ZENSHIN 2010/07/26(No2449 p06)

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週刊『前進』(2449号1面1)(2010/07/26 )

 8・1革共同集会に大結集を

 全世界のストライキの爆発をプロレタリア革命へ

 国鉄全国運動を職場で実践し菅政権と連合支配打倒しよう

 8月広島・長崎行動−8・15闘争へ

 国鉄闘争全国運動は、「4・9和解」情勢という日本労働運動の重大な危機に対して、動労千葉の全力の訴えに、多くの人士、労働組合・労働者が応えてスタートした。それは階級的労働運動の創造に向けた歴史的挑戦だ。全力で職場の仲間に訴え、運動の前進をかちとろう。「大恐慌を革命へ」の闘いを切り開く革命党の圧倒的強化をめざして8・1革共同政治集会に結集しよう。8月広島・長崎反戦反核闘争から夏秋の闘いへ、菅民主党・連合政権打倒をめざして進撃しよう。
(写真 法廷で陳述した北原さん、萩原さんを先頭に報告会【7月23日 弁護士会館】)

 階級的労働運動の結集軸

 国鉄全国運動は、1987年の分割・民営化以降も連合の帝国主義労働運動と対決してきた国鉄闘争の地平を引き継ぎ、これに対する破壊攻撃を全力ではね返す中で、ついにつかみ取った階級的労働運動路線の具体的展開形態である。
 社会民主主義、スターリン主義、連合=帝国主義労働運動、カクマルに至る一切の反動勢力によって屈服と分断を強いられてきた日本の戦後労働運動の限界をのりこえ、階級的労働運動を創造する歴史的な挑戦だ。
 全国運動スタートの6・13集会に参加した誰もが、ものすごい熱気を感じ、新たな階級的労働運動創造の展望を感じた。それは、国鉄闘争が本来持っていた歴史的な位置と可能性、そして動労千葉が30年を超えて闘い抜いてきた歴史的地平をもって、新たな労働運動をつくろう、それは絶対にできるという確信と情熱だ。
 国鉄闘争は、新自由主義の最も典型的な暴力的攻撃と30年近く闘ってきた。このような闘争は世界中を探してもない。今回の政治和解は、この闘いを完全に解体する攻撃だった。しかも現在の日本の労働運動の現状、日本の労働者の状態の出発点・転換点は国鉄分割・民営化にある。このことをあいまいにしたら、労働者と労働運動の現状は絶対に変革できない。
 動労千葉は幾多の試練をくぐり抜けてきた勝利の地平に立って、今回の政治和解が歴史を画する労働運動破壊であることに警鐘を乱打し、他方で第2の分割・民営化攻撃である検修業務の外注化攻撃を実際に打ち破った。その勝利をもって、新たな全国運動という階級的労働運動の結集軸を打ち立てたのだ。職場生産点からこれに続く闘いを、全身全霊をかけて組織しよう。

 経団連と一体化した菅政権

 民主党・菅政権が公務員360万人首切りと大増税の階級決戦に踏み込んできたことを見据えなければならない。
 今年1月に財務大臣に就任した菅は、G20などに度々出席し、リーマンショックから始まった世界大恐慌がギリシャ危機という形で激烈に進行するのを目の当たりにした。そして「公務員360万人首切りと大増税以外に日本帝国主義が生きる道はない」と菅個人の政治信条やスタンスを超えて、日帝支配階級としてひとつの歴史的決断に踏み込んだのだ。
 菅政権の「新成長戦略」に明らかなように、菅政権と日帝ブルジョアジーは完全に一体である。その菅・民主党が参院選で大敗北したことは日本帝国主義にとって実に深刻な事態なのだ。それでも日本帝国主義の進むべき道はほかにない。日本経団連は参院選後ただちに「消費税は敗因ではない」と、菅政権支持を表明した。
 連合もまた労働者の離反を深めながらも、民主党や日本経団連と一体となって「公務員360万人首切りと大増税」の歴史的大攻撃の前面に立とうとしている。
 菅政権は参院選で大敗北し、ねじれ国会で法案がひとつも通らない危機に陥っている。このように危機と破綻を深めながら、日帝は階級決戦に踏み込まざるを得ないのだ。壮大な階級的激突に向かって歴史は進む。日帝との最大の攻防である4大産別決戦に絶対勝利しよう。

