ZENSHIN 2006/12/25(No2276 p06)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2276号1面1)(2006/12/25)

 「愛国心」強制と日教組壊滅ねらう暴挙 教基法改悪案の強行採決弾劾

 階級的労働運動を発展させ安倍政権打倒へ進撃しよう

 闘う革共同に熱烈なカンパを

 再び戦争へと動員する攻撃

参院議面に激しく迫る 参院特別委での採決強行に怒りが爆発。30人のガードマンと激突した(12月14日)=関連記事2面

 この歴史的暴挙が許せるか! 国会前では結集した労働者人民の天を突く怒りが爆発した。
 日帝・安倍政権と自民党・公明党は、12月14日、ついに参院特別委員会で教育基本法改悪法案を強行採決した。さらに15日には参院本会議で、圧倒的な教基法改悪反対の声を踏みにじって採決を強行した。
 このとんでもない暴挙に教育労働者を先頭として国会前を埋めた労働者人民は、根底からの怒りを爆発させた。そして悔しさに震えつつ戦争・改憲と民営化(労組破壊)に突き進む安倍極右反動政権を絶対に打倒するとの決意を新たにした。
 日帝・安倍政権との徹底対決を貫けない民主党(野党)や、日教組本部を始めとする既成労働運動指導部の変質と屈服・裏切りを粉砕・打倒し、動労千葉、関西地区生コン支部、港合同の闘う3労組共闘に体現されている階級的労働運動の新潮流を強化・発展させて、日帝・安倍打倒に突き進むこと、これこそが、11―12月教基法決戦を闘いぬいての主体的で実践的な結論である。
 まさに、闘う3労組陣形とそれが呼びかける11・5労働者集会実行委員会は、12月14日、15日の最終攻防を始め、今回の教基法決戦の文字どおり先頭に立って闘った。これからの日本の労働運動・階級闘争の未来はここにこそあるのだ。
 教基法改悪の狙いは何か。日教組を壊滅し、教育を国家が全面支配し、愛国心教育=戦争教育を強制することにある。そして、教育労働者と子どもたちを再び戦争へと動員することにある。それは日帝が米帝と同盟関係・枢軸関係を強化し、朝鮮・中国―アジアに対して再び侵略戦争を行い、世界戦争へと突進していくことだ。
 かつての第2次世界大戦―アジア・太平洋戦争をも上回る、この戦争と破滅の道を労働者階級は絶対に許さない。階級的労働運動の発展こそ、日帝・安倍を打倒し戦争を阻止する力だ。米・日帝国主義の北朝鮮侵略戦争―世界戦争への攻撃を絶対に粉砕しよう。
 11―12月の教基法改悪阻止闘争は、かつてない高揚を実現した。日教組の現場組合員を先頭に全国から労働者、学生、人民が国会前に連日、数百から数千人が駆けつけ、リレーハンストと座り込みを闘った。11・5労働者集会の成功や日教組組合員などによる日比谷野音での大集会もかちとられた。また全国各地で教基法改悪反対集会が、数千人から1万人の規模で開かれた。教基法改悪反対は労働者階級人民の圧倒的な意思であり声であったのだ。
 そもそも日帝・小泉と安倍は、「タウンミーティング」なるもので教基法改悪賛成へと露骨な「やらせ」による世論誘導を行ってきた。その不正の実態も次々暴かれた。にもかかわらず当時の官房長官で直接の責任者である安倍は、給与の一部返上でごまかし、参院採決を強行した。
 だが安倍政権は、この間の支持率急落が示すように、きわめて危機にある。盟友ブッシュは中間選挙で大敗し、米帝はイラク侵略戦争の泥沼と世界支配の崩壊的危機にあえいでいる。それは日帝・安倍をも痛撃し、支配階級の分裂、政権の求心力の喪失、労働者階級人民の怒りの爆発で、安倍は今やグラグラだ。

 日教組・森越と民主党の屈服

 ところが民主党、日本共産党を始めとした野党は、この危機の安倍と断固対決し、追撃して、教基法改悪案を絶対粉砕する路線も、決意も、迫力も持っていなかった。それどころか、民主党などは防衛庁「省」昇格法案に自民・公明と一緒になって賛成し、教基法改悪では政府案以上に「愛国心」を強調した法案を提出しているありさまだ。
 さらに決定的な問題は、日教組本部と森越委員長の変質・屈服・裏切りである。日教組本部は安倍が日教組の壊滅を叫んで教基法改悪の攻撃をかけているまさにその時に、本気で闘う方針をまったく提起しなかった。時間内職場集会やストライキはもちろん、国会動員や座り込みさえもまともに提起しなかった。
 文科省との「パートナー路線」が極右から攻撃されていることに震え上がり、ただただ安倍に頭を下げ、安倍との接点の形成を夢想して、闘わないで延命することに躍起となっていたのだ。
 日教組本部の屈服と裏切りの象徴が森越委員長だ。11月25日のテレビ番組で森越は、「つくる会」元会長の極右ファシスト・八木秀次らに、教育労働者の国会前の座り込みを謝罪し、「すみません、(座り込みは)先週でやめました」「あれは(今座り込んでいるのは)うちの人たちではないんです」と土下座したのである。
 教育労働者から「森越やめろ」の辞任・解任要求が噴出したのは当然だ。まさに教基法決戦は日教組本部・森越体制打倒と日教組再生をかけて闘われたし、またその路線で闘ってこそ、真に勝利できたのである。
 国鉄分割・民営化の攻撃で国労と総評が解体され、路線的・歴史的に破産が突きつけられた総評・民同労働運動と、それを変質的に継承する日教組本部などの既成の労働運動指導部では、帝国主義の危機と戦争の時代の攻撃と闘えないのだ。

 革命勝利をめざす労働運動

 今まさに求められているのは、体制内の既成の改良的労働運動ではない。帝国主義を打倒し、革命をめざす階級的労働運動である。日帝権力とブルジョアジーは、それを最も恐れているのだ。
 今こそ日教組本部・森越体制打倒、闘う日教組の再生を真っ向から訴えて、職場闘争の展開と組合権力獲得に向けて総決起する時である。
 教労を先頭に、教労、国鉄、自治体、全逓の4大産別で、既成指導部を打倒し、のりこえて、なんとしても階級的労働運動の前進をかちとろう。安倍政権は「官公労つぶし」と「日教組・自治労の壊滅」を叫んで攻撃を激化させている。4大産別の労働組合に攻撃を集中してきている。これと対決し、何よりも4大産別で、職場闘争の実践を基礎とした階級的労働運動の創成と前進を、画然と切り開いていこう。
 そして、敵の攻撃を打ち破る鉄のハンマーと階級的労働運動の実体を、われわれ日本の労働者階級は、すでに持っている。それは動労千葉労働運動であり、動労千葉、関西地区生コン支部、港合同の3労組共闘である。11・5労働者集会は階級的労働運動の新潮流の総決起の場であった。今こそ動労千葉労働運動に学び、それを職場で実践し、分会、支部を始め、組合権力奪取の闘いに挑戦していく時だ。
 動労千葉の田中委員長は、『世界に翔び立とう7 動労千葉の訪韓・訪米報告』で、「私たちが直面している課題や問題意識は、(日米韓で)驚くほど共通していました。それは、激しい攻撃の前に労働運動が後退し続ける状況を、職場から闘いの組織化と労働者の団結・連帯によっていかに変革するのかということです」と語っている。
 11・5労働者集会の3労組共闘と日米韓3国連帯の中に、階級的労働運動の勝利と未来がすべて体現されているのだ。

