ZENSHIN 2006/12/18(No2275 p06)

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週刊『前進』(2275号1面1)(2006/12/18)

 教基法改悪案の参院採決絶対阻止!

 12・14〜15 全国結集で国会包囲を

 国境越えた労働者の連帯が未来開く

 労働運動の闘う新潮流先頭に日帝・安倍打倒へ攻め上ろう

労働者の団結の力が採決強行を止めている
連日1千人を超える労働者が全国から続々と結集し、怒りの声を上げた(12月8日 国会前)

 動労千葉の田中委員長は、反戦共同行動委員会の12・1緊急行動の基調提起で「国鉄分割・民営化を忘れるな」と訴えた。20年前の分割・民営化は、日帝・中曽根が「戦後政治の総決算」の名のもとに国労と総評を解体し、改憲・戦争国家体制を構築しようとする大攻撃だった。今日、参院で最大の攻防局面にある教育基本法改悪の攻撃は、それをも超える日帝・安倍の労組破壊の階級決戦攻撃としてある。安倍は教基法改悪で日教組を壊滅し、愛国心教育=戦争教育を強制して、戦争と改憲へと国家の舵(かじ)を切ろうとしている。だが今や安倍政権は危機だ。打倒できる。12月14―15日、闘う新潮流を先頭に、全国から労働者階級人民は国会前に総結集しよう。教基法改悪案採決阻止・安倍政権打倒へ攻め上ろう。

 “森越日教組委員長解任を”

 日帝・安倍政権と自民・公明の与党による参院での教基法改悪案の12月7日、8日強行採決の策動は、国会闘争で断固として押し返された。
 4日の地方公聴会に続き、6日には静岡、甲府で公聴会が開かれ、残る中央公聴会開催問題や安倍の東アジアサミット訪問スケジュールをはさんで、15日の会期末ぎりぎりの大攻防となった。政府・与党は1週間程度の会期延長をも策動している。だが労働者階級が総決起すれば勝てる情勢が切り開かれている。
 日教組傘下の教育労働者を軸に、国会前には連日、怒りと危機感に燃えた労働者階級人民、在日朝鮮人民が、数百、数千の規模で駆けつけ、リレーハンストと座り込みを中心に闘っている。全国でも札幌の1万人、福岡の7千人を始め、衆院段階の決起を上回る闘いが起きている。教基法改悪と日教組壊滅攻撃に対する教育労働者の怒りはすさまじい。
 ところが日教組本部と森越康雄委員長は、この組合員たちの怒りと危機感を踏みにじり、完全に裏切っている。日帝・安倍が愛国心教育=戦争教育の国家的強制と日教組壊滅に全力をあげているのに、時間内職場集会やストライキはおろか、全力での国会動員や座り込み闘争も、まったく提起していない。戦後4度目の「非常事態宣言」も完全なアリバイだ。
 とりわけ許し難いことに森越は、11月25日のテレビ朝日「朝まで生テレビ」に出演し、決戦のまっ最中に屈服と闘争放棄の恥ずべき姿をさらした。「つくる会」元会長で「日本教育再生機構」理事長の極右ファシスト・八木秀次らが、教育労働者の国会前での座り込みを非難し、「みっともない話」「教室に戻ってもらいたい」などと責め立てたことに対し、森越はなんと「すみません、先週で(座り込みは)やめました」と謝罪したのだ。さらに「でも今も毎日やっている」と畳み掛けられ、「あれはうちの人たちではないんです」と弁明したのだ。
 極右やファシストどもへのこのぶざまな屈服と土下座。こんなことがいったい許せるか。こんな人物に日教組の指導と組合員の運命を任せられるか。断じて否だ。
 直ちに辞任・解任を要求し、新たな闘う執行部を選出し、教基法決戦を闘う体制をつくる必要がある。職場から、分会・支部・単組から、森越発言弾劾、辞任・解任要求をあげ、日教組本部に突きつけよう。国会前でも、集会やハンストや座り込みの中でも、森越発言弾劾、森越辞任・解任の要求を吹き上げていこう。それが教育労働者の団結を発展させ、決戦勝利を切り開くのだ。

 “国鉄分割・民営化忘れるな”