 職場支配権をめぐる闘い

 国鉄闘争全国運動を、〈国鉄・全逓・教労・自治体〉の4大産別、全国の職場生産点で、職場闘争と一体で推進しよう。
 職場闘争、職場での実践が重要だ。動労千葉の中野洋前委員長は著書『俺たちは鉄路に生きる2』で次のように述べている。
 (1)職場闘争は職場支配権をめぐる闘いであり、激しい党派闘争である
職場闘争は本質的に職場支配権をめぐる闘いだ。職場支配を組合側が獲得する闘争である。一番の党派闘争は、資本との闘争。職場の労働者をめぐって、資本・当局が日常不断にまきちらす思想、イデオロギー、あり方とどう闘うかが一番の党派闘争。
 (2)資本(当局)に対する怒り、組合ダラ幹に対する怒りと目的意識性が必要 資本に対する怒り、国鉄の場合は国鉄当局に対する怒りのない労働者に、職場闘争ができるはずがない。もう一つは、「いつか俺たちがこの組合の権力を握ってやる」という目的意識性だ。職場闘争は、その渦中で多くの労働者の支持を集め、それを提起した活動家たちの権威を高める。
 (3)すべての職場闘争は少数(一人)から始まる
 自分が努力して、人一倍いろんなことをやらなかったら、周りの労働者は認めない。失敗を恐れるな。
 (4)職場闘争は、敵の弱点・矛盾を突き、味方の団結を強化・拡大する闘い 職場闘争のテーマはたくさんある。全部がテーマになるはずもない。「これならいけるな」という見極めが必要。そして敵の弱点を形成しているところを見つけだす。運転職場で当局の最大の弱点は安全。これを逆手にとってやったのが、反合理化・運転保安闘争。
 (5)献身的・意識的活動家集団の質と量によって決まる 労働運動に人生を捧げる人たち。そういう人が何人いるかで、職場の力関係は決まる。
 (6)職場闘争は将来、組合指導部になるための能力形成の戦場 組合の権力を握ると、その時に何をやるかが直ちに問われる。日常的な職場闘争の過程で、否応なしにその能力は形成される。
 ――以上のポイントを踏まえ、職場生産点の労働者の団結をかちとる職場闘争を始めよう。国鉄闘争全国運動と動労千葉の反合・運転保安闘争路線を武器に、全国の職場生産点で職場闘争を実践しよう。
 職場生産点からの地をはうような実践こそが体制内派との党派闘争に勝利し帝国主義の危機を革命に転化する道だ。労働者階級の動向こそが帝国主義の行方を左右する。このことに確信をもって職場闘争を実践しよう。

