書評 機関誌「動労千葉No.34」を読んで 労働運動復権のための必読書 民営化粉砕の決戦に挑む動労千葉

週刊『前進』06頁(2626号02面04)(2014/03/31)


書評
 機関誌「動労千葉No.34」を読んで
 労働運動復権のための必読書
 民営化粉砕の決戦に挑む動労千葉


 動労千葉は、国鉄分割・民営化を粉砕し、外注化された職場を奪い返すために、組織拡大を何としても実現するという今春の決戦を闘い抜いている。この春の闘いに向けて1月26、27日に全支部活動者研修会が行われた。私も参加し、多くの教訓をつかむことができた。そこでの講演録と、組合員の感想が掲載されているのが、機関誌『動労千葉№34』だ。
壁突き破る力は団結の中にある
 前半は、動労千葉の田中康宏委員長による「民営化・外注化反対闘争に勝利し、闘う労働組合を甦(よみがえ)らせよう!」と題した講演だ。
 国鉄分割・民営化との闘いは、動労千葉を先頭に27年にわたって闘われてきた。そして現在、JR北海道問題や京浜東北線事故に表われているように、国鉄分割・民営化体制の崩壊というべき事態が起こっている。また、安倍政権は社会すべてを飲み込むような民営化・外注化、非正規職化の攻撃をしかけ、同時に改憲・戦争に突き進もうとしている。
 この中で、動労千葉の闘いは大きな地平を開いている。田中委員長はこの地平を確認するとともに、そこから新たな一歩を踏み出すために、あらためて動労千葉の原点に返ることを訴えている。
 「壁を突き破っていく力は、どれだけ強く団結しているかの一点にかかっている」「団結さえ崩さなければ必ず展望は生まれる」
 動労千葉がいかに闘い、この確信を組合員自身のものとしていったのか。安倍政権による政治反動が噴き出し、あらゆる職場で民営化・外注化の矛盾が職場を破壊する中、この闘いの教訓はこれまで以上に広く、深く伝わるものではないだろうか。

戦後労働運動と外注化阻止闘争

 後半は、日本近代史研究者であり国鉄闘争全国運動呼びかけ人でもある伊藤晃先生による「戦後労働運動史のなかで見る動労千葉外注化阻止闘争」と題した講演だ。
 民営化・外注化は、新自由主義の核心的な攻撃だ。その外注化攻撃がいかに進行し、どのような矛盾を抱えているのか。「新自由主義」とはどのような狙いをもったものなのか。そして、それに相対した日本の戦後労働運動から継承すべき「積極的な伝統」と、のりこえるべき「批判されるべき伝統」はいかなるものか――。
 伊藤先生の講義は、それらを明らかにする中から、われわれが直面している課題をつかみだしている。
 だからこそ、動労千葉が闘ってきた、そして現在も闘い続けている外注化阻止闘争の意義も鮮明に提起されている。
 〝労働者の現実と組合の原則の葛藤から逃げなかった〟〝一つひとつの問題に対応することによって、本来ならば大きな壁になっていくものを突き崩していくことができる〟〝労働者の怒りを労働組合が取り上げて闘うならば、たとえ少数派の労働組合であろうとも職場全体を合意させることができる〟
 そして結びの部分で次のように提起している。
 「動労千葉のように闘おうということは、そんなに簡単ではない。しかし、それは不可能ではない」
 困難な闘いの中でも団結を守り抜き、新たな展望をつかんで決戦に立とうとする本書の内容は、闘う労働運動の復権に向けて闘っているすべての仲間にとって、多くの教訓に満ちたものになるに違いない。
(伊勢清和)

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