ZENSHIN 2009/08/03(No2402 p10)

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週刊『前進』(2402号1面1)(2009/08/03 )

 8月広島・長崎を闘い11月へ

 改憲阻止!8・15集会に大結集しよう

 自民党崩壊―総選挙情勢と対決し 道州制・民営化粉砕へ闘おう

  世界大恐慌の本格化のただ中で、戦後史上最大の政治的激動過程が始まった。55年の保守合同以来、労働者階級人民を抑圧してきた自民党支配がついに崩壊し、分裂・抗争と大再編の過程に突入したのだ。小泉改革を頂点とした新自由主義攻撃の推進と大恐慌の爆発が、そして何よりも労働者階級人民の怒りと決起が、この激動情勢を生み出した。追い詰められた日帝・麻生による解散・総選挙情勢を迎え撃ち、4大産別を先頭に道州制・民営化粉砕決戦の爆発をかちとろう。8・6広島−8・9長崎を闘い、8・15集会を大成功させ、11月労働者集会1万人大結集へ進撃しよう。

 革命が問題になっている

 長きにわたり日帝ブルジョアジーの唯一最大の政党であった自民党が、今や政治支配と指導能力を完全に喪失し、崩壊と分裂と漂流の過程に突入した。総選挙での民主党か自民党かの選択に、問題の核心はない。
 突き出されていることは、自民党支配の終わりであり、日帝ブルジョアジーの議会制的な階級支配の崩壊なのだ。政権交代で民主党政権が誕生し、それが直ちに破産したとしても、自民党の再浮上などありえない。労働者階級に問われていることは、大恐慌で歴史的生命力の尽きた資本主義・帝国主義と自民党支配の崩壊を、プロレタリア世界革命へ、日本革命へと転化するために闘うことである。
 そしてそのために、一切の体制内指導部と日本共産党や民主党など既成政党の制動と敵対を断固として打ち破り、国鉄1047名解雇撤回闘争を先頭とした4大産別決戦の決定的な前進をかちとることである。
 革命勝利のために労働者階級に必要なものは、自民党支配の崩壊をプロレタリア革命へ転化する拠点だ。それが労働組合、とりわけ4大産別の労働組合だ。そしてそこに強固に根を張った革命党とその職場細胞である。
 世界大恐慌は資本主義の生命力が尽きた何よりの証拠だ。今こそ労働者階級は資本主義を転覆する革命の準備をしよう。日本革命を切り開く戦略方針として、〈戦争・改憲と民営化・労組破壊〉〈道州制・民営化〉の攻撃と全面対決し、第2次国鉄決戦−1047名解雇撤回闘争を基軸とする〈国鉄・自治体・教労・全逓〉の4大産別決戦を闘おう。
 そして、この労働者階級の決起の最先頭で闘い、勝利の路線と展望を指し示すマルクス主義の労働者党、マル青労同と革共同を、労働者自身の手でつくりだそう。

 労働組合をどこが握るのか

 労働組合、とりわけ4大産別の労働組合を革命の側が握るのか、反革命の側が握るのか――これが革命の成否を決するのだ。
 特に4大産別は、政治支配・階級支配の根幹をなす産別だ。さらに4大産別の労働運動は、国鉄を先頭に日本労働運動の最重要拠点を形成してきた。それは日本労働者階級の戦後60年にわたる階級闘争の歴史と階級的な力量を継承し、維持してきた産別なのだ。
 8月30日投票の衆院選において、自民党は道州制で起死回生の勝負に出ようとしている。自民党は道州制基本法の早期制定と、基本法制定後6〜8年を目途に道州制に移行することをマニフェストに明記した。総選挙は「道州制選挙」となった。自民は全農林への攻撃を始め、4大産別の労働組合つぶしに反動的活路を見いだそうと必死である。
 これと連動して、大阪府知事・橋下や横浜市長・中田、杉並区長・山田らが暗躍している。中田は横浜市長を突然辞任し、山田らと「よい国つくろう! 日本国民会議」を設立して、道州制攻撃の突撃路を開く策謀をめぐらしている。橋下は日本経団連の夏季フォーラムで講演し、御手洗との「対談」で道州制推進の「草の根運動」を進めることで一致した。
 道州制攻撃は、公務員労働者360万人のいったん全員解雇・選別再雇用が最大の焦点だ。それは、国鉄分割・民営化を10倍化するような大攻撃で労働組合を解体し、改憲と戦争国家化を狙うものである。
 だからこそ道州制・民営化粉砕の決戦にとって、国鉄分割・民営化と真っ向から闘いぬき勝利してきた動労千葉の存在が決定的なのだ。動労千葉の旗のもとに、日本の労働者階級の戦闘的で階級的な部分が総結集し、道州制・民営化粉砕決戦を大爆発させよう。その力を11月労働者集会へ大結集しよう。
(写真 集会禁止を打ち破ってかちとられた7・29民主労総決意大会。金属労組は6時間ストで結集した。最前列にはソウル本部のチェジョンジン本部長も【韓国・平沢】)

 「オバマ幻想」を吹き飛ばせ!

 11月労働者集会の歴史的成功に向かって、当面、何よりも8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争に全国から総結集しよう。今年の8・6―8・9は、原水禁運動の解体・一掃を狙う「オバマ幻想」を粉砕する決定的闘争である。同時に前空幕長・田母神が「ヒロシマの平和を疑う!」「日本も核武装して北朝鮮を攻撃せよ」と扇動するために広島に乗り込んでくる攻撃への大反撃の闘いだ。
 核兵器の独占と侵略戦争強行を宣言したオバマを全面賛美する日共や連合では、田母神的な極右ファシストとも絶対に対決できない。オバマ幻想と田母神反革命を吹き飛ばして、8月広島―長崎を全力で闘い抜こう。
 さらに8・15靖国闘争(デモ)に決起し、韓国から民主労総ソウル本部が参加する「8・15労働者市民のつどい――改憲は阻止できるぞ!2009」集会を圧倒的に成功させよう。閣僚らの靖国神社参拝を粉砕し、改憲阻止決戦の号砲をあげ11月へ大進撃しよう。

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週刊『前進』(2402号1面2)(2009/08/03 )

 韓国・双龍自動車労組 工場占拠し不屈のスト

 “新自由主義をうち破る闘い” 動労千葉が支持声明

 韓国・民主労総傘下の全国金属労組双龍(サンヨン)自動車支部の平沢(ピョンテク)工場占拠ストライキは、強制執行が始まった7月20日から10日間を超えてなお日々を勝ちぬいている。
 猛暑の中、水も食料もガスも断たれた塗装工場を砦(とりで)として800人を超える組合員が団結し、生死をともに戦っている。
 「整理解雇撤回、公的資金投入」を要求する労組にイミョンバク(李明博)政権は「対テロ部隊」を投入し、殺人兵器を使って襲いかかっている。
(写真 塗装工場屋上で「解雇は殺人だ!」のスローガンを掲げてアピールする双龍自動車労組。中央がハンサンギュン支部長【7月27日】)

 ◆広がる連帯

 「双龍自動車労働者のみなさんのストライキ闘争を断固支持します!」――7月26日、ついに日本の地から動労千葉が熱い連帯声明を発した。
 「『解雇は殺人だ! これ以上殺すな! 整理解雇を撤回せよ』という双龍自動車労働者の血叫びは、全世界の労働者の怒りそのものです。誇り高き双龍労働者の決死覚悟の闘いは、世界の労働者の雇用と生存をかけた闘争であり、数百万、数千万、数億の世界の人々を貧困と殺戮(さつりく)に追い込んだ新自由主義をうち破り、労働者の未来をつかむ歴史的闘いです。世界大恐慌下、労働者の完全解放をめざして闘う全世界の労働者を鼓舞激励しています」
 「動労千葉は、皆さんの闘いに応えるために、何よりもこの日本の地で、自らの職場で、地域で、全国政治闘争の場で、資本家階級の労働者支配と日本帝国主義の侵略戦争策動を最後的に終わらせるまで闘いを貫きます。この11月1日、この闘いの意志を同じくする全国の仲間が東京に結集し、1047名解雇撤回と国際連帯を掲げて全国労働者総決起集会を開催します。この集会の場で、日本の労働者の闘いの前進と双龍自動車同志たちの勝利を高らかに報告できるよう、ともに闘いぬきましょう」
 この動労千葉を先頭に全世界の労働者がサンヨン自動車支部の闘いに感動し、連帯闘争が一気に広がっている。
 7月27日には香港の労働組合連盟がサンヨン労働者への弾圧に抗議して、韓国政府への抗議行動を呼びかけ、韓国総領事館へのデモを闘った。28日にはサンフランシスコでも、運輸労働者連帯委員会が韓国領事館でサンヨン労働者への弾圧に抗議するピケット活動を展開している。ILO(国際労働機関)もサンヨンのスト鎮圧に公権力を投入しないよう、韓国政府に要望を出した。
 イギリス・ワイト島のベスタス風力タービン工場で600人以上の解雇に反対し、工場占拠闘争を闘っている労働組合もサンヨン労働者に連帯メッセージを寄せた。

 ◆7・29平沢

 29日午後、警察による集会禁止を打ち破って平沢裁判所三つ角で民主労総決意大会が開かれた。警察は高速道路の料金所を閉鎖し、参加者の結集を妨害した上、集会参加者の頭上にヘリコプターを低空飛行させ強風であおるなど、危険この上ない妨害に出た。
 さらに警察は、籠城(ろうじょう)中の労働者に飲料水を届けようと2gのペットボトルを持ってデモに出た3千人余りの労働者・市民らに催涙液を放水、空からはヘリが催涙液が入ったビニール袋を無差別に投下するなど弾圧をエスカレート。工場に近づこうとするデモ参加者に襲いかかった。
 デモに先立つ29日午前、平沢市民らが23日から3日間で集めたという17万156人の署名を労使双方に提出し、「今月中に労使直接対話を始めよ!」と要求し記者会見した。30日には民主労総指導部、自動車産業回復汎国民対策委員会などが工場正門前で無期限の座り込みに突入する。
 「ありったけの力で最後の勝利まで戦う!」と宣言しているサンヨン労働者と連帯し、自らの職場で地域で、全国闘争の場で闘いぬこう。

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週刊『前進』(2402号1面4)(2009/08/03 )

 日程 8・6ヒロシマ―8・9ナガサキ反戦反核闘争

 広島
全世界の労働者・民衆の団結で、核をなくせ! 戦争・改憲をとめよう!
被曝64周年8・6ヒロシマ大行動
8月6日(木)午後0時30分 3時デモ出発
広島県立総合体育館小アリーナ
〔発言〕
下田礼子(反戦被爆者の会)/高山俊吉(憲法と人権の日弁連をめざす会)/デュアン・デルポソ(国際港湾倉庫労組)/「日の丸・君が代」不起立を闘おう教育労働者/田中康宏(国鉄千葉動力者労働組合)/道州制・民営化と闘う自治体労働者/沖縄からのアピール/法政大「暴処法」弾圧と闘う学生/

□関連企画
 ◎産別交流会
   5日(水)午後/東区民文化センター
 ◎学生集会/青年労働者集会
   5日(水)午後6時/東区民文化センター
 ◎祈念式典弾劾―麻生来広弾劾デモ
   6日(木)午前7時/東千田公園

 長崎
労働者の国際連帯で核を廃絶しよう!
長崎反戦反核集会
 8月8日(土)午後6時 長崎県勤労福祉会館
 主催 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会

長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼早朝集会
 8月9日(日)午前7時30分
 爆心地公園の原爆朝鮮人犠牲者追悼碑
  主催 長崎朝鮮人の人権を守る会

平和式典会場、爆心地に向けたデモ
 8月9日(日)午前10時 城栄公園(路面電車・大橋下車)
 主催 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争全国統一実行委員会

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週刊『前進』(2402号1面5)(2009/08/03 )

 日程 8・15靖国参拝阻止デモ、8・15労働者市民のつどい

閣僚の靖国参拝を許すな!
8・15靖国参拝阻止デモ
 8月15日(土) 午前8時30分集合(9時デモ出発)
 法政大学正門前・外濠公園(JR飯田橋駅または市ヶ谷駅から線路沿いに600m) 主催/反戦共同行動委員会
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 「改憲は阻止できるぞ!2009」
 8・15労働者市民のつどい
 8月15日(土) 午後1時開会
 東京・なかのZERO西館小ホール
 主催 戦後50年を問う8・15労働者・市民のつどい全国統一実行委員会(詳細は3面参照)

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週刊『前進』(2402号3面1)(2009/08/03 )

 1047名解雇撤回かけ11月1万人結集へ

 大失業の攻撃と徹底対決し国鉄闘争に責任とる勢力に

 青年を組織しJR体制打倒を

 革共同国鉄委員会

 ますます深まる世界大恐慌のただ中で、資本主義は終わりの時を迎えている。議会制による支配が崩れ、革命と反革命があからさまにぶつかり合う時代において、力を持つのは労働者の団結とそれに徹底的に依拠した闘いだけだ。国鉄1047名闘争も、こうした時代の中でプロレタリア革命に向けて開かれた闘いに飛躍することが問われている。動労千葉労働運動を果敢に実践するわれわれ以外に、国鉄1047名闘争を勝利に導くことはできない。7・17国鉄闘争勝利総決起集会で、国労5・27臨大闘争弾圧被告団は「1047名闘争の責任勢力に躍り出る」と宣言した。その宣言を文字どおり実現する責務がわれわれにある。その成否の一切は、11月労働者集会1万人結集にかかっている。
(写真 7・17国鉄集会で被告団は、有罪判決―解雇を狙う権力・JR資本との正面戦に突入し1047名闘争勝利の先頭に立つと宣言)

 大恐慌下で国鉄決戦を勝利に導く橋頭堡築く

 世界大恐慌情勢はますます深まっている。帝国主義が諸経済指標の「下げ止まり」を強調し「回復基調」などと叫ぼうが、実体経済の一層の急落は避けられない。資本主義にとって、延命の道は、一層の首切りを労働者に強制し、戦争にのめり込む以外にない。
 先の都議選と、それを受けての麻生による衆院解散−総選挙への絶望的突入は、自民党支配がついに崩壊したことを示している。それは同時に、議会をつうじた支配のあり方が根本から崩壊したということでもある。革命と反革命が激突する時代においては、力あるもののみが生き残れる。国鉄分割・民営化以来23年、幾多の試練に耐え、階級的労働運動路線をついに確立したわれわれこそが、唯一、1047名解雇撤回闘争に責任をとる勢力として登場すべき時が来たのである。
 衆院解散−総選挙情勢はまた、4者4団体路線の最後的な破産を突きつけている。4者4団体幹部らは、この間の「政治解決」の破産をなんら総括できず、「雇用・年金・解決金で具体的要求を出したが自民党からは何の返答もなかった」「政治解決は総選挙後になる」などと、この期に及んでうそぶいている。
 だが、4者4団体幹部がいくら民主党政権への期待を膨らませ、「民主党政権下での政治解決」を夢想しようとも、そんなものが破産することはあらかじめ目に見えている。そもそも民主党の鳩山や小沢は、国鉄分割・民営化当時、自民党議員として1047名の首を切った張本人だ。今日、御手洗・日本経団連とともに、道州制・民営化を自民党以上に叫び立て、公務員労働者の首切りを強行しようとしているのが民主党ではないか。
 その民主党にすがる4者4団体路線のもとに、1047名がいつまでも組み敷かれていることなどありえない。1047名闘争の原点は、国鉄分割・民営化反対であり、解雇撤回だ。その原点を荒々しく貫き通せという声は、必ず巻き起こってくる。それ以外に、1047名がその誇りを貫き、生き抜く道はないからだ。

 新自由主義攻撃に断を下す闘い

 今年前半の闘いをとおして、われわれは解雇撤回を貫く闘争団の結集軸に自らを打ち鍛えた。打ち立てられたこの結集軸に、現実に1047名を糾合してこそ、11月1万人結集は可能となる。
 国鉄分割・民営化は、日本における新自由主義攻撃の出発点だった。アメリカではレーガン、イギリスではサッチャーが、規制緩和・民営化をテコに労働組合への襲撃を仕掛けて労働運動を破壊・解体した。日本では中曽根が、戦後労働運動の最も強力な中心部隊だった国鉄労働者の闘いをつぶすために国鉄分割・民営化攻撃を仕掛けた。
 国鉄分割・民営化は、労働者の非正規雇用化の出発点でもあった。国鉄分割・民営化攻撃と同時に労働者派遣法の制定に始まる戦後労働法制解体攻撃が開始され、以来、膨大な労働者の非正規職化、無権利化、貧困化と過労死の続出が生み出されてきた。
 だが、国鉄1047名闘争は、分割・民営化の完遂を阻み、連合支配の完成を阻む闘いとして営々と展開されてきた。それは、「総評をつぶし社会党をつぶして改憲を強行する」という中曽根の戦略を根本から打ち砕いてきたのである。
 国鉄分割・民営化が新自由主義攻撃の出発点であったならば、その新自由主義の攻撃に断を下すのもまた、国鉄1047名闘争だ。敵階級は、1047名闘争を解体できないままに世界大恐慌に突入し、自民党支配の崩壊という事態を迎えてしまった。これは敵階級にとてつもない危機を突きつけている。
 すさまじい大失業・大量首切りの攻撃にのめり込むことなしに資本主義は延命できないが、それに真っ向から立ちはだかっているのが1047名闘争なのである。大恐慌下で不可避となる激動のただ中に躍り込んでこそ、1047名闘争の勝利もある。1047名闘争がその真価を発揮すべき時代が来たのだ。
 二十数年にわたり1000人を超える労働者が解雇撤回を求めて闘いぬいてきたこの闘いは、世界史的な意味を持つ。国鉄分割・民営化に真っ向から立ち向かってきた動労千葉の闘いは、全世界の闘う労働者の結集軸になっている。

