ZENSHIN 2009/04/13(No2387 p06)

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週刊『前進』(2387号1面1)(2009/04/13 )

 4・21「裁判員」-24法大-25尼崎

 4月総力戦に立とう

 戦争・改憲と民営化・労組破壊攻撃に大反撃しよう

 国鉄1047名闘争の勝利を

(写真 ”私も反対します” 4月5日、「裁判員制度はいらない!大運動」が山手線一斉街頭宣伝。夕方からは渋谷駅ハチ公前で4・21日比谷集会を呼びかけた。弁護士も多数参加しての訴えには大きな反響があり、青年労働者・学生らが次々と署名した)

 全世界の労働者が団結を求めて手をさしのべている。G20の金融サミットはロンドン、ギリシャ、フランス、ドイツなど各地で怒りの炎に包まれた。動労千葉の3・17〜19ストを先頭に全国の職場でストが闘われ、職場からの決起を一点に結集して3・20イラク反戦―3・29三里塚現地闘争が爆発した。見よ! この力で反対同盟は3月31日、千葉地裁の天神峰現闘本部裁判の前回の反動決定を覆し、証人採用を復活させる決定的勝利をかちとった。職場生産点の怒りを解き放ち、4・21日比谷野音集会とデモで裁判員制度実施を阻止し、戦争・改憲攻撃に大反撃しよう! 4・24法政大解放集会、4・25尼崎現地闘争、4〜5月入管闘争の勝利をかちとろう!

 対北朝鮮で突出する麻生

 日帝・麻生政権は、北朝鮮が4月5日、「人工衛星ロケット」を打ち上げたことを口実に、自衛隊と権力・行政機構とマスコミを総動員して、「ミサイル迎撃」の臨戦態勢に突入した。日本海と太平洋上にイージス艦3隻を、PAC3部隊を秋田・岩手・首都圏の5カ所に配備し、日本列島全体を北朝鮮侵略戦争の態勢にたたき込んだ。
 「人工衛星ロケット」は、すでに実験を含めて日本でも約100回、世界では数千回も打ち上げられている。弾道ミサイル発射実験も昨年、世界で120回以上やられている。今回、日帝・麻生がやったことは、北朝鮮スターリン主義のそれ自身は反動的反人民的な行動を格好の餌食として、北朝鮮に事実上の宣戦布告を行い、米日帝の北朝鮮侵略戦争の臨戦態勢を発動したということだ。
 この侵略戦争と排外主義の歴史的攻撃に、日本共産党も社民党も屈服し、米日帝の圧倒的な軍事力・核戦力は問題とせず、3月31日の衆参両院本会議は北朝鮮非難決議を全会一致で可決した。
 全国で直ちに怒りがたたきつけられた。4月5日、「裁判員制度はいらない!大運動」などは全国一斉街頭宣伝に打って出た。東京では山手線各駅で5時間にわたり「戦争と改憲のための裁判員制度反対」を訴えた。広島、秋田、相模原、岡山、福岡などでも緊急闘争や街宣が闘われた。
 さらに許し難いことは、今回の臨戦態勢発動を契機に、日帝・自民党などからMD(ミサイル防衛)強化の要求や、日本の核武装や「国連脱退」の主張と衝動までもが噴出していることだ。
 麻生ら日帝支配階級は「国民の生命に万一のことがあってはいけない」などとうそぶいている。冗談じゃない! 昨年の自殺者は3万2249人、自殺未遂者は約30万人にのぼる。大恐慌の激化の中で大銀行・大企業の救済には湯水のように公的資金=税金を使い、一切の矛盾を労働者人民に転嫁しているのは、お前たちじゃないか!
 世界大恐慌下で激化する階級戦争と侵略戦争、戦争と民営化・労組破壊の攻撃に、第2次国鉄決戦を先頭とする4大産別(6大産別)決戦、道州制・民営化粉砕決戦への決起で反撃しよう。労働者階級の団結で戦争・改憲攻撃粉砕、裁判員制度導入阻止を。4・21日比谷野音集会とデモで大反撃をたたきつけよう!

 3・25反動判決徹底弾劾

 世界大恐慌が進行する中で開催されたG20は、ドル基軸通貨体制に中国などから不信と異議が突きつけられる一方で、米英日と独仏の対立と争闘戦があらわとなり、大恐慌への対応の無力性と破産をさらけ出した。
 首脳宣言に盛り込まれた「500兆円の財政出動」「数百万人の雇用」をあざ笑うかのように、3月米雇用統計は「失業率8・5%に悪化。(第1回G20の)11月から5カ月で330万人が失業、米失業者総数1316万人」と発表された。
 2月の日本の貿易輸出額は前年同期比50・4%減、輸入額は44・9%減、経常収支は55・6%減となり、「輸出立国」というこれまでの資本蓄積構造は完全に崩壊しつつある。小泉政権が推進した新自由主義のもと、労働者階級から極限的に搾取・収奪し、空前の高収益をあげてきた日本資本主義は、貧困と格差を最大限に進行させたあげく、大恐慌に直撃され全面破産し、今や歴史的生命力を喪失している。
 だが日共などは「ルールある資本主義」「資本主義の枠内の改革」と、破産した資本主義を擁護し、現体制の最後の救済者となり、革命に敵対している。体制内勢力との党派闘争の勝利に労働者の未来はあるのだ。
 3・25鉄建公団訴訟控訴審判決こそ、国鉄分割・民営化を数倍、数十倍する規模の道州制・民営化攻撃を貫いて、360万人の公務員労働者をいったん全員解雇し、選別再雇用することをもにらんだ超反動判決だ。
 1945年12月、戦後革命の中で、戦後憲法に先んじて労働組合法が制定されて以来、不当労働行為認定と解雇撤回は一体のものとして、幾多の先人たちの汗と血によってかちとられてきた。この地平を、3・25判決は根こそぎ否定・解体したのだ。これに全労働者の怒りをたたきつけ、不屈に原則を貫き勝利を切り開いている動労千葉とともに、今こそ国鉄1047名解雇撤回、第2次国鉄決戦勝利へ前進しなければならない。
 ところが、この超反動判決を「良いところもある判決」などと言って、あくまで動労千葉を排除し、1047名闘争を最後的に破壊しようとしているのが、権力・資本にはいつくばって政治和解路線にすがる4者4団体派だ。
 今回の判決は、05年9・15判決以上に悪らつに1047名闘争に分断を持ち込んでいる。4者4団体は「雇用・年金・解決金の要求はおろしていない」と言う。解雇撤回のない3項目要求など成り立たない。この4者4団体派は今や、自民党への泣訴に終始し、尼崎事故や信濃川不正取水事件などJR資本の反階級的犯罪行為の積極的な擁護者にまで転落した。
 動労千葉は、ライフサイクル反対などを掲げた春闘ストを打ち抜き、平成採の青年労働者とともに、1047名闘争と第2次国鉄決戦の勝利の展望を開いている。
 国鉄分割・民営化攻撃の必然的な帰結が05年の尼崎事故だった。事故を繰り返さない道はただ一つ、JR資本・体制内指導部と徹底的に闘って、動労千葉派の職場支配権を確立し、反合理化・運転保安闘争に決起することだ。職場に闘う党を打ち立てよう。国鉄労働者を先頭に全国の職場から4・25尼崎現地闘争に総結集しよう。

