民営化覆す熱意みなぎる 10万筆署名達成へダッシュ

週刊『前進』06頁(2621号02面01)(2014/02/24)


 民営化覆す熱意みなぎる
 10万筆署名達成へダッシュ

(写真 解雇撤回闘争当該の高石さん【左)、中村さん【右)が並んで登壇した【2月16日 東京都内】)

 東京で開かれた2・16労働者集会は、国鉄1047名解雇撤回の最高裁決戦と、外注化粉砕・非正規職撤廃の新たな闘争に向けての態勢を打ち固めた。集会には北海道の元国労闘争団員のメッセージも寄せられた。集会の主な発言の要旨を紹介します。(編集局)

 動労千葉の報告

 外注化粉砕する新しい闘いに! 動労千葉委員長 田中康宏さん

 去年9月25日の東京高裁判決は今の時代に一石を投じました。27年間、労働者を襲ったことをひっくり返す手がかりをつかみました。1047名闘争が政治解決の道を歩んだ時、闘いをやめていいのかと悩んで決断しました。この問題は国鉄労働者だけでなく、すべての労働者の問題です。そして私たちの職場の問題です。鉄道のあらゆる業務をばらばらにして数百の子会社、孫会社に外注化する――これは分割・民営化に端を発する攻撃です。だからここで分割・民営化反対闘争をやめることはできないと判断しました。
 だけど闘争を続ける以上、社会に影響力を持つ闘争でないと意味がない。私たちの力を大きくし、労働運動の現状を絶対変えたいと思います。
 安倍のやっていることは戦争と非正規職化、憲法改悪と解雇自由です。国鉄改革法で、採用の自由の名のもとに解雇自由の扉が開いた。当時、中曽根は「行政改革でお座敷をきれいにして、立派な憲法を安置する」と言いました。今、安倍政権のもとで戦争に向かう攻撃が進んでいます。だからすべてが分割・民営化の原点に返るのです。
 労働運動は後退を続けてきたが、労働運動が社会から消えることはありえない。私たちが闘いを継続すれば、必ず労働運動を復権させ、歴史を動かすことはできます。
 職場では今、新しい闘いが始まっています。一昨年、外注化が強行されました。しかし外注化は矛盾だらけです。僕らの仲間たちも下請け会社に強制出向になりましたが、ここから新しい闘いを始める決意をしました。JRだけでなく社会全体が外注化と偽装請負で成り立っています。外注化を必ず粉砕する。その新たな挑戦に入りたいと思います。
 分割・民営化の矛盾は噴き出しています。ついに政府がJR北海道を刑事告訴しました。支配階級内の矛盾の噴出です。20年前から検査数値を改ざんしていたと言われています。民営化は安全を崩壊させ、雇用を破壊し、人間が生きるすべを全部破壊しました。
 今こそ労働運動が力を取り戻す時です。戦争を止め労働者の現実を変えるため、闘う労働組合が必要です。それは私たちの手にかかっています。

 主催者あいさつ

 不当解雇のつけ倍にして返そう 国鉄闘争全国運動呼びかけ人 花輪不二男さん

 皆さんは国鉄闘争を終わらせようとする国、国鉄、JRの意図をけっして認めず、勝利するために集まっています。不当解雇から27年、つけは倍にして返そう。新自由主義によって苦しめられている非正規の労働者、万国の労働者と団結し、労働者階級の解放をかちとることを誓い合おう。勝利の展望を切り開くため、開会を宣言します。