 裏切り者と激突し闘いの旗守る

 1047名闘争は、それを内部から破壊しようとする策動との絶えざる攻防に彩られている。1047名を「お荷物」扱いし、「政治解決」と称して1047名闘争を解体しようと策してきた社会主義協会派や日本共産党・革同ら体制内派との激突として、1047名闘争は闘われてきたのである。
 そもそも、協会派も革同も、国鉄分割・民営化に対して一度としてまともに闘ったことはない。国労の指導部は、国鉄分割・民営化と真正面から対決して闘うことを回避し、タコつぼにもぐり込んで嵐が過ぎ去るのを待つという態度をとった。国労は、86年10月の修善寺大会で、分割・民営化反対の方針を堅持したが、修善寺大会で執行部を握った社会主義協会派や日本共産党・革同には、現場組合員の団結に依拠して、分割・民営化と徹底的に闘う路線など存在しなかった。
 唯一、死活をかけて立ち向かったのが動労千葉である。動労千葉は、分割・民営化絶対反対を掲げて85年と86年の2波のストを全組合員が首を覚悟で闘い、さらに清算事業団に送られた労働者が最終的に解雇される90年3月には84時間の大ストライキを敢行した。この闘いは全国鉄労働者を奮い立たせ、現場組合員の怒りに押されて国労もストに入らざるを得ず、ついに1047名の国鉄労働者が「解雇撤回」を断固として掲げて不屈の闘争に決起する地平を切り開いた。
 この国鉄1047名闘争は、国鉄分割・民営化にかけた敵の狙いを根本のところで破産に追い込んできた。国鉄分割・民営化との闘いは1047名闘争という形で永続化し継続されたのだ。

 5・27弾圧粉砕の闘いは体制内派打倒の最前線

 今日まで1047名闘争が継続されてきたのは、動労千葉と、国労内の動労千葉派としての国労共闘の闘いがあったからだ。
 これに対してかけられたのが、02年の国労5・27臨大闘争弾圧だ。動労千葉と国労共闘が1047名闘争の責任勢力となり、1047名闘争が日本労働運動の牽引(けんいん)者となることに革命の恐怖を感じたからこそ、権力は暴処法弾圧をかけてきた。
 法政大学生運動への暴処法弾圧に示されるように、断末魔の危機にのたうつ帝国主義は、労働者人民の団結と闘いに暴力的に襲いかかるしかない。だが、それがいかに無力で破産的であるかを5・27被告団と法政大生の闘いは示している。
 5・27弾圧は、団結禁止法というべき暴処法が適用された点、被告たちが国労本部によって警察に売り渡された点、被告団が体制内派との根底的な決別をかけて08年2月に旧弁護団解任に踏み切った点において、決定的な意味を有する。
 被告団の闘いは、1047名闘争と国労の解体という国家権力の階級意志と真っ向からぶつかり合っている。
 被告団は、4者4団体路線を拒否し、動労千葉派としての自己を鮮明にさせ、体制内派との最終的決別をかちとり、革命の主体として飛躍するために、旧弁護団を解任した。この壮絶な闘いをとおして、被告団は体制内勢力との断固たる対決に踏み切ったのだ。
 その歴史的な意味は、7・17公判における被告団の最終意見陳述と、同日の総決起集会で余すところなく明らかになった。旧弁護団解任をとおして、被告団と国労共闘は自らの内にあった体制内的なものをぬぐい去った。それにより裁判闘争は団結の強化・拡大を総括軸に階級的に闘うものへと転換された。そして、被告団と国労共闘は自らを国鉄1047名闘争の責任主体に高め、職場において反合理化・運転保安闘争を貫く不退転の決断ができたのだ。
 5・27弾圧粉砕の闘いは、動労千葉派が1047名闘争の責任勢力となるための決定的な闘いだ。この弾圧との闘いは、体制内労働運動との攻防の最前線にある。
 戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃に立ち向かう4大産別決戦の最大の攻防環は、資本の手先と化した体制内派から労組の支配権を奪い返すことにある。その最先頭で被告団は、組合員を警察に売った国労本部と対決し、4者4団体路線を打ち破っているのである。
 5・27弾圧との闘いは、11月に有罪判決を狙う権力と、それを口実に解雇をもくろむJR資本との正面戦に突入した。この闘いは、1047名闘争勝利の突撃路を切り開く闘いそのものだ。被告団の闘いの意義が全面的に発揮されるのはこれからだ。われわれは11月1万人結集で5・27弾圧を根本的に粉砕する。

 青年を結集できるのは今や動労千葉派のみだ

 動労千葉は、団結の強化を勝利として階級的に総括し、戦争と改憲の時代に勝利する道を進んできた。この動労千葉の闘いと、それによって持続された1047名闘争は、国鉄分割・民営化の根底的な破産をつくり出している。安全問題、要員問題、労務支配のすべてにおいて、JR体制は破産した。
 JR体制の破産は、05年4月25日の尼崎事故という形で衝撃的に突き出された。JR体制のもとで、安全はとことん崩壊したのだ。今やJRの事故発生率は大手私鉄の11倍に及ぶ。
 7月8日、JR西日本社長の山崎正夫が起訴された。これは、山崎体制のもとで尼崎事故問題に決着をつけるとともに、事故を徹底的に労務支配の手段として使い切ろうとしたJR西日本の思惑が完全に破産したことを意味する。尼崎事故以来、体制内勢力がことごとく「労使安全会議」に参画して資本の手先となる中で、5・27被告団を先頭とする国労共闘と動労千葉・動労総連合のみが尼崎事故弾劾を真っ向から掲げて現地闘争を闘い、JR資本との正面対決を貫いてきた。その闘いが根底にあって、JR体制は抜き差しならない矛盾に陥ったのだ。
 JR西日本は新体制のもとで、さらなる合理化と強権的労務支配を強行しようとしている。だが、動労千葉派を制圧できないまま、そうした攻撃に突っ込めば、JR体制が一層の矛盾と激動にたたき込まれることは必至だ。それは、JR体制のもとで最も過酷に抑圧され分断されてきた青年労働者の怒りの決起を必ず引き出すものになる。
 JR東日本における資本=カクマル結託体制も終わりの時を迎えている。浦和電車区事件の高裁有罪判決をめぐる一連の事態は、その証左だ。6月11日のJR東労組定期大会で、JR東日本社長の清野智は「裁判所の判決は、やはり重い意味を持っている」「職場で刑事罰を受けるような事象が発生すれば、ルールにのっとり対処せざるを得ない」と発言した。これに対しヤジが飛び、討論は「社長糾弾」一色となった。採択された東労組の運動方針は「労働三権確立」を掲げている。4次にわたる「労使共同宣言」でスト絶滅を資本に誓った東労組が、ついに反動的ストの脅しでJR東日本に「結託体制を維持しろ」と圧力をかけるに至ったのだ。他方でJR資本は、資本自身の力で労働者を制圧する体制をつくろうと必死になっている。資本=カクマル結託体制の崩壊は、もはや絶対に後戻りできないところまで進んだのだ。
 だが、重要なことは、JR体制は動労千葉と動労千葉派の闘いを制圧できず、その結果として1047名闘争を壊滅できないままでいるということだ。1047名闘争を残したまま、カクマルとの結託体制の清算に動くことは、JR資本の思惑を超えた大激動を引き起こす。資本=カクマル結託体制によってのみ抑え込まれていた青年を始めとする労働者の怒りが、ついに堰(せき)を切ったようにあふれてくることは不可避だ。
 現に、動労千葉や動労水戸は、その突破口をこじ開けている。動労水戸は7月23日、組合員と青年労働者に対する強制配転発令に対し緊急ストに立ち、配転攻撃を粉砕した。動労千葉、動労水戸、動労西日本に青年労働者が結集し始めている。労組をめぐる思想と路線をかけた死闘戦に勝ち抜いて、JR内から総反乱を巻き起こす時代が到来した。
 JR体制を打倒し、1047名の解雇撤回をかちとる現実的展望を、われわれはついにつかんだのだ。11月労働者集会1万人結集を実現した時、この流れは激流となる。われわれは青年労働者を圧倒的に組織して、JR体制を打倒する。11月1万人結集に向け、全労働者の課題を引き受け、労働者階級の指導部に飛躍する。「1047名闘争に責任をとる」というわれわれの決意は、11月1万人結集によってこそ実現されるのだ。

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週刊『前進』(2402号3面3)(2009/08/03 )

 日程 8・15労働者市民のつどい

 改憲は阻止できるぞ! 2009
 国益と排外に憲法は屈するのか
 8・15労働者市民のつどい
▼基調講演 鈴木達夫弁護士 「革命的激動の8月 はじまった改憲阻止決戦」▼コント 松元ヒロさん「何が起こるか? ワクワクの8月」
▼特別報告 韓国・民主労総ソウル地域本部「大恐慌下、ストで闘う韓国労働運動」/動労千葉・田中康宏委員長「改憲と国鉄1047名闘争」
▼西川重則さん(平和遺族会全国連絡会代表)「改憲は国会ではじまっている」▼米団報告 サンフランシスコ国際労働者会議参加者/ほか

 8月15日(土) 正午開場 午後1時開始
 なかのZERO西館小ホール(JR・地下鉄「中野」下車、南口から600メートル)
 〈主催〉 戦後50年を問う8・15労働者・市民のつどい全国統一実行委員会

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週刊『前進』(2402号4面1)(2009/08/03 )

 大恐慌の本格化−戦争・大失業と闘おう

 ドル暴落の危機が現実に 保護主義がいよいよ激化

 革命情勢成熟と労働者の決起

 島崎光晴

 29年―1930年代を超える世界大恐慌は、いよいよ本格化しようとしている。米帝オバマ政権はシティなどの大銀行とGMなどの大企業を救済する恐慌対策をとってきたが、救えるものなどは一つもない。リーマン・ショックを上回る金融大恐慌の第2波が爆発するのは必至だ。米帝はますますリストラ・大失業と保護主義に踏みこんでいく以外にない。しかもこうした恐慌対策をとった結果、財政赤字が破滅的に膨張し、ドル暴落が現実的な視野に入りつつある。大恐慌下で大失業と戦争が現実化するなか、革命的情勢のテンポは今や急加速している。大恐慌を革命に転化するため、今夏〜今秋を歴史的な闘いの時としよう。

 粉飾会計で損失隠ぺい金融大恐慌の第2波も

 まず米経済を金融面から見ていこう。昨秋9月にリーマン・ブラザーズが破綻し、最大手保険会社のAIGと、住宅金融2公社のファニーメイとフレディマックが政府管理下に置かれた。以降、米帝は銀行への資本注入など公的支援を繰り返してきた。しかし、それでも危機を収拾できず、今年2月には米政府がシティグループ株を保有して、事実上の政府管理下に置くしかなくなった。
 米帝の大銀行は、住宅ローン債権を担保にした証券を大量に保有しており、住宅価格の下落でその証券化商品が不良資産と化している。また、実体経済の急降下によって、個人向け融資と商業用不動産融資でも不良債権化が進んでいる。4月のIMF推計では、ローンや保有証券の劣化に伴う米金融機関の損失は2・8兆j(263兆円)の見通しで、「うち3分の1が顕在化した」という。残り3分の2の損失がまだ潜在しているのだ。
 オバマ政権は就任後、この銀行の不良資産を買い取ろうとした。昨年9月に成立した金融安定化法も、不良資産買い取りを目的としていたが、あまりの困難性のため公的資金投入に変更された経緯がある。不良資産・不良債権があるかぎり、銀行の経営危機、金融システム全体の危機が深まっていくのは必至であり、もはや待ったなしのところに追い詰められた。
 しかし、不良資産を買い取るといっても、その資産は証券化商品という形をとっている。例えば一つの証券の中に3000種類もの金融商品が組み込まれている。価格をまともに確定できない。しかも「不良資産買い取りには最大4兆jのコストがかかる」との試算が出た。すでに金融安定化法の公的資金枠7000億jはほぼ使い果たしており、ケタ違いの公的資金を追加するのは容易ではない。このため3月時点で不良資産買い取り策はたちまち頓挫した。

 残高が9兆jもあるプライムでの不良化

 窮地に立ったオバマ政権がとった乗り切り策が、銀行の粉飾会計を認めて、不良資産を少なく見せかけてごまかし、結局は「とにかく(不良資産の価値が上がるまで)辛抱する戦略」(元FRB幹部)である。
 具体的には第一に、時価会計の適用を緩和して、価値が暴落している金融商品について損失を出さなくても済む粉飾会計を4月に認めた。1〜3月期の決算にさか上って適用される。例えばシティの1〜3月期決算では、証券化商品などの損失が約22億jと、前期に比べて実に132億jも減り、見せかけの黒字に転換した。
 また、赤字額の一部を以前の決算にまぎれこませてもいる。価格のつかない金融商品に、得手勝手に価格をつけて資産として計算している。ゴールドマン・サックスだけで5850億j=約55兆円にもなる。銀行の社債価格が下落したのを、その分負債が減ったとみなして利益に計上している。これを「負債評価益」と称している。
 第二に、5月の米政府・FRBによる銀行の資産査定(ストレステスト)で、「潜在的な損失は計6000億j、10行について計746億jの資本不足の恐れがある」と査定した。これを受けて10行が株式を発行したりして資本増強に動き、それを元手に公的資金を返済し、「もはや資本不足の恐れはなくなった」と宣伝した。しかし、証券化商品の査定ができるはずもなく、できるだけ少なく見せるための恣意的な数字だ。しかも、IMFが「総額で2750〜5000億jの資本増強が必要」と試算していたのと比べてもケタ違いに少ない。”これ以上公的資金を必要としない”という結論が先にある査定でしかない。
 第三に、7月に米財務省は、官民投資基金を設立して銀行の不良資産を買い取る制度の詳細を決めた。しかし、買い取り額は400億jにすぎない。米政府は当初は「1兆j買い取り」と言っていたが、粉飾会計に合わせて買い取り額も大幅に減らした。
 要するに、米帝は粉飾会計、恣意的な不良資産の査定、それに合わせた資本増強と不良資産買い取りという、自他を欺くやり方をとっているにすぎない。「とにかく辛抱する戦略」と言うが、辛抱しても無駄だ。不良資産も不良債権もこれから本格的に増える。
 何よりも、主要20都市で見ると住宅価格は毎月18%台の下落を続けているが、それでも06年半ばのピークの3分の2の水準に下落したにすぎない。バブル崩壊を途中で止めることは絶対にできない。特に、優良とされてきた残高9兆jのプライムローンで延滞額が増え、サブプライムローンの延滞額を上回り続けている。さらにクレジットカードローン、不動産関連でも不良債権が増加するのは必至である。
 粉飾で矛盾を先送りしたことによって、次の金融危機の爆発力は一段と大きなものとなる。リーマン・ショックを上回る、第2波の金融大恐慌が爆発するのは時間の問題だ。

 歴史的な過剰資本状態縮小GMも再生不可能

 米経済は昨秋から、金融恐慌の激化と実体経済の急降下が相互に促進しあいながら進んできたが、実体経済は現在も下降し続けている。鉱工業生産は6月まで8カ月連続のマイナスだ。6月の製造業生産は前年同月比15・6%もの減少である。07年12月に始まった「景気後退」はすでに戦後最長の17カ月にも及んでいる。
 生産が低下しつづけているのは、住宅バブル崩壊で過剰生産力・過剰資本状態がむきだしになっているからだ。6月の設備稼働率は68%と、1967年の統計開始以来の最低を記録した。GDP統計で需要と供給を比較すると、年間7000億j(65・8兆円)もの需要不足である。年間の米国防予算52兆円をはるかに上回る。2月の総額7870億jの景気対策法はこの需要不足を埋めようとしたものだが、柱をなす減税にしても大半が貯蓄に回り、景気刺激効果はほとんどない。
 そもそも米経済は74〜75年恐慌以来、過剰資本状態にある。それをバブルの繰り返しで乗り切ってきたにすぎない。バブルは企業と家計の過剰債務を伴っていた。特に03〜08年の5年間で債務残高は、企業でも家計でも1・4倍強にもなった。合計で6・4兆j(600兆円)も借金を増やしたのだ。それが今や逆回転し、企業は債務不履行による経営破綻に、家計は消費抑制と貯蓄増に転じている。一時マイナスだった貯蓄率は、5月には6・9%にまで上昇した。過剰債務・過剰消費が終われば、当然にも過剰資本がむき出しにならざるをえない。
(写真 昨年12月、米イリノイ州シカゴの窓枠・ドア製造会社「リパブリック・ウィンドウズ&ドアズ」で、一方的工場閉鎖通告に対し労働者250人が工場を占拠し座り込んだ。1930年代のGMフリント工場以来の「シットイン」闘争として全米に報じられた)