 道州制と360万人解雇

 道州制とは、警察や自衛隊を除く360万人の公務員労働者を、いったん全員解雇し選別再雇用することをもって、自治労、日教組を始めとする4大産別の労働組合を最後的に解体し、改憲と戦争国家化を強行することを狙った大攻撃だ。これは国と自治体を丸ごと民営化し、大資本の餌食にする攻撃でもある。
 民営化は、戦争動員に直結している。例えば、民営化と規制緩和を野放図に強行してきたアメリカでは、高校生の卒業率が51・8%にまで低落し、多くの若者が軍隊に行かざるをえず、イラクで殺されている。戦争・改憲と民営化・労組破壊の最大の攻撃が道州制なのだ。
 この道州制を、大恐慌で破産した資本主義に総屈服した体制内指導部が率先して推進している。自治労本部は「民営化は労組機能度を高める」などと叫んで、労働組合の側から民営化を逆提案するという驚くべき方針を打ち出し、3・6大阪府庁前行動などに全面敵対してきた。
 今こそ民営化・道州制絶対反対を掲げ、体制内指導部を打倒し、全国各地で動労千葉派が真正面からぶっ立ち、第2次国鉄決戦を先頭に、4大産別決戦に全力で決起する時だ。道州制・民営化攻撃を6000万労働者のゼネストの爆発へと転化するために闘おう。
 さらに不当処分撤回、監獄大学粉砕を掲げ闘われる4・24法大1000人集会に総決起しよう。
 労働者階級への分断を打ち破り、階級的労働運動と国際連帯のもとに、4〜5月入管闘争の大成功をかちとろう。
 職場細胞建設を土台に、大恐慌と革命の時代に通用する渾身(こんしん)の呼びかけで職場生産点から根底的怒りを爆発させよう。

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週刊『前進』(2387号1面2)(2009/04/13 )

 「ミサイル迎撃」で臨戦態勢に突入

 日米帝の北朝鮮侵略戦争阻止せよ

 階級戦争と一体外への侵略戦争

 北朝鮮の「人工衛星ロケット」発射をめぐる日帝・麻生の戦争態勢突入の大攻撃を、われわれはあらためて満身の怒りをこめて弾劾する。これは麻生による、日帝の未曽有の体制的危機をのりきるための排外主義の大攻撃であり、労働者階級に対する階級戦争と一体の、北朝鮮への侵略戦争発動の攻撃である。
 世界大恐慌が日々激化する中、日帝は「輸出立国」的な資本蓄積構造が崩壊し、一方では労働者に対する階級戦争の激化でのりきろうと七転八倒している。他方で麻生は、最末期政権の起死回生を図って指揮権発動で検察を動かして民主党・小沢を抑え込み、同時にソマリア沖派兵の強行に続いて、北朝鮮の「人工衛星ロケット発射」予告を奇貨として、自衛隊に「迎撃」態勢突入を命じた。これは北朝鮮への事実上の侵略戦争発動だ。
 われわれは、「ミサイル迎撃」態勢発動に示された日帝・麻生の絶望的危機と凶暴性を見据え、階級戦争と侵略戦争、戦争と民営化・労組破壊の攻撃の激化に徹底対決しなければならない。第2次国鉄決戦を基軸とした4大産別決戦へ総決起しよう。4・21日比谷野音集会とデモを始めとした4月闘争の爆発で、大反撃をたたきつけよう。

 米日帝国主義の巨大な戦争重圧

 日帝・麻生は3月27日、北朝鮮の「人工衛星ロケット」打ち上げの予告に対して「弾道ミサイル破壊措置命令」を初めて発令し、きわめて意識的に日本全土を臨戦態勢に入れた。海上配備型迎撃ミサイル(SM3)などを搭載したイージス艦3隻を日本海と太平洋に、地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)を秋田、岩手と首都圏の計5カ所に配備した。「人工衛星ロケット」は予告どおり打ち上げられ(だが日本の「領土・領海」への落下はなく)、日帝の「迎撃」もなかった。
 北朝鮮が日時と危険水域を指定し、打ち上げを予告して以来の麻生政権の対応は、完全に敵国に対する侵略戦争態勢発動そのものだった。日本を攻撃するものではないにもかかわらず、恐るべき被害を受けるかのように大宣伝し、迎撃態勢をとった。打ち上げに失敗したらなぜ日本に落下するのかなどの説明もなく「迎撃ありき」で事を進めた。明らかに、日本中を恐怖と不安のパニック・判断停止状態にたたき込み、北朝鮮侵略戦争態勢に突入することが自己目的化された。
 もとより北朝鮮スターリン主義の今回の「人工衛星ロケット」発射は、米帝オバマ政権との外交取引の手段であり、金正日政権の体制危機突破と「国威発揚」が目的であり、核やミサイルを体制延命の手段とする反革命的反人民的なものだ。
 しかし問題の核心は、金正日のそういう目的を百も承知で、それを口実とし餌食として戦争態勢を発動し、北朝鮮侵略戦争に突入しようとしている日米帝、とりわけ麻生の超突出にあるのだ。この間の一連の国際的な動きを見れば、どちらの側が戦争をやりたがっているか、明白ではないか。
 そもそも「北の脅威」の大宣伝自体が問題だ。圧倒的な核戦力をもつ米軍が沖縄を始め日本、韓国などに10万人規模で配置され、北朝鮮の体制転覆を狙う軍事重圧としてのしかかっている。この核による侵略戦争体制を棚に上げて、”北朝鮮の核・ミサイルの開発は絶対に許さない”と日米帝は大騒ぎしているのだ。
 3月31日の衆参両院本会議での与野党全会一致による北朝鮮非難決議は、いったい何だ!
 日本共産党も社民党も、首切り・賃下げや民営化攻撃を強め、戦争に突き進む麻生政権に唱和し、排外主義の大合唱に加わっているのだ。それ自体が労働者への戦争動員攻撃だ。「挙国一致」などありえない。労働者に対し階級戦争・侵略戦争を激化する資本家階級と政府に、どうして「唱和」などできるのか。

 核武装や国連脱退論まで噴出

 日帝・麻生と米帝の戦争的な動きは、「国連制裁決議」を求めてさらにエスカレートしている。また、日帝独自の「制裁措置」も延長・強化されようとしている。
 核武装発言や「敵基地先制攻撃」論まで飛び出している。自民党の坂本剛二組織本部長は、「国連で日本の主張が通らないなら、国連を脱退するとか、北朝鮮が核保有している限り、日本も核を持つぐらいのことを言うべきだ」とうそぶいた。麻生自身、06年に核武装発言をしている。これらは田母神前空幕長発言と連動した恐るべき改憲攻撃にほかならない。
 日帝は、自衛艦をソマリア沖に派兵し、さらに「海賊対処法案」を今国会で成立させようとしている。絶対阻止せよ。
 米軍再編粉砕・辺野古新基地建設阻止! 戦争と民営化・労組破壊の道州制攻撃粉砕を。3・25鉄建公団訴訟判決を弾劾し、4・25尼崎闘争に立とう。改憲と国民総動員の道、裁判員制度を阻止しよう。4・21日比谷野音集会で戦争と改憲に大反撃しよう!

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週刊『前進』(2387号3面1)(2009/04/13 )

