ZENSHIN 2012/09/24(No2553 p06)

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週刊『前進』(2553号1面1)(2012/09/24 )

 脱落日帝の領土略奪=戦争・改憲攻撃の激化と闘おう

 9月11日、日帝・野田政権は釣魚台(尖閣諸島)の「国有化」を強行した。日帝の新たな領土略奪、戦争・排外主義攻撃そのものだ。これに対し中国各地で激しい反日デモが爆発している。また韓国でも独島(竹島)をめぐり、日帝の領有権主張に抗議行動が高まっている。日本国内ではこの領土問題を契機に、右翼やマスコミを先頭に「日本の領土を守れ」という排外主義・国家主義の扇動が巻き起こっている。労働者階級はこの問題をどうとらえ、どう闘うべきか。

 米日帝の対中対峙・対決政策貫く「国有化」

 まず第一に、日帝・野田政権の「尖閣諸島国有化」とその後の動きは、米帝の新軍事戦略に対応した対中対峙・対決と戦争・改憲の攻撃であり、日米安保同盟の強化、沖縄闘争圧殺の攻撃だ。
 日帝・野田は、米軍の新型輸送機オスプレイの配備に反対する9・9沖縄県民大会が10万人の大結集をもって闘いぬかれた直後の11日に、「尖閣諸島国有化」を強行した。断じて許せない。
 この問題を考える上で米帝の世界戦略を見ることが重要だ。大恐慌の激化のもとで、没落を深める米帝オバマ政権は、「アジア太平洋最優先」の新軍事戦略を確定し、とりわけ自らの安保=戦争政策の軸を対中国・対北朝鮮の侵略戦争・世界戦争政策にあらためて据えきろうとしている。
 日帝も日米安保同盟とこの米帝戦略に沿って中国への対決政策を強めている。今回の「尖閣諸島国有化」もその一環だ。米帝は「尖閣諸島は日米安保の適用範囲だ」と繰り返し公言してきた。
 それゆえ日帝による「尖閣諸島国有化」は、オスプレイの沖縄配備、辺野古新基地建設と一体の攻撃としてある。またこれは、自衛隊が実際に戦争するための「動的防衛力」構想の推進のテコであり、自衛隊の南西(沖縄)拠点化を推し進めるための大攻撃だ。そのために中国との軍事的緊張をあえてつくり出し、沖縄の闘いを圧殺しようとしているのだ。
 さらに今回の領土問題は、大恐慌と3・11情勢に直撃され、労働者階級人民の闘いの高揚で体制的な危機を深める脱落日帝の、排外主義と侵略・戦争・改憲の攻撃として噴出してきたものだ。
 民主党代表選と自民党総裁選は、いずれも中国への強硬姿勢、排外主義を競う選挙戦となり、そこでは改憲、集団的自衛権、「日本独自の海兵隊創設」などの反動的主張が渦巻いている。

 日清・日露戦争で略奪した「固有の領土」

 第二に、そもそも日帝が「尖閣諸島」や「竹島」を「わが国固有の領土」と主張していること自体が、過去の侵略戦争で領土に編入したことを論拠とするもので、歴史的正当性は何もない。
 まず「尖閣諸島」についての政府の主張は、「単にこれが無人島であるのみならず、清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重確認の上」、1895年1月14日に閣議決定して領土に編入したというものだ。
 だが、19世紀末に帝国主義列強が相次いで中国侵略に乗り出し、植民地の奪い合いを行っている最中に、日本はこれに遅れまいと1894年8月から日清戦争を開始し、翌95年1月には中国大陸に次々と侵略軍を送り込んでいった。そのただ中で「尖閣諸島」の領有宣言を行ったのである。
 「竹島」についても同様だ。政府は1905年1月の閣議決定で独島を島根県に編入し、領有の意思を再確認したと言っている。だが、これも1904年2月に政府がロシアに宣戦布告した日露戦争の最中のことだった。日露戦争は、朝鮮半島の勢力圏化をめぐる帝国主義戦争であり、この戦争の最中の第1次日韓協約(04年8月)によって当時の大韓帝国の外交権を奪い、「竹島」を日本の領土とする閣議決定が行われた。そして1910年には朝鮮の植民地化を強行したのだ(韓国併合)。
 いずれも侵略戦争で相手に銃剣を突き付け、何も言えない状態にして、領有宣言を行った。この歴史的経緯からしても、とうてい「日本の固有の領土」などと言えるものでないことは明白だ。