 敵の側は、日帝ブルジョアジーと国家による全面的な教育支配、日教組解体、愛国心教育=戦争教育の強制のために、教基法改悪に全力をあげてきている。これに対して日教組中央本部・森越体制では、まったく闘えない。日教組・森越体制打倒、闘う日教組の再生をかちとることこそが、この決戦に勝利する道だ。
 元首相の森喜朗は「日教組、自治労を壊滅できるかどうかということが次の参院選の争点だろうね」と公言している。森は日教組・自治労壊滅を掲げて国政選挙をやると言っている。これは日教組を始め4大産別の労働組合を絶滅しなければならないと言っているのだ。教基法決戦はこれと対決する歴史的な階級決戦なのである。
 「国鉄分割・民営化を忘れるな」。分割・民営化は国労を解体し、総評を解体する攻撃だった。動労のカクマル・松崎は闘う前に中曽根の攻撃の先兵となり、労働者の犠牲の上にファシストとして延命し、国労・民同は分割・民営化にイデオロギー的にも路線的にも闘えず、24万人の大労組が4万人に切り崩された。唯一、動労千葉が階級的・路線的に分割・民営化と対決し、2波のストライキを打ちぬいた。そして今も、反合・運転保安を軸に階級的労働運動を発展させ闘っている。
 国労が分割・民営化と闘えなかったのは、総評の民同労働運動だからだ。資本主義の存続を前提とした体制内の労働運動だからだ。マルクスが『賃金・価格・利潤』の決議案で結論づけているように、労働組合が「労働者階級の究極的解放」「賃金制度の最終的廃止」のために闘う階級的労働運動であってこそ、資本主義・帝国主義が体制延命をかけて繰り出してくる攻撃と闘える。労働者の生活も賃金も階級的利益も守れるのだ。
 民営化とはイギリスのサッチャーが公言したように、労組を破壊し社会主義を一掃する攻撃だ。これと闘うには、資本主義・帝国主義を打倒する質をもった階級的労働運動でなければ、勝利できない。教基法改悪との闘いは、まさに国鉄分割・民営化粉砕と同じ質をもった決戦なのだ。
 日教組本部が教基法改悪攻撃にかくも無残に屈服し、30万組合員を裏切っているのは、その本質が総評以来の民同労働運動、体制内の改良運動であり、階級的労働運動ではないからだ。だから帝国主義の「最弱の環」として体制破産の危機にあえぐ日帝・安倍が、戦争と改憲と民営化(労組破壊)をやらなければ「国が滅ぶ」と叫んでかけてきている攻撃に、対決できないのだ。森越弾劾・日教組本部打倒、日教組再生は教基法決戦勝利の死活的課題である。

 ブッシュ・安倍の絶望的危機

 日本で最も戦闘的な3労組である動労千葉、関西地区生コン支部、港合同が教基法決戦のただ中で呼びかけ開催された11・5労働者集会は、どういう闘いだったのか。
 11・5にこそ、総評・民同労働運動の屈服と破産を突き破り、連合・全労連をのりこえる階級的労働運動の結集がある。ランク&ファイル運動の真の実践、闘う新潮流の全国ネットワークの基礎がある。日米韓の労働者国際連帯がある。つまりそこには労働者自己解放、プロレタリア世界革命の未来がある。
 このことに圧倒的な確信を持ってさらなる挑戦を開始することこそ、教基法決戦に勝利し、教労と国鉄を先頭に4大産別決戦・改憲阻止決戦を大爆発させていく道だ。
 イラク情勢を基底に帝国主義の危機が爆発している。ブッシュの米帝の没落、世界支配の崩壊が深まっている。中国、ロシアをも巻き込んで帝国主義間争闘戦が激化し、北朝鮮への米日帝の侵略戦争策動を最先端として、世界戦争への過程が激しく進行している。
 こうした中で日帝は帝国主義の「最弱の環」だ。その危機の突破をめぐって支配階級が分裂し、安倍政権は求心力が低下し、内閣支持率は軒並み10〜16ポイントも急落した。安倍を打倒して教基法決戦―参院決戦に勝利する展望は大いにある。
 一切の結論は、日教組30万組合員の職場からの総決起を先頭に、全国・全産別の労働者と青年・学生が、渾身(こんしん)の力を発揮して国会決戦に立つことだ。12・14―15が最大の勝負となった。階級的労働運動の新潮流こそが、教基法改悪案採決阻止・安倍打倒の先頭で決起しよう。
 この闘いのただ中で、11・29法政大弾圧を粉砕し、不当逮捕の3学生を奪還しよう。学生運動の躍進を切り開こう。同時にマル青労同の強大な建設に全力をあげよう。 
 さらに最後に、日本革命勝利への死活をかけて、年末一時金カンパ闘争と機関紙拡大(党建設)に総決起することを訴えます。

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週刊『前進』(2275号1面2)(2006/12/18)

