7・1閣議決定情勢と対決し沖縄労働運動の新たな創造へ 革共同沖縄県委員会のアピール

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週刊『前進』10頁(2643号06面01)(2014/08/04)


7・1閣議決定情勢と対決し沖縄労働運動の新たな創造へ
 革共同沖縄県委員会のアピール

(写真 今年の5・15沖縄闘争の最終日の5月19日、辺野古の浜に登場し新基地建設阻止へ決意を固めた青年労働者)

はじめに

 日帝・新自由主義安倍政権は、7・1集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行し、「戦争か革命か」が問われる時代へと突入した。この7月1日当日、安倍政権は辺野古新基地の本体工事への着工を開始した。「革命の火薬庫」=沖縄に手をかけてきた安倍政権は、その崩壊への第一歩を踏み出した。
 われわれは「7・1」と対決する新たな挑戦の主体的準備として、「党の革命」以来の血債主義・糾弾主義との闘いから、2011年3・11とそれ以降の闘いの中で、党と労働者階級のプロレタリア革命に向かった戦列を形成してきた。沖縄県委員会は徹底的に「国鉄闘争の党」として自己を打ち固め、「党と労働組合の一体的建設」に挑み、中央委員会と細胞を軸とし地区党建設で総括される沖縄県委員会の建設の中から、世代を越えた労働者指導部を生み出してきた。ここに沖縄県委員会と沖縄の労働者階級の前人未到の歴史的到達地平が凝縮している。今こそ140万沖縄県民・労働者階級の日帝・新自由主義安倍政権への怒りを解き放ち、沖縄闘争=安保・沖縄闘争に勝利しよう!

戦争か革命か問う新たな時代の開始

 「7・1」とは沖縄の労働運動と階級闘争にとっていかなる意味を持つのか? 7・1で日帝・新自由主義安倍政権はついに、新たな階級闘争の時代=革命の時代の扉を開いてしまった。党と労働者階級の闘いが革命の時代をたぐり寄せたのだ。それは沖縄の労働運動、階級闘争の新たな激動期の始まりだ。
 「7・1」は沖縄の既成「革新」=沖縄革新共闘の最後的な路線的終焉(しゅうえん)を意味する。それは「復帰」闘争の総括にも関わる問題だ。「復帰」闘争とは何だったのか? 既成「革新」にとっては「日本国憲法のもとへの復帰」だった。つまり「日本国憲法が適用されれば、沖縄の米軍基地はなくなる」というものだ。
 追いつめられた安倍政権は7・1の解釈改憲で突破しようとし、「日本国憲法が沖縄の基地問題を解決する」という幻想が通用する時代は終わった。しかしこのことは、沖縄の労働者階級の闘いが終わったということを意味しない。実はここに、「復帰」闘争の総括の核心がある。体制内指導部は「日本国憲法」に依拠して「沖縄問題の解決」を夢想した。それは労働者階級自己解放闘争を根底において否定する思想であり路線であった。しかし沖縄の労働者階級はあくまでも自らの存在と闘いで「沖縄問題の解決」を成し遂げようとして「復帰」闘争を闘い、それ以降の40年余りを闘い抜いてきた。その中で体制内指導部を打ち破り、のりこえる労働者階級の党と労働者指導部の建設という長征の道を歩んできた。社民やスターリン主義、カクマルとの激しい党派闘争は労働者階級自己解放闘争の思想と路線と、そしてその党を巡って闘われてきたのだ。
 体制内指導部は11月県知事選に向かって、ついに「脱革新共闘」を唱え始めた。これが「構造的沖縄差別論」の行き着いた姿だ。しかし「沖縄革新共闘」を体制内指導部にいわば「強制」してきたのは、沖縄の労働者階級である。沖縄の労働運動と階級闘争の新時代を牽引(けんいん)する思想と路線と、その組織が求められている。階級的な労働組合が軸となった、新たな(真の)「島ぐるみ」闘争をつくり出すこと。この闘いの前進だけが、辺野古への新基地建設を最後的に粉砕することができる。

