事故居直るJR東 原因は民営化と外注化だ

週刊『前進』06頁(2626号03面02)(2014/03/31)


事故居直るJR東
 原因は民営化と外注化だ


 2月23日に起きたJR東日本の京浜東北線・川崎駅事故は、JR北海道だけでなくJR全社で安全崩壊が爆発的に噴出する状況にあることを突き出した。事故の根本にあるのは国鉄分割・民営化であり、そのもとで強行されてきた外注化だ。
 事故当時は川崎駅の改修工事が予定されていた。その工事の元請け事業者は鉄建建設と大林組の共同事業体で、工事管理者は鉄建建設、保安担当の工事管理者は大林組が出し、線路閉鎖責任者は鉄建興産、重機安全指揮者はシンテイ警備、軌陸車運転者は恵比寿機工が請け負っていた。業務はばらばらに外注化されていたのだ。
 事故は、直接には線路閉鎖の措置がとられる前に軌陸車と呼ばれる作業用車両を線路に入れたことによって起きた。線路閉鎖とは、工事区間の入り口の信号機を赤にするなどして、列車を進入させないようにすることだ。線路閉鎖責任者は安全確保上、きわめて重要な位置にある。また、重機安全指揮者は、線路閉鎖責任者と連絡をとり、安全を確認した上で作業用車両の運転者に指示を出す役割だ。しかし、作業にかかわる労働者がそれぞれ別会社所属という状態で、まともな安全確認などできるはずがない。一切の責任は外注化を強行したJRにある。
 また、線路閉鎖といっても、実際に信号を扱うのは(信号業務まで外注化されていない限りは)JR社員だ。線路閉鎖責任者は、信号担当者に信号操作を求めることになる。そのため、かつては線路閉鎖責任者はJR社員でなければできないことになっていた。列車運行を管理するJRが線路閉鎖に責任を持つのは当然のことだったのだ。

「NF21」以来の矛盾が噴出

 しかしJR東日本は98年以降、「パートナー会社」の社員にも線路閉鎖責任者の資格を拡大した。保線など設備部門の丸投げ外注化を進めるために、それは不可欠の施策だった。99年末には外注化を前提としたシニア雇用制度を設け、00年9月には「設備部門におけるメンテナンス体制の再構築」を提案して全面外注化に乗り出した。これらを集大成したものが、00年11月に策定されたJR東日本の経営計画「ニューフロンティア21」(NF21)だ。
 そこでは鉄道事業が「事業戦略」の3番目の位置に落とされ、鉄道業務の全面外注化と1万人の要員削減が打ち出された。それは、労働者の9割を非正規職にするとした95年の日経連「新時代の『日本的経営』」をJRにおいて貫徹しようとするものだった。
 国土交通省もまた、01年以降、鉄道の施設や車両などに関する規制を大幅に緩和して、JRの外注化を促した。
 こうして「第2の分割・民営化」と言うべき大合理化攻撃が始まった。以来、十数年にわたり動労千葉は外注化と対決し、阻んできた。千葉支社における検修部門の外注化は12年10月に強行されたが、動労千葉は外注先の労働者と団結し、JRと外注先の双方から外注化を覆す新たな闘いに挑んでいる。
 「NF21」以来、十数年にわたって蓄積されてきた矛盾が爆発的に噴出しようとしている今、動労千葉の闘いは決定的な意味を持っている。
 川崎駅事故直前の衝撃も冷めやらぬ2月4日、JR東日本は「グループ安全計画2018」なるものを策定した。同計画は「グループ会社、パートナー会社等、グループ全体で情報共有を図り、安全に対する価値観を共有しながら、安全部門の支援、設備改善のしくみづくり等の具体的な取組みを進めます」と言う。「グループ安全計画」という表題からも明らかなように、グループ会社への業務の徹底した外注化が、この計画の前提だ。
 JR東日本は「部内原因による事故は完封する」とうそぶくが、川崎駅事故の現実を突きつけられてなお、外注化強行を叫ぶこの計画が、さらなる安全破壊をもたらすことは明らかだ。
 職場から反合理化・運転保安闘争に立ってこそ、労働者の命を守ることができるのだ。

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