三里塚48年の勝利へ 3・23集会の発言から

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週刊『前進』06頁(2626号06面01)(2014/03/31)


三里塚48年の勝利へ
3・23集会の発言から

(写真 動労千葉・動労水戸や全学連を先頭に全国から労働者・農民・学生が参加した【3月23日 東京・芝公園】)


 「市東さんの農地を絶対に守ろう」。東京高裁での控訴審開始を前に東京・芝公園23号地で開催された3・23三里塚全国総決起集会における発言の要旨を紹介します。(編集局)

■主催者あいさつ

戦争反対、日本の未来のため 反対同盟事務局長 北原鉱治さん

 三里塚闘争は48年間にわたって闘い続けております。なぜ成田国際空港は48年たっても完成しないのでしょうか。それは日本の政治が住民のものではないからです。48年間の中で多くの犠牲を出しました。5千人近くが逮捕されております。将来営農を続けていけるのかという不安の中で、自殺をした者たちが二十余人もいます。
 なぜか。それは裁判そのものが国民のものではないからです。今の国際情勢を見てもわかるように、地球上から戦争の消えた日はありません。ここに集まった労働者と農民が、いろいろと試行錯誤する中で政治をやるようになれば、このような事態は起きません。代償を求めることなく、農地を守って農民として生きる、労働者として生きる、これが三里塚の48年でした。
 きょうは初めて東京でこのような集会を開くことができました。26日には東京高裁でいよいよ農地裁判の控訴審が始まります。何が正義であるか、これで日本の未来があるのか、はっきりと法廷で証言していきたい。戦争反対、核反対、そして農民の将来のために、全国230万の農民のために、3・26高裁における裁判の傍聴に参加していただきたいと心からお願い申し上げます。

■控訴審闘争への決意

農地奪う国策と闘って勝つ 反対同盟 天神峰 市東孝雄さん

 決意も新たに控訴審にかちぬきます。一審・千葉地裁の判決はまったく認められないものでした。農地買収に関しては〝特別に知事の許可はいらないから秘密裏に買収しても構わない〟。私たちが大木よねさんの例を主張したことに対しては〝土地収用法が使えないから、農地法で取って当然〟と開き直りました。空港会社が主張していないことまで裁判所が書き加えた判決でした。
 私はこういう国策裁判と7年間闘ってきました。原発訴訟、基地裁判、みな頑張っている。それが民衆の闘いです。
 政府は今、企業の農業参入に道を開こうとしている。ましてTPPとなれば農家はひとたまりもありません。畑を企業が買いあさり、今度は農地法改悪がどんどん起きてくる。私の問題は全国の農家の問題であり、ますます不安定雇用と低賃金にしばられる労働者の問題でもあります。故萩原進さんの言葉のとおり、あらゆる運動が垣根を越えて連帯しましょう。

■弁護団の決意

裁判は安倍政権打倒の闘い 反対同盟顧問弁護団 葉山岳夫さん

 市東さんの農地死守控訴審裁判が3月26日に始まります。弁護団は不当極まる反動多見谷判決を粉砕するため、現地に出向き、合宿もして、3月3日、187㌻の控訴理由書を提出しました。弁護団は法廷の内外で全力をあげて闘いぬきます。
 しかし裁判闘争の勝利には、裁判闘争を三里塚現地闘争の一環として闘う、全国的な闘いが絶対的に必要です。
 第1回裁判で市東さんの意見陳述は認めさせましたが、全文187㌻の控訴理由書については2回の期日が必要にもかかわらず、〝30分あれば十分だ〟と決めつけてきました。猛烈に反対し、全体で90分を認めさせた状態で公判に突入します。
 この裁判で、農地を収奪することがいかに犯罪的行為なのかをわからせる必要があります。農地を奪うことは市東さんの命を奪うことだということを、裁判所との厳しい対決の中でわからせるほかありません。
 裁判闘争は、市東さんの農地を断固守りぬくとともに、安倍政権を打倒する闘いの大きな結集軸です。傍聴闘争、ビラまき闘争、署名運動は大きな力です。カンパ活動も大きな力です。市東さんの農地死守、裁判闘争勝利に向かって、弁護団は徹底的に闘う決意を表明します。

■連帯のあいさつ

労農連帯のきずなにかけて 動労千葉委員長 田中康宏さん

 反対同盟が東京まで国家権力を撃つために出てきた固い決意に心から敬意を表します。きょうを48年間の闘いに勝利するスタートラインにする。動労千葉もそういう新しい決意で臨みたい。
 安倍政権はマスコミ、内閣法制局、教育、すべてを国家主義のファシストで支配しようとしている。日中・日韓関係を衝突させてやまない排外主義の噴出。この背後に、どうしようもない支配の危機を感じます。
 これに対抗する闘いの先頭を担っているのが三里塚反対同盟の48年間の闘争です。改憲と戦争、非正規に突き落とされ生きることもできない現実、農民も殺していこうとする現実への怒りが渦巻いています。福島の怒りはすべての人びとの価値観を揺り動かして叫びを上げています。こうした声を一つに団結させられれば時代は動きます。
 国鉄民営化がもたらした北海道の現実、京浜東北線の川崎の事故。国鉄だけではない。この20〜30年の新自由主義が全部崩れ落ち始めている。
 求められているのはこれを撃つ力です。労働運動が力を取り戻し社会の主人公として登場しなければならない。だから私たちは国鉄分割・民営化にこだわり続け、最高裁に攻め上ります。労農連帯のきずなにかけて反対同盟とともに進みます。

