ZENSHIN 2008/04/28(No2341 p10)

ホームページへ週刊『前進』月刊『コミューン』季刊『共産主義者』週刊『三里塚』出版物案内販売書店案内連絡先English

週刊『前進』(2341号1面1)(2008/04/28 )

 弾圧・処分はチャンス。資本と非和解で闘おう

 職場を団結と革命の拠点に

 今こそ闘う労働運動つくろう 5・15沖縄からサミット決戦へ

 08年メーデー/青年労働者のアピール

「廃局を許さない! 超勤拒否で闘うぞ」 怒りのシュプレヒコールを東京中郵にたたきつけた。当局の反動をうち破って決起し、勝利感にあふれて「絶対反対」で闘いぬく決意を固めた(4月21日)

 労働運動の力で革命をやろう! 全世界で始まった労働者の総反乱とともにメーデーを闘いぬこう。ILWU(国際港湾倉庫労働組合)ローカル10は5月1日のメーデーの日に、「職場・生産点で労働者を組織し、ストライキでアメリカの経済を停止させ、戦争を止めよう」と訴え、アメリカ西海岸全港湾封鎖に決起します。全米で1千万人の移民労働者がボイコットとデモに立った06年メーデーをも超える闘いが、世界中で起きています。労働者は革命を欲しています。こんな腐りきった社会は労働者の手で変えてやろう。労働者であることに誇りを持ち、胸を張り堂々と歴史を歩んでいける、そういう世の中をつくろう!

 労働者の力を資本家と福田政権に思い知らせてやろう

 労働者の闘いで資本主義社会を終わらせてやる! アメリカ発の世界金融大恐慌が始まり、帝国主義の世界支配が崩れ去ろうとしている。「競争によってこそすばらしい社会ができる」という幻想もぶっ飛ばした。
 貧困層の労働者を食い物にしてきたサブプライムローンの破綻(はたん)は、住宅からたたき出された労働者の「テント村」をアメリカ各地に出現させています。学校では、ネズミが天井を走り回り、グラウンドに汚水があふれ出しています。アメリカの青年労働者や学生は、学費免除や医療保険のために軍隊に入り、イラク戦争で命を奪われています。この腐り果てた資本主義社会の現状、これが「新自由主義」の生み出した現実ではないか!
 「共産主義」を語って革命を抑圧してきた中国でも、労働者・農民の反乱が始まっている。食えるだけの賃金よこせ! 労働者に権力をよこせ! どの国の労働者も同じ要求、同じ思いで闘い、その顔は確信に満ちている。
 資本家どもにたたきつけてやろう! 「お前たちは労働者がいなければ生きていけないが、労働者は資本家なしにやっていける!」と。
 今こそストライキだ! 戦争と貧困を労働者に強制する帝国主義への回答はこれだ。ストライキをやって経営者に一泡吹かせてやりたい。職場は誰が動かしているのかを示してやりたい。ゼニやカネのためじゃない、革命家を生み出すストライキだ!
 アメリカでは、住宅からたたき出された労働者が、立ち退き拒否の実力闘争に立った。自動車部品工場の労働者は「経営破綻のツケを労働者に押しつけるな」とストライキに突入した。日本の私たちも米軍基地で、学校で、鉄道で、ストライキを闘った!
 労働者は奴隷じゃない。資本家と国家権力に、労働者の力を嫌と言うほど思い知らせてやろう。ストライキとデモで東京を万余の労働者で埋め尽くし、帝国主義者の強盗会議=7月サミット粉砕決戦に攻めのぼろう!

 「仲間は絶対に裏切らない」団結した労働者は必ず勝つ

 私たちは革命がやりたい!
 ただ一点、「団結した労働者は必ず勝利する」ということにかけきって、あらゆる体制内的なものをぶっ飛ばして進んでいく。それは職場に国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)のような団結をつくり出すことです。
 「競争によってこそすばらしい社会が生まれる」というのは、労働組合と労働者の団結を破壊することによって成り立つ虚偽の思想だ。資本主義社会は、労働者が団結を破壊され資本家の言うとおりに働かされている限りにおいて成立しているにすぎない。隣の仲間との競争をやめ、団結した瞬間に、資本主義社会は崩壊します。職場を越え、国境を越えて労働者の団結が拡大していくことが革命です。
 職場を革命の拠点にしよう! それは、革命の立場から資本と非和解で闘い、絶対に裏切れない仲間をつくることです。そうすれば労働者は絶対負けないことを、動労千葉が示しています。
 動労千葉が国鉄分割・民営化との闘いの中でもっとも重視したのが労働者の団結、人間同士の連帯、つながりです。徹底した競争は、仲間を裏切って当局にすり寄り、自分は生き残ろうとする労働者を生み出す。それは「人間として骨が折れることだ」と動労千葉は徹底的に弾劾したのです。
 誰でも他人を蹴(け)落として生きたくはない。動労千葉は「クビになっても、仲間は裏切らない。それを実現するのが労働組合だ」と、指導部全員がクビを覚悟して国鉄分割・民営化と対決しぬきました。それは「この仲間たちがいれば人間らしく生きていくことができる」という誇りです。
 だから動労千葉の組合員はものすごく明るい。絶対反対で闘って「クビ」と引き換えに得たものは、かけがえのない仲間たちとの「団結」です。
 「資本・国家権力、体制内組合執行部から処分・弾圧されるような闘いで団結しよう」――これが私たちの職場闘争だ。その闘いをとおして、JR・教育・郵政・自治体という資本主義を支える4大産別の職場にゼネストができる団結ができると確信しています。

 4大産別決戦がカギ

 当局は、民営化の矛盾を4大産別の労働者に押しつけるのをやめろ! すさまじい合理化で、業務は破綻している。まともに電車が動かない。郵便が配達されない。自治体現場での事故、教育労働者の病気休職が多発している。その中で「業務を破綻させないように」と超過勤務までして必死に支えているのは現場労働者です。
 何より許せないのは、労組幹部の屈服です。連合や全労連の幹部は「教師聖職」論、「国民のための郵政事業」論、「自治体は公共サービス」論などの論理で4大産別の労働者の階級性・戦闘性を奪おうとしている。
 民営化がどんなに破綻しても、労働者の団結を解体し、労働組合を解体する――これが民営化の本質です。こんな職場支配をぶっ壊し、労働者の真の団結をつくり出そう。4大産別で、資本と折り合いをつけない職場闘争をガンガンやっていこう!
 私たちは資本家を肥え太らせるために働いているんじゃない! 「経営が厳しいからお互い協力しましょう」なんて冗談じゃない。資本家も組合幹部も業務を正常に回そうと考えてもいない。だったら労働者がやってやる。団結した闘いで、やつらに一回わからせてやろうじゃないか。
 JRの反合理化・運転保安闘争、郵政労働者の超勤拒否闘争、教育労働者の「君が代」不起立闘争、自治体労働者の人事評価反対の闘い。当局と非和解で闘い、労働者の誇りを取り戻そう。事故や業務破綻の責任は一切当局にあることを突きつけてやろう! 
 今の組合執行部は、口では「反合理化」と言っても、反合理化闘争ができない。人減らしや非正規雇用化などの合理化を否定することは、合理化を推進して生き延びようとする資本主義を否定することだからです。だからカネや条件闘争にすり替えてきたのです。
 資本と体制内執行部が一体となって「経営が厳しいから、合理化を飲まなければ会社がつぶれる」と言ってきたら、チャンスです。〈絶対反対>で闘う労働者が一人いれば、必ず資本をグラグラに揺さぶる闘いができます。
 処分も弾圧も見せしめにすぎない。こちらから「処分される闘い」をやれば、何の意味もない。〈絶対反対>の闘う方針を出し、資本と労組幹部を串刺しにし、闘う労組をつくろう。そして職場支配権を労働者が握ろう。
 体制内労組幹部は、「絶対反対と言っても何も取れない」と言って屈服していった。ふざけるんじゃない。「絶対反対」の闘いは、職場に革命家を生み出すのです。そして階級的団結をつくり出すのです。これが私たちの4大産別決戦だ。
 「4大産別がつぶれる時は資本主義が倒れる時だ」「会社がつぶれると言うなら、俺たち労働者に権力をよこせ」と言いきって攻勢に出よう。会社も闘わない労組幹部も、あいまいさなくぶっ壊そう! その闘いの中から労働者の固い固い団結を生み出そう。

 国境を越えた労働者の団結で沖縄から米軍基地撤去を

 資本と非和解で闘うことで生み出されるこの団結で、世界革命をやろう!
 5・15沖縄闘争(5・18県民大会)に全国から結集し、ILWUの米西海岸全港湾封鎖行動に続こう。職場闘争を闘い、アメリカ―本土―沖縄労働者の国境を越えた団結をつくろう。その力で、6〜7月洞爺湖サミット粉砕闘争、11月全国労働者集会の1万人結集へ突き進もう。
 日本帝国主義の戦後の再出発は、日米安保と沖縄の売り渡し=米軍基地の押しつけでした。基地を強制し、沖縄の労働者を低賃金・強労働で食い物にすることで本土の労働者にも賃金奴隷であり続けることを強制したのです。ブッシュや福田は、本土と沖縄の労働者を分断することで革命を圧殺し、ようやく生き延びているにすぎません。
 沖縄闘争を、階級的労働運動として闘おう。資本と非和解に闘い、職場に団結をつくり出そう。
 何より米軍基地で働く労働者と団結したい。全軍労が掲げた「死すべきは基地であり、労働者は死んではならない」「解雇撤回・基地撤去」のスローガンを、今を生きる本土―沖縄の青年労働者がよみがえらせよう。
 そして、辺野古で基地建設に動員されている労働者と団結したい。敵は労働者ではありません。彼らを雇っている資本家です。労働者が職場に労働組合をつくって一緒に闘えば、必ず基地は撤去できます!

 革共同に結集しよう

 最後に、青年労働者に訴えます! 革命的共産主義者同盟(革共同)とマルクス主義青年労働者同盟(マル青労同)に結集して、革命家になろう!
 職場に団結をつくろうと闘い始めた瞬間に、資本や組合執行部が「あいつは革共同だ」「過激派だ」と言い出した。だったら過激派で結構だ。私たちはもっと過激に労働運動をやります。現場で資本と非和解で闘い、労働者が「商品」とされてきた資本主義社会に怒りを燃やし、労働者の団結をつくり出すために必死になって闘います。共産党にも社民党にもどの党派にもできないことをやる、口先だけの党じゃない、それが革共同です。だから労働者階級の党なのです。
 職場で闘うみなさん、革共同とマル青労同に加盟し、本物の革命党を一緒につくろう!

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週刊『前進』(2341号1面3)(2008/04/28 )

 おことわり

 本紙は、本号を春季特別号(10n)として発行し、5月5日付号は休刊します。次号は5月12日に発行します。

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週刊『前進』(2341号1面4)(2008/04/28 )

〈春季特別号〉 目次

プロレタリア世界革命勝利へ 万国の労働者は団結して闘おう
革共同の6〜7月サミット決戦宣言 7〜9面

総力あげ階級的労働運動の実践へ
革共同中央労働者組織委員会 2面

■職場の団結拡大へ不起立貫く/青年の報告 3面
■旧与田派の策動を粉砕せよ 4面
■3・9-3・16弾圧粉砕 勝利の教訓 5面
■外登法・入管法と民族差別を撃つ関西集会 6面

革命的左翼と労働組合
元日放労長崎分会委員長 鈴木達夫弁護士に聞く 10面

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週刊『前進』(2341号2面1)(2008/04/28 )

 総力あげ階級的労働運動の実践へ

 今春の勝利開いた階級的団結論 よみがえるマルクスの革命思想

 革共同中央労働者組織委員会

3・16全世界一斉デモ(代々木公園)

 マルクス主義はあいまいさを許さぬ階級闘争の実践の中にこそある。われわれは、革命的情勢の到来を全身でうけとめた昨年来の激闘の勝利的前進の中で、この揺るぎない確信をつかみとった。またそれは、国鉄分割・民営化攻撃反対闘争を始めとした動労千葉の三十数年にわたる苦闘が切り開いた画期的な地平を全身で吸収することによってつかみとった確信でもある。腐り果てた帝国主義の新自由主義攻撃に怒りを爆発させ、帝国主義を打倒する時が来た。階級的労働運動路線の白熱的実践に、今こそ総力をあげて突入しよう。

 “非和解の闘い”が団結つくった

 3・16イラク反戦闘争は画期的な地平を切り開いた。闘いの組織化の先頭を担った青年は次のように訴えている。
 「革命は誰かがやることではない。私たち労働者階級が、職場闘争・階級闘争をとおして階級的団結を現場でつくり、資本主義体制をぶっ壊し、労働者階級の団結によって立つ本当の解放を手に入れること。本物の労働を資本家から奪い返すこと。07年、私たちは『革命をする』という答えをもって、今の闘いを変えよう!と訴えた。労働運動の力で革命を!と。現場で資本と非和解の闘いを開始するや、御用組合が資本と一体で襲いかかってきた。これをチャンスにする闘いをやりぬいてきた。この闘いは、自分たちで闘争方針を出し『闘うわれわれこそ労働組合だ!』という闘いにまで進んできた。この闘いで一人ひとりが主体になり、責任をとり、自分自身を階級に高めている。私が革命を訴えるのは、今の社会に対する答えが革命しかないからだけではない。私はこんな社会で生きたくない。革命をしたい!ということです。職場・生産点で資本との非和解的な闘いが進めば進むほどそのことがはっきりし、革命欲が高まっている」
 また、この闘いの過程で不当逮捕された仲間は多くが初逮捕だったが、釈放後、「自分と国家、自分の中にあるあいまいなものが吹き飛んだ。この闘いをとおして私は完全に国家の外に立った。楽しかった。どうみても私たちは勝てる!ということがはっきりした」と述べている。
 ここには、革命運動そのものの現実の発展過程が、闘いの渦中での自らの変革をとおして見事に語られている。
 革命は困難な事業だ。このことから、それは普通の労働者にはとてもできないことであり、革命運動は少数の特別な人間がやることだという奇妙な常識が長い間支配していた。だがここには、「プロレタリアの運動は、圧倒的多数者の利益のための、圧倒的多数者による、自立的な運動である。……プロレタリアートは、公的社会を形成しているいくつもの層の上部構造全体を空中に吹きとばさなければ、起きあがることも、身をのばすこともできない」(『共産党宣言』)というマルクスの主張が豊かに脈打っている。
 事実、歴史上すべての労働者の闘いは、改良の要求のために血を流し、職を失い、生命まで失うという、英雄的自己犠牲によって貫かれてきた。改良闘争がすべて改良主義であったわけではない。そして革命闘争がすべて革命的に闘われたわけでもない。小ブルインテリの知識としてしか歴史を知らない塩川らは、労働者階級への絶望を組織し、民同以下の改良主義に血債主義と空疎な「革命的」言辞を接ぎ木して、マルクス主義の革命的核心を破壊する。
 だが3・16闘争を頂点とする闘いの中には、こうした卑劣な階級闘争からの逃亡と鮮明な対比をなして、労働者階級が本来もつ革命的精神があふれている。ここには、資本や国家権力との非和解的闘いを貫くことをとおして労働者階級としての団結・共同性を取り戻し、自らのもつ力を自覚することの決定的な意味が鮮明に示されている。

