命かけて戦争・改憲を阻む労働者民衆の大行動始まる 8・17日比谷集会での発言(2)

週刊『前進』06頁(2645号03面01)(2014/08/25)


命かけて戦争・改憲を阻む労働者民衆の大行動始まる
 8・17日比谷集会での発言(2)


講演

多喜二の思いは現代に直結 小樽商科大学教授 荻野富士夫さん

 7月1日の閣議決定後の集中審議で、安倍首相は1930〜40年代と現代を比較するのは間違いだと言いました。多くの人が再び戦前の道を歩むのではないかと懸念している。しかし、安倍首相はまったく歴史を振り返ろうとしない。太平洋戦争が始まった41年真珠湾攻撃の際、国民の戦意は急騰しました。その戦意は高い水準でその後も続き、44年末の本土空襲以後に急降下します。しかし45年8月15日の時点で2割ぐらいの人たちが日本は戦争に勝てると信じていた。そんなことは二度とあってはならない。歴史に学ぶことが大きな手がかりになります。
 2008年に『蟹工船』が社会的なブームになりました。昨年、私が担当するゼミの18歳の学生が、「蟹工船はブラック企業に姿を変え、浅川監督はもっとわかりづらく、しかし確実に現代に生きている」と感想を書いています。小林多喜二の思いはそういう形で現代にもつながっている。
 多喜二が『蟹工船』に込めた意図は、実はもうひとつある。それは集団的自衛権を始め現代の状況に直結するものです。多喜二は編集者に宛てた手紙での中で「軍隊を動かす帝国主義の機構」「帝国主義戦争の経済的な根拠」について触れなければならないと書いています。「帝国軍隊、財閥、国際関係、労働者の四つが1本の糸でつながっていることを見ないといけない、それには蟹工船が最もいい舞台だ」と。この手紙が書かれたのは1929年の3月末です。28年には山東出兵が起こっており、31年には満州事変が起こる。戦争が目の前に迫ってくる中でそう書いたのです。
 つまり『蟹工船』は、労働小説としてだけでなく反戦小説、反戦文学としても評価しなければならないと思います。駆逐艦がやってきて、着剣した水兵たちがストライキを鎮圧し、9人のスト指導者を「不忠者」「売国奴」として拘束・連行していく場面があります。これを見て漁夫たちは、「帝国軍艦だなんて大きなことを言ったって大金持ちの手先でねえか」と自覚したと多喜二は描いています。その後も多喜二は獄中生活などを経て小説を書き続け、満州事変後の『党生活者』などの反戦小説で「軍隊、財閥、国際関係、労働者」のからくりを描こうとします。ここに着目したのが多喜二の卓越性です。
 今日、集団的自衛権行使の名のもと自衛隊の海外派兵・駐留が公然化・積極化し、突発的な軍事衝突で犠牲者が出ると、今度はその犠牲者の死を無駄にするなと戦意の高揚をはかる――そういうことが現代にも十分にありうると思います。

韓国から

集団的自衛権の即時撤回を 韓国・民主労総ソウル地域本部統一委員長 チョヨンナンさん

 みなさんにお会いできて大変うれしく思います。私は韓国の民主労総ソウル本部統一委員長・チョヨンナンです。
 民主労総は労働者の権益向上のためだけでなく、戦争、原発、核兵器の脅威に真っ向から立ち向かって恒久的な世界平和を実現するために闘っています。福島原発事故の被害を受けている日本の国民と労働者に心から慰労の意をお伝えします。民主労総も原発拡大に反対して積極的に運動を展開しています。
 最近、安倍総理は歴代内閣の憲法解釈を変更して、集団的自衛権行使が許容されるという見解を閣議決定しました。これに対し大多数の韓国国民は、日本が憲法9条の精神を根本的に破壊して過去の侵略国家に回帰するのではないかと憂慮しています。これは平和国家を志向する日本国民の努力を踏みにじるばかりでなく、日本の過去の侵略戦争犯罪に対して誠意ある謝罪と賠償を要求する東アジアの被害諸国の民衆への、さらなる犯罪行為につながるものと言わざるをえません。私たちは、朝鮮半島の戦争を呼び起こすことになりかねない集団的自衛権の即時撤回を強く要求します。
 韓国では4月16日のセウォル号沈没事故により、304人の高校生と国民が犠牲になりました。事故発生から125日目の今日、高校生の娘を失った父親が韓国政府に対し、事故発生原因の究明、責任者の処罰、安全対策の樹立のためのセウォル号対策法制定を要求して35日間の断食闘争をしています。また韓国国民4万人も15日、セウォル号対策を要求する大集会を持ち、青瓦台まで街頭行進をしています。
 私たちは戦争、原発、核兵器だけでなく、新自由主義による人為的な事故からも命を守るため、安全な社会をつくるために遺家族と全国民が力を合わせて闘っています。
 また民主労総は、労働者民衆主導の相互理解と交流・協力の拡大のもとに南北の平和統一を実現していくために活動しています。
 今日のこの集会が、日本と韓国の労働者がともに戦争に反対し、原発と核兵器に反対し、新自由主義に反対して平和のために一緒に闘争する国際連帯の契機になればと思います。この意義深い8・17集会に参加できたことに感謝します。トゥジェン(闘争)!
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(写真 松元ヒロさん。コント「アベこべ政治をひっくり返そう!」で、時代を風刺し会場を沸かせた)
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各界から