 GMは2万人首切り失業率は15・8%に

 過剰資本が最も深刻なのは自動車産業だ。GMとクライスラーが経営破綻したのは、バブル崩壊で自動車が売れなくなったからである。しかも、日本車メーカーとの競争に負けてしまったからである。ビッグ3の自動車生産は前年比で半減という惨状にある。
 世界的に見ても、09年の世界の自動車生産能力が約8760万台であるのに対し、新車販売台数の見通しは5050万台。実に3710万台、4割強もの過剰設備だ。日本の新車販売台数が年間約500万台だから、その7倍もの過剰設備である。これほどの過剰は絶対に解消できない。戦後帝国主義の基幹産業であり最大の景気主導部門だった自動車で、ついに市場が飽和化してしまったのだ。資本主義の終わりそのものではないか!
 オバマ政権は昨秋以来、GMとクライスラーを救済しようとしたが、両社ともに破産法の申請に追い込まれた。クライスラーは6月に、GMは7月に再建手続きを終えた。GMは、米・カナダ両政府が株式の72%を保有する国有化企業となった。GMだけで政府の拠出額は500億j(4・7兆円)、部品会社を含めた自動車産業支援の総額は1000億j(9・4兆円)にもなる。”市場原理にすればすべてうまくいく”などという新自由主義は、大破産したのだ。
 両社の破綻と再建の過程をへて、労働者には大量首切りと賃下げが襲いかかっている。GMは国内47工場のうち14工場を閉鎖・休止する。これに伴い、米従業員を08年末の6万人強から10年には4万人強に減らす計画だ。すでに失業率は「求職活動をしていない人」や「フルタイム就職を望みながらもパートに就いている人」を含むと、15・8%(4月)にまで上昇した。
 資本主義は過剰資本状態下で延命するために、労働者に大失業を強制するのだ。資本主義体制自体を打倒しなければ、労働者は生きられない。しかし、UAW(全米自動車労組)はクライスラーとGMに対し、15年まではストライキをしないと約束した。こういう体制内指導部を吹っ飛ばして闘う以外にないのだ。
 しかし、どうあがいても両社ともに再生はありえない。新生GMは売上高が半減し、日本のホンダ並みに小さくなるが、肝心の国際競争力の回復の見込みはない。今後1〜2年も自動車が売れなければ終わりだ。かといって米帝はGMをつぶすわけにもいかない。帝国主義論で考えると、結局は米市場で日本車を締め出すような保護主義を強める以外になくなる。
 すでに米帝は、2月の景気対策法にバイ・アメリカン条項を盛り込み、率先して保護主義に動き始めている。GMの存否が現実化する時、米帝はすさまじい強硬な保護主義に突っ込むに違いない。米帝の本格的な保護主義は、世界の保護主義の歯止めを外して世界経済の分裂とブロック化、収縮を引き起こし、帝国主義間争闘戦を激烈化させることとなる。1930年代がそうだったように、非理性的な保護主義の噴出は、帝国主義間のつぶし合いという局面を一挙に引き起こす。
 このように米帝は、基幹産業である自動車をめぐって大失業と保護主義−帝国主義間争闘戦にのめりこみつつある。大恐慌は今や、大失業と戦争に行き着くしかない争闘戦の激化という局面に入ろうとしているのだ。

 財政悪化で米国債不信米帝の没落と戦争衝動

 米帝は大銀行と自動車産業を救済する恐慌対策をとっているが、銀行も自動車も救済できないだけでなく、この恐慌対策自体がより巨大で深刻な危機を引き起こしつつある。それが財政赤字の大膨張、米国債への不信の強まり、ドル暴落の危機の深まりである。
 09会計年度(08年10月〜09年9月)の財政赤字は、過去最大の1兆8410億jと予測されている。恐慌対策で支出が急増する一方で、恐慌下で法人税が前年比60%も減っている。
 財政赤字の膨張に伴い、米国債の発行額も激増している。従来、米国債は世界的に信用のある投資対象とされてきたが、この信用が崩れ始めている。このため、償還期間1年未満の短期国債の発行が増えている。09年4月までの1年間では長期国債発行額2689億jに対して短期国債発行額が4535億jと、短期国債が大きく上回った。”長くは持てない投資対象”に転落しているのだ。
 さらに3月には、FRBが向こう半年間で最大3000億jの国債を買い取ることを決めた。紙幣を発行する中央銀行が政府の借金を肩代わりするもので、第2次大戦以来の非常手段だ。
 しかし、国債発行による資金調達が余りにも巨額であるため、5月から国債価格が下落し、国債利回り=長期金利が上昇し始めた。これにつれて住宅ローン金利も上昇し、金融緩和効果が打ち消される事態にまでなった。米国債の消化難、あるいはその懸念によって金利が上昇するのは異例のことだ。

 中国が米国債を保有ドル離れが加速する

 こうした米国債に対する不信も含め、ドル暴落がついに現実的な視野に入りつつある。従来は、米国債の購入という形で国外から資金が流入し、それが巨額の経常赤字を穴埋めし財政赤字も賄う構図だった。しかし、最大の米国債保有国である中国を始めとしてドル離れが進みつつある。
 米帝にとって中国の米国債購入がなければ、米帝の財政も経済全体も成り立たない。中国にとっても対米輸出抜きに中国経済がもたない。だから、中国は米国債を簡単には手放せない。しかし、中国が米国債とドルの生殺与奪の権を握っている関係にある。米帝危機と中国危機が一挙に連動する構図だ。北朝鮮の体制的危機と米日帝による北朝鮮侵略戦争策動とも絡み合いながら、ドル暴落が現実化していく。
 現在の大恐慌の最大の特徴は、29年大恐慌と第2次大戦後の危機を乗り切った米帝が没落し、その中心部から崩壊していることにある。米帝の”最後のよりどころ”とも言えるドルの崩壊は必ずや、米帝危機と世界大恐慌を大爆発させるに違いない。しかもそれが、米帝の世界戦争への衝動をますます高めるものとなる。米帝は90年代以来、没落からの巻き返しをかけ率先して戦争に踏み切ってきたが、ドルの崩壊ともなればアメリカ史上最も凶暴な帝国主義と化して、世界戦争に突っこんでいくのだ。

 欧州と中国も「火薬庫」日帝は輸出崩壊で破産

 サブプライム危機の発火点となった欧州経済も、世界大恐慌の火薬庫のままだ。昨年来、EU加盟27カ国が打ち出した金融機関への資本注入枠は約42・3兆円にも上る。しかし依然として、ドイツ銀、クレディ・スイス、UBSの大手3行が保有する高リスクの証券化商品は約22兆円もあり、3行合計の自己資本の2倍強にも及ぶ。しかも、西欧の金融機関は中・東欧諸国に132兆円も融資しており、この債務不履行(デフォルト)から欧州金融機関の大破綻に進む可能性が大きい。また、EU加盟国の25歳未満の失業率は19%台にもなっている。そしてEUも各国ごとに、自動車や雇用などで保護主義にのめりこみつつある。
 中国経済は、昨秋打ち出された総額約52兆円の景気刺激策、銀行融資の急増(1〜6月だけで100兆円の増加)によって、かろうじて保たれている。しかし、中国のGDPに占める輸出依存度は約40%にも上り、その輸出が昨年11月からマイナスに転じて大打撃を受けている。今後、無理をした財政と銀行融資が新たな危機を引き起こしていくのは必至である。また、中国も政府調達や資源などで保護主義を強め始めた。
 日本帝国主義は、ますます「世界最弱の環」と化している。昨秋以来の輸出の「蒸発」で、日帝の「輸出立国」は崩壊した。5月時点でも輸出は前年同期比4割減だ。輸出の崩壊で、トヨタの過剰設備は国内外で約350万台分、日産1社分にまで膨らんだ。1〜3月には「需給ギャップ」が、年45兆円もの需要不足に陥った。
 今後、保護主義が本格化していけば、最も打撃を受けるのは日帝だ。日帝にとってアジアを勢力圏化するしかないが、肝心の韓国が米帝に続いてEUともFTA(自由貿易協定)に合意し、日帝はますます孤立しつつある。国家財政の再建目標も破綻した。自民党支配の崩壊の土台には、このような日帝の未曽有の危機と破産がある。
 こうした八方ふさがりの中で日帝は絶望的に凶暴化し、北朝鮮侵略戦争の策動を一段とエスカレートさせつつある。一方、1〜3月期の非正規社員数は前期比で97万人も減少し、正社員数も4万人減った。日本でも大失業が襲いかかっている。日帝にとって〈戦争・改憲と民営化・労組破壊〉の攻撃は、帝国主義としての存否をかけたものなのだ。

 解雇撤回と国際連帯で11月1万人結集へ

 以上、世界大恐慌がいよいよ本格化しようとしているのは明白だ。しかも、大恐慌下で帝国主義は大失業と保護主義−帝国主義間争闘戦にのめりこみつつある。もともと帝国主義の基本矛盾は、大恐慌と戦争として爆発する。そして大恐慌は大失業と戦争を引き起こしていく。これらすべてが革命的情勢を急成熟させるのだ。
 この革命的情勢の成熟下で、世界の労働者階級の決起は歴史的な高揚を見せ始めている。韓国民主労総金属労組サンヨン(双龍)自動車支部の労働者たちは、「解雇撤回」を掲げて工場占拠ストライキを闘い、資本・権力に対して決死抗戦を続けている。大恐慌下で労働者が生きていくには、資本・国家と非和解の闘いを貫くしかないことを、全世界に指し示している。日本・世界の労働者をこれほど鼓舞するものがあるだろうか。
 また、いま現に侵略戦争が強行されているイラク・アフガニスタンでは、米軍・帝国主義軍を敗勢に追いやる生死をかけた戦いが連日連夜、1日も絶えることなく繰り広げられている。
 さらに、米帝足下のILWU(国際港湾倉庫労組)の労働者たちは、7月国際会議をもステップにしながら、ランク&ファイルの運動を強め、米帝との対決に奮闘しつつある。
 そして何よりも日本では、動労千葉派が6・14〜15闘争を大高揚させ、4大産別決戦で日本革命の勝利を切り開く路線を打ち立て、その責任勢力として登場しようとしている。〈路線で団結し、路線で闘う〉という勝利の進撃が始まったのだ。
 世界の労働者階級は日々、勝利しているのだ。労働者が持つ階級的力に依拠して闘うなら、必ず勝利する。国鉄1047名解雇撤回闘争と国際連帯闘争を両軸に、11月労働者集会1万人結集に突き進もう。

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週刊『前進』(2402号5面1)(2009/08/03 )

 9・10〜12 全学連大会に総結集を

 労学共闘の地平を発展させ300万学生はいざ革命へ

 革共同中央学生組織委員会

 全学連第70回定期全国大会まで残り1カ月余りとなった。今次全学連大会は、暴処法弾圧と闘う獄中8同志との団結を固め、3年半の法大闘争の到達地平を鮮明にさせるとともに、世界大恐慌下における労働者・学生の決起の最先頭に全学連運動が立ち、世界革命を闘いとっていく出発点だ。情勢を決し、勝利するのはわれわれだ。資本主義が労働者・学生から未来ばかりか、その命まで奪おうとする時代に、青年・学生の怒りのエネルギーの爆発は帝国主義の打倒とプロレタリア革命にまで上りつめる。われわれはその主人公となる革命的存在だ。全国300万学友へ、全学連大会への結集を訴える。

 帝国主義の崩壊始まる

 全学連大会に向かって訴えたいことは第一に、資本主義の命脈が尽き、世界史的な大激動が始まっているということだ。
 昨秋以来の世界大恐慌の深化の中で、労働者階級の怒りは7月都議選において自民党を直撃した。自民党の崩壊とは、日本帝国主義ブルジョアジーの崩壊そのものだ。これまで戦後の長きにわたって日帝支配階級を支えてきた、あらゆる経済的・政治的・イデオロギー的基盤はすべて吹き飛んだ。今こそ労働者・学生がとって代わろう。
 09年度経済財政白書が「企業内余剰人員は過去最悪の607万人」と発表した。1年前の実に16倍だ。350万人とされる完全失業者に加え、これから「資本の利潤(剰余価値の創出)に寄与しない」とされて、600万の労働者が切り捨てられていく。1000万人の大失業攻撃だ。
 拡大再生産を原理とする資本主義が「ものづくり」をやめ、生産の主人公である労働者が「企業内失業者」と悪罵(あくば)され、首を切られていく。あふれ返る「余剰生産物」と膨大な空き工場、そして食っていけない失業者の群れ――これほどの転倒があるか。帝国主義はこの過剰資本・過剰生産力の矛盾を絶対に解決できない。
 そして、直面する世界大恐慌はまだまだこんなレベルでは終わらない。危機はこれからさらに深刻化する。資本主義数世紀の歴史で蓄積した全矛盾の爆発を、どうして小手先の政策などで解決できようか。
 支配階級は結局、生産の垂直落下とドル基軸通貨体制の崩壊におびえながら、帝国主義間の市場・資源・勢力圏をめぐる激しい争闘戦の圧力の中で、保護主義と侵略戦争にのめり込んでいくしかない。米帝オバマ政権の登場がそれを加速させている。
 しかし重要なことは、「戦争と大失業」への突入が全世界で労働者人民の憤激を呼び起こし、経済危機がただちに政治危機へ転化していることだ。7月都議選情勢はその端緒だ。
 独自の勢力圏も持てなければ、侵略戦争体制も構築できない国際帝国主義の最弱の環=日帝を打倒することが、21世紀プロレタリア革命の突破口だ。帝国主義の打倒か、その救済かの歴史選択が真っ向から問われている。
 そして、「闘えば勝てる」という高揚感が階級に充満している。何よりも、動労千葉労働運動と法大学生運動が屹立(きつりつ)し団結を維持していることが決定的だ。もはや社会の桎梏(しっこく)でしかない資本主義に断を下す総決起集会として、全学連大会をかちとろう。
(写真 6・15法大闘争を先頭で闘った全学連の学生たち)

 法大解放―8同志奪還

 全学連大会に向かって訴えたいことは第二に、法大闘争3年半の総括の核心は、資本・国家権力との絶対非和解を貫く階級的団結をかちとったことにあるということだ。
 一つに、法大闘争は5月暴処法弾圧をもって国家権力との真っ向からの激突となった。暴処法(暴力行為等処罰に関する法律)の本質は団結破壊だ。暴処法に震えあがる体制内勢力が算を乱して闘いから逃亡する中、全学連と文化連盟は獄中同志を先頭に団結を守り抜き、敵の狙いを根本の部分で粉砕した。戦前の日本共産党スターリン主義の敗北の歴史をのりこえる闘いが決定的に開始されたのだ。
 二つに、4・24−6・15闘争が、動労千葉を先頭とする労働者部隊との団結を固め、共通の敵である資本への反撃として打ち抜かれたことだ。
 4・24集会は、卑劣な封鎖をぶち破る1500人の実力決起でもってキャンパスを奪い返す闘いを宣言し、文化連盟を中心軸とする3万法大生の決起の現実性を敵に突きつけた。
 そして、労学共闘による6・14−15闘争への大結集が示したものは、新自由主義への怒りは青年労働者と学生において共通であり、労働者階級の解放がすなわち全人民の解放であり、学生もまた労働者との階級的団結を強化し資本主義を打倒する中に自らと大学の解放もある、という真理だ。ついに日本階級闘争の最先端で動労千葉労働運動と法大学生運動が結合した。ここからいよいよ日本プロレタリア革命に向かっての進撃が始まる。
 三つに、法大闘争は新自由主義攻撃に対して絶対反対の闘いを貫くことで、階級的団結=マルクス主義をキャンパスにおいて復権させた。ここに最も質的な高さがある。それを体現する獄中8同志の存在こそラディカルな「革命の現実性」だ。
 弾圧に対して110人が例外なく完全黙秘・非転向を貫く、法大資本の振りかざす「営業権」と対決する、体制内勢力の鼓吹するあらゆる虚偽のイデオロギーを拒否する、そこで初めて団結が生まれ拡大した。
 「教育の民営化」は大学と教育を一変させた。人間解放の武器であるべき学問が青年・学生を支配し、団結を破壊するものに逆立ちしている。
 新自由主義大学、その最も腐敗した姿である法政大学の中に、何か一つでも「守るべき対象」があるだろうか。徹底的な破壊しかない。ブルジョア大学を破壊し尽くした中から初めて真理は創造される。
 「新自由主義大学は大学を滅ぼし、権威を破壊し、人権を踏みにじる。教育を商品化し、文化の多様性を否定し、人間の自尊心を踏みにじる市場原理主義を、燃やして、壊して、ぶっつぶそうぜ!」(文化連盟副委員長・恩田亮君の6・15集会へのアピール)
 キャンパスを実力で奪い返すとはこういうことだ。この根底性ゆえに、法大闘争は資本主義社会における最も革命的な変革主体である労働者階級と団結し、その革命性ゆえに、全世界で一挙に連帯が広がっているのだ。
 四つに、この法大闘争の思想的立脚点は「反帝国主義・反スターリン主義世界革命戦略」だ。現代世界は、帝国主義が幾たびもその基本矛盾を世界戦争として爆発させながらも、スターリン主義の裏切りをテコに労働者階級の闘いを血の海に沈め、延命し続けてきたという基本構造をなす。
 だからこそ、帝国主義のあらゆる反動的な現れに対して絶対反対の闘いをたたきつけるとともに、労働者の革命性を否定するスターリン主義を実体においてのりこえる革命的な労働者党を全国の職場・キャンパスに建設することによってのみ、労働者階級の社会変革の欲求は帝国主義国家権力を打倒しうる巨大な奔流となる。この革命精神をマル学同中核派法大支部の闘いは貫いてきた。
 五つに、獄中から法大へ、法大から全国大学へ、そして全国の闘いの一切を9月全学連大会へ一点集約しよう。
 法大闘争が打ち立てた階級的団結は革命的激動期に生きる青年・学生の生き方として普遍である。全学連運動の本格的な飛躍、発展期が到来した。8同志の釈放を求める声明運動を決定的な武器とする巨大な大衆運動を巻き起こそう。そして、8同志の初公判闘争と一体のものとして全学連大会へと攻め上ろう。

