北朝鮮のミサイル発射問題  

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●北朝鮮のミサイル発射問題 特集2006年

週刊『前進』(2256号1面2)(2006/07/31)

 戦争の元凶は日米帝国主義だ “制裁やめろ”と決起

 渋谷デモに注目と共感

排外主義攻撃と対決  織田全学連委員長を先頭にしたデモは注目を集め、とび入り参加者も多数あった(7月15日 渋谷)

 「経済制裁やめろ!」「戦争を止めよう!」「小泉とブッシュを倒そう!」−鮮明なシュプレヒコールが夜の渋谷を突き抜けた。街中の視線がデモ隊に集中した。その瞬間、若者の街は一つの解放区となった。
 7月15日、学生が中心となった渋谷デモ実行委員会の呼びかけで経済制裁に反対する緊急行動が行われた。日本政府が北朝鮮への「先制攻撃」を叫び、国連での非難決議を突出してやろうとしているまさにその時、首都のど真ん中でこれを切り裂くデモが闘われたのである。
 午後7時半、宮下公園から出発した約80人のデモ隊が週末でにぎわう渋谷の街に登場。鳴り物を先頭にした元気いっぱいのデモがやってくると、道ゆく若者が足を止め、写真を撮り、ビラを受け取った。途中から若者や外国人らがデモに合流し、ともにこぶしを突き上げた。「戦争をとめよう!」という訴えは渋谷全体の叫びとなった。デモは多くの若者の共感をつくり出したのだ。デモの解散地点までついてきた青年労働者は、「経済制裁には絶対反対です。戦争では問題は解決しないから」と述べた。
 あまりの周囲の注目ぶりに危機感をもった公安刑事がビラまきへの不当な妨害に出てきたが、デモ隊の抗議の前に一瞬にして粉砕された。
 デモに先立って開かれた集会では、織田陽介全学連委員長が緊急行動の意義を次のように鮮明に訴えた。
 「経済制裁で行われようとしているのは軍事力の発動そのものだ。北朝鮮を挑発する軍事演習を繰り返し、ミサイルを撃ち続けてきたのは日本であり、アメリカではないか。ブッシュがイラクでやってきたことは、ミサイル実験どころか大虐殺そのものだ。この帝国主義こそが戦争の元凶なんだ。北朝鮮への経済制裁で苦しめられるのは北朝鮮の人民だ。そして改憲を許せば自分たちもこの戦争に動員されていく。こんなことを許すことはできない。 
 とんでもない排外主義の宣伝が行われ、経済制裁に反対する者は非国民であるかのようにあおられている。この流れをぶっ飛ばそう。学生と労働者の大デモ、ゼネストこそがこの戦争を止めることができる。今日の渋谷デモを歴史的な第一歩として、改憲攻撃を打ち砕こう」
 続いて当局による不当処分と闘う法大生、全国沖縄青年委員会、婦人民主クラブ全国協、首都圏の学生が次々と日本政府の突出した経済制裁−侵略戦争策動を弾劾して発言した。
 渋谷デモの大きな反響は、多くの労働者人民が政府の対応に激しい怒りと危機感をもっていること、闘う勢力が鮮明な主張を掲げて登場するならば、この怒りと結びつき北朝鮮・中国侵略戦争を阻止し、改憲攻撃を粉砕できることを示した。この夏、職場で街頭で行動に立とう。9条改憲阻止の大署名運動をもって夏秋決戦の大爆発をかちとろう!

週刊『前進』(2255号1面1)(2006/07/24)

 日米帝国主義の北朝鮮への経済制裁・侵略戦争と対決を

 8月広島−長崎反戦反核闘争へ

 東西革共同集会に大結集を

 日本帝国主義の反動的突出によって恐るべき戦争の危機が生まれている。しかもそれは数百倍の軍事力、経済力を持つ米・日帝国主義による一方的な侵略戦争である。小泉や安倍らはミサイルの脅威を誇張し、北朝鮮・金正日政権への反発と敵意を組織して「先制攻撃」さえ主張している。日本社会を北朝鮮への排外主義とナショナリズム−戦争一色に染め上げようとしている。「ヒロシマ・ナガサキをくり返すな」「教え子を再び戦場に送らない」の誓いが真に問われる時だ。全国から8・6広島−8・9長崎反戦・反核闘争に結集しよう。米日帝の北朝鮮侵略戦争策動に9条改憲阻止の大運動と8・6−8・9闘争で決定的に反撃しよう。