 JPエクスプレス子会社化粉砕へ

 「スト絶滅」のJP労組中央現場労働者の怒りで打倒を

 革共同全逓委員会

 はじめに

 世界大恐慌が激しく進行し、G20金融サミットでは保護主義の拡大があらわとなった。世界の帝国主義各国は金融機関の国有化に走り、国内企業保護のために融資先を自国企業に限定するなどし始めた。そして各中央銀行はついに国債引き受けにも踏み切った。1929年大恐慌をはるかに超える危機だ。輸出を命綱としてきた最弱の環=日帝経済は、保護主義拡大のなかで壊滅的事態に突入している。
 こうした帝国主義世界体制の分裂と危機の進行は、一方で資源や市場をめぐる侵略戦争の衝動を限りなく高めつつ、国内での階級的労働運動に対する国家的な破壊攻撃を軸に、労働者人民に対する猛烈な搾取と収奪を極限化させている。
 そしてこの中で連合は、「1・15労使共同宣言」「3・23ワークシェアリング政労使合意」を立て続けに結び、資本主義救済の現代版「産業報国会」の道を加速させている。賃上げどころか「定昇解体」を率先して受け入れ、「終身雇用制の解体」さらには「ワークシェアリング」の名のもとでの劇的な賃下げをのみ、労働者全体の非正規雇用化を受け入れ、資本主義の最後の救済者たる帝国主義労働運動へ完全に純化をとげた。
 連合「労使一丸路線」の旗振り役を務めたのがJP労組中央だ。今春闘では、大恐慌下で破綻があらわとなった民営郵政の救済を自らのスローガンに掲げ、一切の「賃上げ要求」を放棄し、一時金カットも丸のみした。そして民営資本としての生き残りをかけた大合理化攻撃である「JPエクスプレス(JPEX)」子会社化と大規模強制出向を率先して受け入れると表明した。今後5〜6年にわたる大々的な首切りが、郵便事業会社22万人の労働者全体に毎年毎年くり返し襲いかかる問題だ。JP労組中央は、民営郵政の完全な手先となって職場の団結を自ら破壊し、すべての犠牲をわれわれ現場労働者に転嫁することを宣言したのである。
 現場労働者の怒りは急速に高まり爆発点に向かっている。全国の職場で、郵政資本および御用組合執行部との全面的な激突は不可避だ。郵政民営化絶対反対の闘いの決定的な局面到来である。
 権力・総資本と体制内労働運動指導部が一体となった攻撃を、労働者階級総体が打ち返す戦略的路線が問われている。それが第2次国鉄決戦を土台とした民営化絶対反対の4大産別決戦だ。この4〜6月、戦端が開かれつつあるJPエクスプレス子会社化・強制出向をめぐる一大決戦を、全国の現場労働者の団結した力で徹底的に闘い、粉砕しよう。

 極限的な労働強化と合理化進める大攻撃

  明らかになったJPEX子会社化計画は、圧倒的な労働強化と大合理化計画である。SD制(注1)の導入、「セブン・イレブン(15時間)」と言われるほどの長時間労働、部門ごと・小集団ごとの独立採算制等々。賃金、組織、人事、業務内容、労働時間など、あらゆる面での全面的な合理化と労働強化が、労働者支配を徹底する観点から立てられている。巨大な公共財産であった郵政の全資産を私物化(民営化)したことを背景に、宅配便と物流大手資本との果てしない競争に全郵便労働者を投げ込もうとしているのである。郵政資本が「生き残る」ために労働者を殺すこともいとわない大合理化攻撃である。残った郵便事業会社や郵便局会社本体の労働条件も「JPEXを基準」に大々的な合理化と労働強化が待っている。郵政民営化攻撃は、これからが本番なのである。”労働者が束になって闘わなければ生きられない”問題が現場の切実な問題となっている。
  今回のJPEX子会社化・強制出向攻撃は、郵政資本がJP労組中央の合意を事前に取り付け、スト絶滅宣言(注2)まで出させて臨んできたことが決定的な特徴である。御用労組の完全な協力がなければ成り立たない攻撃なのだ。
  大企業の様々な部門を細分化する子会社化戦略は、国鉄分割・民営化以後の日帝資本の重要な経営戦略だが、原理は「労働者をいかにして徹底的に働かせるか」「いかにして労働者をバラバラに分断するか」につきる。完全な「労使パートナー路線」(JP労組本部)「労使一丸」(日本経団連)を成功させることが絶対的な課題なのだ。ここでは旧来型の民同労働運動すら論外とされ、労働者を死ぬまで働かせる、その先頭に組合を立たせる。これが敵の戦略だ。ここで失敗した資本は、大恐慌下の熾烈な競争とつぶし合いの中で滅びる以外にないのだ。「労働者を死ぬまで働かせる」以外になくなった資本主義は完全に終わりである。労働者こそが生きるべきなのだ。 

●表の解説
JP労組第3回中央委員会の追加議案・付属資料「JPエクスプレスの計画概要等」の41ページ『労働時間・休暇等』より。
JPエクスプレスの子会社化による労働条件の極限的悪化が一目瞭然。
「年間労働時間」は、これまでの最大1968時間から「最大2680時間(!)」とされ、事実上、無制限の長時間労働となる。これまで当然だった「病気休暇」や「冬期・年始休暇」「定期昇給制度」も廃止。

 郵政民営化に絶対反対貫き現場から闘う

 旧国鉄や郵政などのいわゆる「公益事業」の民営化は、戦後発展が行きづまった70年代後半から世界的に進んだ新自由主義攻撃の中心軸となってきた。その核心は労働組合運動の徹底的な解体である。日本では国鉄分割・民営化(87年)を決定的な転回点とする総評解体が新自由主義政策の皮切りだった。07年郵政民営化=小泉「構造改革」は、その全社会化への新たな突破口だった。
 郵政民営化の実態は、とてつもなく巨大な国民資産(簿価で3兆円=時価はその10倍以上の不動産と350兆円の金融資産)の簒奪(さんだつ)と私物化であった。「かんぽの宿」を時価の20分の1でオリックスに売却しようとした事件は、その氷山の一角だ。
 世界大恐慌の中、2015年の完全民営化(株式売却)は、この巨大な権益をめぐる熾烈な争奪戦となっている。それは道州制攻撃(自治体の民営化を含む)とも通じながら、ブルジョアジーの最後の生き残りをかけた階級戦争だ。大恐慌下で、日帝・麻生政権の改憲攻撃と新たな戦争衝動が高まる中、郵政民営化絶対反対=JPEX子会社化絶対反対の決戦は、第2次国鉄決戦を先頭とする全産別の労働者の未来をかけた階級決戦と完全にひとつの闘いである。

 出向の5月「意向確認」を拒否しよう

  JPEX子会社化を突破口とする郵政民営化の貫徹=大合理化攻撃は、大恐慌下の日帝総資本の強烈な階級意志に貫かれた攻撃である。従ってわれわれ全逓労働者は、目の前の資本と闘うにとどまらず、職場と産別の枠を超えて、労働者階級全体がひとつの階級として団結し、敵階級総体との全面的な対決として闘わなければならない。
現在の攻撃は、体制内労働組合指導部を完全な先兵にすることで初めて成立している。これが決定的な問題である。労働者階級の怒りが激しい勢いで臨界点に向かっているからだ。大恐慌下にあって、労働者階級が資本と真っ向から闘うこと自体が、プロレタリア革命の問題を全面的に突き出すものとなるからだ。「資本・権力と闘うこと」それ自体が全階級的な攻防点となっているのだ。
まさに、労働組合の闘いの路線が死活的な問題として問われているのである。そしてそれゆえに、大恐慌下ですべての労働者階級がリストラや首切りの攻撃といかに闘うべきかを指し示している第2次国鉄決戦が、産別の枠を超えた全労働者階級の闘いの指針となっているのである。
この情勢下で、国鉄分割・民営化以来の国家的不当労働行為と20年以上にわたって闘い続けてきた国鉄1047名解雇撤回闘争を、4者4団体派をはじめとする体制内労働運動指導部が完全に裏切り、闘いそのものを押しつぶす側にまわったことはあまりにも重大である。この情勢下で、史上最大規模の労働争議を取り下げ、敵階級に頭を垂れるとは何を意味するか? 連合や全労連のナショナルセンターが先頭に立って、労働運動全体を侵略戦争に動員した戦前の産業報国会の道に引き込む最後の引き金となることは火を見るよりも明らかなのだ。
それゆえ、4者4団体派をはじめとする体制内派指導部と徹底的に闘い、動労千葉のように、労働組合を現場労働者の手に取り戻すことが死活的な問題なのである。
問われているのは、労働組合が資本・権力と闘うことそれ自体なのだ。動労千葉のように、職場の団結を基礎に資本と非和解的に対決して闘いぬくこと。「労働組合とは資本と闘うための組織であり手段であり武器である」(中野洋著/新版『甦る労働組合』)ことをこの大恐慌下においてこそ徹底的にはっきりさせることなのである。JP労組中央のように「会社あっての労働者」「労使一丸」体制に屈服した瞬間、もはや労働条件のほんのささやかな「改善」すらかちとることもできないのだ。
資本を救済するために労働者が犠牲になる道を、われわれ現場労働者は断固として拒否する。JPEX子会社化絶対反対の闘いは、われわれすべての全逓労働者の存亡をかけた文字どおりの決戦である。民営化絶対反対の路線で、すべての職場での職場闘争の創意的な展開と、組織化の前進をかちとろう。出向の5月「意向確認」攻撃を全職場の団結で拒否しよう! 民営郵政資本とそれを支えるJP労組中央の正体を徹底的に暴き、これと対決しぬこう。
第2次国鉄決戦と固く連帯し、全国の郵政職場に断固として動労千葉派の旗を打ち立てよう。
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表(テキストデータ)