 11・5の地平から07年決戦へ

 今日、基軸帝国主義・米帝を先頭に、帝国主義は基本矛盾を全面的に爆発させ、ロシア、中国を巻き込んで帝国主義間争闘戦を激化させている。そこから一方で、イラク侵略戦争を始め帝国主義的侵略戦争と世界戦争への攻撃を激化させ、他方で、民営化と労組破壊、賃下げ、首切り、パート・派遣などの不安定雇用化・非正規雇用化の攻撃を強めてきている。
 結婚もできず、子どももつくれない。ミゼラブルで「工場法以前」的な絶対的貧困と無権利の状態が一般化している。階級間・階層間の格差が激しく拡大している。
 こうした攻撃と闘い勝利できるのは階級的労働運動である。動労千葉を先頭とする階級的労働運動の新潮流の前進に、戦争と民営化・労組破壊と闘う労働者階級の未来があるのだ。11・5労働者集会の地平を発展させ、改憲阻止と4大産別決戦、「日の丸・君が代」不起立闘争、春闘、統一地方選を始めとする07年の大決戦に進撃しよう。
 闘いの先頭には青年労働者と学生(全学連)が立っている。マル青労同1000人組織建設に決起しよう。法政大弾圧を粉砕し、改憲阻止300万学生ゼネストへ向けて前進しよう。
 機関紙拡大の闘いをやりぬこう。そして最後に07年決戦と世界革命の勝利へと闘う革共同への圧倒的な年末一時金カンパを熱烈に訴えます。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2276号1面2)(2006/12/25)

 国会包む怒りのこぶし

 12・15 “労働者の団結で安倍倒す”

 「安倍内閣を倒すぞ」「戦争国家になんかさせないぞ」。12月15日午後6時、教育基本法改悪案の採決がついに参院本会議で強行された。国会前に駆けつけた5千人に及ぶ労働者・学生の怒りが沸騰した。弾圧を加える警察権力に激しくぶつかりながら、声を限りに弾劾を浴びせる。
 国会会期末の15日は早朝から、ニュースを見て居ても立ってもいられなくなった人びとが全国各地から駆けつけた。この日も、教育労働者を先頭とするハンスト団が中心に陣取り、北海道・大分・東京を始めとする各教組が国会前を埋める。11・5労働者集会実行委員会は14日と15日の連日の決起で闘いを牽引(けんいん)した。昼休みに法政大学で300人の集会を成功させた全国学生も、国会前に駆けつけ合流した。昼の段階で座り込みは3千人に達した。
 こうした中で政府・与党は、日に日に高まる教基法改悪反対の声、下落する支持率に追いつめられながら教基法改悪案、防衛「省」法案などを参院本会議で採決した。
 午後6時から始まった教育基本法の改悪を止めよう!全国連絡会の集会は、採決強行の報を聞き、急きょ安倍徹底弾劾の怒りの抗議集会となった。参加者は2500人に上った。
 午後7時、11・5集会実行委員会が総括集会を開いた。闘う教育労働者が満身の怒りで安倍を弾劾し総括を提起した。
 「私たちの闘いが、みごとに国会を揺るがした。採決は強行されたが敗北感はみじんも無い。この場から新たな闘いの歴史が始まる。何よりも、日教組を現場の私たちが取り戻し、森越を打倒して闘う日教組を再生することだ。改悪教基法粉砕の闘いとして来春の不起立闘争を徹底的に闘おう。次の通常国会から始まる教員免許更新制導入など全面的な教育労働者への攻撃と闘おう」
 最後に「日の丸・君が代」被処分者が「安倍を倒すか、私たちが殺されるかだ。現場の怒りに火を付け、全国で続々と不起立の闘いに立とう」と熱烈に訴えた。
(写真 全国各地から駆けつけ国会前を埋めつくした労働者・学生は、教基法改悪を強行する安倍政権に対して声を限りに弾劾を浴びせ続けた【12月15日】)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2276号2面2)(2006/12/25)

 “闘う私たちが日教組だ”

 12・8日比谷 本部・森越委員長を追及

 12月8日、「教育基本法改悪阻止!日教組緊急集会」が行われ、全国各地から1万2000人の組合員が参加した。集会は日比谷野外音楽堂で午後4時45分からと6時からの2回、それぞれ30分ずつ行われた。
 会場は開会前から演壇にそろいのジャンパーを着た組合員が配置され、異様な雰囲気だった。日教組本部と森越委員長は、国会闘争を放棄したことに組合員の怒りが沸騰していることを恐れ、なんと闘いを求める組合員に「防衛隊」を差しむけたのだ。
 第2次集会では、森越委員長が主催者あいさつを始めると、組合員が会場の真ん中で立ち、怒りの横断幕を掲げた。「森越はクビだ」「闘う我々が日教組だ」
 いたるところから声があがる。「組合員に謝れ!」「国会闘争の方針を出せ!」。とりわけ、本部が参院段階の闘いを放棄する中でも座り込みを続けてきた組合員の怒りが爆発した。
 野次と怒号に包まれて発言を始めた森越は、なんと冒頭から組合員を批判した。「先日の集会で『日教組は応援しに来た人に野次を飛ばすのか』と言われました。とにかく足を引っ張らないでください」。怒りが倍加する。「足を引っ張っているのは委員長、お前だ!」
 「今回の国会請願でまた野次があったら、日教組の請願デモは受け付けられなくなる。そういう妨害行動だけはやめてください。ほかの組合から『なんて日教組は下品なんだ』と言われないようお願いします」。会場全体が怒りに包まれた。
 「情勢報告」を行った中村書記長も、提起した行動方針は「全戸ビラ入れ」だけ。組合員の声が飛ぶ。「国会前での闘争はなぜやらないんだ!」。国会闘争方針を一切放棄した本部の姿こそ、10月26日の「非常事態宣言」がまったくのアリバイだったことを示している。教育基本法の改悪がまさに押し通されようとしているこの時に、こんな本部の屈服がどうして許せるか。森越に委員長をまかせておいたら、日教組の団結はずたずたに破壊されてしまう。森越委員長の団結ガンバローには、多くの組合員が抗議の意志を込めて不起立していた。
 組合員は本部への怒りを充満させて、国会請願デモに打って出た。
 国会前では、リレーハンスト団や東京教組の労働者が待ち受けた。「私たちは毎日座り込みを続けてきました。改悪案をなんとしても廃案にするため、最後の最後まで闘いぬきましょう」。トラメガで訴える声が響き渡る。日教組のデモ隊がともにシュプレヒコール。手を振り、声援を送った。ものすごいエネルギーがほとばしる。「自分たちこそが日教組だ」。闘いの意志を燃え立たせる組合員の強い決意を示した感動的な合流だった。
(写真 全国から1万2000人が集まった日教組緊急集会で組合員が掲げた「森越はクビだ」【12月8日 日比谷野音)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2276号3面1)(2006/12/25)

