倒し11月総決起へ

 「7・14連合改憲見解」弾劾し自治労大会・国労大会決戦へ

 現場労働者の団結で総反撃を

 日本帝国主義の敗戦から60年。今や日帝・小泉はイラク多国籍軍派兵を既成事実として継続し、日米枢軸のもと北朝鮮・中国―アジア侵略戦争、「新しい15年戦争」に突入していこうとしている。いやすでに日帝はイラク参戦をもって戦時下にある。1931年9・18柳条湖事件を突破口とする中国東北部侵略戦争(満州事変)―日中戦争―対米英の太平洋戦争の過程を、新たに繰り返しては絶対にならない。都議選決戦の地平を発展させて、8・4〜12杉並「つくる会」教科書採択阻止の闘いと8・15靖国闘争―国際連帯集会が圧倒的に闘いぬかれた。小泉の「郵政解散」=解散・総選挙の一大反革命と対決し、戦争と民営化(労組破壊)攻撃粉砕、小泉=奥田路線粉砕の闘いに総決起しよう。小泉政権の延命を絶対に阻止し、打倒しよう。11月労働者1万人総決起へ進撃しよう。

 第1章 教科書・反核・靖国闘争が歴史的高揚

 革共同は新指導路線のもと、闘う杉並区民とともに今次都議選決戦を「つくる会」教科書粉砕=都議選闘争、都議選闘争=「つくる会」教科書粉砕の闘いとして全力で闘った。それが切り開いた画期的地平の上に、7・31東西革共同政治集会と『前進』夏季特別号をもって武装し、8月闘争に決起した。そして戦後60年の8月前半決戦は、11月労働者1万人大結集の闘いを見据えつつ圧倒的に爆発し貫徹された。
 まず8月4日の杉並区教委闘争は、杉並・親の会を先頭とする区民と広範な労働者人民の怒り、区役所包囲の「人間の鎖」行動によって、採択強行を阻止する偉大な闘いとなった。これに追い詰められ、全国の採択率が1%以下という現実に危機感を募らせる山田区長や納冨教育長らは凶暴な巻き返しを図り、「つくる会」のファシスト勢力の全国動員と阿佐ケ谷駅頭の制圧策動に出た。採択に反対した教育委員に露骨な脅迫も行った。「公民」はあきらめても「歴史」は絶対に採択するとの方針のもと凶暴化したのである。
 親の会を始めとする闘う区民と労働者人民は、「つくる会」のファシスト分子どもとの対峙・対決を連日貫き、仕切り直しとなった8月12日、再度の区教委闘争に総決起した。3万に達した署名を積み上げ、区役所を包囲し、1千人もの傍聴希望者の最先頭で闘った。「つくる会」副会長で歴史教科書の代表執筆者・藤岡信勝の不当な傍聴を弾劾し当局を追及した。こうした中で「つくる会」教科書採択のためにのみ山田区長から教育長に任命された納冨が最後に「つくる会」を主張、3対2で「歴史」教科書採択を強行した。しかし「公民」はごり押しできず大阪書籍となった。
 杉並区役所内外は弾劾の嵐に包まれた。親の会は記者会見と総括集会で、採択を必ず撤回させること、来年4月からの使用を許さないことを宣言した。全国の天王山である杉並で「歴史」が採択されたことは確かに残念至極だ。しかし敗北感はない。4月からの闘いを全国の頂点でやり切った上に、闘いの新たなラウンドが開始されたのだ。この地平を引き継ぎ、残る全国諸地域での採択を絶対に阻止しよう。
 8・12闘争に続いて、戦後60年の8・15靖国闘争が爆発した。この日、閣僚・国会議員らの靖国参拝を弾劾して、200人を超える闘う労働者人民が千鳥ケ淵戦没者墓苑に結集し、権力の超厳戒体制と2人の不当逮捕をはねのけ、抗議行動をかちとった。これと連帯し全学連の学生6人が靖国神社に突入、ファシストどもの暴力的敵対と激突して、決死糾弾闘争を貫徹した。権力は全員を不当にも拘束したが、直ちに奪還された。さらに8・15国際連帯集会が520人の結集で大成功した。
 戦争と民営化(労組破壊)攻撃を全面化させ、新たな15年戦争に突き進む日帝・小泉は、朝鮮・中国人民の激しい弾劾にもかかわらず、8・15靖国参拝をあくまで強行しようとしていた。しかし中国や韓国との外交関係の破産と総選挙真っ最中という情勢下で、断念を余儀なくされた。アジア人民の怒り、日本の労働者人民の怒りが、小泉の教科書攻撃と一体の反革命を押し返したのだ。
 靖国神社は追悼施設ではない。「天皇の戦争」「お国のための戦争」での死者を「顕彰」する場であり、戦死すれば靖国に「神」として祭ってやるという理屈をもって侵略戦争に動員するための装置である。「靖国」は戦争か平和か、明治以来の歴史をどう総括するのかの、決定的な政治問題なのだ。小泉や閣僚の靖国参拝は教科書攻撃と並ぶ一大反革命である。戦後60年の8・15闘争は「靖国」を階級闘争の正面課題とする闘いとして貫徹された。
 さらにこうした教科書闘争、靖国闘争の歴史的うねりの中で、被爆60年の8・6広島―8・9長崎の反戦反核闘争が、8・6ヒロシマ大行動の3千人を頂点にかちとられた。帝国主義戦争と被爆という原点に立って、既成原水禁運動の破産と連合・笹森らによる翼賛化を打ち破り、本物の反核潮流が青年労働者の結集を先頭に登場したのだ。

 第2章 郵政民営化粉砕は全労働者の課題だ

 ソ連スターリン主義の崩壊以降、帝国主義は今やその基本矛盾を全面的に爆発させている。過剰資本・過剰生産力状態と長期不況にあえぎ、帝国主義間争闘戦を激化させ、世界戦争に突き進んでいる。
 米英日帝のイラク侵略戦争は世界戦争過程への突入そのものであった。イラク侵略戦争が、今日の米帝動向と世界情勢全体を規定している。その継続・激化と世界戦争への拡大のすう勢こそが、内外情勢を特徴づける基調的な動向だ。

