ZENSHIN 2008/04/07(No2338 p08)

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週刊『前進』(2338号1面1)(2008/04/07 )

 サミット粉砕

 全国学生ゼネストへ

 プロレタリア世界革命に向け労働者階級と団結して闘おう

 マル学同は新入生諸君に訴える

1520人の結集で三里塚闘争の新たな発展を誓う 3・16イラク反戦世界一斉デモをうちぬき、初参加の青年労働者・学生を加えて隊列を増した熱気あふれる集会。壇上は主催者あいさつを行う北原事務局長(3月30日 成田市天神峰)=記事6面

 世界は革命情勢だ。世界に貧困と戦争をもたらしてきた帝国主義を打倒するチャンスがきた。帝国主義打倒に向け、全世界で労働者がストや大デモ、暴動に決起している。動労千葉は08春闘をストライキで闘った。教育労働者は「日の丸・君が代」不起立を闘い、根津公子さんの解雇攻撃を粉砕した。団結して闘えば、帝国主義は倒せる! 労働者の意志と行動によって、革命情勢を世界革命勝利へと転じよう! 7月7日〜9日、帝国主義サミットが北海道洞爺湖で行われる。日帝は労働者の怒りに恐怖し、首都・東京でサミットを開催できない。「労働運動の力で革命をやろう」の闘いを白熱的に実践し、帝国主義の強盗会議=洞爺湖サミットを粉砕しよう。全世界の闘いと連帯し、労働者階級の総決起と全国学生ゼネストの爆発でサミット決戦に立とう!

 世界金融大恐慌の爆発

 帝国主義の基本矛盾が全面的な爆発を開始した。世界金融大恐慌の現実化でサミット開催がぶっ飛ばされるような情勢だ。3月中旬、米10大金融機関のひとつである大手証券会社ベアー・スターンズが経営破綻(はたん)し、JPモルガン・チェース銀行に買収された。底なしの信用収縮で基軸帝国主義の米帝経済がついに金融恐慌に突入したのだ。
 世界の金融機関が抱える損失は、今やサブプライムローン関連に止まらない。米ゴールドマン・サックスは、金融危機の損失額が1兆2千億j(約120兆円)に達すると試算している。だがこんなものではない。1000兆円にものぼる住宅ローンのうち、720兆円が証券化されている。これら証券化金融商品の全体の暴落が始まったのだ。住宅バブルのもとで、証券化金融商品を全世界にばらまいて金融大バブルをつくりあげて暴利をむさぼってきた金融独占資本全体が、米帝を先頭に全面的な崩壊を始めたのだ。
 金融機関は、自己資本を確保するために優良な住宅担保証券の投げ売りを始め、貸し渋りや貸しはがしも深刻化している。優良な住宅担保証券をもっていても価格は暴落し、資金繰りができず、信用収縮から経営破綻が続出する。「第二、第三のベアー・スターンズ」が生まれるのは不可避だ。
 しかも、今やドルへの信認が崩れ、ドル暴落も始まった。恐慌対策として行われた連続的な金利引き下げと資金供給によって、投機マネーが原油や穀物市場に殺到し、食料品やエネルギー関連の価格が高騰している。経済のインフレが始まっているのだ。
 1974〜75年恐慌で世界的な過剰資本・過剰生産力に陥って以降、帝国主義はバブル経済をくり返し、危機を拡大させながら延命してきた。中国を世界経済と労働市場に組み込んで、低賃金で搾取し、帝国主義経済の延命をはかった。だが、今や米住宅バブルは崩壊し、中国のバブル経済も破綻を始めた。延命に延命を重ねて矛盾を蓄積した全構造が、大崩壊を開始した。
 帝国主義には、世界金融大恐慌を回避する手段などない。帝国主義は、恐慌対策と称して、すべての矛盾を労働者階級に押しつけつつ、世界の資源・市場・勢力圏をめぐって激突し、絶望的に世界戦争に突き進んでいる。
 洞爺湖サミットでは、帝国主義が分裂と争闘戦を強めながら、イラク・アフガン戦争継続を宣言し、イランやパキスタンへの侵略戦争拡大が狙われ、世界戦争へ突き進んでいく。こんな強盗会議は絶対に粉砕あるのみだ!
 米帝はイラク侵略戦争の中で、帝国主義としての生命力をますます失う。だが、米帝は中東支配―世界支配のためにイラクから撤退できない。帝国主義を倒さない限りイラク侵略戦争は終わらない。しかし、イラクの労働者・労働組合が石油パイプラインをぶっ止めれば、国際帝国主義は終わりだ。
 昨年11月、動労千葉など闘う3労組の呼びかけで、国際連帯の労働者集会が闘われた。これにアメリカのILWU(国際港湾倉庫労組)や韓国の民主労総ソウル本部などの世界最強の労働組合が結集した。ILWUは、今年の5・1メーデーでアメリカ西海岸の全港湾を止め、イラク・アフガニスタンへの軍事物資を止めると宣言している。労働者の団結が戦争を止める。労働者が団結すれば世界革命がやれる。

 帝国主義の強盗会議

 今や帝国主義の生命力は尽きた。労働者階級が権力をとること、プロレタリア独裁をかちとることが問題になっている。11月労働者集会として実現されている世界革命に向けた陣形を、サミット決戦で全世界に拡大し、今年の11月集会に向かって今から闘おう。世界金融大恐慌と世界戦争に突き進む最末期帝国主義をぶっ倒せ! 世界の労働者の団結で洞爺湖サミットを粉砕し、世界革命勝利へ突き進もう!
 サミットの中心テーマに、帝国主義強盗どもは「地球温暖化対策」なるものを打ち出している。だが帝国主義に「環境問題」を語る資格などない。帝国主義は、金融独占資本の利益のために自然と人間を破壊してきた。帝国主義の延命が深刻な「環境問題」を引き起こしたのだ。最大最良の「環境対策」こそは、今すぐ帝国主義を打倒してプロレタリア世界革命をやり、労働者が主人公の社会をつくることだ。
 サミット開催国である日帝は、帝国主義の「最弱の環」として、破滅的な危機を促進させている。福田政権は、統治能力がまったくないことを日々さらけ出している。福田政権に対する労働者の怒りも爆発している。民主党には福田政権を倒す力などない。労働者階級が権力をとることが求められている。今すぐ福田政権を打倒しよう。
 日帝は、青年労働者や学生が革命に立ち上がることに恐怖し、弾圧を激化させている。だが、弾圧は労働者の団結を強化する。弾圧は、団結拡大の糧だ。弾圧に労働者は怒っている。弾圧を労働者の総決起へと転じよう!

 ストライキやって団結 

 全国学生はこの6〜7月、サミット粉砕のゼネストで、資本主義を根底からひっくり返そう。帝国主義に怒りを爆発させるストライキをやろう。300万学生は、ゼネストをやって団結し、大学を学生の手に取り戻そう!
 貧困や戦争で労働者が食っていけない現実をつくり出したのは帝国主義だ。世界人口の1%にも満たない資本家どもが、世界の富の99%を独占している。貧困や戦争は、すべて資本家の利益のためだ。資本家のために労働者が死んでたまるか。こんな腐りきった社会では生きられない。帝国主義への怒りを激しく爆発させよう! それがストライキだ!

 貧困と戦争への怒り

 大学当局は、学生を分断し競争させながら、「就職のために資格を取れ」と言っている。ふざけるな。そんなものは教育ではない。大学を卒業しても2人に1人は一生フリーターだ。大学当局が振りまいているのは幻想だ。弁護士資格をとっても、就職も開業もできず、年収200万円以下の「弁護士のワーキングプア化」が進んでいるではないか。そもそも、世界金融大恐慌突入で、大学当局が前提とする資本主義社会は完全に崩壊しているのだ。
 大学当局は、大学を労働者家族から収奪する「貧困ビジネス」へ変えた。年収200万円以下の働く貧困層が1000万人に拡大しているのに、大学の授業料は上がる一方だ。今や学生の5人に1人は借金して大学に入り、7割の学生が奨学金を希望している。
 学生を食い物にしている帝国主義やそれに追随する大学などぶっつぶれて当然だ。「資本主義など倒せ。革命だ」と言い切った時に、学生が本来もっている力が解き放たれる。学生は、就職する前から競争と分断を強いられ、労働力商品としての自己を高めることを要求される労働者階級そのものだ。動労千葉は、ストライキをやって団結し、社会の主人公が労働者であることを示している。学生が競争と分断を拒否し、団結してストライキに立ち上がり、大学機能を止めたとき、帝国主義の階級支配は崩壊するのだ。
 学生がいれば大学はつくれる。学生がストライキをやって、自分たちで教育をつくろう。学生が学ぶ相手は教授ではなく、労働者階級だ。人間を解放するのが教育であり、団結することが教育だ。自分たちのもつ力と可能性を確信し、引き出すのが教育だ。ストライキをやって、労働者階級の一員としての誇りをつかもう。ストライキで団結し、人間を労働力商品として扱う資本主義をぶっ倒そう。競争や分断で破壊されてきた人間関係をストライキで取り戻そう。法大を先頭に世界の労働者とつながるストライキをやろう。

 マル学同に結集しよう

 ストライキをやりたいすべての学生は、マルクス主義学生同盟中核派に結集してともに闘おう。マル学同の団結は、一人ひとりのもっている力と可能性が無限に引き出される団結だ。
 法政大では、06年3・14大弾圧以来、のべ45人が不当逮捕され、新井君、友部君、内田君の3人が起訴され、4人が退学処分、1人が無期停学処分となりながら闘ってきた。「新井君、友部君、内田君のように闘おう」「闘いなくして弾圧なし。弾圧なくして団結なし」と言い切って闘ってきた。逮捕・起訴された仲間のように闘うことが最も人間らしい生き方であり、大学当局や国家権力が最も恐怖する闘いだ。闘うからこそ弾圧される。だが、弾圧こそ、団結拡大のチャンスだ。そう言い切れるのは、弾圧に対してともに怒り闘う仲間がいるからだ。仲間がいるから、逮捕・処分を逆に団結拡大のチャンスとして闘ってきた。
 マル学同にはともに団結し闘う仲間がいる。革命をやりたいすべての学生は、マル学同に結集して、ともに世界革命に向かって生きかつ闘おう!
 尼崎事故3カ年弾劾の4・26尼崎現地闘争に全国から総結集しよう! 4〜5月入管闘争を闘い、5・15沖縄現地闘争に決起しよう! 大学キャンパスで大学当局と激しく激突しながら団結を強化・拡大し、サミット粉砕の全国大学ゼネストに突き進もう!
 労働者自己解放の闘いに敵対する塩川一派を打倒して、サミット決戦の大爆発をかちとろう!

