ZENSHIN 2008/03/31(No2337 p06)

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週刊『前進』(2337号1面1)(2008/03/31 )

 第2次国鉄決戦-4・26尼崎闘争へ

 階級的労働運動を一層白熱的に実践し4〜5月闘争からサミット粉砕へ闘おう

 福嶋同志への控訴棄却(懲役12年)弾劾 記事6面

豪雨の中、3・23沖縄県民大会に6000人が大結集 悪天候をついて会場を埋めつくした参加者は、米兵による少女暴行事件に怒りをたぎらせこぶしをあげた。昨年の12万人決起を引き継ぎ、基地撤去までやむことのない新たな闘いが始まった(3月23日 北谷町)=記事4面

3・16闘争を頂点とする1〜3月闘争は、階級的労働運動の白熱的実践として画期的地平を開いた。青年労働者を先頭に、体制内労働運動と激突して闘われた職場闘争の実践の上に全国で爆発した3・16闘争は、この闘いの発展の中にプロレタリア革命の勝利があることを確信させた。さらに階級的労働運動を白熱的に実践し、第2次国鉄決戦を軸とする4大産別決戦の前進を切り開こう。3・16と3・30三里塚の勝利から4〜5月闘争を闘い、6〜7月サミット決戦へ進撃しよう。

 弾圧を粉砕した大勝利

 3・9池袋デモで不当逮捕された2人の青年労働者の奪還に続き、3月26日には3・16渋谷デモで狙い撃ち逮捕された4人の青年労働者が、完黙・非転向を貫いて奪還された。弾圧は闘いを断じてつぶせない。逆に不屈の革命的な指導部を生み出し、団結を拡大し、職場闘争を激化・発展させる。弾圧は闘いの決定的なチャンスだ。3・16弾圧はこのことを実証した。ここに3・16の総括と勝利の核心がある。断固としてこの道を進み、プロレタリア革命を切り開こう。
 3・16を頂点とする1〜3月闘争が切り開いた最大の地平は、全国の職場で青年労働者を先頭に、階級的労働運動路線の白熱的実践が猛然と闘いとられたことだ。それが日本における3・16全世界一斉デモに結実し、動労千葉の春闘スト決起を先頭に、それと結合して、代々木公園と渋谷を始め全国17都市での戦闘的な集会・デモとして爆発した。職場・生産点での団結と資本・権力や体制内指導部との激闘を基礎としたストライキ、そして集会・デモへの決起、その発展の中にこそ、プロレタリア革命勝利の道筋があるのだ。
 職場で闘いを開始した途端、資本・権力との激突と同時に、体制内労働運動指導部との激突に発展する。彼らは統制処分や組合員権はく奪の攻撃をかけてくる。しかし、そんなことはまったく問題にならない、自分が闘う指導部だと青年労働者は決起し、団結を拡大してきた。動労千葉労働運動から学び、それを値引きせず実践してきた。この階級的労働運動の白熱的実践こそが、3・16の爆発を生み出し、戦闘的デモを実現したのだ。
 この闘いは、日帝・資本からワーキングプアを強制されている2000万人の青年労働者の怒りと結びつき、組織する闘いでもある。職場と同時に街頭でも労働者の怒りが渦巻き、3・16ワーカーズアクションの闘いへの合流がかちとられてきた。動労千葉から学んで職場闘争を実践するこの闘いに、生きたマルクス主義もある。労働者階級に絶望し、階級的労働運動路線に反対し、反マルクス主義に転落した塩川一派は、この対極で破産を深めている。彼らを打倒し前進しよう。

 金融恐慌に突入した米帝

 3・16闘争が対決し迎え撃った世界情勢・国内情勢は、かつてない危機と激動に突入している。何よりも帝国主義世界経済は、米経済自身がサブプライム危機を引き金とする信用収縮からついに金融恐慌に足を踏み入れ、ドルの暴落も始まった。米経済の不況化とインフレ化も不可避である。これが世界に波及し、いよいよ29年大恐慌をも超える世界金融大恐慌が現実のものとなってきた。グローバリズムと新自由主義のもと、バブル経済を繰り返して延命してきた最末期帝国主義の歴史的命脈は完全に尽きた。
 この中で国際帝国主義は、米帝を先頭に資源と市場と勢力圏をめぐる争闘戦を激化させ、すでに01年9・11反米ゲリラ戦争以降、イラク・アフガニスタン侵略戦争をもって歴史的に突入している世界戦争の過程へ、いよいよ絶望的にのめり込もうとしている。そして他方では、国内において労働者階級に対する新自由主義攻撃を強め、民営化・労組破壊、リストラと賃下げ、貧困と格差拡大の攻撃を極限的に激化させようとしている。
 7月洞爺湖サミットにおいて、帝国主義間の協調と結束の余地はまったくない。労働者階級への攻撃と治安弾圧を強めることのみでは一致できるものの、世界経済の未曽有の危機の問題でも、環境・地球温暖化問題も、アフリカ問題などでも、争闘戦激化と分裂をさらけ出すことは明白だ。世界金融大恐慌と世界戦争に突き進む帝国主義強盗どもの会議を、労働者階級の国際的連帯と総決起、学生のゼネスト闘争の貫徹で絶対に粉砕し、プロレタリア世界革命勝利を切り開こう。

 政治危機にあえぐ日帝・福田

 こうした中で日帝・福田政権は、絶望的な政治危機に陥っている。日銀総裁人事の空白、ガソリン税・暫定税率の期限切れ、不明年金特定問題での破産に加え、沖縄米兵暴行事件やイージス艦漁船撃沈事件などで大衆的怒りが爆発し、完全に立ち行かなくなっている。ブルジョア政党たる小沢・民主党も含めて支配階級も分裂している。まさにレーニンの言う革命的情勢だ。
 サミット治安弾圧を打ち破り、この日帝・福田を労働者階級の団結と決起で、4大産別決戦の前進と青年労働者と学生の「生きさせろ!」の怒りの爆発で、今こそ打ち倒し、プロレタリア日本革命を引き寄せよう。

 4大産別決戦の前進を

 4〜5月闘争の第一の課題は、階級的労働運動をさらに白熱的に実践し4大産別決戦を大いに前進させることだ。とりわけ第2次国鉄決戦の爆発と勝利を開くことだ。
 08春闘において動労千葉がストライキを打ちぬき、今や1047名解雇撤回闘争の新たな前進が切り開かれようとしている。3月13日の鉄道運輸機構訴訟の判決は、清算事業団解雇を有効として居直り、時効を口実に賃金相当額の賠償請求も全面否定したとんでもない反動判決だ。日帝権力とJR資本は、1047名闘争を全面的に解体しようとしているのだ。これに対して国鉄労働者の根底的な怒りが噴出しようとしている。
 しかし、分割・民営化反対の旗を下ろし、解雇撤回の大原則を投げ捨てた4者・4団体路線ではまったく闘えない。今こそ動労千葉が勝利してきた原則的な路線と闘いを、闘争団や平成採の労働者に提起し訴え、第2次国鉄決戦に決起し、1047名闘争勝利の展望を切り開く時だ。
 第2次国鉄決戦勝利への決定的な闘いが、5・27国労臨大闘争弾圧裁判である。5・27裁判は1047名闘争と一体であり、その最前線の闘いである。司法権力は迅速裁判で有罪判決を強行し、闘う国鉄労働者を職場からたたき出そうとしている。これに対し5・27被告団は、裁判闘争を階級裁判として闘い、被告団と国労組合員の団結を総括軸に闘うことを決断して決起している。
 今や階級的労働運動路線の白熱的実践を柱とする国鉄闘争の新たな闘いの息吹があふれ出している。これは、ライフサイクル深度化攻撃の直撃を受けている平成採の青年労働者の怒りと結合する闘いとなることは確実だ。05年尼崎事故から3年目の4・26尼崎闘争を、反合・運転保安闘争と第2次国鉄決戦勝利の決定的な闘いとして、全国結集をもって大爆発・大成功させよう。
 1〜3月闘争は、北教組のストライキ、根津さんへの解雇を許さない都教委連続闘争、東京を先頭に全国で不起立闘争が勝利的に闘い抜かれた。根津さん解雇攻撃と、不起立闘争に決起した教育労働者への不当処分を許さない闘いをさらに継続・強化し、教労での前進を切り開こう。
 この国鉄と教労の闘いを先頭に、全逓での5月東京中郵銀座移転阻止と超勤拒否の職場闘争に決起しよう。自治体では杉並丸ごと民営化阻止、道州制導入阻止、大阪府職でのファシスト知事・橋下との対決を軸に闘おう。4大産別を先頭に、全産別で階級的労働運動の前進を切り開こう。
 4〜5月闘争の第二の課題は、学生戦線の新歓闘争の成功だ。法大闘争は06年3・14以降の未曽有の大弾圧を跳ね返し、2年間の非和解的な闘いを貫き、ついに超反動の平林体制を打倒した。