 最後的破局が進む帝国主義

 資本主義の最後的な破局が激しく進行している。帝国主義の死の苦悶(くもん)が、全世界で何十億人という労働者や農民を虫けらのように犠牲にし、戦争を引き起こしている。1917年のロシア革命によって、共産主義か資本主義かをめぐって全世界が政治的に衝突する世界史的過渡期の時代が始まったが、それはスターリン主義によって裏切られた。そして帝国主義とスターリン主義の世界体制は、全世界に無数の悲劇をもたらしながら延命した。
 残存スターリン主義国をものみ込んで展開された新自由主義政策は、帝国主義の最後の延命策であった。今、その破綻(はたん)が資本主義の時代が終わろうとしていることを告げ知らせている。世界金融大恐慌が始まっている。貪欲(どんよく)な資本家どもは、全世界の労働者を貧困にたたき落とし、年金や医療、家を奪い、穀物や原油、金属の値をつり上げて食物を奪い、そして戦争に突進している。
 アメリカ帝国主義の世界支配が崩れ落ちようとしている。底知れぬサブプライムローン問題−ドル暴落の危機、イラク戦争−中東支配の完全な破綻、社会的崩壊の激しい進行、南米支配の崩壊、国内外で燃え上がるアメリカ帝国主義への労働者・人民の大反乱。中国の途方もないバブル経済が崩壊を始め、それがスターリン主義支配の危機を決定的に促進している。もはやアメリカ帝国主義の世界支配は現実に崩壊している。日本帝国主義は、支配・統治能力を喪失して帝国主義の最弱の環としての姿をさらしている。
 一方、新自由主義攻撃は、階級対立の歴史的な先鋭化を生み出し、国際階級闘争の地殻変動的な変化をもたらしている。何よりも新自由主義攻撃は、全世界に「資本主義の墓掘り人」たる膨大な労働者とその闘いを生み出した。生きぬくためのストライキ、デモ、「暴動」、民族解放・革命戦争が、時代の最前線に躍り出ている。闘いは激しい路線的分岐と衝突を生みながら、その中からマルクスの革命思想が復権しようとしている。
 新自由主義攻撃は、全世界の労働者を「最底辺へ落ちてゆく泥沼の競争」に駆りたてた。しかしその現実そのものが、マルクスが「労働組合―その過去、現在、未来」で述べた、労働組合は「避けることのできない労働者の仲間同士の競争」によってつくり出される「労働者の分裂を阻止する企てから生まれた」という原点に世界の労働者を引き戻した。階級的団結の思想がものすごい生命力を帯びてよみがえろうとしている。
 われわれが地をはうような努力の中で、日々自らの変革をかけて、資本や体制内労組幹部たちからの激しい攻撃と非和解的に対決し、階級的団結と職場細胞(地区党−産別委員会建設)をつくり上げる闘いを確信をもって推し進めることができるのは、全世界の労働者の燃えるような息吹とひとつのものとして自らが存在していることを知っているからである。われわれは、11月労働者集会によって、労働者の国際主義的団結を自らの階級性の発現としてつくり出したことに不動の確信を持ったのだ。

 階級的団結と共同性を取り戻せ

 われわれが党の変革・革命の渦中で確立した階級的団結論は、プロレタリア革命論の本質にかかわる決定的地平だ。
 「万国のプロレタリア、団結せよ!」――ヨーロッパに革命の嵐がとどろいている最中、マルクスがどれほど万感の思いを込めて『共産党宣言』の最後に、一見何の変哲もないこの言葉を記したのか。そして、第一インターナショナル規約の「労働者の解放は労働者自身の事業である」というあの力強い洞察をなしえたのか。今われわれは、明確にその意味を理解することができる。
 「労働力の商品化」――労働という人間社会を成立させている最も基本的な行為が「疎外された労働」として労働者に強制され、人間の共同性を破壊し、資本を生かし増殖させている。これが資本主義であり、その矛盾の当事者たる労働者は、それゆえ革命の担い手なのである。
 われわれが求めるのは「貧困」に対する「豊かさ」、「不平等」に対する「平等」ではない。「労働力の商品化」=賃金奴隷制そのものを廃絶することだ。それは、国家権力を打倒してプロレタリア独裁を樹立し、資本家的私有財産を積極的に止揚するという自らの革命的飛躍の過程である。全世界を獲得する根源的エネルギーは、打ち砕かれた階級的団結と共同性を取り戻すことによって生み出されるのだ。
 本多延嘉革共同前書記長は、この点を次のように提起している。「われわれはブルジョアジーの政治的暴力をぶちやぶって、はじめて前進していくことができる。……しかしわれわれは、こういう手段性においてのみ、暴力革命を理解しているのではない。……そういうたたかいをやることによって、プロレタリアートは、自分自身の革命的な共同性、ブルジョアジーを打倒し、社会の主人公となっていくたたかいの力を、がっちりとつかみとることができるのです」「ブルジョアジーにたいする革命的暴力として、階級を一歩一歩団結させ、その力によってブルジョアジーを打倒し、そうしてプロレタリア独裁を樹立するというかたちをとって、資本家的私有財産の積極的止揚のための第一歩は、しるされる」(「革命的共産主義運動の歴史について」本多延嘉著作選5巻)。
 革命のスターリン主義的変質は、革命後の困難に負けて、一国社会主義論をもって世界の労働者との連帯・団結を断ち切ったところに生まれた。それは、帝国主義との「平和共存政策」となって世界の労働者の闘いを圧殺した。そしてそれは、その必然的結果として党の官僚的疎外とスターリン主義的圧政をもたらした。階級的団結論はわれわれの綱領的立場にとっても決定的な意味をもつ地平なのである。

 職場・生産点での勝利土台に

 この間われわれは、職場・生産点での勝利の上に階級闘争全体を推進する立場をあいまいさなく鮮明にさせてきた。それは、マルクス主義を現実の階級関係、生きた運動の中で鍛え上げ、何よりも革命の主体そのものの創造(階級的団結の形成と階級そのものとしての党・労働者細胞の建設)に全力を傾注することで革命の現実性をたぐり寄せる決断であった。
 激しい諸事件のうねりとしぶきを浴びる革命の経過の中では、どんなに整備された理論も木っ端のように浮き沈みする。ここで、本当の革命家と革命に酔う「革命主義者」とが分かれる。われわれは、現実の政治と資本の支配の中で苦しんでいる労働者の姿をけっして忘れない。絶対に信頼し、ここで勝負する。そうした決断でもあった。
 それは、新自由主義攻撃と真正面から対決し、固い団結を守って勝利し続けてきた動労千葉労働運動という画期的な経験と地平から学ぶことによって実現されたものであった。同時にわれわれは、レーニン労働組合論を革命論的にとらえ返すことで、革命の全過程において労働組合が果たす決定的な役割を明らかにしてきた。レーニンは「解党主義」や「召還主義」との闘いをとおして「組合と党との緊密な接近」に全力をあげ、全工場に非合法の社会民主党細胞をつくり、党が労働組合と「共働」して労働運動の巨大な高揚期に対応した。こうした努力なしにロシア革命の勝利はなかったのだ。
 階級的労働運動路線の白熱的な実践の一歩を踏み出すことによって、革命党としてのわれわれ自身の飛躍と変革が始まったのである。時代の精神を最も敏感に感じとった青年たちがその先頭を担っている。われわれは断固たる確信をもってこの道を進む。

 階級の指導部としての党の建設

 さらに、階級的団結論は党建設論の核心にかかわる問題でもある。階級的労働運動路線は、革命的労働者党を創造するための闘いの決定的一環として打ち出されたものでもあるのだ。その根底には、「貧困と格差」の急速な拡大という労働者が置かれた現実のもとで、すべての日常的スローガンのなかに革命の火種が弁証法的に内在しているという確信がある。それは、マルクス主義を学び、職場で資本との闘いを開始した青年労働者が、たちまち「労働運動の力で革命をやろう」という画期的スローガンを生み出したことによって証明された。
 またわれわれは、極限まで腐り果て、資本の手先、帝国主義の手先に転落した一切の体制内的勢力やスターリン主義のイデオロギーから、労働者を思想的、政治的、組織的に解き放つという困難な闘いと結合することによってのみ、革命的労働者党を創造できる。われわれが労働者階級から「独立」した革命的共産主義者の党を創造しようとしているのは、階級に代位して階級の利益のために闘おうとしているからではない。それどころか、われわれの究極の目標は、先にも述べた「労働者の解放は労働者自身の事業である」を実現する点にある。「共産主義者は、プロレタリア階級全体の利益から切り離された利益をもたない。……共産主義者が他のプロレタリア党と違う点は、一つは、プロレタリアのさまざまの国民的な闘争において、国籍と無関係な、プロレタリア階級全体の共通の利益を強調し貫徹すること、もう一つは、プロレタリアートとブルジョアジーのたたかいが経過していくさまざまな発展段階で、つねに運動全体の利益を代表すること」(『共産党宣言』なのだ。
 その場合、党と階級の弁証法的関係を確認するだけでなく、何よりも党の路線をマルクス主義で徹底的に鍛え上げること、労働者階級の最高の団結体として党をつくりあげていくこと、一切の犠牲を恐れず労働者階級とともにその先頭に立って闘うことこそが求められる。労働者階級の闘いの歴史は、階級自身が自らの指導部を生み出すことによって団結してきた歴史である。実践から学び、検証されることをとおして、われわれ自身が階級の指導部として屹立(きつりつ)しなければならない。
 われわれがこの間、強力に推し進めてきたマル青労同・マル学同建設、産別委員会の建設も、階級的労働運動路線とその前進を土台にして初めて実現することのできた組織的前進であった。われわれは、階級的労働運動路線の白熱的実践の渦中で、マル青労同・マル学同、産別委員会と地区党建設を有機的、相互発展的に結びつけていかなければならない。中央労働者組織委員会はその最先頭に立つ決意である。
 われわれの決意は鮮明だ。第2次国鉄決戦を中心とした4大産別決戦を、党の総力をあげてさらに前進させよう。4大産別こそ階級攻防の焦点であると同時に、体制内労働運動の最後の牙城でもある。ここでの革命派の前進は、間違いなく全労働者の革命的決起を生み出す。それだけに闘いは困難だ。そのことは、1047名闘争の現状や「日の丸・君が代」不起立闘争を見てもわかる。革命的精神で断固として非和解(絶対反対)の闘いを貫徹し、階級的団結をつくり上げよう。
 第節 7月サミット粉砕し11月へ
 7月洞爺湖サミット粉砕闘争が、当面する最大の政治決戦だ。全世界の労働者と固く団結して、5・18沖縄現地闘争から、6〜7月、東京―北海道現地を席巻する大デモでサミットを迎え撃とう。危機に揺らぐ福田反動政権を打倒しよう。サミット闘争を突破口に、11月労働者集会への1万人結集をかちとろう。

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週刊『前進』(2341号2面2)(2008/04/28 )

 5・15沖縄闘争(5月18日県民大会)に立とう

 本土と沖縄の労働者階級は一つに団結して革命やろう

 すべての青年労働者のみなさん。5・15沖縄闘争(5月18日沖縄県民大会)に駆けつけよう。
 沖縄の労働者の非和解の闘いは、日帝・福田政権を徹底的に追い詰めています。沖縄の仲間と固くスクラムを組み、米軍基地全面撤去・辺野古新基地建設阻止の闘いに立ち上がろう。
(写真 昨年の5・15沖縄県民大会)

 辺野古新基地建設阻止を!

 沖縄防衛局は、辺野古新基地建設に向けた環境アセスメント調査を3月17日から開始しました。日米帝国主義は、今後幾世紀にもわたって沖縄を侵略と民族抑圧のための出撃基地として固定化し、沖縄の労働者をそのもとに組み敷こうとしています。
 辺野古の青年労働者はこう訴えています。
 「『死すべきは基地であり、労働者は死んではならない』『解雇撤回・基地撤去』――沖縄が語り継いできた全軍労の闘いの教訓は、今まさに私たち青年労働者の魂を揺さぶっています。すべては労働者の団結にかかっています。仲間を蹴落として基地建設の労働に手を貸すのか、基地建設に伴う労働にストライキで闘い、この世界を労働者が獲得するのかが問われているのです」
 本土以上の低賃金と不安定雇用。「振興策」に依存する職場で強制される無権利状態。職場での資本の専制と基地の存在は、完全に一体です。

 9・29-3・23、3・16の地平

 昨年9月29日の12万人県民大会の中心には、沖高教組・沖教組や自治労が座りました。全駐労の基地労働者は16年ぶりの全国ストライキに立ち上がりました。
 95年10万人決起以降、大田県政の屈服、選挙のたびの既成政党の引き回しなどによって、沖縄闘争は辺野古での実力闘争に支えられながらも苦闘を強いられてきました。
 しかし9・29をもって、復帰闘争以来、再び労働者階級が中心に屹立(きつりつ)したのです。労働者は資本とも安保体制とも非和解です。沖縄闘争は体制内的な「超党派」の限界性をのりこえる闘いに大きく発展しようとしています。
 2月10日の少女暴行事件は、72年5・15のペテン的「返還」以降、まったく変わらない沖縄の現実と、イラク戦争によってさらに激化している基地被害を余すことなく暴露しました。日帝は、これへの怒りが日米安保体制を揺るがす闘いに発展することを恐れ、仲井真知事は「島ぐるみ闘争」への発展を妨害しました。
 しかし沖縄の労働者は9・29の地平を守り抜き、3・23県民大会をかちとりました。沖縄闘争の発展における労働組合の基軸性を鮮明に突き出し、仲井真県政を始めとする沖縄ブルジョアジーの正体を満天下に暴き出しました。
 さらに決定的なのが、沖縄の仲間たちが3月16日に那覇で全世界一斉行動in沖縄に立ち上がったことです。
 青年労働者が中軸に座って、「労働運動の力で基地を撤去しよう。労働運動の力で革命をやろう」「労働者の団結とストライキで基地を撤去し新基地建設をぶっとめよう」と、主流派として登場したのです。それは3・23県民大会と呼応しながら、沖縄階級闘争を勝利に導く路線を提起しきった闘いでした。
 沖縄の仲間は職場で闘い、地域で労働組合を立ち上げ、体制内指導部と真っ向から対決しぬいています。この闘いが体制内的なものを一切吹き飛ばすがゆえに、激しい分岐と党派闘争が始まっています。ここで非和解で激突して闘いぬくことにこそ、沖縄の労働者の勝利があります。
 今年の5・15沖縄闘争は、この闘いのさらなる発展をかけた闘いです。

 体制内指導部をぶっ飛ばせ

 世界恐慌を前に、全国の青年の職場は資本・当局によって労働監獄とされています。しかし、「資本あっての労働者」なのか。断じて否です。全軍労が掲げた「解雇撤回・基地撤去」のスローガンは、全国の青年労働者のスローガンです。
 沖縄も全国の青年労働者も、突破すべき課題は同じです。私たちが職場で「労働運動の力で革命をやろう」を貫いて実践を始めた途端、真っ先に襲いかかってくるのは体制内指導部です。そして4大産別を先頭に、あらゆる職場で処分・弾圧を恐れず対決し、勝利してきました。
 核心は、資本と絶対非和解で闘いぬくことで隣の仲間とつながり、職場に階級的な団結をつくり、闘う労働組合運動をつくり出すことです。
 私たちが沖縄闘争において奪還するのは、本土労働者と沖縄労働者との階級としての団結です。
 日帝は一貫して沖縄と本土の労働者の闘いを分断してきました。「本土と沖縄の労働者が分断を打ち破って階級としてひとつに団結した時、革命が現実になる」――このことに最も恐怖しているのが日帝です。この分断を打ち砕いた時、日米安保体制を粉砕し、階級としての解放をかちとる展望は開けます。
 体制内労組指導部はこの分断攻撃に屈服し、その先兵となってきました。連合による労働者支配をぶっ飛ばし、今こそ本土労働者と沖縄労働者のプロレタリア革命に向けた団結をかちとろう。
 私たちは3・16を労働者の解放を掲げて闘い抜きました。沖縄の仲間は「沖縄の解放とプロレタリア自己解放は一体のものだ」と宣言しました。一点の火花が燎原(りょうげん)を焼き尽くすように、そして一点の火花なくして大地は燃え上がらぬように、その意味は限りなく大きい。
 全国のみなさん! 自らが「階級の指導部」となって職場闘争を徹底的に闘い、本土と沖縄の労働者の階級的団結をつくり出そう。「労働運動の力で基地を撤去しよう。労働運動の力で革命やろう」「沖縄と本土の労働者はひとつの階級として団結して闘おう」――沖縄闘争の勝利を自ら切り開く決定的存在として、5・15沖縄闘争に登場しよう。