 「敵基地攻撃能力」狙う日帝

 今夏8・6−8・9反戦反核闘争は、帝国主義の侵略戦争−核戦争の再発を絶対に許さない闘いとなった。
 日本政府は7日、北朝鮮への制裁決議案を国連安全保障理事会に提出した。制裁や軍事行動の根拠になる国連憲章第7章にも言及している。7章は非軍事的措置で不十分な場合は軍事力の行使を正当化している。つまり北朝鮮が決議の要求を拒否すれば、03年3月に始まったイラク侵略戦争のように多国籍軍による武力攻撃=侵略戦争が起きかねない事態なのだ。それを日本政府が突出して主導しているのである。
 さらに「北朝鮮がミサイルを撃つ前に発射基地を攻撃して破壊する。そのための先制攻撃能力を日本も持つべき」という安倍ら主要閣僚の発言が相次いでいる。
 額賀防衛庁長官は「最低限のものを持つのは当然」と語り、麻生外相はテレビ番組で「被害を受けるまで何もしないわけにはいかない」と公言した。10日の記者会見では安倍官房長官が「今後、そういう能力を持つべきかどうか、議論を深めていく必要がある」と超反動的な発言をした。
 米帝ブッシュと同様、「自衛のための先制攻撃が必要」と称して、日本から戦争を仕掛けることを、ポスト小泉と目される連中が扇動しているのだ。憲法9条が現実に解体される恐るべき事態なのである。
 対北朝鮮の戦争を日米帝国主義が本当に行えば、朝鮮人民100万人の生命が失われ、みぞうの惨禍となる。
 コードナンバー5027という米韓連合軍の対北朝鮮の軍事作戦計画は、それが実際に遂行されれば「核兵器を使用しなくても100万人以上の死傷者が出る」と、米軍は公言している。400万人の死傷者が出た1950年の朝鮮戦争を再現する恐るべき戦争計画なのだ。数年前には、米軍が大型水爆や核弾頭付き地中貫通バンカーバスターを使って先制攻撃するという秘密文書も暴露された。実際に投下訓練も行われている。
 米軍や自衛隊は、自分はすでに何千発、何万発ものミサイルを持ち、演習ではミサイル発射を自由勝手に行う一方で、北朝鮮のミサイル実験(弾頭はついていない)に対しては「制裁」と大騒ぎしている。北朝鮮の「脅威」を、きわめて意図的、作為的にデッチあげている。しかしそもそも米帝も日本の外務省も、ミサイル発射実験自体は「国際法違反ではない」ことを自認しているのだ。ところが米日帝は、帝国主義からの金融制裁や侵略戦争重圧にあえぐ北朝鮮スターリン主義の反人民的な対抗的軍事政策を逆に絶好の口実にし、それにつけ込んで経済制裁や侵略戦争を発動しようとしているのだ。
 そのためにこそ小泉、安倍、麻生ら日本政府は、明日にも核弾頭を搭載したミサイルが日本に飛来するかのように「脅威と危機」を扇動し、国連安保理への制裁決議案に突き進み、今や「自衛のための敵基地攻撃能力」や「先制攻撃」を公言した。対北朝鮮の排外主義とナショナリズムをあおり、9条改憲と戦争国家体制づくりを一気にやろうとしている。
 この恐るべき歴史的事態に8・6広島−8・9長崎闘争で大反撃しなければならない。

