ZENSHIN 2008/03/17(No2335 p06)

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週刊『前進』(2335号1面1)(2008/03/17 )

 イラク反戦5周年全世界一斉デモ “団結し戦争とめよう”

 全国17都市で怒りの総行動

 サミット決戦宣言世界にとどろく

 収用委裁判控訴審判決 水嶋同志無罪の大勝利 2面記事

4人逮捕はねのけ渋谷大デモ

3月16日、全世界でイラク反戦闘争が闘われた。東京では代々木公園B地区でのワーカーズアクション実行委主催「イラク反戦!全世界一斉デモ」に1350人が結集。さらに420人が参加した大阪を始め、全国17都市で一斉行動が闘われた(詳報次号)。資本と非和解で闘い、ストで職場を停止させ、街頭デモで国家権力と激突する――3・16集会は、階級的労働運動が時代の最前線に躍り出て革命へ進撃する決定的な合図となった。動労千葉派が先頭でそれを切り開いた。

 権力の厳戒態勢を粉砕

 集会後、ただちに渋谷の街のデモに飛び出した。先頭は青年労働者と全学連の隊列だ。
 「労働運動の力で革命をやろう!」「労働者の団結で戦争をとめるぞ」。スクラムを組み、意気高く突き進むデモ隊列に、渋谷の街中からものすごい注目と共感が集まる。労働者の怒りは、街中にあふれているのだ。デモ隊が進むにつれ、沿道から労働者がどんどんデモに合流した。
 このデモに震え上がったのが警察権力だ。デモの先頭が渋谷駅前スクランブル交差点にさしかかった時、突如、警官がデモ隊列に乱入して、青年労働者に襲いかかった。狙い撃ち逮捕だ! みな体を張って仲間を守ろうとして、いたるところで大激突が起こり、その激突の中で4人の青年労働者が逮捕された。戦闘的デモを一切封じ込めようとした厳戒態勢を突き破って、渋谷の街は騒乱状態だ! 怒りをさらに倍加させて、宮下公園までデモを戦闘的に闘いぬいた。

 青年労働者が最先頭で

 午後1時半、会場の中心には大挙駆けつけてきた動労千葉の組合員が陣取った。冒頭に発言した動労千葉の田中康宏委員長は、3月14〜15日に24時間ストに立ち上がったことを報告し、国鉄1047名闘争をめぐって3月13日に下された東京地裁判決を徹底弾劾。そして「国鉄分割・民営化から20年、われわれは大きな展望を切り開いてきた。動労千葉は分割・民営化攻撃と最後的な決着をつける闘いに突入する」と力強く宣言した。
 三里塚芝山連合空港反対同盟から、北原鉱治事務局長が「三里塚は若い諸君の未来を切り開くために闘う。3・30三里塚現地闘争に結集を」と呼びかけ、萩原進事務局次長が「農民と労働者の連帯こそ勝利のカギ。農民は、今の社会の体制そのものを変える闘いに決起する」と宣言した。
 憲法と人権の日弁連をめざす会の森川文人弁護士は、高山俊吉弁護士を押し立てて闘った日弁連会長選の大躍進を報告し、「弁護士は、プロレタリアートとともに権力を吹き飛ばす革命に立ち上がる」と述べた。
 「君が代解雇」処分と激突して闘う東京の教育労働者・根津公子さんは、「トレーナー処分」を打ち破った2〜3月の都教委行動を勝利感に満ちて報告。「この間の闘いをとおして、原則的に闘えば都教委の厚い岩盤を打ち砕くことができることを実感した。私がクビになったとしても、闘いはもっともっと続く。最後には必ず勝ちます」と表明した。
 「イラク反戦5周年/全世界一斉デモ! 労働運動の力で革命やろう!」と題して、医療労働者が基調を提起した。まず「世界は革命情勢です」ときっぱり。「労働者を食わせられないのも、戦争をやるのも、すべて資本家たちだ。全世界で労働者が立ち上がっている。革命は絶対にできる! 資本家が最も恐れているのは、労働運動の階級的な爆発だ」と述べて、「私は革命がやりたい。労働組合運動への絶望を生み出してきた御用組合と徹底的に闘おう。私たちが職場闘争の方針を打ち出して、徹底的に職場闘争を巻きおこし、本物の団結を職場に取り戻そう」と訴えた。力強いアピールに熱い拍手が鳴りやまない。
 続いて、全学連の織田陽介委員長が、「労働者と学生が団結して闘った時に、資本主義はぶっ壊れる。全国の学生は洞爺湖サミット粉砕のストに立ち上がる」と宣言した。海外からの連帯メッセージが紹介された。
 ハイライトは青年労働者・学生のリレーアピールだ。金属労働者は賃下げに怒りを燃やして「ストライキをやらなければわれわれの怒りはおさまらない」と宣言。医療労働者は「現場を動かしているのは私たち労働者だ。ストで資本との力関係を変える」と決意表明した。
 自治体労働者は「体制内の労組執行部に対する怒りが噴き出している。この怒りで、腐った委員長を引きずり下ろす」と述べた。3月9日の国際婦人デーのデモで不当逮捕された青年労働者の仲間が大挙登壇して、「仲間を返せ」と訴えた。
 法政大学の学生は「ついに平林を打倒した。キャンパスで『一緒に革命をやろう』と訴えて団結をつくる」と述べた。
 全逓労働者がまとめで「今日の集会とデモを、明日からの職場闘争に還流しよう。JP労組本部の屈服に対し、22万組合員の怒りが沸騰している。職場から反撃して、11月労働者集会1万人結集へ攻めのぼろう」と提起。団結ガンバローとインターナショナル斉唱で、ただちにデモに飛び出した。
(写真 代々木公園B地区野外ステージ前を1350人が埋めた【3月16日】)

 ストとデモの実力闘争

 3・16闘争は、体制内労働運動と激突して、ストライキとデモで資本と非和解で闘う春闘、労働者の実力闘争の復権を宣言した。国鉄・教育・全逓・自治体の4大産別で激突が始まった。不当逮捕が職場の団結をますます強めている。この道を断固突き進んで、勝利しよう!
 3・23沖縄県民大会を成功させ、3・30三里塚現地大闘争へ全力で決起しよう。

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週刊『前進』(2335号1面2)(2008/03/17 )

 動労千葉 “俺たちが職場の主人公”

 第1波24時間ストを貫徹

 動労千葉は「大幅賃上げ獲得」「業務の外注化絶対阻止」「強制配転者の原職復帰」を掲げて3月14日、春闘第1波の24時間ストライキを貫徹した。JR東日本の全地上勤務者(検修・構内、営業)がストに入った。
 組合員は早朝から、スト拠点職場でのビラまきに決起。平成採の労働者に「ストライキは生産を止めて『俺たちこそが職場の主人公だ』『社会の主人公だ』ということを示す闘いだ」「今こそ東労組と決別し誇りと団結を取り戻そう。動労千葉に結集しともに闘おう」(日刊動労千葉 3月14日付)と呼びかけた。
 その後、一部業務の外注化が強行された京葉車両センター(千葉市、習志野市)門前に全支部から100人の組合員が集まり、怒りの声をたたきつけた。JR千葉支社は2月から、千葉管内で初めて京葉車両センターでの車輪転削業務外注化を強行した。車輪の転削業務は危険と隣り合わせである上、車両を安全に運行するためにきわめて精密な作業が問われる仕事だ。動労千葉は、こうした業務を徹底した低賃金で外注化したJR東日本の安全無視の姿勢を徹底弾劾した。
 午後には千葉県労働者福祉センターでスト貫徹総決起集会が開かれ、200人を超える組合員が参加した。
 あいさつに立った田中康宏委員長は「今日のストは、いまの時代の中で“労働組合とは何か”を世に問うストライキだ。労働組合がしっかりしていれば尼崎事故など起きなかったはずだ。外注化もライフサイクルも、東労組の裏切りなしには提案すらできなかった」と述べた。そして、前日13日に東京地裁で出された鉄道運輸機構訴訟をめぐる反動判決を徹底弾劾しながら「1047名闘争でも労働組合の構えが問われている。今日のストは判決への動労千葉の回答でもある」と語った。
(写真 外注化に怒り! ストに決起した組合員は一部業務の外注化が強行された京葉車両センター前で抗議闘争に決起【3月14日 千葉市】)

 生まれて初めてのストライキ!