 無罪獲得・国労再生へ

 12・10 東京国労5・27臨大闘争弾圧 「許さない会」が全国集会

 “新たな国鉄決戦に立つ”

 国労5・27臨大闘争弾圧を許さない会は12月10日、東京・文京区民センターで「無罪獲得!今こそ国労再生へ!国労5・27臨大闘争弾圧を許さない全国集会」を開催した。220人が結集し、弾圧粉砕を軸に新たな国鉄決戦に立つことを誓いあった。
 国鉄闘争は今、重大な岐路に立っている。国労本部は「政治解決」の名で1047名闘争解体の策動を強め、JR資本への全面投降を表明した。他方、こうした暴挙に対する現場の国労組合員の怒りは高まり、闘いとなって噴出する瀬戸際まで来ている。
 5・27臨大闘争弾圧との闘いは、闘争団や現場組合員の巨大な決起を押し開けるのか否かを決する重要な位置にある。集会は、こうした国鉄闘争情勢を反映し、緊迫感にあふれたものとなった。

 被告団と家族に大きな拍手

 被告団とその家族が登壇すると、会場は大きな拍手に包まれた。
 富田益行被告が代表して発言し、「国労魂を持った組合員はたくさんいる。国労再生をこじ開けるのが被告団の役割だ」「われわれの闘いで朝鮮侵略戦争前夜、改憲前夜のすべての弾圧を打ち破る」と宣言した。
 各被告がそれぞれに決意を述べ、被告の家族も闘いへの支援を訴えた。
 不当逮捕以来4年、不屈の闘いを貫いてきた被告たちこそ、国労の階級的再生を実現するカギを握りしめている。
(写真 被告たちの不屈の闘いは国労再生の血路を切り開いている。集会は許さない会運動の一層の発展を確認した【12月10日 東京・文京区民センター】)

 本部の「新たな訴訟」を弾劾

 集会の冒頭、許さない会事務局長の佐藤昭夫・早稲田大学名誉教授が開会のあいさつに立った。
 佐藤さんは、12月5日に国労本部が起こした「新たな訴訟」に触れ、昨年の9・15鉄建公団訴訟判決が認めた範囲での請求しかしない本部の訴訟は、9・15判決をのりこえ解雇撤回をかちとろうとしている鉄建公団訴訟控訴審の闘いの足を引っ張るものだと指摘し、「国労本部は9・15判決を上限とする水準の解決で闘争を終わらせようとしている」と弾劾した。
 また、国労本部を中心に行われている「学者・文化人1万人署名」について、「署名の呼びかけ文には『不当労働行為による解雇撤回を確実なものにする』と書かれているが、首相に提出する要請文は政治解決を求めるものになっている。これはペテンだ。組合員を警察に差し出した反省もなく、国労本部は署名を求められるのか」と問題を投げかけた。
 呼びかけ発起人で元新聞労連書記長の師岡武男さんや、元国労九州本部書記長の手嶋浩一さんの弾圧を許さない思いを込めた発言が続いた。
 講演に立った九州大学名誉教授の下山房雄さんは、この弾圧との闘いは言論の自由を守る闘いでもあると強調した。
 教基法改悪阻止の先頭で闘う教育労働者は、「この弾圧はひとごとではない。日教組の森越委員長は右翼に批判されて『座り込みはやめた。座っているのは私たちではない』と国会前の闘いを権力に売り渡した」と弾劾、「教基法改悪案は廃案にできる。国会前を埋め尽くそう」と訴えた。

 “国労本部は警察と一体だ”

 動労千葉争議団の高石正博さんは、「4団体共闘」による解雇撤回を投げ捨てた「統一要求」を批判して、「動労千葉は解雇撤回の原則を守る」と断言した。
 国労闘争団の小玉忠憲さんは、「国労本部は警視庁と一体。私は心の底から本部に憎しみを持っている。この弾圧を粉砕しなければ本部を打倒し国労を再生することはできない」と声を強めた。
 動労千葉の田中康宏委員長は、国労東日本本部による出向協定締結や包括和解について、「国労が根本的に変質・転向した。1047名闘争も和解ならざる最終的処理を行おうとしている。この問題は教基法改悪に比すべき重大問題だ」と提起。また、教基法改悪の核心は日教組解体にあることを強調し「国鉄分割・民営化を忘れるな。国鉄労働運動壊滅の攻撃に動労千葉は首をかけてストに立ち、組織を守った」と教訓を語った。
 一瀬敬一郎主任弁護人が「裁判闘争は勝利的に展開している」とこれまでの闘いを総括し、「来年春から被告人質問が始まる」と今後の裁判闘争の見通しを示して、公判傍聴の強化を訴えた。
 大口昭彦弁護人は、「4党合意の問題を真剣に総括し闘っているのはこの闘い以外にない」とこの闘争を位置づけた。
(写真  被告とその家族らが壇上に並び、裁判闘争と国鉄闘争の勝利に向けてこぶしを上げた)

 JR本体から組合員が決意

 JR本体の国労組合員が決意表明に立った。JR東日本でただ一人、職場で国労バッジを着用して闘う横浜地区本部の組合員は、包括和解を怒りを込めて弾劾した。
 近畿地本兵庫保線分会の組合員は、尼崎事故以来、職場から安全問題で闘いを積み上げてきたことを報告し、「尼崎事故弾劾の闘いを大きく発展させたい」と訴えた。
 新橋支部品川事業所分会分会長の吉野元久さんは、中曽根以来の改憲攻撃を阻んできた国鉄闘争の位置を明らかにし、教基法改悪阻止−改憲阻止へ全労働者と団結して闘う意志を表明した。
 集会のまとめを事務局次長の山川博康さんが行い、会費の定期的納入など、許さない会運動を着実に展開することを訴え、また教基法改悪阻止の国会決戦に立つことを呼びかけた。