 教育の民営化と対決し

 全学連大会に向かって訴えたいことは第三に、キャンパスを、ブルジョア的幻想を打ち砕く日帝打倒−世界革命の砦(とりで)としようということだ。21世紀革命における大学と学生運動の持つ位置は決定的だ。
 一つに、ブルジョアジーは自らの存立基盤であった教育という領域すらも、ずたずたに破壊した。資本主義社会における大学は本質的には資本家的要請に基づく労働力養成機関、もしくは国家的政策の貫徹のための人材育成機関であったが、支配階級や体制内勢力はそこに「学問の自由」という擬制を施すことによって、賃労働と資本の関係から切断された真理を実現できるかのような幻想をあおってきた。しかし、新自由主義はこのあり方を粉砕した。法政大学がその最たる現実だ。
 だからこそ、法大闘争の掲げる「教育を取り戻せ!」とは、学生がプロレタリアートの立場から、賃金奴隷としての自らの経済的基礎である生産手段の資本家的私有を革命によって粉砕し、社会主義社会を建設する中で「真の人間解放の学問」をかちとっていく闘いだ。帝国主義段階における大学の矛盾はただ、プロレタリア革命によってのみその解決の前提を与えられる。
 二つに、こうした中で、法大総長・増田寿男がブルジョアジーの階級意思もむき出しに登場してきたことを絶対に許してはならない。増田は機関誌『HOSEI』の中で、「日本は将来の展望も見えづらいし、……若者たちが未来に希望をもてない社会になっています。このようなときに、戦後の『自由と進歩』の復活のような機運が、法政大学の中でもう一度盛り上がる必要がある」「ただ、当時のように人権思想とか進歩的な学問とか、そういう一般的な形ではなかなか難しいので、もう少し広い視野が必要でしょう。『自由と進歩』の意味を現代的に解釈し直し、……新しい『自由と進歩』の概念をつくり出すことにより、法政大学を変革する時期に来ているのではないか」などとインタビューに答えている。これほどふざけきった話があるか。
 キャンパスにおけるあらゆる表現活動を禁圧し、110人の学生を監獄に送り、団結破壊と暴力支配を貫くことを増田は「新しい『自由と進歩』の概念」と言っているのだ。これこそ、「核廃絶」の名のもとに北朝鮮・イラン侵略戦争を準備する米帝オバマとまったく同じ、黒を白と言いくるめる最末期帝国主義の転倒そのものではないか。
 法大闘争は、こうした「教育」を断固否定し、学生の団結にのみ依拠した権力をキャンパスに打ち立ててきた。
 三つに、闘いの路線は鮮明だ。国鉄闘争を先頭とした4大産別における闘いと一体となり、全国大学で〈改憲・戦争、民営化・労組破壊(団結破壊)>と闘うこと、何よりもキャンパスにおいて「教育の民営化」と対決し、道州制攻撃を迎え撃つ団結と組織と権力をつくり出すことだ。その基軸に法大決戦がある。新自由主義大学への300万学生の大反乱を巻き起こそう。

 強大なマル学同建設を

 全学連大会に向かって訴えたいことは第四に、動労千葉が全世界に呼びかける11月労働者総決起集会への全国学生の大結集をつくり出すことこそ、今次全学連大会の最大の獲得目標だ。
 7月サンフランシスコ国際労働者会議における決議が示すように、動労千葉労働運動が世界大恐慌と対決するインターナショナルな司令塔になろうとしている。11月集会への1万人結集の物質力がマルクス主義と労働組合を革命的によみがえらせ、全人民に勝利の展望を指し示す。
 この大結集の鍵は、第2次国鉄決戦と法大決戦の爆発にある。昨年の労働者集会で文化連盟・斎藤郁真委員長のアピールが圧倒的に全参加者を獲得したことが労学連帯の先駆けとなった。1万人結集の決定的環として全国学生1000人結集をかちとろう。
 最後に、われわれは自らが切り開いた地平に一瞬も踏みとどまることなく、全学連大会に向かってさらに前進と変革をかちとらなければならない。それは一つに300万学生の団結を組織するマルクス主義学生同盟中核派の建設であり、いま一つに坂野陽平委員長代行を中核とする全学連指導体制の確立だ。闘いの前進が生み出す密集せる反動をのりこえてきたのが、この3年半の法大闘争と全学連運動だった。それは国際階級闘争に誇りうる地平だ。しかし情勢は待ったなしだ。大恐慌で支配階級の危機は深まり、社会に怒りは満ちている。スターリン主義をはじめ体制内政党の行く道に青年・学生の未来はない。
 今こそすべての大学キャンパスに、革命的時代認識で武装された全学連運動が登場し、学友の怒りと大胆に結合しよう。全学連大会に向かって、歴史の要請に応える8―9月決戦を実現しよう。

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週刊『前進』(2402号7面1)(2009/08/03 )

 大恐慌と自民党崩壊を革命へ

 1047名解雇撤回・農地死守・国際連帯で11月1万人大結集を

 「組織、組織、また組織」(ボルシェビキ4月協議会)せよ

 はじめに

 長きにわたる資本主義が、音を立てて崩壊を開始している。「生産手段の集中も労働の社会化も、それがその資本主義的な外皮とは調和できなくなる一点に到達する。そこで外皮は爆破される。資本主義的私有の最期を告げる鐘が鳴る。収奪者が収奪される」(マルクス『資本論』第1巻第24章)。今や「必然の王国」から「自由の王国」への人類史の飛躍に向けて、幾多の闘い倒れた被支配階級の怒りと無念の一切を背負い、引き受けて、プロレタリア世界革命をやりぬく時がきた。
 帝国主義は、1929年を超える大恐慌に深々と突入し、死の苦悶(くもん)にのたうち回っている。一方では大失業と戦争が全世界を覆い、他方ではプロレタリア自己解放の革命的本源的な力が開花し、プロレタリア世界革命の嵐の時代が始まった。21世紀初頭の情勢は、帝国主義とその支配体制の全面的打倒・転覆を反帝国主義・反スターリン主義のプロレタリア世界革命としてなしとげ、共産主義社会への全人類史的移行を必ず実現するという世界史的大課題に向かって、日々激動的に進んでいる。
 7月都議選における自民党の惨敗とその後の解党的状況は、09年前半をとおした日本の階級情勢を象徴している。自民党政権による「議会制民主主義」の虚構によるブルジョア独裁支配は崩壊した。日帝ブルジョアジーの戦後の統治形態が吹き飛んだのである。
 世界金融大恐慌の爆発が日帝に最も大きな、かつ深い打撃を与え、新自由主義攻撃の破綻の中で階級的矛盾を噴出させている。この中で、戦争・改憲と民営化・労組破壊の攻撃を強引に推進してきたブルジョア政治家どもに対して、労働者階級人民の積年の怒りがたたきつけられたのである。この怒りは階級的非和解的対決として発展し、必ずや帝国主義・資本主義の体制打倒へと向かう。
 日帝の自民党支配−階級支配の全面的危機と崩壊は、むき出しの階級と階級との力勝負になる。「戦争か内乱か」「ファシスト反革命かプロレタリア世界革命か」が真っ向から激突する時代に突入した。それはロシア革命を勝利に導いたプロセスを、21世紀の現代に甦(よみがえ)らせることを求めていると言って過言ではない。
 1917年ロシア2月革命後の二重権力状態を10月革命の勝利に導いたのは、レーニンとボルシェビキが掲げた「どの工場、どの地域、どの町にもプロレタリアートを組織せよ」「組織、組織、また組織」(17年4月ボルシェビキ全国協議会)の戦闘スローガンである。同時に、「労働組合は、革命を勝利するまでおしすすめることに最も関心を持つ労働者階級の戦闘組織であり、その組織は、プロレタリア政党と緊密な結びつきを持たなければならない」(17年7月ボルシェビキ第6回全国大会)ということの、地をはうような実践だった。そしてこの全過程において「すべての権力をソビエトへ!」に真っ向から敵対したメンシェビキらの体制内反革命との路線的・イデオロギー的・組織的死闘に勝ち抜くことに最大のエネルギーが投入された。
 現下の日本階級闘争の焦点は、体制内労働運動との死闘に打ち勝って、青年労働者を先頭にした11月労働者集会1万人結集の実現へ、「組織、組織、また組織」の闘いを死活をかけて打ち抜くことだ。大恐慌をプロレタリア世界革命に転化する闘いの最先端に、11月1万人結集をもって躍り出よう。
(写真 6・14渋谷 動労千葉が呼びかけた全国総決起集会は2100人が集まり、「1047名解雇撤回、法大弾圧許すな!」を掲げて闘い、大高揚をかちとった)

 T 階級的労働運動路線を実践し巨大な前進とげた09年前半戦

 (1) 国鉄闘争と4大産別決戦を革命戦略の軸に据える

 09年前半決戦が切り開いた地平について確認したい。
 第一は、国鉄決戦を基軸とする4大産別決戦を革命戦略として確立し、日帝の〈戦争・改憲、民営化・労組破壊〉攻撃との全面的対決を開始したことである。国鉄決戦を革命論的に確立し、そのもとで4大産別決戦を日本革命の基本戦略としてたぐり寄せた。
 日本における新自由主義攻撃とその環としてある労働組合と労働運動の根絶攻撃は、国鉄分割・民営化攻撃として始まった。それは、国鉄労働運動を軸にして営々と展開されてきた労働組合のナショナルセンターを解体し、4大産別を丸ごとたたきつぶす階級意志をもった希代の反革命だった。1974〜75年恐慌以来、「国家と革命」の問題が日帝支配階級を直撃する中で、国家機構内部にある4大産別の解体は日帝と日帝ブルジョアジーの全命運を賭けたものとしてあった。
 しかし、動労千葉が乾坤一擲(けんこんいってき)の大ストライキを打ち抜き、階級的団結を守りきった。JR体制に移行後も連合結成下で再度の8波にわたるストライキを打ち抜き、国鉄1047名闘争の歴史的登場をかちとった。そして二十数年余にわたる動労千葉労働運動と1047名解雇撤回闘争は、国鉄分割・民営化攻撃の完遂を阻止し続け、同時に4大産別の労働組合的団結も死守するものになった。
 09年前半、大恐慌下の労働組合と労働運動をめぐる攻防は、一方では4者4団体による1047名闘争の解体策動として、他方では道州制・民営化攻撃として激しく火を噴いた。その渦中で、体制内労働運動との非和解的闘争を貫いて、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕闘争論と道州制・民営化絶対阻止論を、4大産別決戦の革命論的確立と一体で打ち立てたのである。
 国鉄1047名闘争は、日本と世界の労働運動史上に光り輝く一大解雇撤回闘争である。そして、大恐慌下で進行する大失業攻撃へのプロレタリアートの断固たる姿勢と行動を示す闘いとなっている。2千万青年労働者、6千万労働者の日帝・資本に対する階級的憎悪が1047名闘争と結合することが、革命への道である。
 この時、国労5・27臨大闘争弾圧粉砕闘争が1047名闘争の一翼に座り、その路線的中軸を形成して、「和解路線」のもとで裏切りを重ねてきた国労本部打倒の革命的出発点を築いたことは決定的だ。5・27被告団の法廷証言集『俺たちの怒りと誇り』は、動労千葉と並ぶ国労における動労千葉派の登場を刻印するものになった。2000年5月の日帝による4党合意の提示以来、2年間で6回の大会を強行した国労本部と日帝権力による02年5・27暴処法弾圧を打ち破り、4者4団体路線の最後的破綻を強制したことは、09年前半の特筆すべき地平である。
 さらに、道州制・民営化攻撃絶対反対ののろしが郵政・自治体・教育の職場生産点で上がった。道州制攻撃こそ、360万人の公務員労働者を全員解雇・選別再雇用するという大恐慌時代の民営化攻撃である。この攻撃は体制内労働運動指導部を屈服させ、先兵にして、労働組合を徹底的に変質させてファシストの道州制国民運動の一翼に組織するものである。国鉄分割・民営化攻撃に対して動労千葉は、「3人に1人の首切りに対して闘わなかったら団結は守れない」と、「死中に活を求める」決意で立ち上がり、戦後労働運動の奇跡と言われる地平を切り開いた。動労千葉労働運動に学んで、関西で、首都圏で、全国で、体制内指導部と非和解的な死闘を貫きながら、道州制・民営化攻撃絶対反対の闘いの心棒が立ったことは決定的である。
 階級対階級の決戦が4大産別決戦として立ち、そこに結集し、そこを総括軸にして、労働者階級の職場生産点の全体を集約する地平をたぐり寄せた。
 こうした地平は、昨年11月労働者集会以降の「生きさせろ!」ゼネストを掲げた闘いの中で切り開かれた。工場閉鎖・首切り・雇い止め・派遣切りに対して、ストライキや構内デモ、職場集会など、動労千葉型労働運動を青年労働者を先頭にして打ち抜いたことが土台を形成した。さらに、これらの闘いを3・20中央政治闘争へとどう集約し発展させ、次の爆発を切り開くかをめぐって苦闘につぐ苦闘を重ね、〈時代認識と路線〉で闘うことをつかみとった。〈路線で闘う〉ことが労働運動・労働組合運動の階級的発展の生命線であることを体得し、国鉄決戦を基軸とする4大産別決戦をプロレタリア革命への基本路線として確立した。
 同時に、〈帝国主義と戦争〉という現代革命の大テーマに対し、階級的労働運動の白熱的展開、特に労働組合の決起と獲得で勝負することもはっきりさせた。こうした全成果と地平が、4・24法大解放闘争と結合しつつ、6・14−15連続闘争として打ち抜かれ、階級闘争全体の質的革命的転換をかちとるものになった。「大恐慌をプロレタリア世界革命に転化する」闘いの現実的突破口を切り開いた。

 (2) 法大解放闘争で画期的な管制高地を切り開いた

 第二に、法大決戦が、権力・当局の3年3カ月におよぶ未曽有の学生運動圧殺攻撃を打ち破り、団結罪ともいうべき暴処法攻防にも勝ち抜いて、60年、70年を超える学生運動の歴史的爆発の時代を引き寄せた。
 今現在、東京拘置所で斎藤郁真法大文連委員長を始め文連3役、織田陽介全学連委員長を始め全学連3役、3年連続の長期獄中闘争を闘う新井拓同志、昨年5・29起訴に続いて4・24闘争と暴処法での二重の起訴攻撃と闘う内海佑一同志が、法大解放闘争の不動の勝利を確信しつつ、獄中34年の星野文昭同志に続いて、日本階級闘争の最前線で闘っている。ここに法大解放闘争の偉大な管制高地がある。そしてついに、09年前半の「労学共闘」の階級的地平は、新自由主義大学粉砕=大学解放の闘いを真に実現する無限の可能性を獲得した。
 法大決戦の地平は、一つはマルクス主義と動労千葉労働運動を主体化し、それを必死に体得することで切り開かれた。大学が「営業権」「施設管理権」を押し出して学生の主体的行動をことごとく禁圧し、国家暴力をさしむけてのべ110人の逮捕・33人の起訴を強行し、さらには暴処法を発動する。これに対し、労働者階級とともに学生の地の底からの決起をどこまでも信頼し、確信し、闘い抜いた。同時に動労千葉労働運動が権力・資本、そしてファシスト反革命との死闘をくぐり抜け、団結の一点にかけて前進してきた地平に徹底的に学び闘ってきた。
 マルクス主義と動労千葉労働運動に獲得された学生運動のリーダーたちの登場は、日本の学生運動史上画期的なことである。
 二つには、〈時代認識と路線〉で勝負したことである。『ジャパンタイムズ』の報道写真が示すように、法大解放闘争は日々命がけの決起になった。過酷な弾圧と圧殺体制を打ち破り、学生大衆の怒りを引き出し、怒りを決起に転じる〈路線〉が問われた。革命をやりぬく立場から新自由主義をとらえ、そして今日の大恐慌は必ずや戦争として爆発することを見据えて、処分撤回闘争を「1人の仲間も見捨てない!」「教育を取り戻せ! 未来を取り戻せ!」として路線化した。
 このスローガンは、新自由主義大学の腐敗の極致のもとで「奴隷の鎖」を打ち破る団結を核心に据えたものである。4・24法大解放闘争は、この路線で厚い岩盤を打ち破って1500人の決起をかちとり、法大解放闘争の不滅の出発点を築いた。
 三つには、法大闘争が全社会的、全世界的波及力を獲得する中で、さらに6・14−15闘争の地平を切り開き、発展させていることである。
 獄中8学生の即時釈放を求める全国声明運動、情宣活動禁止の仮処分や暴処法弾圧に抗議するのべ250人を超える弁護士の決起、7月サンフランシスコ国際会議での7カ国の決議、国際的報道などのすべてに貫かれているのは、弾圧への怒りとともに、若き学生の全存在をかけた闘いの姿そのものへの共鳴である。一部の体制内勢力が弾圧の過酷さのみを強調し、獄中で不屈に闘う学生たちを「救済」の対象としてのみ描き出すことは、法大闘争の前進を阻む以外の何物でもない。
 そもそも日本の学生運動は、60年代、70年代、80年代と、大学キャンパスの支配権をめぐるスターリン主義やファシストとの流血の死闘に勝ち抜き、かつ安保・沖縄闘争や国鉄・三里塚決戦に数千、数万人の逮捕・投獄をのりこえて決起してきた。こうした輝かしい歴史が今、法大決戦の魂になり、土台になり、かつ全面的に継承されて、新自由主義とその破綻=大恐慌がもたらす全反動を大学と社会の根底的変革=革命への糧に転じて闘っているのである。
 その闘いの正義性、階級性ゆえに、110人の逮捕者全員が1人の例外もなく完黙・非転向で闘い抜いた。ここに戦後学生運動のすべてを塗り替える金字塔が打ち立てられた。だからこそ、動労千葉と4大産別労働者の主導下で、戦後階級闘争史上画期的な労学共闘が打ち立てられたのである。
 この労学共闘をバネとする4大産別決戦と法大解放闘争の爆発は、革命的情勢を白熱的に一挙に押し開く。革命的学生運動と階級的労働運動が一体化して闘うことが可能になったことこそ、09年前半の最高の到達点である。

