前進社国賠 総括責任の星を追及  「部下がやった」と逃げ回る

週刊『前進』08頁(2634号08面03)(2014/06/02)


前進社国賠 総括責任の星を追及
 「部下がやった」と逃げ回る


 5月23日、前進社国賠の第22回口頭弁論が東京地裁民事第1部(後藤健裁判長)で行われた。2009年10月16日の法大闘争に対して警視庁公安部公安一課が公安条例違反容疑をデッチあげて、それを口実に同月23日に前進社に家宅捜索・差押えを強行した。これに全力で反撃し弾劾する前進社国賠は、いよいよ大詰めを迎えている。
 この日は、前進社捜索の総括責任者である警視庁公安一課星隆夫警視の証人尋問が行われた。それに先立つ5月16日には、現地進行協議という形式で前進社の現場検証が行われた。
 これまでの証人尋問で、警視庁の警察官は違法な捜索・押収を取り繕うために、誰が聞いてもウソとわかる偽証を繰り返した。警視庁のデカらの証言に疑問を持った裁判所が、前進社の現場検証に踏み込まざるを得なくなったということだ。
 こうした勝利的地平に立って、捜索の最高責任者である星隆夫警視の証人尋問が行われた。警視庁は、あらかじめ前進社内にある記録媒体を大量に押収するために、逐一記録媒体の内容を確認しないで押収することを決めていた。また、当然予想される立会人の抗議を封殺するために、いつもの3倍の機動隊を動員して、立会人を次々と排除することを決めていた。これが真実である。それをごまかすために、警視庁のデカらは次々とウソを重ねてきた。
 一つは、「証拠隠滅のおそれ」というウソだ。星は「前進社内は騒乱状態なので、記録媒体の内容を確認すると証拠隠滅の恐れがあり、捜索を始めてから1時間後に内容を確認しないで押収することを決めた」と証言。しかし、当初の被告東京都(警視庁)の準備書面や陳述書には、「前進社内は騒乱状態」という表現や「捜索の途中で記録媒体の内容を確認しないで押収することを決めた」という主張はなかった。ところが追いつめられて、「騒乱状態」なるウソの上塗りを始めたのだ。原告代理人が、「捜索が始まってから1時間の間、立会人が証拠隠滅したのか」と尋問すると、星は「立会人の証拠隠滅はなかった」と証言。「『騒乱状態』になったのはいつからか、その理由は」という尋問には「抗議は最初からいつもより激しかった。その理由はわからない」と警察の違法捜査が原因であることを隠蔽(いんぺい)しようとした。
 また、星の陳述書では、「前進社内の館内放送では激しい怒号と罵声(ばせい)が流されており、ますますヒートアップした」と記載されている。これも、当初はなかった主張である。原告代理人が、「どうして放送設備を使えないようにしなかったのか」と尋問。放送設備周辺には機動隊が配置され、立会人が近づくことすらできなかった。それを星は、「マイクのスイッチならわかるが、放送設備の電源はわからなかった」と言い訳にもならない証言をして墓穴を掘った。
 次に、機動隊の配置状態について尋問した。星は、「各階段に2人ずつ」と証言した。しかし、その数だと前進社内に入った機動隊「30人」に足りない。機動隊の数をごまかしたいという星の魂胆が見え見えだ。
 さらに原告代理人は、「捜索後、押収物の関連性判断をどのように行ったのか」と尋問した。しかし、星は「捜査について、捜査主任官の川島から報告を受けて決済する立場」だと言いながら、「川島がやったことで、私は知らない」と部下の責任にする言い逃れに終始した。デッチあげ公安条例違反容疑の捜査は口実でしかない。押収した物はすべて弾圧のための資料としてコピーして、今現在も保管されていることは間違いない。違法捜査が露呈することを恐れて、「知らない」とウソを言っていることは明らかだ。
 最後に原告代理人は、この間の証人尋問から明らかになった事実に基づいて、警察官が違法に複製を作成し、記録媒体内のデータの書き換えを行ったから、押収物の取り扱いに違法がある、との主張を追加した。
 次回期日、6月20日午前11時から口頭弁論が行われる。原告から、違法な捜索・押収に加えて、別件捜査のための違法なコピーを行ったことを明らかにする。全力で傍聴しよう。
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