ZENSHIN 2010/09/27(No2457 p06)

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週刊『前進』(2457号1面1)(2010/09/27 )

 国鉄全国運動で菅打倒を

 非正規職撤廃・民営化粉砕へ職場・街頭で怒り爆発させよう

 東アジア共同体―釣魚台侵略許すな

(写真 三里塚闘争44年の勝利に確信 9月20日、千葉市のDC会館で千葉県三里塚集会が開かれた=記事4面)

 全国の青年労働者、学生の皆さん! すべての労働者人民の皆さん! 「国鉄闘争の火を消すな!」を合言葉に、1047名解雇撤回、非正規職撤廃・民営化粉砕へと壮大な闘いを創造する国鉄闘争全国運動を、職場と地域で猛然と広げよう。今年の11・7全国労働者集会1万人結集の最大の軸は、国鉄闘争全国運動だ。ここで勝負しよう。公務員大攻撃と戦争・改憲の菅ブルジョア救済内閣に、職場・大学・街頭で怒りを爆発させ、11月へと攻め上ろう。動労千葉、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械港合同の闘う3労組の労働者とともに、11・7集会の歴史的成功へ突き進もう。

 「新成長戦略」と全面対決を

 菅民主党・連合政権は、日帝・資本家階級の利害と要求を体現し、その先兵と化したむき出しのブルジョアジー救済政権だ。「市民運動出身」とか「クリーンだ」とかいうのはまったくの欺瞞(ぎまん)に過ぎない。
 世界大恐慌情勢は米帝経済を始めとして「二番底」に転落する危機をはらみながら、今や米欧日と中国を軸にして、大恐慌に特有の歴史的な為替戦争(通貨切り下げ競争、通貨安競争)に突入している。これは大恐慌下の保護主義がブロック化に向かう歴史的局面と言える。
 この中で円高攻勢とデフレにあえぎ、1千兆円に迫る国家財政の破綻を突きつけられている日帝・菅政権は、「新成長戦略」を推進して、外に向かっては「東アジア共同体」を掲げたアジア侵略・侵略戦争の攻撃を激化させ、内に向かっては民営化と公務員制度大改悪=公務員労働者360万人の首切り・非正規化を強行し、労働者の9割を非正規職にたたき込む大攻撃を強めている。
 そのために菅政権は、連合などの帝国主義労働運動とその指導部を深々と取り込み、そのさらなる翼賛化と産業報国会化を加速させている。菅政権と経団連=日帝ブルジョアジーは、国鉄1047名解雇撤回闘争の解体を狙う4・9政治和解の歴史的大反動で、労働者の団結する権利や労働組合の解雇撤回闘争を根絶やしにし、国労や自治労といった4大産別の労働組合のダラ幹指導部を公務員大攻撃の先兵にしようとしているのだ。
 だがこの日本階級闘争の歴史的大転換をめぐる攻防の最先端で、JR検修業務全面外注化の4月1日実施を阻止した動労千葉の闘いと、関西生コン支部の大ストライキ闘争が、JR資本と大手ゼネコンという日本帝国主義の体制そのものを揺るがしている。そして、国鉄・JRを始め、自治体、教労、全逓などあらゆる職場で、首切りと大失業への怒り、民営化・外注化・非正規職化の大攻撃への怒りが爆発し、青年労働者や労組青年部が闘いに立ち上がっている。そして資本・当局や、敵の軍門に下った協会派、日本共産党などとの激しい激突、党派闘争が激化している。
 この歴史的階級攻防に勝利する展望と力の源泉こそ、国鉄全国運動だ。このことに圧倒的確信を持ち、11月1万人決起へ闘おう。

