ZENSHIN 2006/10/02(No2264 p06)

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週刊『前進』(2264号1面1)(2006/10/02)

 安倍打倒の国会決戦へ

 「日の丸・君が代」強制は違憲

 予防訴訟での勝利判決バネに 教基法改悪絶対阻止を

 「日の丸・君が代」を強制する03年10・23都教委通達は「違憲・違法」だとする画期的な判決が9月21日、東京地裁で出された。都立校の教育労働者401人が都教育委員会を相手取り、起立や斉唱・ピアノ伴奏の義務が存在しないことの確認を求めた予防訴訟の判決で、難波孝一裁判長は原告側の主張を全面的に認め、「思想・良心の自由を侵害する」憲法違反の通達を断罪した。きわめて真っ当な判決だ。この圧倒的な勝利判決をバネに、教育基本法改悪阻止を最大のテーマとする臨時国会決戦に突入し、安倍新政権と真っ向から対決して闘おう。教基法改悪阻止、共謀罪新設粉砕、安倍打倒の臨時国会冒頭の9・26国会闘争に立ち、11・5全国労働者総決起集会に攻め上ろう。(写真は21日、喜びにわく東京地裁前)

 不起立闘争の勝利と正義性

 都知事・ファシスト石原と都教委は「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」と題する10・23通達において、都立学校の各校長に「国旗に向かって起立し、国歌を斉唱」「ピアノ伴奏等により行う」「こうした職務命令に従わない場合は服務上の責任を問われることを教職員に周知」などを義務づけ、これに従わず不起立やピアノ伴奏拒否などで闘った教員を3年間に延べ約350人も懲戒処分した。
(写真は21日、喜びにわく東京地裁前)
 判決では、「国旗掲揚、国歌斉唱に反対する者も少なからずおり、このような主義主張を持つ者の思想・良心の自由も、他者の権利を侵害するなど公共の福祉に反しない限り、憲法上保護に値する権利。起立や斉唱の義務を課すことは思想・良心の自由を侵害する」と判断した。
 この東京地裁判決は、何よりも「職場からの戦争協力拒否闘争」として不起立で決起してきた教育労働者の正義性を認定し、教基法改悪阻止闘争に弾みをつけるものだ。この判決は、闘う教育労働者が処分の恫喝に屈せず、自己の信念を貫いてかちとった不起立闘争が引き出したものである。
 戒告、減給、停職処分、度重なる再発防止研修の攻撃にさらされ、それでも屈せず、意気軒高と正義を貫いてきた労働者魂が押し開いたのだ。そして、闘えば必ず展望が切り開かれることを全労働者に示したのだ。
 判決は、「通達や都教委の一連の指導は、教職員に対し、一方的な一定の理論や観念を生徒に教え込むことを強制することに等しく、教育基本法10条1項で定めた『不当な支配』に該当し違法」と指摘した。
 現行教基法第10条は、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と、国家権力による教育への支配介入を排している。判決は都教委通達がこれに違反すると指摘している。そしてこれこそが、今回の教基法改悪策動で抹殺されようとしている条項なのだ。
 教基法改悪は、いわば10・23通達を全国的に教育のすべての領域で徹底し、教育労働者の闘いを押しつぶすという攻撃である。「日の丸・君が代」を学校行事において強制し、それに従わない教育労働者は処分するという攻撃は、教育を命令と服従の関係に転換するものであり、権力による統制に委ねよということである。つまり10・23通達は教基法改悪の先取りとしてあったのだ。
 こんな攻撃が全国を覆おうとしている時、「都教委通達は違憲」の判決が出たことは、決定的な勝利である。これは東京を突破口に、石原・都教委に続き全国で強制と命令の教育を徹底させようとしている安倍新政権に対する痛打である。
 「日の丸・君が代」強制と闘わず、教基法改悪にも反対しない日教組中央を弾劾し、のりこえて教基法改悪反対の職場からの闘いを巻き起こし、日教組再生をかけて国会闘争を大爆発させていくチャンスが到来した。
 「教え子を再び戦場に送るな」という戦後教育の原点に立ち返り、今こそ教基法改悪阻止に立ち上がろう。これは教育労働者の課題であると同時に、全労働者階級の切迫した任務である。

