生きさせろ!の闘いを ②年金 公的年金壊し自己責任に

週刊『前進』06頁(2624号04面05)(2014/03/17)


生きさせろ!の闘いを ②年金
 公的年金壊し自己責任に

物価上昇で減額

 刑務所で生活せざるをえなくなる65歳以上の女性がこの20年間で10倍以上になりました。8割が窃盗で、多くは万引きです。一人暮らしが増え、年金が足りず、生活苦ゆえにです。年齢・性別を問わず、生活保護も受けられないで路上生活、餓死や自殺に追い込まれる人が急増しています。
 そして、それは、4月1日の消費税増税で一気に広がるでしょう。しかも、国民年金の受給額は昨年10月分から1%減となり、4月から0・7%、10月から1%減額されるのです。国民年金は40年間保険料を払っても、4月分からは月6万4400円しか受け取れなくなります。
 物価が上がれば年金額も上がるのではと思いきや、逆です。安倍政権は、自動的に支給額を抑えて減らす制度(「マクロスライド制」)を発動しようと狙っています。満額受給できない人、無年金者もいます。どう生きていけばいいのか!

インフラに投資

 減り続ける年金、増税と物価上昇。安倍政権は将来への不安をかきたて、預貯金や保険など個人の金融資産1600兆円(日銀発表)を投資に振り向けさせようとしています。これを「金融版の成長戦略」の最大の課題とし、昨年1月、少額投資非課税制度を開始させました(年100万円までは投資の配当や売却益を5年間、非課税)。
 個人資産だけではありません。公的年金約130兆円を運用している年金積立金管理運用独立行政法人に、これまで禁じていたリスクの高い「アジアのインフラ事業に投資しろ」とせっついて、のませたのが安倍政権です。投資先が破綻したら年金は崩壊してしまいます。
 さらに、老後の足しにと厚生年金に上乗せする企業年金についてです。事業主の責任で運用し受け取る額を保証していた「確定給付年金」をやめて、労働者の自己責任で運用させる「確定拠出年金」にする動きが加速しています。投資しても無になるかもしれないとんでもない年金です。
 4月からNTTグループの9万人が確定拠出に移行します。国内最大規模で、労働者全体への影響は計り知れません。労組が合意しなければ移行できませんでした。この裏切りは許されません。

搾取の廃止こそ

 1月時点で非正規労働者が全体の37・6%に達しました。国民年金の保険料は4月から月1万5250円、17年まで毎年上がります。減免制度があるとはいえ、払える額ではありません。納付率は5割台に落ち込み、年金への課税や差し押さえが強まり、60歳までの納付期間や65歳からの受給開始を引き上げようと画策されています。死ぬまで働けというのか!
 社会保険庁を解体して民営の年金機構が発足して4年。解雇撤回を求めた人事院闘争で分限免職が取り消され、職場に復帰する労働者も出ています。業務を委託した業者が破産し、従業員500人を機構が直雇いする事態も起きています。さらに、機構で働く非正規職員が3月末で大量に雇い止めされようとしています。断じて許せません。
 なぜ、こんなことが起きるのでしょうか。そもそも労働者は、自分が必要とする以上の価値(老後の生活の分も)を労働で生み出すことができる存在です。その剰余価値を搾取して成り立っている資本主義の矛盾が、年金制度とそれを支える労働者に集中しているのです。資本主義を打ち倒す以外に生きられません。
 「年金解体許すな! 民営化反対、非正規職撤廃!」を掲げ、14春闘を闘おう。(今井一実)

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年金解体攻撃
◇受給額削減、保険料値上
◇物価上昇でも自動的減額
◇納付期間、受給開始年齢 引き上げ
◇自己責任で運用

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