 サミット粉砕のゼネストへ

 学生が依拠するものは団結であり、学生こそが大学の主人公だ。キャンパスを学生の手に取り戻そう。法大を先頭に洞爺湖サミット粉砕のゼネスト貫徹に向け全力で進撃しよう。
 4〜5月闘争の第三の課題は沖縄闘争だ。イラク・アフガニスタン侵略戦争の兵站(へいたん)・出撃基地となっている沖縄で、米兵の少女暴行事件弾劾、米軍基地撤去の闘いを、沖縄と本土の労働者階級の団結で爆発させよう。3・23県民大会を引き継ぎ、5・15沖縄闘争に青年労働者を先頭に決起しよう。
 4〜5月闘争の第四の課題は、階級的労働運動路線と07年7月テーゼのもとで、4〜5月入管闘争に決起することである。労働者階級の特殊階級的な解放が、同時に全人間の普遍的解放を切り開くのだ。またプロレタリアートは国際的にひとつの階級であり、その団結と世界革命が民族抑圧を打ち破るのだ。血債主義・糾弾主義と反マルクス主義に純化した塩川一派の分断と敵対を粉砕し、入管闘争の革命的発展をかちとろう。
 4〜5月闘争の第五の課題は、闘う弁護士戦線の前進と連帯し、新自由主義攻撃としての司法改革粉砕、裁判員制度絶対反対の闘いに決起することだ。さらには洞爺湖サミット治安弾圧を粉砕し、日帝・法務省が成立を狙う共謀罪の廃案のために闘うことだ。
 階級的労働運動の発展とプロレタリア革命勝利を切り開く最大の環は、青年労働者と学生の決起であり、マル青労同とマル学同の1000人組織建設である。この4〜5月、3・16闘争の偉大な地平を引き継ぎ、全力でそのための闘いに突入しよう。

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週刊『前進』(2337号1面2)(2008/03/31 )

 不起立闘争 “都教委は解雇処分するな”

 根津さん先頭に連日決起

 「君が代」強制に反対し不起立を貫く教育労働者・根津公子さんは、「処分」が審議・決定される3月28日の都教委の定例会に向けて、連日の激闘をやりぬいた。
 昨年の卒業式で「停職6カ月」。たとえ今回加重処分で「免職」にされようとも、「君が代強制」という皇民化教育=戦争への道を阻むために、処分攻撃の理不尽さ、不当さを、すべての力をふりしぼりあらゆる手を尽くして訴える。その根津さんの覚悟が、闘いの一切を規定した。
 24日、南大沢学園養護学校卒業式の「君が代」で不起立を貫いた根津さんは、都庁記者クラブで記者会見を開き(記事3面)ただちに都教委を追及する連日行動に立ち上がった。この決起に教育労働者を始め、多くの労働者が年休を取り、勤務を終えた夕方から支援行動に駆けつけた。日を追うごとに、支援者の数は増大した。
 都教委はエレベーターホールに職員・警備員を前面に立てた「人の壁」をつくり、根津さんと支援者を中へ入れさせない態勢。教育長や人事課長への面会を求め、請願や要請書への誠意ある対応・回答を求めても木で鼻をくくったような官僚答弁を繰り返すばかり。人びとの怒りも日に日に増大した。
 26日は根津さんの古巣の町田教組が、都教委に対する「処分をやめろ」との要請行動を委員長を先頭に行った。
「私の首を切ることを、誇りをもって自分の仕事と言えるのか!」根津公子さんが官僚答弁を繰り返す都教委職員に語気鋭く迫った(3月27日 都庁)

 教育労働者が全国から決起

 都教委の定例会を翌日に控えた27日、やむにやまれぬ思いで労働者・学生・市民100人が都庁に結集し、夕刻から追及行動に詰めかけた。東京を始め、大阪、奈良、三重、神奈川の教育労働者が先頭に立った。関西の教育労働者は「東京都はひどすぎる。必死の思いで要請に来ても中に入れず、『回答しないことが回答』などと平気で言う。他府県の教育委員会の対応はまだましだ!」と怒りの声を上げた。
 根津さんは自らが着けたゼッケンを示し、職員らに対し「これを声を出して読んでごらんなさい」と迫った。「都教委は『君が代』不起立で私をクビにするな。根津公子」と明記してあるが、この単純明快なメッセージから職員は目をそらし口をつぐんだままだ。
 「こんなひどいやり方で首を切るのか。あなたはそれを自分の仕事と誇りをもって言えるの?」
 畳みかけるように根津さんの口から、肺腑(はいふ)をえぐる鋭い問いかけが発せられる。
 またこの日根津さんが傍らのいすに腰かけようとしたところ、職員がいすを引いて根津さんを床に転倒させる事態が起きた。人を人として扱わない都教委の対応に、その場の全員の怒りが爆発した。別の階からエレベーターで逃亡しようとする職員を引きとめて、一人ひとりに追及と説得が行われ、行動は夜の10時半まで続いた。
(写真 「根津さんを解雇するな!」定例会の傍聴席から都教委に対し怒りがたたきつけられた【3月28日】)

 「定例会」内外で怒りの叫び

 28日、いよいよ都教委定例会当日。早朝から都庁を包囲する情宣が根津さんを先頭に行われ、ビラが出勤途中の労働者に次々手渡された。
 午前9時半、20人が定例会の傍聴に入った。「報告事項」では、まず都立高校での「教科『奉仕』の実施状況」が報告されたが、「東京マラソンの運営補助」に大量の高校生の動員を強制している実態などが明らかになった。続いて「卒業式の実施状況」に入ったが、ここでは「日の丸・君が代」強制ぶりだけを得々と語り、「職務命令に違反し起立しない教員がいた。懲戒処分を行う」と臆面(おくめん)もなく言い放った。そして「懲戒処分」の議案は非公開だとして、傍聴者に退出を命じた。
 ふざけるんじゃない!不起立は当然の抵抗であり、40秒のストライキだ! 傍聴者はゼッケン、ボードを掲げ、「根津さんを解雇するな!」「処分を許さないぞ!」の叫びを上げた。教育委員らは狼狽(ろうばい)し、職員・警備員を使って排除にかかるが、テコでも動かない。エレベーターホールでも労働者・支援者がシュプレヒコールを響かせ、会場内外が「根津解雇許さない」の叫びに満たされた。
 「処分やめろ!」「定例会中止しろ!」「石原こそクビだ!」。100人もの支援者の心が怒りでひとつになって、都庁を終日揺るがし続けた。

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週刊『前進』(2337号2面1)(2008/03/31 )

 尼崎事故から3年 4・26尼崎現地全国闘争へ

 “闘いなくして安全なし”

 反合・運転保安闘争の爆発で107人を殺したJR体制打倒を

 08年は、分割・民営化以来最大のJR情勢の大激変の年になった。JR体制を根底から覆すべき時がついにやって来たのだ。この中で4月25日、尼崎事故から3年目を迎える。われわれはあらためて、国鉄分割・民営化=新自由主義攻撃の必然的な帰結である尼崎事故弾劾の闘いを、全労働者の正面課題としてとらえ直していかなければならない。1047名解雇撤回闘争と、尼崎事故弾劾=反合・運転保安確立の闘いこそ、第2次国鉄決戦の実践的な基軸だ。
(写真 事故から2年、昨年4月開かれた尼崎現地集会【08年4月13日】)

 尼崎事故は分割・民営化の帰結だ

 05年4月25日にJR福知山線で起きた尼崎事故は、107人の命を一瞬にして奪い去った。1987年の国鉄分割・民営化以降、最悪の事故であり、62年の三河島事故(死者160人)、翌63年の鶴見事故(死者161人)と並ぶ、日本の鉄道史上最大の惨事だ。
 尼崎事故を絶対にあいまいにすることはできない。「尼崎事故とは何だったのか」の階級的原点を、今一度はっきりさせよう。
 @第一に、国鉄分割・民営化という犯罪的政策、そしてJR西日本資本が107人を殺した!
 A第二に、政府−国土交通省による民営化、規制緩和政策が107人を殺した!
 B第三に、JR資本の手先に成り果てた労働組合が107人を殺した!
 尼崎事故が突きだしているものは、新自由主義攻撃と労働者階級は絶対に相いれないということ、つまり<資本と労働者階級の非和解性〉だ。
 尼崎事故によって突き出された問題は、現在に至るも本当に何ひとつ変わっていない。極限的なスピードアップと超過密ダイヤ、恒常的欠員、安全無視と事故隠し、日勤教育を始めとする強権的支配。何よりも許しがたいのは、JR西日本資本が事故責任について完全に開き直っていることだ。昨年2月の尼崎事故公聴会で「日勤教育は有用」などと一貫して居直りに終始したJR西日本資本は、一切の責任を現場労働者に押しつけ、より強権的な労務支配をもって押し切ろうとしている。遺族は「JR西日本は労使一体で腐敗の限りを尽くしている」と弾劾している。尼崎事故問題は、今も激しく燃えている火点なのだ。
 しかも尼崎事故以降の3年間で、JR各社は要員問題、安全問題を始め、鉄道会社としての体をなさないまでに矛盾と破綻(はたん)をさらけ出している。全国のどこで、いつ尼崎事故をも超える大惨事が起こってもおかしくない。闘わなければ国鉄労働者は資本に殺されるのだ。
 「闘いなくして安全なし」の反合・運転保安闘争こそJR資本との闘いの基軸であり、現場の怒りを解き放ち、階級的団結をうち固める闘いだ。そして、1047名解雇撤回闘争は、このJR本体の闘いと一体となってJR資本と非和解的に闘い抜く中で必ず勝利の展望を開くことができる。
 動労千葉、そして5・27臨大闘争弾圧被告を先頭とする現場労働者は、尼崎事故直後から「一切の責任はJRにあり!」と声をあげて決起してきた。動労千葉は、運転士の視点から「スピードアップこそ一切の原因だ」と安全運転闘争に決起、130`メートルにわたるレール交換をJR資本に強制してきた。保線労働者は、民営化・規制緩和が生み出した半径304bの「魔の急カーブ」を告発し、「レールを引きはがして安全な線路に造り直せ」と要求し、事故現場までのデモを呼びかけている。この闘いを引き継ぎ、闘う労働組合が前面に出て、3年目の尼崎事故弾劾闘争を全国闘争として闘おう。