■闘いの報告

命守る闘いを三里塚と共に 福島市 椎名千恵子さん

 3・11反原発福島行動に市東さんを始め三里塚から、全国から多くのみなさんが集まってくださったことに感謝申し上げます。絶対譲れない闘いを50年近く闘ってきた三里塚のように闘う覚悟を福島で新たにする日でした。頼もしい力でした。
 10歳の子どもたちにがんと通告し、その子どもは「なぜ私だけががんなのですか」という悲痛な声を上げなければならない福島の現実。しかし、「原発とは関係ない」と言い続ける。まさに国家の暴力です。もっと覚悟を決めて闘っていこうとあらためて思います。
 ドイツのゴアレーベン反対同盟のケアスティン・ルーデックさんが三里塚に来て、「まさに日本のゴアレーベンだ」と驚いていました。鉄条網と鉄板、そして市東さんの家が空港のど真ん中にあり、あの轟音(ごうおん)と闘っている、それを全国の人たちが48年間も支えあってきた。「すごい闘いだ」とケアスティンは感激して帰りました。命を守る闘いが、国際連帯の中で具体化しようとしています。
 命を守る者として、命を冒涜(ぼうとく)する者、命を戦争に駆り出す者と力強く闘っていきましょう。福島も覚悟をもって新たな地平を開くために頑張り続けます。

■闘いの報告

全国の農民と共に農地守る 全国農民会議共同代表 小川浩さん

 私たち全国農民会議は今年2月、福島で第2回総会を開きました。その中で、市東さんの農地を守ることは全国農民の第一義的な責務だと確認しました。農地法によって農地を奪うことは、絶対に許しがたいことです。
 安倍農政は、農地中間管理機構をつくり、土地を貸す人には補助金を出して、〝白紙委任状で農地管理機構に預けろ〟、こういう形で全国の農民の土地を取ろうとしています。
 一方で5年後に減反政策をやめて、市場原理に任せてコメや農産物を外国農産物と同じ水準に引き下げて、TPPと同じ状態をつくり出そうとしている。農家に「1俵(60㌔)1万円のコメをつくれ、それができなければやめろ」と言っています。究極の新自由主義攻撃です。
 市東さんの農地を守ることは全国の農民を守ることです。「1億8千万円の金よりも1本100円の大根が大事だ」と言う市東さんの闘いこそ、安倍政権を打倒して勝利する道です。権力の牙城(がじょう)が東京高裁であると考えて、心して市東さんを守るために闘いたい。

■闘いの報告

被曝労働強制を許さず闘う動労水戸委員長 石井真一さん

 安倍の集団的自衛権の行使などの戦争政策をぶち破っていくのは三里塚48年の闘いです。この闘争がある限り戦争はできない。私たち動労水戸は今後も反対同盟とともに全力で闘っていきます。
 動労水戸は原発事故以来、JRによる被曝労働強制と闘ってきました。JRは今、常磐線を福島第一原発から15㌔の竜田駅まで延伸しようとしています。そのためにポケモン列車を2月1、2日にいわき駅から広野駅まで走らせた。なぜ放射能の高いほうに向かって子どもたちを乗せて列車を走らせるのか。ストで闘って反対しました。
 2月2日にはふくしま共同診療所報告会をいわきでやりました。原発の事故から避難している人たちがいっぱい参加して、怒りの声を上げて立ち上がり始めました。2月23日には「怒りのいわき行動」を行い、300人でデモをして、いわきの人たちのものすごい共感を得ました。福島県民は本当に怒っています。
 今後も常磐線の竜田延伸を許さずに闘います。

■フリートーク

関西空港粉砕へともに闘う 泉州住民の会代表 国賀祥司さん

 泉州住民の会は、萩原進さんの遺志を断固受け継いで、市東さんの農地を絶対守りぬいて三里塚闘争の勝利に向かってともに闘うことを、きょうここに誓います。私たちは30年間、三里塚闘争と関西新空港闘争の勝利を必ずこじ開けるという決意で闘ってきました。
 橋下を見てください。きょうが市長選投票日ですが、もう実質的に打倒されています。大阪市役所の労働者の粘り強い反撃の勝利です。泉佐野市も千代松という市長が『はだしのゲン』を撤去するというとんでもないことを始めましたけれど、泉佐野市の自治体労働者、教育労働者、住民ともどもに闘いぬくことによって完全に粉砕できると考えています。
 関西新空港も新自由主義空港として破綻しています。経営破綻したからファンドに売って金もうけの対象にしてしまうという。空港島は非正規職労働の島と言われるほどです。ここからわれわれの闘いに合流してくる労働者が出ています。関空は粉砕できると確信を持って訴えます。5月18日の泉佐野市議選では関空絶対反対を貫いてきた闘いを訴えて闘います。

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