 国会前は怒りの渦

 ハンスト 闘いの拠点に

 「森越はクビだ!」。8日夜には日教組緊急中央集会が日比谷野外音楽堂で開かれ、全国から1万2000人の教育労働者が結集し、森越への怒りの声があふれた。会場には「森越はクビだ!」「闘うわれわれが日教組だ!」の横断幕が掲げられ、森越委員長発言はヤジと怒号に包まれた。集会後参加者は国会デモに立ち、国会前で座り込みを続けるハンスト者と熱いエールを交換した。
 8日昼、国会前は怒りの座り込みで埋め尽くされた。反戦共同行動委の集会では、動労千葉の後藤俊哉特別執行委員が、連帯労組関西地区生コン支部・港合同・動労千葉の3労組呼びかけによる11・5集会実行委員会主催の12・14国会闘争への結集を呼びかけ、「ここまで採決を止めているのは労働者の団結の力だ。14日は今日を倍する結集を」と檄(げき)を飛ばした。また、東京の被処分者を始めとした12・8年休闘争委員会の教育労働者が一斉に年休をとり、議員面会所集会と安倍首相への申し入れを取り組んだ。
 参院での闘いが最大の山場を迎える中、国会前は日を追うごとに熱気を帯び、ハンスト者を中心とした闘いの輪が広がっている。日教組本部の屈服・無方針と、森越委員長の全面屈服発言に現場の怒りが渦巻いた。
 北海道教組は、7日からは350人の大動員で朝から座り込んでいる。東京教組や都高教、千葉高教組なども独自の座り込み方針を出した。こうした中、8日にも採決を狙っていた安倍政権の策動は押し返されている。
 5日は、午後6時からの「教育基本法改悪をとめよう全国連絡会」主催の集会に教育労働者を先頭に2000人が集まった。6日の「ヒューマンチェーン(人間の鎖)」には3500人が参加し、国会は労働者の怒りによって包囲された。
 何よりも東京の被処分者が軸となったハンスト団が、闘いの拠点となっている。自民党議員や八木秀次など右翼による座り込み行動への誹謗(ひぼう)中傷が相次いでいるが、それは逆に怒りの火に油を注いでいる。
 7日に神奈川から駆けつけた県立高校の教育労働者は、「私の分会で『教育基本法改悪反対運動強化と、日教組・森越委員長の辞任を求める分会決議』をあげた。私たち現場労働者こそが日教組。分会決議を全国に広げて、弾劾行動に立とう」と力強く訴えた。動労千葉の滝口誠特別執行委員は「教育基本法改悪との闘いは職場での団結を打ち固めて闘うことが核心。来年3月の不起立の闘いは重大な決戦となった。森越のような委員長をいただいていたら負けてしまう。怒りを全国に拡大して、委員長を引きずり降ろそう」と確信をもって訴えた。
 いよいよ14−15日が決戦中の決戦だ。年休をとり、仲間を組織して全国から国会前に押し寄せよう。教基法改悪案の参院採決を絶対阻止しよう!
(写真 「森越はクビだ!」。日教組集会は森越委員長を弾劾する場に【12月8日 日比谷野外音楽堂】)

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週刊『前進』(2275号2面5)(2006/12/18)

 総合労働協約の締結を策し裏切りを深める国労東日本本部

 JRと対決し国鉄闘争勝利へ

 国鉄闘争は今や重大な決戦局面を迎えている。国労東日本本部−国労本部は、出向協定締結と包括和解調印でJR資本に最終的に屈服した。それは、国労を自ら解体に追い込む国鉄闘争史上最悪の裏切りだ。さらに国労東日本本部はJR東日本との「総合労働協約」締結を策している。彼らの裏切りは歯止めを失った。国労本部を打倒し、国労を階級的に再生させることは急務である。「政治解決」の名による1047名闘争解体の策動を許さず、解雇撤回闘争とJR本体の闘いを結びつけ、1047名闘争に勝利しよう。JR資本との対決を貫く動労千葉とともに国鉄闘争勝利の突破口を押し開こう。
 安倍政権による4大産別(教労、国鉄、全逓、自治体)労組への絶滅攻撃は、再び国鉄闘争を階級闘争の一大火点に押し上げている。
 今や安倍政権は北朝鮮侵略戦争への突入をもくろんでいる。教育基本法改悪を突破口に改憲への道を押し開き、本格的な戦争国家への改造に突き進もうと策している。他方で、労働法制改悪をテコに一層の「格差社会」に労働者をたたき込み、搾取と収奪を極限まで強めようとしているのだ。
 この攻撃は、労働組合を解体しなければ貫けない。その矢面に立たされているのが4大産別の労働組合だ。元首相の森は「日教組・自治労壊滅が次の参院選の争点」と言い放ち、文科相の伊吹は教基法改悪の最大の狙いが日教組解体にあることを隠そうともしない。自民党政調会長の中川は「デモで騒音をまき散らす教員は免許はく奪」と叫び立てた。敵の攻撃の照準は、4大産別労組の絶滅に当てられている。これへの死活をかけた反撃が必要なのだ。
 かつて、国鉄分割・民営化を前に当時の首相・中曽根は「(国鉄改革を始めとする)行政改革でお座敷をきれいにして立派な憲法を安置する」と豪語した。それ以来の支配階級の改憲の野望を、根底で阻止してきたのが1047名の解雇撤回闘争だ。
 だからこそ、教基法改悪と並んで、国鉄1047名闘争解体の攻撃が再び激化し始めたのだ。これとの攻防は、「第2次国鉄決戦」と言うべき一大決戦である。