 川崎昌浩執行委員は交渉報告で、JR東日本が行った930円という回答を弾劾し「ストライキで超低額回答に反撃しよう!」と訴えた。
 さらに、スト拠点支部の組合員が続々と決意を表明。昨年10月に動労千葉に結集した青年労働者は「生まれて初めてのストライキ。外注化阻止、組織拡大にむけてがんばりましょう」と述べ、大きな拍手を受けた。
 行動提起を行った長田敏之書記長は「今日の闘いは第1波、闘いはこれからだ。ライフサイクルの4月実施粉砕へ、全支部でいつでもストライキに入れる闘争体制を堅持してほしい。さらに、JR貨物でのベアゼロ打破へ3・18貨物協議会総決起集会に結集しよう」と訴えた。
 動労千葉は労働運動の復権をかけ、08春闘ストライキを敢然と打ち抜いた。動労千葉の闘いに続け! あらゆる職場で春闘ストに立ち上がろう!

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週刊『前進』(2335号1面3)(2008/03/17 )

 おことわり

 3・16「イラク反戦!全世界一斉デモ」報道のため、報道特別号として発行を遅らせました。

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週刊『前進』(2335号2面1)(2008/03/17 )

 3・30三里塚闘争へ

 労農同盟の力で勝利を開け

 戦争・恐慌・貧困の帝国主義 7月洞爺湖サミット粉砕を

 3・16イラク反戦5周年の全世界一斉デモは、東京を始め全国各地で戦闘的に圧倒的にかちとられた。帝国主義の侵略戦争と不屈に闘いぬくイラクの労働者人民、全世界で闘う労働者階級と連帯して、帝国主義打倒―世界革命をめざす闘いとして打ちぬかれた。これと一体で動労千葉は14日、検修職場を軸に春闘第1波ストライキに断固決起した。闘えば勝てる! 労働者の団結には、資本家どもをぶっとばす力がある。職場闘争でさらに団結を固め、前進しよう。3・16の大爆発の力で3・30三里塚闘争に圧倒的に決起しよう。さらに4〜5月闘争から6〜7月洞爺湖サミット粉砕決戦へ進撃しよう。

 ストは労働者階級の武器

 3月9日、東京の国際婦人デー闘争で2人の青年労働者がまったく不当にも逮捕された。警察は階級的労働運動と7月洞爺湖サミットに向けた3・16闘争の大爆発を恐怖して、この理不尽な弾圧をかけてきたのだ。
 これに対して労働者・学生、家族の怒りが爆発した。連日、池袋駅頭で不当逮捕弾劾、即時奪還のための宣伝戦が展開され、「3・16大結集で反撃しよう」との呼びかけに多くの青年が応えた。
 3・16闘争は、この大弾圧への怒りをもバネにして大爆発した。権力の狙いとは逆に、3・9弾圧は青年労働者の一層の決起と団結をつくり出したのだ。
 最末期帝国主義の新自由主義攻撃は、帝国主義の危機を救うどころか、ますます体制破局的な危機に追い込んでいる。民営化・労組破壊と安全破壊の攻撃は、至るところでブルジョアジーの支配の破綻(はたん)を広げ、労働者の怒りの決起をつくり出している。
 しかもこれはまだ、これから爆発する壮大な闘いのほんの始まりだ。世界金融大恐慌の嵐は、世界中の労働者階級を「闘わなければ生きられない」現実に一層たたき込む。全力で反撃しなければ、労働者は資本家の延命のために賃金を削られ、リストラされ、長時間過密労働に駆り立てられ、さらに社会保障制度の解体、ガソリンや食料、生活必需品の値上げが襲いかかる。これでどうやって生きていけと言うのか!
 そればかりではない。民営化・労組破壊の攻撃で鉄道が廃止され、郵便局、病院、学校、役所が統廃合されて、地方はずたずたに破壊されている。低所得の労働者・高齢者は年々上がる年金・健保の支払いに苦しめられ、健康保険証も取り上げられて医者にもかかれない。これがこの帝国主義・日本の現実だ。
 だが、世界金融大恐慌と世界戦争にのめり込む帝国主義は、どんなに危機を深め、ボロボロになろうとも自ら権力を手放すことはない。だから、労働者の力で絶対に打倒しなければならない。労働者階級が団結して職場支配権を握り、政治権力をとりプロレタリア独裁を樹立するならば、失業や戦争、貧困・飢餓を一掃し、差別・抑圧のない新しい社会を建設することができるのだ。
 それは今や、全世界の労働者階級の切実な課題である。「労働運動の力で革命を」。これを本当に実現することの中に勝利の展望がある。
 実際、労働者階級は全世界で怒りをたぎらせて立ち上がっている。どこの職場であれ、労働組合であれ、一人でも労働者が勇気を出して声をあげたら、必ず仲間が決起し、情勢は大きく動き出す。3・16闘争はそのような闘いを全国に広げる突破口を開いた。
 体制内労働運動の抑圧をぶち破り、「階級的団結」を打ち固め、「絶対反対」とプロレタリア革命への闘いを貫く階級的労働運動を全国につくり出そう。動労千葉派を圧倒的につくり出し、労働運動の勢力地図を革命的に塗り替えよう。
 ここで重要なことは、処分や弾圧を恐れぬストライキが闘われ始めていることだ。全駐労、北教組のストライキ、教育労働者の「日の丸・君が代」不起立=40秒間のストライキ、そして動労千葉のストライキ。民間でも相模鉄道労組や中小の労働組合が、連合中央の屈服・制動をうち破って、ストライキで組合員の団結を固めている。抑えつけられてきた労働者の怒りと闘いは、明らかに一線を越えて新たな高揚段階に入ったのだ。
 08春闘でも労働者が生きるためには、団結し、ストライキを打ち、実力で賃上げをかちとらなければならない。連合の体制内指導部のようにストも打たず、資本に交渉でお願いしても、ブルジョアジーはなんの譲歩もしない。団結し、ストに立ち、実力で賃上げをかちとるしか、労働者は今や生きていけないのだ。
 「どのストライキも、本当の主人は資本家ではなくて、ますます声高く自分の権利を主張している労働者であるということを、そのつど資本家に思い出させる。どのストライキも、労働者の状態は絶望的ではなく、彼らはひとりぼっちではないということを、そのつど労働者に思い出させる」(レーニン「ストライキについて」)
 団結とストライキこそ、労働者の階級的武器だ。動労千葉のストライキに続き、さらに春闘ストに決起し、一律大幅賃上げ実現へ闘いぬこう。

 農地を守って日帝と闘う

 3・30三里塚闘争に全国から全力結集し、労農同盟のきずなを強固に打ち固めよう。3・30闘争は3・16闘争の地平をさらに発展させる闘いだ。労働者はストを武器に、農民は農地を武器にして帝国主義と闘うのだ。
 三里塚42年の闘いの地平は偉大だ。三里塚は日本の労働者・学生・農民が血を流して守りぬいてきた革命の砦(とりで)だ。国家の殺人的暴力に実力で立ち向かい、体を張った闘いによって、軍事空港建設を阻み、農地を死守し、全国の労働者人民に、国家権力に立ち向かう勇気と確信を与えてきた。一見「強大」に見える国家権力も、人民が「絶対反対」の立場で団結して闘えば、これをうち破り、逆に敵の致命的弱点に転化できる。このことを、三里塚42年の闘いは示してきた。
 動労千葉は三里塚農民と固く連帯し、ジェット燃料貨車輸送をストライキでストップさせ、三里塚闘争の勝利へ闘ってきた。動労千葉の布施宇一元副委員長は、「権力の全体重をかけた攻撃と対峙する三里塚農民の闘いを……全組合員が目の当たりにしてきた経験は、われわれの視点を確かなものにしてくれたという意味において、きわめて重要なことだった」(『俺たちは鉄路に生きる3』)と語っている。
 反対同盟の敷地内農民である市東孝雄さん、萩原進さんは、暫定滑走路北延伸と農地法を使った農地強奪という断じて許せない攻撃と真っ向から闘っている。その闘いは暫定滑走路の延長を日々阻止し、空港会社に大打撃を与えている。空港と航空路をめぐる帝国主義間争闘戦で、日帝を決定的な危機にたたき込んでいるのだ。
 市東さん、萩原さんら三里塚農民は、日本の労働者階級と農民の勝利のために、農地を武器に闘っている。「おれの作る大根は1億円以上の価値がある」と、誇り高く闘う三里塚農民と連帯し、3・30現地闘争に全国から総決起しよう。労農同盟の発展が勝利の道だ。全力で3・30三里塚へ!