 世界戦争へと突進する米帝

 米帝はイラク侵略戦争の泥沼的危機や天文学的規模の財政赤字・経常赤字を打開するいかなる方途もなく、帝国主義間争闘戦の激化と世界戦争の道に突進している。世界的な米軍再編(トランスフォーメーション)の一環として、米太平洋軍の「戦闘司令部」(ハワイ)の形成や中国の潜水艦部隊をにらんだ「沿岸海域戦闘艦(LCS)」の建造など、北朝鮮・中国侵略戦争―世界戦争への戦力配置をどんどん進めている。「抑止力の強化」を叫んで沖縄と本土の米軍基地が一層強化されることも不可避である。実際に8月15日、米連邦議会「海外基地見直し委員会」は、「沖縄での戦闘能力の削減は東アジア地域における我々の国益を危険にさらす」という最終報告書を公表した。
 核の「平和利用」の禁止をも含む北朝鮮に対する全面武装解除の要求で決裂寸前状態の6者協議も、米日帝の戦争発動へのプロセスそのものとしてある。
 こうした中で日帝は帝国主義の世界体制の「最弱の環」だ。断末魔の体制的危機にあえいでいる。小泉がもっぱら「郵政民営化」を叫び、日本経団連・奥田を先頭とする金融独占ブルジョアジーの全面支持のもと戦争と民営化(労組破壊)の攻撃を激化させているのは、日帝の危機の深さ、広さ、激しさのゆえである。
 小泉は8月8日に参院で郵政民営化法案が否決されるや、直ちに衆院解散―総選挙に訴えた。「郵政民営化は是か否か」を唯一最大の争点に、「上からの内乱」とも言うべき凶暴極まる手法で、党内の反対派(造反派)をたたきつぶし、自民党自体を極右的ファシスト的に大再編しようとしている。これは戦争と民営化の攻撃、「つくる会」教科書や靖国参拝の攻撃を労働者人民により凶暴に振りかざすための一大反革命である。
 これを奥田を始め金融独占ブルジョアジー全体が支持し、「郵政民営化の灯を消すな」という社説を掲げた朝日新聞など、全マスコミがしり押ししている。「小さな政府」や「官から民へ」が、「民営化」論者=「構造改革」推進論者の合言葉とされ、それをやらなければ日本は生き延びられないと連日、大キャンペーンされている。

 大資本のための「構造改革」

 だが小泉の叫ぶ郵政民営化や「構造改革」路線は、労働者階級人民の利害とは正反対のものだ。それは大銀行・大企業=金融独占ブルジョアジーの要求そのものである。体制的危機にあえぐ彼らの唯一の延命路線なのだ。
 帝国主義は1930年代危機と第2次世界大戦への突入過程で、体制の存続と革命への対抗からケインズ主義的な国家独占資本主義的諸政策を採用・展開し延命してきた。またそれに対応した国有化などの制度・機構を形成してきた。戦後もこの政策は基本的に継続された。しかし帝国主義が過剰資本・過剰生産力と世界恐慌・長期不況に突入し、国家財政も破産する中で、それは今や独占的金融資本の桎梏(しっこく)と化し、民営化や規制緩和の要求が噴出している。
 国独資的政策とその実体機構を解体し、独占的大資本の弱肉強食・優勝劣敗の野放図な展開と利潤追求を可能にするもの、それが民営化であり規制緩和だ。
 小泉改革=戦争と民営化の攻撃がもたらしたもの、もたらすものは何か。第一に、「つくる会」教科書採択や靖国参拝の強行、ナショナリズム・排外主義の激化、さらには教基法改悪と改憲の攻撃である。第二に、国と地方、教育や公共部門の労働者の非公務員化とリストラ・首切りであり、労組の破壊である。第三に、労働者階級全体への無慈悲なリストラ、失業、不安定雇用化、賃下げの攻撃。さらに中小企業や農民の切り捨てだ。第四に、財政危機を振りかざした年金・医療・介護など福祉の破壊と社会保障制度解体、そして大増税の攻撃である。第五に、何よりも日米枢軸の形成とイラク参戦、さらに北朝鮮・中国侵略戦争―世界戦争である。
 実に小泉政権が登場して以来の4年数カ月、金融独占ブルジョアジーの利害が最優先され、以上のような攻撃がどんどん労働者階級人民に襲いかかってきた。小泉が総選挙で勝利するようなことがあるなら、戦争と民営化の攻撃はせきを切ったように激化する。
 労働者階級が生きていくためには、この小泉改革(小泉=奥田路線)と全面対決し、小泉を打倒して進む以外にない。死すべきは労働者ではなく、すでに歴史的命脈の尽きた帝国主義だ。4大産別を先頭に階級的労働運動の発展を切り開き、プロレタリア革命によって帝国主義を打倒すること、労働者階級が権力を握り、社会の本当の主人公となること。これこそが労働者人民が生きていく唯一の道である。

 第3章 産別・労組・職場で11月大結集運動を

 革共同と労働者階級は、今こそ解散―総選挙の一大反革命と対決し、怒りと危機感を爆発させて、小泉政権打倒に総決起しよう。それを突破口に、8月前半の決戦が切り開いた革共同と労働者の底力と闘いの爆発の地平を発展させ、11月労働者1万人総結集へと進撃しよう。
 11月労働者総決起は、日帝・小泉の戦争と民営化(労組破壊)攻撃に対し、連合中央や全労連指導部の屈服をのりこえて、総対決していく集会である。韓国・民主労総の闘いや、アメリカの戦闘的労働者・労働組合との国際連帯を一層大きく発展させる大舞台である。日本の闘う新潮流、階級的労働運動をさらに決定的に登場させる場である。ここにこそ帝国主義と闘い、小泉改革と闘って、労働者が勝利していく道がある。
 「つくる会」教科書採択阻止を最大の軸に闘った都議選決戦の偉大な成果を発展させ、教労、自治体、全逓を始め4大産別を先頭に、11月への賛同と結集を訴え、現場労働者の決起と組織化をかちとることが決定的だ。地区党建設の闘いと固く結合し、下からのランク&ファイル運動を、産別で、労組で、職場で、思いきってつくり出そう。とりわけ拠点産別、拠点組合、拠点職場での決起を全力で闘いとろう。
 連合が7・14見解をもって9条解体と「安保基本法」の制定を狙い、自治労の改憲勢力化を狙っている中で、8・23〜26自治労大会(鹿児島)は大決戦である。侵略戦争への道=「平和基本法」の制定策動粉砕へ、自治労大会決戦を闘いぬこう。
 8・30〜31国労大会(熱海)は、反対派の国鉄闘争からの召還とも言える現在の国労の危機に対し、徹底的に闘うことが求められている。尼崎事故を弾劾し、1047名闘争の意義を鮮明にさせて、国労の階級的再生へ職場からの闘いに全力をあげよう。国労5・27臨大闘争弾圧と闘う陣形を圧倒的に強化しよう。酒田執行部と上村革同の国労解体・売り渡し策動と対決し粉砕しよう。国鉄分割・民営化と原則的に闘う動労千葉労働運動に学び、その運動を拡大・発展させることに勝利の展望はある。
 何よりも青年労働者が、11月組織化の最先頭に立って、闘いを牽引(けんいん)しよう。学生は闘う労働者とともに、国際連帯発展の闘いの先頭で奮闘しよう。
 さらにすべての闘う労働者、学生、人民が11月労働者1万人結集の街頭宣伝戦を圧倒的に展開しよう。都議選決戦での実践と経験を11月の組織化に生かしきることだ。
 11月への闘いは、日本共産党や社民党に代わる闘う労働者党、プロレタリア革命の勝利を切り開くことができる革命的な労働者党の建設と一体の闘いである。
 「つくる会」教科書採択阻止の闘いと都議選決戦で、機関紙『前進』は強力な武器となった。11月の組織化に向けても、ビラ、チケット、署名用紙などとともに、『前進』を宣伝・扇動と組織化の最大の武器として圧倒的に活用しよう。労働者の中に積極的にどんどん持ち込んでいこう。
 そして最後に、11月労働者1万人大結集を実現するためにも、夏期一時金カンパ闘争を断固貫徹することを訴えたい。

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週刊『前進』(2211号1面2)(2005/08/29)