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週刊『前進』(2341号4面1)(2008/04/28 )

 「差別なき糾弾闘争」に突進する旧与田派の策動を粉砕せよ

 全国連大会で歴史的な転向宣言

 「党の革命」によって打倒された旧与田派残党=八木、石嶺らのもとで4月12〜13日に行われた解同全国連第17回大会は歴史的な転向大会となった。それはデッチあげの「広島差別事件」をもって「革共同との断絶」を宣言し、部落解放運動史上に類例のない「差別なき差別糾弾闘争」を運動方針として決定したのである。しかも彼らが言う「新たな共闘関係の構築」とは、自民党や解同本部派とも手を組むという最悪の方針だ。日帝権力への完全な屈服・転向であり、解同全国連の体制内融和主義への変質・転換である。革共同は旧与田派指導部のプロレタリア革命運動、部落解放闘争への敵対を絶対に許さない。転向分子の腐った反階級的正体を全労働者人民の前に暴き出し、階級的労働運動の大前進と部落解放闘争の革命的再生をもって、彼らの策動を徹底的に粉砕することを宣言する。

 「広島事件」デッチあげデマで部落大衆を動員

 旧与田派指導部の反動的なもくろみは完全に破産している。空疎で超反動的な「差別なき糾弾闘争」方針を決定した全国連第17回大会は、参加者激減の中で強行された。激しい住宅闘争を闘っている全国連西郡支部や東京の杉並支部、品川支部は、中央本部のあまりの変質、路線転換に怒りを表明し、参加を拒否した。西郡支部は大会議案の全面撤回を要求した。昨年秋以降、全国連中執会議の議案書が支部にまったく送られなくなったなど、旧与田派指導部による全国連の私物化、得手勝手な組織運営、引き回しの実態も、この間明らかになっている。
 全国連大会の運動方針では、広島を始め各地で「広島差別事件の真相報告集会」を行い、革共同への糾弾決議をあげていくなどと言っている。とんでもない反動的・反階級的な運動方針だ。
 まず第一に訴えたいことは、革共同による「広島差別事件」などというものは、まったくのデッチあげだということである。このウソとデマで塗り固めた「差別事件」なるものをもって、部落解放運動史上にも類例のない、前代未聞の「差別なき糾弾闘争」に全国連の部落大衆を引きずり込もうとしているのだ。
 彼らのデッチあげは、8月末に広島で行われたマルクス主義学生同盟の合宿の中で、「全国連は物取り主義だ」「住宅闘争がそうだ」という差別発言が行われたというものである。だが、そのような事実自体が一切存在しない。その後の合宿参加者への聞き取り調査でも、そのような発言は一切なかったことが確認されている。しかも、これが事実に基づかないデッチあげであることは、八木自身が昨年末の同志会総会基調報告で「残念ながら、このことについては『証拠』はない」と認めているのだ(この間の事実経過については『共産主義者』156号の水樹豊同志の論文をぜひ読んでいただきたい)。
 マル学同の同志たちは、プロレタリア革命論の一層の深化としてある07年「7月テーゼ」をめぐって真剣に討論していたのだ。ところが許せないことに、石嶺ら旧与田派指導部はこの7月テーゼの論議そのものを憎悪し、「党の革命」を転覆するという政治的目的をもって差別事件をねつ造し、攻撃してきたのだ。こんなことを許し屈服するならば、部落解放闘争や差別糾弾闘争は反動的に解体されてしまう。

 「自民党にも呼びかけ」これが彼らの本音だ!

 「革共同との断絶」をアピール

 第二に訴えたいことは、旧与田派指導部が革共同から脱落・逃亡し、自民党とも手を結ぶ体制内融和主義路線に解同全国連全体を引きずり込もうとしていることだ。
 そのことは、全国大会へ向けて開かれた1月12日の拡大中央委員会での小森中執の次の発言にはっきり示されている。
 「革共同への糾弾闘争を、自民党や解放派などさまざまな党派、解放同盟(本部派)にも呼びかける」
 この重大な発言を批判した委員に対しては、旧与田派から「殺したろか」という驚くべき野次や罵声(ばせい)が浴びせられたという。
 なんということか。恐るべき転向、腐敗である。差別の元凶である自民党や、融和主義の腐敗をきわめる解同本部派とも手を結ぶということは、部落大衆の根底的な利益を裏切り、部落解放の道を閉ざすものである。それは部落解放同盟全国連合会の結成の原点をも捨て去るものだ。ところが底なしの転落と腐敗を深める旧与田派指導部は今や、「革共同と断絶」をアピールして、権力・自民党の懐に飛び込もうとしているのだ。これが、反マルクス主義そのものの「糾弾主義」が行き着いた破産的末路だ。

 「党の革命」の転覆が狙い

 第三に訴えたいことは、この差別事件のねつ造は、八木、石嶺ら旧与田派指導部が自らの腐敗を開き直り、「党の革命」を転覆し、革共同からの脱落・逃亡を合理化するために政治的に行ったものだということである。全事態の核心は、まさにここにあるのだ。
 八木、石嶺ら同志会指導部は、06年3・14の「党の革命」で打倒された与田の金権的腐敗、共産主義者としての小ブル的堕落を長い間身近に見て、それに接しながら容認してきた。それどころか与田の小ブル的腐敗を共有し、与田の党内官僚支配にのっかってきたのだ。そして労働者同志の決起によって与田が打倒されてもなお彼らは自己をえぐり出す根底的な自己批判を行わず、態度を鮮明にせず、「党の革命」から自分をらち外に置き、面従腹背を決め込んできたのであった。
 だが「党の革命」がその後も中央と全国で積極的に進められ「7月テーゼ」が出されるに至ってもはや面従腹背的にとどまることもできなくなり、塩川一派と軌を一にして党から脱落・逃亡したのである。
 その脱落・逃亡をごまかすために「広島差別事件」をねつ造し、「差別なき糾弾闘争」に全国連を引き込み、全国連の部落大衆を革共同敵対運動に動員しようとしているのだ。そして、あわよくば、打倒・追放された与田の復権すら狙っているのだ。まさに「広島差別事件」のねつ造は、血債主義・糾弾主義を使って強権的・官僚主義的に党組織を抑えつけてきた与田のやり方そのものであり、無惨な残骸なのだ。
 そこに貫かれているのは階級的労働運動路線=プロレタリア革命運動への憎悪と敵対であり、反マルクス主義と7月テーゼの全面拒否である。

 西郡住宅闘争に勝利し部落解放闘争の再生を

 全国連17回全国大会は、このように異様な「差別なき糾弾闘争」路線を柱にして歴史的な転向大会となったが、そのことは大会議案の中に全面的に明らかである。
 議案では、@「広島差別事件」糾弾、A荒本(東大阪)選挙の敗因は「ひとえに」革共同にある、B中田書記長の完全黙秘の放棄・略式起訴受け入れは「全面的に外の方針」であり、これも責任は革共同にある――という、あきれるほど非主体的な責任転嫁、開き直りの総括をしている。そして結論として「革共同は差別者集団」「全国連にとって最悪の害毒」だから「革共同と断絶する」というのである。
 そして自民党や解同本部派とも手を結ぶ「新たな共闘関係」のために、部落解放の闘いから帝国主義打倒―プロレタリア革命を完全に追放するにいたったのだ。
 まったくアリバイ的に「危機に立つ帝国主義を打倒します」の一言が情勢分析の中に書かれてはいる。だが、プロレタリア革命の内容展開も、情熱もまったくない。帝国主義打倒の立場を完全に放棄し、融和主義、体制内改良運動への転落、転向路線を進んでいる。
 さらに次のように労働者階級への絶望と不信をあおり立てている。
 「現状は、人々の怒りが支配階級に向かって組織されるたたかいはまだまだ小さく、その矛先は権力やマスコミの操作によって……『同和バッシング』として現れています」
 このように「人々=労働者階級」の怒りは弱く、権力やマスコミの操作によって部落差別に動員され、むしろ「同和バッシング」の手先になっている、というのである。連合などの体制内労働運動に対する批判や、階級的労働運動の意義については一言もない。
 いったい、どこを見てものを言っているのだ。今や1000万人を超える労働者が年収200万円以下のワーキングプアにたたき落とされ、その中で「もうこのままでは生きられない。自分たちの力で帝国主義をうち倒し、新しい労働者の社会をつくろう」という闘いが青年労働者を先頭に力強く始まっているではないか。この時、旧与田派指導部は、反マルクス主義の極致である糾弾主義、「部落の解放なくして労働者の解放なし」という「部落民第一主義」を振りかざし、自民党や本部派と手を結んでプロレタリア革命運動に敵対しようとしているのだ。
 最末期帝国主義の新自由主義攻撃のもとで、部落解放闘争の戦線でも徹頭徹尾プロレタリア革命の立場に立ちきって階級性を鮮明にさせ、差別・分断をのりこえて階級的団結を固めていく、そのような部落解放闘争の理論的・運動的な飛躍が求められているのだ。
 実際、国境や民族やあらゆる社会的な分断をうち破って、労働者階級がひとつの軍勢として団結し帝国主義を打倒する闘いが、動労千葉を中軸とする11月労働者集会として大きく前進してきたのである。これに解同全国連も参加して、ともに闘ってきたのだ。
 ところが大会議案には、動労千葉の闘いや11月労働者集会の高揚、その階級的意義など、一言もない。青年労働者が職場・生産点で資本や体制内勢力と激しく闘いぬき、展望を切り開いていることもまったく触れられていない。イラク・中東人民および抽象的な「世界の人民」は闘っているが、足元の日本の労働者階級は差別に加担していてどうしようもないというわけである。
 さらに許せないことには、全国連のもとで闘う西郡支部の住宅闘争も、八尾市議選の勝利も無視・抹殺している。西郡支部は、供託者28人の預貯金差し押さえの大攻撃を受けながらも「応能応益絶対反対」を貫き、供託闘争を不屈に闘っている。それなのに大会議案ではこの闘いに一切言及していない。西郡の闘いを黙殺した上で、逆に「(分納の)奈良の闘いを教訓化しよう」「分納においても、団結しだいでたたかいの武器に転化できます」と屈服方針を打ち出している。帝国主義と闘わない体制内改良運動そのものだ。
(写真 住宅闘争の先頭で闘う解同全国連西郡支部【2月24日 八尾市】)

 マルクス主義で団結しよう

 最末期帝国主義の危機が大爆発し、全世界で労働者階級、被抑圧人民が生きるための闘いに立ち上がっている。差別の中で団結してきた部落民労働者は、今こそ日帝打倒のプロレタリア革命の先頭に立とう。西郡の部落大衆の心意気をみよ。「西郡には世界革命の炎があかあかと燃えている」と誇らしく宣言し、不屈に闘っている。ここにこそ、部落解放闘争の勝利の道がある。
 全国連の部落大衆と労働者の皆さん。旧与田派指導部の変質と転向を断じて許さず、部落解放・日帝打倒、プロレタリア革命の勝利をめざし、階級的労働運動路線と7月テーゼのもとマルクス主義で団結し前進しよう。西郡住宅闘争の勝利をかちとろう! 5・23狭山闘争に総決起しよう。

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週刊『前進』(2341号5面1)(2008/04/28 )

 3・9-16弾圧粉砕 勝利の教訓

 6人逮捕に怒りが爆発し職場と地域で団結を拡大

 高尾 都

 

【左】青年労働者2人の逮捕を跳ね返して闘われた池袋での3・9国際婦人デー集会後のデモ
【右】3・16イラク反戦・全世界一斉渋谷デモでの4人の青年労働者の逮捕に怒りの総括集会

3月9日の国際婦人デー集会後のデモ(池袋)、そして3・16イラク反戦・全世界一斉デモ(渋谷)において、それぞれ2人、4人の青年労働者が不当逮捕された。この大弾圧に対して、私たちは怒りをバネに反撃に立ち、地域と職場の団結を圧倒的に強化・拡大し、反弾圧闘争の画期的な飛躍をかちとった。その大勝利の教訓と総括を、以下提起したい。

 仲間の力は私の力 私の力は仲間の力

 世界中の労働者があらゆる地で闘いを開始している。彼らは全員、欲している。「世界中の労働者とあらゆる分断の壁をもぶっ壊してつながりたい、団結したい、労働者階級としてひとつになりたい!」と。世界は革命情勢だ! そのことを11月集会が体現している。
 闘いを開始し、仲間ができ、団結すればすぐさま分かる。仲間の力は私の力、私の力は仲間の力、団結して得た力(奪い返した力)は百万馬力だ、と。08年3月イラク反戦で全世界の労働者が一斉にデモとストで闘って団結した。だからますます団結したいと欲する。団結欲が高まる。
 資本家どもは恐怖する。弾圧せざるを得ない。資本家自らが「減給処分だ、停職だ、解雇だ」と弾圧する。御用組合を使って「組合員権停止だ、組合除名だ」と弾圧する。警察権力を使って「武装機動隊だ、逮捕だ」と弾圧する。国家権力(裁判)を使って「反動判決だ、無期懲役だ、死刑だ!」と弾圧する。
 残念だったな、資本家諸君! われわれ労働者は、弾圧のお陰で団結を拡大した! 団結はガンガンに強まった! 自分たちの切り開いている闘いの大きさを自覚して、ますます階級的に路線を純化した! 「弾圧は団結の糧でしかない」とはっきりさせる闘いをやり抜いた!
 これが6人の不当逮捕を出した3・9―3・16弾圧に対する闘いで切り開いた地平だ! しかも08年前半の前半で!