 労働者階級には領土も国境も存在しない

 第三に、世界単一の革命的階級であるプロレタリアートには、もともと領土も国境も存在しないということである。
 そもそもブルジョア民族国家形成の歴史過程で生まれた国家・国境・領土などの概念は、労働者人民を分断し、団結を破壊し、外への排外主義的動員のために使われてきた。戦争になれば資本家階級の利益のために、労働者同士が殺し合いをさせられる。世界の労働者はこれをのりこえ、団結して闘わなければならない。だからこそ『共産党宣言』は、「万国のプロレタリア、団結せよ!」と呼びかけたのだ。
 日帝の「国有化」に抗議して反日デモが激しく巻き起こった中国は、新自由主義とグローバリズムのもとで帝国主義資本の最大の生産基地となってきた。ここ数年、日米欧など外国資本と中国スターリン主義の抑圧を突き破って、労働者と農民のスト・デモ、暴動が続発してきている。
 そして今回重要なことは、中国の労働者階級の中に民族排外主義の立場をのりこえて、階級的立場を明確にして領土問題に対応する勢力が登場していることである。「人権がなければ、国土面積が増えても、奴隷労働の土地が増えるにすぎない。公平がなければ、経済発展が進んでも搾取の苦難が増すだけだ」などと(ツィッターから)。
 韓国では、民主労総を先頭とする労働者階級が、首切りと賃下げ、非正規職化の新自由主義攻撃と真っ向から闘い抜き、イミョンバク政権を危機に追い込んでいる。

 外注化と闘う階級的労働運動の前進こそ

 第四に、「領土問題」と戦争・排外主義攻撃の激化との闘いは、階級的労働運動の前進と労働者階級の国際連帯の強化に一切がかかっているということだ。現在の激動的な大情勢の中に、最末期帝国主義の危機と新自由主義の破産、それゆえの絶望的凶暴化をみてとり、プロレタリア世界革命の時代が到来したことに圧倒的な確信をもって断固前進しよう。
 10・1JR外注化阻止・非正規職撤廃の決戦に勝利し、11・4労働者集会をプロレタリアートの国際連帯の大集会としても大成功させよう。野田政権と安倍・橋下などの極右勢力の戦争・改憲への動きと対決し、国鉄決戦と反原発決戦を軸にして、労働者階級と労働組合の力で粉砕しよう。
 日本、韓国、中国の労働者階級人民は、世界のプロレタリアートとも固く団結し、「領土問題」で噴出する戦争・排外主義と闘い粉砕しよう。
 この闘いは、労働組合の革命論的意義の明確化の地平に立ち、革共同の戦略的総路線であった「連帯し侵略を内乱へ」の闘いを引き継ぎ、発展させ、労働組合と階級的労働運動を基礎に、プロレタリア世界革命の勝利を切り開く闘いである。

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週刊『前進』(2553号1面2)(2012/09/24 )

 青年労働者の反乱で外注化阻め

 解雇撤回・JR復帰へ国鉄全国運動の発展を

 橋下打倒、11月へ進撃しよう

 

(写真 大阪市役所前での9・16橋下打倒集会に910人が結集。関西生コン支部、港合同、関西合同労組、高槻医療福祉労組、日教組奈良市などの旗を先頭にした御堂筋デモに圧倒的な注目が集まった【9月16日 大阪市】=記事3面)

 9・16橋下打倒闘争は、大阪市職や大阪市教組の労働者、関西生コン支部や港合同などの労働組合を先頭に、橋下を階級的に痛撃する大阪市役所前集会―御堂筋デモとして圧倒的に闘いとられた。10・1JR外注化阻止決戦は、国鉄分割・民営化以来の労働運動の屈服と後退をのりこえ、労働運動全体に地殻変動をもたらす闘いへと発展しつつある。10・1外注化阻止から11・4全国労働者総決起集会の巨万の大結集に向けて、全産別・全職場で外注化阻止・非正規職撤廃を闘おう。1047名解雇撤回・JR復帰へ国鉄闘争全国運動を大きく発展させよう。