 総合労働協約は「労使共同宣言」

 今や国労本部−国労東日本本部はJR資本の先兵へと完全に転落した。国労本部は、「不採用問題の政治解決」の名で1047名闘争の内部からの解体を策し、JR本体の闘いを自ら圧殺しようとたくらんでいる。
 JR東日本は、駅業務の一括委託による1000人の大合理化と、40歳以下の運転士の駅への強制異動計画を打ち出した。これに屈した国労東日本本部は、10月11日、出向協定を締結し、続く11月6日には出向・配転事件や国労バッジ事件など61事件で包括和解に調印した。それは、JR資本への最終的な屈服を誓う、断じて許しがたい裏切りだ。
 包括和解の調印に際し、国労東日本本部の伊藤秀樹委員長は、JR東日本の取締役らを前に「今後は、健全で良好な労使関係の確立に向け、2本のレールのように労使双方が真正面に向かい合い、時には対立し、時には交わることの繰り返しによって労使双方の信頼を築き上げることで、未来を志向した健全で良好な労使関係が確立される」と述べて頭を垂れた。こんな言いぐさは、JR総連=カクマル・松崎の「労使はニアリーイコール」論といったいどこが違うのか。
 さらに国労東日本本部は、JR東日本との「総合労働協約」締結をも策している。JRにおいて「総合労働協約」とは、会社の就業規則をそのまま労働協約にするということだ。こんなものは「労使共同宣言」にほかならない。
 もともと労働協約は、労働組合の団結と闘いを基礎にして、就業規則を上回る労働条件を資本に強いるために結ばれるものだ。ところが就業規則をそのまま労働協約化したら、労働組合は資本が一方的に定める労働条件に文句も言わず従うほかになくなる。それは、職場における一切の抵抗を根絶やしにし、資本に全面的な職場支配権を譲り渡すだけでなく、組合幹部が組合員に「合理化・出向に従え」と強制するものになるのである。

 1047名闘争の解体策す本部

 JR本体の闘いは、1047名闘争の絶対的な土台をなしている。それを根こそぎ解体しようと策する国労東日本本部−国労本部が、1047名闘争への敵対者であることも明白だ。
 国労本部は12月5日、鉄道運輸機構を相手にJR不採用問題で損害賠償請求訴訟を起こした。そこでは、地位確認(解雇撤回)の請求があらかじめ投げ捨てられている。
 訴訟提起に当たり記者会見した国労本部役員は、「政治的解決の状況が生まれれば取り下げも視野に入れる」とあけすけに語っている。始めから「取り下げ」を前提にして起こされる裁判とは何なのか。国労本部にとってこの裁判は、鉄建公団訴訟を妨害し、闘争団全体を敗北必至の「政治解決」の泥沼に引き入れるための道具としてのみ位置づけられているということだ。

 動労千葉と共に勝利切り開こう

 だが、階級的原則に立って決然と闘えば勝てる情勢は訪れている。安倍政権の凶悪な攻撃に対し、教育労働者を始め数千の労働者が連日、国会を取り巻き不屈に闘いを貫いている。労働時間規制撤廃を始めとする労働法制改悪に対する労働者の怒りも激しく噴出し始めた。これらの闘いと結びついてこそ、国鉄闘争の勝利もある。
 JR体制もまた、事故を続発させ、限度を超えた要員削減による矛盾にぶちあたり、カクマル支配が崩壊の危機にさらされる中で全面破産を露呈し始めた。何より、「ライフサイクルの深度化」攻撃が、平成採の青年労働者の資本=カクマル結託体制への反乱を促すことは明らかだ。
 こうした敵の矛盾を突き、反合・運転保安闘争の路線を基軸にJR資本と真正面から対決しているのが動労千葉だ。職場からの闘いを基礎にストライキを貫き、1047名の解雇撤回の原則を死守する動労千葉の闘いこそ、国鉄闘争勝利の展望を指し示している。
 動労千葉が全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部や全国金属機械港合同とともに呼びかけた11・5労働者集会は、労働者階級の圧倒的な高揚を生み出し、階級的労働運動再生に向けての号砲を打ち鳴らした。それはまた、戦争と民営化に立ち向かう日米韓労働者階級の国際連帯を一層発展させたのだ。
 国労5・27臨大闘争弾圧粉砕の闘いも、国労再生への血路を粘り強くこじ開けつつある。現場組合員を踏みにじる国労本部を打倒しよう。
 勝てる闘いをあきらめや沈黙で自ら敗北に追いやってはならない。新たな戦闘宣言を発し国鉄闘争勝利へ不屈に闘おう。