労働組合をめぐる攻防が闘争の核心

 世界大恐慌の一層の深まりと3・11情勢に対決する新たな沖縄闘争の挑戦は、昨年の5・15闘争をもって開始された。「沖縄を『基地の島』から国際連帯の島へ」「新自由主義と闘う労働者階級の国際連帯で、安保・沖縄闘争に勝利しよう」という宣言だ。
 われわれは72年ペテン的「返還」体制=5・15体制を新自由主義攻撃そのものとしてとらえ返し沖縄の戦後史の総括を通して、沖縄でのあらゆる闘いが労働組合を巡る攻防だということを鮮明にした。同時に「振興策」が「復帰」以降の新自由主義攻撃(民営化・外注化、非正規職化)を激しく進行させ、労働組合を破壊し、沖縄の階級闘争を圧殺する攻撃であったことを明らかにした。そのことから「帝国主義・新自由主義による国際プロレタリアートへの分断支配を軍事力を背景として貫徹するための沖縄米軍基地と沖縄の労働者の存在を措定し、この関係を維持するために民営化・外注化、非正規職化を通して基地内外の労働者を、いつでも解雇でき補充できる労働者として固定化すること」が、沖縄における階級闘争の核心問題であると解き明かした。だから沖縄闘争は、国鉄闘争を基軸としそれと一体的に基地労働者を主柱として新自由主義攻撃と真っ向から闘うことで、国境を越えた団結をつくり出し勝利できるのだと宣言した。
 同時に福島における日帝・新自由主義による、「被曝の強制と生命の蹂躙(じゅうりん)」という事態に、沖縄闘争は血盟とも言える存在としてともに闘うことを誓った。新自由主義の矛盾の集中点だからこそ、沖縄・福島の怒りの声を中心とした労働者の団結が国境を越え、社会を変える力を持つ。「戦争か革命か」という情勢において、沖縄と福島を「革命の火薬庫」「革命の根拠地」と打ち固めることが、プロレタリア世界革命の最短コースだ。

国鉄闘争を軸にさらに前進

 1987年の国鉄分割・民営化から新自由主義攻撃は開始された。国鉄闘争を基軸に闘うことで、労働者の闘いは階級的労働運動として発展する。動労千葉の「反合・運転保安闘争」と動労水戸の「被曝労働拒否」の闘いこそ、階級的労働運動の精華だ。今日この闘いが国労郡山工場支部の闘いとつながり、JR体制を打倒するJRの青年労働者の決起を生み出している。JRのとりわけ平成採の青年労働者の怒りと階級的労働運動派が結びつき動労総連合を全国で建設していこう。この闘いを基礎に据えて、あらゆる職場と産別で、動労千葉労働運動の実践に挑戦していこう。
 さらに学生と労働者の闘いはあらゆる意味で一体だ。新自由主義攻撃はむしろ大学から始まっているとも言える。沖縄大学における当局の熾烈(しれつ)な弾圧との闘いは法大闘争と結びつくことを通して沖縄大学学生自治会の再建が闘いとられた。沖縄における階級的労働運動の前進と一体で闘いとられた快挙だ。

米帝の没落と争闘戦の激化

 沖縄を取り巻く情勢の核心は、基軸帝国主義=米帝の没落と日帝の底知れぬ危機の進行にある。米帝・国防総省は3月4日、中長期的な軍事戦略の基本方針となる「4年ごとの国防戦略見直し」(QDR)を発表した。その核心は沖縄へのオスプレイ配備の強行であり、辺野古への新基地建設の推進にある。米帝・オバマ政権は日米安保政策とTPP(環太平洋経済連携協定)で対日争闘戦を徹底的に貫いて、アジア・太平洋地域の軍事的制圧と勢力圏化を狙い、北朝鮮への侵略戦争と中国スターリン主義の転覆を狙っている。
 今回のQDRでもう一つ重要なのは、日米安保同盟がリバランス(再均衡)の柱として位置づけられていることだ。米政府予算の強制削減の中で、もはや米帝の単独の力で「国防戦略を遂行する能力」が失われてきていることから「同盟国との関係・協調」に活路を求めざるを得ない。最も重要なことは、日米対立と争闘戦の核心に労働者階級の闘いがあることだ。そして争闘戦の激化とその軍事化・戦争化という情勢の中で、帝国主義(新自由主義)そのものを打倒する全世界的な労働者階級の闘いが発展し始めている。