 平成採がスト破り拒否

 10・1外注化阻止決戦は最大の山場を迎えている。この1週間が大決戦だ。動労千葉は、10・1外注化に向けた強制出向の事前通知の受け取りを全員が拒否し、連日、管理者に対して弾劾闘争をたたきつけている。
 「何のための外注化なのか!」という激しい追及に、管理者は下を向いて沈黙。外注化の必要性についてまったく答えられず、攻撃の不当性・違法性が完全に暴かれている。デタラメで破産的で、10・1外注化と強制出向という結論ありきのやり方に、職場は怒りで煮えたぎっている。9・14動労千葉総決起集会では、強制出向の事前通知を受けた動労千葉の組合員が全員登壇し、根底からの怒りを表明した。
 「若い人たちの出向だけでも止められないのか」と、自分のことよりも青年労働者の未来のために闘う動労千葉組合員の発言は、集会参加者の心に激しく響いた。9月19日には出向差し止め仮処分の審尋が東京地裁で行われ、動労千葉の青年労働者が外注化と強制出向に絶対反対の意見をたたきつけた。
 動労水戸は9月14日、外注化絶対反対のストに決起し、JR東労組の青年労働者が集団でスト破りを拒否する画期的な事態が生まれた。これに追い詰められたJR水戸支社は、14日までに出向事前通知ができない状況に陥った。JR東日本は、東労組カクマルを先兵にして外注化強行を狙っているが、逆に青年労働者の怒りに火をつけた。国鉄分割・民営化から25年、ついにJR東労組内部から青年労働者の闘いの火の手が上がった。これは労働運動全体を揺るがす歴史的な事態だ。
 国労幕張電車区分会は国労本部の裏切り妥結と千葉地本の無方針を突き破り、分会として事前通知の受け取りを拒否し闘っている。動労千葉や動労水戸の外注化阻止決戦が労組の枠を越えた闘いをつくり出している。車両の検査修繕という鉄道輸送の安全を担う労働者を、紙切れ一枚で外注会社に強制出向させることなど、断じて許せない!
 9月30日まではJRの制服を着ていた労働者が、10月1日からは出向先の制服を着て、同じ仕事をする。外注化とは、資本の利益のために労働者の誇りを奪う許しがたい攻撃だ。外注化は偽装請負であり、強制出向の先には転籍と非正規職化が狙われている。
 JR外注化阻止決戦は全労働者の未来をかけた闘いだ。資本家どもは、JR全面外注化で動労千葉や国労のみならず東労組も解体し、すべての労働組合を根絶して全労働者を非正規職にしようとしているのだ。

 6・29の画期的な判決

 だが、外注化攻撃は根底のところで打ち破られつつある。動労千葉や動労水戸の職場では、管理者への弾劾闘争がたたきつけられ、職場全体が外注化への怒りに満ちあふれ、外注化準備がまったく進まない状態だ。10・1外注化を強行すれば、労働者の怒りはさらに爆発し、外注化の矛盾がいよいよむきだしになる。
 国鉄分割・民営化以来、労働組合の屈服と協力で外注化・非正規職化が全産別で強行され、青年労働者の2人に1人が非正規職に突き落されてきた。JR外注化阻止決戦は、外注化・非正規職化に歯止めをかけると同時に、国鉄分割・民営化以来の全攻撃に労働者の側から大反撃をたたきつけ、誇りや権利のすべてを奪い返す攻勢的な闘いだ。プロレタリア革命勝利に向け、やむことのない闘いが始まった。新自由主義攻撃の核心である外注化・非正規職化を粉砕し、階級的労働運動を全産別で復権させよう。
 6月29日の動労千葉の鉄建公団訴訟判決で、国鉄分割・民営化は国家的不当労働行為だと認めさせた。この画期的な地平に立って、国鉄1047名解雇撤回・JR復帰へ闘おう。
 11・4労働者集会まであと40日。巨万の大結集の力で新自由主義と闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう。11・4大集会は国鉄1047名解雇撤回、外注化阻止・非正規職撤廃、反原発・反失業を闘う国際統一行動だ。ここに労働者の未来がある。職場・地域から総結集しよう!

