ZENSHIN 2011/09/05(No2502 p08)

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週刊『前進』(2502号1面1)(2011/09/05 )

 経団連と連合に支えられた超反動政権

 原発推進・大増税の野田打倒を

 9・11全国一斉大デモ−19明治公園(午前10時)青年・学生先頭に反原発闘争へ

 解雇撤回・外注化阻止へ闘おう

(写真 外注化・非正規化・偽装請負に反撃誓う 動労千葉組合員を先頭に450人が結集した大集会【8月30日 東京・すみだ産業会館】=記事2面)

 動労千葉が主催した「外注化阻止・非正規職撤廃!8・30JRの偽装請負を告発する大集会」は、450人の結集で圧倒的に闘いとられ、「あらゆる手段を尽くし外注化を阻止する。世の中にまん延する偽装請負、非正規職化、労働者の権利はく奪、労組破壊に立ち向かう。その核心は組織拡大だ」(田中康宏委員長)という、熱烈な戦闘宣言が発せられた。構内運転業務の外注化阻止へ平成採労働者を先頭に総力で闘う動労千葉に続き、「解雇撤回、外注化阻止・非正規職撤廃」へ、国鉄決戦に総決起しよう。労働組合を軸に野田超反動政権打倒へ、9・11−19反原発大闘争の爆発をかちとろう。

 原発再稼働と「大連立」狙う

 9・11−9・19反原発闘争と11月労働者集会に向け、労働者階級人民にまず求められているのは、菅政権の崩壊を受けて登場した超反動の野田新政権を打倒するために総決起することだ。
 野田政権は日本経団連のブルジョアジーと連合ダラ幹に支えられて「大連立」=挙国一致を叫び、原発推進と大増税、日米安保強化を振りかざしたとんでもない反動政権だ。新政権発足の緒戦でこれを決定的にぶっ飛ばすことが必要だ。その当面最大の攻防点こそ9・11−19闘争である。
 野田は首相になる前に、「何よりも優先すべきは、福島第一原発事故の速やかな収束」(「わが政権構想」)などと言っている。もし本気でそう思うのなら、すべての原発を今すぐ停止し、廃炉へ全力を集中する以外の道はありえない。しかし実際には、野田は来年4月にすべての原発が停止することに危機感をあらわにし、「当面は再稼働に向けて努力することが最善の策」と主張している。
 それだけではない。野田は「短兵急に原発輸出を止めるべきではない」「2030年までは、一定割合は既存の発電所を活用する」「原子力技術を蓄積する」などとも公言してきた。3・11で危機に陥った日帝の原発推進政策を反動的に巻き返し、当面の再稼働に向け、菅政権的なペテン性もかなぐり捨てて突き進もうとしているのが野田なのだ。
 しかも野田は、絶望的な日帝の財政危機のもとで、「財務省の組織内候補」と言われるほど、その階級意志を全面的に体現して、大増税を露骨に主張してきた政治家である。また就任早々から、日米同盟基軸論とその強化をごう然と主張している。「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」が持論で、対中国・アジア政策においても名うての強硬論者だ。
 さらに野田は、日帝の絶望的政治危機、支配階級の分裂・抗争にあえぐ中で、誰よりも声高に自民党や公明党との「大連立」を唱え、挙国一致で危機ののりきりを図ろうとする姿勢を、露骨に打ち出してきた人物だ。

 日帝危機激化とボナパ政権

 しかし今や日帝は、戦後最大の危機、根底的な体制崩壊の危機にある。この日帝にも、新首相の野田にも、3・11大震災と原発大事故を何も解決できない。そもそも解決する力もない。被災地のすさまじい現実が、労働者と全人民の根底的怒りとなって、日々爆発している。これに対し日帝と政府は、原発事故と放射能汚染の深刻極まる現実を隠蔽(いんぺい)し、情報操作する一方で、「放射能は安全」「すぐ健康に影響はない」などと怒りと闘いの圧殺に躍起となっている。
 さらには、「核汚染物質の貯蔵施設」を福島に建設するとしたり、震災解雇や「経済特区」攻撃で被災地の労働者人民をどこまでも大資本の食い物にしようとしている。原発推進の野田こそ、菅以上に被災地人民の敵対物だ。だが日帝にも野田にも、労働者人民の怒りをもはや絶対に抑えることはできない。
 日本経団連会長・米倉は「民主党の議員は非常にいい結論を引き出した」と歓迎し、野田を「安定感と行動力を持った政治リーダー」と絶賛している。その野田は連合会長・古賀に真っ先にあいさつに行き、その足で米倉ら財界首脳のところに赴いた。「ノーサイド」を呼号する野田は、民主党の「挙党体制」というレベルを超え、まさに一方で大ブルジョアジーに、他方で連合ダラ幹に軸足を置いた、超反動のボナパルティズム政権だ。
 重要なことは、労働者階級が今こそ力ある勢力として登場することである。労働者と労働組合の階級的団結と決起で、超反動ボナパ政権を打倒し、プロレタリア革命の勝利を切り開く情勢が到来しているのだ。