国際連帯で米軍基地撤去を

 沖縄の米軍基地は、日米同盟(日米安保)のもとでアジア―太平洋から中東まで展開する出撃・兵站(へいたん)基地として全世界の労働者階級を分断支配する戦略的な位置にある。沖縄の膨大な労働者(青年労働者)が非正規職に突き落とされている中で、労働者の共同性と階級性を奪い返していくことは「米軍基地撤去」とまったく同じ闘いだ。
 全世界の労働者が民営化・外注化と非正規職化にさらされている。その中で韓国の労働者は民主労総ソウル地域本部を先頭に民営化攻撃に絶対反対を貫いて闘っている。「非正規職撤廃!」は全世界の労働者の共通のスローガンとなった。動労千葉が切り開いた国鉄1047名解雇撤回、民営化・外注化阻止、非正規職撤廃の闘いは全世界の労働者の闘いの中心軸となっている。「動労総連合を全国に」の方針は、国際連帯の巨大な発展をかけた歴史的な挑戦だ。
 辺野古新基地建設をめぐる攻防は、昨年12月の仲井真県知事の埋め立て申請承認から、7月1日の本体工事着工、さらに7月20日のキャンプ・シュワブへの資材搬入を経て、いよいよボーリング調査が強行されようとしている。沖縄の労働者階級の総意は、「基地もいらない、振興策もいらない」だ。そもそも軍事基地と引き替えの「振興策」は、沖縄の青年労働者にまともな「働く場所」ではなく、民営化・外注化と青年労働者の非正規職化しかもたらさなかった。これらと対決し、闘う労働組合を職場に取り戻して闘うことが「米軍基地撤去」「辺野古新基地建設阻止」の唯一の勝利の道だ。

労働運動を甦らせ辺野古建設阻止を

 IJBS労組の仲宗根光洋書記長への雇い止め=解雇に対して、3月31日〜4月1日の門前闘争を闘いぬき、5月18日には日本IBM・ビジネスサービス労働組合支援共闘会議の結成を闘いとった。これに対して資本は、3月の組合定期大会で組合に結集したS組合員を6月いっぱいで雇い止め=解雇にすると通告してきた。IJBS労組はこれに対して組合結成以来初の指名ストライキ(6月18日)を決行し、S組合員への解雇攻撃に全力で反撃した。7・1情勢と切り結びながら闘う中で、「7・1」と対決する沖縄の労働運動の創造が始まった。

動労千葉労働運動学び実践

 IJBS労組の闘いは、沖縄における国鉄決戦への決起と、動労千葉労働運動を学び実践する中から生まれてきた。決定的だったのは2011年3・11直前に「国鉄闘争全国運動・沖縄」が結成されたことだ。IJBS労組の闘いも、また仲宗根書記長の解雇撤回闘争の支援陣形もこの運動から生まれてきた。ここにIJBS労組の闘いの第一の意義がある。このIJBS労組の闘いにおいて最も重要なことは、動労千葉の「反合理化・運転保安闘争」路線の実践にある。反合・運転保安闘争路線とは、資本主義の運動と共産主義運動の激突そのものだ。資本主義の運動とは、労働者という一番重要な存在を無視して資本の自己増殖運動だけを推進する運動である。この資本主義の運動そのものへの闘いを組織すれば、組織拡大ができるということをIJBS労組の闘いは示してきた。それは反合・運転保安闘争路線が産別と職場を越えて通用する路線であるということでもある。
 また、これらの闘いを基礎として解雇撤回・JR復帰の10万署名運動を職場に持ち込んだことだ。この闘いの総体が、職場支配権を巡る闘いだった。小なりといえども、職場権力を目指して闘ってきたのである。

新自由主義との最先端攻防

 このIJBS労組の闘いは、新自由主義政策の問題をさらに解き明かした。日米帝国主義は新自由主義攻撃を「振興策」を通して沖縄へ全体化させた。そのことによって生まれたのがIJBS資本だ。
 この職場で起こっていることは「99%非正規」という現実の強制だ。それによって労働者は日常的に異常で不安定な状況を強制されている。この「99%非正規」という現実をどのように資本は労働者に強制しているのか。それは米帝資本の職場支配を日帝資本と混在化させることで導入した「派遣法」と「請負(外注)法」の混在である。それは結論的には「労働法を実質的に解体している」ことを意味する。
 労働者を犠牲にして成り立つ資本家は自らだけが延命しようとするあまりに、新自由主義政策によって「過剰資本・過剰生産力」の基本矛盾を爆発させ、資本家がボロもうけするほど職場・社会は破綻し続けるという矛盾に陥っている。
 動労千葉を先頭とする階級的労働運動派が闘って暴いたのはこの根本的な矛盾である。同時にこの闘いが労働者の誇りと団結を取り戻し、その力が次の社会をつくる力として動き始めている。
 ここで重要なのはIJBS資本(現在はJCBS資本)がどのように労働者の声を押さえ込み、支配しているのかということだ。結論的に言うと「スキル評価制度」と「雇い止め」の二つだ。特に「スキル評価制度」が労働者支配の要をなす。これは郵政を始めすべての産別において普遍的テーマだ。
 その上で、このスキル評価で核心的な内容は「事故」である。IT業種での事故というのは、「個人情報漏洩(ろうえい)」になる。資本は普段からスキル評価・雇い止めによって労働者を脅し、仕事に自信を持たせないようにし、事故時はまたもスキル評価によって、個人の責任に転嫁し、最終的には全責任を負わせ、退職に追い込む。そのような卑劣な方法で事故=職場の破綻を闇に葬り、同時に労働者を支配してきたのだ。