 新自由主義攻撃との激突の火点

 日本での新自由主義攻撃の原型は国鉄分割・民営化攻撃にある。一切を市場原理にゆだねる新自由主義がいったい何を引き起こすのか――尼崎事故はこのことを鋭く告発している。
 本州3社(東日本、東海、西日本)の中でも経営基盤の弱かったJR西日本は、最も露骨に競争原理一本槍(やり)で突っ走った。「急げ」「稼げ」「隠せ」という猛烈な利潤追求の経営が行われ、社員は極限的に減らされた。JR西日本の社員数は、民営化時(5万1530人)から、07年4月1日現在(2万9620人)までに実に4割以上も減らされている。
 しかもJR西日本は、競合する私鉄である阪神・阪急・近鉄・南海などから乗客を奪うために線路容量いっぱいの列車を走らせてきた。一人あたりの業務量は倍々ゲームのように増加し、「乾いたタオルから水を絞り出す」(元社長・井手正敬の言)ようなギリギリの強労働が強制された。尼崎事故が起きたJR福知山線の列車本数は事故当時、民営化時の実に4倍にものぼっていた。
 安全の根幹をなす保守部門などが徹底した低コストで外注化され、線路や車両の検査周期の大幅な延伸が強行された。労災、業災死は隠蔽(いんぺい)され続けてきた。
 JR西日本は1分、1秒でも列車を遅らせた運転士を「国鉄改革に敵対する裏切り者」呼ばわりして処分した。乗客にまぎれて運転士を背面から監視し、遅れを出した運転士には「日勤教育」で連日反省文を書かせ、他の労働者の面前で「私はミスを犯しました」と頭を下げさせてさらし者にした。
 民営化・規制緩和とは全労働者にローラーをかけて制圧するような団結破壊、階級性解体の攻撃なのだ。「国鉄改革」「意識改革」のかけ声のもとでJR各社が黒字を競いあい、同じJR会社の中でも支社どうし、職場どうし、そして同じ職場の中ですら労働者どうしが蹴落とし合うような競争があおられてきた。
 このJR資本のやり方に拍車をかけたのが、政府・国土交通省による規制緩和だ。02年には鉄道部門に関する国土交通省令が抜本的に改悪された。「市場原理に委ねられるべきものは市場原理に委ね、国の関与を縮小する」「社会的規制については……必要最小限のものとする」「事前規制を合理化し事後チェックを充実する。鉄道事業者の自主性、主体的判断を尊重できるものとする」(運輸技術審議会答申)という考え方のもとで、細かな規制がどんどん取り払われた。「事故が起きたら、その時に考えればよい」と言わんばかりのやり方で、尼崎事故を引き起こした共犯者が政府・国交省なのだ。
 ”死と隣り合わせ”の強労働、人を人とも思わぬJR西日本の強権的労務支配は、資本と一体となって国鉄労働者を強労働に駆り立ててきたJR連合(JR西労組)、JR総連(JR西労)の存在によって初めて成り立ってきた。現場には怒りの声が渦巻き、闘いの方針を要求し続けたにもかかわらず、国労本部もまったく無為無策で破産をさらけ出し、今や完全に政府とJR資本の手先に成り果てている。

 平成採を先頭に職場から反乱を

 究極の合理化攻撃でもある新自由主義との闘いにおいて、反合・運転保安闘争はより大きな戦略的意義を持ってきている。資本の本質は利潤の追求だ。直接に利潤を生まない安全対策費は削られ、労働は極限まで強化される。だから運転保安の確立、現場労働者への事故責任の転嫁を許さないということは、労使による「安全会議」などでは絶対に実現しない。労働組合の闘いによって当局に強制する以外にいかなる手段もない。
 国鉄戦線に存在してきた協会派、日本共産党、カクマルなども一時期、口先では「合理化反対」と言っていた。だが実践的な反合闘争をなにひとつ組織できず、事故や安全の問題すら当局との取引材料にして団結を破壊してきた。階級的労働運動でなければ反合闘争は闘えないのだ。
 動労千葉の田中康宏委員長は、「反合・運転保安闘争が、動労千葉の原点中の原点」(機関誌『動労千葉』27号)と述べている。鉄道で働く労働者にとって、事故、安全の問題から誰も逃れることはできない。事故を起こしたくて起こす者は誰もいない。しかしどんなに注意しても事故は起きる。そして、ひとたび事故を起こせば運転士は袋だたきにされ、最悪の場合はその場で逮捕されたり、命すら失いかねない。動労千葉は、この現場労働者の怒り、悔しさ、思いにとことん立ちきり、72年船橋事故闘争を闘い抜く中で仲間を守り、反合・運転保安闘争路線を打ち立て、階級的団結をうち固めてきた。
 尼崎事故弾劾の闘いをやり抜くこと――ここに国鉄分割・民営化攻撃との決着、新自由主義との闘い、階級的労働運動路線の全問題が含まれている。合理化絶対反対、運転保安確立の闘いは、破綻を極めるJR体制の”伸びきったアキレス腱(けん)”を突く闘いなのだ。
 この闘いは、新自由主義攻撃を実践的にうち破り、革命に向けた階級的団結をうち固める闘いだ。最末期帝国主義が繰り出してきた新自由主義は、その20年の展開をとおして未曽有の破綻(はたん)をさらけ出している。こんな社会は、もう終わっているのだ。JR体制の矛盾の爆発は、その最も鋭い現れにほかならない。
 われわれは新自由主義―小泉「構造改革」攻撃に対する革命的回答として「労働者階級の階級的団結」「労働運動の力で革命を」の闘いを開始した。この闘いは3・16闘争の大高揚をもって爆発的発展過程に入った。
 その最先頭に立つべきは、平成採を始めとする国鉄労働者だ。JR資本は、民営化体制の矛盾を青年労働者に集中してきた。尼崎事故で殺された高見隆二郎運転士は当時23歳だった。伯備線事故(06年1月)の責任を一人で取らされ有罪判決を受けた労働者(26歳)、羽越線事故時の運転士(当時29歳)・車掌(同23歳)のいずれも平成採の青年だ。職場規律攻撃や日勤教育でがんじがらめに縛り付け、死と隣り合わせの強労働を強いておいて、いざ事故が起こったら全責任を現場に押しつけているのだ。今こそ腹の底からの怒りをJR資本にたたきつけよう。職場から反乱をまき起こし、国鉄分割・民営化攻撃に労働者の側から真の決着を着けてやろうではないか。
 国鉄闘争こそ、日本の労働運動を階級的につくりかえていく結集軸だ。国鉄分割・民営化という戦後最大の労働運動解体攻撃に対してその決着を許さず、20年以上にわたって延々と反対闘争が継続するという事態を敵に強制してきたことは決定的なのだ。今や教労、郵政、自治体を始め、日本中で国鉄分割・民営化と同じ攻撃が全面化している。腐った労組幹部どもを打倒し、闘う労働運動を時代の最前線に登場させよう。その最大の水路こそ第2次国鉄決戦である。
 尼崎事故3カ年弾劾の4・26現地闘争に、階級的労働運動の一層の発展をかけて全国から総結集しよう。

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週刊『前進』(2337号3面2)(2008/03/31 )