 「反戦」は労働運動の課題

 労働運動の闘いの軸に反戦闘争を路線として位置づけて闘おう。自国の侵略戦争と闘わなければ労働運動は成り立たない。そうでなければ労働組合は戦争に加担する側につかざるを得ない。
 連合傘下であっても、労働者階級の中に根強く残る反戦意識・階級意識を解体することなしに日帝が戦争を遂行することは不可能だ。
 戦後の労働運動は日帝の敗戦から出発した。だが、占領軍を解放軍と規定し、「民主主義革命」を掲げた日本共産党の指導によって戦後革命は敗北した。1950年の朝鮮戦争の前に国鉄10万人首切り、レッドパージなどの攻撃が襲いかかった。共産党は対決できないまま非合法化された。
 1950年代からの総評労働運動は「再軍備反対」「基地撤去」などの平和4原則を掲げた民同左派が主導権をとり、「平和と民主主義を守る闘い」という位置づけで反戦闘争を闘った。しかし総評労働運動は、労働者の階級性に依拠するのでなく、日帝の高度成長に依拠したモノ取り運動だった。総評の反戦運動は「日本が戦争に巻き込まれるのに反対」という決定的弱点があった。
 結局、反戦闘争をめぐる分岐点は、祖国擁護か祖国敗北かだ。帝国主義の戦争は「祖国防衛」の名で行われる。これに労働運動が屈した時に戦争になる。実際にイラクやアフガンで侵略戦争が行われ、日本が支持―参戦している現状と本当に闘う労働運動が必要だ。
 戦争反対と戦争動員拒否の闘いは、〈国鉄・全逓・教労・自治体〉の4大産別のみならず、医療や民間、正規・非正規雇用を問わず身近な問題だ。労働者の闘いの基本的な要求・課題として反戦闘争を闘おう。
 戦後の2大反戦闘争である安保・沖縄闘争とヒロシマ・ナガサキ反戦反核闘争が決定的に重要だ。日本の反戦闘争は、労働組合が先頭で闘ってきた。労働者、労働組合が先頭に立ったとき反戦闘争は爆発する。
 また戦後の反戦闘争は砂川闘争、60年安保や米ソ核実験反対闘争を始め常に日本共産党スターリン主義との激しい党派闘争の歴史だ。今日、オバマ礼賛に転落した日共との闘いが重要だ。
 8月ヒロシマ・ナガサキ闘争、8・15闘争を闘いぬき、職場闘争を基軸に11月に向かって闘いぬこう。

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週刊『前進』(2449号1面3)(2010/07/26 )

 大恐慌を世界革命へ強力な夏期カンパを

 すべての読者のみなさん。2010年後半戦にあたり、革共同はあらためて、これまでの殻をうち破る強力なカンパ闘争に決起することを訴えます。
 革共同は労働者階級の革命党です。大恐慌を革命に転化するために、革共同をさらに強く、さらに豊かに労働者階級の党として建設しよう。みなさん自身が世界革命の主体として決起することが一切の核心です。
 国家財政の破綻が世界中に広がっています。ドル暴落、日本国債の暴落、中国バブル崩壊を目前にする大恐慌の新段階に入りました。資本家階級は首切りと賃下げ、大失業攻撃を強め、資源・市場をめぐる国家間戦争へ向かっています。人類がこれまで経験したこともない事態に、労働者の怒りがマグマのように噴き出し、ストライキの波が全世界を覆っています。1047名解雇撤回をめざす国鉄全国運動は、こうした時代への回答として動労千葉と多くの方々の力で発足しました。
 菅政権は参院選で敗北し、すべての攻撃を労働組合と階級闘争の絶滅攻撃としてかけてきています。一切の攻防が職場生産点での闘いと団結の形成、労働組合をめぐる激突にあります。革共同は、党の変革と飛躍をかけて国鉄全国運動の先頭に立つ決意です。
 すべてを生産する労働者がまともに生きることもできない、この転倒した社会を、人間が人間らしく生きられる社会にするために、可能なすべての力を持ち寄って革命党を建設し、強化しましょう。カンパはそのために不可欠な、労働者なら誰でもできる闘いです。
 圧倒的多数の労働者階級人民が党を支持し拠金を寄せた時に、権力・反革命に勝利する不抜の労働者党を建設することができるのです。
 2010年、私たちは歴史的な激動の時代に生き闘っています。第1次世界戦争を革命の勝利に転化したロシア労働者階級、1930年代の世界恐慌下に世界革命へ情熱を燃やしたドイツ、フランス、スペイン、中国の労働者階級、そして戦後革命期の日本労働者階級と同じ、いやそれ以上の歴史的局面に私たちは闘っています。
 この激動の時代に世界革命に勝利するために、革共同の強大な建設をともに闘いとろう。圧倒的なカンパをお願いします。