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週刊『前進』(2338号1面2)(2008/04/07 )

 不起立闘争根津さんの解雇阻止したぞ

 支援者らとともに勝利宣言

 「解雇処分を粉砕したぞ!」と一同の歓喜が爆発した。
 3月31日、冬に戻ったような氷雨の中、早朝から教育労働者を始め100人もの支援者が全国から都立南大沢学園養護学校前に結集し、出勤する根津公子さんを送り出した。都教委は根津さんにだけ「君が代」不起立処分発令の日時・場所を指定していない。
 午前9時半、都教委の2人がタクシーで門前に乗りつけ校内に入った。「根津さんのクビを切るな」と怒りの声が浴びせられるが、振り返りもせず校舎内に消えた。やはり今日ここで通告だ。
 校舎2階の職員室の窓から根津さんが顔を見せ「校長室に呼びだされた」と知らせた。「いよいよ…」。緊張が極度に高まった。
 広島で不起立を貫いた青年教育労働者、1月に根津さんを講演に迎えた北教組を始め全国から駆けつけた人びとがマイクを握り「解雇阻止」を絶え間なく必死に訴えた。
 10時半、職員室の窓が開き、根津さんの同僚が手を振り笑顔でこちらへ何か言っている。遠くて聞き取れない。すぐに根津さんが姿を見せ、叫んだ。「クビにすることはできなかった!」
 誰もが一瞬耳を疑った。すぐさま「うおーっ」という言葉にならない叫びが広がった。
 根津さんが興奮の面もちで門前に現れた。処分内容は卒業式での不起立と「君が代反対」トレーナー着用で停職6カ月。「みんなが声を上げたから都教委は私をクビにできなかった!」。再び大きな歓声が上がり、多くの人が涙を流し手をたたいた。この2〜3月だけでものべ何千人の人びとが都庁に詰めかけ、都教委に抗議・申し入れを行っただろう。つねにその先頭に立っていた根津さんは今、満面笑みで握手攻め、取材攻めだ。
 「処分書の受け取りには数人が一緒に付いてきて、結果をともに喜んでくれた」「停職はまったく不当だけど、解雇させなかったのは本当にうれしい。私たちの勝利!」と小さくガッツポーズ。そして4月からの異動先に思いをはせ、「停職期間もまた毎日門前に通いますよ」と宣言した。(関連記事2面)
(写真 “みんなが声を上げたから勝った” 処分通知後に門前に現れた笑顔の根津さんに取材が殺到。右は九州から駆けつけた支援者【3月31日 南大沢学園養護学校前】)

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週刊『前進』(2338号2面1)(2008/04/07 )

 今こそ石原・都教委打倒を

 不屈の闘魂が解雇うち破る

 階級的労働運動路線の新地平

 革共同教育労働者委員会

 08年卒業式闘争は、根津公子さん・河原井純子さんのクビを賭けた不起立闘争の貫徹を最先頭に東京と全国で大爆発をかちとり、階級的労働運動路線の新たな地平を切り開いた。何よりも今次卒業式闘争の天王山的攻防であった根津さんの解雇攻撃をうち破る偉大な勝利をかちとったことを徹底的に謳歌(おうか)しよう。ファシスト石原打倒、そして闘う日教組を奪い返す大チャンスの到来だ。入学式でさらに「日の丸・君が代」不起立を押し広げよう!
(写真 根津公子さんへの解雇策動をうち破った勝利感にあふれて、都高教や東京教組の組合員を先頭に270人が駆けつけた【3月31日 水道橋】)

 大衆的怒りの追及連日都教委を圧倒

 「君が代」不起立を理由とする処分、ましてや停職処分など絶対に許せない。根津さんに対して毎年繰り返されている強制異動は二重処分以外の何物でもない。しかし、すでに停職6カ月処分を受けていた根津さんに免職処分を出せなかったことは、都教委の完全な敗北である。
 根津さんに対する再度の停職6カ月処分は、不起立1回で戒告、2回で減給10分の1・1カ月、3回で同6カ月、4回で停職1カ月、5回で同3カ月、6回で同6カ月という累積加重処分の破産を表明したものだ。都教委の03年「10・23通達」の核心である「不起立を繰り返せばクビ」の恫喝(どうかつ)はついに打ち破られた。
 この勝利は、不起立闘争の階級的労働運動としての攻勢的発展の道を開いた。そしてまた、新銀行東京の経営破綻(はたん)でグラグラになっている石原を、都労連を先頭とする労働者の決起で打倒する闘いを切り開くものである。
 「君が代」解雇をうち破った力は何か。何よりも根津さん自身の〈たとえクビになっても不起立を貫く>という断固たる決意であり、〈解雇されても生涯教育労働者として闘い続ける>という不屈の闘魂である。この決意と闘争心の前に、解雇攻撃は本質的にうち破られ、都教委はすでに敗北していたのだ。
 さらに、12万筆を超える署名、全国紙への意見広告、連日のマスコミ報道、国会での追及など、「解雇させない会」の運動が「君が代」解雇問題を一大社会問題に押し上げ、都教委を包囲していった。この闘いは、解雇攻撃を逆手にとった極めて攻勢的な闘いだった。都教委が「君が代」不起立解雇を争点にさせないために画策したトレーナー処分は、まったく逆に、解雇させない闘いの爆発の導火線となった。
 特筆すべきは、都教委への直接的大衆行動の威力である。2月から3波にわたって闘われた都教委闘争は、トレーナー処分を実力で粉砕した。続いて休む間もなく、都教委への抗議行動が3月28日の教育委員会まで、文字どおり連日連夜にわたって闘われた。
 根津さんを先頭とする追及は、不起立闘争の正義性と処分攻撃のデタラメさを暴きだし、都教委を圧倒した。警備員を前面に立てて逃げ回り、要請書も署名も握りつぶす都教委の卑劣な姿に、参加者の怒りが爆発した。
 警備に駆り出された職員がグラグラに動揺していく手応えを誰もがつかんだ。6台の警察車両に守られた28日の都教委定例会は、傍聴者の弾劾を浴び、会場直近から100人のシュプレヒコールがたたきつけられ、ほうほうの体だった。

 解雇させない闘いが階級的団結拡大

 闘いの最大の成果は、教育労働者の「解雇させない」闘いとして不起立闘争を拡大し、階級的団結をつくり出したことである。
 今年の卒業式でも、根津さん・河原井さんを先頭に20人が不起立などの抵抗を貫き処分された。うち9人は新たな処分だ。「10・23通達」以来5年間の被処分者はのべ408人。処分の脅しで一切の抵抗をたたきつぶすという石原・都教委の狙いは、5年間の闘いで完全に打ち破られた。
 東京の区市立学校では画一的な職務命令は出されず、不起立者に対しても現認・報告をしていない実態があった。都立学校でも、不起立闘争を封殺するために、被処分者や不起立の意思を表明する者に式場外任務を命じていた。その一方で、根津さんに対しては狙い撃ちで職務命令を発出し、累積加重による見せしめ解雇を狙ってきたのだ。
 不起立闘争の鎮静化を狙う敵の「黙殺」に甘んじることなく、都教委にファックスを送りつけ、あるいは記者会見で不起立を続けている事実を堂々と公表し、「根津さんをクビにするなら私を処分しろ!」と迫る教育労働者が登場した。不起立者・被処分者を分断する攻撃に対して、クビを賭けて闘う根津さん・河原井さんとの本物の階級的団結をつくり出していく闘いが始まったのだ。
 決定的なことは、根津さんや河原井さんの職場でも、管理職への抗議と追及の闘いが巻き起こったことだ。「職務命令と処分を引き出す」闘いに決起した教育労働者の職場でも、仲間の不起立決起をかちとり、職場全体の圧倒的な支持と共感をつくり出した。教育行政や管理職と「折り合い」をつけるのではなく、トコトン非和解的に闘ってこそ団結が拡大することを実証したのだ。
 不起立闘争・不起立宣言運動は、“根津さんを解雇させるな!”を合言葉に全国でさらに広がった。会場外の任務に甘んじることなく、意識的に式場内に入り不起立する労働者が拡大した。「君が代」未実施校を多く抱えた地域では、「君が代」強行に対して教組の組織的な不起立抵抗闘争がたたきつけられた。
 東京に先駆けて処分との攻防が闘われてきた広島でも、昨年を上回る不起立が闘われた。特筆すべきは、青年労働者が不起立闘争の牽引(けんいん)車として登場し、その自己解放的な闘いが不起立闘争に新たな息吹を持ち込んでいることだ。
(写真 連日連夜の激しい大衆的抗議行動に、都教委は文字どおり逃げ回るしかなかった【3月26日】)

 自己解放闘争としての新たな不起立

 われわれは、塩川一派打倒の闘いをも通じて〈7月テーゼと階級的労働運動路線>を鮮明にし、〈階級的労働運動の白熱的実践=体制内労働運動との分岐・激突>の推進軸として新たな不起立闘争を創造することを確認してきた。血債主義・糾弾主義と決別した教育労働者の自己解放闘争としての不起立闘争を新たにつくり出すこと、「不起立から始める」職場闘争を巻き起こして〈絶対反対>の階級的団結をつくり出すことに挑戦してきた。そのことにより、もはやいかなる弾圧・処分でも押しとどめることができない、石原と日帝を打倒するまでやまない非和解的闘いが始まったのだ。
 「10・23通達」下の不起立闘争は全国の現場組合員の闘魂に火をつけ、教基法改悪反対闘争の爆発をつくり出した。そして根津さんを先頭とするクビを賭けた闘いが、改悪教基法との非和解的激突を切り開いてきた。
 1万5千人の処分をのりこえて24年ぶりの1時間ストライキをうち抜いた北教組、12万決起の最先頭で政府・文科省の歴史偽造・戦争教育と非和解的に対決する沖縄高教組の闘いは、日教組本部のパートナー路線をぶち破り、日教組権力そのものの階級的奪還を現実の課題としてたぐり寄せた。不起立闘争は、まさに本格的ストライキへと発展するランク・アンド・ファイルの「40秒間のストライキ」なのだ。
 「君が代」解雇をめぐる攻防は、体制内労働運動との鋭い激突を生み出した。日教組本部は全国教研から根津さんを始めとする「君が代」レポートを排除し、全体会を中止するという前代未聞の裏切りに走った。東京教組執行部は、中央委員会の抗議決議を突きつけられてなお日教組本部と対決せず、都教委に「窓口閉鎖」と恫喝されるや、解雇させない会への弾圧の先兵として現れた。
 だが、現場組合員は日教組本部に怒りを爆発させ、全国教研の平和教育分科会で解雇させない闘いのレポートを実力で復活させた。東京教組の屈服をのりこえて、闘う単組が都教委行動を呼びかけ、現場組合員は解雇させない会の行動に結集した。現場組合員は、日教組を自分たちの手に取り戻しつつあるのだ。