 石原都知事の暴走を弾劾

 3・24 根津さんら都庁で記者会見

 3月24日午後、都庁記者クラブで、「日の丸・君が代」強制に対して不起立で闘っている東京の3人の教育労働者、根津公子さん、河原井純子さん、米山良江さんが記者会見を行った。
 この日午前の卒業式で不起立を貫いて会見に臨んだ根津さんが、米山さんを紹介しながら、記者会見にいたる思いを語った。
 「私が不起立を続けて昨年停職6カ月の処分を受け、次は免職と言われている。米山さんも不起立をずっと続けてきたのに、彼女には一切の処分はない。この違いは何なのかをはっきり説明してほしい、と都教委に迫ったが一切回答しない。これに納得できません」
 ここで、3月19日の都教委に対する追及行動を撮った数分のビデオが上映された。「納得のいく説明をしなさい!」と根津さんと米山さんが語気鋭く迫るが、職員らは能面のような無表情を崩そうとせず、最後にはいたたまれなくなって逃げ出すシーンがスクリーンに映し出された。
 米山さんは、「私は葛飾区の小学校教諭です。10・23通達が出される以前から『君が代』が流れる時に不起立してきた。だが私には処分はない。根津さんについて”今度座れば解雇”ということが危惧(きぐ)されている時に、同じ教員として何ができるか考えた。都教委がやっていることは、累積加重処分、再発防止研修、強制異動と全国的に見ても異例のもの。これは見せしめであり石原都知事の暴走だ。こんな理不尽を許してはいけないという思いで、要請書をしたためアピールした」と述べた。
 河原井さんは、「5回200秒の不起立で、停職3カ月という処分を受けた。東京都のやり方は全国でも突出しているが、その中でも根津・河原井に対する処分は際立っている。10・23通達を受け入れないのは私の人間としての良心だ」と述べた。
 さらに根津さんは、「不起立で累積加重処分をしているところは東京都のみ。停職処分を出したのも東京だけ」と石原都政の突出ぶりを強調した。またこの日の卒業式で副校長が不起立を「現認」し、学校の玄関先で事情聴取を受けた様子を明らかにした。根津さんが「あなた方はこういうことをやるために教員になったのか」と問い詰め、副校長らは沈黙するだけだった。
 記者からは「自分を処分してくれ、とも聞こえるが……」との質問が出された。これに対して米山さんは、自らの決起の意味を鮮明に語った。
 「不起立をアピールするにあたって、他の人からも同じことを言われた。今日初めて私に職務命令が出された。私は明日不起立するので処分を受けるだろう。だがこの理不尽に黙っていられない。一緒に闘って、『君が代』解雇を絶対に許さないということだ」
 「今、職員会議は校長の諮問機関になり、実のある討論ができなくなった。”教え子を二度と戦争に送るな”は私の原点。『日の丸・君が代』は戦前の皇民化教育の中心にあった。歴史に向き合い、この事実を若い人に伝える責任がある」
 3人の不退転の決意表明と固い団結は、集まったマスコミ記者を圧倒し、またそこに参加した数多くの支持者の胸を激しく打った。
(写真 怒りの記者会見。左から根津公子さん、河原井純子さん、米山良江さん【3月24日 都庁】)

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週刊『前進』(2337号3面3)(2008/03/31 )

焦点 中国人民の総反乱の突破口

 チベット暴動と胡錦濤体制の危機

●チベット人民への虐殺弾劾!
 3月10日のラサでのデモに始まったチベット人民の闘いは、瞬く間に激化・拡大し、中国スターリン主義の支配を根底から揺るがす大闘争となった。武装警察や軍隊の出動による残虐な弾圧は人民の怒りの火に油を注いだ。暴動はラサからチベット自治区全体へ、さらに隣接する甘粛省、四川省、青海省などへと次々に拡大。チベットの独立を求める文字どおりの全民族的な蜂起へと発展した。
 これに対して中国スターリン主義が加えた凶暴きわまりない武力弾圧と虐殺は、断じて許すことができない。中国政府当局は、ラサでの僧侶のデモ発生を聞くや直ちにこれを警察によって暴力的に解散させた。そしてこれへの抗議と怒りが暴動となって爆発すると、軍と警察が全市を封鎖して戒厳体制を敷き、抵抗する者に即座に発砲し射殺した。さらにチベット人の外出を一切禁止した上で、その住居をしらみつぶしに捜索し、当局への恭順の意を示さない者は片端から連行し拘束した。
 同様の封鎖と弾圧は甘粛省や四川省でも大規模に繰り返された。この過程で虐殺された者は少なく見積もっても140人以上、負傷者は数百人と言われている。
 中国政府は、事態の本質が中国スターリン主義政権の過酷な民族抑圧に対するチベット人民の蜂起であることを隠すために、暴動は国外の「ダライ・ラマ一派」による「計画的な犯行」「北京五輪の破壊を狙ったもの」などとキャンペーンしている。また内外の報道機関に異様なまでの報道管制を敷き、血塗られた弾圧の実態を覆い隠すことに必死になっている。だがそれは怒りをさらにかきたてるものでしかない。24日には四川省で再び大規模な激突が起きた。闘いの火は今や、ますます深く燃え広がろうとしているのだ。
●民族抑圧への怒りが噴出した
 重要なことは、今回のチベット人民の決起が、青年を先頭に、ダライ・ラマを指導者とする従来のチベット民族運動をものりこえる形で闘われていることである。ダライ・ラマ自身が、現在の運動は「われわれの掌握できる範囲を超えている」「制御できない」と告白している。そこにあるのは、1950年代の中国軍によるチベット軍事制圧以来の過酷な民族抑圧に対する、半世紀にわたる積もりに積もった怒りの爆発である。
 中国スターリン主義はその抑圧体制維持のために、中国農民と労働者から極度の収奪を行う一方、国内の諸民族を抑圧・分断して漢民族が他を支配する体制をつくり上げた。とりわけチベットについては、この地域を中国国境の西の軍事拠点として、また核実験場として確保するために民族自決権を絶対に認めない政策をとった。チベット仏教への大弾圧を始め民族の文化をも破壊し、チベット全域を一種の軍事監獄下において徹底的な抑圧政策を続けてきた。
 1989年の天安門事件当時には、民主化を求める北京での闘いと並んで、チベットでも激しいデモが闘われた。これを鎮圧した「功績」を買われて中央指導部になったのが現在の胡錦濤だ。
 21世紀に入ると、中国政府は弾圧の一方でチベット人民への懐柔政策をも強めた。国家財政を投じた「西部大開発」を推進し、ダライ・ラマをも「高度な自治」の要求という中国との交渉路線に引き込んだ。だが鳴り物入りで推進された経済開発も、チベットに進出した漢族の企業や商店主を富ませただけで、チベット人民の貧困化と民族格差はさらに進んだ。
 闘うチベットの青年は、これらの一切と対決し、ついに「独立」を真っ向から掲げてスターリン主義体制との非和解の激突を開始したのだ。これこそ、胡錦濤らの中国指導部をかつてない危機にたたき込み、絶望的凶暴化に走らせている最大の原因だ。
●反帝・反スタ世界革命勝利へ
 今や、チベットの決起が、新疆ウイグル自治区を始め中国スターリン主義の民族抑圧に苦しむ諸民族の新たな決起を呼び起こすことは不可避である。さらに、それ以上に一層重大なことは、この闘いが、すでに中国全土にわたって始まっている労働者や農民の大反乱と結びつくことだ。
 中国国内での労働争議は年々急増し、昨年には40万6千件に達した。開発で土地を追われた農民による暴動も続発し、かつますます大規模化している。世界金融大恐慌への突入は労働者・農民の困窮を一層激化させ、中国大陸を再び一大騒乱状態にたたき込むのは間違いない。3月5日から2週間にわたって開催された全人代(全国人民代表大会)では、この危機をどうのりきるかが最大テーマとなった。チベット人民の大決起はこれをまさに直撃したのである。
 米帝や日帝を始めとする国際帝国主義は、中国国内への帝国主義的介入と侵略を強める手段としてチベット問題を利用するが、中国人民自身の手による中国スターリン主義支配体制の打倒を実はまったく望んでいない。それは、プロレタリア世界革命への道を開き、帝国主義の世界支配の打倒に直結するからだ。だからこそ米帝は、中国政府と連動して「事態の鎮静化」に必死になっている。
 反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命こそ、全世界の労働者階級と農民、被抑圧民族の唯一の解放の道だ。闘うチベット人民と連帯し、この道を断固として突き進もう。

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週刊『前進』(2337号4面1)(2008/03/31 )

 4〜5月入管闘争に立とう

 階級的・国際的団結を固めサミット粉砕−改憲阻止へ

 革共同入管闘争委員会

 3・16イラク反戦5周年闘争は、世界の労働者人民が連帯する全世界一斉デモとしてかちとられた。労働者には革命をやる力がある。あらゆる差別・抑圧・分断を打ち破って団結できる。青年労働者・学生を先頭に、体制内労働運動を打倒し、階級的労働運動を階級の大地に実らせる闘いが始まった。権力の弾圧をはね返し、階級的団結を固め“絶対反対”の闘いを爆発させよう。

