7・11参議院選挙の結果について    

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7・11参議院選挙の結果について

                                7月13日 革命的共産主義者同盟

          (一)

 7月11日に投開票が行われた参議院議員選挙において、小泉・自民党は大敗北した。日本帝国主義は、自民党と公明党の連立によってかろうじて立っているにすぎないという危機的な階級支配の現実を露呈することになった。これは一言で言って、小泉改革に対する労働者階級人民の巨大な怒りが生みだした結果である。多国籍軍参加によるイラク侵略戦争の拡大、年金改悪による労働者人民の生活破壊という「外に向かっての侵略戦争と内に向かっての階級戦争」の攻撃に対する労働者人民の明確な拒否がたたきつけられたのである。これは、イラク侵略戦争のもとで階級情勢の大激動を生み出す世界史的な事件である。今や、日帝・小泉政権打倒の巨大な展望が切り開かれた。戦時下の階級決戦において労働者階級は勝利できることが圧倒的にはっきりしたのである。われわれは、小泉打倒−日帝打倒に向かってさらに全力で闘うことを訴える。と同時に、民主党の道は自民党以上に戦争と資本攻勢を強めることにしかならないことを明確にさせ、危機を深める日本帝国主義の打倒へ、無力化し没落を深める社民党・日本共産党をのりこえる闘う労働者党をともに建設することを訴える。

          (二)

 第一に、今回の選挙結果が示していることは何か。自民党の獲得議席は、選挙区で34、比例区で15、計49であり、 連立与党の公明党の計11を加えても60にとどまり、第一党の座を民主党に明け渡してしまった。自公を併せても改選議席の過半数(61)に届かなかった。青木参院自民党幹事長は選挙前に自民党が51議席を割ったら、小泉政権は死に体になると言っていたが、まさにその勝敗ラインを割ってしまったのである。小泉政権は、非改選議席を足せば自公で過半数になるので、政権に影響はないと言っているが、敗北を塗り隠すことはできない。
 議席数で、自民49、民主50とは、一見大差ないように見えるが、投票総数(得票率)を見ればそうではない。比例区では、自民党1679万7687票(30・0%)に対し民主党2113万7458票(37・8%)、選挙区では、自民党1968万7954票(35・1%)、民主党は2193万1984票(39・1%)である。しかも選挙区の自民党票は公明党の自民党支援票を含むのである。まさに自民党の惨敗である。
 とりわけ、自民党の金城湯池と言われた一人区で、27議席中13議席を落としたことは、自民党支配の岩盤崩壊のような重大な意味を持っている。当選したところも、公明党の支持と協力があって初めて当選したのであり、今や、自民党の選挙は公明党の支えがなくてはまったく成り立たないところにきているのである。しかし同時に、公明党自身も壁にぶつかっている。公明党が選挙協力して自民党への投票を組織した8選挙区の内、3選挙区でのみ自民党を勝たせることができたのである。政権政党にすがりつくことでのみ組織の延命を図ってきた公明党にも未来はない。自民党の危機を救う公明党、かつて沖縄で大田知事を倒すために自民党と手を組んだ公明党を弾劾するとともに、公明党の掲げる「平和」や「百年安心の年金」を先頭で破壊しているのが公明党であることを労働者階級はすべて知っている。公明党の危機が自民党危機の加速と一体となって進行することは不可避である。
また、沖縄選挙区で全国で唯一の革新統一候補となった糸数慶子氏が31万6148票を獲得し、自公候補に10万票近い差を付けて圧勝したことは、今回の選挙における自民党敗北の特筆すべき指標である。名護新基地建設に反対し、平和を求める沖縄人民の小泉政権に対する反対の意思表示であり、日本の全労働者人民の闘いの先頭に立つ勝利である。

          (三)