 徴兵制導入と戦争狙う安倍

 9月20日の自民党総裁選挙で安倍晋三が新総裁に選出された。今週26日に召集される臨時国会で安倍新内閣が発足することが確実となった。安倍は「5年間で新憲法を作る」と改憲の意思を公言し、臨時国会の最大の課題として教育基本法改悪を実現することを掲げている。戦後史上、最悪の極右・国家主義者の登場である。同時にそれは、このような極右政治家を登場させる以外にない日帝ブルジョアジーの深い体制的危機を物語っている。
 安倍は小泉内閣の官房長官として「拉致問題」や「ミサイル・核開発」問題を口実に北朝鮮に対する制裁策動や排外主義を主導し、新政権の樹立後には「拉致問題」担当大臣を置くなどの構想を明らかにしている。今回、北朝鮮への金融制裁を発動したのも安倍である。現憲法のもとでも集団的自衛権の行使はできると公言し、日本版NSC(国家安全保障会議)の設置を画策し、北朝鮮・中国侵略戦争に向かって現実的な行動を起こそうとしている。
 安倍が「教育改革」を次期政権の重大テーマに据えているのは、北朝鮮・中国侵略戦争に向かって、進んで国のために命を差し出す若者をつくるためである。著書『美しい国へ』でも、その構想を明らかにし、この間の総裁選過程でも強調してきた。例えば、大学入学を9月にして、高校卒業後半年間を「ボランティア」の期間とするという構想は、徴兵制の導入を狙ったものであり、戦争中の「勤労奉仕」と同じく、国家のために命を投げ出して働けという大攻撃である。

 教基法改悪は改憲の突破口

 教育基本法改悪は、今や日本帝国主義ブルジョアジーの緊急の要求になっている。昨年1月に日本経団連は、「憲法改正」の提言と同時に「教育改革」提言を発表、改憲と教育基本法改悪をセットで要求した。
 「提言」は、冒頭に「教育は国の発展の基盤である」とうたい、教育の主体は教育を受ける者という戦後教育の建前を否定し、国のための教育を正面から押し出している。そして「国際競争に勝ち抜く」ことを教育の目的とし、そのために愛国心と「公共の精神」を培い、公教育の民営化と差別・選別教育を推奨している。さらに「国が教育内容の方向を示す」ことの重要性を述べ、日教組を解体する目的をあからさまに示している。
 要するに憲法9条も教基法も、一握りのブルジョアジーの利益のために桎梏(しっこく)になっているから一刻も早く改正しろと迫っているのである。
 教基法改悪の狙いは、「人格の完成」とか「個人の価値の尊重」などの現行法から180度転換し、「国家の、国家による、国家のための」教育に根本的に変えることにある。戦前の「教育勅語」と同じものにしようとしているのだ。
 教育の目的に「わが国と郷土を愛する態度を養う」という語句を入れたのも、国のための教育に変えるということであり、それは究極的には「国のために命を投げ出す子どもを育てる」ところに行き着く。
 また、教基法改悪は、格差社会を拡大再生産するものだ。教育に競争原理を持ち込み、資本の参入を自由化する。教育バウチャー制度や学校選択制によって、また学力テストによって、能力主義による差別・選別を推し進める。規制緩和、民営化、構造改革が教育の隅々まで貫徹し、日本社会の二極化が極限的に進行することになる。

 日教組の再生かけて闘う時

 そして教基法改悪の最大の狙いは、日教組、すなわち教育労働者の組合的団結体を解体するというところにある。戦争国家化を進めるために、教育労働者が労働組合のもとに団結して行動すること自体を一掃しようとしているのだ。
 教員免許更新制の08年度からの導入計画は、国鉄分割・民営化と同じく「いったん全員解雇・選別再雇用」と同じ発想であり、日教組を解体・一掃する攻撃である。
 安倍政権は「最大の抵抗勢力は官公労」と、自治労、日教組、全逓、国鉄の4大産別に対する攻撃をかけてこようとしている。公務員は国家の下僕であり国家の意思を体現すべき存在であって、組合的団結をもって国の政策にたてつくなど許せない、ということだ。国労や全逓、日教組や自治労も、指導部は今やグラグラであり、屈服姿勢を強めている。日帝権力は教基法改悪をもって一気に日教組解体に踏み込もうとしているのだ。
 これを打ち破るのは、教育労働者の現場からの闘いだ。東京の「日の丸・君が代」被処分者が勝利をかちとったように、また動労千葉の労働者が職場闘争で処分をはね返しているように、全国で職場からの闘いに立ち上がろう。
 日教組解体という教基法改悪の狙いをしっかりと見据え、職場からの大衆的な反撃をつくり出し、国会へ職場から駆けつけよう。その力で、教基法改悪攻撃を逆に30万日教組の階級的再生の闘いに転化しよう。この闘いは教育労働者の自己解放闘争であり、その団結をかちとる闘いである。
 教基法改悪阻止と共謀罪絶対廃案の国会決戦を闘いぬき、11・5全国労働者総決起集会の成功を切り開こう。