 8・15 靖国神社へ怒りの肉薄 閣僚・議員の参拝を弾劾

 8月15日、「靖国・天皇制問題情報センター」の呼びかけで、靖国神社に対する抗議行動が闘われた。
 小泉首相はこの日の参拝を見送ったが、中国、朝鮮、アジア人民の必死の糾弾の声を踏みにじり、「好きな時に公式参拝する」という傲慢(ごうまん)な姿勢を隠していない。そして閣僚、反動的国会議員、石原都知事らはこれ見よがしに参拝し、侵略戦争を居直り、新たな戦争へ進もうとしている。こんなことを黙って見ていられるか!
 午前10時、すでにうだるような暑さの中、参加者たちが靖国神社から数百bと離れていない千鳥ケ淵戦没者墓苑前に集合した。その数約200人。日本キリスト教協議会靖国神社問題委員会の大島孝一さんがあいさつした。「戦後60年という節目の年、新しい戦前の始まりに対し、私たちも新たな闘いをつくり出そう」
 いよいよ靖国神社に向かって出発だ。横断幕を先頭に、手に手に「参拝阻止」「小泉打倒」などのメッセージボードを持った参加者たちは、靖国神社をめざし歩き出した。たちまち機動隊と公安刑事が押っ取り刀で駆けつけてきた。「止まれ!」
 止まるものか。だれもが決意に満ちた表情で前進を続ける。機動隊が車道に盾で阻止線を築いた。抗議の声が一斉に上がり、辺りが騒然となった。機動隊は力ずくでも通さない気だ。だが参加者は隣の遊歩道ががら空きなのにすぐ気づき、当然にもそちらに流れて進む。機動隊の阻止線はたちまち無力化した。
 機動隊と公安刑事はあわてふためき、息を切らしながら全力疾走で百bも退却し、遊歩道を含めて道全体に阻止線を構えなおした。再び対峙。機動隊は盾を暴力的に振りまわして襲いかかり、闘争参加者は必死に素手で抵抗した。怒りのシュプレヒコールが繰り返し上がる。「小泉・閣僚らの参拝を許さないぞ!」「アジア民衆の声を聞け!」
 その場でハンドマイクを使ってリレーアピールが始まった。
 横須賀の宮崎徹牧師は、「小泉首相は地元の恥。沖縄とともに神奈川県が米軍世界戦略の拠点となることを許さない」と発言した。
 次に、韓国からこの闘いに参加した民主労総ソウル地域本部長のコジョンファンさんがマイクを握った。「靖国参拝は新たな戦争準備だ。そこの警察官も自分たちが戦争に動員されることを知れ。阻止するのは東アジアと日本の民衆の力だ」。またその場で同ソウル地域本部組織部長ムンムンジュさんが紹介された。
 次にアメリカから参加したタフト・ハートレー・抑圧と民営化反対キャンペーンのスティーブ・ゼルツァーさんが発言。「ブッシュはたくさんの兵隊とイラク人民を殺している殺人者だ。アメリカでは多くの労働組合がイラクからの撤兵を要求している。帝国主義戦争と民営化に反対する全世界の労働者の連帯を!」
 さらに次々と怒りの弾劾がとどろきわたった。戦争推進機関である靖国神社が戦争美化セレモニーを行うことなど許しはしない。
 権力の不当な妨害でそれ以上の靖国神社への接近は阻止されたが、神社とその周辺を警察と右翼団体の暴力的支配下において反対の声を封殺しようとした国家権力のもくろみは、完全に打ち砕かれたのだ。

 2人を不当逮捕

 リレーアピール後、警視庁はまったく不当にも突如参加者に襲いかかり、2人を「公務執行妨害」を理由に逮捕した。自分たちの警備体制が破綻(はたん)させられたことに対し、報復的な弾圧に及んだのだ。この凶暴さこそが、戦争へ突き進む小泉政権の正体だ。
 小泉政権と石原らの靖国神社参拝は、日帝が北朝鮮・中国侵略戦争に労働者人民を動員していくための決定的な攻撃である。新たな侵略戦争の戦死者を「英霊」としてまつるための攻撃なのだ。絶対に許してはならない。
 この日の闘いは、靖国闘争と「つくる会」教科書闘争を一体のものとして、日本階級闘争の大テーマに押し上げる重大な闘いとなった。
 (本紙・石井良久)

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週刊『前進』(2211号2面1)(2005/08/29)

 戦争・民営化と闘う11月1万人結集を 中野動労千葉前委員長に聞く

 総反撃を開始する好機 国際連帯が民族排外主義破る

 郵政民営化法案の否決という事態を受け、小泉は解散・総選挙に打って出た。戦争と民営化(労組破壊)攻撃をなんとしても押し貫こうとしているのだ。また杉並区は「つくる会」歴史教科書の採択を強行した。他方、連合中央は改憲派へと完全に転向しつつある。11・6全国労働者総決起集会は、国際連帯をかけてこれら大反動と激突する決戦だ。ここに労働者階級の命運がかかっている。日比谷野音1万人結集に向け、問われている課題は何かを、中野洋・動労千葉前委員長にうかがった。(聞き手/本紙・長沢典久)

 戦後民主主義意識をぶっつぶす攻撃に打って出た小泉

――小泉による解散・総選挙という情勢を、労働者階級はどうとらえるべきでしょうか。
 解散を決定した小泉の記者会見を見たけれど、鬼気迫るものがあった。「郵政民営化の是か非かで勝負だ」と言っているけれど、要は小泉政治の是非ということです。
 郵政民営化法案に反対した議員に対して、同じ自民党であるにもかかわらず対立候補を立てて、ぶっつぶす。野党じゃなくて自民党を脅かしている。これは今までの自民党政治の中ではなかったことです。
 今までは、自民党も含めて戦後の平和と民主主義意識にどっぷりつかってやってきた。もちろん自民党は、日米安保体制のもとで沖縄を犠牲にしたり、悪いこともずいぶんやった。でも、「気配り」とか「根回し」「談合」「護送船団方式」という言葉に象徴されるようなやり方でやってきたわけです。労働者の場合は終身雇用制です。ものすごい金持ちも、あんまり貧乏人もいなかった。
 これに対して、今度、小泉がやったことは非常に強烈です。今までの戦後民主主義的なあり方を、支配階級の中からまずぶっつぶしちゃうということです。
 小泉は何か、比叡山焼き討ちをした織田信長に自らをなぞらえて気取っているけれど、そういうのは意外と大衆受けする可能性がある。世論調査を見ると、自民党支持率が上がっている。この前までは「民主党中心の政治がいい」というのが多かったのに、この解散劇でガラッとひっくり返った。根底的な危機の中で小泉は解散・総選挙に打って出た。危機だから妥協するのではなくて突っ走る。だから反対派も民主党もおろおろしている。
 この選挙でどういう結論が出るかは、非常に大きい。小泉自民党と公明党が過半数を制した場合、あらゆることが一気呵成(かせい)に行く可能性がある。

