「異次元」社会保障解体許すな 安倍の新自由主義は命を奪う労働組合の闘いで打ち破ろう

週刊『前進』06頁(2632号03面04)(2014/05/19)


「異次元」社会保障解体許すな
 安倍の新自由主義は命を奪う労働組合の闘いで打ち破ろう


 安倍政権の首切り・非正規職化、貧困・過労死の強制、戦争・改憲への突進に対して、労働者の憤激が日々高まっている。税と年金・医療・福祉をめぐって「生きさせろ!」の闘いが激化している。人間が生きることそのものを否定する新自由主義に対して、労働者の怒りと反撃が爆発する革命の時代が始まった。JR体制を打倒し革命勝利へ、断固闘おう。

貧困と戦争への怒りは沸騰点を超えた!

 都知事選決戦とそれに続く2〜4月、5・1新宿メーデーと動労千葉・動労水戸のストライキを先頭とする5月の闘いの前進は、プロレタリア革命の勝利を切り開く2010年代中期階級決戦の展望を指し示した。労働者階級の覚醒と活性化が巨大な規模で始まっている。貧困と戦争への怒りは沸騰点を超えた。「戦争と解雇は同じだ」「解雇と闘うことが革命だ」。青年労働者は初めから革命を求めて決起を開始している。攻防の核心は労働組合をめぐる闘いである。
 大恐慌は大争闘戦と戦争・革命の時代を引き寄せている。新自由主義の絶望的危機に追いつめられた安倍は成長戦略の重点を原発・鉄道・武器輸出にすえる一方、年金・医療・介護などの社会保障制度を解体し、成長産業に転換することを柱としている。「生産性の低い社会保障領域を大胆に規制緩和・民営化する」新自由主義攻撃である。
 それを推進するのが、昨年12月5日に成立した「社会保障改革プログラム法」だ。安倍はその実行の第1弾として、4月、消費税3%増税と年金・医療・介護の一層の負担増・給付削減を強行した。
 この安倍を連合はメーデーに来賓として招いた。日本共産党は「赤旗日曜版」で、労働者階級ではなく「日本経済」=資本の救済のために「経済の好循環には賃上げが効果的」と政策を提言した。このような日共スターリン主義と連合指導部の闘争放棄と裏切りに助けられた安倍の攻撃に対して、階級意識に目覚め、怒りをたぎらせた青年労働者が続々と立ち上がる情勢が訪れている。
 安倍の凶暴で絶望的な新自由主義攻撃に対して、国鉄解雇撤回の最高裁決戦を基軸に非和解に闘いぬく時だ。

社会保障解体と労働破壊が成長戦略の柱

 4月16日と22日、政府の経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議は、以下の点を戦略的課題として確認した。
 ①社会保障制度改革(財政支出の重点化・効率化)
 ②産業構造の調整と医療・健康産業
 ③労働力(外国人・高齢者・女性)の活用と柔軟な働き方(残業代ゼロ化)
 安倍は4月1日の大増税と社会保障給付費の削減に続いて、雇用破壊と「異次元」の社会保障解体攻撃に突進し始めた。
 そもそも、この攻撃は「社会保障と税の一体改革」の名のもとに、自治労本部が全面協力し、民主党政権のもとで進められた。野田政権は、12年8月に「社会保障改革・関連8法」を成立させた。①年金機能強化法②被用者年金一元化法③社会保障制度改革推進法④子ども・子育て支援法⑤同関係法律整備法⑥改正認定こども園法⑦改正消費税法⑧地方税法・改正地方交付税法だ。
 この社会保障制度改革推進法に基づき設置された社会保障国民会議は昨年夏、報告書をまとめた。それを土台にして安倍は「社会保障改革プログラム法」を成立させ、医療・介護を「地域完結」に転換させる「地域医療・介護総合確保推進法案」(後述)を国会に提出した。

生活保護奪い超低賃金労働強制する安倍

 大恐慌が深化し大失業と貧困が拡大している。「最後のセーフティネット」と言われる生活保護費は昨年8月に続いてこの4月に削減され、さらに来年4月にも削減される。削減幅は1世帯あたり最大10%にもなる。
 安倍は昨年12月、「新しい生活困窮者支援体系の構築と生活保護制度の見直し」に総合的に取り組むとして、「生活困窮者自立支援法」を成立させた。15年4月施行予定のこの法律は、「福祉から就労へ」を掛け声に、受給者に就労を義務づけるものだ。安倍は、生活困窮者・女性・高齢者・障害者の就労促進を「生活支援戦略」として進め、雇用者責任も問われず最低賃金制度や労働法も適用されない有償・無償のボランティア労働を強制しようとしている。これを、「工場法以前」の状態に労働者を突き落とすテコにしようとしているのである。