 外注化阻止の新たな大決戦

 動労千葉の12月ダイ改をめぐる新たな検修外注化阻止の闘いは青年労働者の未来をかけた大決戦だ。「国鉄分割・民営化25年」が2012年に迫る中でJR北海道・四国・九州の3島会社と貨物会社は経営破綻に陥り、国鉄分割・民営化の大破産が突き出されている。連日のように相次ぐ安全・事故問題の爆発こそ国鉄分割・民営化の破綻を鋭く突き出す敵JR資本の最大の危機点だ。
 JR資本は、「国鉄改革の完遂」を掲げて、検修・構内業務の全面外注化の強行へと再び動き出している。外注化によるJRの数百の子会社化・孫会社化は、JRで働く労働者を全面的に非正規職にたたき込む攻撃だ。
 さらに国土交通省は、JR3島会社と貨物会社に、日航型の大リストラをやれと迫っている。これに対しJR総連・カクマルは、民主党政権に取り入り、「連合組織内候補」を送り込む一方で、賃下げ・外注化の先兵となることで必死の延命を策している。また国労本部は7月の大会で、国労闘争団の組合員を「特別組合員」などとして切り捨て、スト基金も取り崩し、職種別協議会という全国的機関も解散して、企業別組合化と連合への合流という大転向に突き進んでいる。
 だがこうした中で、動労千葉に結集した平成採の青年労働者を先頭に、各地でJR東労組などの制動をうち破り、青年労働者の怒りが爆発し、感動的な闘いが始まっている。ここにこそ、国鉄分割・民営化体制と4半世紀におよぶ新自由主義攻撃を根底から打ち破る闘いの展望がある。全国の青年労働者は、動労千葉を始めとする国鉄の青年労働者の決起を守り、拡大し、団結してともに闘おう。国鉄・JRでの攻防を水路に、国鉄全国運動を最大の武器とし、2千万青年労働者の総決起をつくりだそう。

 公務員大攻撃を粉砕しよう

 この国鉄闘争を先頭に、公務員大攻撃との決戦こそが、今日の攻防の最大の焦点だ。公務員制度大改悪の核心は、「労働基本権を付与して、民間並みのリストラ、人員整理をできるようにせよ」「生首が切れるように法改正をやれ」(江田憲司・みんなの党)ということにある。要するに公務員労働者360万人の全員解雇−選別再雇用によって、戦後的な労使関係を全面的に転覆し、労働組合と労働者の団結、ストライキ闘争を根絶やしにして、6千万労働者の9割を非正規職にたたき込もうとしているのだ。
 人事院勧告制度の2012年廃止−「公務員庁」の新設とともに、日本年金機構も2012年に解散し、歳入庁への統合が狙われている。公立保育園・幼稚園を廃止して、「子ども園」にするために2011年に法案が出されようとしている。これによる30万人の保育労働者の首切りと非正規化は、自治体労働運動の主力を形成してきた現業労働運動の全面解体を狙う大攻撃だ。また菅政権は、教員免許更新制の「継続」を打ち出し、さらに北海道教組など約20道府県の教職員組合に対し「勤務時間中の組合活動の調査」をやるという、とんでもない方針を出してきている。
 郵政でも、7・1のゆうパック統合の破産と民営化の大崩壊、JP労組の崩壊的情勢という中で、年末繁忙期から来春に向け、65歳以上の非常勤職員2万人の首切り・大合理化攻撃との闘いが一大決戦となっている。
 公務員制度大改悪こそ、道州制・民営化=「地域主権」という名の国家大改造攻撃と一体であり、戦後労働運動・労働組合運動を絶滅し、階級的団結を解体して、戦争と改憲に向かう歴史的攻撃だ。だがそれは大恐慌で破綻した新自由主義政策にあくまですがりつく、日帝の絶望的な延命攻撃でもある。これとの対決は、階級的労働運動の前進でプロレタリア革命を決定的に引き寄せる闘いなのだ。
 「労働基本権のはく奪とその代償としての人事院設置」は表裏一体で、戦後革命の圧殺の上に公務員労働運動を抑圧・支配する体制としてあった。ここで特に人事院・人事委員会制度とは、スト権など労働基本権のはく奪を前提とした「身分保障」「雇用保障」の「枠組み」のもとで、雇用と賃金を軸に公務員労働者を全面的に支配し、プロレタリア革命の現実化を阻止しようとするものだった。
 しかしここで決定的なのは、国鉄分割・民営化絶対反対の闘いの中から、1047名解雇撤回闘争が生まれ、またこの闘いをつくり出したのが、公労法解雇を受けて立った動労千葉の2波のストライキだったということだ。それは戦後革命圧殺の代償としての公務員労働運動の圧殺体制を、根底的に実力で打ち破ったのである。この動労千葉の闘いの地平こそ、今日の公務員大攻撃との歴史的決戦における勝利の展望を指し示している。