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週刊『前進』(2264号1面2)(2006/10/02)

 成田北延伸 着工阻止で緊急闘争

 市東さん「私は引き下がらない」

 9月17日、成田市東峰の開拓組合道路において三里塚芝山連合空港反対同盟主催の「北延伸着工阻止」緊急現地闘争が闘われた。急きょ呼びかけられたにもかかわらず、緊迫する着工情勢の中で230人の労働者・学生がかけつけた。
(写真 「農地強奪許さぬ」と市東さん先頭にデモ【9月17日 成田市十余三)
 冒頭、司会の伊藤信晴さんが「北延伸の認可・着工は生活破壊の国家犯罪/直ちに中止し暫定滑走路閉鎖せよ!」と題した弾劾声明を読み上げ、集会が始まった。 
 最初に事務局長の北原鉱治さんが発言に立ち「14日の農業会議において、日本の農民の将来を踏みにじる決定が出された。三里塚40年の闘いの正義を確信し、北延伸粉砕へ総決起を」と訴えた。本部役員の鈴木幸司さんは「反対同盟40年の闘いの真骨頂を見せつけてやろうじゃないか」と檄(げき)を飛ばした。
 市東孝雄さんは全身の怒りで農業会議での不当な決定を弾劾した。「農民を守るべき農地法が私を守ってくれないのなら自分で守る。1億8千万もらって農業をやめて出ていけという話を誰が認められるか。私は絶対に引き下がるわけにいかない」と厳しい表情で決意を述べ、参加者が大きな拍手でこたえた。
 事務局次長の萩原進さんは「この攻撃は市東さんをつぶすのが狙い。自ら農民として空港問題と向き合い闘っているこの姿は、何ものにも代えられない。北延伸工事はすべて不正義だ。この現実を知らしめ全国の共感を呼び起こそう。10・8に大結集を!」と訴えた。
 続いて成田の平和を守る市民の会の伊藤全明さんが発言した。「私も農家で市東さんの気持ちがよくわかる。農地改革で地主・小作の関係が変わり、農民は社会の基本である食料生産に誇りを持てるようになった。その農民の気持ちを理解しない土地取り上げは実に遺憾だ」と弾劾した。
 関西からは新空港反対東灘区住民の会事務局長の松原康彦さんがかけつけ、神戸で久しぶりの三里塚集会が開催され、岩山鉄塔決戦(77年)や10・20戦闘(85年)を知らない若い参加者が三里塚闘争に初めて触れ熱い共感を示したことを生き生きと報告した。さらに動労千葉の滝口誠さん、部落解放同盟全国連合会、婦人民主クラブ全国協議会、全学連の織田陽介委員長らが、反対同盟の渾身(こんしん)の闘いにこたえて立ち上がる決意を述べた。
 反対同盟を先頭にデモに出発。団結街道を北上し、「へ」の字誘導路を走行するジェット機を右に、作物が育っている市東さんの畑を左に見ながらデモ隊は進んだ。「この畑を奪われてなるものか!」。参加者は心底からの怒りをたぎらせた。突如機動隊が「部隊規制!」などと叫んでデモ隊に襲いかかった。先頭に立って歩いていた市東さん、萩原さんは、盾を素手ではね返し鋭く抗議。農地強奪攻撃への怒りを身をもって示し、成田クリーンパークまでのデモを貫徹した。
 北延伸をめぐる攻防は現地で火を噴いている。10・8全国総決起集会は着工情勢下での決戦だ。反対同盟の呼びかけにこたえ全力で結集しよう。

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週刊『前進』(2264号1面3)(2006/10/02)

 法政大 第2ラウンド突入

 学生100人が安東学生部長追及

 9月20日、後期開講日を迎えた法大キャンパスで、退学処分・停学処分を受けた学生を先頭にして、学生100人が安東学生部長を取り囲み、徹底追及する闘いに決起した。不当処分撤回までやむことのない法大決戦“第2ラウンド”がうなりをあげて始まった。
 この日は、被処分者を先頭とする法大生、全都・全国から集まった学生、法大弾圧救援会、OB会が情宣活動を行った。昼休みには、被処分者の学生が断固キャンパス中央に登場した。
 「1年間の停学、しかもキャンパスに入ったら退学。こんなふざけた処分がありますか! 自分はこんな処分には従わない。キャンパスで闘い続けます」という被処分者のアピールが、すごい迫力でキャンパスに響き渡る。授業を終えた学生が集まりあちこちで討論の輪が広がる。
 たまりかねて安東学生部長が、学生部職員やガードマンを引き連れて妨害に出てきた。しかし安東は、たちまち集まってきた法大生100人ほどに取り囲まれ、その場は安東徹底追及の場に転化した。
(写真 被処分者を先頭に安東学生部長を追及する法大生。制服を着ているのは法大当局が雇ったガードマン【9月20日 法政大学市ヶ谷キャンパス】)