 3・16決起と結合し勝利の展望つかむ

 08年卒業式闘争は、3・16イラク反戦5周年闘争、それを集約点とする階級的労働運動路線の全産別・全戦線にわたる発展と一体で闘われた。
 不当逮捕、解雇、統制処分、退学処分を恐れず、階級的団結をつくり出して闘う青年労働者・学生が、都教委闘争に連日駆けつけて根津さんとともに闘った。根津さんを先頭とする不起立闘争と、「労働運動で革命をやろう」の闘い、動労千葉の闘い、国際連帯の力が3・16集会で合流した。ここに教育労働運動の勝利の道がある。
 3月28日に官報告示された小中学校の改訂学習指導要領は、改悪教基法を冒頭に掲げ、総則に「愛国心」を盛り込み、小学・音楽では「君が代」斉唱指導について「歌えるように」と到達目標を明記している。
 政府・支配階級は改悪教基法―愛国心教育の中軸に「日の丸・君が代」攻撃を据えている。これとの対決が戦争国家体制との闘いの中心軸であることが改めて明らかとなった。改訂案の「修正」で「君が代」(音楽)、神話教材(国語)、「国際貢献」(中学校社会)をどさくさ紛れに盛り込んだのは、日本会議や教育再生機構の圧力に支配された文科省の姿を暴露するとともに、敵の脆弱(ぜいじゃく)性を突き出している。
 「軍強制」記述を削除した密室の教科書検定を白日のもとに引きずり出したのは、沖縄高教組の不退転の闘いだった。教育労働者が戦争教育に絶対反対を貫き、教育をめぐる非和解的階級対立を顕在化することが勝利の道なのだ。「日の丸・君が代」闘争を通年化し、卒・入学式闘争を職場の団結と抵抗で闘おう。
 入学式闘争を断固闘い、全国一斉学テ反対闘争、評価制度=査定昇給、新職=新級設置に対する阻止・抵抗の闘いを継続しよう。青年教育労働者を闘いの戦列に獲得し、6〜7月サミット決戦から8・6ヒロシマへ突き進もう。

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週刊『前進』(2338号2面2)(2008/04/07 )

 処分発令抗議闘争

 “解雇阻めてうれしい”

 10・23通達を撤回させよう

 「10・23都教委通達」以来5年目の卒業式で「日の丸・君が代」不起立などで闘いぬいた東京の教育労働者に対して3月31日午後、都立教職員研修センターで処分が発令された。この日午前に発令された根津公子さんへの処分で、都教委は解雇を強行できなかった。この一報を聞き、多くの教育労働者・支援者が喜びにあふれた笑顔で続々集まり、その数は270人にふくれ上がった。
 卒業式の「君が代」斉唱時の不起立などを理由に処分を受けたのは20人。根津公子さん、河原井純子さんの2人が停職6カ月、3回目の処分の2人が減給10分の1(6カ月)、2回目の7人が同(1カ月)、初めての9人が戒告である。うち2人は、退職後の非常勤や再雇用の合格が取り消された。しかし集まってきた教育労働者には敗北感は何一つなく、勝利感に満ちあふれている。
 処分を受けた教育労働者が次々とマイクを握り発言した。
 「これまでも不起立を続けてきた。『不起立していても自分は処分されず、根津さんは解雇? 黙っていられない』の思いで闘ってきた。戒告処分だけでなく非常勤教員の合格が取り消されたのは悔しいが、根津さんの解雇を阻めてとてもうれしい」(初めて処分を受けた小学校教員)
 「石原の任期はあと3年あるが、早期の退陣を求める。不起立・不斉唱を含む多様な行動を起こそう」(2回目の処分を受けた中学校教員)
 「学校に命令があってはいけない。人間を命令で動かそうとしてはいけない」(2回目の処分を受けた都立高教員)
 「目の前に生徒がいる以上、教員である私が立って歌うわけにはいかない。『これは憲法違反だ』と言い続けなければ憲法を守ることはできない。負けるわけにはいきません。勝つまで頑張りたい」(3回目の処分を受けた都立高教員)
 「処分を受けたら再任用拒否を覚悟しなければならないが、『それでもいい』と思って座った。『おかしいことはおかしいと言おう』という思いだけです」(初めて処分を受けた都立高教員)
 「母の介護のために定年まで2年を残して勧奨退職し、4月からの再雇用に合格していたが取り消された。戦争体験者の母と私、2人の思いが踏みにじられた。『教え子を再び戦場に送るな』が今、新しいフレーズになっている。今このまま放置したら、また同じことを繰り返してしまう」(初めて処分を受けた都立高教員)
 処分発令を受ける労働者を激励しながらシュプレヒコールを何度もたたきつけ、「都教委は処分をやめろ」「10・23通達を撤回しろ」と訴えた。

 報告集会、勝利感に満ちて

 全水道会館に会場を移し、午後4時から報告集会と記者会見が行われた。養護学校教員・河原井純子さんは今回、6回目の不起立で停職6カ月を受けたが、「根津さんの解雇阻止という大きな喜びにひたっています。『君が代』解雇を阻止しなければ改憲の道を許すことになる、という一念で闘ってきた。若者とつながっていけば、必ず変わる日がくる。『教え子を戦場に送るな』を体を張って表明する時です」と力強く述べた。
 記者会見の途中で、職場から急行した根津公子さんがはじけるような笑顔で登場すると、大きな拍手がわき上がった。根津さんは勝利感に満ちて「みなさん、一緒に動きましょう。そして『10・23通達』をなくしましょう」と呼びかけた(発言別掲)。
 「根津さん解雇阻止」の一報は全国を駆けめぐり、膨大な労働者に「闘えば必ず勝てる!」という自信と確信を与えている。この勝利をバネに、入学式でも頑張ろう!

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週刊『前進』(2338号2面3)(2008/04/07 )

 大勢で動けば変えられる

 根津公子さんの発言

 都教委は、私をクビにすることはできなかった。「停職6カ月の次はない」と言われ、階段を一段ずつ登らされて死刑までいくかと思ったら、そうはならなかった。停職6カ月は本当に不当だけど、でももし大勢の声がなかったら簡単にクビにしたはずです。それができなかったんです。
 この1年、いろんな動きにみなさんが呼応してくださいました。2月からは「トレーナーで解雇されるかもしれない」という中で、連日動き続けた。12万5千筆もの署名が集まった。海外からの声もずいぶん都教委に寄せられた。そうやって動き続けたことで「クビにしたら、その後が大変だ」となって、都教委はクビにすることができなかったんだと思います。
 「憲法を破る」と公言する石原教育行政のもとでも、やっぱり大勢の力が動けば変えられるという希望を持ちました。
 午前中、都教委が処分発令書を学校に持ってきました。「一緒に処分書をもらいに行ってくれる?」と声をかけたら、5人が一緒に発令の現場に来てくれた。都教委には、南大沢学園の中にも根津を支持している人たちが大勢いることがわかったと思います。
 どんなに座ってもクビにならないということが今日、実証できました。「日の丸・君が代」強制をおかしいと思っている教員がみんな起立しなかったら、もう処分できなくなるということが明確になりました。
 みなさん、一緒に動きましょう。そして「10・23通達」をなくしましょう。
 とにかく今日はうれしさいっぱいです。

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週刊『前進』(2338号2面5)(2008/04/07 )

 日程 JR尼崎事故弾劾4・26尼崎労働者集会

労働者の団結で資本主義ぶっ倒そう!
  民営化絶対反対、闘いなくして安全なし! 

JR尼崎事故弾劾4・26尼崎労働者集会

●1047名解雇撤回、反合理化・安全闘争に決起しよう! 

●国労5・27臨大闘争弾圧を粉砕し、闘う国労をつくろう!

●全ての職場からストライキを!

●戦争と改憲を阻止しよう! 

4月26日(土)12時集合、午後1時集会開始
JR尼崎駅・北口広場(集会後、事故現場までデモ)

主催/集会実行委員会

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週刊『前進』(2338号4面1)(2008/04/07 )

 革命の時代が来た競争やめ団結しよう

 資本主義をぶっ倒せ! 俺たち学生にはその力がある

 新入生歓迎特集

 新入生のみなさん。世界は大激動期に入りました。学生や青年労働者が、帝国主義への怒りを解き放ち、革命に生きる時代です。命脈の尽きた資本主義は災厄しかもたらさない。こんな社会はぶっ飛ばせ。学生・労働者は、競争をやめて団結に生きよう。私たちにはこの社会を根底から変革する力があるのです。