 三里塚闘争は「反戦の砦」だ

  菅民主党・連合政権の「新成長戦略」は一方で「パッケージ型インフラ輸出」を柱に「東アジア共同体」=アジア侵略へと決定的に踏み込む攻撃だ。菅政権は改憲派で対中国強硬派の前原を外務大臣にすえ、中国領である釣魚台(ちょうぎょだい、「尖閣列島」)への侵略戦争挑発、中国漁船の連行と船長の逮捕・勾留という軍事行動に踏み切った。日中関係は米帝の日米安保的な介入をも生み出し、今や戦争的緊張に突入している。
 さらに菅政権は、日米安保強化と5月の日米合意に基づく沖縄・辺野古新基地建設の強行を狙っている。今年前半を超える階級的激突、安保・沖縄闘争の歴史的爆発は不可避な情勢だ。
 11・7集会1万人大結集へ、国鉄全国運動の拡大と発展こそ最大の力だ。職場と街頭から総決起をつくり出そう。職場と地域で動労千葉物販を訴え、「動労千葉を支援する会」3千人会員の組織化に全力を挙げよう。闘う労組青年部と青年部運動、闘う労働組合を全国につくり出そう。
 三里塚こそ侵略と戦争を阻む反戦の砦(とりで)だ。軍事空港絶対反対・農地強奪粉砕の決意も新たに、10・10現地闘争に総決起し、11・7労働者集会へ突き進もう。

(写真 昼休み、法大正門前で、キャンパスの学生たちに「法大解放、11月総決起へともに闘おう」と呼びかける倉岡さんと斎藤君ら【9月21日】)

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週刊『前進』(2457号2面1)(2010/09/27 )

 戦争・改憲と公務員大攻撃の菅ブルジョア救済内閣打倒を

 連合に依拠した破綻的な体制

 9月17日、菅は、民主党代表選の勝利を受けて改造内閣を発足させた。この菅改造政権こそ、危機を深める日帝ブルジョアジーの救済のために労働者階級への大攻撃と戦争・改憲へなりふり構わず突進しようとする政権だ。しかもその攻撃を連合を最先兵として、すなわち「労働組合」を最大の手先に使って貫こうとしている。そのことによって、自民党政権下でもできなかった公務員労働者の大量首切り・非正規化や改憲・戦争への攻撃に全面的に踏み出そうとしているのだ。
 ここに、きわめて危機的であると同時に実に反革命的な菅政権の階級的役割がある。だがこれは労働者階級が連合支配を決定的に打ち破り、日本労働運動の階級的再生を闘いとっていく絶好のチャンスの到来でもある。菅政権と真っ向から対決し、打倒する闘いとして今秋11月を闘おう。
 菅政権の正体を最もよく示すのは、前国交相の前原誠司を外相にすえ、総務相に元鳥取県知事の片山善博を登用したことにある。