 「原発いますぐゼロ」へ

 反原発闘争も重大な決戦局面にある。野田政権は9月19日、原子力規制委員会を発足させ、初代委員長に原発推進の田中俊一を就任させた。同時に、実務を担う原子力規制庁も発足し、初代長官には前警視総監・池田克彦が就任した。規制庁の職員約470人のうち、8割が経済産業省原子力安全・保安院出身だ。原発再稼働に向け、「原子力ムラ」の連中を実体にして形だけを変えた新たな原発推進組織を立ち上げたのだ。ほんとうに許し難い。
 しかも経産相の枝野幸男は、建設停止中の大間原発、島根原発3号機、東京電力東通原発1号機の建設再開を容認した。大間原発では、プルトニウムを燃料に使うプルサーマル発電をも容認した。政府の「エネルギー・環境戦略」は、高速増殖炉「もんじゅ」を中核とする核燃料サイクルを維持するとしている。野田政権は、「原発いますぐゼロ!」を求める圧倒的多数の声を踏みにじり、1%にも満たない資本家階級の利益のために、原発推進・再稼働に突き進んでいるのだ。
 福島県民の甲状腺検査で18歳以下の子どもが甲状腺がんになっていたことが明らかになった。ところが山下俊一が座長を務める福島県民健康管理調査検討委員会は、福島原発事故による影響を即座に否定した。山下は「チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響をめぐる訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した」とぬかしている。山下らは、福島の子どもたちが被曝し続けがんなどの病気になった時に、原発事故との関係を否定するために存在している極悪犯罪人だ。
 福島の子どもたちが日々命の危険にさらされているのに、原発事故を引き起こした連中は責任を取らず、今も原発堅持を唱えている。経団連は「命よりも金」をむきだしにしている。自民党総裁選では全候補者が原発堅持を叫び、改憲や集団的自衛権の行使など戦争政策を競い合っている。醜悪極まりない! 永田町・霞が関を揺るがす毎週金曜日の反原発行動を100万人決起へと発展させ、「原発いますぐゼロ!」を闘いとろう!

 領土問題と戦争・改憲

 オスプレイ配備反対の9・9沖縄県民大会には10万3千人が大結集した。だが野田政権は19日に「安全宣言」を行い、岩国基地でオスプレイ試験飛行を強行し、今月中にも沖縄・普天間飛行場に配備を始める。こんな暴挙を許せるか!
 労働者人民の思いや訴えをすべて踏みにじる国家と政府。それは労働者人民の命を守らない。資本家階級の利益を守る暴力装置そのものだ。この資本主義・帝国主義のもとでは労働者人民は生きられない。帝国主義を打倒し、労働者が主人公の新しい社会をつくる。そこに労働者人民の未来がある。そのためにこそ国鉄決戦と反原発決戦で階級的労働運動を全産別に復権させよう。その突破口こそ10・1外注化阻止決戦だ。
 世界大恐慌、3・11情勢、日米争闘戦の激化のもとで危機にあえぐ脱落日帝の「領土問題」として噴出する排外主義と侵略・戦争・改憲攻撃を、労働者の決起と国際的団結で粉砕しよう。11・4労働者集会への大結集をかちとり、国境を越えた労働者の大隊列を階級闘争の最前線に登場させよう!
 市東さんへの農地強奪攻撃を絶対に許すな! 国鉄―福島―沖縄と結び、10・7三里塚全国集会に大結集し、11・4労働者集会へ真一文字に突き進もう。

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週刊『前進』(2553号1面3)(2012/09/24 )

【要項】10・7三里塚全国総決起集会、10・13さようなら原発集会(仮称)

第3誘導路粉砕・市東さんの農地を守ろう!/フクシマ連帯・原発再稼働許すな!/TPP反対!/軍事空港粉砕・改憲阻止!