区別、郵便事業株式会社、JPEX(案)
服務(勤務)年間所定内労働時間、1968時間(総労働時間:2208時間)、2080時間(総労働時間:2320〜2680時間)
服務(勤務)年間休日数、119日(4週8休+祝日)、105日(4週8休)
服務(休暇)年次休暇・付与日数、20日、10〜20日
服務(休暇)年次休暇・有効期間、3年(最良)、2年
服務(休暇)その他・病気休暇、所属長が認めた期間(有給)、なし
服務(休暇)その他・冬期・年始休暇 、3日・1/2〜3、なし
給与(給与制度)歩合給制の有無、なし(手当として加算あり)、あり(歩合4:固完6)
給与(給与制度)定期昇給制度、あり(基礎昇給十加算昇給)、なし
給与(賞与)、 4.4カ月十15千円(平成19年度実績 )、あり
給与(退職金制度)、標準モデルで2000〜2200万円、あり(水準は検討中)

●表の解説
JP労組第3回中央委員会の追加議案・付属資料「JPエクスプレスの計画概要等」の41ページ『労働時間・休暇等』より。
JPエクスプレスの子会社化による労働条件の極限的悪化が一目瞭然。
「年間労働時間」は、これまでの最大1968時間から「最大2680時間(!)」とされ、事実上、無制限の長時間労働となる。これまで当然だった「病気休暇」や「冬期・年始休暇」「定期昇給制度」も廃止。

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(注1)SD セールス
・ドライバーの略称。配達員が様々な営業部門を兼ねる制度。
(注2)スト絶滅宣言
JP労組中央が今春闘で西川社長に表明した。

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週刊『前進』(2387号3面3)(2009/04/13 )

焦点 アフガン戦争の拡大狙う

 NATOも5千人を増派 

 NATO(北大西洋条約機構)は4月3〜4日、独仏国境の両側の諸都市で創設60周年の首脳会議を開いた。会議は、先に米帝オバマが打ち出した「アフガニスタン安定化」に向けた新戦略を支持し、アフガニスタンに米国以外の加盟国から5000人増派する「アフガン宣言」を採択したほか、NATOの「戦略概念」(99年)見直し、「同盟の安全保障に関する宣言」作成を決めた。またフランスのNATO軍事機構完全復帰を歓迎、クロアチアとアルバニアの新規加盟を承認し、ウクライナ、グルジアのNATO加盟問題は議題から外して、ロシアとの関係を改善することで合意した。
 NATO首脳会議が示したことは、単独の政治・経済・軍事力ではすでに世界支配を維持できない米帝が、NATOの枠組みを使って欧州帝国主義を最大限アフガンに動員しようとしているということだ。仏独を始めとする欧州帝国主義は、オバマ新戦略に応える形をとって、自国の影響力の強化と勢力圏拡大へと動き、世界戦争の危機をいよいよ促進している。
 NATO首脳会議で米帝オバマはアフガニスタンとパキスタンをめぐる「包括的新戦略」(3月27日発表)への支持を欧州諸国から取り付けた。オバマの新戦略は最大の目的が「アルカイダの粉砕」で、そのために@米軍を夏までに1万7000人増派し、加えてアフガン国軍の訓練部隊として今春中にも4000人を増派、Aパキスタンにアルカイダ根絶を約束せよと要求し、今後5年間で年15億jを支援、B中国、インド、ロシアの協力と同盟国の支援拡大とを求める、という内容である。
 オバマはNATO首脳会議の前の独仏首脳との個別会談などで、「アルカイダは米帝よりも欧州にとってより脅威」「欧州が強固になることを米国は望んでいる」「アルカイダ掃討は米国の課題というより欧州の課題であり国際的な課題だ」と述べ、アフガン増派への同意を欧州諸国に求めた。
 首脳会議では、当初アフガン増派に消極的だった欧州諸国が態度を変え、軍事的手段だけでは治安維持が不可能であると認め、軍事作戦の強化に加え、アフガン国軍・警察の育成や民生面の支援に重点を置くことで合意した。
 欧州諸国は、8月のアフガン大統領選挙での「治安確保」に向け米以外の加盟国から約3000人を増派する。英が900人、ドイツとスペインが600人。フランス、イタリアも増派する。これに加え、国際治安支援部隊(ISAF)の中に最大で2000人のNATO訓練派遣団(NTM)を創設する。計5000人増派だ。
 これらが実施されると、アフガン駐留の外国軍は米軍が6万人弱、米軍以外を加えると9万5000人弱の規模となる。そして2011年までにアフガン国軍と同警察を大幅に増やすことを狙う。
 この大増派戦略が示すことは、アフガンが今や「オバマのベトナム」となりつつあることだ。
 NATO首脳会議に反対して、仏独国境地帯で3万人の労働者人民が警官と衝突し、怒りの実力行動に立った。大恐慌の進行の中で侵略戦争と階級戦争を激化させる国際帝国主義を、プロレタリアートの国際的団結で打倒しよう。

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週刊『前進』(2387号3面4)(2009/04/13 )

焦点 G20と大恐慌下の争闘戦

 許すな5兆jの財政出動 

 4月1〜2日、ロンドンで開かれたG20・金融サミットは、労働者の怒りのデモに迎え撃たれた。しかも今回のG20が突き出したものは、1929年をはるかに超える世界大恐慌の進行のただ中で、一方での日米と独仏の帝国主義間争闘戦の激化、他方での中国を先頭とした新興諸国のG7とドル基軸通貨体制に対する異議と突き上げであり、大恐慌に「一致結束」して対応できない現実だった。
 これまで労働者に「自己責任」を強調し、首切り・賃下げ・不安定雇用化や社会保障の切り捨てなど、あらゆる攻撃を仕掛けてきた帝国主義政府とブルジョアジーは、いざ大恐慌に陥るや、公的資金=税金を湯水のように注入し、大銀行・大企業の救済を図っている。しかも公的資金を注入された銀行の経営者らは、何十億円という年収や退職金を手にしている。本当に許し難いことだ。
 G20首脳宣言は、「2010年末までに総額5兆j(約500兆円)の財政出動を行い、世界の成長率を4%分押し上げる」とうたった。これ自体はすでに米欧日などが、これまで打ち出してきた恐慌対策の数字を積み上げ、さらに膨らませたものだ。つまりこれだけ巨大な公的資金を労働者人民からむしり取って、大資本の延命のためにつぎ込むということだ。
 だが、こんなことで大恐慌を抑え込むことなどできない。いやむしろ、G20の分裂と対立、保護主義の台頭は、大恐慌をさらに激化させるものでしかない。実際、G20終了直後に、日欧で一斉に長期金利が上昇した。膨大な財政出動が結果する国債増発が、必然的にこうした結果を生んだのだ。
 今後予想される天文学的な国債発行に対応して、FRB(米連邦準備制度理事会)は、日英の中央銀行と連携し、今後半年間で最大3000億j(約30兆円)の中長期国債の買い切り政策を打ち出した。だがそれは、米国債やドルへの信認をいよいよ揺るがすものとなる。G20を前に中国がドル基軸体制の限界を露骨に指摘したことも、それに拍車をかけている。
 さらにG20では、首脳宣言に「GDP比2%の財政出動」を明記するよう主張してきた米帝オバマや日帝に対し、すでに膨大な財政負担にあえいでいる独仏は、金融大恐慌の爆発の引き金ともなった金融活動への規制強化を対置して反発した。だが金融規制の強化には米帝が反対した。また英帝などが宣言に盛り込もうとした根拠のはっきりしない「1900万人の雇用創出」には新興国が反発し「何百万」に書き替えられた。
 新自由主義政策を先頭になって強行し、労働者階級を搾取・収奪してきた米帝や日帝が「大規模な財政出動」を声高に唱え、それに独仏が抵抗するという構図自体、大恐慌を生み出した新自由主義の破産と、最末期帝国主義の生命力の歴史的終わりを示している。
 麻生政権はG20を受けて、15兆円の09年度補正予算編成を指示した。09年度当初予算がようやく成立した直後に、もう補正予算を組むこと自体、統治能力の欠如と大恐慌の深刻さ、そして赤字放漫財政への突進を象徴している。
 「世界大恐慌をプロレタリア革命の勝利へ」。これが世界の労働者階級のただひとつの回答だ。