 追及に防戦一方の安東学生部長

 被処分者の学生が、「処分の理由は大学の業務妨害だというが、私たちは業務妨害などしていない。どんな妨害をしたのか言って見ろ!」とマイクを突きつける。安東は「とにかく出ていきなさい」としか言えない。ガードマンの陰に隠れて、防戦一方だ。「安東、答えろ!」「何か言え!」とヤジが飛ぶ。その場は安東を裁く“人民裁判”さながらの状況になる。安東は、追及に青ざめ、携帯電話で話すふりをして逃亡!
 法大生は、次に藤村副学生部長にマイクを向けた。「仮処分裁判では『3月14日に逮捕されたことは退学処分の理由ではない』と言っているが、話が変わっているじゃないか!」と追及すると、藤村は「裁判の場で明らかにする」とだけ言って逃げた。「学生の前で言えないのか!」と追及されても何も言えない。法大当局はグラグラだ。正門前にたむろする公安刑事どもも一指も触れられない。逃亡する学生部に対して、被処分者が「退学処分撤回まで闘う」と宣言すると、学生から大きな拍手がおこった。
 完全に圧倒され、追いつめられた法大当局は、即日「このような行為が繰り返される場合には、法的手段に訴える」などという不当な「告示」を出してきた。またもや警察に売り渡すというのか! 法大当局は、もはや警察暴力以外に頼るものがないのだ。
 学生が団結して闘えば勝てる! 法大開講日の闘いはこのことを示した。被処分者の学生は、不退転で退学処分・停学処分撤回まで闘う決意を、自らの行動で示した。法大当局のさらなる弾圧策動を粉砕し、処分撤回をかちとろう!

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週刊『前進』(2264号3面1)(2006/10/02)

 教育労働者は国会前へ

 日教組本部の敵前逃亡を弾劾し職場から教基法改悪阻止決戦を

 革共同教育労働者委員会

 9月21日、03年「10・23都教委通達」の違憲・違法性を争った予防訴訟の判決で、原告の教育労働者の訴えを全面的に認める完全勝利がかちとられた。画期的勝利だ。この勝利をバネに、教育労働者は国会闘争に総決起しよう! 教基法改悪を「最重点課題とする」安倍政権の狙いは日教組の解体だ。民主党にすり寄り、教基法改悪と改憲推進を組合員に飲ませようとする日教組本部を現場の闘いで打倒し、闘う日教組を取り戻そう。全国から、波状的に国会決戦に駆けつけよう。

 日教組解体を狙う安倍政権との対決

 安倍政権が誕生し、いよいよ臨時国会闘争が始まろうとしている。安倍は、12月15月まで81日間の会期を確保し、教育基本法改悪案を何がなんでも成立させようとしている。中教審答申以来4年越しで闘われてきた教基法改悪をめぐる攻防は、ここに最大の正念場を迎えた。
 政府案は、愛国心・国防教育を教員の法的義務とする(2条5項、5条3項、6条2項)一方、現行法10条を解体し、教育施策の策定と実施を国家・行政権力の権限と明記している(5条3項、16条、17条)。教育は戦争教育、国民精神総動員教育に改変される。教員の教育権限は完全に否定され、平和教育など自主編成は違法行為とされる。戦争教育を拒否する教員は「不適格教員」「指導力不足教員」として免許更新制で首にされる。教員統制と聖職者教師づくりが進められる。
 そればかりではない。安倍は、首相に就任するや直属の諮問会議を設置し、通常国会への関連法案提出の準備にとりかかろうとしている。「国の監査官が学校運営や生徒指導を評価し、問題校は文科相が教職員入れ替えや民間移管を命ずる」学校評価制度、「テスト結果を公表し、成績が改善しない学校は教員の入れ替えを強制的に行う」全国学力調査、さらには教育バウチャー(利用券)制度、国立大学9月入学・奉仕活動義務づけの制度などを一気呵成(いっきかせい)に導入しようというのだ。
 教基法改悪は、何よりも日教組解体攻撃である。次期幹事長と目される自民党政調会長の中川秀直は、「安倍政権の最大の抵抗勢力は官公労」「日教組のあらゆる抵抗に対峙し、荒廃した教育の再生をはかる」と公言している。改憲突撃内閣=安倍の最重点政策は自治労、日教組の解体なのだ。
(写真 「『日の丸・君が代』処分を許さないぞ!」−被処分者に連帯して教育労働者と支援者がシュプレヒコール【9月15日 水道橋】)