 (3) 国際連帯の新地平=7月サンフランシスコ会議

 第三は、09年11月労働者集会1万人結集を展望する国際連帯闘争の具体的かつ本格的前進が闘いとられたことである。
 7月上旬、サンフランシスコで開催された労働者の国際会議とサンディエゴでの教育労働者の交流は、11月国際連帯闘争が、体制内労働運動と対決して階級的労働運動を職場からのランク&ファイル(現場労働者)の決起で組織して闘う、全世界の労働者の総結集へと発展する情勢を切り開いた。
 世界大恐慌のもとで、アメリカ帝国主義の崩壊がドラスチックに進行している。その足元で、それも階級闘争の激戦の地であるサンフランシスコとサンディエゴで、動労千葉、韓国民主労総ソウル地域本部、ILWUローカル10とローカル34が中心に立って、大恐慌に立ち向かう労働運動の再建のために論議したことは、大きな意義を有している。
 このサンフランシスコ国際会議で、動労千葉が提案した決議が満場一致で採択された。その決議は、結語で「日本の11月労働者集会を重要な労働者階級の国際的な共同行動の日として支持し、闘いへの結集を各国で呼びかけることを決議する」と訴えている。動労千葉が新自由主義攻撃と真っ向から激突して闘い、団結を守り抜いて勝利し続けてきたことが、体制内指導部の裏切りと闘い、新自由主義の打倒を希求する全世界の労働者を獲得しようとしているのだ。大恐慌下で、国境を越えたプロレタリアートの団結は、新たな労働者インターナショナルへと本格的に動き出している。

 (4) 7月テーゼの下で全戦線での路線的確立かちとる

 第四に、階級的労働運動路線と7月テーゼのもとで、全戦線での闘いが路線的に確立され、11月1万人結集の重要な一翼を形成しつつあることを確認したい。
 道州制攻撃の本格化のもとで、闘う全戦線が革命の生死をかけた決戦を迎えている。とりわけ三里塚現地では、市東孝雄さんの農地取り上げ攻撃との激突が重大な決戦局面に突入した。これに対し、市東さんの不屈の決起と反対同盟の呼びかけに応えて、職場で資本と闘う青年労働者や法大闘争を闘う学生が、新たに三里塚現地への結集を続々と開始した。3・29闘争、7・5緊急闘争を始め、労農学の連帯と団結の力で敵の攻撃を真正面から打ち返し、「空港絶対反対」「農地死守・実力闘争」の原則を断固として貫き発展させる闘いが始まった。
 関西新空港闘争も、地元泉州住民と労働者の決起を軸に、道州制粉砕・橋下打倒の闘いとして7・19を起点に新たな高揚を開始した。
 09年の5・15沖縄闘争は、沖縄闘争の歴史的飛躍を画する闘いとしてかちとられた。米軍再編と道州制攻撃は完全に一体であり、大恐慌と戦争への突入は沖縄にますます最大の矛盾と犠牲を集中する。これを打ち破るのは、沖縄を真に「革命の火薬庫」としていく闘いにあり、その核心は沖縄における闘う労働運動の登場にある。その決定的な第一歩が、本土と沖縄の分断をぶち破る青年労働者の団結した決起を先頭にして始まった。
 さらに、改憲・戦争攻撃の重要な要である裁判員制度の導入に反対し、弁護士戦線を先頭とする闘いが激しく闘い抜かれてきた。「裁判員制度はいらない!大運動」は昨秋以来、連続的闘争に立ち上がり、今や「裁判員制度の廃止へ」を真っ向から掲げた全国的大運動としてますます継続・発展している。
 弁護士戦線は、「裁判員制度絶対反対」を貫いて闘い、さらに新自由主義攻撃と司法改革を一体のものとしてとらえて、動労千葉を始めとした労働組合との意識的結合を闘いとってきたことが、日帝権力機構を吹き飛ばすほどの情勢をつくり出している。法大弾圧弾劾に空前の規模の弁護士が結集し、法大学生運動の熱い息吹きとともに進んでいる。
 09年前半の特筆すべき闘いとして、星野闘争の前進がある。全国労組交流センター総会の決議を出発点に、闘う労働組合が、獄中34年の星野文昭同志奪還運動の中心に座る闘いがついに本格的に始まった。星野再審連絡会議の6月全国総会は、「労働者階級解放闘争の力こそが再審・釈放をかちとる力」「権力との闘いをあいまいにするな」という星野同志のメッセージを共同綱領として確認し、これに敵対する塩川一派らとの決着をつけ、星野同志奪還の路線を鮮明に打ち立てた。
 日帝の労働者階級分断攻撃である入管体制を粉砕し、民族・国籍・国境を越えた階級的団結を打ち固める闘いは、昨年に続き一層決定的な飛躍をかちとった。動労千葉労働運動との結合のもとで、改悪入管法粉砕の闘いが打ち抜かれ、在日・滞日外国人労働者の闘う結集軸がつくり出された。戦後革命期をものりこえる共同闘争と単一党建設へ向けての展望が大きく切り開かれてきた。
 西郡住宅強制執行粉砕闘争の爆発 は、道州制・民営化攻撃粉砕の突破口を開くと同時に、部落解放闘争の新たな、真に革命的で自己解放的な前進を闘いとるものとなった。さらに、婦人民主クラブ全国協を先頭とした3・8国際婦人デーの闘い、障害者解放闘争、反軍闘争など諸戦線の路線的確立の闘いが、地区党建設と一体となって飛躍的に進んだ。
 こうした闘いこそ、塩川一派を打倒して獲得した階級的労働運動路線と7月テーゼの地平そのものである。全戦線が11月へと打って出る橋頭保がここに打ち立てられている。

 U 階級的団結論と絶対反対論で闘って切り開いた実践的地平

 09年前半、革共同は、本紙春季特別号と中央労働者組織委員会・全国会議において、大恐慌をプロレタリア革命に転化するための焦眉(しょうび)の課題を明確にし、路線の鮮明な確立をかちとった。この根幹にあるのは、革命的情勢の切迫下における労働組合論の革命論的な確立である。そして、階級的団結論と絶対反対論の実践的地平をもって、国鉄闘争を軸とした4大産別決戦を革命戦略として確立した。
 09年前半の地平を踏まえつつ、絶対反対論を階級的団結論のもとで猛然と実践する闘いを、党と階級の真価をかけて本格的、全面的かつ非妥協的に推進することが求められている。その場合、自らの存在がいまだ小さな「点」でしかないとしても、この「点」こそが実際には決定的な存在であり巨大な可能性をもっていることを、マルクス主義者として確信することである。
 絶対反対論とは、大恐慌時代において、資本家階級と労働者階級との絶対的非和解性を明確にして階級闘争を闘うことであり、そこに妥協など一切存在しない。そして路線が明確になれば、実践方針は自在に展開できる。

 日和見主義との完全な決別が勝利を開く

 重要なことは、1917年ロシア革命の勝利を導いたレーニンの「日和見主義との完全な決別」に学ぶことである。レーニンは、17年革命の前夜に『帝国主義論』で、労働運動における日和見主義・社会排外主義の潮流が帝国主義固有の寄生性という経済的・社会的基礎と結びついていることを全面的に暴露し、これとの非妥協的な対決=完全な決別をプロレタリア革命の絶対的・死活的課題として明確にした。それは、労働者階級を地獄の道に引き込んでいるカウツキー主義に対する徹底的な党派闘争として展開された。
 「帝国主義との闘争は、それが日和見主義に対する闘争と不可分に結びついていないならば、一つの空疎で虚偽な空文句にすぎない」(『帝国主義論』)。ここにレーニン主義革命論の重要な核心がある。
 全世界的革命情勢のもとで、万国のプロレタリアートが普遍的に直面している大テーマは、オバマを始め帝国主義国首脳のことごとくが、労働組合のナショナルセンターやその指導部を地獄の道に引き入れ、大失業と戦争の先兵として組織している現実を、階級的潮流の力で打ち破ることができるか否かにある。かつて、スターリン主義が「ルーズベルト支持」をもって1930年代階級闘争の世界革命への発展を裏切った歴史を打ち破り、今度こそ革命勝利の大道を開くことである。
 特に日本階級闘争の現局面に勝ち抜くことが決定的だ。連合中央はもとより、日本共産党スターリン主義・革同、民同や社会主義協会派、JR総連・カクマルから4者4団体派、塩川一派らに至る、プロレタリア革命に恐怖するあらゆる諸党派の敵対を徹底的に踏みしだき、打倒して、2千万青年労働者―6千万労働者の階級的憤激を解き放つ時が来た。
 体制内労働運動からの完全な決別は必ずや、労働者階級の根底からの自己解放的決起を生み出すのだ。あらゆる形のブルジョア的、小ブルジョア的なイデオロギーと徹底的に闘い、粉砕し尽くす中でこそ、プロレタリアートの階級的力は真に解き放たれていく。
 したがって、この党派闘争の貫徹は同時に、マルクス主義の原点に徹底的に立脚して闘うことである。また「生きたマルクス主義」を現実の労働組合運動の中で実践し続けてきた動労千葉労働運動の意義を明らかにし、そこに学んで闘うことである。
 動労千葉の闘いはまさに、階級的団結の一点にかけて絶対反対を貫くことの圧倒的な勝利性を満天下に突き出している。そしてついに青年労働者を組織し、青年部結成に向かおうとしている。その闘いは今や、苦悩する世界のプロレタリアートと階級的労働組合の司令塔として、国際的な影響力と求心力を獲得しつつある。
 この対極にいるのが塩川一派だ。塩川一派が、マルクス主義と階級的労働運動路線に反対して革共同から脱落・逃亡してから、すでに1年半以上がたつ。彼らは権力との関係では革共同憎し、動労千葉憎しで反革命的なスパイ集団と化す一方、運動的には階級性・党派性・路線性をますます解体し、社民党以下の体制内集団、市民主義集団へと変質・純化していっている。

 小ブル反革命の立場に転落した塩川一派

 特にこの間は、三里塚闘争や関西新空港闘争や星野再審闘争の変質と解体を狙ってうごめき、大衆的運動的に弾劾・粉砕されて、破産を深めている。しかし三里塚闘争の変質と分裂を狙う彼らの卑劣で反革命的な策動は断じて許しがたい。絶対に粉砕あるのみだ。
 さらに社会文化会館での「6・14集会」がさらけ出したように、「広範な統一戦線」の名のもとに民主党や社民党を支持すると同時に、特に国鉄1047名解雇撤回闘争を解体する4者4団体派の先兵となって、国鉄決戦と動労千葉に敵対を深めている。塩川一派は、革共同から脱落・逃亡して以降、まさにレーニンが批判してやまなかった「プロレタリア革命の背教者」=カウツキーと同じ社会排外主義への転落を極めているのだ。
 その上で今ひとつ決定的なことは、反マルクス主義・反階級的労働運動路線の地点からもっと転落して、塩川一派がついに行き着いたのが〈小ブルジョア的反革命>のイデオロギーと立場だということだ。その決定的証拠が塩川通信「未来」第30号(4月7日付)である。ここで彼らは中野洋著・新版『甦る労働組合』への批判と銘打った「大論文」を掲載し、「労働者は社会の主人公である」「労働者こそが社会を動かしている」というマルクス主義の核心問題の提起に、「思い上がりもいいところだ」などと敵意をむき出しにして、次のようにうそぶいている。
 「中野氏には農民や漁民の姿はその眼中にはない」「ここに浮かび上がるのは、農村や漁村の苦境の上にあぐらをかく尊大な都市住民の姿ではなかろうか」
 いったい何ということか。動労千葉とその前委員長である中野顧問こそが労農連帯の旗を掲げ、一貫して三里塚闘争を闘ってきたのだ。旧社会党・総評などすべての勢力が三里塚から撤退した中で、動労千葉だけが労働組合として三里塚に残り、反対同盟との血盟を守り、「車の両輪」として闘ってきたのではなかったか。解雇や処分をかけてジェット燃料輸送阻止闘争を貫徹したのは誰なのか。塩川一派はその事実を知りながら、中野顧問と動労千葉への敵意を露骨に表明しているのだ。
 塩川一派はここで、あたかも農民や漁民の立場に立っているふりをして、彼らと労働者階級を分断して、動労千葉と対立させようとしている。塩川一派の中にある小ブルジョア的な労働者階級への憎悪をむき出しにして、そのもとに農民を組織することを狙っている。それは闘う農民をも限りなく侮辱し、踏みにじるものだ。
 これはもはや反マルクス主義を超えて小ブル反革命そのものだ。ここから、2・26事件を引き起こした戦前の農本主義的反革命への転落まではあと一歩である。
 動労千葉労働運動に敵対し、階級的労働運動路線に反対して革共同から脱落・逃亡した塩川一派の変質と転落は、ついにここまで行き着いた。今こそ塩川一派をあらゆる大衆運動・階級闘争の場から追放し打倒しよう。

 V 大恐慌-戦争・大失業と対決しプロレタリア世界革命勝利へ

 (1) 29年−30年代をも超える後がない歴史的な大恐慌

 世界大恐慌は、現在、その転落局面の2合目とか3合目の段階にある。これから「2番底」や「3番底」を経過して、さらに本格的に激化し深まっていくのだ。
 日米の政府や帝国主義ブルジョアジーは、政治的な思惑と願望から早々と「底打ち」や「回復の兆し」なるものを宣言している。だがその舌の根も乾かぬうちにネタ切れ、ガス欠状態である。米金融大手6社の4〜6月期決算の「黒字化」も、露骨な粉飾決算、インチキな「健全性審査」(ストレステスト)と社債発行、大規模な資産売却の利益といった特殊要因で、業績が人為的にかさ上げされたものに過ぎない。すでに政府管理下にある最大手のシティグループを始め、7〜9月期以降の赤字再転落とその長期化はまったく不可避となっている。
 何よりも米帝経済自体、大恐慌爆発の震源である住宅バブルの崩壊、住宅価格下落に歯止めがかかっていない。サブプライムローンだけでなく、より「信用度」が高いとされるプライムローンにも、焦げ付きと債務不履行が拡大している。雇用情勢悪化−失業率の急上昇の中で、クレジットカードのローン返済も貸し倒れが増加している。オフィスビルなど商業用不動産の証券化商品も急速に傷み始めた。このためリーマン・ショックと同時にその大半が破綻し、吸収合併や「国有化」や業態変更で生き延びた米巨大金融機関の不良債権や貸倒引当金は、この間2〜3倍に膨れ上がっている。住宅価格の下落はピークの半分までいくと言われるが、現在の下落率は約30%だ。シティを始め、リーマンの破綻のような事態が今後も起こるということだ。
 実際、すでに米商業金融大手CITグループ(ノンバンク)が破綻の危機にあり、もし倒産すれば米自動車ビッグ3のGMに次ぐ米史上5番目の大型破綻となる。また今年前半に経営破綻した米国内の銀行は64行に上り、大恐慌の裾野の深刻さをも示している。
 現在進行中の大恐慌は、1929年〜30年代の世界大恐慌を超える、もはや後のない大恐慌だ。07年8月のパリバ・ショックを発火点として現実化した世界金融大恐慌は、08年3月のベアー・スターンズの破綻を経てさらに激化し、08年9・15のリーマン・ショックによる米大手金融機関の一挙的な総破産へと発展した。これ以降、世界的な信用収縮のもとで金融大恐慌と実体経済の急落がスパイラル的に進行する段階に突入し、08年12月から09年1〜3月を「1番底」として、5〜6月には米ビッグ3体制の崩壊、GMとクライスラーの破綻=「国有化」という歴史的事態にまで立ち至った。

 ドル暴落とインフレの爆発も不可避に

 これに対して米欧日の帝国主義が行ったことは何か。一方で労働者階級に対する無慈悲なリストラ・大量解雇の攻撃であり、他方では米帝の7000億jの金融安定化策、7870億jの景気対策に象徴される公的資金(税金)の大量投入と、FRB(米連邦準備制度理事会)など中央銀行による国債購入や社債・CP(コマーシャルペーパー)の買い取りという「異例の政策」の連発である。だがこれは大恐慌を押し止めるものではなく、失業率を急上昇させ、個人消費の減退や、各種ローンの焦げ付きを急増させると同時に、かつて経験したことがない天文学的な財政赤字を生み出している。
 特に米帝の09年度の財政赤字は総額1兆8000億jを超える見通しで、債務残高はすでに11・5兆j(約1070兆円)に達する。米議会の調査では今後10年間の財政赤字は10兆jに上り、これは結局、FRBがどんどんドル紙幣を印刷するしかなく、その結果、一方で長期金利の上昇と米国債の急落、ドルの下落・暴落が、他方ではとてつもない超インフレが現実化していくのだ。
 現在、米国債の最大の保有国は外貨準備が2兆jを超え、その65%を米国債で運用する中国だ(第2位は日本)。中国が米国債の生殺与奪の権を握っている。しかもこの中国やロシア、インド、ブラジルなどの新興国は、米国債とドルの暴落に備えて、1年以内に償還される短期債の割合を急速に高め、さらにIMF(国際通貨基金)の発行する特別引き出し権(SDR)建て債券の購入も開始しているのである。