介護の給付削減

 安倍政権は5月14日、「地域医療・介護総合確保推進法案」を衆院厚生労働委員会で強行採決した。医療提供体制の再編成と介護保険の給付削減を盛り込んだ法案だ。介護保険制度(2000年〜)は、老人福祉や医療領域に民間企業の参入を可能にしたが、これを一層促進するものだ。規制緩和と民営化・外注化・非正規職化を徹底的に推進する攻撃である。
 介護労働者のうち非正規職は、訪問介護に就いている労働者の80・1%、全体で47・5%に上る。介護産業には資本が群がってきた。規制緩和・産業化政策の産物であるサービス付き高齢者住宅(サ高住)は不動産業界の利潤追求の目玉となった。安倍政権は、新たに「非営利持ち株会社設立」と「ヘルスケアリート(REIT=不動産投資信託)の導入」を提言している。
 これに対し、介護職場で安全崩壊の現実に直面する労働者が団結して反合・安全闘争を闘い、介護事業の民営化・外注化・非正規職化、産業化攻撃に立ち向かっている。

医療を産業化

 医療を産業化する安倍の戦略は、国民皆保険制度(命の平等原則)の解体を意味する混合診療の拡大、先端医療の推進、IT化と輸出産業化、〈規制緩和・民営化・外注化・非正規職化〉である。地方自治体主導の病院再編とは、さらなる新自由主義攻撃の導水路である。
 すでに長時間・過重労働を強制されている医療現場に、「12時間日勤と非正規化・過酷シフト」合理化が襲いかかっている。安倍の〈医療産業化〉攻撃に屈服する日共・医労連指導部をのりこえ、反合理化・安全闘争への現場労働者の決起が始まっている。

保育の安全崩壊

 安倍政権の子ども・子育て支援法(15年4月施行予定)は、小泉政権が打ち出した「待機児童ゼロ作戦」による保育の規制緩和・民営化・非正規職化を劇的に進めるものとなる。新制度の幼保連携認定こども園は、児童福祉法の適用から外れた株式会社の参入の受け皿である。
 新自由主義は、青年労働者から結婚・出産・家族を奪い、子どもを劣悪な「コインロッカー保育」や規制外のベビーシッター頼みへと追い込み、そこでは保育の安全崩壊が進んでいる。新自由主義と対決する保育労働者の団結を公務員決戦を軸につくりだそう。

1千兆円の借金の犠牲にされてたまるか

 財務省の財政制度等審議会で4月28日、国の借金を減らすために消費税率30%化の試算が示され社会保障費を厳しく切り込む意見が出された。

公的年金を破壊

 その最大の標的が公的年金である。医療・介護と年金は、労働者、農民、零細自営業者にとっての命綱である。04年以降、年金受給年齢の65歳への引き上げと給付削減・保険料値上げが続き、さらなる受給年齢の引き上げが検討されている。
 国民健康保険加入者のうち、年間所得100万円未満が半数を占めている。加入している約2千万世帯のうち滞納世帯は約370万世帯。国民年金の滞納者は40%を超え、年収200万円未満の世帯が半数近くに上る。月額1万6千円の年金保険料を払うことができない状況にあるのだ。

公立病院民営化

 04年、「小泉行革」を掲げた小泉政権が国立病院を独立行政法人化し、06年成立の医療制度改革関連法は混合診療や市場原理の導入(医療の産業化)を認めた。07年夕張市の財政再生団体への転落を契機に「地方公共団体の財政健全化に関する法」が成立。総務省は公立病院の「赤字補てん禁止と民営化」を通達し、公立病院改革ガイドラインを策定。8割が累積赤字を抱える公立病院に赤字解消か経営譲渡(民営化)かを迫り、民営化・統廃合を急速に進行させた。そして大学病院を地域中核にした完全民営化・外注化・非正規職化の新攻撃が始まった。
 国家財政破綻と社会保障解体は革命に直結する。社会保障解体攻撃との最大の戦場は職場・労働組合だ。国鉄決戦を基軸に闘いぬこう。
〔林 佐和子〕
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