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2276号4面1)(2006/12/25)

 反軍闘争

 北朝鮮への侵略戦争と対決を

 労働者階級の壮大な決起の力で帝国主義軍隊解体・兵士獲得へ

 米帝のイラク侵略戦争の破産とイラク情勢の激烈な展開、イスラエルによるレバノン侵略戦争の大敗北、アフガニスタンの危機の中で、イラン・シリアなど中東全域へ侵略戦争が拡大されようとしている。ムスリム人民の民族解放闘争は爆発的に発展している。
 アジア、アフリカ、中南米、中央アジア、バルカン半島の情勢など、現代は、世界戦争か世界革命を問う世界史的激動の時代に突入している。それは、戦争=軍事の問題が、世界のプロレタリア革命=階級闘争の第一級の課題として浮かび上がってきたということである。
 11・5労働者集会への4900人の結集、教基法改悪阻止決戦における連日のような5千人、8千人の労働者の決起は、改憲=戦争阻止への6千万労働者の決起の展望を切り開いている。11・5集会の前段に、「とめよう戦争!隊員家族と元自衛官連絡会」と百万人署名運動は、防衛庁に対し「イラク派兵」に反対する申し入れ闘争を貫徹した。対自衛隊の闘争として重要な闘いである。
 今日の世界戦争情勢の中で、日本革命の重要な課題である反軍闘争について革共同反軍闘争委員会より提起する。
(写真 「空自部隊はイラクから撤退せよ」「小牧基地への空中給油機配備を許すな」を訴え小牧基地に申し入れ行動【11月26日 愛知県小牧市】)=関連記事6面

 米帝は核先制攻撃をねらう

 米帝・日帝は、北朝鮮スターリン主義の反人民的な核実験を口実として、侵略戦争への動きをいよいよ強めている。
 米帝の朝鮮戦争計画である「作戦計画5027」の骨格(朝鮮人民百万人、米軍5万人の犠牲が出る)は変わらないが、イスラエル軍のレバノン侵攻がヒズホラの地下壕(ちかごう)を使ったゲリラ戦により大敗北したことを見たとき、米帝は躊躇(ちゅうちょ)なく核兵器を使用するだろう。米帝は、米軍兵士の戦死者の増大を何よりも恐れている。それはベトナム戦争時のような革命的危機に直結するからだ。
 米帝はアフガニスタン侵略戦争の初期に、アルカイダとタリバンに対してバンカーバスター爆弾を投下し、同時に、高性能小型核爆弾の開発を発表した。これは、5千カ所以上の地下要塞(ようさい)を持つ北朝鮮、数万カ所の地下要塞を持つ中国に対する核兵器使用のメッセージであり実験だ(米帝は155_砲で撃てる小型核も含め1万発の高性能核兵器を保有している)。
 北朝鮮への先制核攻撃を狙う米帝(日帝)の侵略戦争と全面的に対決し闘おう。

 日帝の核武装問題の重大さ

 日帝の核武装問題が浮上している。いわゆる核問題の核心は、敗戦帝国主義、日本とドイツの核武装問題にある。
 中川昭一・自民党政調会長、麻生外相らの「核論議は必要」発言は、核武装発言そのものである。北朝鮮の核実験を「待っていた」かのように自民党首脳や現職の外相がこういう発言を繰り返し、首相の安倍が支持するということは、「現に進行している核武装計画」について社会の反応を打診したと見るべきだろう。
 今日、日帝にとって核武装の材料はすべて出そろっている。日帝は、広島型原爆にして5000発分の使用済み核燃料を保有している。核弾頭の運搬手段としては、H2Aロケットが開発済み(すでに偵察衛星3個を打ち上げている)であり、ミサイルとして使いやすいM5大型固体燃料ロケットの開発も終了した。起爆装置は日帝の得意分野である。核実験はコンピューターシミュレーションで十分できる。この方法でイスラエルは約200発、南アフリカは数十発の核兵器を開発したと見られている(南アは90年代に核兵器放棄)。この四つを組み合わせれば、瞬く間に核戦略体系ができ上がる。
 日帝の核武装問題では、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)問題以上に、米帝が激しく反応することは確実だ。米帝ブッシュは10月12日、訪米した中国の唐家■国務委員(前外相)に「日本が核武装していいのか」と言ったという。米帝は日帝の核武装を絶対に許さない立場だ。米帝にとって「核問題」とは、日帝、ドイツ帝の核武装を抑え込むことが核心だ。北朝鮮核開発をめぐる攻防も、日帝の対抗的な核武装を阻止することがメインテーマなのだ。
 日米安保体制=日米軍事同盟をどう見るか。核問題に典型的にみられるように、日米帝国主義の〈共同〉と〈対抗〉という視点で見ておく必要がある。日米同盟は帝国主義同士の強盗同盟であり、日帝の独自の帝国主義としての野望を見過ごしてはならない。米帝の圧倒的軍事力の前で現象的な対米従属論(米帝に巻き込まれる論)に陥っては、対日帝・自衛隊の闘争は日本革命戦略の中に正しく位置づかない。
 防衛庁の「省」昇格と海外派兵の本来任務化、陸海空3軍の統合作戦体制の構築(統合幕僚監部の設置、統合任務部隊の指定と司令官の任命、中央即応集団の結成、情報本部の長官直轄化)などの戦争即応体制の構築、周辺事態法の拡大解釈、集団的自衛権解禁の主張など、自衛隊は帝国主義的侵略軍隊として急速な変貌(へんぼう)をとげようとしている。
 こうした軍部の台頭と自衛隊の内外における行動は、完全に改憲を先取りするものだ。イラクへの派兵、対テロ特措法での自衛艦の派兵は決定的な問題なのだ。日帝支配階級は祖国防衛主義、愛国主義、排外主義をあおり、戦争に実際に突入し、その迫力で軍事大国化・改憲に持ち込もうとしている。「拉致」問題は、日帝の軍事行動の絶好のイデオロギー的武器として使われている。安倍内閣は、「はじめに戦争ありき」で突っ走る戦争遂行内閣である。
 世界戦争か世界革命かを問う時代への突入は、いうまでもなく体制の根本的変革=革命の問題を提起している。それは、労働者階級がブルジョア国家の粉砕の問題に直面しているということでもある。革命が現実の課題になっているからこそ、日帝・支配階級は、共謀罪の新設を始めとする治安弾圧体制のエスカレシ
ョン、軍法会議の設置や自衛隊の治安出動を含め、労働者階級の闘いを予防反革命的に鎮圧する体制づくりに躍起になっているのである。