 前原と片山

 前原は、国鉄1047名闘争つぶしの「4・9政治和解」という一大反革命を仕組んだ張本人だ。中国脅威論を唱え、9条改憲と日米安保強化を公然と主張してきた極反動政治家だ。
 片山は、大阪府知事の橋下らとともに道州制攻撃の先頭に立ってきた人物であり、県知事時代には公務員労働者の賃金削減を人事委員会勧告をも上回る形で強行した。その「実績」を買われて公務員大攻撃の推進役として抜擢(ばってき)されたのだ。
 菅は改造内閣発足に伴う記者会見で、この前原、片山と経済財政相の海江田万里の3人を「司令塔」にして、「経済・外交・地域主権」の三つの課題に挑戦する「有言実行内閣」をめざすと宣言した。
 「経済」とは、大恐慌下で没落の危機にあえぐ日帝ブルジョアジーを救うために必要なことは何でもするということだ。「外交」とは、帝国主義間争闘戦に国家をあげて突入し、東アジアの勢力圏化に全力で突き進むことだ。そのためには対北朝鮮、対中国の侵略戦争突入をも辞さないということだ。そして「地域主権」とは、労働運動の絶滅と全労働者の非正規化・無権利化の推進のために、その突破口として自治体丸ごとの民営化と公務員労働者の生首を切る攻撃に全面的に打って出るということだ。
 すでにその攻撃は激しく開始されている。民主党代表選から一夜明けた9月15日、政府・日銀は進行する円高に対して、2兆円もの巨額に上る日帝単独の為替介入に踏み込んだ。米欧帝国主義に対する日帝の側からの為替戦争への突入である。さらに海上保安庁による中国漁船の拿捕(だほ)をめぐり、前原は直ちに「日本の主権を脅かす活動や行為には毅然(きぜん)と対応していく」と言い放った。日帝が日清戦争によって台湾の植民地化とともに中国領・釣魚台(ちょうぎょだい、尖閣列島)を略奪した事実を押し隠し、新たな侵略に公然とのりだすものだ。東中国海でのガス田開発についても極度に強硬な対応をとり、今や中国との国交断絶寸前まで戦争挑発をエスカレートさせている。そしてこの排外主義攻撃をもバネに日米安保強化・沖縄辺野古新基地建設への道を打開しようとしている。
 他方で総務相の片山は就任後直ちに人事院勧告をも上回る国家公務員賃金の大幅引き下げへの攻撃を開始した。続いて国の出先機関の廃止にも踏み込もうとしている。国家公務員32万人のうち21万人が現在働いている出先機関の廃止と30万人の公務員労働者が働く公立保育所・幼稚園の全廃で、全公務員労働者360万人の首切り・非正規化にいよいよ本格的に突き進もうとしている。
 日本経団連会長の米倉は、菅の続投をもろ手を挙げて歓迎し、新成長戦略の前倒し実施を強力に求めた。9月15日には、法人税減税の即時実施と消費税大増税への着手を「菅首相はその重要性を十分に理解している」と露骨に要求した。菅政権は「国鉄改革」と「公務員制度改革」を柱にすえて労働者階級への全面的な階級戦争と侵略戦争の一体的推進にのりだした。これは、この間、日帝ブルジョアジーが熱望してきたことだ。日帝は世界大恐慌下、政治支配の崩壊的危機と争闘戦激化にのたうち回る中、対米対抗性が強すぎる小沢ではなく、ひとまず菅に自らの利害を託すことを選択したのである。

 絶望的危機

 だが日帝のこの選択はあらゆる意味で極度に危機的であり、絶望的だ。菅は「市民派」「クリーン」イメージの演出によって人民を欺き、菅政権のもとへの総翼賛体制をつくり出すことに一切をかけている。だがそんなペテンは早晩はがれ落ちる。とりわけ沖縄での新たな怒りの爆発は必至である。また小沢との対立が示す日帝支配階級内の分裂抗争はこの過程を通してますます激化・泥沼化し、政治危機の一層の大爆発を生み出していくのは間違いない。
 こうした中で、菅の新成長戦略推進の最大の担い手は連合だ。菅政権には法相の柳田稔、文科相の高木義明、経産相の大畠章弘ら、連合から7人が入閣している。さらに部落解放同盟の松本龍が環境相に、旧社会党左派の岡崎トミ子が国家公安委員長になった。労働組合指導部やかつての体制内左翼が日帝ブルジョアジーの先兵となって労働者階級に襲いかかってきている。これが菅政権の最大の支柱であると同時に最大の弱点だ。
 国鉄闘争全国運動の発展は、6千万労働者の怒りを根底から解き放ち、連合支配を打倒し、菅民主党・連合政権を土台から突き崩す決定的情勢を引き寄せるものだ。11月労働者集会への1万人結集を絶対にかちとり、その力で菅政権打倒、日帝打倒へ巨大な情勢を切り開こう。

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週刊『前進』(2457号5面2)(2010/09/27 )