 世界は革命情勢だ  帝国主義強盗サミット粉砕を  全学連委員長 織田陽介君

 新入生の皆さん! 全学連は08年、資本主義を倒すストライキを打つ。全学連の団結が拡大するほどに全国の大学をぶっ止められる。だから全学連・学生自治会に入ろう。自治会がないならつくっちゃおう。闘わない自治会は執行部を変えちまおう。闘う全学連の旗のもと、全国学生は団結し、青年の未来を切り開く、資本主義打倒の革命をやろう!
 「大学に行かないと就職できない」――でも必死に勉強しても就職率40%。「金がないなら借金しろ」――でも今や6割が年収300万円、若者の半分がフリーターだ。返せるわけがない。受験料? 入学金? 授業料? こんなもん全部振り込め詐欺じゃねえか! 詐欺師の大学理事会をとっ捕まえろ。ストをやって目にもの見せてやろう。大学の主人公が誰なのかを教えてやる。
 「勝ち組・負け組」――こんな競争で学生が分断され、その裏で大もうけしてきた連中がいる。資本家だ。違法派遣をくり返してきたグッドウィルは、1回の派遣費用で1万5千円以上を得る。折口が昼間から別荘のプールで泳いでいる間に汗水流して働いた労働者に6千円が支払われ、残りはすべて折口のものだ。トヨタでは非正規雇用の労働者がベルトコンベヤーの一部として扱われる。ピカピカの車をつくる労働者がどれだけ過労死に追い込まれているのか。経常利益が2兆円? いい加減にしろ。労働者は語る。「企業だけが成長し、労働者だけが殺されている」
 テストの点数、大学のランキング、単位、資格……。学生はこんなもので自己を表現し、くだらない競争で誇りを奪われてきた。その先にあるのは、非正規雇用か過労死か。もういい加減にしろ。俺(おれ)たちはこんなくだらない競争をやるために出会ったんじゃない。団結するために出会ったんだ。1人の仲間の命も資本には売らない、団結ストをやろう。
 300万の学生が同じ状況だ。全学連はこんな大学のあり方をぶっ飛ばすために全国ストを打つ。大学で学生が団結したら、資本主義が成り立たない? 結構です。資本主義なんてつぶしてしまおう。学生にはその力がある。学生は労働者であり、革命の主人公だ。資本家どもに学生の力を思い知らせてやろう!
 チベットでは若い僧侶たちが立ち上がり、時を同じくして日本の俺たちが怒っている。これは偶然じゃない。3月16日にはイラク戦争開戦5年を契機に、全世界でデモやストが爆発した。日本でも、基地労働者の組合である全駐労の全国スト、北海道教職員組合の1万2600人が処分を受けたストを引き継ぎ、JRの動労千葉がストライキを打った。沖縄では3月23日、6000人が集まる県民大会が行われた。
 世界は革命情勢だ。
 アメリカでは5月1日にILWU(国際港湾倉庫労働組合)の港湾労働者が全港湾一斉のストライキに立つ。「俺たちがストをやれば戦争はできない」。そうだ。労働者は国境を越えて一つだ。団結すれば戦争だって止められる。
 この3月、卒業式での「日の丸・君が代」の強制に反対して、全国の教育労働者が不起立の40秒ストライキに立った。そして根津公子さんの解雇を阻止した。クビをかけた「教え子を戦場に送るな」の闘いが全国の教育労働者の魂を揺さぶり、闘いが拡大した。
 “愛国心”は、国境を越えて団結し戦争を止める力を俺たちから奪う攻撃だ。大学の授業はこんな「教育」ばかりだ。だから学生の団結ストは「仲間を戦場に送らない」闘いだ。教育労働者と学生が団結したら、戦争に行くやつなんていない。俺たちは戦争を阻止できる存在だ。
 自民党政権は「最後の希望」の安倍が倒れて福田になった。さえねえ。支配階級は人材不足。教育に力をいれて突破を図るつもりらしい。大学はそんな「人材」を提供しない。若者を過労や戦争で殺さなければ続かない資本主義なんて誰が支えるか。学生が団結し、教育労働者とともに教育を握ったら革命なんだ。
 資本主義社会にまで前進した人類史において、速く走りたければ車に乗り、飛行機に乗って飛ぶこともできる、高度な生産力を人間はつくり出した。すべて労働者の力だ。しかし同時に資本家は、労働者を分断して支配し、金を媒介にこの力を奪い取り、金が万能の神かのように登場する。
 他方で労働力しか売るものがない労働者は、「賃金奴隷」におとしめられてきた。しかし、労働者が団結すれば資本家の支配をぶっ飛ばし、無限の力を発揮できる。戦争も差別もない社会をつくることなんて簡単だ。その力が俺やあんたの中にあるんだ。こんな楽しいことがあるか。未来は明るい。サブプライムローン危機? 金融恐慌? 世界の証券会社や銀行がバッタバッタと倒れる時代、ピンチは資本家だ。団結すれば労働者・学生はチャンスの時代だ。資本家はさっさと権力をよこせ!
 06年3月14日、法政大学で立て看板の撤去に反対した学生29人が逮捕された。「運動をやめろ」と公安デカが転向強要を行う中、全員が「仲間を裏切らない」という一点で闘い、全員が不起訴釈放をかちとった。それ以来、全学連は本当の信頼関係、団結をつくり上げてきた。団結すれば処分だってぶっ飛ばせる。法大当局は退学処分者を「学外者」として門に名前を張り出し、ガードマンを雇って排除している。だが学生が団結して「俺の仲間だ、入構させろ」と言った瞬間に処分は無意味になる。退学処分なんてただの命令。学生が認めないと言った瞬間に終わりなんだ。
 7月には世界の支配者・強盗どもがサミットで日本に集まる。全学連は法政大学、東北大学、富山大学、京都大学、大阪市立大学、広島大学を先頭にゼネストを打つ。全国学生は団結しよう。労働者とともに革命をやろう。団結の拡大こそが学生の勝利だ。団結ストライキ、やるぞ!

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週刊『前進』(2338号4面2)(2008/04/07 )

 革命の時代が来た競争やめ団結しよう

 資本主義をぶっ倒せ! 俺たち学生にはその力がある

 新入生歓迎特集

 全国大学ゼネストへ

 法大は団結と革命の学校だ全国大学ストを決行する!
 マル学同中核派・法政大学支部

 新入生の皆さん!
 学生の団結の力で前総長・平林一派を打倒した勝利の上に「革命の学校」=法政大学でともに革命に生きる決断をしよう。法大には、世界金融大恐慌の到来におびえ、労働者・学生の分断と団結破壊に走る最末期帝国主義の姿がある。互いを蹴落とす競争を拒否し、団結に生きる喜びを分かち合おう。法大を先頭に全国大学ストライキで資本主義をぶっつぶそう!
 200人もの公安警察を大学キャンパス内に引き入れて、29人の学生を不当逮捕した06年3・14弾圧から2年。法大生の闘いに追いつめられた平林一派は昨年、新井君・友部君には教職員への「暴行」をデッチあげ、内田君には、革命を呼びかけて教室で討論したことを「建造物侵入」とデッチあげて、逮捕・起訴し投獄した。内田君はすでに5カ月半も勾留されている。
 抗議する学生には監視のビデオカメラを回し、親を呼び出して処分の恫喝をする。見せしめの学生をつくり、闘う団結を破壊しようとする。あらゆる団結形態、サークル団体までも破壊する。
 「資格を取れ」と競争をあおり、金がない学生には「奨学金」という名の借金を負わせる。大学がサブプライムローンと同じ「貧困ビジネス」になっている。こんな大学はつぶして当然だ。
 しかしわれわれ法大生は、弾圧を団結のチャンスにしてきた。無数の学生が仲間の逮捕・起訴や処分に怒り、「新井君・友部君のように闘おう」「内田君のように闘おう」と自らの逮捕・処分も覚悟してキャンパスに突入した。ビラをまき、クラス討論をやり、キャンパスで演説した。
 サークル団体の中では「大学には勝てない」と絶望をあおる当局派執行部と一歩も引かず対決して、学生の団結にのみ依拠して闘ってきた。裁判では「退廷」や「構外退去」も辞さず怒りを爆発させ、法廷を革命の演壇に変えた。その一人ひとりの決断が団結を強め、平林総長―安東学生部長体制を攻め立て、ついに打倒した! 当局派執行部もぶっ飛ばした!
 学生は団結できる。権力や当局のどんな弾圧にも勝利できる。07年、法大の闘いはこれを証明した。またこの闘いは、動労千葉(国鉄千葉動力車労働組合)の春闘スト、基地労働者の全国一斉スト、北海道の教育労働者のストなど、全国・全世界の労働者の闘いと一つだ。新自由主義のもとで学生は労働者階級そのものだ。
 08年は、団結した学生が法大の権力を取りにいく。破産した法大増田体制―法大資本に取って代わる。当局と非和解で闘う執行部を打ち立て、ストをやろう。サミット開催国の首都のど真ん中の法大でストライキをぶち抜けば、世界を震撼(しんかん)させる。60年、70年の歴史の結節環で法大学生運動は、全国学生の決起を澎湃(ほうはい)と生み出した。サミット粉砕ストは、全国300万学生の決起を一挙に生み出すことは不可避だ。
 イラク反戦5周年の3・16全世界一斉デモに決起した法大生は「われわれは絶対勝てる。法大に、日本中に、世界中に仲間がいるからだ!」とアピールした。ここに最も人間的な生き方がある。すべての新入生・法大生はマル学同中核派・法大支部に結集し、時代の最前線に登場しよう!
(写真 文学部3人への退学処分、学生4人の不当逮捕に怒り、安東学生部長【中央ネクタイ】を包囲し追及する法大生【06年6月15日】)

 「階級支配の機関」=大学で革命ほど面白いものはない
 マル学同中核派・京都大学支部

 全学連はサミット粉砕の6月ゼネストに立つ。「労働者こそ社会の主人公だ」「革命をやって戦争を止めよう」という闘いが労働者・学生の心をつかみ、資本や当局、体制内労働運動をぶち破って階級闘争の主流に躍り出る時代が到来した。
 労働者を搾取し、殺して延命してきた帝国主義は、世界金融大恐慌の現実におののいている。こんな時代に大学でストをやって革命をやることほど面白いことはない。
 サミットとは、戦争と搾取の元凶である帝国主義の頭目が日本に集まり、恐慌の矛盾を労働者に押しつけ、労働者の首を切り、命を奪い、帝国主義の延命を図る会合だ。粉砕の対象だ。
 私たちは奴隷になるために生まれてきたのではない。一度の人生、こんな腐った社会で生きたい人はいない。労働者は帝国主義を打倒して社会の主人公となって生きるのだ。
 何が「企業は労使の運命共同体」だ! 戦争と民営化でどれだけの労働者の首が切られ、誇りが奪われているか。学生も同じだ。02年の国立大学法人化を転換点に、大学の新自由主義攻撃が本格化した。国際競争に勝つために9割を非正規雇用にするとした95年日経連報告、小泉「構造改革」と一体の攻撃だ。
 大学は企業・国家の争闘戦と戦争の道具、革命を圧殺する階級支配の機関となった。貧困に追い込まれた学生を金もうけの対象にして競争させ、生き血を吸ってきたのが大学当局と資本家だ。
 結果は2人に1人が一生フリーター、年間自殺3万人の現実だ! こんな腐った社会をぶっ飛ばす力が私たちにはある。ストでその力を取り戻そう! 学生は革命の主体だ。学生を奴隷として扱う権力や当局をストでたたきつぶせ!
 京大当局は、一体どのツラをさげて「自由の学風」などと言うのか。イラクで何万人も虐殺されている現実、学生が自らの権利を訴えたら公安警察によって監獄に入れられる現実に一度でも抗議をしたことがあるのか。資本主義にしがみつき、学生を奴隷にすることしか考えない連中が大学を名乗ることがおかしい。闘って団結し、自ら未来を切り開くことが本当の大学であり教育だ。
 大学で資本主義を吹き飛ばすストをやることがどれほど大きな展望を切り開くか。あなたがストに立ち上がることが、資本主義をぶっ壊して新しい世の中をつくる決定的な一歩なのだ。

 資本主義社会は終わっているサミット粉砕するストに立つ
 マル学同中核派・大阪市立大学支部

 大阪市大も全国ゼネストに決起する。資本主義は終わっている。世界金融大恐慌に資本家はなすすべがない。ひたすら労働者階級に矛盾を押しつけて生き延びようとしている。貧困層に借金を負わせ、家を奪い、戦争に駆り立て、ようやく維持される社会は人類社会として成立していない。
 この終わった社会を維持するために世界の帝国主義者が集まるのがサミットだ。互いに生き残り競争をしつつ、労働者を犠牲にし分断する点では一致しているこの強盗どもが、7月に洞爺湖に集まる。この強盗会議=サミットを労働者階級と団結した全国学生のゼネストで粉砕しよう!
 帝国主義者が労働者を分断する一点で「団結」するなら、私たちはそのふざけた会合をつぶす一点で団結できる。サミット粉砕ストで世界の労働者と学生は一つになる。世界革命を実行する。
 資本家は大学を従順な労働力の供給機関として位置づける。受験、自治会・サークルつぶし、資格取得の扇動――。すべては「利潤の最大化」のためだ。最後には就活で学生自身に労働力「商品」として売り込み競争をさせ買いたたく。資本家の大学は大学ではない。資本家階級が存在する限り、私たちは真に「学生」ではありえない。労働者と団結して革命をやろう。大学を私たちの手に取り戻そう! サミット粉砕ストで大学は初めて大学になる。
 サミット粉砕ゼネストで青年労働者と団結して橋下・大阪府知事を打倒する! 橋下への自治体労働者の弾劾は、全労働者の声だ。自治体職員がどれだけサボったら5兆円も借金できるんや! そんなふざけたデマがまかり通ってきたのは体制内労働運動が現場を抑えてきたからだ。1人の労働者の根底的決起で、そんなものは吹き飛ばされる! 3・16で青年労働者は産別を越えて橋下打倒に立つと宣言した。学生もまた、橋下打倒のストライキ・ネットワークに合流する!
 労働者階級と連帯してストをやると想像するだけでワクワクする。新入生の皆さん! マル学同に結集し、革命をやり抜こう。ストライキで誰が社会の主人公かをハッキリさせてやろう。