命かけ戦争の道を歩まない 動労千葉委員長 田中康宏さん

 私たちは7月1日、本当に大きな歴史の分岐点に立ちました。日本の労働組合はかつて産業報国会になり戦争に協力しました。命をかけてこの道は歩みません。民主労総のように闘う労働組合を絶対によみがえらせて、集団的自衛権の行使の反動に対決する決意です。
 私たちの「闘いなくして安全なし」のスローガンが日本と韓国とイギリスの鉄道労働者をつなげています。ならば戦争を阻むために僕らが韓国の民主労総の仲間を始め全世界の労働者と固く国際連帯していく。
 27年前の国鉄分割・民営化が大きな転換点でした。総評や社会党の解体、労働運動の後退。僕たちの手でもう一回闘う団結を取り戻すために闘い続けています。
 7月1日の暴挙は、労働者の怒りの声をすべて解き放ってしまう新しい一歩でもあります。労働者の権利を守る闘いと、戦争に反対する闘いはひとつです。闘う労働組合がよみがえった時に労働組合の範囲を越えてすべてを獲得し、この社会を変える力をもちます。
 私たちも今、新しい挑戦を始めています。膨大にあふれる下請け労働者、非正規労働者、われわれの側から殻を打ち破って、彼らを本当に組織し、外注化を粉砕する闘いです。そして7月、非正規職の下請けの仲間たちが動労千葉に入りました。戦争を押しとどめていく大きな力につながる重要な一歩です。
 9月11日、国労の郡山の仲間たちが国労本部の屈服を突いて、外注化粉砕の闘いに立ち上がります。ここに結集してほしい。11月2日、労働者に襲いかかる民営化と戦争に反対する、闘う労働運動をもう一度取り戻す新しい挑戦として、日比谷野外音楽堂で万余の集会を開きたい。すべての声をぜひここに結集させてください。

基地建設阻むのは労働運動 日本IBMビジネスサービス労組委員長 富田晋さん

 安倍政権は7月1日をもって辺野古の新基地建設に着手してきた。僕は命をかけてでも基地建設を止める、戦争を阻止する決意です。
 本日の集会は、新たな反戦闘争を規定する歴史的な集会です。辺野古の基地建設は、今現場に駆けつければ止められる段階にはもうありません。実力闘争を構えるためには、その実体を構えてつくる必要があります。これまで私も多くの仲間と体を張って止めてきましたが、7・1閣議決定で情勢が完全に変わった。やつらは国家暴力で建設阻止闘争を徹底的につぶそうとしてくる。それに対してどう闘うか。結論から言いますと、動労千葉、動労水戸に学び、自衛官も原発労働者も基地労働者もすべてを巻き込む労働運動だ。
 僕のIJBS労組はコールセンターの労働組合です。99%が非正規職で、賃下げ、パワハラ、退職強要、雇い止め解雇、何でもありでした。2年半前に必死に呼びかけ労働組合をつくりました。現在は、パワハラも賃下げも撤回させ、職場の力関係は大きく変わっています。労働組合を回れば、一緒に闘いたいという声がこだまするように広がり始めた。新たな労働組合もできました。
 IJBSの闘いで一番重要視したのは反合理化・運転保安闘争を職場に適用した闘いでした。今、安倍がやろうとしていることは、貧困にたたき込み、使い捨ての現実に屈服させ、その中で戦争を強要し、基地建設を強要していくことです。これを覆す闘いが反合理化であり安全闘争です。この両面の闘いの爆発的な発展形態がわれわれの非正規職撤廃闘争です。
 その結集体を、実体をつくり、その闘いで新基地建設を戦争もろとも止める。やってやろうぜ。あとは革命だけだ!