 現場組合員の手に日教組を取り戻せ

 まさに日教組運動の存亡が問われている。ところが、9月14日の全国代表者会議で打ち出された日教組本部の教基法闘争の方針は、敵前逃亡としか言いようのない代物だ。全国集会の設定は、後の祭りとなる可能性が高い11月25日であり、10月の行動は、「教育改革シンポジウム」と「調査会設置要求」署名の提出行動だけだ。極めつけは、「審議の進捗(しんちょく)状況に応じ4日間程度の座りこみを計画する」というアリバイまるだしの言い草だ。「教育対話集会」も「できるだけ小さな規模の集会を数多く実施する」と、意図的に闘いを分散させようとしている。5月の国会闘争の高揚に動転し、自民党・文科省の恫喝にひれ伏してむきだしの制動に転じているのだ。
 それだけではない。今や本部は、日教組解体攻撃の激しさに震え上がり、日本経団連提言(05年1・18)の言う職能団体として延命する方向に踏み込み始めている。
 10月18日に開催される第147回中央委議案では、教基法改悪とセットの学校評価、学力テスト、教員免許更新制、指導要領改訂などの攻撃に「提言」「意見反映」で対応するとして反対・抵抗闘争を早々と放棄し、教研集会のあり方も見直すという。
 許しがたいのは、公務員・教員バッシングに完全に屈服し、「公教育に対する信頼性の確保からも職場における『同僚性』にたった相互の検証を喚起」するなどと言って、「指導力不足教員」「不適格教員」の摘発運動を推進しようとしていることだ。
 賃金方針では、「学校運営組織の見直しと新しい『職』の創設、新しい『級』を設けることにより、給与構造の見直しに伴う中高年齢層の昇給カーブ是正を実現する…賃金方針確立」と、「主幹」「総括教諭」「首席・指導教諭」などの中間管理職設置を推進する方針を公然と打ち出した。さらに、「勤務実績の給与への反映については拙速な導入に反対(=時間をかければ賛成)の立場で取り組む」と、新勤評による差別賃金も推進する方針だ。勤評闘争、主任制闘争の成果を最後的に投げ捨てるものだ。
 平和・民主主義では、「護憲運動」の文言は残しつつ「平和・人権・環境・共生」に加えて「安全」をキーワードに盛り込ませ、「中間報告その2」で打ち出した平和基本法制定方針を進めようとしている。国民投票法案も「規制措置が緩和された」などと美化し、「国民的議論が熟せば賛成」のスタンスである。
 「戦後民主主義と教育の危機状況の回避にむけて」と称しつつ、こうして一切の闘いを、来年の4月統一地方選挙と7月参院選へと流し込み、小沢・民主党支持に組合員を動員しようとしているのだ。
 ふざけるな! 小沢が発表した「基本理念・基本政策」は、市場原理の徹底と民営化攻撃、日米同盟強化と国連軍参加、「憲法には非常事態規定がない」とする改憲推進など、「安倍政治への対抗軸」どころか戦争と民営化攻撃を競うものだ。小沢は、安倍の向こうを張って「人づくりから国づくりへ」と、六つの公約のトップに教育改革を掲げ、「日本国教育基本法の制定」を打ち出している。安倍も小沢も教育労働者の不倶戴天(ふぐたいてん)の敵だ。
 組合員は、こんな転向路線を断じて認めない。臨時国会闘争の爆発で政府案も民主党案も廃案に追い込み、改憲翼賛体制に労働組合を組み込む連合路線に断を下そう。今こそ現場組合員の手に日教組を奪い返そう。
(写真 教育労働者の国会行動が教育基本法改悪をストップさせてきた【6月2日】)

