5・22日朝首脳会談を徹底的に弾劾する    

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5・22日朝首脳会談を徹底的に弾劾する

小泉再訪朝は拉致問題解決のペテンで金正日政権転覆=米日共同侵略戦争に踏み込む攻撃だ

5月24日 革命的共産主義者同盟

    (一)

 5月22日、小泉が再訪朝し、北朝鮮・金正日と会談した。小泉は、この首脳会談について、拉致問題を解決し、核問題でも前進した、また国交正常化へ02年日朝ピョンヤン宣言を再確認したことは平和への第一歩であったとうそぶいている。
 今回の日朝首脳会談は、はたして小泉の言うような日朝の「友好・協力関係」を進め、朝鮮半島の平和に資するものであろうか。いや、まったく違う。小泉は、拉致問題の解決とか日朝の友好・協力などの煙幕をはりながら労働者人民をペテンにかけ、帝国主義的戦争外交を行ったのである。小泉の言う国交正常化とは、帝国主義的戦争外交を覆い隠すための大嘘である。もちろん、拉致問題の解決などはだれもが見抜いているように大嘘である。拉致問題は、日帝・小泉政権にとって、その帝国主義的戦争外交に利用する道具でしかないのである。しかも、国会会期中に有事法制および特定船舶禁止法案の恫喝とワンセットで訪朝が強行された。その背景には、米帝とともにイラク情勢に深々と引き込まれた日帝の体制的危機がある。
 小泉訪朝の狙いは、日帝が米帝とともに、帝国主義の重圧にあえぐ北朝鮮・金正日政権をえじきとして北朝鮮侵略戦争を発動する条件づくりにある。小泉は、金正日政権と友好・協力関係を形成しようとしているのではない。その反対に、金正日政権の転覆を狙っているのだ。そして、朝鮮半島と東アジア全体の帝国主義的な新秩序の形成へと突き進もうとしている。日帝ブルジョアジー(財界)の代表者、奥田らはこうした野望を公然と表明している。小泉はそれに沿って動いているのだ。
 労働者人民は、南北・在日朝鮮人民と連帯して、有事立法阻止・改憲粉砕、イラク侵略戦争・北朝鮮侵略戦争を内乱に転化する闘い(日本帝国主義打倒)を、今こそ決意も新たに強力に推し進めよう。

    (二)

 5・22日朝首脳会談で次の諸点が確認されたと言われている。
 @02年日朝ピョンヤン宣言を履行し、日朝間の信頼関係の回復をはかるため、今回小泉首相が訪朝した。A北朝鮮側は人道的見地から拉致被害者の蓮池さん、地村さんの家族5人の帰国に同意する。曽我さんの家族は早期に北京で再会するように調整する。B安否不明の拉致被害者については北朝鮮側がただちに真相究明のための調査を再開する。C北朝鮮側は核問題の平和的解決にむけ6者協議の進展に努力する。ミサイル発射実験の凍結を確認する。D日本側は国際機関を通じて食糧25万dおよび1000万ドル相当の医薬品などの人道支援を行う。E双方は日朝ピョンヤン宣言を遵守する。国交正常化交渉にむけ協議する。F北朝鮮側がピョンヤン宣言を遵守していくかぎり、日本側は制裁措置を発動しない。G日本側は在日朝鮮人に差別などが行われないよう友好的に対応する。
 これらは、金正日政権の側にも配慮したかのような形をとっているが、その実質を見れば、日本側が金正日政権を大きく屈服させたものであることがわかる。
 北朝鮮が5人の帰国に無条件に同意し、またそれ以外の安否不明者について真相究明のために努力することを約束させられたのは、これまでの北朝鮮の態度から言えば明らかに大幅な屈服であり譲歩である。日帝はこれによって、どこまでも安否不明者にかんする真相の追究や解決を要求して北朝鮮にあいくちを突きつけることが可能となったのである。
 そのほか核問題の平和的解決やミサイル発射実験の凍結、ピョンヤン宣言の遵守などを、日帝に向かって約束したことと合わせると、金正日政権がほとんど全面的に日帝にひざを屈したと言って過言ではない。
 ところが、この結果に対して、拉致被害者家族会からは、10人の安否不明者の問題が棚上げされたのは裏切りだ、北朝鮮に対して経済制裁しないと約束するのは認められないなど、被害家族の絶望的心情と排外主義がないまぜになった強い非難が噴出している。そして、これを使ったすさまじい排外主義キャンペーンが繰り広げられている。家族会は、小泉に対する右からの批判の先兵となり、北朝鮮への侵略戦争発動と有事法制づくりの先導役に押し出されている。自民党の拉致議連などは、弱腰外交だ、圧力あっての対話だ、特定船舶入港禁止法案を成立させよなど、北朝鮮に対する戦争重圧を加えよと声高に唱えている。
 また日本共産党や社民党は、小泉訪朝と日朝首脳会談をまったく無批判的に歓迎し、拉致問題の解決という角度からきわめて表面的に問題をとらえ、その帝国主義的な反動的意図にすっかり屈服してしまっている。
 日帝は、そうした排外主義の高まりと野党の屈服をもテコにして、小泉訪朝の結果を受けて、今国会での有事法案(7法案と3協定条約承認案)および特定船舶入港禁止法案の成立へ全力を挙げている。