 反軍闘争の革命的発展を

 労働者階級は、資本の積極的止揚をとおして、プロレタリア自己解放=全人民の人間的解放へと突き進む。そのためには社会の全気孔をふさぐ「寄生体」であるブルジョア国家(およびその諸機構)を暴力革命をもって粉砕し、労働者階級の自己権力=プロレタリア独裁権力を打ち立てなければならない。この闘いの途上において労働者階級は、どのような形にせよ、ブルジョア国家の実体的支柱である帝国主義軍隊との対決に至る。
 ここにおいて労働者階級は、軍隊との激突を辞さず、圧倒的な労働者階級の決起で包囲し、逆に軍隊の内的危機(革命的解体)を促進していかなければならない。これは、単に敵階級の武装解除であるばかりでなく、歴史的に「身に寸鉄も帯びない」までに武装解除されてきた労働者階級人民が、武装せる自己権力を打ち立てるために無くてはならない闘いだ。
 反戦・反軍闘争は、プロレタリア独裁の樹立へと突き進む労働者階級の正面課題だ。そして、革命的反戦反軍闘争の第一の課題は、新指導路線のもと、労働者階級の根底的な決起をかちとり、その自己解放闘争としてプロレタリア革命をかちとることだ。この闘いを圧倒的な基軸として立てることである。隊内での独自の革命的工作もまた、労働者階級の壮大な決起、その自衛隊内への波及の中でこそ決定的威力を発揮するのである。
 防衛庁の「省」昇格と軍部の台頭、イラクを始めとする戦地への派兵は、自衛隊内においても愛国主義・排外主義を強め、一定の反動化をもたらすだろう。しかし本質的には、自衛隊が帝国主義軍隊として不正義の侵略戦争や内乱鎮圧の前線に投入されることは、自衛隊の深刻な内的危機を生み出し、その革命的解体への決定的手がかりを与える。
 戦争がもたらす矛盾は、その直接の担い手である自衛隊員(と家族)に集中する。「人を殺していいのか」「殺されていいのか」「そもそも誰のための戦争なのか」「何のための戦争なのか」。こうした問題が隊員一人ひとりに突きつけられてゆく。自衛隊員は圧倒的に労働者階級出身であり、軍服を着た労働者だ。戦争の進展は、戦争の不正義性、自衛隊のあり方をめぐって、家族を含む隊内外の闘いに発展せざるをえない。自衛隊の持つ本質的な矛盾=階級対立が爆発せざるをえないということだ。
 自衛隊のあり方は急激に変化している。隊内支配の強化、いじめと自殺の増加、麻薬の蔓延(まんえん)、勤務中の飲酒などである。戦時下への突入の中で、いよいよ隊内民主化の要求を重視しなければならない。
 反軍闘争は、自衛隊と真正面から対決し、隊内反乱をかちとって革命的に解体し、闘う労働者の側に自衛隊兵士を大量的に獲得していく闘いだ。同時に、兵士自身の労働者階級の側への復帰=自己解放闘争そのものだ。
 自衛隊員はもとより、その家族・友人・知人に、米帝・日帝のイラク侵略戦争、朝鮮・中国・アジア侵略戦争の不正義性を訴え、ともに立ち上がることを大胆に訴えていこう。日本革命・世界革命の成否を決める対自衛隊・対米軍の反戦・反軍闘争に、ともに立ち上がろう。
 〔革共同反軍闘争委員会〕

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2276号5面1)(2006/12/25)

崩壊的危機深まる米帝の中南米支配 崩壊的危機深まる米帝の中南米支配

 メキシコ 南部で民衆蜂起“コミューン”

 ベネズエ ラチャベス大統領、反米路線を強化

 裏庭で反米化FTAA挫折

 米帝の中南米支配が総崩壊の危機に陥っている。次々と親米右派政権が倒れ、中道左派あるいは反米左派政権が成立し、米帝を「包囲」している。もはや中南米は米帝の“裏庭”とは呼べない。米帝は、伝統的に自らの勢力圏としてきた中南米の新植民地主義体制を失いかねず、イラク戦争の敗勢と中東危機の深刻化が重なり、大ピンチに立たされている。
 昨年11月の中米ホンジュラスから中南米12カ国で続いた大統領選は、12月のベネズエラでのチャベス大統領3選で締めくくられた。中南米左傾化の流れは顕著だ。左派が勝利したのはウルグアイ、ボリビア、チリ、ペルー、ブラジル、ニカラグア、ベネズエラの8カ国だ。11月、80年代に米帝と対決したサンディニスタ民族解放戦線のオルテガ元大統領が復活した。エクアドルでも左派のコレア元経済相がバナナ大資本家に勝った。
 コスタリカ、コロンビア、メキシコでも左派系候補が健闘し、親米右派はかろうじて勝利した。メキシコでは左派大統領候補が「並行政権」を主張し、親米右派大統領と正面対峙している。
 中南米の反米・左傾化は、米帝の南北アメリカ勢力圏化の基本政策である米州自由貿易圏(FTAA)構想の実現を頓挫(とんざ)させている。
 米帝は94年にカナダ、メキシコとの間で北米自由貿易協定(NAFTA)を発足させ、それを中南米まで拡大しようとしてきた。だが、中南米の盟主、ブラジル・ルラ中道左派政権の農業輸出補助金問題を盾にとった抵抗にあい、2005年のFTAA発足に失敗した。代わりに米帝は2国間の自由貿易協定(FTA)を積み上げようとしている。今年4月、コロンビア、ペルーとFTAで合意した。
 これに対して95年、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ4カ国は南米南部共同市場(メルコスル)を発足させた。04年には南米12カ国がメルコスルとアンデス共同体を統合した南米共同体を発足させた。同共同体は自由貿易圏の実現などを検討する方針で、12月8―9日、ベネズエラに続く反米左派モラレス政権のボリビアで首脳会議を開催した。
 FTAAの頓挫は、欧州連合(EU)を拡大・深化させる独仏帝、中国を含む東アジア自由経済圏構想を進める日帝との争闘戦で米帝の位置を弱くさせる。米帝は、帝国主義の盟主、基軸国としての地位を維持するために、世界戦争戦略のもとに次々と凶暴な侵略戦争を発動し、世界を危機にたたき込む以外になくなっている。しかし、それは世界のプロレタリアート・被抑圧民族人民の反戦闘争、反米闘争の爆発、国際的内乱を必ず呼び起こし、革命的情勢を引き寄せる。
 中南米における一連の左派政権の誕生と親米右派の後退の背景にあるのは、米帝が主導するいわゆるグローバリズムと新自由主義政策の破綻(はたん)的な結果だ。
 ほとんどの中南米諸国は、80年代には親米右派軍事政権から民政に移行し、親米右派・中道右派政権が成立した。ところがこれらの諸国のほとんどが新植民地主義的金融的支配・収奪、政権の腐敗によって深刻な債務危機に陥った。