 入管闘争の革命的発展をかちとろう

 3・16に続いて4〜5月入管闘争に全力で決起することを訴える。階級的労働運動路線と7月テーゼの真価をかけ、11・4集会=国際連帯闘争の地平を決定的に飛躍させる闘いである。プロレタリア自己解放の共産主義的普遍性に内在する闘いとして、入管闘争の革命的発展を実現しよう。
 第一に、民族を超え、国境を超えて全世界の労働者と団結し、帝国主義の新自由主義攻撃に怒りをたたきつけ、サミット決戦に突き進もう。4〜5月入管闘争はその突破口である。3・16は、アメリカで200人の逮捕者を出す実力闘争が爆発したのを始め、韓国、イギリス、ドイツ、フランスなど全世界で闘われた。侵略戦争を止め、腐り果てた社会を打ち倒そう! 労働者は皆、同じ怒り、同じ思いで闘いに立ち上がったのだ。
 帝国主義の新自由主義攻撃は、むきだしの搾取・収奪で労働者に襲いかかり、この社会には強者と弱者が存在して当然として、全世界に貧困と格差、生きられない現実を強制してきた。また、アフガニスタンやイラクへの侵略戦争を強行し、抑圧民族と被抑圧民族の分断を極限化させ、国家主義・排外主義をまき散らして労働者を互いに憎しみ合わせ、殺し合うことを強制してきた。
 無数の労働者が日々職場や地域、戦場で殺されている。こうした「搾取と戦争」の現実は、一握りの支配階級=資本家が生き延びるために一切の矛盾を労働者に押しつけることで引き起こされているのだ。はっきりさせよう。この社会を動かしている労働者の団結した闘いこそブルジョア社会を転覆し、階級支配を廃絶して搾取や差別のない社会をつくり出し、戦争をなくすのだ。
 国際帝国主義は世界金融恐慌と世界戦争の破局に突き進む以外にない。7月洞爺湖サミットが決定的情勢である。すでに韓国人活動家が入国禁止とされる暴挙が行われている。入管体制による分断を打ち破り、全世界の労働者と団結してサミットを粉砕しよう。

 労働者自己解放の普遍性

 第二に、動労千葉労働運動=11・4集会の地平と同じ思想、同じ質で4〜5月入管闘争を闘い、国際連帯闘争の前進をかちとることである。動労千葉は階級的団結を総括軸とし、マルクス主義の原則を貫いて新自由主義と闘い勝利してきた。それは同時に、労働者を分断して怒りを抑え込んできた体制内労働運動と徹底的に対決し打倒する闘いとしてある。
 動労千葉労働運動のマルクス主義的実践、プロレタリア自己解放=階級的団結の不屈性、普遍性こそアメリカや韓国の戦闘的労働運動と結び、11・4集会を国際連帯闘争としてかちとった核心的内実である。この立場で階級的労働運動を実践すること、職場・生産点で国際的階級的団結をつくり出すことが入管闘争そのものであり、ここに決定的な飛躍点がある。
 入管体制による民族差別、排外主義は、労働者階級を分断する攻撃である。したがって入管体制粉砕の闘いは、分断を打ち破って抑圧民族のプロレタリアートと被抑圧民族のプロレタリアートが階級的に団結し、プロレタリア世界革命に突き進むことを最大の推進軸とする。そしてこの闘いの中で、あらゆる民族差別を打ち破る闘いが発展していくのだ。
 そもそも7・7思想はプロレタリア世界革命論、国際的階級団結論としてあり、差別・抑圧との闘いの核心は、プロレタリア世界革命に向けて資本・権力による分断攻撃を打ち破って労働者階級の団結を強化・発展させることにある。7月テーゼは、06年の党の革命以来、血債主義・糾弾主義との闘いをとおしてこの7・7思想をマルクス主義的に再確立し、生きた階級的実践=階級的労働運動路線の土台にすえたものである。

 血債主義・糾弾主義の根底的のりこえ

 第三に、4〜5月入管闘争は血債主義・糾弾主義を根底的にのりこえ、塩川一派を打倒する闘いである。何よりも、全国部落青年戦闘同志会の一部指導部による「広島差別事件」のねつ造に塩川一派が野合し、これを使って入管戦線を分断し、4〜5月入管闘争の破壊を策動したことを徹底的に弾劾する。
 「広島差別事件」はまったく存在しない「差別事件」をねつ造し、自民党や解同本部派とも手を組むという糾弾主義の極致である。差別糾弾闘争をゆがめ、部落解放闘争を反動的に変質させるものだ。旧与田一派の同志会一部指導部は、プロレタリア革命に敵対し、階級的労働運動と7月テーゼに敵対するために「広島差別事件」のねつ造に走ったのだ。
 塩川一派は、プロレタリアートの特殊階級的解放が同時に全人間の普遍的解放であるというマルクス主義のプロレタリア自己解放論に反発し、「賃労働と資本を廃絶しても差別・抑圧はなくならない」として反マルクス主義に転落した集団である。「賃労働と資本」が階級支配の根幹をなすことを否定し、「差別・抑圧が階級支配の支柱」とする塩川一派の階級的本質は、帝国主義を資本主義と別の社会であるかのよう描き出し、「資本主義の最高の発展段階としての帝国主義」というレーニン主義に敵対するものだ。その思想的根幹をなすものは「労働者階級への絶望」を組織する小ブル自由主義であり、体制内思想そのものである。
 11・4〜3・16として階級的労働運動路線=7月テーゼが実践的に発展する対極で、塩川一派は血債主義・糾弾主義に純化し、プロレタリア革命への敵対を深め、入管闘争・部落解放闘争の歪曲・変質に突き進んでいる。4〜5月入管闘争は、血債主義・糾弾主義を根底的にのりこえ、塩川一派を打倒し、「広島差別事件」ねつ造と対決する闘いである。西郡住宅闘争を断固支持し、階級的団結の力で新たな部落解放闘争の前進を闘いとろう。

 動労千葉と民主労総の闘いに学び

 革命は遠い将来のことではない。全世界で怒りを爆発させたデモ、ストライキ、暴動の一切合切が「ひとつの階級」「ひとつの闘い」として団結することをとおして、プロレタリア世界革命は前進していく。革命的情勢の急速な到来という時代認識を鮮明にすることが一切の土台である。
 労働者が職場で殺され、侵略戦争で被抑圧人民が虐殺されている現実。この帝国主義の攻撃に対して、全世界で労働者階級と被抑圧人民が続々と闘いに立ち上がっている。この「血と硝煙」の中にこそプロレタリア世界革命の現実性があり、人類史の未来を切り開く条件が圧倒的に成熟している。マルクス主義者であるわれわれは、労働者階級の自己変革性、根底的決起、普遍性を全面的に信頼し、権力・資本の弾圧や処分に屈せず、労働者のどんな小さな反乱や抵抗をも革命以外に解き放たれない根底的欲求としてとらえ、職種、産別、人種、民族などあらゆる形での分断を打ち破り、労働者の闘いを階級的国際的な団結へとまとめあげる努力に情熱を傾けなければならない。
 この点で、プロレタリア自己解放闘争と入管闘争(民族解放闘争)の路線的並立の思想的根拠として、レーニン主義の小ブル的理解があったこと、それを7・7思想の歪曲としてはっきりさせ、06年「党の革命」以来の血債主義・糾弾主義との闘いをとおして階級的労働運動路線=7月テーゼへと結実させたこと、この革命的意義を鮮明にすることが重要である。
 さらに、「在日の存在と闘いの措定」について。一つには抑圧民族プロレタリアートによる自国帝国主義打倒の実践こそ第一義的な問題であり、その立場に立ちきるものとして「70年7・7自己批判」はあった。われわれは真摯(しんし)に自己批判することによって断固として反帝・反スターリン主義世界革命の旗を降ろさず掲げきり、プロレタリア世界革命論の深化としてこたえたのだ。
 二つには、「学ぶ」という契機の重要性を再確認することである。血債主義は、プロレタリアートの階級形成において「学ぶ」契機を一面的に強調し、「排外主義との闘いなくして一切なし」という方向にワンポイント主義的に狭めてしまうことから生まれた。しかし、それは本来、抑圧民族と被抑圧民族のプロレタリアート人民が「相互に学び合う」関係をつくり出すという意味で決定的な意義をもっている。今日、われわれが民主労総から学んで階級性=国際性を研ぎ澄まし、それによって勇気と確信を得て決起していくのと同様に、民主労総が動労千葉や三里塚反対同盟から学んで自らの闘いを飛躍させ、信頼関係を形成し、団結を深めているということである。入管闘争の飛躍は、この動労千葉と民主労総ソウル本部の国際連帯闘争の具体的実践から学ぶことをとおして実現される。
(写真 昨年の11・4労働者集会のデモ。横断幕を持って行進する韓国・民主労総の労働者【東京】)