10・7三里塚全国総決起集会

 10月7日(日)正午
 成田市東峰 反対同盟所有畑
 主催/三里塚芝山連合空港反対同盟
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10・13さようなら原発集会(仮称)

 10月13日(土)東京・日比谷野外音楽堂
  (地下鉄「霞ヶ関」「日比谷」下車)
 午後1時 会場/1時30分 オープニングコンサート
 2時 集会/3時 パレード出発 

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週刊『前進』(2553号1面4)(2012/09/24 )

前進速報版から 前進速報版から

▼中国で労働運動弾圧に青年労働者が連日の抗議行動▼法大処分粉砕へ9・18開講日闘争▼日本原子力学会の大会に広島大生が抗議

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週刊『前進』(2553号4面1)(2012/09/24 )

 10・7三里塚へ!市東さんの農地守れ

 外注化阻止決戦と一つになり三里塚は勝利の扉を押し開く

 第3誘導路の来春供用粉砕を

 反原発20万、沖縄10万人決起を始め、民衆の決起が激しく支配階級を揺さぶっている。3・11で一変した世界が、新しい時代に進もうとしている。次の時代に進む力は、新自由主義と真っ向から闘ってきた勢力が、決戦を勝ち抜くことで生み出される。10・7三里塚全国集会は、10・1外注化阻止の闘いとひとつになって、未来を切り開く集会だ。大結集しよう。
(写真 「農地死守」掲げ北原事務局長【中央】と市東さん【右】がデモの先頭に【5月28日 千葉】)

 福島―沖縄―国鉄と結んで闘う意義

 「オスプレイ断固反対!」。赤一色に彩られた沖縄県民大会に集まった復帰後最大規模の10万3千人。文字通りの島ぐるみ決起だ!
 「これ以上の基地負担を断固として拒否する」とした大会決議。沖縄県民の怒りは、基地撤去以外におさまらない。
 全駐労沖縄地本が組織参加した。「解雇撤回・基地撤去」を闘いぬいた全軍労の闘いを引き継ぐ決起が開始されている。
 同日、沖縄に呼応して東京では1万1千人が国会を包囲した。原発への怒りと沖縄の怒りがひとつになり、闘いの輪が広がっている。胸躍る時代の到来だ。
 7・16代々木公園の反原発17万決起は、命と未来を脅かすものに対して、人民は闘うのだということをまざまざと示した。行動が行動を呼び、直接声を上げることで政治を変え、社会を変えていこうという息吹があふれている。再稼働反対の金曜行動に続いて、火曜日には反TPP(環太平洋経済連携協定)、水曜日には反消費税の官邸前行動が行われている。
 「2030年代に原発ゼロ」なる政府の「新エネルギー戦略」は何だ! 原発存続政策以外の何ものでもない。「今すぐゼロだ」「野田を倒せ!」の声がちまたにあふれている。
 何よりも許せないのがJRの外注化だ。千葉では91人の出向対象者のうち44人が動労千葉だ!
組織破壊、組合破壊の攻撃を絶対に許すわけにはいかない。だが、動労千葉、動労水戸をはじめ闘う労働者は、職場から怒りをつくりだし、団結をうち固めて闘いぬいている。
 民衆が続々と決起する大流動の中で、闘って未来を切り開く情勢がやってきた。この時、三里塚はこの情勢に呼応し、ひとつになって決戦に立ち上がろうとしている。
 三里塚闘争は46年間、帝国主義の侵略と圧政に対して農地を武器に体を張って闘い、打ち破ってきた。その三里塚が今、福島、沖縄、国鉄決戦と結んで闘う意義ははかりしれない。46年間、反対同盟とわれわれが労農連帯の旗のもとで国家権力と真っ向から渡り合ってきた真価を発揮する時がきたのである。