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週刊『前進』(2387号4面1)(2009/04/13 )

 組合執行部の裏切りを許さず職場の団結で主任教諭撤廃を

 東京の教育労働者のアピール

 東京都教育委員会は、4月から「主幹教諭」に続く新たな職として「主任教諭」を導入しました。今年度から本格実施される教員免許更新制ともに、道州制による教育の民営化、教育労働者の大量首切りと非正規雇用化の突破口となる大攻撃です。現場労働者を分断し、職場の団結を破壊する主任教諭制度は、絶対反対、撤廃あるのみです。
 都教委は、都内の公立学校の教員約4万5000人のうち、初年度は約1万4000人、最終的には約2万2500人を「主任教諭」にする方針です。昨年12月に募集を行い、1万8369人が応募。選考は、業績評価と校長の選考調書、職務レポートで行われました。3月に選考結果が発表され、1万3984人が合格、4385人が不合格となりました。
 「日の丸・君が代」被処分者はほとんどが不合格、しかも、1回しか不起立していない被処分者の一部は合格させています。定年退職後の嘱託採用についても、被処分者は07年度まで不採用・合格取り消しが続きましたが、今年は04年1回だけの被処分者は非常勤教員に合格させています。転向を誘導しようとする意図が露骨です。

 職階制賃金で団結破壊狙う

 教育現場は、戦後長きにわたって校長、教頭以外に管理職が存在せず、ほとんどが「ヒラ教員」で、教育労働者が職場支配権を保持してきました。政府・文部省は一貫して中間管理職の導入を狙い、76年に主任制が導入されますが、主任手当拠出を始めとする職場抵抗闘争で形骸(けいがい)化してきました。
 「学校が『鍋蓋(なべぶた)型組織』になっている」とののしり、上位下達のビラミッド型支配をめざして、都教委は全国に先駆けて03年度から「主幹」制度を導入しました。
 しかし、07年度は定足数6103人に対して配置された主幹が3861人、3分の2にも満たないことに示されるように、実質的に破産しています。多少は賃金が高くても、校長の手先とされるストレスと多忙に到底見合わないと、年々応募が減っていったのです。
 この主幹制度の破産を取り繕い、職階制賃金の導入をテコに、職場の団結の徹底的な破壊に踏み込んできたのが主任教諭制度です。大幅な賃下げ攻撃であり、ヒラ教諭の非正規化への布石でもあります。
 教育職給料表に新たに主任教諭の職級が加えられ、一般教諭の賃金カーブがフラット化されました。小中と高校の賃金表の一本化もあって、高校では30歳以降、小中では40歳以降は大幅な賃下げです。採用から8年、最短の30歳で主任教諭になった場合と、定年まで主任教諭にならなかった場合を比較すると、生涯賃金の差は実に1300万円。ヒラ教員は45歳前後で定期昇給がストップし、主任教諭にならないと昇給はありません。
 東京では2000年に導入された業績評価制度が、04年度からは賃金にリンクされました。教員全員が校長―教育委員会によって毎年A・B・C・Dの4段階に評価され、6号給から3号給まで昇給に差がつけられます。戒告・減給処分を受けるとさらにマイナス2号給、停職だとマイナス3号給です。
 さらに、主任教諭導入とともに、OJT(on the job training )という労務管理が導入されました。校長の「学校経営方針」と「育成方針」に基づいて、主幹が主任の、主任がヒラのOJT責任者として指導にあたり、毎日の仕事を点検・評価させられます。

 日教組、全教の裏切りで導入

 何よりも問題なのはこの大攻撃に対する組合の対応です。日教組、全教を問わず、東京の教職員組合で主任教諭導入に反対を貫く方針を出した組合は一つもありません。
 主任教諭導入が決まった直後の昨年11月、東京教組(日教組)本部は前例のない「全分会代表者会議」を招集しました。冒頭から「今日は、総決起集会でも討論する場でもない。説明の場です」として、主任教諭になればいくら賃金が上がる、ならなければ賃金が下がる、と説明。「不受験で闘う方針を出すべき」という組合員の発言は無視し、”賃下げされたくなければ、受験しろ”と組合員を脅しつけたのです。実際、東京教組三役の一員は主任教諭に応募、合格しています。
 都高教(日教組)本部もまた、「今年こそストライキで闘おう」と真剣に職場討議を重ねている最中に、現給保障とひきかえに妥結。本気でストを構えていた組合員には絶望が広がり、脱退者も続出しています。幹部は率先して主幹・主任教諭選考に応募し、自らの保身に汲々(きゅうきゅう)としています。都教組(全教)本部もまた、”民主的な主任教諭にするために組合員が率先して取ろう”という論理で、組合員に受験を促しました。

 分断への怒り糾合し反撃を

 私は職場で若い人に、「主任教諭は職場の人間関係をズタズタにする。30歳代のあなたが50歳代の私たちを指導することになる。どう思う?」と話しかけてきました。若い人もみんな、真剣に考え、熟考した結果、受験しないとを決めた人もいます。
 主任教諭の対象者全員が応募を拒否した学校や、対象者は10人いたのに応募は3人、残り7人は応募拒否、というような学校も多くあります。受験した人でも、管理職に「応募しろ、応募しろ」としつこく言われて無理やり受験させられた人も多いのです。
 合格した後に、主任教諭が教諭のOJTをやらされることを知って、小中学校だけで数十人の辞退者が出ています。
 現場には、主任教諭導入による団結破壊、差別・分断支配への危機感が広くあります。これを組合が糾合して「全員不受験で闘おう」という方針を出せば、主任教諭制度など一瞬にして粉砕できたのです。
 主任教諭制度の正体が明らかになるにつれて、組合本部が妥結したことに怒りが噴出し、制度廃止の声は高まっています。現場では根強い抵抗が続き、校内人事をめぐって”教務主任や学年主任を主任教諭以外にやらせない”という激突になっています。
 組合幹部は、不合格者に対して「今年不合格になった人は、来年は優先的に合格します」とふれてまわり、怒りや不満を抑え込もうと必死です。主任教諭制度は、まさに組合本部の大裏切りに支えられて成り立っているのです。
 都教委の狙いは、職場の団結を破壊し、労働者を分断することです。職場から団結をつくり出し、都教委の手先になり果てた組合幹部をぶっ飛ばすために闘います。
 (長岡芳美)

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週刊『前進』(2387号4面2)(2009/04/13 )