 八方ふさがりの絶望的危機

 世界を見れば、イラク戦争もアフガニスタンも泥沼化しています。アメリカを始めとする帝国主義の世界支配体制は完全に行き詰まっている。これは、闘いがあったからです。
 イラクのような小国はとっくにたたきつぶされてもおかしくない。だけど今もイラク全土で自爆戦闘や武装闘争が激発している。
 イギリスでのサミットも3発のゲリラで吹っ飛ばされた。名もなきムスリムの若者たちがやっているんです。向こうはアルカイダとつなげようと必死になっているけど、そうじゃない若者たちがやっている。
 日本の国連安保理常任理事国入りだって、完全に破産している。中国や韓国は反対、アメリカも反対している。北朝鮮をめぐる6者協議も、明らかにアメリカ・日本VS中国・ロシア・韓国という構造ができて中断してしまった。
 こういう八方ふさがりの状況で、帝国主義は全面戦争に行かざるを得ないんです。こういう時はファシズムが台頭する。
 石原慎太郎みたいなファシストが東京で300万票も獲得した。石原なんて青嵐会の極右です。あんなやつは本を書いていればいいんだ。それが政治に口を出して、非常に軽率、軽薄、無責任。しかも、自分の言ったことを命をかけてやるのかというと、やりそうもない。
 一方で日本は国際化をしなければ生き残れない。なのに敵ばかりつくっている。中国も韓国も敵に回す。靖国神社問題も「つくる会」教科書もそう。中国・韓国が敵意を燃やすのは当たり前です。戦争をひけらかしているんだから、侵略戦争をこれからもやるということでしょう。
 これは結局、アメリカにも対抗することになる。あの戦争は正義だ、やむを得ずやったんだとなったら、アメリカはそれでいいのかという話になるでしょう。
 それが日本の主流になっている。ここまで来たら打倒する以外にない。打倒する主体は労働者階級です。
 敗戦60年の8月15日、石原を先頭に靖国参拝運動をやった。右翼が全部集まって「靖国神社は不戦の誓いをする場ではない。『この次は絶対に勝つ』と誓う所なんだ」と気勢を上げた。
 これに対して、日本の戦闘的労働者が真っ向から闘わなければ、何のために「日の丸・君が代」強制反対運動、「つくる会」教科書反対運動をやってきたのかということになる。国際連帯が問われたわけです。

 連合傘下の労働者結集し改憲に対抗する基盤を築こう

――そうした中で、今、労働運動がなすべき課題は何でしょうか。
 今年の11月労働者集会も国際連帯をかけた闘いになる。韓国やアメリカの労働者が大挙して参加することは間違いない。国際連帯とは結局は戦争の問題です。韓国でもアメリカでも日本でも、国家主義・民族排外主義が跋扈(ばっこ)している。戦闘的労働運動はこれにどう対抗するかが問われている。労働者階級の国際連帯以外にない。これは結構大変な問題だ。だから、マルクス主義をかたって帝国主義の侵略戦争に賛成したカウツキーが出たんです。今でも、現代のカウツキーが至る所にいる。これを打ち破っていけるかどうかが、11月労働者集会にかかっている。
 他方、連合は7月14日に中央執行委員会を開いて、改憲案を出しました。憲法9条2項を削除して安全保障基本法をつくるのか、それとも9条はそのままにして安全保障基本法をつくるのかということで、両論併記でバーンと出した。
 この中で労働運動がどう動くかが歴史を決します。6月に全逓(JPU)、7月にNTT労組と日教組の大会がありました。8月末には自治労大会があります。日教組と自治労は、今までのしがらみでなかなか連合路線に行ききれなかった。全逓やNTT労祖はとっくに行っている。全逓は名前も変えた。だけど、9条改憲までは行ききれなかった。ところが、今年の大会でおしなべてやっている。日教組がやりきれなかったのは、現場の闘いがあったからです。
 自治労は、安全保障基本法と言わずに平和基本法と言ってごまかしているけれど、自治労が大会で改憲方針を決定すれば、連合は10月大会で完全に改憲にかじを切るでしょう。国会は翼賛国会で、みんな憲法を変えろという方向です。財界もそう。そこに、やせても枯れても700万からの労働組合が改憲賛成になるのは、大変なことです。
 われわれはややもすると、連合なんてそもそもそんなものだと見てしまう。だがそうじゃない。連合結成以来、15年たってもできなかった。連合が改憲勢力になったらどうなるのか。一挙に拍車がかかります。
 そういう状況の中で、日教組がどうなろうが、自治労、全逓、NTT労組がどうなろうが、その傘下の多くの組合員を、われわれの旗のもとに結集する。特に連合傘下の労働者を中心に、日比谷に1万人を結集しなければ、改憲の嵐に対抗する基盤をつくることはできない。国会に改憲案がかかった時にはもうダメなんです。その前にたたきつぶさなければならない。今年の11月労働者集会は、そういう重大な位置をもっています。

 尼崎事故の根本的な原因は民営化による労働組合破壊

――民営化をめぐる攻防も重大な決戦を迎えていますが。
 郵政民営化問題の核心は、40万人もの国家公務員を非公務員化し、民間労働者にすることにあります。自民党造反派も民主党も、それにはみんな賛成している。その後は公務員制度の改悪です。民営化攻撃に屈したJPU中央を打倒して、全逓労働者が総決起する時が来ています。
 民営化は何をもたらすのか。尼崎事故です。なぜあの事故が起きたのか。あの事故をどう階級的に見るのかが非常に重要です。
 1987年に国鉄が分割・民営化された。その過程で起こったことが、あそこに凝縮して現れた。
 国鉄分割・民営化攻撃の核心は、戦後の日本の労働運動の中心を担っていた国鉄労働運動を完膚なきまでにたたきつぶすことにあった。四十数万いた国鉄労働者が20万になった。その過程で動労は消えちゃったわけです。松崎明というカクマルの幹部がひっくり返って、敵の陣営に移った。それによってJR総連という組合の権力を与えられたけれど、動労という組合を解散したわけだ。それで彼は総評を脱退し、国労に対する激しい組織破壊攻撃の手先になった。
 国鉄労働組合は一戦も交えず、今や2万ぐらいの組織になっている。唯一、動労千葉がストライキで立ち上がったという構造があるわけです。
 JRになって、現場で働く労働者をどんどん少なくし、外注化する。それに労働組合も協力する。これで事故が起こらないほうがおかしい。だから、尼崎でボーンと爆発した。
 国鉄労働運動が解体されなかったら、あれほどひどいダイヤの設定なんかありえなかった。誰がどう見たって、まともに定時で運転できないダイヤでしょう。それで車両の軽量化をどんどん進めてスピードアップする。そういうことに労働組合が何も言わない。それが尼崎事故の本質だ。労働組合がつぶされるとこうなる。それが核心なんです。
 資本というのは、労働者を好きな時に雇って、安い賃金で長時間こき使って、都合が悪くなったら首にする。資本主義の勃興(ぼっこう)期からそうなんだ。それに対して労働者は労働組合を結成して抵抗してきた。日本では労働組合法とか労働基準法とか、一応、労働者を保護する法律ができている。労働者は団結する権利を持っている。これは労働者の百数十年の闘いの中でつくられた。
 だから、これをどうつぶすかという攻防なんです。戦後の60年、やられたら巻き返す、やられたら巻き返すという歴史を、日本の労働運動は続けてきた。
 尼崎事故で100人余りの命が奪われた。そのかたきをとらなければいけない。同時に、不謹慎な言い方かもしれないけれど、われわれが本気になって総反撃を開始する大きなチャンスが来たと見て間違いないと思います。

