大熊・双葉に「中間貯蔵施設」 〝最後は金目でしょ〟 石原発言を絶対許さない

週刊『前進』06頁(2637号05面02)(2014/06/23)


大熊・双葉に「中間貯蔵施設」
 〝最後は金目でしょ〟
 石原発言を絶対許さない


 環境大臣・石原伸晃が6月16日、福島第一原発事故の除染で出た汚染土などの中間貯蔵施設の建設をめぐり、「最後は金目(かねめ)でしょ」との大暴言を吐いた。
 大熊町・双葉町を建設予定地としている同施設は、福島県内の「除染」などで集められた高濃度の汚染土などを貯蔵するものだ。表向きは〝貯蔵した廃棄物は30年以内に県外で最終処分する〟と言っているが、それが「中間」とは名ばかりの最終処分場であることはあまりにも明らかだ。石原と安倍政権は両町民に〝金はくれてやるから、いい加減あきらめろ〟として高レベル放射性汚染物質を押しつけるという本性を表したのだ。
 同施設建設をめぐっては環境省が5月31日から6月15日、双葉・大熊両町の町民と地権者を対象に住民説明会を県内外16カ所で行い、のべ2605人が参加した。
 説明会に一度も出席しなかった石原は、説明会終了翌日に、地元住民の思いを真っ向から踏みにじり「最後は金目」と言い放った。地元住民を札束で黙らせ屈服させて中間貯蔵施設を建設し、原発再稼働に突き進もうとするこの大暴言は絶対に許せない。

金はいらないふるさと返せ

 住民説明会に参加した住民は次々と「金なんかいらない。ふるさとを返せ」「全原発を廃炉に」と切実に訴えた(発言は環境省ウェブサイト掲載の議事録より)。
 「私は6代目です。1代目のご先祖さまがそこにわらじを脱いで、250年経過しています。来た時は無法の地です。荒れ地をくわを振り回しておこして田んぼを作り、畑を作り、うちを造り、ものすごい苦労なさった。ご先祖さまが骨折って血みどろになって、寝るも寝ないで働いて築き上げた財産を簡単に手放すことはできない。絶対にこの中間貯蔵施設は反対します。双葉町に中間貯蔵施設ができたならば、これは最終処分になっちゃうんです」
 「私でちょうど4代目です。1代目は北海道札幌で警察官で殉職。そのばあちゃんが子どもを連れて、北海道からこの大熊町の地に帰って、殉職した命に代えたお金で土地を買い、私どもは4代にわたって農業生産に尽力してきました。先祖が命に代えて求めた土地を簡単に手放せません。金はいらないから、元のふるさとを返してほしいです。中間貯蔵ははっきり言って迷惑です。次の世代にはこの汚名を残したくない。だから私はこの中間貯蔵は反対します。先祖が命を懸けて残した財産を、国がやるんだったら私は、命に代えてもむしろ旗を揚げても戦うつもりでいます」

娘とつながれる唯一の場所

 両町には3・11の地震と津波で家族を失った町民も多い。父と妻を失い、当時7歳だった次女が大熊町の唯一の行方不明者となっている男性は訴えた。
「津波で家族3人が流され、今も娘が見つかっていない。ずっと捜し続けていますし、これからも捜していくつもりです。あの土地は私にとって、最も3人とつながることができる場所です。それを人手に渡すことは考えられません」

全国・全世界の原発を廃炉に

 同施設建設に反対する町民の思いは、全原発の廃炉に直結している。
 「避難者がさらにつらい思いをするような施設は絶対に造ってほしくない。もしこれを受け入れる時には、こういう思いをもう絶対ほかの日本人にはしてほしくないし、できれば世界中の人に、こんなふるさとを失うような思いをしてほしくない。もし仮に中間貯蔵施設を受け入れる時には、交換条件としてすべての原発の廃炉、即廃炉を国に求めるぐらいのことはしてほしい」

なぜ石原大臣が来ないのか

 また、説明会に出席しなかった石原への憤りも噴出した。
 「なぜ大臣クラスの方が来られてないのか。当事者たるわれわれの説明会になぜ来られないのか」「大臣の顔が見えてないんですけど、どういう理由でこの大事な席に来れないんですか? こういう大事な会合に本人が来て、われわれ双葉町民の声をじかに自分の耳で聞いていただきたい」
 両町には、3・11以前もそれ以降も、原発や除染で働いている労働者も多い。
 「東京オリンピックがおもてなしという言葉が使われる。中間貯蔵施設を30年以上、大熊、双葉に集中させることは、おもてなしどころか、心なしです。僕は大熊町も除染しました。川内村の線量の低いところも山に入ってやりました。なんで放射線の高い大熊、双葉に施設造る必要性あんのか。(中間貯蔵施設を造るのであれば)100年ぐらい大丈夫ってものを造ることが心なしじゃない国の体制だと思ってます。東京オリンピックの5千億円と比較しても遜色(そんしょく)ない(金を使うべき)」

再稼働のための建設阻もう

 安倍政権が中間貯蔵施設建設をごり押ししているのは、原発再稼働のためだ。これまでの除染はいずれも、学校や家屋の一部に「仮置き場」を作る「同意書」を地権者にサインさせて実施されてきた。しかし各所でその2年の期限が目前に迫っている。そのため安倍政権は、中間貯蔵施設を建設できなければ再稼働を押し切ることができないという危機に追い詰められているのだ。
 石原の「最後は金目」発言は、「命より金」の新自由主義の本性がむき出しだ。福島と全国の怒りで中間貯蔵施設建設を阻み、石原と安倍政権を打ち倒そう。
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