焦点 日中関係が戦争的緊張へ

 釣魚台侵略居直る菅政権

 9月7日に中国領・釣魚台(ちょうぎょだい、「尖閣列島」)付近で発生した中国漁船と海上保安庁の巡視船との「衝突事件」で、日本政府・海保側が船長の逮捕に踏み切り、漁船と乗組員を石垣島に連行した事件は、日帝・菅政権の新たなアジア侵略政策とそれを支える軍事外交政策上の重大なエスカレートだ。この問題は今や日中の重大な外交問題に転化、「閣僚級以上の交流停止」に始まる「外交戦」となり、ついに中国政府は温家宝首相が「船長の即時無条件釈放」を公開の場で要求する事態となった。
 これに対し日帝・外務相の前原は「尖閣諸島に領土問題は存在しない」と強弁し、「日米同盟の深化」をめざす姿勢を強調、海保と自衛隊による現場海域の軍事的制圧度を高め、逮捕した船長の起訴すら射程に入れている。この菅政権の“対中強硬姿勢”が、極右勢力の民族排外主義を増長させていることも重大だ。東京都知事の石原は「中国はやくざと同じ」「領海を侵されて日本はなぜ(軍事行動を)やらないのか」と言い放った。こうした動きを階級的怒りで弾劾しなければならない。
 そもそも釣魚台は、日本帝国主義が1894〜95年に強行した中国侵略戦争=日清戦争で武力によって強奪したものだ。明治政府の「閣議決定」と勅令(天皇命令)で、釣魚台が「日本領土」に「指定」されたのは1895年1月だが、それは黄海海戦(94年9月)で日本海軍が清の北洋艦隊に壊滅的な打撃を与え、黄海と東中国海の制海権を握ったことではじめて可能となった。日本政府は、この日清戦争以前に釣魚台を占有したことは一度もない。まさに侵略戦争で強奪した領土なのだ。
 さらに、第2次大戦での日帝の敗戦とサンフランシスコ講和条約(1951年)で、釣魚台は「沖縄の一部」としてアメリカの施政下に一方的に指定され、72年のペテン的沖縄「返還」で釣魚台の施政権も日本に移ったというのが、日米帝国主義者の立場だ。ちなみに釣魚台列島の一角に存在する無人島、赤尾嶼(しょ)と黄尾嶼は、島全体が米軍の射爆場(現在は未使用状態)になっている。
 日本政府やマスコミが「日本は尖閣列島を実効支配している」と宣伝するのは、この侵略戦争の歴史を抹殺し開き直るものだ。そこには「領土問題」で排外主義をあおり、新たなアジア侵略政策である「新成長戦略」のために、日米同盟の軍事的飛躍に踏み込む菅政権の反動的意志がある。しかも菅政権は「尖閣」をもテコに、沖縄県民の怒りで立ち往生する辺野古新基地建設強行を狙っている。
 この問題で米帝が「尖閣諸島は日本の施政下にある。日米同盟は尖閣諸島に適用される」(クローリー国務次官補)と表明したことも重大だ。北朝鮮情勢の緊迫下で、韓国哨戒艦「沈没事件」に対抗する大規模な米韓軍事演習が黄海で準備され、中国スターリン主義が同じ黄海の青島沖軍事演習で対抗する事態は、かつての日清戦争前夜と酷似している。
 菅政権の排外主義扇動は、日中の労働者人民の階級的利益と根本的に対立する、新たな帝国主義的な侵略政策そのものだ。日帝の釣魚台侵略を阻止せよ!