 福島事故・放射能で大攻防

 怒りに堪えない事態が、次々と明らかになっている。政府は福島第一原発が放出したセシウム137が、広島型原爆の168個分に相当するとの試算を、国会の追及で渋々明らかにした。また東京電力が08年、福島第一原発に高さ10b超の津波が到来し、陸上を遡上(そじょう)して15b以上に達するとの試算を出していたが、隠蔽(いんぺい)されてきたことも暴露された。
 さらに8月30日、東京電力は福島第一原発で作業にあたっていた下請け会社の労働者が、8月前半に急性白血病で死亡したことを発表した。しかもそれを、“作業との因果関係はない”と居直っているのだ。
 今、福島では政府や県当局による激しい「除染」キャンペーンとの攻防になっている。これは原発事故を除染問題に切り縮め、「安全だ」と大宣伝し、福島県民の闘いが国家と資本への闘い、総反乱に発展することを圧殺しようとする策動であり、福島県民とりわけ子どもたちを放射能被曝にさらす新たな「棄民政策」だ。県は御用学者を「除染アドバイザー」に任命し、政府も「除染に関する緊急実施基本方針」「市町村による除染実施ガイドライン」などを次々と発表している。
 だがこれらは、文科省が通知した「福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について」が、いみじくも年換算9_シーベルトを目安とするとしているように、県民に現状を容認させ、放射線管理区域やチェルノブイリでは強制避難区域となった以上の線量の中に、子どもたちや県民を放置する政策だ。
 しかも今や福島のこの現実は、関東圏を始め全国問題化している。そのすべてが階級的労働運動の課題そのものでもある。例えば、柏市を先頭にごみ処分施設や汚泥焼却施設で、高濃度の放射能問題が顕在化している。首都圏A市の下水処理場でも、高濃度の焼却汚泥の処理作業を福島原発と同じように防護服にマスク、そして放射線積算計をつけて作業が行われている。しかもそれは6月以降のことで、線量が最大を計測した5月は一般的な手袋とマスクだけだったという。
 そしてこれらの作業を担っているのは、市の委託を受けた外注会社の労働者だ。福島原発で被曝労働が強制されている構造が、全国の自治体職場にも広がっているのだ。それだけではない。B市の自治労の幹部は、被曝の危険性をはらんだ作業を率先して担うことが「公共サービスを担う職の確立のチャンス」とすら公言している。組合が団結して闘って職場と労働の安全を守るどころか、被曝労働に組合員を駆り立てているのである。これこそ自治労本部の「公共サービス論」の帰結だ。
 「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(な全=NAZEN)を軸とした反原発闘争と、国鉄闘争全国運動を軸とした国鉄決戦、すなわち動労千葉を先頭とする解雇撤回、外注化阻止・非正規職撤廃、偽装請負粉砕の闘いこそが、野田新政権を打倒し、プロレタリア革命勝利を切り開く2本柱だ。とりわけ自治体労働者と教育労働者は職場からこの闘いの先頭に立って総決起しよう。
(写真 「市東さんの農地守るぞ!」。三里塚反対同盟は農地裁判開廷を前に千葉地裁・多見谷裁判長の早期結審策動を弾劾するデモに決起【8月30日 千葉市】=記事3面)

 “生きる”とは団結し闘うこと

 3・11大震災と福島原発事故は、すべての労働者人民の人生と価値観を完全に変えた。特に青年労働者と学生を先頭にして、“資本主義体制を打倒しなければ何も解決しない”という根源的怒りと階級意識が拡大している。
 今や“生きる”ことと“団結して闘う”ことは完全に一つだ。そしてその共同の階級的な力こそが、新自由主義を打ち砕き、原発事故を始め直面するあらゆる事態を解決できる力だ。革共同は、2千万の青年労働者、6千万の全労働者、さらに全人民と団結し、一つに結合して、国鉄決戦と反原発闘争を闘い抜く。9・11−19闘争に総決起し、11・ 6労働者集会へ進撃しよう。

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週刊『前進』(2502号1面2)(2011/09/05 )

 9・11反原発/各地の行動

 東京は午後2時・新宿アルタ前

9月11日(日)、全国各地で反原発のさまざまな取り組みが予定されています。集会、デモ、講演会、街宣署名活動など、2日現在で寄せられた各地の闘争方針を紹介します。(編集局)

 東京・関東

■東京 午後2時/新宿アルタ前
■千葉 ちばアクション/午後2時集会、3時デモ/千葉市葭川(よしかわ)公園/(主催)実行委
■埼玉 反原発アクションin埼玉/午後2時30分/さいたま市「山丸公園」(大宮区吉敷町1丁目)/(主催)埼玉反原発アクション
■神奈川 ◆横浜/911KANAGAWA ACTION/正午/大通り公園(石の広場)/(主催)911KANAGAWA ACTION◆横須賀/原発なくそう!100万人アクションinYOKOSUKA/午後1時30分〜講演と意見交換、3時30分〜市内デモ・パレード/ヴェルクよこすか第一研修室/(主催)実行委
■群馬 午後1時30分/高崎市役所前広場/主催・原発とめよう群馬
■山梨 ◆さよなら原発・大行進/午前10時45分集合、11時デモ出発/甲府駅南口信玄公像前/(呼びかけ)みどり山梨
◆すべての原発の停止と廃止を求める講演会/午後1時30分〜/甲府市中央公民館/(主催)止めよう戦争への道!百万人署名運動山梨連絡会・郡内連絡会
■茨城 広瀬隆講演会&デモ/午後1時/土浦市民会館/(主催)実行委
■栃木 原発なくそう宇都宮パレード/午後2時30分/宇都宮市まちかど広場/(主催)実行委
■静岡 浜岡廃炉☆原発全廃静岡アクション/午後1時〜集会、1時45分デモ出発/青葉公園
■長野 アクションin NAGANO 12時30分/長野駅前/(主催)団結NAGANO