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週刊『前進』(2449号1面4)(2010/07/26 )

前進速報版から 前進速報版から

▼全国連西郡支部が第5回大会▼7・16関西国鉄集会、全国運動へ決起誓う▼関西合同労組技能分会を先頭に奈良駅前で国鉄街宣

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週刊『前進』(2449号1面5)(2010/07/26 )

 日程 ◎市東さん耕作権裁判

7月26日(月)午前10時30分 千葉地裁
※傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合を

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週刊『前進』(2449号3面4)(2010/07/26 )

 日程 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争

 【広島】
 全世界の労働者・民衆の団結で、核をなくせ! 戦争・改憲をとめよう!
 被爆65周年8・6ヒロシマ大行動
 8月6日(金)12時半
 広島県立総合体育館小アリーナ
 集会後、午後3時デモ出発(原爆資料館下まで)
 主催 8・6ヒロシマ大行動実行委員会
 《関連行事》
 ◎労働者産別交流集会
 5日(木)午後1時開場 広島市東区民文化センター
 ◎全国学生集会
 5日(木)午後4時 広島市東区民文化センター
 ◎全国青年労働者交流集会
 5日(木)午後6時 広島市東区民文化センター
 菅首相来広・祈念式典弾劾デモ
 6日(金)午前7時 東千田公園(日赤原爆病院前)

 【長崎】
 労働者の国際団結で日米安保粉砕し、核廃絶へ! オバマ政権・民主党菅政権打倒へ!
 長崎反戦反核集会
 8月8日(日)午後6時
 長崎県勤労福祉会館
 主催 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争
 全国統一実行委員会
 長崎原爆朝鮮人犠牲者追悼早朝集会
 8月9日(月)午前7時半
 爆心地公園の原爆朝鮮人犠牲者追悼碑
 主催 長崎朝鮮人の人権を守る会
 平和式典菅参加弾劾デモ
 8月9日(月)午前10時
 城栄公園(路面電車・大橋駅下車)
 主催 8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争
 全国統一実行委員会

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週刊『前進』(2449号4面1)(2010/07/26 )

 戦争と改憲の菅政権打倒!

 全国統一実行委員会が呼びかけ

 8・15労働者・市民のつどいへ

 7・11参院選で大敗した民主党・菅政権は戦争と改憲、労組破壊に突き進もうとしている。菅政権打倒を訴える「8・15労働者・市民のつどい」のアピールを紹介します。(編集局)
 戦後65年目の8月15日、私たちは「朝鮮戦争反対!菅政権打倒! 民権2010」―国益と排外に憲法は屈するのか―と題して第16回目の8・15労働者市民のつどいをおこないます。多くのみなさんの賛同と参加をお願いします。
 今年の8・15の集会では、「6・2政変」による菅政権の成立の意味をするどく突き出しながら、日本帝国主義の戦争と改憲の攻撃の切迫性をえぐりだすこと、菅政権を打倒して本当の「民権」を実現することを訴えたいと思っています。
 この3年間の世界大恐慌の深まりの中で、世界中で失業と貧困が拡大し巨額の財政投入による国家財政の破綻、各国間の対立の激化と戦争の危機が深まっています。その一方で、全世界の労働者階級はギリシャを先頭にEU各国でそしてアメリカ、韓国、中国で大反撃に決起しています。日本はギリシャ以上の危機、世界最大の巨額の借金にあえぐ中で、昨年8・30、永きにわたった自民党支配が労働者人民の怒りでうち倒され、それに代わった民主党・鳩山政権も1年ともたず、沖縄を先頭とする労働者人民の怒りで打倒されました。しかし支配階級の側は人民の支持を失った鳩山・小沢政権を菅にすげ替えたように、一種の「クーデター」とも言える手段で支配の崩壊を乗り切りながら「戦争と改憲」に突き進んでいます。その政策は「現実主義」と称して徹頭徹尾支配階級の手先として消費増税、首切り、労組破壊の攻撃、さらに韓国哨戒艦沈没事件をもテコに戦争と改憲の攻撃をおし進めようとしています。
 7・11参院選で菅政権に〈NO〉が突きつけられ、さらなる大激動に突入しました。続投を表明し居直る菅政権を直ちに打倒しよう。労働組合をめぐる攻防で決着をつけましょう。国鉄1047名闘争「和解」という、労働運動絶滅・解体の攻撃にたいして、全国・全世界が注目する「国鉄闘争全国運動」がスタートしました。闘う労働組合を軸として、「民権」の闘いと国際連帯で菅政権を打倒し、戦争と改憲を止めましょう。
 戦後50年を問う8・15労働者・市民のつどい全国統一実行委員会
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 【紹介】