 戦争原因は帝国主義の側に

 この間、米・日帝国主義は北朝鮮の体制転覆を狙う戦争重圧を極限的なまでに強めてきた。昨年2月に日米両政府が発表した「共通戦略目標」では、朝鮮半島の「平和的統一」や「テロ防止」などの目標を軍事、政治、経済などの包括的な手段で実現させると称し、北朝鮮の体制転覆とそのための侵略戦争を公然と宣言している。
 米帝のQDR(4年ごとの戦力見直し)やこの「共通戦略目標」に基づいて在日米軍再編が行われ、6月29日の日米首脳会談では「新世紀の日米同盟」「普遍的価値観と共通の利益に基づく日米同盟」をうたう共同文書が発表され、米日帝の北朝鮮・中国侵略戦争が宣言された。米日帝のミサイル防衛(MD)も、日帝の9条改憲への激しい動きも、すべてが北朝鮮に対する戦争的脅威・重圧として存在している。
 そもそも朝鮮半島に南北分断と対立、緊張と戦争の危機を生み出してきた最大の原因と責任は、帝国主義にこそある。
 日本の敗戦で植民地支配から解放された朝鮮では、占領軍を待たずに建国準備委員会や地方の人民委員会が全土に生まれた。しかし、米帝はそれを徹底的に弾圧して南朝鮮に軍政を敷き、48年に李承晩政権をデッチあげた。対抗的にソ連が北に金日成政権をつくり、南北に分断されたのだ。
 1950年に帝国主義とそれに対抗するスターリン主義が引き起こした朝鮮戦争で、朝鮮半島の8割は焦土と化した。軍民計400万人以上の死傷者と、南北総人口の5分の1に当たる1千万人の離散家族を生み出した。帝国主義の側の国連軍を指揮したマッカーサーは、中国やソ連への原爆攻撃さえ主張した。
 53年の停戦後も講和条約は結ばれず、国際法上は、現在も「休戦」の状態なのだ。米国は朝鮮戦争後も、南朝鮮・韓国と沖縄−日本本土に巨大な駐留米軍を配置し、日米同盟で戦争に備え、北朝鮮に軍事重圧を加え続けてきた。ブッシュ政権は北朝鮮を「悪の枢軸」と決めつけ、体制転覆の侵略戦争を狙ってきた。
 戦争の元凶は帝国主義である。米日帝は、追い詰められた北朝鮮スターリン主義の反人民的な対抗的軍事政策をも絶好の口実に侵略戦争を発動しようとしている。こうした国際情勢の中で日帝の9条改憲攻撃が一挙に激化しているのだ。米日帝の北朝鮮侵略戦争の切迫と対決する国際反戦闘争、8・6−8・9闘争を呼びかけよう。

 朝鮮戦争反対5億人が署名

 8・6ヒロシマの歴史的な闘いは、朝鮮戦争と対決して始まった。
 朝鮮戦争が始まる3カ月前の50年3月、原爆反対の署名を全世界に訴えるストックホルム・アピールに、全世界で5億人が署名した。日本でも朝鮮戦争反対と結んで取り組まれ、645万筆もの署名が集まった。この署名運動が朝鮮戦争での米国の原爆使用を阻み、戦後の反戦運動の発展に重要な役割を果たした。原水爆禁止世界大会の開催へもつながった。
 広島では朝鮮戦争が始まると、米占領軍の原爆反対運動への弾圧が激しくなり、8月6日には慰霊祭も禁止された。被爆5周年8月6日の広島は事実上の戒厳令下に置かれ、約3千人の警察官、機動隊が配置され、警察の広報車がサイレンを鳴らして走り回った。
 しかし、トルーマン米大統領の「朝鮮での原爆使用もありうる」という声明を聞いた原爆詩人の峠三吉らは「朝鮮で原爆を使わせるな」と書いた2万枚のビラを準備、福屋デパートの屋上からばらまき、集会を開いた。これが広島で最初の大衆的反戦集会だった。
 これらの闘いと連動して翌年の51年1月、日教組は初めて「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを採択。以後、日教組のメインスローガンとなった。同年の国労新潟大会では、平和4原則派(中立、全面講和、軍事基地撤去、再軍備反対)と愛国労働運動派が対決し、平和4原則派が圧倒的多数で勝利した。これが50年代以降の労働運動の高揚を切り開いた。GHQ(占領軍)の肝いりでつくられ、朝鮮戦争で国連軍(米軍)を支持した総評が「左」転換した重大局面だった。

 今秋決戦勝利への跳躍台に

 

8・6−8・9の最大の課題は、北朝鮮侵略戦争の切迫と教育基本法改悪・9条改憲攻撃に対決し、「ヒロシマ・ナガサキをくり返すな」「教え子を再び戦場に送るな」という圧倒的な労働者隊列を登場させることだ。
 日帝は今、憲法を変え再び戦争に突き進もうとしている。「戦争反対」「改憲反対」は、日本の労働者階級の階級的原則、階級的魂にかかわる問題だ。憲法9条は、15年戦争の無残な敗戦と戦後革命の高揚の中でこそ生み出されたものだ。
 日教組や自治労、連合主要産別の改憲派への転向を阻止しよう。8月自治労大会で「改憲と民営化に反対」を全組合員に訴えよう。闘う教育労働者は最先頭に立ち、全国から8・6ヒロシマに結集しよう。
 今春の「日の丸・君が代」不起立闘争、教基法改悪案・共謀罪新設・国民投票法案の改憲3法案の成立を阻んだ国会闘争の高揚を引き継ぎ、発展させよう。8・6広島−8・9長崎、8・15靖国闘争を跳躍台に、今秋の臨時国会闘争、11月労働者総結集へ全力で闘おう。9条改憲阻止の大運動を発展させよう。

 

 

週刊『前進』(2254号1面2)(2006/07/17)