 東北

■宮城 SENDAI1万人アクション/正午〜反原発ライブ、午後2時〜集会、3時〜大規模デモ/東北大学片平キャンパス/(主催)9・11SENDAI
■福島 怒りのフクシマ大行動/午後1時30分〜集会、午後2時30分〜デモ/福島市・街なか広場(福島駅東口徒歩5分)/(主催)大行動実行委
■青森 街頭宣伝・署名活動
■秋田 午後2時〜集会、その後デモアクション/市民交流プラザ・アルベ2F多目的ホールB/(主催)原発反対☆秋田デモ実行委
■新潟 午後1時〜集会、2時30分〜パレード/新潟市中央区東(あずま)公園/(主催)脱原発100万人アクションinにいがた

 関西

■大阪 アクションin大阪/午後1時集会、3時デモ/中之島・剣先公園/(呼びかけ)な全

 中国・四国

■広島 STOP!上関原発・中電本社包囲デモ/正午原爆ドーム前集合、午後1時集会、2時デモ/(呼びかけ)8・6ヒロシマ大行動実行委
■岡山 12時30分〜岡山駅ビックカメラ前集合ライブ&パレード、午後2時30分〜さん太ホールでライブ&トーク/(主催)子ども未来・愛ネットワーク
■山陰(島根) ◆リレートーク&反原発1千万人署名活動/11時、松江駅前テルサ前/(主催)とめよう戦争への道!百万人署名運動山陰連絡会◆午後1時〜さよなら島根原発署名活動◆2時〜松江市内デモ/(主催)さよなら島根原発ネットワーク
■徳島 正午〜デモ/徳島駅前/(主催)実行委
■愛媛 松山アクション/午後2時〜坊ちゃん広場集合、2時15分〜デモ/(主催)実行委

 北海道

◆札幌 街宣・署名活動
◆伊達市 集会とデモ/午後1時30分、カルチャーセンター横

 北陸・東海

■富山 1万人アクション/午後1〜3時集会、富山市民プラザ3Fマルチスタジオ、4時頃〜北陸電力へ向け市内デモ/(主催)な全
■愛知 名古屋市で街頭宣伝・「な全」署名活動

 九州・沖縄

■福岡 脱!原発サウンドデモin福岡/午後3時開会、4時デモ出発/警固公園/(主催)Fight for Your Life
■沖縄 アクションin 沖縄/午後5時〜集会、6時15分〜デモ/県民広場/(主催)実行委

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9・19さようなら原発5万人集会

日時/9月19日(月・休日) 午後1時〜ライブ 1時30分〜集会 2時15分〜パレード
場所/東京・明治公園(新宿区霞ケ丘町6)
主催/「さようなら原発」一千万人署名市民の会

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週刊『前進』(2502号1面3)(2011/09/05 )

前進速報版から 前進速報版から

▼チリで新自由主義への歴史的反撃始まる▼星野・ビデオ国賠訴訟の第2回裁判▼大阪で橋下の攻撃と闘う▼8・30市東さん農地裁判

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週刊『前進』(2502号3面5)(2011/09/05 )

三里塚裁判傍聴を!

第3誘導路許可処分取消裁判
 9月6日(火)午前10時30分 千葉地裁
 (傍聴券抽選のため開廷1時間前に集合)

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週刊『前進』(2502号4面1)(2011/09/05 )

 9・11―9・19反原発闘争に立とう

 再稼働絶対阻止! 全原発廃炉へ

 福島現地の怒りと固く結び労働組合再生かけた決起を

 坂本千秋

 3月11日の東日本大震災と福島第一原発の事故発生から約半年。「全原発の停止・廃炉」へ向けて二度と後戻りを許さない道を決定的に切り開くのか。それとも政府・財界がフクシマの怒りを圧殺して原発再稼働・推進へ再びかじを切ることを許すのか。闘いは今、この決定的な分岐点にさしかかった。破綻し崩壊した菅政権に代わる野田政権の登場は、新たな攻撃の始まりである。政府・電力資本をはじめとする日帝支配階級のあらゆる開き直りを絶対に許すな。9・11―9・19反原発大闘争の爆発を真っ向からたたきつけ、日帝をとことん追いつめよう。さらに11月労働者集会へ、労働組合の再生をかけて、新自由主義攻撃を根底から打ち破る職場からの一大決起をつくりだそう。
(写真 福島の怒りと結びつき、8月5日、被爆66周年の広島の地でNAZENが発足。会場は「再稼働阻止・全原発廃炉」への熱気が満ちあふれた)