 過剰資本・過剰生産力の問題の深刻さ

 今日の世界大恐慌の根底には、74〜75年恐慌以来の、より深刻化した過剰資本・過剰生産力の問題が横たわっている。それが住宅バブルの崩壊によって金融大恐慌としてまず爆発し、さらに需要と供給の落差の問題が、リーマンの破綻以降、実体経済の直角的な急落となって噴出したのだ。この需給ギャップは、米自動車産業の場合、新車販売台数がピークの年間1740万台(00年)から、今や1000万台を割る激しさだ。全世界では自動車の過剰生産能力は実に40%に達する。
 米欧日の膨大な財政投入で、若干のリバウンドは起こっている。だが新自由主義とバブル経済の継続によって生み出したこの巨大な過剰資本・過剰生産力を、恐慌対策で短期間で解消することなど到底不可能だ。GMを始めとして米自動車産業は、特に小型車生産でトヨタなどに敗北した。しかし保護主義政策でトヨタを追い出しても、フォードの方が当面はよく売れるため、GMの再建など大変である。それだけでなくトヨタ自身が、世界的な過剰生産能力に直撃されて、今や5000億円とか7000億円という営業赤字に転落している。
 74〜75年恐慌は、1930年代以来の国家独占資本主義政策と帝国主義の戦後発展の破綻として爆発した。国独資政策は、その階級的基礎に労働組合・労働運動を体制内的に抱え込む構造をもっていた。労働組合・労働運動に一定の権利と労働条件を与えて、ニューディール的な大恐慌対策と戦後発展の原動力としたのが国独資政策だ。しかしそれが74〜75年恐慌で完全に行き詰まったのだ。 
 74〜75年恐慌で特徴的なことは、帝国主義国の人口一人当たりの鉄鋼消費量と、資本の利潤率と、対外交易条件がピークを越え、以後は実体経済への投資だけではもうからなくなったことだ。ここで最末期帝国主義の最後の延命策として、新国家主義(=戦争)と一体の新自由主義が登場する。
 新自由主義は第一に、労働者階級への搾取と収奪を極限的に強め、民営化・労組破壊や非正規雇用化を徹底的に推進した。第二に、途上国・新興国への侵略と販路拡大に突き進み、ソ連スターリン主義の崩壊以降は、東欧や「改革開放」路線下の中国の低賃金労働力を徹底的に搾取していった。第三に、市場原理主義なるものを叫んで全世界で資源バブル・金融バブルを次々に発生させ、実体経済の規模を4〜7倍も上回るバブル経済をはびこらせた。その帰結が、米ITバブル−住宅バブルとその破綻であり、サブプライム危機を引き金とする金融大恐慌の爆発だった。

 ユーロ圏と中国スターリン主義の危機

 世界大恐慌の最大の震源は米帝だ。しかしEUとヨーロッパの危機は、むしろそれ以上に深刻だ。住宅・資産バブルで「成長」してきたイギリスやスペイン、EU域内への輸出が経済を牽引(けんいん)してきたドイツ、帝国主義国からの潤沢な投資マネーで「急成長」した中・東欧。この全体構造が今や崩壊し、信用収縮と実体経済の悪化の連鎖や失業率上昇が止まらない。ユーロ圏最大の経済大国・ドイツの1〜3月期のGDPは年率14%超のマイナスで、ユーロ圏の製造業の生産能力過剰も深刻だ(設備稼働率は70%)。スペインの住宅価格の下落などは、いまだに底が見えない。
 成長率8%を維持しなければ国内支配が危機に陥る残存スターリン主義・中国は、1〜3月期6・1%増、4〜6月期7・9%増だった。しかしそれは、4兆元(約56兆円)もの景気対策による公共投資・設備投資と、大規模な金融緩和=通過供給量の伸びが押し上げたものであり、逆に設備過剰やインフレの危機を深刻化させている。しかも外需(輸出)は急減し、個人消費も低迷している。中国の個人消費は米帝の9分の1でしかなく、米中経済のデカップリング(非連動)論への「期待」など基本的に問題にもならない。
 こうした中で決定的なことは、ウイグル自治区での大規模暴動が衝撃的に突き出したように、中国スターリン主義の民族抑圧と労働者階級や農民への搾取・収奪に対する反乱が、今や中国の体制崩壊的危機へと転化する情勢が成熟しつつあるということである。

 (2) 大失業と戦争−オバマは歴史的な〈戦争政権〉だ

 世界大恐慌は、帝国主義が帝国主義であり、それがプロレタリア世界革命によって打倒されない限りは、大失業と戦争(帝国主義的侵略戦争−世界戦争)に行き着く。
 すでに歴史的な大失業時代に突入した。米経済は09年前半の6カ月間で338万人の雇用が失われ、失業率は10%寸前に迫った。しかもこの数字には就職をあきらめた人やパートで我慢している人などは含まれない。すでに失業者総数は1930年代に匹敵する1500万人に達する。ユーロ圏も5月の失業率は9・5%(スペインなどは18%)に上昇、失業者総数は米帝と同じく1500万人だ。中国も1〜6月期の都市部の登録失業率が4・3%、農民工など未登録の失業者を含めれば実際は9・4%のレベルである。そして日本は5月の完全失業率が5・2%、有効求人倍率も0・44倍と過去最悪を更新した。大恐慌との闘いは何よりも大失業との闘いだ。
 さらに大恐慌は世界経済の激しい収縮と分裂・ブロック化を引き起こす。それは保護主義と帝国主義間・大国間の争闘戦を激化させ、帝国主義相互の生き残りをかけた侵略戦争・世界戦争への衝動が極限的に高まっていく。この点で重大なことは、オバマ政権があらゆる幻想とは逆に、大恐慌と米帝の基軸国としての決定的没落のただ中で登場した歴史的な〈戦争政権>であるということだ。オバマ民主党政権は今やアフガニスタン侵略戦争に全力を挙げ、北朝鮮やイランへの侵略戦争発動をも狙っている。
 その上で、旧ブッシュ共和党政権の凶暴だが独善的な「単独行動主義」はイラクで惨めに敗北し、すでに破産した。ブッシュのやり方では米帝は世界戦争はできない。ここで登場したのがオバマだ。米帝の歴史的な大戦争は、第2次大戦もベトナム戦争も民主党政権下で強行された。オバマが「世界規模の課題に一国で対処できる国はない」と「国際協調」を叫ぶのは、保護主義と争闘戦を激化させつつ他の帝国主義や大国を最大限動員し、「世界規模」の戦争をやるためだ。圧倒的な核兵器の独占を宣言し、「核不拡散」と「核によるテロ」の防止、「核の闇市場の破壊」を叫ぶ米帝オバマがやろうとしていることは、大恐慌下での世界戦争・核戦争である。
 こうした世界大恐慌の底なしの深まりと、米帝オバマを先頭とした大失業と世界戦争の攻撃は、全世界的な革命情勢をいよいよ成熟させる。韓国・民主労総−金属労組双龍(サンヨン)自動車支部のような壮絶な実力決起の闘いが、全世界で不可避的に激化していく。「大恐慌を世界革命へ」の階級的原則的な闘いの発展こそ、労働者の進むべき道だ。

 「最弱の環」=日帝と自民党支配の崩壊

 国際帝国主義の「最弱の環」である日帝。そのリーマン・ショック以降の経済的落ち込みは、金融大恐慌の震源である米欧を超えている。自動車と電機・IT製品を中心とする輸出主導型の資本蓄積構造が、大恐慌で一気に崩壊したからだ。鉱工業生産指数は今や昨秋の7〜8割の水準に過ぎない。しかも情勢の進展は、今秋以降の「2番底」リスクをも不可避としている。
 この大恐慌に激しく直撃された日帝は、一方で減産や工場閉鎖を進めると同時に、「派遣切り」に象徴されるかつてない大量解雇と賃下げの攻撃を激化させてきた。失業率は今後、5%台後半から6%台へと上昇する。しかも09年度の経済財政白書は、1〜3月期の「企業内失業者」が最大607万人(製造業で369万人)に拡大したと異例の報告をした。
 すでに年収300万円未満の労働者が07年時点で全体の過半数を超えている。貧困・大失業との闘い、「生きさせろ!」の叫びは、労働者階級のいよいよ死活的課題だ。
 この情勢下での衝撃的事態は、7月都議選での自民党の惨敗だ。これは自民党支配の歴史的崩壊であり、戦後の議会を通じた階級支配の決定的終焉(しゅうえん)である。追い詰められた麻生が破れかぶれで強行した衆院解散・総選挙で、自民党と公明党が3分の2の議席を確保することなど絶望的だ。仮に政権交代による「民主党政権」がまたたく間に崩壊したとしても、自民党の再浮上などありえない。その議会制的支配は最後的に終わったのである。
 この情勢の中から、一方で前空幕長の田母神のような極右的ファシスト的勢力が反革命的エネルギーをもって台頭し、労働者階級の粉砕と強権的な執行権力の形成を狙って突出してきている。他方で日帝は、大恐慌と絶望的な財政破綻の中で、日本経団連・御手洗や大阪府知事・橋下を先頭に、道州制・民営化と改憲・戦争国家化に延命の道を求めている。4大産別をめぐる労働者階級との一大決戦に突入した。
 日帝権力・資本や極右的ファシスト的勢力との内乱的革命的な対決は、まさに望むところだ。今こそ4大産別決戦と道州制・民営化粉砕決戦で革命勝利を開くために闘おう。

 「資本主義の枠内」論にしがみつく日共

 日本共産党が今日、帝国主義の頭目・オバマを賛美し、オバマと融合することは、30年代のスターリン主義による「ルーズベルト支持」と同じ、否それ以上の大罪である。
 そもそも世界大恐慌の情勢は、日本共産党の綱領的破産を容赦なく突きつけるものである。資本主義の永遠の発展を前提に「資本主義の枠内での民主的改革」や「ルールある経済社会」を唱えてきた彼らは、資本主義の終わりを前にして本質的に破産宣告されているのである。04年の綱領改定で「労働者階級の解放」という概念を最後的に一掃し、階級的立場を放棄した日共は、資本主義の救済と労働者階級に対する敵対の本性をますますあらわにしているのだ。
 日共は、大恐慌の現実も、それが帝国主義戦争に直結していることも見据えることができず、逆に世界が平和の方向に向かって進んでいるかのようなデマゴギッシュな議論を重ね、労働者人民を帝国主義翼賛に導こうとしている。核独占と核拡散阻止の戦争宣言そのものであるオバマ演説を絶賛し、互いにたたえ合う書簡を交換したことは、日共がスターリン主義反革命として、大恐慌と戦争の時代に、プロレタリア革命に敵対し、体制を擁護して自らの延命を図る道に踏み込んだということである。
 彼らは口先では「資本主義の限界」にペテン的に言及するが、社会主義・共産主義をはるか遠い未来の話にし、現実には「大企業は敵視しない」と階級融和を説き、「アメリカは敵ではない」と米帝オバマを支持する。「資本主義の枠」=体制を擁護することを最大の党派性にしているのである。
 それは30年代以上の大恐慌と戦争の時代に、完全に戦争翼賛勢力として生き延びようとするものであり、とんでもない反革命である。
 そこから、今日の日帝の道州制・民営化攻撃に階級的に反撃する闘いに敵対し、4者4団体路線の中心的役割を担って国鉄1047名闘争の解体を策動し、現代の徴兵制である裁判員制度の旗振り役をも進んでやるという裏切りが出てくる。プロレタリア革命と階級的労働運動への真っ向からの敵対者として、日共を断罪し、打倒しよう。

 W 1047名解雇撤回・農地死守 11月1万人決起を闘いとろう

 (1) マルクス主義で武装して労働組合を甦らせよう!

 今や、未曽有の世界大恐慌をプロレタリア世界革命に転化する歴史の扉が大きく開かれている。20世紀では果たせなかったこの世界革命・日本革命の事業を、21世紀において、今度こそ一刻も早く達成する時が来た。その革命的突破口こそ、2009年11月労働者集会の1万人決起をなんとしても実現することである。
 大恐慌のもと、資本主義・帝国主義はその生命を終えながら、延命へのあがきをなおも労働者階級人民への搾取と抑圧、大失業と戦争に求めている。労働者階級が生きるためには、崩壊しながら自ら命脈を断とうとはしない資本主義・帝国主義と、この資本主義を擁護する一切の体制内勢力を実際に自分たちの力で打ち倒すことが必要である。プロレタリア自己解放闘争を極限的に爆発させ、ブルジョア的私的所有を廃止し、生産手段を奪還し、新社会を建設することである。
 こうした歴史的使命を自覚した労働者が、階級的怒りと戦闘的意志に燃え立って、11月労働者集会において青年労働者を先頭に1万規模で結集をかちとるならば、その力はすべての階級的力関係と階級情勢を決定的に激変させる。1万の階級的団結は無限に発展し、巨万の労働者階級が革命への進軍を開始するのだ。

 職場生産点から青年労働者を組織しよう

 11月労働者集会は、労働組合をめぐる一個の階級決戦である。未曽有の規模で具体化してくる革命的情勢をプロレタリア革命に転化する道は、労働者階級の怒りと闘いを基礎に、労働者階級の基礎的団結形態である労働組合を階級的に甦らせていくことにある。
 大恐慌は、大失業と戦争を決定的に激化させる。その中にあっては、崩壊する資本を救済し、労働者の決起を抑圧するスターリン主義や社会民主主義者やファシストなどのあらゆる体制内勢力から、労働組合を階級的に奪還・獲得・再生していく攻防に、プロレタリア革命の成否がかかっていると言って過言ではない。この労働組合をめぐる党派闘争と党建設の死闘を抜きにして、プロレタリア革命をかちとる力を培うことはできない。労働組合は、プロレタリア独裁を実現するための不可欠な「共産主義の学校」である。
 したがって、11月労働者集会1万人結集の組織化の一切の土台は職場生産点での攻防にある。職場生産点に必死にくらいつき、職場の怒りを階級的団結に組織化し、労働組合を不屈に甦らせることに1万人結集の道がある。
 11月1万人結集に向け、労働組合をめぐる党派闘争と職場生産点からの総決起を、とりわけ青年労働者が中軸となってかちとらなければならない。資本の攻撃も体制内勢力の反動も、青年労働者に集中している。青年労働者が労働組合という戦場においてマルクス主義で武装し、絶対反対論と階級的団結論で職場生産点での組織化をやりぬくことによってこそ、11月1万人決起は必ず可能となるのである。そのための階級的指導部の建設、マルクス主義青年労働者同盟1000人の建設こそ、一切の鍵を握っている。

 (2) 1047名闘争・国際連帯と法大決戦の大爆発を

 職場生産点を土台にした11月1万人結集運動の実践的な戦略的武器はどこにあるのか。それは、4大産別決戦の基軸をなす国鉄1047名闘争と、日韓米3カ国の国際連帯の闘いである。
 国鉄1047名闘争と国際連帯の発展こそ、日帝権力が最も恐れる闘いである。なぜならこの二つの闘いこそ、動労千葉労働運動が切り開いてきた最も偉大な闘いであり、またこの数年間の11月集会の前進をつくり出してきた双璧(そうへき)をなす闘いだからである。そして、戦争と民営化をふりかざした新自由主義が破産し、資本主義が崩壊する時代に、これからさらに革命的に発展していく闘いである。
 国鉄1047名闘争では、「解雇撤回」を降ろすという、最後の反動的制動であった4者4団体路線が完全に破産した。解雇撤回、民営化絶対反対をどんなに長期であろうが不屈に闘い抜くことのみが、1047名闘争の勝利の道であることが全労働者の前に明らかになったのだ。1047名闘争は、22年間の不屈の闘いの地平を守り、大恐慌下で拡大する大量解雇攻撃と闘うプロレタリアートの断固たる行動と指針を示す闘いとして、これからますます発展していくのである。
 国労5・27臨大闘争への暴処法弾圧は、革命派が国家権力を揺るがし、1047名闘争の主流派として躍り出ようとすることに恐怖した日帝権力による襲撃であった。5・27裁判は、1047名闘争をめぐって日帝国家権力との非和解的対決を貫くのか、屈服・翼賛する側に転落するのかという4者4団体派との分岐を始め、全戦線に階級的な分岐を引き起こしている。この分岐の中から日本労働運動の最も戦闘的・階級的な絶対反対派を生み出し、7被告のような輝かしいオルガナイザーを登場させている。

 労働者階級は国際的に単一の階級である

 労働者階級は、賃金鉄鎖によって縛られた階級であるが、同時に、資本の労働者支配を打ち破る階級的存在、世界史的存在である。労働者階級はまた国際的に単一の階級である。労働者階級のこの階級的本質ゆえに、プロレタリア自己解放闘争は、職場生産点での資本との非和解的激突を一切の土台にするとともに、地域や産別を越え、国境をも越えて、国際連帯闘争へと本質的にも必然的にも発展していく。
 まさに労働者階級は本質的に国際的階級であり、したがって職場生産点の闘いが真に階級的、原則的、戦闘的であるならば、その中にすでに国際連帯闘争が一体となって脈打っているのである。すべての職場生産点の闘いは全世界につながっている。このことを動労千葉の闘いは示している。
 労働者階級は、自国の資本・権力と闘うことを基礎として、自らが国際的存在であることを自覚し国際的団結を希求した時、めざましい飛躍と変革を一挙に大量につくり出し、その階級的団結の力を巨大に発展させることができるのである。この国際的団結の中にこそ、プロレタリア世界革命の最も生き生きとした現実性が宿っている。
 また、この国際的団結が、闘う労働組合のランク&ファイルの結集であることに、根源的発展の可能性がある。そしてこの核心には、国際的に単一の革命的労働者党建設の闘いが貫かれなければならない。
 11月集会の国際連帯の発展の原動力は呼びかけ団体である動労千葉と全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械港合同の3組合の、戦闘的原則的な階級的労働組合としての実践にある。同時に、現在の11月集会での3カ国連帯が、今日の世界において最も戦闘的で階級的な労働組合の結集となっていることを、プロレタリア世界革命への展望にかけて確信しよう。
 特に韓国民主労総のもとで現在闘われているサンヨン自動車の労働者の決死の工場占拠闘争は、まさに1934年のサンフランシスコのビッグストライキの死闘の再来と言える。この闘いとの熱い連帯をかけて、11月集会に向け、体制内勢力と対決し、職場生産点の死闘に勝ち抜こうではないか。