 「労働運動の力で革命を」への恐怖

 資本家どもは、昨年11・4労働者集会における解放的なデモに、そして「労働運動の力で革命をやろう」という世界の労働者が切り開いた地平に恐怖したのだ。
 新自由主義攻撃の始まりの国鉄分割・民営化攻撃において、いまだに国家は負け続けている。動労千葉が路線を曲げずに闘い続けているからだ。いや、闘い続けているどころではない。1047名解雇撤回を唯一貫き、現場で実力闘争をやりとおして団結を固め、組織拡大を実現し、あらゆるところ(世界規模!)で「動労千葉のように闘おう!」という労働者、労働組合が出現して闘いを爆発させているのだ!
 そして「動労千葉のように闘おう」という青年労働者が3・9池袋では先頭に立ち、3・16渋谷ではスクラムを組んでデモをした。国家権力に対して非妥協・非和解の労働者の団結を示した。資本家・国家権力は、この青年労働者の組織性、団結で奪い返した力の発揮(暴力性)に震え上がったのだ。サミット厳戒態勢の目的は労働運動つぶしであることがはっきりした。

 労働者見くびるな弾圧は団結の糧だ

 不当逮捕でビビって闘いをやめるとでも思っているのか!? なめるな! 私たちは「クビにするぞ」「組合除名にするぞ」の恫喝に、「やれるものならやってみろ、私は闘いをやめない!」と言い切って闘いを貫ける団結をつくってきた労働者たちだ。だからこそ団結を拡大し、強化してきた革命家だ。逮捕であろうと、裁判であろうと、職場での階級的労働運動への処分に対する闘いの教訓と同様だ。弾圧を団結の糧にする核心は、「処分回避を目的化しない」ことだ。
 3・9―3・16弾圧粉砕闘争は、不当逮捕された仲間の奪還を目的化しない奪還闘争だった。団結のためだけに弾圧を利用し尽くすという立場にみじんの揺らぎなく立ちきる闘争だったのだ。
 何のために利用しつくしたか。
 一つは、職場闘争の路線を階級的に純化するために弾圧を利用し尽くした。資本と非和解で闘う路線が、どれだけ資本家を追い詰める強さを持っているかをはっきりさせた。
 どれだけ不当な逮捕か、警察がどれだけデッチあげて「罪」をつくったかを職場ではっきりさせても、労働者は大して空気は入らない。逮捕された労働者の罪は「公務執行妨害」「公安条例違反」などというちゃちな罪ではなく、「革命扇動罪」であり、「団結組織罪」という立派な罪だということに空気が入る。しかも、逮捕された労働者が元気に完黙・非転向で闘っていたら、職場の労働者が弱気になるわけがない。
 二つは、細胞建設のために弾圧を利用し尽くした。革命家が生まれる闘いだ。この闘いで立ち上がった労働者は、不当逮捕直後から、ただちに職場の枠を越えて労働者・革命家とともに闘いを組織した。党と階級が一体で闘った。党の存在抜きにこの闘いの爆発はないことが自然であたり前であるという闘争に立ち上がったのだ。
 職場の仲間の逮捕に対して、逮捕直後には「私を逮捕せずに残したことを警察に後悔させてやる!」と言った労働者が、逮捕から数日後には、この闘いをとおして完全に革命家としてぶっ立ち、「悪いけどもう少し捕まっていて欲しい。そしたらもっとこの弾圧で職場闘争ができるし、もっとたくさんの人が立ち上がる!」と言い出した。完全に弾圧の意図を粉砕しきった。
 三つは、地区党建設のために弾圧を利用し尽くした。「革命扇動罪」逮捕を職場闘争で跳ね返す闘いは、地区党が労働者党として、革命党としての路線を純化して団結していなければやりきれない。地区党が団結していなくて、どうして職場に革命家として登場できようか! どうして処分を恐れず、「6人のように闘おう」とみんなで腹をくくれるか!
 この弾圧を、現場での資本・国家との非和解を貫く闘いとして必死に実践した労働者が、真に階級的労働運動路線で武装し団結した地区党を欲し、細胞自らが地区党を再建・建設したのだ。
 地区党の団結なしに職場で勝負できないし、革命家がどれだけ生まれるかによって闘いの爆発の大きさも決まる。職場闘争の階級性、細胞建設、地区党建設は、弾圧を糧に完全に一体のものとして強化・純化された。

 力の均衡ぶち壊し革命へ次の一歩を

 弾圧はこれからますます起きるだろう。あらゆるところで弾圧がある。つまり「あらゆるところにチャンスが起きる」ということだ。ありとあらゆる場所で動労千葉のような闘いを激化させているからだ。
 こんな弾圧を糧にして、団結を強化し、路線をはっきりさせ、さらに大きな一歩を進める。さらに大きな一歩とは、「さらに資本家どもが黙って見ていられなくなる闘い」ということだ。
 弾圧に対して、資本家が「今日のところはこれくらいにしておいてやろう」という感じになった時に、こちらも一瞬「つぶす―つぶれない」の関係で均衡を取りそうになってしまう。そこをさらに大きく左に一歩、革命側に一歩進む。これが私たちの闘いだ。
 だから弾圧に対する闘いは、「さらに弾圧せざるを得ない」くらい革命的に一歩踏み出すということだ!
 逆に、弾圧されないように資本家・国家権力と折り合いをつける体制内労働組合は、新自由主義政策のもとで産業報国会化しているではないか!今や資本・国家と折り合いをつけない「非和解・非妥協」の闘いで団結を拡大・強化しているのは、革共同の階級的労働運動の路線だけだ。
 産業報国会化した御用組合をぶっ飛ばして、労働者が権力をとる動労千葉型労働運動を爆発させて、国家権力も黙って見ていられなくなる闘いを日本中で、世界中で巻き起こそう!
 6人のように、法大弾圧の内田君のように、富山大のA君のように、星野文昭さんのように闘おう!

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週刊『前進』(2341号7面1)(2008/04/28 )

 洞爺湖サミット粉砕を

 プロレタリア世界革命の勝利へ万国の労働者は団結して闘おう

 革共同の6〜7月サミット決戦宣言

イラク反戦5周年で青年労働者を先頭に渋谷をデモ(3月16日 東京)

世界革命の時代が始まっている。世界を貧困と戦争にたたき込んできた帝国主義を、労働者階級の国際的階級的団結の力で根底から打ち倒す時代がやってきた。7月洞爺湖サミットを粉砕し、日本の地からプロレタリア世界革命への道をこじあけよう! 全世界での決起と連帯し、6〜7月サミット決戦に総決起しよう。闘う全労働者の職場からの総決起と全国学生ゼネストをぶちぬき、首都を揺るがす万余の大デモを実現しよう。

 T 全世界で労働者階級人民のストや暴動が激発している

 時代は完全に世界革命情勢に突入した。帝国主義世界経済は今や、1929年大恐慌をも上回る世界金融大恐慌の爆発に向かって、破局への坂をまっさかさまに転げ落ちている。帝国主義にはもはやこの危機をのりきる力も、その手段も一切ない。
 この世界金融大恐慌は、資本主義・帝国主義の最後の延命策としてあった1980年代以来の新自由主義の全面破産がもたらしたものだ。それは、20世紀の戦争と革命の時代をくぐりぬけて21世紀へと生き延びてきた帝国主義の、積もりに積もった矛盾の全面的で最終的な爆発だ。資本主義社会そのものが、すでに根幹から腐り果て、社会として崩壊を始めている。
 だがこの資本主義・帝国主義は、プロレタリア革命によって打倒されないかぎり、どこまでも腐臭を放ちながら全世界を飢餓と貧困と戦争の奈落の底に引きずり込んでいく。もう一刻のがまんもならない。労働者階級がその団結した力によって資本家階級から直ちに一切の権力を奪い取り、生産手段を掌握して全社会を根底から再組織することが必要だ。この闘いにおいて労働者階級には鉄鎖以外に失うものは何もない。獲得するのは全世界だ!
(写真 動労千葉の春闘スト【3月14日 京葉車両センター前】)

 史上3度目の革命期

 今始まっているのは、史上三度目の世界革命情勢の到来である。一番目は第1次大戦末期、1917年のロシア革命の勝利を頂点として、全世界を覆いつくした革命の嵐。二番目は、1930年代から第2次大戦を経て戦後革命期に至る、革命と反革命との世界史的な大激突。そして戦後革命の敗北から半世紀以上を経てついに今日、プロレタリア世界革命がみたび歴史の正面舞台にのぼる時が来たのである。
 1917年ロシア革命の偉大な挑戦を引き継ぎ、第2次大戦後の戦後革命の敗北をのりこえて、今度こそ世界革命を最後まで完遂する闘いをやりぬこう。革命を裏切り変質させ、帝国主義の世界支配の補完物となってきたスターリン主義をも帝国主義とともに打倒しよう。この反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命の実現に唯一、労働者階級はもとより、農民、被抑圧民族を始め全世界人民の解放がかかっている。
 今日の情勢の特徴は、このプロレタリア革命の主体である労働者階級のまったく新たな、巨大な決起が全世界いたるところで爆発的に始まっていることだ。
 世界金融大恐慌突入下で、「労働運動の力で革命を」という日本の闘う青年労働者のスローガンが、全世界の闘う労働者の魂をつかむ時がやってきている。「生きさせろ!」の叫びは今や世界中にとどろいている。帝国主義国であると新植民地体制諸国であるとを問わず、労働者のストライキとデモがすべての国で起こっているではないか。さらに食糧暴動が激発し、市街戦への発展も始まっている。
 労働者階級を国際的にも国内的にも徹底的に分断してその階級的決起を抑え込んできた、帝国主義の戦後支配の大崩壊が始まったのだ。体制内改良主義のもとでのあらゆる幻想が打ち破られ、資本・権力に対する労働者階級の絶対非和解の決起がせきを切って噴出し始めた。

 体制内突き破る決起

 何よりも、ストライキ! ストライキ! ストライキ! このうねりが世界を覆っていることは決定的である。しかもそれが、とりわけ帝国主義国において、大衆的怒りの激しさのもとで既成の体制内労働運動の壁を下から突き破って闘われていることである。
 アメリカでは、AFL―CIO(米労働総同盟・産別会議)の基軸組合であり、典型的な体制内労働運動であるUAW(全米自動車労組)の中から、アメリカン・アクスル社の労働者3600人が2カ月を超える長期ストに決起している。010同社はGM(ゼネラルモーターズ)の子会社で、ストで部品供給が止まりGMの全工場が操業停止に追い込まれた。多くのGM労働者がレイオフされたが、しかしその労働者は圧倒的にアメリカン・アクスルのストを支持して、ともにピケットラインに立っているのだ。UAWは昨年、年金と医療制度の全面破壊攻撃に対してGMで形だけの全国ストを打ったが、わずか2日で中止した。これへの怒りが組合員の中にあふれている。
 05年にAFL―CIOから分裂したCTW(勝利のための変革)の中心組合であるSEIU(サービス従業員国際労組)でも、体制内化した執行部を打倒する現場組合員の決起が始まっている。「新潮流」を名乗りながら実際には資本と癒着したSEIU本部に、カリフォルニア州の医療・福祉労働者の組合UHW(15万人)が公然と反旗をひるがえした。
 さらに、サブプライムローンの破綻(はたん)で住宅を差し押さえられた労働者が、立ち退き命令を実力で拒否する闘いに全米で続々と立ち上がっている。
 この中で、ILWU(国際港湾倉庫労組)はイラクとアフガニスタンからの即時撤兵を要求し、5月1日のメーデーで米西海岸の全港湾を封鎖する闘いに立つことを決定した。ILWUローカル10のジャック・ヘイマン氏は、昨年動労千葉が参加した国際会議での決定に基づき、戦争を止めるには労働者は「自らの生産点で力を行使しなければならない」と宣言し、全米の労働者に決起を呼びかけている。これがアメリカ階級闘争をさらに決定的な段階に押し上げることは確実だ。

 世界を覆うストの波

 ドイツでは、鉄道労働者が昨年夏から半年間にわたり、ドイツ労働総同盟本部の制止を突き破って、ドイツ全土を揺るがす長期ストに決起した。この闘いは、今年に入って総同盟の最大の中心労組である統一サービス労組(組合員230万人)に波及、ベルリンを始めとする公共部門労働者の大規模な闘いに発展した。
 2月以降、ベルリンのバス・地下鉄労働者を先頭に、各地の都市交通、空港、病院、学校、保育園、清掃部門などの労働者が「警告スト」に繰り返し突入。都市機能がストップする事態となった。4月下旬にはさらに、郵便労働者13万人が全面的な物ダメストに突入する。これらの闘いは、統一サービス労組本部との激突を貫きつつ、山猫ストも含めて進められている。
 イギリスでは、PCS(国家公務員と民営化された公共企業の労働者、約35万人)が波状的なストを続けてきたが、ドイツと同様、今やゼネスト情勢を迎えている。決定的な突破口を開いたのはNUT(全英教職員組合)だ。NUTは大幅賃上げを要求し、サッチャー政権下で解体攻撃にさらされて以来21年ぶりの全国ストに突入した。
 フランスでは、青年労働者の使い捨てをもくろむ新規雇用契約を撤回させた06年の闘いを引き継ぎ、サルコジ政権の新自由主義攻撃との闘いが激化している。昨秋の公務員・公共企業労働者の大規模ストに続き、この4月、高校生を先頭に4万人がサルコジ「教育改革」反対のデモに立ち上がった。

 「生きさせろ」の闘い

 韓国でも、労働争議の圧殺を最大課題として登場したイミョンバク(李明博)新政権との一大激突が始まっている。3月11日には、コスコム非正規労働者の座り込みを大量の警官隊が襲撃し、殴るけるの暴行を加えて強制排除した。19日には政府が「不法集団行動の根絶」を掲げた。民主労総へのこの宣戦布告に対し、ソウル地域本部を始めとする闘う労働者はこれを、労働者の団結に対する敵の恐怖の現れとして真っ向から対決して闘いぬいている。
 さらに、欧州各地で、中東で、全世界で、数え切れないほどの大規模なスト、デモ、食糧暴動が次々と発生している。ロシアでは鉱山労働者が、ルーマニアでは自動車工場の労働者が無期限ストに入った。スイスの鉄道労働者はストで民営化を阻止。エジプトでは警察によるスト圧殺の工場占拠と対決して労働者数千人が市街戦に決起。バングラデシュでは女性労働者2万人が食料品価格高騰に抗議して街頭にくりだし、警官隊と衝突した。ハイチでは流血の食糧暴動が全土に拡大した。
 そしてついに、中国でもスターリン主義政権への歴史的な大反乱が始まった。010チベット人民の決起は、中国スターリン主義の民族抑圧に対する怒りの爆発にとどまらず、中国の労働者と農民のスターリン主義体制打倒へ向けた全土にわたる革命的決起の弁を開くものだ。13億中国人民の本格的大決起と国際プロレタリアートの闘いとの結合は、世界革命の現実性を一挙にたぐりよせるものになる。

 階級闘争の新時代へ

 そして最も重要なことは、これら全世界の労働者階級の闘いの先頭に、その牽引(けんいん)車として、11月労働者集会に結集する日韓米の闘う労働者・労働組合が立っているということだ。とりわけ3・16イラク反戦5周年全世界一斉デモの爆発は、職場と街頭を結びつける青年労働者の闘いをとおして、「革命をめざす労働運動」を時代の前面に公然と登場させた。国際階級闘争の勝利の新時代がここに決定的に切り開かれたのだ。
闘いはいよいよこれからだ。7月サミットに向かって、帝国主義の危機はさらに進行する。サミット厳戒体制を打ち破り、3・16で切り開いた闘いの地平をさらに強力に発展させよう。革命を正面から掲げて闘う労働運動が、今こそ最前線に躍り出よう。世界の労働者とひとつになって闘おう!