 動労千葉から実践的に学ぶ

 国鉄分割・民営化に対して、動労千葉の当時1100名の労働者は本当に火の玉となって立ち向かった。千葉の片隅の1100名が国家権力を相手取って闘って勝てるはずがない。だけど、われわれは仲間として、労働者として団結を守るために闘った。
 今もそうだけど、動労千葉だって常に分岐・流動・再編にさらされている。動労千葉だって大衆組織です。動揺する組合員がいるのは当たり前です。そこを、執行部を先頭にした徹底した討論のもとに、「これで行く以外にないよ」とやってきたわけです。
 こういう闘いを実践的に学んでほしい。「動労千葉に続け」と言っても、動労千葉の形づらだけ見ていたって労働運動はできない。自分でやらなければ、労働運動はできないんです。

 もう一度浮上した国鉄闘争

 国鉄1047名闘争は、本質的に国鉄分割・民営化反対闘争です。
 これをめぐってさまざまな妨害があり、1047名がなかなか団結できない状況で推移してきた。その中で、7月15日の国鉄集会で初めて動労千葉が評価されて、高石君が堂々と発言できた。今まで、表向きは「1047名闘争」と言っていても、動労千葉をどう外すかということで十何年間やってきた。国労闘争団の中にもそういう動きはあった。じゃあ、1047名なんて言わないで、9名減らして1038にしてくれということだよ。
 一方で動労千葉は非常に柔軟な対応もしてきました。1047名の団結抜きにこの闘いは勝てない。その原則を貫徹するために、時としては譲歩したり、屈辱的な思いを味わったりしてきた。けれど、7月15日は、そういう問題がまったく表に出なくて、すっきりと1047名が団結する初めての集会になった。
 1047名ががっちりと団結して進んでいこうという体制になったことは、ほぼ間違いない。国鉄闘争が7・15でもう一度浮上した。だから教労、全逓と国鉄闘争が軸になって、数十万の労働者を牽引(けんいん)しなければいけない。
 分割・民営化から18年を経て、JRの側も「分割・民営化体制の総決算」攻撃をかけてきている。JR東日本でいえば「ニューフロンティア21」。だけど、これも破綻(はたん)した。われわれがものすごく抵抗したからです。
 抵抗すると破綻するんです。帝国主義、資本の側が攻撃する時に、整合性のある攻撃なんてない。抵抗を受けた時には絶対に破綻する。抵抗されないと、それが通っちゃう。これが階級闘争の真理なんです。
 事実、全金本山労組は34年の闘いの末、解雇撤回・職場復帰を実現している。

 これまでのあり方変えなければ今の時代に通用しない

――11月労働者集会の成功に向けて、問われていることは何ですか。
 労働者階級が団結して反撃する絶好の時代が来たのが05年です。11・6労働者集会は、その成否をかけた決戦になる。
 教育労働者への「日の丸・君が代」強制に対する抵抗が、東京を始め全国に広がった。これは非常に大きい。そして「つくる会」教科書をめぐる攻防が杉並を始め全国で始まった。
 全体を見ると勝ったり負けたり、現象的にはいろいろあるけれど、労働者が闘いを継続することに成功している。その意味では、05年決戦の前半戦は、まあまあうまく行っている、いい線行っていると思います。
 05年は、平和と民主主義意識を一掃する攻撃が焦点になる。その核心は労働組合運動・労働組合の団結を根底的に破壊することにある。それを見据えて、今年の冒頭、教労を軸とした4大産別決戦で対抗しようと決断した。その時はイメージもまだ貧弱だったかもしれないけれど、闘いを大衆運動としてやる中で、これははっきり見えてきた。
 「つくる会」は、民営化の問題と靖国問題、つまり戦争問題は一体なんだと言っている。官の中に左翼思想、つまりマルクス・レーニン主義がはびこっている以上は、何をやってもダメだ、と。だからイギリスのサッチャーに学んで、左翼を一掃するために民営化をやれと言っている。

 激しい分岐が必ず生まれる

 こういう時代が来ると、ものすごい分岐が生まれます。例えば7・15を「黙殺」した日本共産党。彼らは、共産党を名乗っているくせに、この危機の中で本気になって大衆運動を展開し、党の総力を挙げて対抗しようとはしない。幹部は、どうやって逃げようかと考えている。だから、動労千葉みたいな「過激派」と付き合うやつは許せないという話になっちゃう。
 動労千葉は、世の中で言われるほど過激じゃないですよ。戦術を見て下さい。こんなにうまい戦術を駆使している労働組合がありますか。動労千葉を「過激派」だなんて言っている人たちのほうが、よっぽど戦術左翼で過激じゃないか。動労千葉は、きわめて柔軟かつ原則的に戦術を駆使して今日まで来ています。
 物事を正しく見極めて、反動的な考え方、敵にくみする考え方と徹底的に闘っていく。そして味方として闘っていける仲間を獲得する。これをきちんとやれば11月集会は成功します。
 率直に言って、帝国主義の危機だとか世界戦争必至だとか言っている割には、みんなその気になっていない。日本資本主義というのは大変な体制で、これだけ大量生産・大量消費で、すぐ生活に困るわけではない。そうすると、どうしても今までの惰性に流れていく。これが問題なんです。
 「大失業と戦争の時代」と言い始めたのは私だけど、大失業時代とは労働者が首になる時代なんです。なのにみんな「大失業時代」なんてけろっとして言う。そういう時代が来たのなら、自分のあり方を変えなければ通用しない。
 例えば尼崎事故をめぐって、動労千葉の中でも討論した。百何人が殺されている。これに対して、動労千葉だって怒りが少なかったんじゃないか、と。労働者の闘いの原点は怒りです。
 敵がそうとう攻撃的な方法で自らの体質をぶっ壊そうとしている時、われわれが自らのあり方を暴力的にぶっ壊そうとしないで、対抗できるはずがない。
 いくらなんでもこういうことはやらないだろうというのは、全部吹っ飛んでいる。全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部には、武委員長を始め6人の執行委員をいまだに勾留し続けるという大弾圧が襲いかかっている。11・6はこうした弾圧を打ち破る闘いでもあるわけです。
 われわれが10万、100万の労働者を動かす力を持たないと、今日の大反動に対抗できない。
 はっきり言って破滅は近い。今の情勢に、言葉だけじゃなくて本当に危機感を持つことが重要なんです。その立場で、一つひとつの攻撃に怒りを燃やし、仲間に訴え、持てる力をフルに発揮して11月1万人結集へ闘ってほしいと思います。
――どうもありがとうございました。

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週刊『前進』(2211号3面1)(2005/08/29)

