生きるために団結しよう! 地域に闘う労働組合を フクシマの怒りと共に進む 福島を訪問して 元杉並区議会議員 北島邦彦

週刊『前進』06頁(2636号03面01)(2014/06/16)


生きるために団結しよう! 地域に闘う労働組合を
 フクシマの怒りと共に進む
 福島を訪問して 元杉並区議会議員 北島邦彦

(写真 JR福島駅前の金曜行動に参加し、福島の仲間たちとともにビラを配布した【5月30日】)


 5月末に福島を訪問した北島邦彦さんから手記が寄せられました。北島さんは原発事故と日帝への福島の人びとの深い怒りに接し、闘いの決意を新たにしています。選挙戦勝利へともに闘おう。(編集局)


 5月30日、NAZENの仲間とともに福島へ向かいました。常磐線の竜田駅延伸阻止を掲げた動労水戸の大ストライキ闘争と、「美味(おい)しんぼ」をめぐる大論争の渦中での福島行きとなりました。「フクシマの怒り」の核心に迫りたいという思いからです。福島で闘う仲間たちの尽力でさまざまな人たちと出会うことができました。

共同診療所の役割の大きさ

 まず、福島市の中心部にあるふくしま共同診療所を訪問しました。事前に予約を入れ、甲状腺エコー検査を受けることができました。頭をのけぞらせたままの約15分間の検査は、子どもたちにとってはわずらわしいことかもしれません。布施幸彦医師に検査結果の説明を受けながらそのことを聞いてみると、「検査が途中で終わってもいいんです。一度の検査で甲状腺のすべてを見ることはできない。検査の間隔を狭くして継続的に検査することが大切です」とのことでした。ふくしま共同診療所の診察と福島県の県民健康調査との本質的な相違がはっきりとわかりました。ふくしま共同診療所の存在意義と、これから未来にわたって果たすべき役割の大きさをあらためてつかみました。東京でも、NAZEN運動の中心的課題として診療所建設運動の支援をさらに強めようと肝に銘じました。
 続いてお会いしたのは飯舘村から避難して福島市で暮らす女性です。

(写真 甲状腺検査の後、布施幸彦医師から結果の説明を受けた【5月30日 ふくしま共同診療所】)

「信じていたのに裏切られた」

 まずは政府―行政と東京電力への激しい怒りに圧倒されました。原発爆発後に村からの避難指示が遅々として出されなかったことに「信じていたのに裏切られた」と激しく怒っているのです。それは「これまでの社会を変えなければこの現状は突破できない」という思いでもありました。彼女はこの3年間、原発反対運動にかかわる人やボランティアの人など多くの人と話をしてきたそうです。そして「この人は福島のことについて本気なのかどうかわかるようになった」と。ドキリとしましたが、「きょうは本気になってしゃべっちゃった!」と言ってくださいました。
 続いて浪江町の避難者の仮設住宅を訪問しました。福島の仲間が子どもたちを集めた紙芝居と北富士への保養の説明会を行い、いずれも大成功でした。仮設住宅に住む人たちは多くは語りませんでしたが、胸の内にあるやりきれない思いは想像できます。仮設住宅は外観を見ただけでも、居住空間としてのぬくもりは皆無です。ここに3年も住み続けてきたことがどういうことか、怒りなしに振り返ることはできないだろうと痛感します。
 午後6時からは福島駅前での金曜行動に参加。ビラを受け取ってくれる人が多く、ここでも福島県民の怒りの底深さを知ることができました。

「汚染土のう」が駅の直近に

(写真 福島駅から北約1・5㌔、法務合同庁舎前の「汚染土のう」一時置き場。6月に入り県は看板と柵を設置して同場所の立ち入りを禁止した)

 5月31日午前、福島駅から北に約1・5㌔の信夫山のそば、法務合同庁舎前の「汚染土のう」の一時置き場へ行きました。「除染」でかき集められた高濃度の汚染土の土のうが積み上げられた光景は、異様の一言です。数人の労働者が汚染土のうの積み上げ作業をしていました。被曝労働そのものであるにもかかわらず特別な装備はなし。しかも道一本隔てた向かいは仮設住宅です。放射能汚染から逃れるために避難してきた人たちのすぐそばに汚染土のうを置くとは許せません。途中で道を聞いてわからなかった除染作業員は、岡山県から働きに来た労働者でした。
 その後、福島市民会館の体育館に設けられた「さんどパーク」へ。体育館の中に砂場が設置され、大人が遊んでも楽しそうな遊具が多数置いてあります。子どもたちが無邪気に笑いながら遊んでいる姿と、砂場が屋内にあるという異様な情景の落差が、胸に突き刺さります。見学者は見学時間15分間と制限され、代表者の住所・氏名の記入や名刺の提出を求められるなど、きっちりと管理されています。この事態もまた、原発と核が持つ独占性・排他性に起因するものでしょうか?
 午後はいわき市の平中央公園で行われた常磐線竜田延伸阻止の動労水戸ストライキ貫徹集会&デモへ。労働組合が被曝労働拒否を掲げてストライキを打つことの力強さ、頼もしさ。動労水戸のストライキに対して、仮設住宅に住む人びとから大きな共感や支持が寄せられたのもうなずけます。デモへの声援もとても大きいものでした。

この経験を杉並で生かす

 福島の人びとの怒りは多様であり、いろいろな方向性を持っています。しかし労働者―労働組合の闘いを軸にすれば、すべての怒りを集めることができます。動労水戸のストライキ闘争はそのことを実証しているからこそ、福島の地にガッチリ地歩を築きつつあると感じました。ここに反原発闘争の核心があります。
 濃密な福島での行動でしたが、私自身の杉並区議補選闘争にとっても学ぶことがきわめて多いものになりました。福島の人たち、NAZENの仲間たちに感謝します!

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