森川文人(もりかわふみと)さん
 1962年生 東京出身 1991年弁護士登録 2004年度第二東京弁護士会副会長 法大弾圧弁護団主任
松元ヒロ(まつもとひろ)さん
 法政大学政治学科卒業 コント集団「ザ・ニュースペーパー」の結成に参加 1998年11月にピン芸人となる
民主労総(全国民主労働組合総連盟)
 80万人を擁する韓国の労組ナショナルセンター そのうちソウル地域本部は組合員数20万人   
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 朝鮮戦争反対!菅政権打倒!民権2010

 8・15労働者・市民のつどい

―国益と排外に憲法は屈するのか―
8月15日(日) 正午開場 午後1時開会
牛込箪笥(たんす)区民ホール
■森川文人さん(弁護士)
 「居直り菅政権を打倒して民権を実現しよう」
■西川重則さん(平和遺族会全国連絡会代表)
 「戦争と改憲に絶対反対」
■コント 松元ヒロさん「NO WE 菅!」
■特別報告 韓国・民主労総「日韓労働者のストで戦争を止める」
■特別報告 田中康宏・動労千葉委員長
■ブラジル・コンルータス第2回大会参加報告
■沖縄からの訴え
■発言 「裁判員制度はいらない!大運動」/青年労働者/学生/国鉄闘争全国運動
主催 戦後50年を問う8・15労働者・市民のつどい全国統一実行委員会

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週刊『前進』(2449号5面3)(2010/07/26 )