 東京杉並 「つくる会」歴史教科書採択撤回へ

 山田区長と「つくる会」が結託 不当な圧力 採択は無効だ

 8月12日に杉並区教委が強行した「つくる会」歴史教科書の採択を徹底的に弾劾しよう。「つくる会」の露骨な圧力のもとで強行された採択は、まったく不当である。採択を撤回させなければ、杉並区内の23中学校で中学生が「つくる会」歴史教科書を使わされることになる。「つくる会」教科書を1冊たりとも中学生に渡すわけにはいかない。杉並区民や教育労働者と連帯して、必ず採択撤回をかちとろう。
 8月12日の杉並区役所には、「つくる会」教科書採択に反対して闘う区内外の500人の労働者・市民が駆けつけた。「つくる会」教科書の検定合格から4カ月、区内各所でビラをまき、署名を集め、地道に「つくる会」教科書採択反対運動を積み重ねてきた人びとが、3万筆の署名とともに「区教委はこの声を聞け」と突きつけたのだ。
 他方、全国からかき集められた「つくる会」派の宗教集団100人余が区役所入り口前に整列、歩道では「扶桑社教科書を支持します」というのぼりを掲げた。頭目は「つくる会」副会長の藤岡信勝である。4日に杉並で「つくる会」教科書の不採択寸前まで追い込まれ、また全国各地で「つくる会」教科書不採択が次々決まる中で、危機感を燃やした「つくる会」勢力が総結集したのだ。
 山田区長と納冨教育長を含めた3人の教育委員、そして「つくる会」は、4日の結果を受けて、12日に何がなんでも「つくる会」教科書を押し通すことを決断し、議論の流れまで入念な打ち合わせをした上で臨んできたのである。

 教育長の一言で採択を強行

 審議が始まると、4日と同じく大蔵雄之助と宮坂公夫は扶桑社版を絶賛した。大蔵は「1週間、8社の教科書を読み比べ、扶桑社版が学習指導要領に最も近いことがわかった」と扶桑社を推す一方、他社に対して「豊臣秀吉の朝鮮出兵を『侵略』と記すのは間違い」「日本が戦後補償を行っていないというのは誤り」などと批判を重ねた。
 宮坂は「明治憲法の『天皇は神聖にして侵すべからず』の条文は今の象徴天皇制と相通じる。明治憲法下で天皇に独裁的な権限が与えられたように書くのは誤り。明治憲法は近代的ないい憲法だった」「過去の日本人にも外国人に感謝された人がいた。台湾の開発に貢献した八田與一が載っている扶桑社がいい」「歴史は物語だ」「『韓国・中国で反対運動があるから扶桑社版を使わない』という判断をしてはならない」など、「つくる会」そのままの主張を繰り返した。
 他方、扶桑社版に反対する教育委員に対しては、納冨も加わって攻撃した。4日に「扶桑社版は戦争に向かう教科書」と述べた安本ゆみ委員に対し、すでに「つくる会」会長・八木秀次と副会長・藤岡が8日に「公開質問状」を出して脅迫していたが、納冨は「扶桑社版が戦争を賛美する教科書だとは思わない」と批判し、大蔵は「前回、扶桑社版のことを『戦争をすすめる教科書』と言ったが、どういうことなのか答えよ」と、「つくる会」の主張をそのまま代弁した。
 採択の決定権を握ったのは納冨だった。納冨は「人類史から戦争や紛争はなくならない。そう考えると、(平和を大切だと記す)他社の記述は理念的だが、扶桑社版の記述は現実的だ」と述べ、「あえて順位をつければ扶桑社が1位」と表明した。この納冨の一言により、5人の委員中3人が推す扶桑社版の採択が強行されたのだ。
 区教委の傍聴席に乗り込んだ藤岡や、音声が流された会議室にいた「つくる会」勢力は、歴史教科書が採択されると、公民教科書の審議が始まりもしないうちに一斉に退席した。「歴史教科書だけは押し通す」ことが、事前に山田区長と3人の教育委員、「つくる会」勢力の間で合意されていた証左である。

 現場教員の声抹殺した暴挙

 「つくる会」歴史教科書の採択は、採択手続きすら無視したまったく違法・不当なものである。
 何よりも扶桑社版歴史教科書の代表執筆者・藤岡信勝を先頭に「つくる会」勢力が殺到して圧力をかける中で強行された不当な採択である。文科省の指導も無視して白表紙本を配布してきた扶桑社だが、とりわけ杉並区では、教育委員個人に藤岡・八木が「公開質問状」を出して脅迫、さらに「つくる会」勢力を全国動員、最後は藤岡自身が傍聴で恫喝するという無法の限りをつくした。区教委は区内学校の玄関などに「教科書関係者お断り」の張り紙を張らせてきたが、扶桑社の執筆者だけは招き入れるという暴挙を働いたのだ。
 区教委はさらに、採択に向け提出された調査報告書をめぐって、扶桑社版に否定的な意見を記した教員に書き換えを命じるという不正まで犯した。それでもなお、報告書には杉並で現在使っている教科書に「使いやすい」という意見が多く、扶桑社への肯定的な意見はなかったという。その調査報告書もまったく無視した採択なのである。
 「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会は、同日発した抗議声明において、「私たちは直ちに撤回運動を始めます。署名で、裁判で、集会で、あらゆる知恵を絞って、あらゆる場所で。不採択運動を通じて作り上げた連帯の力は、必ずや、採択撤回を実現するものと確信します」と宣言した。
 杉並区教職員組合も同日執行委員会声明を発し、「いかなる弾圧・強制にも屈せず教育者の良心にかけて歴史の真実を子どもたちに伝え続ける。……杉並区教職員組合は、勇気ある行動に立ち上がった仲間を守り、杉教組に加えられるであろう不当な弾圧に断固屈せず、組織をあげて闘い抜く」と宣言した。
 また8月4日の区教委における大蔵の差別発言に対して、部落解放同盟全国連合会杉並支部と「『つくる会』教科書に反対する『視覚障害者』一同」は、抗議の申し入れを行った。
 「つくる会」教科書をめぐる闘いは、小泉の戦争と民営化=労組破壊攻撃との最先端の攻防である。採択撤回を必ずかちとり、戦争国家へ向けた大攻撃を労働者人民の力で打ち砕こう。

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週刊『前進』(2211号3面2)(2005/08/29)