 

【左】1月23日からストに入ったアリアンツ生命労組(ソウル)【右】住宅差し押さえに対する実力闘争(1月23日 米ボストン)

 U 新自由主義の完全な破産と世界金融大恐慌への突入

 資本主義・帝国主義の体制崩壊の危機はあらゆる予測をこえて進行している。われわれの眼前に広がっている、この革命的情勢の広さと深さをはっきりさせよう。

 危機が底無しに拡大

 アメリカ経済の住宅バブルの崩壊とサブプライムローンの破綻は、帝国主義世界経済をついに、1929年の大恐慌をも超える新たな世界金融大恐慌へと引きずり込んでいる。
 米欧日の金融機関の損失は昨年夏のサブプライム危機発生以来、拡大に次ぐ拡大を続けている。IMF(国際通貨基金)は4月に入って、世界の金融機関の損失総額が最大で9450億j(約95兆円)に達すると発表した。それすら現時点での予測にすぎず、この先どこまで膨張するか分からない。
 決定的なのは、3月中旬に起きた米の大手証券会社ベアー・スターンズの経営破綻だ。財務面では問題のない十分な資本金をもっていたにもかかわらず、急激な信用収縮により資金繰りが一気に行きづまり、わずか3日で手元資金が底をつく事態に陥った。FRB(米連邦準備制度理事会)が異例の介入をして連鎖倒産の発生を食い止めたが、米金融恐慌が完全に本格化した。
 欧州や日本の金融機関も、米の住宅ローン担保証券などを大量に購入し、米のバブルに依拠して巨額の利益を上げてきた。それがすべて逆転し、恐慌対策に各国が必死となっている。日欧からの大量の資金流入が米の巨額の経常赤字を補てんしていた関係が崩壊し、ドルの大暴落が現実化している。
 さらに今や、信用収縮に続いて実体経済の収縮が始まっている。米の住宅バブルの崩壊は、その極限的なバブルの上に成り立ってきた世界経済の全体を失速させ、株価の下落が世界的に止まらない状態だ。米経済のバブルと一体で進行してきた中国経済のバブルも実際には崩壊寸前である。
 ドルの大暴落と中国経済の破綻は、世界経済崩壊の最後の引き金となる。帝国主義世界経済におけるドルの基軸通貨としての機能の喪失は、米帝の戦後世界支配の崩壊だ。だが米帝にとって代われる帝国主義など存在しない。世界経済は分裂し、収縮し、奈落の底まで落ち込んでいく以外ない。
 この情勢下で、これまでをはるかに超える大量首切りの嵐が労働者階級の頭上に襲いかかってきている。アメリカでは金融・自動車・航空・流通・ハイテク部門などの全産業で、昨年を上回るリストラ計画が次々と発表されている。大恐慌下で独占資本が生き残りをかけた巨大合併に走っていることがこれを促進している。1930年代のような、膨大な労働者が職を失い、住宅からも追い出され、路上やテント村での生活を強いられる光景がすでに全米いたるところに現出しているのだ。

 インフレと食糧危機

 そして決定的に重大なことは、全世界で原油や食糧価格が高騰し、インフレが急速に爆発し始めていることだ。
 各国が恐慌対策として行った市場への巨額の資金供給は、信用収縮をおしとどめるのではなく、投機マネーとなって原油・穀物など商品市場に流入し暴走を始めている。原油価格は1バーレル=100jをはるかに突破し、いまや120jに迫っている。石炭価格は昨年の2・3倍、鉄鉱石は3倍に引き上げられた。小麦やコメなど主要穀物の価格はこの半年で1・5〜2倍に高騰し、さらに上昇する勢いだ。
 これらは全産業に巨大な影響を与えると同時に、何よりも労働者人民の生活を恐るべき勢いで直撃するものとなりつつある。とりわけ深刻なのは食糧危機だ。一方で大失業・リストラの嵐がますます吹き荒れ、賃金が大幅に切り下げられていっている中で、労働者家族のいのちをつなぐ食糧が2倍、3倍に値上がりしていったらどうなるのか! すでにアフリカ・中東・中南米やアジア諸国を中心に、世界各地で大量の人民が飢餓状態にたたき込まれ、怒りの暴動的決起が続発している。
 この穀物価格の高騰は、農民には一切還元されない。すべて資本の野放図な投機とバイオ燃料戦略などによるもので、逆に農業と農村をも破壊する。世界の帝国主義ブルジョアジーが、ハイパーインフレによる全世界の人民からのすさまじい大衆収奪によって生き延びようとするところに、その正体がある。
 最末期の帝国主義が、貧しい労働者に詐欺同然の手口で高利の住宅ローンをおしつけ、暴利をむさぼってきた上に、それが破綻(はたん)するや今度は食糧という、人民の生命と生活を成り立たせている土台を食い物にしている。本当におぞましい限りだ。腐敗の極にある帝国主義を、一刻も早く打倒しなければならない。

 帝国主義の死の苦悶

 重要なことは、今日の世界金融大恐慌への突入は、第2次大戦後の帝国主義が過去に何度か直面した危機とはその性格がまったく異なることである。
 戦後の帝国主義は、1974〜75年恐慌の爆発でその戦後発展の実質的な終末を迎えた。世界的な過剰資本・過剰生産力状態に突入した帝国主義は、その矛盾をバブル経済を何度も繰り返すことで必死にのりきり、危機を拡大させながら延命してきた。ソ連崩壊後の旧スターリン主義圏や中国経済の世界市場への組み込みもそれを促進した。しかしこのバブルに次ぐバブルはその過程で膨大な矛盾をつくり出し、とりわけ「金融帝国」と化した米帝の主導のもとで、金融を実体経済とはかけ離れた巨大な化け物のような存在に仕立て上げてきた。
 全世界をまきこみ、もはやブルジョアジー自身もコントロール不能なものに成長したこの末期的なバブルが、ついにその中心部で破裂した。これは世界の金融資本を土台から存立の危機にたたき込んでいる。もはやどんな逃げ道も、のりきり策もない。
 その根底には、帝国主義の最後の延命策としてあった、新自由主義そのものの破産がある。
 新自由主義とは何か。その核心は、労働者階級に対するむきだしの階級戦争にある。74〜75年恐慌でいったん体制崩壊の危機に直面した帝国主義は、そこからの脱出のために戦後の国家独占資本主義的政策を大転換し、規制緩和・民営化の大攻撃にうって出た。帝国主義がそれまで労働者階級の反乱を防ぐために支配の安定装置としてきたはずの戦後的諸制度を、自ら全面的に解体し、資本に無制限の搾取の自由を与える体制へと転換したのである。
 1980年代の米帝・レーガン、英帝・サッチャー、日帝・中曽根政権のもとで本格的に始まったこの攻撃は、労働組合の破壊と労働運動の圧殺によって広範な労働者の極端な低賃金化・非正規職化・無権利化を生み出した。この労働者階級への徹底した強搾取と貧困の強制が資本にもたらした利益はばく大である。他方で新自由主義は、金融独占資本に対しては、もうけるためには何をやってもよいという自由を与え、経済の投機化・バブル化を果てしなく推し進めるものとなっていった。その結果がサブプライムローンを生み、今日の世界金融大恐慌をたぐり寄せたのだ。
 今や帝国主義は、恐慌対策と称して新自由主義攻撃をこれまで以上に満展開し、一切の矛盾と犠牲を労働者階級に押しつける以外ない。そして帝国主義同士が世界の資源・市場・勢力圏の支配をめぐって激突し、争い、究極的には新たな世界戦争に絶望的に突き進んでいく以外ない。
 だがこんな攻撃がやすやすと通ると思ったら大間違いだ。80年代以来の新自由主義攻撃のもとで蓄積された労働者階級の怒りは、今や全世界で体制内指導部をぶっとばして大爆発していく情勢に突入しつつある。内への階級戦争と外への侵略戦争は一体であり、すべて資本家階級の利益を守るためにほかならない。世界の労働者が「単一の階級」として今こそひとつに団結し、本当にひとつの軍勢となって、プロレタリア世界革命へ向け進撃する時代がやってきたのである。

 世界再分割戦に突入

 1929年を上回る世界大恐慌の爆発は同時に世界経済の分裂化・ブロック化への突入である。それは第一に、世界各地での資源の争奪戦としてすでに激しく進行している。第二にFTA(自由貿易協定)締結をテコとした、世界の大国による市場の囲い込みと勢力圏化の攻撃として激化している。第三に、この資源・市場の争奪戦は不可避に、帝国主義による侵略戦争の拡大と結びついて進行する。
 第四に、それは帝国主義同士の激しいつぶし合いを伴う。そこに旧スターリン主義国のロシアや、残存スターリン主義の大国である中国をもまきこんで、各国の生き残りをかけた文字どおりの死闘が繰り広げられることになる。結局は世界の再分割をかけた新たな帝国主義戦争、世界戦争に行き着く以外ない。軍事力が他の何よりもモノを言う時代に突入するのだ。米帝を始め各国はすでにそれを想定し、大軍拡へと走り出している。イラク戦争のイランへの拡大や北朝鮮・中国への侵略戦争策動も、この脈絡の中にある。
 7月サミットは、その歴史的な転換点になるだろう。そして帝国主義のこれらの動きの一切が、労働者階級への階級戦争を最大の軸におき、それと一体で進行するのだ。

 イラク情勢の重大化

 とりわけイラク情勢は重大である。
 米帝はイラク・中東の石油資源の強奪と再支配のためにイラク侵略戦争に突入した。だが今日、イラク人民の不屈の民族解放闘争の継続によって、米軍のイラク占領はそれ自身が米帝にとって新たな危機を生み出している。米帝は弱体なマリキかいらい政権を支えるためにシーア派を利用し、クルド人を利用し、ついには一部のスンニ派部族に武器を与えて利用してきたが、それらはイラクの内戦を激化し、一切の元凶である米軍への怒りと憎しみをますますかき立てている。
 さらにイラク侵略戦争の泥沼化は、米帝の国内支配の危機にはね返り、アメリカ労働者階級の階級的目覚めと即時撤兵を求める怒りの決起を呼び起こしている。増大するイラク戦費の重圧は米の国家財政を直撃している。それでも米帝はイラクから絶対に撤退できない。引き揚げればイラクだけでなく米帝の中東支配全体が崩壊する。
 世界経済における米帝の基軸国としての地位が今、グラグラに揺れている中で、米帝はその世界最強の軍事力にとことんしがみつき、侵略戦争の絶望的激化・拡大にひたすらのめり込んでいくしかない。これが帝国主義間の石油強奪戦、世界再分割戦に一層火をつける。他方で闘うイラク人民を始めとする全世界の労働者階級人民の帝国主義打倒の怒りの決起を促進する。まさに「戦争と革命の時代」の到来だ。

 日帝は「最弱の環」だ

 この中で、最も深刻な危機に追いつめられているのがほかならぬ日本帝国主義である。
  そもそも日帝経済は、90年代の長期不況、97〜98年恐慌を根本的にはまったく脱却できていない。この間一時的に経済が上向くように見えたのは、90年代半ばからの非正規職化・低賃金化による労働者階級への極限的な搾取強化と、米・中経済のバブルに乗じた輸出の拡大によるものでしかない。逆に1000兆円もの天文学的な財政赤字は、国家破産の現実そのものだ。米のバブル崩壊と世界金融大恐慌への突入は、この日帝を一気に奈落の底にたたきこむ。
  しかも日帝は、帝国主義間の争闘戦が激化し、世界経済のブロック化が進み、世界が新たな戦争の時代へと急速に突入する中で、これに対応する戦争体制と帝国主義的・強権的な国内支配の体制をいまだに確立できていない。憲法9条の戦争放棄条項の公然たる撤廃を掲げながら、そこにまっしぐらに突き進むこともできず、逆に改憲攻撃それ自身が政治支配の重大な危機をつくり出している。日帝・福田政権はもはや、統治能力の喪失をさらけ出すに至っている。
  だが日帝には、そうであればあるほど、80年代国鉄分割・民営化以来の新自由主義攻撃をますます貫き、戦争・改憲と民営化・労組破壊の道を突き進む以外にどんな道もないのだ。福田政権が6月に閣議決定しようとしている「骨太方針08」は、日本経団連・御手洗の掲げる「生産性向上」をスローガンに、労働者階級への一層の搾取と収奪に突っ走ろうとしている。
  これこそ決定的なチャンスである。すでにこの間の「構造改革」攻撃が労働者階級にワーキングプア化を強制する中で、最も矛盾をしわ寄せされる2000万青年労働者と学生の中から「生きさせろ!」の叫びがふつふつと沸き起こっている。この叫びは「こんな資本主義はぶっ倒せ!」という怒りの決起に必ずなる。現にその闘いは3・16で本格的に始まっている。
  さらに、自治体丸ごとの民営化、社会保障制度の全面解体、首切り・リストラ、大増税と物価高騰、そして労働者階級と農民の犠牲の上に推し進められる戦争政策への怒りは、これからますます全社会に広がっていく。まさに革命情勢だ。これへの恐怖が日帝ブルジョアジーをしめつけている。
  ここにおいて日帝は、動労千葉を先頭とする階級的労働運動の前進を阻むこと、「動労千葉派」の闘いを押しつぶすことにあらためて現体制の存亡をかける決断をして臨んでいる。4大産別がその焦点だ。ここでの攻防が一切を決する情勢に突入した。

 

【左】ドイツでは鉄道職員労組や郵便、空港、病院など公務員労働者が大規模なストを波状的に闘っている(3月4日)
【右】イギリスの教育労働者は4月24日、24時間の全国ストを21年ぶりに敢行。4万人が参加し3割以上の学校が閉鎖に

 V 階級的労働運動の大前進で職場を団結の砦に変えよう

 3・16イラク反戦5周年闘争を頂点とする本年1〜3月の闘い、それを引き継ぐ4月の闘いは、階級的労働運動路線の白熱的実践として決定的な前進を切り開いた。あらゆる体制内的な思想や運動と決別し、「労働運動の力で革命をやろう!」と真っ向から提起して闘う青年労働者の隊列が、職場と街頭で公然と登場したのである。これと一体でかちとられた動労千葉の春闘24時間ストは、「闘う春闘」をよみがえらせる先頭に立つものとなった。さらに、闘う教育労働者の「君が代」不起立の絶対非和解の決起は、その団結の力で根津公子さんの解雇を実力阻止するという偉大な勝利を実現した。
 今や労働運動の内部で、体制内的なものと革命的なものとの鋭い分岐が生み出され、階級闘争全体の大流動化が始まっている。既成の体制内指導部は反動化と変質をますます深め、資本・当局と完全に一体化して、闘う労働者を圧殺する側に回った。これに対して青年労働者を先頭に、体制内指導部と激突して職場に労働者の団結を奪い返し、労働組合を再生していく闘いが全国各地で実際に始まったのである。

 職場に本物の団結を

 その最大の核心は、労働者が本来もっている階級的自己解放の力を全面的に解き放って闘うことにある。そのことは資本によるあらゆる分断を徹底的に打ち破り、職場に本物の階級的団結を形成して闘う中で可能になる。
 資本家階級とその手先である連合中央の労働貴族は、現に自分の前にいる労働者の中に世界を変える力があるなどとは思っていない。この点では日本共産党=スターリン主義者も、社会民主主義者も、さらに塩川一派などの血債主義者も実はまったく同じだ。しかしこれは根本的な誤りだ。社会の真の主人公は労働者だ。労働者階級はその自覚と誇りに目覚め、団結して闘うことを知ったとき、賃金奴隷の鎖を自らの手で引きちぎり、全社会を変革する力を急速に獲得していくのだ。
 賃労働と資本は絶対非和解である以上、労働者はどんな困難な状況に置かれていても必ず資本との闘いに立ち上がる。労働者が闘えないでいるとすれば、それは労働者に闘う力がないからではなく、団結が奪われ、破壊しつくされているからだ。
 現に今、資本の支配とそれに屈服した体制内指導部のもとで労働者は徹底的に分断されている。正規と非正規の分断を始め、同じ職場の中でも雇用形態の別や性別・出身・国籍等々、あらゆる口実を設けて無数の差別分断支配がまかりとおっている。しかしそこにおいて、資本との非和解的闘いが実際に開始されていった時、すべての分断はぶち破られ、労働者階級として一つに団結していくことが可能になる。
 この階級的団結の形成は同時に、資本主義社会=階級社会のもとで破壊され奪われてきた人間的共同性の全面的な奪還である。そこでは一人ひとりの労働者の中に個々人の能力をも超えたまったく新しい巨大な力が呼び起こされてくる。労働者階級のこの団結した力こそが階級社会を転覆し、差別も抑圧もない社会を本当につくりだしていくことのできる原動力なのだ。ここにプロレタリア革命とプロレタリア独裁の核心がある。
 労働者階級への信頼とは、この力をとことん信頼することだ。塩川一派はこれを拒否し、否定したことによって今日、完全な反マルクス主義に転落し変質したのである。