 3・23沖縄県民大会成功を

 さらに、米軍犯罪の続発に怒りをたぎらせる沖縄県民と連帯し、3・23県民大会を大成功させよう。青年労働者を先頭に5月沖縄闘争へと決起し、米軍基地撤去、辺野古新基地建設絶対阻止へ闘おう。

 6〜7月サミット大決戦へ

 どん詰まりの危機にあえぐ帝国主義の首脳が7月7〜9日、洞爺湖サミット(先進国首脳会議)を開こうとしている。世界中で侵略戦争を強行し、資源を略奪し、貧困と飢餓をつくり出している帝国主義強盗のトップが集合する。やつらは金もうけのために自然と環境を破壊している元凶であるのに、「環境保護」「地球温暖化対策」などと称して、これすら金もうけの対象にしようとしている。どこまでも腐敗している。帝国主義を打倒しなければ、地球環境の破壊は止まらない。
 労働者の決起と世界革命の足音に脅える帝国主義者どもは、「テロ対策」と称して治安弾圧を激化させている。だが一方で帝国主義間の分裂と争闘戦は激化するばかりだ。世界金融大恐慌―大不況時代への突入で、資源と市場・勢力圏をめぐる帝国主義の対立と死闘はますます激しくなる。
 大恐慌と世界戦争に突き進むこの帝国主義の破局的危機を迎え撃ち、労働者の総決起をもって全世界にとどろくサミット粉砕闘争を大爆発させ、プロレタリア世界革命勝利へ前進しよう。職場から6〜7月サミット決戦に断固として立とう。
 この闘いのただ中で、マルクス主義で武装した労働者党を建設しよう。とりわけマル青労同、マル学同の各1000人建設に全力をあげよう。

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週刊『前進』(2335号2面2)(2008/03/17 )

 水嶋裁判控訴審で無罪

 検察官の控訴棄却 デッチあげ弾圧を粉砕

 3月11日、水嶋秀樹同志の控訴審(東京高裁第12刑事部・長岡哲次裁判長)で、一審に続き無罪判決を勝ち取った。大勝利である。
 水嶋同志は、1988年千葉県収用委員会会長せん滅戦闘でデッチあげられた。1990年のデッチあげ指名手配から18年、2001年の不当逮捕から7年に及ぶ長期間、不屈に闘いぬいてかちとった歴史的勝利だ。
 傍聴券の配布所には、水嶋同志の全逓時代の仲間、友人、支援者を始め百人近い人たちが集まった。三里塚現闘の同志の顔も見える。傍聴席は満員となり、抽選で法廷に入れなかった人びとは裁判所の廊下を埋めた。
 午後1時30分、長岡裁判長が、「控訴を棄却する」と言うと同時に、拍手が巻き起こり、「おめでとう」「よーし」「勝利だ」という声が次々に上がる。法廷の外でも大歓声だ。水嶋同志が傍聴席に向かって満面の笑顔で一礼した。
 この裁判は明白なデッチあげ事件であった。
 自ら9・21戦闘の「実行犯」であると自供した転向分子・正井利明は、「統括責任者」を「A」という記号で「供述」していた。その正井が、2カ月間連日、長時間取り調べられた末、「共犯者」の写真特定を、警視庁公安刑事・根塚英樹に強要された。正井は水嶋同志の写真を「A」であるとして選別した。しかしその写真たるや水嶋同志の16年も前の若い時のもの1枚だけで、ピントがあっていないぼやけたものである上、背景が塗りつぶされ偽造された特異な写真であった。この正井の写真特定以外に物証はまったくなかった。
 水嶋同志が不当逮捕された後、万世橋警察署で正井は1時間も取調室の水嶋同志をマジックミラー越しに見させられた。そして検事に対して「どうも別人のようだ」と供述していたのだ。にもかかわらず瀧沢佳雄検事は「正井の供述は真意とは思えない」などと言って強引に起訴した。
 法廷で正井は、水嶋同志を間近に見、表情を見、並んで立って体格を見、声を聞き、「Aとは違うようだ」と何度も証言したのである。一審無罪判決は当然であった。
 しかし、なおかつ検事は控訴した。検事は「正井は、水嶋の容貌(ようぼう)が経年変化したのでわからなかった」とか「わかったのだが、報復を恐れて真実を証言できなかった」などと矛盾するへ理屈を並べ、結局は無残に破産していった。
 このように、国家権力は意識的に水嶋同志にデッチあげ弾圧を強行したのであり、この攻撃こそ、三里塚闘争と革共同の破壊を狙った極悪の弾圧であった。
 正井の許しがたいデッチあげ「供述」を利用して加えられた9・21戦闘デッチあげ弾圧に対して何人もの同志が不屈に闘いぬいてきた。その地平と一体となった水嶋裁判の勝利をもって、今ここに、9・21デッチあげ弾圧に完全に勝利したと宣言できる。この勝利をバネに、3・16の大爆発から、3・30三里塚へ大結集しよう。
(写真 無罪判決をかちとり、デッチあげ弾圧粉砕の喜びにわく水嶋同志と弁護団【3月11日 弁護士会館】)

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週刊『前進』(2335号3面1)(2008/03/17 )

 資本家ぶっ飛ばせ団結で革命を

 国際婦人デー東京行動 職場からの訴え次々と

 教労 河原井さんら熱いアピール

集会後,池袋の街をデモ。「労働者は団結しよう!」と元気にアピール(3月9日)

3月9日、08年3・8国際婦人デー東京行動が、「労働者からますます搾り取る資本家どもをぶっとばそう! 戦争なんかに希望はない! 労働者は団結して革命おこそう!」のスローガンを掲げ、首都圏の青年労働者・学生を先頭に約150人の結集で闘われた。資本や労資協調の組合執行部と闘い、仲間と団結を固めるために全力を尽くしてきた一人ひとりの発言に全参加者が集中し、ひとつになった。最末期帝国主義の階級分断攻撃を階級的労働運動の実践でうち破り、真の団結をつくり出そう、それは必ずできると確信させる闘いだった。
 集会は実行委員会の主催で、池袋のコア・いけぶくろで開かれた。労組交流センター女性部と婦民全国協の2人の司会が開会を宣言。三里塚芝山連合空港反対同盟婦人行動隊の宮本麻子さんが、「市東さんの農地強奪との闘いをはじめ、国と空港会社との決戦にきている。政府の農業・農民切り捨てを絶対に許すな。3・30三里塚集会へ大結集を」と呼びかけた。
 動労千葉家族会の佐藤正子さんは、「自らも労働者として社会の主人公であり、動労千葉の闘い方、生き方に続こうと決意している」と語り、動労千葉春闘ストライキとともに闘うことを呼びかけた。
 卒業式闘争のさ中で3人の教育労働者が「日の丸・君が代」不起立のアピールを行った。根津公子さんとともに「不当解雇を許さない」と闘う河原井純子さんは「口先で言うのではなく、具体的に何をするか。広島で青年が不起立を自己解放として闘っている。この若者とつながりたい」と発言した。
 東京、神奈川の教育労働者は、「職場から反乱が始まっている。徹底して職場の仲間を信じて闘う」「奈良市教組は本部方針で不起立を掲げ、北教組も24年ぶりにストライキを闘った。一人から始めたら必ずつながる」と決意を語った。
 2人の医療労働者が基調報告を行った。「職場で闘えば御用組合とぶつかり、革命を訴えると『引く』という人が出てくる。しかし、『革命しかないから革命』なのではない。革命をやりたいのだ。理屈ではなく、生きていけないから『生きさせろ!』だし、おこぼれよこせではなく『食っていけないから食わせろ!』だ。この社会を労働者が動かしてやろう。動労千葉のように闘えば資本の枠を越え、全世界でつながれる。ストライキをしたい、しようと思う過程が団結をつくる。労働者はひとつだ。例外なく職場の闘いを爆発させよう」と訴えた。
 歌に続き、大阪・八尾の西郡住宅闘争へのカンパアピールが行われ、基調報告にこたえて職場からの訴えが続いた。自治体現業の闘いを労組交流センター女性部が報告した。医療労働者はストライキをやれる団結をつくるために3・16を訴えていると報告した。
 7年も続いた深夜勤務で体をこわした仲間もいるという派遣労働者は、正規職化を徹底追求する闘いを報告。合同労組で闘う青年は、職場での仲間との真剣な論議を報告した。「友達のきずなは壊れても、労働者のきずな、団結が残った」と語った。
 法政大学で闘う学生は、「大学は学生を労働力商品として高めていくことしかない。そんな大学当局とは非和解。労働者と一緒にストライキをやり、法大から社会を変える。3・16を一緒に闘おう」と訴えた。
 全逓の青年労働者が発言に立ち、「集会には怒りがあふれている。産別は違っても怒りの根源は同じ。春闘は春になったら労働者はひとつになって闘うということだ。たとえ組合執行部をとっていなくても怒りを組織すれば闘える。自分の怒りと現場の怒りがひとつになったらやれる。超勤拒否の闘いがそうだった。自分たちはロボットじゃない。現場の怒りに正義はある。3・16集会・デモを職場闘争の練習にしよう。みなさん集まってください」と訴えた。
 最後に労組交流センター東京女性部長が「自信をもって労働運動の力で革命やろうと訴えよう」としめくくった。