 杉並・親の会報告集会 “こんな教科書使わせない” 3万署名を基に次の闘い

 12日夕、「つくる会」の教科書採択に反対する杉並・親の会の報告集会が産業商工会館で開かれた。親の会を先頭に朝から採択阻止を闘いぬいた135人が集まり、「採択許さない!
 必ず撤回させる!」という鮮明な決意を固める場となった。
 親の会は「つくる会」歴史教科書採択後、ただちに区教委に撤回を申し入れ、阿佐ケ谷駅南口で抗議ビラを区民に配って「私たちは絶対にあきらめません。戦争賛美の教科書は絶対に使わせません。今回の採択は無効だ」と訴え、この報告集会に臨んだ。
 集会冒頭、親の会の抗議声明が読み上げられ、杉並区教育委員会を傍聴した親の会の呼びかけ人3人から審議経過が報告された。
 「つくる会」歴史教科書の代表執筆者である藤岡信勝が傍聴したことが怒りをもって報告された。「教科書採択の公平性を保つために執筆者や出版社関係者は入れてはならないのだが、藤岡は20人の傍聴の最前列に座った。しかも藤岡は『つくる会』教科書反対の安本教育委員に恫喝的な公開質問状を出した張本人。藤岡がいるのはおかしいと抗議したが、杉並区の職員は取り合わなかった。ひどい出来レースだ」
 「3万の署名の重みを委員に知ってほしくって、今朝の申し入れで教育委員会の開かれる部屋の中に置いて下さいと頼んだ。でも置いてなかった。私たちは陳情も何回も行ったが、全部無視。今回のことで民主主義はないと思いました」
 「4日に採択させなかったことは大きな勝利への第一歩だった。だからこそ『つくる会』はさまざまな妨害活動に出てきた。私は納冨教育長に『良心があるのか! 扶桑社版は教科書じゃない!』と大声で抗議し、松浦芳子区議らにも『絶対に撤回させてやる』と怒鳴ったら『過激派ってこわーい』と言われたが、なんと言われようと頑張ります」
 親の会が次々に発言。「なんと言っても悪質なのは宮坂委員。『神聖にして侵すべからず』の明治憲法の天皇条項と今の日本国憲法の象徴天皇が同じだって言うんですからね」「私は教科書は理想を語るものだと思う。納冨教育長は理想を言ったって戦争はなくならないんだと言った。子どもたちはいやになりますよ。納冨は絶対に許せない」
 「採択されちゃったからだめじゃなくて、この運動はこれからも続く。明日を担う子どもたちにやさしさと希望と勇気、そして行動を託していきたい」「『つくる会』は戦争でもうけたい連中、統一協会は修行で来ています。やってはいけないインチキとズルが行われた。藤岡の傍聴は法的にも追及していける」「誰とでも『戦争はいやよね』って言えば一致すると思ってきたが、今は違う。このことに気づいていない人たちに時代が変わったことを伝えなければならない」「採択されて悔しいが、なんだか元気がわいてきた。好奇心と正義感と怒り、何倍もエネルギーを出せると思う」「百日間決戦で駆けめぐってきた。多くの出会いがあり、親の会の運動の豊かさを実感している。これからもしなやかに明るく元気にやっていきたい」
 「教員は怒っている。教育労働者や自治体労働者に働きかけて杉並を変えたい」「きょうの申し入れの最後に『こんな教科書を使わせないと言ってストでもやってください』と机をたたいて帰ってきた。これから長い闘いになるが、3万の署名でつちかったつながりがあれば必ず勝てる」。司会の女性も「私も一言。見るハト、聞くハト、考えるハトが描かれたTシャツがあった。見ザル、言わザル、聞かザルではだめ。闘う対象が見えてきた。頑張りましょう」と訴えた。
 最後に今後の運動として▽採択撤回を求める署名運動▽裁判闘争▽納冨教育長、宮坂、大蔵両委員の辞任要求▽山田区長糾弾▽藤岡の傍聴や公開質問状に対する追及▽自治体職員や教育労働者との大きな連帯闘争などが提起された。「アメーバみたいな親の会がいろんな団体をつなぐものになれたらどんなにいいか。しなやかに明るく元気にやりましょう」とまとめた。
 団結ガンバローで締めくくって「つくる会」歴史教科書撤回の闘いがスタートした。
 (本紙・室田順子)

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週刊『前進』(2211号3面3)(2005/08/29)

 宝塚市は不採択決定 260人が包囲、策動うち砕く

 関西地方で「つくる会」教科書をめぐり「最も危険な地域」と言われていた兵庫県宝塚市で、8月10日の教育委員会において、関西一円から駆けつけた260人の大傍聴団が監視する中、「つくる会」教科書の採択を粉砕しました。この日までに寄せられた抗議・要請のメール・FAX・葉書・要望書などは実に2000通にも及び、前回の01年をはるかに上回る大衆的決起で渡辺市長・勝山教育長らの採択策動を完全に粉砕したのです。
 採択協議会の報告は、歴史・公民とも、扶桑社の教科書を8社中8位と評価しました。あとは、文部科学省出身の勝山教育長らがこの評価を覆すことを、直接傍聴する80人の力で粉砕することです。
 審議では、採択協の報告が静謐(せいひつ)な環境で適正になされたと報告され、続いて評価の高いものから選ぶことが教育委員の間で承認されました。これまで何度も対市交渉を行い、公正で民主的手続きを無視するなという署名も多数提出されており、請願でも「近隣諸国条項」をふまえることが採択され、勝山教育長らは完全に包囲されていたのです。
 審議はいよいよ大詰め。「採択協議会の評価の高いものから選ぶと、歴史・公民とも大阪書籍となります。それでよろしいですね」という教育委員長職務代行者の声に、勝山教育長は傍聴団の監視の中で異議を唱えることができず、「つくる会」教科書の不採択が決定したのです。
 宝塚市教育委員会は今年4月、「前回の教科書採択は適正でなかった」という「つくる会」派の請願を採択しました。市長と教育長は、教育の自由化・機会均等破壊の学校選択制と「つくる会」教科書を導入し、宝塚の「平和・人権・男女共生」教育を「戦争賛美と戦争動員」の教育につくり変えようとしてきました。
 この事実に怒りと危機感が大きく広がり、7月25日の学校選択制の審議会には70人、29日の教育委員会には100人、8月9日の審議会には60人、10日の教育委員会には260人の傍聴者が集まり、超党派の120人が「絶対阻止するぞ」の意気で事前集会を行い、傍聴に臨みました。
 「つくる会」教科書採択を阻止した力で、学校選択制を最終的に粉砕し、教育基本法改悪阻止・憲法改悪粉砕へと進む決意です。
 (投稿/宝塚・木村雄一)

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週刊『前進』(2211号5面1)(2005/08/29)

 8・15労働者市民の集い 日米韓連帯で高揚

 “労働者の団結の力こそ” 郵政・教科書・靖国と対決 戦後60年に反戦誓う

 8月15日午後、なかのZERO小ホールで「60年目の戦争責任―憲法9条と靖国参拝/国益と排外に憲法は屈するのか」をテーマに8・15労働者市民の集いが、韓国とアメリカから労働者の代表を迎えて開かれ、520人が参加した。「戦後50年を問う8・15労働者市民の集い実行委員会」主催の8・15集会は11回目。靖国神社参拝運動や「つくる会」教科書採択攻撃などと真っ向から対決してかちとられた。
 集会はまず午前中の靖国神社内外での力強い闘いがビデオで映し出された。
 主催者あいさつを葉山岳夫弁護士が行い、日帝の戦争のできる国づくりの攻撃や民営化・労組破壊の攻撃に対して「世界の労働者人民と連帯した反戦平和の闘いで阻止できると確信している」と語った。
 闘いの現場からの報告ではまず全逓労働者の岩本正治さんが、小泉・奥田の郵政民営化について「公務員身分を剥奪(はくだつ)し、労働運動解体の突破口にしようとしている」「全逓労働者が生活と権利をかけて闘う時が来ている」と決意を表明した。
 「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会の教育労働者は、再発防止研修でのゼッケン、Tシャツ、はちまき着用に対して都教委が妨害行為だとして事情聴取の攻撃に出ていることを怒りを込めて暴き、「被処分者の会は毎年処分されているのでますます増えている。この力を土台に全国に闘いを広げる」と力強く決意を語った。
 続いて「『つくる会』の教科書採択に反対する杉並・親の会」が登壇。「歴史しか採択させなかったことは闘いの成果。けれどもくやしい」と切り出した。12日の教育委員会での「つくる会」の藤岡信勝の傍聴や納冨教育長の態度を弾劾し、「つくる会」を「本当に敵だと思いました。私たちは闘っていると感じました。撤回に向けて闘っていく」と宣言した。
 「憲法と人権の日弁連をめざす会」の高山俊吉弁護士が司法の戦線での闘いを報告。「われわれは多数派である。結集する努力を貫けば必ず多数派になれる」
 恒例となった松元ヒロさんのコントは、会場を大爆笑させながら、靖国神社が戦争のための施設であることを痛烈に風刺した。
 沖縄・辺野古から駆けつけた青年がヘリ基地建設反対協議会代表委員の安次富浩さんの「アジアへの新たなる攻撃基地は沖縄県内のどこにも必要ありません」とのメッセージを読んだ。
 松山大学教員の大内裕和さんが「労働組合と平和」と題してメイン講演。日本が戦争をする国になるのかどうか、重要な鍵を握っているのは労働組合だとして、知識人と現場の労働組合員の運動が結びつくことが重要と訴えた。陸・海・空・港湾労組20団体の闘い、教育労働者の「日の丸・君が代」強制に対する不起立闘争、国鉄分割・民営化による1047名の不当解雇撤回闘争の意義を訴え、「戦争協力拒否のための新しい平和4原則」として@憲法9条改悪阻止、A核兵器廃絶、B自衛隊海外派兵反対、C武器輸出禁止3原則堅持を提唱した。
 休憩後、靖国神社の式典を弾劾して拘束されていた学生たちが飛び入りで緊急報告。決死の弾劾闘争が大きな拍手に包まれた。