焦点 消費増税のためのあがき

 IMFが「引き上げ」提言

 国際通貨基金(IMF)は7月14日、日本に対する年次審査で、「来年度から消費税率を引き上げるべきだ」と提言した。現在5%の消費税を10年程度かけて15%まで引き上げる案を軸に、14%〜22%まで税率を上げるべきだと提言している。
 また民主党政権が6月の「新成長戦略」で「20年度までに国と地方の基礎的財政収支の黒字化」を目標化したことについて、IMF提言は「重要な一歩」と評価した上で、「黒字化までの期間が長い」と文句を付けている。要するに「公務員人件費の削減などを直ちに徹底的にやれ」と発破をかけているのだ。
 IMFという国際機関の提言の形を取っているが、今回の提言はほとんど日帝・民主党政権との合作と言えるものだ。提言は冒頭で「この報告は5月19日に東京で行われた討議に基づいている」と述べ、IMF担当者が日銀総裁・白川や財務大臣・野田、その他と会談したことを明らかにしている。しかもIMFには日本から財務省官僚が大量に出向・天下りし、副総裁や理事の要職についているのだ。
 こうした事情から明らかなことは、参院選で大敗北した民主党・菅政権が、労働者階級が示した「消費増税にノー」の強い意思と怒りに大打撃を受けながら、あくまでも消費増税を貫徹しようとしていることである。そのためにIMFの「権威」を使って巻き返しに出てきたのだ。
 菅政権と資本家階級を突き動かしているものは、「このままでは日本はギリシャのようになってしまう」「国際競争に負けて、日本は没落する」「労働者の怒りが爆発し、革命になってしまう」という、震え上がるような危機感だ。
 IMF提言は、日本経団連の提言「成長戦略2010」(今春4月)とも完全に合致する。経団連提言は消費税について、「11年度から速やかかつ段階的に10%まで引き上げ……20年代半ばまでに欧州諸国なみの10%台後半ないしはそれ以上へ引き上げる」ことを政府に要求している。他方、企業の所得に課税される法人税について、「わが国企業が国際的な競争環境で互角に戦えるように……法人税負担の軽減をはかるべきである」と要求している。これを受けて政府は6月に「新成長戦略」を閣議決定した。
 一連の動きから見えるものは、日帝の絶望的な危機だ。国と地方の借金総額が約1千兆円、対GDP比180%まで膨らんだ破産状況の中で、日帝は他帝国主義諸国と競争し、生き延びなければならないという困難に直面している。その中で、一切の犠牲を労働者階級に押しつけ、労働者の団結を破壊する以外に生き延びられないのだ。
 しかし、どんなことをやっても、日帝が危機から抜け出ることなど絶対にできない。労働者階級がこの日帝の絶望的危機を見据え団結して闘うならば、公務員360万人首切りも、消費大増税も、沖縄新基地建設も必ず粉砕できる。こうして日帝の一切の延命の道を絶ち、日帝を打倒し、プロレタリア革命に勝利することができる。労働組合をめぐる攻防が一切を決する時代が来たのだ。
投機的取引を容認し助長
米「金融規制法」のペテン
 7月21日、米帝の金融規制強化法が成立した。09年6月に金融規制強化案が発表されて以来、「金融危機の再発防止策」「30年代以来の金融規制」などと宣伝されてきたが、そういう実質はまったくない。オバマ政権の狙いは、こういうペテンを使って、米帝の大銀行救済策に対する労働者の猛烈な反発と怒りをそらすことにある。現に日本の金融庁幹部は「法案は国民へのアピール。実効性があるのか?」と公言している。日本のブルジョアマスコミは、あたかもこうした規制強化によって大恐慌の深化が防げるかのようにごまかすために、「規制強化」などと大うそをついている。
 法案の焦点となったのは2点である。@銀行がヘッジファンドに出資して運営するような、投機的取引・高リスク取引が横行しているのに対し、これを禁止するかどうか。また、デリバティブ(金融派生商品)取引について、銀行本体から完全分離するかどうか。しかし、いずれも法案から外され、基本的に今までどおりでよいとなった。ヘッジファンドへの出資については自己資本の3%分まで、との規制となっただけだ。
 Aまた、銀行の預金量のシェアや負債の市場シェアなどで制限を設け、経営規模が大きくなりすぎることを規制しようとした。「大きすぎてつぶせない」という現状への対応策として出された。しかし最終的に、これも完全に削除された。
 つまり、@の銀行取引の質、Aの銀行取引の量、という両方で従来のあり方を大きく変えるような規制は何もない。米帝の金融は29年大恐慌後の30年代に規制されてきたが、80年代以来の新自由主義によって規制が撤廃されてきた。それこそが07年からの世界大恐慌を爆発させる促進剤となった。新自由主義はこういう形で大恐慌に帰結し、歴史的に大破産した。しかしそれに代わって資本主義−帝国主義を延命させる方策があるはずもない。金融規制をめぐる米帝のあがき、大ペテンの中に、帝国主義の末期性、資本主義の終わりが鮮明に示されている。
 米帝は08年秋のリーマン・ショック以降、金融資本を救済し金融システムを維持するために、前例のない恐慌対策を発動してきた。シティグループ、AIG、住宅公社ファニーメイ・フレディマックなどの公的管理、銀行への5千億jもの公的資金の投入、住宅公社2社からの住宅ローン担保証券の買い入れなど。また、09年には、金融機関が保有する金融商品、商業用不動産ローン債権に粉飾会計を容認した。規制とは正反対の、国家による金融資本の救済策の満展開だ。
 しかし、こうした恐慌対策にもかかわらず、世界大恐慌はギリシャ危機、国家財政破綻の世界的連鎖という形で激化しつつある。米金融機関は住宅ローン債権を依然として10兆8千億j(09年末)も抱えており、危機が再び噴出するのは必至だ。特に4月末で米政府による住宅減税が終了した影響から、5月の新築一戸建て住宅の販売件数は前月比32・7%減となり、過去最大のマイナス幅を記録した。大恐慌をプロレタリア革命に転化することが、ますます現実的になりつつある。