 資本との非和解貫け

 階級的団結は、資本・権力との絶対非和解の対決を貫く中で形成される。一切は、職場生産点を資本家と労働者のどちらが支配していくのかをめぐる激突から始まる。ここでの非和解的・内乱的激突とそれをとおした労働者階級の団結の拡大こそが決定的なのだ。この団結の究極的拡大が革命だ。
 ストライキがなぜ重要か。労働者のストライキの意義は、ストをやってどれだけの成果をかちとったかという点にあるのではない。そのストライキをとおして労働者の団結が飛躍的に強化され、拡大される点にある。なぜならストライキは、この職場は誰が動かしているのかということ、職場の主役は資本家ではなく労働者であることを、敵階級の眼前に突きつける闘いだ。労働者は虫けらではない、誇り高い人間でありこの社会の真の主人公だということを、実力をもって全ブルジョア社会に知らしめる闘いだからである。
 体制内労働運動は、単に闘わないからダメなのではない。たとえストをやったとしても、ストは要求を通すための単なる圧力手段でしかなく、労働者を自己解放の主体ではなく救済の対象としか見ていないからだ。これに対して動労千葉は、闘っても1円もとれないストライキを、労働組合の団結を守りぬくことを最大の目的に闘い続け、そのことによって20年にわたる国鉄分割・民営化との闘いに唯一勝利してきた。それは労働者の自己解放性を信頼し、そこに徹底して依拠して闘ってきたからだ。

 1人の決起が決定的

 したがって、この団結は資本・権力との直接対決だけでなく、ブルジョア社会が流すあらゆる反動的価値観との徹底対決とその粉砕を日々闘いとっていく中でこそかちとられる。それは資本の支配を日々打ち破る闘いであり、そのことをとおして、労働者階級が資本主義社会を転覆し新たな社会を形成する力を日々自らの内に育て上げていく闘いだ。資本の命令には従わない職場の団結をつくり出すこと。そして団結した労働者が職場を支配することそのものが革命であり、プロレタリア独裁樹立への闘いなのである。
 プロレタリア革命の勝利は、こうした職場を全国いたるところに、とりわけ4大産別と基幹産業の中に無数につくりだし、労働者階級が社会的生産を掌握しつくす中でこそ切り開かれる。
 何よりも、資本とどこまでも絶対非和解で闘いぬく労働者を職場に1人、つくり出すことだ。自分自身がその1人になることだ。この1人が2人になり、5人、10人になっていく時、職場の中に事実上の二重権力状態が生み出される。3・16闘争は、そうした闘いの上にかちとられた。この闘いの継続こそが世界革命につながるのだ。

 生きたマルクス主義

 こうした闘いは、マルクス主義の実践そのものである。階級的労働運動とは、労働者自己解放の思想であるマルクス主義を、労働者階級の現実の闘いに貫き通す運動だ。動労千葉労働運動の中には、まさに生きたマルクス主義が体現されている。
  国鉄分割・民営化攻撃=新自由主義攻撃に真っ向からストライキで闘いを挑み、しかもつぶされることなく団結を守りぬいて生き残ってきた組合は、世界に唯一、動労千葉しかない。それを可能にしたのは、労働組合運動を目先の利益ではなく労働者階級の根底的解放=革命を闘いとる立場から位置づけ、団結を一切の総括軸にして闘ってきたからだ。
  「資本がつねに言う『会社あっての労働者だ』という言い方に対して、『じゃあ労働者を食わしていけないようなやつはやめりゃいいんだ』『俺たちがやってやる』、そういう気概を持たない限り、労働組合運動も成り立たない」(中野洋著『甦(よみがえ)る労働組合』)
  労働者は日々生きるために闘うだけでなく、賃金奴隷制からの解放を求めて自ら立ち上がることができ、そのためにどんな困難をもはねのけて団結できる。この確信に立ち切って闘ったからこそ動労千葉は、新自由主義攻撃に絶対反対を貫き、勝利してきたのだ。逆にここで絶対反対を貫いて闘えなかった者はすべて、屈服と敗北への道を突き進んだのだ。
  「動労千葉のように闘えば世界を変えられる」――このことを今こそ全労働者に訴え、闘う労働者を圧倒的に動労千葉派に獲得しよう。全国・全産別で、自らの職場を革命の根拠地に変えて闘おう。
  

 

【左】教職員ポストが次々と削減されているフランスで、高校生を先頭に4万人が教育改革反対のデモ(4月10日)
【右】イラクの石油労働者は、米帝の侵略・虐殺と石油資源強奪に抗議、くり返しストに決起している(06年のスト)

 W プロレタリア革命の展望は4大産別決戦の勝利にある

 階級的労働運動の実践が死活をかけて問われているのは、国鉄・教労・全逓・自治体の4大産別の労働運動である。5〜6月の闘いで、ここでの地殻変動的情勢をこじあけよう。

 階級的団結論の実践

 革命的情勢が急接近する情勢において何よりも問題となるのは、闘う主体の側における革命への強烈な意志と、そのもとでの団結の形成である。この「革命への意志と団結」が不屈に発揮されるならば、革命的情勢は現実の革命に向かってぐいぐいと引き寄せられる。4大産別こそ、プロレタリア革命をかちとる階級的労働運動路線の真価を最も発揮すべき、階級決戦の最大の戦場である。
 だからこそ日帝ブルジョアジーは、4大産別の壊滅、とりわけその階級的団結の解体に総力をあげている。新自由主義攻撃は、その破綻がどんなに深まっても、執拗(しつよう)な民営化・労組破壊攻撃を4大産別に集中している。4大産別の労働運動が、国家権力機構の内在的一角に労働者の団結を形成するものとして、依然として全国津々浦々に存在している以上、そこに革命への恐怖を見いだすからだ。実際に4大産別こそ、プロレタリア独裁樹立の母体となる位置にあるのだ。
 帝国主義が最末期の危機であればあるほど、4大産別決戦はプロレタリア革命戦略にとって死活的であり、その革命論的意義は巨大になっていく。
 まさに今日の階級攻防は、4大産別の階級的団結をめぐる攻防を最大の激突点としている。しかもそこには体制内労働運動が強固に存在し、革命への最後の防波堤としての役割を果たそうとしている。いやむしろ4大産別の存在そのものが丸ごと体制内労働運動であると言ってもいい。この中に、体制内的な思想と運動を根底から食い破る、革命の意志をもった不抜の階級的団結をつくり出すことが一大決戦となっているのだ。その成否をもって、革命の展望そのものが押し開かれると言っていい。
 今日、政権末期の危機にあえぐ福田政権と日帝支配階級は、統治能力の喪失に七転八倒しながら、それゆえにこそ4大産別の労働運動圧殺にますます自らの死活をかけている。この貫徹ぬきに、小泉以来の「構造改革」攻撃のさらなる継続も、恐慌対策も、9条改憲も、何ひとつ進みはしない。小沢・民主党も、その本質は自民党と同じ穴のむじなだ。実際には自民党以上の新自由主義攻撃推進派でさえある。
 この4大産別をめぐる決戦においてこそ、階級的団結論が圧倒的に打ち立てられなければならない。そもそも新自由主義攻撃は、労働者階級のあらゆる団結形態を徹底的に破壊し分断する攻撃だ。非正規職化の攻撃も、ここに最も重要な核心がある。民営化はこの攻撃をきわめて大規模に、強力に、職場丸ごと推し進める大攻撃だ。だが、そこに絶対反対で不屈に非和解に闘う労働者が存在するなら、敵の攻撃は逆に、職場に労働者の団結を新たに形成する決定的なチャンスに転化する。
 3・9―3・16弾圧を打ち破った青年労働者の闘いは、まさにその典型を示した。権力の不当逮捕は、労働者の中から新たな革命家を続々と生み出す契機となった。この間の法政大闘争での度重なる学生への弾圧も同じだ。闘う団結の拡大こそが日帝権力を追いつめ、大敗北にたたき込んでいる。
 4大産別における階級的団結論の実践とは、このような闘いを4大産別の中に圧倒的につくり出すことである。何よりも4大産別の青年労働者を獲得していく闘いである。ここに一切があると言っても過言ではない。そしてこの青年労働者から、続々と階級の指導部を形成していくことである。今や、4大産別の全路線、運動、組織上の全政策に、青年労働者の獲得の一点が貫かれなければならない。

 JR本体での決起を

 国鉄戦線は、その最大の主戦場である。
 JRの第二の分割・民営化攻撃は、87年以来の国鉄分割・民営化の大破綻の上に、それと重なり合うようにして進行している。尼崎事故を始め、労働者の生命を奪う安全問題の爆発。日々すさまじい労働強化を生み出す要員問題の破綻。そしてJR総連解体による労働者支配の新たな大転換という危機と矛盾が、平成採の青年労働者を中心に襲いかかっている。しかし、この一切を職場生産点の階級的団結に転じ、青年労働者の獲得を推し進め、国鉄労働運動の圧倒的展望を押し開いているのが、動労千葉の存在と闘いである。
 1047名闘争の勝利は、この動労千葉のようなJR本体の職場闘争と一体化することによってのみ、洋々と切り開かれるのだ。それは限りなく、平成採の青年労働者とともにかちとる闘いとしてある。国労5・27臨大闘争弾圧裁判を、階級裁判として、まさに分割・民営化攻撃を過去・現在・未来にわたって徹底的に弾劾し、平成採労働者と団結する闘いとしてやりぬこう。

 不起立の団結拡大へ

 教労戦線では、教育労働運動が、全労働者の階級的団結を打ち固める闘いとして大きく発展しようとしている。根津さんの解雇を粉砕した闘いは、教育労働者への団結破壊攻撃を打ち破ったことにその決定的な勝利の地平がある。新採用世代を始めとして、生き地獄さながらの学校現場を根底から団結の力でつくり変える闘いが勝利的に始まったのである。北海道教組のストと一大処分粉砕闘争の開始も重要だ。
 教育をめぐる新自由主義攻撃はこれからますます激化する。教育労働者の手に職場の団結を取り戻す闘いを、不起立闘争を始めとするあらゆる創造的闘いをとおしてかちとっていこう。闘う日教組の奪還へ、職場権力をもぎとる無数の闘いを開始しよう。

 郵政民営化に反撃を

 全逓戦線では、郵政民営化絶対反対をいよいよ高々と掲げて、職場からの総反撃の炎を拡大して闘う時が来た。
 郵政民営化の破綻は、泥沼的に深まり拡大している。職場の怒りは充満している。JP労組の体制内的裏切りは破天荒なものである。しかし闘って団結しなければ、破綻は破綻とならず、怒りは怒りとして爆発せず、裏切りを裏切りとして暴くことはできない。
 まさに闘う団結こそが職場の分断と絶望を一挙に食いちぎり、職場をあっという間にぬりかえるのだ。
 超勤拒否は、まさに一点の花火が燎原(りょうげん)の火のごとく拡大していく闘いなのだ。それは正規・非正規の分断を打ち破り、青年労働者を先頭に階級の指導部を職場からつくり出す。「労働者に権力をよこせ」という革命への希求を、職場の日常的要求としてかちとる闘いとなる。
 東京中郵廃局(移転)阻止の闘いは、こうした「階級的団結」の闘いへの限りない確信をかちとっている。

 自治体は最大の戦場

 自治体戦線の闘いは、新自由主義攻撃との激突の最前線として、4大産別の先頭に躍り出なければならない。
 道州制導入攻撃のもとでの自治体の丸ごとの民営化は、全国にまたがる自治体労働者を分断し、その団結を解体して国家の官吏として動員し、戦争国家への改造に直結する大攻撃である。公務員制度改革のもとでの人事評価制度の導入は、賃金をめぐる職場の差別・分断を強化し、民営化による非正規雇用を促進し、「官製ワーキングプア」をつくり出し、公務員労働者200万人首切りを推進する攻撃である。民営化絶対反対こそ、自治体労働者の階級的団結をかちとる柱だ。それはまた、自治体に圧倒的に存在する青年労働者を膨大に獲得する闘いである。
 何よりも自治体労働者の階級的団結は、そのままプロレタリア革命とプロレタリア独裁国家樹立の実体として発展していくのである。

 医療産別と合同労組

  4大産別決戦と完全に一体で、医療・福祉産別と合同労組の闘いが重要である。
  医療・福祉産別は、4大産別と並んで全国津々浦々に存在し、プロレタリア独裁の拠点となる位置をもっている。医療・福祉労働者は、聖職論や奉仕論をのりこえ、資本や体制内労働運動と非和解的に対決して闘おう。
  合同・一般労組はけっして特殊な産別ではなく、動労千葉型のマルクス主義を実践する労働運動として、階級的団結論を総括軸に原則的に闘いぬこう。そのことが2000万青年労働者の獲得を押し開くことは間違いない。

 

【左】年間6000人が事故死している中国の炭坑で、労働者のストが続発。写真は警察と激突した湖南省の炭坑(07年8月)
【右】エジプトでは食料品高騰と賃上げ要求ストに決起した2万5000人の労働者が街頭で警官隊と衝突(4月6日 マハラ)

ホンジュラスで労働組合を先頭に食糧価格暴騰に抗議し、道路封鎖の実力闘争(4月17日 首都テグシガルパ)

 X 労働者階級の国際的団結で7月洞爺湖サミット粉砕へ

 米欧日の国際帝国主義は、年1回の首脳会議=サミットを今年は日本で開催する。7月7日〜9日、北海道の洞爺湖で開かれるサミットは、アメリカ・イギリス・日本・ドイツ・フランス・イタリア・カナダの各国にロシアを加えた「G8」と呼ばれる世界の大国が、世界支配の権益を争い、分け合うための帝国主義強盗の会議だ。これを粉砕することは、帝国主義打倒への突破口だ。プロレタリア世界革命の現実性を示す国際連帯の闘いだ。
 サミット粉砕の闘いの核心は、帝国主義者が最も恐れていることをやることだ。すなわち、労働者階級が「死ぬべきは帝国主義だ。労働者に権力をよこせ」と叫んで全職場で資本との絶対非和解の闘いに決起し、その団結を拡大することだ。その中心に4大産別の労働者が立つことだ。この職場闘争を徹底的に闘うと同時に、街頭に進出し、闘う農民や帝国主義への怒りをもつあらゆる人民の力をも結集して、首都を揺るがす万余の大デモをぶちぬくことだ。闘う学生はその最先頭で全国学生ゼネストに総決起しよう!
 全世界を貧困と戦争にたたきこんできた帝国主義(およびその補完物であるスターリン主義)が、この上さらに一切の矛盾を世界の労働者と農民に押しつけて生き延びようとあがくならば、これへの回答はただ一つしかない。帝国主義打倒! スターリン主義打倒! のプロレタリア世界革命を真っ向からたたきつけることだ。この革命に向けた労働者階級の国際的=階級的団結を圧倒的につくり出して闘おう。それが6〜7月サミット決戦だ。