 在日はプロレタリア世界革命の主体

  三つには、「在日の措定」を、ストレートに階級的同一性・同質性においてとらえきれない限界があった。在日を「日帝の植民地支配、侵略戦争の歴史的生き証人」としてとらえることは決定的に重要なことであり、入管体制下の過酷な民族差別のもとで不屈に生きかつ闘う存在として在日をとらえることが7・7思想の根幹である。しかしその一方で、われわれ自身の実践的弱さや二重の内戦下でのさまざまな制約から、階級的試練を十分に受けることなく限界が固定化されざるを得なかった。
 その限界を突破することを目指して80年代末から入管闘争が再建され、その中で生きた在日の実践と結びつくさまざまな機会を得た。4〜5月入管闘争の中で出会った在日は、自己を階級として組織し、あるいは階級移行を不断に闘いとりながら労働運動を闘いぬき、同時に民族差別反対・撤廃を闘いぬいていた。国際的階級的団結を求めて日本労働者階級に結びつこうとした人たちが4〜5月入管闘争に合流してきたのだ。
 戦後革命以来のスターリン主義による「在外公民」規定や「内政不干渉」路線などの限界を、在日自身が自己解放的に突破して階級的共同闘争は形成されてきた。それは、階級的民族的存在として在日を全面的にとらえ、プロレタリア世界革命の主体として措定し、入管闘争をプロレタリア自己解放闘争に内在する闘いとして発展させる決定的チャンスを意味している。
 しかし、それは一直線には行かなかった。労働者党建設と階級的労働運動の5月テーゼ路線に対し、血債主義・糾弾主義が阻害物として立ちはだかった。それは94年「二つの論文」以来、19全総、20全総を経て01年6回大会へ進んでなお、岩盤のように存在し続けた。5月テーゼ路線=プロレタリア革命を拒絶する小ブル自由主義と民族主義、階級への絶望的な不信が巨大に堆積(たいせき)していたのだ。
 06年「党の革命」はこうした血債主義・糾弾主義を根底的に粉砕し、以来2年に及ぶ党内闘争と階級的実践によってついに階級的労働運動路線と7月テーゼを闘いとった。われわれは、マルクス主義・レーニン主義のプロレタリア自己解放闘争を実践することが入管闘争であることを決定的につかみとった。この地平に揺るぎない確信をもち、4〜5月入管闘争の歴史的勝利をかちとろう。

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週刊『前進』(2337号4面2)(2008/03/31 )

沖縄県民大会 “我慢はもう限界だ”
米軍基地撤去訴え6千人

激しい雨の中、参加者が続々と駆けつけて会場を埋める。野球場のスタンドからも多くの人びとが聞き入った(3月23日 北谷町)
辺野古・命を守る会も「新基地建設阻止!」のボードを掲げておじい、おばあを先頭に決起

 3月23日、北谷町の北谷町球場前広場で開催された「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」は、土砂降りの雨の中、6000人の労働者人民が結集した。同日開催された宮古・石垣の集会があわせて600人。95年10・21の10万人決起とそれへの大反動をのりこえ、昨年9・29県民大会の12万人決起を引き継ぎ発展させる基地撤去までやむことのない沖縄の労働者階級人民の新たな闘いである。

 相次ぐ米軍犯罪に怒り沸騰

 雨足が激しくなる中、県民大会が始まった。主催者あいさつに立った大会実行委員長で沖縄県子ども会育成連絡協議会会長の玉寄哲永さんは、「那覇でチラシをまいていたら、少女に安心して暮らせる社会を返してくれと言われた。この沖縄の怒りを日米両政府にぶつけよう。県知事は手ぶらでアメリカに行くのか、県民の声を反映させて行くのか。超党派の県民大会から逃げ出した自民党は足を引っ張っている。許し難い!」。さらに「少女の名前に近い名前を書いた誹謗(ひぼう)チラシを新聞の折り込みにいれるとは許し難い! 少女にはまったく悪意はない、少女をあのような形で辱めるのは犯罪だ!」と断罪。今回の県民大会を「復帰前からの人権の回復を求める闘いを量から質に転換する社会運動の大きな一歩だ」と訴え、「新しいタイプの運動だ。皆さん一緒にまいりましょう」と力強く呼びかけた。
 開催地代表として野国昌春北谷町長が発言に立った。野国町長は「ある目的をもって少女に声をかけるならば、その行為自体が犯罪だ。少女になんの落ち度もない。このことを県民全体が認識しないと事件は何度も起こる」と訴えた。続いて東門美津子沖縄市長、翁長雄志那覇市長があいさつした。
 小渡ハル子沖縄県婦人連合会会長は、在日米軍基地の75%が集中している沖縄は戦後63年間、県民の人権が侵害されていると訴え、「基地は諸悪の根元だ。基地の存在自体が悪の温床」と断罪した。そして「もう限界です! 私たちの怒りは頂点に達しています。日米両政府と米軍に対して党派を超えてすべての県民が一丸となって声を上げ、強く抗議すべきです」と訴えた。
 三宅俊司弁護士は日米地位協定の不平等性を批判し、中山きく青春を語る会代表は、元女子学徒の一人として沖縄戦から命の大切さと平和のありがたさを学んだと語った。「今度こそ我慢の限界として基地から派生する沖縄の人権侵害の問題点を全国民、いや外国にまで訴えよう。行動しなければ現状を黙認することになる」と訴えた。
 労働団体を代表して大浜敏夫沖教組委員長が復帰直後に女子中学生が書いた詩を紹介し、今日に至るも何も変わっていない基地の現実を指摘。「沖縄県民は日本政府のいう日本の安全のためにという理由で基地や軍隊と60年以上も共存させられている。基地の撤去を」と訴えた。
 金城喜美代那覇市立松島中学校PTA会長は、今回の少女暴行事件に対する署名活動の報告を行い「母の力は大地の力である。母が社会を変える。母が時代を変える。そして母が世界を平和へと変えていくのだ」と結んだ。松田正二北谷町砂辺区長は、北谷町の53%が軍用地だが、砂辺地区に外国人向け住宅が増えて基地は拡張していると指摘し、今回の事件を自分の子や孫のことと思って声を大にして怒ってくださいと訴えた。

  “団結して日米政府と闘おう”

 米軍犯罪の被害者の声としてジェーンさん(仮名)が発言に立った。2002年に米海軍横須賀基地の米兵に暴行されて以降の6年間の闘いを語った。彼女は誰でも性犯罪の被害者になることはある、私は悪くないと言い切った。そして「心の傷は永遠に残っている。助けてくれると思った日本の警察からゴミ扱いされ加害者扱いされ、2次被害を受けた」と断罪した。さらに沖縄の由美子ちゃん事件を語り、6歳の彼女は生きている権利があったのに米兵がその権利を奪ったと弾劾し、「沖縄、平和な沖縄、何も悪くない沖縄、何も悪くない私。平和のための行動を進めていきましょう。やっと今日私は一人ではないという気持ちになりました」と語った。
 大城節子沖縄県婦人連合会副会長が大会決議案を読み上げ、満場の拍手で採択。山田君子沖縄県老人クラブ連合会副会長が「これ以上基地あるがゆえの事件・事故を許さない決意を日米両政府に示すことができた。基地は招かれざる客だ」と閉会のあいさつ。集会参加者が傘を閉じ、玉寄さんが「こぶしを振り上げ日米両政府を突いていこう」「沖縄県民の人権回復と人権を保障させる社会、さらには地位協定の抜本的な改正を目指して」と力強く団結ガンバローを三唱した。

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週刊『前進』(2337号5面1)(2008/03/31 )

 米経済が金融恐慌に突入

 信用収縮で大手証券破綻

 ドル暴落も始まった! 最末期帝国主義打倒へ

 島崎光晴

 3月半ば、米大手証券のベアー・スターンズが実質的に経営破綻(はたん)した。米住宅バブル崩壊はついに、アメリカ金融恐慌という段階に至った。同時に、ドル暴落が本格的に始まっている。基軸国である米帝の金融恐慌とドル暴落は、世界金融大恐慌をいよいよ現実化させる。そういう重大情勢に入った。プロレタリア世界革命を達成する時が真にやってきたのだ。階級的労働運動で帝国主義を打倒しよう。7月洞爺湖サミット粉砕へ総決起しよう。