 2人逮捕怒りの池袋デモ

 デモは集会成功のエネルギーを解き放って高揚した。「生きていけるだけの賃金よこせ」「労働運動の力で革命おこそう」「戦争なんかに希望はない」「年金削って戦争するな」などのコールが街頭に響きわたった。
 警察は、国際婦人デー闘争が、街頭の労働者人民と結合することに恐怖して、デモの途中で2人の青年労働者を逮捕するという不当極まりない弾圧を強行してきた。しかし、この弾圧は逆に、デモ隊と労働者人民を一体化させた。権力や右翼と闘うデモ隊に、人びとが次々と合流してきた。
 デモ終了後、直ちに池袋署に抗議行動を行った。署の周辺が怒りと抗議の声で騒然となった。
 今年の3・8行動こそロシア革命の口火を切った国際婦人デー行動をよみがえらせた闘いであり、21世紀プロレタリア革命を切り開く闘いだった。
(写真 怒りあり笑いあり感動ありの職場闘争報告に、全参加者が熱心に聞き入った【3月9日 東京・池袋】)

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週刊『前進』(2335号4面1)(2008/03/17 )

 部落解放闘争の新たな展望

 部落大衆と労働者の階級的団結―革命にこそ勝利の道

 速見健一郎

 帝国主義世界体制は、最末期の死の苦悶(くもん)の果てに、世界金融大恐慌と世界戦争の破局へと突入している。帝国主義・資本主義がもたらす全世界への抑圧と差別、搾取と収奪、貧困と飢餓、侵略と虐殺の全体系を打倒するのは、プロレタリア世界革命の達成による共産主義社会への人類史的発展以外にない。プロレタリア解放はプロレタリアート自身の事業である。そしてプロレタリアートの特殊階級的解放は同時に全人間の普遍的解放として貫徹されるのである。このマルクス主義の原則が今や全世界に再び不死鳥のようにはばたく時代が到来した。
(写真 住宅追い出し攻撃に怒りのデモ【2月24日 八尾市】)

 西郡住宅闘争は階級的部落解放闘争の出発点

 7・7思想とは、マルクス主義の革命的再確立によるプロレタリア世界革命論であり、帝国主義・資本主義の労働者階級ヘの分断攻撃に対する国際的階級的団結論だ。
 7月テーゼこそ、この7・7思想を徹底したマルクス主義思想として、21世紀のプロレタリア革命の階級の大地に打ち立てたものだ。このマルクス主義の原則を貫く実践的立場こそ、階級的労働運動路線である。
 この7月テーゼと階級的労働運動路線が、マルクス主義を土台にして、相互媒介的一体的な力強い実践と発展を遂げようとするや否や、党と階級の内外に激しい分岐が引き起こされている。
 それは、革命的情勢の急速な接近が党と階級の内部に求める、すさまじい実践的飛躍と決断をめぐる動と反動の激突である。マルクス主義とは実践的唯物論である。あいまいな余地は一切ない。
 マルクス主義的実践とは、情勢の危機と激動に対して、なすべき時になすべき飛躍と実践を党と階級に激しく求める。これを拒否した時、たちどころに腐敗と反動へ転落する。反対にどんなに困難でも飛躍と実践を貫いた時、党と階級のめざましい変革は可能となる。
 塩川一派は、この飛躍と実践を拒否したばかりか、そうした日和見主義を合理化し開き直ることによって、小ブル自由主義をどこまでも満展開させたのである。これこそが急速な変節と転向の反動的動力なのである。そして行き着いたのが、革共同破壊、動労千葉破壊を唯一の目的とするイデオロギーと動態、行動であり、その必然的帰結としてのマルクス主義の徹底的解体だ。
 この分岐と激突は、党と階級にとって沈滞と荒廃なのか? まったく逆である。そこにはマルクス主義的実践における労働者自己解放の発揚がかつてなくほとばしり、新たな革命的エネルギーと活性化が生まれ出ている。塩川一派との闘いは、革命的情勢の急接近の時代に、マルクス主義で武装して立ち向かう党と階級に歴史的生命力を注ぎ込む価値創造的意義を持っているのだ。
 塩川一派との闘いと完全に一体で、あらゆる階級闘争、労働運動の場で革命的分岐と激突が起こっている。とりわけ部落解放闘争では最も鋭く引き起こされている。
 この革命的分岐は主として、マルクス主義的な実践的飛躍の拒否である血債主義・糾弾主義をめぐって起きている。血債主義・糾弾主義は、労働者階級への分断攻撃に屈服し、階級的団結を拒否することで、プロレタリア世界革命を永遠の彼岸にする反マルクス主義の極致である。それゆえ、それは階級的実践の徹底的な放棄となり、体制内勢力、体制内労働運動への追随と屈服となる。
 この革命的分岐の中で「広島差別事件」の捏造(ねつぞう)が策動されたのであり、その対極に西郡(にしごおり)闘争の闘いが爆発している。
 2・24西郡闘争は、410人の大結集で感動的な集会とデモをかちとった。28人の預金口座を差し押さえ、強奪し、住宅から追い出し、生きることを奪う攻撃への根源的な怒りの反撃がたたきつけられた。
 八尾市のむきだしの差別行政への怒りを爆発させ、あくまでも応能応益家賃制度絶対反対を貫き、供託の団結を打ち固めて闘い抜く感動的決意が次々と述べられた。敵の攻撃はチャンスとして、階級的団結を総括軸に住宅闘争の新たな爆発が開始されたのだ。2・24こそ、戦前の水平社結成にも比すべき、新たな部落解放闘争の歴史的出発点である。

 末期帝国主義の新自由主義攻撃と闘う最前線

 2・24西郡闘争の総括をさらに深化させることをとおして、部落解放闘争の新たな道筋を切り開かなければならない。
 第一に、同日、部落解放同盟全国連中央指導部による「広島差別事件」の「真相報告集会」が行われ、西郡闘争なのか、「広島差別事件」捏造なのか、すべての労働者人民は鮮明な選択を迫られたのである。
 この二つの集会の対比から明らかになったことは何か? 西郡集会にあるものは、帝国主義への根源的な階級的怒りであり、労働者階級との階級的団結であり、闘いへのあくなき階級的実践である。「真相報告集会」には、このような怒りや団結、実践は皆無である。血債主義・糾弾主義には、怒り、団結、実践がない。そこにはプロレタリアートへの絶望と断絶があるのみである。
 そもそも西郡支部の人たちは昨年の11・4労働者集会に結集し、そこでの労働者階級との団結によって、自らを圧倒的に屹立(きつりつ)させ、この歴史的攻防に突入している。西郡闘争は11・4集会から始まったのだ。11・4でつかんだ階級的団結の不屈性、普遍性こそマルクス主義であり、そこから階級的な部落解放闘争の道筋が示されるのだ。
 逆に「広島差別事件」捏造は、この11・4をまったく位置づけられず、根底的に破産している。ここにマルクス主義を全面的に解体した血債主義・糾弾主義の本質的姿が示されている。
 この二つの集会の対比の中に、80年代国鉄分割・民営化攻撃と91年5月テーゼ以来のマルクス主義=労働者自己解放闘争とプロレタリア革命をめぐる路線的対立と激突がある。そこには階級的労働運動路線の成否、プロレタリア独裁思想の貫徹、マルクス主義復権をかけた闘いがある。
 西郡集会は、部落解放闘争をめぐる革命的分岐をかちとり、当面する壁を実践をとおして打ち破る闘いだった。この実践的唯物論の立場こそ「広島差別事件」捏造での血債主義・糾弾主義とその反マルクス主義本質を徹底的に暴き、新たな部落解放闘争の綱領的組織的運動的な展望を切り開く出発点を築いたのだ。