 安倍打倒・改憲阻止の突破口を開こう

 教基法改悪阻止へ、渾身(こんしん)の力を振り絞って闘おう。今、労働者として闘わずして、どうして子どもたちへの責任が果たせるだろうか。数千数万の教育労働者が職場闘争を組織して国会に駆けつけることが世論も動かすのだ。
 1958年9月15日に行われた勤評闘争初の全国統一ストライキ直後の世論調査は、スト反対7割、勤評反対5割という数字を示した。弾圧を浴び、世論から袋だたきにされながらも闘いをやめない教育労働者の姿こそが、勤評問題を全労働者人民の課題に押し上げたのだ。
 教基法改悪阻止の成否は、国会闘争の爆発にかかっている。各県・支部で日教組本部の敵前逃亡を徹底弾劾し、上京方針をもぎりとろう。首都圏の教育労働者は、多忙化・管理強化をはね返し、職場から国会に駆けつけよう。
 9・26国会開会日を安倍打倒を宣言する闘いとしよう。「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の呼びかける10・7、17の国会前集会に駆けつけよう。全国の現場組合員の怒りを総結集し、10・18中央委員会で闘う方針を出させよう。
 職場生産点の戦争協力拒否闘争としての「日の丸・君が代」不起立闘争、現場組合員によるその全国闘争化は、都高教を先頭に闘う日教組再生の道を切り開きつつある。
 国鉄分割・民営化に匹敵する試練を迎えた今、教育労働運動が指針とすべきは、分割・民営化に2波のストライキで立ち向かい、第2の分割・民営化攻撃とも対決して唯一職場と組合員を守りぬいている動労千葉の闘いだ。
 教育労働者の自己解放性を信頼し、団結の力に徹底的に依拠して、原則的に闘うことこそ勝利の道なのだ。
 教基法改悪阻止の国会闘争は、安倍打倒・改憲粉砕の最前線であると同時に、連合・民主党路線を打ち破る4大産別決戦の一大突破口だ。日教組を現場組合員の手に奪い返し、自治労も突き動かし、職場生産点の闘いを土台とする改憲阻止決戦を切り開こう。
 すべての闘う教育労働者は、11・5全国労働者総決起集会(正午 日比谷野音)に総結集し、闘う労働組合の全国ネットワーク運動に合流しよう。

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週刊『前進』(2264号5面1)(2006/10/02)

 改憲阻止ゼネストの大方針

 国会闘争−法大決戦へ

 全学連大会 “安倍政権と全面対決”

全学連新執行部
委員長 織田陽介(東北大・理)
副委員長 内海佑一(法制大・U文)
同 中島敦史(広島大・総合科学)
書記長 原田幸一郎(京都大・法)

 全学連第66回定期全国大会が9月14〜16日、東京都内で開催された。法大決戦を始め、爆発的前進を開始した織田全学連の1年間の闘いを総括し、かつてない解放感とエネルギーにあふれた大会として大成功した。大会では、安倍新政権との対決の先頭に立ち、臨時国会闘争と法大決戦を両輪的に爆発させ、11・5全国労働者集会への学生1千人決起、300万全国学生ゼネストへと突き進む決戦方針を確立した。全国の学生は、ただちに秋の決戦に突入している。
(写真 解放感と熱気にあふれ大成功をかちとった全学連大会。最後にインターナショナルを斉唱し団結と決意をうち固めた【9月16日 東京】)
 「邪魔なものは全部ぶちこわして前進しよう!世界一の団結で、全学連が世界を変えよう!」
 大会3日目のまとめの提起(要旨4面)で織田陽介全学連委員長は、このように力強く檄を発した。革命的展望と勝利感にあふれたこの発言に、大会の歴史的成功がくっきりと示された。3日間をとおしてマイクを奪いあうように次々と発言が飛び出し、大会は熱気にあふれた。
 大会の意義は第一に、法大決戦の歴史的位置・路線的意義をあらゆる角度からはっきりさせたことだ。大会では、臨時国会決戦と法大決戦を両輪的に闘い、10・20法大1万人集会をかちとる大方針が決定された。
 停学処分を受けた法大生は、「停学1年、しかもキャンパスに入ったら退学という処分は、都教委の10・23通達と同じ。従わなかったらクビ、屈服しろという恫喝だ。絶対に許せない。自分は法大生が大好きなんだ。絶対に勝ちたい。勝つために断固としてキャンパスに入って闘う。動労千葉のように闘って展望を切りひらく」と訴え大きな共感と感動を呼んだ。退学処分を受けた法大生は、「全国の人がこの攻防を固唾をのんで見ている。だから絶対に勝たなければいけない。『フランスのような学生の反乱が日本でも始まった!』ということを告げ知らせる闘いが法大1万人集会と無期限ストだ。自分たちは一歩も引かず闘う。一歩引いたら瞬間に改憲であり、戦争になるということだ」と語った。こうした法大生の発言の中に必要な一切のことが詰まっている。東北大学の学生は、「法大決戦の勝利なしに学生運動の未来はない。徹底してこだわって勝ちに行こう」と熱く訴えた。1年生をはじめ多くの学生が法大現闘団への決起を宣言した。
 大会の意義は第二に、安倍政権と対決し、11・5集会1万人結集の先頭に学生が立つことで一致をかちとったことだ。
 情勢議案の提起で原田幸一郎副委員長は、「06年秋の決戦は安倍打倒の決戦」と宣言し、安倍の政権公約を全面批判した。そして、「安倍登場は恐るべき攻撃だが、暗黒時代の到来ではない。小泉政権5年間で破綻(はたん)を重ねたあげくに安倍が登場した。安倍は登場の瞬間から破産している。最大の破綻は4大産別の労働運動、とりわけ動労千葉をつぶせないまま改憲攻撃に入ったことだ」と述べた。そして米帝危機、日帝危機の深さを全面的に明らかにすることをとおして「安倍を引きずり出したことはプロレタリアートにとって決定的なチャンスだ」と喝破した。
 中島敦史副委員長は、CPE(初期雇用契約)を粉砕したフランスの青年・学生300万人の闘いなど新時代に突入した06年前半を振り返り、@10・20法大1万人集会、A臨時国会決戦への総決起、B11・5労働者集会への学生1千人決起の3つの方針の決定的意義を明らかにした。全員が、安倍打倒の展望を握りしめた。

