集団的自衛権容認許すな 労働組合の決起で安倍打倒を

週刊『前進』08頁(2622号05面01)(2014/03/03)


集団的自衛権容認許すな
労働組合の決起で安倍打倒を

 改憲へのクーデター的手法

 この間、日帝・安倍政権は国会などで突出した強権的ふるまいを繰り返し、とりわけ集団的自衛権の行使容認を突破口とする改憲・戦争国家化に向けてクーデター的策動を強めている。
 2月12日、安倍は衆院予算委員会で集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更をめぐり「最高責任者は私だ。政府の答弁に私が責任をもって、その上で選挙で審判を受ける」と発言した。これまでの「現行憲法下で集団的自衛権の行使は認められず、政府による憲法解釈の意図的・便宜的変更は許されない」という政府見解すら完全に逸脱し、首相個人の独断で憲法解釈を変更できると言い放ったのだ。これに対し、与野党からも批判や動揺が起こり、翌13日の自民党総務会では「三権分立が根底から崩れる」「答弁は慎重にすべき」などと苦言が出た。
 さらに安倍は、20日の衆院予算委で「閣議決定で解釈を変更し、(その後)国会で議論していただく」と述べ、国会討論抜きで解釈改憲に踏み出す考えを表明した。これには公明党も「到底賛成できない」と反発した。
 今や安倍は「立憲主義」「三権分立」といったブルジョア民主主義の建前さえ公然とかなぐり捨て、強権的クーデター的手法をもってなし崩し的に改憲・戦争へ突き進むことを宣言したのだ。
 これを受けて、安倍の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の座長代理・北岡伸一が21日に記者会見を行い、集団的自衛権行使の条件として「日本と密接な関係にある国(同盟国に限らず!)が攻撃を受けた場合」など5条件を示した(表参照)。いずれも、政府の拡大解釈によって無制限の軍事力行使を可能とするものだ。
 同じく20日の衆院予算委で、安倍は「自衛隊の武器使用基準の緩和」に言及した。「在外邦人救出のための自衛隊の武器使用」を政府で検討し、「内乱状態となった国で邦人が孤立した場合」に陸戦部隊を派遣し「現地政府に代わって自衛隊が『警察権』を行使する」と想定して、秋の臨時国会に法案提出を目指すという。かつて日帝は「在留邦人の保護」を口実にアジア諸国に軍隊を進駐させ、現地を軍事的に制圧して日帝資本の侵略に道を開き、そこからなし崩し的に全面戦争へ突入していった。今また安倍はむき出しの帝国主義的侵略と戦争の道に踏み出そうとしているのだ。
 また安倍政権は、経団連から直接提言を受けて、武器輸出三原則に代わる新たな原則案をまとめ、紛争当事国への武器提供も含む全面的な輸出容認を打ち出した。大恐慌下で日帝ブルジョアジーは、文字通りの戦争でもうける「死の商人」として延命の道を見いだそうというのだ。

 日米争闘戦の本格的な激化

 こうした安倍の戦争衝動の背景にあるのは、今日の世界大恐慌と脱落日帝の危機である。すなわち「大恐慌下の収縮する内外市場をめぐる帝国主義間・大国間の争奪戦・分割戦・争闘戦は、市場を丸ごと制圧して勢力圏化していくような動きを強めており、それは必ず現地の労働者人民の革命的反乱を生み出す。これに対し帝国主義は、......革命的反乱を鎮圧する反革命的戦争体制の強化を不可避とする」(本紙新年号1・1アピール)。だが「日帝は、改憲攻撃の破産に次ぐ破産によって、この時代に即応した、独自の侵略戦争・帝国主義戦争を遂行できる体制や内乱鎮圧型の体制をいまだ確立できていない。この帝国主義としての歴史的『無準備性』が日帝をいまや万力のように締めつけている」(『現代革命への挑戦』第4章)のである。
 ここで重要なのは、この間の安倍やその周辺の言動において、米帝に対する不満や対抗性が際立っていることだ。安倍らは本質的に反米右翼であり、米帝との関係で日帝の敗戦帝国主義としての戦後的制約を制度的にもイデオロギー的にも突破し、米帝基軸の戦後世界秩序に公然と挑戦しようとする絶望的な衝動を噴出させているのだ。
 これに対し、米帝オバマ政権は危機感といらだちをあらわにし、アメリカの大手メディアも「安倍首相は正式な手続きではなく、自分の再解釈により憲法の基礎を変えることに危険なほど近づいている」(ニューヨーク・タイムズ)「アベノミクスの裏には軍事力拡大など国家主義の目的がある」(ウォールストリート・ジャーナル)と語気を強めて非難した。
 25日に閉幕したTPP(環太平洋経済連携協定)閣僚会合の場でも日米が激しく対立し、またしても合意は見送られた。TPPが暗礁に乗り上げたことで、米日帝は今後さらに危機を深め、アジア市場の制圧と勢力圏化へ激しい対立をはらみながら暴力的に突き進む以外にない。
 こうした日帝・安倍の突出と日米争闘戦の激化こそ、今日の東アジアに軍事的緊張をもたらしている最大の要因なのだ。

 国鉄闘争を軸に拠点建設へ

 安倍の突出は、一方で日帝の危機と国際的孤立を一層深め、他方で日本と世界の労働者人民の怒りと闘いを必ず爆発させる。こうした中で、改憲・戦争との対決は階級的労働運動の正面課題であり、国際連帯の発展をかけた闘いである。
 とりわけ集団的自衛権の行使容認をめぐる攻防は、14年前半の一大階級決戦であり、2010年代中期決戦の帰趨(きすう)を決する闘いである。この攻防を「現代革命への挑戦」として闘おう。改憲反対労組声明を全職場に持ち込み、国鉄闘争を軸に闘う労組拠点建設をかちとろう。労働組合の決起で安倍を打倒しよう。
(水樹 豊)
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 今国会での安倍首相の答弁

2月3日 「憲法は国家権力を縛るもの
  だという考え方はあるが、それは
  かつて王権が絶対権力を持ってい
  た時代の考え方だ」
5日 「(集団的自衛権の行使容認に)
  憲法改正が必要だとの指摘は必ず
  しも当たらない。政府が新しい解
  釈を明らかにすることで可能だ」
12日 「最高責任者は私だ。政府の答弁
  に私が責任を持って、その上で選
  挙で審判を受ける」
20日 「閣議決定で初めて(解釈改憲が)
  確定する。(その後)国会で議論頂
  くことになる」

第2節 集団的自衛権行使の条件(安保法制懇)
・密接な関係にある国が攻撃された場合・放置すれば日本の安全に大きな影響が
 出る場合
・攻撃された国から行使を求める明らか
 な要請があった場合
・首相が総合的に判断し、国会の承認を
 受けること
・攻撃を受けた国とは別の国の領土・領
 海を通る場合、その国の許可を得る

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