 新自由主義との対決が核心

 第二に、西郡住宅闘争こそが今日の最末期帝国主義との対決の最先端であり、その攻防の階級的核心は新自由主義攻撃との対決である。
 かつて80年代の新自由主義攻撃の先端を行った英サッチャーは、まず住宅の民営化と公営企業の民営化を図った。そこでは「資本の自由を妨げる社会的連帯を粉砕する」という徹底した団結解体と階級分断が貫かれた。
 日本では中曽根の国鉄分割・民営化として、労働組合解体を狙う攻撃が襲いかかった。「地対協攻撃」はこれと一体であり、それは団結解体による部落解放闘争絶滅の攻撃だった。
 他方で新自由主義攻撃は、資本のあくなき利潤追求の自由のために、金融的規制を始めあらゆる経済的規制を取っ払った。そのなれの果てに、今日の住宅バブル崩壊と低所得者を食い物にするサブプライムローン問題の爆発がある。
 新自由主義攻撃とその破綻(はたん)を示すものこそ、一方での民営化攻撃(労働政策)であり、他方でのサブプライムローン(経済政策)なのだ。サブプライム問題こそ、帝国主義の金融政策の矛盾の爆発であるとともに、住宅問題を一挙に巨大な階級闘争の課題へと押し上げている。
 このような新自由主義攻撃の中心部に位置するとともに崩壊的破綻点をなす攻撃と、真正面から闘い抜き激突してきたのが動労千葉であり、動労千葉型労働運動である。今ここに、動労千葉に続いて帝国主義の中心環と激しく激突する闘いが始まった。西郡闘争を最先端とする住宅闘争の新たな開始と発展である。

 階級的団結論と絶対反対論

 第三に、西郡闘争(住宅闘争)は、階級的団結論と絶対反対論をもって勝利の道を切り開くことができる。
 帝国主義の末期的危機のもとで住宅闘争は、応能応益家賃の導入・強制で部落大衆を住宅から追い出し、住宅の解体・民営化攻撃により部落大衆の団結とその拠点を解体する攻撃に対して、部落大衆自身の階級的団結を守りぬく闘いである。
 「供託」とは、そのような〈階級的団結>すなわち差別と闘う部落大衆の〈団結>がかかった闘いである。それゆえに権力と「絶対反対」の非和解的実力的対決に発展するのである。単なる「戦術」では断じてない。
 西郡住宅闘争は、部落大衆(部落民労働者)と全労働者との階級的団結の強化をかちとることによって圧倒的に貫徹される。ここでは、部落と部落差別の本質は部落民への身分的差別を徹底的に利用した資本主義・帝国主義による労働者階級への分断攻撃である、という階級的視点をしっかりと確認しなければならない。
 革共同は、これまでの部落解放闘争論のゆがみや偏向をのりこえ、部落と部落差別の階級的本質を、賃労働と資本の階級関係のもとで労働者階級への徹底した分断支配を貫くための、身分的差別の再編強化と資本主義的階級支配への組み込みとして把握してきた。
 こうした理論的路線的再確立を踏まえるならば、今日、帝国主義の最末期を迎え、新自由主義という資本のむきだしの階級支配が、階級分断、団結解体として部落と部落解放闘争にもきわめて激しく襲いかかっている現実をはっきりとつかむことができる。
 まさにこの攻撃と真正面から対決する西郡のような闘いこそが、この階級分断攻撃を打ち破り、労働者階級の団結を打ち固め、資本や行政に対する最も力強い革命的糾弾闘争を前進させることができるのである。
 さらにいま一つしっかり確認すべきは、この住宅闘争を全労働者階級が自らの団結強化のために闘い抜くことだ。
 かつて70年代の狭山闘争において、労働者の澎湃(ほうはい)とした大結集をかちとりつつも、それが支援・連帯の枠にとどまり、労働者階級全体の階級的団結に転化しきれなかったことの歴史的総括が求められる。
 それは70年闘争の高揚を、スト権ストをつきぬけ、帝国主義の新自由主義攻撃への転換と対決する隊伍の強化に結合させきれなかった歴史的限界とも重なる。すなわち、労働者階級が自らの労働組合的団結の強化のための主体的決起として部落解放闘争を闘うことが必要なのである。
 また住宅闘争そのものも、今や日本の労働者階級全体にとって死活的課題となっている(ネットカフェ難民、ホームレス問題)。国際労働運動の歴史においても基軸的闘いである。米帝国主義のもとでサブプライムローンの焦げ付きによる住宅差し押さえ攻撃との壮絶な死闘となっている。

 青年労働者の獲得が決定的

 第四に、2・24により西郡闘争は、階級的団結論と絶対反対論をもって階級的労働運動路線に完全に内在化した。今や4大産別決戦と並ぶいま一つの階級決戦として全国闘争化している。
 勝利の展望は大きく切り開かれている。西郡支部の住民の団結による自己解放的戦闘的屹立とともに、これと一体となって地域における労働組合的拠点と職場生産点の闘いの団結の強化・拡大をかちとることだ。いわばプロレタリア独裁的な地域的地区的(地区労的)な団結の強化・拡大の度合いに応じて、西郡闘争は全国的に拡大し、それによりさらに地区的な強大な柱が打ち立てられていく。
 強調すべきことは、労働組合の拠点形成とその地区的団結の強化は、青年の獲得を絶対的要素としていることだ。西郡闘争もまた青年(労働者)の獲得に一切がかかっているのだ。

 「差別事件」捏造に走る旧与田派同志会指導部

 2・24西郡闘争の爆発と高揚と3・16の爆発をとおして、「広島差別事件」の捏造策動に階級的断を下すべき時が来た。
 すでに本紙2333号3・14アピールにおいて「広島事件」に対する革共同の基本的見解を明らかにしている。
 革共同は、多くの闘う同志や支持者が「広島差別事件とは何か」について、全国部落青年戦闘同志会や全国連の一部指導部の一方的なキャンペーンが流されることで、その判断や評価をめぐって、いわば「闇の中」に置かれ、苦しみ悩んでこられたと思う。
 しかし、それは、「広島事件」はあくまでも「党内の組織問題」であり、その確固たる階級的核心を死守するために、切歯扼腕(せっしやくわん)の思いを持ちつつ、革共同が公然たる見解を抑制してきた結果であり、それはまったく正しい最も真摯(しんし)な対応であった、と確信している。
 革共同は、この間の対応そのものの中に、「広島差別事件」の捏造への激しい怒りと、血債主義・糾弾主義への弾劾と主体的のりこえを込めていた。だがそれは、ついに階級闘争の実践的前進をとおして、あえていえば「党内組織問題」をのりこえ、階級全体の決起へと発展していることをがっちりと確認したい。
 革共同は、今や7月テーゼに基づく部落解放闘争の発展をかけて、階級的労働運動の成否をかけて、「広島差別事件」の許しがたい捏造と断固対決し、一歩も引かない不退転の闘いを貫徹していくことを、本稿において宣言する。

 “自民党や解同本部派と共闘”