 6・14−15労学共闘の発展で8同志奪還へ

 6・14―15闘争で実現した労学共闘は、11月1万人決起を爆発的に実現していく根源的力となる。動労千葉労働運動が切り開いた地平が大学解放闘争と結びつき、09年11月労働者集会の様相を一変させる。何よりも、法大―全国大学での「闘えば勝てる」という高揚感を横溢(おういつ)させて、さらに歴史を塗り替えて進もう。法大解放闘争3年余の激闘が打ち立てた資本・権力との絶対非和解を貫く不滅の階級的団結を土台にして、新自由主義大学―教育の民営化を打倒し尽くそう。
 「法大当局を破綻に追い込んだわれわれの勝利性を確認するとともに、国家権力そのものと生死をかけた世紀の一戦に打って出よう」(法大文化連盟副委員長・恩田亮君)と、獄中8同志は法大解放闘争の勝利性と革命の現実性を日々照らし出している。「全国声明運動」を爆発的に発展させ、8同志を直ちに奪還しよう。全国の学生は、9月全学連大会を打ち抜き、11月1万人結集の先頭に立とう。
(写真 6・15法大 法政大学暴処法弾圧を弾劾し、全国から労働者が年休を取って決起、1200人が労学共闘の法大包囲デモ)

 (3) 43年の闘いの原則を貫き三里塚闘争の大発展開け

 11月労働者集会をかちとるためにも、今日の三里塚闘争が本年後半から2010年にかけて重大な決戦局面を迎えていることを、徹底的に確認しなければならない。
 三里塚闘争は、43年におよぶ不屈の闘いの地平の上に、さらに新たな一大激突の渦中に突入した。革命的情勢の急接近と階級支配の全面崩壊の危機におびえる日帝は、国鉄1047名闘争解体の攻撃や法大闘争への大弾圧と並んで、全人民の反戦・反権力の砦(とりで)である三里塚闘争の解体に自らの死活をかけている。その核心は、反対同盟が43年にわたって貫いてきた「空港絶対反対、農地死守・実力闘争、一切の話し合い拒否」の原則と、労農連帯の地平をあらゆる手段で破壊しようとする点にある。
 市東孝雄さんの農地(耕作権)を農地法で奪おうとする攻撃のもつ、すさまじい暴力性と悪辣(あくらつ)さは、まさにこの日帝の焦りと絶望的凶暴化を示すものである。
 しかも世界大恐慌情勢のもとでの帝国主義の保護主義の台頭は、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)の攻撃を激化させ、自動車・電機などの輸出製造業を保護しつつ、農業の切り捨てにますます向かい、同時に労働者と農民を分断していく。また決定的なのは、道州制・民営化攻撃は、教育や医療・福祉とともに、農業と農民に対して最も激しく襲いかかることである。まさに農業・農民つぶしと公務員労働者360万人の首切り攻撃は完全に一体である。そして道州制・民営化が最後に行き着く戦争という最大の階級攻撃は、労働者と農民に等しく襲いかかるのだ。
 労働者階級も農民も、今や生きるためにはともに資本主義・帝国主義を打倒し、プロレタリア革命をかちとる以外にない。そのために労農同盟の一層強固な発展は待ったなしである。三里塚闘争の大発展はまさに、プロレタリア革命の勝利にとって死活的である。
 こうした現在の三里塚闘争の激烈な攻防を前に、こともあろうに日帝の先兵となって、帝国主義権力との絶対非和解を貫いてきた三里塚闘争の原則を破壊し、条件闘争への変質を策動しているのが塩川一派である。国鉄1047名闘争が4者4団体派との激突を不可避としたように、三里塚闘争も、塩川一派という最も悪質な体制内反動との歴史的分岐を迎えている。革共同は、反対同盟との血盟を貫きとおして闘ってきたものとして、塩川一派のこの犯罪的な策動を断じて許さない。徹底的に粉砕し尽くすことを宣言する。
 今や、11月労働者集会と三里塚決戦は完全にひとつながりの階級決戦となった。11月労働者集会への1万人大結集は、10・11三里塚闘争への大結集・大爆発をとおしてこそ実現されると言って過言ではない。
 革共同は、7・19関西新空港反対全国集会で発せられた、三里塚闘争の原則のもとに一致して闘い抜こうという動労千葉の提起を断固として受けとめ、10・11三里塚現地への大結集のために総決起する。

 (4) 道州制・民営化攻撃粉砕は4大産別決戦の正念場だ

 階級決戦の決定的環としての4大産別決戦の意義について確認したい。
 大恐慌のもとで、日本資本主義の生きるか死ぬかの危機に対して、対外侵略戦争と国内階級戦争で突破する以外にないとして仕掛けられたのが道州制・民営化攻撃である。7月25日、大阪府知事・橋下と日本経団連会長・御手洗が軽井沢で対談し、(橋下らの)首長連合と経団連が提携する「道州制でないと生き延びられない」国民運動を宣言した。道州制・民営化推進を総選挙のマニフェストに掲げた自民党、公明党に対して、民主党も道州制導入に転換しつつある。
 道州制国民運動は、日本経団連が言う「第二の臨調・行革」攻撃である。臨調・行革とは、国家財政の破綻を契機とした、「日本が21世紀に生き残るための国家大改造」(自民党82年運動方針)の一大反革命攻撃であった。その中心が国鉄分割・民営化であった。道州制国民運動は、それ以上の攻撃である。自治労、日教組を「財政赤字の元凶」として徹底的にバッシングし、公務員労働者360万人を民営化のもとでいったん全員解雇・選別再雇用にたたき込もうとしているのだ。道州制とは、4大産別の労働運動の絶滅によって初めて成り立つのである。
 こうした道州制攻撃の核心にある民営化攻撃とは、単なる〈官から民へ>の攻撃ではない。世界大恐慌が新自由主義の破綻を突きつける中で、一層むき出しの弱肉強食の市場原理を全社会に貫徹する攻撃である。それは労働者階級全体への首切り攻撃であり、賃下げ、非正規職化攻撃である。そして何よりも全労働者階級への団結破壊であり、労働組合解体・絶滅攻撃である。
 同時に民営化攻撃は、かつての中曽根が「意識革命」と呼号したように、すさまじい反革命イデオロギー攻撃である。それは大恐慌下で、革命への恐怖から一層激しいものとなる。
 また大恐慌は大失業とともに、資本主義・帝国主義がお互いを殺し合い、ぶち壊しながら人類を破滅のふちに追いやる戦争攻撃を不可避とする。その中において民営化攻撃とは、国家主義・排外主義の攻撃そのものでもあるのだ。田母神の反革命運動は、道州制国民運動と完全に一体なのである。
 だがこの大攻撃は、労働者階級の団結と決起によって粉砕できる。そもそも今日の大恐慌は新自由主義の破綻の結果である。それは小泉構造改革の無残な破産の上に、国家財政のすさまじい破綻をもたらしている。この財政破綻の労働者への犠牲の集中が道州制・民営化攻撃だ。だが逆に、国家財政というどうしようもない敵の危機をとらえて、国家機構の「獅子身中の虫」である4大産別の労働者が、「道州制・民営化絶対粉砕」を掲げ、労組絶滅キャンペーンに屈せず、階級的団結にかけて総決起するならば、絶対に粉砕できるのである。
 しかもこの道州制・民営化攻撃の弱点は、これを先頭で推進する輩(やから)そのものにある。それは大阪府知事・橋下やそれに群がる脆弱(ぜいじゃく)なファシスト的分子であり、もはや崩壊のふちにあえぐ自民党・麻生であり、そして連合=自治労、日教組の体制内指導部である。特に連合・体制内指導部を打倒することによって吹っ飛ばすことができるのである。
 重要なのは、道州制攻撃という国鉄分割・民営化型の大攻撃に対して、動労千葉が、すでに全員解雇攻撃をストライキ決起で打ち破り、今日に至るも団結を不屈に守り抜いて勝利し続けてきたことの大きさである。道州制・民営化絶対粉砕、4大産別決戦は、動労千葉が牽引した国鉄分割・民営化決戦と1047名闘争の鉄火の試練をとおして、今や青年労働者を先頭に、この闘いの中からプロレタリア革命の担い手を陸続と生み出していくものとなろうとしている。「戦争・改憲と民営化・労組破壊」絶対粉砕の戦略的総路線を掲げ、国鉄を先頭に自治体、教労、全逓の4大産別決戦をプロレタリア革命戦略としてかちとろう。
 自治体戦線は、橋下との徹底対決を先端に、道州制・民営化粉砕の最前線にある。民営化絶対反対、人事評価・査定給導入拒否、反合理化・安全闘争への怒りの決起が青年労働者を始め職場全体をとらえようとしている。道州制・民営化推進の手先となり果てた自治労・自治労連本部を打倒し、全国で職場権力を奪取しよう。
 教労戦線は、教員免許更新制を粉砕し、公務員360万人首切り粉砕の最先頭に立とう。今や不起立闘争は、教育の民営化・道州制粉砕の最先端の闘いとなった。教育の民営化こそ、愛国主義・国家主義をふりまく戦争攻撃そのものでもある。警察権力を導入してはばからない日教組本部を打倒し、教労から青年労働者を先頭とする11月潮流を大量につくり出そう。
 全逓戦線は、第二の郵政民営化絶対粉砕の決戦に突入している。JPEXの子会社化と強制出向は、まさに民営化の首切り攻撃である。4大産別全体がそうだが、とりわけ郵政には非正規雇用が激増し、雇い止め解雇が激発している。正規・非正規が一体となり、青年労働者の総決起で、連合の最先端で産業報国会化を進めるJP労組本部打倒、民営郵政打倒をかちとろう。
 4大産別決戦において、非正規雇用撤廃の闘いは最重要の課題だ。合同一般労組の戦線は、まさに4大産別決戦と完全に一体である。大失業の嵐が吹き荒れる中、労働者派遣法撤廃・非正規雇用撤廃は、1047名解雇撤回闘争のスローガンであり、今や民営化絶対粉砕の革命のスローガンである。
 道州制・民営化は、むき出しの市場原理による新自由主義攻撃として、医療・福祉の職場に最も激しく襲いかかっている。医療・福祉戦線は、4大産別決戦そのものの先頭に立ち、また4大産別決戦の質をもって職場生産点で闘おう。正規・非正規の分断を打ち破り、日共=医労連本部を打倒しよう。

 全戦線からの総決起で11月1万人実現を

 11月1万人決起は、全戦線の階級的決起によってかちとられる。
 自民党崩壊による階級支配の危機は、戦争・改憲攻撃の激化を引き起こす。改憲攻撃は道州制を始め裁判員制度、海賊対処法、派兵恒久法などに貫かれる。北朝鮮侵略戦争策動の激化のもとで、「攻めの改憲阻止闘争」を全面的に強化することが求められる。
 特に労働者階級が圧倒的に反対している裁判員制度撤廃の闘いで、弁護士戦線を先頭に、階級的労働運動路線を貫き、さらに大攻勢をかけよう。
 星野文昭同志の奪還は、階級的労働運動路線をどこまでも発展させていくことによってかちとられる。塩川一派を打倒・追放した力でこの闘いに勝利しよう。まさに11月1万人決起こそ、星野同志奪還の力である。
 さらに田母神反革命運動の突出的激化に対して、反軍戦線の階級的強化が決定的である。また部落解放戦線、入管戦線、女性解放戦線、障害者解放戦線、被爆者解放戦線など全戦線の、プロレタリア革命戦線としての全面的な飛躍・発展が死活的である。

 X 〈綱領草案〉を武器に世界革命に勝利する単一党建設しよう

 世界大恐慌をプロレタリア革命に転化する情勢は、革共同に、革命的労働者党建設の新たな歴史的飛躍を求めている。
 1917年以来の現代革命の勝利と敗北の教訓は、革命的労働者党と労働組合が真に階級的革命的一体性をもって確立されているか否かによって革命の成否が決まる、ということである。「労働組合は、労働者階級の完全な解放という遠大な事業のために、労働者階級の組織化の中心として意識的に行動する」(マルクス)という歴史的使命において、労働組合と革命的労働者党は完全に一体なのである。またマルクスは、国際労働者協会(第一インターナショナル)の創立宣言で、政治権力の獲得が労働者階級の偉大な義務であり、それは同時に労働者階級の独自の党を必要とすると訴えている。
 労働者階級は、プロレタリア革命に勝利するために、階級的団結の基礎的形態である労働組合を組織化するとともに、プロレタリア革命の綱領で武装し、階級闘争の鉄火で鍛えられた、階級的団結の最高形態である革命的労働者党を自己自身の力で創成し、確立していかなければならない。
 09年前半の路線的確立をとおして、われわれは、ついに革共同の綱領草案を発表する地平に到達した。今日の革命的情勢の中で、革共同は、21世紀のプロレタリア革命の綱領草案を、『共産党宣言』の革命的思想を現代に甦らせ、プロレタリアートによる資本制社会の革命的転覆と社会主義・共産主義社会建設の道筋を明らかにするものとして、断固として提起する。
 それは、日本の6000万労働者と300万学生、そして国際プロレタリアートに、プロレタリア世界革命の単一の党の建設を真っ向から訴えるものである。世界大恐慌と新たな革命の時代の真っただ中でマルクス主義・レーニン主義をその本来の姿で復権し、さらに創造的に発展させて、革共同の歴史的宣言として発するものである。
 この綱領草案の発表は、現実の階級的労働運動の前進と国際連帯闘争の発展、何よりもマルクス主義をむさぼり学んで闘ってきた青年労働者・学生の力を基礎にしている。この草案の綱領としての完成は、結成50周年を迎えた革共同が、党としての途上性を最終的にのりこえることを意味している。
 党の綱領を具体的な形で確定し、全世界プロレタリアートの前に提示した瞬間、労働者階級の決起は幾倍ものエネルギーを爆発させて、11月1万人に向けて階級情勢を革命的に一変させることは間違いない。革命への綱領で武装され、鍛錬された、労働者階級に信頼される本格的な労働者党を確立し、11月へと驀進(ばくしん)しよう。

 マル青労同・マル学同1000人建設を!

 大恐慌の深まりは、革命的労働者党を、階級的意識と団結の最高形態として建設することを求める。マルクス主義青年労働者同盟とマルクス主義学生同盟の各1000人建設は、その最も前衛的で革命的な事業である。
 それはすぐれて職場細胞と結びつき職場と地域のあらゆる細胞を包括する地区党建設の闘いである。この地区党建設は同時に、プロレタリア独裁の支柱となる〈党・労働組合・ソビエト>の一体的建設へ向けた闘いである。
 党の階級的団結は、細胞建設・地区党建設を土台として、労働者階級との生きた細胞的交通によってつくられる路線の力によってかちとられる。同時に、労働者階級の階級的規律によって培われた党の革命的組織的規律に基づく細胞活動によって強化される。〈会議、機関紙誌活動、財政闘争>という党建設の三つの柱は、階級的団結をかちとる最大最高の闘いである。
 階級的団結の最高形態である革命的労働者党は、非合法・非公然の党である。大恐慌のもたらす帝国主義・資本主義の治安弾圧と闘い抜き、プロレタリア独裁に勝利するには、本格的な非合法・非公然体制の強化が絶対的死活的課題である。
 11月労働者集会への1万人決起を、プロレタリア世界革命への出撃拠点を築く闘いとして絶対に実現しよう。「組織! 組織! 組織!」の決戦に突入しよう。8月、9月の激闘を闘い、10・11三里塚闘争の大爆発をかちとり、11月大決起へと攻め上ろう。

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週刊『前進』(2402号10面1)(2009/08/03 )

 ロシア革命と労働組合の役割

 労働組合こそ革命の原動力だ

 ランク&ファイルで多数派に

 丹沢 望

 1917年10月に勝利したロシア革命において、労働組合は決定的な役割を果たした。それは17年の2月革命後に成立したブルジョア臨時政府との力関係及び労兵ソビエト(評議会)内部におけるメンシェビキ(ロシア社会民主党の右派)やエスエル(社会革命党)との力関係の劇的な転換を実現し、ボルシェビキがプロレタリア革命を実現する革命的テコとなった。また10月革命後の内戦の勝利と、内戦後のプロレタリアート独裁下の社会経済建設においても労働組合の役割は決定的だった。労働組合に徹底的に依拠することなしには、プロ独の維持もありえなかった。
 ロシア革命の勝利は、ボルシェビキが「労働者階級の解放は労働者自身の事業である」という原則的立場に立って、労働組合に基盤を置き、労働組合を労働者階級の革命的組織化のためのテコとして、また革命を担う最大の大衆組織として位置づけ、それに徹底的に依拠したからこそ実現しえたのである。
 従来のロシア革命研究では明確な位置づけを与えられていなかった労働組合の役割の検証をつうじて、ロシア革命における党、労働組合、ソビエトの有機的関係とそれぞれの役割を明らかにしたい。

