5・15韓国 全国教職員労組が闘争宣言 子どもたちをこのまま胸にしまうことはできません セウォル号惨劇の正しい解決を要求する教師宣言

週刊『前進』08頁(2634号04面01)(2014/06/02)


5・15韓国
 全国教職員労組が闘争宣言
 子どもたちをこのまま胸にしまうことはできません
 セウォル号惨劇の正しい解決を要求する教師宣言



(写真 〈上〉「ごめんなさい。忘れません」を掲げた全教組大会【5月17日 ソウル】〈下〉パク政権との全面戦争を宣言した民主労総が都心デモ【24日夜】)


 修学旅行の高校生を含む300人もの犠牲者を出したセウォル号沈没事件。「命より金」の新自由主義が行き着いた結果である。今や韓国全土をパククネ政権への怒りが覆っている。教育労働者43人の5・13パククネ大統領退陣宣言に続き、5月15日、全国教職員労働組合(全教組)が闘争宣言を発した。キムギョンフン委員長を始め1万5853人が署名し、「教員の政治活動禁止」=大量懲戒処分の脅しをはねのけ、真相究明と責任者処罰を求めて闘い、〝社会と教育を根本的に変えるために最後まで行動する〟ことを宣言した。全文を掲載します。(編集局)

2014年4月16日を消してしまいたいです

 数百の若い霊魂とともに大韓民国が沈没した日、国民は悲嘆に暮れ、学校が崩れ落ちたこの日を永遠に消してしまいたいです。
 花のように美しい生命が失われていくのに、救命胴衣を着せてやり、互いに「愛してる」と慰め合う子どもたちの前で、胸はずたずたになり、「何も助けてやれずに申し訳ない」と泣き叫ぶ友人の前で、われわれ大人たちは罪人になりました。自律学習の補充授業からしばらく抜け出して、3泊4日のとても短い幸福を夢見た修学旅行が、生活の最後の旅になってしまった時、韓国の教育も死にました。

子どもたちをこのまま胸にしまってしまうことはできません

 子どもたちが尋ねています。「いったい私たちが何をしたのですか?」国民が尋ねています。「いったい国家の役割は何か?」。この問いにきちんと答えられなければ、われわれは子どもたちを胸にしまうことができません。第二、第三の多くのセウォル号が、今この瞬間にも誰かの花のように美しい命を威嚇し、誰かの胸をずたずたに破るからです。
 わずかな金のために迷うことなく、生命を古草履のように捨てる非情な資本、これを助長し、保護する政治家と官僚がいる限り、別の犠牲者がセウォル号犠牲者の名と顔、貴重な記憶をよみがえらせます。逃げと小細工で地位を守ろうとする公職者、他人がどうなろうが自分の地位を確保しようとする指導者らがのさばる限り、権力にこび、政権の立場をオウムのように繰り返す言論が国民の耳をひきつける限り、素朴な霊魂だけが残され、抱きしめて死を迎える惨劇が果てしなく繰り返されるからです。

ごめんなさい。きちんと教えることができませんでした

 子どもたちを助けるために「案内放送を信じて待ちなさい」と言った言葉が結局、子どもたちを死に追い込んでしまったという事実の前で、多くの教師が恐ろしい悪夢に苦しんでいます。その状況に置かれたら、どんな教師も同じ話をしたと自ら慰めても、むなしく死んでいった教え子を前にすれば、とてもそんな言葉は出てきません。
 疑わしい時は聞き直せと、不当な指示には服従するなと教えられず、すみません。点数を上げるためには疑うことなく、正解だけ覚えろと追い立てて、子どもたちの将来のためだと言い訳して正解だけを考えろと脅して、子どもたちに申し訳がありません。急に悪化した状況では自らが判断し、能動的に対処しろと教えず、写真の中の子どもたちを真っすぐに見ることができません。

パククネ大統領に尋ねます

 水が入ってきた船内で子どもたちが死の恐怖と戦っている時、大統領は公職者たちに問責で威嚇した以外に何をしましたか。寿命が尽きた古い遊覧船が、花のように美しい生命をいっぱいに乗せて、ふらふらと死の海を航海していた時、貪欲な資本家は乗客の安全を無視したまま貨物積載量を欺くために計算機をたたいていた時、大統領は何をしていたのですか。
 大統領が直接最終討論に出てきて「規制緩和」を力説した時、資本家が万歳を叫び、まず安全規制をなくそうとしていることを知らなかったというのですか。大統領が資本家たちのために非正規職への堰(せき)を切った時、資本家らは乗客の安全に責任がある船長と船員までを非正規職に置き換えようとしていることを本当に知らなかったのですか。
 大統領は就任した時「私は憲法を遵守(じゅんしゅ)して国家を保衛し、国民の自由と福利の増進に努力して、大統領としての職責を誠実に遂行する」と国民の前に厳粛に宣誓しました。しかし、とても苦しく息詰まるこの一カ月間、この宣誓を守るためにどれほど真摯(しんし)に努力をしましたか?
 高貴な命を一つでも救うことができた事故の初期段階、その黄金のような時間に政府が見せた姿は、混乱と無能そのものでした。いや、命を助けようとする最低の責任も放棄しました。さらに一部の高位官僚の非常識な行動と放言が、事態を手がつけられないほど悪化させました。
 国民は不可能なことを可能にする神の能力を大統領に要求しているのではありません。どうしようもない限界状況でも最善を尽くす姿、行方不明者の家族の燃え上がる気持ちを少しでも推し量ろうとする気持ちを国民は切実に望んでいます。形式的な謝罪と「演出された慰労」が国民の胸を押しつぶしました。不十分な救難システムとともに、胸がつぶれそうな国民は、一人の命も救えない国家システムの全体的崩壊の前で、再び気を失いました。

すべての国民が見守っています

 強圧と統制で合理的な疑いを封鎖しても、国民の怒りは抑え込めません。大統領は自分の責務不履行を骨にしみるほど告白して、今からでも適切な責任を取らなければなりません。セウォル号惨事は偶発的な災難ではありません。国民の生存を破壊する新自由主義国家システムは、もはや存続させてはなりません。利益と金もうけではなく、命と安全を優先する新しい共同体をつくらなければなりません。何人かの犠牲を餌にして真実を隠してはいけません。徹底した真相究明と骨を削る責任追及を通じ、国民の信頼を回復しなければなりません。
 これらがきちんとできないのなら、大統領の資格がありません。大統領は無限の権力者ではなく、無限の責任者です。国民の命を守る意志も能力もない大統領は、これ以上存在する理由がありません。

ごめんなさい。忘れません。行動します

 セウォル号惨事を事前に防げませんでした。国民の命と安全より、貪欲と無責任があふれ、これを助長する社会に沈黙してきました。過度な入試競争で1年に何百人もが自ら命を絶ち、多くの学生が差別と序列化で絶望し、挫折する時、これを変えるためにしっかり実践できませんでした。学生の安全と幸福のために、もっと徹底して悩むことができず、順応とあきらめの殺しの教育から抜け出すために最善を尽くすことができませんでした。
 これ以上、貪欲と不正に服従しません。学生の苦痛に共感して、生きる教育をやり直します。社会と教育を根本的に変えて、私たち自身を振り返り、革新することを恐れません。犠牲者と遺族の苦痛を最後まで忘れません。ともにします。行動します。
2014年5月15日
キムジョンフン(全教組委員長)ほか1万5852人

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