 国際連帯アピールに大拍手

 ハイライトの国際連帯アピールでは、米韓日の労働者の代表が壇上に並び、最初に韓国の労働歌謡「鉄の労働者」で参加者全体が“律動”を行った。
 民主労総ソウル地域本部のコジョンファン本部長は、「新自由主義世界化は全世界の民衆を対象とする二つの戦争を進めている。一つは帝国主義国家による周辺部国家に対する戦争(侵略と搾取の強化)であり、もう一つは自国の労働者民衆に対する戦争(搾取、民営化、労働弾圧)です」と訴えた。「特に日本の動きが重要」として「日の丸・君が代」強制や「つくる会」教科書、民営化、労組弾圧を糾弾した。そして、支配階級の攻撃を打ち破れるのは「階級意識で武装した労働者の団結だけ。国際主義に立脚した労働者の連帯だ」と訴えた。
 アメリカの運輸労働者連帯委員会のスティーブ・ゼルツァーさんは、「今、私たちの眼前では、第2次大戦を引き起こしたのと同じ権力が人類社会に対し今一度の破局的惨禍をもたらそうと活動している」と断罪し、「世界の労働者の再組織化は、私たちの経済的利益を守っていくためだけでなく、今一度の世界戦争を阻止していくためにもきわめて重要になっています」と訴えた。
 日本の労働者を代表して動労千葉の田中康宏委員長が発言した。 冒頭、戦争へと突き進む帝国主義に腹わたが煮えくりかえる思いだと怒りを表し、「労働者は歴史を動かす力を、無限の可能性をもっている。その確信を持てば世の中は変えられる。今が闘いの正念場だ」と訴え、11月6日の全国労働者集会への1万人結集を呼びかけた。
 日韓米3国の労働者の連帯の中に戦争と民営化に対する闘いの展望があることを実感した。
 最後に平和遺族会全国連絡会の西川重則代表が「歴史の史実を知る私たちは、きょう加害・被害の歴史の真実を心に刻み、国際連帯の下……共なる戦いを戦う。ここに宣言する」と声明を発し、まとめを提起した。
 戦後60年の8・15集会を豊かな内容でかちとり、大いに元気付けられた。
 (投稿/古寺和夫)

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週刊『前進』(2211号5面2)(2005/08/29)

 全学連が靖国に突入 神社境内 参拝運動を実力糾弾

 8月15日午前、全学連は大山尚行委員長を先頭に、靖国神社境内で「終戦60年国民の集い」を実力糾弾する闘いを敢行した。中国・韓国の人民の闘いと連帯して、戦争のための靖国攻撃に満身の怒りをたたきつけたのだ。
 この集会は、英霊にこたえる会や日本会議などの右翼・ファシスト勢力が「20万人参拝運動」を提唱して行った集会。前経済産業相の平沼赳夫や衆院議員の西村真悟、石原都知事らも参加し、発言した。
 集会は午前10時半、靖国神社拝礼と「君が代」斉唱から始まった。参道の特設ステージ前には約2千人。軍服姿の右翼の姿も多い。
 全員が直立不動の異様な雰囲気の中で「君が代」斉唱が始まった。その瞬間、ステージの左右で全学連の学生6人が「靖国神社参拝糾弾」「侵略戦争阻止」と書かれた横断幕を広げ、シュプレヒコールを叫んだ。学生はそのままステージの正面に向かって踏み込んだ。周りの天皇制右翼連中は数秒間にわたり思考停止、何が起きたのか把握できない。「君が代」斉唱の「おごそかな雰囲気」はものの見事に打ち破られた。式典は一瞬にして粉砕されたのだ。
 ここで我に返った右翼らが「生きて帰すな」などと怒鳴って殺到した。黒山の人だかりとなり、学生たちは引き倒されて、殴る蹴るの暴行を受けた。顔中があざになり、口の中は血まみれとなりながらも、しかしなおも「小泉の靖国参拝を許すな」とシュプレヒコールを続けた。全学連は右翼の暴力にまったく屈しない。ステージ周辺は大混乱が続いた。
 あわてふためいた警察が押っ取り刀で介入、なんと暴力を受けた側の学生を拘束した。そのままパトカーや機動隊バスで麹町署へ連行した。救急車や消防車も到着、血まみれの学生が一時、救急車に運ばれたが、これを毅然(きぜん)と拒否、そのまま他の学生と一緒に麹町署に連行された。だが、このあまりにも正義の闘いにデッチあげ弾圧の口実もつけられず、全員が完全黙秘で解放された。
 直撃糾弾された集会では、動揺した長谷川三千子(埼大教授)らが「先ほど靖国神社反対と言って横断幕を広げた人がいたが、彼らに『日本の独立はどうするの』と問いたい」などと取り繕った。学生の決死の闘いは、中国、朝鮮に対する排外主義をむきだしに靖国神社参拝運動で戦争への道を進む勢力に、巨大な打撃を与えたのだ。
 大山委員長はこの実力闘争について「『つくる会』教科書などの侵略戦争に向けた反動と対決し、うち破っていく闘いを貫徹した」と闘いの意義を語り、11月労働者1万人決起に向け、全学連は全力で闘うとの決意を示した。
 他の学生も「勝利感でいっぱいだ。戦争を止めるためには体を張って闘う」「右翼は、反対する人に暴力で襲いかかった。これが靖国神社の正体」「靖国勢力はつくる会と一体。ファシストや右翼の暴力と闘うことなくして戦争は阻止できない。杉並の8・4と8・12を引き継ぐ闘いだった」「ファシストや右翼の暴力に制圧された時、侵略戦争が始まる。階級的団結、国際連帯をかけて闘いぬくことが必要だ。敵陣の真っただ中に突っ込んで闘う」などと、口々に勝利感を語った。

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