 TPP強行による農業破壊許さない

 「首切りと非正規雇用、食べていけない低賃金労働、ここに襲いかかる消費大増税、TPPとオスプレイ、――これらを打ち破り、原発を廃棄して、人が人として生きられる社会を目指す変革の波が押し寄せている」(全国農民会議の10・7結集アピール)
 闘う農民の隊列が三里塚にその姿を現した。
 日本農民はいま、日帝の新自由主義農業政策に対して「このままでは生きられない」「もう我慢ならない」と闘う魂を呼び覚まし、立ち上がり始めている。農民が腹の底からの怒りを爆発させ、闘いに立ちあがる時、それは歴史の転換点だ。
 日帝は、資本主義の競争原理に農業を次々と放り出して衰退させておきながら、「このままでは農業は地盤沈下」だと言いなし、「攻めの農業」「効率化が必要だ」と叫んで大企業の農業参入に道を開く。その最たるものがTPPだ。
 農業収入を主とする主業農家は36万戸に落ち込み、農地は激減の一途だ。農水省の試算でも、TPPで関税が撤廃されれば、農林水産業は年間生産額が約3兆4千億円減少する。TPPの先に日本農業の未来はない。
 TPPは農業壊滅だけでなく、医療、保険から雇用、福祉、食の安全に至るまで、生活のすべてをむき出しの競争にさらすものだ。社会の制度そのものを新自由主義に改編する大攻撃だ。絶対に許せない。 
 三里塚闘争は資本主義の農業収奪、農地強奪に対して反旗をひるがえす農民闘争である。その核心には農地死守・実力闘争、絶対反対が貫かれている。それはどこから来たのか。農民、労働者人民の闘いの継続からだ。
 三里塚は北富士、砂川闘争を引き継ぎ発展してきた。さかのぼれば「内灘」「妙義」など米軍用地接収に対する反基地闘争、さらに、足尾鉱毒、谷中村の土地収用との闘いにさかのぼる民衆闘争の歴史を今に引き継ぎ、発展させた闘いなのだ。
 この脈々として貫かれてきた民衆闘争、農民闘争の歴史の上に、いまわれわれは立っている。この闘いと、始まった巨大な反原発、基地撤去・沖縄闘争の巨万の民衆決起が結びついた時に真に歴史が動く。10・7は、3・11以後を総括し、真の変革に向かって闘い進む決戦突入集会である。

 労農連帯こそ勝利への道だ

 さらに決定的なのは「労農連帯」だ。三里塚と動労千葉は一貫して「車の両輪」として闘い、これまで幾多の破壊攻撃を連帯してうち破り、敵の危機を促進してきた。
 1985年、動労千葉・動労水戸をはじめ国鉄労働者が分割・民営化攻撃と闘っていた時、三里塚では2期工事着工攻撃との激しい決戦の渦中にあった。
 「戦後政治の総決算」と称した中曽根の新自由主義政策、総評労働運動解体攻撃に対して、動労千葉と三里塚はがっちりと連帯して闘いを守り抜いた。
 以来、動労千葉は分割・民営化と闘い続け、ついに6・29判決という形で採用差別を認めさせ、分割・民営化の不当性を根本から明らかにした。三里塚の不屈の闘いは、B滑走路の計画変更を強制し、欠陥空港としてのぶざまな現実を強制している。
 現下の攻防は支配階級との存亡をかけた闘いだ。それゆえ国鉄も三里塚も決戦は不可避である。勝利する道は何か。
 「車の両輪」として培われた「労農連帯」を、階級的労働運動路線のもとで、壮大な労働者と農民のスクラムへ発展させることだ。資本主義を打倒し日本革命に向かう「労農同盟」へと押し上げるために闘うことだ。
 10・7は、外注化阻止・非正規職撤廃をストライキで闘う労働者と、三里塚をはじめ全国農民会議に結集する農民、原発やTPPに反対して立ち上がった農民との「労農同盟」に向けた新たな扉を開く集会である。労働者と農民ががっちりと肩を組んで、決戦に勝利することこそ、民衆決起とひとつになって新自由主義を打倒する力である。

 反対同盟とともに農地死守・廃港へ

 あらためて決戦攻防を確認したい。9月10日、千葉地裁民事第3部(多見谷裁判長)は、口頭弁論を打ち切り強行した証人尋問において、最重要証人である元国交省成田空港課長の石指雅啓証人について、ビデオリンク(テレビ会議方式)で行う決定を下した。誰が見ても理屈の通らない不当決定だ。証人隠しそのものである。市東さんと弁護団は即座に裁判官忌避を申し立て対抗した。
 9・10裁判は農地裁判の画期をなす。多見谷は態度を一変させ、国策裁判の先兵として、農地取り上げの訴訟指揮を行う姿勢を露骨に表した。「多見谷裁判長、お前もか!の思いだ」と裁判報告会で市東さんは抗議の姿勢を訴えた。この一言に表されるとおり、裁判の方向は明らかだ。われわれはこうした国策裁判を絶対に認めることはできない。原子力ムラの言うがままに「原発安全神話」に加担してきた原発裁判と同じだ。
 市東さんをはじめ、地域の生活を破壊する第3誘導路は、来春3・31供用開始に向けて必死の工事を強行している。
 本紙前号の松井論文が述べているように、市東さんへの農地強奪攻撃は営農手段のすべてを取り上げ、農民に対して「死ね」と言うものだ。しかも農地と農民の権利を守るべき農地法を使って、裁判所が収用機関として振る舞う、こんなデタラメを絶対に許さない。
 三里塚闘争勝利、市東さんの農地死守とは、こうした攻撃との全面対決であり、決戦への不抜の決意と陣形である。
 反対同盟の決意に断固として応え、仲間に呼びかけ、友人を誘い、10・7全国集会に駆けつけよう。外注化阻止が動労千葉や国鉄労働者だけの闘いではないように、農地取り上げとの決戦は三里塚だけの闘いではなく、日本農民・人民の未来のかかった決戦だ。青年労働者・学生こそが先頭になって反対同盟とともに立ち、未来を切り開こうではないか。
 10・1JR外注化阻止から10・7三里塚闘争へ。そして、11・4全国労働者総決起集会へ。この秋の階級決戦に全力で決起しよう。
 〔白川賢治〕