 原発推進の野田新政権との激突に勝ちぬこう

 反原発の闘いはいよいよ重大局面を迎えた。日本経団連を筆頭とする日帝資本家階級は、菅政権に代わる新政権の発足をテコに、あらためて原発推進に全力で突き進もうとしている。そこに日本帝国主義の延命がかかっているからだ。他方で「第三の原爆投下」にも匹敵する事故の恐るべき真実が暴き出されてくる中で、被災地の怒りと苦悩はさらに深まり、全労働者人民の怒りはますます高まっている。両者は根本的に非和解だ。
 この9月、全情勢は、資本家階級の全体重をかけた巻き返し攻撃との一大激突に突入した。すでに日帝は、菅政権のもとで原発輸出推進を再び公然と打ち出し、泊原発の営業運転再開を強行した。菅が口にした「原発依存からの脱却」とは、労働者人民の原発事故への激しい怒りを必死に抑え込むための大ペテンでしかなかった。その破綻のもとでポスト菅政権は今や公然と、全原発再稼働への道をこじあけようと全力を挙げている。
 しかもここへ来て彼らはとんでもない開き直りを開始した。高濃度汚染の現実をもはや隠しきれなくなった今、福島の人民に対する3・11以来の棄民政策の本音をむきだしにし、怒りの声を暴力的に圧殺しようと襲いかかっている。福島第一原発の周辺地域を20年以上にわたり居住禁止にし、福島県を放射性廃棄物のゴミ捨て場にするというのだ。その一方で福島の子どもたちの命を守る努力は一切放棄し、逆に御用学者を総動員して”被曝しても健康に重大な影響はない。騒ぐのはやめろ”と脅している! 断じて許すことはできない。
 原発政策の維持・推進へ必死にあがく民主党新政権と全面対決し、闘う労働者階級と農民・漁民、全人民の団結の力で原発再稼働を絶対に阻止しよう。資本と国家の犯罪を絶対に許さずとことん追及し、廃炉への道を実力で日帝支配階級に強制しよう。労働者階級人民の団結の力で、子どもたちをはじめとする福島の人びとの生命と生活を守りぬくために全力で闘おう。
 原発なしにやっていけない社会とは、資本の金もうけのためには労働者を、住民を殺してもいいとする社会だ。こんな社会を根底から覆し、人間が人間として生きられる社会を取り戻すために、一人ひとりが自己の全存在をかけて闘う時が来た。新自由主義攻撃を粉砕し、その根源である資本の支配そのものの打倒へ向けて総決起する時が来ているのだ。
 その核心点は二つある。一つは、すべての労働者人民がフクシマの怒りを我がものとし、現地の人民と心を一つにして立ち上がることだ。いま一つは、労働組合と労働運動が今こそ、資本・権力・既成労組幹部のあらゆる制動と反革命的思惑を打ち破って、反原発闘争の担い手として巨大な隊列をもって登場することだ。
 9・11反原発全国一斉アクションと9・19東京・明治公園での反原発大集会を、その歴史的な転換点とするために死力を尽くして奮闘しよう。国鉄決戦を軸とする新自由主義との闘いを不屈に貫いてきた仲間こそが、その最先頭に立とう。職場と地域のあらゆる怒りを結集し、民主党政権打倒の巨大な大衆行動に転化して立ち上がろう。
 ここにおいて、8月5日に結成された「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」(な全=NAZEN)の位置と役割は決定的である。「な全」は「全原発の即時停止・廃炉」へ向けて、@1千万人署名と社会を揺るがす巨万のデモA運動の全国ネットワークBフクシマの怒りとの固い団結C自らの職場・地域・大学から闘いをつくりだすという、四つの方針を掲げている。これを反原発を闘う全人民の共同の行動方針として、大々的に実践しよう。
 9・11―9・19の空前の大結集・大高揚を全力でかちとり、さらに11月労働者集会へ総進撃しよう。

 「低線量なら安全」デマで闘いの圧殺狙う日帝

 日帝の攻撃は何よりもまず、フクシマの怒りを何がなんでも圧殺することに向けられている。事故の真実と被曝の恐るべき実態が次々と明るみに出る中で、怒りの爆発が日帝の中枢に向けられ、体制転覆の革命に発展することを心底から恐れているからだ。そのために被災地の福島に全攻撃を集中し、現地の人民の声をあらゆる手段で暴力的にたたきつぶそうと狙っている。全国の労働者人民の総決起で、この卑劣な攻撃を絶対に打ち破らなければならない。
 7月の国会で児玉龍彦東大教授が福島第一原発の事故でまき散らされた放射能は広島原爆の29個分に当たると証言し、政府は真実を隠し通せなくなった。その後、福島県の検査で子どもの45%が甲状腺被曝していたという報告が8月半ばになって初めて公表された。さらに8月26日、原子力安全・保安院は放出放射能のうち、セシウム137の量はなんと広島原爆の168個分に相当すると公表した。米帝が一時は横田・厚木・横須賀・三沢基地などからの在日米軍の総撤退を検討していた事実も判明した。
 まさに、チェルノブイリをはるかに超える史上空前の原発災害が引き起こされていたのである。この重大事態を日帝は(米帝も)3・11直後に把握しながらひた隠しにし、「健康に影響はない」とデマを流し続けた。資本と国家の責任のもみ消しを一切に優先して膨大な人民を放射能のもとに放置し、見殺しにしたのである。これ自身が戦争犯罪にも等しい大罪だ。
 その上で日帝は今日、御用学者を総動員して放射能汚染への怒りの声を封じ込めようとますます全力を挙げて襲いかかっている。「除染すれば大丈夫」「被曝しても低線量なら問題ない」の大ウソを大々的に流し、自治体や学校、医療機関などをそのもとに総動員して地域全体を制圧していく攻撃である。被曝への不安を訴えること自体を「非国民」扱いして沈黙させようとするものだ。
 その核心は、内部被曝問題の意図的な抹殺にある。放射能被害の重大性は、放射線を体に浴びる外部被曝にとどまらない。最大の問題は放射性物質が体内に取り込まれて体の内側から放射線を常時、継続的に浴びる内部被曝にある。この内部被曝はどんなに微量でも人体の細胞や臓器を長期にわたって決定的に傷つけるのだ。「低線量なら安全」とするのはとんでもない非科学的デタラメである。
 事実は逆に、低線量の放射線を長時間照射する方が高線量の放射線を瞬間的に浴びるよりもたやすく生体細胞を破壊するという「ペトカウ効果」が、すでに1972年の段階で明らかになっている。だが帝国主義の放射線医学は内部被曝の被害がすぐには表面化しないのをいいことに、「内部被曝は無視してよい」としてきたのだ。これは「学問」の名による犯罪だ! このインチキを今こそ暴き、徹底粉砕しつくそう。
 福島現地に対するこの攻撃は、米帝と日帝が戦後、広島・長崎の原爆被爆者の決起を圧殺するためにとったやり方と本質的に同じだ。彼らは被爆の実態を「国家機密」として徹底した報道管制と言論統制をしき、被爆者を分断し孤立させて声を上げることも困難な状況にたたきこんだ。戦後の反戦反核闘争は、この重圧を突き破って闘われてきたのである。われわれは日帝がフクシマに対して同じ攻撃を繰り返すことを断じて許さない。労働者人民の団結の力でこれを逆に、日帝打倒への突破口に転化する。
 「国と東電は犯した犯罪の全責任をとれ!」「子どもたちの命を守れ!」「古里を返せ! 福島の空と海と大地を元通りにして返せ!」――この叫びを、闘うすべての労働者人民のものとして総決起しよう。政府と御用学者どもの恥知らずなウソを許すな。そして、ウソつきは倒さなければならない! 
 労働者階級はもとより農民・漁民、全人民、何よりも子どもたちとその親、青年・学生の日帝資本と国家に対する根源的な怒りをここでこそ全面的に解き放って、9・11―9・19闘争の巨万の大衆的大高揚をかちとろう。