 学生運動の爆発に確信

 大会の意義は第三に、法大決戦の総括と、日帝・文科省―大学当局の学生支配の許しがたい現実を明らかにすることで、全国学生ゼネストの展望、不可避性をはっきりさせたことだ。
(写真 全国学生の総力で法大決戦に勝利するぞ! 壇上に並んで決意表明する法大現闘団【9月16日】)
 織田委員長は議案提起の中で、学生を人間扱いしない法大の現実、6・15法大1千人集会に至る経過を詳細にたどり、「学生をモノとしか扱わない態度が『学生証チェック』に最も鋭く表れた。言うことを聞かない学生は逮捕・退学、そのためには警察との癒着もいとわない。1千人の学生が決起したのはあまりに当然だ」と述べた。
 首都大学東京理事長・高橋宏は、「大学の役割は民間の会社と同じだ。原材料(学生)を仕入れ、加工して製品に仕上げ、卒業証書という保証書をつけて企業へ出す」などと言っている。山折哲雄(国際日本文化研究センター所長)は、教育改革国民会議で「人間は放ったらかしにすると野性化、野獣化する。『飼い慣らし』というのが学校や軍隊の本来の役割」などと言っている。その先頭に立っているのが法大総長・平林なのだ。
 多くの学生が、「自分の大学でも活動への妨害が始まっている」「ビラも撒かせない、自治会もない」「暖房の灯油代まで自己負担させる」など学生支配に怒りをたたきつけた。そして「すべての者に規範意識を身につけさせる」「大学入学を9月にして奉仕活動を義務づけさせる」と言う安倍を弾劾した。
 内海佑一副委員長は、「6・15の1千人決起、ここに学生の中にいかに凄まじい怒りが渦巻いているかが示されている。安倍政権は、教基法を改悪して全国で同じ攻撃をやろうとしている。全国の大学でも法大と同じような闘いが爆発する。300万全国学生ゼネストはまったく可能だ」と確信に満ちて提起した。
 大会では、三里塚芝山連合空港反対同盟の北原鉱治事務局長、北富士忍草母の会の天野美恵事務局長、マルクス主義青年労働者同盟の代表からそれぞれ連帯アピールが行われた。どれも全学連への熱い期待にあふれ、感動的なものだった。
 また、大会中に3本の講演が行われた。鈴木達夫弁護士は「今の改憲攻撃はクーデターだ」と分析し、「学生運動は日本民衆の良心の灯台、階級本隊の決起への導火線だ」と改憲攻撃をうちやぶる学生の闘いに期待を寄せた。動労千葉・田中康宏委員長は「学生に心から期待している。革命の権利は青年が握っている。1万人決起の先頭に青年と学生が立って欲しい」と呼びかけた。革命的共産主義者同盟の木崎冴子同志が「革命的激動期に学生はどう学び生きるのか」と題して講演を行った。(要旨別掲)
 大会3日目に新たな執行体制を確立し、大会を大成功のうちに終え、全参加者がただちに秋の闘いに突入した。