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週刊『前進』(2553号4面3)(2012/09/24 )

 反対同盟は訴える

 労農連帯にこそ未来が 事務局長 北原鉱治さん

 47年になろうとする三里塚闘争は、農民・労働者・人民にとって「生きる権利は自ら闘ってかちとるもの」ということを身をもって示してきた闘いであった。政府・空港公団は、国家暴力を用いてこの地に空港建設を強行してきたが、われわれはその不当・不条理を、逮捕・流血をいとわぬ闘いにおいても、また裁判闘争においても告発し警鐘を鳴らしてきた。彼らは自分たちの行いのあまりの理不尽ゆえに「謝罪」のポーズをとることもあったが、真に反省したことなど一度もなく、ゆえに反対同盟、農民・住民の頑強な闘争に阻まれ、成田は未完成の欠陥空港の姿をさらしている。
 そして今、市東孝雄さんの農地をめぐる攻防がいよいよ緊張を増している。親子3代90年にわたって耕し続けた農地を奪うために、NAA(成田空港会社)は千葉地方裁判所と手を組み、来春には反動判決を狙っている。そして市東さんの家を空港施設で囲い込んでしまおうと、第3誘導路工事を急ピッチで進めている。一農民の必死の叫びを踏みにじり、地上げ屋まがいの行為に及ぶ彼らには、一体人間の心というものがあるのか!
 全国の皆さんは三里塚の大地に立って、この現実を自分自身で確認してほしい。日本の将来のために何が必要かを、考えてほしい。政治家は民衆の声を聞くことなく、利権を絡めた政権抗争に明け暮れている。民主党・野田政権はTPP参加へと突っ走っているが、経済界の利益を第一とし日本農民の血と汗をないがしろにするこのTPPには、絶対に反対しなければならない。
 労働者は武器・兵器の輸送などの戦争協力を拒否し、農民はこれに呼応し生命の糧を生産する、この労農連帯にこそ、日本の未来がある。その確信を若い青年労働者、学生たちに語り継ぎたい。
 決戦が間近に迫る10・7三里塚全国総決起集会への、全国の方々の大結集を心から訴えます。

 福島・沖縄と手を結び 事務局次長 萩原進さん 

 市東さんの農地を守る闘いは「代執行」との闘いになることを、はっきりと見すえなければならない。敵はまさに市東さんの耕作地、作業場、農機具置き場、離れなど、母屋を残して一切の農業基盤を「明け渡せ」と迫っている。そして「離作補償は1億8千万だ」と言う。大変な金額だが、要するに市東さんが農民として生きられない状況をつくり、農民としての市東さんを抹殺する、その「香典」ということだ。絶対に許せない。
 農地裁判が来春に結審情勢を迎えれば、そういう暴力的な土地強奪攻撃に否応なく直面する。これとどう闘いぬくのかということを、ぜひ皆さん一人ひとりがここで真剣に考えてほしい。
 今成田―羽田の一体的運用ということがしきりと言われているが、日帝の航空政策の破綻の結果だ。成田は閣議決定から50年近くたっても完成しない欠陥空港だ。格安航空の誘致で延命しようとしているが、あの“安さ”はすべての矛盾を強労働、賃金カット、首切りなどの形で労働者に押しつけて実現するものだ。「こんなものは必ず大事故・大惨事につながる」と今の時点から声を大にして強調したい。起きてから「想定外」と言わせてはならないのだ。
 3・11で社会が一変し、首相官邸前や国会前に人びとが万、十万という単位で集まっている。沖縄県民大会も10万人を超える大結集となった。「国策」の名で行われてきた三里塚、福島、沖縄――今これらが手を結び闘うことが急務だ。
 この人民大衆の大きなうねりの中に、三里塚の旗を高く掲げて思い切って大胆に飛び込み、ともに闘う道を進まなければならない。オスプレイの配備が沖縄―全国に強行されようとしているこの時、また領土問題の激動で日本人民の立場が問われるこの時、10・7三里塚の持つ意義はきわめて重要だ。日本階級闘争を牽引する怒りと行動力がここに結集し、その人びとがそれぞれの持ち場に帰り、全国の闘いをさらに燃え上がらせることが決定的だ。この中で、市東さんの農地を守る闘いに勝利する陣形を構築し、拡大強化しよう。