 「広島差別事件」の捏造とは何か。
 第一に、この捏造の本質は、「(革共同に対する差別糾弾闘争は)自民党から解放派から、さまざまな党派、あるいは解放同盟にも呼びかけをして、すべての勢力を結集して、真相報告会をもって、糾弾闘争になっていく」(1・12全国連拡大中央委での小森中執の方針提起)という言動にすべてが表されている。
 これは個人の意見ではない。「中央執行委員会のなかで論議」された“中執決定”である。断じて看過できないのは、これが「糾弾闘争というのは、差別は許さないという一点で立ち上がっていく」と言っているように、全国連の「糾弾闘争の方針」として、「路線」として出されているのだ。ここには、差別糾弾であるならば権力=自民党とも手を組むという「糾弾主義」のおぞましい極致がある。
 それは、部落解放闘争の体制内的融和主義的翼賛化への変質と投降の路線に明確に踏み出しているということなのだ。そしてそのために「広島差別事件」の捏造で変質、転向を合理化し、そればかりか部落解放闘争の階級的発展を圧殺しようとしているのである。
 現在、「広島差別事件」の「糾弾内容」は「物取り主義」批判に絞られてきている。これはまさに、体制内翼賛化のためには西郡住宅闘争を圧殺しようということなのである。2・17全国連中執議案の「革共同の介入・ひきまわし・利用」「西郡支部は利用され、ぼろくずのように捨てられる」なる西郡闘争への悪罵(あくば)の限りは、その表れである。
 第二に、「広島差別事件」などは、まったく存在しなかったのであり、完全な捏造である、ということである。この一点において真実は絶対に揺るがない。したがってそもそも「部落民が差別だと言っているのだから差別があったのではないのか」といわれるものは、前提においてまったく成り立たない。
 そもそも「部落民が差別だといったら差別である」ということは「部落民の差別への怒り」の重々しい現実を示す一定の真実ではあるが、しかし率直にいえば百パーセントそうであるとは言えない。階級的団結の形成のために格闘する立場が必要なのだ。だがむしろ、断じて許しがたいのは、差別と真剣に闘おうとする階級の行為を卑劣に利用して、差別事件の捏造が行われていることなのである。
 この問題のとんでもないすり替えをもって差別糾弾闘争をゆがめ、変質させては絶対ならない。この卑劣な捏造に屈服するならば、部落解放闘争や差別糾弾闘争は反動的に解体されてしまう。
 「確認会に出て差別ではないとはっきりさせて全体を獲得すべきでないのか」なども、差別事件の捏造という現実をあまりにも軽視した議論だ。「広島差別事件」の捏造が逆に、糾弾闘争の階級性を破壊することを絶対に許してはならないのである。
 第三に、この差別事件の捏造が、実はいったん与田とともに打倒された同志会の一部指導部によって策動されていることに決定的な核心がある。
 旧与田一派の同志会一部指導部は、塩川一派と平然と合流し、自己の革共同からの脱落・逃亡を合理化するために、このような「広島差別事件」の捏造によって、先頭に立って全国連を変質させ、部落民第一主義を振りかざし、革共同破壊を目的に、階級的労働運動と7月テーゼの否定、敵対を絶叫しているのだ。
 そこに貫かれているのは、プロレタリア革命への敵対であり、マルクス主義解体の極致である血債主義・糾弾主義とその破産である。
 与田は「自分は血債主義者ではない」とうそぶきながら、実際には血債主義・糾弾主義を巧妙に使って強権的・官僚主義的に党内を屈服させつつ、これと裏腹に党中央への狡猾(こうかつ)な面従腹背を貫いていた。同志会一部指導部は、この与田とまったく変わらない。いや与田の小ブル自由主義に追随し、与田の党内官僚支配に乗っかり、与田が打倒されれば面従腹背をきめこみ、それも破産した時に、ついに「広島差別事件」を捏造したのだ。
 まさに「広島差別事件」捏造とは与田の路線と思想の無残な残骸だ。
 7月テーゼの闘いは今や一歩もひけぬ「党の革命」である。西郡住宅闘争は、この「党の革命」のみずみずしい実践だ。
 「ただ一つ最後まで革命的階級であるプロレタリアートとのわれわれの結びつきを利用して革命にプロレタリア的な刻印を押し」(『民主主義革命における社会民主党の二つの戦術』レーニン)て闘いぬく中に革命的部落解放闘争の発展はかちとられるのである。

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週刊『前進』(2335号5面1)(2008/03/17 )

 労農同盟の旗のもとに 3・30三里塚に全国総結集を

 農地取り上げ許さない

 三里塚反対同盟の訴え(上)

昨年の10・7全国総決起集会に1460人が結集。「買収に負けず大根つくる」と壇上から訴える市東孝雄さん(成田市)

農地取り上げ攻撃への怒りを燃やし、三里塚に駆けつけよう。人民のうねりで北総大地を埋めつくそう。三里塚芝山連合空港反対同盟は、「農地死守・実力闘争」の原則を貫き42年間闘いぬいてきた(現在の青年労働者が生まれるずっと前から!)。その歴史に刻まれているのは農民・労働者・学生の血と汗を流した実力闘争であり、車の両輪としての動労千葉との固いきずなである。そして韓国民主労総との熱い交流の1ページが加わり、三里塚は労農連帯・国際連帯の揺るぎない闘争拠点として存在している。市東孝雄さんの耕作地を守りぬこう。3・30全国総決起集会に大結集しよう。反対同盟からのメッセージを2回にわたって掲載します。(編集局)

 全力で体を張って闘う事務局長 北原鉱治さん

 1978年の3・26で開港阻止決戦が爆発した。A滑走路1本での強行開港に対し、反対同盟と支援の労働者・学生は激しい実力闘争をたたきつけた。横堀要塞(ようさい)での攻防に敵を引きつけ、完成間近の管制塔を実力占拠し破壊した。開港は5月に延期され、福田赳夫(現福田首相の父)の内閣は吹っ飛んだ。歴史に残るこの闘いの勝利を、労働者人民は歓呼の声で迎えた。あれから30年、反対同盟は三里塚現地において全国総決起集会を開催する。
 われわれの闘いにこそ正義があり、成田空港の建設の強行には一片の理もないことは今やますます明らかになっている。現に農民が住み農業を営んでいる耕作地を取り上げるために、本来農業と農民を守るための法律である農地法を悪用するとはなんたることか。
 現在の日本の食料自給率は39%、あるいはもっと低いとも言われている。1億3千万人の人口の食生活を保障せず、輸入に頼ればよいとするその政策の先に待っているものは何か。国際関係が緊張し国交断絶ともなれば最後は食料を弱小国から奪ってくるという、かつての帝国主義の侵略と植民地化と同じ道に進むことは必定である。このような道を二度と繰り返してはならない。
 帝国主義の戦争がいかなる美辞麗句で飾られていても、けっしてそれは人民を守るものではない。この間起きたイージス艦が漁船を破壊し沈没させたあの事故においても、そのことはまったく明らかになったではないか。私の頭に真っ先に浮かんだのは、これは単なる事故ではなく、イージス艦の攻撃力・強度などを実験するテストではなかったのかという疑念だ。私は戦争では海軍にいたが、軍隊においては新しい武器や兵器の性能を民衆に向けて試すことが当たり前のように行われていた。今度の事故も、そこに漁船がいると分かっていたら絶対に回避行動を行わなければならないのに、やっていない。それはイージス艦という最新兵器の性能を「実際」で試したことと言われても仕方がない。
 われわれは「国際空港を建設するから出ていけ。農民は犠牲になれ」と襲いかかってくる攻撃に対し、42年間闘い続けてきた。それはなんぴとも侵すことのできない生きる権利の当然の主張である。そして軍事空港は造らせないという反戦の叫びである。それが正義であるがゆえに、反対同盟は動労千葉を始め全国の労働者と共闘を組み闘ってこれたのである。
 NAA(成田空港会社)と政府・国土交通省は成田の国際空港としての地位の低下に脅かされつつ、帝国主義的なメンツにかけて、「国際競争に勝って生き残るために農民は犠牲になれ」と襲いかかってきている。敵は市東さんの農地を奪うためなら、あらゆる汚いやり口を、そしてむき出しの暴力をも使ってくる。ならばわれわれも全力をかけて体を張って闘う以外にない。
 3月9日のデモで2人の青年労働者が不当逮捕された。思想・表現の自由を侵す弾圧は許されない。逮捕したことで大きな過ちを犯したのは権力の側だ。2人の若者には正義がある。胸を張って堂々と闘ってほしい。今や、国や資本に黙って従っていたら労働者も農民も生きられない時代が訪れた。三里塚とともに闘おう。
 3・30総決起集会に全国からそれぞれの闘いをひっさげて、一人でも多くの人が、特に未来ある青年労働者・学生が全力で立ち上がることを望んでやみません。