 勝利感あふれる 法大クラス討論弾圧被告(東京拘置所在監)内田晶理(てるまさ)君

 新入生のみなさん! 資本主義に未来はありません。僕らの未来をかけ一緒に革命をやろう!
 いま資本主義は激しく崩壊を開始しています。労働者の半数を失業させ世界戦争へと突き進んだ29年大恐慌を超える事態が始まっている。資本主義などぶっ倒して当然、革命やって当然です。
 アメリカで移民労働者が街をぶっとめるゼネストに立ちました。イラクやフランス、全世界で労働者が怒りのストに立ち上がっています。その先端が昨年11月4日に日比谷野音で闘われた労働者集会です。日韓米の闘う労働者・学生5700人が世界革命に向けた闘いを誓う場となりました。ここに学生の未来もあります。あなたに一緒に立ち上がって欲しい!
 僕は昨年10月17日、この11・4集会を法政大学の教室で呼びかけていた最中、逮捕されました。「建造物侵入」のデッチあげです。一緒に逮捕された2人の学生はすでに釈放されましたが、僕は起訴され、いまも勾留されています。見せしめのためだけの政治弾圧を絶対に許せない!
 しかし、半年間獄中で闘い、3回の公判を闘ってきて、僕は勝利感に満ちています。やつらに弾圧で奪えるものは何一つない。反対に僕らは団結を拡大し、資本・権力をガンガン追いつめる。弾圧は新たな革命家と強固な団結をつくり出した。
 06年3・14以来延べ45人の逮捕をぶっ飛ばし、ついに独裁総長・平林を打倒した。裁判も僕らが仕切って、当局や権力を裁く場となっています。4月24日第4回公判は、弾圧の張本人の安東が法廷に登場します。安東にとどめをさし、法大ストで大学の権力をとろう!

 大学での生存競争を拒否し100人の革命家つくるぞ
 マル学同中核派・東北大学支部

 東北大は法政大に続いて完全に「革命の学校」になった。大学当局をぶっ倒し、資本主義を打倒する革命に向けた学生の団結が拡大している。
 4月2日、入学式から「学生は団結して革命やろう」「ストライキで闘おう」と訴えた。東北大当局は、サークルの新歓活動を妨害するために入学式の会場を変え、「ビラまき禁止」の警告を出した。サークルの団結を破壊する攻撃だ。当局は学友会をとおして学生を恫喝し、「本当にビラをまいていいのか?」という動揺も生まれた。
 しかし「当局の規制なんて関係ない。全サークルが入学式にビラまきして団結しよう」と訴え、300人以上のサークル員の決起をつくり出した。この団結によって、当局の入学式をズタズタに粉砕し、学生の手に取り戻した。学友会の御用執行部が制動をかけても、サークル員は一歩も引かずに闘った。そして、今度は自分がこの闘いを担うという新入生を次々と生み出している。団結の勝利だ! ストライキはできる!
 資本主義体制はボロボロだ。7月サミットでサブプライムだ、環境だと帝国主義の強盗どもが議論したって、資本主義・帝国主義の崩壊は押しとどめようがない。歴史的命脈の尽きた帝国主義を打倒するのは、まさに今だ。
 しかし、そのボロボロの強盗帝国主義の先兵となっているのが東北大・井上執行部だ。何が大学サミットだ! 資本の先兵となって、サークルや寮をつぶし、競争と分断をあおり、研究室では学生を休学や不登校に追いつめている。「あなたは生き残れるか!」――こんなことをあおってしか「生き残れない」大学だったら、一度つぶしてしまえ! 東北大生と全国・全世界の学生の団結で大学サミットを粉砕し、大学を労働者階級に解放しよう!
 最大の攻防は日就寮の廃寮攻撃だ。06年12月、東北大学当局は有朋寮を強制執行によって暴力的に廃寮にした。そして、昨年2月には日就寮の食堂を廃止し、寮そのものを破壊する攻撃に出てきた。それから1年、「労働運動の力で革命やろう。学生は団結しよう」と何度も全寮生に訴えて、革命に向けた団結が生まれている。
 「学生運動への参加がみられます」だと? いいじゃないか。資本主義をほんの少しだけ延命させるための単位・研究なんかクソ食らえ! われわれ学生の最大の使命は、団結して資本主義を打倒する革命だ。学生運動こそ学生の本分だ。
 われわれは、法大ストとならんで東北大ストライキ決戦、マル学同1000人建設に突き進む。100人の革命家を東北大からつくりだす。革命の権力を東北大に打ち立てる。すべての東北大学の仲間はマル学同に結集し、ともに革命運動をやろう。

 労働者に核兵器はいらないキミの決起が歴史を動かす
 マル学同中核派・広島大学支部

 私たちマル学同広大支部は、開始された世界革命の時代を皆さんとともに生き、闘うことができることを心から喜びたい。世界中の労働者とともに歴史を切り開こう!
 世界金融大恐慌によって世界資本主義が崩壊することは確実となった。世界中の労働者から搾り取った金をギャンブルに注ぎ込んできた投資家どもは大混乱に陥り、大手金融機関も破綻(はたん)している。資本家階級は、このツケをすべて労働者階級に払わせるために、民営化、雇用破壊、貧困、殺人的強労働を押しつけ、あらゆる人間的共同性を破壊している。その行き着く果ては世界戦争であり、ヒロシマ・ナガサキを繰り返す核戦争だ。こんなことは断じて許さん!
 しかし、こんな時代に大学に入ったことは大いに喜ぶべきことだ。腐りきった資本主義に終止符を打つ歴史的決戦を闘うことができるからだ。資本主義的価値観の中で分断され、競争させられてきた仲間との団結を取り戻し、世界中の労働者・学生とつながり、ともに歴史を切り開いていくことができる。団結! ストライキ! 革命! これこそ最高の青春だ!
 私たち広大支部は、6月の法大ストに続くストを敢行する。これは資本の召使に成り下がった大学を学生の手に取り戻し、革命の砦(とりで)に転化する闘いだ。
 今の大学は「学生という商品に卒業証書という保証書を付けて企業に売り出す」と平気で言うやつらが牛耳っている。
 学生はそんな生き方しかできないのか? 資本の奴隷に成り下がれば生きていけるのか? 答えは両方とも否だ! 大学で得る単位や資格は資本主義社会で生きていくことを前提にした話だが、資本主義そのものが崩壊する時代に何の価値もない。キャンパスライフを資本家の「優秀な奴隷」になるために費やす必要はない。
 学生は労働者階級の一員であり、労働者とともに革命をやる主体だ。労働者階級が革命に勝利して新しい社会を築く思想がマルクス主義だ。革命家マルクスは、資本主義社会の仕組みを労働者階級の視点から暴き、「プロレタリア革命」という答えを導き出した。資本家やその手先が一番恐れる思想だ。新入生はマルクス主義を学ぼう!
 マル学同広大支部は、被爆地ヒロシマに学ぶ学生として核戦争を絶対に許さない。核兵器など労働者階級には必要ない。帝国主義を打倒するプロレタリア革命だけが本当に核戦争を止め、核をなくす。新入生の皆さんに訴えたい。キミの決起こそが歴史を動かす!

 強盗どものサミット粉砕し大学を資本主義打倒の砦に
 マル学同中核派・富山大学支部

 新入生の皆さん! 腐りきった資本主義をぶっつぶそう! ストライキで学生は団結しよう!
 資本主義社会は本当に腐っている。新聞も怒りなしに読めない記事ばかりだ。マクドナルドの店長は形ばかりの管理職扱いで、毎月140時間残業しても残業代ゼロ。社員を過労死寸前まで働かせ、マクドナルド資本は利益を5倍に増やした。グッドウィルの派遣労働者は、仕事で指を骨折しながら「労災を使ったら仕事が来なくなる」と脅されて労災申請もできず働かされた。福田政権は「戦後最長の好景気」などとふざけたことを言うが、奴隷労働の生き血を吸って資本家が肥え太っているだけじゃないか!
 福田は今月中に再議決して再びガソリンに高税率を課すという。そもそも石油が5割も値上げされて生活必需品が高騰したのは誰のせいだ! 資本家が石油投機で値をつり上げてぼろもうけしている。ブッシュも福田も石油独占を狙ってイラク戦争を5年も続け、数十万人のイラク人民を殺した。この現実を強制してきたやつらこそ、7月洞爺湖サミットに結集するG8の連中だ! こんな連中ぶっ飛ばそう!
 岡山駅で自治体労働者を突き落とした少年は、「経済的な理由で進学をあきらめたことも家出の理由」「仕事がないと漏らしていた」という。この事件も腐りきった資本主義の産物だ。資本主義は労働者同士が競争することで成り立つ。ならばわれわれは団結してしまおう。7月サミット粉砕のストライキで学生は団結しよう。
 資本主義は終わっている。ドル暴落と世界同時株安、サブプライムローンの破綻が金融恐慌に転化している。恐慌対策で、欧州中央銀行が23兆円、米FRBが10兆円の資金を銀行に供給しているが、焼け石に水だ。金融恐慌を世界革命に転化しよう!
 学生は資本主義社会のなかで分断され、労働力商品としての価値をいかに高めるかで日々競争させられている。「キャリアアップ」「資格」の正体は「学生の商品価値」だ。就職活動は「自分は安くて使い勝手のよい商品ですよ! 他の人でなく自分を買って下さい」という競争だ。卒業しても「2人に1人は一生フリーター」「正社員に採用されても過労死寸前の強労働」が現実だ。
 大学当局は学生の怒りを圧殺する資本家の番犬だ。富山大当局は「自治会も学祭実も文サ連も非公認」「学内政治活動禁止」と、資本家階級の立場を鮮明にした。大学を資本主義をぶっつぶす団結の砦に! 学生には資本主義に縛り付ける鉄鎖以外に失うものはない!
(写真 銀座を解放区にした昨年11・4集会のデモ)

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週刊『前進』(2338号4面3)(2008/04/07 )