 「何くそ!」と闘志湧く 天神峰部落 市東孝雄さん 

 私の農地裁判では、この間証人尋問が続けられてきましたが、本当に怒りに堪えない場面ばかりです。成田市農業委員会とか、千葉県の農地課長とか、仮にも農民・農業の側に立って働くべき人が、NAAの言いなりになって、「自分は言われたとおりやっただけ」みたいなことを言う。NAAの数々の不当・違法については、訴えても調べもしない。
 農民が土地を奪われるということは、命を取られるのと同じことです。「そのことを分かっているのか!」と、元千葉県農地課長に問いただしましたが、彼はNAAと打ち合わせしたと思われることを繰り返すだけで、誠実に答える気がまるでなかったですね。
 「離作補償は1億8千万円だから十分だろう」などと平然と言うのにも本当に腹が立ちました。農民の日々の苦労や悩みを分かろうともしないのか。金さえ出せば人が言うことを聞くと思っているのか。冗談じゃない。
 これでは日本農業はすたれてしまいます。
 その一方、全国農民会議の方々が三里塚に心を寄せ一緒に闘ってくれているのは力強い。私も福島の農民と連帯し、自分の闘いとして反原発に取り組んでいます。7・16代々木公園には炎天下のもと私も参加しましたが、17万人も集まって原発に対する「廃止」の意思表示をしたことは、本当にすごいことですね。あの熱気と高揚を、三里塚でもつくり出したい。10・7集会には、一人でも多く集まって「農地強奪許さない!」の声を一緒に上げてほしい。
 うちの目の前で、第3誘導路の工事が進められています。私はこんな圧力に屈することはありません。むしろ攻撃が厳しいほど「なにくそ!」という気持ちが湧いてきます。現に私のところ一軒をどかすこともできなくて右往左往しているのは、空港の側です。
 沖縄の基地反対の闘い、動労千葉を先頭とする労働者の闘いとも、三里塚は一体です。 国、国交省、NAA、裁判所などの横暴、違法に黙っているわけにはいきません。勝利まで闘います。

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週刊『前進』(2553号4面5)(2012/09/24 )

【要項】第7回千葉県三里塚集会

市東さんの農地強奪を許すな!
第7回千葉県三里塚集会
9月30日(日) 午後2時30分
DC会館 (JR東千葉駅前)
千葉市中央区要町2―8
主催/千葉県三里塚集会実行委員会

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週刊『前進』(2553号5面2)(2012/09/24 )

 JR外注化出向事前通知に反撃

 仙台 支社申し入れとデモ 意気高く一日行動闘う

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鉄道運輸機構訴訟控訴審判決
 10月11日(木)午後4時
 東京高裁101号法廷

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週刊『前進』(2553号6面3)(2012/09/24 )

 星野暁子さんの訴え

 9・28に東京高裁包囲星野同志陳述書提出へ

 獄中38年、新境地で闘う星野同志

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星野文昭同志 再審闘争
異議申立「補充書」提出一日行動
9・28東京高裁包囲デモ
 9月28日(金)
 正午 日比谷公園霞門集合
 12時30分デモ出発
 ★「補充書」提出報告集会
 午後2時
新橋生涯学習センターばるーん(305学習室)

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