    (三)

 われわれは、5・22小泉訪朝による対北朝鮮外交に全面的に反対する。なぜなら、それがイラク侵略戦争下でのまぎれもない帝国主義的戦争外交だからである。5・22日朝首脳会談は、日帝あるいは米日帝の側からイラク侵略戦争継続・激化・拡大のために、その一環として行われたものであり、同時に6者協議の枠に北朝鮮を何としても引き込みつつ、北朝鮮侵略戦争発動への道を敷くためのものとして行われたのである。
 第一に、結果から明らかなとおり、小泉にとって拉致問題(の解決)は帝国主義的戦争外交の手段でしかない。帝国主義者どもは拉致被害者家族の心情をよってたかってもてあそんでいるだけなのだ。日帝にとってはむしろ、北朝鮮を「テロ国家だ、許せない」としてどこまでも揺さぶるカードとしてとっておけばいいのである。すなわち、小泉は今回、イラク参戦国であり日米同盟の一方の盟主として、かつ6者協議関係国のトップの一人として、日帝のスタンスを内外に示すために北朝鮮に乗り込んだのである。
 第二に、小泉は会談で、「核開発は絶対に認められない。核開発の凍結は完全廃棄の一歩でなければならない。めざすのは完全廃棄だ。大事なのは6者協議を通じて核を廃棄することだ」と強調した。
 小泉は米帝ブッシュの世界戦争戦略とその現実の巨大な軍事力と一体となって、正面から戦争重圧を加えたのである。6者協議の枠に北朝鮮をしばりつけ、「完全で検証可能かつ後戻りできない」核廃棄をのめと、全面屈服を迫り、それがいやなら金正日政権を転覆するぞと重圧を加えたのである。
 第三に、そもそも日帝は、米帝と一緒になって北朝鮮を「テロ国家」と規定し、北朝鮮への経済制裁法である外為法改悪を行い、武力攻撃事態法を始め有事3法を成立させ、さらに今国会で有事7法案・3協定条約承認案を提出し、北朝鮮侵略戦争のための法体系の確立をどんどん進めている。さらには、北朝鮮を標的とした大規模なMD戦略=ミサイル迎撃システムの構築を急ピッチで進めている。
 それらのどこが友好・協力なのか。そんなことをしている政権が北朝鮮との国交正常化を考えているなどと言えるのか。相手の喉にあいくちを突きつけておいて、関係正常化を語る――それが帝国主義のやり方なのだ。
 もともと02年ピョンヤン宣言で言う国交正常化が欺瞞なのだ。それは「包括的解決」とされているように、核・ミサイル問題、それに加えて拉致問題で北朝鮮が全面屈服した後に国交正常化をし、そしてそれを待って本格的な経済援助をするとなっている。経済援助のニンジンをぶらさげながら、北朝鮮を完全武装解除(体制転覆)しようというのである。
 「対話と圧力」などと言うが、基本は圧力なのであり、対話はその圧力を有効にするための手段でしかない。そして、圧力とは軍事力の行使と経済制裁ということだ。
 第四に、重要なことは、この対北朝鮮外交が現下のイラク侵略戦争情勢と結びついているということである。米英日帝のイラク侵略戦争が泥沼に陥っている中で、イラク侵略戦争をあくまでも継続・激化・拡大するために、金正日政権を抑え込んでおく必要から、小泉は金正日との直接会談を決断したのである。米英日帝の意を体して、小泉は訪朝したのだ。
 他方、中国スターリン主義が金正日に対して日朝関係の正常化をはかるべきと圧力を加えた。それが北朝鮮による小泉受け入れの大きな動機となった。
 また、米日帝は韓国・盧武鉉政権を6者協議の枠内に抑え込もうとしている。南北の独自の関係形成を極度に恐れているからである。根底的には、民主労総を始めとする南朝鮮の労働者人民の「朝鮮戦争反対、民族統一、盧武鉉政権打倒」の内乱的決起を死ぬほど恐れているからだ。
 北朝鮮(そして南朝鮮・韓国人民)に対して直接・間接にイラク侵略戦争の重圧がすさまじい破壊的な作用を及ぼしているのである。

    (四)