 信用市場がメルトダウン 優良ローン証券も危機に

 3月半ば、米証券会社で第5位の規模を持つベアー・スターンズが実質的に経営破綻した。ベアーは住宅ローンの証券化業務では業界トップクラスであり、影響を最も受けた。
 3月11日には手元資金が約350億j(約3・5兆円)もあったが、13日にはほぼ底をついた。大手銀行がベアーから融資を一斉に引き揚げるとともに、顧客が預けている資産を一気に引き出したためだ。銀行による貸しはがしと「取り付け」が同時に起こったのだ。
 しかも、ベアーはファニーメイなどの住宅公社が保証をつけた住宅ローン担保証券などを担保にして短期資金を調達していた。米国債を含め優良な証券・債券を担保に短期資金を調達する仕組みで「レポ取引」と言われる。しかし、その優良な住宅ローン担保証券も暴落したものだから(後述)、この資金繰りができなくなった。
 債務担保証券=CDOなどを担保にした手形=コマーシャルペーパーによる短期資金の調達は昨夏に崩壊していたが、より優良な資産を担保にした短期資金の調達もできなくなったのだ。「信用市場のメルトダウン(炉心溶解)」と言われるほど深刻な信用収縮に陥った。この時点でベアーは実質的に経営破綻した。これは金融恐慌そのものだ。97〜98年の日本の金融恐慌と比べても、破綻に至るテンポは早く、破綻の規模も大きい。
 これに対し14日、ニューヨーク連銀が米大手銀行JPモルガン・チェースを通じて、ベアーに緊急融資する計画を発表した。市場に大量の資金供給もした。
 しかし、それでも危機は収まらず、ベアーの取引先の連鎖破綻が起きそうになった。そこで大慌てで16日、JPモルガン・チェースがベアーの買収を発表、ひとまず連鎖破綻を食い止めた。さらにFRB(連邦準備制度理事会)はベアーへの直接融資に踏み切った。
 米金融危機の噴出は昨年8〜9月、年末に続き3回目。ついに大手証券の経営破綻に至った。いまやどれほど優良な住宅ローン担保証券を持っていても、その価格暴落と資金繰り難から、あっというまに経営破綻する。
 ベアーだけでなく米大手金融機関すべてが同じ状況だ。現にリーマン・ブラザーズは破綻の恐れから、18日には株価が一時48%安まで売られた。「第2、第3のベアー」は必至である。アメリカ金融恐慌が音をたてて進み始めたのだ。

 プライムでも差し押さえ増

 ベアー・スターンズ破綻の背景には、3つの重大事態がある。第1は、住宅ローン返済の焦げつきと住宅の差し押さえが、サブプライムローン(低所得者向け高金利型住宅ローン)だけでなく、プライム(最優良)ローンにも広がっている。昨年1年間の差し押さえは前年比79%増の220万件にもなった。
 10〜12月期の差し押さえの内訳をみると、サブプライム54%に対しプライムが38%にも上った。米住宅ローンの総額は約10兆j(約1千兆円)。プライムローンを含めて、これらが次々に焦げついていく局面が始まっているのだ。
 第2に、この影響で3月に入って、サブプライム関連の住宅ローン担保証券だけでなく、優良とされてきた住宅ローン担保証券も価格が暴落し始めた。住宅公社ファニーメイ保証の住宅ローン担保証券は、実質的な政府保証とみなされて信用が厚かったが、それすらも投げ売りされるまでになった。元本の40%にまで下落する例も出てきている。単なる「サブプライム危機」ではなくなったのだ。
 サブプライムローン残高は1・5兆j(約150兆円)で、うち約8割が証券化されている。しかし、優良なローンを含めると住宅ローン10兆jのうち7・2兆j(約720兆円)もが証券化されている。このとてつもない額の証券化商品全体が暴落する過程が始まったのだ。
(写真 カリフォルニア州オンタリオ市の「テント・シティ」。家を差し押さえられた人が増えている)

 ファンド勢が優良証券売り

 第3に、大手金融機関の貸し渋りが、優良な住宅ローン担保証券の暴落に拍車をかけている。
 大手金融機関は、保有する住宅ローン担保証券、あるいはその再証券化商品(CDO)の価値の暴落により、巨額の評価損をこうむっている。米大手銀行・証券・保険の計10社のサブプライム関連損失はすでに1千億j(約10兆円)を超えた。損失を処理しても新しい不良証券が次々に生まれている。企業向け融資でも損失が激増中だ。IMF(国際通貨基金)の試算では、金融危機の深刻化による関連損失は約8千億j(約80兆円)に拡大する。
 サブプライム関連の損失で窮地に陥った米金融機関は、さまざまなファンドへの融資を絞り、さらには融資の返済を求め始めた。貸し渋り、貸しはがしは何よりも、ヘッジファンドなどの投資ファンドに対して起きている。このためファンド側は、換金性の高い優良な住宅ローン担保証券を売って返済せざるをえなくなっている。だから、優良な住宅ローン担保証券までもが暴落するに至ったのだ。
 以上、プライムローンの焦げつき・差し押さえの拡大、銀行の貸し渋り・貸しはがし、優良な住宅ローン担保証券の暴落、これらによる信用収縮の深まり――こうした新局面の中でついに大手証券が破綻し、金融恐慌に突入したのだ。

 米帝の金融的延命が崩壊 恐慌対策がインフレ加速

 米金融恐慌の始まりと同時に、ドル暴落も始まっている。3月半ばには、95年以来1j=100円の大台を突破してドルは全面安となった。従来の円高・ドル安は、米帝が対日貿易赤字を減らすために自らドル安を誘導した結果だった。しかし今回は、米金融恐慌を震源にドルへの信認が崩れていることによる。
 米帝は95年以来、「強いドル」政策を取ってきた。世界の余剰マネーを米資産の購入に向かわせ、そうやって米国に流入した資金を米金融市場で増殖しつつ、それを再び世界に投資する構図だった。
 90年代後半は、米株高により米株式市場に国外資金を引き寄せた。そのIT(情報技術)バブルが崩壊した後は、特に03年以降、国外資金の対米流入は証券化商品の購入という形をとった。ハイリスク・ハイリターンのサブプライム関連の証券化商品が、世界から資金を集める象徴となっていた。
 米への資金流入は、何かの米資産が値上がりし続けるという大勢の中で、初めて成り立っていたにすぎない。それが崩れたのだ。
 これは単にドル暴落と米金融危機を促進するだけではない。米帝の帝国主義としての根幹を瓦解(がかい)させるものだ。米帝は、74〜75年恐慌以降、製造業での国際競争力の低下を巻き返すこともできないまま、主に金融大国として延命しようとしてきた。そのために90年代半ばから「強いドル」政策を採用し、ITをもっぱら金融技術として使ってきた。しかし、そうした金融大国としての延命策も吹っ飛んだのだ。米帝の没落は新段階を迎えた。
 米帝を初め帝国主義は、74〜75年恐慌で世界的な過剰資本・過剰生産力に陥って以降、実に30年以上にもわたってマネーゲームにひたり、バブルを繰り返して生き延びてきた。世界の金融資産総額は140兆j、約1京4千兆円(06年末)にも上る。「京(けい)」という単位になるのはこの金融資産額くらいだ。
 しかし、金融投機で30年以上も生き延びてきた帝国主義も、ついに終わりを迎えた。こういう延命だったからこそ、積もりに積もった矛盾が今や世界金融大恐慌として爆発しているのだ。こんな帝国主義は一刻も早く打倒する以外にない。

 供給資金は商品市場に流入

 米帝はすでに恐慌対策を発動し始めている。FRBは市場に大量の資金を供給し、政策金利も物価上昇率を差し引いた実質ではゼロに引き下げた。しかし、どんな対策をとってもバブル崩壊を途中で食い止めることは絶対にできない。
 むしろこの間はっきりしたのは、恐慌対策がインフレ促進という逆効果を及ぼしている。市場への資金供給や金利引き下げは、投資マネーを増幅し、商品市場に流入させる結果になっている。原油や穀物などの商品価格が高騰し、インフレが加速しつつある。
 金融恐慌とインフレの同時進行というのは、本来ありえない。しかし、何十年も実体経済とかけ離れて金融を肥大化させてきた結果、金融がコントロールできない。自業自得だ。しかも、米金融市場を国際的な商品市場とリンクさせてきたため、米金融市場に資金を投入しているつもりでも、国際商品市場に資金が移動してしまう。これも金融の国際化の結果であり、自業自得だ。
 米金融の自由化・国際化に手を染めてきた新自由主義者どもは、この危機に震えあがるがいい! マネーの世界で生き延びてきた資本家連中は、そのマネーの世界で恐るべき報復を受けつつある。こうした事態をも含め世界金融大恐慌なのだ。
 米帝がどんなにあがいても、すでに米金融恐慌が始まり、世界金融大恐慌はいよいよ現実化していく。ドル暴落と米帝の一層の没落は、世界経済の分裂とブロック化、そして帝国主義間争闘戦をまったく新しい次元にエスカレートさせる。本当に1930年代から第2次大戦に至るような帝国主義の激突と戦争の時代が現実になるのだ。
 同時に、帝国主義は労働者の搾取・収奪・分断と労働組合破壊攻撃を強め、労働者をますます生きられない状況に追いこむ。革命的情勢がいよいよ急接近するのだ。

 7月サミット粉砕決戦へ!