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週刊『前進』(2275号3面3)(2006/12/18)

焦点

 防衛庁の「省」昇格法案反対!

 侵略派兵と「軍部」の台頭

 防衛庁の「省」昇格関連法案が11月30日、衆院安全保障委員会で自民・民主・公明などの賛成で可決され、同日衆院本会議を通過した。衆院安保委での審議時間は、わずか14時間余りだ。12月6日には参院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、参院外交防衛委員会での審議に入っている。安倍政権は同法案を11日からの週にも参院本会議で可決・成立させようとしている。
 これは単に“看板のつけかえ”どころの話ではない。“戦後的あり方”からの原理的転換、戦争国家に向かう全面攻撃の始まりだ。極右・国家主義の安倍政権のもと、ついに日帝・軍部が表舞台に登場しようとしている。
 同法案は、防衛庁を「省」に格上げする防衛庁設置法改悪案、海外派兵を自衛隊の「本来任務」と規定する自衛隊法改悪案がセットになっている。法案が成立すれば防衛庁が「防衛省」に、防衛庁長官は「防衛大臣」になり、主務大臣として予算要求し、法案を閣議に直接かける権限を持つことになる。政府は同法案を今国会で成立させ、来年1月から防衛省を発足させようとしている。
 海外派兵の本来任務化は、海外派兵「恒久法」の制定と侵略戦争に直結している。
 安倍政権は、軍事・外交政策の当面する優先課題として、日本版NSC(国家安全保障会議)の創設、海外派兵「恒久法」制定、集団的自衛権の解禁を据えている。「恒久法」については、すでに自民党防衛政策検討小委員会(石破茂委員長)で、来年の通常国会への法案提出を狙って検討が進められている。安倍は、自衛隊と米軍の融合・一体化、沖縄・神奈川―日本全土の基地化を進め、集団的自衛権を解除し、改憲に先がけてどんどん実際の戦争に踏み込もうとしている。
 独自の予算要求権確保の問題も小さくない。国内兵器メーカーの幹部は、「省になると立場が上がり、予算獲得力は確実に上がる。大いに歓迎」と言っている。軍需産業の肥大化、武器輸出の全面解禁へ向かう動きが一層加速する。また、これまで「専守防衛」といによって抑制されてきた空母や長距離爆撃機など、装備や軍隊の規模、部隊編成の側面からも侵略軍隊化が狙われている。
 こうした中で許しがたいのは民主党だ。民主党は法案に賛成するばかりか、「本来任務化に伴う人員、装備の充実が求められている」(前田雄吉、11月28日衆院安全保障委員会)、「集団的自衛権をめぐる解釈見直しはぜひやるべき」「日本が西太平洋でアメリカ軍と一緒に活動していくことも展望し、アメリカ向けミサイルへの迎撃体制を整備していく議論を」(長島昭久、同30日)などと、侵略軍隊化と集団的自衛権解禁をめぐって、久間防衛庁長官や安倍を右から突き上げているのだ。
 「防衛省」法案は、改憲や教育基本法改悪・共謀罪新設、労働組合絶滅の攻撃と表裏をなしており、安倍政権が本気で北朝鮮侵略戦争をやろうとしていることを鋭く示している。教基法改悪阻止の闘いと結合し、絶対に成立を阻もう。

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週刊『前進』(2275号4面1)(2006/12/18)