北朝鮮のミサイル実験を口実とした 

米日帝の経済制裁発動と侵略戦争策動を弾劾する

 北朝鮮の体制転覆狙う米日

 北朝鮮スターリン主義・金正日政権は7月5、6日、ミサイル発射実験を強行した。
 これに対して日帝・小泉政権は激しく反応し、5日早朝から安全保障会議を開き、万景峰(マンギョンボン)号の半年間入港禁止など12項目の制裁措置を決めた。さらに国連安保理の開催を要請し、北朝鮮に対する非難決議と経済制裁の発動に向け、米英帝と組んで中心的に策動している。
 この問題で、われわれがまず何よりもはっきりさせるべきことは、北朝鮮・金正日政権に戦争重圧を強め、軍事的に挑発し、侵略戦争と体制転覆をやろうとしているのは米・日帝国主義の側だということである。
 そして、北朝鮮スターリン主義のそれ自身は反人民的なミサイル実験を絶好の口実とした、米日帝の経済制裁発動と侵略戦争策動を徹底弾劾して、今こそ闘わなければならないということだ。
 そもそも米帝は02年の大統領一般教書以来、北朝鮮をイラク・イランなどとともに「悪の枢軸」と呼び、体制転覆を準備してきた。すでに北朝鮮の関係する銀行と米金融機関との取引を停止し、北朝鮮を経済的に締め上げている。日本政府は食料援助を停止し、北朝鮮を圧迫し、人民を飢餓で苦しめている。
 米軍は6月19〜22日にグアム島沖で、北朝鮮と中国をにらみ、この10年間で最大規模の大演習を行った。実に三つの空母機動部隊が参加した。これ自体がすさまじい戦争挑発ではないか。
 そして6・29日米首脳会談では「21世紀の新しい日米同盟」「地球的規模の軍事協力」をうたい、米軍再編の推進を合意し、北朝鮮については特に時間を割いて協議し圧力強化で一致した。
 このような、北朝鮮への米日帝のすさまじい重圧と侵略戦争策動こそが、北朝鮮をぎりぎりと追い詰めている。そこからの反人民的な対抗策がミサイル発射だった。しかし米日帝はそれをも絶好の口実に、いま実際に北朝鮮侵略戦争を発動しようとしているのだ。
 考えてもみよ。北朝鮮の経済力はGDP(国内総生産)でアメリカの600分の1、日本の300分の1だ。軍事費ではアメリカの200分の1、日本の20分の1だ。そもそも米帝は、何千発、何万発ものミサイルや核兵器を持っている。
 また、近代の歴史を見れば、日清・日露戦争を始めとして、侵略戦争を仕掛け、植民地支配を行ってきたのは常に日本帝国主義の側だ。しかも日帝は今日に至るまで数十万人の朝鮮人民の虐殺、強制連行、強制労働、資源と土地の強奪、軍隊慰安婦問題などの国家的大犯罪に対する謝罪も賠償も行っていない。
 このような米日帝が声高に叫ぶ「北朝鮮の脅威」など、再び侵略戦争を発動するための排外主義的な口実でしかない。
 確かに「拉致」問題にせよ、ミサイル発射実験にせよ、北朝鮮スターリン主義が行っていることはまったく反人民的であり、許されない。

 労働者の国際連帯で闘おう

 しかし、だからと言って帝国主義による経済制裁や戦争が許されるか。断じて否だ。それでは何も解決しない。問題は何よりも、米日帝による北朝鮮への体制転覆と侵略戦争の策動にある。それを阻止するために闘うことこそが、日米を始めとした国際労働者階級の差し迫った任務である。
 「圧制者フセインの打倒、イラクの解放」を声高に叫んでイラクに攻め込んだアメリカがやってきたことは何か。女性や子どもを含むイラク人民の大虐殺であり、石油資源の略奪ではないか。米日帝はイラクでやったことを、今度は朝鮮でやろうとしているのだ。
 「拉致」問題も解決どころか、日帝はこれを絶好の口実に、9条改憲や侵略戦争体制を構築しようとしているのだ。
 反人民的な金正日のスターリン主義体制を打倒するのは、帝国主義では断じてなく、南北朝鮮人民自身の決起である。
 日本の労働者階級の課題は、闘う朝鮮人民と連帯して、米日帝の朝鮮侵略戦争阻止、戦争の元凶である日米帝国主義の打倒へ闘うことだ。
 在日朝鮮人民に対する襲撃・迫害を絶対に許すな。北朝鮮への排外主義の嵐を粉砕せよ。今こそ9条改憲阻止、米軍再編粉砕・朝鮮侵略戦争阻止へ闘おう。8月広島―長崎、8・15小泉靖国参拝阻止に決起しよう。