 腐朽し世界戦争に転落していく帝国主義を、プロレタリア世界革命で打倒しよう。3・16闘争の地平を発展させ、帝国主義の洞爺湖サミットを労働運動の力で粉砕しよう。帝国主義強盗どもの集まりに対し、全世界の労働者の怒りをたたきつけるのだ。何よりも階級的労働運動の実践ですべてをこじ開けよう。

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週刊『前進』(2337号5面2)(2008/03/31 )

 後期高齢者医療制度 これでは生きてけない!

 医療給付を8兆円削減年金から天引き

 保険証取り上げも

 4月1日から75歳以上の高齢者を対象とする後期高齢者医療制度がスタートする。介護保険制度を突破口とする日帝の社会保障解体攻撃がいよいよ全面化する。
 後期高齢者医療制度は、小泉政権下の06年6月に強行された医療改革法で決められたもので、その目的は「医療改革」で医療給付費を2025年までに8兆円削減することにある。削減の内訳は患者負担の引き上げで1兆円、診療報酬引き下げで1兆円、生活習慣病の予防策で有病者・予備軍の25%減少で2兆円、入院日数の短縮・ベッド数削減で4兆円というものである。政府の財政負担を減らすための医療の大幅な切り捨てである。
 後期高齢者医療制度の問題点は第一に、すべての後期(75歳以上)高齢者が保険料を負担しなければならず、基本的に年金から天引きされ、収入の少ない高齢者は生活できなくなることだ。これまで給与所得者の扶養家族になっていた高齢者も保険料負担が生じる。しかも保険料は月額1万5千円以上の年金受給者は年金から天引きされる。政府が試算した平均的な厚生老齢年金受給者の保険料は月額6200円であり、高齢者にとってきわめて重い負担だ。
 第二の問題点は、保険料を滞納すると保険証が取り上げられ、窓口で一旦全額負担が必要な資格証明書が発行される。さらに「特別の事情」なしに1年6カ月保険料を滞納すれば保険給付が差し止められる。収入の少ない人から医療を奪う攻撃である。
 第三の問題点は、医療機関に支払われる診療報酬が別建ての「包括定額制」になり、患者が受けられる医療が制限されることである。
 包括定額制では、病気の種類によって支払われる診療報酬が決められており、医療機関は定額を超えて赤字になるような医療行為は続けようとせず、患者も全額自己負担となる医療を受けるのは経済負担が大きく、医療が制限される。一定の治療が終われば病院は患者を追い出そうとし、患者も経済負担が重く出て行かざるを得ないということだ。
 しかも厚生労働省は、08年度の診療報酬改定で延命治療の有無などの希望を文書などで示す「リビング・ウイル(生前の意思表示)」を作成すると診療報酬が支払われる制度を導入する方針である。高齢者を病院から追い出し「自宅で死ね」と強制しているのだ。
 後期高齢者医療制度は、社会保障の全面解体ともいうべき重大な攻撃である。帝国主義の危機の中で、資本の救済のために莫大な資金を投入する一方、それによって生じた国家財政の危機を社会保障制度解体による労働者への犠牲転嫁でのりきろうとしているのだ。帝国主義が労働者階級の革命を恐れて実施している社会保障制度を解体するという攻撃に出ている以上、労働者階級の回答はプロレタリア革命以外にない。

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週刊『前進』(2337号6面2)(2008/03/31 )

 無実の福嶋同志に控訴棄却

 悪らつな政治判決を許すな

 3月27日、東京高裁第2刑事部・安廣文夫裁判長は、無実の福嶋昌男同志(迎賓館・横田爆取デッチあげ裁判)に対し、まったく不当にも控訴棄却の反動判決を下した。
 午後1時30分、安廣裁判長が「本件控訴を棄却する」と主文を読み上げるや、法廷は大きな怒声に包まれた。福嶋同志はバーンと机をたたき、「私は無実だ」「デッチあげを許さない」と裁判長を激しく弾劾した。
 安廣裁判長は、判決理由を聞き取れないほどの小さな声でぼそぼそと読み上げた。一審のデッチあげ服部判決(実刑懲役12年)を擁護するだけの露骨な政治的判決だ。
 国家権力は、1986年岩手借家から押収したメモが、迎賓館と横田基地へのロケット弾戦闘の準備・計画メモで、その筆者が福嶋同志だとデッチあげた。しかし、メモは両戦闘と関係なく、福嶋同志はそれらのメモの筆者ではない。
 控訴審では、物理学者が「メモの内容は物理学の原理に反しており、具体的実践のための計画メモとはいえない」と証言し、検察の「飛距離増大化計画メモ」「飛距離計算メモ」というデッチあげを根底から崩壊させていた。ところが安廣裁判長は「正確なメモではないが、大まかな計算を試みた事実を否定するものではない」などと事実を歪曲し、有罪とする方向で理屈をこねまわした。
 また、それらのメモは、いつ、だれが、どのような目的で書いたものか、オリジナルなものか否かが不明である。そんなメモだけを根拠に事実を認定するのは違法であるという法学者の意見書に対しては、「悪事を遂行するために書かれたメモには正確性を認めることができる」と言い、無前提に両戦闘の計画メモであると決めつけた。
 さらに、福嶋同志の筆跡ではないという弁護側の筆跡鑑定は、検討しないで切り捨てた。
 安廣裁判長は、控訴審が始まった時から「これまでの記録を読んで心証は形成している。弁護側証人など必要ない。3月までに判決を出す」と言い放ち、有罪と決めつけていた。
 福嶋同志と弁護団は、証人と多くの「意見書」を認めさせてきた。追い詰められた安廣裁判長は、国家意思を強引に押し付けてきた。断じて認められない。
 しかし安廣裁判長は、その場で福嶋同志を拘束することはできなかった。怒りに震えながら法廷から出てきた福嶋同志を先頭に弁護士会館で弾劾集会を行った。
 弁護人が、「一審判決をただただ追認するだけの、実に腹立たしい判決でした。直ちに上告しました。さらなる奮闘で上告審を闘います」と怒りを込めて報告した。
 福嶋同志は、「私は無実です。安廣裁判長を断じて許せない。法廷ではずっとにらみつけていました。皆さんとともに闘ってきたから今ここに立っていられます。もっと運動を大きくし、上告審闘争に勝利したい」と、不屈の決意を語った。
 デッチあげ高裁判決を許すな。福嶋同志とともに闘い、必ずや勝利しよう。

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週刊『前進』(2337号6面4)(2008/03/31 )

 3・16渋谷不当逮捕 4人を奪還!

 完黙と職場の団結で勝利

 3月16日の全世界一斉デモで不当逮捕された4人の仲間が26日夕、全員奪還された。完全黙秘・非転向を貫く4人の闘いと、職場・街頭でわき上がる労働者の不当逮捕への怒りの決起がかちとった大勝利だ!
 26日夜、仲間たちが集まり、報告集会が開かれた。ただちに4人の被逮捕者が発言した。
 「弾圧で団結がますます広がった。大勝利だ」「取り調べで公安刑事が言うことは、革命に確信を持たせることばかり。『これは勝ったな』と思った。この団結で革命にまい進していく」「彼らが一番恐れているのが『革命』であることがよくわかった。彼らは、労働者が今、本当に立ち上がっていることをまったくわかっていない。本当に『弾圧、どーも!』です」「取り調べで『労働者の地位向上のための活動はいい。だけど職場を越えた団結はダメ。革命はダメ』と言ってきた。わかりやすい! 私たちの革命のための闘いに最もビビっている。職場の仲間が私の奪還のために闘っていると聞いて、鳥肌が立つほどうれしかった。私たちこそすべての労働者の希望の光だと確信した」
 3月9日の国際婦人デー集会のデモで逮捕された青年労働者は「職場に戻ったら『頑張れよ』と温かく迎えてくれた。かけがえのない仲間たちです」と報告。「この力で、星野文昭さんと法大弾圧の内田君を取り戻そう!」と呼びかけた。
 続いて、奪還のために職場や街頭で闘いぬいた仲間たちが次々発言した。「『逮捕したことを後悔させてやる』という思いで闘ってきた。職場ではこの10日間、逮捕への怒りが広がり、仲間の団結はますます強まった。逮捕は許せないけれど、おかげで闘いはさらに広がった」「弾圧がチャンスになるのは、仲間がいるからだ」などの発言が続いた。
 3・9弾圧でも3・16弾圧でも、職場では資本と組合幹部が被逮捕者への悪意に満ちたキャンペーンを展開し、労働者を震え上がらせようとした。しかしその重圧を突き破って、職場の仲間たちが「逮捕の狙いは『職場で闘うことをやめろ』ってこと。団結の力で仲間を取り戻そう!」と猛然と闘いぬいた。職場に分岐が生まれ、当局・組合幹部の攻撃を打ち破る力が爆発的につくり出された。この力が6人の仲間の奪還を実現したのだ。職場の団結はますます強まり、次々と活動家が生み出されている!
 「弾圧はチャンス」「弾圧ありがとう」「弾圧には団結を」がすべての青年労働者の合言葉になった。この団結の力で突き進もう!

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季刊 共産主義者156号