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週刊『前進』(2264号5面3)(2006/10/02)

 名護新基地 沿岸案着工を実力阻止

 「文化財調査」中止させる

 名護市辺野古で9月14、15日、新沿岸案への実質的な着工である「文化財調査」を、反対派住民と支援が実力行動で中止に追い込んだ。現地から、臨場感あふれる報告が寄せられた。(編集局)
  ◇    ◇
 15日朝8時から名護市辺野古のキャンプシュワブ第1ゲート、第2ゲート前には反対派住民と支援約40人が集まり、ゲート前を走る車両に目を光らせていた。9時過ぎになると、作業服を着た防衛施設局の職員を乗せ、ワゴン車が何度もゲートを通過しようと試みる。しかし、そのたびにゲート前に並んだ反対派住民と支援に入場を阻止され悔しそうに立ち去る。これが何度も繰り返された。おばぁたちも、炎天下にもかかわらず、椅子に座って闘いを固唾をのんで見守っている。阻止するたびに勝利感と一致団結が深まっていく。
 名護警察署の辺野古担当の公安刑事は、「道路交通法違反だ」「道路上に立ちふさがったら今日は逮捕する」とどなり続けている。そして現場の反対派責任者にまとわりつきながら「公妨(公務執行妨害罪)でパクることもできるんだぞ。あんたはもうリストに入っている」などと脅かして、なんとか阻止行動を中止させようと必死だ。
 だが、誰一人「基地封鎖」行動にひるむ者はいない。とうとう、いらだった施設局の車両がゲートに突入を試みた。再びピケを張り、そのまま車両前に40人が座り込む。やがて、調査の主体である名護市教育委員会が到着した。ただちにヘリ基地反対協の代表が話し合いを行った。教育委員会は「混乱を避けるために今日は調査を行わない」と確約した。座り込みを続けながら交渉を見守っていた参加者から安どの声があがった。
 しかしその時、名護署から指揮官車と機動隊を満載したバスが到着し事態は一変した。示し合わせていたかのように、施設局が「ピケ排除」を名護署に要請するや、機動隊が座り込んだ人びとに襲いかかり、ゴボウ抜きを強行したのだ。
 怒号と悲鳴があがる。「市は調査をやらないと言っているのに、何をするんだ!」「施設局と警察は、わざわざもめ事をおこそうというのか!」と次々と怒りの声があがり、負けじと固くスクラムを組む。施設局の車両の下に滑り込み、車両の移動を阻止しようとした参加者もいたが機動隊に引きずり出されてしまった。結局機動隊に守られた施設局の車両は、猛スピードで逃げるようにゲートの中に入った。
 今回、逮捕者こそ無かったとはいえ、排除の際に機動隊は、抗議する参加者に柔道技をかけるなどの乱暴狼藉(ろうぜき)の限りをふるった。それをつぶさに見ていた地域の住民は、「警察は住民を守らないで基地を守っているんだねぇ。もう信用できないよ」と怒りを爆発させた。
 今回焦点になっている「遺跡調査」は、完全に防衛施設局の主導のもとで行われている。しかも米軍基地内であることを理由に「非公開」にされている。これでは、きちんとした学術調査も期待できないし、新沿岸案着工にむけたアリバイ作りそのものではないか。実力で止めるのは、あまりに当然の行為だ。防衛施設局は、沖縄の統一地方選挙の真っ最中の9月8日に「米軍キャンプシュワブ内の兵舎移転に伴う現況調査の開始」を宣言した。14日からは市教委を引き込み、「遺跡調査」を突破口に「年内現況調査完了、年明けから具体的な兵舎移転工事着手」というプランを貫徹しようとしているのだ。
 2日間にわたって調査を実力阻止したとはいえ、今回の機動隊導入・排除は、「反対するなら逮捕する。抗議してもムダだ。屈服しろ」という日帝・小泉政権の沖縄差別に満ちた権力意志の発動である。しかし、こんな弾圧への脅しにひるむほど辺野古闘争はヤワではない。2年間にもわたるボーリング調査阻止闘争で、辺野古闘争陣形はおおいに鍛えられ強くなっている。返り討ちにあうのは日帝=防衛施設局のほうだ。改憲阻止の大闘争と一体で、沖縄・辺野古闘争を闘おう。米軍再編を阻止しよう!
(写真 辺野古闘争で初めての機動隊導入は地元紙でも大きく報じられ政府・防衛施設庁への怒りが高まっている【9月15日付琉球新報夕刊】)

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