 第二に、今回の選挙は何をめぐる闘いであったのか。
 今回の選挙における争点は、明白に小泉のイラク多国籍軍参加を支持するか否か、また、小泉の年金改悪法強行を支持するか否かにあった。そして、圧倒的多数の人民が小泉の政策に拒否の回答をたたきつけたのである。それは、大衆の生活に手を突っ込んできた小泉に対する怒りの反撃であり、米帝ブッシュとともにどこまでもイラク人民をじゅうりんすることに対する反対の意思表示である。したがって、それは議会選挙の枠内でのことではあれ、労働者人民が日帝・小泉打倒に一歩踏み出したことを意味しているのである。
 また、小泉は「景気回復」を実績であるかのように宣伝したが、日本経済の実態は、リストラによって大企業の一部が業績を上げているだけで、労働者の実感は、生活苦と労働強化であり、宣伝とかけ離れたものだった。労働者人民は、小泉=奥田路線による資本攻勢、政治=経済攻勢に対する怒りを爆発させたのである。
 さらに、小泉は選挙前の思惑に反して憲法改悪を真っ向から争点として押し出すことができなかった。これも今日の自公連立体制の脆弱性を示すものである。日帝が改憲への攻撃をさらに進めるためには、民主党をさらに分解させてより反動的な体制をつくらざるを得ず、改憲阻止闘争はこれからいよいよ全人民的な大爆発をかちとる大きな展望があるのである。
 小泉は、参院選を前にして年金改悪法案の強行採決を行い、また、国会閉会後に多国籍軍参加の閣議決定を行うという、これまでの自民党政権なら選挙前には避けることをあえて行い、それを争点に据えて選挙に臨んだ。労働者人民をなめきったこの二つの暴挙に対して、急速に小泉への怒りが拡大し、自民党の地滑り的な敗北となったのである。参院選最終局面での拉致被害者家族のジャカルタでの再会(北朝鮮スターリン主義・金正日の小泉との取引政治でもある)を演出したにもかかわらず、まったく自民党の敗勢を巻き返すことはできなかった。
 それでは、民主党の躍進と言われていることは、労働者にとって何を意味するのか。さしあたり労働者階級が民主党への投票を集中したとしても、それは労働者階級の民主党への支持や信頼を意味するものではない。きわめて反人民的な選挙制度のもとで、野党第一党に票が集中したということである。労働者階級にとってはとにかく自民党・小泉に一矢を報いたい気持ちが優先したのである。
 民主党自身が極右やファシスト的勢力から旧社会党までを含む雑多な寄り集まりであり、民主党政権になったら直ちに分解するものでしかない。民主党が第一党派になったことは、日帝支配階級が政治支配をこれまでどおり続けられなくなった行き詰まりを示すものである。民主党は、「2大政党制の時代」「政権政党への第一歩」を宣伝しているが、その掲げているものは何か。国連決議をもって多国籍軍参加を提唱し、「創憲」の名で憲法改悪をうたい、有事法制の成立に賛成し、緊急事態法成立を叫び、年金改悪で自公政権と3党合意をかわし協力し、年金一元化は消費税増税で財源を確保すると公言する徹底的な反労働者的な政党である。第2自民党であり、労働者の敵であることを明確にしなければならない。連合は比例区で8人、選挙区で6人をそれぞれ組織内候補として当選させた。第2自民党、戦争と資本攻勢に道を開く民主党を支える連合指導部を打倒しなければならない。
 日帝ブルジョアジー、日本経団連は、今回の選挙結果に大打撃を受けている。日本経団連会長の奥田は選挙結果について即座に態度表明することができないありさまだった。しかし結局は奥田は、「小泉改革への影響はない」と強弁し、小泉=奥田路線のもとに、政治=経済攻勢を強めようとしているのだ。

          (四)

 第三に、今回の事態は、イラク情勢を起点において考えれば、国際階級闘争全体を揺るがす世界史的な事件である。米帝ブッシュは、日本の選挙結果に打撃を受け、大統領再選戦略を練り直さなければならないところに追いつめられている。さる3月のスペインの総選挙での政権転覆とイラクからの撤兵、6月のイギリスの地方選挙での労働党の大敗北と第3党化に続く日本の自民党の敗北は、米帝の最も強力な同盟国における政変の現実性を突きつけるものであり、帝国主義世界支配の危機に直結する事態である。
 この事態は、本質的に、昨年以来の全世界的なイラク反戦闘争の高揚、日韓米労働者の国際連帯闘争の前進、そして今年の春の動労千葉の春闘ストライキを軸とする労働者人民の闘い、そして3・20から6月の反戦闘争の貫徹いたる戦闘的な決起が基底において支えている情勢である。つまり、階級闘争の大流動が起こっており、これが参院選情勢をもつき動かしているということである。階級情勢の分岐・流動・再編・高揚がつくり出されており、労働者階級が大量に動き始めている現れとして、今回の選挙結果があるのである。

          (五)

 一方、社民党は、一層無力化しつつ、かろうじて改憲に対する危機感に訴えて存在を示そうとしている。しかし、改憲攻撃に「護憲」を対置しているだけで「帝国主義戦争を内乱へ」の立場がまったくないため、日帝と対決することはできず、小泉の改憲攻撃に打ち勝つことはできない。
 また、日本共産党はどうか。6年前の選挙で15議席をとり、民主党との野党暫定政権構想を打ち出した日本共産党は、00年の総選挙以来の国政選挙で敗北を重ね、今回の参院選でも退潮に歯止めがかからなかった。比例区で4議席、選挙区では45年ぶりのゼロ議席となった。「労働者階級の闘い」を完全抹殺し、自衛隊の存在を容認した新綱領の決定以来最初の国政選挙でのこの結果は、広範な党員と労働者の離反、選挙運動そのものを不活発化を生み出したことによるものだ。これは労働運動、統一戦線、大衆的政治闘争に敵対してきた必然的帰結である。連戦連敗の不破・志位指導部は、日本共産党の崩壊の道を掃き清めている。
 今や、無力化し反動化と労働者階級の闘いの圧殺を強める社民党、日本共産党をのりこえる、真の闘う労働者階級の党の登場が求められている。

          (六)

 小泉打倒に向かっての大激動、大流動が始まった。何よりも、小泉=奥田路線との大対決の決戦が今次参院選をもって新たに開始されたのだ。戦時下において労働者階級が日帝支配階級と激突し打倒していく、まさに「闘うアジア人民、イラク・ムスリム人民と連帯して、日帝の侵略戦争を内乱に転化しよう」というスローガンに表される内乱の現実性が明々と示されているのだ。闘うイラク人民と連帯し、米日帝の朝鮮侵略戦争の切迫のもとで闘う民主労総を始め韓国の労働者階級と連帯し、帝国主義を打倒する巨大な展望が開かれている。
 一切は革共同の基本路線(労働運動、労働組合運動への全面的突入)、新指導路線の貫徹にかかっている。国鉄、教労、自治労、全逓の4大産別決戦勝利、マル青労同1000人建設へ突き進もう。
 動労千葉労働運動との共闘の拡大、「日の丸・君が代」処分攻撃と対決する教労決戦、改憲と教育基本法改悪阻止、郵政民営化阻止、イラク多国籍軍参加阻止・即時撤兵、有事法制発動阻止の闘いを強めよう。連合、全労連指導部の裏切りを打ち破り、労働組合の闘いを強めよう。