 IMF・世銀の指導で貧困化

 債務諸国は90年代後半、融資を受けるために米帝や国際通貨基金(IMF)、世界銀行の構造調整策に従った。融資条件として市場自由化政策が課された。「ワシントン・コンセンサス」だ。
 各国は、国有企業・公共サービス(水道も)の民営化(私企業への売却)や貿易の自由化、資本市場の自由化、規制緩和、労働条件の柔軟化、補助金カットなどを実施し、「小さな政府」をめざした。
 各国市場は世界を自由に動き回る資本に食い物にされた。仕事を増やし、所得格差や不公正が減ると約束されたが、国有企業を売り払った政府官僚が私服を肥やした。私営化された水道は、料金を大幅に引き上げた。労働者は料金が払えず水道が使えなくなった。社会保障は大幅削減の上に民営化され、困窮者は救済されなかった。
 世銀によると、中南米では今も4人に1人が1日2j以下で暮らしている。上位10%の富裕層が総収入の半分を占める。格差は激しく、貧困層の怒りは充満している。この状況を打破すべく登場したのがチャベスだ。

 石油資源国有化し貧困対策

 チャベスは高校卒業後、陸軍士官学校に入ったが、ゲリラ掃討の名目で農民を裁判なしで処刑する軍隊に疑問を持った。19世紀に南米北部をスペインから独立させた革命家シモン・ボリバルに心酔、同志を募った。
 92年、司令官となったチャベスはクーデターを起こすが、失敗し、投獄された。94年、恩赦で釈放。98年、「貧者救済」を掲げて大統領選に立候補し、貧困層の支持を受け圧勝した。
 ところが02年、米帝に支援された資本家階級とAFL―CIOが御用組合の「ゼネスト」を指導、軍の反チャベス派がクーデターを起こし、チャベス大統領を拘束した。だがチャベス派の労働者階級が蜂起し、クーデターを粉砕、数日で巻き返しに成功した。
 同年12月、石油公社の再度のストで国家財政が危機に陥った。翌03年1月、政府は石油公社の運営を開始した。石油を手中にしたチャベス政権は3月から懸案の貧困対策を本格的に開始した。
 それは▼キューバ人医師2万5千人を受け入れ、全国の貧民地区で無料医療▼150万人に識字教育▼大学教育希望者や中学未就学者への支援▼小学校の無料給食▼全国2千カ所に市価半額の生活必需品売り場メルカル開設▼女性グループへの起業資金向け低利融資――などだ。
 貧困対策は近年の石油価格の高騰、オイルマネーに支えられている。チャベス政権は、これまで富裕層が不当に独占してきた石油利権を奪い取り、労働者人民の生きる権利、働く権利、教育・医療を受ける権利を保障しているのだ。
 チャベス大統領は反米を軸に中南米の結束を呼びかけている。キューバやニカラグア、ボリビアなどとの協力が進めば米帝にとって「脅威」だ。

 国会で大統領就任式できず

 メキシコでは7月2日の大統領選でかろうじて“勝利した”親米右派のカルデロン大統領の不正に対して全土で抗議行動が起こった。12月1日、予定されていた国会での大統領就任式はできなかった。カルデロンの当選を認めない反米のオブラドール前メキシコ市長を支持する労働者人民が国会を占拠し街頭を制圧したからだ。
 他方、南部オアハカ州でも労働者人民の闘いが燃え上がっている。5月下旬以来ストライキを続けていた7万人の教職員組合の支部に対して6月半ば、反動的で腐敗した州知事が警察に襲撃させた。教育労働者を始め労働者人民はオアハカ人民評議会を結成し、蜂起、州知事を追い出し、コミューンの成立を宣言した。民衆は市庁舎、公共施設、ホテル、空港を占拠し、州政府への不服従を宣言、州行政は完全に停止した。
 10月3日、2万人の陸海空軍・警察が出動した。10月末、連邦警察がオアハカ市を制圧。11月末、軍・警察が市の中心を制圧したが、市と州の全体を支配しきれず、人民評議会は闘争継続を呼びかけている。決着はついていない。
 チアパス州では94年1月NAFTA発足に合わせて蜂起した反米左派ゲリラ・サパティスタ民族解放軍が存在している。
 カルデロン新政権による安定支配は当面ありえない。メキシコ危機は米帝危機、NAFTA危機に直結している。
 (藤沢明彦)
(写真は、チャベス大統領の演説に沸き立つボリビアの民衆=12月10日)

------------------------TOPへ---------------------------

週刊『前進』(2276号5面2)(2006/12/25)

 黒田の死とカクマルの衰滅

 教基法改悪阻止に敵対し国会前で無様な姿さらす

 黒田なき中枢矛盾が爆発へ

 播野隆

 「いい写真とれたか? よし撤退!」

 カクマルの唯一にして絶対的指導者であった黒田が死亡し、その黒田に取り残されたカクマルが10月15日、追悼政治集会を開催した。約3カ月かけて全力で全国からかき集めたカクマルという小集団、小世界が「唯一の前衛党=カクマル」として自己存在を確認し、組織の存続を必死に追求したものである。
 ちなみに実数を2〜3倍して発表するカクマル発表で2200名の結集とある。黒田が権力に追及されて表向き議長を退いた96年のハンガリー革命40周年政治集会は3200名の発表であった。カクマル自身が10年間で1000名の減少を自認している。すでに政治的組織的影響力を失い、衰滅の道を歩む黒田なきカルト組織カクマルにもはや未来はない。
 このカクマルが、参院での教育基本法改悪をめぐる闘いが決戦状態となったただ中で国会前に登場した。だが教育労働者がハンストをもって必死で闘っている国会前で、カクマルはその反動性を完全に暴かれた。
 11月10日、首都圏の学生を動員して国会前に登場したカクマル学生部隊は、絵コンテをもったカクマルカメラマンに配置を指示されて写真撮影を行った。そして隊長がカメラマンと「いい写真撮れたか?」「撮れた」などと会話し、「よし撤退するぞ」というかけ声とともにたちまちにして国会前から消えてしまったのだ。『解放』には国会前にカクマル学生しかいないかのような写真が掲載されている。これがカクマルの「闘争」なのである。
 そもそもカクマルは、現行教育基本法に基づく教育制度を「ネオ・ファシズム的に再編されてきたとはいえ遺制として残っているブルジョア民主主義的諸制度」と言い切り、その最後的解体攻撃が教育基本法改定だとしている。つまり、現行教育基本法自体がすでに再編されたネオ・ファシズム社会の中で中身のない遺制になっているという立場に立っている。だから、カクマルには教基法改悪阻止を闘う必要性などまったくないのだ。
 にもかかわらず教育労働者を先頭とした教基法改悪阻止闘争が爆発し始めたために、カクマルは急きょ国会前に写真撮影に行かざるをえなくなったのである。まさに闘いを妨害するための登場以外ではない。教基法改悪反対闘争の爆発に追い詰められ恐怖したカクマルの姿がそこにある。