 9・19闘争を労働組合の歴史的決起の転換点に

 原発再稼働を阻止するか否かをめぐる9月の決戦を闘いぬく上で、福島現地と並んでいまひとつの大焦点に浮上してきたのは、労働組合と労働運動をめぐる激突だ。労働組合が誰の立場に立って、どう動くか――労働者階級人民の利害を貫いて再稼働絶対阻止・全原発廃止のために闘うのか、それとも資本家階級の救済に回るのか――このことが今、すべての労働組合に問われている。
 9月19日に呼びかけられている東京・明治公園での大集会は、この意味できわめて重要である。ここには連合の自治労や日教組が動員指令を下ろし、全労連も参加する。かつての有事立法阻止闘争時の20労組陣形以来の巨大な規模の集会となるのは明白だ。闘う労働者が、9・11反原発全国行動の画期的な大高揚を実現するとともに、9・19への職場からの大動員の先頭に立ち、既成労組幹部の思惑をのりこえて、9・19を労働組合自身の反原発闘争への歴史的決起の出発点とすることが決定的な鍵を握っている。
 連合も全労連もこれまでは、反原発闘争を組合として正面から取り組むことなどまったくしてこなかった。それどころか連合の古賀会長は3・11の後、日帝と一体となって「原発事故による影響はない」「内外のうわさが生活と産業を阻害している」と、放射能汚染を頭から否定する犯罪的なデマを全世界に流していたのである。これを自治労本部も日教組本部も一言の批判もせずに容認していた。また、全労連本部と日本共産党はそもそも「原子力の平和利用賛成」の立場に立っており、実際には連合とともに原発推進勢力の一角を構成してきたのだ。
 それが今になってなぜ、「脱原発」を掲げて動き出したのか。それはひとえに、福島を先頭とする労働者階級人民の怒りの爆発に追いつめられたからにほかならない。この怒りが社会の根底的変革=プロレタリア革命に向かうことを阻止し、現体制の内側に押しとどめることが最大の狙いだ。本気で反原発闘争を闘おうとするものではまったくない。
 その証拠に、彼らが掲げる「脱原発」にはフクシマの怒りと心の底から連帯する立場も、言葉もない。被災地現地と団結して闘うのではなく、その怒りや苦闘とは無縁なところで自分自身の党派利害のために行動しているにすぎないのだ。
 再稼働についても「再稼働には慎重な対応を求める」(自治労本部)であって、「再稼働反対、阻止」では全然ない。これは「安全を確認すれば再稼働する」という民主党政権と同様、あらゆる口実をもうけて再稼働を認めていくということである。彼らの「脱原発」「計画的廃炉」とは、実際には原発の完全な容認・推進だ。
 共産党や社民党も同じだ。共産党は「5〜10年以内に」、社民党は「2020年までに」原発ゼロをめざすと言うが、「即時廃止」とは絶対に言わない。だが、労働者人民の力で再稼働を阻止し続けるならば、来年3月にはただ1基を除いて他の全原発が定期点検で止まる状況をつくりだすことがまったく可能になっている。「即時廃止」「再稼働絶対阻止」を真っ向から掲げて闘いに次ぐ闘いを展開していくことこそが、推進派の必死のあがきを打ち破って「原発ゼロ」への道を現実に切り開くのだ。この闘いを回避して何が「原発反対」か!
 これは、彼らが民営化・外注化・非正規職化の攻撃に対する正面からの闘いを放棄していることと完全に表裏一体だ。原発との闘いは、資本に無制限の「搾取の自由」を与えてきた新自由主義との闘いそのものだ。1980年代の国鉄分割・民営化に始まる新自由主義攻撃が最後に行き着いた結果が、フクシマなのである。新自由主義との全面対決から逃亡し、資本の攻撃に屈服し続けてきた勢力が、反原発闘争の勝利に責任を取ることなどけっしてできない。
 民主党政権と日帝は、大震災と原発大事故が引き起こした事態を「解決」する意志も力も何ひとつ持っていない。だからこそ今、反原発闘争を解体するために連合を使い、そこに社民党や日本共産党をも取り込んで「挙国一致」体制をつくりだすことで、必死に延命しようとしているのだ。労働者人民の怒りを連合幹部と既成政党の制圧下に抑え込むことによって押し潰そうということだ。だが、こんなもくろみは通用しない。逆に怒りの火に油を注ぐだけである。
 9・19は、3・11以来の半年間の闘いが敵を追いつめ、ついに労働組合の既成指導部が反原発闘争の戦場に引きずり出されてきたことを意味している。これは、闘う労働組合をよみがえらせる決定的チャンスの到来だ。労働組合の解体と変質こそが資本のやりたい放題をここまで全社会にはびこらせ、社会全体の腐敗と崩壊を引き起こしてきた元凶だ。その頂点に原発がある。労働組合と労働運動の階級的再生こそが、この一切を根底から変革する道を切り開くことを可能にする。
 国鉄分割・民営化に反対し新自由主義との絶対非和解の闘いを25年にわたって貫いてきた仲間たちが今こそ、9・19の中心部隊として圧倒的に登場しよう。
 動労千葉をはじめとする国鉄闘争全国運動が全労働者、全労働組合の最先頭に立ち、反原発闘争の最大の責任勢力として名乗りを上げよう。連合幹部の反動的思惑をぶっとばし、あらゆる体制内勢力との党派闘争に勝ちぬいて、6千万労働者の職場からの巨大な歴史的決起をつくりだそう。