 階級的団結を拡大して帝国主義倒せ

 第1次世界大戦をプロタリア革命へと転化したレーニン『帝国主義論』

 新入生歓迎特集

 @帝国主義は革命前夜である

 革命のチャンスが到来した! サブプライムローン問題の爆発から世界金融大恐慌のプロセスが音を立てて始まっている。他方で労働者階級は、ストライキを武器に世界中で闘いを爆発的に開始している。いまの資本主義社会に対し、誰もが怒って決起し始めている。08年は資本主義が堤防決壊を始める年だ!
 革命の時代だからこそレーニン(1917年ロシア革命の指導者)を武器に闘おう。いまレーニンの『帝国主義論』が輝きを増している。『帝国主義論』は1916年、第1次世界大戦の真っただ中で書かれた「革命の書」である。
 第1次世界大戦直前にメンシェビキと決別したレーニン・ボルシェビキは、帝国主義戦争をプロレタリア革命へ転化するために真一文字に労働者階級の団結をつくり出していった。社会主義者の国際組織である第2インターナショナルの指導部が、世界戦争を目の前に自国の戦争に賛成して、帝国主義に総屈服する中で、ロシアのボルシェビキだけが戦争反対と国際主義を貫き、自国帝国主義を打倒しロシア革命に勝利できた。
 なぜか。レーニンが、労働者自己解放の思想であるマルクス主義を復権し、『帝国主義論』として労働者階級の時代認識を闘いとったからだ。第1次大戦の最中、レーニンは帝国主義の時代は革命前夜であることを明らかにし、労働者階級に革命の展望を鮮明に指し示したのだ。
 これまで『帝国主義論』は、「現代が帝国主義段階かどうか」という経済分析の書として読まれたり、「世界戦争の必然性」論として読まれてきた。しかし、レーニンが最も言いたかったことは「革命のチャンスが到来した」ということだ。
 ドイツのカウツキーを始めとする第2インターナショナル指導部は、「マルクス主義」の用語を使い、「いまは労働者は闘う時ではない」と言って自国帝国主義の戦争に賛成・協力し、労働者階級の団結を徹底的に破壊した。
 これに対してレーニンは『帝国主義論』を、マルクスの『共産党宣言』として復権し、労働者階級に「いまこそ革命に立ち上がろう」と訴えた。これがレーニンの最大の目的だった。
 レーニンの革命へのほとばしる情熱は、『帝国主義論』の第10章に鮮やかに示されている。
 「独占資本主義が資本主義のあらゆる矛盾をどれほど尖鋭化したかは、周知のところである」「矛盾のこの尖鋭化は、世界金融資本の終局的勝利の時代のときからはじまった歴史的過渡期の強力な推進力である」(岩波文庫版201n)
 「矛盾の尖鋭化」をレーニンは「革命の原動力」として歓迎する立場に立っている。レーニンは「これこそ革命の現実性だ」と言い、「革命の客観的条件もそろっている。だから革命やろう」と最大のアジテーションを発しているのだ。
 労働者が革命に立ち上がるのは、革命以外に戦争を阻止する方法がないからだけではない。革命こそ、労働者階級がすべてを奪い返す闘いだからだ。われわれが生きる現代も、世界中で侵略戦争が勃発(ぼっぱつ)し、貧困が拡大し、階級対立が先鋭化している。レーニンとまったく同じ時代状況に立っている。レーニンのように「革命がやりたい」というアジテーションを発していこうではないか。

 A帝国主義の延命助ける体制内労働運動

 20世紀初頭からの帝国主義の時代は、帝国主義の基本矛盾の爆発によって、世界大恐慌を爆発させ、2度の世界大戦を引き起こした。この矛盾だらけの帝国主義がなぜ現代まで生き延びてきたのか? それは、体制内労働運動が労働者の団結を徹底的に妨害し、破壊してきたからだ。体制内労働運動は、労働者と資本家の階級対立を隠し、資本主義を擁護する。
 第1次世界大戦下で生まれた社会排外主義(言葉の上では社会主義、行動の上では排外主義)は、帝国主義戦争に賛成し、労働者の味方のふりをしながら、帝国主義の利害に立っていた。
 レーニンは、社会排外主義を「ブルジョアジーの社会的支柱」と批判しつくし、社会排外主義と徹底的に闘う目的で『帝国主義論』を執筆した。
 序言に「帝国主義との闘争は、それが日和見主義に対する闘争と不可分に結びついていないならば、一つの空疎で虚偽な空文句にすぎない」(同203n)と書き、カウツキーや社会排外主義と徹底的に闘う意識を全体に貫いている。それだけではない。日和見主義が発生する基盤を明らかにすると同時に、労働者階級が革命的な存在であることを明確にさせる。
 「帝国主義は、労働者のあいだでも、特権をもつ部類を遊離させ、これをプロレタリアートの広汎な大衆から引き離す、という傾向をもっている」(同172n)
 これは「プロレタリアートは資本や権力に買収されるような存在ではない」という労働者階級への熱い信頼が込められているレーニンの言葉だ。労働者階級は、社会排外主義=体制内派と決別して闘う存在なのだ。
 いま青年労働者の職場闘争が体制内労働運動との大激突になっている。80年代の国鉄分割・民営化に対し、全員クビをかけて2波のストライキを闘った動労千葉(国鉄千葉動力車労働組合=JRの運転士やエンジニアの労働組合)は、この体制内労働運動との熾烈(しれつ)な闘いに勝ちぬき、団結を守りぬいている。
 「今日では、労働運動の歴史は、不可避的にこの二つの潮流の闘争を通じて展開されるであろう」(『帝国主義と社会主義の分裂』)
 これこそ、われわれの闘いにピッタリと来る言葉だ。体制内労働運動と階級的労働運動がぶつかり合いながら革命はたぐり寄せられるのだ。レーニンが強調し、全力をあげた体制内労働運動との闘いは、歴史的にも今日的にも最重要の課題なのだ。

 B労働者階級は革命をやって社会を運営できる

 資本主義の歴史には始まりがあり、そして終わりがある。資本主義は「重商主義段階」「自由主義段階」「帝国主義段階」と進んできた。しかし、これは経済的変化だけではなく、「生成・発展・没落」という契機を持っている。われわれの生きる帝国主義段階とは、資本主義の歴史の中で最末期の時代なのだ。その帝国主義が発生したメルクマールは、独占の形成だ。
 「救いは独占にある−―資本家たちはこういいながら、カルテルやシンジケートやトラストを設立した。救いは独占にある−―ブルジョアジーの政治指導者たちはこうくりかえし、世界の分割されていない部分の占取を急いだ」(同130n)
 独占は、資本主義の危機から生まれ出たのだ。19世紀の世界的大不況の中で、独占が飛躍的に形成された。国家さえも支配するような大独占も生まれた。しかしこれこそが資本主義の危機の表れなのだ。1871年パリ・コミューンを頂点とするプロレタリアートの内乱的決起によって、資本主義が体制的危機にのたうちまわる中で、独占が形成されていったのだ。
 「少数独占者のその他住民に対する圧迫は、いままでの百倍重く、きびしく、たえがたいものになる」(同43n)
 独占は、労働者階級に対してさらなる支配−強制をもたらす。これは、生産が社会化される一方、所有は私有だからだ。
 そして独占は、生産を社会化し、「資本主義の墓掘り人である」組織されたプロレタリアートを激増させた。「工業の進歩は……競争による労働者の孤立化ではなく、組織による労働者の革命的団結をもたらした」(『共産党宣言』)。マルクスの言葉がますます現実になっているのだ。
 レーニンは、独占のもとで労働の社会化が進み、生産・分配の一定の組織化にいたることを鮮明にさせた。帝国主義は社会主義を実現するための客観的条件をつくり出している。大きな工場になればなるほど資本家の姿は見えず、すべてを労働者が運営している。独占資本による支配がなければ「計画経済」に近い。労働者が団結して、資本家の支配を排除すれば、労働者は自ら社会的生産を組織し、管理し、運営できるのだ。
 だから、資本家階級は、労働者の分断、支配に必死になる。逆に労働者階級が団結し資本家階級を打倒して、自ら支配階級になれば、社会主義を実現することは完全に可能なのだ。
 独占による支配は、労働者階級の革命の団結を量・質ともに飛躍させた。例えば、独占は、日本の戦後革命期のようにプロレタリアートが完全に生産を管理・運営するところまで行き着いた。資本家はノータッチだ。また新植民地体制国である韓国では、帝国主義国からの資本輸出によって、工業化が進み、民主労総という世界最強のプロレタリアートをつくり出した。これは、レーニンの時代には想像できなかった事態だ。独占による世界支配をぶち破る、闘う労働者階級の世界的団結をつくり出したのだ。

 C戦争に革命の現実性がある

 レーニンは『帝国主義論』をつうじて〈世界革命か世界戦争か>という20世紀的現実に真っ向から向き合い、ロシア革命をもって実践的に闘いぬいた。
 レーニンは『帝国主義論』で、帝国主義の基本矛盾が世界戦争として不可避的に爆発することを論証した。しかし、レーニンは世界戦争の必然性を「説明」したかったわけではない。レーニンは、世界戦争がつくり出す革命的危機を(帝国主義打倒の)世界革命に転化しようとしたのだ。
 レーニンは『帝国主義論』をもって革命の現実性を解き明かし、「世界の労働者階級は、団結して、プロレタリア世界革命をやって戦争を止める力を持っている」と訴えたのだ。マルクス・エンゲルスの『共産党宣言』の結びの言葉どおり、「万国の労働者団結せよ!」を復権したのだ。
 帝国主義は、全世界の労働者階級を搾取し、分断して支配する。19世紀末の帝国主義列強による世界の分割は、国際労働者階級を、抑圧国の労働者人民と被抑圧国の労働者人民に分断した。戦争は最大の団結破壊だ。帝国主義は戦争で労働者人民を互いに殺し合いに駆り立てる。帝国主義は、自国の労働者階級への階級戦争を激化させながら世界戦争に突き進んでいく。
 帝国主義国の労働者階級のすべてが「愛国主義」や「排外主義」にからめとられていくわけではない。帝国主義は、矛盾を激化させながら、世界戦争に突き進んでいくしかないのだ。事実、イラク侵略戦争は、米労働者階級の貧困化を果てしなく推し進めながら、拡大している。
 帝国主義は、帝国主義同士の争闘だけではなく、全世界の労働者の闘い、民族解放闘争を爆発させる。世界戦争は労働者階級の世界的団結をつくり出す。
 そして、歴史上一貫して、この世界的団結を「一国でも社会主義は実現できる」と言って分断して、敵対し続けてきたのがスターリン主義(一国社会主義の名のもとにロシア革命と世界革命を裏切り、労働者自己解放のマルクス主義の思想を破壊し尽くした反革命)だ。
 イラク侵略戦争の開始は、全世界の労働者階級の団結を生み出した。ソ連崩壊以降のスターリン主義による分断をぶち破る団結がつくられ始めた。新自由主義攻撃に対して、世界中の労働者が体制内労働運動をぶち破り、国境をぶち破り、団結を求めて世界とつながり、それが11月労働者集会に結集している。
 「団結の究極の拡大が革命」とは、帝国主義の世界戦争に対する労働者階級のスローガンなのだ。いよいよレーニン『帝国主義論』で全世界の労働者が団結できる時代が来た! 団結して帝国主義を打倒しよう!