国際連帯の新たな姿つかむ

 歴史的に見ても帝国主義にとって沖縄の労働者は、「基地の島」の現実を支えるためだけの労働を強制される存在であり、だからその労働者に労働法などは本質的に必要とされていない。そもそも米軍基地内に労働組合が存在するなど絶対に認められない。沖縄の労働者は帝国主義による世界支配の軍事力を運用するための道具であり、そのためにいつでも補充し、いつでも解雇できる存在でなければならない。7月18日付沖縄タイムスの報道によると、14年1月段階で県内のIT企業は301社、雇用者数は2万4869人に上り、その約7割の1万7404人がIJBSと同じようなコールセンターで働いているという。「IT特区」のもとで進んできたこの現実こそ、「基地の島」を「非正規職の島」とすることで、沖縄の米軍基地の安定的護持を狙った新自由主義政策そのものだ。
 したがってIJBS労組の闘いとは、基地労働者(資本主義社会を維持・延命する労働)を補完する存在としての自らを、国鉄闘争と基地労働者を軸とした闘いで変革し、国境を越えて団結を求める労働者の新たな国際連帯闘争の姿だということだ。同時に労働法などの適用除外が資本主義の本質であることを、反合・運転保安闘争を通して職場・社会の破綻として暴露し、新自由主義攻撃の最先端で特区攻撃と戦争攻撃を覆す闘いでもある。

解雇撤回・非正規撤廃闘おう

 IJBS資本は仲宗根書記長を解雇しながら、同時に富田晋委員長は解雇できずに職場に残さざるを得なかった。これは、労働者の団結軸を外と内につくり出したことを意味している。
 IJBS労組の闘いは必然的に、日帝・安倍政権の「戦争・改憲攻撃」とそのもとでの辺野古新基地建設攻撃の開始に対して、それと階級的に根底的に対決する闘いへと発展していく。またJR体制打倒へ闘う、JRの青年労働者の闘いと一体の闘いだ。それは同時に星野文昭さんを獄中から取り戻す闘いそのものであり、三里塚とともに闘う闘いでもある。だからこの闘いを、階級的労働運動派の新たな闘いの創造的展開として闘うことで、沖縄の労働運動と階級闘争を塗り替えていくことができる。
 とりわけ「非正規職撤廃!」の闘いは、7・1情勢下においてますます重要な意味を持つ。青年労働者が「食っていけない」現実の中で、多くの青年労働者が生活の糧を求めて自衛隊に入るという現実がある。その中で、階級的な労働組合の登場だけが青年労働者の希望だ。それは、「いのちと暮らしを守る」闘いであるということだけではない。労働組合に結集して団結する中で、労働者階級は自らの存在への誇りを取り戻していく。この闘いは自衛隊の若い隊員(軍服を着た青年労働者)をも揺さぶり、「日本における『1917年』」を戦略的に準備する闘いとして発展していくだろう。
 IJBS労組の解雇撤回・非正規職撤廃の闘いを切っ先に、NTTや全駐労を先頭にして、7・1情勢と対決する沖縄の労働運動の新たな創造への挑戦が開始されている。そして9月統一地方選―11月県知事選(那覇市長選)を、「脱革新共闘」を唱える体制内指導部と対決して闘い、無数の労働組合の拠点建設に勝利しよう。
 ついに到来した「戦争か革命か」の情勢を反帝・反スターリン主義プロレタリア世界革命の勝利へ! 辺野古への新基地建設を阻止し、すべての基地の全面的撤去へ! 革共同50年・沖縄県委員会40年余のすべてをかけて今夏今秋の闘いに総決起しよう! 沖縄の青年労働者と学生は革共同沖縄県委員会に結集しともに勝利しよう!

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