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週刊『前進』(2449号5面4)(2010/07/26 )

焦点 投機的取引を容認し助長

 米「金融規制法」のペテン

 7月21日、米帝の金融規制強化法が成立した。09年6月に金融規制強化案が発表されて以来、「金融危機の再発防止策」「30年代以来の金融規制」などと宣伝されてきたが、そういう実質はまったくない。オバマ政権の狙いは、こういうペテンを使って、米帝の大銀行救済策に対する労働者の猛烈な反発と怒りをそらすことにある。現に日本の金融庁幹部は「法案は国民へのアピール。実効性があるのか?」と公言している。日本のブルジョアマスコミは、あたかもこうした規制強化によって大恐慌の深化が防げるかのようにごまかすために、「規制強化」などと大うそをついている。
 法案の焦点となったのは2点である。@銀行がヘッジファンドに出資して運営するような、投機的取引・高リスク取引が横行しているのに対し、これを禁止するかどうか。また、デリバティブ(金融派生商品)取引について、銀行本体から完全分離するかどうか。しかし、いずれも法案から外され、基本的に今までどおりでよいとなった。ヘッジファンドへの出資については自己資本の3%分まで、との規制となっただけだ。
 Aまた、銀行の預金量のシェアや負債の市場シェアなどで制限を設け、経営規模が大きくなりすぎることを規制しようとした。「大きすぎてつぶせない」という現状への対応策として出された。しかし最終的に、これも完全に削除された。
 つまり、@の銀行取引の質、Aの銀行取引の量、という両方で従来のあり方を大きく変えるような規制は何もない。米帝の金融は29年大恐慌後の30年代に規制されてきたが、80年代以来の新自由主義によって規制が撤廃されてきた。それこそが07年からの世界大恐慌を爆発させる促進剤となった。新自由主義はこういう形で大恐慌に帰結し、歴史的に大破産した。しかしそれに代わって資本主義−帝国主義を延命させる方策があるはずもない。金融規制をめぐる米帝のあがき、大ペテンの中に、帝国主義の末期性、資本主義の終わりが鮮明に示されている。
 米帝は08年秋のリーマン・ショック以降、金融資本を救済し金融システムを維持するために、前例のない恐慌対策を発動してきた。シティグループ、AIG、住宅公社ファニーメイ・フレディマックなどの公的管理、銀行への5千億jもの公的資金の投入、住宅公社2社からの住宅ローン担保証券の買い入れなど。また、09年には、金融機関が保有する金融商品、商業用不動産ローン債権に粉飾会計を容認した。規制とは正反対の、国家による金融資本の救済策の満展開だ。
 しかし、こうした恐慌対策にもかかわらず、世界大恐慌はギリシャ危機、国家財政破綻の世界的連鎖という形で激化しつつある。米金融機関は住宅ローン債権を依然として10兆8千億j(09年末)も抱えており、危機が再び噴出するのは必至だ。特に4月末で米政府による住宅減税が終了した影響から、5月の新築一戸建て住宅の販売件数は前月比32・7%減となり、過去最大のマイナス幅を記録した。大恐慌をプロレタリア革命に転化することが、ますます現実的になりつつある。

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