 新自由主義との対決を貫き11月労働者集会へ

 この反原発闘争の大爆発と発展は、国鉄決戦の前進とともに、新自由主義攻撃との対決を現実の労働運動に転化していく壮大な闘いの始まりである。
 大恐慌はますます深まり、世界経済は今や大恐慌の「二番底」へ向かって転げ落ちようとしている。戦後世界の基軸通貨であったドルへの信認がついに崩壊し、ドル暴落が現実化する局面を迎えている。ドル体制の崩壊とは、アメリカ帝国主義を盟主とした戦後帝国主義の世界支配の崩壊であり、帝国主義とスターリン主義による戦後世界体制の最終的な全面崩壊だ。
 それは、全世界の労働者階級人民をそのもとに抑圧して搾取し収奪してきた全体制がふっ飛ぶことだ。他方では、米欧日の帝国主義各国がそれぞれの生き残りをかけて、残存スターリン主義の大国である中国や旧スターリン主義国のロシアをも巻き込んで、資源・エネルギーや領土の略奪戦、市場と勢力圏のなりふり構わぬ奪い合いとそのための戦争に突進することだ。まさに、プロレタリア革命か帝国主義戦争か、労働者階級の生き死にをかけた歴史選択が真っ向から問われる時代に突入したのである。
 ここで最大の危機にあえいでいるのが、ほかならぬ日本帝国主義である。日帝の政治支配の腐敗と崩壊的危機は、3・11を受けてその極点に達している。だからこそ日帝は野田新政権の発足をテコに、3・11情勢下でついに火ぶたを切った青年労働者や農民・漁民の「生きさせろ!」の大反乱をなんとしてもたたきつぶそうと必死になっている。
 その攻撃の中心が、反原発闘争へのあらゆる手段を使った解体攻撃であると同時に、被災地への「復興特区」設置を突破口とする新自由主義攻撃の一層極限的な推進である。「復興」を口実に、東北の被災地全体を「特区」として一切の規制を取り払い、憲法も労働基準法も事実上停止して全労働者を非正規職化と極度の低賃金・強労働にたたき込んでいくものだ。農業や漁業も大資本の完全な食い物にして、農民・漁民から生業を奪い路頭に放り出す攻撃だ。そしてそれを全国に押し広げようと狙っている。
 だがこれに対して、被災現地で生き抜くための団結が形成され、新たな階級的労働運動の炎が次々と燃え上がっている。福島県教組の、労働組合の原点に立った偉大な決起が始まっている。さらに膨大な青年労働者・非正規労働者の積もりに積もった怒りが、反原発闘争をも契機についにせきを切ってほとばしり始めている。御用学者を打倒して大学を資本の支配から奪い返す学生の決起が始まっている。
 労働者を奴隷のように扱い、使い捨て、青年の未来をも奪ってきた資本に対し、労働者階級が総反撃に立つ時が来たのだ。その決定的な武器として今こそ、労働者の階級的団結体としての労働組合をすべての職場によみがえらせていく時だ。この労働組合を軸にして、闘うすべての人民がその力を一つに結集して日帝に立ち向かっていくことこそが、新自由主義攻撃を実力で打ち破り、全原発の停止・廃炉を実際にもぎとる力である。
 政府と財界は大失業・大増税と原発推進によって、労働者人民の生命と生活を破壊してあくまで自己の延命を図ろうとしている。断じて許さず、反原発・反失業の大闘争をたたきつけ、野田新政権を打倒し全攻撃を粉砕しよう。この闘いを何よりも職場で徹底的に展開し、その中で腐った幹部、資本の手先に変質した幹部を組合から断固たたき出し、組合権力を現場労働者の手に奪還しよう。国鉄をはじめとする4大産別はその最大の戦場だ。
 国鉄ではすでに、JRの大再編をめぐって大流動化と全面的な激突が火を噴いている。ここでの決戦に絶対勝利しよう。国鉄決戦と反原発闘争を二大柱に、日本労働運動の嵐のような階級的再生に向かって突き進もう。
 今秋11・6労働者集会は、「反原発・反失業の国際統一行動を!」「国鉄1047名解雇撤回! 非正規職撤廃!」「新自由主義とたたかう労働組合の全国ネットワークを!」をメインスローガンに掲げて闘われる。9・11―9・19闘争の大爆発をかちとり、11・6日比谷野音を埋め尽くす万余の大結集へ向かって進撃しよう。11・6を反原発・反失業・労働運動復権への国際的な統一行動として闘い、日本だけでなく全世界から核と原発を廃絶する闘いに挑戦していこう。