連帯あいさつ

 私たちの主張は労働者に届いた

 動労千葉顧問弁護団 鈴木達夫さん

 都知事選ときびすを接して二つの勝利をかちとりました。一つは、武内更一さんが日弁連会長選に挑み、4200票を獲得したことです。日弁連の新執行部は宇都宮勢力と同一です。司法制度改革を推進してきた彼らは愕然(がくぜん)としています。さらに、法大暴処法裁判控訴審で再び5名全員の無罪をかちとりました。この時代における権力との死闘を、仲間を見捨てない団結を軸に押しわたることができるのです。
 都知事選は現代革命への挑戦でした。敵が本気で戦争・改憲に踏み出す一方で、労働者の本格的反撃が始まっています。21世紀、労働運動を基礎に労働者自身の手で勝利すると真っ向から訴え、それが労働者階級の胸に確実に届きました。寒い中、大雪の中での演説を立ち止まって必ず聞いてくれるのは青年労働者でした。「安倍を倒そう。貧困、非正規、戦争を直視しよう。だからオリンピック反対」という私たちの主張は、労働者の胸にストンと落ちました。
 60年闘争、70年闘争を闘った人が細川やスターリニストを支持するという総転向と、それがもたらす絶望にわれわれはいささかも同調しない。
 今回の選挙は一歩に過ぎません。都知事選は権力闘争、パリ・コミューンを目指す闘いです。それは、悪政を断ち切ると労働者が決断すれば簡単なことです。それが今回の選挙で見えました。
 動労総連合の強制出向阻止の裁判も佳境に入りました。弁護団は絶対に勝とうと考えています。

 特別報告

 改革法の違憲性暴き原職復帰へ 動労千葉顧問弁護団長 葉山岳夫さん

 白石判決に続き難波判決も、動労千葉9人をJR採用候補者名簿から削除したことは不当労働行為と認定しました。これは国鉄闘争全国運動がかちとった勝利です。
 しかし難波判決は「動労千葉は公労法違反のストライキをして処分された。JRが採用したかどうかは分からない」として、慰謝料だけ払えと命じました。不当労働行為なら原状回復は当然です。JRに復帰させるのが労働法のイロハです。
 弁護団は1月27日、上告理由書と上告受理申立理由書を最高裁に提出しました。上告理由は、国鉄改革関連8法、とりわけ国鉄改革法23条は違憲のかたまりということです。国鉄改革法23条は、「JRによる新規採用」という虚構をつくりました。これを考案したのは最高裁調査官から国鉄法務課に出向した江見弘武裁判官です。彼が「JRと国鉄はまったく別。採用は新規採用」と葛西に提案し、葛西がそれを推進したのです。
 改革法23条は悪法中の悪法です。国鉄は不当労働行為のやりたい放題になりました。悪名高い職員管理調書に労働処分を明記させ、分割・民営化反対の動労千葉、国労の評価は低くし、分割・民営化賛成の鉄労、動労の評価は高くしました。労働基準法は労働処分や組合運動について使用者間での通信を刑事罰で禁止していますが、JR採用候補者名簿の作成に際しては違法がまかり通り、新会社の労働条件についても労組との団交は一切否定されました。
 JR設立委員の斎藤英四郎の関与で不採用基準が策定された事実が暴かれています。斎藤英四郎のした不当労働行為は、もろにJRに及びます。
 解雇撤回・JR復帰を絶対にかちとりたい。そのためには階級的労働運動の展開が唯一の力です。署名の拡大を弁護団として心から訴えます。