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週刊『前進』(2457号5面3)(2010/09/27 )

焦点 日帝が単独で円売り介入

 大恐慌の激化と為替戦争

 政府・日銀は15日、急速に進む円高に対応し、外国為替市場で「円売り・ドル買い」の為替介入に踏み切った。東京市場に続き、欧米市場でも引き続き介入した。政府・日銀の市場介入は04年3月以来、6年半ぶりのことである。
 14日の民主党代表選で菅が再選されたことで、円高がさらに一気に進行した。それまで菅政権は対米関係への配慮などから介入を決断できなかったが、15年4カ月ぶりに1j=82円台に突入したことでもはや放置できずに、単独介入に追い込まれたのである。
 だが、米欧の協調が得られないままの単独介入は、1日4兆jに膨らんでいる世界の為替取引量の中で、2兆円規模の介入では、円高を本格的にひっくり返すほどの力はない。実際、円の相場は15日以降1j=84〜85円台で推移し、それ以上の「円安」には向かっていない。これから政府・日銀が円高基調にあえぐ中で、巨額の資金を要する長期の消耗戦に引き込まれることは必至だと言える。
 そもそも今回の円高と為替介入は、これまでの円高問題とも異なる歴史的事態である。それは世界経済が大恐慌に突入し、米欧日と中国などが争闘戦を激化させている中で、日帝がすでに始まっている為替戦争(通貨切り下げ競争)に「参戦」したという意味を持つのだ。歴史的にも為替戦争は、大恐慌と保護主義が生み出す、典型的な歴史的局面としてある。
 実際、米下院歳入委員会のレビン委員長は今回の日本の単独介入について、「非常に困惑」「利己的な政策は中国だけではない」と批判しており、ヨーロッパも同様の態度である。すでに大恐慌下の為替戦争が始まっているのだ。
 そもそもこの間の円高は、米帝を先頭とした為替戦争で引き起こされている要素が非常に強い。米オバマ政権は今年1月、5年間で輸出を倍増する「国家輸出戦略」を発表した。これは本質的に米帝のドル安容認=為替戦争の「開戦宣言」だった。米帝の輸出2倍化など相当のドル安でなければ実現できない。ここから米欧はすでに、輸出に有利な自国通貨切り下げを容認し、事実上の為替戦争を開始している。これは究極の保護主義だ。米帝が年頭以降、中国に人民元の切り上げを強く求めているのは、為替戦争の一環である。
 EUでも、ギリシャなどの財政破綻を契機として生まれたユーロ安が、欧州の輸出企業の「追い風」となっている。特にドイツは6月の輸出が前年比26%増を記録したが、その輸出増を支えているのが、中国、インド向けの輸出だ。独・仏を始めとしてヨーロッパも、ユーロ安をむしろよしとして、輸出を促進しているのだ。こうした中で日帝も、政府・経団連・連合が一体で「新成長戦略」を全力で推進しようとしている。
 29年大恐慌と1930年代にも、英、米、仏の3大通貨国が、金本位制の廃棄やブロック化政策をめぐる攻防のただ中で激烈な通貨切り下げ競争、為替戦争を展開し、大恐慌・大不況を激化させ、結局はブロック化から第2次世界大戦へのめり込んでいった。今日の円高、円売り・ドル買い介入が示す歴史的な為替戦争の現実こそは、「大恐慌を世界革命へ」の闘いの死活性を突き出している。

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週刊『前進』(2457号6面1)(2010/09/27 )