 1917年2月革命と労兵ソビエトの設立

 ロシア革命は、17年2月23日の国際婦人デーにおけるビボルグ地区の諸繊維工場の女性労働者のストライキと街頭進出、首都ペトログラートのゼネストと兵士の反乱と2月末のペトログラート労兵ソビエト設立をもって開始された。
 だが、当時のロシア国内のボルシェビキは、一貫して非合法体制下に置かれていた上に、レーニンが欧州に亡命を余儀なくされていたためその指導が貫徹されず、基本的には1905年革命時の労農民主独裁論の立場に立っていた。また、多くの指導部を投獄や流刑で奪われていたため、2月革命でイニシアチブを発揮できなかった。このためソビエトは、メンシェビキやエスエルなどの主導下で結成された。
 しかもメンシェビキやエスエルは、この革命がブルジョア革命であるとして、ソビエトではなく、ブルジョア臨時政府が国家権力を掌握することを認めてしまった。実質的に二重権力状態が現出したが、ソビエト指導部多数派自身は、ソビエトを”労働者の権利を要求し、確保するための社会諸団体のひとつ”と見なすにとどまっていた。むしろ彼らは、相次いで政府に入閣し、ブルジョア政府と一体化することによって、この二重権力状態をブルジョアジーに有利な形で解消しようとさえしていたのだ。
 これに対して4月初旬、亡命先から帰国したレーニンは、「4月テーゼ」を出して、この革命がブルジョア革命ではなく、社会主義革命であり、その目的が労働者と貧農の権力としてのソビエト権力の樹立であることを鮮明にした。
 しかし、当時のソビエトは、メンシェビキやエスエルが圧倒的主流派であり、580人の代表のうちボルシェビキの代表はわずか40人しかいなかった。労働組合においても、当初はメンシェビキが印刷、郵便・電信、銀行、鉄道、教員などの大きな産別労働組合を掌握して、全ロシア的には多数派を占めていた。他方、ボルシェビキは、大規模であらゆる民族を統一した全国的産別労組の形成を追求して闘っていたが、当初は中小の労働組合の権力を握っていたにすぎず、大きな労働組合では少数派であった。
 2月革命に決起した労働者と兵士の圧倒的多数も、あまりにも急速に革命に引き入れられたため、政治的訓練を積んでおらず、メンシェビキなどに幻想を持っていた。
 したがって、ボルシェビキが社会主義革命を実現するには、ソビエトと労働組合におけるこのきわめて不利な力関係を逆転することをつうじて革命のヘゲモニーを握り、同時にブルジョア臨時政府を打倒し、広範に残存する帝政派を一掃するという困難な任務に勝利しなければならなかった。ではボルシェビキはいかにしてこの力関係の転換に成功したのか。

 工場委員会形成と職場統制の闘いで組織拡大

 ボルシェビキは、労働組合や工場委員会に組織された労働者の自己解放闘争を全面的に発展させることによってソビエトの多数を占め、権力を臨時政府、メンシェビキ、エスエルなどから奪い取り、プロ独を実現しようとした。
 この闘いにおいて決定的な「アルキメデスのテコ」となったのは、工場委員会の組織化とその指導下での労働者統制の闘いであった。労働者統制の闘いとは、労働者による職場支配権を確立し、生産を統制しようとする、資本家との主体的で革命的な闘いであった。
 工場委員会は、直接には2月革命後、街頭から職場に戻った労働者が8時間労働制を要求し、企業の反動的な管理者や職員を追放し、労働者や職員の任免権を獲得する闘いとして始まった。それは、個別の組合がメンシェビキの産別組織に組み込まれているか否かにかかわらず、各工場単位で労働者が自主的に形成した闘争機関であった。労働者の自己解放的決起を組織しようとしない既存の組合幹部の統制を受けずに、職場におけるブルジョアの巻き返しを打ち破って労働者の権利を確立するための闘争機関であった。また労働組合がない工場でも労働者を団結させ、革命に向かって組織する機関でもあった。その意味では工場委員会は、広義の労働組合、そのランク&ファイル運動である。
 当時、多くの国営企業と私企業の当局・資本家は、革命に対抗するために、生産サボタージュやロックアウト、革命的労働者の解雇、物資の隠匿や機材の撤去などの手段に訴えて、社会主義革命を阻もうとしていた。労働者階級はこうした策動を、工場委員会のもとに結集して実力で打ち破って、労働者自身による生産管理を目指して闘った。
 ボルシェビキは、この闘いをきわめて意識的にプロレタリア革命を切り開くテコと位置づけて闘った。この闘いをつうじて、ボルシェビキは、労働者を資本家との闘いに組織するとともに、工場管理をめぐるブルジョア臨時政府との政治的・軍事的激突をつうじて、労働者を政治的・軍事的に武装していった。同時に労働者による生産統制に反対して工場における資本家支配を擁護したメンシェビキやエスエルによる労働組合とソビエトの支配を転覆していった。
 この闘いは、労働者階級こそがロシアの支配階級にならなければならないという階級的自覚を高め、ソビエトの支配権を獲得し、臨時政府を打倒していく決定的な役割を果たした。
 この闘いの結果、5月30日の376工場の工場委員会の代表を集めたペトログラート工場委員会の第1回協議会では、ボルシェビキはついに優勢を占めた。工場委員会の指導機関である工場委員会中央評議会では25人の評議員のうち、ボルシェビキは19人を占めた。この中央評議会のもとにその後50以上の工場委員会評議会が各地にできたが、それはボルシェビキの指導下での労働者統制を全国に拡大した。
 ボルシェビキの第6回党大会(17年7月末〜8月初め)では、すべての党員が労働組合に加入し、同時にすべての自覚的労働組合活動家に対して党に入党することを勧める決議が上げられ、党と労働組合、工場委員会の密接な結びつきがさらに一層強化された。
 こうして10月革命直前までに、工場委員会は全国2151の企業に創設され、ほとんどの工業中心地で労働者統制の闘いをつうじた労働者の組合への組織化と政治的・思想的・軍事的武装が急速に進んだ。
 ボルシェビキは、労働者階級総体を革命の主体と規定した上で、労働者は、その唯一の大衆的団結形態である労働組合に結集して闘うことをとおして革命の主体としての階級的自覚を獲得できると考えていた。党が階級と真に結合し、階級の利害を代表するものになるためには、労働組合を革命的に獲得することが必要だった。そして、労働組合総体を革命の側に獲得するためには、日和見主義との激しい党派闘争に勝利するための党の強力な指導が必要だった。
 工場委員会の闘いは、こうした立場に立ちきったボルシェビキが当時のロシアの階級関係の中で苦闘しつつ、ついに見いだした革命勝利のための戦略的な闘いであった。
(写真 メーデーデモに参加したプチーロフ工場の10代の労働者たち。「列車部門青年部」「社会主義万歳!」「自由、平等、兄弟愛」などのスローガンが掲げられている)

 党・労働組合・ソビエトの革命的有機的な関係

 こうした闘いの勝利があってこそ、ボルシェビキはソビエトでも優勢を占めることができた。
 レーニンは1915年10月の「若干のテーゼ」で、「労働者ソビエトやそれに類する機関は、蜂起の機関、革命権力の機関と見なされなければならない。これらの機関は、大衆的政治ストライキの発展と結びついて初めて確実な利益をもたらすことができる」と位置づけ、05年革命におけるボルシェビキのソビエト活動への関与の立ち遅れや消極的態度を批判的に総括した。
 また05年の敗北を総括し、労働者階級の闘争の発展による階級間の力関係の転換なしには、ソビエトはたちまち解体されること、労働組合の決定的強化なしには、ソビエトを蜂起の機関としても、革命権力の機関としても確立しえないことを強調した。
 他方、労働組合の革命的強化こそが、革命派が主導するソビエトを建設するための決定的テコでもあった。ソビエトの中軸は労働組合と工場委員会から選出された代表であり、そこでボルシェビキが優位を確立することは、必然的にソビエトにおけるボルシェビキの優位をもたらした。
 17年6月1日に開催された第1回全ロシア労兵ソビエト大会では、代議員777人のうち、メンシェビキが248人、エスエルが285人であったのに対し、ボルシェビキは105人であった。だが6月以降、工場委員会の闘いと、兵士委員会の活動、戦争継続反対闘争、軍最高司令官コルニーロフの軍事独裁をめざす反乱を粉砕する闘いなどを闘うことをつうじてボルシェビキは勢力を飛躍的に増大させた。
 これに恐怖したブルジョアジーとメンシェビキら連立政府はボルシェビキを非合法化して弾圧を始め、ボルシェビキは7月以降、再び非公然活動を強いられた。にもかかわらず労働組合と工場委員会に広大な基盤を形成していたボルシェビキは、労働組合と工場委員会による労働者統制の闘いをさらに一層強化することによって党勢を維持したばかりか、8月から9月にかけて、ペトログラートとモスクワという2大都市のソビエトで多数派になった。「労働者による全面的な生産統制の実現」というボルシェビキのスローガンは全労働者をとらえた。そして労働者は、その実現のためには、ボルシェビキが主張するように、全権力をソビエトに移し連立政府を打倒しなければならないことを理解した。以後、各地のソビエトでボルシェビキの全面的優位が確定していった。
 こうしてボルシェビキは労働組合や工場委員会による労働者統制の闘いを展開し、労働組合よりもさらに広範な労働者人民を結集する蜂起の機関、プロ独権力の機関である革命的ソビエトの建設を目指して闘った。
 プロレタリア革命は、労働組合だけでは貫徹できないため、労働組合よりも広範な人民の組織であるソビエトに労働者、農民、兵士、諸民族などを結集して全国的に遂行される。だが、その中心軸をなすのは労働組合だ。したがって革命党は、労働組合運動の指導をつうじて全国の労働組合と結合し、労働者の階級的意思がソビエト内で貫かれるように闘わなければならないのだ。ソビエトは、労働組合の革命的主導権なしに革命的ソビエトになりえない。そしてこの全過程において革命党の指導の質が決定的に問われるのである。
 ロシア革命においては、ボルシェビキの密接な指導のもとで労働組合や工場委員会による資本との闘いや臨時政府との政治闘争と労働者階級の軍事的・政治的武装の闘いを一体的に展開することをとおして、蜂起の機関、革命権力の機関となるべきソビエトの主導権を、ボルシェビキが掌握することに成功したのである。
 ロシア革命の成否は、党の政治闘争の発展の中である日突然、国家権力と党の間の軍事的力関係が党に有利に傾くことによって決まったのではない。党が労働組合活動を圧倒的に強化し、労働者の職場生産点での権力掌握のための闘いを促進すること、そしてそれをつうじてソビエトを革命的に形成し、ブルジョア国家権力との政治的・軍事的力関係を急速にかつ全面的に転換し、蜂起以前に圧倒的優位を実現する中で、最後の軍事的決着としての蜂起の成功が保証されたのである。

 労組が軍事革命委員会に加わり武装蜂起へ

 労働組合は労働者を武装蜂起に向かって組織する上でも大きな役割を果たした。ボルシェビキは、05年革命の際に黒百人組(反動的な極右テロ組織)の襲撃で数千人の労働者や革命家が殺害されたことに対し、銃・刀剣で武装した1万2000人の労働者人民の自衛武装部隊が形成された経験を徹底的に生かした。05年には労働者の武装部隊が首都での黒百人組による虐殺を阻んだが、国家権力を打倒する武装部隊には成長しなかったことも教訓化された。
 そのため17年2月革命以降、各地で臨時政府の警察復活策動に対抗して工場を防衛するために、労働組合が組織者となってプロレタリア民兵が形成された(後に労働者赤衛隊に再編)。それは、工場委員会の闘いと結合して、革命に敵対する資本家を威圧して労働者による生産統制を強制し、コルニーロフ反乱を粉砕することをとおして急速に発展した。10月革命直前には、労働者が総体として武装し、武装蜂起に敵対する反革命勢力を圧倒していた。武装蜂起の際にも、労働組合と工場委員会代表が軍事革命委員会に参加し、一斉武装蜂起を立案、実行した。
 ロシア革命に勝利した後の18〜19年過程の、反革命軍との内戦期、反革命干渉戦争期においても、労働組合の果たした役割は巨大である。10月革命直後には、労働者民兵が広範に形成され、さらにそれを軸に全人民の武装が進んだ。しかし、数十万人の国内反革命軍と米・英・仏・日の帝国主義正規軍との戦争のためには、革命的正規軍が絶対的に必要となり、トロツキーの指導下に赤軍が形成された。
 労働組合が赤軍の主柱となった。赤軍創設からわずか数カ月で労働組合から30万人が赤軍に参加した。また、兵站(へいたん)、補給、物資調達、徴兵・動員などの面でも労働組合が決定的な役割を果たした。
 だが、優秀な装備と兵器を持つ数十万人の反革命軍と帝国主義軍に勝利するには、当時の人口の80%以上を占めた農民の協力が不可欠であった。こうして労働組合は、農民への呼びかけと動員活動、軍隊内での軍事的・政治的・思想的組織の軸となり、19年10月までに共産主義で武装された300万人の労農赤軍を建設して、反革命軍や帝国主義軍に勝利することができたのだ。
 ソビエト政権の初期には、プロ独国家機構はまだ脆弱(ぜいじゃく)であり、労働者と農民の革命的内戦への主体的参加を組織する労働組合の活動なしには勝利しえなかったのである。

 過渡期における「労組の国家化」

 資本主義から社会主義への過渡期の社会経済建設は、内戦と干渉戦争が本格化する以前から開始されていた。この時期、レーニンは、コミューン原則(警察・軍隊・官僚の廃止、民兵制の導入、官吏の選挙制・随時罷免制と労働者なみの賃金など)のストレートな適用を目指し、その一環として、労働組合を国家の機関と位置づけた(労働組合の国家化政策)。
 労働者階級はこの政策のもとで、革命的情熱を燃やして続々とプロ独国家の運営に参加した。労働組合が全般的労働義務制の管理、生産・分配の任務遂行、食糧の調達、労働規律の強化などを実施する主体となった。またソビエト国家の最高国民経済会議の主要メンバーも労働組合から出し、ソビエト国家の省庁であった人民委員部と協力してプロ独国家の経済政策を立案・実施した。
 この過程こそソビエト・ロシアが労働者国家として確立される過程であり、そこに労働者が圧倒的にかつ主体的に参加したことは、労働者階級が支配階級であることを自覚し、国家統治の経験を積む決定的契機となった。

 統治能力を獲得するための「共産主義の学校」

 だが、内戦期の戦時共産主義期以降、巨大な困難が次々とソビエト政権に襲いかかった。1921年当時の総人口1億5000万人のうち8割が農民であり、労働組合員はわずかに600万人であったこと、献身的で先進的なボルシェビキ党員が内戦過程で多数戦死したのに対し、エスエル党員100万人、メンシェビキ20万人が残存していたこと、資本主義体制に組み込まれた歴史が浅く、帝政の愚民化政策のもとに置かれていたため、ロシアの労働者階級の政治的・文化的水準の問題(統治能力の問題)があり、経済運営の混乱と経済危機が進行したこと、戦時共産主義期の食糧徴発の継続に反対する農民との間の労農同盟が危機に瀕(ひん)したことなどを原因として、労働組合の国家化政策は行き詰まりに直面した。
 こうした情勢下で、ソビエト政権は21年3月に新経済政策(NEP=食糧税の導入、余剰農産物の自由売買の容認、工業における単独責任制を軸とした政策)への転換によって労農同盟を再建し、ロシア経済を再建することに重点を置かざるをえなくなったのだ。
 これに伴ってボルシェビキは、19年ごろから労働組合の国家化政策から「労働組合は共産主義の学校」論への転換を行った。レーニンは、労働組合の当面の最大の課題は労働者の経済管理能力を高め、統治能力を強化することであり、また共産主義的自覚を高めることだとした。そして、そのために労働組合を共産主義の学校と位置づけて、労働者階級と労働組合の過渡期の経済運営能力を含めた統治能力の根本的強化を図り、できるだけ早い時期にNEPを廃止しようとしたのである。
 したがってこの転換は、労働組合のプロ独における重要な役割を否定するものではなく、むしろ労働者階級と労働組合こそプロ独の主人公であることを再確認した上で、支配階級としての能力を最短の時間で獲得するために今何が必要かを考え抜いて打ち出された政策であった。

 労組との融合から国家の死滅へ

 以上に見た点は、レーニンが実際にロシア革命において貫徹した労働組合論である。その上で彼は、国家死滅の条件として、生産力の発展、全労働者人民の文化的レベルの向上とともに、特に労働組合が国家による生産の管理に参加することこそが決定的だとしていた。
 国家管理への労働組合の部分的参加が諸領域で進み、一定の段階に達すると、労働組合は国家機能の一部を担うようになる。さらに次第にこの国家と労働組合の融合を進め、労働組合を最終的に全国民経済管理を行うプロ独国家組織にとって代える。この段階に至ると国家は労働組合と融合して、国家機構として独立した存在ではなくなり、労働組合も、単なる労働組合でない、全労働者人民の利害を代表するものになる。労働組合の内部に貫徹されているプロレタリア民主主義は、国家的任務を労働者による自治的行政活動へと転化し、国家を全人民の自治的組織に発展させる決定的契機となるのだ。
 こうした過程を経て、さらに国家と労働組合に代わる組織=権力や政治に強制されない生産者の協同組合的な有機的結合体を基礎とした共産主義社会が実現されていく。
 レーニンは、このように労働組合をつうじて経済管理権を次第に労働者全体に引き渡し、その後、さらに生産者全体=全人民に引き渡すという形で国家の死滅を実現するという国家死滅の具体的道筋を構想した。レーニンは共産主義社会への移行の過程において労働組合がきわめて重要な役割を果たすと見ていた。
 以上のようにレーニンは、革命後のロシアの困難な条件を冷静に分析しつつ、この現実を土台としてプロレタリアート独裁と世界革命、共産主義社会をどう実現するかという観点から、労働組合が果たす重要な役割を明らかにした。
 レーニンが残したロシア革命における労働組合の役割に関する理論と実践は、今、きわめて重要な普遍的意義を持っている。ロシア革命史の中に労働組合をしっかりと位置づけ、その中から大恐慌と革命の時代における階級的労働運動路線貫徹の闘いのための教訓をつかみ、さらに、動労千葉の巨大な実践的闘いの地平を学び、発展させることが今ほど必要とされている時はない。

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