戦時教育拒否へ立つべき時 東京・「君が代」不起立被処分者 根津公子さん

 私は7・1閣議決定がされた時、学校は戦時下教育をさせられる、ならば教員がみんな戦争反対と言って立ち上がることが大事だと思いました。
 4月に文科省が、政府の考えを書いた教科書を検定で通すための基準を決めました。社会科の教科書に領土問題が入り、地図帳には北方領土や尖閣の入った日本地図。子どもたちに憎しみをかきたてる教科書です。
 戦前、日本が侵略戦争に入る時に教育が与えた影響は、誰もが知っています。その体験から、日教組は戦後「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを掲げてきた。今こそ日教組、全教は全力で闘わなければいけないはずなのに、闘いを避けている。本当に悔しい。
 教員が応じなければ、子どもたちを戦場に送る教育は成立しません。東京都教委の「君が代」起立命令・不起立処分は、子どもを戦場に送る教育の第一歩であり、不起立はそれへの拒否・抵抗でした。この11年間、不起立ゼロになることはありませんでした。私はずっと処分を受けてきましたが、多くの人の支援があって、都教委は私を首にできませんでした。国家に加担せず戦時教育を拒否する教員たちの日常的な闘いを、私たち退職教員も支援して一緒に闘っていきたいと思います。

武田君を奪還団結広げ勝利 全学連委員長 斎藤郁真さん

 私たち全学連は8月15日、法政大学文化連盟委員長・武田君を奪還しました。私はこの勝利の中に今の時代を見ます。多くのみなさんの支援、そして首都圏の多くの大学で学生が立ち上がり、その団結の拡大と新たな闘いによって、7・1閣議決定下での国家権力をあげた弾圧を打ち破りました。
 安倍政権は本当にボロボロです。労働者民衆を説得することもできず、とにかく凶暴に弾圧するしかない。安倍政権が強いのではなく、私たちが闘い続けていることの中に、起きている事態の本質があります。
 戦前においても1925年に治安維持法がつくられて、それと同時に「京都学連事件」という形で学生が弾圧され、43年の学徒動員で多くの学生が戦場に送られました。だけどこの過程は同時に闘いの歴史です。日中戦争へ向かう過程で最も日本の労働者が立ち上がった。今こそ私たちは弾圧を打ち破り、団結して立ち上がる時です。
 新たな反戦闘争が求められている。法政大学の田中総長を始め、口では「戦争反対」を言いながら、キャンパスでは学生の闘いを警察と一体で抑えつける。こんなことはすべてひっくり返して、私たちは大学で学生自治会をつくります。9月全学連大会を成功させ、10月21日の国際反戦デーに全国大学で戦争協力拒否を掲げた大闘争をやることを、昨日の中央執行委員会で決めました。その先頭に立って闘う決意です。

資本主義の時代は終わり 全国労組交流センター代表運営委員・動労水戸副委員長 辻川慎一さん

 7・1閣議決定に対して、私たちがどう生きるのか、どういう選択をするのかが問われている。労働者階級の側で闘うのか、ブルジョアの側に立つのか、階級分岐の時代が到来しています。どういう態度を表明して闘うのかが問われています。
 6・1常磐線竜田延伸は、安倍政権と労働者階級の一大決戦でした。原発15㌔圏内まで電車を走らせ、住民に帰還を強制し、大熊町、双葉町に放射性物質の中間貯蔵施設を造る、これを一気にやろうとした。絶対に阻止しなきゃいけない。5月30、31日に全組合員をストライキに入れ、500人でいわきデモをやった。国鉄の労働組合がストライキで闘うことが、仮設住宅の人たちのものすごい希望になった。5・31いわきには、戦争で家族を失い、戦後は苦労してあの過疎の中で生きてきて、3・11の地震・津波・原発事故ですべてを奪われたというお年寄りが来ていた。多くの人が楢葉町の仮設住宅から来てくれたんです。
 労働者階級が立ち上がった時にすべての人がともに立ち上がる。それを竜田延伸阻止闘争で確信しました。実際、中間貯蔵施設も帰町宣言も粉砕しました。大勝利です。
 これから1〜2年で何が起こるか。アベノミクスはもう崩壊寸前。もっと巨大な激動が来る。私たちが今つくっている労働組合、交通運輸労働者、さまざまな非正規の労働者が立ち上がるなら、そのもとに膨大な人たちが立ち上がる情勢が来るということです。
 帝国主義・資本主義の時代は終わりだということを念頭に、階級的労働運動をとことん貫くことが、私たちの7・1閣議決定に対する回答です。

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