 北朝鮮スターリン主義にとって、5・22日朝首脳会談は何だったのか。一方では、イラク侵略戦争によって加重された戦争重圧に追いつめられ、窮地に立たされ、他方では、国内経済危機の激化、とくにその経済改革のもたらす矛盾――物価高、賃金格差の拡大、ヤミ経済の拡大による経済社会システムの混乱、食糧難、飢餓、竜川駅列車爆発事故など――によって、金正日政権が崩壊的危機にある中で、何とか息継ぎを得たいということである。
 金正日にとって、02年の日朝首脳会談は、拉致問題を認めることで国交正常化へのレールを敷き、日帝からの経済援助を引き出そうとしたが、それは「拉致問題を起こすテロ国家」として、かえって米日帝の戦争重圧を強めるものとなった。金正日は、そこから濃縮ウラン型の核開発計画の自認、プルトニウム型の核開発の関連施設の稼働再開の表明、IAEA(国際原子力機関)査察官の国外追放、NPT(核不拡散条約)脱退宣言などに走った。しかし、フセイン政権転覆のイラク侵略戦争強行を突きつけられ、核保有の瀬戸際政策の無力性を暴かれることとなった。だが金正日政権は、南北・在日朝鮮人民の反帝・民族解放の決起に依拠せず、国際労働者階級の決起に敵対するスターリン主義反革命ゆえに、結局核カードにしがみつくしかないし、日帝に屈服してでも経済援助を得るしかないのである。
 金正日政権は、全朝鮮人民の利益を踏みにじり、民族解放闘争を裏切り、自己の延命のためにはどのような反人民的犯罪をも凶行する政権である。だが、この反人民的政権を打倒するのは南北朝鮮人民以外にはない。それを米日帝が「非民主的だ」といって戦争をしかけて転覆することは絶対に許されない。南北・在日朝鮮人民がその民族自決の行使として米日帝の侵略戦争に反対し、金正日政権を倒し、南北統一をかちとっていく道だけが、真の解放の道である。
 日本の労働者人民は、5・22日朝首脳会談を新たな契機に噴き出している在日朝鮮人民に対する排外主義・テロル、朝鮮総連への弾圧、民族教育機関への経済制裁的締め上げなどを断じて許さず、対北朝鮮制裁キャンペーンを打ち破り、米日帝の北朝鮮侵略戦争を阻止し、ともに南北統一に向かって闘っていこう。

    (五)

 5・22日朝首脳会談は、有事立法阻止闘争を解体し、日本の労働者人民を、国交正常化のペテンと対北朝鮮排外主義をもって、イラク侵略戦争と北朝鮮侵略戦争に動員する攻撃である。
 国民保護法案など有事7法案とACSA(日米物品役務相互提供協定)改定案など3協定条約承認案はイラク侵略戦争の継続・激化・拡大と北朝鮮侵略戦争を遂行するための戦争法案である。陸・海・空・港湾を始め、自治体、医療、通信、マスコミ・出版、教育などの現場から、北朝鮮侵略戦争への国家総動員をきっぱりと拒否しよう。「有事法制を完成させない・発動させない・協力しない」の「3ない運動」を強めよう。
 自衛隊をイラクから撤退させよの闘いを今こそ爆発させよう。イラク人民の抵抗闘争は民族解放・革命戦争として燃え上がっている。国連主導=多国籍軍の形式による占領支配の立て直しを許さず、イラク人民と連帯して戦おう。自衛隊のイラク多国籍軍への参加を許すな。
 イラク情勢と北朝鮮情勢が激動しているからこそ、日米安保(軍事同盟)は完全に異質なものに変貌しようとしている。その中で沖縄基地使用の永久化と新基地建設の攻撃が強まっている。何よりも、イラクのファルージャで無差別虐殺の攻撃を展開している米海兵隊は沖縄基地から出撃した部隊である。キャンプ・シュワーブやキャンプ・ハンセンではアラブ型の模擬都市施設がつくられ、戦闘訓練が重ねられている。まさに沖縄基地はイラク侵略戦争に直結しているのだ。その中での名護新基地建設着工攻撃は、沖縄基地をイラク侵略戦争、さらには北朝鮮侵略戦争の出撃基地とし、沖縄人民に再び沖縄戦の惨禍を強いるものである。辺野古の「守る会」の闘いと連帯し、名護新基地建設着工攻撃を完全に粉砕しよう。5・22日朝首脳会談に日本―沖縄を貫く怒りをたたきつけよう。
 何よりも、小泉政権が、日朝首脳会談をもって有事立法成立―国会強行突破、7月参院選のりきりを策していることに対して、真っ向から有事立法阻止闘争をたたきつけよう。闘いは参院段階に入っている。そこで成立を阻止することはけっして不可能ではない。いや、6月16日に会期末が切られている与党の事情を見れば、闘いいかんで、年金法案ともども十分に阻止できる。小泉政権の一切の延命策を打ち砕き、有事立法粉砕、年金改悪案阻止、イラクからの自衛隊撤兵、小泉政権打倒の闘いを強めよう。
 6・4中央闘争に全国から総結集しよう。陸・海・空・港湾労組20団体の有事立法に対する危機感と怒りを全労働者階級のものとし、有事立法粉砕6月連続闘争の大爆発をかちとろう。この闘いの中で動労千葉を先頭とする階級的労働運動の再生へさらに大きく前進しよう。