 「来るなら来い」の気概 天神峰 市東孝雄さん

 私の農地の耕作権をめぐる裁判に毎回多くの方が駆けつけていただいて、本当にありがとうございます。
 NAA側は資料を小出しにしてわれわれを欺こうとしているが、こちら側の追及でしらを切ることができなくなっています。人の耕している土地を奪おうという大それたことをたくらんでいるのに、彼らの主張はいい加減でデタラメです。一歩も引かず闘いぬきます。
 現地では新たな誘導路を造るための工事が強行されています。深夜まで騒音を立て、地形を変え、道路を曲げ、フェンスを増設し、生活を破壊している。腹立たしい限りです。暫定滑走路を北に向かって延長するということは、結局東峰や天神峰に住んで農業をやっている私たちに対する追い出しのためのプレッシャーです。絶対に負けるわけにはいかない。
 3月7日に空港整備法「改正」案というのが閣議決定されたが、国も自治体もNAAも「完全民営化」、株の上場を前にあせりをむき出しにしています。この法案で「外資規制条項」が入らなかったことで、「外資が空港の株を大量に買ったらどうなるんだ」などとすったもんだしている。“千葉県が株を買え”と言い出す県議も出てきた。本当に彼らのやっていることはおかしいことだらけだ。
 空港のため国益のためなら、農業と農家が犠牲にされることはどうでもいいことなのか。新聞などで全国の農家の実情が報じられているが、本当に悲惨だ。食べていけない農家が次々と倒れている。それでギョーザ問題なんかが出てきたら、最近は「食料はやはり国産でなければ」なんて論調が現れてきた。今さら何を言っているんだ!
 われわれは中国の農民とも連帯して、萩原進さんが言ったように「大資本家などには俺たちのつくっている作物を渡さないぞ」という気持ちです。
 イージス艦によって漁船が破壊され沈められた事件は、ひとごとではないという気がします。この時期にあの冷たい海に投げ出された2人のことを思うと……。あの大きなイージス艦は軍事演習の帰り道だったそうで、「小さいのがよけるのが当たり前」と思っていたそうだ。ひどすぎる。人の命をなんだと思っているのか。「希望は戦争」と言った人がいるが、こんな戦争の道具や軍事訓練、軍事空港に希望なんか絶対にありません。
 3月9日に2人の青年がデモで逮捕されたと聞きました。三里塚をともに闘う仲間に対する弾圧であり、許せない気持ちでいっぱいです。私も彼らの奮闘に勇気をもらっています。
 これからNAAは裁判でも、強引にやってくると思います。弱気を見せたら、敵はつけあがり突っ込んでくるでしょう。私は来るなら来てみろ、という気概で闘います。3・30に今までにない大結集を実現し、私の農地を取り上げようとする策動に一大反撃を食らわせましょう。

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週刊『前進』(2335号5面2)(2008/03/17 )

 新自由主義と司法改革

 弁護士のワーキングプア化と裁判員制度導入の攻撃は一体

 青年弁護士先頭に断固粉砕を

 激化する新自由主義攻撃に、いたるところで反撃の火の手が上がっている。2月には日弁連(日本弁護士連合会)の会長選挙で、司法改革絶対反対を掲げて闘う高山俊吉弁護士が、得票率43%と、大勝利にあと一歩のところまで迫った。日帝による民営化と戦争・改憲の攻撃に、労働者階級と一体となって闘う弁護士の感動的な総反乱が開始されたのだ。

 絶対反対−日弁連を二分する大闘争

 2月8日の日弁連会長選挙の結果は、法曹界に衝撃を与えただけでなく、全社会を大きく揺さぶるものとなった。
 日弁連は1998年の司法改革攻撃開始以降、歴代執行部のもとで、自民党政権と歩調を合わせる形で「改革推進」の旗振り役を務めてきた。これに対して司法改革絶対粉砕を真っ向から訴えて選挙戦を挑んだ高山弁護士に今回、青年弁護士を中心にして、敵を青ざめさせるほどの大量の票が集まったのである。
 当選した宮崎新会長の9402票に対し、高山氏は7043票。得票率では57%対43%だ。しかも札幌、仙台、埼玉、横浜、千葉、長野、愛知、広島を始め、地方の主要な弁護士会では軒並み高山票が上回った。当選こそ逸したが、司法改革反対派が全国の弁護士の総本山である日弁連を文字どおり、真っ二つに割る情勢がつくりだされた。日弁連は今や、事実上の「二重権力」状態に移行し始めていると言っても過言ではない。
 この事態に、司法権力のトップに位置する最高裁はもとより、政府・法務省・検察、そして日本経団連など財界には、一斉に激震が走っている。司法改革攻撃の開始から10年、来年5月にはその総仕上げとされる裁判員制度の導入が実施に移されようとしている。その矢先に弁護士界での大反乱が突きつけられたのだ。
 このことは、これまでの日帝の全プランを根底から総破産に追い込むようなものだ。そもそも司法改革攻撃の最大の狙いは、「憲法と人権の砦」を旗印としてきた日弁連を丸ごと改憲勢力へと転向・変質させることにあった。それが今や、逆に日帝の攻撃の最大の弱点に転化した。全駐労のストや北教組のストのような労働者階級の新たな闘いの開始と並ぶ、決定的な情勢への突入だ。
(写真 昨年11・4労働者集会を弁護士もともに闘った【東京】)

 就職も開業も困難青年弁護士の怒り

 事態の核心は、大量の青年弁護士の、司法改革への怒りの爆発と根底的な決起の開始にある。その直接の引き金となったのは、この10年間に進行した弁護士の大増員が今や、「弁護士のワーキングプア化」ともいうべき大変な困難を若手弁護士に強制している現実だ。
 政府は司法改革攻撃の第一弾として、司法試験合格者を2010年までに3千人に増やすことを決定し、実行に移してきた。日弁連執行部もこれを全面支持した。そして以前は約500人だった合格者が99年には1千人、06年には1558人、07年には2099人まで膨れ上がった。その結果、弁護士資格を取っても弁護士事務所に就職できず、弁護士として活動できない人たちが大量に生み出されてきた。
 努力して司法試験に受かり、司法修習を終えても就職先がみつからない。今年の新人弁護士のうち1300人超が就職不能になるのではないかと言われている。自ら開業したとしても年収200万円以下の収入しか得られない場合がほとんどで、弁護士業務だけではとうてい生計を維持できない。さらに、最低でも年50万円する弁護士会の会費が支払えないために、開業に必要な弁護士登録ができない人もいると伝えられる。
 しかもこれはまだ序の口だ。増加計画達成のために全国にロースクール(法科大学院)が設置された。これと同時に、法曹養成制度が実質的に民営化され、お金がなければ弁護士になれない制度に変えられた。2011年には従来型の司法試験は全廃され、受験するにはロースクールの卒業が前提という制度に完全に移行する。しかしロースクールに通うには、生活費を含めれば1千万円といわれるとびきり高い学費を払わなければならない。
 また司法試験合格後に義務づけられている1年間の司法修習には、国家公務員と同じ扱いとして国から給与が支払われていたが、これも2010年からは最高裁が給与相当額を貸し付け、修習後に返済する制度に変えられる。
 すなわち、多くの若手弁護士が苦労して弁護士資格を取っても、その時点ですでに大量の借金を抱え、かつ仕事にも就けないという状態に陥るのだ。労働者階級がどんなに働いても貧困から抜け出せず、生存ぎりぎりの状態にますます追いつめられているのと同じことが、今や弁護士にも起きている。資本主義の弱肉強食の論理が全社会を支配し、大銀行と大資本の利益のために他の一切が破壊されていく。司法改革とは、まさに司法における新自由主義攻撃にほかならない。
 これに対して、「こんな法曹界にしたのは誰だ」という圧倒的な怒りの叫びが、青年弁護士の中からほとばしるように噴き出した。何よりも、司法改革攻撃の先兵に転落した日弁連執行部を打倒する闘いとして爆発したのである。それは同時に、他を蹴落として自分さえ生き残ればいいというブルジョア的価値観を拒否し、労働者階級とともに帝国主義を打倒する立場に徹底して立ち切るという、一人ひとりの弁護士の生き方をも問う闘いにつながる。