 不起立闘争が拡大

 広教組本部打倒へ展望

 広島の仲間は、組合本部の屈服と圧殺を突き破って「君が代」不起立を貫き、新たな拡大を生み出した。戒告6人と訓告2人の処分、訓告の2人は初めての不起立だ。文科省(当時は文部省)の是正指導が始まって11年、処分乱発とクビの恫喝にもかかわらず、不起立はゼロになるどころか、大恐慌と戦争に立ち向かう階級的団結の拡大を生み出している。
 広教組のAさんは、8回目の処分。国歌斉唱の間に教頭が「起立して下さい」と7回も声をかけてきたが、毅然(きぜん)と不起立を闘いぬいた。後日、処分書を持ってきた教委と校長は「教員としての自覚・責任を持って下さい」と処分書を手渡そうとしたが、「私の教職員としての責任は学校から『日の丸・君が代』をなくすことだ」と回答。彼らは何も言えず処分書を机の上に置いてすごすごと帰るしかなかった。
 昨年初めて処分された青年部のB君は、支部の会議で「一緒に不起立しましょう」と呼びかけた。すると支部長は「組合としての方針(起立する)で行動しろ」と。「誓約書」と機動隊で全国教研から闘う組合員を排除した広教組本部は、文科省・県教委になりかわって不起立闘争を弾圧しているのだ。B君はこれと断固対決し不起立を貫徹した。
 高教組のCさんは、処分を受け続けている職場の仲間を孤立させてはいけないと、今年初めて不起立し訓告処分を受けた。
 一方、広教組からも逃亡した旧与田残党は、今年も処分から逃げた(ソマリア派兵阻止の呉現地闘争も自分で呼びかけながら逃亡!)。血債主義者は実際には権力・資本と闘わないのだ。
 東京の根津公子さん、河原井純子さんの解雇阻止とともに、広島での不起立の拡大は、職場と組合に団結を取り戻し、日教組本部を打倒する展望をしっかりと示している。
 教員免許更新制、道州制導入で、教育労働者は全員非公務員化、有期雇用化されようとしている。
 広島では全国に先駆けて、多くの青年教育労働者が、何種にも分断された臨時採用にとどめられ、低賃金の不安定な非正規労働者にされている。正規労働者も極限的な多忙・管理強化で次々と病気に倒れる中、職場に怒りは充満している。不起立闘争こそこの怒りを解き放つ闘いだ。
 広島の教育労働者は、教育民営化と戦争・組合つぶしの道州制を粉砕する闘いの先頭に立つ。
 (広島・K)

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週刊『前進』(2387号4面3)(2009/04/13 )

 緊急アピール

 なにがミサイル迎撃だ!

 戦争したがってるのは麻生と資本家どもだ!

 広島県労組交流センター

 北朝鮮の「人工衛星ロケット」発射にPAC3などを配備し戦争衝動を募らせる麻生政権に各地で弾劾行動がたたきつけられた。直ちに街頭宣伝に立った広島県労組交流センターのビラを紹介します。(編集局)
(写真 4月5日、広島市中心街で麻生政権の戦争発動弾劾の宣伝戦に立つ広島県労組交流センターの労働者)

 この騒ぎは何だ?

 4月5日午前11時半頃、北朝鮮が人工衛星ロケットを打ち上げた。このかん麻生政権は、連日NHKをはじめとするマスコミを使って、「長距離弾道ミサイル」発射と決めつけ、北朝鮮が今にもミサイルを日本に向けて撃ち込んでくるかのように騒ぎ立ててきた。「ミサイル破壊命令」を発し、海上にはイージス艦3隻、秋田・岩手・東京都心には地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)を配備し、自治体・警察・消防なども動員して日本国中を臨戦態勢にたたき込んできた。あげくのはて4日には「誤報騒ぎ」を引き起こし、けっきょく発射のニュースが流れた時にはもうロケットは日本上空を過ぎていた。麻生政権は「人工衛星だろうと何だろうと許さない」と言って、さらに戦争をあおっている。いったいこの「戦争体制」にどれだけの税金が使われているのか?

 誰が労働者の命を奪っているのか

 麻生らは「国民の生命に万一のことがあってはならない」などと言っている。ふざけるな! 次々に労働者のクビを切って路頭に放り出し、生きられなくしているのは誰だ? 毎年3万人(この10年で30万人以上!!)も自殺に追い込むような政治をやっているのは誰だ?  本当に命にかかわる医療や介護を削りに削り、女性、子ども、高齢者、障害者の命を奪っているのはどこのどいつだ! 
 ハッキリ言おう。麻生ら自民党政権、そしてこの麻生を支える資本家どもは「国民の命」、労働者の命などなんとも思っていない。ところが今この麻生らが「国民の命に万一のことがあってはいけない」と、何十億、何百億ものカネ(血税だ!)を惜しみなく使い「ミサイル迎撃」に必死になっている。日本から1万2000 `も離れたソマリア沖にまで軍艦を送り込んでいる。絶対におかしいではないか!

 戦争で危機突破ねらう麻生

 麻生らの本当のねらいは、何か。ようするに大恐慌で危機に陥った資本主義の体制を生き延びさせるために、またもや戦争を必要としているということだ。首切り、賃下げ、リストラの嵐にさらされている労働者の怒りを、「外」へ、戦争へ向かわせようという権力者どものいつもの手だ。
 麻生は自分に向かってこようとする労働者の怒りを北朝鮮に向けさせ、「国策捜査」で政敵の民主党・小沢をつぶし、あわよくば5月総選挙で勝利して自民党中心の資本家独裁を維持しようとしているのだ。そして首切りと賃下げを進めながら、戦争と排外主義の渦の中に労働者を引きずり込んでいこうとしているのだ。       
 だが、労働者がこんな麻生や資本家どもにだまされると思ったら大間違いだ! すでに多くの労働者は、麻生と資本家どものもくろみを見抜いている。
 資本家たちの世の中はもう終わっている。資本主義の下ではもう社会が成り立たない。資本主義は、労働者のクビを切り社会保障を解体し、戦争をやるしかないのだ。一握りの資本家が、腐りきった政治家、前航空幕僚長・田母神のようなファシスト的軍人どもと一緒になって戦争で生き残りを図る。こんな資本主義は労働者の手で今すぐ打ち倒すべきなのだ。

 闘う労働組合を甦らせよう

 にもかかわらず、連合や全労連といった労働組合の幹部たちは、この資本主義体制を必死に擁護し、その救済のために資本家階級の手先となっている。資本主義が危機だから賃下げも首切りも全部仕方がないと、労働者にのませたのが今春闘だった。
 「労使共同宣言」を発し、「政労使協議」で麻生自民党とも手を組んだ連合中央、20年闘ってきた国鉄1047名解雇撤回闘争を自民党に屈服して終わらせようとする国労本部と「4者4団体」勢力。「日の丸・君が代」不起立を貫く組合員を弾圧する日教組本部。道州制導入・民営化攻撃と闘う組合員を処分しようとする自治労本部。スト絶滅を誓う郵政のJP労組……。いったいこれが労働組合か! 資本主義が危機になり、賃下げ・首切りと戦争が襲ってくる今こそ労働組合が全力で闘う時ではないか。資本の危機を労働者の勝利に転化する時ではないか!
 資本と闘わない労働組合は戦争にも反対できない。「海賊が襲ってくる、ミサイルが飛んでくる、だから戦争もやむなし」という麻生・自民党の宣伝にのっかり、今や「戦争反対」の「は」の字も言えない。社民党も共産党も全部そうだ。自民から共産党まで国会では全会一致で「北朝鮮非難決議」をあげているありさまだ。まさにこうやって戦争は始まるのだ!
 こんなやつらをぶっとばし、労働組合を腐った幹部から労働者の手に取り戻そう。すべての職場に闘う団結と労働組合をよみがえらせよう。
 国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は、全労働者の怒りに火をつけようと09春闘ストに立ち、多くの青年労働者を獲得している。全世界でも「首切り反対! 賃下げ許すな! 戦争をやめろ!」と労働者が続々と闘いに立ち上がっている。G20が開催されていたロンドンでの数万人の大デモ、ギリシャやフランスの250万人の全国ゼネスト、次々に政権を打ち倒している東欧の労働者の闘いに続こう!
 全世界の労働者の団結で戦争をとめよう。大恐慌を革命へ! 労働者が主人公の新しい時代を開こう。闘う仲間は労組交流センターに結集しよう!