 共謀罪を永久に葬り去ろう

 労働者の団結の破壊が狙い

 労働運動再生を恐れる安倍

 教育基本法改悪阻止、共謀罪廃案の闘いは国会最終盤、ぎりぎりの攻防局面に突入した。共謀罪闘争は教基法闘争とジョイント(結合)して労働者階級の闘いの正面課題に押し上げられてきた。10度目の国会に継続された共謀罪法案の審議入りは、政府・与党が教基法改悪案審議のストップを恐れたため、3週間にわたる衆院法務委員会の空転によって阻止されている。教育基本法改悪阻止・共謀罪廃案の大運動をさらに強化し、「現代の治安維持法」=共謀罪を永久に廃案にしよう! この闘いに勝ち、安倍政権を打倒し、改憲を阻止しよう。
(写真 審議入り阻止へ終日の国会行動を闘い、この日の衆院法務委員会は流会に【12月5日 国会前】)

団結・スト禁止法が起源

 共謀罪新設の狙いは、労働者の団結、労働組合運動の絶滅にある。
 このことを共謀罪の起源から見てみよう。1783年、イギリスの裁判所は、労働者の賃金要求に対して「どれだけ対価を受けて働くかは各人の自由であるが、特定の賃金以下で働かないこと(ストライキ)を申し合わせる(話し合う)のは共同謀議である」と有罪判決を下した。賃上げという具体的要求は正当なものとして認めるが、労働者が団結して要求する行為は認めない、としたのだ。労働者が複数で互いに団結して工場主や資本家に立ち向かっていたこと、その団結の力を資本と国家が何よりも恐れたことを示している。
  イギリスでは1799年、1800年に労働者に対する団結禁止法が制定された。フランス革命の影響で急進化するイギリス労働運動に対して労働者の団結やストライキを違法とした。この団結禁止法に法理を与えたのが共謀罪(コンスピラシー)だった。
 しかし、労働者の闘いは1824年にその団結禁止法を撤廃させる。 「1818年には、スコットランドの炭鉱労働者の組合は、ゼネラル・ストライキを遂行できるほど強力であった。……1824年に自由な結社の権利を得たときには、これらの組合はたちまちのうちに全イギリスに広がり、強力となった。……これらの組合の目的は……賃金を確定すること、集団をつくり、力として雇い主と交渉すること……賃金を上げること、一つの職業における賃金は、すべてどこでも同じ高さに保つことなどであった」(エンゲルス『イギリスにおける労働者階級の状態』)
  イギリスの労働者階級が当時「共謀」と呼ばれ罪とされた団結(権)を飢餓と貧困、奴隷状態の中でいかにかちとったかは、今日、職場闘争を基礎にして労働者の団結をよみがえらせようとする私たちの闘いにとって教訓的だ。
 昔から資本家階級の言う「共謀」と労働者の団結はイコールだ。
 日本においても、労働者、労働組合は治安維持法や破壊活動防止法の制定に反対して先頭で闘った。治安維持法は、明治憲法下でさえ一度は廃案になり、名前を変えて登場した。破防法は、国会への法案提出までに23回名前を変えざるを得ず、閣議決定されるや否や労闘スト(炭労など民間の労働組合を中心に3波のスト、のべ270万人が参加)に迎え撃たれた。
 共謀罪を組織犯罪対策法の一部改悪という形でこっそり持ち込み、619もの罪種に適用するやり方は、敵の弱さの現れであるが、労働者の団結権を侵害し、労働組合を圧殺、思想・信条の自由を破壊する断じて許し難い攻撃だ。 