 「追悼政治集会」が示した組織的危機

 10・15カクマル政治集会は、わが革共同から黒田とともに脱落した西條武夫と朝倉文夫が共同司会を行い、黒田指名の議長・植田琢磨が追悼の辞を述べた。その後にカクマルの実権を事実上掌握している議長格の前原茂雄が第1基調報告を、書記長格の柳葉真弘が第2基調報告を行った。
 植田は自らを「扇の要」と言い、政治指導、組織指導はできないが、大衆的存在においてあくまで自分が議長であると強調している。
 前原は“1956年ハンガリー革命における黒田の営為を追体験せよ”と56年の黒田の“偉大さ”をたたえ、解釈を行っている。黒田とカクマルの歴史はどこまで行っても1956年で止まっているのだ。前原は「黒田は現代のマルクス」とまで言って神棚に祭り上げ、「世界でただ一人」の黒田と、それに導かれてきたカクマルとしての幸福(選民性)を強調し、それに依拠したカクマル組織建設を必死に提唱している。そこでは異様なほど何度も「唯一の前衛党」を繰り返している。
 前原という人物は、73年当時書記長であった朝倉が、われわれの革命的鉄槌を浴びた「なでしこ問題」以降、カクマル謀略論も含めた組織指導を一貫して担ってきた。つまり黒田・松崎が決断した、中曽根の国鉄分割・民営化攻撃の先兵化方針を全力で推進した責任者の一人、反プロレタリア的人物が前原なのである。
 また前原は、その後の賃プロ問題の発生とその粛清の全過程に最高指導部としてかかわった、無責任な黒田のエピゴーネンである。そして特筆すべきは、JR総連派カクマルとの分裂・離脱−総破産の際の、黒田のもとでの直接の責任者であったということだ。すでに破産した指導部なのだ。
 この前原については、“前原は黒田と同じように偉大だ”という前原礼賛運動が、03年3・16カクマル派集会以降、黒田の実質上の死という中で組織された。通常そうした場合、前原が議長になるべきなのだが、黒田が最後まで認めなかったということである。
 柳葉は、今回の集会で情勢分析的提起を行っている。実は、1年半ぶりに06年新年号に登場した植田が、その時も今回もいずれも柳葉の論文をなぞるだけの発言をしている。柳葉は植田の陰の指導者なのである。
 柳葉なる人物は、ソ連起動力論をとってきた黒田のえせ「反帝・反スターリン主義論(=実は容帝・反共主義論)」が、89―91年のスターリン主義の崩壊によって大破産して以降、黒田が「民族=宗教戦争」論なる文明相克論へ傾斜し、カクマル世界認識が大混乱=ジグザグを繰り返す中で、ブルジョア・マスコミを後追いし、事態を糊塗(こと)してきた。世界は“三極構造だ”とか、“台形構造になった”とか、今度は“新三極構造だ”などと、くるくる変わるペテン的言辞を繰り返してきたデマゴーグなのである。
 柳葉は、帝国主義諸国が自国の権益の確保のために勢力圏をめぐって激しい争闘戦を展開していることをまったく認識できない。結局今また「米中新対決論」などと、80年代にとっくに破産しきった「アメリカとソ連の東西対立論」の焼き直しへと舞い戻っている。
 黒田は、数年前に「わが党が後継者そのものである」と言った。本来なら議長に据えた植田を公式に「後継者」とするべきなのにそうはしていない。「議長」に指名しておきながら黒田に代わる人物を黒田はけっしてつくらなかった。

 後継者ではない議長とは?

 植田は96年当時、カクマルによるJR列車妨害を追及した権力が黒田に的を絞った際、責任を逃れる「弾よけ」として据えられた人物である。いまだに「理論」も政治的組織的力もない植田を、カクマルは「植田議長を先頭とする政治組織局の指導のもとに一致結束」などと言葉の上では押し出している。
 しかし実体とかけ離れたこの体制は、カクマル指導中枢の最大の弱点であり、カクマルが組織分裂の危機を絶えず内包していることを示すものである。特にこれまで大事件に際して黒田の直観をもって謀略論を決裁してきたカクマル組織が、黒田なき今、誰の直観で謀略かそうでないのかを決裁するのか? これひとつとっても、激動する世界情勢の分析をめぐって大混乱し、組織問題化することは明らかだ。

 労働者自己解放と無縁のカルト組織

 カクマル組織はどこまでいっても黒田という人格によって一元的に指導・支配されてきた組織である。マルクス主義を掲げながらそれを反革命的に改作した黒田の思想、理論、路線から発しないものは何ひとつない。それにとどまらず、カクマルは「思想=組織的同一」を超えた「人間的同一」を求めると言う。黒田という人格に限りなく同一化=一体化することを強制し、目的とするカルト的な集団である。
 会議で「朝起きたらまず黒田の本を声を出して読め」という指導が大まじめで行われ、そして実際「声を出して読んだら元気になった」というカクマル組織員の感想文が『解放』にあふれている。それを黒田が聞く(点検する)というのである。〔なお黒田は声を出して読むことを遺言として残した〕
 そのカクマルの「人間的同一」を求める人格が不在となった今、黒田によって創始された「唯一の前衛党」のもとにいた自分たちカクマルは幸せであり、その「唯一の前衛党」組織を守り拡大する、としたのが10・15黒田追悼集会での「確認事項」である。
 マルクス『共産党宣言』は、共産主義者の党は「特別な党ではない」と述べている。「革命的マルクス主義」を掲げたカクマルは、自らを「黒田の党=特別の党」であると繰り返し強調している。まさにカクマルは『共産党宣言』とはけっして相いれないファシスト組織である。黒田追悼集会は、6000万労働者階級の大地からかけ離れた正真正銘のファシスト集会である。