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週刊『前進』(2502号5面4)(2011/09/05 )

 新刊紹介 国際労働運動 10月号

 反原発・反失業闘争

 世界は、基軸帝国主義・米帝の崩壊の始まりを目前にしている。米、EU、中国、そして日本の未曽有の危機が爆発し、戦後世界体制の終わりを告げている。その中で全原発の即時廃止と非正規職化撤廃の闘いは、国鉄決戦とともに国家と資本、帝国主義労働運動に対する階級的労働運動の死活をかけた闘いになっている。
 第1章は、原発内被曝労働の過酷な現実を暴き、それが新自由主義のもとでの外注化・非正規職化、使い捨て雇用と偽装請負の極致であること、原発の即時廃止と非正規職化撤廃は一つのことであることを明らかにしている。
 第2章は、震災解雇を含む1千万人大失業攻撃、労働者9割の非正規職化の攻撃に対して、4大産別と被災地の非正規職の青年労働者を先頭に開始された反原発・反失業闘争の国家・資本との非和解的な激突を突き出している。
 第3章では、震災恐慌下の「復興特区」・道州制攻撃の重大性を暴く。資本が一切の制約を取り払って労働組合を解体し、新自由主義攻撃を極限まで進め、労働者人民を骨の髄までむさぼり尽くそうとしていることを断罪している。
 翻訳資料は米軍統合参謀本部の2011年米『国家軍事戦略』(下)。イラク・アフガニスタン侵略戦争における米軍(人民)の疲弊を取り上げた。

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全学連第72回定期全国大会

第1日 9月9日(金) 文京区民センター(午前9時半開会)
第2日 9月10日(土) 浜町区民館
 参加費1000円(会場費、資料代など。宿泊費は別途)
 連絡先/電話 050−3036−6464
 mail_cn001@zengakuren.jp http://www.zengakuren.jp

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週刊『前進』(2502号6面2)(2011/09/05 )

 リビア・カダフィ体制の崩壊

 米・EU帝の反革命と侵略戦争

 労働者階級の反撃は不可避だ

 8月21日のリビアの首都トリポリへの国民評議会軍の侵攻をもってカダフィ体制は基本的に崩壊した。だが、それは労働者人民の自己解放的闘いによるものではない。それはむしろ米帝およびEU帝国主義による露骨な軍事介入と侵略戦争であり、リビアの石油の再支配とエジプト革命をもって開始された中東革命に対する反革命的な反撃の拠点を構築しようとするものだ。しかし、リビアの労働者人民は、帝国主義によるこのような反革命策動をけっして許しはしない。まさに今から労働者人民の反帝国主義闘争が本格的に開始されるのだ。中東諸国人民も、リビアの労働者人民と連帯して必ずやこの反革命策動を粉々に打ち砕くであろう。
(写真 NATO軍に空爆されるリビアの首都トリポリ)

 NATOの大空爆により政府軍壊滅

 米帝とEU帝国主義は、国連安保理決議に基づくNATO軍の空爆とかいらい政権のデッチあげをもって2月のカダフィ打倒の労働者人民の闘いに反革命的に介入し、リビアの石油の再支配と中東革命の拡大阻止を狙った。だが、そうした策動が労働者人民の闘いに敵対するものであったため労働者階級の支持を得ることができず、カダフィの反撃を受けるとたちまち軍事的・政治的に行き詰まってしまった。今回のトリポリ侵攻作戦は、この失敗を巻き返しリビアをかいらい政権のもとに置いて再植民地化するための侵略戦争であり、帝国主義の総力を投入したものであった。
 米帝とEU帝国主義はまず綿密なトリポリ攻略作戦を立案した。そしてこの作戦を成功させるために、8月初旬以降、すさまじい空爆作戦を展開し、リビア政府軍を事実上無力化した。空爆作戦は、すでに2万回実施されているが、とりわけトリポリ侵攻作戦が本格化する2週間前から圧倒的に強化された。特に米軍は仏軍についで多い全空爆の16%を実施した。米軍はリビア政府軍攻撃のためにAWACS(空中警戒管制機)や無人爆撃機プレデターを投入し、地中海に海軍艦艇を派遣した。
 リビア現地には英軍、仏軍、カタール軍から軍事顧問団が派遣され、国民評議会軍の作戦を指揮し、一部は戦闘指揮もした。英軍のSAS(陸軍特殊部隊)は、カダフィとその家族の捜索のために現地で活動した。NATO軍の前進航空統制官も戦闘現場で砲撃や空爆の指示や、目標の情報を伝える任務を果たすためにリビア現地に投入された。軍事会社の社員や傭兵も派遣された。
 公式にはリビア空爆の国連安保理決議に賛成しなかったドイツも、戦後の分け前にありつくためにイタリアのNATO軍基地に空軍の軍人を派遣し、空爆の標的選定の作業に従事した。
 このように周到な下準備をした上で、NATO軍の軍事顧問団がカタールの基地などで訓練し、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビアなどが装備や弾薬を供給した多数の国民評議会軍や傭兵が一挙にトリポリ周辺に送りこまれた。だがこれらの部隊が現地に到着した時には、すでにカダフィ軍はNATO軍の空爆で半数がせん滅されて崩壊寸前の状態であり、散発的な抵抗しかできない状態であった。つまり国民評議会軍はNATO軍の周到なお膳立ての上で、ほとんどリビア政府軍と戦闘をすることなくトリポリで「勝利の儀式」を行ったにすぎないのだ。