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週刊『前進』(2338号6面1)(2008/04/07 )

 3・30三里塚 青年労働者先頭に労農同盟の熱気

 市東さんへの農地強奪許さぬ

 “農業破壊とFTAに反撃を”

 三里塚芝山連合空港反対同盟主催の3・30三里塚全国総決起集会は、天神峰・市東孝雄さんの畑を会場に全国から1520人の労働者・農民・学生・市民を結集して闘いとられた。職場での闘いを貫き、3・16全世界一斉デモを爆発させ不当な弾圧を打ち破った青年労働者が先頭で決起した。「労農連帯の力で革命を!」の息吹が、42年の歴史を誇る闘いに新たな生命力を与えた。
(写真 「北延伸を粉砕するぞ」とシュプレヒコール。42年の闘いで培った労農連帯の真価をかけて1520人が三里塚決戦勝利を誓った【3月30日 成田市天神峰】)

 反対同盟不屈の闘魂

 広い市東さんの畑が、人びとで埋まった。反対同盟の熱烈な呼びかけにこたえて、初めて三里塚の大地を踏んだ青年たちも多数いた。
 正午過ぎ、婦人行動隊の宮本麻子さんの司会で集会が始まった。
 本部役員の鈴木幸司さんが開会宣言。「農地強奪を許さない。市東孝雄君が農地は命であると明言した。農地は私たち農民の命。いかなることがあっても譲らない」
 事務局長の北原鉱治さんが主催者あいさつを行った。「敵が再び流血の代執行のようなことをやってでも土地を取るというのなら、受けてたつ。われわれには正義がある。労働者・農民が手を握り未来を開こう」と反対同盟の鮮明な闘いの姿勢を示した。
 基調報告を事務局次長の萩原進さんが行った。
 「NAA(成田空港会社)が開港30周年キャンペーンを行っているが、成田の状況は国際空港とは名ばかりの欠陥空港だ。土地収用法はすでに効力を失った。そうした中でまたも滑走路を北へ延ばし、農地法で市東さんの農地を強奪しようという常識はずれの攻撃がかけられている。これは改憲の先取りだ。
 生き残りに必死の帝国主義首脳がサミット会議に集まる。われわれにはFTA『自由貿易交渉』にどう立ち向かうのかが問われている。これは農民だけでなく、労働者階級自身の問題だ。断固『FTA反対』を掲げようじゃないか。『自由貿易』の名のもとに帝国主義間の争闘戦、資本の国際間競争が激化し、労働者をとことん搾取し、低賃金に落とし込める攻撃だ。さらに『アジアゲートウェイ構想』は航空業界を『自由競争』にたたき込み、学生までふくめ全階層を網羅するような攻撃だ。
 われわれは1億円出されても今の福田総理には大根1本売らない。ともに闘い、理解を分かち合う人たちに作物を供給する。土地を武器に闘うのが三里塚だ。土地は国家のものではない、人民のものだ! 労働者と農民の連帯を深化し、学生・市民とも一体となって反動を打ち返そう。攻撃の先兵になった裁判所を法廷闘争で追いつめよう。農地強奪に手を着けさせない態勢を敵に先んじてつくり上げ、秋の10・5全国集会には、3000人を集めよう」

 動労千葉がスト報告

 動労千葉の田中康宏委員長が、春闘ストの特別報告に立った。「3月14日から15日、第二の分割・民営化とも言うべき業務全面外注化に対して検査・修繕部門を中心に地上勤務者80人が24時間ストに立ち上がった。今も闘争態勢を継続している。怒りの声は充満している。3年前の尼崎事故はJR体制の崩壊を示した。107人の乗客乗員を殺したのが分割・民営化の正体だ。われわれは4・26に尼崎現地での全国集会を呼びかける。JR資本打倒を真正面から掲げる以外に1047名闘争の勝利もない。JR総連カクマルを打倒して、闘う労働運動を復権する決定的チャンスだ。『万国の労働者団結せよ』。このマルクスのことばが今ほど輝き、胸に響く時はない。全世界の労働者農民と団結してこの社会をうち倒そう!」
 事務局員の鈴木謙太郎さんが「低賃金・貧困と農民切り捨ては一体」と題した農民アピールを読みあげた。(別掲
 続いて市東孝雄さんが「農地取り上げに反対する会」の人びととともに登壇して発言し、農地死守の不動の決意を明らかにした。(別掲)
 反対同盟顧問弁護団は4人が登壇、葉山岳夫弁護士が大きな山場を迎えた裁判闘争の現状を報告し、反対同盟とともに闘う決意を明らかにした。
 「君が代」強制と闘う教育労働者が登壇し、最初に東京の小学校の米山良江さんが「職場で40秒のストライキを貫徹しすっきりした。処分を受け、定年後の非常勤教員としての採用合格が取り消された。ただちに反撃に立つ。不起立闘争の拡大で団結を」と呼びかけた。続いて神奈川、奈良、広島の教育労働者が不起立闘争を報告した。
 全逓労働者は、「郵政民営化絶対反対、超勤拒否、東京中郵銀座移転阻止」の職場の闘いを報告し、三里塚との連帯を表明した。
 沖縄民権の会の座覇光子さんは「3・16沖縄で”われわれは労働者である”と宣言し基地撤去を掲げて国際通りをデモした」と報告。さらに3月8日に亡くなった三里塚現闘の福士譲二さんの沖縄での闘いを紹介した。
 婦人行動隊の鈴木加代子さんがカンパアピールを行い、「労働者と農民の敵は同じ。分断を乗り越え団結し決起を」と呼びかけた。
 関西新空港反対住民として永井満さん、山本善偉さん、国賀祥司さんの3人が登壇し決意を明らかにした。永井さんは「40年の連帯にかけて農地取り上げの攻撃と闘う」と発言した。
 さらに部落解放同盟 全国連合会、都政を革新する会の北島邦彦杉並区議、婦人民主クラブ全国協議会、闘う「障害者」、反戦共同行動委員会から次々と連帯の決意表明が続いた。
 無期懲役攻撃と闘う徳島刑務所在監の星野文昭さんのメッセージが読み上げられた。「労農同盟の力で三里塚勝利を」とのアピールに参加者は獄内外を貫く連帯感を実感した。
 織田陽介全学連委員長は「職場・学園でつくり出した団結の力を三里塚で爆発させよう。サミット粉砕のストライキを法大始め全国の大学でぶちぬこう」と戦闘的学生運動の方針を示した。
 集会の締めくくりに、野平聰一さんが集会宣言を読みあげ、伊藤信晴さんがスローガン採択と団結ガンバローを行った。
 1520人の参加者は反対同盟を先頭にただちにデモ行進に出発した。東峰部落を横断し、天神峰の市東さん宅前を通って団結街道を北上、封鎖された現闘本部建物を過ぎると暫定滑走路の誘導路を「へ」の字に曲げている市東さんの畑だ。デモ隊の到着と同時に雨が降り始めた。高いフェンス、威圧的な監視台、わが物顔に行き来する機動隊などに対し、畑はただ静かに豊かな作物を実らせ、自らの存在感を示している。この土地を取られてなるものか、と誰もが決意を新たにした。
(写真上 機動隊の規制を破り青年労働者が躍動的デモ)

 農民アピール 低賃金・貧困と農民切り捨ては一体 FTAに反対しよう!

 皆さん、今、全国の農民は怒っています。
 なぜ命の源泉の食料を生み出す農民が、農業で生きられないようなことになるのでしょうか。
 「生きさせろ」という叫びは、働いても食べていけない若者だけの言葉ではありません。今や農民が、農民として生きていけるのかどうかという瀬戸際に立たされているのです。
 昨年1200軒の酪農家が廃業しました。餌代が高すぎてやっていけなくなったのです。コメ1俵作るのに1万5千円かかるというのが政府の計算ですが、1万2千円にしかなりません。
 どうしてこんなことが起きるのでしょうか。コメや野菜を、金もうけの商品と同じものとしか考えないからです。
 トヨタの車を売るために、日本の農業市場を開放するのがFTA/EPA(自由貿易協定/経済連携協定)です。日豪EPAで日本の農業は壊滅的な打撃を受けます。打撃を受けるのは農民ばかりではありません。相手国の労働者の職が奪われる。日韓FTAはその象徴です。農業切り捨てであり、労働運動つぶしの攻撃です。
 昨年から日本のあちこちで農民のデモが闘われています。世界では食料をめぐる暴動が起きています。もう我慢できない、そういう声があふれています。(中略)
 三里塚は全国の農民・労働者にFTA反対の共同の闘いに立ちあがることを訴えます。そしてなによりも、市東さんの農地を守りぬく闘いを共同の闘いとして、発展させましょう。
(写真 「この農地を守りぬく」と反対同盟先頭に進む)

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週刊『前進』(2338号7面1)(2008/04/07 )

 司法改革粉砕/裁判員制度はいらない

 日弁連を改憲阻止の砦に

 対談 武内更一弁護士×森川文人弁護士

 武内 新自由主義を全社会的に貫く攻撃

 森川 弁護士激増・司法改革・改憲と闘う

 新自由主義攻撃に対する弁護士の反乱が始まっている。2月の日弁連(日本弁護士連合会)会長選挙で、司法改革絶対反対派の高山俊吉弁護士が得票率43%で、勝利にあと一歩に迫った。来年5月に実施が計画されている裁判員制度を前にして、日弁連は真っ二つ。日帝の新自由主義政策の柱である司法改革攻撃は大破綻(はたん)に直面している。弁護士の闘いは、4大産別の労働者階級の闘いに並ぶ階級攻防の最前線に躍り出た。司法改革・裁判員制度粉砕、日弁連を改憲阻止の砦(とりで)に――その最先頭で闘い、3・16イラク反戦全世界一斉デモをともに取り組んだ武内更一弁護士と森川文人弁護士が闘う意気込みを語った。(聞き手・編集局)

 絶対反対派を会長選で結集

――日弁連会長選挙は予想を上回る大善戦でした。

武内 多くの弁護士がこのままではダメだと思い、投票という行動に現してくれた。相手候補の宮崎氏の9402票は中身がスカスカです。とにかく会派や人的つながりで入れている人たち。こっちの7043票は、みんな司法改革路線は間違いだと確信をもった人たち。密度が何倍も違う。
私たちの運動は、選挙をやって数字を示すのが目的ではありません。弁護士会の中で司法改革路線と改憲に反対する勢力をきちんと作っていくことが大目標です。選挙もその運動のひとつです。私たちは2年後の選挙なんて今、全然考えていません。今、何をなすべきかです。集まった力をさらに前にむけて、今の日弁連の路線を打ち倒していかなければいけないと思っています。
森川 票差が迫っているだけに当日はとにかく悔しかった。しかし、これほど運動が拡大したのは、若い力が出てきたからです。