 帝国主義強盗の会議

 今次サミットは間違いなく、帝国主義によるむきだしの世界再分割戦と、新たな世界戦争(第3次世界大戦)への攻撃を促進するものとなる。
 サミットのテーマは、「恐慌対策」「地球環境問題」「食糧問題」「アフリカ問題」「治安問題」等々である。いまひとつの重要議題としてイラクを始めとした「戦争問題」がある。
 第一にはっきりさせたいことは、これらはすべて資本主義・帝国主義が自ら生み出した矛盾であり、資本主義の枠内で「解決」することなど絶対にできないということだ。恐慌も食糧危機もアフリカの貧困問題も、その原因は帝国主義にあり、金もうけのためなら何でもするという資本の強欲で野放図な活動にある。それがもたらす一切の矛盾を労働者階級人民に押しつけ、社会が崩壊し人類が滅びるとしてもおかまいなし、とするのが資本主義・帝国主義の本質だ。
 地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量は現在、全世界で年間約72億炭素d。森林や海洋の吸収可能量は約31億炭素d。自然の吸収量の2倍以上が排出されている。この恐るべき現実に対して帝国主義者は実際には何の関心も「解決策」ももってはいない。ブッシュはサミットを前に、「2025年までに米国の温室効果ガスの排出量の伸びをゼロにする」との「目標」を打ち出した。これは実際には、25年までの17年間は資本の経済活動を一切に優先させ、排出量も増やし続けるという宣言である。
 日帝やEUが掲げる政策も、原子力発電の拡大や、「排出量取引」を商品化して新たな金もうけの手段にするものでしかない。プロレタリア世界革命によって資本主義・帝国主義を打倒する以外に地球温暖化問題の根本的な解決はありえない。
 第二に、サミットで実際に行われることは、帝国主義による資源と市場の奪い合いだ。「アフリカ開発」とはアフリカの石油や鉱物資源の争奪戦だ。食糧問題も、その本質は世界の穀物を誰が支配するかという問題だ。各国の金融資本が農産物市場を支配する巨大アグリビジネスなどと一体となって、コメや小麦やトウモロコシを先を争って大量に買い占め、それらを帝国主義間争闘戦の戦略物資に変えていることこそが価格騰貴の原因である。
 彼らがやっていることは、農民からは徹底的に安く買いたたき、小農民をつぶしてその土地を奪い、他方で労働者階級を中心とする消費者には独占価格による高い食糧を押しつけるというものだ。また飢餓地域への「援助」と称して食糧を買収の手段に使い、帝国主義による勢力圏化を推し進めるものだ。つまり労働者と農民の犠牲の上に資本が新たなボロもうけをする仕組みである。食糧問題とは農業問題であり、資本主義はここでの矛盾をけっして解決することができない。この点でも、もはや革命以外にない。

 イラク人民との連帯

 サミットは第三に、帝国主義による侵略戦争の一層の激化・拡大への扉を開くものだ。
 イラク駐留米軍のペトレイアス司令官は4月8日、米軍の撤退を中断し、約13万人規模の兵力をイラクに長期に維持し続けるよう提言した。ブッシュはこの提案を入れ、さらに戦争のイランへの拡大を狙い、アフガニスタンでの敗勢をも立て直そうと躍起になっている。民主党が政権を握っても、米帝が帝国主義である限りブッシュと同じ道を行くしかない。現にクリントンは、イランがイスラエルを攻撃すればイランに対して「大規模報復攻撃を行う」と発言した(4月16日)。
 洞爺湖サミットが、イラク・イラン・アフガニスタンへの侵略戦争推進をめぐる帝国主義強盗どもの協議の場となることは明白だ。サミット粉砕はイラク反戦闘争そのものでもある。さらに北朝鮮や中国スターリン主義の体制的危機の深まりを受け、米日帝による東アジアでの新たな侵略戦争への策動も強まっている。
 今、全世界で高まっている労働者階級のストライキは、資本の強搾取に対する反撃であると同時に、帝国主義の行う侵略戦争を実力阻止する闘いだ。イラクでも、米軍を絶望的な袋小路に追いつめている民族解放・革命戦争の発展を根底で支えているのは、実はイラクの石油労働者の闘いだ。帝国主義国のプロレタリアートと被抑圧民族のプロレタリアートが、帝国主義打倒のプロレタリア世界革命の同志となってともに総決起する時、その団結の力こそが戦争を止める。そして帝国主義を実際にぶっ倒すことを可能にする。
 米帝を始めとした国際帝国主義がイラク侵略戦争の泥沼にますますのめり込んでいることは、逆に世界革命への情勢の巨大な成熟だ。この戦争を帝国主義打倒の国際的内乱に転化して闘おう。何よりもまず帝国主義国のプロレタリアートが本気で決起し、自国帝国主義を打倒し、プロレタリア独裁を実現する闘いをやりぬこう。そしてイラクの労働者階級に呼びかけ、帝国主義に対するイラク人民の民族解放・革命戦争を、プロレタリア世界革命の一環として勝利させるためにともに闘いぬくことを訴えよう。
 4月20日に京都で開かれた「第17回入管法・外登法と民族差別を撃つ関西研究交流集会」は、韓国民主労総のソウル本部長と動労千葉の委員長が参加する中、民族・国籍・国境を越えた労働者階級の団結を呼びかけ、国際連帯の新たな地平を開いた。この道を断固として突き進もう。

 沖縄と三里塚の闘い

 沖縄闘争と三里塚闘争の発展は、帝国主義戦争を内乱に転化し、革命に勝利する闘いの重要な柱だ。5・15沖縄闘争(5月18日沖縄県民大会)、6・8三里塚現地闘争をサミット粉砕決戦の一環として闘おう。
 沖縄では、昨年の9・29県民大会12万人決起に対する政府・自民党と仲井真知事の必死の巻き返し策動をはね返し、青年労働者の3・16闘争と3・23県民大会が沖縄闘争の新たな激動をたぐり寄せる闘いとしてかちとられた。
 沖縄に基地を強制して侵略戦争の出撃拠点とし、「戦場の島」の現実を日々押しつけているのは日米の帝国主義ブルジョアジーだ。基地撤去と労働者階級の解放は完全に一体だ。沖縄と本土の労働者が分断を打破し、団結して立ち上がるならば日米安保体制は根底から吹っ飛ぶ。それは日帝打倒に直結し、米帝の世界支配を重大な危機にたたき込む。この意味で沖縄はまさに世界革命の火薬庫だ。
 三里塚闘争は08年、市東孝雄さんの農地強奪攻撃との激突をめぐって最大の正念場を迎えている。三里塚は動労千葉の闘いと車の両輪を形成することによって発展してきた労農同盟の歴史的な拠点であり、反戦・反権力の闘いの砦だ。その42年の不屈の闘いは全世界にとどろいている。日帝はこの三里塚闘争圧殺を、4大産別の労働運動圧殺と並ぶ第一級の「国策」として、必死の反革命攻撃をしかけている。
 これを真っ向から打ち破るかぎは、日帝打倒=プロレタリア革命勝利に向けた労農同盟の圧倒的な強化をつくり出して闘うことだ。資本・権力との非和解の激突を開始した大量の青年労働者・学生と反対同盟農民との結合をかちとり、階級的労働運動の発展と三里塚闘争の勝利をともに切り開こう。
 さらにこの5〜6月、西郡住宅闘争や狭山闘争など革命的部落解放闘争の新たな前進、裁判員制度導入など司法改革攻撃粉砕の闘い、9条改憲阻止の闘いをますます発展させ、その一切をサミット決戦の爆発につなげよう。

 全国学生ゼネストと首都大デモで闘おう

 7月洞爺湖サミット粉砕の決戦は、労働者階級の国際的=階級的団結の力を全世界に示す闘いとなった。サミット粉砕の最大の戦場は首都東京だ。危機にあえぐ日帝・福田政権は必死の厳戒体制をしき、闘う学生や労働者の弾圧に躍起になっている。弾圧は労働者階級の総決起へのチャンスだ! 6〜7月、全国学生ゼネストと首都を揺るがす万余の大デモ、札幌現地闘争でサミット決戦の勝利を実力でもぎとり、今秋11月へ総進撃しよう。
 その突破口を切り開くのが、6〜7月全国学生ゼネストに向けた学生戦線の闘いだ。学生は今や、その大半が卒業しても就職できず、競争と分断とワーキングプア化の攻撃に日々さらされている、労働者階級の一員そのものだ。全国300万学生が競争と分断を拒否し、団結してストライキに決起し、大学の支配権を握れば帝国主義の階級支配は崩壊する。
 サミット厳戒体制の頂点として、法政大学では4月入学式以来、日帝権力、当局・ガードマンとの死闘が展開されている。アジテーション、ビラまき、クラス討論があらゆる反動を食い破って闘いぬかれ、その白熱的るつぼの中から革命的ストライキへと進撃している。全世界の労働者と連帯して、法政大を先頭にストライキに立とう。

 Y 革命に敵対し団結破壊する血債主義―塩川一派打倒を

 革命的情勢を現実の革命に転化するために求められているのは、党の大変革である。階級的団結の形成は、その中心に革命党の細胞的団結が座ることによってこそかちとられる。
 この団結は、資本・権力・ブルジョア社会全体との全面的・根底的で非和解的な対決を貫く闘いをとおして初めて形成される。何よりも職場生産点で資本の労働者支配と徹底的に闘い、資本への屈服と妥協の上に成り立つ体制内労働運動との対決をとことんやりぬくことが一切の土台である。
 3・16闘争で青年労働者が切り開いた闘いの地平が示したことは、そうした階級的労働運動の白熱的実践のないところでは、プロレタリアートの党の団結も、階級の団結も、けっして生み出されないということだ。形だけの団結はあってもそれは本物ではない。そして党の団結がかちとられないところでは、階級の団結もかちとれない。なぜなら党は階級そのものであり、階級的団結の最高形態だからである。
 今や、闘う青年労働者は、革命を心の底から求め、革命に勝利するためのプロレタリアートの党を熱烈に求めている。この青年労働者を党に獲得する闘いは、労働者階級の党、革命党としての革共同が、階級的労働運動の全面的白熱的実践をとおして階級とひとつに結合し、本物の党的・階級的団結を形成していく闘いと一体だ。革共同を丸ごと生まれ変わらせるような闘いとして、党の大変革をかちとろう。

 7月テーゼの実践を

 党の歴史的大変革をかちとるこの闘いは、7月テーゼを徹底的に実践していく闘いである。7月テーゼとは、マルクス主義の核心である労働者階級自己解放の思想の今日的再確立である。すなわち、労働者階級の解放は労働者階級自身の事業であり、プロレタリア革命とは労働者階級が自己の権力を打ち立てていく闘いであることを明確にさせたのである。階級的労働運動の実践とは、プロレタリア独裁を職場生産点における階級的団結の形成として今日的・場所的に形成・確立し、それを全社会に押し広げていく闘いだ。
 ここにおいて、血債主義・糾弾主義との闘いが決定的である。
 血債主義とは、帝国主義国、とりわけ日本の労働者階級は排外主義・差別主義に侵され堕落させられていて、そのままでは革命の主体になれないという思想である。これは、プロレタリアートの階級的本質を完全に否定する思想であり、マルクス主義とはまったく無縁なものだ。逆に資本による労働者階級への差別分断支配に屈服し、この分断を「簡単には打ち破れないもの」であるかのように描き出す。そのことによって労働者階級への不信と絶望をばらまき、階級的団結の形成を妨害し、逆に破壊していくのだ。
 それはまた、戦前・戦後の日本の階級闘争をひたすら「敗北の歴史」としてのみ総括し、そこから「日本の労働者は闘っても勝てない」という結論を引き出してくることと一体である。度し難い敗北主義・日和見主義であり、恐るべき労働者蔑視(べっし)だ。
 革共同から脱落・逃亡した塩川一派や、06年の「党の革命」で打倒された与田とその残党は、この血債主義・糾弾主義に唯一すがって、革命運動からの自らの逃亡を合理化してきた。彼らは今やあらゆる体制内勢力と一体となって、階級的労働運動への露骨な敵対と革共同破壊の策動を強めている。
 その根底にあるのは、日帝ブルジョアジーとまったく同じ、内乱と革命への恐怖である。プロレタリア世界革命が現実になる時代がついにやってきた瞬間に、恐れおののき、あからさまな転向と権力への投降に走ったのだ。
 与田残党分子が部落解放同盟全国連を私物化して強行した全国連第17回大会は、彼らの恥知らずな転向を示す画期となった。大会は「広島差別事件」のデッチあげをテコに「差別なき糾弾闘争」にのめり込み、「革共同との断絶」を権力に公然とアピールし、戦前水平社の転向にも比すべき融和主義への変質と転落を遂げた。塩川一派はこれを美化し、全面的に賛同した。
 塩川一派や与田残党分子の反革命的敵対を怒りを込めて徹底的に粉砕し、血債主義・糾弾主義を根底から克服・一掃して闘おう。

 不抜の地区党建設へ

 プロレタリア革命への最も重要な実践的方針は、マルクス主義青年労働者同盟1000人建設とマルクス主義学生同盟1000人建設である。これと地区党建設、産別委員会の建設を全一体で推し進めることである。
 とりわけ今日、階級的労働運動の実践に最先頭で決起した青年労働者同志を先頭に、地区党建設の新たな発展が爆発的に始まっている。それは職場生産点で資本・権力と闘い階級的労働運動の拠点建設にまい進する労働者同志が、常任同志とともに地区党の中心に立ち、地区党を変革し、徹底討論とあいまいさのない一致をとおして党の再団結を形成し、階級の指導部を無数につくり出していく闘いである。職場生産点での具体的な実践と密接に結びついた路線討議・政治討議を白熱的にかちとり、党の団結のもとで一人ひとりの力が何倍にも引き出されてくるような地区党建設を実現しよう。
 地区党とは〈党・労働組合・ソビエト>によるプロレタリア独裁建設の決定的な柱だ。この間の闘いは、各職場での団結形成の上に、地区の全労働者を対象とした団結形態としての地区労建設の展望をも生み出している。それはソビエトの母体となり、労働者権力の中心となっていくものだ。地区党建設と階級の指導部建設、プロ独建設が一体でかちとられていくことこそが、革命を現実にたぐり寄せるのだ。
 この闘いは、会議・機関紙・財政という党三原則の生き生きとした貫徹と必ずや結合する。とりわけ革命をもぎとるために不可欠な、非公然・非合法体制の新たな確立と革命的財政闘争の勝利を実現するものとなる。
 青年労働者の獲得と、職場の階級的団結形成に党建設の一切をかけて闘おう。闘う青年労働者と学生は革共同とマル青労同・マル学同に結集し、プロレタリア革命勝利へともに進もう!

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週刊『前進』(2341号10面1)(2008/04/28 )

 陶山健一『反戦派労働運動』刊行に寄せて

 革命的左翼と労働組合

 元日放労長崎分会委員長鈴木達夫弁護士に聞く

 搾取と支配の場である生産点での闘いの意義

 60年代の闘いが今日の動労千葉の登場を準備

  陶山健一著『反戦派労働運動』上・下巻がそろった。下巻では、1960年代の全逓東京空港支部、三菱長崎造船社研とともに、日放労長崎分会の闘いが紹介されている。日放労長崎分会の元委員長・鈴木達夫さん(動労千葉顧問弁護団)に、当時の闘いの様子と本書の意義について語っていただいた。(聞き手=本紙・高田隆志) 
 

 鈴木達夫(すずきたつお)弁護士略歴

 1940年生まれ。東京都立新宿高校生徒会で原水禁運動に取り組む。61年日本共産党東大細胞から離党(党から除名)。64年NHK入局。66年日放労長崎分会教宣部長。春闘妥結を批判して解任される。67年6月、同分会委員長選挙に立候補して勝利。委員長として、68年1月の原子力空母エンタープライズ佐世保寄港阻止闘争に全力で取り組む。同年8月、東京への不当配転反対闘争で分会挙げて100日闘争を闘う。この配転攻撃の最中、委員長選挙に再度立候補。前年選挙より票差を7票差から13票差に広げて当選。配転阻止の団交を要求する局長室突入で機動隊が導入され、鈴木委員長以下13人の分会員が逮捕。起訴休職となる。全国反戦青年委員会代表世話人。罰金1万円の判決確定後、NHKを懲戒免職。91年に弁護士登録。動労千葉顧問弁護団、「憲法と人権の日弁連をめざす会」などで活躍中。

 

 

 「すべての不満を組合へ!」

 ――この本に出てくる革共同の3全総や3回大会(注1)のころは、どうされていましたか?