 「民営化反対」の世論生んだスト 国鉄闘争全国運動呼びかけ人 金元重さん

 韓国の全国鉄道労働組合は、スソ発KTX設立を鉄道民営化の前段階ととらえ、その撤回を求め12月9日から12月30日までの長期ストを打ち抜きました。このストは明確に民営化反対闘争として闘われ、多くの国民の支持・呼応を得ました。
 6月22日に韓国政府・国土交通部がスソ発KTX民営化を含む鉄道産業発展案を示し、労働組合は鉄道民営化を推進するものだと反対しました。しかし政府は強行の構えを崩しませんでした。鉄道労組は11月22日に投票率91%、賛成80%のスト投票で争議行為を決議し、12月9日にストに突入しました。
 韓国鉄道公社は、鉄道労組委員長を始め194人の鉄道労組幹部を刑事告発し、スト参加者7608人を職位解除しました。職位解除とは、職場から外してあとで懲戒審議に回すという懲戒に準ずる扱いです。
 政府は12月10日に子会社法人を発足させました。鉄道労組執行部10人に逮捕令状が出され、12月22日に警察は鉄道労組の幹部9人を逮捕するとして、5500人の警察を民主労総本部に突入させました。執行部は退避していましたが、代わりに136人が連行されました。民主労総は直ちに非常中央委員会を開き、12月28日に全面ストに突入すると宣言しました。
 12月24日、韓国労総はストに参加せよと組合員に指示しました。
 12月28日にソウル市庁前広場で行われた「民営化阻止・労働弾圧粉砕・鉄道ストライキ勝利・第1次全面ストライキ決起大会」には、民主労総と韓国労総の旗のもとに組合員と市民10万人が結集しました。
 ストライキは12月30日、国会に国土交通委員会の傘下に鉄道発展小委員会を構成し、そこに鉄道労組委員長も参加するという形で収束しました。スト収束のあり方については、労働界内部でも批判の声が上がっているのは事実です。しかし、最長期の闘争記録を立てた今回のストの成果をどう見るべきか。
 「鉄道を始めとする社会の公共財を民営化するなという国民的合意がなされた。政府による一方的な政策樹立と執行という慣行を打破した」と鉄道労組は言っています。外部からは、「ストを通して民営化反対の国民世論が組織されたのは大きな成果」「単一労組のストで民営化全般に対する世論が形成されたのは驚くべき事件だった」と評価されています。
 ストライキは民営化反対の世論を生みました。日本では分割・民営化に警鐘を鳴らしても、なかなか浸透しなかったが、韓国でそれができました。映画の新人賞を獲得した人が、授賞式で「公共の財産を守るために努力するお父さんたちがいる。支持し応援する。頑張って下さい」と発言しました。NHKで新人賞をとった人が「動労千葉のストを支持する」と言うようなことが起きたということです。こういう状況を日本でもつくりたいと思います。
第3節 民営化の論理を打ち破る団結を 自治体委託職場の 民間労働者
 自治体の民営化の代表的なやり方は業務委託と指定管理者制度です。競争入札によって受託業者を決めます。だから前年より安く、他企業より安く、となります。それは労働者の賃金、労働条件に直結し、労働者は非正規化を強いられます。
 これは当然、矛盾があります。本来、利益を見込めない自治体業務を利潤追求の民間企業に任せれば、現場労働者と住民に矛盾がしわ寄せされます。賃金、企業の管理費、利益、さらに消費税のトータルが、直接雇用の費用より安くなり、労働者の賃金、労働条件はそれだけ低められます。
 清掃工場で委託労働者の労災死亡事故が起きています。外注化は人の命まで奪っていくのです。
 これに対する労働者の課題は、民営化の論理を突破し、労働者の論理を自らのものにすることです。「民間でできることは民間で」「民間活力の導入」などの論理を断ち切ることが必要です。
 そのためにも、委託される側が外注化反対の闘いに取り組んでほしいと考えます。委託された側も外注化反対の旗印を鮮明にし、外注化粉砕の闘いとして直営化を求める。委託の過程で変えられた労働条件の回復を目標に闘う。委託される側と委託された側の労働者が手を結び団結して、外注化粉砕・新自由主義粉砕へ闘いましょう。

 争議団から

 解雇撤回へ最高裁に向け頑張る 動労千葉争議団 中村仁さん

 私がここに立てているのは、動労千葉の組合員がJRの中で闘い、全国の闘う仲間が支えてくれているからです。解雇撤回まで最高裁に向けて頑張るし、それ以降もずっと闘っていきますので、よろしくお願いします。
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【要項】
 14春闘勝利! 貨物賃下げ攻撃粉砕―JR
 体制打倒! 韓国民主労総ゼネスト連帯!
 JR貨物本社抗議行動
2月25日(火)午後1時30分
 JR新宿駅新南口集合
 集会 午後3時 新宿文化センター
 主催/動労千葉・動労総連合 

 国労組合員資格確認訴訟
 2月26日(水)午後1時30分
 東京地裁527号法廷

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