 再審闘争への許し難い大反動

 星野同志と暁子さんの面会を妨害

 徳島刑務所に怒りの抗議を

 弁護人の接見を一般面会と強弁

 9月17日、徳島刑務所は、星野文昭同志と連れ合いの星野暁子さんの面会を不許可にした。星野同志は現在、1カ月に2回しか面会できない。暁子さんは16日の面会に続いて、2回目の面会をするために17日も徳島刑務所に行った。ところが刑務所は、9月10日に再審弁護人である岩井信弁護士が接見しているから9月の2回の面会は終わったと言いなし、暁子さんの面会を許可しなかったのである。
 こんな暴挙は断じて許さない。再審弁護人の面会は無条件に全面的に保障されるべきであり、不当な制限がされている家族・友人面会とは別だ。これまでは、そのように扱われてきた。ところが徳島刑務所は、突然、一方的に弁護人の面会を口実にして、暁子さんの面会を妨害したのだ。
 暁子さんは、1987年、星野同志が徳島刑務所に移監されて以降、毎月、徳島刑務所へ行って面会し続けてきた。獄壁をはねのけて、星野同志と心を通わせ、ともに生き、星野同志の無期の獄壁を打ち破る闘いの原動力であった。
 日帝がどれほど崩壊的危機に陥り、星野同志の闘いに恐怖しているとはいえ、暁子さんの面会に手をかけ、妨害することは断じて許さない。
 徳島救う会の仲間は急を聞いて駆けつけ、暁子さんとともに徳島刑務所を徹底的に弾劾した。暁子さん面会不許可の暴挙は瞬く間に全国の同志・仲間に伝えられ、徳島刑務所へ怒りの抗議文が直ちに続々と発せられた。
 暁子さんは次のように訴えている。
 「思いがけない面会不許可で怒り心頭でした。特にこの日は24回目の結婚記念日で、前の日の面会が話し足りなかったので、どんな話をするか、いろいろ考えていたのです。
 私の手紙に対する一部削除も4回目になり、刑務所は今後とも、文昭と私の交流を断ち切るために、いろいろやってくると考えられます。運動、弁護団、文昭と私、すべてにわたって攻撃が強まることが考えられます。
 まず、文昭との対話を深めることを大事にしますが、反撃をやっていかねばと思います。抗議をはじめ、よろしくお願いします」
 徳島刑務所へ、大反撃をたたきつけよう。
 徳島刑務所のデタラメな攻撃のもうひとつは、再審弁護人の接見を「一般面会」としたことだ。
 岩井弁護士の接見は、9月末に東京高裁に提出する「意見書」の内容について、星野同志と討議するためものであった。再審闘争を闘う上で、弁護人との緊密な打ち合わせは必要不可欠である。弁護人との面会は、立ち会い人なしで、時間も回数も制限せずに保障されて当然である。
 1カ月2回の面会制限の中に弁護人面会も組み込むことになれば、一般面会が2回行われた後の弁護人面会はできなくなる。弁護人面会不許可は、再審闘争の妨害以外の何ものでもない。
 星野同志は、無実であるにもかかわらず、無期の獄中に36年間も閉じ込められているのだ。こんな権力の悪逆無道が許されていいわけがない。
 大恐慌に追い詰められている民主党政権は、戦後憲法体制の全面的な転覆、労働者階級への首切り、賃下げ、非正規職化攻撃を激化させている。星野同志への獄中弾圧の激化、一層の非人間的な処遇、再審闘争破壊攻撃も一体のものである。
 労働者階級の怒りは爆発寸前だ。国鉄闘争全国運動を大前進させ、11・7労働者集会1万人の大結集をかちとろう。11月27日の星野同志奪還全国集会に決起し、星野同志を奪還しよう。
(写真 反戦反核の誓いも新たに8・6ヒロシマ大行動のデモに出発する星野暁子さん)

 一報を聞き驚きと怒り 三多摩・星野文昭さんを救う会 加納敏弘

 「エーッ!」と、一報を聞いたとき、思った。信じられない。星野暁子さんの、星野文昭さんとの面会を徳島刑務所当局が不許可にしたというのだ。しかもその理由というのが、直前に行われた岩井信弁護士と星野文昭さんとの面会が弁護士面会ではなく、「一般面会」としてカウントされ、暁子さんの面会は回数オーバーになるので不許可になったという。
 とんでもないことだ。だが、こうも思う。いまの世界恐慌と日帝の危機、そして労働者の職場での闘いと星野闘争の前進が、日帝・法務省をして不屈の革命家・星野文昭さんへの攻撃に走らせているのだ。
 弁護士面会を「一般面会」に数えるとは、弁護士面会に看守を立ち会わせることに道を開きかねない。再審運動への妨害を刑務所がやっているのだ。さらに面会制限は、文昭さんと家族への攻撃だ。
 先日、ある私鉄の駅前で街宣をやった。星野奪還を訴えると、最近は青年が結構署名してくれる。この日も、ある青年労働者は、「自分は正規雇用だが、本当に賃金が安すぎる」と言っていた。また別の青年は、11月集会に関心を示し、チケットを2枚受け取っていった。星野文昭さんの闘いは必ず青年労働者の魂をつかむ。権力は星野さんと青年労働者の合流を死ぬほど恐れているのだ。だったら権力が恐れることをやってやろうじゃないか。
 例会では、市役所前での星野街宣を行うことを決定した。自治体労働者に星野闘争と11月労働者集会への結集をガンガン訴えるつもりだ。
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★徳島刑務所に抗議のはがきを集中しよう!
 徳島市入田町大久200ー1
 徳島刑務所 松本忠良所長