――何を掲げて闘いましたか。

武内 一つは弁護士の激増政策反対です。以前は年間約500人だった司法試験合格者を2010年までに3000人出すという政府の計画です。弁護士が弁護士事務所に就職できなくなります。また政府、国家権力は弁護士を経済的窮状に追い込み、弁護士を力のあるものに従属させることを狙っている。弁護士は自ら仕事をして生活基盤を築いています。だからこそ、誰からも強制、誘導されないで、自らの信念で活動することができます。それを奪うことが権力の狙いです。二つ目は、裁判員制度反対。三つ目は、弁護活動を抑圧する刑事裁判制度全体の改悪反対。最後は、改憲反対です。国民投票法ができ、まさに改憲が秒読みに入っています。日弁連こそが反対して立ち上がらなければいけない。大きくこの4本のテーマを対立点として訴えてきました。

 原則貫き展望開く

 森川 「増員反対は大きな声になってきているから改憲問題や裁判員制度をはずせば勝てるぞ」という声がありました。けれども改憲も弁護士増員も裁判員制度も、司法改革における新自由主義攻撃の一環で、根っこは一緒の問題です。だから、4本のテーマを一体で訴え原則的に闘って「勝った」意義は大きい。そういう意味で「めざす会(憲法と人権の日弁連をめざす会)はボルシェビキだ」(3・16イラク反戦集会での森川さんの発言)と。
武内 新聞報道で増員問題について法務省は考え始めたとか、両候補とも一致するとか、あたかも対立点がないかのようにみせる攻撃があった。本当は違うんだけど。もし増員問題だけで勝負していたら、かなり票を奪われていた可能性がありました。私たちは、司法改革の本当の狙いは改憲と対決する日弁連を解体することだと確信を持っていたから、それをストレートに訴えました。

――若手弁護士の奮闘が大きかったと聞きました。

森川 弁護士は、研修所を出て仕事しようという時に、大抵はどこかの弁護士事務所に入ります。けれども今、どこの事務所も新人を取る余裕がなくなってきている。昔だったら、事務所で就職させてちゃんと給料もある程度払うんだけど、今は給料は払わないが軒だけ貸すよという意味での「ノキ弁」が増えている。仕方なく自宅で開業する自宅弁護士という意味で「タク弁」もいる。
弁護士就職難の中、無理やり就職して、自分の肌とあわなくて二カ月ぐらいで辞めている弁護士が大量にいるみたいだ。カップラーメンをすすって親から仕送りしてもらっている話も聞きますね。
武内 法科大学院を出た段階で生活費の部分も含めれば、すでに数百万円から一千万円借金を負うという人も出る。最初から借金漬けの新人弁護士がたくさん生まれる。弁護士か破産者か。弁護士になったって生活が成り立つわけではない。今年は日弁連の計算でも、就職できない人が1350人もいる。「年間200万円なら払えるよ。それでもよければ来てもいい」という弁護士事務所も出てきている。
森川 まさに新自由主義の攻撃だよ。弁護士の怒りの根源には、弁護士をめぐる今言った就職を含めての経済状況、さらには世の中全体の経済状況にあります。世の中、こんなに景気が悪くなって、賃金が9年連続下がり、年収200万円以下が一千万人を超えているというのに、なんで弁護士だけ未来があり得るんだと。政府が司法改革を始める時、仕事の増加が前提になっていた。それが今はまったく展望ない。

 3・16のように

 武内 今回の選挙では、若手の弁護士10年以下の人たちを意識して、いろいろな宣伝媒体も作ったし、メッセージも送りました。
 森川 イラストや漫画を多用して、若いアイデアを集めていろいろ工夫もしながらやった成果がでた。本音はあなたたちに若手の結集方法を聞きたい。3・16は、発言も運営も若い人が中心を担っていることがとてもすばらしい。若い力によって人を獲得する可能性がすごくある。早く3・16のような状況を作りたい。
 武内 青年労働者の集会・デモは、思っていることを思いっきり訴えるところが非常にいい。それが人の心を本当にとらえていくと思うし、権力にとっても本当に恐怖なのでしょう。

 労働者民衆と一体となって

――司法改革とはどういったものですか。

森川 司法改革は、政府の方から押しつけてきた改革の一連のシリーズ。まさに新自由主義政策の司法版だと思います。
「国民のための司法」をキャッチフレーズに、法曹人口の増員、裁判の迅速化が掲げられ、そのためにロースクールを設置し、裁判員制度を導入した。
武内 司法改革の目的は、新自由主義を全社会的に貫徹することです。2001年6月12日発表の司法制度改革審議会の意見書に書いてある。そこでは政治改革、行政改革、経済構造改革、その「最後の要としての司法改革」という言い方をしています。規制緩和、民営化などの構造改革を実現していくための「最後の要」が司法の役割とされているのです。司法というのは強制力だからです。
新自由主義というのは経済問題だけではなく、支配体制の転換です。資本主義経済が行き詰まる中、大企業、国家権力の支配力を圧倒的に強化していく。究極は改憲です。軍事力を行使する支配体制に変えていくための準備です。

 日弁連解体が狙い

 森川 だから改憲と対決する日弁連を解体することが政府の狙い。弁護士を国家権力の手先にしていく攻撃です。さらに市場経済の民事的な分野で、法的サービス業としての弁護士に落とし込むことも狙われています。
 武内 「良好なビジネス環境」を作るための司法とか言ってね。
 森川 『ルポ貧困大国アメリカ』(堤未果著・岩波新書)の医療現場の話と同じ。市場経済の中にたたき込んではいけない命を預かる医者と同じように、人権を扱う弁護士もそこにたたき込み、闘いの牙をもごうとしている。
 新自由主義は、三権分立の理念をもぬぐい去って、司法が完全に現実の権力をむきだしにしていくものですね。

 分断のりこえ団結

 武内 そもそも三権分立はフィクションだからね。いかにも権力がバラバラに分かれたように説明するが、違う。もともとは一個の国家権力を役割分担させているにすぎません。三権分立も民主主義も階級社会の現実を露見させないための国家権力、支配者側のオブラートだよね。それがばれたら彼らは大変なことになる。人民が直接行動に出るからね。
 森川 それがもうむきだしじゃないと資本側がもたないというのが新自由主義の現実だし、司法でもそれを貫いてしまおうということ。階級社会の現実を露呈させることがまさに革命ですね。
 武内 弁護士は、三権分立の理念を大義名分に、逆に司法を私たちのものにしようと努力しています。しかし、国家権力、支配者側は、増員反対は弁護士のエゴだとして民衆と弁護士を分断し、人権を奪い、民衆を戦争に動員しようとしている。私たちは人民とともにそれを阻止していきたい。そうしなければ体制が維持できないのならば、その体制のあり方自体が間違いだと言わなければいけない時期がきていると思います。
 森川 われわれの闘いは、労働者民衆の闘いと同じです。分断を打ち破って、団結しかつ業界的にも孤立させられないよう民衆と一体となってやっていきたい。

 4・18集会は“日弁連総会” 

――裁判員制度の来年5月実施が計画されています。

 武内 裁判員制度が適用される対象事件は刑法などの法律上に刑罰として死刑、無期が入っているような重大犯罪です。裁判官3人、裁判員6人の合計9人で合議をし、犯罪事実の認定と量刑の決定を多数決で下します。
裁判員は、有権者名簿から無作為にくじ引きで選ばれます。特定の事件が起きると裁判員候補者名簿から50人〜100人がさらにくじ引きで選ばれ、質問状と通知が送付され裁判所へ呼び出されます。私たちはそれを「赤紙」「召集令状」と呼んでいます。そこから裁判官、検事、弁護士が6人を選び出し、即日裁判を始めます。
被告の立場からすれば、「公平な裁判を受ける権利」が奪われます。審理期間は約3日間の超短期間。弁明を行い反証する機会が大幅に削減されてしまう。「疑わしきは罰せず」という近代司法原理にも反します。9人中無罪を主張する人が4人いても、多数決のため有罪になってしまうからです。

 戦時司法への転換

 裁判員は、人を裁き刑罰を加えるという国家作用に強制的に協力させられます。司法への「参加」などではなく上からの「動員」です。国民主権の制度だと言われていますが、権利だったら例えば選挙の投票を棄権するように放棄することができるが、裁判員は辞退することもできない。しかも、必ず有罪か無罪か意見を言わせられる。そのうえ審議の内容を口外すれば懲罰を受ける。また、裁判を始める前に行われる公判前整理手続きで裁判官が証拠選別を全部行った上での裁判だから、裁判官がいくらでも結論を誘導できます。圧倒的に情報格差がある。こんなの「国民の司法参加」でも何でもない。裁く側の都合に合わせた「迅速、重罰、簡易」の処罰を断行する制度です。
森川 陪審制ともまったく異なります。陪審制は裁判官ぬきで陪審員だけで事実認定し、かつ多数決じゃなくて原則全員一致です。
「迅速、重罰、簡易」こそ戦時司法の基本的特徴です。民衆を統治行為に動員し国家権力と一体化させ、治安、支配体制を強化していく。隣組みたいに。戦時司法への転換が狙いです。

――裁判員制度粉砕の展望を。

 武内 アンケートでは、今もって7、8割の人がやりたくないと回答します。
 森川 みんな嫌がっている。それをそのまま大きな声にすれば、動員できない。裁判員ゼネストですね。
 武内 知れば知るほど嫌になる制度だから、制度の問題点を知ってもらうことで「やらない」という人が確実に増えると思います。
 森川 4・18には弁護士激増・裁判員制度・改憲と対決する弁護士の大結集・団結のため、「われわれの日弁連総会」ともいうべき集会をやります。司法改革の問題自体を大きな社会問題にして、新自由主義攻撃の一環としてまさに労働者大衆と一緒に闘いたい。みんな来て下さい。そして特に若い弁護士の声を聞いてほしいと思います。
武内 さらに「裁判員制度はいらない!大運動」が呼びかける6月13日、日比谷公会堂で行う裁判員制度反対の「2000人全国集会」に大集合していただきたい。4・18集会をそのステップにしていきたい。反対の声を集めればこの制度は必ずつぶれます。

――闘う労働者民衆に一言。

 武内 団結は力だ!
 森川 「社会の諸矛盾を暴き出す、それが社会を変える革命だ」という点では、司法の世界も同じ状態にあるから、ともにがんばりましょう。団結!
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たけうち・こういち

高校生の時に日本国憲法を実践する仕事につきたいと弁護士を志す。在日外国人の指紋押捺拒否の弁護団で活躍。国家賠償訴訟や行政訴訟の住民側弁護も担当。労働法関係にも詳しい。

もりかわ・ふみと

横浜事件や横田基地の公害訴訟などの弁護を担当。10・17法大クラス討論弾圧の弁護団。学生時代からバンドに明け暮れ、現在もライブ活動を続けている。父は故森川金寿弁護士。

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4・18弁護士・市民大集会

4月18日(金) 午後6時から午後9時
弁護士会館(東京)2階クレオ(千代田区霞が関1−1−3)

◆「選挙の勢いを日弁連の再生につなげる」
高山俊吉(東京弁護士会)

〈ゲスト〉
斎藤貴男さん(ジャーナリスト)
新藤宗幸さん(千葉大学教授・行政学)

若手弁護士の発言/ビデオ上映ほか
主催/憲法と人権の日弁連をめざす会

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