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週刊『前進』(2387号5面1)(2009/04/13 )

 不当処分撤回!4・24法大集会へ

 法大文化連盟 大いに語る

 倉岡さんへの追加処分許すな

(写真 左から順に倉岡さん、恩田君、斎藤君、増井君、洞口さん【法大正門前】)

出席者

斎藤郁真(文化連盟委員長 法学部)
恩田 亮 (同副委員長 文学部)
増井真琴(同企画局 文学部)
倉岡雅美(人間環境学部)
洞口朋子(経済学部)
新井 拓 (法学部 4・27/5・28弾圧裁判被告)

 06年3月14日、法政大学。激しい弾圧は、立て看板規制に抗議する学生29人の逮捕から始まった。ビラをまいたら停学、集会をしたら退学、抗議には逮捕。逮捕者はのべ88人、起訴は22人にのぼる。職員はビデオを片手にストーキング。大学構内には監視カメラと有刺鉄線。学生の自主活動は禁圧、学生団体はつぶされ御用化された。「教育の民営化と戦争」=新自由主義が大学を襲っている。そんな監獄大学に異議を唱え闘っているのが法政大学文化連盟(文連)である。1959年創立、「自主文化創造」の理念のもと、学生自治活動を守り、法大学生運動の伝統を受け継ぐサークル連合体だ。全学連とともに3年に及ぶ死闘にかちぬく姿は、21世紀の学生運動の展望でもある。4・24法大解放総決起集会へむけ、法大闘争のだいご味を文連メンバーに大いに語ってもらった。(編集局)

 倉岡 支配の鎖ぶち破る実力闘争を

 洞口 処分が闘う決意へと変わった

 新井(司会) 法大闘争に立ち上がったきっかけは何ですか。
 斎藤 オープンキャンパスに行って、古い校舎に伝統を感じ、まだ自由が残っているなあと思って07年に入学しました。そこで被処分者の先輩たちの主張を聞いて、間違ってないよなと思っていたら、その先輩たちが目の前で逮捕。「それはないよな、弾劾!」って言ってたら、私の人生は終わってしまった(笑)。
 恩田 06年に3・14弾圧が起きて、僕の人生が変わってしまった。最初は弾圧に対して抗議する意志はあった。でも、活動を始めるまで葛藤する時期があった。そんななか先輩たちが弾圧されているのを見て、怒りが募っていったんです。07年、穏便に大学を批判する機関誌を書いてみた。そしたら大学から「厳重注意」の処分を受けたんです。その後、次から次へと僕に嫌がらせをしてきた。昨年5月、俺と友人のケンカに介入して、俺だけ2週間の停学処分。あれでぶち切れましたね。
 増井 07年に文学部哲学科に入りました。新歓で、「学生部ナンセンス」という哲学研究会のビラを見て、「なんだここは?」と思って入会しました。初めて会った人間が28歳の男。黒ヘルをかぶっていきなり拡声器を持ってキャンパスでアジッていた。かっこいいなと思った。それが入り口です。
 倉岡 私はもともと他大学の学生で、法大デモに参加し、法大でクラス討論をやるようになったんです。そこでは「一緒に闘おう!」と言うんですが、一方で自分が卒業し就職していくことに矛盾を感じていた。法大生に闘いを呼びかけることは、半端なことではない。口だけじゃいかんと。その中にどっぷり身を置きたいと思い、08年に法大に編入したんです。
 洞口 自分はもともと働いていた。ちょうど仕事の休憩中に「38人逮捕された」とメールが入って、ものすごい衝撃を受けた。「一体、何が起こっているのか?」とインターネットで文連ブログなどを見て、「学生運動すげえな」と思って。08年7月24日の法大全国集会に参加した。自分たちと同じ世代の人たちが仲間をつくり団結している。本当に感動的だった。自分も法大に行きたいと思って、08年に入学しました。

 攻めの運動が必要

 新井 大学当局は08年5・20闘争や10・17闘争などの抗議行動が「大学業務の妨害、誹謗・中傷にあたる」と処分を下してきました。先日、倉岡さんへは追加処分も決定しました。
 倉岡 今年1月に停学3カ月の処分、4月8日には追加処分も決定された。斎藤・恩田君に無期停学の処分が先に出た。その時、私の処分が2人より重かったらいいなと思っていた。最先頭で闘っている私が2人より軽い処分だったら、みんなと団結できないかもと思ったから。でも結果的には2人より軽い処分。力関係でそうさせた。敵は私に対してクラス討論とビラまきに弾圧してきたけど、それを処分理由にすることはできなかった。ここが敵の弱点。追加処分弾劾は単なる弾劾闘争ではない。「これ以上処分されてたまるか!」という支配の鎖をぶち破る解放的かつ実力闘争として全学的うねりをつくりたい。
 恩田 俺の場合、順をおってきているんです。「厳重注意」「停学2週間」「無期停学」。最初はショックでした。でも、停学あたりからは慣れてきちゃって。無期停学は、「無期懲役」みたいで後味が悪いんだけど、逆にトコトンやってやろうじゃないかって思いました。すぐ後に、斎藤が無期停学とわかって、気分よかったですよ。道連れがいたと(笑)。
 斎藤 処分に対して闘えるのは仲間の数の問題だと思うんですよ。いっしょに闘っている人がいるかどうか。私の場合は、無期停学処分。処分がくるとわかって確信的にやってきたから想定された範囲内。明らかに「懲罰」ではなく、「見せしめ」として行われた「文化連盟罪」です。このようなものに屈するわけにはいかない。さらなる抵抗運動で返答したい。
 増井 「まだ市民社会で生きれるかも」と考えてる人がリーダーだと駄目。でも市民社会から一回バンジージャンプで落ちる覚悟を決めちゃうと何でもできる(笑)。文連三役では僕だけ「入構禁止」がつかなかった。昨年夏に学費が払えなくて除籍になったから、僕には処分できなかった。だから、事実上の見せしめ処分として、僕に対する名指しの「入構禁止」看板が出た。2人の無期停学処分に加えて「この大学は終わった」と思いました。
 洞口 私は譴責(けんせき)処分。厳重注意という意味らしいです。でも、大学に私を叱る権利はない。処分が、キャンパスで闘う決意に変わりました。  
 恩田 僕たちは、元気にやってるけど、結構、我慢の限界です。1年間やってきて満足感もあるけど、やり方変えないと駄目ですよね。攻めの運動が必要です。パクられて抗議するというのは守りに徹している。そういう意味じゃ、総長自宅デモはよかった。あれは攻めている。