 労働組合に適用される

 国家権力・資本と闘ってきた連帯労組関西地区生コン支部、港合同、動労千葉、全金本山などの労働組合、宗教者、刑法学者、弁護士は、この共謀罪の本質と凶暴性を見抜き、共謀罪反対運動の先頭に立ってきた。
 現在、憲法破壊そのものである教育基本法改悪は、その第10条の解体を核心に日教組絶滅攻撃として仕掛けられている。同様に共謀罪新設も労働者の団結権の侵害として仕掛けられている。
 1980年に「戦後政治の総決算」を掲げて登場した中曽根政権は、戦争国家化・改憲の突破口として国鉄分割・民営化、国鉄労働運動壊滅の攻撃に打って出た。これは、日本の労働者階級への重大な団結権侵害の攻撃そのものだった。
 動労千葉は唯一ストライキに決起し、団結して組合を守り抜いた。そして今日、その団結した力で団結権を死守し、階級的労働運動を守り抜いている。それは、1047名闘争を牽引(けんいん)し、今や韓国の民主労総やアメリカのILWU(国際港湾倉庫労組)などとの国境を越えた団結をつくり出し、国際階級闘争を牽引している。
 また国鉄分割・民営化攻撃の過程で(80〜83年)関生支部にも刑事弾圧が吹き荒れた。▼争議解決の際の解決金取得を「恐喝」▼社長の退陣を要求したら「強要」▼現役右翼が社長になったことを暴露宣伝活動したら「名誉棄損」――とされるなど、当たり前の労働組合活動に弾圧が襲いかかった。関生支部は、これらの弾圧を組合員の団結とその強化で打ち破ってきた。
 現在、国家権力は、戦闘的労働運動の破壊と団結権の破壊を狙って、これまで事件化できなかった資本との攻防、組合内部の攻防に次々と介入し、刑事事件化している。それが国労5・27臨大闘争弾圧であり、4度にわたる関生支部弾圧(11月17日、武建一委員長を保釈・奪還)、港合同弾圧、部落解放同盟全国連寝屋川支部弾圧である。
 共謀罪法案には目的規定がまったくない。ここに治安維持法以上の恐ろしさがある。いくらでも拡大適用される。「目配せ」でも共謀罪が成り立つという。労働運動弾圧に使われている恐喝、強要、名誉棄損、威力業務妨害などはそのまま、組合の会議や闘争委員会で話しただけで共謀罪となって襲いかかる。
 政府答弁は「正当な目的を掲げて活動している政党・労働組合・市民団体には(共謀罪は)適用しない」と言うが、「正当」かどうかを判断するのは警察だ。労働組合運動には刑事罰を科さないとして団結権を保障する憲法体系を破壊して、警察がいっそう労働組合弾圧の前面に出てくるということだ。
 共謀罪法案は「話し合う」段階で処罰するものであるから、密告者(スパイ)を作り出すことを明記している。共謀罪新設で警察の捜査手法が全面的に変貌(へんぼう)し、盗聴や監視が強化され、デッチあげが横行するのは、火を見るより明らかだ。戦前の特高警察の復活に道を開くものだ。資本家と警察は、のどから手が出るほど究極の弾圧法規を欲しているのだ。
 また共謀罪新設は、労働法制の改悪、労働組合をなきものとする労働契約法制定の攻撃とも一体だ。共謀罪は、労働者の団結、労働組合を絶滅し、そのことをもって思想・表現の自由を破壊し、社会全体を暗黒に引きずり込むものだ。
 共謀罪反対運動に決起し、国会闘争に立ち上がっている人びとは、原則的に国家権力・資本と闘ってきた労働組合に信頼を置き始めている。確信を持って闘おう。

 うそが暴かれ政府窮地

 安倍政権は、ただひたすら共謀罪の強行成立を狙っている。
 だが、この間「国際的組織犯罪防止条約を批准するために必要だ」という共謀罪の立法理由は、政府のうそであることが白日のもとにさらされた。この条約の批准のために共謀罪を成立させたのはノルウェーなど2カ国だけだ。批准を促したアメリカでさえ、共謀罪は非常に限定的にしか作られておらず、その旨、留保して条約を批准している。日本政府は共謀罪を作らなくても条約を批准できることを隠し、共謀罪制定を図ってきた。要するに、すべて虚偽でのりきってきたのだ。
 最後に、「共謀罪はテロ対策のために必要」(10月13日参院予算委員会)という安倍の発言を徹底的に弾劾する。
 帝国主義者が言う「テロ」とは何か。9・11反米ゲリラに示されるように、帝国主義の侵略戦争、民族抑圧、植民地主義支配に対する被抑圧民族人民の民族解放の闘いであり、それと連帯して帝国主義打倒をめざす労働者階級人民の国境を越えた自己解放の闘いだ。帝国主義者の「テロ」という用語は、被抑圧階級の闘いを分断し、圧殺するために使われている。 
 共謀罪の新設は、帝国主義とその階級支配が危機に陥っていることの証拠にほかならない。
 200年以上も昔の資本主義の状態に戻せと言うのか。圧倒的多数の労働者を非正規職とし、若者から職を奪い、外国人労働者を時給300円で搾取し延命を図る資本家階級。社会保障制度を解体し、高齢者、「障害者」から生きる権利を奪い、教育を戦争の道具とし、労働者を戦争に駆り立てる安倍政権。帝国主義者は、資本主義の墓掘り人たる労働者階級の国際的な登場に心底恐怖している。労働者は必ず勝利する。 
 職場から国会へ駆けつけよう。最後まで闘おう。教基法改悪案、国民投票法案とともに共謀罪法案を永久に葬ろう!
 〔吉田まゆ〕

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週刊『前進』(2275号6面3)(2006/12/18)