★星野文昭同志に激励の手紙・はがきを出そう!
 徳島市入田町大久200ー1
 星野文昭 様

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週刊『前進』(2457号6面5)(2010/09/27 )

 新刊紹介『綱領草案』(解説つき)

 労働者の革命綱領ここに世界を丸ごとつかむ武器

 同志獲得を実現

 この仲間をなんとか同志にしたい、そんなときバシッと決まる一冊がこのほど出版された。それが新刊の『革命的共産主義者同盟 綱領草案』だ。手ごろな144ページ、綱領草案だけなら14ページ。
 出てからわずか1日後、学生戦線のある同志は、この綱領草案の部分を読み合わせして全学連の仲間をマルクス主義学生同盟に獲得した。また、ある組織が即座に通常の部数の2倍を注文したのをはじめ、追加注文が相次いでいる。
 党勢2倍化という、時代に対決する基軸的闘いが、この綱領草案本という具体的武器を手にしたことで今や爆発的に前進し始めている。

 現代の『党宣言』

 綱領草案は、「わが党の目的」「革命情勢の成熟」「革命の核心問題」「21世紀革命の課題」という4章・計14項目から構成されている。その一つひとつがプロレタリア革命について最も重要な、不可欠の思想的・理論的・実践的諸問題をきわめて簡潔に、しかし明確に提起している。末尾の第14項は『共産党宣言』最終章からの引用で力強く締めくくられているが、綱領草案全体がずばり「現代の共産党宣言」だ。
 マルクスとエンゲルスが『共産党宣言』を発表したのは1848年。資本主義が急速に勃興(ぼっこう)し、いたるところで旧体制を崩壊させ、世界を支配しつつあった時代だ。それから160年あまり。資本主義はついに最末期を迎えた。資本主義は世界金融大恐慌を爆発させ、世界経済は崩壊的危機に直面し、全世界に大失業と戦争をもたらしている。資本主義という社会体制の寿命が完全に尽きているのだ。
 こうした今日の世界を前にして、マルクスとエンゲルスが発した労働者階級の根底的解放への闘争宣言をあらためて全世界に向かって発したもの――それが革共同の綱領草案だ。

 大胆に広めよう

 資本主義が最末期を迎える中、資本はますます破滅的に、ますますあくどく金もうけに突き進んでいる。膨大な労働者が日々食いつなぐのも困難なワーキングプアの生活にたたき込まれ、貧困・飢え・過労死が拡大している。「この社会ではもう生きられない。現在の社会を根本的に変えて、人間が人間らしく生きられる世の中をなんとしてもつくりたい!」。こういう叫びが日本と世界にあふれている。この叫びに応えて、「労働者階級の真の解放とは何か」「どうすれば搾取も抑圧もない社会をつくることができるか」という問いに真正面から回答を与えているのが綱領草案だ。
 2千万青年労働者―6千万労働者階級のすべてに綱領草案を大胆に持ち込み、丸ごと獲得し、革命勝利の隊列を急速に整えよう。これこそ労働者の革命綱領だ! この武器を手に世界をつかもう!

 党勢2倍化の秋

 この新刊本では、綱領草案の次に100ページあまりの「綱領草案解説」が続く。この解説がまたすばらしい。草案全体についてじつにていねいで的を射た、コンパクトな解説が行われている。これをものにし、オルグの際に自分の言葉でしっかりと言えれば、相手の獲得は間違いなしだ。
 また同志として獲得する場合、「革共同ってどんな党?」ということが必ず問題になる。そのために「革命的共産主義者同盟の歩み」という簡潔な自己紹介も付いている。
 秋はオルグの秋(とき)だ。11月労働者集会1万人結集の組織化の真っただ中で、『綱領草案』を隣の仲間に広め、党勢の2倍化をかちとろう。

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