 増井 われわれに無限の可能性ある

 新井 教育の民営化打ち破る闘いだ

 新井 これまで一番感動した場面は?
 斎藤 流れが全部詰まっている5・20闘争です。何度思い出しても感動します。あの時は、文化連盟が大学から非公認化される過程ですから、会議をやるたびに一般サークルがどんどん抜けていく。ジャージ軍団(警備会社の暴力ガードマン)が会場前まで来てにらみをきかせる。増井も「もう無理です」と言っていた。僕たち新執行部内の会議は、「どうするんだ」と泣きそうだった。絶望的な空気だったのは覚えています。そうする中で、恩田さんに対する停学2週間の処分。「よし、5月20日をXデーにして闘おう!」「全学連に結集かけよう!」と覚悟を決めた。5月20日、キャンパス中央で、初めてマイクを握ってみんなで一斉に登場した。奇襲でしたね。ジャージ軍団がパニックになって出てきて、それをみんなでボコボコにして。すごかったですね。
 増井 僕も5・20ですね。あの時の議論はすごかった。みんなで文化連盟とは何かって必死に考えた。「学生会館(学生自主管理のサークル棟)をつくった功労者なんだ」「最初に法政大学で学生運動はじめた学生団体なんだ」「だから学生運動であるべきだ」「全員退学になっても、それが文化連盟なんだ」という議論になりました。5・20で断固突撃したけど、全然処分してくれない(笑)。
 倉岡 あの時の恩田君のビラが感動的。「1人の仲間も見捨てない」「これ以上の暴挙を許さない」っていうスローガン。
 斎藤 確かに感動的な文章だけど、死ぬ気満々なんですよ、あれ。バンジージャンプじゃなくてロープなしで跳んでるみたいな感じ。意外とそのヒモは強靱(きょうじん)だったことに後で気づきましたが(笑)。
 新井 その5・20闘争が38人の逮捕者を出した5・28−5・29闘争に火をつけ、「21世紀最初の学生暴動」と称される10・17闘争を生み出した。10・17闘争には250人結集し、実力闘争をたたきつけた。
 恩田 10・17は大勝利でしたね。いろいろ勉強になったし。
 増井 あれで元気になった。先が見えた。
 斎藤 あの延長線上に勝利があると思いました。団結の力ですよね。権利はかちとるものだと身体性をもって分かった。
 恩田 「10・17で分岐をつくる、勢力図を変える」と言っていたから、絶対に攻める方針でやろうと決めたんです。前日の作戦会議では、最初は学内デモの方針だった。でも、キャンパス中央封鎖で、ちょっと無理じゃないかという話になって。外濠校舎から、学生センターみたいな狭いところに突入して占拠して圧倒する空気をつくろうという話になった。だから外濠校舎前で大激突になった。
 増井 10・17で、われわれには無限の可能性があると感じた。自分の体を使って「わっしょい、わっしょい」するのはめちゃくちゃ楽しいし解放的。法大解放はこの気持ちよさの延長線上にあると思います。
 斎藤 5・29を語らずに10・17は語れない。5・29で公安は一度、全学連にボコボコにされている。もう逮捕に踏み切ること自体が不可能だった。人が集まることの力って単純にそういうことなんです。だから本当に、次やる4・24集会に1000人集まったら、法政キャンパスは大変なことになりますよ。4・24は来なきゃ損です。
(写真 倉岡さんに対する追加処分のための呼び出し粉砕行動に決起する文化連盟。左から2番目が新井君【4月6日 法大正門前】)

 金儲けに走る大学

 新井 法大当局は裁判所と結託して「情宣活動禁止等仮処分命令」でキャンパスの外でも情宣活動するなと言ってきた。「営業権を侵害するな」と。
 恩田 逮捕・処分でも闘いをつぶすことができず、最後のあがきはこれかと。だからショボイなって笑うこともできます。でも、もう法政大学を解放するのは無茶。解放ではなく、もうつぶした方がいい。大学側の弁護士が、芝昭彦という元汚職警官っていうのも、終わってる。
 増井 僕は今まで、反大学の人間と話し合って進めていく考えがある程度あった。斎藤君の無期停学処分からそれが変わりました。「営業権」を大学が振りかざすようになったら、この大学はもう破壊するしかない。
 斎藤 資本主義にとっては、大学すら市場なんですよね。学問っていう領域が。まさに新自由主義。法政大学は総資産が1600億円で、その内653億円を資産運用に使っている。2007年度3月期の決算の内、資産運用で8・6億円の損失を出している。そのあと9月にリーマンショックがあり、08年度3月期決算で、法政大学は非常に壊滅的な打撃を被っている可能性は高い。だから、オープンキャンパスで学生を確保できなければ、「法政大学は回復不可能な損害を被る」と。われわれが演説やビラまきをしたら破産・倒産します。法政大学との闘いは、まさに新自由主義を破産させている。
 新井 そこに法大闘争の革命性がある。「営業権」とは、破産した新自由主義大学による道州制=教育の民営化攻撃そのもの。法大闘争はそれを打ち破る闘いです。だから民営化に勝利している動労千葉と連帯する。

 恩田 うさん臭い権威ぶっ壊す4・24

 斎藤 歴史を変革する先駆けの日に

 動労千葉のように

 新井 その点で文連は11月労働者集会にも参加した。動労千葉の闘いをどう思いますか。
 斎藤 一言で言えば、「人間」ですよね。動労千葉の組合員は年配の人たちが多いわけですが、魂を感じます。非常に若々しく誇りがある。動労千葉は、電車を自分たちで動かせるわけだから、管理者たちに管理されることをまったく望まない。むしろ管理者の命令こそじゃまだと。だから、断固として刃向かうし、会社が資本主義的に倒産しようが関係ない。資本家なんか消えていいって思える力があるからストライキができる。すごくいい人たちです。
 恩田 組合運動には男気を感じますね。労働者は生活がかかっているけど、学生は生活がかかってないから、無責任感を伴うところはある。だから労働運動の理屈を学生運動に持ってくるのは、確かに難しい。でも実際、俺らは生活というか、人生かかっているんで全然学べるところはある。俺らに関しては、動労千葉と同じような理屈で、同じような団結がつくれるんじゃないかと思っている。
(写真 文化連盟副委員長 恩田 亮君、文化連盟委員長 斎藤郁真君)

 4・24集会の決意

 新井 いよいよ4・24集会も迫ってきました。
 洞口 倉岡追加処分は4・24をつぶすためにある。絶対に追加処分を許さない徹底的な闘いをやって、処分を一日も早く撤回させたい。あらゆる入構禁止や処分を話し合いではなく実力で撤回させて、自分たちが大学の主人公になろうというのが4・24です。全国からの結集をお願いします。
 倉岡 処分撤回闘争は単なる抵抗運動ではなく、「キャンパスを学生の手に取り戻そう」ということを学生の力で示していく、すごく壮大でダイナミックな闘い。世界の学生がキャンパスを占拠し、ストライキとデモで新自由主義と闘っているけれど、完全にこれとマッチする闘い! 学生は何ものにも支配されずに、労働者階級の最先頭でラジカルに闘える存在だということを呼びかけ、それを示す闘いとしてやっていきたい。
 増井 僕は現在、法政大学の学籍がない、いわゆる「ニート」「フリーター」です。規則的に見れば学外者。だけど、4月24日は法政大学をめちゃくちゃにしてやろうと思っている。何も持たない誰かしらの人たちに勇気や希望を与えることになる。そういう風に自分を位置づけています。「おかしいことにおかしいと言って何が悪いんだ」と文化連盟はよく言うけれど、問題は自分がおかしいと思ったことに対して、自分なりに主張したり行動したりと、身体性を行使すること。それがいちばん気持ちいい。
 斎藤 4月24日この日、法政大学が変わる。これに来なかったら重要な歴史を諸君は見逃すと思う。日本では、まだまだ他の国でもあるような、経済や政治の許しがたい現状に対して、おかしいものにおかしいと言って本当に実力でぶつかっていくようなことはないけど、4・24集会は恐らくその歴史の先駆けになると思う。60年安保闘争とか東大安田講堂立てこもりみたいな。人民の皆さん、是非ご結集をお願いします。
 恩田 権威というものが、いかにうさん臭いかということが、法政をとおして分かったと思う。法政に限らず日本政府もそうだけど、権威というものは全部うさん臭いんですよ。政府だって三里塚で農民を殺しておいて、偉そうな顔をしている。うさん臭い権威をぶっ壊すのが4・24であると。世の中の偉いと言われている人たち、良いと言われている考え方、いわゆる「常識」、そして「権威」をぶっ壊すという最高の快楽を4・24で味わわせてあげようじゃないか。徹底的に法政大学を蹂躙(じゅうりん)して、われわれの手で占領する。われわれの力を見せてやろうじゃないか。法政から4・24をもって、世界にメッセージを発信する。ともに日本代表になろう!

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