 劣化ウラン弾で住民が被害

 NATO軍の空爆は、トリポリの労働者人民の大量虐殺をもたらしている。200万人の首都住民のほとんどはカダフィ政権を支持していないが、これらの人々の多数が「市民の保護と人道的支援」のための空爆によって虐殺された。8月21日だけで、空爆で1300人が殺害され5000人が重軽傷を負ったといわれている。リビア政府軍の戦車や装甲車、地下防空壕などを破壊するために大量に使われたNATO軍の劣化ウラン弾も住民の健康に重大な被害を与えている。空爆による電気、水、食料、医薬品などの供給システムの破壊は、トリポリ住民の命を脅かしている。
 また国民評議会軍による「政府軍の残党狩り」は、政府軍関係者やその家族、傭兵とみなされたアフリカ系移民労働者の無差別的虐殺や、暴行、略奪を引き起こしている。市内に設置されたNATO軍の強制収容所には立錐(りっすい)の余地がないほどに住民が詰め込まれている。これがNATO軍の「人道的支援のための介入」の実態だ。

 利権争い内紛激化脆弱な国民評議会

 トリポリ侵攻作戦の主体だとほとんどのメディアが報じている国民評議会は、そもそも米帝のかいらい政権として今年の2月末に、当時の労働者人民の反カダフィ闘争とまったく無関係に突然設立された。議長のアブドル・ジャリルは前リビア司法相であり、暫定首相のマフムード・ジェブリルは米帝と深い関係をもっていた人物だ。軍事部門の実権はハリーファ・ハフテ大佐というCIAと深い関係をもっている人物が握っている。
 米帝はEU帝国主義の承認を得てこのかいらい政権に権力を取らせることで、労働者人民のカダフィ打倒の闘いを解体し、リビアの石油の再支配とエジプト革命のリビアへの波及を阻止しようとしたのである。
 国民評議会の実態は、米帝との協力を約束した元政府の閣僚、米帝やCIAの手先、さまざまな部族勢力、アルカイダ系を含むイスラム政治諸勢力の寄せ集めである。いずれも米帝と協力することで政治的・経済的利益を得ようとする、労働者人民とは無縁の勢力だ。
 これらの勢力はカダフィ打倒までは協力関係を維持していたが、カダフィ体制打倒が目前に迫ると、政治的・経済的利権の分け前をめぐって早くも内紛を引き起こしている。
 7月28日には、軍事部門の最高責任者であるアブデル・ファタハ・ユニス元内相がイスラム政治勢力によって暗殺された。ユニスがかつて1990年代にイスラム政治勢力に熾烈(しれつ)な弾圧を加えたことと、自らの指導下に軍の指揮系統の一本化を目指していたことが、イスラム政治勢力の反感を買ったからだ。このためジャリル議長は、ジェブリル首相以外の国民評議会の執行部を解散し、軍の指揮系統の一本化を目指す政権形成へ動きだした。
 だがこの政策は、親米・親EUかいらい勢力と、独自勢力の強化を図るイスラム政治勢力の対立をいっそう深めるだろう。他方、親米派と親EU派の内部対立や、部族間のさまざまな利害対立や勢力争いも次第に表面化しつつある。国民評議会が、労働者人民の利害を代表する勢力ではなく、反革命的かいらい政権である以上、不可避的に起きた内部対立は今後、さらに激化することは不可避である。

 石油支配狙う米欧との階級的激突へ

 米帝やEU帝国主義のリビア侵略戦争は、そもそもカダフィが04年に核兵器製造とテロの放棄の約束と引き換えに帝国主義諸国との関係を改善し、国際石油資本の活動再開を約束したにもかかわらず、近年、石油や天然ガスの開発をめぐる交渉で厳しい条件を出し続けたことへの反革命的反撃でもある。米帝とEU帝は、カダフィを排除し親米・親EU勢力をかいらい政権としてデッチあげることで、リビアの石油支配を一挙に強化しようとしたのである。
 リビアにはまだ未開発油田が豊富に存在すると言われ、米帝やEU帝だけでなくロシアや中国なども巻き込んだ激しい争闘戦が展開されてきた。この争闘戦はカダフィ体制打倒とともにさらにいっそう激しさを増すであろう。これに加えて帝国主義の金融機関にある巨額の凍結資産の分割戦も激化している。
 だが、リビアの労働者階級人民はこのような帝国主義の侵略戦争とかいらい政権による安定支配など絶対に認めないし、許さないであろう。
 チュニジア、エジプトでの労働者革命の勝利に触発されてカダフィ体制打倒に決起したリビアの労働者階級は、労働者階級による革命的政権樹立を恐れた米帝やEU帝国主義による侵略戦争とかいらい政権デッチあげ策動に対して激しい怒りを燃やして反撃の闘いに決起し、中東革命に合流するであろう。
 〔丹沢 望〕

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週刊『前進』(2502号8面4)(2011/09/05 )

法大裁判に集まろう!

★4・24集会弾圧裁判(控訴審)
第1回公判 9月22日(木)午後1時30分
★暴処法弾圧裁判
第24回公判(被告人質問) 9月29日(木)午後1時30分
 ※いずれも東京地裁429号法廷
 12時半に傍聴券配布所に集合

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