 3全総についてはまったく知りません。67年6月に日放労長崎分会委員長になる。その前後に、学生時代からつきあいのあったドキュメンタリー作家の石田郁夫さんが時々長崎に来ていたんです。彼から、「新左翼の労働運動をどうするかという、なかなか見るべき路線が出たよ」という話を聞いて、それで3回大会のたしかガリ版刷りのかなり長い文書を読んだ覚えがありますね。
 60年安保の時は東大の日共細胞でした。翌年、民族民主革命という綱領に反対して脱党したけれど、しばらく何をやったらいいのか分からない状態でした。何らかの闘いの指針を求めていました。新左翼が職場で労働運動を真っ向から闘うんだという路線を正面から出しているのを知ったのは、衝撃でしたね。
 100人の分会で青年部がなかったから、分会そのものを握ろうと、三役、執行委員全部若手でそろえ、「すべての不満を組合へ」というスローガンのもとで選挙で勝って分会長になりました。
 だけど、分会長になってどうしていいか、誰も教えてくれる人はいない。そういう状況の中で、石田さんを通じて知ったガリ版刷りのものを一生懸命読んだ。陶山さんがこの本で書いている「失敗を恐れない活動家が新しい時代を切り開く」という言葉はそのとおりと思います。原則的に闘うことで、自分たちで道を開こうと。そういうことで必死に勉強会もやった。本当に手探りでした。
 今考えてみると、日本の革命的左翼の闘いにとって、60年代の闘いは非常に大事だったなと思います。
 そのころ、陶山さんの言っている「70年を決戦としてやろう」という暗黙の合意が青年労働者の中に少なからずできていたことが大きいですね。

 ――特に長崎分会の労働者は左翼的な人が多かったんですか?

 いや、普通ですよ。特別何かがあるということはまったくなかったです。
 まず始めたのが、自分たちは労働者なんだという確認です。これは大いに議論しましたね。例えば、アナウンサーというのは一種のスターなんです。だけど労働者なんだと。放送職の現場を拠点化するために、お互いに労働者なんだ、労働力を売ってしか生きることができない賃金労働者だと。それが基盤になった。その確認がないと、放送局などという分断だらけの職場から闘いは起こらない。

 ――当時の長船社研(注2)との関係は、どうだったんでしょうか?

 長船の65年の大分裂があった後に、長船社研の西村卓司さんたちと知り合いました。
 長船社研との間でも、そういう労働者としての確認という点で学ぶことは大きかったですね。僕たちは最初は言われました。平気で夜中まで議論して、それから酒を飲む。「あれは工場労働者にとってはきつい話なんだよ」と。つまり、工場は朝早い。特に造船所は早いから、ろくに眠りもしないで行ったら命にかかわる。われわれの方がホワイトカラーの気楽な面があります。長船の労働者のあり方が普通なんだ、と勉強になったですね。
 そういう中で長船の活動家の労働運動にかけるひたむきさにびっくりしました。ゴリゴリ勉強している。それを基礎にして党派闘争にもまれている。長船というのは民社あり、社会党あり、共産党ありで、その中で長船社研という革命的左翼の旗を公然と掲げていく。それは脱帽するくらい驚いたし、学びましたね。

 

 「10・8羽田を支持」

 67年10・8羽田闘争(佐藤首相の南ベトナム訪問阻止の実力闘争)があって、私たち長崎分会は分会として決議して「羽田闘争支持」を出した。「暴徒・全学連を支持するとは何ごとか」と大騒ぎになった。私はその時、分会長としての立場を賭けました。これは譲れないところだ。その代わり議論はていねいにやりました、連日連夜。ちゃんと議論していくと分会の労働者の中で多数派なんです。その当時、まだ戦後革命を闘いぬいた人たちもいました。「血のメーデー」を知っている人は、「全学連のこのくらいの闘いは当たり前だ」という。

 階級的労働運動の原型

 陶山さんは、70年安保を反戦青年委員会が担うんだという、あのころ労働者にみなぎっていた気運を一番リアルにつかんでいたと思います。

 ――この本との関係で、どの辺が重要だと思われましたか?

 エンタープライズ闘争(注3)をやり抜いて、長崎分会は革命的左翼の拠点として、一応形成された。今から考えると右往左往しているけど、やはりこの本の中で「搾取と支配の場であるこの生産点で闘うことなしには何ごとも始まらない」と強調しているのは本当にそうだと思います。

 資本との小競り合い

 資本・当局と現場で小競り合いを、時に激突を続けながら、職場の支配権を事実上自分たちの手にしていく。労働者が労働者としての誇りを獲得し、生き生きしてくる。それを基礎にした政治闘争、街頭闘争なんですね。この本で提起されているのは、今日的に言うと階級的労働運動路線ですが、その出発点、原型です。
また、この本が指摘している「闘争の場においては『民同左派』として行動し、それと別個に学習会を組織すれば革共同の独自活動だ、というような自己分裂した活動の合理化こそ、克服されねばならない」(下巻22n)。
これは職場活動家として、きついところですね。レーニンが「95%は革命を語れ、改良は5%でいい」と言うんだけれど、やっぱり実際にはほとんど逆転しちゃう。そこを悪戦苦闘した。
「特に生産点闘争の回避の底にスターリン主義による『解放』のすりかえ・簒奪(さんだつ)があることをあばき、労働者階級の解放は自己の人間性をその本質である労働=生産の場で奪還するものであり、革命は資本家階級を打倒し、官僚の支配でなく労働者自身の意志にもとづく共同体(コミューン)を建設するものであることを示さねばならない」(同42n)
私はこの辺を読んで運動をやっていたわけではないんだけれど、自分のやっていたこと、その中で悩み格闘していたことが、実感として今読んで重なりますね。

 ――反戦青年委員会の活動と職場闘争の関係はどうでしたか?

 長崎でも反戦青年委員会を作ろうと、分会でまず作って、さらに長船社研に呼びかけて、さらに自治労、全逓などにも呼びかけて、長崎地区反戦青年委員会を結成した。そこで佐世保闘争をやっていく。
 問題はそういう反戦青年委員会が、職場でどう闘っていくか。分会執行委員会は正式には十数名ですが、いろいろな職種がある、その職種から1人ずつ選んで、闘争委員会を30人くらいの規模でやっていく。100人の内の30人だから、強いです。討議には時間がかかるし、集約も大変だけど、そこで決定したことはどんどん実践できた。
 第4章「帝国主義と対決する労働運動」で、プロレタリアートに対する無限の信頼、改良闘争と改良主義の違いなど、大事なことが書かれています。要求で闘うこと自体が間違いではない、ただしそれで、労働者を一時的に釣って、そこで何を獲得したかに総括軸を求めるのが改良主義者なんだと指摘しています。
 団結はこういう資本・当局との闘いの中で、小競り合いもあり激突もありますが、そういう中で具体的に形成されていくものだと。 

 「体制的な自分との対決」

――この本全体がそうですが、陶山さん自身が長船社研や日放労長崎の闘いに学んで書いたと言えますね。

 あのころ、陶山さんと新宿の駅頭で待ち合わせたことがあるんです。ちょっと遅れていったら、立ったまま鉛筆を走らせて原稿書いているんですね。「『前進』の締め切りが今晩だから」と。
 陶山さんの書いたものは分かりやすいというのが、われわれ労働者の中でも評判になっていました。本当に染みこむようにみんな読んでいた。

 ――この本の今日的な意義は?

 この本に表れている60年代の闘い、全逓空港支部、長船社研、日放労長崎の闘いが動労千葉の登場を歴史的に準備したと言える。今日に向かう過程のひとつの踏み石的な闘いです。
 国鉄の分割・民営化に動労千葉以外全部、闘えなかったでしょう。 今から考えてみると、新自由主義攻撃という世界史的な大攻撃なんですね。労働組合をつぶすという。それに真っ向から闘えた動労千葉は、こういう闘いの中で準備されてきた。
 階級的労働運動路線は、今になって誰かの思いつきで出てきたものではない。3全総、3回大会で基本的に言っているんだし、労働者が革命の主体だということから当然でてくるあたり前の路線だと。これが40年前に書かれて、今でも新しいし教訓的だというのはそういうことだと思います。何も特異なことを言っているのではない。陶山さんの本を見てあらためて、そう思いましたね。
 佐世保闘争を実力で闘いぬいた当時27歳の日放労の労働者が、分会ニュースで次のようなことを書いています。
 「問題は体制的な自分と、本質的な自分(捨てきることのできない自分)との矛盾をはっきりと対決させる必要があるのではないか。体制下の個々の力は小さく貧しい。個々の殻を厚く閉ざして、体制のなすがままに転がされ消滅していくことを否定するならば、殻から大きく脱皮しなければならない。脱皮して初めて私たちの目が、耳が、鼻が、手足が、すなわち自分が生き生きと活動するのではなかろうか」
 まさしく「誇り高きプロレタリアート」(この言葉は、当時の分会で大流行でした)の誕生です。

 配転闘争百日の教訓

 ――長崎分会つぶしの最大の攻撃が鈴木分会長への配転攻撃でしたね。

 佐世保闘争の年の8月13日に、私に東京に行けと配転攻撃が来た。だけど現職の分会長が配転されるのを認めるようでは組合じゃないということで、地区労、県評挙げて配転阻止で立ち上がった。そこから不当配転阻止の100日闘争が始まるわけです。
 この配転闘争の中で発見したものがその後の自分を規定しています。2度目の分会長の立候補では、落ちたらそれっきりです。すでに座る席もないし、長崎局の籍もない。しかし、立候補して前年の7票差から13票差とさらに水をあけて当選した。当局が送り込んできた元自衛官などを全部獲得した。自分の人生はここで決まったと思いました。
 この長崎分会の不当配転闘争の中で分会の労働者に教えられたこと、そして地区の労働者に教えられたことが、この本に路線化して埋め込まれていると言えます。労働者に対する限りない信頼を欠いた時に活動家なんてあり得ないんだ、と。

 ――闘う組合に対してよく「あそこは特別だ」「うちはそうはいかない」という声が聞かれますが、そうではないということですね。

 そうです。長崎分会も、一見したところでは「文化集団」といえなくもない存在だけど、そういうところでも、原則的な労働運動ができる。だからあそこは特別で、自分の所ではできないとか言うのは自分に対する敗北宣言です。
 動労千葉は最も厳しい職場でしょう。鉄道というのは国家の中枢機能です。そこで反旗を翻していくというのは大変なことです。それでも団結の力で困難を切り開いている。国労は逆に、骨が折れているじゃないですか。
 (写真 不当配転に抗議し熊本放送局に座りこんだ日放労長崎分会員【1968年】)

 司法改革と憲法闘争

――4月18日の集会は、若手の弁護士が決起して、内容的にも非常にいい集会だったと思います。

 「司法改革反対」と言えたことが重要で、これも動労千葉の影響なんです。司法改革は90年前後、日弁連の中で言われ出す。国鉄分割・民営化があって、そして政治改革という名で小選挙区制が出てくる。次は司法だろうと思っていたら、中坊執行部のもとで進められた。
 必ず「改革」という名で来る。現状はよくない、だからよくしよう、改革なんだ、そのためには自分たちは変わるんだ、と。この理屈を打ち破っていくのは簡単ではない。司法はひどい現実だし、いいはずがない。
 だけどこれを見破って絶対反対で行くのだと言えたのは、動労千葉が国鉄改革に絶対反対でストライキを打って、何十人とクビになってずっと闘っている。司法改革反対の立場に立てたのは明らかにその影響なんです。「改革」こそ今日の階級攻防の焦点なんだと気がついた。
  中坊公平執行部のもと、第1次司法改革宣言が90年5月に出される。私が弁護士になる直前です。その時は満場一致なんです。日弁連には共産党の影響力が強い。彼らが司法改革賛成に回ったのが大きい。左翼と言われ、人権擁護を日ごろ言っていた人たちが政府と一緒になって推進する。
  戦前、1930年代の初期、弁護士が食えなくなる。29年恐慌をはさんで、あの前後で弁護士数は2倍になる。食えなくなって社会的に一番困窮し一番不安定化した層になっちゃう。そこで、政府が責任を持って自分たちの生活を保障せよと。「満州国」の法務官は弁護士に独占させろと要求するところまで行くんです。経済的に追いつめられ、戦争翼賛に雪崩を打っていく。
  私たちはある意味では当時以上にすさまじい状況に来ている。新人弁護士の半分が就職できない。だけど、その弁護士激増に絶対反対する多くの弁護士が、改憲阻止、戦争反対と結合させて十数年闘っている。このことの中に戦前を超える闘いが始まっている。それは確信をもちますね。戦前戦後を通じた日本の階級闘争の新しい地平だと思います。また、動労千葉を始めとする労働者と連帯して闘っていることが決定的に重要なことだと思います。

 待機主義で闘えない

――あと、「攻めの改憲阻止闘争」ということが言われていますが。

 いくつか見えてきたのは、一つは、改憲攻撃は日本の支配階級として避けて通れない大攻撃だということ。全社会的な攻撃の集約点として、戦後の最大の階級決戦として、改憲がテーマにならざるを得ない。
 その中で「攻めの改憲阻止闘争」とはまず、自公民が合意して改憲案が出てきたら国民投票で勝てばいいという待機主義ではない。今が、闘いの決定的な時、司法改革もそうだし、第2の国鉄決戦もそうです。今、先行的に改憲に向かう動きにわれわれが攻め込んで、革命の準備をその中でしていく。
 2番目には内容的な点で、護憲ではなく、攻撃的積極的に展開していく。
 今までの体制を守ろうとすること自体が、一種の観念論に陥っている。雨宮処凛(かりん)さんが「憲法を守れといったら現状固定だ」と鋭く問題を提起している。戦後民主主義や相対的安定期は終わったわけです。日本の資本主義が激動の中にたたき込まれている。最末期帝国主義ですね。その中で、戦後はよかった、これを守ろうという物質的基盤がすでに崩壊している。
 3番目に、2番目と直結する問題として主体の問題。向こうがやろうとしているのは反革命クーデターです。それに対置できるものは、今の社会は資本主義ですから、労働者の運動、プロレタリア革命なんですね。
 その主体を作らないことには、改憲攻撃には勝てない。労働運動の展開で圧倒的な闘う労働者が生まれてくることが改憲阻止の陣形を生み出す。その中に国際連帯も入る。11月労働者集会の圧倒的強化が「攻めの改憲阻止闘争」の前進です。いろいろな集会が、学者を呼んで憲法の話を聞いて散っていく。その繰り返しでは階級決戦に勝てない。

 ――3・16集会で青年労働者の力が全体をリードしていますが。

 新自由主義の攻撃で若者が生きていけない現実があります。小林多喜二の「蟹(かに)工船」が過去のことではない。そうした中で、「隣の労働者と団結する」新しい運動が起きている。新しい言葉、語りかけで青年労働者が困難に挑戦している。多くのことを学ばされます。「革命をやりたいんだ!」と基調報告でありました。革命家の執念が革命の現実性を手繰り寄せます。
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注1

3全総・3回大会 3全総は62年9月の革共同第3回全国委員会総会。「戦闘的労働運動の防衛と地区党建設」を決定。3回大会は66年の革共同第3回大会。安保粉砕・日帝打倒の基本路線を打ち出した。

注2

長船社研 三菱長崎造船社会主義研究会。日本共産党長崎造船細胞から集団離党した人びとによって1960年に結成された反スターリン主義・革命的共産主義者の団体。全造船三菱支部長崎造船分会の中で大きな位置を占めるが、65年に三菱資本による第2組合攻撃で少数組合になる。

注3

エンタープライズ闘争 1968年1月、米海軍原子力空母エンタープライズが佐世保に寄港。全学連、反戦青年委員会が「佐世保を第3の羽田に」と掲げ、全国から結集して機動隊と大激突、5万人の市民が決起した。

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