 11・25全国集会 星野文昭さんのアピール

 獄中32年、再審無罪-釈放へ 新たな大きな一歩踏み出す

 「星野文昭さんを取り戻そう/沖縄−星野11・25全国集会」(記事前号)に寄せられた星野文昭さんのアピールを紹介します。(編集局)
 本日の集会に参加して下さった皆さん。多忙の中、参加してくださったことに、暁子、家族と共に心から感謝しています。
 本日の集会を、獄中32年を迎えて、再審無罪−釈放に向かって、新たな大きな一歩を踏み出す集会として、皆さんと共に、ぜひ成功させたいと思っています。
 これまで、皆さんに支えられつつ、暁子と一緒に生きる中で、私自身、星野弾圧に立ち向かい、全現実を人間的未来へ根本的に変革していく主体的な力を形成していく以外に、一日一秒も生きていけないという日々を過ごしてきました。しかし、この間、様々なしわ寄せが、特に私自身がやりきれてこなかったことのしわ寄せが暁子に集中し、体調を崩し、それを一緒にのりこえる過程は、私自身がやりきれてこなかったことそのものの克服がつきつけられました。
 今、何よりも、裁判で無罪をかちとっていくという点での弱さを克服していきたい。そのことを、また、私や家族に止まらず、すべての人民の未来がかかったものとしてやっていきたい。
 それは、運動の中の、星野弾圧の鋭さに対する認識の弱さ、本当にそれと闘い無罪をかちとる方針の弱さ、獄中・家族を守り、共にたたかいぬく体制の弱さを、皆さんと共に根本的に克服していきたい、という意味でもあります。そして、それは、とりもなおさず、全現実を、人が人間として生きていくことのできるように根本的に変革して主体的力を、皆さんと共につくりだしていきたいということでもあります。
 私と暁子は今、無実という真実を全面的に出して再審を実現し、同時に、一日も早い釈放をかちとっていきたいと思っています。私の代々木八幡下車の総リーダーとしての任務は、NHK方向に現れた機動隊からデモ隊を守り、速やかに渋谷周辺の大衆と合流し、沖縄返還協定批准阻止の大衆決起を実現することでした。殴打に加わったり、火炎びん投てきを命令することは、その任務から外れ、十字路を外れることになり、やっていません。東急本店前の写真の私の手の紙を巻いた棒は、殴打していればボロボロのはずが、傷一つありません。供述で私であるとされた「きつね色上下」の人物は、上が薄い青、下がグレーの私とは明らかに別人です。これほど無実が明らかである以上、即刻再審を決定すべきなのです。権力が無実を百も承知で無期を強いていることに、心底、怒りを感じます。
 70年代、学生、青年労働者をはじめとした日本の人民が、沖縄と連帯し、アジアと連帯して、沖縄に基地を強い、新たな侵略戦争を狙う帝国主義を打ち倒し、人間解放を実現しようという奔流を、集会・デモ禁止、機動隊支配など権力を総動員した圧殺攻撃を打ち破って生み出そうとしていたことを、デッチあげと極刑など、どんな手段を使っても圧殺しようとしたのが、星野無期でした。そして、そうすることで今、より沖縄への差別をむき出しに基地を集中し、それによって日本全体を、教育基本法・憲法改悪を通して、戦争に動員しようとしている。
 星野無期を許さないことと、沖縄への基地集中を許さず戦争の道を許さないことは一つです。今、世の中のあらゆる所で、様々な困苦、葛藤、呻吟(しんぎん)の中にあっても、また、そうだからこそ、人間的に生きたいという希求が、蓄積し拡大している。帝国主義が、弱肉強食的に生き延びるために、他国・他民族を敵視し愛国主義を煽って戦争へ突き進む一方、格差社会−生活破壊を強めるという現実を前に、この現実からの人間的解放の思いは、社会の本当の主人公としての労働者人民が国境を越え、分断を越え、つながり、団結を強めることを通して、解き放たれようとしています。
 そして、これを圧殺しようとしている星野無期・全ての弾圧を覆し、全世界の労働者人民の団結した力で人間解放をかちとっていく歩みを飛躍させていきましょう。
 最後に、獄中32年を生きかちぬいてきた核心は、身を置き共に未来を開く、ということを通して、獄壁をはじめあらゆる分断をのりこえ、つながり、共に全てに立ち向かい未来を開くあり方、内容、力を豊かに創造し、獲得していく、ということにありました。そして、それを本当に可能にしたのは、暁子とつながり、一緒に生き未来を開くということによってでした。そして今、それを新たに積み上げようとしています。そして、そのことの上に、面会、通信が友人にも拡大したことをテコに、全ての皆さんとのつながりを強め、獄中・家族を支えつつ、再審・釈放によって星野無期を覆し、帝国主義が生み出す人類を不幸にする現実を覆し人間解放をかちとるたたかいを強めていきたい、と思っています。
 共に頑張りましょう。

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