 革共同第6回大会が壊滅打

 黒田の歴史的破産とその残骸(ざんがい)化については、2001年のわが革共同第6回全国大会で完全に暴き尽くされている。6回大会では革命的内戦の勝利の地平が確認された上に、黒田の綱領、路線、組織論なるもの、そして何よりも黒田哲学への全面的批判がなされた。
 黒田カクマルは、そのどれに対しても一言の反論もなしえなかった。10・15追悼集会でも、これらについて一言も触れないで終始している。いまだに前原は「黒田哲学は『実践的唯物論』だ」などと言い、“「実践的唯物論」を掲げた観念論だ”との革共同の理論的暴露に一言も反論しえないありさまである。
 黒田「組織現実論」の破産にしても同様である。柳葉が「わが同盟のみならず日本労働運動の戦闘的部隊・戦闘的労働組合」などと語るJR総連カクマルは、カクマルからすでに分裂・離脱し、資本の労働者支配の奴隷頭として腐敗を深め、黒田組織論そのものが現実に破産しきった物証となっている。
 カクマル組織は、かつて拠点と称してきた沖縄組織の分裂、学生戦線での早稲田大の失陥などが起き、今や文字どおりすべてが“虚点”となってしまい、見る影もない。
 また重要なことは、組織内暴力と謀略論作りの実行部隊である白色テロ暴力装置=非公然軍事組織が、黒田の「神戸謀略論」運動の破産の中で、権力に全面投降=自首・自壊してしまい、内部テロを柱とするカクマル組織建設の存立条件を失ってしまったことである。
 この全面破産した自己の現実を黒田自身が表白したものこそ、黒田の遺作である『自撰 黒田寛一歌集 日本よ!』でうたいあげた世界である。
 日本帝国主義の前に屈服し、その配下となって日本の美をたたえ、国家主義者となった黒田は、「過ぎ去りし悪夢のごとき半世紀」「扉あけむとしたれども巌(いわお)うごかず」「夢やぶれ〜荒(すさ)びし心に風吹きぬける」などと慨嘆し、自らの総破産を自認して滅び去った。まさに「革命家」をかたったファシストは、自ら恥多き死としか言いようのない姿をさらしたのだ。

 激動の現代世界とカクマルの総破産

 日本帝国主義は、北朝鮮の核実験(10月9日)やミサイル発射実験(7月5日)に際して、独自の制裁案を早々と発表するのみならず、自らのイニシアティブで国連安保理制裁決議採択に奔走した。
 これは、米帝・ブッシュによる軍事力を使った帝国主義間争闘戦の展開の中で、日帝が日米同盟の強化を全面的に推進しながら、他方で戦争に訴えてでも朝鮮・中国−東アジアでの自己の帝国主義権益を守り拡大しようとする立場からの積極的行動としてある。
 日帝・安倍政権は、北朝鮮侵略戦争の発動を決断している。その遂行のために、国内支配体制の構造的転換をかけた戦争国家づくり、国家改造の攻撃を行っているのだ。集団的自衛権行使の合憲化策動、教基法改悪−改憲、共謀罪新設、防衛庁「省」昇格など、すべてこの戦争を実際に遂行する観点から進めている。戦争をも辞さない日帝の体制的危機という点をけっしてあいまいにしてはならないのだ。
 これに対しカクマルは、安倍政権を「小泉以上に“対米盲従(ママ)”」と言い、「米帝の属国」などと相変わらず主張している。日帝の改憲攻撃に対しても、「ブッシュ押し付け憲法」と繰り返し、“戦後憲法はマッカーサーに押し付けられた憲法だったが、改憲の新憲法はブッシュに押し付けられたものだ”とし、“だから改憲に反対”としている。安倍や右翼もびっくりするような国粋主義からの「反改憲」論である。これではブッシュの代が終わったら改憲攻撃はなくなるかのようである。
 また、北朝鮮の核実験に対する経済制裁の発動と臨検を機とした米日帝の北朝鮮侵略戦争の危機に対し、さすがにカクマルも「対北朝鮮臨戦態勢の恒常化」などと口にし始めた。
 だがよく読んでみると、これはあくまでも侵略戦争のための臨戦態勢化ではなく、6者協議への圧力としてのものということなのである。“米日帝がけっして北朝鮮侵略戦争を具体的には行わないことを前提とした臨戦態勢の恒常化”なのだ。このインチキ性と侵略戦争に反対する闘いへの武装解除は絶対に許されない。
 そもそもカクマルはこれまで「朝鮮侵略戦争は中核派の捏造(ねつぞう)」などと主張し続けてきた。その立場が現実の国際情勢を前に完全に粉砕されているのだ。
 カクマルは、米帝のイラク軍事占領のもとで初めて成立が可能となっているマリキ政権を、イランと同じシーア派であるという一点で支持している。これでは米帝と同じ立場となるとして、あたかもこの政権が反米政権であるかのようにデマを流している。だが、反米ゲリラ戦闘を闘っているスンニ派を米軍と一体となって殺害して回っているのが、マリキ政権ではないか。
 黒田・カクマルは、開戦当初から「シーア派シスターニ師の熟柿(じゅくし)戦略」などとほめ上げ、帝国主義の侵略と闘うムスリム人民に敵対し、米帝のかいらい政権に期待を寄せてきた。だが今や激烈な内戦状態に陥ったイラク情勢を前にして、米帝ブッシュとともに完全に行き詰まってしまっているのだ。

 ファシストを打倒しよう!

 カクマルにとって、資本主義社会(帝国主義)の打倒など何の関心もないことである。彼ら自身、「現代革命の本質はまさに人間変革にこそあるという黒田さんの『哲学』」「わが組織はまさに『人間変革の場』そのものである」などと言い、帝国主義支配体制の打倒=変革という立場など皆無であることを告白している。
 労働者の貧困(ワーキング・プア)、使い捨て、人間性抹殺という帝国主義が強制する現実を労働者階級自身が革命によって変革し自らを解放するのではなく、黒田に依拠して自己救済を図るのがカクマルである。
 われわれは「党の革命」をやりぬき、「党は階級そのものである」という立場を確立した。党は、労働者階級の階級的利益を守り、帝国主義を打倒して労働者階級自身と全人民を解放するための組織であり、それは労働者階級人民が自らの自己解放的決起で帝国主義を打倒するためのものである。
 逆に彼らは「唯一の前衛党」を掲げて、闘う労働者に敵対し、運動を分断・破壊・襲撃するファシストである。まさにわが革命的内戦による勝利と、その土台に立った5月テーゼ−新指導路線における労働者人民の総決起、階級的力がこれを粉砕したのだ。労働者の自己解放的運動の前進こそファシストカクマル組織を衰滅に追いやってきた最深の根拠である。
 今、カクマルは絶対的党首=黒田の死で衰滅を深め、ついに労働者人民による包囲の中で階級的鉄槌を受けて死滅する道へと歩んでいる。
 4大産別決戦に勝利し、闘う労働者による組合権力奪取を実現しよう。動労千葉労働運動を実践しよう。教基法改悪阻止決戦―改憲阻止決戦に敵対するカクマルを粉砕しよう!

------------------------TOPへ---------------------------