 裁判員制度頂点に戦時司法へと転換

 重要なことは、この弁護士大増員=弁護士のワーキングプア化の攻撃が、裁判員制度の導入を頂点とする戦時司法への転換の攻撃と表裏一体で展開されていることだ。
 そもそも政府や日弁連執行部の言う司法改革の本質は、多くの冤罪を生む原因である自白の偏重や「人質司法」など、これまでの刑事裁判のあり方を変えるものではまったくない。逆に裁判の「簡易化」「迅速化」を合言葉に、労働運動や反戦闘争への弾圧をこれまで以上に好き勝手に乱発できる体制をつくるものだ。司法の目的は大資本と国家の利益を守ることが第一で、「人権」などは二の次、無視してかまわないとする。そしてかつての侵略戦争時のように、「国策」に抵抗するものは片端から逮捕・起訴し、形式裁判で右から左に重罰に処すことのできる体制をつくろうとしているのだ。
 とりわけ裁判員制度の導入は決定的である。「司法への国民参加」「開かれた司法」などと宣伝されているが、その内実はアメリカの陪審制度とはまったく違う。アメリカの場合は陪審裁判を選ぶか否かは被告人の権利であり、陪審員は有罪か無罪かの結論に達するまで必要なら何カ月でも半年でも、時間をかけて審議することが求められる。だが日本の裁判員制度は、被告人はこれを拒否することができない。しかも「裁判員に負担をかけない」との理由で、超スピード審理によってほとんどの事件が公判開始からわずか3〜5日のうちに判決が下される構造になっている。
 これは、〈疑わしいというだけで人を有罪にしてはいけない>という近代刑事裁判の大原則を破壊し、現憲法が保障している「公平な裁判を受ける権利」そのものを被告人から奪うものだ。無実を訴えている被告人にとっては、公判開始前の整理手続きという密室であらかじめ争点も証拠も絞られ、自己の無実を明らかにする証拠を後から発掘し提出することもできない。「市民の法廷参加」の美名のもとで、実際には恐るべき暗黒裁判が強行されるのだ。
 他方で、裁判員に選ばれた人はよほどの理由がない限り拒否できない。出頭命令に応じなければ処罰される。しかも厳格な「守秘義務」を生涯にわたって負わされ、自分がかかわった裁判について他人に話すことは相手が家族であっても一切禁じられる。違反者には最高6カ月の懲役か50万円の罰金が科されるというのである。まさに一種の徴兵制だ。
 弁護士への攻撃も、弁護士を戦後民主主義のもとでの「人権の守り手」から、こうした戦時司法の積極的担い手へと百八十度変質させることに実は最大の狙いがある。
 実際に、日帝は裁判員制度の全刑事裁判への適用に際して必要となる大量の国選弁護人の供給を日弁連に求めている。この弁護人とは、もはや被告人の利益を守るのではなく、裁判所と検察官に全面協力して「裁判儀式」をスムーズに進行させる役割しか持たない。日弁連執行部はこれに応じ法務省とともに、06年に多くの弁護士の反対を押し切って「日本司法支援センター」(法テラス)を発足させた。
 弁護士大増員によって弁護士の間に大量失業を生み出す一方、その「受け皿」として法テラスを用意し、労働者人民に対する治安弾圧の強化に率先協力する弁護士を育成する。こんな卑劣な攻撃を許すことはできない。

 闘えば勝てる!攻めの憲法闘争へ

 この司法改革攻撃に対する全国の弁護士の不退転の闘いは、労働者階級が4大産別を先頭に今激しく展開している民営化・労組破壊攻撃との対決と、本質的にも現実的にも共通する内容をもつものである。最末期の帝国主義による新自由主義攻撃との全面対決であり、労働者階級による帝国主義打倒の革命以外に決着のつかない闘いだ。
 高山弁護士を先頭とする司法改革絶対反対派の猛進撃は、日帝の司法改革攻撃を総破産のがけっぷちに追いつめている。裁判員制度の導入はもはやグラグラだ。闘えば勝てる。その決定的チャンスが今や到来した。
 そして同時にこの闘いは、改憲攻撃との一大激突そのものである。日帝にとって9条改憲は、自治労や日教組など4大産別の労働運動の根絶一掃なしにはありえない。それと同様に、日弁連の完全な解体と戦争翼賛勢力への丸ごとの変質なしにはありえないのだ。この意味でも、今回の日弁連会長選挙をめぐる闘いは決定的位置をもっている。この地平を土台に、今こそ「攻めの改憲阻止闘争」に全国、全戦線で猛然と立ち上がっていく時だ。3・16闘争はその突破口である。
 青年弁護士の「生きさせろ!」の怒りは、青年労働者や学生の怒りとまったく同じだ。この怒りと結びつき、社会を根底から変える闘いに立とう。階級的労働運動の前進と結合し、裁判員制度粉砕・司法改革粉砕の闘いの一大前進を切り開こう。

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週刊『前進』(2335号6面3)(2008/03/17 )

 福嶋控訴審最終弁論 “無罪判決を行え”

 3・27判決公判へ大結集を

 3月11日、福嶋昌男同志が不屈に闘う迎賓館・横田爆取デッチあげ弾圧の最終弁論が、東京高裁第2刑事部(安廣文夫裁判長)で闘いとられた。「完全無罪をかちとる会」は、福嶋同志を先頭に裁判所前でビラをまき、最終弁論公判に臨んだ。多くの支援者、友人が駆けつけて傍聴席は満杯となった。
 冒頭、福嶋同志は意見を述べ、一審の懲役12年という重刑判決を弾劾した。
 「私は無実である。迎賓館事件にも横田基地事件にも一切関与していない。1987年に指名手配された時の衝撃は今でも鮮明に覚えている。驚きと同時にわき上がる怒りを抑えることができなかった。その時から私は一貫してデッチあげであることを訴え続けている。無実の人間を12年も勾留し、さらに12年もの刑罰を下すのが裁判所なのか。私は無実だ。安廣裁判長は原判決を破棄し、無罪判決を行え!」と裁判長に迫った。
 続いて弁護団は、無実の福嶋同志に対する有罪判決を直ちに破棄し、無罪としなければならないと宣言する最終弁論を行った。
 一審判決は岩手借家や奈良県の橿原借家から押収されたとするメモを口実にしてデタラメな事実認定を行った。これらのメモは両戦闘のことなど一切記載していない上、断片的なもので、いつ、だれが、どういう目的で書いたものか一切不明である。それらのメモが両戦闘に関する「飛距離計算」や「黒色火薬の製造」や「発射薬室の設計」メモだと勝手に決めつけ、福嶋同志が両戦闘の「共謀共同正犯」だというのだ。断じて許せない。
 控訴審ではあらためて”メモから事実を認定することはできない”という法学者の意見書を提出した。また、メモの筆者が福嶋同志でないという筆跡鑑定も重ねて提出した。「飛距離増大化計画」とされるメモについては物理学者の意見書と証人尋問で、そのような解釈が科学的にも誤りであり、メモは砲弾発射に結びつかないことを明らかにした。
 また、「福嶋同志の指紋」とされた指紋鑑定書について、コンピューターによる指紋照合技術専門家の報告書を提出し、一審判決の誤りを指摘した。
 検察官は、福嶋同志と弁護団の執念の闘いに追いつめられて、「原判決の有罪認定に誤りはない。控訴を棄却せよ」と裁判長にすがりついたが、すかさず福嶋同志が「私は無実だ。安廣裁判長は無罪判決を行え」と語気鋭く裁判長に迫った。
 判決公判は3月27日(木)午後1時半だ。3・16イラク反戦闘争の大勝利から福嶋同志の無罪戦取に向かって息継ぐ間もなく総決起し、法廷を埋め尽くそう。

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